(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240702BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20240702BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G06F3/041 510
G06F3/042 472
G06F3/041 580
G06F3/01 510
(21)【出願番号】P 2020203984
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】武藤 晃治
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-113489(JP,A)
【文献】特開2016-021229(JP,A)
【文献】特開平08-212005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/042
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面との間に操作体が検知されない非検知空間を挟んで存在する検知領域における前記操作体の検知開始に基づいて、前記操作体による座標指定の開始を示す第1の座標指定開始イベントを通知するとともに、前記操作体による座標指定の終了を示す第1の座標指定終了イベントを通知する操作情報処理部と、
前記操作情報処理部から、前記第1の座標指定開始イベントおよび前記第1の座標指定終了イベントが通知されたことに基づいて、前記第1の座標指定開始イベントに応じた前記画面の制御を行う表示制御部と、
を備え
、
前記操作情報処理部は、前記検知領域における前記操作体の検知が終了しない状態において前記検知開始から第1の時間が経過した場合、かつ、前記操作体の検知座標の第2の時間における移動量が所定の移動量以下である場合に、移動後の検知座標を含んだ第2の座標指定開始イベントおよび第2の座標指定終了イベントを通知し、
前記表示制御部は、前記操作情報処理部から、前記第2の座標指定開始イベントおよび前記第2の座標指定終了イベントが通知されたことに基づいて、前記移動後の検知座標が前記画面に表示されているオブジェクトの範囲内である場合に、前記オブジェクトに対応する画面への遷移を制御する、
制御装置。
【請求項2】
前記操作情報処理部は、前記検知領域における前記操作体の検知終了に基づいて、前記操作体の検知待ち状態に移行する、
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記操作情報処理部は、前記操作体の検知開始座標を含んだ前記第1の座標指定開始イベントを通知し、
前記表示制御部は、前記第1の座標指定開始イベントに含まれた前記検知開始座標に基づいて前記画面の制御を行う、
請求項1
または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記検知開始座標が前記画面に表示されているオブジェクトの範囲内である場合に、前記画面の制御として前記オブジェクトに対応する画面への遷移を制御する、
請求項
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記オブジェクトに対応する画面への遷移を制御する前に、前記オブジェクトに対応する所定の表示が行われるように制御する、
請求項
4に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画面に対する操作を検知するデバイスとしてタッチパネルが知られている。タッチパネルの例として、光を発する発光素子と発光素子によって発せられた光を検知する受光素子とを備え、発光素子および受光素子を用いて、操作体(例えば、指など)によって遮光された位置を画面に対する指定座標として検知するタッチパネルが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
かかるタッチパネルにおいては、画面に対して、発光素子によって発せられて受光素子によって検知される光の軸(光軸)が近くに設けられているのが一般的である。したがって、かかるタッチパネルを用いて操作を入力する場合、操作者は、画面に対して操作体を接触させて操作を入力するのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画面に対する操作を行う操作者の衛生面でのリスクを低減しつつ、操作者による操作の利便性の低下を抑制することが可能な技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明のある観点によれば、画面との間に操作体が検知されない非検知空間を挟んで存在する検知領域における前記操作体の検知開始に基づいて、前記操作体による座標指定の開始を示す第1の座標指定開始イベントを通知するとともに、前記操作体による座標指定の終了を示す第1の座標指定終了イベントを通知する操作情報処理部と、前記操作情報処理部から、前記第1の座標指定開始イベントおよび前記第1の座標指定終了イベントが通知されたことに基づいて、前記第1の座標指定開始イベントに応じた前記画面の制御を行う表示制御部と、を備え、前記操作情報処理部は、前記検知領域における前記操作体の検知が終了しない状態において前記検知開始から第1の時間が経過した場合、かつ、前記操作体の検知座標の第2の時間における移動量が所定の移動量以下である場合に、移動後の検知座標を含んだ第2の座標指定開始イベントおよび第2の座標指定終了イベントを通知し、前記表示制御部は、前記操作情報処理部から、前記第2の座標指定開始イベントおよび前記第2の座標指定終了イベントが通知されたことに基づいて、前記移動後の検知座標が前記画面に表示されているオブジェクトの範囲内である場合に、前記オブジェクトに対応する画面への遷移を制御する、制御装置が提供される。
【0009】
前記操作情報処理部は、前記検知領域における前記操作体の検知終了に基づいて、前記操作体の検知待ち状態に移行してもよい。
【0010】
前記操作情報処理部は、前記操作体の検知開始座標を含んだ前記第1の座標指定開始イベントを通知し、前記表示制御部は、前記第1の座標指定開始イベントに含まれた前記検知開始座標に基づいて前記画面の制御を行ってもよい。
【0011】
前記表示制御部は、前記検知開始座標が前記画面に表示されているオブジェクトの範囲内である場合に、前記画面の制御として前記オブジェクトに対応する画面への遷移を制御してもよい。
【0012】
前記表示制御部は、前記オブジェクトに対応する画面への遷移を制御する前に、前記オブジェクトに対応する所定の表示が行われるように制御してもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、画面に対する操作を行う操作者の衛生面でのリスクを低減しつつ、操作者による操作の利便性の低下を抑制することが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る現金自動預け払い機の外観図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る表示操作部を説明するための図であり、
