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特許7511195駆動モジュール、撮像装置及び交換レンズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】駆動モジュール、撮像装置及び交換レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20210101AFI20240628BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240628BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20240628BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240628BHJP
【FI】
G02B7/08 Z
G02B7/08 C
G02B7/04 E
G03B17/14
H04N23/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023210265
(22)【出願日】2023-12-13
【審査請求日】2023-12-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 寛
(72)【発明者】
【氏名】大谷 欽洋
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-171238(JP,A)
【文献】特開2023-031233(JP,A)
【文献】特開平04-072211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
G02B 7/04
G03B 17/14
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置における素子を駆動するための駆動モジュールであって、
前記素子を駆動するモータと、
前記モータを駆動するための駆動信号により前記モータの励磁を制御するモータ駆動部と、
前記素子の位置を検出する位置検出部と、
前記モータ駆動部を制御して、前記素子の位置を管理する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記モータによる駆動の停止中に、前記位置検出部により検出される前記素子の位置と前記制御部により管理される前記素子の位置との差分が所定値よりも大きい脱調を検出し、
前記脱調が検出されたとき、前記モータの停止時に前記素子が停止する位置として管理する停止位置に応じて、前記モータ駆動部に前記モータの励磁を行わせ、
前記制御部は、前記停止位置に応じた前記モータの励磁中に前記位置検出部により検出される検出位置と、前記停止位置との差分が前記所定値よりも大きいとき、
前記停止位置との距離が前記駆動信号の周期の整数倍となる複数の位置のうちの、前記検出位置に最も近い位置から、前記停止位置まで前記素子を駆動するように、前記モータ駆動部を制御する
駆動モジュール。
【請求項2】
撮像装置における素子を駆動するための駆動モジュールであって、
前記素子を駆動するモータと、
前記モータを駆動するための駆動信号により前記モータの励磁を制御するモータ駆動部と、
前記素子の位置を検出する位置検出部と、
前記モータ駆動部を制御して、前記素子の位置を管理する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記モータによる駆動の停止中に、前記位置検出部により検出される前記素子の位置と前記制御部により管理される前記素子の位置との差分が所定値よりも大きい脱調を検出し、
前記脱調が検出されたとき、前記モータの停止時に前記素子が停止する位置として管理する停止位置に応じて、前記モータ駆動部に前記モータの励磁を行わせ、
前記制御部は、前記停止位置に応じた前記モータの励磁中に前記位置検出部により検出される検出位置と、前記停止位置との差分が前記所定値よりも大きいとき、
前記検出位置及び前記停止位置に基づいて、前記停止位置との距離が前記駆動信号の周期の整数倍となる複数の位置のうちの、前記検出位置に最も近い位置を算出し、
前記停止位置と、前記素子の駆動量に応じて管理する位置とを前記算出した位置に更新する
駆動モジュール。
【請求項3】
前記位置検出部は、前記モータの回転に応じた位置を検出するエンコーダを含む
請求項1に記載の駆動モジュール。
【請求項4】
前記位置検出部は、前記素子の直線変位を検出するエンコーダを含み、前記エンコーダによる検出結果を前記モータの回転に応じて補正して、前記素子の位置を検出する
請求項1に記載の駆動モジュール。
【請求項5】
前記位置検出部は、前記モータの回転に応じた位置を検出するエンコーダを含む
請求項2に記載の駆動モジュール。
【請求項6】
前記位置検出部は、前記素子の直線変位を検出するエンコーダを含み、前記エンコーダによる検出結果を前記モータの回転に応じて補正して、前記素子の位置を検出する
請求項2に記載の駆動モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の駆動モジュールと、
光学系を介して形成された被写体像を撮像する撮像部と、
前記光学系と前記撮像部との少なくとも一方において、前記駆動モジュールにより駆動される素子とを備える
撮像装置。
【請求項8】
撮像装置におけるカメラボディに装着可能な交換レンズであって、
請求項1から6のいずれか1項に記載の駆動モジュールと、
前記駆動モジュールにより駆動される素子を含む光学系とを備える
交換レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置における素子を駆動するための駆動モジュール、並びに駆動モジュールを備えた撮像装置及び交換レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、パルスモータの駆動停止状態においても、駆動対象部の移動量の検出により、パルスモータの脱調を防止する制御を行うことを目的とするミシンを開示している。特許文献1のミシンは、駆動対象部の目標位置と、検出された移動量に基づく現在位置との差が脱調限界値以下になるように、即ち脱調しないように目標位置を現在位置に近づける。その後、当該ミシンは、目標位置をパルスモータの駆動終了時に停止した停止位置に設定して、現在位置を停止位置に戻すようにパルスモータを制御する。このようなパルスモータのフィードバック制御を行うことで、外力が加わることにより脱調を起こす可能性がある場合にも脱調の防止が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-000393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、モータの脱調から精度良く復帰することができる駆動モジュール、撮像装置及び交換レンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る駆動モジュールは、撮像装置における素子を駆動する。駆動モジュールは、素子を駆動するモータと、モータの励磁を制御するモータ駆動部と、素子の位置を検出する位置検出部と、モータ駆動部を制御して、素子の位置を管理する制御部とを備える。制御部は、モータによる駆動の停止中に、位置検出部により検出される素子の位置と制御部により管理される素子の位置との差分が所定値よりも大きい脱調を検出する。制御部は、脱調が検出されたとき、モータの停止時に制御した磁界のパターンと同じパターンの磁界を用いて脱調を解消するようにモータ駆動部を制御する。
【0006】
本開示の一態様に係る撮像装置は、本開示の駆動モジュールと、光学系を介して形成された被写体像を撮像する撮像部と、光学系と撮像部との少なくとも一方において、駆動モジュールにより駆動される素子とを備える。
