(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20240628BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240628BHJP
【FI】
G01N21/84 E
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2023500694
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2022003778
(87)【国際公開番号】W WO2022176596
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2021026793
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】大塩 祥三
(72)【発明者】
【氏名】新田 充
(72)【発明者】
【氏名】鴫谷 亮祐
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-161576(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111073644(CN,A)
【文献】特開2014-160013(JP,A)
【文献】特開2016-003903(JP,A)
【文献】国際公開第2019/004119(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0339499(US,A1)
【文献】特開2020-188044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0296294(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108336208(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
H01L 33/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体を備える光源と光検出器とを備え、前記光源が放つ検査光を検査対象物に照射した後、前記検査対象物によって反射された前記検査光の反射光を前記光検出器で検出する検査装置であって、
前記蛍光体は、600nm以上660nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ赤色光を放つ赤色蛍光体と、700nm以上1000nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ近赤外光を放つ近赤外蛍光体とを含み、
前記検査光の分光分布は、前記蛍光体が放つ蛍光に由来する少なくとも一つの極大値を持ち、
前記極大値は、600nm以上750nm以下の波長範囲内にあり、
前記少なくとも一つの極大値において分光強度が最大である前記極大値の分光強度をPmaxとしたとき、波長750nmよりも長波長域の分光強度の最大値は前記Pmaxの20%以上Pmax未満であり、かつ、500nm以上550nm以下の波長範囲内の分光強度は前記Pmaxの20%未満である、検査装置。
【請求項2】
500nm以上1000nm以下の波長範囲内における前記極大値の数は、1つ又は2つである、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記蛍光体が放つ蛍光に由来する前記極大値は、前記分光分布の強度最大値をとる、請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
550nm以上850nm以下の波長範囲内の分光強度において、波長に対する変化量は、波長1nmあたり5%未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記光源は、固体発光素子と前記蛍光体とを組み合わせてなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記固体発光素子は、440nm以上480nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光を放つ、請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記赤色蛍光体は、Eu
2+で賦活された金属複合窒化物又は金属複合酸窒化物からなる蛍光体であり、
前記近赤外蛍光体は、Cr
3+で賦活された金属複合酸化物からなる蛍光体である、請求項
1から6のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項8】
前記検査対象物は食品である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項9】
前記検査対象物に異物が含まれているか否かを検査する、請求項1から
8のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項10】
前記異物は毛髪である、請求項
9に記載の検査装置。
【請求項11】
請求項1に記載の検査装置を用いた検査方法であって、
検査光を検査対象物に照射する工程と、
前記検査対象物によって反射された前記検査光の反射光を検出する工程と、
を有し、
前記検査光の分光分布は、蛍光に由来する少なくとも一つの極大値を持ち、
前記極大値は、600nm以上750nm以下の波長範囲内にあり、
前記少なくとも一つの極大値において分光強度が最大である前記極大値の分光強度をPmaxとしたとき、波長750nmよりも長波長域の分光強度の最大値は前記Pmaxの20%以上Pmax未満であり、かつ、500nm以上550nm以下の波長範囲内の分光強度は前記Pmaxの20%未満である、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、白色光及び近赤外光を利用する異物の検査装置及び検査方法が知られている。特許文献1では、果実などの食品中に含まれる異物を検出する検出方法を開示している。具体的には、まず、食品と異物に光を照射することによって得られる反射光の可視光及び近赤外光の吸収スペクトルを測定し、当該吸収スペクトルに対して2次微分処理を行い、上記食品と上記異物との間で異なる2次微分スペクトルを示す波長帯を選定する。続いて、食品に対して、選定された波長帯の2次微分分光画像を作成する。これによって、食品中に含まれる異物を検出している。
【0003】
特許文献2では、食品に含まれる異物の有無と、その位置を把握する食品検査装置を開示している。具体的は、近赤外領域に中心波長を有する第1及び第2検査光を食品に照射する面光源と、第1及び第2検査光で撮像された第1及び第2画像を出力する撮像機構と、第1及び第2画像の差分画像を生成する差分画像生成部とを備えた装置を開示している。なお、特許文献2の食品検査装置は、光源として蛍光体を使用することなく、波長が異なる二種類のスーパールミネッセントダイオード(SLD)を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4220285号公報
