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特許7511191データ作成システム、学習システム、推定システム、処理装置、データ作成方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】データ作成システム、学習システム、推定システム、処理装置、データ作成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240628BHJP
   G06V 10/774 20220101ALI20240628BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06V10/774
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022561866
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2021040713
(87)【国際公開番号】W WO2022102522
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2020187508
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 勇斗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 太一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 良介
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 10/774
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像データから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成するデータ作成システムであって、
前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データから、基準面に対する前記第1領域の高さに関する変化量が、前記第1領域内における基準点に近い位置ほど大きく、かつ前記第1領域及び前記第2領域の境界に近い位置ほど小さくなるように、前記第1領域の高さに関する変形を施した前記第2画像データを生成する処理部を備える、
データ作成システム。
【請求項2】
前記第1領域の高さに関する変形は、前記基準点における前記基準面に対する傾斜角度が0度を含む所定の角度範囲内に収まるように施される、
請求項1に記載のデータ作成システム。
【請求項3】
前記基準点は、前記第1領域及び前記第2領域の並び方向と交差する方向に沿って複数並ぶ、
請求項1又は請求項2に記載のデータ作成システム。
【請求項4】
前記第1領域の高さに関する変形は、前記基準面に対する前記基準点における高さが、前記基準面に対する変形前の前記第1領域内で高さが最大である最大点よりも高くなるように施される、
請求項1~3のいずれか1項に記載のデータ作成システム。
【請求項5】
前記第1領域の高さに関する変形は、前記基準面に対する前記基準点における高さが、前記基準面に対する変形前の前記第1領域内で高さが最大である最大点よりも低くなるように施される、
請求項1~3のいずれか1項に記載のデータ作成システム。
【請求項6】
前記基準点は、前記第1領域及び前記第2領域の並び方向における、前記第1領域の中央に配置される、
請求項1~5のいずれか1項に記載のデータ作成システム。
【請求項7】
前記第1領域の高さに関する変形は、前記境界における前記変化量がゼロを含む規定の範囲内に収まるように施される、
請求項1~6のいずれか1項に記載のデータ作成システム。
【請求項8】
前記第1領域の高さに関する変形は、前記境界における前記基準面に対する傾斜角度が0度を含む特定の角度範囲内に収まるように施される、
請求項1~7のいずれか1項に記載のデータ作成システム。
【請求項9】
前記第1領域の高さに関する変形は、前記境界よりも前記第1領域の側に特定形態を示す特定領域が存在する場合、前記特定領域を除く前記第1領域について施される、
請求項1~8のいずれか1項に記載のデータ作成システム。
【請求項10】
前記第1領域は、溶接対象となる2つの母材間を溶接することで形成される溶接領域に関する画素領域であり、
前記第2領域は、前記2つの母材のいずれか一方に関する画素領域である、
請求項1~9のいずれか1項に記載のデータ作成システム。
【請求項11】
前記処理部は、前記第1領域における前記基準点の位置を指定するための指定情報を取得する取得部を有する、
請求項1~10のいずれか1項に記載のデータ作成システム。
【請求項12】
第1画像データと基準画像データとから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成するデータ作成システムであって、
前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データから、第1基準面に対する前記第2領域の高さに関する変形を、前記オブジェクトを示す画素領域である第3領域、及び前記第3領域と隣り合う第4領域を含む前記基準画像データの、第2基準面に対する前記第4領域の高さに基づいて施した、前記第2画像データを生成する処理部を備え、
前記第2領域の外縁から、前記第2領域内における第1基準点までの距離を第1距離とし、
前記第1領域と前記第2領域との境界から前記第1基準点までの距離を第2距離とし、
前記基準画像データの前記第4領域において、前記第2基準面上の、前記第1距離と前記第2距離との比と等しい位置を第2基準点とし、
前記第1基準点における変化量は、前記第2基準面に対する前記第2基準点における高さに基づく量である、
データ作成システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のデータ作成システムで作成された前記第2画像データを画像データとして含む前記学習用データを含む学習用データセットを用いて、前記学習済みモデルを生成する、
学習システム。
【請求項14】
請求項13に記載の学習システムで生成された前記学習済みモデルを用いて、認識対象となる前記オブジェクトにおける特定状態に関する推定を行う、
推定システム。
【請求項15】
第1画像データから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成するデータ作成方法であって、
前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データから、基準面に対する前記第1領域の高さに関する変化量が、前記第1領域内における基準点に近い位置ほど大きく、かつ前記第1領域及び前記第2領域の境界に近い位置ほど小さくなるように、前記第1領域の高さに関する変形を施した前記第2画像データを生成する処理ステップを含む、
データ作成方法。
【請求項16】
第1画像データと基準画像データとから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成するデータ作成方法であって、
前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データから、第1基準面に対する前記第2領域の高さに関する変形を、前記オブジェクトを示す画素領域である第3領域、及び前記第3領域と隣り合う第4領域を含む前記基準画像データの、第2基準面に対する前記第4領域の高さに基づいて施した、前記第2画像データを生成する処理ステップを含み、
前記第2領域の外縁から、前記第2領域内における第1基準点までの距離を第1距離とし、
前記第1領域と前記第2領域との境界から前記第1基準点までの距離を第2距離とし、
前記基準画像データの前記第4領域において、前記第2基準面上の、前記第1距離と前記第2距離との比と等しい位置を第2基準点とし、
前記第1基準点における変化量は、前記第2基準面に対する前記第2基準点における高さに基づく量である、
データ作成方法。
【請求項17】
1以上のプロセッサに、請求項15又は請求項16に記載のデータ作成方法を実行させるためのプログラム。
【請求項18】
第1画像データから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成するデータ作成システムであって、
前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データについて、基準面に対する前記第1領域の高さに関する変化量である高さ変化量を、前記第1領域内における基準点に近い位置ほど大きく、かつ前記第1領域及び前記第2領域の境界に近い位置ほど小さくなるように決定する決定部と、
前記決定部で決定された前記高さ変化量に基づいて、前記第1画像データから、前記第1領域の高さに関する変形を施した前記第2画像データを生成する変形部と、
を備える、
データ作成システム。
【請求項19】
第1処理装置と、第2処理装置と、を備え、
前記第1処理装置は、前記決定部を有し、
前記第2処理装置は、前記変形部を有し、
前記第1処理装置は、前記高さ変化量を示す情報を、前記第2処理装置に送信する、
請求項18に記載のデータ作成システム。
【請求項20】
前記第1処理装置は、ユーザからの操作入力に基づいて、前記第1画像データ内の前記基準点を指定する指定部を、更に備える、
請求項19に記載のデータ作成システム。
【請求項21】
請求項19又は20に記載のデータ作成システムにおける前記第1処理装置としての、
処理装置。
【請求項22】
請求項19又は20に記載のデータ作成システムにおける前記第2処理装置としての、
処理装置。
【請求項23】
第1画像データと基準画像データとから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成するデータ作成システムであって、
前記第1画像データは、前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、前記第1領域と隣り合う第2領域、及び第1基準面を含み、
前記基準画像データは、前記オブジェクトを示す画素領域である第3領域、前記第3領域と隣り合う第4領域、及び第2基準面を含み、
前記データ作成システムは、
前記基準画像データの、前記第2基準面に対する前記第4領域の高さに基づいて、高さに関する変化量である高さ変化量を決定する決定部と、
前記決定部で決定された前記高さ変化量に基づいて、前記第1画像データから、前記第1基準面に対する前記第2領域の高さに関する変形を施した前記第2画像データを生成する変形部と、
を備え、
前記決定部は、
前記第2領域の外縁から、前記第2領域内における第1基準点までの距離を第1距離とし、前記第1領域と前記第2領域との境界から前記第1基準点までの距離を第2距離とし、前記基準画像データの前記第4領域において、前記第2基準面上の、前記第1距離と前記第2距離との比と等しい位置を第2基準点とした場合に、前記第1基準点における変化量が、前記第2基準面に対する前記第2基準点における高さに基づく量となるように、前記高さ変化量を決定する、
データ作成システム。
【請求項24】
第1処理装置と、第2処理装置と、を備え、
前記第1処理装置は、前記決定部を有し、
前記第2処理装置は、前記変形部を有し、
前記第1処理装置は、前記高さ変化量を示す情報を、前記第2処理装置に送信する、
請求項23に記載のデータ作成システム。
【請求項25】
前記第1処理装置は、ユーザからの操作入力に基づいて、前記第1画像データ内の前記第1基準点を指定する指定部を、更に備える、
請求項24に記載のデータ作成システム。
【請求項26】
請求項24又は25に記載のデータ作成システムにおける前記第1処理装置としての、
処理装置。
【請求項27】
請求項24又は25に記載のデータ作成システムにおける前記第2処理装置としての、
処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、データ作成システム、学習システム、推定システム、処理装置、データ作成方法、及びプログラムに関する。より詳細には本開示は、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データとして用いられる画像データを作成するデータ作成システム、当該学習済みモデルを生成する学習システム、当該学習済みモデルを用いる推定システムに関する。また本開示は、当該データ作成システムに用いられる処理装置に関する。また本開示は、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データとして用いられる画像データを作成するデータ作成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、教師データ拡張装置について開示されている。特許文献1には、機械学習のために実環境で収集する必要があるデータ量を低減させて、データ収集に要する時間を低減させる点について記載がある。
【0003】
また特許文献1には、教師データ拡張装置が、リンゴの実教師データと、ナシの実教師データとから、店舗A、B、Cでの撮影時の輝度の範囲内で色味の特徴量と組み合わせて新たな教師データを生成する点が記載されている。
【0004】
特許文献1の教師データ拡張装置のようにオブジェクト(リンゴ又はナシ)の全体的な輝度値と色味との組み合わせを変えるだけでは、オブジェクトの局所的な認識を行う場合の多様な学習用データの作成として十分ではない可能性がある。結果的に、オブジェクトに関する認識性能が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2020/070876号
【発明の概要】
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、オブジェクトに関する認識性能の改善を図ることができる、データ作成システム、学習システム、推定システム、処理装置、データ作成方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一態様のデータ作成システムは、第1画像データから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成する。前記データ作成システムは、処理部を備える。前記処理部は、前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データから、基準面に対する前記第1領域の高さに関する変化量が、前記第1領域内における基準点に近い位置ほど大きく、かつ前記第1領域及び前記第2領域の境界に近い位置ほど小さくなるように、前記第1領域の高さに関する変形を施した前記第2画像データを生成する。
