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特許7511579燃料エマルジョン用の第4級アンモニウム界面活性剤を有する乳化剤パッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】燃料エマルジョン用の第4級アンモニウム界面活性剤を有する乳化剤パッケージ
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/32 20060101AFI20240628BHJP
   C10L 1/222 20060101ALI20240628BHJP
   C10L 1/18 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C10L1/32 D
C10L1/222
C10L1/18
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021564741
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020061317
(87)【国際公開番号】W WO2020224974
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】19172458.2
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーハウゼン,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ショッペ,トルステン
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-086409(JP,A)
【文献】特表2018-536755(JP,A)
【文献】特開平04-234492(JP,A)
【文献】特表2003-523478(JP,A)
【文献】特開平06-100872(JP,A)
【文献】特表2013-526652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 水、
- 燃料、及び
- 第4級アンモニウム界面活性剤を含む乳化剤パッケージ
を含む、ディーゼルエンジンに動力を供給する燃料エマルジョンであって、
前記第4級アンモニウム界面活性剤が、
- 少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を含む4級化可能な窒素化合物を、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を第4級アンモニウム基に変換する4級化剤と反応させることにより得ることができる反応生成物であり、
- 前記4級化剤が、遊離のヒドロカルビル置換ポリカルボン酸と組み合わせたヒドロカルビルエポキシドである、燃料エマルジョン
【請求項2】
前記乳化剤パッケージが、アルコキシレートである少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の燃料エマルジョン。
【請求項3】
前記乳化剤パッケージが、脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、エトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレートである少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の燃料エマルジョン。
【請求項4】
前記乳化剤パッケージが、少なくとも60wt%の非イオン性界面活性剤を含む、請求項2又は3に記載の燃料エマルジョン。
【請求項5】
前記乳化剤パッケージが、1~40wt%の第4級アンモニウム界面活性剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料エマルジョン。
【請求項6】
ディーゼル油に対して0.05~0.5wt%の量で前記乳化剤パッケージを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料エマルジョン。
【請求項7】
水中油型エマルジョンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料エマルジョン。
【請求項8】
50~80wt%の水を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の燃料エマルジョン。
【請求項9】
燃料が舶用燃料である、請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料エマルジョン。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の乳化剤パッケージの存在下で燃料と水を乳化することにより燃料エマルジョンを調製するステップを含む、燃料エマルジョンでディーゼルエンジンに動力を供給する方法。
【請求項11】
- 少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を含む4級化可能な窒素化合物を、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を第4級アンモニウム基に変換する4級化剤と反応させることにより得ることができる第4級アンモニウム界面活性剤であって、前記4級化剤が遊離のヒドロカルビル置換ポリカルボン酸と組み合わせたヒドロカルビルエポキシドである、第4級アンモニウム界面活性剤、及び
- アルコキシレートである少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含む、燃料と水を乳化する乳化剤パッケージ。
【請求項12】
脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、及びエトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレートである少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含む、請求項11に記載の乳化剤パッケージ。
【請求項13】
1~40wt%の第4級アンモニウム界面活性剤を含む、請求項11又は12に記載の乳化剤パッケージ。
【請求項14】
少なくとも60wt%の非イオン性界面活性剤を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の乳化剤パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水、燃料、及び第4級アンモニウム界面活性剤を含む乳化剤パッケージを含む、ディーゼルエンジンに動力を供給する燃料エマルジョンに関する。本発明は更に、乳化剤パッケージの存在下で燃料と水を乳化することにより燃料エマルジョンを調製するステップを含む、燃料エマルジョンでディーゼルエンジンに動力を供給する方法に関し;また、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を含む4級化可能な窒素化合物を、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を第4級アンモニウム基に変換する4級化剤と反応させることにより得ることができる第4級アンモニウム界面活性剤であって、該4級化剤が遊離のヒドロカルビル置換ポリカルボン酸と組み合わせたヒドロカルビルエポキシドである、第4級アンモニウム界面活性剤、及びアルコキシレートである少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む、燃料と水を乳化する乳化剤パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