【文献】特開2014-44070号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、特許文献1の検出方法は、短波長可視から近赤外までの広い波長範囲に亘って光成分を持つ白色光を使用するので、光の利用効率が悪い。また、この検出方法に用いる装置は、広い波長範囲に亘る光成分を持つ白色光を放射する必要があるため、光源を小型高出力化することが困難であった。また、特許文献2の検査装置は、近赤外領域に偏った光成分を利用するため、近赤外領域における光吸収特性及び光反射特性が検査対象物と近似している異物を、高感度で検知することが困難であった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、近赤外領域における光吸収特性及び光反射特性が検査対象物と近似している異物を検出でき、さらに光源の小型高出力化にも有利な検査装置及び検査方法を提供する。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係る検査装置は、蛍光体を備える光源と光検出器とを備え、光源が放つ検査光を検査対象物に照射した後、検査対象物によって反射された検査光の反射光を光検出器で検出する検査装置である。検査光の分光分布は、蛍光体が放つ蛍光に由来する少なくとも一つの極大値を持ち、極大値は、600nm以上750nm以下の波長範囲内にある。少なくとも一つの極大値において分光強度が最大である極大値の分光強度をPmaxとしたとき、波長750nmよりも長波長域の分光強度の最大値はPmaxの20%以上Pmax未満であり、かつ、500nm以上550nm以下の波長範囲内の分光強度はPmaxの20%未満である。
【0008】
本発明の第二の態様に係る検査方法は、検査光を検査対象物に照射する工程と、検査対象物によって反射された検査光の反射光を検出する工程とを有する。検査光の分光分布は、蛍光に由来する少なくとも一つの極大値を持ち、極大値は、600nm以上750nm以下の波長範囲内にある。少なくとも一つの極大値において分光強度が最大である極大値の分光強度をPmaxとしたとき、波長750nmよりも長波長域の分光強度の最大値は、Pmaxの20%以上Pmax未満であり、かつ、500nm以上550nm以下の波長範囲内の分光強度は、Pmaxの20%未満である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、検査対象物及び異物における反射スペクトルの強度と波長の関係を示すグラフである。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る検査装置の構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る検査装置の光源が放つ検査光の分光分布の一例を示すグラフである。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る検査装置の光源が放つ検査光の分光分布の他の例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、本実施形態の検査装置における光源の構成の一例を示す概略図である。
【
図6】
図6(a)は、実施例において、青色LEDチップが放つ一次光の分光分布を示すグラフである。
図6(b)は、実施例において、第一の波長変換体を透過した一次光と第一の波長変換光との混合光の分光分布を示すグラフである。
図6(c)は、実施例において、第二の波長変換体を透過した一次光と第二の波長変換光との混合光の分光分布を示すグラフである。
図6(d)は、実施例において、
図6(b)の混合光及び
図6(c)の混合光がさらに混合されてなる検査光の分光分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係る検査装置及び検査方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
[検査装置及び検査方法の原理]
本発明者は、検査対象物に異物を混入させた後、検査対象物に光を照射しつつ、当該照射光の分光分布を変えることにより、検査対象物中の異物が光検出器で、どのように検出されるかを調査した。具体的には、検査対象物として弁当を選択し、異物として色調が異なる毛髪を混入させた。そして、弁当に光を照射しつつ、当該照射光の分光分布を変えて、弁当中の具材及び毛髪を光検出器で撮像した。その結果、特定の分光分布を持つ光を利用した場合に、異物の色調に関わらず、異物を再現性よく高感度で検知できることが判明した。
【0012】
このように検知できる理由を調査した結果、光検出器(撮像素子)による異物の見え方は、検査対象物及び異物の光反射特性が関与していることが分かった。また、照射光として、赤色光の強度が強く、近赤外光が少なからず含まれており、さらに分光分布が幅広の場合に、良好な検知結果が得られることが判明した。
【0013】
図1では、代表的な弁当の具材と色調が異なる毛髪に関し、反射率の波長依存性を調査した結果を示す。弁当の具材としては、海苔、鶏唐揚げ、ブロッコリー、卵焼き及びご飯を用いた。また、毛髪としては、黒髪、茶髪及び白髪を用いた。
【0014】
図1に示すように、海苔、ブロッコリー及び鶏唐揚げなど、暗い色調を持つ具材の多くは、近赤外領域から赤色光領域へ波長が短くなるにつれて、その反射率を下げることが分かる。また、黒髪及び茶髪も、近赤外領域から波長が短くなるにつれて、その反射率を下げることが分かる。しかし、卵焼き及びご飯並びに白髪は、近赤外領域から赤色光領域へ波長が短くなっても、その反射率が低下し難いことが分かる。
【0015】
つまり、具材と毛髪の反射スペクトルの波長依存性は、550nm以上750nm以下の波長範囲内、特に600nm以上700nm以下の波長範囲内で、その挙動を異にする程度が大きくなることが分かる。具体的には、海苔、ブロッコリー及び黒髪は、当該波長範囲内で反射率が大きく低下するのに対し、鶏唐揚げ及び茶髪は、海苔、ブロッコリー及び黒髪よりも反射率の低下が小さい。逆に、卵焼き、ご飯及び白髪は、当該波長範囲内でも反射率はさほど低下しない。そのため、赤色光の反射率の違いを利用することにより、異物を検知できることが分かる。例えば、ご飯及び卵焼きの表面に、黒髪又は茶髪が混入している場合には、赤色光を照射してその反射光を検知することにより、反射率の違いを利用して黒髪及び茶髪を発見することができる。
【0016】
ただ、照射光に含まれる赤色光の強度が小さい場合、その反射光を光検出器で検出してもS/N(シグナル/ノイズ比)が悪化して、赤色光を精度よく検出することができない。そのため、検査対象物に強い赤色光を照射することによって、光検出器によって検出される赤色光の信号強度が増し、S/Nが改善されるので、検査対象物と異物との信号強度差が明瞭化する。
【0017】
このように、弁当の具材と毛髪の反射スペクトルの波長依存性は、550nm以上750nm以下、特に600nm以上700nm以下の波長範囲内で、その挙動を異にする程度が大きくなる組み合わせが多い。このため、この波長範囲内の光成分強度が大きい場合には、異物となる毛髪の検知に効果的に作用すると考えられる。
【0018】
ここで、
図1に示すように、海苔及びブロッコリー並びに黒髪は色調が暗いため、600nm以上700nm以下の波長範囲内では、反射光の挙動がほぼ同じである。したがって、照射光として赤色光を用いた場合、海苔及びブロッコリーの表面に黒髪が混入していても、黒髪を発見することが困難である。
【0019】