【0007】
本開示の一態様に係る交換レンズは、撮像装置におけるカメラボディに装着可能な交換レンズであって、本開示の駆動モジュールと、駆動モジュールにより駆動される素子を含む光学系とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の駆動モジュール、撮像装置及び交換レンズによると、モータの脱調から精度良く復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態1に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図
図2】実施形態1のデジタルカメラにおける駆動モジュールの構成を例示する図
図3】駆動モジュールの動作を説明するための図
図4】実施形態1における駆動モジュールの動作を例示するフローチャート
図5】実施形態1の駆動モジュールの励磁による脱調からの復帰動作を説明するためのタイミングチャート
図6】実施形態1の駆動モジュールの励磁により復帰しない脱調時の動作を説明するための図
図7】実施形態1の駆動モジュールの復帰位置による脱調からの復帰動作を説明するためのタイミングチャート
図8図6(B)の状態からの駆動モジュールの動作を説明するための図
図9】実施形態2における駆動モジュールの動作を例示するフローチャート
図10】実施形態2の駆動モジュールの動作を説明するためのタイミングチャート
図11】実施形態3における駆動モジュールの構成を例示する図
図12】実施形態3の駆動モジュールにおけるエンコーダ補正位置を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示における実施の形態を、図面を適宜参照しながら説明する。ただし、詳細な説明において、従来技術および実質的に同一の構成に関する説明のうち不必要な部分は省略されることもある。これは、説明を簡単にするためである。また、以下の説明および添付の図面は、当業者が本開示を充分に理解できるよう開示されるのであって、特許請求の範囲の主題を限定することを意図されていない。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1では、本開示の駆動モジュールを含む撮像装置の一例としてデジタルカメラを説明する。
【0012】
1.構成
図1は、実施形態1に係るデジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。デジタルカメラ1は、カメラ本体100と、それに着脱可能な交換レンズ200とから構成される。
【0013】
1-1.カメラ本体
カメラ本体100は、画像センサ110と、液晶モニタ120と、操作部130と、カメラ制御部140と、RAM141と、ROM142と、ボディマウント150と、カードスロット170と、シャッタ180とを備える。
【0014】
カメラ制御部140は、レリーズ釦からの指示に応じて、画像センサ110等の構成要素を制御することでデジタルカメラ1全体の動作を制御する。カメラ制御部140は、垂直同期信号をタイミング発生器(TG)112に送信する。これと並行して、カメラ制御部140は、露光同期信号を生成する。カメラ制御部140は、生成した露光同期信号を、ボディマウント150及びレンズマウント250を介して、レンズ制御部240に周期的に送信する。カメラ制御部140は、制御動作や画像処理動作の際に、RAM141をワークメモリとして使用する。
【0015】
画像センサ110は、交換レンズ200を介して入射される被写体像を撮像して画像データを生成する撮像素子の一例である。画像センサ110は例えばCCD、CMOSイメージセンサまたはNMOSイメージセンサである。生成された画像データは、ADコンバータ(ADC)111でデジタル化される。デジタル化された画像データは、カメラ制御部140により所定の画像処理が施される。所定の画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、及び/又はJPEG圧縮処理である。
【0016】
画像センサ110は、タイミング発生器112により制御されるタイミングで動作する。画像センサは、記録用の静止画像もしくは動画像またはスルー画像を生成する。スルー画像は、主に動画像であり、ユーザが静止画像の撮像のための構図を決めるために液晶モニタ120に表示される。
【0017】
液晶モニタ120はスルー画像等の画像およびメニュー画面等の種々の情報を表示する。液晶モニタ120は、本実施形態における表示部の一例である。液晶モニタに代えて、他の種類の表示デバイス、例えば、有機ELディスプレイデバイスを使用してもよい。
【0018】
操作部130は、撮影開始を指示するためのレリーズ釦、撮影モードを設定するためのモードダイアル、及び電源スイッチ等の種々の操作部材を含む。操作部130は、液晶モニタ120に重畳して配置されたタッチパネルも含む。
【0019】
RAM141は、カメラ制御部140のワークメモリとして機能する記録媒体である。RAM141は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により実現される。RAM141は、例えば画像センサ110により生成される画像データ、及びデジタルカメラ1における各種の設定情報などを一時的に記憶(即ち保持)する。ROM142は不揮発性の記録媒体である。ROM142は、フラッシュメモリ等により実現される。例えば、ROM142は、デジタルカメラ1における所定の設定値などを記憶する。
【0020】
カードスロット170は、メモリカード171を装着可能であり、カメラ制御部140からの制御に基づいてメモリカード171を制御する。デジタルカメラ1は、メモリカード171に対して画像データを格納したり、メモリカード171から画像データを読み出したりすることができる。
【0021】
シャッタ180は、画像センサ110に入射する光の露出時間(露光時間)を調節する。シャッタ180は、DCモータ又はステッピングモータ等の駆動系により、カメラ制御部140から発行される制御信号に従って駆動される。例えば、カメラ制御部140は、シャッタ180が駆動する駆動速度(シャッタスピード或いは連写速度)を制御できる。
【0022】
ボディマウント150は、交換レンズ200のレンズマウント250と機械的及び電気的に接続可能である。ボディマウント150は、レンズマウント250を介して、交換レンズ200との間で、データを送受信可能である。ボディマウント150は、カメラ制御部140から受信した露光同期信号を、レンズマウント250を介してレンズ制御部240に送信する。また、カメラ制御部140から受信したその他の制御信号を、レンズマウント250を介してレンズ制御部240に送信する。また、ボディマウント150は、レンズマウント250を介してレンズ制御部240から受信した信号をカメラ制御部140に送信する。
【0023】
また、カメラ本体100は、カメラ本体100内の撮像素子を移動してぶれを補正するBIS(Body Image Stabilizer)機能を実現する構成として、カメラ本体100のぶれを検出するジャイロセンサ184と、BIS処理部183とを備える。BIS処理部183は、ジャイロセンサ184の検出結果に基づきぶれ補正処理を制御する。さらに、カメラ本体100は、画像センサ110を移動させるセンサ駆動部181と、画像センサ110の位置を検出する位置センサ182とを備える。
【0024】
センサ駆動部181は、例えば、マグネットと平板コイルとで実現可能である。センサ駆動部181は、その他のモータ又はアクチュエータ等を含んでもよい。位置センサ182は、光学系の光軸に垂直な面内における画像センサ110の位置を検出するセンサである。位置センサ182は、例えば、マグネットとホール素子とで実現可能である。
