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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/68 20230101AFI20240708BHJP
   H04N 23/65 20230101ALI20240708BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240708BHJP
【FI】
H04N23/68
H04N23/65
G03B5/00 J
G03B5/00 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020012421
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021118504
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 大士
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-083488(JP,A)
【文献】特表2018-506251(JP,A)
【文献】特開2011-039340(JP,A)
【文献】特開2009-065468(JP,A)
【文献】国際公開第2015/115041(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
G03B 5/00 - 5/08
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 50/00 -50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、光学像を光電変換する撮像手段を保持し、前記固定部に対して相対的に移動可能な可動部と、を有する撮像装置であって、
前記固定部は、
前記可動部の位置に関する情報を取得する取得手段と、
前記可動部に対して無線で送電する送電手段と、
前記取得手段により取得した前記位置に関する情報に応じて前記送電手段による送電電力の大きさを変更する変更手段と、を有し、
前記可動部は、前記送電手段から送電された電力を無線で受電する受電手段を有し、
前記送電手段による電力伝達周波数は、前記撮像手段の駆動周波数の逓倍であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
固定部と、光学像を光電変換する撮像手段を保持し、前記固定部に対して相対的に移動可能な可動部と、を有する撮像装置であって、
前記固定部は、
前記可動部の位置に関する情報を取得する取得手段と、
前記可動部に対して無線で送電する送電手段と、
前記取得手段により取得した前記位置に関する情報に応じて前記送電手段による送電電力の大きさを変更する変更手段と、を有し、
前記可動部は、前記送電手段から送電された電力を無線で受電する受電手段を有し、
前記撮像手段からの信号の読み出し期間には、前記送電手段による送電が停止されることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記位置に関する情報は、前記固定部に対する前記可動部の位置ずれ量を示す情報であって、
前記変更手段は、前記位置に関する情報が示す位置ずれ量に基づいて前記送電電力の大きさを変更することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記変更手段は、前記位置に関する情報が示す位置ずれ量が所定値より大きい場合は、前記位置に関する情報が示す位置ずれ量が前記所定値より大きくない場合に比べて、前記送電電力の大きさを大きくすることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記位置ずれ量は、前記固定部に対する前記可動部の前記撮像装置の光軸に直交する方向での位置ずれ量であることを特徴とする請求項またはに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像装置のぶれを検知するぶれ検知手段と、
前記ぶれ検知手段の検知結果に基づいて前記可動部を駆動する駆動手段と、を有し、
前記位置に関する情報は、前記ぶれ検知手段の検知結果に基づいて前記可動部を移動させる量を示す情報であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記送電手段は、送電コイルを有し、
