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特許7516089印刷装置、制御方法、プログラム及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】印刷装置、制御方法、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20240708BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240708BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20240708BHJP
【FI】
B41J29/00 Z
B41J29/38 204
B41J29/38 401
G06Q10/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020061431
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021160104
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 一成
(72)【発明者】
【氏名】白井 颯人
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-193592(JP,A)
【文献】特開2011-048433(JP,A)
【文献】特開2018-092548(JP,A)
【文献】特開2004-090517(JP,A)
【文献】特開2017-047590(JP,A)
【文献】特開2015-044379(JP,A)
【文献】特開2013-025375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 ー29/38
G06Q 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサービスに契約されていない時に、当該所定のサービスの利用が不可能な第1状態に設定される印刷装置であって、
前記印刷装置の操作パネル上でのユーザからの指示に従って、前記所定のサービスの契約に関する情報をサーバから受信する受信手段と、
前記契約に関する情報が示す契約開始日と現在日時とに基づいて、前記現在日時が前記契約開始日より後の場合は、前記印刷装置を前記所定のサービスの利用が可能な第2状態に設定する設定手段と、
を備え、
前記所定のサービスは、印刷に用いられる色材を収容する特定の容器の使用を可能とするサービスであり、
前記指示を受け付ける前記操作パネルには、前記印刷装置における前記特定の容器の使用の可否を示す情報と、前記印刷装置と前記サーバとの通信状態を示す情報と、が表示されることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記契約に関する情報は、前記所定のサービスの契約終了日を示す情報を更に含み、
前記設定手段は、前記現在日時が前記契約開始日と前記契約終了日との期間に含まれない場合は前記印刷装置を前記第1状態に設定し、前記現在日時が前記期間に含まれる場合は前記印刷装置を前記第2状態に設定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記契約終了日が未定の場合、前記契約に関する情報には、前記契約終了日として、現在日時より未来の日である仮の契約終了日を示す情報が含まれることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記受信手段が前記契約に関する情報を前記サーバから受信できない場合、前記設定手段は前記印刷装置を前記第1状態に設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記契約に関する情報は、前記所定のサービスの契約の決算日の情報を更に含み、
前記印刷装置の処理量をカウントするためのカウント手段と、
前記カウント手段がカウントした前記印刷装置の処理量に関する情報を、前記決算日ごとにサーバに送信する送信手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記送信手段は、前記現在日時が前記契約開始日に達して前記印刷装置が前記第2状態に設定されてから最初の前記決算日において、当該最初の決算日までにカウントされた処理量から、前記契約開始日までにカウントされた処理量を減算して得られた値を、前記処理量に関する情報として前記サーバに送信することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記現在日時が前記契約開始日に達して前記印刷装置が前記第2状態に設定されてから2回目以降の前記決算日において、当該決算日までにカウントされた処理量から、当該決算日の前の決算日までにカウントされた処理量を減算して得られた値を、前記処理量に関する情報として前記サーバに送信することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記受信手段は、前記現在日時を前記サーバから受信することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷装置は、画像データに従ってインクを吐出する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドとの間でインクを循環させるためのサブタンクと、前記サブタンクに供給するためのインクを収容し前記印刷装置に着脱可能なメインタンクと、を備えるインクジェット印刷装置であり、
前記所定のサービスは、特定の前記メインタンクの使用を可能とするサービスであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記操作パネルには、さらに、前記契約開始日を設定するための設定画面表示されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記設定画面において、ユーザは、前記契約開始日として前記現在日時より先の日を設定できることを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記サーバは、インターネットを介して前記印刷装置と接続されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項13】