【0025】
BIS処理部183は、ジャイロセンサ184からの信号及び位置センサ182からの信号に基づき、センサ駆動部181を制御して、カメラ本体100のぶれを相殺するように画像センサ110を光軸に垂直な面内にシフトさせる。
【0026】
1-2.交換レンズ
交換レンズ200は、光学系と、レンズ制御部240と、RAM241と、ROM242と、レンズマウント250とを備える。光学系は、ズームレンズ210と、OIS(Optical Image Stabilizer)レンズ220と、フォーカスレンズ230と、絞り260とを含む。また、交換レンズ200は、光学系の各素子を駆動するズーム駆動部211、OIS駆動部221、フォーカス駆動部231、及び絞り駆動部262を備える。本実施形態のデジタルカメラ1において、フォーカス駆動部231、エンコーダ232、レンズ制御部240、RAM241及びROM242は、フォーカスレンズ230を駆動するための駆動モジュール20を構成する。
【0027】
ズームレンズ210は、光学系で形成される被写体像の倍率を変化させるためのレンズである。ズームレンズ210は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。ズームレンズ210は、ズーム駆動部211により駆動される。ズーム駆動部211は、ユーザが操作可能なズームリングを含む。または、ズーム駆動部211は、ズームレバー及びアクチュエータまたはモータを含んでもよい。ズーム駆動部211は、ユーザによる操作に応じてズームレンズ210を光学系の光軸方向に沿って移動させる。
【0028】
フォーカスレンズ230は、光学系で画像センサ110上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズ230は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。フォーカスレンズ230は、フォーカス駆動部231により駆動される。
【0029】
フォーカス駆動部231はアクチュエータまたはモータを含み、レンズ制御部240の制御に基づいてフォーカスレンズ230を光学系の光軸に沿って移動させる。本実施形態のフォーカス駆動部231は、ステッピングモータにより実現される。また、交換レンズ200は、フォーカス駆動部231により駆動されるフォーカスレンズ230の位置を検出するためのエンコーダ232を備える。
【0030】
例えばエンコーダ232は、GMR(giant magnetoresistance)センサにより実現される。本実施形態のエンコーダ232は、ロータリエンコーダとしてフォーカス駆動部231におけるモータの回転を検出し、検出結果に応じた信号をレンズ制御部240に出力する。例えばエンコーダ232は、モータの回転として、回転位置、回転量、回転速度、及び/又は回転方向を検出する。
【0031】
OISレンズ220は、交換レンズ200内の補正用レンズを移動してぶれを補正するOIS機能において、交換レンズ200の光学系で形成される被写体像のぶれを補正するためのレンズである。OISレンズ220は、デジタルカメラ1のぶれを相殺する方向に移動することにより、画像センサ110上の被写体像のぶれを小さくする。OISレンズ220は1枚又は複数枚のレンズで構成される。OISレンズ220はOIS駆動部221により駆動される。
【0032】
OIS駆動部221は、OIS処理部223からの制御を受けて、光学系の光軸に垂直な面内でOISレンズ220をシフトする。OIS駆動部221は、例えば、マグネットと平板コイルとで実現可能である。位置センサ222は、光学系の光軸に垂直な面内におけるOISレンズ220の位置を検出するセンサである。位置センサ222は、例えば、マグネットとホール素子で実現可能である。OIS処理部223は、位置センサ222の出力及びジャイロセンサ224の出力に基づいてOIS駆動部221を制御する。
【0033】
レンズ制御部240は、例えばカメラ制御部140からの制御信号に応じて、各駆動部211、221、231、262等の構成要素を制御することで交換レンズ200の動作を制御する。例えばレンズ制御部240は、デジタルカメラ1のオートフォーカス(AF)動作において、フォーカスレンズ230を駆動させるようにフォーカス駆動部231を制御する。
【0034】
RAM241は、レンズ制御部240のワークメモリとして機能する記録媒体である。例えばRAM241は、DRAM等により実現されて、デジタルカメラ1における各種のデータ及び情報などを一時的に記憶する。ROM242は、不揮発性の記録媒体である。例えばROM242は、フラッシュメモリ等により実現され、デジタルカメラ1における所定の設定値などを記憶する。RAM141,241及びROM142,242の各々は、本実施形態におけるデジタルカメラ1の記憶部の一例である。
【0035】
絞り260は画像センサ110に入射される光の量を調整する。絞り260は、絞り駆動部262により駆動され、その開口の大きさが制御される。絞り駆動部262はモータまたはアクチュエータを含む。
【0036】
ジャイロセンサ184または224は、デジタルカメラ1の単位時間あたりの角度変化すなわち角速度に基づいて、デジタルカメラ1のぶれ(振動)を検出する。ジャイロセンサ184または224は、検出したぶれの量(角速度)を示す角速度信号をBIS処理部183またはOIS処理部223に出力する。ジャイロセンサに代えて、デジタルカメラ1のぶれを検出できる他のセンサを使用することもできる。
【0037】
カメラ制御部140及びレンズ制御部240は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成してもよい。例えば、カメラ制御部140及びレンズ制御部240は、CPU、MPU、GPU、DSU、FPGAまたはASIC等の各種プロセッサで実現できる。カメラ制御部140及びレンズ制御部240は、それぞれ本実施形態のデジタルカメラ1における制御部の一例である。
【0038】
1-3.駆動モジュール
図2は、本実施形態のデジタルカメラ1における駆動モジュール20の構成を例示する図である。図2の例では、駆動モジュール20のフォーカス駆動部231は、リードシャフト233、リードスクリュー234、ステッピングモータ236、及びモータドライバ237を含む。以下、ステッピングモータを「STM」と略記する。また、レンズ制御部240は、例えば機能的構成としてエンコーダ検出部243、モータ制御部244、及び脱調復帰制御部245を備える。
【0039】
例えばレンズ制御部240は、ROM242に格納されたプログラムを読み出して実行することで、エンコーダ検出部243、モータ制御部244、及び脱調復帰制御部245として機能する。
【0040】
フォーカス駆動部231は、STM236によりリードスクリュー234を回転させ、リードシャフト233及びリードスクリュー234によりフォーカスレンズ230を光軸方向に移動させる。
【0041】
エンコーダ232は、リードスクリュー234に取り付けられ、STM236の回転に応じた信号をエンコーダ検出部243に出力する。エンコーダ検出部243は、例えば、エンコーダ232から出力される正弦波の信号をエンコードする処理により、フォーカスレンズ230が光軸に沿って移動する位置を検出する。例えばエンコーダ232によれば、STM236の実際の回転に応じたフォーカスレンズ230の位置を検出でき、フォーカスレンズ230を精度良く位置決めすることができる。エンコーダ232及びエンコーダ検出部243は、本実施形態における位置検出部の一例である。
【0042】
STM236は、例えば2相のSTMであり、A相及びB相の各相について電流または電圧の供給により励磁されるコイルと、ロータとを含む。例えばSTM236の各コイルは、モータドライバ237から出力される駆動信号の電圧の印加により励磁され、ロータが励磁に応じて回転することで、STM236が駆動される。