前記受電手段は、受電コイルを有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記送電手段は、前記送電手段による電力伝達周波数を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線給電機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手振れ等によって生じる像ぶれを抑制するために、各種の手ぶれ抑制の方法が知られている。手ぶれ抑制の方法としては、光学系を駆動する補正方法、撮像素子を駆動する補正方法、画像処理による補正方法等がある。撮像素子を駆動する補正方法においては、撮像素子を保持する可動部が、制御基板を有する固定部に対して相対的に移動する。このような像ぶれ補正機能を有する撮像装置においては、可動部と制御基板とはフレキシブル基板で接続されることが一般的である。しかし、フレキシブル基板のコシの強さ(剛性の高さ)や形状等の要因により、撮像素子の可動範囲、すなわち手ぶれ抑制の制御範囲が制限されてしまうという問題がある。特許文献1では、撮像素子と撮像装置本体とを、フレキシブル基板に代えて無線で接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-352418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で無線化されるのは、信号の送受信であり、撮像素子への電源供給に関しては無線化されていない。従って、電力供給用のフレキシブル基板が存在することで、手ぶれ抑制の制御範囲を広げることが困難であるという問題は残る。
【0005】
また、近年、撮像素子が必要とする電力が大きくなるのに伴い、電力供給用のフレキシブル基板の銅箔圧厚が厚くなり、配線幅も太くなっている。電力供給用のフレキシブル基板のコシの強さは、配線パターンが太い場合に特に顕著であるため、電源供給およびリターンGNDの配線が、フレキシブル基板のコシの強さの支配的な要因となる。電力供給用のフレキシブル基板の剛性が高いと、当該フレキシブル基板に接続されている可動部の動きが阻害され、動特性が低下するおそれがある。動特性の低下は像ぶれ抑制性能の低下に繋がる。
【0006】
このように、手ぶれ抑制の制御範囲の観点および動特性の観点から、像ぶれ抑制性能を向上させる上で改善の余地がある。その一方、撮像素子を適切に駆動するために必要な電力の供給を確保する必要がある。
【0007】
本発明は、可動部の動きを阻害することなく、可動部に適切な大きさの電力を送電することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、固定部と、光学像を光電変換する撮像手段を保持し、前記固定部に対して相対的に移動可能な可動部と、を有する撮像装置であって、前記固定部は、前記可動部の位置に関する情報を取得する取得手段と、前記可動部に対して無線で送電する送電手段と、前記取得手段により取得した前記位置に関する情報に応じて前記送電手段による送電電力の大きさを変更する変更手段と、を有し、前記可動部は、前記送電手段から送電された電力を無線で受電する受電手段を有し、前記送電手段による電力伝達周波数は、前記撮像手段の駆動周波数の逓倍であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、可動部の動きを阻害することなく、可動部に適切な大きさの電力を送電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】撮像装置のブロック図である。
図2】撮像部を駆動するための構成を示すブロック図である。
図3】送電部および受電部の詳細構成を示す図である。
図4】本体部と撮像部との位置関係を示す模式図である。
図5】送電電力と受電電力との関係を示す図である。
図6】撮像素子の駆動と送電波形との関係を示すタイミングチャートである。
図7】無線給電処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る撮像装置のブロック図である。本撮像装置は、カメラ本体10およびレンズ部14を備える。カメラ本体10は、撮像部11、本体部12を有する。レンズ部14は、不図示のマウント部を介してカメラ本体10に対して着脱可能なレンズ鏡筒であってもよい。あるいは、本撮像装置は、レンズ部14とカメラ本体10とが一体の装置であってもよい。