しかし、黒髪は、近赤外光を吸収やすく、殆ど反射しない性質を持つ。つまり、黒髪と弁当の具材の反射率を比較すると、少なくとも750nm以上900nm以下の波長範囲内では、具材の略全てが50%程度以上の比較的高い反射率を示すのに対して、黒髪の反射率は20%未満であり、その差は大きい。このため、具材中の黒髪は、近赤外光の反射光によって高感度で検知できることが分かる。
【0020】
ここで、
図1に示すように、750nm以上900nm以下の波長範囲内における茶髪及び白髪の反射率は、具材と同等である。そのため、近赤外光を使用して、具材中から茶髪及び白髪を検知することは困難である。しかし、上述のように、550nm以上750nm以下の波長範囲内における茶髪及び白髪の反射率は、具材の反射率に対して、ある程度の差を持つ。このため、具材中の茶髪及び白髪は、赤色光の反射光によって高感度で検知できることが分かる。
【0021】
このように、強い赤色光は、茶髪及び白髪の検知と、その信号/ノイズ比の向上に効力を発揮し、近赤外光は、黒髪の検知に効力を発揮する。そのため、検査光として、近赤外の光成分と強い赤色の光成分を含む光を使用することにより、色調とは無関係に異物を高感度で検知することが可能となる。
【0022】
本実施形態の検査装置及び検査方法は、このような知見に基づいて成されたものであり、特に弁当の具材中に混入した毛髪の検知に好都合な光を使用することを特徴とする。なお、弁当の具材中に混入した毛髪の検知以外に、本実施形態の検査装置及び検査方法を適用することは可能である。つまり、具材も毛髪も有機物という見方ができることや、具材は食品であり、毛髪は食品ではないという見方もできることを考慮すると、特定の有機物中に含まれる他の有機異物の検知や、食品及び嗜好品中に含まれる有機異物の検知にも適用することができる。このため、本実施形態の検査装置及び検査方法は、弁当の具材中に含まれる毛髪の検査に限定されるものではなく、他の検査にも利用することができる。
【0023】
[検査装置の構成]
図2では、本実施形態に係る検査装置の構成を概略的に示す。本実施形態の検査装置100は、蛍光体を備える光源10と光検出器20とを少なくとも備えている。そして、光源10が放つ検査光11を検査対象物30に照射した後、検査対象物30によって反射された検査光11の反射光12を光検出器20で検出している。
【0024】
このような検査装置100において、光源10が放つ検査光11は、例えば、
図3又は
図4に示す分光分布を有している。具体的には、検査光11の分光分布は、蛍光体が放つ蛍光に由来する少なくとも一つの極大値11A,11Bを持つ。そして、少なくとも極大値11Aは、600nm以上750nm以下の波長範囲内にあることが好ましく、610nm以上700nm以下の波長範囲内にあることがより好ましく、620nm以上680nm以下の波長範囲内にあることがさらに好ましい。
【0025】
そして、少なくとも一つの極大値11A,11Bにおいて分光強度が最大である極大値11Aの分光強度をPmaxとしたとき、波長750nmよりも長波長域の分光強度の最大値はPmaxの20%以上Pmax未満であることが好ましい。また、波長750nmよりも長波長域の分光強度の最大値は、Pmaxの30%以上Pmaxの80%未満であることがより好ましく、Pmaxの50%以上Pmaxの70%未満であることがさらに好ましい。そして、500nm以上550nm以下の波長範囲内の分光強度は、Pmaxの20%未満であることが好ましく、18%未満であることがより好ましく、16%未満であることがさらに好ましい。
【0026】
上述のように、検査光11として、近赤外の光成分と強い赤色の光成分とを含む光を使用することにより、異物を高感度で検知することができる。そして、
図3及び
図4に示すように、検査光11は、600nm以上750nm以下の波長範囲に極大値を持つ赤色光と、波長750nmよりも長波長域の近赤外光とを持つ。また、赤色光の分光強度は、近赤外光の分光強度よりも大きい。このように、検査光11として、波長差を持つ赤色及び近赤外の両方の光成分を含む光を利用するので、近赤外光だけでの検知が困難な類似種の異物(例えば、色調の異なる毛髪)であっても、赤色光で検知できる。そのため、異物の検知確率が増加し、検査精度を高めることが可能となる。さらに、赤色光の強度が強い光を近赤外光と共に検査対象物30に照射するので、近赤外域よりも赤色波長域の反射率が小さい検査対象物や異物の検査精度が高くなる。
【0027】
また、検査光11は、500nm以上550nm以下の波長範囲内の分光強度が、Pmaxの20%未満である。つまり、検査光11は、赤色光の強度を高める反面、緑色光の強度を低くしている。これにより、検査の良否を決定する特定の波長域に光成分を集中させる形態になるので、光の利用効率及び光源10の電光変換効率を高めることができる。その結果、検査装置100は、小型高出力化及び高効率化に有利となる。
【0028】
このように、検査装置100は、近赤外光だけでの検知が困難な類似種の異物を、近赤外光と赤色光の両方を用いることで高精度に検知でき、さらに装置のコンパクト化を図ることもできる。
【0029】
検査装置100の分光分布において、500nm以上1000nm以下の波長範囲内における極大値11A,11Bの数は、1つ又は2つであることが好ましい。さらに、600nm以上900nm以下の波長範囲内における極大値11A,11Bの数が、1つ又は2つであることがより好ましい。また、蛍光体が放つ蛍光成分に由来する極大値11Aは、分光分布の強度最大値をとることが好ましい。このようにすると、検査光11は、検査の良否を決定する赤色~近赤外の波長域に光成分が集中した光になる。そのため、電光変換効率の高い光源設計が容易になり、さらに利用効率の高い検査光11にもなることから、光源10の小型高出力化及び検査装置100のコンパクト化に有利となる。
【0030】
また、検査装置100の分光分布に関し、550nm以上850nm以下の波長範囲内の分光強度において、波長に対する変化量は、波長1nmあたり5%未満であることが好ましい。また、550nm以上950nm以下の波長範囲内の分光強度において、波長に対する変化量は、波長1nmあたり5%未満であることがより好ましい。このように、蛍光体が放つ蛍光成分に由来する分光分布を幅広なものにすることにより、波長に対する強度変化が少なく、さらに、上記の全ての波長範囲内において光成分を持つものになる。そのため、検査対象物30が、光反射特性の波長依存性又は光吸収特性の波長依存性が大きい場合でも、比較的高い精度で検査することが可能となる。
【0031】
(光源)
検査装置100の光源10は、固体発光素子3と蛍光体とを組み合わせてなることが好ましい。固体発光素子3と蛍光体とを組み合わせた波長変換型発光素子は、長寿命で信頼性に優れ、さらに回路設計が容易な全固体の光源である。このような波長変換型発光素子を利用することにより、長期間に亘って、光源の点検及びメンテナンスなどの負担を軽減することが可能となる。
【0032】
より詳細に説明すると、光源10は、
図2及び
図5に示すように、固体発光素子3と、第一の波長変換光1Bを放つ赤色蛍光体を含む第一の波長変換体1Aと、第二の波長変換光2Bを放つ近赤外蛍光体を含む第二の波長変換体2Aとを備える。そして、固体発光素子3は一次光3Bを放つ。第一の波長変換体1Aは、一次光3Bの少なくとも一部を吸収して、赤色の光成分を主として含む第一の波長変換光1Bに変換する。第二の波長変換体2Aは、一次光3Bの一部を吸収して、近赤外の光成分を主として含む第二の波長変換光2Bに変換する。