図1のII-IIに対応する拡大断面図である。
【
図3】操作部の構成を説明するための図であり、ケースを仮想線で示している。
【
図4】比較例に係る動作の例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る表示操作部および制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】同実施形態に係る操作情報処理部の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】同実施形態に係る表示制御部による操作画面の制御例を説明するための図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る操作情報処理部の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】同実施形態に係る表示制御部による操作画面の制御例を説明するための図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る操作情報処理部の動作例を示すフローチャートである。
【
図11】同実施形態に係る表示制御部による操作画面の制御例を説明するための図である。
【
図12】操作画面の制御の変形例を説明するための図である。
【
図13】操作情報処理部の実現手法の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0017】
<1.装置の構成>
本発明の実施形態においては、操作者に提示される操作画面を制御する装置(制御装置)として、現金自動預け払い機を例に挙げて説明する。しかし、本発明の実施形態に係る装置は、後にも説明するように、現金自動預け払い機に限定されない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る現金自動預け払い機の外観図である。
図1を参照して、実施形態に係る現金自動預け払い機1の構成について説明する。現金自動預け払い機1は、顧客に対して金融サービスを提供する装置であり、操作者との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。現金自動預け払い機1は、例えば銀行の支店、コンビニなどに設置される。
【0019】
現金自動預け払い機1の説明における「上下」、「前後」、「左右」は、
図1の矢印に従う。当該方向は、説明の便宜上定めるものであり、本発明を限定するものではない。なお、
図1の前方向は、現金自動預け払い機1の操作者(すなわち金融機関等の顧客)が位置する方向である。
【0020】
図1に示すように、現金自動預け払い機1は、装置本体1aの前面に表示パネル1bを取り付けてあり、表示操作部2、キャッシュカードの挿入排出及び取引明細を排出するカード明細口3、入金及び出金時に紙幣を挿入、排出する紙幣口4、取引時の暗証番号を入力するための番号入力部5を有している。例えば、出金取引をする場合、操作者は、表示操作部2のボタンを押し、表示された案内に従ってキャッシュカードをカード明細口3に挿入し、番号入力部5で暗証番号を入力する。これによって、現金の払い戻しができる。なお、
図1に示す現金自動預け払い機1の構成はあくまで例示であり、例えば、番号入力部5が省略された構成など、他の構成であってもよい。
【0021】
図2を参照して、表示操作部2について説明する。
図2は、
図1のII-IIに対応する拡大断面図である。表示操作部2は、非接触型のタッチパネルである。つまり、操作者は、表示操作部2に触れずに空中をタッチすることによって入力が完了する。表示操作部2は、主に、表示部10と操作部20とで構成される。表示操作部2は、表示部10および操作部20に付随する構成要素(例えば、表示部10や操作部20を保護する部材や支持する部材)をさらに含んでいてもよい。
【0022】
表示部10は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)である。表示部10は、操作画面11を有しており、操作画面11には、操作に関する様々な情報(例えば、ボタン)が表示される。本発明の実施形態での操作画面11は矩形状である。表示部10は、取付金具31を介して固定ねじ32によって装置本体1a(
図1参照)に固定されている。表示部10の表面側(操作画面11側)には、操作画面11を保護するための保護部材12が設けられている。保護部材12は、ガラス製の板材を想定しているが、シート状の部材であってもよい。保護部材12は、例えば、両面テープによって取付金具31に貼り付けられ固定されている。固定された状態の保護部材12は、操作画面11と平行であり、操作画面11から離れている。なお、保護部材12の固定手段は両面テープに限定されず、種々の方法を選択できる。また、保護部材12の位置も図示したものに限定されない。
【0023】
操作部20は、操作画面11への操作を検知する光学式のセンサ装置である。操作部20は、保護部材12(つまり、操作画面11)の前方(つまり紙面上方)に配置されている。操作部20は、赤外線発光部21と赤外線受光部22とを備える。赤外線発光部21および赤外線受光部22は、操作画面11を介して対向して配置されており、赤外線発光部21が備える発光素子21aが照射する赤外線24を赤外線受光部22が備える受光素子22aで受光する。発光素子21aや受光素子22aは、基板上に並べて配置されている。以下では、赤外線24が照射される空間であり、操作画面11への操作を検知可能な領域を「検知領域P」と称する。
【0024】
赤外線発光部21および赤外線受光部22は、矩形枠状のケース23内に収納されている。ケース23は、例えば、両面テープによって取付金具31に貼り付けられ固定されている。操作部20は、表示パネル1bによって大部分が覆われており、操作者は操作部20を視認できないようになっている。
【0025】
図3に赤外線発光部21および赤外線受光部22を前面から見た場合の配置を示す。なお、
図3ではケース23を仮想線で示している。
図3に示すように、赤外線発光部21および赤外線受光部22は、長尺な形状を呈している。赤外線発光部21は、操作画面11の左縁部(左辺部)および下縁部(下辺部)の外側に位置し、発光素子21aは、左縁部(左辺部)および下縁部(下辺部)に沿って直線状に配置されている。また、赤外線受光部22は、操作画面11の右縁部(右辺部)および上縁部(上辺部)の外側に位置し、受光素子22aは、右縁部(右辺部)および上縁部(上辺部)に沿って直線状に配置されている。
【0026】
