(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】有機デバイス、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体用の灯具および移動体
(51)【国際特許分類】
H10K 59/131 20230101AFI20240710BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240710BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20240710BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240710BHJP
H10K 30/89 20230101ALI20240710BHJP
H10K 39/18 20230101ALI20240710BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240710BHJP
H10K 50/805 20230101ALI20240710BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20240710BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240710BHJP
H10K 50/854 20230101ALI20240710BHJP
H10K 50/88 20230101ALI20240710BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20240710BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20240710BHJP
H10K 59/65 20230101ALI20240710BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20240710BHJP
H10K 59/82 20230101ALI20240710BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20240710BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20240710BHJP
【FI】
H10K59/131
F21S2/00 431
F21S2/00 481
F21V9/30
G09F9/30 365
H10K30/89
H10K39/18
H10K50/10
H10K50/805
H10K50/84
H10K50/844
H10K50/854
H10K50/88
H10K59/00
H10K59/40
H10K59/65
H10K59/80
H10K59/82
H10K59/95
H10K77/10
(21)【出願番号】P 2020119448
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲生
(72)【発明者】
【氏名】梶本 典史
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0014728(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0293888(US,A1)
【文献】特開2019-220397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-99/00
H05B 33/00-33/28
G09F 9/30
F21S 2/00
F21V 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の主面の上に配された第1配線および第2配線と、前記第1配線および前記第2配線の上に配された層間絶縁層と、前記層間絶縁層の上に配された第1電極と、前記第1電極の上に配された有機層と、前記有機層の上に配された第2電極と、を含む有機デバイスであって、
前記層間絶縁層のうち前記主面に対する正射影において前記有機層が配されている領域に、前記第1配線と前記第1電極とを電気的に接続する第1導電部材が配された第1ビアホールと、前記第2配線と前記第2電極とを電気的に接続する第2導電部材が配された第2ビアホールと、が設けられ、
前記第1ビアホールのうち少なくとも上部は、前記第1導電部材が充填されており、
前記第2ビアホールのうち少なくとも上部は、前記第2導電部材が充填されていない領域を有
し、
前記有機層が、前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁の上端を含む一部を覆うことを特徴とする有機デバイス。
【請求項2】
前記第2ビアホールの前記第2導電部材が充填されていない領域において、前記第2ビアホールの側面は、前記第2導電部材によって覆われ、
前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁は、前記有機層が配されていない領域を有し、
前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁の前記有機層が配されていない領域に、前記第2電極が接していることを特徴とする請求項1に記載の有機デバイス。
【請求項3】
前記第1ビアホールの全体に前記第1導電部材が充填されていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機デバイス。
【請求項4】
前記主面に対する正射影において、前記第1ビアホールの上端の面積が、前記第2ビアホールの上端の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の有機デバイス。
【請求項5】
前記主面に対する正射影において、前記第1ビアホールの側面の互いに対向する部分の間の長さが、前記第2ビアホールの側面の互いに対向する部分の間の長さよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の有機デバイス。
【請求項6】
前記主面に対する正射影において、前記第1ビアホールの側面のうち上端の互いに対向する部分の間の長さが、前記第2ビアホールの側面のうち上端の互いに対向する部分の間の長さよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の有機デバイス。
【請求項7】
前記主面に対する正射影において、前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁の上端の互いに対向する部分の間の長さが、前記有機層の厚さの2倍よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の有機デバイス。
【請求項8】
前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁が、前記主面に平行な面に対する角度が第1角度の第1傾斜部と、前記第1傾斜部と前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁の上端との間に配され、前記主面に平行な面に対する角度が前記第1角度よりも小さい第2角度の第2傾斜部と、を含むことを特徴とする請求項1乃至
7の何れか1項に記載の有機デバイス。
【請求項9】
前記有機デバイスは、前記第2電極の上に配された保護層をさらに含み、
前記保護層が、前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁に接していることを特徴とする請求項1乃至
8の何れか1項に記載の有機デバイス。
【請求項10】
前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁が、チタンを含むことを特徴とする請求項1乃至
9の何れか1項に記載の有機デバイス。
【請求項11】