【0033】
具体的には、第一の波長変換体1Aは、正面1Aaで一次光3Bを受光し、背面1Abから一次光3B及び第一の波長変換光1Bを放射する。さらに、第二の波長変換体2Aは、正面2Aaで一次光3Bを受光し、背面2Abから一次光3B及び第二の波長変換光2Bを放射する。そして、第一の波長変換光1B、第二の波長変換光2B及び一次光3Bの混合光(検査光11)を、光源10の出力面10aから出力する。
【0034】
光源10は、
図2に示すように、第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2Aが一つの固体発光素子3の光出力面に沿って並列に配置した構成とすることができる。また、光源10は、
図5に示すように、固体発光素子3と第一の波長変換体1Aを組み合わせた第一の波長変換型発光素子と、固体発光素子3と第二の波長変換体2Aを組み合わせた第二の波長変換型発光素子とを並列に配置した構成とすることもできる。
【0035】
また、光源10は、固体発光素子3と複数の波長変換体の積層体とを組み合わせた構成とすることもできる。この際、当該積層体は、赤色蛍光体を含む第一の波長変換体1Aと近赤外蛍光体を含む第二の波長変換体2Aとを積層した構成とすることできる。第一の波長変換体1Aは、一次光3Bの少なくとも一部を吸収して、第一の波長変換光1Bに変換する。また、第二の波長変換体2Aも、一次光3Bの少なくとも一部を吸収して、第二の波長変換光2Bに変換する。そして、積層体は、正面で一次光3Bを受光し、背面から一次光3B、第一の波長変換光1B及び第二の波長変換光2Bを放射する。なお、第二の波長変換体2Aは、第一の波長変換体1Aが放つ第一の波長変換光1Bを専ら吸収して、第二の波長変換光2Bを放つものとすることもできる。
【0036】
なお、光源10は、固体発光素子3と単一の波長変換体とを組み合わせてなり、当該波長変換体は、赤色蛍光体と近赤外蛍光体の両方を含むような構成とすることもできる。この場合、波長変換体は、一次光3Bの少なくとも一部を吸収して、第一の波長変換光1B及び第二の波長変換光2Bに変換する。そして、当該波長変換体は、正面で一次光3Bを受光し、背面から一次光3B、第一の波長変換光1B及び第二の波長変換光2Bを放射する。
【0037】
<固体発光素子>
光源10において、固体発光素子3は、440nm以上480nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光を放つことが好ましい。具体的には、固体発光素子3は、440nm以上480nm未満、特に445nm以上470nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ光を放つ青色発光素子とすることが好ましい。このような構成にすると、固体発光素子3が放つ光は、蛍光体が放つ蛍光成分に由来して形成される極大値よりも短波長の光になる。そのため、固体発光素子3が放つ青色光を蛍光体に照射することによって、赤色や近赤外の光成分を蛍光体の波長変換光として容易に得ることができる。また、青色光を放つ固体発光素子3は入手が容易であることから、工業生産に有利な検査装置100となる。
【0038】
固体発光素子3は、発光ダイオード又はレーザーダイオードであることが好ましい。また、固体発光素子3として、1W以上の高エネルギーの光を放つLEDモジュール又はレーザーダイオードを使用することにより、検査装置100は数百mWクラスの近赤外の光成分を含む光出力を期待することができる。固体発光素子3として、3W以上又は10W以上の光を放つLEDモジュールを使用することにより、検査装置100は数Wクラスの光出力を期待することができる。固体発光素子3として、30W以上の光を放つLEDモジュールを使用することにより、検査装置100は10Wを超える光出力を期待することができる。固体発光素子3として、100W以上の光を放つLEDモジュールを使用することにより、検査装置100は30Wを超える光出力を期待することができる。なお、レーザーダイオードとしては、例えば、端面発光レーザー(EEL:Edge Emitting Laser)、垂直共振器面発光型レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等を使用することができる。
【0039】
固体発光素子3は、複数個であることが好ましい。これにより、一次光3Bの出力を大きくすることができ、高出力化に有利な検査装置となる。なお、固体発光素子の個数は特に限定されないが、例えば、9個以上、16個以上、25個以上、36個以上、49個以上、64個以上、81個以上又は100個以上とすることができる。また、固体発光素子の個数の上限も特に限定されないが、例えば、9個、16個、25個、36個、49個、64個、81個又は100個とすることができる。
【0040】
検査装置100において、固体発光素子3は、面発光形の面発光光源であることが好ましい。これにより、一次光3Bの強度分布のばらつきや色調のむらを抑制するので、出力光の強度むらの抑制に有利な検査装置となる。
【0041】
固体発光素子3が放つ一次光3Bの光エネルギー密度は、0.3W/mm2を超えることが好ましく、1.0W/mm2を超えることがより好ましい。このようにすると、一次光3Bの光エネルギー密度が大きいので、拡散させた一次光3Bを第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2Aに照射する構成にした場合、比較的強い検査光11を放つことができる。また、拡散させない一次光3Bを、第一の波長変換体1A及び第二の波長変換体2Aに直接照射する構成にした場合、光エネルギー密度が大きい検査光11を放つことができる。なお、固体発光素子3が放つ一次光3Bの光エネルギー密度の上限は特に限定されないが、例えば30W/mm2とすることができる。
【0042】
<第一の波長変換体>
第一の波長変換体1Aは、赤色蛍光体をシリコーン樹脂で封止した波長変換体とすることができる。また、第一の波長変換体1Aは、赤色蛍光体を低融点ガラスで封止した全無機の波長変換体とすることができる。さらに、第一の波長変換体1Aは、結着材などを使用して、赤色蛍光体を主体にしてなる全無機の波長変換体とすることもできる。第一の波長変換体1Aは、赤色蛍光体を焼結してなる焼結体、つまり蛍光セラミックスとすることもできる。
【0043】
第一の波長変換体1Aの厚みは特に限定されないが、最大厚みが100μm以上5mm未満であることが好ましく、200μm以上1mm未満であることがより好ましい。
【0044】
第一の波長変換体1Aは、透光性を持つことが好ましい。これにより、一次光3Bと波長変換体の内部で波長変換された光成分とを、第一の波長変換体1Aを透過して放出することができる。
【0045】
第一の波長変換体1Aに含まれる赤色蛍光体は、一次光3Bを吸収して、第一の波長変換光1Bに変換する蛍光体である。そして、赤色蛍光体は、600nm以上660nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ赤色光を放つことが好ましく、610nm以上650nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ赤色光を放つことがより好ましい。このようにすると、固体発光素子3が放つ一次光3Bを赤色の光成分へ容易に波長変換できるため、検査光11が必要とする赤色の光成分を得る上で好都合となる。
【0046】