【0013】
レンズ部14は撮像レンズ102を有する。撮像部11は、受電部105、および、光学素子としての撮像素子103(撮像手段)を有する。撮像レンズ102を通過した被写体101の光は光軸(撮像光軸)を通って撮像素子103上に被写体像として結像する。本体部12は、画像処理部108、ぶれ検知部111、駆動部112(駆動手段)、表示部114、シャッタ釦116、ぶれ選択釦117、カメラ制御部109、移動量決定部110、送電部106、電源部107および電池113を有する。
【0014】
カメラ制御部109はカメラ本体10の全体の動作を制御する。カメラ制御部109はマイクロコンピュータで構成され、画像処理部108や移動量決定部110と通信する。シャッタ釦116は、SW1とSW2から成る2段スイッチとして構成される。シャッタ釦116は、SW1オンで撮影準備開始、SW2オンで撮影開始を指示する2段階のスイッチである。SW1オンにより、不図示のピント検出部は、撮像素子103上で被写体像が結像する位置に撮像レンズ102を駆動する。
【0015】
ぶれ検知部111は、例えば、ジャイロセンサなどの角速度センサから構成され、カメラ本体10のぶれと姿勢を検知する。移動量決定部110は、ぶれ検知部111からの検知内容に基づいてカメラ本体10のぶれ情報を演算し、被写体像が結像する面上において撮像画像の像ぶれを抑制するように撮像素子103の位置を決定する。決定された位置情報は、駆動部112に送られる。駆動部112は、決定された位置情報に基づき撮像部11を駆動する。例えば、駆動部112は、本体部12に対して撮像部11を相対的に移動させる。
【0016】
シャッタ118は、例えば、フォーカルプレーン方式のシャッタである。撮像素子103には、数百万以上の撮像用画素を有するエリア型CMOSイメージセンサ等が使用される。動画を違和感なく撮影できるように30フレームレート以上の撮影が可能であってもよい。撮像素子103における読み出し方法は、例えばローリングシャッタ方式である。ローリングシャッタ方式では、画素のリセット・蓄積・読み出しという動作が画面の行ごとに順次行われる。
【0017】
シャッタ釦116のSW2オンで撮影が開始される。撮像素子103は、受光した光学像(被写体像)を光電変換する。変換された電荷は輝度を示し、画素毎に蓄えられた後に、画素内のトランジスタによって電圧として読み出される。ローリングシャッタ読み出し方法によって行毎に順次読み出された電圧値は、デジタル信号に変換される。
【0018】
画像処理部108は、画像処理に特化したプロセッサである。画像処理部108は、デジタル信号に対して、現像・各種画像処理・符号化をした後に、記録媒体115に出力する。なお、ライブビュー画像として、撮像装置の電源オンから撮像直前まで、転送された撮像画像を表示部114に表示させてもよい。
【0019】
電池113は、カメラ本体10およびレンズ部14を動作させるための電力源である。電源部107は、電池113の電圧をカメラ本体10およびレンズ部14に必要な各電源電圧に変換する。送電部106は、撮像部11に無線給電するための送電手段であり、受電部105は、送電部106から無線で給電される電力を受電する受電手段である。受電部105が受電した電力は撮像部11に供給され消費される。
【0020】
図2は、撮像部11を駆動するための構成を示すブロック図である。移動量決定部110は、例えば、CPU(中央演算装置)201の機能の一部である。CPU201は、カメラ制御部109の機能も併せ持つ。撮像部11はマグネット211、213を有する。
【0021】
駆動部112は、撮像部11の位置を制御できるように構成される。駆動部112は、例えば、PWM回路202、Hブリッジ回路206およびAD変換回路204を有する。PWM回路202は、例えば、オンとオフの繰返し周期においてオンの時間幅を変えるPWM方式のスイッチング制御回路である。Hブリッジ回路206は、PWM回路202からの制御信号を受けて駆動電圧を生成するコイル駆動回路である。Hブリッジ回路206は、例えば電流の向きを変えるためにHブリッジ方式の回路から構成される。ホール素子215は、マグネット213から発生する磁束の変化を検出することで撮像部11の位置を検出する。AD変換回路204は、ホール素子215からのアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0022】