所定のサービスに契約されていない時に、当該所定のサービスの利用が不可能な第1状態に設定される印刷装置の制御方法であって、
前記印刷装置の操作パネル上でのユーザからの指示に従って、前記所定のサービスの契約に関する情報をサーバから受信する受信工程と、
前記契約に関する情報が示す契約開始日と現在日時とに基づいて、前記現在日時が前記契約開始日より後の場合は、前記印刷装置を、前記所定のサービスの利用が可能な第2状態に設定する設定工程と、
を有し、
前記所定のサービスは、印刷に用いられる色材を収容する特定の容器の使用を可能とするサービスであり、
前記指示を受け付ける前記操作パネルには、前記印刷装置における前記特定の容器の使用の可否を示す情報と、前記印刷装置と前記サーバとの通信状態を示す情報と、が表示されることを特徴とする制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の制御方法を1つ以上のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
サーバと、所定のサービスに契約されていない時に、当該所定のサービスの利用が不可能な第1状態に設定される印刷装置とを含む情報処理システムであって、
前記印刷装置は、
前記印刷装置の操作パネル上でのユーザからの指示に従って、前記所定のサービスの契約に関する情報を前記サーバから受信する受信手段と、
前記契約に関する情報が示す契約開始日と現在日時とに基づいて、前記現在日時が前記契約開始日より後の場合は、前記印刷装置を、前記所定のサービスの利用が可能な第2状態に設定する設定手段と、
を備え、
前記所定のサービスは、印刷に用いられる色材を収容する特定の容器の使用を可能とするサービスであり、
前記指示を受け付ける前記操作パネルには、前記印刷装置における前記特定の容器の使用の可否を示す情報と、前記印刷装置と前記サーバとの通信状態を示す情報と、が表示されることを特徴とする情報処理システム。
【請求項16】
所定のサービスに契約されていない時に、当該所定のサービスの利用が不可能な第1状態に設定される印刷装置と通信することが可能なサーバであって、
前記印刷装置における前記所定のサービスの契約に関する情報を保存する手段と、
前記印刷装置の操作パネル上でのユーザからの指示に応じて、前記契約に関する情報を前記印刷装置に送信する送信手段と、
を備え、
前記印刷装置は、前記契約に関する情報が示す契約開始日よりも現在日時が後の場合は、前記所定のサービスの利用が可能な第2状態に設定され、
前記所定のサービスは、印刷に用いられる色材を収容する特定の容器の使用を可能とするサービスであり、
前記指示を受け付ける前記操作パネルには、前記印刷装置における前記特定の容器の使用の可否を示す情報と、前記印刷装置と前記サーバとの通信状態を示す情報と、が表示されることを特徴とするサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、契約に基づくサービスを受けることが可能な印刷装置、その制御方法、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置の利用契約を、情報処理装置と通信可能な管理サーバで管理する方法が知られている。特許文献1には、ユーザがPCを介して情報管理サーバにアクセスすることにより、画像記録装置における契約の締結や解除を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-47590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成において、ユーザは現時点における契約の締結または解除を設定することはできるが、将来における契約の開始日や終了日を任意に設定したり変更したりすることはできない。その一方、情報処理装置においては、サーバやネットワークの都合によって、契約を締結したいタイミングで、サーバと正常に通信できない場合もある。このため、従来の構成においては、ユーザが所望の契約期間を適切に設定することができず、所望の期間に適切なサービスを受けられない場合があった。
【0005】
本発明は上記課題を解消するためになされたものである。よってその目的とするところは、ユーザが所望の期間に適切なサービスを受けることが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために本発明は、所定のサービスに契約されていない時に、当該所定のサービスの利用が不可能な第1状態に設定される印刷装置であって、前記印刷装置の操作パネル上でのユーザからの指示に従って、前記所定のサービスの契約に関する情報をサーバから受信する受信手段と、前記契約に関する情報が示す契約開始日と現在日時とに基づいて、前記現在日時が前記契約開始日より後の場合は、前記印刷装置を前記所定のサービスの利用が可能な第2状態に設定する設定手段と、を備え、前記所定のサービスは、印刷に用いられる色材を収容する特定の容器の使用を可能とするサービスであり、前記指示を受け付ける前記操作パネルには、前記印刷装置における前記特定の容器の使用の可否を示す情報と、前記印刷装置と前記サーバとの通信状態を示す情報と、が表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが所望の期間に適切なサービスを受けることが可能な技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】インクジェット印刷装置の内部構成図である。
図2】印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
図3】インク供給ユニットの構成を模式的に示す図である。
図4】情報処理装置の状態と情報処理システムの概念図を示すである。
図5】サーバの構成を示すブロック図である。
図6】操作パネルの表示画面を示す図である。