水性燃料エマルジョンはディーゼルエンジンに動力を供給することで公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、安価で、調製が容易であり、保存安定性であり、市販の乳化剤に基づき、炭素、水素、窒素及び酸素のみに基づき、低剪断力であっても迅速且つ容易な乳化が可能である、燃料エマルジョン用の乳化剤パッケージを見出すことであった。乳化剤パッケージは低起泡性燃料エマルジョンをもたらさなければならず、低い曇点を有し、防食をもたらし、低起泡性を有し、エマルジョンの濾過性を改善し、且つ燃料と水を混合した場合の沈殿を低減しなければならない。乳化剤パッケージは、高い水濃度で、様々な温度及び圧力で、様々な種類の水で、燃料エマルジョンを安定化しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
その目的は、
- 水、
- 燃料、及び
- 第4級アンモニウム界面活性剤を含む乳化剤パッケージ
を含む、ディーゼルエンジンに動力を供給する燃料エマルジョンにより達成された。
【0005】
その目的はまた、
- 少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を含む4級化可能な窒素化合物を、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を第4級アンモニウム基に変換する4級化剤と反応させることにより得ることができる第4級アンモニウム界面活性剤であって、該4級化剤が遊離のヒドロカルビル置換ポリカルボン酸と組み合わせたヒドロカルビルエポキシドである、第4級アンモニウム界面活性剤、及び
- アルコキシレートである少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含む、燃料と水を乳化する乳化剤パッケージにより達成された。
【発明を実施するための形態】
【0006】
燃料は通例、炭化水素、例えばアルカン、シクロアルカン及び芳香族を含む。燃料は石油蒸留から留出物又は残留物として得ることができる。燃料は通例、液体燃料である。燃料の例は、ガソリン、ディーゼル油若しくはバイオディーゼル油又はこれらの混合物であり、ガソリン又はディーゼル油が好ましい。特に燃料はディーゼル油である。ガソリンは主にアルカン、アルケン及びシクロアルカンのC4~C12炭化水素を含有し得る。ディーゼル油は飽和炭化水素及び芳香族炭化水素を含有し得る。バイオディーゼル油は典型的には、低級アルキル脂肪酸エステルを含み、低級アルキル脂肪酸エステルは、例えばトリグリセリドと低級アルコール、例えばメタノール又はエタノールとをエステル交換することにより調製される。
【0007】
燃料の粘度は、広範囲で、例えば40℃で1~10,000mm2/秒(ISO 3104)又は50℃で1~1000mm2/秒(ISO 3104)の範囲で変動し得る。
【0008】
燃料は、舶用燃料、例えばMGO(舶用軽油)、MDO(舶用ディーゼル油)、IFO(中間燃料油)、MFO(舶用燃料油)、又はHFO(重質燃料油)であってもよい。舶用燃料の更なる例は、IFO 380(380センチストークスの最大粘度を有する中間燃料油(<3.5%のイオウ))、IFO 180(180センチストークスの最大粘度を有する中間燃料油(<3.5%のイオウ))、LS 380(低イオウ(<1.0%)380センチストークスの最大粘度を有する中間燃料油)、LS 180(180センチストークスの最大粘度を有する低イオウ(<1.0%)中間燃料油)、LSMGO(EUイオウ指令2005/33/ECに基づいてヨーロッパの港及び停泊地で使用されることが多い低イオウ(<0.1%)舶用軽油)、又は超低イオウディーゼル油(イオウ最大0.0015%)とも称されるULSMGO(超低イオウ舶用軽油)である。更に好適な舶用燃料は、ISO-F-DMX、DMA、DFA、DMZ、DFZ、若しくはDFB、又はISO-F RMA、RMB、RMD、RME、RMG、若しくはRMKの区分のDIN ISO 8217に従う。更に好適な舶用燃料は、留出舶用ディーゼル油又は残留舶用ディーゼル油である。
【0009】
燃料、例えば舶用燃料の粘度は、広範囲で、例えば40℃で1~10,000mm2/秒(ISO 3104)又は50℃で1~1000mm2/秒(ISO 3104)の範囲で変動し得る。
【0010】
燃料エマルジョンは少なくとも10、20、25、30、35、40、50又は60wt%の燃料を含有し得る。燃料エマルジョンは最大30、40、50又は60wt%までの燃料を含有し得る。燃料エマルジョンは10~70wt%、20~60wt%、又は30~50wt%の燃料を含有し得る。
【0011】
環境保護の理由から、低イオウ燃料への関心が高まっている。好適な低イオウ燃料は1、0.5、0.2、又は0.1wt%未満のイオウを含有し得る。一例は0.1wt%未満のイオウを有するShell(登録商標)ULSFOである。自動車に主に使用されるディーゼル油は、最大2000ppm、500ppm、350ppm、50ppm又は10ppmまでのイオウ含有量を有し得る。
【0012】
任意の種類の水、例えば、水道水、井戸水、海水、外洋水、雨水、蒸留水、廃水、又は脱イオン水を使用することができる。腐食を回避するために、低塩素濃度を有する水、例えば、水道水、蒸留水又は雨水が好ましい。
【0013】
水は低硬度、例えば°dH(ドイツ硬度)で表して8.4°dH未満、又は1.5mmol/L未満の炭酸カルシウム濃度を有し得る。
【0014】
水は、低塩分、例えばNaClの濃度に対して、例えば最大1000、500、100、10、又は1ppmwを有し得る。
【0015】
燃料エマルジョンは少なくとも10、20、30、40、50、55、60、65又は70wt%の水を含有し得る。燃料エマルジョンは最大50、60、70、75、80、85又は90wt%までの水を含有し得る。燃料エマルジョンは30~90wt%、40~80wt%、又は50~80wt%の水を含有し得る。
【0016】
水と燃料との重量比は、1:0.1~1:10、又は1:0.5~1:5、又は1:0.7~1:3、又は好ましくは1:0.1~1:2.4の範囲でもよい。
【0017】
燃料エマルジョンは水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンでもよく、水中油型エマルジョンが好ましい。
【0018】
燃料エマルジョンはマクロエマルジョン、ミニエマルジョン又はマイクロエマルジョンでもよく、マクロエマルジョンが好ましい。
【0019】
燃料エマルジョン中の分散相(例えば燃料)は、0.01~100μm、好ましくは1~100μmの直径を有し得る。
【0020】
燃料エマルジョンは0~100℃、好ましくは15~90℃の温度で存在し得る。
【0021】
燃料エマルジョンは1~100バール(0.1~10MPa)、好ましくは1~10バール(0.1~1MPa)の圧力で存在し得る。
【0022】
乳化剤パッケージは第4級アンモニウム界面活性剤を含む。好適な第4級アンモニウム界面活性剤はR'R''R'''R''''N+X-であり、式中、R'、R''、R'''、及びR''''は独立して脂肪族又は芳香族基であり、Xはハロゲン(例えば塩素)又はアニオン性の脂肪族若しくは芳香族基である。例として、Rが8~18個の炭素原子を含有するアルキルトリメチルアンモニウムクロリド(例えばドデシルトリメチルアンモニウムクロリド);8~18個のC原子の鎖長を有するアルキル基を有するジアルキルジメチルアンモニウムクロリド;N,N-ジアルキルイミダゾリニウム化合物;及びN-アルキルピリジニウム塩が挙げられる。
【0023】
第4級アンモニウム界面活性剤は、好ましくは
- 少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を含む4級化可能な窒素化合物を、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を第4級アンモニウム基に変換する4級化剤と反応させることにより得ることができる反応生成物であり、
- 該4級化剤は、遊離のヒドロカルビル置換ポリカルボン酸と組み合わせたヒドロカルビルエポキシドであり、
このような反応生成物は、以下、「エポキシド4級化アミン」とも呼ばれる。好適なエポキシド4級化アミンは、WO 2017/009208に詳細に記載されている。