駆動コイル208とマグネット211との対が駆動トルクを発生させ、撮像部11の位置を制御する。駆動コイル208とマグネット211との対を2組用いることで、駆動部112は、光軸に対して撮像素子103を、水平方向、垂直方向および回転方向に移動させることが可能である。なお、駆動コイル208とマグネット211との対を複数設け、対ごとに独立に制御してもよい。移動量決定部110は、撮像部11の位置情報を決定する際、精度向上のために、ホール素子215からの撮像部11の位置情報を使ってフィードバック制御を行ってもよい。なお、カメラ制御部109、移動量決定部110は、CPU201の機能の一部としたが、CPU201とは別に設けられてもよい。
【0023】
図3は、送電部106および受電部105の詳細構成を示す図である。送電部106は1次側の送電コイル413を有し、受電部105は2次側の受電コイル415を有する。
【0024】
送電部106において、周波数選択部403は、電力伝達周波数を選択するための回路であり、カメラ制御部109の通信内容に応じて電力伝達周波数を選択する。本実施の形態では、電力伝達周波数として第1の電力伝達周波数、第2の電力伝達周波数がある。第1の電力伝達周波数(例えば、150kHz)よりも第2の電力伝達周波数(例えば、200kHz)の方が高い。
【0025】
コンデンサ405、N-chFET407は、第1の電力伝達周波数を選択するための回路素子である。N-chFET407がONされている期間に、コンデンサ405と送電コイル413とにより共振周波数が決定され、第1の電力伝達周波数にて送電が可能となる。周波数選択部403がN-chFET407のゲートをHigh制御することで第1の電力伝達周波数が選択される。コンデンサ409、N-chFET411は、第2の電力伝達周波数を選択するための回路素子である。N-chFET411がONされている期間に、コンデンサ409と送電コイル413とにより共振周波数が決定され、第2の電力伝達周波数にて送電が可能となる。
【0026】
受電部105において、コンデンサ417は、受電コイル415の共振周波数を決定する回路素子である。受電部105は、さらに、整流ダイオード419、平滑用コンデンサ421を有する。
【0027】
撮像部11は、本体部12に対して相対的に、光軸に直交する方向に移動可能であると共に、光軸に平行な軸を中心に回転変位も可能である。従って、本体部12が固定部とすると、撮像部11が、撮像素子103を保持する可動部となる。本実施の形態では、送電部106による送電電力の大きさが変更可能に構成されている。また、送電電力の大きさは、取得された撮像部11の位置に関する情報、例えば本体部12に対する撮像部11の位置ずれ量(ひいては、振れ補正のための撮像部11の駆動必要量)や撮像部11の位置を示す情報に基づいて決定される。まず、位置ずれ量と送電電力との関係、受電部105と送電部106との位置関係、送電電力と受電部105の受電電力との関係について、図4図6で説明する。
【0028】
図4は、本体部12と撮像部11との位置関係を示す模式図である。送電部106(送電コイル413)の中心と、撮像部11の受電部105(受電コイル415)の中心がそれぞれ、X軸、Y軸の原点の位置関係にある状態を、撮像部11の初期位置とする。なお、本体部12と撮像部11の原点同士を繋ぐ方向は光軸方向(Z軸)であるとする。
【0029】
図5は、送電部106の送電電力PTと、受電部105の受電電力PRとの関係を示す図である。図5の横軸は、送電部106と受電部105の位置ずれ量を示し、縦軸は電力の大きさを示している。
【0030】
図4に示す状態では、位置ずれ量が0である。ここで、例えば、受電部105の座標が(X、Y)=(2、2)となる場合は、カメラ本体10の送電部106の座標(X、Y)=(0、0)に対して、位置ずれ量は、√(X+Y)=√8と算出される。
【0031】
図5は、位置ずれ量が大きいと、送電部106に対して受電部105が遠くなることにより受電効率が低下する。そこでCPU201は、位置ずれ量が所定値Δxyを超える場合は、送電電力PTを大きくする。なお、位置ずれ量が所定値Δxyを超えた領域では、位置ずれ量の値に応じて送電電力PTを決定してもよい。例えば、図5に例示するように、位置ずれ量が多くなるにつれて送電電力PTを大きくする。これにより、撮像部11が必要とする受電電力PRが一定に保たれる。
【0032】