【0008】
本開示の別の一態様のデータ作成システムは、第1画像データと基準画像データとから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成する。前記データ作成システムは、処理部を備える。前記処理部は、前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データから、第1基準面に対する前記第2領域の高さに関する変形を、前記オブジェクトを示す画素領域である第3領域、及び前記第3領域と隣り合う第4領域を含む前記基準画像データの、第2基準面に対する前記第4領域の高さに基づいて施した、前記第2画像データを生成する。前記第2領域の外縁から、前記第2領域内における第1基準点までの距離を第1距離とし、前記第1領域と前記第2領域との境界から前記第1基準点までの距離を第2距離とする。前記基準画像データの前記第4領域において、前記第2基準面上の、前記第1距離と前記第2距離との比と等しい位置を第2基準点とする。前記第1基準点における変化量は、前記第2基準面に対する前記第2基準点における高さに基づく量である。
【0009】
本開示の一態様の学習システムは、上記のいずれか一方のデータ作成システムで作成された前記第2画像データを画像データとして含む前記学習用データを含む学習用データセットを用いて、前記学習済みモデルを生成する。
【0010】
本開示の一態様の推定システムは、上記の学習システムで生成された前記学習済みモデルを用いて、認識対象となる前記オブジェクトにおける特定状態に関する推定を行う。
【0011】
本開示の別の一態様のデータ作成システムは、第1画像データから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成する。前記データ作成システムは、決定部と、変形部と、を備える。前記決定部は、前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データについて、基準面に対する前記第1領域の高さに関する変化量である高さ変化量を、前記第1領域内における基準点に近い位置ほど大きく、かつ前記第1領域及び前記第2領域の境界に近い位置ほど小さくなるように決定する。前記変形部は、前記決定部で決定された前記高さ変化量に基づいて、前記第1画像データから、前記第1領域の高さに関する変形を施した前記第2画像データを生成する。
【0012】
本開示の一態様の処理装置は、前記データ作成システムにおいて前記決定部を有する第1処理装置と前記変形部を有する第2処理装置とのうちの、前記第1処理装置である。
【0013】
本開示の別の一態様の処理装置は、前記データ作成システムにおいて前記決定部を有する第1処理装置と前記変形部を有する第2処理装置とのうちの、前記第2処理装置である。
【0016】
本開示の別の一態様のデータ作成システムは、第1画像データと基準画像データとから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成する。前記第1画像データは、前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、前記第1領域と隣り合う第2領域、及び第1基準面を含む。前記基準画像データは、前記オブジェクトを示す画素領域である第3領域、前記第3領域と隣り合う第4領域、及び第2基準面を含む。前記データ作成システムは、決定部と、変形部と、を備える。前記決定部は、前記基準画像データの、前記第2基準面に対する前記第4領域の高さに基づいて、高さに関する変化量である高さ変化量を決定する。前記変形部は、前記決定部で決定された前記高さ変化量に基づいて、前記第1画像データから、前記第1基準面に対する前記第2領域の高さに関する変形を施した前記第2画像データを生成する。前記決定部は、前記第2領域の外縁から、前記第2領域内における第1基準点までの距離を第1距離とし、前記第1領域と前記第2領域との境界から前記第1基準点までの距離を第2距離とし、前記基準画像データの前記第4領域において、前記第2基準面上の、前記第1距離と前記第2距離との比と等しい位置を第2基準点とした場合に、前記第1基準点における変化量が、前記第2基準面に対する前記第2基準点における高さに基づく量となるように、前記高さ変化量を決定する。
【0017】
本開示の別の一態様の処理装置は、前記データ作成システムにおいて前記決定部を有する第1処理装置と前記変形部を有する第2処理装置とのうちの、前記第1処理装置である。
【0018】
本開示の別の一態様の処理装置は、前記データ作成システムにおいて前記決定部を有する第1処理装置と前記変形部を有する第2処理装置とのうちの、前記第2処理装置である。
【0021】
本開示の一態様のデータ作成方法は、第1画像データから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成するデータ作成方法である。前記データ作成方法は、処理ステップを含む。前記処理ステップでは、前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データから、基準面に対する前記第1領域の高さに関する変化量が、前記第1領域内における基準点に近い位置ほど大きく、かつ前記第1領域及び前記第2領域の境界に近い位置ほど小さくなるように、前記第1領域の高さに関する変形を施した前記第2画像データを生成する。
【0022】
本開示の別の一態様のデータ作成方法は、第1画像データと基準画像データとから、オブジェクトに関する学習済みモデルを生成するための学習用データにおける画像データとして用いられる第2画像データを作成するデータ作成方法である。前記データ作成方法は、処理ステップを含む。前記処理ステップでは、前記オブジェクトを示す画素領域である第1領域、及び前記第1領域と隣り合う第2領域を含む前記第1画像データから、第1基準面に対する前記第2領域の高さに関する変形を、前記オブジェクトを示す画素領域である第3領域、及び前記第3領域と隣り合う第4領域を含む前記基準画像データの、第2基準面に対する前記第4領域の高さに基づいて施した、前記第2画像データを生成する。前記第2領域の外縁から、前記第2領域内における第1基準点までの距離を第1距離とし、前記第1領域と前記第2領域との境界から前記第1基準点までの距離を第2距離とする。前記基準画像データの前記第4領域において、前記第2基準面上の、前記第1距離と前記第2距離との比と等しい位置を第2基準点とする。前記第1基準点における変化量は、前記第2基準面に対する前記第2基準点における高さに基づく量である。

【0023】
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、上記のいずれかのデータ作成方法を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、一実施形態に係るデータ作成システムを備える評価システム全体の概略ブロック構成図である。
図2図2Aは、同上のデータ作成システムに入力される第1画像データの一例を示す図である。図2Bは、図2Aの第1画像データから、同上のデータ作成システムで作成された第2画像データを示す図である。
図3図3Aは、同上のデータ作成システムに入力される第1画像データの別例を示す図である。図3Bは、同3Aの第1画像データから、同上のデータ作成システムで作成された第2画像データを示す図である。
図4図4は、同上のデータ作成システムにおける変形処理を説明するための図である。
図5図5は、同上のデータ作成システムにおける変形処理にて基準点における傾斜角度が0度でない場合を説明するための図である。
図6図6は、同上のデータ作成システムにおける変形処理にて境界における変化量が0でない場合を説明するための図である。
図7図7は、同上のデータ作成システムにおける変形処理にて境界における傾斜角度が0度でない場合を説明するための図である。
図8図8A及び図8Bは、同上のデータ作成システムにおける境界の再設定を説明するための図である。
図9図9は、同上のデータ作成システムの動作を説明するためのフローチャート図である。
図10図10は、同上のデータ作成システムにおける変形例1を備える評価システム全体の概略ブロック構成図である。
図11図11A~11Cは、同上の変形例1の変形処理を説明するための図である。
図12図12A~12Cは、同上のデータ作成システムにおける変形例2の変形処理を説明するための図である。
図13図13は、同上のデータ作成システムにおける変形例3の概略ブロック構成図である。
図14図14は、同上のデータ作成システムにおける変形例4の概略ブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0026】
本実施形態に係るデータ作成システム1は、図1に示すように、第1画像データD11から、オブジェクト4(図2A図2B図3A及び図3B参照)に関する学習済みモデルM1を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データD12を作成する。つまり、第2画像データD12は、モデルを機械学習するために用いられる学習用データである。本開示でいう「モデル」は、認識対象(オブジェクト4)に関するデータが入力されると、認識対象がどのような状態にあるかを推定し、推定結果(認識結果)を出力するプログラムである。「学習済みモデル」は、学習用データを用いた機械学習が完了したモデルをいう。また「学習用データ(セット)」は、モデルに入力される入力情報(画像データD1)と、入力情報に付与されたラベルと、を組み合わせたデータセットであり、いわゆる教師データである。つまり、本実施形態では、学習済みモデルM1は、教師あり学習による機械学習が完了したモデルである。
【0027】
本実施形態では一例として、認識対象であるオブジェクト4は、図2A図2B図3A及び図3Bに示すように、ビードB10である。ビードB10は、金属の溶接材B13を用いて2以上の母材、ここでは第1母材B11及び第2母材B12を溶接した際に、第1母材B11及び第2母材B12の境目B14(溶接箇所)に形成される。図2A図2B図3A及び図3Bは一例として、第1母材B11及び第2母材B12はいずれも矩形状の金属板である。ビードB10の大きさ及び形状は、主に溶接材B13に依存する。したがって、学習済みモデルM1は、ビードB10を含む認識対象画像データD3が入力されると、ビードB10の状態(特定状態)を推定し、推定結果を出力する。具体的には、学習済みモデルM1は、推定結果として、ビードB10が良品であるか不良品であるか、不良品である場合は不良の種類を出力する。つまり、学習済みモデルM1は、ビードB10が良品であるか否か、言い換えれば、溶接が正しく行われたか否かを検査する溶接外観検査のために用いられる。
【0028】
ビードB10が良品であるか否かは、一例として、ビードB10の長さ、ビードB10の高さ、ビードB10の立ち上がりの角度、ビードB10ののど厚、ビードB10の余盛、及びビードB10の溶接箇所の位置ずれ(ビードB10の始端のずれを含む)が許容範囲に収まっているか否かにより判定される。例えば、上記に列挙した条件のうち1つでも許容範囲に収まっていなければ、ビードB10が不良品であると判定される。また、ビードB10が良品であるか否かは、一例として、ビードB10のアンダーカットの有無、ビードB10のピットの有無、ビードB10のスパッタの有無、及びビードB10の突起の有無等に基づいて判定される。例えば、上記に列挙した不良部分のうち1つでも発生した場合、ビードB10が不良品であると判定される。
【0029】
ところで、モデルの機械学習を行うためには、認識対象の不良品を含む多数の画像データを学習用データとして用意する必要がある。しかしながら、認識対象の不良品が発生する頻度が少ない場合、認識率の高い学習済みモデルM1を生成するために必要な学習用データが不足しがちである。そこで、実際にビードB10を撮像装置6により撮像することで得られる学習用データ(以下、「第1画像データD11」又は「オリジナル学習用データ」と呼ぶ)についてデータ拡張(Data Augmentation)処理を実行することにより、学習用データの数を増やしてモデルの機械学習を行うことが考えられる。データ拡張処理は、学習用データに対して平行移動、拡大・縮小、回転、反転、又はノイズの付与等の処理(変換処理)を加えることで、学習用データを水増しする処理をいう。
【0030】
第1画像データD11は、例えば距離画像データであり、高さ成分に相当する画素値を含む。撮像装置6は、距離画像センサを含む。「高さ」は、例えば、基準面H1(仮想的な平面でもよいし、母材の表面でもよい)に対する高さである。言い換えると、「高さ」に相当する画素値は、撮像対象から距離画像センサまでの距離に対応する画素値として第1画像データD11に含まれる。
【0031】
本実施形態の一態様に係るデータ作成システム1は、図1に示すように、処理部10を備える。処理部10は、オブジェクト4を示す画素領域である第1領域51、及び第1領域51と隣り合う第2領域52を含む第1画像データD11から、基準面H1に対する第1領域51の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。処理部10は、第1領域51の高さに関する変化量が、第1領域51内における基準点P1に近い位置ほど大きく、かつ第1領域51及び第2領域52の境界C1に近い位置ほど小さくなるように、第1領域51の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。
【0032】
本実施形態では一例として、第1領域51は、溶接対象となる2つの母材(第1母材B11、第2母材B12)間を溶接することで形成される溶接領域(ビードB10)に関する画素領域である。第2領域52は、2つの母材(第1母材B11、第2母材B12)のいずれか一方に関する画素領域である。
【0033】
ここでは、第1及び第2母材B11,B12間を溶接することで形成される溶接領域(ビードB10)をオブジェクト4としているため、第2領域52は、第1画像データD11内に2つ存在する。以下では、第1母材B11に関する画素領域を第1母材領域521と呼び、第2母材B12に関する画素領域を第2母材領域522と呼ぶことがある(図4参照)。
【0034】
基準点P1は、第1領域51内で、所定の位置に予め設定された点でもよいし、ユーザからの操作入力により任意に設定される点でもよい。
【0035】
図4は、仮にビードB10、第1母材B11及び第2母材B12を、変形を施した第2画像データD12を示す図3BのA-A線で切った場合の断面において、ビードB10の外郭の(基準面H1に対する)高さを、第2曲線G2として模式的に示した図である。図4では、比較しやすいように、図3Aに示す変形前のビードB10の外郭の高さも、第1曲線G1として図示される。
【0036】