本発明の実施形態での表示部10と操作部20とは離して配置されていることによって、検知領域Pと表示部10との間に空間が形成されている。この空間は、操作部20による赤外線24が通過しておらず、物体の存在(ここでは、操作者の指N)を検知していない領域なので「非検知空間Q」と称する。保護部材12と赤外線発光部21および赤外線受光部22との距離C(つまり、非検知空間Qの幅寸法)は、操作者が表示操作部2の操作を行うために指Nを検知領域Pに挿入した場合に、指Nが保護部材12に触れない程度のものであるのがよく、例えば「20mm~100mm程度」の長さであるのが好ましい。
【0027】
<2.装置の動作>
操作者は、現金自動預け払い機1を操作する場合、例えば操作画面11に表示された取引ボタンに向けて指Nを入れる。これにより、赤外線発光部21から発光された赤外線24が遮光される(すなわち、赤外線24が指Nによって遮断される)。操作部20は、指Nによって遮光された位置を押下場所(すなわち、指定座標)として検知し、押下場所を図示しない制御部に通知する。図示しない制御部は、押下場所に基づいた制御(例えば、現金の払い戻し処理)を実行する。
【0028】
なお、赤外線発光部21から発光された赤外線24が遮光されることと、操作画面11の表示との関連付けには様々な方法がある。例えば、図示しない制御部は、ボタンに対応する位置の赤外線24が遮光されることに基づいて、ボタンが選択された表示が行われるように操作画面11を制御する。そして、図示しない制御部は、赤外線24の遮光が解除されたことに基づいて、ボタンの表示を元の状態に戻す。あるいは、図示しない制御部は、赤外線24が遮光された状態が一定時間継続した場合にボタンの表示を元の状態に戻してもよい。
【0029】
以上のように、本発明の実施形態に係る表示操作部2によれば、保護部材12(つまり、操作画面11)と赤外線発光部21および赤外線受光部22とに一定の距離が設けてある。そのため、操作者は、保護部材12に接触することなく操作が可能となり、衛生面のリスクを回避できる。
【0030】
<3.課題の整理>
図2に示されるように、本発明の実施形態においては、操作画面11と検知領域Pとの間に指Nが検知されない非検知空間Qが存在する。かかる非検知空間Qが存在すれば、操作画面11に対する操作を行う操作者の衛生面でのリスクが低減され得る。しかしながら、非検知空間Qが存在するだけの例では、操作者による操作の利便性が低下しやすいという課題が残される。以下では、かかる例を比較例として説明しながら、かかる課題について説明する。
【0031】
図4は、比較例に係る動作の例を示すフローチャートである。
図4に示されるように、表示操作部2は、指Nの検知待ち状態に該当するアイドル状態を維持する(S11)。表示操作部2は、操作部20によって赤外線24の遮光が検知されていない場合には(S12において「NO」)、再びS12に動作を移行させる。
【0032】
一方、表示操作部2は、操作部20によって赤外線24の遮光が検知された場合には(S12において「YES」)、赤外線24の遮光検知に基づいて、指Nによって遮光された位置を検知開始座標として座標指定開始イベントに含め、検知開始座標を含んだ座標指定開始イベントを、図示しない制御部に通知する(S13)。なお、赤外線24の遮光検知は、検知領域Pにおける指Nの検知開始に該当する。また、座標指定開始イベントは、指Nによる座標指定の開始を示すイベントに該当する。
【0033】
続いて、表示操作部2は、操作部20によって赤外線24の遮光解除が検知されない場合には(S14において「NO」)、S15に動作を移行させる。そして、表示操作部2は、操作部20によって遮光位置の移動が検知されない場合には(S15において「NO」)、S14に動作を移行させる。一方、表示操作部2は、操作部20によって遮光位置の移動が検知された場合には(S15において「YES」)、移動後の遮光位置を移動座標として指定座標移動イベントに含め、移動座標を含んだ指定座標移動イベントを、図示しない制御部に通知し(S16)、S14に動作を移行させる。
【0034】
表示操作部2は、操作部20によって赤外線24の遮光解除が検知された場合には(S14において「YES」)、赤外線24の遮光解除に基づいて、座標指定終了イベントを、図示しない制御部に通知し(S17)、再びアイドル状態に移行する(S18)。なお、赤外線24の遮光解除は、検知領域Pにおける指Nの検知終了に該当する。また、座標指定終了イベントは、指Nによる座標指定の終了を示すイベントに該当する。
【0035】
図4に示されるように、表示操作部2によって座標指定終了イベントが図示しない制御部に通知されると、図示しない制御部は、座標指定終了イベントの直前に表示操作部2から通知されたイベントに応じた処理(例えば、ボタンに対応する処理など)の実行を制御する。より詳細に、図示しない制御部は、座標指定終了イベントの直前に表示操作部2から通知された、座標指定開始イベントに含まれる検知開始座標、または、指定座標移動イベントに含まれる移動座標に応じた処理の実行を制御する。
【0036】
以上、比較例に係る動作の例を説明した。上記したように、操作画面11と検知領域Pとの間に非検知空間Qが存在すれば、操作者は、保護部材12に接触することなく操作を入力することが可能となる。
【0037】
しかし、保護部材12に接触せずに操作を入力する操作者にとって、操作が検知され始めたタイミング(すなわち、赤外線24が遮光され始めたタイミング)を把握しにくいという状況が起こり得る。すなわち、操作者は、既に赤外線24が遮光されているにも関わらず赤外線24が遮光されていることに気づかずに赤外線24を遮光し続けようとするために、赤外線24の遮光をなかなか解除しようとせず、その結果として座標指定終了イベントがなかなか通知されず、処理がスムーズに実行されない状況が起こり得るという課題がある。
【0038】
さらに、保護部材12に接触せずに操作を入力する操作者にとって、指Nの位置を安定させにくくなってしまうという状況が起こり得る。すなわち、操作者は、赤外線24を遮光し始めた位置が自分の意図した位置であったとしても、赤外線24の遮光を解除した位置は、自分の意図した位置とずれてしまっていることがあり得る。そのため、操作者の意図した通りの処理が実行されない状況が起こり得るという課題がある。
【0039】
このように、操作画面11と検知領域Pとの間に非検知空間Qが存在する場合には、操作者による操作の利便性が低下しやすいという幾つかの課題が残される。以下では、かかる課題を解決するための技術の例として、本発明の第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態について順に説明する。
【0040】
<4.第1の実施形態>
続いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0041】
(構成の説明)
まず、本発明の第1の実施形態に係る表示操作部2および制御部50の構成例について説明する。
【0042】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る表示操作部2および制御部50の機能構成例を示すブロック図である。