前記第2導電部材が、前記第2ビアホールの側面に接する第1部材と、前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁を構成する第2部材と、を含む積層構造を備え、
前記第1部材が、前記第1導電部材と同じ材料を含み、
前記第2部材が、前記第1電極と同じ材料を含むことを特徴とする請求項1乃至
10の何れか1項に記載の有機デバイス。
【請求項12】
前記有機層が、発光層または光電変換層を含むことを特徴とする請求項1乃至
11の何れか1項に記載の有機デバイス。
【請求項13】
請求項1乃至
12の何れか1項に記載の有機デバイスと、前記有機デバイスに接続されている能動素子と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項14】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部であり、かつ、請求項1乃至
12の何れか1項に記載の有機デバイスを有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項15】
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、請求項1乃至
12の何れか1項に記載の有機デバイスを有することを特徴とする電子機器。
【請求項16】
光源と、光拡散部および光学フィルムの少なくとも一方と、を有する照明装置であって、
前記光源は、請求項1乃至
12の何れか1項に記載の有機デバイスを有することを特徴とする照明装置。
【請求項17】
請求項1乃至
12の何れか1項に記載の有機デバイスと、前記有機デバイスを保護する保護部材と、を有することを特徴とする移動体用の灯具。
【請求項18】
機体と、前記機体に設けられている灯具を有し、
前記灯具は、請求項1乃至
12の何れか1項に記載の有機デバイスを有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機デバイス、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体用の灯具および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
発光や光電変換を行う有機層を含む発光素子や光電変換素子を備える有機デバイスが注目されている。有機デバイスにおいて、発光領域や光電変換領域の全面に、有機層や上部電極を一体的に形成する場合がある。上部電極に対する給電部を有機層が配された発光領域や光電変換領域の外側に設けた場合、有機層が配されていない領域が増加し、有機デバイスが大きくなってしまう。有機デバイスが大きくなると、1枚の基板から得られる有機デバイスの数が少なくなり、1つの有機デバイスあたりのコストが高くなる。特許文献1には、有機層が配される部分に共通電極層(上部電極)に接続する補助電極層を設けることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、層間絶縁層に設けられたコンタクト孔に画素電極層(下部電極)の一部を凹入させた接続凹部の底で、画素電極層と配線とを接続させることが示されている。接続凹部の上のバンクの表面には接続凹部の形状に応じた凹形状が形成される可能性がある。バンクの表面に凹形状が形成された場合、有機層のうちバンクの凹形状の上に配された部分は、バンクの凹形状に起因して薄膜化する可能性がある。有機層が薄膜化した場合、上部電極と下部電極との間でリーク電流が増加してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、有機デバイスを製造するコストを抑制し、かつ、リーク電流の抑制に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る有機デバイスは、基板と、前記基板の主面の上に配された第1配線および第2配線と、前記第1配線および前記第2配線の上に配された層間絶縁層と、前記層間絶縁層の上に配された第1電極と、前記第1電極の上に配された有機層と、前記有機層の上に配された第2電極と、を含む有機デバイスであって、前記層間絶縁層のうち前記主面に対する正射影において前記有機層が配されている領域に、前記第1配線と前記第1電極とを電気的に接続する第1導電部材が配された第1ビアホールと、前記第2配線と前記第2電極とを電気的に接続する第2導電部材が配された第2ビアホールと、が設けられ、前記第1ビアホールのうち少なくとも上部は、前記第1導電部材が充填されており、前記第2ビアホールのうち少なくとも上部は、前記第2導電部材が充填されていない領域を有し、前記有機層が、前記第2導電部材のうち前記第2ビアホールの側面に沿った内壁の上端を含む一部を覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、有機デバイスを製造するコストを抑制し、かつ、リーク電流の抑制に有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る有機デバイスの構成例を示す断面図。
【
図3】
図1の有機デバイスの構成例を示す断面の拡大図。
【
図8】本実施形態の発光装置を用いた表示装置の一例を示す図。
【
図9】本実施形態の発光装置を用いた光電変換装置の一例を示す図。
【
図10】本実施形態の発光装置を用いた電子機器の一例を示す図。
【
図11】本実施形態の発光装置を用いた表示装置の一例を示す図。
【
図12】本実施形態の発光装置を用いた照明装置の一例を示す図。
【
図13】本実施形態の発光装置を用いた移動体の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1~13を参照して、本開示の実施形態による有機デバイスについて説明する。
図1は、本実施形態に係る有機デバイス100の構成例を示す断面図である。
図2は、有機デバイス100の一部の上面俯瞰図である。
図3は、
図1の点線で囲まれた領域Bを拡大した図である。また、
図2のA-A’間の断面が、
図1に相当し、3つの発光素子10で1つの画素を構成する例を示す。本実施形態では、デルタ配列の画素の例を示すが、これに限られることはなく、ストライプ配列やスクエア配列であってもよい。
【0011】
本実施形態において、後述するように有機デバイス100は有機発光装置であってもよく、この場合、有機層は例えば発光層を含む。また、本実施形態にかかる有機デバイス100は、有機発光装置に限られるものではない。有機デバイス100は光電変換装置であってもよく、この場合、有機層は例えば光電変換層を含む。
【0012】
有機デバイス100は、基板1と基板1の上に配される複数の発光素子10とを含む。
図1には、有機デバイス100に含まれる複数の発光素子10のうち、3つの発光素子10R、10G、10Bが示されている。発光素子10Rにおける「R」は、赤色を発光する素子であることを示している。同様に発光素子10G、10Bはそれぞれ緑色、青色を発光することを示している。本明細書において、複数の発光素子10のうち特定の発光素子を示す場合、発光素子10「R」のように参照番号の後に添え字を追加し、複数の発光素子10の何れであってもよい場合、単に発光素子「10」と示す。他の構成要素についても同様である。
【0013】
有機デバイス100は、基板1と、基板1の主面19の上に配された配線9および配線11と、配線9および配線11の上に配された層間絶縁層12と、層間絶縁層12の上に配された下部電極2と、下部電極2の上に配された有機層4と、有機層4の上に配された上部電極5と、を含む。さらに、層間絶縁層12のうち主面19に対する正射影において有機層4が配されている領域に、配線9と下部電極2とを電気的に接続する導電部材15が配されたビアホール13と、配線11と上部電極5とを電気的に接続する導電部材18が配されたビアホール14と、が設けられる。下部電極2は、絶縁層3によって発光素子10ごとに分離された電極である。
図1に示されるように、有機層4は、基板1の上に連続的に形成され、複数の発光素子10によって共有されている。このため、本実施形態において、主面19に対する正射影において有機層4が配されている領域とは、有機層4が連続的(一体的)に形成された領域であり、ビアホール14内など有機層4が段切れしている(形成されていない)部分も含めた領域のことをいう。