【0043】
モータドライバ237は、モータ制御部244からの制御信号に応じてSTM236に駆動信号を出力する。本実施形態では、STM236は、駆動信号の電圧が正弦波の波形を有するように変化するマイクロステップ駆動により駆動される。モータ制御部244は、例えばRAM241等においてSTM236により駆動されるフォーカスレンズ230の位置を管理して、管理している位置に応じてSTM236を回転させるための制御信号をモータドライバ237に出力する。
【0044】
脱調復帰制御部245は、例えばエンコーダ検出部243により検出されるエンコーダ位置と、モータ制御部244により管理される位置とに基づいて、STM236の脱調を検出する。本実施形態では、脱調は、エンコーダ検出部243により検出される位置が、モータ制御部244により管理される位置との比較において、所定値よりも大きくずれている状態として検出される。
【0045】
脱調が検出されると、脱調復帰制御部245は、脱調から復帰するための所定の処理を実行することで、モータ制御部244からの制御信号により脱調を解消するようにモータドライバ237を制御する。こうした脱調復帰処理について詳細は後述する。
【0046】
駆動モジュール20の構成は、上記の例に限らず、例えばレンズ制御部240が、それぞれ専用のハードウェア回路に実装されるエンコーダ検出部243、モータ制御部244、及び脱調復帰制御部245を制御してもよい。
【0047】
2.動作
以上のように構成されるデジタルカメラ1の動作について以下説明する。
【0048】
本実施形態のデジタルカメラ1は、駆動モジュール20によりフォーカスレンズ230を駆動することで、例えばAF動作を行う。例えば図2に示す駆動モジュール20のモータ制御部244は、フォーカスレンズ230の位置として、フォーカスレンズ230の目標位置と現在位置とを管理する。目標位置は、例えばAF動作においてレンズ制御部240が決定して、フォーカスレンズ230を移動させる位置として管理される。現在位置は、例えばモータ制御部244が順次、モータドライバ237に指示するフォーカスレンズ230の移動量の累積により、フォーカスレンズ230が駆動された位置として管理される。
【0049】
図3は、駆動モジュール20の動作を説明するための図である。駆動モジュール20は、例えばSTM236のA相のコイル及びB相のコイルにモータドライバ237から駆動信号の電圧をそれぞれ印加して、励磁によりSTM236を所定の回転角度に応じたステップ毎に回転させることで、フォーカスレンズ230を駆動する。図3(A)は、STM236の各相の電圧の時間変化を例示する。図3(A)は、更に、時刻毎にSTM236のステップに対応してフォーカスレンズ230が駆動される位置を示す。図3(A)の例では、駆動モジュール20は、「0」から「24」の位置までフォーカスレンズ230を移動させる。
【0050】
駆動モジュール20は、フォーカスレンズ230の現在位置Pcを目標位置Ptに一致させるように、駆動信号によりSTM236を制御する。図3(A)の例では、駆動後の現在位置Pcに加えて、エンコーダ232を用いて検出されたエンコーダ位置Peが目標位置Ptに一致している。エンコーダ位置Peは、現在位置Pc及び目標位置Ptと共通の単位系におけるフォーカスレンズ230の位置として、エンコーダ検出部243によりエンコーダ232からのSTM236の回転の検出結果に基づいて検出される。
【0051】
例えば図3(A)に示すように、駆動モジュール20は、現在位置Pcが目標位置Ptに到達後、STM236を停止させた際のフォーカスレンズ230の停止位置を保持するため、STM236の停止から所定の期間、STM236への通電を維持する。このように、目標位置Ptに対応する電圧の印加が所定の期間、維持される。
【0052】
図3(B)は、図3(A)の例におけるフォーカスレンズ230の位置と、STM236のA相及びB相の各コイルに印加される駆動信号の電圧との対応関係を例示する。こうした位置毎の電圧を規定する電圧データD1は、例えばROM242に予め格納される。本例の電圧データD1では、位置が「8」離れるごとに同じ大きさの電圧が印加される。このように、本例では、電圧の正弦波の周期、即ち駆動信号の周期は、位置の差分「8」に対応する。駆動モジュール20は、こうした電圧データD1により、駆動信号の周期に対応した位置毎に同じ状態となるようにSTM236の各相のコイルに形成される磁界のパターンにおいて、STM236に励磁する。
【0053】
ここで、STM236の停止中に、駆動信号とSTM236の回転との同期が取れず、脱調を生じる場合がある。例えば、デジタルカメラ1の落下あるいはデジタルカメラ1への加振といった外乱によりSTM236が回転して、フォーカスレンズ230を保持した停止位置から動かしてしまうことによる脱調が考えられる。例えばデジタルカメラ1での画像撮影中に、落下等の外乱により脱調が生じると、AF動作のフォーカス精度に影響を及ぼすことが懸念される。
【0054】
図3(B)は、フォーカスレンズ230を目標位置Ptに駆動後、STM236の停止中に、脱調が生じた際のエンコーダ位置Pe、現在位置Pc及び目標位置Ptを例示している。脱調が生じると、脱調前のフォーカスレンズ230の停止位置である目標位置Ptから、外乱等によるフォーカスレンズ230の移動により、エンコーダ位置Peがずれると想定される。本実施形態の駆動モジュール20は、脱調復帰制御部245により、こうした目標位置Ptとエンコーダ位置Peとのずれに応じて、脱調を検出する。脱調が検出された場合、脱調復帰制御部245は、目標位置Pt及びエンコーダ位置Peに基づいて、脱調から復帰するための脱調復帰処理を実行する。脱調復帰処理の詳細は後述する。
【0055】
本実施形態の駆動モジュール20によれば、例えばSTM236の駆動毎にエンコーダ位置Peをフィードバックしないオープンループでの制御が可能な一方、エンコーダ位置Peを用いて、STM236の停止中に外乱等から生じる脱調が検出できる。駆動モジュール20は、脱調が検出されると、停止時の目標位置Pt及び随時検出されるエンコーダ位置Peに応じて、脱調復帰処理を行う。これにより、例えばSTM236の駆動では、オープンループの制御によりフィードバックのような複雑な処理を回避しながら、脱調を検出して、デジタルカメラ1の初期化のために再起動等を行わなくても脱調から速やかに復帰することができる。
【0056】
2-1.脱調の検出及び復帰
本実施形態の駆動モジュール20における脱調の検出及び復帰に関する動作について、図4図8を用いて説明する。
【0057】
図4は、本実施形態における駆動モジュール20の動作を例示するフローチャートである。図4のフローチャートに示す処理は、例えばデジタルカメラ1の起動時に開始され、レンズ制御部240により所定の周期で繰り返し実行される。
【0058】
レンズ制御部240は、例えば脱調復帰制御部245として、エンコーダ232による検出結果に基づき、STM236が停止中であるか否かを判断する(S1)。エンコーダ232によりSTM236の回転が検出され、STM236が停止中ではない場合(S1でNO)、レンズ制御部240は、例えば所定の周期でステップS1の判断を繰り返す。
【0059】
STM236が停止中である場合(S1でYES)、レンズ制御部240は、エンコーダ位置Pe及び目標位置Ptに基づいて、脱調が検出されるか否かを判断する(S2)。レンズ制御部240は、エンコーダ位置Peと目標位置Ptとの差分が、所定の脱調閾値よりも大きいか否かにより、脱調が発生しているか否かを判断する。脱調閾値は、後述のステップS3での励磁による脱調からの復帰の可能性を高める観点から、STM236の駆動信号の周期に対応する位置の差分(図3の例では「8」)の2分の1以下の所定値(例えば「2」)として予め設定され、ROM242等に格納される。脱調が検出されない場合(S2でNO)、レンズ制御部240は、例えばステップS1に戻る。