本実施形態では、第1領域51の高さに関する変化量は、第1領域51内における基準点P1に近い位置ほど大きく、かつ第1領域51及び第2領域52の境界C1に近い位置ほど小さい。そのため、第1画像データD11の第1領域51における高さを山形に盛り上げた(又は谷形に掘り下げた)ような態様の第2画像データD12を作成しやすくなる。結果的に、学習用データの多様性を向上でき、オブジェクト4に関する認識性能の改善を図ることができる。
【0037】
また本実施形態に係る学習システム2(図1参照)は、データ作成システム1で作成された第2画像データD12としての学習用データを含む学習用データセットを用いて、学習済みモデルM1を生成する。したがって、オブジェクト4に関する認識性能の改善を図ることが可能な学習システム2を提供できる。学習済みモデルM1を生成するための学習用データは、第2画像データD12(拡張データ)だけでなく、オリジナルの第1画像データD11も含み得る。言い換えると、本実施形態における画像データD1は、少なくとも第2画像データD12を含み、第1画像データD11及び第2画像データD12の両方を含み得る。
【0038】
また本実施形態に係る推定システム3(図1参照)は、学習システム2で生成された学習済みモデルM1を用いて、認識対象となるオブジェクト4(ここでは一例としてビードB10)における特定状態に関する推定を行う。したがって、オブジェクト4に関する認識性能の改善を図ることが可能な推定システム3を提供できる。
【0039】
また本実施形態に係るデータ作成方法は、第1画像データD11から、オブジェクト4に関する学習済みモデルM1を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データD12を作成するデータ作成方法である。データ作成方法は、処理ステップを含む。処理ステップでは、オブジェクト4を示す画素領域である第1領域51、及び第1領域51と隣り合う第2領域52を含む第1画像データD11から、基準面H1に対する第1領域51の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。処理ステップでは、第1領域51の高さに関する変化量が、第1領域51内における基準点P1に近い位置ほど大きく、かつ第1領域51及び第2領域52の境界C1に近い位置ほど小さくなるように、第1領域51の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。
【0040】
この構成によれば、オブジェクト4に関する認識性能の改善を図ることが可能なデータ作成方法を提供できる。データ作成方法は、コンピュータシステム(データ作成システム1)上で用いられる。つまり、データ作成方法は、プログラムでも具現化可能である。本実施形態に係るプログラムは、本実施形態に係るデータ作成方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0041】
(2)詳細
以下、本実施形態に係るデータ作成システム1を備える全体のシステム(以下、「評価システム100」と呼ぶ)について、図1図9を参照しながら詳しく説明する。
【0042】
(2.1)全体構成
評価システム100は、図1に示すように、データ作成システム1と、学習システム2と、推定システム3と、1又は複数台の撮像装置6(図1では1台のみ図示)とを備える。
【0043】
データ作成システム1、学習システム2、及び推定システム3は、サーバ等から構築されることを想定する。ここでいう「サーバ」は、1台のサーバ装置から構成されることを想定する。つまり、データ作成システム1、学習システム2、及び推定システム3の主な機能が、1台のサーバ装置に設けられていることを想定する。
【0044】
ただし、「サーバ」は、複数台のサーバ装置から構成されてもよい。具体的には、データ作成システム1、学習システム2、及び推定システム3の機能が、それぞれ個別のサーバ装置に設けられてもよいし、これらのうちの2つのシステムが1台のサーバ装置に設けられてもよい。またそのようなサーバ装置が、例えばクラウド(クラウドコンピューティング)を構築してもよい。
【0045】
またサーバ装置は、溶接現場となる工場内に設置されてもよいし、工場の外部(例えば事業本部)に設置されてもよい。データ作成システム1、学習システム2、及び推定システム3の機能がそれぞれ個別のサーバ装置に設けられている場合、各サーバ装置は、他のサーバ装置と通信可能に接続されていることが望ましい。
【0046】
データ作成システム1は、オブジェクト4に関する学習済みモデルM1を生成するための学習用データとして用いられる画像データD1を作成するように構成される。本開示でいう「学習用データの作成」は、オリジナル学習用データとは別に新しい学習用データを生成することの他に、オリジナル学習用データを更新することにより新しい学習用データを生成することを含み得る。
【0047】
ここでいう学習済みモデルM1は、例えばニューラルネットワークを用いたモデル、又は多層ニューラルネットワークを用いた深層学習(ディープラーニング)により生成されるモデルを含み得る。ニューラルネットワークは、例えばCNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)、又はBNN(Bayesian Neural Network:ベイズニューラルネットワーク)等を含み得る。学習済みモデルM1は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路に、学習済みのニューラルネットワークを実装することで実現されている。学習済みモデルM1は、ディープラーニングにより生成されるモデルに限定されない。学習済みモデルM1は、サポートベクターマシン、又は決定木等により生成されるモデルでもよい。
【0048】
ここでは、データ作成システム1は、上述の通り、オリジナル学習用データ(第1画像データD11)に対してデータ拡張処理を実行して、学習用データを水増しする機能を有している。以下では、データ作成システム1を備える評価システム100を利用する者を、単に「ユーザ」と呼ぶことがある。ユーザは、例えば、工場内で溶接工程等の製造工程を監視するオペレータ、又は管理責任者等に相当し得る。
【0049】
データ作成システム1は、図1に示すように、処理部10と、通信部15と、表示部16と、操作部17とを備える。
【0050】
図1の例では、学習用データ(画像データD1)を格納(記憶)するための格納部がデータ作成システム1の外部に設けられている。ただし、データ作成システム1が格納部を更に備えてもよく、その場合、格納部は処理部10が内蔵するメモリでもよい。画像データD1を格納する格納部は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能な不揮発性メモリを含む。
【0051】
データ作成システム1の一部の機能は、サーバと通信可能な情報端末に分散的に設けられてもよい。本開示でいう「情報端末」は、パーソナルコンピュータ(ノートパソコン又は据置型のパソコン)、スマートフォンやタブレット端末等の携帯型の端末等を含み得る。ここでは、表示部16及び操作部17の機能が、ユーザが使用する情報端末に設けられている。情報端末には、サーバと通信するための専用のアプリケーションソフトが予めインストールされる。
【0052】
処理部10は、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部10として機能する。プログラムは、ここでは処理部10のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0053】
処理部10は、通信部15、表示部16、及び操作部17に関する制御処理を実行する。処理部10の機能は、サーバにあることを想定する。また処理部10は、画像処理を実行する機能を有しており、図1に示すように、取得部11と、変形部12と、決定部13とを有している。処理部10の各部の詳細については、次の欄で説明する。
【0054】
表示部16は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを構成する。表示部16は、上述の通り、情報端末に設けられている。表示部16は、タッチパネル式のディスプレイでもよい。表示部16は、第1画像データD11及び第2画像データD12に関する情報を表示(出力)する。表示部16は、第1画像データD11及び第2画像データD12以外にも、学習用データの生成に関連する種々の情報を表示する。
【0055】
通信部15は、1又は複数台の撮像装置6と直接的に、或いは生産管理システムの機能を有した別サーバ等を介して間接的に通信するための通信インタフェースである。通信部15の機能は、処理部10と同じサーバにあることを想定するが、例えば情報端末に設けられてもよい。通信部15は、撮像装置6から、オリジナル学習用データである第1画像データD11を受信する。
【0056】
第1画像データD11は、上述の通り、一例として距離画像データであり、オブジェクト4を示す画素領域を含む。ただし、第1画像データD11は、輝度画像データでもよい。上述の通り、オブジェクト4は、溶接材B13を用いて第1母材B11及び第2母材B12を溶接した際に、第1母材B11及び第2母材B12の境目B14に形成されるビードB10である。すなわち、第1画像データD11は、撮像装置6の距離画像センサで撮像された、ビードB10を示す画素領域を含むデータである。
【0057】
撮像装置6で撮像されたオブジェクト4に関する大量の画像データの中からの、データ拡張処理を適用する対象となる第1画像データD11の選別は、例えば、ユーザからの指示に応じて行われる。評価システム100は、選別に関する指示を受け付けるユーザインタフェース(操作部17でもよい)を備えることが好ましい。
【0058】
操作部17は、マウス、キーボード、及びポインティングデバイス等を含む。操作部17は、上述の通り、例えばユーザが使用する情報端末に設けられている。表示部16が、情報端末のタッチパネル式のディスプレイである場合、操作部17の機能を兼ねてもよい。
【0059】
学習システム2は、データ作成システム1で作成された複数の画像データD1(第2画像データD12を複数含む)を含む学習用データセットを用いて、学習済みモデルM1を生成する。学習用データセットは、複数の画像データD1に対して「良品」又は「不良品」、さらに不良品の場合には不良の種類及び不良の位置を示すラベルを付与することで生成される。不良の種類は、アンダーカット、ピット、又はスパッタ等である。ラベルの付与に関する作業は、ユーザによって操作部17等のユーザインタフェースを介して評価システム100に対して行われる。一変形例において、ラベルの付与に関する作業は、画像データD1に対してラベルを付与するための機能を有する学習済みモデルによって、行われてもよい。学習システム2は、学習用データセットを用いて、オブジェクト4(ビードB10)の状態(良状態、不良状態、不良の種類、及び不良の位置等)を機械学習することにより、学習済みモデルM1を生成する。
【0060】
学習システム2は、新たに取得した学習用データを含む学習用データセットを用いて再学習を行うことで、学習済みモデルM1の性能の向上を図ってよい。例えばオブジェクト4(ビードB10)に新しい種類の不良が見つかれば、学習システム2に、新しい不良に関する再学習を行わせることも可能である。
【0061】
推定システム3は、学習システム2で生成された学習済みモデルM1を用いて、認識対象となるオブジェクト4における特定状態(良状態、不良状態、不良の種類、不良の位置)に関する推定を行う。推定システム3は、1又は複数台の撮像装置6と直接的に、或いは生産管理システムの機能を有した別サーバ等を介して間接的に通信可能に構成される。推定システム3は、実際に溶接工程を終えて形成されたビードB10が撮像装置6で撮像された認識対象画像データD3を受信する。
【0062】
推定システム3は、学習済みモデルM1を用いて、認識対象画像データD3に写るオブジェクト4が「良品」又は「不良品」のどちらであるか、さらに不良品の場合、どの種類の不良であるか、不良がどの位置にあるかを推定する。推定システム3は、認識対象画像データD3に対する認識結果(推定結果)を、ユーザが利用する情報端末、又は生産管理システム等に出力する。ユーザは、情報端末を通じて、推定結果を確認できる。また生産管理システムが、推定結果を取得して「不良品」と推定された溶接部品については、次の工程に搬送される前に、破棄するように生産設備を制御してもよい。
【0063】
(2.2)データ拡張処理
処理部10は、データ拡張処理として、少なくとも高さに関する「変形処理」を実行する機能を有している。具体的には、処理部10は、図1に示すように、取得部11と、変形部12と、決定部13とを有している。
【0064】
取得部11は、入力される変形対象となる第1画像データD11を取得するように構成される。ユーザは、操作部17等を介して変形対象となる第1画像データD11をデータ作成システム1に入力する。
【0065】
変形部12は、第1領域51(溶接領域)、及び第2領域52(第1及び第2母材領域521,522)を含む第1画像データD11から、基準面H1に対する第1領域51の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する(変形ステップ)。変形部12は、決定部13による決定結果に基づいて、高さに関する変形を施す。
【0066】
決定部13は、第1領域51(溶接領域)の高さに関する変化量が、第1領域51内における基準点P1に近い位置ほど大きく、かつ第1領域51及び第2領域52の境界C1に近い位置ほど小さくなるように変化量(高さ変化量)を決定する(決定ステップ)。
【0067】
ここで以下に、図2A図4について具体的に説明する。
【0068】
図2Aは、オブジェクト4を斜め上から撮像した第1画像データD11の一例を示す。図2Bは、図2Aに示す第1画像データD11に対して高さに関する変形が施された第2画像データD12の一例を示す。第1母材B11及び第2母材B12は、概ね一方向(横方向)に沿って並んでいる。図2A及び図2Bでは、一例として、第1母材B11及び第2母材B12は、互いの表面同士が成す角度(溶接角度)が180度未満の鈍角で溶接されているが、溶接角度は、特に限定されない。
【0069】
図3Aは、図2Aの第1画像データD11とは別の溶接データ(第1画像データD11)の一例を示す。図3Aは、オブジェクト4を真上から撮像した第1画像データD11を示す。また図3Bは、図3Aに示す第1画像データD11に対して高さに関する変形が施された第2画像データD12の一例を示す。
【0070】
以下では、主に図3A及び図3Bを用いて変形処理を説明する。図3A及び図3Bでは、第1母材B11及び第2母材B12は、X軸(横方向)に沿って並んでいて、ビードB10は、Y軸(縦方向)に沿って長尺に形成されている。