赤色蛍光体としては、希土類イオン及び遷移金属イオンの少なくとも一方で賦活され、赤色光を放つ蛍光体を使用することができる。希土類イオンは、Ce3+及びEu2+の少なくとも一つであることが好ましい。遷移金属イオンは、Mn4+が好ましい。そして、赤色蛍光体は、当該蛍光イオンを含む、酸化物、硫化物、窒化物、ハロゲン化物、酸硫化物、酸窒化物又は酸ハロゲン化物であることが好ましい。
【0047】
赤色蛍光体は、Eu2+を発光中心として含む、酸化物、硫化物、窒化物、ハロゲン化物、酸硫化物、酸窒化物又は酸ハロゲン化物であることがより好ましい。また、赤色蛍光体は、Eu2+で賦活された金属複合窒化物又は金属複合酸窒化物からなる蛍光体であることが好ましい。このようなEu2+賦活窒化物系蛍光体としては、アルカリ土類金属窒化珪酸塩、アルカリ土類金属窒化アルミノ珪酸塩、アルカリ土類金属酸窒化珪酸塩、アルカリ土類金属酸窒化アルミノ珪酸塩の蛍光体を挙げることができる。また、Eu2+賦活窒化物系蛍光体としては、MAlSiN3:Eu2+、M2Si5N8:Eu2+、MAlSi4N7:Eu2+を挙げることができる。なお、Mは、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素である。さらに、Eu2+賦活窒化物系蛍光体としては、上記化合物を構成する結晶におけるSi4+-N3+の組み合わせの一部をAl3+-O2-で置換した蛍光体も挙げることができる。
【0048】
Eu2+を発光中心とする赤色蛍光体は、青色光を吸収して分光分布が幅広な赤色光へと変換することができる。また、このような赤色蛍光体は、発光ダイオード(LED)の技術の発展と共に改良が進められている。そして、吸収した青色光を理論限界に近い光子変換効率で変換し得る赤色蛍光体が、LED照明用として市販されているため、調達が容易である。そのため、このような赤色蛍光体を使用することにより、固体発光素子3が放つ一次光3Bを低減するだけでなく、検査で必要な幅広の分光分布を持つ赤色光を容易に得ることが可能となる。
【0049】
<第二の波長変換体>
第二の波長変換体2Aは、近赤外蛍光体をシリコーン樹脂で封止した波長変換体とすることができる。また、第二の波長変換体2Aは、近赤外蛍光体を低融点ガラスで封止した全無機の波長変換体とすることができる。さらに、第二の波長変換体2Aは、結着材などを使用して、近赤外蛍光体を主体にしてなる全無機の波長変換体とすることもできる。第二の波長変換体2Aは、近赤外蛍光体を焼結してなる焼結体、つまり蛍光セラミックスとすることもできる。なお、第二の波長変換体2Aの形状は、第一の波長変換体1Aと同様であることから、重複する説明を省略する。
【0050】
第二の波長変換体2Aは、透光性を持つことが好ましい。これにより、一次光3Bに加えて、波長変換体の内部で波長変換された光成分も、第二の波長変換体2Aを透過して放出することができる。また、第二の波長変換体2Aは、波長750nmの光を透過することが好ましい。これにより、第二の波長変換体2Aが近赤外光を透過することから、波長変換体の内部で光子が波長変換体自身に吸収されて消失することが抑制される。
【0051】
第二の波長変換体2Aに含まれる近赤外蛍光体は、一次光3Bを吸収して、第二の波長変換光2Bに変換する蛍光体である。そして、近赤外蛍光体は、700nm以上1000nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ近赤外光を放つことが好ましく、720nm以上900nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ近赤外光を放つことがより好ましい。このようにすると、固体発光素子3が放つ一次光3Bを近赤外の光成分へ容易に波長変換できるため、検査光11が必要とする近赤外の光成分を得る上で好都合となる。
【0052】
近赤外蛍光体としては、例えば、近赤外光源用として知られる各種の無機蛍光体を使用することができる。具体的には、近赤外蛍光体としては、希土類イオン及び遷移金属イオンの少なくとも一方で賦活され、近赤外の光成分を含む蛍光を放つ蛍光体を使用することができる。希土類イオンは、Nd3+、Eu2+、Ho3+、Er3+、Tm3+及びYb3+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。遷移金属イオンは、Ti3+、V4+、Cr4+、V3+、Cr3+、V2+、Mn4+、Fe3+、Co3+、Co2+及びNi2+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。そして、近赤外蛍光体は、当該蛍光イオンを含む、酸化物、硫化物、窒化物、ハロゲン化物、酸硫化物、酸窒化物又は酸ハロゲン化物であることが好ましい。
【0053】
近赤外蛍光体において、好ましい蛍光イオンはCr3+である。蛍光イオンとしてCr3+を使用することにより、可視光、特に青色光又は赤色光を吸収して近赤外の光成分に変換する近赤外蛍光体を得ることが容易になる。また、母体の種類によって、光吸収ピーク波長や蛍光ピーク波長を変えることも容易となり、励起スペクトル形状や蛍光スペクトル形状を変える上で有利になる。
【0054】
近赤外蛍光体は、多くの実用実績を持ち、ガーネット型の結晶構造を有する蛍光体が好ましい。また、近赤外蛍光体は、Cr3+で賦活された金属複合酸化物からなる蛍光体であることが好ましい。具体的には、近赤外蛍光体としては、Ln3B’2(AlO4)3:Cr3+、Ln3B’2(GaO4)3:Cr3+の一般式で示されるガーネット蛍光体が挙げられる。なお、Lnは希土類元素、B’はAl、Ga及びScから選択される少なくとも一つの元素である。そして、Lnは、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素であることが好ましい。また、近赤外蛍光体としては、上述のガーネット蛍光体を構成する結晶におけるLn3+-B’3+の組み合わせの一部を、M2+-Si4+の組み合わせで置換した蛍光体も挙げることができる。なお、Mはアルカリ土類金属であり、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素であることが好ましい。また、近赤外蛍光体としては、上述のガーネット蛍光体同士の固溶体であってもよい。
【0055】
近赤外蛍光体としては、希土類アルミニウムガーネット蛍光体及び希土類ガリウムガーネット蛍光体の少なくとも一方であることが好ましい。具体的には、近赤外蛍光体は、Y3Al2(AlO4)3:Cr3+、La3Al2(AlO4)3:Cr3+、Gd3Al2(AlO4)3:Cr3+、Y3Ga2(AlO4)3:Cr3+、La3Ga2(AlO4)3:Cr3+、Gd3Ga2(AlO4)3:Cr3+、Y3Sc2(AlO4)3:Cr3+、La3Sc2(AlO4)3:Cr3+、Gd3Sc2(AlO4)3:Cr3+、Y3Ga2(GaO4)3:Cr3+、La3Ga2(GaO4)3:Cr3+、Gd3Ga2(GaO4)3:Cr3+、Y3Sc2(GaO4)3:Cr3+、La3Sc2(GaO4)3:Cr3+、Gd3Sc2(GaO4)3:Cr3+からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。また、近赤外蛍光体は、これらの蛍光体を端成分としてなる固溶体であってもよい。
【0056】