【0014】
ここで、有機デバイス100が発光装置である場合について、より詳細に説明する。本実施形態において、有機デバイス100は、上部電極5から光を取り出すトップエミッション型デバイスである。したがって、有機層4は、機能層として発光層を有する。また、有機デバイス100は、上部電極5を覆うように配された保護層6と、保護層6の上に複数の発光素子10のそれぞれと対応するように配された複数のカラーフィルタ7と、を含みうる。さらに、有機デバイス100は、保護層6とカラーフィルタ7との間に、平坦化層8を有していてもよい。ここでは、有機デバイス100が発光装置の場合を示すが、有機デバイス100が光電変換装置の場合、有機層4は、機能層として光電変換層を有する。
【0015】
本実施形態において、有機層4は、白色発光し、カラーフィルタ7B、7G、7Rは、有機層4から発せられる白色光から、RGBそれぞれの光を分離する。カラーフィルタは有機層4から発せられた光を吸収して他の色に変換する色変換層であってもよい。
【0016】
本明細書において、「上」「下」とは、
図1における上下を指す。したがって、下部電極2の基板1の側の面を、下部電極2の「下面」と呼び、下部電極2の有機層4の側の面を「上面」と呼ぶ。ここで、下部電極2の下面とは、層間絶縁層12と接する面を指す。例えば、下部電極2の下面に配線9と接続するための導電部材15などが接続されている場合、その部分を除いた略平面の部分を下部電極2の下面とする。
【0017】
図1において、図示しないが、基板1は、配線9や配線11に接続されているトランジスタを含む駆動回路や配線、などを含んでいてもよい。基板1の主面19の上には、層間絶縁層12が配される。層間絶縁層は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの無機物によって構成されていてもよく、また、ポリイミド、ポリアクリルなどの有機物によって構成されていてもよい。機能層などの有機層4は、水分によって劣化する場合があるため、水分侵入を抑制する観点から、層間絶縁層は、無機材料で形成されていてもよい。層間絶縁層12は、下部電極2を形成する面の凹凸を軽減する目的から平坦化層と呼ばれることもある。
【0018】
配線9および配線11には、例えば、AlやAgなどの金属や、これらの金属にSi、Cu、Ni、Ndなどを添加した合金が用いられうる。配線9および配線11は、バリア層を含む積層構造としてもよい。バリア層の材料として、Ti、W、Mo、Auなどの金属やその合金が用いられてもよい。バリア層は、配線9および配線11の上面を構成する金属層であってもよい。
図1に示される構成では、配線9と配線11とは、同じ配線層に配されているが、互いに異なる配線層に配されていてもよい。ここで、同じ配線層に配された配線とは、例えば、基板1上に成膜された同じ導電体膜からリソグラフィ工程などを用いて形成された配線のことである。
【0019】
導電部材15には、Al、Ag、Cu、Wなどの金属や、これらの金属にSi、Ni、Ndなどを添加した合金が用いられうる。さらに、導電部材15は、バリア層を含む積層構造としてもよい。バリア層の材料として、Ti、W、Mo、Au、Taなどの金属やその合金が用いられてもよい。バリア層は、導電部材15のうちビアホールの13の側面に接する層でありうる。
【0020】
下部電極2は、有機層4の発光波長に対する反射率が80%以上の金属材料が用いられてもよい。例えば、AlやAgなどの金属や、これらの金属にSi、Cu、Ni、Ndなどを添加した合金が、下部電極2に使用されうる。ここで、発光波長とは、有機層4から出射する光のスペクトル範囲のことを指す。下部電極2の有機層4の発光波長に対する反射率が高ければ、下部電極2は、バリア層を含む積層構造としてもよい。バリア層の材料としては、Ti、W、Mo、Auなどの金属やその合金が用いられてもよい。バリア層は、下部電極2の上面に配される金属層であってもよい。
【0021】
導電部材18は、
図3に示されるように、ビアホール14の側面141に接する面184と、面184とは反対の側のビアホール14の側面141に沿った内壁181と、を備える。導電部材18は、ビアホール14の側面141に接する面184を備える部材16と、ビアホール14の側面141に沿った内壁181を構成する部材17と、を含む積層構造を備えていてもよい。この場合、例えば、部材16は、導電部材15と同じ材料を含みうる。さらに、部材16は、導電部材15と同じ材料によって形成されていてもよい。また、導電部材18が積層構造の場合、例えば、部材17は、下部電極2と同じ材料を含みうる。さらに、部材17は、下部電極2と同じ材料によって形成されていてもよい。本実施形態において、
図1、3に示されるように、導電部材18は、部材16と部材17との2層構造であるが、3層以上の積層構造を備えていてもよい。
【0022】
絶縁層3は、下部電極2の外縁部を覆い、下部電極2と有機層4との間に配されていてもよい。発光素子10の発光領域の上面俯瞰の形状は、絶縁層3の開口によって規定される形状であってもよい。絶縁層3は、各発光素子10の下部電極2を電気的に分離する機能および発光素子10の発光領域を規定する機能を有していればよく、
図1、2に示されるような形状に限られることはない。
【0023】
絶縁層3は、例えば、化学気相堆積法(CVD法)や物理蒸着法(PVD法)などで形成されうる。絶縁層3は、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化シリコン(SiO)などで構成されていてもよい。また、絶縁層3は、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化シリコンなどの積層膜であってもよい。
【0024】
有機層4は、下部電極2および絶縁層3と上部電極5との間に配されている。有機層4は、基板1の上に連続的に形成され、複数の発光素子10によって共有されていてもよい。すなわち、1つの有機層4を複数の発光素子10が共有していてもよい。有機層4は、発光装置である有機デバイス100の画像を表示する表示領域の全面において、一体的に形成されていてもよい。
【0025】
有機層4は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層を含んでいてもよい。有機層4は、発光効率、駆動寿命、光学干渉といった観点からそれぞれ適切な材料を選択することができる。正孔輸送層は、電子ブロック層や正孔注入層として機能してもよく、正孔注入層や正孔輸送層や電子ブロック層などの積層構造としてもよい。機能層である発光層は、異なる色を発光する発光層の積層構造でもよく、異なる色を発光する発光ドーパントを混合した混合層でもよい。また、電子輸送層は、正孔ブロック層や電子注入層として機能してもよく、電子注入層や電子輸送層や正孔ブロック層の積層構造としてもよい。
【0026】
また、有機層4は複数の機能層(発光層)と複数の機能層間に配される中間層とを有していてもよく、有機デバイス100は、中間層が電荷発生層であるタンデム構造の発光装置であってもよい。タンデム構造は、電荷発生層と発光層との間に正孔輸送層や電子輸送層などの電荷輸送層を形成してもよい。
【0027】
電荷発生層は、電子供与性の材料と電子受容性の材料を含み電荷を発生する層である。電子供与性の材料と電子受容性の材料とは、それぞれ、電子を与える材料およびその電子を受け取る材料である。これによって、電荷発生層には正および負の電荷が発生するため、電荷発生層よりも上方および下方の層に、正または負の電荷を供給することができる。電子供与性の材料は、例えば、リチウム、セシウムなどのアルカリ金属であってもよい。また、電子供与性の材料は、例えば、フッ化リチウム、リチウム錯体、炭酸セシウム、セシウム錯体などであってもよい。この場合、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムのような還元性の材料と共に含まれることで、電子供与性を発現してもよい。電子受容性の材料は、例えば、酸化モリブデンのような無機物であってもよく、[ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル]のような有機物であってもよい。電子受容性の材料と電子供与性の材料は混合されていてもよいし、積層されていてもよい。