【0071】
第1領域51は、ビードB10であるオブジェクト4を示す画素領域である。つまり、第1領域51は、溶接対象となる第1母材B11及び第2母材B12間を溶接することで形成される溶接領域に関する画素領域である。
【0072】
第2領域52は、母材を示す画素領域である。ここでは、第2領域52は、ビードB10であるオブジェクト4が存在しない画素領域である。第2領域52である第1母材領域521及び第2母材領域522の各々は、第1領域51と隣り合う。図4の例では、第1母材領域521、第1領域51及び第2母材領域522が、X軸の正の方向に向かってこの順に並ぶ。
【0073】
図4は、「第1領域51の高さに関する変形」を概念的に分かりやすくするために用意した図である。図4は、上述の通り、仮に図3BのA-A線に沿って切った場合のビードB10の断面におけるビードB10の外郭のみを実線で示した図である。図4では、変形後のビードB10の外郭を太線(第2曲線G2)で示し、比較用に、変形前のビードB10の外郭を細線(第1曲線G1)で示す。
【0074】
図4では、基準面H1に沿った方向(ビードB10の幅方向)を横軸に設定し、基準面H1に対するビードB10の高さ方向を縦軸に設定している。言い換えると、図4の横軸は、図3A及び図3BのX軸に相当し、図4の縦軸は、図3A及び図3BのZ軸に相当する。基準面H1は、図3A及び図3Bで言えばX-Y平面と平行な仮想面である。つまり、第1領域51の高さ(オブジェクト4の高さ)とは、X-Y平面に直交する方向の成分であり、基準面H1からの高さである。基準面H1は、仮想面に限定されず、例えば、撮像時にオブジェクト4が設置される設置面(検査台等の表面)でもよいし、第1母材B11又は第2母材B12の表面でもよい。基準面H1は、撮像装置6から所定の距離だけ離れた位置に設定される仮想面でもよい。基準面H1は、処理部10のメモリ等に予め設定された固定的な面でもよいし、ユーザからの操作部17による指定に応じて変更可能な面でもよい。
【0075】
第1画像データD11及び第2画像データD12は、一例として距離画像データである。そのため、第1領域51の高さに相当する画素値は、撮像対象から距離画像センサまでの距離に対応する画素値ともいえる。変形処理では、図4に示す「高さ」に相当する画素値の変換が、図3AにおけるX-Y平面上で行われる。以下、さらに具体的に「変形処理」について説明する。
【0076】
まず決定部13は、図3Aに示す第1画像データD11から、第1領域51(溶接領域)、第1母材領域521、及び第2母材領域522に関する情報(以下、「領域情報」と呼ぶ)を抽出する。ユーザは、例えば、表示部16により画面表示される第1画像データD11を目視で確認し、ビードB10、第1母材B11及び第2母材B12の位置等を特定する。ユーザは、操作部17を用いて、ビードB10、第1母材B11及び第2母材B12の位置等を指定するための情報を入力する。
【0077】
決定部13は、ユーザから入力された情報に基づき、第1画像データD11から領域情報を抽出し、処理部10のメモリ等に記憶する。決定部13は、例えば、ビードを特定するための情報を処理部10のメモリ等に記憶し、その情報を用いて、第1画像データD11から、エッジ検出処理等の画像処理によって領域情報を自動的に抽出する機能を有してもよい。
【0078】
次に決定部13は、領域情報に基づき、基準点P1を設定する。基準点P1は、第1領域51及び第2領域52の並び方向(第1方向A1:図3B参照)と交差する方向(ここでは第2方向A2と平行な方向:図3B参照)に沿って複数並ぶ。ここでは決定部13は、基準点P1を、第2方向A2に沿って並ぶように複数設定する。図3A及び図3Bでは、第1方向A1は、X軸に沿った方向であり、第2方向A2は、Y軸に沿った方向である。第2方向A2は、ビードB10の溶接方向である。一例として、決定部13は、第2方向A2(溶接方向)と平行な基準線V1(図3A参照)上に並ぶように複数の基準点P1(図3Bでは1つのみ図示)を設定し、各基準点P1の単位で変化量を決定する。決定部13は、基準線V1上に並ぶ画素の単位で基準点P1を設定してもよい。図3Bでは、基準線V1は、第2方向A2(Y軸)と平行で、ビードB10の長手方向の両端間にわたって引かれた1本の直線(仮想線)であるが、厳密な直線でなくてもよい。
【0079】
本実施形態では、基準点P1は、図3A図4に示すように、第1領域51及び第2領域52の並び方向(第1方向A1)における、第1領域51の中央に配置される。決定部13は、基準点P1を、第1領域51及び第2領域52の並び方向(第1方向A1)における、第1領域51の中央に設定する。言い換えると、複数の基準点P1が並ぶ基準線V1は、ビードB10の幅方向における中央の位置に設定される。ただし、各基準点P1の位置は、第1領域51内であれば、上記中央に限定されない。各基準点P1の位置は、第1領域51内であれば、ユーザからの操作部17等による指定に応じて任意に設定変更されてよい。
【0080】
決定部13は、複数の基準点P1の各々について変化量を決定するが、以下では説明の便宜上、基準線V1上に設定される複数の基準点P1のうち、ある1つの基準点P1に着目して説明する。図3A図4では、その着目した1つの基準点P1のみを図示する。
【0081】
また決定部13は、領域情報に基づき、境界C1を設定する。ここでは決定部13は、境界C1を、ビードB10(オブジェクト)と第1母材B11との境目、及び、ビードB10と第2母材B12との境目に設定する。言い換えると、決定部13は、境界C1をビードB10の輪郭と各母材との境目に設定する。
【0082】
具体的には、境界C1は、第1境界(線)C11、及び第2境界(線)C12を含む。第1境界C11は、ビードB10と第1母材B11との境目に設定される。第2境界C12は、ビードB10と第2母材B12との境目に設定される。
【0083】
第1境界C11は、第1境界点C110を含む。第2境界C12は、第2境界点C120を含む。第1境界点C110は、第1境界C11と、着目する基準点P1を通る(X軸に平行な)A-A線との交点に位置する。また第2境界点C120は、第2境界C12と、A-A線との交点に位置する。ここでは基準面H1は、X-Y平面に平行で、かつ第1境界点C110及び第2境界点C120を通る面として設定される(図4参照)。
【0084】
決定部13は、設定した基準点P1、第1境界点C110、及び第2境界点C120を用いて、変化量を決定する。ここでいう「変化量」は、第1画像データD11における(変形前の)第1領域51(溶接領域)に関する高さ(図4の第1曲線G1参照)に対する変化量(高さ変化量)である。
【0085】
一例として決定部13は、基準面H1に対する基準点P1における高さが、基準面H1に対する変形前の第1領域51内で高さが最大である最大点P2よりも高くなるように変化量を決定する。言い換えると、第1領域51の高さに関する変形は、基準面H1に対する基準点P1における高さが、基準面H1に対する変形前の第1領域51内で高さが最大である最大点P2よりも高くなるように施される。図4の例では、オブジェクト4がビードB10であることに起因して、その断面は、基準面H1から凸となるように膨らんだ、最大点P2(頂点)を有する山形の形状である。図4の例では、最大点P2は、第1方向A1における、ビードB10の中央の位置と、第2境界点C120との中間点に位置する。つまり、変形前のビードB10(第1曲線G1)は、頂点が基準点P1よりもX軸の正の側にずれたような山形の形状である。
【0086】
ここでは一例として、変化量は、変形前のビードB10(第1曲線G1)の高さを増やす方向に変化させる量である。決定部13は、第1領域51の、基準点P1よりもX軸の負の側の領域に関して、基準点P1に近い位置ほど大きく、第1境界点C110に近い位置ほど小さくなるように、第1曲線G1に対する増加量(変化量)を決定する。同様に、決定部13は、第1領域51の、基準点P1よりもX軸の正の側の領域に関して、基準点P1に近い位置ほど大きく、第2境界点C120に近い位置ほど小さくなるように、第1曲線G1に対する増加量(変化量)を決定する。決定部13は、第1領域51全体として見ると、基準点P1が新たな頂点となるような山形の形状となる第2曲線G2を描くように、第1曲線G1に対する増加量(変化量)を決定する。図4から分かるように、第1曲線G1に対する増加量は、基準点P1よりもX軸の負の側の領域と、X軸の正の側の領域とで異なる。この増加量の相違は、例えば、変形前のビードB10の断面における外郭(図4の第1曲線G1参照)の形状に依存して設定される。決定部13は、高さ変化量の算出(第1曲線G1に対する増加量の決定)に、ベータ分布などを用いてもよい。
【0087】
このように決定部13は、第1境界点C110、基準点P1及び第2境界点C120を通るX軸に沿った一ライン分の高さの、変形前のビードB10(第1曲線G1)の高さに対する増加量を、複数の基準点P1の数の分だけ決定する。
【0088】
なお、基準点P1は、ユーザにより適宜に指定(直接指定)された位置でもよい。この場合、処理部10の取得部11は、第1領域51における基準点P1の位置を指定するための指定情報を取得するように構成されることが好ましい。指定情報は、例えば、操作部17等を介してユーザによって入力され得る。取得部11は、例えば、第1領域51の幅方向における両端間に対してどの比率の位置に基準点P1を設けるかに関する指定情報を取得する。具体的な例を挙げると、上記比率が「0:1」なら基準点P1は第1領域51におけるX軸の負の側の一端(図3Bでは左端)に配置される。上記比率が「0.5:0.5」なら基準点P1は第1領域51の中央に配置される。上記比率が「1:0」なら基準点P1は第1領域51におけるX軸の正の側の一端(図3Bでは右端)に配置される。そして、処理部10は、指定情報に基づき、基準点P1を設定する。
【0089】
指定情報は、基準点P1の画素位置(X-Y座標)に関する情報を含んでもよい。指定情報は、例えば、操作部17としてのマウスを用いて、ユーザにより入力されてもよい。例えば、ユーザは、表示部16により画面表示されている第1画像データD11を目視で確認しながら、操作部17としてのマウスを用いて、基準点P1の画素位置(X-Y座標)を指定してもよい。更に、オプションとして、着目する基準点P1と同じY座標における、第1境界点C110及び第2境界点C120も、操作部17としてのマウスを用いてユーザにより指定されてもよい。決定部13は、入力された基準点P1、第1境界点C110及び第2境界点C120に基づいて、基準点P1に近い位置ほど大きく、第1境界点C110及び第2境界点C120に近い位置ほど小さくなるように高さ変化量を算出する。そして、決定部13は、算出した高さ変化量を第1画像データD11に加えた画像を、表示部16により画面表示する。ユーザは、表示部16により表示された画像を目視で確認し、問題がなければ、例えば表示部16に画面表示された確定ボタンをマウスを用いて選択することで、この基準点P1についての高さ変化量を確定する。他の基準点P1(Y座標の値が異なる基準点P1)についても、同様にして、高さ変化量が決定されてもよい。このように、データ作成システム1は、ユーザからの操作入力に基づいて、第1画像データD11内の基準点P1を指定する指定部18(操作部17、取得部11)を、備えてもよい。なお、決定部13が複数の高さ変化量(第1曲線G1に対する増加量)を算出し、ユーザは、算出された複数の高さ変化量をそれぞれ第1画像データD11に加えて得られた複数の画像を確認しながら、どの画像(どの高さ変化量)を採用するかを選択できてもよい。
【0090】
変形部12は、決定部13での決定結果(増加量)に基づき、第1画像データD11から、基準面H1に対する第1領域51の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。つまり、変形部12は、複数の基準点P1の各々を通る一ラインの複数の画素について、変形前の画素値を、決定部13で決定された増加量(高さ変化量)を加味した高さに対応する画素値に変換する。このようにして、変形部12は、第1画像データD11から、基準面H1に対する第1領域51の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。変形後のビードB10の断面における外郭(図4の第2曲線G2参照)の形状は、変形前のビードB10の断面における外郭(図4の第1曲線G1参照)の形状に対して、頂点の位置及び高さが変化する一方で、ある程度に相関を維持した形状となる。
【0091】
変形部12は、変形処理として、オブジェクト4の高さに関する変形に加えて、別の変形(アフィン変換や射影変換等による拡大、縮小、回転又は反転等)を更に行って第2画像データD12を作成してもよい。
【0092】
変形後のビードB10は、図5に示すように、頂点(基準点P1)が尖った形状となる可能性がある。しかし、溶接工程において、ビードB10が、尖った頂点を有した山形にはなりにくい。つまり、オブジェクト4の種類によっては、頂点が尖った形状の第1領域51を含む第2画像データD12は、実際には存在しないデータとなり得る。そこで本実施形態では、決定部13は、基準点P1における基準面H1に対する(変形後のビードB10の外郭の)傾斜角度が0度を含む所定の角度範囲内に収まるように変化量を決定する。言い換えると、第1領域51の高さに関する変形は、基準点P1における基準面H1に対する傾斜角度が0度を含む所定の角度範囲内に収まるように施される。所定の角度範囲は、一例として、-10度から+10度の範囲を想定するが、特に限定されず、適宜に変更されてもよい。例えば、決定部13は、基準点P1における(第1領域51の高さの)微分値が0となるように滑らかな曲線を描く変化量を決定する。ここでいう微分値は、基準点P1での、基準面H1に沿ったX軸の正側への変位量に対する高さ方向(Z軸の正側の方向)の変位量の割合(傾き)である。このように傾斜角度が0度を含む所定の角度範囲内に収まるように変化量が決定されることで、基準点P1が尖った形状になりにくくなり、実際には存在し得ない画像データになることを抑制できる。
【0093】
また変形後のビードB10の断面における外郭(第2曲線G2)が、図6に示すように、境界C1(第1境界点C110及び第2境界点C120)付近において基準面H1から浮くように全体的に増す可能性がある。つまり、第1領域51(溶接領域)と第2領域52(母材領域)とが境界C1で高さがずれてしまい不連続な第2画像データD12が生成される可能性がある。そのような不連続な領域を含む第2画像データD12は、実際には存在しないデータとなり得る。そこで本実施形態では、決定部13は、境界C1における変化量がゼロを含む規定の範囲内に収まるように変化量を決定する。言い換えると、第1領域51の高さに関する変形は、境界C1における変化量がゼロを含む規定の範囲内に収まるように施される。規定の範囲は、一例として、基準面H1から基準点P1までの高さの-3%から+3%の範囲を想定するが、特に限定されず、適宜に変更されてもよい。このように境界C1における変化量がゼロを含む規定の範囲内に収まるように変化量が決定されることで、境界C1で高さの差が発生しにくくなり、実際には存在し得ない画像データになることを抑制できる。