図6は、撮像素子103の駆動と送電波形との関係を示すタイミングチャートである。撮像素子103にCMOSイメージセンサを用いる場合、送電部106からの電力を受電部105が受電する際、受電部105の受電コイル415で発生する磁気が、撮像素子103にノイズとして影響を与える場合がある。
【0033】
図6では、N行目と(N+1)行目の2ライン分のタイミングチャートが示されている。水平同期信号701の周波数は100kHzであるとする。Read期間702は、画素信号の読み出しとAD変換が行われる読み出し期間である。Read期間702に撮像素子103から画素信号が読み出される。ブランキング期間703は、撮像信号出力期間である。1行ごとに、ブランキング期間703と撮像素子103の有効画素出力期間とがある。有効画素出力期間は、撮像素子103の出力をデジタルデータに変換した期間に対応する。
【0034】
一般的に、列並列ADCを備える固体撮像素子は、水平方向1ライン分のAD変換を同時に行うため、磁気ノイズが加わると水平方向1ライン分の全ての信号にノイズの影響が生じてしまう。このノイズは視認上、横筋状に表れるため、視覚的にもノイズが目立ちやすい。そこで、撮像素子103に磁気ノイズの影響が生じないような送電波形が採用される。この送電波形には、第1の送電波形と第2の送電波形とがあり、いずれが採用されてもよい。
【0035】
第1の送電波形には、送電電力PTが高い(電力が大きい)第1の高電力波形704と、送電電力PTが低い(電力が小さい)第1の低電力波形705とがある。第1の送電波形の周波数は、上述した第1の電力伝達周波数(150kHz)である。第2の送電波形には、送電電力PTが高い第1の高電力波形706と、送電電力PTが低い第1の低電力波形707とがある。第2の送電波形の周波数は、上述した第2の電力伝達周波数(200kHz)である。従って、第1の送電波形よりも第2の送電波形の方が、周期が短い。
【0036】
第1の送電波形は、水平同期信号に対して行毎に位相がずれている。一方、第2の送電波形は、水平同期信号に対して行毎に位相がずれず、一致(同期)している。CPU201は、例えば、第2の送電波形を採用し、第2の送電波形の周期と水平同期信号の周期とを同期させるよう制御する。その結果、AD変換が行われるタイミングで、磁気ノイズが常に一定の大きさで重畳されるため、横筋状のノイズとして目立たなくなる。なお、第2の送電波形の周期と水平同期信号の周期とを同期させるには、第2の送電波形の第2の電力伝達周波数が、撮像素子103の駆動周波数(水平同期信号701の周波数100kHz)の逓倍であればよい。従って、第2の電力伝達周波数は200kHzに限定されず、例えば400kHzであってもよい。
【0037】
一方、第1の送電波形を採用する場合は、CPU201は、撮像信号出力のRead期間702において、送電部106は送電を停止するよう制御する。言い換えると、CPU201は、Read期間702以外の期間に電力を供給するよう制御する。これにより、AD変換が行われるタイミングで磁気ノイズが重畳されないので、磁気ノイズの影響が抑制される。
【0038】
図7は、無線給電処理のフローチャートである。この処理は、CPU201が備えるROM等の記憶部に格納されたプログラムをCPU201が不図示のRAMに展開して実行することにより実現される。この処理は、例えば、カメラ本体10の電源がオンにされたことにより開始される。
【0039】
まず、ステップS101では、CPU201は、送電部106を制御して、撮像部11に対する無線給電を開始する。無線給電の際の電力伝達周波数を、第1、第2の電力伝達周波数(第1、第2の送電波形)のいずれとするかは、予め決められていてもよいし、ユーザにより設定可能であってもよい。なお、無線給電の開始時の電力の大きさは予め決められてもよい。例えば、第1、第2の電力伝達周波数が採用される場合、それぞれ、第1の低電力波形705、第1の低電力波形707が採用される。
【0040】
ステップS102では、CPU201は、撮像部11の防振制御を開始する。すなわち、ぶれ検知部111の検知結果に応じて移動量決定部110が撮像部11の必要駆動量を決定し、駆動部112が撮像部11を必要駆動量だけ駆動する手ぶれ抑制動作が開始される。ぶれ検知部111は、本体部12に対する撮像部11の位置ずれを常に検知している。従って、必要駆動量と駆動方向も常に算出される。
【0041】