【0028】
上部電極5は、有機層4の上に配された電極である。上部電極5は、基板1の上に連続的に形成され、複数の発光素子10によって共有されていてもよい。有機層4と同様に、上部電極5は、発光装置である有機デバイス100の画像を表示する表示領域の全面において、一体的に形成されていてもよい。上部電極5は、有機層4の発光層が発する光を透過させるための光透過電極である。また、上部電極5は、上部電極5の下面に到達した光の少なくとも一部を透過する電極であってもよい。上部電極5は、一部の光を透過するとともに、他の一部を反射する(すなわち半透過反射性)半透過反射層として機能してもよい。
【0029】
上部電極5は、例えば、マグネシウムや銀などの金属、または、マグネシウムや銀を主成分とする合金、もしくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属を含んだ合金材料から形成されうる。また、上部電極5に、酸化物導電体などが用いられてもよい。また、上部電極5は、適当な透過率を有するならば、積層構造であってもよい。
【0030】
保護層6は、例えば、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化シリコンおよび酸化チタンなど、外部からの酸素や水分の透過性が低い材料で構成することができる。窒化シリコン、酸窒化シリコンは、例えば、CVD法を用いて形成されてもよい。また、酸化アルミニウム、酸化シリコンおよび酸化チタンは、例えば、原子層堆積法(ALD法)を用いて形成することができる。
【0031】
保護層6の構成材料および製造方法の組み合わせは、上記の例示に限定されないが、形成する層厚、形成に要する時間などを考慮して適宜選択される。保護層6は、上部電極5を透過した光を透過し、十分な水分遮断性能があれば、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0032】
カラーフィルタ7は、保護層6の上に形成される。
図1に示されるカラーフィルタ7Rとカラーフィルタ7Gとのように、隙間なく接してもよい。また、カラーフィルタが他の色のカラーフィルタの上に重なるように配されていてもよい。
【0033】
本実施形態において、保護層6とカラーフィルタ7との間には、平坦化層8が配される。平坦化層8は、例えば、ポリイミド、ポリアクリルなどの有機物によって構成されていてもよい。また、無機物や有機物を用いた積層構造であってもよい。
【0034】
本実施形態において、ビアホール13とビアホール14とは、基板1の主面19に対する正射影において、有機層4が形成される領域に配される。配線11と上部電極5とを接続する導電部材18が配されるビアホール14が、有機層4が配された領域に配されるため、有機層4が配された領域の外側にビアホール14を配する場合よりも、有機層4が配されない領域(有機層4が形成された領域の外側)の面積を縮小できる。このため、有機デバイス100全体の面積が小さくなり、1枚の基板からより多くの有機デバイス100を得ることができる。結果として、1つの有機デバイス100あたりのコストを低くすることが可能となる。
【0035】
ビアホール14は、発光素子10が配されている間に形成されてもよい。この場合、有機層4が配された発光領域にビアホール14が配される。このため、ビアホール14を有機層4が配されない領域に設けた場合よりも、発光領域の中央部において上部電極5の電位降下を抑制することができる。つまり、有機層4に所望の電流を供給しやすくなり、有機デバイス100が発光装置の場合、表示特性が向上しうる。また、有機デバイス100が光電変換装置の場合、例えば、得られる画像の特性が向上しうる。
【0036】
ビアホール13には、配線9と下部電極2とを電気的に接続する導電部材15が配されている。本実施形態において、ビアホール13のうち少なくとも上部は、導電部材15が充填されている。例えば、ビアホール13の上部に、導電部材15が隙間なく埋め込まれていてもよい。これによって、ビアホール13の上に形成される下部電極2の上面の凹凸が抑制され、下部電極2の上面がより平坦になるため、下部電極2の上面に配された有機層4が薄膜化し難くなり、上部電極5と下部電極2との間のリーク電流が抑制される。
【0037】
ここで、ビアホール13の上部とは、ビアホール13の上下1/2よりも上の部分であってもよい。また、ビアホール13の上部とは、ビアホール13の上下1/3よりも上の部分であってもよい。さらに、ビアホール13の上部とは、ビアホール13の上下1/4または上下1/5よりも上の部分であってもよい。また、さらに、ビアホール13の上部とは、導電部材15と下部電極2とが接する部分であってもよい。
【0038】
また、
図1に示されるように、ビアホール13の全体に、導電部材15が充填されていてもよい。このとき、ビアホール13の上述の上部以外の領域である下部には、空隙が存在してもよい。ビアホール13内の導電部材15の下部の形状は、導電部材15が配線9と下部電極2とを所望の抵抗値の範囲内で電気的に接続できる形状であればよい。
【0039】
次いで、
図3を用いて、有機デバイス100の配線11と上部電極5とを電気的に接続する構成について、詳しく説明する。
【0040】
上述したように、導電部材18は、ビアホール14の側面141に接する面184と、面184とは反対の側に配されビアホール14の側面141に沿った内壁181と、を備える。ビアホール14の側面141に沿った導電部材18の内壁181とは、導電部材18の表面のうちビアホール14の側面141に略平行の部分でありうる。ビアホール14のうち少なくとも上部は、ビアホール13とは異なり、導電部材18によって充填されていない領域を有する。このビアホール14の導電部材18が充填されていない領域において、ビアホール14の側面141は、導電部材18によって覆われている。ビアホール14が導電部材18によって充填されていないため、導電部材18の内壁181に有機層4が形成されず、有機層4が配されない領域が生じる。これによって、上部電極5は、ビアホール14に配された導電部材18のビアホール14の側面141に沿った内壁181の有機層4が配されない領域において、導電部材18の内壁181に接した部分を有することができる。結果として、上部電極5と基板1に形成された駆動回路などの回路部とを、導電部材18および配線11とを介して電気的に接続することができる。
【0041】
基板1の主面19に対する正射影において、ビアホール13の側面の互いに対向する部分の間の長さが、ビアホール14の側面141の互いに対向する部分の間の長さよりも小さくてもよい。ここで、ビアホール13、14の側面の互いに対向する部分の長さとは、基板1の主面19に対する正射影において、側面の注目部分に対して法線方向に存在する部分までの長さである。例えば、ビアホール13、14が円形の場合、ビアホール13、14の側面の互いに対向する部分の長さとは、円形のビアホール13、14の直径の長さである。また、例えば、ビアホール13、14が正方形の場合、ビアホール13、14の側面の互いに対向する部分の長さとは、正方形のビアホール13、14の1辺の長さである。このような構成によって、導電部材15と導電部材18とを同時に形成した場合であっても、ビアホール13は、導電部材15によって充填され、ビアホール14は、導電部材18によって充填されない構造とすることができる。
【0042】
また、ビアホール13、14は、テーパー構造を備える場合がある。したがって、基板1の主面19に対する正射影において、ビアホール13の側面のうち上端の互いに対向する部分の間の長さが、ビアホール14の側面141のうち上端142の互いに対向する部分の間の長さよりも小さくてもよい。また、ビアホール13、14は、基板1の主面19に対する正射影において、円形や正方形以外にも長方形や多角形など様々な形状を有する場合がある。したがって、基板1の主面19に対する正射影において、ビアホール13の上端の面積が、ビアホール14の上端142の面積よりも小さくてもよい。ビアホール13とビアホール14との側面の上端での長さや面積の関係は、上述のビアホール13、14が円形や正方形の場合でも適用可能である。ビアホール13、14が、このような関係を有することによって、ビアホール13には、導電部材15が充填され、ビアホール14は、導電部材18によって埋め込まれない構造とすることができる。