【0094】
また変形後のビードB10の断面における外郭(第2曲線G2)が、図7に示すように、境界C1(第1境界点C110及び第2境界点C120)付近において基準面H1から急激に高さが増加するように変形される可能性がある。つまり、第1領域51(溶接領域)と第2領域52(母材領域)との境界C1で窪んだようなエッジが発生した第2画像データD12が生成される可能性がある。そのような窪んだ領域を含む第2画像データD12は、実際には存在しないデータとなり得る。そこで本実施形態では、決定部13は、境界C1における基準面H1に対する(変形後のビードB10の外郭の)傾斜角度が0度を含む特定の角度範囲内に収まるように変化量を決定する。言い換えると、第1領域51の高さに関する変形は、境界C1における基準面H1に対する傾斜角度が0度を含む特定の角度範囲内に収まるように施される。特定の角度範囲は、一例として、-10度から+10度の範囲を想定するが、特に限定されず、適宜に変更されてもよい。このように境界C1における傾斜角度が0度を含む特定の角度範囲内に収まるように変化量が決定されることで、境界C1における高さのエッジが発生しにくくなり、実際には存在し得ない画像データになることを抑制できる。
【0095】
ところで、第1画像データD11における境界C1付近に、不良の一種であるアンダーカット(溶接領域と母材領域との間に生じ得る、母材表面よりも凹む不良)が存在する場合がある。図8Aは、オブジェクト4(ビードB10)を斜め上から撮像した第1画像データD11の要部を拡大した図である。図8Aでは、アンダーカット(特定形態)を示す特定領域T1を一点鎖線の枠で示す。ここで図8Aに示すように、境界C1よりも第1領域51の側にアンダーカットが存在する場合、第1領域51の高さに関する変形が施されると、アンダーカットまで高さが増してしまい、アンダーカットの凹みが緩やかな凹みとなる可能性がある。そのようなアンダーカットの高さが増した特定領域T1を含む第2画像データD12(図8B参照)は、実際には存在しないデータとなり得る。そこで本実施形態では、変形部12は、境界C1よりも第1領域51の側に特定形態を示す特定領域T1が存在する場合、特定領域T1を除く第1領域51について変形を施して第2画像データD12を生成する。言い換えると、第1領域51の高さに関する変形は、境界C1よりも第1領域51の側に特定形態を示す特定領域T1が存在する場合、特定領域T1を除く第1領域51について施される。例えば、変形部12は、境界C1とは別に補助境界C2(図8Aの一点鎖線参照)を設定し、特定領域T1が第2領域52に含まれるように、つまり特定領域T1が変形処理の対象外となるようにする。その結果、特定領域T1の高さが変形されることが抑制される。すなわち、アンダーカットの部位を第1画像データD11の状態に維持しつつ、ビードB10に関する高さの変形が施された第2画像データD12を生成できる。
【0096】
特定領域T1の設定は、例えば、ユーザからの操作部17等による操作入力を受け付けることによって行われる。
【0097】
上記の例では、特定領域T1における特定形態は、アンダーカットという不良の一種であるが、ピット等の別の種類の不良でもよい。逆にたとえ境界C1よりも第1領域51の側に不良部位が存在しても、不良に関する画像データの多様性を考慮して、補助境界C2の設定を行わずに、不良部位を変形処理の対象に含めてもよい。
【0098】
(2.3)動作
以下、データ作成システム1の動作の一例について図9を参照しながら説明する。ただし、以下の動作の順序は単なる一例であり、特に限定されない。
【0099】
データ作成システム1の処理部10は、データ拡張処理を実行するためにオリジナル学習用データである第1画像データD11を取得する(S1)。第1画像データD11は、例えば、アンダーカットが存在する「不良(状態)」に該当するビードB10が撮像されたデータである。
【0100】
処理部10は、第1画像データD11から、第1領域51(溶接領域)、第1母材領域521、及び第2母材領域522に関する領域情報を抽出する(S2)。また処理部10は、アンダーカットを示す特定領域T1に関するアンダーカット情報を抽出する(S3)。
【0101】
次に処理部10は、領域情報及びアンダーカット情報に基づき、複数の基準点P1、及び境界C1(補助境界C2)を設定する(S4)。そして、処理部10は、特定領域T1を除く第1領域51(溶接領域)の高さに関する変化量を決定する(S5)。
【0102】
そして、処理部10は、決定した変化量に基づき、高さの変形(画素値の変換)を施した第2画像データD12を生成する(S6)。
【0103】
処理部10は、生成した第2画像データD12を出力する(S7)。第2画像データD12は、学習用データ(画像データD1)として、オリジナルの第1画像データD11と同じ「不良(アンダーカット)」のラベルが付与されて格納部に格納される。
【0104】
[利点]
上述した通り、本実施形態に係るデータ作成システム1では、第1画像データD11の第1領域51における高さを山形に盛り上げた又は谷形に掘り下げたような態様の第2画像データD12を作成しやすくなる。結果的に、学習用データの多様性を向上でき、オブジェクト4に関する認識性能の改善を図ることができる。
【0105】
また本実施形態では、複数の基準点P1が、第1領域51及び第2領域52の並び方向(第1方向A1)と交差する方向(第2方向A2)に沿って並ぶように設定される。そのため、複数の基準点P1からなる尾根や谷間を形成するような第1領域51が作成され得る。結果的に、第1画像データD11の第1領域51における高さを山形に盛り上げた又は谷形に掘り下げたような態様の第2画像データD12をより作成しやすくなる。
【0106】
また本実施形態では、決定部13は基準点P1(頂点)を第1領域51の中央に設定するため、例えばオリジナルの第1画像データD11における第1領域51の頂点が中央からずれた位置にある場合に、頂点位置が変位した画像データを作成できる。結果的に、学習用データの多様性を更に向上できる。なお、上述の通り、本実施形態では一例として、基準点P1は、ビードB10の幅方向(X軸の方向)における第1領域51の中央に設定される。ただし、これに限らず、複数の基準点P1のうち、ある一の基準点P1を上記幅方向における第1領域51の中央に設定し、他の基準点P1は、当該一の基準点P1を通る(Y軸に沿った)直線上に設定してもよいし、基準点P1ごとに上記幅方向における第1領域51の中央に設定してもよい。
【0107】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係るデータ作成システム1と同様の機能は、データ作成方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0108】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0109】
本開示におけるデータ作成システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるデータ作成システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0110】
また、データ作成システム1における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。例えば、データ作成システム1の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。
【0111】
反対に、データ作成システム1における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、データ作成システム1の少なくとも一部の機能、例えば、データ作成システム1の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0112】
(3.1)変形例1
以下、本開示における変形例1について、図10及び図11A図11Cを参照しながら説明する。以下では基本例のデータ作成システム1と実質的に同じ構成要素については、同じ符号を付与して適宜にその説明を省略する場合がある。
【0113】
基本例では、オブジェクト4を示す画素領域である第1領域51が、高さに関する変形の対象領域であった。本変形例では、高さに関する変形の対象領域が、第2領域52である点で、基本例と相違する。さらに本変形例では、第1画像データD11に加えて、基準画像データD4(サンプルデータ:図10及び図11B参照)を入力画像データとして用いる点で基本例と相違する。
【0114】
具体的には、本変形例のデータ作成システム1Aは、第1画像データD11と基準画像データD4とから、オブジェクト4に関する学習済みモデルM1を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データD12を作成する。データ作成システム1Aは、図10に示すように、処理部10を備える。処理部10は、変形部12A及び決定部13Aを有する。
【0115】
第1画像データD11は、基本例と同様に、オブジェクト4(ビードB10)を示す画素領域である第1領域51(溶接領域)と、第1領域51と隣り合う第2領域52(第1母材領域521及び第2母材領域522)とを含む。ここでは、第2領域52は、ビードB10であるオブジェクト4が存在しない画素領域である。第1画像データD11は、例えば撮像装置6で実際に撮像された画像データである。
【0116】
第1画像データD11に写る2つの母材(第1母材B11及び第2母材B12)は、基本例と同様に、いずれも平坦な板状の金属板である。基本例では、第1画像データD11は、第1母材B11及び第2母材B12が互いに180度未満の鈍角を成すように溶接されたデータであったが、ここでは説明の便宜上、第1母材B11及び第2母材B12が互いに略面一を成すように溶接されたものとする。なお、図11Aは、第1画像データD11の第1領域51内におけるある基準点P1でX軸に沿って切った断面における第1領域(溶接領域)及び2つの第2領域52(母材領域)に関する高さを模式的に示している。
【0117】
基準画像データD4は、オブジェクト4を示す画素領域である第3領域53、及び第3領域53と隣り合う第4領域54(第3母材領域54A及び第4母材領域54B)を含む(図11B参照)。ここでは、基準画像データD4のオブジェクト4もビードB10Aであり、第3領域53は、ビードB10Aを示す画素領域である。第1領域51と第3領域53は、いずれも溶接領域であり、溶接方向もY軸に沿った方向である点で共通する。第4領域54は、2つ存在し(第3母材領域54A及び第4母材領域54B)、それぞれ溶接の対象である母材を示す画素領域である。ここでは、第4領域54は、ビードB10Aであるオブジェクト4が存在しない画素領域である。第2領域52と第4領域54は、いずれも母材領域である点で共通する。ただし、基準画像データD4に写る2つの母材は、いずれも平坦な板状の金属板ではなく、金属パイプである点で第1画像データD11と異なる。すなわち、基準画像データD4は、パイプ溶接の画像データである。2つの第4領域54のうち第3母材領域54Aはパイプ状の第3母材B3の領域に相当し、第4母材領域54Bはパイプ状の第4母材B4の領域に相当する(図11B参照)。なお、図11Bも、基準画像データD4の第3領域53内におけるある基準点でX軸に沿って切った断面における第3領域53(溶接領域)及び2つの第4領域54(母材領域)に関する高さを模式的に示している。基準画像データD4は、例えば撮像装置6で実際に撮像された画像データである。基準画像データD4は、オブジェクト及び母材が描画されたCG画像でもよい。基準画像データD4は、実際に撮像された画像を部分的に嵌め込んで作成されてもよい。
【0118】
第1画像データD11では、図11Aに示すように、基準面(第1基準面J1)は、X-Y平面に平行で、かつ2つの境界C1(境界点)を通る面として設定される。ここでは第1基準面J1は、互いに略面一である第1及び第2母材B11,B12の表面と概ね一致する。第1画像データD11では、母材が平坦な金属板であることから、第1基準面J1に対する第1及び第2母材B11,B12の各々の高さは、ゼロである。
【0119】
基準画像データD4では、図11Bに示すように、基準面(第2基準面J2)は、X-Y平面に平行で、かつ2つの境界C1A(境界点)を通る面として設定される。基準画像データD4では、第3及び第4母材B3,B4が金属パイプであることから、第2基準面J2に対する第3及び第4母材B3,B4の各々の高さがゼロより大きい。図11Bでは、金属パイプである第3及び第4母材B3,B4の各々の一部(略円弧状の部位)の高さが模式的に示されている。
【0120】
本変形例の処理部10は、第1基準面J1に対する第2領域52の高さに関する変形を、基準画像データD4の、第2基準面J2に対する第4領域54の高さに基づいて施した、第2画像データD12を生成する。決定部13Aは、基準画像データD4の、第2基準面J2に対する第4領域54の高さに基づき、第2領域52の高さに関する変化量を決定する。ここでは一例として、決定部13Aは、第1母材B11を示す第1母材領域521に関する高さ(頂点位置も含む)が、パイプ溶接の第3母材B3を示す第3母材領域54Aと一致するように、第1母材領域521に関する高さの変化量を決定する。また決定部13Aは、第2母材B12を示す第2母材領域522に関する高さ(頂点位置も含む)が、パイプ溶接の第4母材B4を示す第4母材領域54Bと一致するように、第2母材領域522に関する高さの変化量を決定する。
【0121】
本変形例の変形部12Aは、第1画像データD11から、第1基準面J1に対する第2領域52の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。変形部12Aは、第1母材領域521及び第2母材領域522の画素値を、決定部13Aで決定された変化量(増加量)を加味した高さに対応する画素値に変換して、第2画像データD12を生成する。その結果、第2画像データD12では、ビードB10の高さ及び形状が第1画像データD11の状態で維持される一方で、あたかもパイプ溶接の画像データのように第1及び第2母材B11,B12が金属パイプに置き換えられた画像データとなる(図11C参照)。
【0122】
このように第1画像データD11とは別の画像データ(基準画像データD4)に基づき、母材の高さに関する変形を施すことで、学習用データの多様性を更に向上でき、オブジェクト4に関する認識性能の改善を図ることができる。