このようなCr3+を発光中心とする近赤外蛍光体は、青色光だけでなく赤色光も吸収して、分光分布が幅広となる近赤外光へと変換することができる。また、このような近赤外蛍光体は、吸収した光を理論限界に近い光子変換効率で変換し得る。そのため、このような近赤外蛍光体を使用することにより、固体発光素子3が放つ一次光3Bを低減するだけでなく、検査で必要な幅広の分光分布を持つ近赤外光を容易に得ることが可能となる。
【0057】
(光検出器)
光検出器20は、検査対象物30によって反射された検査光11の反射光12を検出できるならば、各種の検出器を使用することができる。具体的には、光が半導体のPN接合に入射したときに生じる電荷を検出する量子型の光検出器、例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトIC、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどを用いることができる。また、光を受光したときの発生熱による温度上昇によって生じる電気的性質の変化を検知する熱型の光検出器、例えば熱電効果を使用するサーモパイル、焦電効果を使用する焦電素子も用いることができる。さらに、光検出器としては、光に感光する赤外線フィルムも用いることができる。
【0058】
光検出器20としては、光電変換素子を単体で使用した単独素子を使用してもよく、光電変換素子を集積化した撮像素子を使用してもよい。撮像素子の形態は、一次元的に配置した線型のものであってもよく、二次元的に配置した面型のものであってもよい。
【0059】
このような構成を有する検査装置100により、検査対象物30を検査する方法について説明する。
図2に示すように、検査対象物30は、コンベア31の表面31aに載置されており、図中の矢印の方向に向かって連続的に移動している。そして、コンベア31の斜め上方には光源10が設置されており、コンベア31の上方には光検出器20が設置されている。
【0060】
このような検査装置100では、光源10から検査対象物30に向かって検査光11が照射されている。検査光11が照射された検査対象物30の表面では、照射物の光吸収特性及び光反射特性に応じて、赤色光及び近赤外光が反射される。そして、検査対象物30によって反射された検査光11の反射光12を光検出器20で検出する。
【0061】
ここで、上述のように、検査対象物30が弁当の具材であり、異物が毛髪である場合、光検出器20で撮像した赤色光の画像から具材中の茶髪及び白髪を検知することができ、近赤外光の画像から具材中の黒髪を検知することができる。例えば、当該画像において、光吸収特性が高い物質を黒色に表示し、光吸収特性が低い物質を白色に表示することにより、異物を検知することができる。
【0062】
そして、検査の結果、検査対象物30に異物が含まれていないと判断した場合には、検査対象物30を後工程に移動させる。これに対し、検査の結果、検査対象物30に異物が含まれていると判断した場合には、この検査対象物30を例えば別ラインに移動させることにより、異物が混入された品物を取り除くことができる。
【0063】
検査装置100において、検査対象物30は食品とすることができる。なお、「食品」は、弁当の具材、穀物、野菜、果物、肉、魚、加工食品、飲料など、人が食用にする品物の総称である。
【0064】
上述のように、検査装置100は、検査対象物に異物が含まれているか否かを検査するものである。例えば、検査装置100は、食品中に混入した異物の有無や状態を検知する用途に利用することができる。とりわけ、検査装置100は、異物として有機物、特に毛髪を検知することができる。
【0065】
ここで、人により作業がなされる食品関係の工場などでは、X線での検知が容易な無機物(金属、無機化合物など)由来の異物だけでなく、X線での検知が困難な人由来、石油製品由来、植物由来の異物が食品に混入するリスクがある。しかし、検査装置100を使用することにより、有機物由来の異物を検知することができるため、異物混入のリスクを低減することが可能となる。
【0066】
検査装置100は、異物を検知した検査対象物30を選別する選別手段をさらに備えてもよい。選別は、異物を検知した検査対象物(異常品)を、機械的に別のラインに移動させたり、エアガンで吹き飛ばしたりするなどの手段で実施可能である。このようにすると、検査対象物の正常品と異常品を選別し得るので、異常品を一纏めにすることができる。そのため、異常状態の把握作業、及び正常化のための作業に好都合となる。
【0067】
検査装置100は、異物を可視化する可視化手段をさらに備えてもよい。異物の可視化は、例えば、撮像管や撮像素子などを利用する公知の手段で実施可能である。これによって、検査対象物の異常な状態が人の目で直ちに分かるようになるため、作業者が検査対象物の異常な状態を正しく理解することが可能となる。
【0068】
検査装置100は、可視化した異物と検査対象物とを繋ぐ一体化手段を備えることも好ましい。一体化は、撮像素子で撮像した異物の画像と検査対象物の画像とを重畳した合成画像を表示する表示手段で実施可能である。これにより、異常品そのものと、それが持つ異常情報(異物情報)とが一体化されるので、現物を目の前にして、それが持つ異常の状態を正しく理解し、適切な処置を施すことが可能となる。また、一体化は、異物混入が判明した検査対象物にタグ(目印)を付与する手段によっても実施可能である。これにより、正常品と異常品を、離れた位置からでも容易に見分けることが可能となる。
【0069】
このように、本実施形態の検査装置100は、蛍光体を備える光源10と光検出器20とを備え、光源10が放つ検査光11を検査対象物30に照射した後、検査対象物30によって反射された検査光11の反射光12を光検出器20で検出する検査装置である。検査光11の分光分布は、蛍光体が放つ蛍光に由来する少なくとも一つの極大値11A,11Bを持ち、極大値11A,11Bは、600nm以上750nm以下の波長範囲内にある。そして、少なくとも一つの極大値11A,11Bにおいて分光強度が最大である極大値11Aの分光強度をPmaxとする。このとき、波長750nmよりも長波長域の分光強度の最大値はPmaxの20%以上Pmax未満であり、かつ、500nm以上550nm以下の波長範囲内の分光強度はPmaxの20%未満である。
【0070】
また、本実施形態の検査方法は、検査光11を検査対象物30に照射する工程と、検査対象物30によって反射された検査光11の反射光12を検出する工程と、を有する。検査光11の分光分布は、蛍光に由来する少なくとも一つの極大値11A,11Bを持ち、極大値11A,11Bは、600nm以上750nm以下の波長範囲内にある。そして、少なくとも一つの極大値11A,11Bにおいて分光強度が最大である極大値11Aの分光強度をPmaxとする。このとき、波長750nmよりも長波長域の分光強度の最大値はPmaxの20%以上Pmax未満であり、かつ、500nm以上550nm以下の波長範囲内の分光強度はPmaxの20%未満である。
【0071】
本実施形態の検査装置100及び検査方法では、赤色及び近赤外の両方の光成分を利用するため、近赤外光だけでの検知が困難な類似種の異物、例えば、色調の異なる毛髪などに対する検査精度を向上させることが可能となる。さらに、検査の良否を決定する波長域に光成分を集中させているため、電光変換効率を高めることが可能となる。また、検査対象物30に対して、強度が高い赤色光を近赤外光と共に照射するため、近赤外域よりも赤色域の反射率が小さい有機物系の異物を高精度で検査することが可能となる。