【0043】
有機層4は、
図3に示されるように、導電部材18のビアホール14の側面141に沿った内壁181の上端182を含む内壁181の一部を覆っていてもよい。これによって、有機層4の上の上部電極5が、基板1の主面19に平行な方向からビアホール14内に向かって曲がる部分において、上部電極5が薄膜化してしまうことや、さらに上部電極5が部分的に形成されないことを抑制できる。結果として、上部電極5の抵抗値が上昇することによって、有機デバイス100の動作電圧が高電圧化してしまうことを抑制することができる。一般的な半導体プロセスを用いた場合、ビアホール14の側面141の上端142は、角張った形状となる。また、ビアホール14を覆うように形成される導電部材18の内壁181の上端182は角張った形状になりやすい。一方、角張った導電部材18の内壁181の上端182の上に有機層4が形成されることによって、有機層4の上面は、湾曲形状となる。このため、有機層4の上に配される上部電極5の薄膜化が抑制できる。有機デバイス100の製造プロセスについては後述する。
【0044】
特許文献1には、有機層(電子輸送層)が、給電補助電極層の凹部の側面に形成されないように成膜を行うことが示されている。この場合、上部電極(共通電極層)が凹部の側面に向かって曲がる部分において、上部電極の形状が急激に変化し、上部電極の薄膜化が発生する可能性が高くなる。一方、本実施形態において、導電部材18の内壁181の上端182の上に形成された有機層4が導電部材18の内壁181の一部を覆い、有機層4の上面が湾曲形状となることによって、上部電極5の形状の変化が緩やかになり、上部電極5が薄膜化してしまうことや部分的に形成されないことが抑制される。
【0045】
また、有機層4が、導電部材18の内壁181の上端182を含む内壁181の一部を覆うことによる効果として、保護層6の水分遮断性の向上がある。導電部材18の内壁181の上端182のように角張った形状の上に、保護層6を形成する場合を考える。この場合、保護層6の成長過程において、保護層6のうち導電部材18の内壁181上に成長する部分と、保護層6のうち導電部材18の上面の上に成長する部分と、が会合する領域において、保護層6が低密度化しやすい。保護層6の低密度化した領域は、保護層6の下部まで達するため、低密度化した領域を介して、有機層4に水分が侵入しやすい。一方、本実施形態において、有機層4が導電部材18の内壁181の上端182を含む内壁181の一部を覆うことによって、有機層4の上面は湾曲形状となり、傾斜角が連続的に変化する構造となる。このため、異なる傾斜角上に成長した保護層6が連続的に会合し、保護層6の低密度化した領域が形成されることが抑制される。
【0046】
さらに、基板1の主面19に対する正射影における導電部材18のビアホール14の側面141に沿った内壁181の上端182の互いに対向する部分の間の長さDが、有機層4の厚さCの2倍よりも大きくてもよい(D>2C)。これによって、導電部材18の内壁181の内側が、有機層4によって埋め込まれてしまうことが抑制され、上部電極5と導電部材18とを接触させやすくすることができる。
【0047】
以上、説明したように、本実施形態において、ビアホール13の上部に導電部材15が充填され、ビアホール13の上に形成される下部電極2の上面の凹凸を抑制することによって、下部電極2の上面に配された有機層4の薄膜化が抑制される。これによって、上部電極5と下部電極2との間のリーク電流が抑制される。さらに、配線11と上部電極5とを接続する導電部材18が配されるビアホール14が、有機層4が配された領域の内側に配される。このため、有機層4が配されていない領域の面積が縮小され、有機デバイス100全体の面積が小さくなり、上述のように、1つの有機デバイス100あたりのコストを抑えることが可能となる。さらに、導電部材18の内壁181の上端182付近に形成される有機層4および上部電極5の上述の形状によって、上部電極5の薄膜化が抑制され、上部電極5と導電部材18とをより確実に接触させることが可能となる。これによって、有機デバイス100の信頼性を向上させることができる。このように、本実施形態において、有機デバイス100を製造するコストが抑制され、かつ、上部電極5と下部電極2との間のリーク電流が抑制された有機デバイス100を実現することができる。さらに、信頼性が高い有機デバイス100が実現できる。
【0048】
次に、上述の有機デバイス100の製造方法について
図4(a)~4(e)を用いて説明する。まず、基板1の上に金属などの導電層を形成した後、
図4(a)に示されるように、フォトリソグラフィ法などを用いて配線9および配線11が形成される。次いで、層間絶縁層12を成膜し、例えば、CMP法やエッチバック法などを用いて、層間絶縁層12の上面を平坦化する。さらに、
図4(b)に示されるように、層間絶縁層12を貫通するビアホール13およびビアホール14を形成する。
【0049】
続いて、導電部材15および導電部材18のうちビアホール14の側面141と接する面184を備える部材16を形成する。まず、CVD法などを用いて導電部材15および部材16の第1材料膜を形成する。このとき、ビアホール13には、第1材料膜が充填されうる。一方、ビアホール14において、第1材料膜が側面141を覆うだけで、ビアホール14を埋め込むことはない。次いで、層間絶縁層12の上面に形成された第1材料膜を、CMP法やエッチバック法などを用いて研磨やエッチングし、
図4(c)に示すように、導電部材15および部材16が形成される。
【0050】
次いで、下部電極2と導電部材18のうち部材17を形成する。まず、スパッタ法などを用いて下部電極2および部材17の第2材料膜を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングすることによって、
図4(d)に示すように、下部電極2および部材17が形成される。
【0051】
続いて、スパッタ法などを用いて絶縁層3の第3材料膜を形成し、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングする。この中で、ビアホール14に形成された導電部材18を露出させる必要がある。つまり、導電部材18の内壁181上に形成された第3材料膜をエッチングする必要があるため、第3材料膜をエッチングする工程は、等方性のドライエッチングやウエットエッチングを用いてもよい。この工程によって、
図4(e)に示すように、絶縁層3が形成される。
【0052】
導電部材18の表面である内壁181は、チタンやチタンを含む合金であってもよい。導電部材18の内壁181がチタンを含むことによって、導電部材18を形成した後の、プロセス耐性が向上するとともに、導電部材18の内壁181に酸化膜(絶縁膜)が形成され難くなる。このため、
図4(e)に示される構造を大気暴露した後に、有機層4や上部電極5を形成する工程を行った場合であっても、上部電極5と導電部材18との間に絶縁膜が存在することによる抵抗値の上昇が抑制される。結果として、有機デバイス100の動作電圧の高電圧化を防ぐことができる。
【0053】
次に、有機層4および上部電極5の形成方法について
図5(a)、5(b)を用いて説明する。
図5(a)は、有機層4および上部電極5を形成する際の蒸着源201、202と基板1との位置関係を示す図である。基板1は、有機層4および上部電極5を形成する際に回転する。有機層4を形成するための蒸着源202と上部電極5を形成するための蒸着源201とは、ともに基板1の回転中心から基板1の主面19に平行な方向に距離Rの位置に配される。また、有機層4を形成するための蒸着源202は、基板1の回転中心から基板1の主面19に直交する方向に距離iの位置に配される。また、上部電極5を形成するための蒸着源201は、基板1の回転中心から基板1の主面19に直交する方向に距離hの位置に配される。このとき、距離iは、距離hよりも短い。つまり、有機層4を形成するための蒸着源202の方が、上部電極5を形成するための蒸着源201よりも、基板1に近い位置に配されている。