図7】契約状態とメインタンクの種類に応じた使用可否の状態を示す図である。
図8】状態設定シーケンスを説明するためのフローチャートである。
図9】印刷装置の状態が設定される様子を示す図である。
図10】印刷枚数の決算方法を説明するための図である。
図11】表示画面における表示内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<印刷装置の概略構成>
図1は、本発明の情報処理装置として使用可能なインクジェット印刷装置1(以下、印刷装置1)の内部構成図である。図において、x方向は水平方向、y方向(紙面垂直方向)は印刷ヘッド8において吐出口が配列する方向、z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。
【0010】
印刷装置1は、プリント部2とスキャナ部3を備える複合機であり、印刷動作と読取動作に関する様々な処理を、プリント部2とスキャナ部3で個別にあるいは連動して実行することができる。スキャナ部3は、ADF(オートドキュメントフィーダ)とFBS(フラットベッドスキャナ)を備えており、ADFで自動給紙される原稿の読み取りと、ユーザによってFBSの原稿台に置かれた原稿の読み取り(スキャン)を行うことができる。なお、本実施形態はプリント部2とスキャナ部3を併せ持った複合機であるが、スキャナ部3を備えない形態であってもよい。図1は、印刷装置1が印刷動作も読取動作も行っていない待機状態にあるときを示す。
【0011】
プリント部2において、鉛直方向下方の底部には、印刷媒体(カットシート)Sを収容するための第1カセット5Aと第2カセット5Bが着脱可能に設置されている。第1カセット5AにはA4サイズまでの比較的小さな印刷媒体が、第2カセット5BにはA3サイズまでの比較的大きな印刷媒体が、平積みに収容されている。第1カセット5Aの近傍には、収容されている印刷媒体Sを1枚ずつ分離して給送するための第1給送ユニット6Aが設けられている。同様に、第2カセット5Bの近傍には、第2給送ユニット6Bが設けられている。印刷動作が行われる際にはいずれか一方のカセットから選択的に印刷媒体Sが給送される。
【0012】
搬送ローラ7、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド18、インナーガイド19及びフラッパ11は、印刷媒体Sを所定の方向に導くための搬送機構である。搬送ローラ7は、印刷ヘッド8の上流側及び下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。排出ローラ12は、排出口の直前に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、搬送ローラ7と共に印刷前の印刷媒体Sをニップして回転する従動ローラである。拍車7bは、搬送ローラ7または排出ローラ12と共に印刷後の印刷媒体Sをニップして回転する。
【0013】
ガイド18は、印刷媒体Sの搬送経路に設けられ、印刷媒体Sを所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材で湾曲した側面を有し、当該側面に沿って印刷媒体Sを案内する。フラッパ11は、両面印刷動作の際に、印刷媒体Sが搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、印刷動作が完了し排出ローラ12によって排出された印刷媒体Sを積載保持するためのトレイである。
【0014】
本実施形態の印刷ヘッド8は、フルラインタイプのカラーインクジェット印刷ヘッドであり、印刷データに従ってインクを吐出する吐出口が、図1におけるy方向に沿って印刷媒体Sの幅に相当する分だけ複数配列されている。印刷ヘッド8が待機位置にあるとき、印刷ヘッド8の吐出口面8aは、図1のようにキャップユニット10によってキャップされている。印刷動作を行う際は、後述するプリントコントローラ202によって、吐出口面8aがプラテン9と対向するように印刷ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、印刷ヘッド8によって印刷動作が行われる印刷媒体Sを背面から支持する。
【0015】
インクタンクユニット14は、印刷ヘッド8へ供給される4色のインクをそれぞれ貯留する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と印刷ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、印刷ヘッド8内のインクの圧力及び流量を適切な範囲に調整する。本実施形態では循環型のインク供給系を採用しており、インク供給ユニット15は印刷ヘッド8へ供給されるインクの圧力と印刷ヘッド8から回収されるインクの流量を適切な範囲に調整する。
【0016】
メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングにこれらを作動させて、印刷ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う。メンテナンス動作については後に詳しく説明する。
【0017】
図2は、印刷装置1における制御構成を示すブロック図である。制御構成は、主にプリント部2を統括するプリントエンジンユニット200と、スキャナ部3を統括するスキャナエンジンユニット300と、印刷装置1全体を統括するコントローラユニット100によって構成されている。プリントコントローラ202は、コントローラユニット100のメインコントローラ101の指示に従ってプリントエンジンユニット200の各種機構を制御する。スキャナエンジンユニット300の各種機構は、コントローラユニット100のメインコントローラ101によって制御される。以下に制御構成の詳細について説明する。
【0018】