図5に示されるように、本発明の第1の実施形態においては、表示操作部2は、表示部10と、操作部20と、操作情報出力部25と、操作情報処理部40とを備える。また、制御部50は、ドライバ51と、表示制御部52とを備える。これらのブロックのうち、表示部10および操作部20についての詳細は、上記にて説明した通りである。
【0043】
制御部50は、現金自動預け払い機1の動作全般を制御する。例えば、制御部50は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの実行において使用するプログラムおよび、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、データ等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)装置などのデータ格納用記憶装置等で構成される。
【0044】
制御部50を実現するためのプログラムには、OS(Operating System)、アプリケーションおよびドライバ51などが含まれ得る。
【0045】
操作情報出力部25は、操作部20と接続されており、操作部20から指Nによって遮光された位置の入力を受け付ける。さらに、操作情報出力部25は、操作部20から入力を受け付けた遮光位置を操作情報処理部40に出力する。例えば、操作情報出力部25は、操作部20を制御するためのマイクロコンピュータがファームウェアを実行することにより実現され得る。
【0046】
操作情報処理部40は、操作情報出力部25から遮光位置が通知されたか否かに基づいて、操作部20によって赤外線24の遮光が検知されたか否かを判定し得る。操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線24の遮光が検知された場合には、赤外線24の遮光検知に基づいて、指Nによって遮光された位置を検知開始座標として座標指定開始イベント(第1の座標指定開始イベント)に含め、検知開始座標を含んだ座標指定開始イベントを、制御部50に通知する。
【0047】
さらに、操作情報処理部40は、赤外線24の遮光検知に基づいて、座標指定開始イベントだけではなく、座標指定終了イベント(第1の座標指定終了イベント)を制御部50に通知する。なお、操作情報処理部40は、操作情報出力部25から遮光位置が引き続き通知されたとしても、移動後の遮光位置を移動座標として含んだ指定座標移動イベントを制御部50に通知しなくてよい。
【0048】
操作情報処理部40は、操作情報出力部25から遮光位置が通知されなくなった否か(すなわち、遮光位置の通知が途切れてしまったか否か)に基づいて、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知されたか否かを判定し得る。操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知された場合には、赤外線の遮光解除に基づいて、アイドル状態に移行する。
【0049】
例えば、操作情報処理部40は、操作部20を制御するためのマイクロコンピュータがファームウェアを実行することにより実現され得る。後にも説明するように、操作情報処理部40は、制御部50が備えるドライバ51によって実現されてもよい。
【0050】
ドライバ51は、現金自動預け払い機1のOSが、操作部20を制御するためのプログラムである。例えば、ドライバ51は、操作情報処理部40から通知された、座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントを、OSを介して表示制御部52に通知する。
【0051】
表示制御部52は、操作情報処理部40から、ドライバ51およびOSを介して表示制御部52に座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが通知されたことに基づいて、座標指定開始イベントに応じた(表示部10が備える)操作画面11の制御を行う。より詳細に、表示制御部52は、座標指定開始イベントに含まれた検知開始座標に基づいて操作画面11の制御を行う。
【0052】
以上、本発明の第1の実施形態に係る表示操作部2および制御部50の構成例について説明した。
【0053】
(動作の説明)
続いて、本発明の第1の実施形態に係る操作情報処理部40の動作例について説明する。
【0054】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る操作情報処理部40の動作例を示すフローチャートである。
図6に示されるように、本発明の第1の実施形態においては、操作情報処理部40は、アイドル状態を維持する(S21)。操作情報処理部40は、操作情報出力部25から遮光位置が通知されたか否かに基づいて、操作部20によって赤外線の遮光が検知されたか否かを判定する(S22)。
【0055】
操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光が検知されていない場合には(S22において「NO」)、再びS22に動作を移行させる。
【0056】
一方、操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光が検知された場合には(S22において「YES」)、赤外線の遮光検知に基づいて、指Nによって遮光された位置を検知開始座標として座標指定開始イベントに含め、検知開始座標を含んだ座標指定開始イベントを、制御部50に通知する。さらに、操作情報処理部40は、赤外線の遮光検知に基づいて、座標指定終了イベントを制御部50に通知する(S23)。
【0057】
続いて、操作情報処理部40は、操作情報出力部25から遮光位置が通知されなくなった否かに基づいて、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知されたか否かを判定する(S24)。操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知されない場合には(S24において「NO」)、再びS24に動作を移行させる。一方、操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知された場合には(S24において「YES」)、赤外線の遮光解除に基づいて、再びアイドル状態に移行する(S25)。
【0058】
以上、本発明の第1の実施形態に係る操作情報処理部40の動作例について説明した。
【0059】
(画面制御例の説明)
続いて、本発明の第1の実施形態に係る表示制御部52による操作画面11の制御例について説明する。
【0060】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る表示制御部52による操作画面11の制御例を説明するための図である。