【0123】
(3.2)変形例2
以下、本開示における変形例2について、図12A図12Cを参照しながら説明する。本変形例は、上述した変形例1の更に別の例である。以下では変形例1のデータ作成システム1Aと実質的に同じ構成要素については、同じ符号を付与して適宜にその説明を省略する場合がある。
【0124】
変形例1では、単に第2領域52の高さ(頂点位置も含む)が、基準画像データD4の第4領域54の高さと一致するような変形が施された第2画像データD12が生成された。
【0125】
本変形例のデータ作成システム1Aは、基準画像データD4の第4領域54をベースとしつつ、その高さと頂点位置を変更した態様となるように、第2領域52の高さ変形が施された第2画像データD12を生成する点で、変形例1と相違する。
【0126】
具体的には、まず決定部13Aは、第2領域52内において第1基準点Q1(図12A参照)を設定する。以下では、説明の便宜上、2つの第2領域52のうち第2母材領域522に関する高さの変形についてのみに着目して説明するが、第1母材領域521に関する高さの変形も同様に実行されることを想定する。
【0127】
第1基準点Q1は、基本例の基準点P1と同様に溶接方向(Y軸)に沿って複数設定されるが、ここでは図12Aに示すように、ある1つの第1基準点Q1に着目して説明する。各第1基準点Q1のX軸の方向に関する位置は、第2母材領域522(第2領域52)内であれば、特に限定されず、ユーザからの操作部17等による指定に応じて任意に設定されてよい。
【0128】
決定部13Aは、図12Aに示すように、第2領域52の外縁X1から第1基準点Q1までの距離を第1距離L1とし、第1領域51と第2領域52との境界C1から第1基準点Q1までの距離を第2距離L2とする。第2領域52の外縁X1は、例えば、第1画像データD11内における第2母材領域522(第2領域52)の外縁である。
【0129】
決定部13Aは、図12Bに示すように、基準画像データD4の第4領域54において、第2基準面J2上の、第1距離L1と第2距離L2との比と等しい位置を第2基準点Q2に設定する。ここでは、X軸の方向における、第4母材領域54B(第4領域54)の外縁X2から第2基準点Q2までの距離を第3距離L3とする。またX軸の方向における、第3領域53(溶接領域)と第4母材領域54B(第4領域54)との境界C1Aからから第2基準点Q2までの距離を第4距離L4とする。この場合、第1距離L1と第2距離L2との比が、第3距離L3と第4距離L4との比と一致するように、X軸の方向における第2基準点Q2の位置が決定されることになる。すなわち、第2基準点Q2は、第4領域54における高さの頂点とは限らない。
【0130】
決定部13Aは、第2基準面J2に対する第2基準点Q2における高さに基づき、第1基準点Q1における変化量を決定する。言い換えると、第1基準点Q1における変化量は、第2基準面J2に対する第2基準点Q2における高さに基づく量である。ここでは決定部13Aは、X軸の方向における第1基準点Q1の位置が第2母材領域522の頂点位置となるように、かつ第2母材領域522の第1基準点Q1の高さが第2基準点Q2の高さと一致するように第2母材領域522に関する高さの変化量を決定する。なお、決定部13Aは、第1母材領域521についても同様に第1基準点Q1及び第2基準点Q2を設定して、第1母材領域521に関する高さの変化量を決定する。
【0131】
変形部12Aは、第1及び第2母材領域521,522の画素値を、決定部13Aで決定された変化量(増加量;高さ変化量)を加味した高さに対応する画素値に変換して、第2画像データD12を生成する。その結果、第2画像データD12では、ビードB10の高さ及び形状が第1画像データD11の状態で維持されるが、あたかもパイプ溶接の画像データのように第1及び第2母材B11,B12が金属パイプに置き換えられた画像データとなる(図12C参照)。変形後の第2領域52の断面における外郭(図12Cの曲線参照)の形状は、基準画像データD4の第4領域54の断面における外郭(図12Bの曲線参照)の形状に対して、頂点の位置及び高さが変化する一方で、ある程度に相関を維持した形状となる。
【0132】
本変形例によれば、第1画像データD11の第2領域52における高さを、基準画像データD4の第4領域54の高さに基づき変形させた第2画像データD12を作成しやすくなる。結果的に、学習用データの多様性を更に向上でき、オブジェクト4に関する認識性能の改善を図ることができる。
【0133】
なお、本変形例についても、基本例の場合と同様に、第1基準点Q1は、ユーザにより適宜に指定された位置でもよい。この場合、取得部11(指定部18)は、第1基準点Q1の位置を指定するための指定情報を取得してもよい。
【0134】
指定情報は、例えば、操作部17(指定部18)としてのマウスを用いて、ユーザにより入力されてもよい。例えば、ユーザは、表示部16により画面表示されている第1画像データD11を目視で確認しながら、操作部17としてのマウスを用いて、第1基準点Q1の画素位置(X-Y座標)を指定してもよい。更に、オプションとして、第1画像データD11において、着目する第1基準点Q1と同じY座標における、第1領域51と第2領域52との境界C1(境界点)、及び第2領域52の外縁X1(外縁の点)も、操作部17としてのマウスを用いてユーザにより指定されてもよい。更に、オプションとして、基準画像データD4において、第3領域53と第4領域54との境界C1A(境界点)、及び第4領域54の外縁X2(外縁の点)も、操作部17としてのマウスを用いてユーザにより指定されてもよい。決定部13Aは、第1距離L1と第2距離L2との比、境界C1A(境界点)、及び第4領域54の外縁X2(外縁の点)に基づいて、基準画像データD4内に第2基準点Q2を決定し、第2基準面J2に対する第2基準点Q2における高さに基づいて第1基準点Q1における高さ変化量を算出する。そして決定部13Aは、算出した高さ変化量を第1画像データD11に加えた画像を、表示部16により画面表示する。一例において、決定部13Aは、第1基準面J1に対する第1基準点Q1の高さが、第2基準面J2に対する第2基準点Q2における高さと等しくなるように、高さ変化量を算出する。ユーザは、表示部16により表示された画像を目視で確認し、問題がなければ、例えば表示部16に画面表示された確定ボタンをマウスを用いて選択することで、この基準点Q1についての高さ変化量を確定する。他の第1基準点Q1(Y座標の値が異なる第1基準点Q1)についても、同様にして、高さ変化量が決定されてもよい。このように、データ作成システム1Aは、ユーザからの操作入力に基づいて、第1画像データD11内の第1基準点Q1を指定する指定部18(操作部17、取得部11)を、備えてもよい。
【0135】
本変形例のデータ作成システム1Aと同様の機能は、データ作成方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。すなわち、本変形例のデータ作成方法は、第1画像データD11と基準画像データD4とから、オブジェクト4に関する学習済みモデルM1を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データD12を作成するデータ作成方法である。データ作成方法は、処理ステップを含む。処理ステップでは、オブジェクト4を示す画素領域R1である第1領域51、及び第1領域51と隣り合う第2領域52を含む第1画像データD11から、第1基準面J1に対する第2領域52の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。処理ステップでは、第1基準面J1に対する第2領域52の高さに関する変形を、オブジェクト4を示す画素領域である第3領域53、及び第3領域53と隣り合う第4領域54を含む基準画像データD4の、第2基準面J2に対する第4領域54の高さに基づいて施した、第2画像データD12を生成する。第2領域52の外縁X1から、第2領域52内における第1基準点Q1までの距離を第1距離L1とし、第1領域51と第2領域52との境界C1から第1基準点Q1までの距離を第2距離L2とする。基準画像データD4の第4領域54において、第2基準面J2上の、第1距離L1と第2距離L2との比と等しい位置を第2基準点Q2とする。第1基準点Q1における変化量は、第2基準面J2に対する第2基準点Q2における高さに基づく量である。
【0136】
(3.3)変形例3
データ作成システム1において、決定部13を備える処理装置(以下、「第1処理装置」)110と、変形部12を備える処理装置(以下、「第2処理装置」)120とは、異なる装置であってもよい。
【0137】
例えば、図13に示すように、第1処理装置110は、処理部(以下、「第1処理部」)101と、通信部(以下、「第1通信部」)151と、表示部16と、操作部17と、を備える。第1処理装置110の第1処理部101は、取得部(以下、「第1取得部」)111と、決定部13と、を備える。第1処理装置110は、指定部18(操作部17、第1取得部111)を備えている。
【0138】
第1取得部111は、第1画像データD11を取得する。また、第1取得部111(指定部18)は、指定情報(第1領域51における基準点P1の位置を指定するための情報)を取得してもよい。
【0139】
決定部13は、第1画像データD11について、第1領域51の高さに関する変化量(高さ変化量)を決定する。決定部13は、第1領域内51における基準点P1に近い位置ほど大きく、かつ第1領域51及び第2領域52の境界に近い位置ほど小さくなるように、高さ変化量を決定する。
【0140】
第1通信部151(送信部)は、決定部13で決定された高さ変化量を示す情報D20を、第2処理装置120へ出力(送信)する。
【0141】
第2処理装置120は、処理部(以下、「第2処理部」)102と、通信部(以下、「第2通信部」)152と、を備える。第2処理装置120の第2処理部102は、取得部(以下、「第2取得部」)112と、変形部12と、を備えている。
【0142】
第2取得部112は、第1画像データD11を取得する。
【0143】
第2通信部152(受信部)は、高さ変化量を示す情報D20を受信する。第2取得部112は、高さ変化量を示す情報D20を取得する。
【0144】
変形部12は、高さ変化量に基づいて、第1画像データD11から、第1領域51の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。
【0145】
第2処理装置120は、例えば第2通信部152によって、生成した第2画像データD12を第1処理装置110へ送信してもよい。その場合、ユーザは、受け取った第2画像データD12を用いて、学習システム2により学習済みモデルM1を生成してもよい。
【0146】
第2処理装置120は、生成した第2画像データD12を、学習システムを備える外部のサーバへ送信してもよい。外部のサーバの学習システムは、第2画像データD12としての学習用データを含む学習用データセットを用いて、学習済みモデルM1を生成する。この学習済みモデルM1は、第2画像データD12(第1画像データD11から高さ変化量に基づいて第1領域51に関する変形を施して生成された第2画像データD12)、或いは第2画像データD12における第1領域51に対して、オブジェクト4の特定状態に関する推定について第1画像データD11と同等の推定結果を出力することとなる。ユーザは、外部のサーバから、生成された学習済みモデルM1を受け取ってもよい。
【0147】
(3.4)変形例4
データ作成システム1Aにおいて、決定部13Aを備える処理装置(以下、「第1処理装置」)110Aと、変形部12Aを備える処理装置(以下、「第2処理装置」)120Aとは、異なる装置であってもよい。
【0148】
例えば、図14に示すように、第1処理装置110Aは、処理部(以下、「第1処理部」)101と、通信部(以下、「第1通信部」)151と、表示部16と、操作部17と、を備える。第1処理装置110の第1処理部101は、取得部(以下、「第1取得部」)111と、決定部13Aと、を備える。第1処理装置110Aは、指定部18(操作部17、第1取得部111)を備えている。
【0149】
第1取得部111は、第1画像データD11及び基準画像データD4を取得する。また、第1取得部111(指定部18)は、指定情報(第2領域52における第1基準点Q1の位置を指定するための情報)を取得してもよい。
【0150】
決定部13Aは、基準画像データD4の、第2基準面J2に対する第4領域54の高さに基づいて、高さに関する変化量である高さ変化量を決定する。より詳細には、決定部13Aは、第1基準点Q1における変化量が、第2基準面J2に対する第2基準点Q2における高さに基づく量となるように、高さ変化量を決定する。ここで、第2基準点Q2は、基準画像データD4の第4領域54において、第2基準面J2上の、第1距離L1と第2距離L2との比と等しい位置である。第1距離L1は、第2領域52の外縁X1から、第2領域52内における第1基準点Q2までの距離である。第2距離L2は、第1領域51と第2領域52との境界C1から第1基準点Q1までの距離である。
【0151】
第1通信部151(送信部)は、決定部13Aで決定された高さ変化量を示す情報D20Aを、第2処理装置120へ出力(送信)する。
【0152】
第2処理装置120Aは、処理部(以下、「第2処理部」)102と、通信部(以下、「第2通信部」)152と、を備える。第2処理装置120の第2処理部102は、取得部(以下、「第2取得部」)112と、変形部12Aと、を備えている。
【0153】
第2取得部112は、第1画像データD11を取得する。
【0154】
第2通信部152(受信部)は、高さ変化量を示す情報D20Aを受信する。第2取得部112は、高さ変化量を示す情報D20Aを取得する。
【0155】
変形部12Aは、高さ変化量に基づいて、第1画像データD11から、第1基準面J1に対する第2領域52の高さに関する変形を施した第2画像データD12を生成する。
【0156】
第2処理装置120は、例えば第2通信部152によって、生成した第2画像データD12を第1処理装置110へ送信してもよい。その場合、ユーザは、受け取った第2画像データD12を用いて、学習システム2により学習済みモデルM1を生成してもよい。
【0157】
第2処理装置120Aは、生成した第2画像データD12を、学習システムを備える外部のサーバへ送信してもよい。外部のサーバの学習システムは、第2画像データD12としての学習用データを含む学習用データセットを用いて、学習済みモデルM1を生成する。この学習済みモデルM1は、第2画像データD12(第1画像データD11から高さ変化量に基づいて第2領域52に関する変形を施して生成された第2画像データD12)或いは第2画像データD12における第1領域51に対して、オブジェクト4の特定状態に関する推定について第1画像データD11と同等の推定結果を出力することとなる。ユーザは、外部のサーバから、生成された学習済みモデルM1を受け取ってもよい。