コントローラユニット100において、CPUにより構成されるメインコントローラ101は、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら印刷装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F102またはワイヤレスI/F103を介してホスト装置400から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ101の指示に従って、画像処理部108が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ101はプリントエンジンI/F105を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット200へ送信する。また、例えばホスト装置400から読取コマンドが入力されると、メインコントローラ101は、スキャナエンジンI/F109を介してこのコマンドをスキャナ部3に送信する。
【0019】
なお、印刷装置1は無線通信や有線通信を介してホスト装置400から画像データを取得しても良いし、印刷装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。
【0020】
サーバI/F110は、印刷装置1をインターネット接続するためのインターフェイスである。メインコントローラ101は、サーバI/F110を介して、契約サーバ111や課金サーバ112との間で情報の授受を行う。
【0021】
操作パネル104は、ユーザが印刷装置1に対して入出力を行うための機構である。ユーザは、操作パネル104を介してコピーやスキャン等の動作を指示したり、印刷モードを設定したり、印刷装置1の契約情報の設定及び更新を行ったりすることができる。
【0022】
タイマ113は、現在時刻を管理する。カウンタ114は、印刷装置1が画像を印刷した枚数を、カラーモード、モノクロモード毎にカウントする。不揮発メモリ115は、カウンタ114が取得するカウント値や後述する印刷装置の状態情報などを、必要に応じて保存する。
【0023】
プリントエンジンユニット200において、CPUにより構成されるプリントコントローラ202は、メインコントローラ101の指示の下、ROM203に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、プリント部2が備える各種機構を制御する。この際、プリントコントローラ202は、RAM204をワークエリアとして利用する。
【0024】
例えば、コントローラI/F201を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ202は、これを一旦RAM204に保存する。プリントコントローラ202は画像処理コントローラ205に、保存した画像データを印刷データへ変換させることで、印刷ヘッド8が印刷動作に利用できるようにする。
【0025】
印刷データが生成されると、プリントコントローラ202は、ヘッドI/F206を介して印刷ヘッド8に印刷データに基づく印刷動作を実行させる。この際、プリントコントローラ202は、搬送制御部207を介して図1に示す給送ユニット6A、6B、搬送ローラ7、排出ローラ12、フラッパ11を駆動して、印刷媒体Sを搬送する。プリントコントローラ202の指示に従って、印刷媒体Sの搬送動作に連動して印刷ヘッド8による印刷動作が実行され、印刷処理が行われる。
【0026】
ヘッドキャリッジ制御部208は、印刷装置1のメンテナンス状態や印刷状態といった動作状態に応じて印刷ヘッド8の向きや位置を変更する。インク供給制御部209は、印刷ヘッド8へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット15を制御する。メンテナンス制御部210は、印刷ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンスユニット16におけるキャップユニット10やワイピングユニット17の動作を制御する。
【0027】
スキャナエンジンユニット300においては、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら、スキャナコントローラ302のハードウェアリソースを制御する。これにより、スキャナ部3が備える各種機構は制御される。例えば、メインコントローラ101がスキャナコントローラ302内のハードウェアリソースを制御することにより、ユーザによってADFに搭載された原稿を、搬送制御部304を介して搬送し、センサ305によって読み取る。そして、スキャナコントローラ302は読み取った画像データをRAM303に保存する。なお、プリントコントローラ202は、上述のように取得された画像データを印刷データに変換することで、印刷ヘッド8に、スキャナコントローラ302で読み取った画像データに基づく印刷動作を実行させることが可能である。
【0028】
図3は、印刷装置1における、インク供給ユニット15(図1参照)の構成を模式的に示す図である。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14に装着されたメインタンク401より供給されたインクを、適切な圧力で循環させながら印刷ヘッド8へ供給する。ここでは、1色のインクについての構成を示すが、印刷装置1には同様の構成がインク色ごとに設けられている。
【0029】
インク供給ユニット15は、サブタンク402、接続流路403、供給流路404及び回収流路405を含む。サブタンク402は、印刷ヘッド8に供給するためのインクを一時的に受容するためのタンクであり、供給流路404と回収流路405を介して印刷ヘッド8と接続されている。インクは、サブタンク402、供給流路404、印刷ヘッド8、回収流路405の順に循環し、再びサブタンク402に戻る。そして上記循環が行われている中、印刷ヘッド8は印刷データに従ってインクを吐出する。
【0030】
このようなインク循環制御を行うことにより、印刷ヘッド8に対し新鮮なインクを安定して供給することが可能となる。その結果、印刷ヘッド8の吐出動作を安定させ、出力される画像を高品位に維持することができる。
【0031】