図5(a)では、説明のために、蒸着源201および蒸着源202が、1つの蒸着装置(チャンバ)に配されているように描かれている。しかしながら、
図5(a)は、有機層4および上部電極5を形成する際の、基板1と蒸着源201、202との位置関係を示すための図である。したがって、蒸着源201と蒸着源202とは、別々の蒸着装置(チャンバ)にそれぞれ配されていてもよいし、同じ蒸着装置(チャンバ)に配されていてもよい。
【0054】
図5(b)は、基板1の回転中心からの距離rの位置204における、上述の
図4(e)の工程まで形成された有機デバイス100を拡大した図である。
図5(a)を用いて説明した構成によって、上部電極5を形成するための蒸着源201から蒸着材料が入射する入射角205と、有機層4を形成するための蒸着源202から蒸着材料が入射する入射角206と、が異なる。これによって、上部電極5の蒸着材料は、有機層4の蒸着材料がビアホール14に入る深さの限界の位置208よりも深い位置207まで到達する。これによって、上部電極5は、導電部材18の内壁181に接することができる。ここでは、有機層4の形成方法として蒸着法を用いる場合を説明したが、例えば、レーザーアブレーション法などを用いて有機層4が形成されてもよい。
【0055】
図6は、
図3に示されるビアホール14および導電部材18の変形例を示す図である。
図6に示される構成において、導電部材18のビアホール14の側面141に沿った内壁181が、基板1の主面19に平行な面に対する角度が第1角度の傾斜部185と、傾斜部185と内壁181の上端182との間に配され、主面19に平行な面に対する角度が第1角度よりも小さい第2角度の傾斜部186と、を含む。つまり、ビアホール14および導電部材18の上端142、182に近い部分の傾斜が緩くなっている。導電部材18の上端182に近い領域の内壁181の傾斜が緩くなることによって、
図3に示される構成よりも、さらに、上部電極5の薄膜化が発生し難くなり、また、保護層6の低密度化した領域も発生し難くなる。つまり、有機デバイス100の信頼性をさらに向上させることができる。
【0056】
図6に示される構造は、ビアホール14のうち傾斜部186を配する部分を等方性が高い条件でエッチングすることによって形成することができる。例えば、異方性が高い条件でドライエッチングを行い、ビアホール14を貫通させ、等方性が高い条件のドライエッチングやウエットエッチングを用いて、ビアホール14のうち傾斜部186を配する部分を形成してもよい。異方性が高い条件のエッチングと等方性が高い条件のエッチングとは、何れを先に行ってもよい。
【0057】
ここで、発光素子10について説明する。発光素子10は、基板1の上に、陽極、有機化合物層、陰極を形成して設けられる。陰極の上には、保護層6、カラーフィルタ7などを設けてもよい。カラーフィルタ7を設ける場合は、保護層6とカラーフィルタ7との間に平坦化層8を設けてもよい。平坦化層8はアクリル樹脂などで構成することができる。
【0058】
上述の実施形態において、基板1としてシリコンなどの半導体基板を用いることを述べた。しかしながら、これに限られることはなく、基板1として、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属などが用いられてもよい。また、基板1上には、上述の実施形態のように、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、発光素子10の陽極と基板に形成されたトランジスタなどとの導通を確保するために、コンタクトホールを形成可能で、かつ、接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミドなどの樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
【0059】
電極は、一対の電極(上述の下部電極2、上部電極5)を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってもよい。発光素子10が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光素子10の発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
【0060】
陽極の構成材料として、仕事関数が大きい材料が用いられうる。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステンなどの金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウムなどの金属酸化物が、陽極として使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーも、陽極として使用できる。
【0061】
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
【0062】
陽極を反射電極として用いる場合、例えば、クロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、またはこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。また、陽極を透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
【0063】
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さな材料が用いられうる。例えば、リチウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロムなどの金属単体、またはこれらを含む混合物が挙げられる。また、これら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えば、マグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀などが、陰極として使用できる。酸化錫インジウム(ITO)などの金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。陰極として、銀を用いてもよく、銀の凝集を低減するため、銀合金としてもよい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、銀と銀以外の材料との比が1:1であってもよい。
【0064】
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流および交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすい。
【0065】
陰極の上に、保護層6を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することによって、有機EL層などの発光層に対する水などの浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素などのパッシベーション膜を設け、発光層に対する水などの浸入を低減してもよい。例えば、陰極を形成後に真空を破らずに別のチャンバに搬送し、化学気相成長法(CVD法)で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することによって、保護層6としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層6を設けてもよい。
【0066】
保護層6の上にカラーフィルタ7を設けてもよい。例えば、発光素子10のサイズを考慮したカラーフィルタ7を別の基板上に設け、カラーフィルタ7を設けた基板と発光素子10を設けた基板1と貼り合わせてもよいし、上述した保護層6上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタ7をパターニングしてもよい。カラーフィルタ7は、高分子で構成されていてもよい。