図7を参照すると、操作画面11の例として、操作者に取引を選択させるための操作画面G11が示されている。操作画面G11には、ボタンB1「お引出し」、ボタンB2「お預入れ」、ボタンB3「残高照会」およびボタンB4「通帳記入」が含まれている。表示制御部52は、操作画面G11が表示されるように表示部10を制御する。操作情報処理部40は、アイドル状態を維持している。
【0061】
ここで、操作者が取引として通帳記入を現金自動預け払い機1に実行させたいと考えた場合を想定する。このとき、操作者は、ボタンB4「通帳記入」に指を近づける。これによって、ボタンB4「通帳記入」に対応する位置の赤外線が指によって遮光され始める。操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光が検知された場合には、指によって遮光された位置を検知開始座標として含んだ座標指定開始イベント(第1の座標指定開始イベント)を制御部50に通知する。
【0062】
さらに、操作情報処理部40は、座標指定開始イベントだけではなく、座標指定終了イベント(第1の座標指定終了イベント)を制御部50に通知する。表示制御部52は、操作情報処理部40から座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが通知されたことに基づいて、座標指定開始イベントに応じた操作画面G11の制御を行う。より詳細に、表示制御部52は、座標指定開始イベントに含まれた検知開始座標に基づいて操作画面G11の制御を行う。
【0063】
図7に示された例では、表示制御部52は、検知開始座標とボタンB4「通帳記入」の座標とに基づいて、検知開始座標がボタンB4「通帳記入」の範囲内であると判定する。かかる場合に、表示制御部52は、操作画面G11の制御として、ボタンB4「通帳記入」に対応する操作画面G12への遷移を制御する。
【0064】
操作者は、操作画面G11から操作画面G12への遷移が行われたことに気づくと、図示しない通帳挿入口に通帳を挿入する準備をするため、ボタンB4「通帳記入」から指を遠ざける。これによって、ボタンB4「通帳記入」に対応する位置の赤外線の指による遮光が解除される(操作画面G13)。操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知された場合には、赤外線の遮光解除に基づいて、再びアイドル状態に移行する。
【0065】
(効果の説明)
本発明の第1の実施形態によれば、操作部20によって赤外線24の遮光が検知されたことに基づいて、座標指定開始イベントとともに座標指定終了イベントが制御部50に通知される。かかる構成によれば、制御部50は、赤外線24の遮光が解除されるのを待たずして、座標指定終了イベントとともに通知された座標指定開始イベントに応じた処理の実行を制御することが可能となる。
【0066】
これによって、操作者による操作の利便性の低下を抑制され得る。一例として、座標指定開始イベントとともに座標指定終了イベントが制御部50に通知されることによって、処理がスムーズに実行されるようになる。すなわち、本発明の第1の実施形態によれば、座標指定終了イベントがなかなか通知されずに処理がスムーズに実行されない状況が起こり得るという上記の課題が解決され得る。例えば、操作者は、遮光を解除しなくても、操作画面が遷移されるたびに遮光位置をボタンの位置に移動させることによって、ボタンに対応する操作画面への遷移を連続的に行うことが可能となる。
【0067】
他の一例として、赤外線24の遮光が解除されるのを待たずして処理が実行されることによって、赤外線24の遮光を解除した位置が操作者の意図した位置とずれたとしても、操作者の意図した通りの処理が実行され得る。すなわち、本発明の第1の実施形態によれば、操作者の意図した通りの処理が実行されない状況が起こり得るという上記の課題も解決され得る。
【0068】
<5.第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0069】
(構成の説明)
本発明の第2の実施形態においては、本発明の第1の実施形態と比較して、操作情報処理部40が有する機能が主に異なり、その他の構成が有する機能は共通する。したがって、本発明の第2の実施形態においては、操作情報処理部40が有する機能について主に説明し、その他の構成が有する機能の詳細な説明については省略する。なお、本発明の第2の実施形態においても、
図5に示された表示操作部2および制御部50の構成例を用いて説明する。
【0070】
操作情報処理部40は、赤外線が遮光解除されない状態において赤外線の遮光検知から第1の時間(以下、「規定時間」とも言う。)が経過した場合に、座標指定開始イベント(第2の座標指定開始イベント)および座標指定終了イベント(第2の座標指定終了イベント)を制御部50に通知する。赤外線が遮光解除されない状態は、検知領域における指の検知が終了しない状態に該当し得る。ここで、規定時間の具体的な値は限定されない。一例として、規定時間は、1s(1秒)などであってもよい。
【0071】
以上、本発明の第2の実施形態に係る表示操作部2および制御部50の構成例について説明した。
【0072】
(動作の説明)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る操作情報処理部40の動作例について説明する。
【0073】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る操作情報処理部40の動作例を示すフローチャートである。
図8に示されたS31~S34は、本発明の第1の実施形態に係る操作情報処理部40における動作(S21~S24)と同様に実行される。
【0074】
操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知されない場合には(S34において「NO」)、赤外線の遮光開始から、規定時間の例としての1sが経過したか否かを判定する(S35)。操作情報処理部40は、赤外線の遮光開始から1sが経過した場合に(S35において「YES」)、S33に動作を移行させる。これによって、操作情報処理部40は、座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントを制御部50に再度通知し得る(S33)。
【0075】
一方、操作情報処理部40は、赤外線の遮光開始から1sが経過していない場合には(S35において「NO」)、S34に動作を移行させる。操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知された場合には(S34において「YES」)、赤外線の遮光解除に基づいて、再びアイドル状態に移行する(S36)。
【0076】
以上、本発明の第2の実施形態に係る操作情報処理部40の動作例について説明した。
【0077】
(画面制御例の説明)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る表示制御部52による操作画面11の制御例について説明する。