【0024】
4級化可能な窒素化合物は、
a)一般式(3)
RaRbRcN (3)
[式中、Ra、Rb及びRc基のうちの少なくとも1つ、例えば1つ又は2つは、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC8~C40-ヒドロカルビル基(特に直鎖又は分岐のC8~C40-アルキル)であり、他の基は同一か又は異なる、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC1~C6-ヒドロカルビル基(特にC1~C6-アルキル)である]
の少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つのアルキルアミン;
b)少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を含む少なくとも1つのポリアルケン置換アミン;
c)少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を含む少なくとも1つのポリエーテル置換アミン;並びに
d)ヒドロカルビル置換アシル化剤と、窒素又は酸素原子を含み、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を付加的に含む化合物との少なくとも1つの反応生成物;並びに
e)これらの混合物
から選択し得る。
【0025】
式(3)の化合物では、好ましくは全てのRa、Rb及びRc基が、同一か又は異なる、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC8~C40-ヒドロカルビル基、特に直鎖又は分岐のC8~C40-アルキル基である。より好ましくは、Ra、Rb及びRc基の少なくとも2つが、同じか又は異なる、それぞれ直鎖又は分岐のC10~C20-アルキル基であり、他の基はC1~C4-アルキルである。
【0026】
式(3)の化合物は、好ましくは式NRaRbの部分を持ち、基の1つは8~40個の炭素原子を有するアルキル基を有し、他の基は最大40個まで、より好ましくは8~40個の炭素原子を有するアルキル基を有する。Rc基は、特に短鎖C1~C6-アルキル基、例えば、メチル、エチル又はプロピル基である。Ra及びRbは直鎖又は分岐であってもよく、且つ/又は同じか若しくは異なってもよい。例えば、Ra及びRbは直鎖のC12~C24-アルキル基であってもよい。あるいは、2つの基のうちの1つのみが長鎖(例えば8~40個の炭素原子を有する)であってもよく、他の基はメチル、エチル又はプロピル基であってもよい。NRaRbの部分は、第2級アミン、例えばジオクタデシルアミン、ジココアミン、水素化ジタロウアミン及びメチルベヘニルアミンに由来するのが適切である。天然材料から得ることができるアミン混合物も同様に好適である。一例は、アルキル基が水素化獣脂に由来し、約4重量%のC14-アルキル基、31重量%のC16-アルキル基及び59重量%のC18-アルキル基を含有する第2級水素化タロウアミンである。式(3)の対応する第3級アミンは、例えば、Armeen(登録商標)M2HT又はArmeen(登録商標)M2Cの名称の下でAkzo Nobelにより販売されている。
【0027】
式(3)の化合物はまた、Ra、Rb及びRc基が同一か又は異なる長鎖アルキル基、特に8~40個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル基を有する化合物であってもよい。式(3)の化合物はまた、Ra、Rb及びRc基が同一か又は異なる短鎖アルキル基、特に1~7個又は特に1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル基を有する、化合物であってもよい。式(3)の好適な化合物の更なる例は、N,N-ジメチル-N-(2-エチルヘキシル)アミン、N,N-ジメチル-N-(2-プロピルヘプチル)アミン、ドデシル-ジメチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、オレイルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ヘプタデシルジメチルアミン、ココイルジメチルアミン、ジココイルメチルアミン、タロウジメチルアミン、ジタロウメチルアミン、トリドデシルアミン、トリヘキサデシルアミン、トリオクタデシルアミン、ソヤジメチルアミン、トリス(2-エチルヘキシル)アミン、及びアラミン336(トリ-n-オクチルアミン)である。短鎖の第3級アミンの非限定的な例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ヘキシルアミン、トリ-n-ヘプチルアミン、エチルジメチルアミン、ジメチルエチルアミン、n-プロピルジメチルアミン、イソプロピルジメチルアミン、n-プロピルジエチルアミン、イソプロピルジエチルアミン、n-ブチルジメチルアミン、n-ブチルジエチルアミン、n-ブチルジプロピルアミンである。短鎖トリアミンも、特に4級化剤が、2個以上の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基Rd又は1つ以上の芳香族基Rdを持つ場合に、適切である。
【0028】
好適な4級化可能な窒素化合物は、少なくとも1つの第3級窒素基を有するポリアルケン置換アミンである。この群の化合物は同様に公知であり、例えばWO 2008/060888又はUS 2008/0113890に記載されている。少なくとも1つの第3級アミノ基を有するそのようなポリアルケン置換アミンは、オレフィンポリマー及びアミン、例えばアンモニア、モノアミン、ポリアミン、又はこれらの混合物から得ることができる。別の実施形態では、ポリアルケン置換アミンのアミンはポリアミンでもよい。ポリアミンは脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族であってもよい。ポリアミンの例には:アルキレンポリアミン、ヒドロキシル基含有ポリアミン、アリールポリアミン及び複素環式ポリアミンが含まれる。そのようなポリアルケン置換アミンの数平均分子量は、約500~約5000、例えば1000~約1500又は約500~約3000である。
【0029】
好ましいポリアルケン置換アミンは、以下の式:HN(R5)-(アルキレン-N(R5))n-(R5)
[式中、nは1~約10の範囲及び、例えば2~約7、又は2~約5の範囲であり、「アルキレン」基は、1~約10個の炭素原子、例えば2~約6個、又は2~約4個の炭素原子を有し;R5基は、それぞれ独立して、水素、脂肪族基、ヒドロキシル-又はアミン-置換脂肪族基(それぞれの場合に最大約30個までの炭素原子を有する)である]
のものを含むアルキレンポリアミンである。典型的には、R5は、H又は低級アルキル(1~約5個の炭素原子を有するアルキル基)、特にHである。
【0030】
この種類のアルキレンポリアミンには:メチレンポリアミン、エチレンポリアミン、ブチレンポリアミン、プロピレンポリアミン、ペンチレンポリアミン、ヘキシレンポリアミン及びヘプチレンポリアミンが含まれる。そのようなアミン及び関連するアミノアルキル-置換ピペラジンのより高級な同族体も同様に含まれる。具体的なアルキレンポリアミンは:エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、プロピレンジアミン、3-ジメチルアミノプロピルアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ジ(ヘプタメチレン)トリアミン、トリプロピレンテトラアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、ジ(トリメチレントリアミン)、N-(2-アミノエチル)ピペラジン及び1,4-ビス(2-アミノエチル)ピペラジンである。
【0031】
好適なポリエーテル置換アミンは、WO2013/064689から公知である。この種類の置換アミンは、特に、一般式Ic
-[-CH(R3)-CH(R4)-O-]- (Ic)