【0060】
脱調が検出された場合(S2でYES)、レンズ制御部240は、ステップS3以降の脱調復帰処理を実行する。まず、レンズ制御部240は、例えば電圧データD1に基づき、STM236に停止時の目標位置Ptに対応する励磁を行うように、モータ制御部244としてモータドライバ237に制御信号を出力する(S3)。こうした励磁によれば、STM236の停止時にモータドライバ237を制御した磁界のパターンと同じパターンの磁界により、STM236が励磁された位置に対応する回転位置に引き込まれるように回転して、フォーカスレンズ230が駆動される。
【0061】
図5は、本実施形態の駆動モジュール20の励磁による脱調からの復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。図5は、脱調の程度が比較的小さい図3(B)の例における脱調時の動作例を示す。図5(A),(B),(C)は、それぞれSTM236に励磁を行うか否か(即ち励磁のオンまたはオフ)、エンコーダ位置Pe、及び現在位置Pcの時間変化を示す。図5(B),(C)では、目標位置Ptを一点鎖線で示している。
【0062】
図5の例では、STM236の停止に応じて励磁をオフした後、図5(B)に示すように時刻t1に脱調が発生して、エンコーダ位置Peが停止時の目標位置Ptと一致する「24」から「21」に変化する。その後、時刻t2から、目標位置Ptに対応する励磁が行われる(S3)。
【0063】
レンズ制御部240は、目標位置Ptの励磁をオンした後(S3)、所定期間(例えば100~200ミリ秒)待機する(S4)。所定期間はSTM236の駆動対象に応じて予め設定され、ROM242等に格納される。例えば図5(A)に示すように、所定期間として時刻t2から時刻t3まで、目標位置Ptに応じて励磁する状態が継続される。
【0064】
レンズ制御部240は、所定期間待機した後(S4)、例えばステップS2と同様に、エンコーダ位置Peと目標位置Ptとの差分が脱調閾値よりも大きいか否か、即ち脱調が検出されるか否かを判断する(S5)。
【0065】
図5の例では、目標位置Ptの励磁(S3)に応じたSTM236の引き込みにより、フォーカスレンズ230が目標位置Ptに向けて移動する。この場合、例えば図5(B)に示すように、エンコーダ位置Peが脱調後の位置から変化して、時刻t3には脱調前の位置に復帰しているため、脱調が解消して検出されない(S5でNO)。
【0066】
エンコーダ位置Peと目標位置Ptとの差分が脱調閾値以下であって、脱調が検出されない場合(S5でNO)、レンズ制御部240は、ステップS6以降の処理を実行せず、本フローチャートの処理を終了する。この場合、レンズ制御部240は、例えば図5(A)に示すように、所定期間待機した時刻t3以降にはSTM236に励磁しないように、モータドライバ237を制御する。また、図5(C)に示すように、現在位置Pcは脱調前から変更されない。
【0067】
一方、エンコーダ位置Peと目標位置Ptとの差分が脱調閾値よりも大きく脱調が検出される場合(S5でYES)、レンズ制御部240は、エンコーダ位置Pe及び目標位置Ptに基づいて、脱調からの復帰に用いる復帰位置を算出する(S6)。
【0068】
図6は、本実施形態の駆動モジュール20の励磁により復帰しない脱調時の動作を説明するための図である。図6では、図3(B)と同様に、電圧データD1における駆動信号の電圧を示す正弦波に重畳させて、エンコーダ位置Pe、現在位置Pc及び目標位置Ptを示している。図6(A)は、目標位置Ptの「24」にフォーカスレンズ230を駆動後、脱調によりエンコーダ位置Peが「19」の位置に移動した例を示す。図6(B)は、図6(A)の状態から、目標位置Ptに応じた励磁により(S3)、所定期間の待機後(S4)、エンコーダ位置Peが目標位置Ptに復帰せず「16」の位置に移動した例を示す。
【0069】
図6の例では、目標位置Ptの「24」に応じた励磁を行うと、エンコーダ位置Peは、目標位置Ptと正弦波の同位相かつ目標位置Ptよりも脱調後の「19」に近い「16」の位置に移動している。この場合、目標位置Ptの励磁によっては脱調が解消されず、脱調が検出されることから(S5でYES)、ステップS6以降の処理が実行される。
【0070】
ステップS6において、レンズ制御部240は、下記の算出式により、エンコーダ位置Peの近傍で、STM236の停止時の目標位置Ptからの距離が駆動信号の周期の整数倍となる復帰位置Prを算出する。Snは、駆動信号の1周期に対応するSTM236のステップ数を示す。以下の算出式では、整数演算として小数点以下の数値は演算毎に切り捨てられる。
(算出式)
Pr=Pt+(((Pe-Pt)+Sn/2)/Sn)*Sn (Pe>Ptの場合)
Pr=Pt-(((Pt-Pe)+Sn/2)/Sn)*Sn (Pe<Ptの場合)
【0071】
図7は、本実施形態の駆動モジュール20の復帰位置による脱調からの復帰動作を説明するためのタイミングチャートである。図7は、脱調の程度が比較的大きい図6の例における脱調時の動作例を示す。図7(A),(B),(C)は、図5(A),(B),(C)と同様に、それぞれ励磁のオン又はオフ、エンコーダ位置Pe、及び現在位置Pcの時間変化を示す。例えば図7(A),(B)に示すように、時刻t1に脱調が生じて、時刻t2に目標位置Ptの励磁を行うことでエンコーダ位置Peが変化して、所定期間待機後の時刻t3に未解消の脱調が検出される。
【0072】
図7の例では、ステップS6の算出式において、Pt=24、Pe=16、Sn=8として、Pe<Ptの場合であることから、復帰位置Prは以下のように「16」となる。
Pr=24-(((24-16)+8/2)/8)*8=16
【0073】
レンズ制御部240は、例えばモータ制御部244として管理する現在位置Pcを上書きするように、ステップS6で算出した復帰位置Prに更新する(S7)。図7の例では、図7(C)に示すように、時刻t3に現在位置Pcが復帰位置Prに更新される。
【0074】
図8は、図6(B)の状態からの駆動モジュール20の動作を説明するための図である。図8は、図6(A),(B)と同様にエンコーダ位置Pe、現在位置Pc及び目標位置Ptを示す。図8の状態では、現在位置Pcは、図6(B)における脱調後の「19」から、ステップS6で算出された復帰位置Prの「16」に更新されている。
【0075】
ステップS6の算出式により、復帰位置Prとして、脱調した位置の周辺で、駆動信号の電圧の正弦波において目標位置Ptに対応する電圧と同位相となる位置が算出される。これにより、STM236の停止時に目標位置Ptに応じてモータドライバ237を制御した磁界のパターンと同じパターンの磁界となる複数の位置のうち、脱調後の位置に最も近い位置が、復帰位置Prとして算出できる。このように、駆動信号によるSTM236の制御と整合する復帰位置Prを算出して、レンズ制御部240が管理する現在位置Pcの更新に用いることができる。
【0076】
その後、レンズ制御部240は、復帰位置Prで更新した現在位置Pcを目標位置Ptに移動させるように、STM236を駆動する制御を行う(S8)。例えばレンズ制御部240は、脱調前のSTM236の駆動と同様に、電圧データD1に基づき、モータドライバ237から、位置毎にSTM236に印加する電圧が変化する駆動信号を出力させる。図7(A)~(C)の例では、時刻t3から、こうした駆動信号により目標位置Ptにフォーカスレンズ230を停止させるまで励磁を行い、STM236の駆動に伴って現在位置Pcが更新されると共に、エンコーダ位置Peが変化する。本例では、現在位置Pcが目標位置Ptに到達後の時刻t4に励磁がオフされる。
【0077】
STM236の駆動制御を実行後(S8)、レンズ制御部240は、本フローチャートの処理を終了する。