サブタンク402に受容されるインクの量は印刷動作に伴って徐々に減少していく。このため、プリントコントローラ201は(図2参照)、サブタンク402に受容されているインクの量が所定値以下になると、所定のタイミングで不図示のポンプを駆動し、サブタンク402の内部を減圧する。これにより、接続流路403によって接続されたメインタンク401からサブタンク402にインクが補充される。インクが消費されたメインタンク401はインクタンクユニット14より取り外され、ユーザによって新たなメインタンク401に交換することができる。プリントコントローラ201は、このようなサブタンク補充処理を、印刷ジョブを受ける前の印刷装置1の準備段階として適宜行う。
【0032】
本実施形態において、メインコントローラ101は、上記のようなインクの循環及び印刷ヘッド8による印刷動作を、印刷装置1の利用契約の締結状態に基づいて制御する。
【0033】
<利用契約の概要>
本実施形態の印刷装置1は、サブスクリプション契約の下で特定のサービスを受けることができる。サブスクリプション契約の内容は特に限定されないが、本実施形態では、月々定額料金を支払うことによって、サービス対象のメインタンク(以下、サービス対象タンクと呼ぶ)が所定の印刷枚数まで利用可能となる契約とする。サービス対象タンクは、サブスクリプション契約が締結された場合のみに使用が許可されるメインタンクである。また、サービス対象タンクは、一般のメインタンク(以下、一般タンクと呼ぶ)と同型であり、どちらも印刷装置1のインクタンクユニット14に装着可能である。但し、それぞれのメインタンクには、サービス対象タンクであるか一般タンクであるかを示す情報及び収容するインク色の情報等が記憶されたタンクメモリが取り付けられている。よって、メインコントローラ101は、このタンクメモリに格納された情報を読み出すことにより、装着されたメインタンクが、一般タンクであるかサービス対象タンクであるかを判定することができる。
【0034】
図4(a)は、サブスクリプション契約に基づく印刷装置1の状態を示す。本実施形態において、サブスクリプション契約が締結されていないとき、印刷装置1はサービスの利用が不可能な第1状態にあるとする。一方、サブスクリプション契約が締結されているとき印刷装置1はサービスの利用が可能な第2状態にあるとする。印刷装置1が出荷された時点において、印刷装置1は第1状態にある。その後、ユーザがサブスクリプション契約を締結すると、印刷装置1は第1状態から第2状態に移行する。第1状態と第2状態は、ユーザがサブスクリプション契約を締結または解約することによって、相互に切り替えられる。また、ユーザがサブスクリプション契約を解約していなくても、印刷装置1がサーバと通信できない状態が所定期間継続した場合は、サービス提供側が印刷装置1の使用状態を管理することができなくなる。このため、本実施形態の印刷装置1は第2状態から第1状態に移行する。このような印刷装置1の状態は、ユーザが契約に見合った適切なサービスを受けられるようにするため、適切に設定されることが求められる。
【0035】
図4(b)は、本実施形態の情報処理システムを示す図である。本実施形態において、印刷装置1のサブスクリプション契約は、インターネットを介して接続された契約サーバ111及び課金サーバ112によって管理される。印刷装置1のメインコントローラ101は、印刷装置1の契約情報を、契約サーバ111から定期的に受信し、不揮発メモリ115に保存する(図2参照)。受信する契約情報には、契約開始日時、契約終了日時、及び毎月の決算日時等が含まれている。また、メインコントローラ101は、必要に応じて現在日時を契約サーバ111から取得することができる。現在日時のフォーマットは、ISO8601に従う(yyyy-MM-ddTHH:mm:ssZ)。現在日時を契約サーバ111から取得する形態とすることにより、サーバに接続された全ての印刷装置1の時刻を均等に管理することができる。なお、ここでは、「契約開始日時」、「契約終了日時」、「決算日時」と表現しているが、本実施形態は、必ずしも時間の情報が含まれなくてもよい。つまり、単に年月日のみの情報でもよい。
【0036】
一方、印刷装置1のメインコントローラ101は、印刷装置1の印刷枚数情報やインクの残量情報を、課金サーバ112に定期的に送信する。この際、印刷枚数情報には、所定期間内におけるカラーモードでの印刷枚数やモノクロモードでの印刷枚数が含まれる。課金サーバ112は、印刷枚数と契約の内容とを照合し、契約に応じた課金処理を行う。例えば、サブスクリプション契約が締結されている状態において、印刷枚数が規定値以下であれば、月々定額料金を課金する。印刷枚数が規定値を超えた場合は、定額料金に超過料金を加えて課金する。また、課金サーバ112は、受信したインクの残量情報に基づいて、後述するメインタンクの配送の要否などを推定する。
【0037】
図5は、契約サーバ111及び課金サーバ112の構成を示すブロック図である。ここでは、契約サーバ111及び課金サーバ112として共通のハードウェア構成を利用するものとする。以下、説明の便宜上、契約サーバ111及び課金サーバ112を、単に、サーバ111、112と呼ぶ。サーバ111、112は、装置全体の制御を行うメインボード510と、ネットワーク接続ユニット501と、ハードディスクユニット502とを有する。メインボード510は、CPU511、内部バス512、プログラムメモリ513、データメモリ514、ネットワーク制御回路515、及びハードディスク制御回路516を有する。なお、本例では、契約サーバ111が契約管理を行い、課金サーバ112が課金管理及び配送管理を行うシステム例を説明しているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、1つのサーバが、契約、課金、配送の全ての管理機能を実行してもよい。もしくは、3つ以上のサーバが連携して契約、課金、配送の管理機能を実行してもよい。1台以上のサーバからなる構成をサーバシステムと称し、本実施形態ではこのようなサーバシステムにより、契約、課金、配送の管理を行うものとする。
【0038】