[式中、R3及びR4は同じか又は異なり、それぞれH、アルキル、アルキルアリール又はアリールである]
のモノマー単位を有する少なくとも1つの、特に1つのポリエーテル置換基を特に有する。ポリエーテル置換アミンは、500~5000、特に800~3000又は900~1500の範囲の数平均分子量を有し得る。
【0032】
ポリエーテル置換アミンは特に一般式Ia-1又はIb-2
【0033】
【化1】
[式中、R1及びR2は同じか若しくは異なり、それぞれアルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、アミノアルキル又はアミノアルケニルであるか、又はR1及びR2は共にアルキレン、オキシアルキレン若しくはアミノアルキレンであり;R3及びR4は同じか又は異なり、それぞれH、アルキル、アルキルアリール又はアリールであり;
R6はアルキル、アルケニル、任意選択でモノ-又は多価不飽和のシクロアルキル、アリールであり、それぞれの場合に、例えば少なくとも1つのヒドロキシル基若しくはアルキル基により任意選択で置換され、又は少なくとも1個のヘテロ原子により中断され;Aは、1つ以上のヘテロ原子、例えばN、O及びSにより任意選択で中断されている直鎖又は分岐のアルキレン基であり;nは1~50の整数値である]
の窒素化合物である。
【0034】
ヒドロカルビル置換アシル化剤と、窒素又は酸素原子を含み、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を付加的に含む化合物との好適な反応生成物は、WO2013/000997から公知である。好適なヒドロカルビル置換アシル化剤にはポリカルボン酸化合物が含まれる。使用されるポリカルボン酸化合物は、脂肪族の二塩基性又は多塩基性の(例えば三塩基性又は四塩基性)、特にジ-、トリ-又はテトラカルボン酸及びそれらの類似体、例えば無水物又は低級アルキルエステル(部分的又は完全にエステル化されている)からのものであり、1つ以上の(例えば2つ又は3つ)、特に長鎖のアルキル基及び/又は高分子量のヒドロカルビル基、特にポリアルキレン基により任意選択で置換されている。C3~C10ポリカルボン酸の例は、例えば、ジカルボン酸のマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸、並びにこれらの分岐類似体;並びにトリカルボン酸のクエン酸;及びこれらの無水物又は低級アルキルエステルである。ポリカルボン酸化合物はまた、対応する一価不飽和酸から、少なくとも1つの長鎖アルキル基及び/又は高分子量ヒドロカルビル基の添加により得ることができる。好適な一価不飽和酸の例は、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸である。
【0035】
4級化生成物の燃料への十分な溶解性を確実にする、疎水性の「長鎖」又は「高分子量」のヒドロカルビル基は、85~20,000、例えば113~10,000、又は200~10,000又は350~5000、例えば350~3000、500~2500、700~2500、又は800~1500の数平均分子量(Mn)を有する。典型的な疎水性ヒドロカルビル基として、例えば3500~5000、350~3000、500~2500、700~2500及び800~1500の数平均分子量Mnを有するポリプロペニル、ポリブテニル及びポリイソブテニル基が挙げられる。
【0036】
上記ポリカルボン酸化合物と反応性の4級化可能な窒素化合物は
a)少なくとも1つの4級化されたアミノ基を有する(例えばコリン)又は4級化可能な第1級、第2級若しくは第3級のアミノ基を有するヒドロキシアルキル置換モノアミン又はポリアミン;
b)少なくとも1つの第1級又は第2級(無水物-反応性)のアミノ基を有し、且つ少なくとも1つの4級化された又は4級化可能な第1級、第2級若しくは第3級のアミノ基を有する直鎖又は分岐の、環式、複素環式、芳香族又は非芳香族のポリアミン;
c)ピペラジン
から選択される。
【0037】
好適な4級化剤は、ヒドロカルビルエポキシド、例えば式(4)
【0038】
【化2】
[式中、そこに存在するRd基は同じか又は異なり、それぞれH又はヒドロカルビル基であり、ヒドロカルビル基は少なくとも1~10個の炭素原子を有する]
のエポキシドから選択される。より具体的には、これらは脂肪族又は芳香族基、例えば直鎖若しくは分岐のC1~10-アルキル基、又は芳香族基、例えばフェニル若しくはC1~4-アルキルフェニルである。好適なヒドロカルビルエポキシドの例には、脂肪族及び芳香族のアルキレンオキシド、例えばより具体的には、C2~12-アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、2-メチル-1,2-プロペンオキシド(イソブテンオキシド)、1,2-ペンテンオキシド、2,3-ペンテンオキシド、2-メチル-1,2-ブテンオキシド、3-メチル-1,2-ブテンオキシド、1,2-ヘキセンオキシド、2,3-ヘキセンオキシド、3,4-ヘキセンオキシド、2-メチル-1,2-ペンテンオキシド、2-エチル-1,2-ブテンオキシド、3-メチル-1,2-ペンテンオキシド、1,2-デセンオキシド、1,2-ドデセンオキシド又は4-メチル-1,2-ペンテンオキシド;及び芳香族置換エチレンオキシド、例えば任意選択で置換されたスチレンオキシド、特にスチレンオキシド又は4-メチルスチレンオキシドが含まれる。
【0039】
好適な遊離のヒドロカルビル置換ポリカルボン酸は、遊離のヒドロカルビル置換された不飽和の、特に飽和の、任意選択で置換された、特に非置換の、プロトン酸、例えばより具体的には、ヒドロカルビル置換ジカルボン酸、特にヒドロカルビル置換C3~C28又はC3~C12ジカルボン酸、特に非置換の飽和C3~C6ジカルボン酸である。ここでの好適なジカルボン酸は、飽和酸、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸及びドデカン二酸、又はより高分子量の酸、例えばテトラ-、ヘキサ-若しくはオクタデカン二酸;置換された酸、例えばリンゴ酸、α-ケトグルタル酸、オキサロ酢酸;グルタミン酸;アスパラギン酸;並びに不飽和の酸、例えばマレイン酸及びフマル酸;例えば、より具体的にはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸及びピメリン酸である。芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸もまた好適である。必要であるか又は所望される場合、ヒドロカルビル置換ジカルボン酸をその無水物形態で使用することも可能である。4級化のために、次に水の添加により無水物の開環が引き起こされる。
【0040】
ヒドロカルビル置換ジカルボン酸は、原則的に公知の手法で、例えばDE 2443537に記載されるように、対応するヒドロカルビル置換ジカルボン酸無水物の加水分解により調製することができる。加水分解は好ましくは理論量の水を用いて50~150℃の温度で行われるが、過剰の水を使用することも可能である。加水分解は、溶媒を用いずに又は不活性溶媒の存在下で行うことができる。典型的な例は、例えばSolvesso系からの溶媒、トルエン、キシレン又は直鎖及び分岐の飽和炭化水素、例えばパラフィン又はナフテンである。溶媒は、加水分解後に除去し得るが、好ましくは残存させて、続く4級化のために溶媒又は共溶媒として使用される。好ましいヒドロカルビル置換ジカルボン酸無水物は、例えばPentagonにより販売されているヒドロカルビル置換無水コハク酸:n-ドデセニル無水コハク酸 CAS 19780-11-1、n-オクタデセニル無水コハク酸 CAS 28777-98-2、i-オクタデセニル無水コハク酸 CAS 28777-98-2、i-ヘキサデセニル無水コハク酸/i-オクタデセニル無水コハク酸 CAS 32072-96-1&28777-98-2、n-オクテニル無水コハク酸 CAS 26680-54-6、テトラプロペニル無水コハク酸CAS 26544-38-7である。
【0041】
