(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】金属AM用銅合金粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 9/08 20060101AFI20240702BHJP
B22D 11/00 20060101ALI20240702BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240702BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240702BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240702BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240702BHJP
C22C 9/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B22F9/08 A
B22D11/00 F
B22F1/00 L
B22F10/28
B33Y10/00
B33Y70/00
C22C9/00
(21)【出願番号】P 2024506147
(86)(22)【出願日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2023038393
【審査請求日】2024-04-02
(31)【優先権主張番号】P 2022169920
(32)【優先日】2022-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】平野 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】大久保 清之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 訓
(72)【発明者】
【氏名】加藤 純
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-132008(JP,A)
【文献】特開2020-186429(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111676386(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00
B22F 1/00,9/08,10/28,10/34
B33Y 10/00,70/00
C22C 1/02,9/00,9/01,9/02,9/04,
9/05,9/06,9/08,9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属AMに用いられる金属AM用銅合金粉末の製造方法であって、
純度が99.99mass%以上の高純度銅からなる銅原料を溶解して銅溶湯を得る銅溶湯供給部と、非酸化性雰囲気で前記銅溶湯に対して銅合金の合金元素を添加して銅合金溶湯を得る添加部と、前記銅合金溶湯が供給される鋳型と、を備えた
連続鋳造装置によって、銅合金鋳塊を
連続的に製造する鋳造工程と、
前記銅合金鋳塊を原料として、不活性ガスまたは真空雰囲気中でアトマイズ処理して溶融分解することにより、粉末化するアトマイズ処理工程と、
を有しており、
前記銅合金鋳塊におけるO濃度が10massppm以下、H濃度が5massppm以下
、O濃度とH濃度とS濃度の合計が20massppm以下とされるとともに、Cu及び合金元素以外の不純物元素(O,H,Sを除く)の含有量が合計で0.04mass%以下とされていることを特徴とする金属AM用銅合金粉末の製造方法。
【請求項2】
前記銅合金鋳塊におけるS濃度が15massppm以下とされていることを特徴とする請求項1に記載の金属AM用銅合金粉末の製造方法。
【請求項3】
前記銅合金鋳塊におけるO濃度が8massppm以下、H濃度が3massppm以下とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属AM用銅合金粉末の製造方法。
【請求項4】
前記銅合金鋳塊における前記合金元素の合計含有量が0.01mass%以上50mass%以下の範囲内とされているとされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属AM用銅合金粉末の製造方法。
【請求項5】
前記合金元素として、Cr,Zr,Si,Ni,Mg,Ti,Al,Zn,Ca,Sn,Pb,Fe,Mn,Te,Nb,Co,Sb,Bi,Ag,Ta,W,Mo,及びPから選択される1種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属AM用銅合金粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属アディティブ・マニュファクチャリング(金属AM)技術に最適な金属AM用銅合金粉末の製造方法に関する。