メインボード510に配置されるマイクロプロセッサ形態のCPU511は、内部バス512を介して接続されているプログラムメモリ513に格納されている制御プログラムと、データメモリ514の内容とに従って動作する。CPU511は、ネットワーク制御回路515を介してネットワーク接続ユニット501を制御することでインターネットと接続し、1つ以上の印刷装置1や別のサーバとの通信を行う。CPU511は、ハードディスク制御回路216を経由して接続されたハードディスクユニット502にデータを読み書きすることができる。ハードディスクユニット502には、プログラムメモリ213にロードして使用されるオペレーティングシステム及びサーバ111、112の制御ソフトウェアが格納されるほか、各種のデータも格納される。
【0039】
契約サーバ111の場合、データメモリ214には、印刷装置1の契約開始日時及び契約終了日時などが書き換え可能に保存される。印刷装置1より、契約情報の要求を受付けると、CPU511は、ネットワーク接続ユニット501を介してデータメモリ514に保存されている契約開始日時及び契約終了日時の情報を印刷装置1に送信する。課金サーバ112の場合、データメモリ214には、印刷装置1の印刷枚数などが書き換え可能に保存される。印刷装置1より印刷枚数の情報を受信すると、CPU511は、ネットワーク接続ユニット501を介して受信した情報を、データメモリ514に保存する。
【0040】
図6(a)及び(b)は、ユーザが、印刷装置1において、サブスクリプション契約を締結したり契約状態を確認したりするための、操作パネル104の表示画面を示す図である。図6(a)は、印刷装置1が第1状態にあるときの表示画面を示し、図6(b)は印刷装置1が第2状態にあるときの表示画面を示す。
【0041】
印刷装置1が第1状態にあるとき、すなわちサブスクリプション契約が締結されていないとき、図6(a)に示すように、操作パネル104には、サービス対象タンクが使用できないこと、サーバとの通信が行われていないこと等が表示される。画面左下の契約開始ボタン801をユーザが押下することにより、印刷装置1は契約サーバ111から契約情報の取得を開始する。なお、ここでは、あらかじめユーザとサービス提供者(プリンタの販売会社)との間で別途サブスクリプション契約が結ばれているものとする。そして、その契約内容に基づき契約サーバ111のデータメモリ214(図5参照)には、契約情報(契約開始日時及び契約終了日時等)が格納されているものする。よって、印刷装置1が契約開始ボタン801を押下することにより、その契約情報の取得を行うことができる。つまり、このケースにおける契約開始ボタン801は通信開始ボタンであるともいえる。
【0042】
なお、契約の仕方は上記に限定されない。例えば、事前にユーザとサービス提供者との間で契約が結ばれていなくとも、印刷装置1の操作によりサブスクリプション契約が結ばれてもよい。この場合、例えば、ユーザが契約開始ボタン801を押下することで表示画面は契約用の画面に切り替わり、ユーザは操作パネル104を介してサブスクリプション契約を締結することができるようになる。サブスクリプション契約の締結情報は契約サーバ111に送信され、契約サーバ111は受信した情報に従って契約開始日時及び契約終了日時等をデータメモリ214(図5参照)に保存する。
【0043】
このように、契約サーバ111は、データメモリ214に保存されている契約開始日時及び契約終了日時を、必要に応じて印刷装置1に送信する。これにより、印刷装置1は印刷装置1を第1状態から第2状態に移行する。
【0044】
印刷装置1が第2状態にあるとき、すなわちサブスクリプション契約が締結されているとき、操作パネル104には、図6(b)に示す画面が表示される。すなわち、サービス対象タンクが使用できること、サーバとの通信が行われていること、当月のモノクロモードでの印刷枚数、及びカラーモードでの印刷枚数が表示される。画面左下の情報更新ボタン802をユーザが押下することにより、メインコントローラ101は、契約サーバ111にアクセスして最新の情報を取得し、取得した情報に基づいて操作パネル104の表示内容を更新する。
【0045】
図11は、上記表示画面における表示内容を示す図である。「サービス対象タンク」の項では「使用できます」、「使用できません」のいずれかが表示される。「サーバ通信」の項では、「-」、「実行中」、「エラー」のいずれかが表示される。「-」は、サーバ通信を行っていないことを示し、「実行中」はサーバ通信を実行中であることを示す。また、「エラー」はサーバにアクセスしたが、正常な通信ができなかったことを示す。「エラー」の場合、エラー内容に対応づけられたエラー番号が表示される。図11(b)に、エラー番号とエラー内容の対応例を示す。
【0046】
「今月のモノクロ印刷枚数」は、先月の決算日時から現時点までにモノクロモードで印刷した印刷枚数を示す。「今月のカラー印刷枚数」は、先月の決算日時から現時点までにカラーモードで印刷した印刷枚数を示す。これら印刷枚数は、カウンタ114がカウントした値に基づいて算出され、不揮発メモリ115に保存されている。印刷枚数のカウント方法については後に詳しく説明する。
【0047】
図7(a)及び(b)は、メインタンクの使用条件の例を示す図である。図7(a)は、サブスクリプション契約が締結されている状態では、一般タンクもサービス対象タンクも使用可能とし、サブスクリプション契約が締結されていない状態では、一般タンクのみを使用可能とする使用条件を示す。一方、図7(b)は、サブスクリプション契約が締結されている状態ではサービス対象タンクのみを使用可能とし、サブスクリプション契約が締結されていない場合は一般タンクのみを使用可能とする使用条件を示す。このように、本実施形態のメインコントローラ101は、印刷装置1が第1状態にあるか第2状態にあるかと、装着されているメインタンクが一般タンクであるかサービス対象タンクであるかに基づいて、メインタンクの使用の可否を判定する。そして、装着されているメインタンクが使用不可であると判定した場合、メインコントローラ101は、図3で説明したインクの循環や印刷動作などに制限を加える。なお、本実施形態では、図7(a)及び(b)のいずれの使用条件も採用可能であるが、以下では、図7(a)の使用条件を採用した場合を例に説明する。
【0048】