カルボン酸のヒドロカルビル置換基は、好ましくは2~100、又は3~50又は4~25の重合レベルを有するポリアルキレン基である。更に好ましいのはポリイソブテン無水コハク酸(PIBSA)である。ポリイソブテン(PIB)及び無水マレイン酸(MA)からのPIBSAの調製は、原則的に公知であり、PIBSA及びビスマレエート化PIBSA(BM PIBSA、以下のスキーム1を参照されたい)の混合物をもたらし、これは一般に精製されないがそのままで更に処理される。特に好ましいのは、最大30%まで、好ましくは最大25%まで、より好ましくは最大20%までのビスマレエート化レベルを有するPIBSAである。一般に、ビスマレエート化レベルは、少なくとも2%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%である。制御した調製は、例えばUS 5,883,196に記載されている。調製には、500~3000、例えば550~2500、800~1200又は900~1100の範囲のMnを有する高反応性PIB(HR-PIB)が特に好適である。MnはUS 5,883,196に記載されるGPCの手段により測定される。HR-PIB(Mn=1000)から調製される特に好ましいPIBSAは、85~95mgKOH/gの加水分解価を有する。特に好適なPIBSAの非限定な例は、HR-PIB(Mn=1000)から調製され、15%のビスマレエート化レベル及び90mgKOH/gの加水分解価を有する、BASFからのGlissopal(登録商標)SA Fである。
【0042】
好ましさは低いが、上述のヒドロカルビル置換ジカルボン酸無水物を、水ではなくアルコール、好ましくはモノアルコール、より好ましくはアルコール、又はアミンと反応させてヒドロカルビル置換ジカルボン酸の対応するモノエステル又はモノアミドを与えることもまた考えられる。重要なのは、そのような反応の場合に1つの酸官能基が分子中に残存することである。4級化がアルコールの存在下で行われる場合、ヒドロカルビル置換ジカルボン酸無水物のそのような反応には、4級化に溶媒として使用されるものと同じアルコール、すなわち、好ましくは2-エチルヘキサノール又は2-プロピルヘプタノール、そうでない場合はブチルジグリコール、ブチルグリコール、メトキシプロポキシプロパノール又はブトキシジプロパノールを使用することが好ましい。そのようなアルコーリシスは、好ましくは理論量のアルコール又はアミンを用いて50~150℃の温度で行われるが、過剰のアルコール又はアミン、好ましくはアルコールを使用することも可能である。その場合には、後者は反応混合物中に適切に残存し、続く4級化において溶媒として役立つ。
【0043】
乳化剤パッケージは、少なくとも1つ(例えば1つ、2つ又は3つ)の非イオン性界面活性剤、好ましくはアルコキシレートである少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0044】
好適な非イオン性界面活性剤は、アルコキシレート、アルキルグルコシド及びアルキルポリグコシド、又は脂肪酸とグリセリン若しくはソルビタンとの部分エステル(例えば、モノ-、ジ-及びトリエステル)(例えば、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレート)である。
【0045】
好適なアルコキシレートは
- アルコキシル化アルカノール、特にエトキシル化脂肪族アルコール及びエトキシル化オキソアルコール、例えば、エトキシル化ラウリルアルコール、エトキシル化イソトリデカノール、エトキシル化セチルアルコール、エトキシル化ステアリルアルコール、及びそれらのエステル、例えば酢酸エステル
- アルコキシル化アルキルフェノール、例えばエトキシル化ノニルフェニル、エトキシル化ドデシルフェニル、エトキシル化イソトリデシルフェノール及びそれらのエステル、例えば酢酸エステル
- エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー、
- エトキシル化アルキルグルコシド及びアルキルポリグコシド、
- エトキシル化脂肪族アミン、
- エトキシル化脂肪酸、
- 脂肪酸とグリセリン又はソルビタンとのエトキシル化部分エステル、例えばエトキシル化グリセリンモノステアレート
- 植物油又は動物脂のエトキシレート、例えばコーン油エトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、獣脂油エトキシレート、
- 脂肪族アミン又は脂肪酸アミドのエトキシレート
である。
【0046】
好ましい非イオン性界面活性剤は、エトキシル化脂肪族アルコール、ヒマシ油エトキシレート、及び脂肪酸アミドのエトキシレートである。
【0047】
好ましくは、アルコキシレートはアルコキシル化アルカノールである。別の形態では、好適なアルコキシレートとしては、通例、アルコキシル化された直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和のC1~C20(好ましくはC8~C20)アルカノール、好ましくはエトキシル化、エトキシル化及びプロポキシル化、又はエトキシル化及びブトキシル化された直鎖又は分岐の、飽和C2~C18(好ましくはC8~C18)アルカノール、又はより好ましくはエトキシル化及びプロポキシル化されたC4~C18(好ましくはC12~C20)アルカノールであるアルコキシル化アルカノールがある。アルコキシル化アルカノールのアルカノール単位は、様々な鎖長及び異性体の工業的混合物であってもよい。アルコキシル化アルカノール中のアルコキシ単位の総数は、5~30、好ましくは10~25のアルコキシ単位(例えばエチレンオキシ及び/又はプロピレンオキシ単位)の範囲であってもよい。アルコキシ単位(例えばEO及びPO単位)は、好ましくはブロック配列で、特にジブロック配列として出現する。アルコキシル化アルカノールのポリアルコキシレート鎖は、ヒドロキシ基又はC1~C4アルキルで終端されてもよく、ヒドロキシ基が好ましい。別の形態では、アルコキシ単位(例えばEO及びPO単位)は、好ましくはブロック配列で、特にジブロック配列として出現し、アルコキシル化アルカノールのポリアルコキシレート鎖はヒドロキシ基で終端される。
【0048】
別の形態では、好適なアルコキシレートは、式(I)
Re-O-(AO)m-Rf (I)
[式中、
Reは1~32個、好ましくは4~32個、より好ましくは10~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル又はアルキレンであり、
AOはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、ブチレンオキシド基、ペンチレンオキシド基、スチレンオキシド基、又はランダム若しくはブロック配列(ジブロック配列が好ましい)における上述の基の混合物であり、
mは1~30の数であり、
Rfは水素又は1~4個の炭素原子を有するアルキルである]
のアルコキシル化アルカノールである。
【0049】
アルコキシレートはまた、アルコキシレートブロックポリマーでもよく、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックを含み得る。アルコキシレートブロックポリマーは通例、少なくとも20wt%、好ましくは少なくとも30wt%の重合されたエチレンオキシドを含む。好ましい形態では、アルコキシレートブロックポリマーは少なくとも10wt%、好ましくは少なくとも15wt%の重合されたエチレンオキシドを含む。アルコキシレートブロックポリマーは、好ましくはポリエチレンオキシド(ブロック「A」)及びポリプロピレンオキシド(ブロック「B」)のブロックを含むブロックポリマーA-B-A型である。アルコキシレートブロックポリマーは通例、両端がヒドロキシル基で終端される。アルコキシレートブロックポリマーの分子量は、1000~30000Da、好ましくは2000~15000Daでもよい。
【0050】
好ましくは、乳化剤パッケージは、脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、エトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレートである少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含む。