【0078】
以上の駆動モジュール20の動作によれば、STM236の停止中に(S1でYES)、脱調が検出されると(S2でYES)、STM236が停止時の目標位置Ptに応じて励磁される(S3)。所定期間の待機後(S4)、励磁中のエンコーダ位置Peの変化により脱調が検出されなくなる場合(S5でNO)、脱調が解消しているとして以降の処理が実行されない。一方、まだ脱調が検出される場合(S5でYES)、目標位置Ptからの距離が、励磁用の駆動信号の周期の整数倍となる復帰位置Prが算出される(S6)。そして、レンズ制御部240が管理する現在位置Pcを復帰位置Prに更新後(S7)、現在位置Pcを目標位置Ptに移動させるようにSTM236が駆動される(S8)。
【0079】
STM236の脱調後、目標位置Ptの励磁を行うと(S3)、目標位置Ptから距離が駆動信号の周期の整数倍となる位置、即ち駆動信号の電圧の正弦波において、目標位置Ptと同位相の位置についてSTM236が引き込まれる。上述の駆動モジュール20によれば、図6及び図7の例のように、目標位置Ptの励磁で脱調が解消しない場合にも(S5でYES)、復帰位置Prとして、目標位置Ptよりも脱調した位置に近い同位相の位置が算出できる(S6)。復帰位置Prを現在位置Pcとして、STM236の駆動により目標位置Ptまで移動させることで(S7,S8)、実際のエンコーダ位置Peと、管理上の現在位置Pc及び目標位置Ptとを一致させ、脱調から精度良く復帰ができる。
【0080】
また、本実施形態では、脱調前の目標位置PtまでSTM236を駆動させることで(S8)、脱調の解消に加えて、脱調前の位置に復帰することができる。
【0081】
3.まとめ
以上のように、本実施形態の駆動モジュール20は、デジタルカメラ1(撮像装置の一例)における素子の一例としてフォーカスレンズ230を駆動する。駆動モジュール20は、フォーカスレンズ230を駆動するSTM236(モータの一例)と、STM236の励磁を制御するモータドライバ237(モータ駆動部の一例)と、フォーカスレンズ230の位置を検出するエンコーダ232及びエンコーダ検出部243(位置検出部の一例)と、モータドライバ237を制御して、フォーカスレンズ230の位置を管理するレンズ制御部240(制御部の一例)とを備える。レンズ制御部240は、STM236による駆動の停止中に、フォーカスレンズ230について位置検出部により検出されるエンコーダ位置Peとレンズ制御部240により管理される目標位置Ptとの差分が脱調閾値(所定値の一例)よりも大きい脱調を検出する(S2)。レンズ制御部240は、脱調が検出されたとき(S2でYES)、STM236の停止時に制御した磁界のパターンと同じパターンの磁界を用いて脱調を解消するようにモータドライバ237を制御する(S3~S8)。
【0082】
以上のような駆動モジュール20によれば、STM236の停止中に脱調が検出されたとき(S2でYES)、STM236の停止時にモータドライバ237を制御した磁界のパターンと同じパターンの磁界を用いて脱調を解消する制御が行われる(S3~S8)。これにより、例えば外乱等により脱調が生じた場合にも、脱調から精度良く復帰することができる。
【0083】
本実施形態において、レンズ制御部240は、脱調が検出されたとき(S2でYES)、STM236の停止時にフォーカスレンズ230が停止する位置として管理する目標位置Pt(停止位置の一例)に応じて、モータドライバ237にSTM236の励磁を行わせる(S3)。これにより、図3(B)及び図5における例のような比較的小さい程度の脱調では、励磁に応じたSTM236の引き込みにより、脱調前の停止時の目標位置Ptに復帰することができる。
【0084】
本実施形態において、モータドライバ237は、STM236を駆動するための駆動信号によりSTM236の励磁を制御する。レンズ制御部240は、停止時の目標位置Ptに応じたSTM236の励磁中に(S3~S4)位置検出部により検出されるエンコーダ位置Pe(検出位置の一例)と、目標位置Ptの差分が脱調閾値よりも大きいとき(S5でYES)、目標位置Ptとの距離が駆動信号の周期の整数倍となる複数の位置のうちの、エンコーダ位置Peに最も近い位置の一例として復帰位置Prから、目標位置Ptまでフォーカスレンズ230を駆動するように、モータドライバ237を制御する(S6~S8)。このように、駆動信号の周期と整合する復帰位置Prから目標位置Ptまでの駆動により、脱調を精度よく解消して脱調前の位置に復帰することができる。これにより、図6及び図7の例のような比較的大きい程度の脱調において目標位置Ptの励磁(S2)により復帰しない場合にも、脱調から精度良く復帰ができる。
【0085】
本実施形態において、位置検出部は、STM236の回転に応じた位置を検出するエンコーダ232を含む。エンコーダ232によれば、例えばSTM236の回転を検出することができる。
【0086】
本実施形態において、撮像装置の一例であるデジタルカメラ1は、駆動モジュール20と、光学系を介して形成された被写体像を撮像する画像センサ110(撮像部の一例)と、光学系において、駆動モジュール20により駆動されるフォーカスレンズ230(素子の一例)とを備える。
【0087】
本実施形態において、デジタルカメラ1におけるカメラ本体100に装着可能な交換レンズ200は、駆動モジュール20と、駆動モジュール20により駆動されるフォーカスレンズ230を含む光学系とを備える。
【0088】
以上のデジタルカメラ1及び交換レンズ200によれば、駆動モジュール20の動作によりSTM236の脱調から精度良く復帰することができる。
【0089】
(実施形態2)
以下、図9及び図10を参照して、本開示の実施形態2を説明する。実施形態1では、デジタルカメラ1の駆動モジュール20は、脱調からの復帰において、脱調前の目標位置PtまでSTM236を駆動させた。実施形態2では、駆動モジュール20が、こうした駆動を行わずに脱調を解消するデジタルカメラ1について説明する。
【0090】
以下、実施形態1に係るデジタルカメラ1と同様の構成、動作の説明は適宜、省略して、本実施形態に係るデジタルカメラ1を説明する。
【0091】
図9は、実施形態2における駆動モジュール20の動作を例示するフローチャートである。本実施形態の駆動モジュール20は、実施形態1と同様の動作において、算出した復帰位置Prによる現在位置Pcの更新(図4のS7)に代えて、復帰位置Prにより現在位置Pc及び目標位置Ptを更新し(S7A)、その後にSTM236の駆動制御(図4のS8)を行わない。
【0092】
図10は、実施形態2の駆動モジュール20の動作を説明するためのタイミングチャートである。図10(A),(B),(C),(D)は、図6及び図7の例と同様の脱調時について、それぞれSTM236への励磁、エンコーダ位置Pe、現在位置Pc及び目標位置Ptの時間変化を示す。
【0093】
例えば実施形態1と同様に、図10(B),(D)にそれぞれ示すエンコーダ位置Peと目標位置Ptとの差分が脱調閾値よりも大きいとして、時刻t3に未解消の脱調が検出され(S5でYES)、復帰位置Prが算出される(S6)。本実施形態のレンズ制御部240は、図10(C)の現在位置Pcに加え、図10(D)の目標位置Ptについても、算出した復帰位置Prに更新する(S7A)。その後、レンズ制御部240は、図9のフローチャートの処理を終了する。本実施形態では、目標位置PtにSTM236を駆動させないことから、レンズ制御部240は、時刻t3での復帰位置Prによる更新後(S7A)、図10(A)に示すように励磁をオフする。
【0094】
以上の駆動モジュール20の動作によっても、STM236の実際の回転に応じたエンコーダ位置Peと、レンズ制御部240により管理される現在位置Pc及び目標位置Ptとが一致して、脱調から精度良く復帰することができる。このように、脱調前の位置とは異なっても、エンコーダ位置Peと、管理上の現在位置Pc及び目標位置Ptとのずれが解消されることで、例えばSTM236は次の駆動から正常に動作できる。