本願は、2022年10月24日に、日本に出願された特願2022-169920号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な立体形状を有する金属部品を製造する手法として、主に原料として粉を用いて金属3Dプリンターで製品を造形する金属AM技術が実用化されている。金属粉末を用いた主な金属AM技術としては、電子ビームやレーザー光を用いた粉末床溶融法(パウダーベッド・フュージョン:PBF)、バインダジェット法等が挙げられる。
ここで、銅合金は、導電性、熱伝導性、機械的特性、耐摩耗性、耐熱性など工業的な応用に適した多数の基本的性質を有しており、各種部材の素材として利用されている。そこで、近年、宇宙、電気部品応用など様々な分野において、銅合金粉末を用いた金属AMにより、様々な形状の部材を形成することが試行され、金属AMで製造された銅及び銅合金の部品のニーズが高まっている。
例えば、特許文献1,2には、銅合金粉末を用いて、金属AMによる積層造形物を作成する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-211062号公報
【文献】特開2019-070169号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】Y. M. Arisoy et. al., "Influence of scan strategy and process parameters on microstructure and its optimization in additively manufactured nickel alloy 625 via laser powder bed fusion", The International Journal of Advanced Manufacturing Technology, Volume 90, p.p. 1393-1417 (2017).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属AMにより造形される金属構造体は、様々な用途に応じて何らかの構造部材として用いられることになるため、積層造形物の中にボイドが存在する場合や金属材料としての微細構造が不均一である場合には、熱機械的及び電気的な信頼性の点で問題となる。
現在、金属AMで最も多く使用されている造形方式はレーザーPBFであり、銅及び銅合金においても、レーザーPBFによる造形が試みられてきている。
ところで、レーザー光や電子線を照射する方法で積層造形する際には、まず薄い粉末の層を形成し(粉末床)、続いてこの粉末床にレーザーや電子線を局所的に照射して材料を溶融凝固させる。しかし、銅及び銅合金においては、鉄、チタン、ニッケル系などの他の金属材料と比較して、銅そのものが可視、赤外域の光に対する反射率が高いことなどが原因となり、レーザーPBFの過程で銅合金粉末の溶融挙動が不安定となり、作製された積層造形物の内部にボイドが発生しやすく、レーザーPBFで製造した造形体の品質が安定しない、生産性が悪いなどの課題が山積しており、レーザーPBFにより製造された銅及び銅合金の品質及び生産性の改善が求められてきている。
【0006】
現在、最も広く使用されている金属AM用原料の形態は粉末である。例えば、レーザーPBFを用いた金属AMにおいては、原料粉末を構成する各粒子の表面層の電磁波とのカップリング・相互作用による粒子の電磁波の吸収特性が、原料粉末の溶融挙動に影響を及ぼし、部品の生産性や部品の欠陥密度を含む品質に大きく影響する。例えば、粉末床を用いる金属AMプロセスにおいては、一回の積層過程で形成される粉末床の厚みは例えば数10μm程度であり(非特許文献1)、収束した電磁波をこのような比較的薄い粉末床に照射することにより原料粉末を溶融させ、更に数多くの積層と溶融凝固を繰り返すことにより所望の造形構造を実現する。粉末床を用いるこのような積層造形の素過程に大きな影響を及ぼすのが固体の電磁波の吸収特性であり、例えば、固体の電磁波の吸収特性は材料組成により影響されるため、粉末の材料組成や微細構造の均一性を高めることは、積層造形物全体において安定した品質を実現することや高い生産性の実現において極めて重要となる。
【0007】
また、銅合金においては、過去の様々な研究開発の結果、高い導電性を維持しながら高い機械強度も実現した材料や、耐熱性に優れる材料などが既に開発されており、金属AMにおいても、既存の高性能銅合金組成の材料を用いて所望の形状を有する金属AM部品を実現したい社会的要請がある。しかし、このような既知の銅合金組成の原料の粉末床にレーザー光や電子線を照射して積層造形する場合、レーザー光などが照射される各場所の粉末粒子の組成再現性を含む原料粉末に関わる微細構造の再現性が欠如している場合、粉末の溶融挙動が不均一となり、その結果、造形体内部にボイドなどの構造欠陥を誘発したり、造形体の金属組成の不均一性による機械特性の悪化を生じさせたりするおそれがあった。