【0051】
例えば、乳化剤パッケージは、少なくとも2つのエトキシル化脂肪族アルコール;又は少なくとも2つのヒマシ油エトキシレート;又は少なくとも脂肪酸アミドのエトキシレート及びヒマシ油エトキシレート;又は少なくとも脂肪酸アミドのエトキシレート及びエトキシル化脂肪族アルコールを含む。
【0052】
乳化剤パッケージは、少なくとも0.5、1、2、3、又は4wt%の第4級アンモニウム界面活性剤、例えばエポキシド4級化アミンを含み得る。
乳化剤パッケージは、最大50、30、20、15、10、8、又は7wt%までの第4級アンモニウム界面活性剤、例えばエポキシド4級化アミンを含み得る。
乳化剤パッケージは、0.1~40、0.5~15、又は1~10wt%の第4級アンモニウム界面活性剤、例えばエポキシド4級化アミンを含み得る。
【0053】
乳化剤パッケージは、少なくとも40、50、60、70、80又は85wt%の非イオン性界面活性剤を含み得る。
乳化剤パッケージは、最大99、97、95、93、又は91wt%までの非イオン性界面活性剤を含み得る。
乳化剤パッケージは、40~99、50~95、又は60~95wt%の非イオン性界面活性剤を含み得る。
2つ以上の非イオン性界面活性剤が存在する場合、量は全ての非イオン性界面活性剤の合計に関する。
【0054】
乳化剤パッケージは、少なくとも20、40、又は50wt%の脂肪酸アミドのエトキシレートを含み得る。
乳化剤パッケージは、最大85、75、70又は65wt%までの脂肪酸アミドのエトキシレートを含み得る。
乳化剤パッケージは、30~85、40~80、又は50~70wt%の脂肪酸アミドのエトキシレートを含み得る。
【0055】
乳化剤パッケージは、少なくとも10、20、又は25wt%のエトキシル化脂肪族アルコール及び/又はヒマシ油エトキシレートを含み得る。
乳化剤パッケージは、最大60、45、又は40wt%までのエトキシル化脂肪族アルコール及び/又はヒマシ油エトキシレートを含み得る。
乳化剤パッケージは、15~50、20~40、又は25~35wt%のエトキシル化脂肪族アルコール及び/又はヒマシ油エトキシレートを含み得る。
【0056】
乳化剤パッケージは、
0.5~30wt%の第4級アンモニウム界面活性剤、例えばエポキシド4級化アミン;並びに
70~99.5wt%の非イオン性界面活性剤、例えば脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、及びエトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレート
を含み得る。
【0057】
別の形態では、乳化剤パッケージは、
0.5~15wt%の第4級アンモニウム界面活性剤、例えばエポキシド4級化アミン;並びに
85~99.5wt%の非イオン性界面活性剤、例えば脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、及びエトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレート
を含み得る。
【0058】
別の形態では、乳化剤パッケージは
0.5~10wt%の第4級アンモニウム界面活性剤、例えばエポキシド4級化アミン;並びに
90~99.5wt%の非イオン性界面活性剤、例えば脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、及びエトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレート
を含み得る。
【0059】
乳化剤パッケージは、
0.5~30wt%のエポキシド4級化アミン;並びに
70~99.5wt%の、アルコキシレートである少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、例えば脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、及びエトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレート
を含み得る。
【0060】
別の形態では、乳化剤パッケージは、
0.5~15wt%のエポキシド4級化アミン;並びに
85~99.5wt%の、アルコキシレートである少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、例えば脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、及びエトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレート
を含み得る。
【0061】
乳化剤パッケージは、
0.5~30wt%のエポキシド4級化アミン;並びに
70~99.5wt%の、脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、及びエトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレートである少なくとも2つの非イオン性界面活性剤
を含み得る。
【0062】
別の形態では、乳化剤パッケージは、
0.5~15wt%のエポキシド4級化アミン;並びに
85~99.5wt%の、脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、及びエトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレートである少なくとも2つの非イオン性界面活性剤
を含み得る。
【0063】
別の形態では、乳化剤パッケージは、
0.5~30wt%の第4級アンモニウム界面活性剤、例えばエポキシド4級化アミン;及び
40~80wt%の脂肪酸アミドのエトキシレート;並びに
10~50wt%のエトキシル化脂肪族アルコール及び/又はヒマシ油エトキシレート
を含み得る。
【0064】
別の形態では、乳化剤パッケージは、
0.5~15wt%の第4級アンモニウム界面活性剤、例えばエポキシド4級化アミン;及び
50~70wt%の脂肪酸アミドのエトキシレート;並びに
20~40wt%のエトキシル化脂肪族アルコール及び/又はヒマシ油エトキシレート
を含み得る。
【0065】
乳化剤パッケージは通例、20℃において液体である。
【0066】
乳化剤パッケージは、全合計が少なくとも40、50、60、70、80又は90wt%の第4級アンモニウム界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0067】
乳化剤パッケージは、ポリイソブテンベースの添加剤、例えば、アルキレンアミンとポリイソブテン無水コハク酸との反応生成物、又は、ポリイソブテン無水コハク酸と縮合することができる1つのアミノ基及び1つの第3級アミノ基を持つアルキレンアミンとポリイソブテン無水コハク酸との上述の反応生成物を4級化することから得られる4級化洗剤を含み得る。乳化剤パッケージは、少なくとも1、5、10又は15wt%のポリイソブテンベースの添加剤を含み得る。乳化剤パッケージは、最大70、60、55、50、40、30又は20wt%までのポリイソブテンベースの添加剤を含み得る。
【0068】
好適なポリイソブテンベースの添加剤は、ポリイソブテン無水コハク酸とアルキレンアミンとの反応生成物である。好ましい一実施形態では、アルキレンアミンはオリゴエチレンアミン、好ましくはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、又はこれらの混合物でもよい。好適な例は、WO 14/184066、特に成分(C)及び9頁、32行~19頁、12行に開示されており、これは本明細書に参照により組み込まれる。好ましい一実施形態では、アルキレンアミンは、ポリイソブテン無水コハク酸と縮合することができる1つのアミノ基及び1つの第3級アミノ基を持つアルキレンアミンでもよい。好適な例は、WO 2010/132259 A1、段落[0027]に開示されており、3-ジメチルアミノプロピルアミンが特に好ましい。反応生成物中で、そのようなアルキレンアミンは、WO 2010/132259 A1に記載され、特にそこに記載される準備材料Aのように、大部分の量がアミド基を介して結合しているか、又はWO 2006/135881 A2に記載され、特にそこに記載される準備材料Aのようにイミド基を介して結合していてよい。