【0067】
カラーフィルタ7と保護層6との間に平坦化層8を有していてもよい。平坦化層8は有機化合物で構成されてもよく、低分子材料によって構成されても、高分子材料によって構成されてもよい。例えば、平坦化層8は、高分子の有機化合物によって形成されうる。
【0068】
平坦化層8は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであってもよいし異なっていてもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂などがあげられる。
【0069】
平坦化層8の上に、対向基板を有していてもよい。対抗基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板1と同じであってもよい。
【0070】
本開示の一実施形態に係る発光素子10を構成する有機層4(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層など)は、以下に示す方法により形成される。有機層4は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング法、プラズマなどを用いたドライプロセスを用いることができる。また、ドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させ、公知の塗布法(例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法、LB法、インクジェット法など)によって層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
【0071】
ここで真空蒸着法や溶液塗布法などによって有機層4を形成すると、結晶化などが起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で有機層4を成膜する場合、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0072】
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。しかしながら、これらに限定されるものではない。
【0073】
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマーまたは共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を併用してもよい。
【0074】
次に、図面を参照しながら本実施形態に係る発光装置について説明する。
図7は、上述の発光素子10の一例である発光素子とこの発光素子に接続されるTFT素子とを有する有機デバイス100の一例である発光装置の断面模式図である。TFT素子は、能動素子の一例である。
【0075】
図7の有機デバイス100の一例である発光装置2310は、ガラス、シリコンなどの基板2311とその上部に絶縁層2312が設けられている。絶縁層2312の上には、TFT2318などの能動素子が配されており、TFT2318のゲート電極2313、ゲート絶縁膜2314、半導体層2315が配置されている。
図7に示されるTFT2318は、駆動回路のトランジスタの一例である。TFT2318は、他にも半導体層2315とドレイン電極2316とソース電極2317とを含み構成されている。TFT2318の上部には絶縁膜2319が設けられている。絶縁膜2319に設けられたコンタクトホール2320を介して発光素子を構成する陽極2321とソース電極2317とが接続されている。
【0076】
なお、発光素子に含まれる電極(陽極、陰極)とTFTに含まれる電極(ソース電極、ドレイン電極)との電気接続の方式は、
図7に示される態様に限られるものではない。つまり、陽極または陰極のうちいずれか一方と、TFT2318のソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが電気接続されていればよい。TFTは、薄膜トランジスタを指す。
【0077】
図7の発光装置2310では有機層2322を1つの層の如く図示をしているが、有機層2322は、複数層であってもよい。陰極2323の上には発光素子の劣化を低減するための保護層2324や保護層2325が設けられている。
【0078】
図7の発光装置2310ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えて他のスイッチング素子として用いてもよい。
【0079】
また、
図7の発光装置2310に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物などの非単結晶酸化物半導体が挙げられる。なお、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
【0080】
図7の発光装置2310に含まれるトランジスタは、Si基板などの基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板などの基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
【0081】
本実施形態に係る発光素子10はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。なお、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板などの基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けてもよい。
【0082】
ここで、上述の各実施形態の有機デバイス100を表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体に適用した応用例について
図8~13を用いて説明する。つまり、上述の有機層4が、発光層を含む場合の有機デバイスの応用例について説明する。他にも、有機デバイス100には、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置などの用途がある。表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。また、カメラやインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0083】
図8は、本実施形態の有機デバイス100を用いた表示装置の一例を表す模式図である。表示装置2400は、上部カバー2401と、下部カバー2409と、の間に、タッチパネル2403、表示パネル2405、フレーム2406、回路基板2407、バッテリー2408を有していてもよい。タッチパネル2403および表示パネル2405は、フレキシブルプリント回路FPC2402、2404が接続されている。回路基板2407には、トランジスタなどの能動素子が配される。バッテリー2408は、表示装置2400が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、この位置に設ける必要はない。表示パネル2405に、有機層4の発光層が有機ELなどの有機発光材料を含む上述の有機デバイス100が適用できる。表示パネル2405として機能する有機デバイス100は、回路基板2407に配されたトランジスタなどの能動素子と接続され動作する。
【0084】
図8に示される表示装置2400は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光し電気信号に光電変換する光電変換素子とを有する光電変換装置(撮像装置)の表示部に用いられてもよい。光電変換装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してもよい。また、表示部は、光電変換装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。光電変換装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってもよい。また、光電変換装置の光電変換素子として、有機層4の機能層が光電変換層を含む本実施形態の有機デバイス100が用いられてもよい。