【0008】
このような原料粉末の微細構造の再現性は、粉末の材料組成の再現性を含み、バインダジェット法など他の金属AMの工法においても同様な問題となっており、特に、銅合金の積層造形においては、このような各種の原料の課題のため生産性の改善が大きな課題であった。金属AM用の従来の銅合金粉末においては、金属AMプロセスに適した材料特性が不十分であり、その結果、各種積層造形プロセスで製造された造形体においては欠陥が発生しやすく、十分な生産性を実現出来ていなかった。
【0009】
また、金属AM造形体の構造欠陥の原因となる一つの因子として、ガスなどの巻き込みに起因するボイドの発生がある。従来の銅合金粉末を用いてPBF法で積層造形した場合、粉末溶融時に、銅合金粉末に内包される不純物が原因となりガスが発生し、溶融した銅合金や凝固した銅合金がガス成分をトラップし、作製された積層造形物の内部にボイドが生じることがあり、安定して高品質な積層造形物を作製することができないおそれがあった。
【0010】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、金属AMにより作製した積層造形物の微細構造の再現性が高く、ボイド等の構造欠陥が少ない高品質な積層造形物を安定して製造可能な金属AM用銅合金粉末の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、O濃度及びH濃度が十分に低減された高純度の銅合金鋳塊を原料として、不活性ガスまたは真空雰囲気中でアトマイズ処理して溶融分解することにより粉末化するアトマイズ処理工程から製造された粉末を用いた場合、製造された積層造形物の内部のボイドの発生を顕著に抑制可能であることを見出した。
レーザーPBFプロセスにおけるボイド抑制に関して、原料となる銅合金粉末の純度を高くすることにより粉末全体における材料組成の再現性が高まり、すなわち、レーザーが照射される粉末床の各場所における粉末組成の再現性が高まった結果、レーザー照射による原料粉末の溶融・凝固挙動の再現性が高まり安定化し、更に、原料粉末中のO、Hに起因して発生し得るH2Oなどの脱離ガス成分が抑制されること等の効果により、積層造形物中でのボイド発生が抑制可能となると考えられる。
【0012】
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものであって、本発明の態様1の金属AM用銅合金粉末の製造方法は、金属AMに用いられる金属AM用銅合金粉末の製造方法であって、純度が99.99mass%以上の高純度銅からなる銅原料を溶解して銅溶湯を得る銅溶湯供給部と、非酸化性雰囲気で前記銅溶湯に対して銅合金の合金元素を添加して銅合金溶湯を得る添加部と、前記銅合金溶湯が供給される鋳型と、を備えた連続鋳造装置によって、銅合金鋳塊を連続的に製造する鋳造工程と、前記銅合金鋳塊を原料として、不活性ガスまたは真空雰囲気中でアトマイズ処理して溶融分解することにより、粉末化するアトマイズ処理工程と、を有しており、前記銅合金鋳塊におけるO濃度が10massppm以下、H濃度が5massppm以下、O濃度とH濃度とS濃度の合計が20massppm以下とされるとともに、Cu及び合金元素以外の不純物元素(O,H,Sを除く)の含有量が合計で0.04mass%以下とされていることを特徴としている。
【0013】
本発明の態様1の金属AM用銅合金粉末の製造方法によれば、前記銅合金鋳塊におけるO濃度が10massppm以下、H濃度が5massppm以下とされているので、この銅合金鋳塊を原料にして銅合金粉末を製造することにより、微細構造の再現性が高く、ボイド等の構造欠陥が少ない高品質な積層造形物を安定して製造可能な金属AM用銅合金粉末を製造することができる。
【0014】
本発明の態様2は、態様1の金属AM用銅合金粉末の製造方法において、前記銅合金鋳塊におけるS濃度が15massppm以下とされていることが好ましい。
本発明の態様2の金属AM用銅合金粉末の製造方法によれば、前記銅合金鋳塊におけるS濃度が15massppm以下とされているので、銅に含まれやすい成分であるSを十分に低減することができ、この銅合金鋳塊を原料にして銅合金粉末を製造することにより、微細構造の再現性が高く、ボイド等の構造欠陥が少ないさらに高品質な積層造形物を安定して製造可能な金属AM用銅合金粉末を製造することができる。
【0015】
本発明の態様3は、態様1または態様2の金属AM用銅合金粉末の製造方法において、前記銅合金鋳塊におけるO濃度が8massppm以下、H濃度が3massppm以下とされていることが好ましい。
【0016】
本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つの金属AM用銅合金粉末の製造方法において、前記銅合金鋳塊における前記合金元素の合計含有量が0.01mass%以上50mass%以下の範囲内とされていることが好ましい。