【0078】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る表示制御部52による操作画面11の制御例を説明するための図である。
図9を参照すると、操作画面11の例として、操作者に取引を選択させるための操作画面G11が示されている。本発明の第1の実施形態と同様に、表示制御部52は、操作画面G11が表示されるように表示部10を制御する。
【0079】
本発明の第1の実施形態と同様に、操作者が取引として通帳記入を現金自動預け払い機1に実行させたいと考えた場合を想定する。しかし、本発明の第2の実施形態においては、操作者が、ボタンB4「通帳記入」が存在しない場所に対応する位置に指を近づけてしまった場合を想定する。かかる場合には、ボタンB4「通帳記入」が存在しない場所に対応する位置の赤外線が指によって遮光され始める。
【0080】
操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光が検知された場合には、指によって遮光された位置を検知開始座標として含んだ座標指定開始イベント(第1の座標指定開始イベント)および座標指定終了イベント(第1の座標指定終了イベント)を制御部50に通知する。しかし、検知開始座標がボタンB4「通帳記入」の範囲内ではないため、表示制御部52は、ボタンB4「通帳記入」に対応する操作画面への遷移を制御しない。
【0081】
続いて、操作者がボタンB4「通帳記入」が存在する場所に対応する位置に遮光位置を移動させた場合を想定する(操作画面G21)。操作情報処理部40は、赤外線が遮光解除されない限りアイドル状態に移行しない。さらに、操作情報処理部40は、赤外線の遮光検知から規定時間が経過するまでは、ボタンB4「通帳記入」に対応する操作画面への遷移を制御しない。しかし、操作情報処理部40は、赤外線が遮光解除されない状態において赤外線の遮光検知から規定時間が経過した場合に、移動後の遮光位置を検知開始座標として含んだ座標指定開始イベント(第2の座標指定開始イベント)および座標指定終了イベント(第2の座標指定終了イベント)を制御部50に通知する。
【0082】
表示制御部52は、操作情報処理部40から座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが通知されたことに基づいて、座標指定開始イベントに応じた操作画面G11の制御を行う。より詳細に、表示制御部52は、座標指定開始イベントに含まれた検知開始座標に基づいて操作画面G11の制御を行う。
【0083】
図9に示された例では、表示制御部52は、検知開始座標とボタンB4「通帳記入」の座標とに基づいて、検知開始座標がボタンB4「通帳記入」の範囲内であると判定する。かかる場合に、表示制御部52は、操作画面G21の制御として、ボタンB4「通帳記入」に対応する操作画面G12への遷移を制御する。そして、本発明の第1の実施形態と同様に、操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知された場合には、赤外線の遮光解除に基づいて、再びアイドル状態に移行する。
【0084】
(効果の説明)
本発明の第2の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態が奏する効果と同様の効果が享受され得る。
【0085】
さらに、本発明の第2の実施形態によれば、赤外線が遮光解除されない状態において赤外線の遮光検知から規定時間が経過した場合に、座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが制御部50に再度通知される。かかる構成によれば、制御部50は、赤外線の遮光が解除されるのを待たずして、再度通知される座標指定終了イベントとともに通知された座標指定開始イベントに応じた処理の実行を制御することが可能となる。
【0086】
これによって、操作者による操作の利便性の低下を抑制され得る。一例として、赤外線が遮光解除されない限り、座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが制御部50に再度通知されないと仮定する。かかる仮定の下では、操作不可能な場所(例えば、ボタンが存在しない場所など)において遮光開始された後に、操作可能な場所に遮光位置が移動されたとしても、操作可能な場所(例えば、ボタンが存在する場所など)に対応する処理が実行されない状況が起こり得る。
【0087】
かかる状況において、操作者は、処理が実行されない理由を知らずに、操作可能な場所において赤外線を遮光し続けようとするために、赤外線の遮光をなかなか解除しようとせず、処理がスムーズに実行されない状況が起こり得る。一方、本発明の第2の実施形態によれば、赤外線の遮光が解除されるのを待たずして、座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが制御部50に再度通知されることによって、処理がスムーズに実行されるようになる。
【0088】
<6.第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0089】
(構成の説明)
本発明の第3の実施形態においては、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態と比較して、操作情報処理部40が有する機能が主に異なり、その他の構成が有する機能は共通する。したがって、本発明の第3の実施形態においては、操作情報処理部40が有する機能について主に説明し、その他の構成が有する機能の詳細な説明については省略する。なお、本発明の第3の実施形態においても、
図5に示された表示操作部2および制御部50の構成例を用いて説明する。
【0090】
操作情報処理部40は、赤外線が遮光解除されない状態において赤外線の遮光検知から規定時間が経過した場合、かつ、遮光位置の第2の時間(以下、「集計時間」とも言う。)における移動量が所定の移動量以下である場合に、座標指定開始イベント(第2の座標指定開始イベント)および座標指定終了イベント(第2の座標指定終了イベント)を制御部50に通知する。
【0091】
ここで、集計時間は、現在を基準とした直近の時間的な区間であってよい。集計時間の具体的な値は限定されない。一例として、集計時間は、100ms(100ミリ秒)などであってもよい。また、所定の移動量の具体的な値も限定されない。一例として、所定の移動量は、10mm(10ミリメートル)などであってもよい。
【0092】
遮光位置の移動量をサンプリングするタイミングも限定されない。例えば、操作情報処理部40は、集計時間(例えば、100ms)と同じ時間を周期として遮光位置の移動量をサンプリングしてもよいし、集計時間(例えば、100ms)と異なる時間(例えば、10ms)を周期として遮光位置の移動量をサンプリングしてもよい。あるいは、操作情報処理部40は、遮光位置の移動量が所定の移動量(例えば、10mm)以上となった場合に、遮光位置の移動量をリセットしてサンプリングを開始してもよい。
【0093】