【0085】
図9は、本実施形態の有機デバイス100を用いた光電変換装置の一例を表す模式図である。光電変換装置2500は、ビューファインダ2501、背面ディスプレイ2502、操作部2503、筐体2504を有していてもよい。光電変換装置2500は、撮像装置とも呼ばれうる。表示部であるビューファインダ2501に、有機層4の発光層が有機発光材料を含む上述の有機デバイス100が適用できる。この場合、有機デバイス100は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示などを表示してもよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性などであってもよい。
【0086】
撮像に適するタイミングはわずかな時間である場合が多いため、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、上述の有機層4の発光層が有機発光材料を含む有機デバイス100がビューファインダ2501に用いられうる。有機発光材料は応答速度が速いためである。有機発光材料を用いた有機デバイス100は、表示速度が求められる、これらの装置に、液晶表示装置よりも適して用いることができる。
【0087】
光電変換装置2500は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、光学部を通過した光を受光する筐体2504内に収容されている光電変換素子(不図示)に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
【0088】
有機層4の発光層が有機発光材料を含む上述の有機デバイス100は、電子機器の表示部に適用されてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。
【0089】
図10は、本実施形態の有機デバイス100を用いた電子機器の一例を表す模式図である。電子機器2600は、表示部2601と、操作部2602と、筐体2603と、を有する。筐体2603には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有していてもよい。操作部2602は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部2602は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する携帯機器は通信機器ということもできる。表示部2601には、有機層4の発光層が有機発光材料を含む上述の有機デバイス100が適用できる。
【0090】
図11(a)、11(b)は、本実施形態の有機デバイス100を用いた表示装置の一例を表す模式図である。
図11(a)は、テレビモニタやPCモニタなどの表示装置である。表示装置2700は、額縁2701を有し表示部2702を有する。表示部2702に、有機層4の発光層が有機発光材料を含む上述の有機デバイス100が適用できる。表示装置2700は、額縁2701と表示部2702とを支える土台2703を有していてもよい。土台2703は、
図11(a)の形態に限られない。例えば、額縁2701の下辺が土台2703を兼ねていてもよい。また、額縁2701および表示部2702は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってもよい。
【0091】
図11(b)は、本実施形態の有機デバイス100を用いた表示装置の他の例を表す模式図である。
図11(b)の表示装置2710は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置2710は、第1表示部2711、第2表示部2712、筐体2713、屈曲点2714を有する。第1表示部2711と第2表示部2712とには、有機層4の発光層が有機発光材料を含む上述の有機デバイス100が適用できる。第1表示部2711と第2表示部2712とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってもよい。第1表示部2711と第2表示部2712とは、屈曲点で分けることができる。第1表示部2711と第2表示部2712とは、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第1表示部2711と第2表示部2712とで1つの画像を表示してもよい。
【0092】
図12は、本実施形態の有機デバイス100を用いた照明装置の一例を表す模式図である。照明装置2800は、筐体2801と、光源2802と、回路基板2803と、光学フィルム2804と、光拡散部2805と、を有していてもよい。光源2802には、有機層4の発光層が有機発光材料を含む上述の有機デバイス100が適用できる。光学フィルム2804は光源の演色性を向上させるフィルタであってもよい。光拡散部2805は、ライトアップなど、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。照明装置2800は、光学フィルム2804と光拡散部2805との両方を有していてもよいし、何れか一方のみを有していてもよい。
【0093】
照明装置2800は例えば室内を照明する装置である。照明装置2800は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってもよい。それらを調光する調光回路を有していてもよい。照明装置2800は、光源2802として機能する有機デバイス100に接続される電源回路を有していてもよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。また、照明装置2800は、カラーフィルタを有してもよい。また、照明装置2800は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコンなどが挙げられる。
【0094】
図13は、本実施形態の有機デバイス100を用いた車両用の灯具の一例であるテールランプを有する自動車の模式図である。自動車2900は、テールランプ2901を有し、ブレーキ操作などを行った際に、テールランプ2901を点灯する形態であってもよい。本実施形態の有機デバイス100は、車両用の灯具としてヘッドランプに用いられてもよい。自動車は移動体の一例であり、移動体は船舶やドローン、航空機、鉄道車両などであってもよい。移動体は、機体とそれに設けられた移動体用の灯具を有していてもよい。灯具は機体の現在位置を知らせるものであってもよい。
【0095】
テールランプ2901に、有機層4の発光層が有機発光材料を含む上述の有機デバイス100が適用できる。テールランプ2901は、テールランプ2901として機能する有機デバイス100を保護する保護部材を有していてもよい。保護部材は、ある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネートなどで構成されてもよい。また、保護部材は、ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体などを混ぜてもよい。
【0096】
自動車2900は、車体2903、それに取り付けられている窓2902を有してもよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓であってもよいし、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、有機層4の発光層が有機発光材料を含む上述の有機デバイス100が用いられてもよい。この場合、有機デバイス100が有する電極などの構成材料は透明な部材で構成される。
【0097】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0098】
1:基板、4:有機層、9,11:配線、12:層間絶縁層、13,14:ビアホール、15,18:導電部材、19:主面、100:有機デバイス