本発明の態様4の金属AM用銅合金粉末の製造方法によれば、前記銅合金鋳塊における前記合金元素の合計含有量が0.01mass%以上50mass%以下の範囲内とされているので、合金元素の含有量が均一な金属AM用銅合金粉末を安定して製造することが可能となる。
また、合金元素を含有するため、導電性、熱伝導性等の各種特性に優れた金属AM用銅合金粉末を製造することが可能となる。
【0017】
本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの金属AM用銅合金粉末の製造方法において、前記合金元素として、Cr,Zr,Si,Ni,Mg,Ti,Al,Zn,Ca,Sn,Pb,Fe,Mn,Te,Nb,Co,Sb,Bi,Ag,Ta,W,Mo,及びPから選択される1種以上を含有することが好ましい。
本発明の態様5の金属AM用銅合金粉末の製造方法によれば、合金元素として上記何れかの1種以上の合金元素を含有するので、導電性、熱伝導性等の各種特性に優れた金属AM用銅合金粉末を製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、金属AMにより作製した積層造形物の微細構造の再現性が高く、ボイド等の構造欠陥が少ない高品質な積層造形物を安定して製造可能な金属AM用銅合金粉末の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法のフロー図である。
【
図2】本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法における溶解・鋳造工程のフロー図である。
【
図3】本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法における銅合金原料作製工程のフロー図である。
【
図4】本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法におけるアトマイズ処理工程のフロー図である。
【
図5】本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法において用いられる連続鋳造装置の概略説明図である。
【
図6】本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法において用いられる他の連続鋳造装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法について説明する。
本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法は、金属AMに用いられる銅合金粉末を製造するものである。なお、本実施形態では、レーザーPBF法に適した銅合金粉末を製造するものである。
【0022】
本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法について、
図1のフロー図を用いて説明する。
本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法は、銅合金鋳塊を得る溶解・鋳造工程S01と、得られた銅合金鋳塊を線棒材に加工して銅合金原料とする銅合金原料作製工程S02と、銅合金原料を粉末に加工する粉末加工工程S03と、を備えている。
【0023】
(溶解・鋳造工程S01)
まず、所定組成の銅合金鋳塊1を製造する。溶解・鋳造工程S01においては、
図2のフロー図に示すように、溶解工程S11、合金元素添加工程S12、連続鋳造工程S13を有している。
そして、本実施形態においては、
図5に示す連続鋳造装置10を用いて銅合金鋳塊1を得る。
【0024】
この連続鋳造装置10は、溶解炉11と、溶解炉11の下流に配置されたタンディシュ12と、溶解炉11とタンディシュ12とをつなぐ連結樋13と、タンディシュ12において合金元素を添加する添加部14と、タンディッシュ12の下流側に配設された連続鋳造用鋳型15と、タンディッシュ12から連続鋳造用鋳型15へと銅合金溶湯を注入する注湯ノズル16と、を備えている。
【0025】
銅溶湯供給部の溶解炉11においては、非酸化性雰囲気(不活性ガス雰囲気または還元性雰囲気)で、銅原料を溶解して銅溶湯3を得る(溶解工程S11)。
ここで、溶解炉11において溶解する銅原料は、銅の純度が99.99mass%以上の高純度銅(例えば、高純度の電気銅や無酸素銅)とされている。なお、溶解する銅原料は、4Nグレード(99.99mass%)以上の高純度銅であるが、5Nグレード(99.999mass%)以上の高純度銅であることがさらに好ましく、6N(99.9999mass%)以上の高純度銅であることがより好ましい。また、得られる銅溶湯3は無酸素銅溶湯であることが好ましい。
【0026】
連結樋13においては、得られた銅溶湯3を、非酸化性雰囲気(不活性ガス雰囲気または還元性雰囲気)を維持した状態で、タンディッシュ12に供給する。連結樋13は溶解炉11とタンディッシュ12との間に配置され、銅溶湯3は非酸化性雰囲気の連結樋13内を通過する。