例えば、図4で説明したサブタンク402のインク量が所定値以下になったとき、メインタンク401が使用可能であれば、メインコントローラ101は、メインタンク401からサブタンク402へのインクの補充を、プリントコントローラ201に行わせる。しかし、メインタンク401が使用不可である場合、メインコントローラ101は、メインタンク401からサブタンク402へのインクの補充を、プリントコントローラ201に行わせない。また、印刷ジョブを受信したとき、メインタンク401が使用可能であれば、メインコントローラ101は、受信した印刷ジョブをプリントエンジンユニット200に送信する。しかし、メインタンク401が使用不可である場合、メインコントローラ101は、受信した印刷ジョブをプリントエンジンユニット200に送信しない。
【0049】
<印刷装置の状態設定シーケンス>
サブスクリプション契約に基づくサービスを適切に提供するためには、印刷装置1の状態は適切に設定されていることが求められる。そのため、本実施形態では、印刷装置1が第2状態にある場合、メインコントローラ101は定期的に契約サーバ111にアクセスし、契約情報を取得する(図4(b)参照)。
【0050】
図8(a)は、メインコントローラ101が行う状態設定シーケンスを説明するためのフローチャートである。本処理は、印刷装置1が第2状態にある場合に、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムに従って、RAM106をワークエリアとしながら、定期的かつ反復的に行う。また、本処理は、操作パネル104において、サブスクリプション契約に関する何らかの操作が行われた場合にも、メインコントローラ101によって実行される。
【0051】
本処理が開始されると、メインコントローラ101は、まずS801において、契約サーバ111から契約情報を取得する。具体的には、契約サーバ111にアクセスし、契約サーバ111が保存している契約開始日時と契約終了日時及び現在日時の情報を取得する。
【0052】
S802において、メインコントローラ101は、S801における契約情報の取得が成功したか失敗したかを判定する。契約情報の取得を失敗したと判定した場合、本処理を終了する。一方、契約情報の取得を成功したと判定した場合、メインコントローラ101はS803に進み、S801で取得した契約開始日時と契約終了日時とを、現在日時と比較し、現在日時が契約開始日時と契約終了日時の契約期間内に含まれているか否かを判定する。そして、現在日時が期間内に含まれている場合はS804に進み、印刷装置1を第2状態に設定する。具体的には、不揮発メモリ115の状態情報領域に第2状態にあることを示す情報を書き込む。
【0053】
一方、現在日時が契約開始日時と契約終了日時との契約期間に含まれていない場合、メインコントローラ101は、S805に進み、印刷装置1を第1状態に設定する。具体的には、不揮発メモリ115の状態情報領域に第1状態にあることを示す情報を書き込む。以上で本処理は終了する。
【0054】
図8(b)は、印刷装置1が第2状態にある場合に、印刷装置1の内部で定期的かつ反復的に行われる状態設定シーケンスを説明するためのフローチャートである。本処理は、サーバを介して行われる図8(a)の状態設定シーケンスとは別に、印刷装置1の内部構成のみによって行われ、図8(a)の状態設定シーケンスよりも短い周期で反復的に行われる。
【0055】
本処理が開始されると、メインコントローラ101はS806において、印刷装置1が管理する現在日時が、現時点で不揮発メモリ115に記憶されている契約開始日時と契約終了日時の期間内に含まれているか否かを判定する。そして、現在日時が契約開始日時と契約終了日時の期間内に含まれている場合、メインコントローラ101は印刷装置1を第2状態に維持したまま本処理を終了する。
【0056】
一方、S806において、現在日時が契約開始日時と契約終了日時の期間内に含まれていないと判定した場合、メインコントローラ101はS807に進み、印刷装置1を第2状態から第1状態に移行する。以上で本処理を終了する。
【0057】
このように、本実施形態によれば、契約開始日時と契約終了日時と現在日時とに基づいて、印刷装置1の状態を適切に設定することができる。
【0058】
<契約期間の設定および管理>
本実施形態において、ユーザは、図6で説明した操作パネル104の表示画面を介してサブスクリプション契約を締結したり更新したりすることができる。この際、ユーザは、契約開始日と契約終了日とをそれぞれ独立に設定することができる。そして、設定された契約開始日と契約終了日とは契約サーバ111に送信され、契約サーバ111は受信した契約開始日時及び契約終了日時等の情報をデータメモリ214(図5参照)に保存する。但し、本実施形態において、契約終了日については必ずしも設定されなくてもよい。なお、契約終了日が未定である場合、契約終了日の情報自体が設定されない形態と、実質的に契約終了日が未定とみなされる程度の遠い未来の日時が「仮の契約終了日」として設定される形態と、が考えられる。後者の場合、例えば、現在日時に対して100年後の日時を「仮の契約終了日」として入力することにより、実質的に契約終了日を未定とみなされる。よって、契約終了日が未定である場合は、前者の場合、メモリ214には契約終了日が未定であることを示す情報が記憶され、後者の場合、遠い未来の日時が記憶される。後者の場合のほうが、形式的にでも契約終了日が設定されるため、セキュリティ上は好ましい。
【0059】
その後、印刷装置1のメインコントローラ101は、契約開始日時、契約終了日時および現在日時を、契約サーバ111から定期的に受信し、印刷装置1が第1状態にあるか第2状態にあるかを判定する。
【0060】
図9は、契約開始日時と契約終了日時と現在日時とに基づいて、印刷装置1の状態が設定される様子を示す図である。メインコントローラ101は、現在日時が契約開始日時と契約終了日時の間にある場合、印刷装置1を第2状態に設定する。また、契約終了日時が未定であっても、契約開始日時が現在日時に対して過去である場合、メインコントローラ101は印刷装置1を第2状態に設定する。そして、それ以外の全ての場合について、メインコントローラ101は印刷装置1を第1状態に設定する。
【0061】
すなわち、図8(a)および(b)で説明した2つの状態設定シーケンスがメインコントローラ101によって反復的に行われる中、契約開始日時と契約終了日時が現在日時に対して共に未来である場合、印刷装置1は第1状態に設定される。そして、現在日時が契約開始日時を過ぎたときに印刷装置1は第2状態に設定され、更に現在日時が契約終了日時を過ぎたときに印刷装置1は再び第1状態に設定される。