ステップS103では、CPU201は、撮像部11を駆動する必要があるか否かを判別する。ここでは、本体部12に対する撮像部11の位置ずれ量が、手ぶれ補正が必要な程度を示す閾値(所定値Δxyより小さい)を超えた場合に、撮像部11を駆動する必要があると判別される。CPU201は、撮像部11を駆動する必要があるか否かの判別を継続し、撮像部11を駆動する必要があると判別すると、処理をステップS104に進める。
【0042】
ステップS104では、CPU201は、本体部12に対する撮像部11の位置ずれ量が、所定値Δxyより大きいか否かを判別する。なお、位置ずれ量に代えて、決定された必要駆動量が、所定駆動量より大きいか否かを判別してもよい。ステップS104での判別の結果、CPU201は、位置ずれ量が所定値Δxyより大きい場合は、受電効率の低下が大きいため、処理をステップS106に進める。一方、位置ずれ量が所定値Δxyより大きくない場合は、受電効率の低下が比較的小さいため、CPU201は処理をステップS105に進める。
【0043】
ステップS105では、CPU201は、送電部106を制御して、低い送電電力PTで受電部105に無線給電を行う。例えば、CPU201は、第1の送電波形の場合は第1の低電力波形705で給電し、第2の送電波形の場合は第1の低電力波形707で給電するよう制御する。
【0044】
一方、ステップS106では、CPU201は、送電部106を制御して、高い送電電力PTで受電部105に無線給電を行う。例えば、CPU201は、第1の送電波形の場合は第1の高電力波形704で給電し、第2の送電波形の場合は第1の高電力波形706で給電するよう制御する。これは、位置ずれによる受電部105の受電電力の低下を補えるよう、送電電力を高く制御し、撮像部11が必要とする受電電力が確保できるようにするためである。なお、上述したように、ステップS106で、位置ずれ量の値に応じて送電電力PTを決定してもよい(位置ずれ量が多いほど送電電力PTを大きくする)。なお、ステップS105でも、位置ずれ量の値に応じて送電電力PTを決定してもよい(位置ずれ量が多いほど送電電力PTを大きくする)。
【0045】
ステップS105、S106の後、ステップS107で、CPU201は、カメラ本体10のカメラ動作の終了指示がなされたか否かを判別する。この指示は、例えばユーザ操作によりなされる。そしてCPU201は、カメラ本体10のカメラ動作の終了指示がなされない場合は、処理をステップS103に戻す。カメラ本体10のカメラ動作の終了指示がなされた場合は、CPU201は、図7に示す処理を終了する。
【0046】
本実施の形態によれば、本体部12の送電部106から撮像部11に対して無線で送電するので、電力供給用の電源フレキシブル基板が不要となる。これにより、可動部である撮像部11の動特性が向上すると共に、撮像部11の可動範囲の制約が緩和され、像ぶれ抑制性能の向上に繋がる。また、送電部106による送電電力の大きさを変更可能であるので、像ぶれ抑制性能を確保しつつ、発熱の低減やノイズの低減が可能となる。よって、像ぶれ抑制性能を向上させると共に、適切な大きさの電力を送電することができる。
【0047】
また、変更手段としてのCPU201は、位置ずれ量に基づいて送電電力の大きさを変更する。例えば、CPU201は、位置ずれ量が所定値Δxyより大きい場合は、位置ずれ量が所定値Δxyより大きくない場合に比べて、送電電力の大きさを大きくする。これにより、ノイズや発熱を低減しつつ、ぶれ補正に必要な電力を確保することができる。
【0048】
また、第2の電力伝達周波数が選択された場合は、第2の送電波形の第2の電力伝達周波数が、撮像素子103の駆動周波数の逓倍であり、第2の送電波形の周期と水平同期信号の周期とが同期する。これにより、磁気ノイズの影響を抑制することができる。また、第1の電力伝達周波数が選択された場合、撮像信号出力のRead期間702においては送電が停止される。これにより、磁気ノイズの影響を抑制することができる。
【0049】
なお、位置ずれ量に基づいて、送電電力PTの大きさを3段階以上の複数段階で切り替え可能に構成してもよい。
【0050】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
11 撮像部
12 本体部
103 撮像素子
105 受電部
106 送電部
111 ぶれ検知部
201 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7