また、タンディッシュ12内においては、非酸化性雰囲気(不活性ガス雰囲気または還元性雰囲気)にて、銅溶湯3を保持する。
なお、溶解炉11、連結樋13、タンディッシュ12が、非酸化性雰囲気(不活性ガス雰囲気または還元性雰囲気)とされていることから、銅溶湯3中のガス成分(O,H)が低減されることになる。
【0027】
そして、タンディッシュ12においては、銅溶湯3に対して添加部14を用いて合金元素を添加する(合金元素添加工程S12)。
ガス成分(O,H)が十分低減された銅溶湯3に対して合金元素を添加することにより、合金元素の添加歩留が良いので、合金元素の使用量を低減でき、銅合金の製造コストを低減することができる。
また、タンディッシュ12内を流動している銅溶湯3に対して合金元素を添加することにより、合金元素を均一に溶解して、成分値が安定した銅合金溶湯を連続的に製造することができる。
【0028】
得られた銅合金溶湯を、注湯ノズル16を介して連続鋳造鋳型15に注入し、銅合金鋳塊1を連続的に製造する(連続鋳造工程S13)。
【0029】
ここで、本実施形態では、得られた銅合金鋳塊1においては、O濃度が10massppm以下、H濃度が5massppm以下とされている。
O濃度は8massppm以下であるとより好ましく、下限値は特に限定されないが、0を含まない値(又は0を超える値)であってよく、0.5massppmであってもよい。H濃度は3massppm以下であるとより好ましく、下限値は特に限定されないが、0を含まない値(又は0を超える値)であってよく、0.2massppmであってもよい。
なお、得られた銅合金鋳塊1においては、S濃度が15massppm以下とされていることが好ましい。S濃度は11massppm以下であるとより好ましく、下限値は特に限定されないが、0を含まない値で(又は0を超える値)あってよく、0.01massppmであってもよい。
さらに、得られた銅合金鋳塊1においては、Cuと合金元素以外の不純物元素(O,H,Sを除く)の含有量は合計で0.04mass%以下であることが好ましい。
また、得られた銅合金鋳塊1においては、O濃度とH濃度とS濃度の合計が30massppm以下とされていることが好ましい。O濃度とH濃度とS濃度の合計は、25massppm以下であるとより好ましく、22massppm以下であると更に好ましく、20massppm以下であってもよい。O濃度とH濃度とS濃度の合計の下限値は特に限定されないが、0を含まない値(又は0を超える値)であってよく、0.71massppmであってもよい。
【0030】
(銅合金原料作製工程S02)
次に、溶解・鋳造工程S01で得られた銅合金鋳塊1を線棒材に加工して、銅合金原料を製造する。
この銅合金原料作製工程S02においては、
図3に示すように、押出工程S21と、引抜工程S22と、切断工程S23と、を備えている。
【0031】
押出工程S21では、断面円形の銅合金鋳塊を加熱し、熱間押出加工によって、所定の直径の棒材とする。
なお、本実施形態においては、熱間押出加工時の加熱温度を700℃以上1000℃以下の範囲内とすることが好ましい。
【0032】
引抜工程S22では、押出加工S21によって得られた棒材に対して引抜加工を行って、所定の直径の線材とする。
なお、引抜加工の温度には特に制限はないが、冷間または温間圧延となる-200℃から200℃の範囲内とすることが好ましく、特に常温が好ましい。
【0033】
切断工程S23では、引抜工程S22によって得られた線材を所定の長さに切断し、銅合金原料とする。
ここで、得られた銅合金原料におけるO濃度が10massppm以下、H濃度が5massppm以下であることが好ましい。
また、得られた銅合金原料におけるS濃度が15massppm以下であることが好ましい。
さらに、得られた銅合金原料におけるCuと合金元素以外の不純物元素(O,H,Sを除く)の含有量は合計で0.04mass%以下であることが好ましい。
【0034】
(粉末加工工程S03)
次に、銅合金原料作製工程S02で得られた銅合金原料を用いて、アトマイズ処理することにより、金属AM用銅合金粉末を製造する。
この粉末加工工程S03においては、
図4に示すように、溶解工程S31と、アトマイズ処理工程S32と、分級工程S33と、を備えている。
【0035】
溶解工程S31では、銅合金原料を加熱して溶解して金属溶湯を得る。ここで、本実施形態では、溶解時の雰囲気は非酸化雰囲気とすることが好ましい。
アトマイズ処理工程S32では、溶解工程S31で得られた金属溶湯を、高圧ガス噴霧して金属溶湯の液滴を急冷することで、球状または球状に類似する形状の粉末を製造する。ガスアトマイズ法に用いられるガスとしては、アルゴン、窒素などの不活性ガスを利用可能である。ガスアトマイズ処理における銅合金原料の溶解温度(ガスアトマイズ処理時の溶解温度)は、銅の融点以上、1500℃以下であることが好ましい。ガスアトマイズ処理時の溶解温度は、1085℃以上、1500℃以下であってもよい。
分級工程S33では、得られた粉末を分級処理し、所定の粒度分布を有する銅合金粉末を得る。