【0069】
更に好適なポリイソブテンベースの添加剤は、ポリイソブテン無水コハク酸と縮合することができる1つのアミノ基及び1つの第3級アミノ基を持つアルキレンアミンとポリイソブテン無水コハク酸との上述の反応生成物を4級化することから得られる4級化洗剤である。4級化剤は、酸の存在下若しくは非存在下におけるジアルキルスルフェート、ベンジルハライド、ヒドロカルビル置換カルボネート、及びヒドロカルビルエポキシドからなる群、又はこれらの混合物から選択してもよく、ヒドロカルビルエポキシドが特に好ましい。例は、WO 2006/135881 A2、WO 2010/132259 A1又はWO 2012/004300に記載され、これらは本明細書に参照により組み込まれる。
【0070】
乳化剤パッケージは、有機溶媒、例えば炭化水素(例えば脂肪族、芳香族、又はこれらの混合物)、エーテル、ケトン、又はアルコール(例えば2-エチルヘキサノール、2-プロピルヘプタノール、ブチルジグリコール、ブチルグリコール、メトキシプロポキシプロパノール又はブトキシジプロパノール)を含み得る。好ましい有機溶媒は、アルコール及び炭化水素である。
【0071】
乳化剤パッケージは、最大20、15、又は10wt%までの有機溶媒、例えば、0.5~15又は1~10wt%の有機溶媒を含み得る。
【0072】
燃料又は乳化剤パッケージは、更なる添加剤、例えばキャリアオイル、低温流動性向上剤、潤滑性向上剤、防食剤、曇り除去剤、消泡剤、セタン価向上剤、助燃剤、抗酸化剤又は安定剤、帯電防止剤、メタロセン、金属不活性化剤、及び/又は染料を含み得る。燃料又は乳化剤パッケージは、最大50、30、10、5、又は1wt%までの更なる添加剤を含み得る。乳化剤パッケージは、更なる添加剤を含まなくてもよい。
【0073】
燃料エマルジョンは、ディーゼル油に対して最大5、3、2、1、0.8、0.6、0.4、又は0.3wt%までの量で乳化剤パッケージを含む。
【0074】
燃料エマルジョンは、ディーゼル油に対して0.001~1.0wt%、0.01~0.5wt%又は0.05~0.3wt%の量で乳化剤パッケージを含む。
【0075】
燃料エマルジョンは、燃料エマルジョンに対して最大2、1、0.5、0.2、0.1、0.08wt%までの量で乳化剤パッケージを含む。
燃料エマルジョンは、燃料エマルジョンに対して0.001~0.5、0.005~0.15、又は0.02~0.08wt%の量で乳化剤パッケージを含む。
【0076】
本発明は、更に、乳化剤パッケージの存在下で燃料と水を乳化することにより燃料エマルジョンを調製するステップを含む、燃料エマルジョンでディーゼルエンジンに動力を供給する方法に関する。
【0077】
燃料エマルジョンを用いるディーゼルエンジンの動力供給は公知である。好適なディーゼルエンジンは、例えば大型過給式2ストロークディーゼルエンジン(例えばWO 2010/145652又はWO 2010/105620に記載される)又は2ストロークディーゼルエンジン(例えばDE 19747247又はDE 19747240に記載される)である。ディーゼルエンジンは、定置陸用エンジン(ジェネレータ)、鉄道機関車、自動車、トラック、河川船、又は海洋船に使用され得る。大型2ストロークディーゼルエンジンは、発電設備又は海洋船において原動機として使用され得る。
【0078】
燃料と水の乳化は、機械的な剪断エネルギーの適用により、例えば、撹拌槽中で、凝集体の摩砕(ボールミル又は撹拌ボールミルのように)で、振盪で、ロータステータ混合で、ポンプ又は重力により運搬されるパイプ中の乱流で、静止型ミキサーで、及び向流型ミキサーにより達成し得る。燃料と水の乳化はまた、燃料及び水をループを通して循環させることにより、例えばタンクの底部からタンクの上部へそれらをポンプで送り、そこでそれらがタンク内容物の表面に放出されることにより達成し得る。燃料及び水の循環の前に、予備撹拌が可能であるが必要ではない。
【0079】
乳化剤パッケージは、種々の成分、例えば第4級アンモニウム界面活性剤、第1の非イオン性界面活性剤及び第2の非イオン性界面活性剤を含有してもよい。燃料と水を乳化するために、乳化する前に、いくつかの成分が燃料に添加されてもよく、いくつかの成分が水に添加されてもよい。したがって、乳化剤パッケージの種々の成分は、燃料エマルジョンを調製する間に組み合わせてもよい。乳化剤パッケージの全ての成分は、乳化する前に予め混合されることが好ましい。乳化剤パッケージの全ての成分は、乳化する前に燃料又は水に同時に添加されることが好ましい。本発明はまた、燃料が乳化剤パッケージを含む燃料エマルジョンで、ディーゼルエンジンに動力を供給するための燃料にも関し得る。
【0080】
乳化は0~100℃、又は10~90℃、又は20~50℃の温度で行うことができる。
【0081】
乳化は0.5~20バール(0.05~2MPa)、又は1~10バール(0.1~1MPa)の圧力で行うことができる。
【0082】
燃料エマルジョンの調製とディーゼルエンジンにおけるその燃焼との間の時間は、24時間、6時間、1時間、45分、30分、15分、10分、5分又は1分未満でもよい。
【0083】
ディーゼルエンジンにおいて燃料と水を乳化する様々な装置は、例えばWO 2016/064722、WO 90/12959、US 4,388,893、又はWO 00/53916から公知である。
【実施例
【0084】
クアット(Quat)A:コハク酸とポリイソブチレンから得られたポリイソブチレンコハク酸及びプロピレンオキシドで4級化されたN,N-ジメチル-N-ヘキシデシルアミン(Mn約1000g/mol);2-エチルヘキサノール中50wt%。
非イオン性A:脂肪酸及びエタノールアミンからの脂肪酸アミドのエトキシレート、澄んだ液体、ヒドロキシル価約150mgKOH/g。
非イオン性B:ヒマシ油エトキシレート、澄んだ液体、ヒドロキシル価約150mgKOH/g。
非イオン性C:脂肪族アルコールアルコキシレート、凝固温度約18℃、動粘度30mm2/秒(40℃、ASTM D445)。
添加剤D:市販の燃料添加剤、アミン、ポリエチレンポリ-、C10炭化水素、芳香族中のポリイソブテニル無水コハク酸(40~60wt%)との反応生成物(40~60wt%)。
添加剤E:市販の燃料添加剤、25~50wt%の炭化水素溶媒中のジメチルアミノプロピルアミンのポリイソブチレンスクシンイミド。
添加剤F:市販の燃料添加剤、ジメチルアミノプロピルアミンのポリイソブチレンスクシンアミド
添加剤G:市販のディーゼル油添加剤、ジメチルアミノプロピルアミンのプロポキシル化ポリイソブチレンスクシンアミド。
溶媒A:ほぼ50%のC14~18炭化水素(n-アルカン、イソアルカン、環式及び最大25%までの芳香族)と混合されたC11~14炭化水素(n-アルカン、イソアルカン、環式及び最大25%までの芳香族)、澄んだ液体、沸点範囲178~285℃、凝固点30℃未満。
【0085】
例1 エマルジョン安定性
表1に示した乳化剤を混合することにより乳化剤パッケージを調製し、乳化剤の液体混合物を得た。エマルジョン安定性を試験するための試料は、ディーゼル燃料及び蒸留水をそれぞれ40mLの比で含有し、並びに乳化剤パッケージを所定の処理率で含有した(表1を参照のこと)。ディーゼル燃料は澄んだ液体であり、添加剤パッケージを含まず、約0.83~0.85の密度を有した。
【0086】
振盪機上のメスシリンダー中で、125mmのリフト、5秒間に10リフト速度、20℃で試料を振盪することにより、エマルジョンを調製した。振盪を停止した後、メスシリンダーを最大30分まで放置した。分離した水相の量を測定した。例えば、総容積80mLの試料中で8mLの分離した水相が検出された場合、それは90%のエマルジョン安定性に相当する。分離した水相が検出されなかった場合、これは100%のエマルジョン安定性に相当する。
【0087】
【表1】
【0088】