以上、本発明の第3の実施形態に係る表示操作部2および制御部50の構成例について説明した。
【0094】
(動作の説明)
続いて、本発明の第3の実施形態に係る操作情報処理部40の動作例について説明する。
【0095】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る操作情報処理部40の動作例を示すフローチャートである。
図10に示されたS41~S45は、本発明の第2の実施形態に係る操作情報処理部40における動作(S31~S35)と同様に実行される。
【0096】
操作情報処理部40は、赤外線の遮光開始から、規定時間の例としての1sが経過した場合に、集計時間の例としての100ms間の遮光位置の移動量が所定の移動量の例としての10mm以下であるか否かを判定する(S46)。操作情報処理部40は、100ms間の遮光位置の移動量が10mm以下である場合(S46において「YES」)、S43に動作を移行させる。これによって、操作情報処理部40は、座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントを制御部50に再度通知し得る(S43)。
【0097】
一方、操作情報処理部40は、100ms間の遮光位置の移動量が10mm以下ではない場合(S46において「NO」)、S44に動作を移行させる。操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知された場合には(S44において「YES」)、赤外線の遮光解除に基づいて、再びアイドル状態に移行する(S47)。
【0098】
以上、本発明の第3の実施形態に係る操作情報処理部40の動作例について説明した。
【0099】
(画面制御例の説明)
続いて、本発明の第3の実施形態に係る表示制御部52による操作画面11の制御例について説明する。
【0100】
図11は、本発明の第3の実施形態に係る表示制御部52による操作画面11の制御例を説明するための図である。本発明の第1の実施形態と同様に、表示制御部52は、操作画面G11が表示されるように表示部10を制御する。ここで、本発明の第3の実施形態においては、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態とは異なり、操作者が取引として、通帳記入ではなく現金の預け入れを現金自動預け払い機1に実行させたいと考えた場合を想定する。
【0101】
まず、本発明の第3の実施形態においても、本発明の第2の実施形態と同様に、操作者が、ボタンB4「通帳記入」が存在しない場所に対応する位置に指を近づけてしまった場合を想定する。かかる場合には、ボタンB4「通帳記入」が存在しない場所に対応する位置の赤外線が指によって遮光され始める。
【0102】
操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光が検知された場合には、指によって遮光された位置を検知開始座標として含んだ座標指定開始イベント(第1の座標指定開始イベント)および座標指定終了イベント(第1の座標指定終了イベント)を制御部50に通知する。しかし、検知開始座標がボタンB4「通帳記入」の範囲内ではないため、表示制御部52は、ボタンB4「通帳記入」に対応する操作画面への遷移を制御しない。
【0103】
続いて、本発明の第2の実施形態と同様に、操作者がボタンB4「通帳記入」が存在する場所に対応する位置に遮光位置を移動させた場合を想定する(操作画面G31)。しかし、本発明の第3の実施形態においては、操作者がボタンB2「お預入れ」が存在する場所に対応する位置に向けて遮光位置を移動し続ける。このとき、集計時間における遮光位置の移動量は、所定の移動量よりも大きい。そのため、操作情報処理部40は、赤外線の遮光検知から規定時間が経過したとしても、ボタンB4「通帳記入」に対応する操作画面への遷移を制御しない。
【0104】
続いて、操作者がボタンB2「お預入れ」が存在する場所に対応する位置に遮光位置を移動させて遮光位置を停止させた場合を想定する(操作画面G32)。このとき、集計時間における遮光位置の移動量は、所定の移動量以下である。そのため、操作情報処理部40は、赤外線の遮光検知から規定時間が経過した場合、移動後の遮光位置を検知開始座標として含んだ座標指定開始イベント(第2の座標指定開始イベント)および座標指定終了イベント(第2の座標指定終了イベント)を制御部50に通知する。
【0105】
表示制御部52は、操作情報処理部40から座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが通知されたことに基づいて、座標指定開始イベントに応じた操作画面G32の制御を行う。より詳細に、表示制御部52は、座標指定開始イベントに含まれた検知開始座標に基づいて操作画面G32の制御を行う。
【0106】
図11に示された例では、表示制御部52は、検知開始座標とボタンB2「お預入れ」の座標とに基づいて、検知開始座標がボタンB2「お預入れ」の範囲内であると判定する。かかる場合に、表示制御部52は、操作画面G32の制御として、ボタンB2「お預入れ」に対応する操作画面G33への遷移を制御する。そして、本発明の第1の実施形態と同様に、操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光解除が検知された場合には、赤外線の遮光解除に基づいて、再びアイドル状態に移行する。
【0107】
(効果の説明)
本発明の第3の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態が奏する効果と同様の効果が享受され得る。また、本発明の第3の実施形態によれば、本発明の第2の実施形態が奏する効果と同様の効果が享受され得る。
【0108】
さらに、本発明の第3の実施形態によれば、赤外線が遮光解除されない状態において赤外線の遮光検知から規定時間が経過した場合、かつ、遮光位置の集計時間における移動量が所定の移動量以下である場合に、座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが制御部50に再度通知される。かかる構成によれば、制御部50は、赤外線の遮光が解除されるのを待たずして、再度通知される座標指定終了イベントとともに通知された座標指定開始イベントに応じた処理の実行を制御することが可能となる。
【0109】
これによって、操作者による操作の利便性の低下を抑制され得る。一例として、赤外線の遮光検知から規定時間が経過した場合、遮光位置の集計時間における移動量が所定の移動量よりも大きい場合であっても、座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが制御部50に再度通知されると仮定する。かかる仮定の下では、操作可能な場所(例えば、ボタンが存在する場所など)に遮光位置が移動されたときに、当該操作可能な場所が操作者の操作しようとする場所ではなくても、当該操作可能な場所に対応する処理が実行されてしまう状況が起こり得る。