【0095】
以上のように、本実施形態の駆動モジュール20において、モータドライバ237(モータ駆動部の一例)は、STM236(モータの一例)を駆動するための駆動信号によりSTM236の励磁を制御する。レンズ制御部240(制御部の一例)は、STM236の停止時の目標位置Pt(停止位置の一例)に応じたSTM236の励磁中に(S3,S4)エンコーダ232及びエンコーダ検出部243(位置検出部の一例)により検出されるエンコーダ位置Pe(検出位置の一例)と、目標位置Ptとの差分が脱調閾値(所定値の一例)よりも大きいとき(S5でYES)、エンコーダ位置Pe及び目標位置Ptに基づいて、目標位置Ptとの距離が駆動信号の周期の整数倍となる複数の位置のうちの、エンコーダ位置Peに最も近い位置の一例として復帰位置Prを算出する(S6)。レンズ制御部240は、目標位置Ptと、フォーカスレンズ230(素子の一例)の駆動量に応じて管理する現在位置Pcとを、算出した復帰位置Prに更新する(S7A)。
【0096】
以上の駆動モジュール20によれば、目標位置Ptに応じたSTM236の励磁により脱調が解消しない場合(S5でYES)、レンズ制御部240が管理する目標位置Ptと現在位置Pcとの両方を復帰位置Prで更新する(S7A)。これにより、STM236を駆動しない場合にも、駆動信号の周期と整合する復帰位置Prに現在位置Pc及び目標位置Ptを一致させて、脱調を精度良く解消することができる。
【0097】
(実施形態3)
以下、図11及び図12を参照して、本開示の実施形態3を説明する。実施形態1,2では、デジタルカメラ1において、駆動モジュール20が、STM236の回転について検出するエンコーダ232からの検出結果に基づいて脱調の検出及び復帰を行った。実施形態3では、フォーカス230といったSTM236の駆動対象が直進する移動について検出するエンコーダを用いるデジタルカメラ1を説明する。
【0098】
以下、実施形態1,2に係るデジタルカメラ1と同様の構成、動作の説明は適宜、省略して、本実施形態に係るデジタルカメラ1を説明する。
【0099】
図11は、実施形態3における駆動モジュール20Aの構成を例示する図である。本実施形態の駆動モジュール20Aは、STM236の回転を検出する実施形態1,2のエンコーダ232(図2参照)に代えて、フォーカスレンズ230が直進により移動する位置を検出するためのエンコーダ238及びマグネット235を含む。エンコーダ238は、例えばGMRセンサにより実現され、リニアエンコーダとして、リードシャフト233に沿ったフォーカスレンズ230の直線変位に応じた信号をレンズ制御部240に出力する。
【0100】
エンコーダ検出部243は、例えば実施形態1と同様に現在位置Pc及び目標位置Ptと共通の単位系における位置として、エンコーダ238からの信号に基づき、フォーカスレンズ230の位置を検出する。
【0101】
本実施形態の駆動モジュール20Aでは、レンズ制御部240は、例えば機能的構成として、実施形態1,2と同様の構成に加えて、エンコーダ補正部246を備える。例えば、STM236が回転する位置と、フォーカスレンズ230が直進する位置として、エンコーダ238により検出されるエンコーダ位置とは、エンコーダ238の個体差等により完全には対応しないことが考えられる。エンコーダ補正部246は、こうしたエンコーダ位置と、モータ制御部244により管理される現在位置Pc及び目標位置Ptとのずれを小さくするように、エンコーダ位置を補正する。エンコーダ238、エンコーダ検出部243及びエンコーダ補正部246は、本実施形態の駆動モジュール20Aにおける位置検出部の一例である。
【0102】
図12は、実施形態3の駆動モジュール20Aにおけるエンコーダ補正位置を説明するための図である。エンコーダ補正位置は、エンコーダ補正部246により補正されたエンコーダ位置を示す。例えばSTM236のステップに対応する各回転位置において、目標位置Pt毎のエンコーダ位置を実測し、以下の関係式を満たす係数αを予め算出しておく。このように算出された係数αを検出されたエンコーダ位置に乗じることで、エンコーダ位置の補正が行える。
(関係式)
エンコーダ補正位置=エンコーダ位置*α
【0103】
本実施形態の駆動モジュール20Aでは、レンズ制御部240は、例えば実施形態1と同様の動作において、図3のステップS2,S5,S6でエンコーダ位置Peに代えて、エンコーダ238の検出結果から算出したエンコーダ補正位置を用いる。駆動モジュール20Aのレンズ制御部240は、実施形態2と同様の動作において、図9のステップS2,S5,S6でエンコーダ位置Peに代えて、エンコーダ補正位置を用いてもよい。
【0104】
図12は、係数αが「0.91」となる場合の目標位置Pt毎のエンコーダ位置とエンコーダ補正位置との関係を示す。STM236のコギング等の影響から、目標位置Ptとエンコーダ補正位置とは、完全には一致しないことが考えられる。この場合であっても、例えば、目標位置Ptとエンコーダ補正位置との差分が駆動信号の周期の2分の1よりも十分に小さくなるように係数αを設定することで、エンコーダ補正位置を用いても、実施形態1,2と同様に、復帰位置Prを精度良く算出できる。
【0105】
駆動信号の周期に応じて算出される復帰位置Prによれば、STM236の回転位置とのずれといったエンコーダ位置の誤差が生じる場合にも、精度良く脱調からの復帰を行うことができる。例えば複数回にわたり脱調からの復帰を繰り返しても、誤差の蓄積を回避することができる。
【0106】
上記では、エンコーダ位置の補正に係数を用いる例を説明したが、例えば上記と同様に実測したエンコーダ位置等から生成したルックアップテーブルの参照により、補正が行われてもよい。
【0107】
以上のように、本実施形態の駆動モジュール20Aにおける位置検出部は、フォーカスレンズ230(素子の一例)の直線変位を検出するエンコーダ238を含む。位置検出部は、例えばエンコーダ検出部243及びエンコーダ補正部246として、エンコーダ238による検出結果をSTM236の(モータの一例)の回転に応じて補正して、フォーカスレンズ230の位置を検出する。これにより、直線変位を検出するエンコーダ238を用いる駆動モジュール20Aによっても、補正されたエンコーダ補正位置により脱調から精度よく復帰することができる。
【0108】
(他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態1~3を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置換、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態1~3で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施形態を例示する。
【0109】
上記の各実施形態では、STM236の停止後、目標位置Ptに応じた励磁をオフしてから脱調する例を説明した。本開示の駆動モジュールは、上記の脱調の例に限らず、停止後の励磁中に、比較的大きな外乱等により脱調した場合にも適用可能である。この場合、目標位置Ptの励磁として(S3)、停止後の励磁を継続することで、上記の各実施形態と同様の動作により、脱調からの復帰を行うことができる。
【0110】
上記の各実施形態では、デジタルカメラ1がAF動作においてフォーカスレンズ230を駆動する例を説明した。本実施形態では、AF動作に限らず、マニュアルフォーカスの動作において、駆動モジュール20,20Aによりフォーカスレンズ230が駆動されてもよい。
【0111】