【0158】
(3.5)その他の変形例
以下、その他の変形例について列記する。
【0159】
本開示でいう「画像データ」は、イメージセンサで取得する画像データに限らず、例えばCG画像等の二次元データであってもよいし、或いは基本例で説明したように距離画像センサで取得した一次元データを並べて構築した二次元データであってもよい。また「画像データ」は、三次元以上のデータであってもよい。また本開示における「画素」は、実際にイメージセンサで取得した画像の画素に限らず、二次元データの各要素であってもよい。
【0160】
基本例では、第1画像データD11は、実際に撮像装置6により撮像された画像データである。しかし、第1画像データD11は、ビードB10、第1母材B11及び第2母材B12の少なくとも一部を模式的に描画したCG画像を含んでもよい。
【0161】
基本例では、変化量は、山形の第1領域51に対して高さが増す方向に変形させる増加量であった。しかし、変化量は、減少量でもよい。例えば、変化量は、オブジェクト4が凸部(ビードB10)ではなくて、凹部(例えば金属板に付いた傷等)であれば、谷形の第1領域51に対して高さを減らす方向(逆に言えば深さが増す方向)に変形させる量でもよい。
【0162】
基本例では、決定部13は、基準面H1に対する基準点P1における高さが、基準面H1に対する変形前の第1領域51内で高さが最大である最大点P2よりも高くなるように変化量を決定する。しかし、決定部13は、基準面H1に対する基準点P1における高さが、基準面H1に対する変形前の第1領域51内で高さが最大である最大点P2よりも低くなるように変化量を決定してもよい。言い換えると、第1領域51の高さに関する変形は、基準面H1に対する基準点P1における高さが、基準面H1に対する変形前の第1領域51内で高さが最大である最大点P2よりも低くなるように施されてもよい。この場合、より多様な第2画像データD12を作成しやすくなる。
【0163】
基本例では、認識対象となるオブジェクト4が溶接のビードB10であった。しかし、オブジェクト4は、ビードB10に限定されない。学習済みモデルM1は、溶接が正しく行われたか否かを検査する溶接外観検査のために用いられることに限定されない。例えば第1画像データD11は、航空機、又はドローン装置等によって上空から撮像された画像データであって、オブジェクト4は山岳、又は建造物(例えばビルディング)等でもよい。この場合、例えば、第1領域51は、山岳を示す画素領域となり、第2領域52は平地や道路を示す画素領域となり得る。第2画像データD12を用いて作成される学習済みモデルM1は、地理空間に関する識別作業のために用いられてもよい。
【0164】
基本例におけるデータ作成システム1は、第1領域51(溶接領域)の高さに関する変形を行う機能に加えて、変形例1及び変形例2における第2領域52(母材領域)の高さに関する変形を行う機能を更に有してもよい。変形例1及び変形例2における母材の高さ変形は、2つの母材のうち一方のみに適用されてもよく、この場合、例えば異なる2つの母材(金属板及び金属パイプ)の溶接に関する画像データを作成できる。
【0165】
基本例では、第1領域51における基準点P1は、ビードB10の幅方向(X軸の方向)における第1領域51の中央に配置されていた。ただし、基準点P1は、中央以外の位置に配置されてもよい。
【0166】
評価システム100は、データ作成システム1の一部の構成のみを備えていてもよい。評価システム100は、例えば、データ作成システム1が備える第1処理装置110及び第2処理装置120(図13参照)のうちの第1処理装置110と、学習システム2と、のみを備えていてもよい。第1処理装置110の機能と、学習システム2の機能とは、1つの装置に備えられていてもよい。評価システム100は、例えば、データ作成システム1が備える第1処理装置110及び第2処理装置120のうちの第1処理装置110と、推定システム3と、のみを備えていてもよい。第1処理装置110の機能と、推定システム3の機能とは、1つの装置に備えられていてもよい。
【0167】
評価システム100は、データ作成システム1Aの一部の構成のみを備えていてもよい。評価システム100は、例えば、データ作成システム1Aが備える第1処理装置110A及び第2処理装置120A(図14参照)のうちの第1処理装置110Aと、学習システム2と、のみを備えていてもよい。評価システム100は、例えば、データ作成システム1Aが備える第1処理装置110A及び第2処理装置120Aのうちの第1処理装置110Aと、推定システム3と、のみを備えていてもよい。
【0168】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係るデータ作成システム(1)は、第1画像データ(D11)から、オブジェクト(4)に関する学習済みモデル(M1)を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データ(D12)を作成する。データ作成システム(1)は、処理部(10)を備える。処理部(10)は、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、及び第2領域(52)を含む第1画像データ(D11)から、基準面(H1)に対する第1領域(51)の高さに関する変形を施した第2画像データ(D12)を生成する。第2領域(52)は、第1領域(51)と隣り合う。処理部(10)は、基準面(H1)に対する第1領域(51)の高さに関する変化量が、第1領域(51)内における基準点(P1)に近い位置ほど大きく、かつ第1領域(51)及び第2領域(52)の境界(C1)に近い位置ほど小さくなるように、第2画像データ(D12)を生成する。
【0169】
この態様によれば、第1画像データ(D11)の第1領域(51)における高さを山形に盛り上げた又は谷形に掘り下げたような態様の第2画像データ(D12)を作成しやすくなる。結果的に、学習用データの多様性を向上でき、オブジェクト(4)に関する認識性能の改善を図ることができる。
【0170】
第2の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1の態様において、第1領域(51)の高さに関する変形は、基準点(P1)における基準面(H1)に対する傾斜角度が0度を含む所定の角度範囲内に収まるように施される。
【0171】
この態様によれば、基準点(P1)が尖った形状になるにくくなり、実際には存在し得ない画像データになることを抑制できる。
【0172】
第3の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1又は第2の態様において、基準点(P1)は、第1領域(51)及び第2領域(52)の並び方向(第1方向A1)と交差する方向(第2方向A2)に沿って複数並ぶ。
【0173】
この態様によれば、第1画像データ(D11)の第1領域(51)における高さを山形に盛り上げた又は谷形に掘り下げたような態様の第2画像データ(D12)をより作成しやすくなる。
【0174】
第4の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、第1領域(51)の高さに関する変形は、次のように施される。すなわち、第1領域(51)の高さに関する変形は、基準面(H1)に対する基準点(P1)における高さが、基準面(H1)に対する変形前の第1領域(51)内で高さが最大である最大点(P2)よりも高くなるように施される。
【0175】
この態様によれば、より多様な第2画像データ(D12)を作成しやすくなる。
【0176】
第5の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、第1領域(51)の高さに関する変形は、次のように施される。すなわち、第1領域(51)の高さに関する変形は、基準面(H1)に対する基準点(P1)における高さが、基準面(H1)に対する変形前の第1領域(51)内で高さが最大である最大点(P2)よりも低くなるように施される。
【0177】
この態様によれば、より多様な第2画像データ(D12)を作成しやすくなる。
【0178】
第6の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、基準点(P1)は、第1領域(51)及び第2領域(52)の並び方向(第1方向A1)における、第1領域(51)の中央に配置される。
【0179】
この態様によれば、学習用データの多様性を更に向上できる。
【0180】
第7の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、第1領域(51)の高さに関する変形は、境界(C1)における変化量がゼロを含む規定の範囲内に収まるように施される。
【0181】
この態様によれば、境界(C1)で高さの差が発生しにくくなり、実際には存在し得ない画像データになることを抑制できる。
【0182】
第8の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、第1領域(51)の高さに関する変形は、境界(C1)における基準面(H1)に対する傾斜角度が0度を含む特定の角度範囲内に収まるように施される。
【0183】
この態様によれば、境界(C1)における高さのエッジが発生しにくくなり、実際には存在し得ない画像データになることを抑制できる。
【0184】
第9の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、第1領域(51)の高さに関する変形は、次のように施される。すなわち、第1領域(51)の高さに関する変形は、境界(C1)よりも第1領域(51)の側に特定形態を示す特定領域(T1)が存在する場合、特定領域(T1)を除く第1領域(51)について施される。
【0185】
この態様によれば、特定領域(T1)の高さが変形されることが抑制される。
【0186】
第10の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、第1領域(51)は、溶接対象となる2つの母材(第1母材B11、第2母材B12)間を溶接することで形成される溶接領域に関する画素領域である。第2領域(52)は、2つの母材のいずれか一方に関する画素領域である。
【0187】
この態様によれば、溶接領域に関する学習用データの多様性を向上でき、結果的に、溶接領域に関する認識性能の改善を図ることができる。
【0188】
第11の態様に係るデータ作成システム(1)に関して、第1~第10の態様のいずれか1つにおいて、処理部(10)は、第1領域(51)における基準点(P1)の位置を指定するための指定情報を取得する取得部(11)を有する。
【0189】
この態様によれば、学習用データの多様性を更に向上できる。
【0190】
第12の態様に係るデータ作成システム(1A)は、第1画像データ(D11)と基準画像データ(D4)とから、オブジェクト(4)に関する学習済みモデル(M1)を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データ(D12)を作成する。データ作成システム(1A)は、処理部(10)を備える。処理部(10)は、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、及び第2領域(52)を含む第1画像データ(D11)から、第1基準面(J1)に対する第2領域(52)の高さに関する変形を施した第2画像データ(D12)を生成する。第2領域(52)は、第1領域(51)と隣り合う。処理部(10)は、第1基準面(J1)に対する第2領域(52)の高さに関する変形を、オブジェクト(4)を示す画素領域である第3領域(53)、及び第4領域(54)を含む基準画像データ(D4)の、第2基準面(J2)に対する第4領域(54)の高さに基づいて施した、第2画像データ(D12)を作成する。第4領域(54)は、第3領域(53)と隣り合う。第2領域(52)の外縁(X1)から、第2領域(52)内における第1基準点(Q1)までの距離を第1距離(L1)とし、第1領域(51)と第2領域(52)との境界(C1)から第1基準点(Q1)までの距離を第2距離(L2)とする。基準画像データ(D4)の第4領域(54)において、第2基準面(J2)上の、第1距離(L1)と第2距離(L2)との比と等しい位置を第2基準点(Q2)とする。第1基準点(Q1)における変化量は、第2基準面(J2)に対する第2基準点(Q2)における高さに基づく量である。
【0191】
この態様によれば、第1画像データ(D11)の第2領域(52)における高さを、基準画像データ(D4)の第4領域(54)の高さに基づき変形させた第2画像データ(D12)を作成しやすくなる。結果的に、学習用データの多様性を向上でき、オブジェクト(4)に関する認識性能の改善を図ることができる。
【0192】
第13の態様に係る学習システム(2)は、第1~第12の態様のいずれか1つにおけるデータ作成システム(1,1A)で作成された第2画像データ(D12)としての学習用データを含む学習用データセットを用いて、学習済みモデル(M1)を生成する。
【0193】
この態様によれば、オブジェクト(4)に関する認識性能の改善を図ることが可能な学習システム(2)を提供できる。
【0194】
第14の態様に係る推定システム(3)は、第13の態様における学習システム(2)で生成された学習済みモデル(M1)を用いて、認識対象となるオブジェクト(4)における特定状態に関する推定を行う。
【0195】
この態様によれば、オブジェクト(4)に関する認識性能の改善を図ることが可能な推定システム(3)を提供できる。
【0196】
第15の態様に係るデータ作成方法は、第1画像データ(D11)から、オブジェクト(4)に関する学習済みモデル(M1)を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データ(D12)を作成するデータ作成方法である。データ作成方法は、処理ステップを含む。処理ステップでは、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、及び第2領域(52)を含む第1画像データ(D11)から、基準面(H1)に対する第1領域(51)の高さに関する変形を施した第2画像データ(D12)を生成する。第2領域(52)は、第1領域(51)と隣り合う。処理ステップでは、基準面(H1)に対する第1領域(51)の高さに関する変化量が、第1領域(51)内における基準点(P1)に近い位置ほど大きく、かつ第1領域(51)及び第2領域(52)の境界(C1)に近い位置ほど小さくなるように、第2画像データ(D12)を生成する。
【0197】
この態様によれば、オブジェクト(4)に関する認識性能の改善を図ることが可能なデータ作成方法を提供できる。