【0072】
また、光源10に備えられる蛍光体は、600nm以上660nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ赤色光を放つ赤色蛍光体と、700nm以上1000nm未満の波長範囲内に強度最大値を持つ近赤外光を放つ近赤外蛍光体とを含むことが好ましい。さらに、当該蛍光体は、赤色蛍光体と近赤外蛍光体のみからなることも好ましい。このようにすると、固体発光素子3が放つ一次光3Bを、赤色及び近赤外の光成分へ容易に波長変換できるため、検査光11が必要とする赤色及び近赤外の光成分を得る上で好都合となる。
【実施例】
【0073】
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
[光源の作製]
まず、青色光(ピーク波長:400~455nm)である一次光3Bを放つ固体発光素子3と第一の波長変換体1Aとで構成される第一の波長変換型発光素子を作製した。
【0075】
固体発光素子3は青色LEDチップを使用し、青色LEDチップはオスラムオプトセミコンダクターズ社製、品番:LE B P2MQを使用した。また、第一の波長変換体1Aは、Y3Al2(AlO4)3:Ce3+蛍光体(YAG蛍光体)と(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+蛍光体(SCASN蛍光体)とを含む樹脂蛍光膜とした。そして、第一の波長変換体1A及び第一の波長変換型発光素子は、次のように作製した。
【0076】
まず、蛍光体粉末として、YAG蛍光体とSCASN蛍光体を準備した。YAG蛍光体は、株式会社東京化学研究所製で、中心粒径D50が約24μmのものを使用した。このYAG蛍光体は、波長540nm付近に蛍光ピークを持ち、黄緑色光を放つものであった。SCASN蛍光体は、三菱ケミカル株式会社製で、中心粒径D50が約14μmのものを使用した。このSCASN蛍光体は、波長625nm付近に蛍光ピークを持ち、赤色光を放つものであった。さらに、蛍光体粉末の封止剤として、二液混合型の熱硬化シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製、製品名:KER-2500A/B)を準備した。
【0077】
次に、YAG蛍光体(2.352g)及びSCASN蛍光体(0.504g)とシリコーン樹脂(A剤0.75g、B剤0.75g)とを、攪拌脱泡装置を使用して混合し、さらに脱泡した。この際、攪拌脱泡装置は、株式会社シンキ―製、製品名:あわとり練太郎(登録商標)、形式:ARE-310を使用した。また、攪拌脱泡装置の回転数は約2000rpmとし、3分間処理を行った。このようにして、YAG蛍光体及びSCASN蛍光体とシリコーン樹脂とからなる蛍光体ペーストを作製した。
【0078】
このようにして得られた蛍光体ペーストを、ディスペンサー(形式:ML-5000XII、武蔵エンジニアリング株式会社製)を用いて、青色LEDチップの周囲に設けた高さ約210μmの枠内に滴下した。そして、蛍光体ペーストを150℃の大気中で2時間加熱して硬化させた。このように、青色LEDの主光取り出し面上に、厚み約200μmの樹脂蛍光膜を形成することにより、第一の波長変換体1A(縦5mm、横5mm、厚み約200μm)及び第一の波長変換型発光素子とした。
【0079】
次に、固体発光素子3と第二の波長変換体2Aとで構成される第二の波長変換型発光素子を作製した。固体発光素子3は、第一の波長変換型発光素子と同様に、青色LEDチップを使用した。第二の波長変換体2Aは、波長750nm付近に蛍光ピークを持ち、Cr3+で賦活された複合金属酸化物を主体にしてなる蛍光体を含む樹脂蛍光膜とした。なお、この蛍光体は、(Gd0.95La0.05)3(Ga0.97Cr0.03)2(GaO4)3の組成式で表される(Gd,La)3Ga2(GaO4)3:Cr3+蛍光体(GLGG蛍光体)であり、ガーネット型の結晶構造を持つものである。
【0080】
GLGG蛍光体は、以下の化合物粉末を主原料として使用し、オーソドックスな固相反応により調製した。
酸化ガドリニウム(Gd2O3):純度3N、日本イットリウム株式会社製
水酸化ランタン(La(OH)3):純度3N、信越化学工業株式会社製
酸化ガリウム(Ga2O3):純度4N、アジア物性材料株式会社製
酸化クロム(Cr2O3):純度3N、株式会社高純度化学研究所製
【0081】
具体的には、まず、化学反応によって化学量論的組成の化合物(Gd0.95La0.05)3(Ga0.97Cr0.03)2(GaO4)3)を生成するように、上記原料を秤量した。原料の秤量値を表1に示す。
【0082】
【0083】
次に、アルミナ製のポットミル(容量250ml)に、秤量した原料20gを、アルミナボール(直径φ3mm、合計200g)とエタノール60mlと共に投入した。その後、遊星ボールミル(フリッチュ社製、品番P-5)を用いて、ポットミルを回転速度150rpmで30分間回転させることによって、原料を湿式混合した。
【0084】
次いで、ふるいを使用してアルミナボールを取り除き、原料とエタノールからなるスラリー状の混合原料を得た。その後、混合原料を、乾燥機を用いて125℃で乾燥させた。そして、乾燥後の混合原料を乳鉢と乳棒を用いて軽く混合することにより、蛍光体原料とした。
【0085】
次に、蛍光体原料をアルミナ製の焼成容器(材質SSA-H、B3サイズ、蓋付き)に入れ、箱型電気炉を使用して、1500℃の大気中で2時間の焼成を行った。なお、焼成時の昇降温速度は300℃/hとした。
【0086】
得られた焼成物を、アルミナ製の乳鉢と乳棒を用いて手解砕した後、ナイロンメッシュ(目開き95μm)を通過させて粗大粒子を除去することによって、粉末状のGLGG蛍光体を得た。
【0087】
データを省略するものの、得られたGLGG蛍光体の結晶構成物を、X線回折装置(デスクトップX線回折装置、MiniFlex、株式会社リガク製)を用いて評価したところ、ほぼ単一結晶相のガーネット化合物であった。さらに、GLGG蛍光体の粒子形状と粒子サイズを、電子顕微鏡(卓上顕微鏡Miniscope(登録商標)TM4000、日立ハイテクノロジーズ株式会社製)を用いて評価した。その結果、GLGG蛍光体の粒子形状は単分散粒子状であり、粒子形状はガーネットの結晶に由来するとみなすことができる形状であり、粒子サイズの主体は15μm前後であった。
【0088】
そして、GLGG蛍光体の蛍光特性を、絶対PL量子収率測定装置(C9920-02、浜松ホトニクス株式会社製)を使用して、波長450nmの青色光の照射下で評価した。その結果、蛍光ピーク波長は747nm、内部量子効率(IQE)は92%、青色光の光吸収率(Abs.)は57%であった。また、波長628nmの赤色光の照射下で評価した結果、蛍光ピーク波長は746nm、内部量子効率(IQE)は93%、赤色光の光吸収率(Abs.)は45%であった。
【0089】
このようにして作製したGLGG蛍光体(4.57g)を用い、第一の波長変換体1Aと同様の手順で、第二の波長変換体2A(縦5mm、横5mm、厚み:310μm)及び第二の波長変換型発光素子を作製した。
【0090】
そして、青色LEDと第一の波長変換体1Aとで構成される第一の波長変換型発光素子と、青色LEDと第二の波長変換体2Aとで構成される第二の波長変換型発光素子を使用して、
図5に示すような光源10を作製した。
【0091】
[評価]