【0036】
上述の各工程により、金属AM用銅合金粉末が製造される。
本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法によって製造される金属AM用銅合金粉末は、上述のように、各種合金元素を含有するものである。
本実施形態において合金元素とは、本実施形態の金属AM用銅合金粉末の製造方法において、意図的に添加される元素をいう。本実施形態において、合金元素の一部は活性金属元素という場合がある。
本実施形態の銅合金鋳塊においては、合金元素としてCr,Zr,Si,Niから選択される一種または二種以上を含有することが好ましい。
合金元素は上記成分に限定されず、合金元素として、Cr,Zr,Si,Ni,Mg,Ti,Al,Zn,Ca,Sn,Pb,Fe,Mn,Te,Nb,Co,Sb,Bi,Ag,Ta,W,Mo,及びPから選択される1種以上を含有することが好ましい。
なお、本実施形態の銅合金鋳塊においては、合金元素として一種または二種以上の活性金属元素を含有することが好ましい。
活性金属元素としては、Cr,Zr,Si,Ni,Mg,Ti,Ni,Al,Zn,Ca,Sn,Pb,Fe,Mn,Te,Nbなどが挙げられる。
また、本実施形態の銅合金鋳塊においては、合金元素の合計含有量が0.01mass%以上50mass%以下の範囲内とされていることが好ましい。合金元素の合計含有量はより好ましくは0.02mass%以上45mass%以下であり、5mass%以下であってもよい。
【0037】
なお、金属AM用銅合金粉末では、合金元素以外の不純物元素(O,H,S,及びNを除く)は、特性に影響を与えない範囲で含有されていてもよい。
不純物元素(O,H,S,及びNを除く)とは、製造工程中のコンタミネーションや原料に微量に含有される不純物に由来し、意図せずに混入する成分である。本実施形態において、不純物元素は不可避不純物であってもよい。
ここで、金属AM用銅合金粉末における不純物元素(O,H,S,及びNを除く)は、総量で0.07mass%以下であってよく、0.06mass%以下であってよく、0.05mass%以下であってよく、0.04mass%以下とすることが好ましく、0.03mass%以下とすることがさらに好ましく、0.02mass%以下とすることがより好ましく、さらには0.01mass%以下とすることが好ましい。
また、アトマイズ処理など、有限の圧力下で実施される工程において、大気中もしくは工程中に含まれる雰囲気成分が原因となり、粉末に雰囲気成分が含まれることが生じ得る。例えば、粉末に雰囲気成分としての窒素が含まれることが生じ得る。本実施形態の金属AM用銅合金粉末においては、窒素濃度(N濃度)が、30massppmであることが望ましく、20massppmであることがより望ましく、10massppm以下であることがさらに望ましい。また、本実施形態である金属AM用銅合金粉末においては、窒素濃度(N濃度)が5massppm以下であることがさらに望ましい。また、N濃度の下限値は特に限定されないが、0を含まない値で(又は0を超える値)あってよい。
なお、金属AM用銅合金粉末の銅合金粒子50を構成する銅合金の組成において、数字の精度の誤差は±10%である(O,H,S,及びNを除く)
【0038】
また、本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法によって製造される金属AM用銅合金粉末は、Cr,Zr,Si,Niから選択される一種または二種以上の合金元素を含有し、合金元素の合計含有量が0.01mass%以上50mass%以下の範囲内であってよく、0.01mass%以上10mass%以下の範囲内とされていることがさらに好ましく、0.01mass%以上5mass%以下の範囲内とされていることが好ましく、0.02mass%以上であってもよい。また、本実施形態により製造される金属AM用銅合金粉末は、合金元素は上記成分に限定されず、合金元素(活性金属元素)としては、Cr,Zr,Si,Ni,Mg,Ti,Al,Zn,Ca,Sn,Pb,Fe,Mn,Te,Nb,Co,Sb,Bi,及びAgから選択される1種以上が挙げられる。さらに、無酸素銅からなる銅原料におけるO濃度が10massppm以下、H濃度が5massppm以下とされているので、本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法によって製造される金属AM用銅合金粉末はO濃度およびH濃度が低い。
【0039】
以上のような構成とされた本実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法によれば、溶解・鋳造工程S01で得られる銅合金鋳塊におけるO濃度が10massppm以下、H濃度が5massppm以下とされているので、この銅合金鋳塊を原料として銅合金粉末を製造することにより、微細構造の再現性が高く、ボイド等の構造欠陥が少ない高品質な積層造形物を安定して製造可能な金属AM用銅合金粉末を製造することができる。
【0040】