上記の各実施形態では、駆動モジュール20,20Aがフォーカスレンズ230を駆動した。本実施形態の駆動モジュールは、フォーカスレンズ230に代えて、又は加えて、デジタルカメラ1における各種素子を駆動してもよい。例えば駆動モジュールは、ズームレンズ210、OISレンズ220、及び絞り260をそれぞれ駆動する、ズーム駆動部211、OIS駆動部221、及び絞り駆動部262のいずれかとして実装されてもよい。本実施形態のエンコーダ232は、交換レンズ200において各駆動部211,221,262におけるモータの回転を検出するように配置されてもよい。実施形態3と同様の直進型のエンコーダ238が、レンズ210、OISレンズ220、又は絞り260等の移動を検出するように配置されてもよい。
【0112】
上記の各実施形態では、レンズ制御部240が駆動モジュール20,20Aを制御した。本実施形態では、レンズ制御部240とは別途、デジタルカメラ1に設けられた専用のマイクロコンピュータ等が、駆動モジュール20,20Aを制御してもよい。
【0113】
上記の各実施形態では、駆動モジュール20,20Aが、レンズ制御部240により、交換レンズ200におけるフォーカスレンズ230等の素子を駆動した。本実施形態では、カメラ制御部140が駆動モジュールを構成してもよい。この場合にも、カメラ制御部140は、例えばボディマウント150及びレンズマウント250を介して、交換レンズ200内の各要素と通信して上記の各実施形態と同様の動作を行うことができる。また、本実施形態の駆動モジュールでは、カメラ制御部140がカメラ本体100における素子を駆動してもよい。例えば、駆動モジュールは、カメラ本体100のBIS機能において画像センサ110を駆動するセンサ駆動部181として構成されてもよい。
【0114】
上記の各実施形態において、撮像装置の一例であるデジタルカメラ1は、駆動モジュールと、光学系を介して形成された被写体像を撮像する画像センサ110(撮像部の一例)と、光学系と画像センサ110との少なくとも一方において、駆動モジュールにより駆動される素子とを備える。こうしたデジタルカメラによれば、駆動モジュールの動作により、各素子を駆動するモータの脱調から精度良く復帰することができる。
【0115】
上記の各実施形態では、撮像装置の一例としてレンズ交換式のデジタルカメラについて説明したが、本実施形態の撮像装置は、特にレンズ交換式ではないデジタルカメラであってもよい。また、本開示の思想は、デジタルカメラのみならず、ムービーカメラであってもよいし、カメラ付きの携帯電話、スマートフォン或いはPCのような種々の撮像機能を有する電子機器にも適用可能である。
【0116】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0117】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0118】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置換、付加、省略などを行うことができる。
【0119】
(態様のまとめ)
以下、本開示に係る各種態様を列記する。
【0120】
本開示に係る第1の態様は、撮像装置における素子を駆動するための駆動モジュールである。駆動モジュールは、素子を駆動するモータと、モータの励磁を制御するモータ駆動部と、素子の位置を検出する位置検出部と、モータ駆動部を制御して、素子の位置を管理する制御部とを備える。制御部は、モータによる駆動の停止中に、位置検出部により検出される素子の位置と制御部により管理される素子の位置との差分が所定値よりも大きい脱調を検出する。制御部は、脱調が検出されたとき、モータの停止時に制御した磁界のパターンと同じパターンの磁界を用いて脱調を解消するようにモータ駆動部を制御する。
【0121】
第2の態様では、第1の態様の駆動モジュールにおいて、制御部は、脱調が検出されたとき、モータの停止時に素子が停止する位置として管理する停止位置に応じて、モータ駆動部にモータの励磁を行わせる。
【0122】
第3の態様では、第2の態様の駆動モジュールにおいて、モータ駆動部は、モータを駆動するための駆動信号によりモータの励磁を制御する。制御部は、停止位置に応じたモータの励磁中に位置検出部により検出される検出位置と、停止位置との差分が所定値よりも大きいとき、停止位置との距離が駆動信号の周期の整数倍となる複数の位置のうちの、検出位置に最も近い位置から、停止位置まで素子を駆動するように、モータ駆動部を制御する。
【0123】
第4の態様では、第2の態様の駆動モジュールにおいて、モータ駆動部は、モータを駆動するための駆動信号によりモータの励磁を制御する。制御部は、停止位置に応じたモータの励磁中に位置検出部により検出される検出位置と、停止位置との差分が所定値よりも大きいとき、検出位置及び停止位置に基づいて、停止位置との距離が駆動信号の周期の整数倍となる複数の位置のうちの、検出位置に最も近い位置を算出する。制御部は、停止位置と、素子の駆動量に応じて管理する位置とを算出した位置に更新する。
【0124】
第5の態様では、第1から第4のいずれかの態様の駆動モジュールにおいて、位置検出部は、モータの回転に応じた位置を検出するエンコーダを含む。
【0125】
第6の態様では、第1から第4のいずれかの態様の駆動モジュールにおいて、位置検出部は、素子の直線変位を検出するエンコーダを含み、エンコーダによる検出結果をモータの回転に応じて補正して、素子の位置を検出する。
【0126】
第7の態様は、撮像装置であって、第1から第6のいずれかの態様の駆動モジュールと、光学系を介して形成された被写体像を撮像する撮像部と、光学系と撮像部との少なくとも一方において、駆動モジュールにより駆動される素子とを備える。
【0127】
第8の態様は、撮像装置におけるカメラボディに装着可能な交換レンズであって、第1から第6のいずれかの態様の駆動モジュールと、駆動モジュールにより駆動される素子を含む光学系とを備える。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本開示の思想は、撮像装置における素子をモータにより駆動するための駆動モジュール、並びに駆動モジュールを備えた撮像装置及び撮像装置を構成する交換レンズに適用することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 デジタルカメラ
100 カメラ本体
110 画像センサ
140 カメラ制御部
141 RAM
142 ROM
181 センサ駆動部
200 交換レンズ
210 ズームレンズ
211 ズーム駆動部
220 OISレンズ
221 OIS駆動部
230 フォーカスレンズ
231 フォーカス駆動部
232,238 エンコーダ
237 モータドライバ
240 レンズ制御部
241 RAM
242 ROM
260 絞り
262 絞り駆動部
【要約】
【課題】モータの脱調から精度良く復帰することができる駆動モジュール等を提供する。
【解決手段】撮像装置における素子を駆動するための駆動モジュールは、素子を駆動するモータと、モータの励磁を制御するモータ駆動部と、素子の位置を検出する位置検出部と、モータ駆動部を制御して、素子の位置を管理する制御部とを備える。制御部は、モータによる駆動の停止中に、位置検出部により検出される素子の位置と制御部により管理される素子の位置との差分が所定値よりも大きい脱調を検出する。制御部は、脱調が検出されたとき、モータの停止時に制御した磁界のパターンと同じパターンの磁界を用いて脱調を解消するようにモータ駆動部を制御する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
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図5
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図12