例2 鋼に対する防食
乳化剤パッケージEP-1を、10wt%のクアットA、60wt%の非イオン性A、及び30wt%の非イオン性Cを混合することにより調製した。
【0089】
乳化剤パッケージEP-1の鋼に対する防食特性を、DIN ISO 7120 Aに準拠して試験した。舶用ディーゼル油は、15℃で約890kg/m3の密度、約7mm2/秒の粘度(ISO 3104、40℃)及び約0.2wt%のイオウ含有量を有していた。試料は、50:50の重量比で舶用ディーゼル油及び蒸留水を含有し、並びに任意選択で舶用ディーゼル油に対して0.1wt%の処理率で乳化剤パッケージEP-1を含有した。円筒状鋼製フィンガーを60℃で24時間浸漬し、次に発錆を観察した。
【0090】
EP-1を伴わないエマルジョンに浸漬した鋼製フィンガーは、発錆の明らかな徴候を示した。EP-1を伴うエマルジョンに浸漬した鋼製フィンガーは、発錆の徴候を示さなかった。したがって、乳化剤パッケージは腐食を低減した。
【0091】
例3 銅に対する防食
乳化剤パッケージEP-1の銅に対する防食特性を、DIN ISO 2160 Aに準拠して試験した。試料は、50:50の重量比で例2の舶用ディーゼル油及び蒸留水を含有し、並びに任意選択で舶用ディーゼル油に対して0.1wt%の処理率で乳化剤パッケージEP-1を含有した。銅板を80℃で3時間浸漬し、次に発錆を観察した。
【0092】
乳化剤パッケージを伴わないエマルジョンに浸漬した銅板は、発錆の明らかな徴候を示した。乳化剤パッケージを伴うエマルジョンに浸漬した銅板は、発錆の徴候を示さなかった。したがって、乳化剤パッケージは腐食を低減した。
【0093】
例4 沈殿の防止
例2で使用した40mLの舶用ディーゼル油を40mLの蒸留水と混合し、任意選択で乳化剤パッケージEP-1と混合した。試料中に黒色沈殿が直ちに形成し、濾紙(Macherey-Nagel MN 126/70、厚さ0.2mm、重量70g/m2)を通してこれを濾別した。24時間後、濾紙上の残留物の量を測定した。
【0094】
乳化剤パッケージを伴わない試料は、36.8gの湿った濾過残留物をもたらした。乳化剤パッケージを伴う試料は、5.5gしか湿った濾過残留物をもたらさなかった。したがって、乳化剤パッケージは沈殿量を低減し、濾過性を改善した。
【0095】
例5 添加剤パッケージ
表2に示した乳化剤を混合することにより乳化剤パッケージを調製し、乳化剤の液体混合物を得た。
【0096】
エマルジョン安定性を試験するための試料は、添加剤パッケージとディーゼル燃料を混合することにより調製した。使用した乳化剤の量は、表2中の全ての実験に関して、燃料及び水を含むエマルジョンの総容積に対して0.05%であった。
【0097】
使用したディーゼル燃料はDIN ISO 8217に従うDMA型の舶用ディーゼル油で、澄んだ液体ディーゼル油で、添加剤パッケージを含まず、約0.83~0.85の密度を有していた。
【0098】
ロータステータ原理に基づくSilverson L5高剪断ラボ乳化剤を用いて、10秒内に7500rpmで室温においてエマルジョンを調製した。
【0099】
次に、乳化した試料をメスシリンダーに入れ、最大30分まで放置した。分離した水相の量を測定した。例えば、総容積80mLの試料中で8mLの分離した水相が検出された場合、それは90%のエマルジョン安定性に相当する。分離した水相が検出されなかった場合、これは100%のエマルジョン安定性に相当する。値を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
例6 ディーゼル油の種類
添加剤パッケージを調製し、様々なDMAディーゼル油の種類を用いて例5のようにエマルジョン安定性に関して試験した。結果を表3に要約する。試験したDMA舶用ディーゼル油の種類は:
DMA-1:暗褐色、密度(15℃)約885kg/m3、動粘度40℃で4.9cSt、流動点-9℃。
DMA-2:澄んでおり、色マーカーで均質、密度(15℃)約886kg/m3、動粘度40℃で5.1cSt、流動点-21℃
DMA-3:澄んでおり、色マーカーで均質、密度(15℃)約865kg/m3、動粘度40℃で4.2cSt、流動点-9℃
DMA-4:淡褐色、澄んでおり、密度(15℃)約887kg/m3、動粘度40℃で6.0cSt、流動点12℃
であった。
【0102】
【表3】
本開示の態様として、以下のものを挙げることができる。
[1]
- 水、
- 燃料、及び
- 第4級アンモニウム界面活性剤を含む乳化剤パッケージ
を含む、ディーゼルエンジンに動力を供給する燃料エマルジョン。
[2]
前記乳化剤パッケージが、アルコキシレートである少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む、態様1に記載の燃料エマルジョン。
[3]
前記乳化剤パッケージが、脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、エトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレートである少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含む、態様1又は2に記載の燃料エマルジョン。
[4]
前記乳化剤パッケージが、少なくとも60wt%の非イオン性界面活性剤を含む、態様2又は3に記載の燃料エマルジョン。
[5]
前記第4級アンモニウム界面活性剤が、
- 少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を含む4級化可能な窒素化合物を、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を第4級アンモニウム基に変換する4級化剤と反応させることにより得ることができる反応生成物であり、
- 前記4級化剤が、遊離のヒドロカルビル置換ポリカルボン酸と組み合わせたヒドロカルビルエポキシドである、
態様1から4のいずれか一つに記載の燃料エマルジョン。
[6]
前記乳化剤パッケージが、1~40wt%の第4級アンモニウム界面活性剤を含む、態様1から5のいずれか一つに記載の燃料エマルジョン。
[7]
ディーゼル油に対して0.05~0.5wt%の量で前記乳化剤パッケージを含む、態様1から6のいずれか一つに記載の燃料エマルジョン。
[8]
水中油型エマルジョンである、態様1から7のいずれか一つに記載の燃料エマルジョン。
[9]
50~80wt%の水を含む、態様1から8のいずれか一つに記載の燃料エマルジョン。
[10]
燃料が舶用燃料である、態様1から9のいずれか一つに記載の燃料エマルジョン。
[11]
態様1から10のいずれか一つに記載の乳化剤パッケージの存在下で燃料と水を乳化することにより燃料エマルジョンを調製するステップを含む、燃料エマルジョンでディーゼルエンジンに動力を供給する方法。
[12]
- 少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を含む4級化可能な窒素化合物を、少なくとも1つの4級化可能な特に第3級のアミノ基を第4級アンモニウム基に変換する4級化剤と反応させることにより得ることができる第4級アンモニウム界面活性剤であって、前記4級化剤が遊離のヒドロカルビル置換ポリカルボン酸と組み合わせたヒドロカルビルエポキシドである、第4級アンモニウム界面活性剤、及び
- アルコキシレートである少なくとも1つの非イオン性界面活性剤
を含む、燃料と水を乳化する乳化剤パッケージ。
[13]
脂肪酸アミドのエトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、及びエトキシル化脂肪族アルコールから選択されるアルコキシレートである少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含む、態様12に記載の乳化剤パッケージ。
[14]
1~40wt%の第4級アンモニウム界面活性剤を含む、態様12又は13に記載の乳化剤パッケージ。
[15]
少なくとも60wt%の非イオン性界面活性剤を含む、態様12から14のいずれか一つに記載の乳化剤パッケージ。