得られた光源について、発光特性を評価した。まず、第一の波長変換型発光素子の青色LEDチップに500mAの電流を流すと、青色LEDチップから一次光3Bとしての青色光が放射された。さらに、その一部が、第一の波長変換体1Aによって第一の波長変換光1Bとしての可視光(弱い緑色光成分と強い赤色光成分の加法混色による橙色光)に変換された。そして、一次光3Bとしての青色光と、第一の波長変換光1Bとしての可視光とからなる第一の混合光が、第一の波長変換型発光素子から放出された。なお、青色光成分の出力割合が小さかったこともあり、当該混合光の見た目は実質的に橙色光であり、白色光とみなせない色調の光であった。
【0092】
次に、第二の波長変換型発光素子の青色LEDチップに500mAの電流を流すと、青色LEDチップから一次光3Bとしての青色光が放射された。さらに、その一部が、第二の波長変換体2Aによって第二の波長変換光2Bとしての近赤外光に変換された。そして、一次光3Bとしての青色光と、第二の波長変換光2Bとしての近赤外光とからなる第二の混合光(紫色光)が、第二の波長変換型発光素子から放出された。
【0093】
そして、第一の混合光と第二の混合光がさらに混合されることにより、一次光3Bと第一の波長変換光1Bと第二の波長変換光2Bとからなる混合光が、出力光(検査光11)として放出された。なお、
図3に示した分光分布は、本例の光源から放出された出力光の分光分布である。
【0094】
図3から分かるように、検査光11の分光分布は、蛍光体が放つ蛍光成分に由来する二つの極大値11A,11Bを持つ。そして、二つの極大値11A,11Bのうち、分光強度が大きい極大値11Aは、波長618nmにある。そして、極大値11Aの分光強度を100%としたとき、波長750nmよりも長波長域の分光強度の最大値は、極大値11Aをとる波長の分光強度の61%であった。なお、「61%」は、波長750nmにおける値である。また、500nm以上550nm以下の波長範囲内の分光強度は、極大値11Aをとる波長の分光強度の16%であった。なお、「16%」は、波長550nmにおける値である。
【0095】
また、550nm以上850nm以下の波長範囲内の分光強度において、波長に対する変化量は、波長1nmあたり最大値が4.6%であった。
【0096】
参考のために、
図6(a)には、青色LEDチップが放つ一次光3Bの分光分布を示す。
図6(b)には、第一の波長変換体1Aを透過した一次光3Bと第一の波長変換光1Bとの混合光の分光分布を示す。
図6(c)には、第二の波長変換体2Aを透過した一次光3Bと第二の波長変換光2Bとの混合光の分光分布を示す。
図6(d)には、
図6(b)の混合光及び
図6(c)の混合光がさらに混合されてなる検査光11の分光分布を示す。
【0097】
図6(a)から分かるように、一次光3Bは、波長455nmに蛍光ピークを持つ単峰型の青色光であり、半値幅は約22nm(15nm以上30nm未満)であった。
【0098】
図6(b)から分かるように、第一の波長変換体1Aを透過した一次光3Bと第一の波長変換光1Bとの混合光は、強度が弱い一次光3Bと第一の波長変換光1Bとの光成分を含んでいる。そして、当該混合光は赤橙色の光であったが、相関色温度は算出不能であり、黒体輻射からのずれを示す指標のduvも算出不能であり、平均演色評価数Raも算出不能であった。なお、当該混合光は、CIE色度座標における色度が(x,y)=(0.594、0.398)であった。また、第一の波長変換光1Bの光成分は、波長618nmにピークを持ち、少なくとも500nmから800nmまでの広い波長範囲に亘って光成分を持つ単峰型のブロードな光成分であった。
【0099】
図6(c)から分かるように、第二の波長変換体2Aを透過した一次光3Bと第二の波長変換光2Bとの混合光は、一次光3Bと第二の波長変換光2Bとの光成分を含んでいる。そして、当該混合光は実質的に青色の光であったが、相関色温度は算出不能であり、duvも算出不能であり、平均演色評価数Raも算出不能であった。なお、当該混合光は、CIE色度座標における色度が(x,y)=(0.159、0.043)であった。また、第二の波長変換光2Bの光成分は、波長733nmにピークを持ち、少なくとも650nmから950nmまでの広い波長範囲に亘って光成分を持つ単峰型のブロードな光成分であった。
【0100】
図6(d)から分かるように、検査光11は、一次光3Bと第一の波長変換光1Bと第二の波長変換光2Bとの光成分を含み、少し白みがかった赤紫色光であった。また、検査光11は、相関色温度が1736K、duvが-49.6、平均演色評価数Raが60、CIE色度座標における色度が(x,y)=(0.456、0.286)であった。なお、検査光11の光成分は、453nmと618nmと732nmの各波長にピークを持ち、少なくとも410nmから950nmまでの広い波長範囲に亘って光成分を持つ多峰型の光成分であった。
【0101】
なお、この検査光11を、光源から20cm先に載置した白紙に照射し、白紙に照射された光を目視で確認した結果、当該照射光は少なくともφ20cmの範囲内の光が均質であった。
【0102】
次に、この光源10を使用し、
図2に示す検査装置を作製した。まず、光検出器20を、検査対象物30の真上であり、さらに検査対象物30から約20cm離れた位置に設置した。光検出器20は、ハイパースペクトルカメラ(Ximea社製、型番:MQ022HG-IM-SM4X4-REDNIR)を使用した。さらに、上述の光源10を、検査対象物30から約45度の斜め上方向であり、さらに検査対象物30から約20cm離れた位置に設置した。このようにして、本例の検査装置を得た。
【0103】
この検査装置では、光源10に通電して点灯させた後、放射される検査光11を検査対象物30に照射し、その様子をハイパースペクトルカメラで観察する。これにより、検査対象物30の様子や状態を検査することができる。
【0104】
そして、本例の検査装置は、600nm付近の波長領域に光成分が集中した強い可視光と、730nm付近の波長領域に光成分が集中した深赤色~近赤外の光とを含む検査光を出力する。そのため、深赤色~近赤外の波長領域における、検査対象物に対する反射率差が大きい異物と、当該異物と同種であるが、深赤色~近赤外の波長領域における反射率差が小さい異物とを同時に検知することができる。また、強い赤色光を検査対象物に照射するので、検査対象物に対して、赤色の波長領域における反射率差が比較的小さな異物であっても、高感度で検知することができる。
【0105】
さらに、本例の検査装置の光源は、投入電力を、検知に最低限必要な光成分に集中させた光に変換するので、電光変換効率に優れる。そのため、本例の検査装置は、低消費電力化及び省資源化、並びに小型高出力化にも有利となる。
【0106】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0107】
特願2021-026793号(出願日:2021年2月22日)の全内容は、ここに援用される。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示によれば、近赤外領域における光吸収特性及び光反射特性が検査対象物と近似している異物を検出でき、さらに光源の小型高出力化にも有利な検査装置及び検査方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0109】
3 固体発光素子
10 光源
11 検査光
11A,11B 極大値
12 反射光
20 光検出器
30 検査対象物
100 検査装置