【0110】
本発明の第3の実施形態によれば、赤外線が遮光解除されない状態において赤外線の遮光検知から規定時間が経過したという条件だけではなく、遮光位置の集計時間における移動量が所定の移動量以下であるという条件が満たされた場合に、座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが制御部50に再度通知される。これによって、操作者の意図した通りの処理が実行される可能性が高まることが期待される。
【0111】
<7.各種の変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0112】
本発明の第1の実施形態から第3の実施形態までにおいては、検知開始座標が操作画面に表示されているボタンの範囲内である場合に、表示制御部52が、操作画面の制御として、そのボタンに対応する操作画面への遷移を制御する例について主に説明した。このとき、表示制御部52は、ボタンに対応する操作画面への遷移を制御する前に、ボタンに対応する所定の表示が行われるように制御してもよい。これによって、どのボタンに対応する操作画面への遷移が行われるのかを操作者により明確に知覚させることが可能となる。なお、所定の表示は、あらかじめ決められた時間(例えば、0.5秒など)行われるように制御されてもよい。
【0113】
図12は、操作画面11の制御の変形例を説明するための図である。本発明の第1の実施形態と同様に、表示制御部52は、操作画面G11が表示されるように表示部10を制御する。本発明の第1の実施形態と同様に、操作者は、ボタンB4「通帳記入」に指を近づける。これによって、ボタンB4「通帳記入」に対応する位置の赤外線が指によって遮光され始める。操作情報処理部40は、操作部20によって赤外線の遮光が検知された場合には、指によって遮光された位置を検知開始座標として含んだ座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントを制御部50に通知する。
【0114】
表示制御部52は、操作情報処理部40から座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが通知されたことに基づいて、座標指定開始イベントに応じた操作画面G11の制御を行う。
図12に示された例では、表示制御部52は、検知開始座標とボタンB4「通帳記入」の座標とに基づいて、検知開始座標がボタンB4「通帳記入」の範囲内であると判定する。かかる場合に、表示制御部52は、ボタンB4「通帳記入」に対応する所定の表示が行われるように制御する。
【0115】
図12には、所定の表示として、ボタンB4「通帳記入」の表示態様の変更(特に、色変更)が例として示されている(操作画面G41)。しかし、所定の表示は、ボタンB4「通帳記入」の表示態様の他の変更(例えば、サイズ変更または形状変更など)であってもよい。あるいは、所定の表示は、ボタンB4「通帳記入」の表示態様の変更とは異なる表示であってもよい。例えば、所定の表示は、どのボタンが選択されたかを示す文字列(例えば、「通帳記入が選択されました」などといった文字列など)の表示であってもよい。その後、表示制御部52は、ボタンB4「通帳記入」に対応する操作画面G12への遷移を制御する。
【0116】
また、本発明の第1の実施形態から第3の実施形態までにおいては、操作部20を制御するためのマイクロコンピュータがファームウェアを実行することによって、操作情報処理部40が実現される例について主に説明した。しかし、操作情報処理部40は、他の手法により実現されてもよい。
【0117】
図13は、操作情報処理部40の実現手法の変形例を説明するための図である。
図13に示されるように、操作情報処理部40は、そのプログラム部分が制御部50のドライバ51に存在してもよい。すなわち、操作情報処理部40は、制御部50のドライバ51に存在する、操作情報処理部40に対応するプログラム部分が実行されることにより実現されてもよい。
【0118】
また、上記では、操作画面に対して操作を行う操作体の例として指が用いられる場合を主に想定した。しかし、操作体は指に限定されない。例えば、操作体として指以外の身体部分(例えば、腕など)または身体以外の物体が用いられてもよい。
【0119】
また、上記では、操作画面に表示されるオブジェクトの例としてボタンが用いられる場合を主に想定した。しかし、操作画面に表示されるオブジェクトはボタンに限定されない。例えば、操作画面に表示されるオブジェクトとして、ボタン以外のオブジェクトが用いられてもよい。ボタン以外のオブジェクトは、アイコンであってもよいし、文字列であってもよいし、画像であってもよいし、他のオブジェクトであってもよい。
【0120】
また、上記では、操作者に提示される操作画面を制御する制御装置として、現金自動預け払い機1を例に挙げて説明した。しかし、本発明の実施形態に係る制御装置は、現金自動預け払い機1に限定されない。例えば、本発明の実施形態に係る制御装置は、現金の入出金を行う入出金機であってもよい。あるいは、本発明の実施形態に係る制御装置は、操作者によって利用される券を発行する発券機であってもよいし、商品を販売する自動販売機であってもよいし、他の制御装置であってもよい。
【0121】
また、操作情報処理部40の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、操作情報処理部40の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0122】
また、操作情報処理部40によって座標指定開始イベントおよび座標指定終了イベントが通知される具体的なタイミングは限定されない。例えば、操作情報処理部40によって座標指定開始イベントが通知されるタイミングと座標指定終了イベントが通知されるタイミングとは、同時であってもよい。あるいは、操作情報処理部40によって座標指定開始イベントが通知されるタイミングと座標指定終了イベントが通知されるタイミングとは、時間的な先後関係を有していてもよい(すなわち、座標指定開始イベントの通知と座標指定終了イベントの通知には、順番があってもよい)。
【0123】
あるいは、操作情報処理部40は、座標指定開始イベントと座標指定終了イベントとをまとめて1つのイベント(例えば、当該1つのイベントは「遮光イベント」と呼称されてもよい。)として通知してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 現金自動預け払い機(制御装置)
1a 装置本体
1b 表示パネル
2 表示操作部
3 カード明細口
4 紙幣口
5 番号入力部
10 表示部
11 操作画面
12 保護部材
20 操作部
21 赤外線発光部
21a 発光素子
22 赤外線受光部
22a 受光素子
23 ケース
24 赤外線
25 操作情報出力部
31 取付金具
32 固定ねじ
40 操作情報処理部
50 制御部
51 ドライバ
52 表示制御部
P 検知領域
Q 非検知空間