本実施形態の金属AM用銅合金粉末の製造方法において、銅合金鋳塊におけるS濃度が15massppm以下とされている場合には、銅に含まれやすい成分であるSを十分に低減することができ、この銅合金鋳塊を原料して銅合金粉末を製造することにより、微細構造の再現性が高く、ボイド等の構造欠陥が少ないさらに高品質な積層造形物を安定して製造可能な金属AM用銅合金粉末を製造することができる。
【0041】
本実施形態の金属AM用銅合金粉末の製造方法において、銅合金鋳塊におけるCuと合金元素以外の不純物元素(O,H,Sを除く)の含有量が合計で0.04mass%以下とされている場合には、不純物元素の量が十分に低減されており、この銅合金鋳塊を原料して銅合金粉末を製造することにより、微細構造の再現性が高く、ボイド等の構造欠陥が少ないさらに高品質な積層造形物を安定して製造可能な金属AM用銅合金粉末を製造することができる。
【0042】
本実施形態の金属AM用銅合金粉末の製造方法において、合金元素を含有する場合には、導電性、熱伝導性等の各種特性に優れた銅合金造形体を実現する金属AM用銅合金粉末を製造することが可能となる。
また、連続鋳造装置1によって合金元素の含有量が安定した銅合金鋳塊を得ることができ、合金元素の含有量が均一な金属AM用銅合金粉末を安定して製造することが可能となる。金属AM用銅合金粉末においてこのような合金元素の含有量が均一な状況は、例えば、電子線やレーザー光を用いるPBFの造形プロセスにおいて、粉末床の全体に渡って均一なエネルギー吸収を実現し、その結果、再現性が高く信頼性が高い積層造形物が実現されると考えられる。
【0043】
本実施形態の金属AM用銅合金粉末の製造方法において、連続鋳造装置10によって銅合金鋳塊を連続的に製造している場合には、銅合金鋳塊1を効率良く製造することが可能となる。
【0044】
以上、本発明の実施形態である金属AM用銅合金粉末の製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、ガスアトマイズ法によって粉末を製造するものとして説明したが、これに限定されることはなく、水アトマイズ法や遠心力アトマイズ法、誘導結合プラズマ法やプラズマアトマイズ法などによって、銅合金粉末を製造してもよい。
【0045】
また、上述のように得られた金属AM用銅合金粉末に対し、適宜熱処理を施して組織の安定化などを図ってもよい。この熱処理の際、不活性ガスや真空など適宜雰囲気を選択してもよい。
さらに、本実施形態では、レーザーを用いたPBF法に適した金属AM用銅合金粉末を製造するものとして説明したが、これに限定されることはなく、その他の金属AMの手法に適用する金属AM用銅合金粉末であってもよい。
また、本実施形態では、
図5に示す連続鋳造装置を用いて銅合金鋳塊を製造するものとして説明したが、これに限定されることはなく、その他の鋳造装置を用いてもよい。
【0046】
例えば、
図6に示す連続鋳造装置101を用いてもよい。この連続鋳造装置101は、最上流部に配置された無酸素銅供給手段(銅溶湯供給部)102と、その下流に配置された加熱炉103と、加熱炉103の下流に配置されて銅溶湯が供給されるタンディシュ104と、無酸素銅供給手段102から加熱炉103までをつなぐ溶湯供給路105a,105b,105cと、加熱炉103とタンディシュ104とをつなぐ樋106と、非酸化性雰囲気で合金元素を添加する添加手段(添加部)107,108と、連続鋳造鋳型142と、を備えている。なお、無酸素銅供給手段102、加熱炉103、タンディッシュ104、溶湯供給路105a,105b,105cおよび樋106は、それぞれの内部を非酸化性雰囲気としている。
【0047】
無酸素銅供給手段102は、銅原料を溶解する溶解炉121と、溶解炉121で溶解されて得られた溶銅を一時保持する保持炉122と、溶銅中の酸素および水素を除去する脱ガス処理装置124と、これらをつなぐ溶湯供給路105a,105b,105cと、で構成されている。
【0048】
脱ガス処理装置124は、その内部で溶銅が攪拌されるように攪拌手段としてガスバブリング装置を有しており、例えば不活性ガスによるバブリング等を行うことにより、溶銅から酸素および水素を除去する。
溶湯供給路105a、105b、105cは、溶銅および無酸素銅溶湯が酸化されるのを防止するために、その内部を非酸化性雰囲気としている。この非酸化性雰囲気は、例えば、窒素と一酸化炭素の混合ガスやアルゴン等の不活性ガスを溶湯供給路内に吹き込むことにより形成される。
【0049】
合金元素を添加する添加手段として、加熱炉103に配設された第1の添加手段107と、タンディシュ104に配設された第2の添加手段108と、を備えている。
加熱炉103に設けられた第1の添加手段107から合金元素を連続的にまたは間欠的に装入すると、加熱炉103内に貯留された無酸素銅溶湯中に合金元素が添加される。ここで、貯留部に貯留された無酸素銅溶湯は、高周波誘導コイルによって加熱され、添加された合金元素の溶解が促進されることになる。