【0198】
第16の態様に係るデータ作成方法は、第1画像データ(D11)と基準画像データ(D4)とから、オブジェクト(4)に関する学習済みモデル(M1)を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データ(D12)を作成するデータ作成方法である。データ作成方法は、処理ステップを含む。処理ステップでは、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、及び第2領域(52)を含む第1画像データ(D11)から、第1基準面(J1)に対する第2領域(52)の高さに関する変形を施した第2画像データ(D12)を生成する。第2領域(52)は、第1領域(51)と隣り合う。処理ステップでは、第1基準面(J1)に対する第2領域(52)の高さに関する変形を、オブジェクト(4)を示す画素領域である第3領域(53)、及び第4領域(54)を含む基準画像データ(D4)の、第2基準面(J2)に対する第4領域(54)の高さに基づいて施した、第2画像データ(D12)を作成する。第4領域(54)は、第3領域(53)と隣り合う。第2領域(52)の外縁(X1)から、第2領域(52)内における第1基準点(Q1)までの距離を第1距離(L1)とし、第1領域(51)と第2領域(52)との境界(C1)から第1基準点(Q1)までの距離を第2距離(L2)とする。基準画像データ(D4)の第4領域(54)において、第2基準面(J2)上の、第1距離(L1)と第2距離(L2)との比と等しい位置を第2基準点(Q2)とする。第1基準点(Q1)における変化量は、第2基準面(J2)に対する第2基準点(Q2)における高さに基づく量である。
【0199】
この態様によれば、オブジェクト(4)に関する認識性能の改善を図ることが可能なデータ作成方法を提供できる。
【0200】
第17の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第15又は第16の態様におけるデータ作成方法を実行させるためのプログラムである。
【0201】
この態様によれば、オブジェクト(4)に関する認識性能の改善を図ることが可能な機能を提供できる。
【0202】
第18の態様に係るデータ作成システム(1)は、第1画像データ(D11)から、オブジェクト(4)に関する学習済みモデル(M1)を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データ(D12)を作成する。データ作成システム(1)は、決定部(13)と、変形部(12)と、を備える。決定部(13)は、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、及び第1領域(51)と隣り合う第2領域(52)を含む第1画像データ(D11)について、基準面(H1)に対する第1領域(51)の高さに関する変化量である高さ変化量を決定する。決定部(13)は、第1領域(51)内における基準点(P1)に近い位置ほど大きく、かつ第1領域(51)及び第2領域(52)の境界(C1)に近い位置ほど小さくなるように、高さ変化量を決定する。変形部(12)は、決定部(13)で決定された高さ変化量に基づいて、第1画像データ(D11)から、第1領域(51)の高さに関する変形を施した第2画像データ(D12)を生成する。
【0203】
この態様によれば、第1画像データ(D11)の第1領域(51)における高さを山形に盛り上げた又は谷形に掘り下げたような態様の第2画像データ(D12)を作成しやすくなる。結果的に、学習用データの多様性を向上でき、オブジェクト(4)に関する認識性能の改善を図ることができる。
【0204】
第19の態様に係るデータ作成システム(1)は、第18の態様において、第1処理装置(110)と、第2処理装置(120)と、を備える。第1処理装置(110)は、決定部(13)を有する。第2処理装置(120)は、変形部(12)を有する。第1処理装置(110)は、高さ変化量を示す情報(D20)を、第2処理装置(120)に送信する。
【0205】
第20の態様に係るデータ作成システム(1)は、第19の態様において、第1処理装置(110)は、ユーザからの操作入力に基づいて、第1画像データ(D11)内の基準点(P1)を指定する指定部(18)を、更に備える。
【0206】
第21の態様に係る処理装置は、第19の態様又は第20の態様におけるデータ作成システム(1)における、第1処理装置(110)である。
【0207】
第22の態様に係る処理装置は、第19の態様又は第20の態様におけるデータ作成システム(1)における、第2処理装置(120)である。
【0208】
第23の態様に係る評価システム(100)は、処理装置(110)と、学習システム(2)と、を備える。処理装置(110)は、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、及び第1領域(51)と隣り合う第2領域(52)を含む第1画像データ(D11)から、基準面(H1)に対する第1領域(51)の高さに関する変化量が、第1領域(51)内における基準点(P1)に近い位置ほど大きく、かつ第1領域(51)及び第2領域(52)の境界(C1)に近い位置ほど小さくなるように、高さに関する変化量である高さ変化量を決定する。処理装置(110)は、決定した高さ変化量を示す情報(D20)を出力する。学習システム(2)は、学習済みモデル(M1)を生成する。学習済みモデル(M1)は、第1画像データ(D11)から高さ変化量に基づいて第1領域(51)に関する変形を施して生成された第2画像データ(D12)又は第2画像データ(D12)における第1領域(51)に対して、オブジェクト(4)の特定状態に関する推定について第1画像データ(D11)と同等の推定結果を出力する。
【0209】
第24の態様に係る評価システム(100)は、処理装置(110)と、推定システム(3)と、を備える。処理装置(110)は、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、及び第1領域(51)と隣り合う第2領域(52)を含む第1画像データ(D11)から、基準面(H1)に対する第1領域(51)の高さに関する変化量が、第1領域(51)内における基準点(P1)に近い位置ほど大きく、かつ第1領域(51)及び第2領域(52)の境界(C1)に近い位置ほど小さくなるように、高さに関する変化量である高さ変化量を決定する。処理装置(110)は、決定した高さ変化量を示す情報(D20)を出力する。推定システム(3)は、学習済みモデル(M1)を用いて、認識対象となるオブジェクト(4)における特定状態に関する推定を行う。学習済みモデル(M1)は、第1画像データ(D11)から高さ変化量に基づいて第1領域(51)に関する変形を施して生成された第2画像データ(D12)又は第2画像データ(D12)における第1領域(51)に対して、オブジェクト(4)の特定状態に関する推定について第1画像データ(D11)と同等の推定結果を出力する。
【0210】
第25の態様に係るデータ作成システム(1A)は、第1画像データ(D11)と基準画像データ(D4)とから、オブジェクト(4)に関する学習済みモデル(M1)を生成するための学習用データとして用いられる第2画像データ(D12)を作成する。第1画像データ(D11)は、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、第1領域(51)と隣り合う第2領域(52)、及び第1基準面(J1)を含む。基準画像データ(D4)は、オブジェクト(4)を示す画素領域である第3領域(53)、第3領域(53)と隣り合う第4領域(54)、及び第2基準面(J2)を含む。データ作成システム(1A)は、決定部(13A)と変形部(12A)と、を備える。決定部(13A)は、基準画像データ(D4)の、第2基準面(J2)に対する第4領域(54)の高さに基づいて、高さに関する変化量である高さ変化量を決定する。変形部(12A)は、決定部(13A)で決定された高さ変化量に基づいて、第1画像データ(D11)から、第1基準面(J1)に対する第2領域(52)の高さに関する変形を施した第2画像データ(D12)を生成する。決定部(13A)は、第1基準点(Q1)における変化量が、第2基準面(J2)に対する第2基準点(Q2)における高さに基づく量となるように、高さ変化量を決定する。第2基準点(Q2)は、基準画像データ(D4)の第4領域(54)において、第2基準面(J2)上の、第1距離(L1)と第2距離(L2)との比と等しい位置である。第1距離(L1)は、第2領域(52)の外縁(X1)から、第2領域(52)内における第1基準点(Q1)までの距離である。第2距離(L2)は、第1領域(51)と第2領域(52)との境界から第1基準点(Q1)までの距離である。
【0211】
この態様によれば、第1画像データ(D11)の第2領域(52)における高さを、基準画像データ(D4)の第4領域(54)の高さに基づき変形させた第2画像データ(D12)を作成しやすくなる。結果的に、学習用データの多様性を向上でき、オブジェクト(4)に関する認識性能の改善を図ることができる。
【0212】
第26の態様に係るデータ作成システム(1A)は、第25の態様において、第1処理装置(110A)と、第2処理装置(120A)と、を備える。第1処理装置(110A)は、決定部(13A)を有する。第2処理装置(120A)は、変形部(12A)を有する。第1処理装置(110A)は、高さ変化量を示す情報(D20A)を、第2処理装置(120A)に送信する。
【0213】
第27の態様に係るデータ作成システム(1A)は、第26の態様において、第1処理装置(110A)は、ユーザからの操作入力に基づいて、第1画像データ(D11)内の第1基準点(Q1)を指定する指定部(18)を、更に備える。
【0214】
第28の態様に係る処理装置は、第26の態様又は第27の態様におけるデータ作成システム(1A)における、第1処理装置(110A)である。
【0215】
第29の態様に係る処理装置は、第26の態様又は第27の態様におけるデータ作成システム(1A)における、第2処理装置(120A)である。
【0216】
第30の態様に係る評価システム(100)は、処理装置(110A)と、学習システム(2)と、を備える。処理装置(110A)は、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、第1領域(51)と隣り合う第2領域(52)、及び第1基準面(J1)を含む第1画像データ(D11)、並びにオブジェクト(4)を示す画素領域である第3領域(53)、第3領域(53)と隣り合う第4領域(54)、及び第2基準面(J2)を含む基準画像データ(D4)について、第2基準面(J2)に対する第4領域(54)の高さに基づいて、高さに関する変化量である高さ変化量を決定する。処理装置(110)は、第1基準点(Q1)における変化量が、第2基準面(J2)に対する第2基準点(Q2)における高さに基づく量となるように、高さ変化量を決定する。第2基準点(Q2)は、基準画像データ(D4)の第4領域(54)において、第2基準面(J2)上の、第1距離(L1)と第2距離(L2)との比と等しい位置である。第1距離(L1)は、第2領域(52)の外縁(X1)から、第2領域(52)内における第1基準点(Q1)までの距離である。第2距離(L2)は、第1領域(51)と第2領域(52)との境界(C1)から第1基準点(Q1)までの距離である。処理装置(110A)は、決定した高さ変化量を示す情報(D20A)を出力する。学習システム(2)は、学習済みモデル(M1)を生成する。学習済みモデル(M1)は、第1画像データ(D11)から高さ変化量に基づいて第2領域(52)に関する変形を施して生成された第2画像データ(D12)又は第2画像データ(D12)における第1領域(51)に対して、オブジェクト(4)の特定状態に関する推定について第1画像データ(D11)と同等の推定結果を出力する。
【0217】
第31の態様に係る評価システム(100)は、処理装置(110A)と、推定システム(3)と、を備える。処理装置(110A)は、オブジェクト(4)を示す画素領域である第1領域(51)、第1領域(51)と隣り合う第2領域(52)、及び第1基準面(J1)を含む第1画像データ(D11)、並びにオブジェクト(4)を示す画素領域である第3領域(53)、第3領域(53)と隣り合う第4領域(54)、及び第2基準面(J2)を含む基準画像データ(D4)について、第2基準面(J2)に対する第4領域(54)の高さに基づいて、高さに関する変化量である高さ変化量を決定する。処理装置(110)は、第1基準点(Q1)における変化量が、第2基準面(J2)に対する第2基準点(Q2)における高さに基づく量となるように、高さ変化量を決定する。第2基準点(Q2)は、基準画像データ(D4)の第4領域(54)において、第2基準面(J2)上の、第1距離(L1)と第2距離(L2)との比と等しい位置である。第1距離(L1)は、第2領域(52)の外縁(X1)から、第2領域(52)内における第1基準点(Q1)までの距離である。第2距離(L2)は、第1領域(51)と第2領域(52)との境界(C1)から第1基準点(Q1)までの距離である。処理装置(110A)は、決定した高さ変化量を示す情報(D20A)を出力する。推定システム(3)は、学習済みモデル(M1)を用いて、認識対象となるオブジェクト(4)における特定状態に関する推定を行う。学習済みモデル(M1)は、第1画像データ(D11)から高さ変化量に基づいて第2領域(52)に関する変形を施して生成された第2画像データ(D12)又は第2画像データ(D12)における第1領域(51)に対して、オブジェクト(4)の特定状態に関する推定について第1画像データ(D11)と同等の推定結果を出力する。
【0218】
第2~11,19,20,26,27の態様に係る構成については、データ作成システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0219】
1,1A データ作成システム
10 処理部
12,12A 変形部
13,13A 決定部
2 学習システム
3 推定システム
4 オブジェクト
51 第1領域
52 第2領域
53 第3領域
54 第4領域
100 評価システム
110,110A 第1処理装置
120,120A 第2処理装置
B11 第1母材(母材)
B12 第2母材(母材)
C1 境界
D11 第1画像データ
D12 第2画像データ
D4 基準画像データ
D20,D20A 高さ変化量を示す情報
H1 基準面
J1 第1基準面
J2 第2基準面
L1 第1距離
L2 第2距離
M1 学習済みモデル
P1 基準点
P2 最大点
Q1 第1基準点
Q2 第2基準点
T1 特定領域
X1 外縁
図1
図2
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