【0062】
<印刷枚数の決算方法>
図10は、印刷枚数の決算方法を説明するための図である。ここでは、一例として、契約開始日として1月10日、契約終了日として3月10日が設定された場合を示している。また、毎月25日が決算日であり、前月の26日から当月の25日までの印刷枚数を課金サーバ112に送信するものとする。通常はカラーモードでの印刷枚数とモノクロモードでの印刷枚数とをカウントするが、ここでは簡単のため、モノクロモードでの印刷枚数についてのみ説明する。
【0063】
図中、累積カウント値は、印刷装置1に備えられているカウンタ114(図2参照)のカウント値を示す。累積カウント値は印刷装置1の着荷時(製品購入時)は0を示し、その後、モノクロモードのもとで1ページ印刷されるたびに1ずつ加算されていく。すなわち、累積カウント値は、印刷装置1が着荷された時点からモノクロモードで印刷した用紙の累積枚数を示している。
【0064】
現在日時が契約開始日(1/10)に達したとき、印刷装置1は第1状態から第2状態に移行する。そして、このタイミングで、メインコントローラ101は、カウンタ114の累積カウント値を読み取り、「契約締結時のカウント値」として不揮発メモリ115に保存する。
【0065】
現在日時が最初の決算日(1/25)に達したとき、メインコントローラ101は、カウンタ114の累積カウント値を読み取り、この累積カウント値(300)から不揮発メモリ115に保存されている「契約締結時のカウント値」(100)を減算する。そして、得られた値(300-100=200)を当月の印刷枚数として課金サーバ112に送信する。更に、メインコントローラは、その時点の累積カウント値(300)を「決算日のカウント値」として不揮発メモリ115に保存する。
【0066】
現在日時が2回目の決算日(2/25)に達したとき、メインコントローラ101は、カウンタ114の累積カウント値を読み取り、この累積カウント値(500)から不揮発メモリ115に保存されている「決算日のカウント値」(300)を減算する。そして、得られた値(500-300=200)を当月の印刷枚数として課金サーバ112に送信する。更に、メインコントローラは、不揮発メモリ115に保存されている「決算日のカウント値」を、その時点の累積カウント値(500)に更新する。
【0067】
現在日時が契約終了日(3/10)に達したとき、印刷装置1は第2状態から第1状態に移行する。そして、このタイミングで、メインコントローラ101は、カウンタ114の累積カウント値を読み取り、この累積カウント値(650)から不揮発メモリ115に保存されている「決算日のカウント値」(500)を減算する。そして、得られた値(650-500=150)を当月(最終月)の印刷枚数として課金サーバ112に送信する。なお、この際、メインコントローラ101は、カウンタ114の累積カウント値(650)から、不揮発メモリ115に保存されている「契約締結時のカウント値」(100)を減算することにより、契約期間中のトータルの印刷枚数を算出してもよい。
【0068】
課金サーバ112は、決算日ごとに受信した印刷枚数に基づいて、課金処理を行う。具体的には、受信した印刷枚数が規定値以下であれば定額料金を課金し、受信した印刷枚数が規定値を超えている場合は、定額料金に超過料金を追加した料金を課金する。
【0069】
このように本実施形態によれば、不揮発メモリ115に保存された「契約締結時のカウント値」、「決算日時のカウント値」およびカウンタ114のカウント値を用いることにより、各月の印刷枚数を適切に管理することができる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザは、契約を開始したい日時またはそれ以前であれば、いつでも所望の契約期間を任意に設定したり更新したりすることができる。このため、所望の契約期間を設定しようとしたタイミングにおいて、サーバが通信できない状況であっても、上記所望の契約期間の設定を別のタイミングで改めて設定することができる。そして、メインコントローラは、上記契約期間と現在日時とを定期的かつ反復的に確認することにより、印刷装置が第1状態にあるか第2状態にあるかをその時々で適切に設定することができる。すなわち、ユーザは、所望の期間に適切なサービスを受けることが可能となる。
【0071】
(その他の実施形態)
以上では、契約サーバ111と課金サーバ112とがそれぞれ独立した機能を有し、印刷装置1がこれら両方のサーバと通信する形態で説明した。しかしながら、契約サーバ111と課金サーバ112とは、これらの機能を共に有する1つのサーバとしてもよい。もしくは1台以上のサーバからなるサーバシステムが、これらの機能を実行してもよい。
【0072】
また、以上では、情報処理装置として、インクジェット印刷装置1を用いる場合について説明した。しかしながら、情報処理装置は、インク以外の色材を用いる画像印刷装置としてもよい。例えば、情報処理装置を、トナーを色材とする画像印刷装置とし、サブスクリプション契約が締結された場合は、特定のトナーカートリッジ(トナーを収容する容器)を使用可能としてもよい。
【0073】
また、情報処理装置は、所定の契約情報を保存するサーバと通信することが可能であれば、印刷装置以外の装置とすることもできる。この場合、サブスクリプション契約に基づくサービスの内容は特に限定されないが、情報処理装置は、上記実施形態の印刷処理に代わる情報処理装置固有の処理の処理量を課金サーバへ送信すればよい。いずれにしても、所定の契約情報を保存するサーバと通信することが可能な情報処理装置であって、契約の締結状態に応じた何らかのサービスを提供可能な装置であれば、本発明の情報処理装置として機能させることができる。
【0074】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 印刷装置(情報処理装置)
101 メインコントローラ
111 契約サーバ
115 不揮発メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11