また、タンディシュ104に設けられた第2の添加手段108から合金元素を連続的にまたは間欠的に装入すると、タンディシュ104内を流れる無酸素銅溶湯中に合金元素が添加される。ここで、タンディッシュ104内を流れる無酸素銅溶湯は、加熱炉103で加熱されて高温であるとともにタンディッシュ104内を流動していることから、添加された合金元素の溶解が促進されることになる。
【実施例】
【0050】
本発明の効果を検証するために、以下のように確認実験を行った。
【0051】
(本発明例)
まず、実施形態に記載した製造方法により、4Nグレードの高純度銅からなる銅原料を用いて、表1に示す組成のC18000の鋳塊を作製した。
表1に示す不純物は、不純物元素(O,H,及びSを除く)である。
次に、作製したC18000の鋳塊を原料として、アルゴンガスを用いるガスアトマイズ法によって、表2に示す組成の金属AM用銅合金粉末を作製し、金属AMの粉末床に適する粒度に篩分けした。ガスアトマイズ処理時の溶解温度は1300℃の条件で行った。
本発明例の金属AM用銅合金粉末について、マイクロトラック社製MT3300EXIIを用いた粒径分布測定を行った結果、体積基準の10%累積粒子径が16μm、50%累積粒子径が28μm、90%累積粒子径が45μmの粒度分布となった。
そして、本発明例の金属AM用銅合金粉末を用い、市販のレーザーPBF装置を用いて、エネルギー密度を13J/mm2の条件で、積層造形物の小片を作製した。
【0052】
(従来例)
従来例として、表2に示す市販の金属AM用C18000粉末を準備した。
従来例の金属AM用C18000粉末について、マイクロトラック社製MT3300EXIIを用いた粒径分布測定を行った結果、体積基準の10%累積粒子径が13μm、50%累積粒子径が33μm、90%累積粒子径が57μmの粒度分布となった。
そして、従来例の金属AM用C18000粉末を用い、市販のレーザーPBF装置を用いて、積層厚みを含め、本発明例と同じ造形条件で積層造形物の小片を作製した。
【0053】
(鋳塊および金属AM用銅合金粉末の組成)
表1に示す鋳塊、および、本発明例の金属AM用銅合金粉末、従来例の金属AM用銅合金粉末におけるO濃度は不活性ガス融解―赤外線吸収法、H濃度は不活性ガス融解―熱伝導度法、S濃度は燃焼―赤外線吸収法で求めた。また、銅を除き、これらの物質以外の成分の濃度は、蛍光X線分析法、グロー放電質量分析法、誘導結合プラズマ質量分析法を組み合わせて求めた。
結果を表2に示す。表2に示す不純物は、不純物元素(O,H,S,及びNを除く)である。
【0054】
(造形物密度)
作製した積層造形物の断面と、積層造形物の断面において観測されるボイドが占有する面積から、積層造形物の密度を評価した。本明細書においては、この密度を造形物密度と定義する。
造形物密度の評価は、造形物断面において計測対象の断面積を定義した後(これを評価断面積と呼ぶ。3.4mm四方。)、この計測断面積の内部にあるボイド箇所を確認し、評価断面積におけるボイドの占有面積を算出した。そして、(評価断面積-ボイド占有面積)/評価断面積を造形物密度と定義した。造形物密度の評価結果を表2に示す。
【0055】
【0056】
【0057】
表2に示すように、本発明例の金属AM用銅合金粉末を用いて積層造形することにより、造形物密度は99.3%まで到達することが確認された。一方、従来例の金属AM用C18000粉末を用いた場合、造形物密度は97.3%となり、実使用においては問題となる密度であることが確認された。
以上の結果から、本発明の金属AM用銅合金粉末の製造方法によって製造された金属AM用銅合金粉末を用いることにより、密度が十分に高く、ボイドが少ない積層造形物を製造可能であることが確認された。
なお、本発明例の金属AM用銅合金粉末のO濃度は、表1の鋳塊のO濃度よりも高くなっているが、元々の銅合金鋳塊が高純度であるため、その後の工程における余分なO濃度の上昇の程度を抑制することが可能であり、積層造形物の微細構造の再現性の向上に貢献できると考えられる。
【0058】
本発明によれば、金属AMにより作製した積層造形物の微細構造の再現性が高く、ボイド等の構造欠陥が少ない高品質な積層造形物を安定して製造可能な金属AM用銅合金粉末の製造方法を提供可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0059】
S14 連続鋳造工程
S32 アトマイズ処理工程
【要約】
この金属AM用銅合金粉末の製造方法は、純度が99.99mass%以上の高純度銅からなる銅原料を溶解して銅溶湯を得る銅溶湯供給部と、非酸化性雰囲気で前記銅溶湯に対して銅合金の合金元素を添加して銅合金溶湯を得る添加部と、前記銅合金溶湯が供給される鋳型と、を備えた鋳造装置によって、銅合金鋳塊を製造する鋳造工程と、前記銅合金鋳塊を原料として、不活性ガスまたは真空雰囲気中でアトマイズ処理して溶融分解することにより、粉末化するアトマイズ処理工程と、を有しており、前記銅合金鋳塊におけるO濃度が10massppm以下、H濃度が5massppm以下とされている。