(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】電子機器および制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20240710BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
G06F1/26 306
H02J1/00 306F
H02J1/00 304A
(21)【出願番号】P 2020184643
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森友 広志
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121268(JP,A)
【文献】特開2017-038429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26- 1/3296
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器が所定の機器であるか否かを判定するための認証通信を前記外部機器と行う認証手段と、
前記外部機器がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを判定する判定手段と、
前記認証手段により前記外部機器が
前記所定の機器であると判定され、かつ
、前記判定手段により前記外部機器が
前記ケーブル不要タイプの給電機器であると判定され
た場合、前記外部機器
に対して第1の電力よりも大きい第2の電力を要求するための制御を行う制御手段と
、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記判定手段は
、前記認証通信において得られる情報に基づいて、前記外部機器がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを判定することを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判定手段は、前記外部機器との、前記認証通信とは別の通信において得られる情報に基づいて、前記外部機器がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを判定することを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記判定手段は、前記外部機器との接続に用いられ
る端子であって、前記認証通信に用いられる端子とは別の端子を通じて得られる情報に基づいて、前記外部機器がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを判定することを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記別の端子を通じて得られる情報が、前記別の端子の電圧であることを特徴とする請求項
4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記外部機器が給電機器であり、前記電子機器が受電機器であることを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記ケーブル不要タイプの給電機
器は、ケーブルが一体化された
第1の給電機器
と、ケーブルを介さずに受電機器と接続可能な
プラグを有する
第2の給電機器
とを含み、
前記制御手段は、前記認証手段により前記外部機器が前記所定の機器であると判定され、かつ、前記判定手段により前記外部機器が前記第1の給電機器であると判定された場合、前記外部機器に対して前記第2の電力を要求するための制御を行い、前記認証手段により前記外部機器が前記所定の機器であると判定され、かつ、前記判定手段により前記外部機器が前記第2の給電機器であると判定された場合、前記外部機器に対して前記第2の電力を要求するための制御を行うことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御手段は、前記電子機器に前記外部機器が接続されると、前記外部機器に前記第1の電力を要求するための制御を行い、前記外部機器から前記第1の電力が供給された後、前記認証手段により前記外部機器が前記所定の機器であると判定され、かつ、前記判定手段により前記外部機器が前記ケーブル不要タイプの給電機器であると判定された場合、前記外部機器に対して前記第2の電力を要求するための制御を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記認証通信がUSB
Type-C Authentication規格に準拠し、前記給電機器がUSB PD規格に準拠することを特徴とする請求項1から
8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
電子機器が実行する制御方法であって、
外部機器が所定の機器であるか否かを判定するための認証通信を前記外部機器と行う認証工程と、
前記外部機器がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを判定する判定工程と、
前記認証工程において前記外部機器が前記所定の機器であると判定され、かつ、前記判定工程において前記外部機器が前記ケーブル不要タイプの給電機器であると判定された場合、前記外部機器に対して第1の電力よりも大きい第2の電力を要求するための制御を行う制御工程と、
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1から9のいずれか1項に記載の電子機器が有する各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USB(Universal Serial Bus)に関する規格としてUSB Type-C規格およびUSB PD(Power Delivery)規格が知られている。USB PD規格に準拠したUSBインタフェースは、最大100Wの電力を供給可能である。
【0003】
特許文献1には、受電機器とUSBケーブルのそれぞれと認証通信を行う給電機器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
USBケーブルが一体化された給電機器、USBケーブルを介さずに受電機器と接続可能なコネクタを有する給電機器を、ケーブル不要タイプの給電機器と呼ぶ。
【0006】
ケーブル不要タイプの給電機器は、給電機器に対する認証通信に対しては正しく応答できても、USBケーブルに対する認証通信に対しては正しく応答できない場合が想定される。例えば、特許文献1に記載された受電機器にケーブル不要タイプの給電機器が接続された場合に、USBケーブルに対する認証通信が失敗した場合、給電機器から受電機器への給電が制限されてしまうことが想定される。
【0007】
そこで、本発明は、ケーブル不要タイプの給電機器が受電機器に接続された場合であっても、給電機器から受電機器への給電を適切に制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器は、外部機器が所定の機器であるか否かを判定するための認証通信を外部機器と行う認証手段と、外部機器がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを判定する判定手段と、認証手段により外部機器が所定の機器であると判定され、かつ、判定手段により外部機器がケーブル不要タイプの給電機器であると判定された場合、外部機器に対して第1の電力よりも大きい第2の電力を要求するための制御を行う制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケーブル不要タイプの給電機器が受電機器に接続された場合であっても、給電機器から受電機器への給電を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1~3における給電システムの構成例を説明するための図である。
【
図2】実施形態1における受電機器100および給電機器120の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図3】実施形態1における受電機器100で行われる処理に関するフローチャートである。
【
図4】実施形態1における機器情報のデータフォーマットの一例を説明するための図である。
【
図5】実施形態2における受電機器100で行われる処理に関するフローチャートである。
【
図6】実施形態2における機器情報の通信に用いるメッセージのデータフォーマットの一例を説明するための図である。
【
図7】実施形態3における受電機器100’および給電機器120’の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図8】実施形態3における通知部803の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図9】実施形態3における受電機器100’ で行われる処理に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
[実施形態1]
図1は、実施形態1~3における給電システムの構成例を説明するための図である。
【0013】
図1に示すように、実施形態1~3における給電システムは、給電機器120と、給電機器120から供給される電力で動作可能な受電機器100とを有する。給電機器120および受電機器100とはいずれも、USB(Universal Serial Bus) PD(Universal Serial Bus)規格およびUSB Type-C規格に準拠する電子機器である。
【0014】
受電機器100は、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、メディアプレーヤ、PDA、携帯電話機、スマートフォン、ゲーム機、ロボットまたはドローンとして動作可能な電子機器である。
【0015】
給電機器120は、例えば、USB-ACアダプタ、モバイルバッテリ、パーソナルコンピュータまたはタブレットコンピュータとして動作可能な電子機器である。給電機器120は、ケーブル不要タイプの給電機器である。ここでは、給電機器120が給電機器120に一体化されたケーブル130を有するものとする。ケーブル130の先端は、プラグ140が設けられている。プラグ140は、受電機器100に設けられたレセプタクル110と嵌合する。
【0016】
なお、ケーブル不要タイプの給電機器は、ケーブル130が一体化された給電機器であっても、USBケーブルを介さずに受電機器と接続可能なコネクタを有する給電機器であってもよい。なお、本明細書では、一体化されたケーブル130を有する給電機器120について説明するが、筐体にプラグ140が設けられた給電機器120であってもよい。
【0017】
図2は、
図1に示した給電システムの構成例を説明するためのブロック図である。
図2において、
図1と同一の構成要素については同じ符号を付す。
【0018】
外部機器である給電機器120からの電力は、レセプタクル110のVBUS端子に供給される。レセプタクル110のCC(Configuration Channel)端子は、USB PD規格に準拠した通信(PD通信)に用いられる。レセプタクル110のGND端子は、受電機器100の接地電位(GND)に接続される。
【0019】
プルダウン抵抗101は、レセプタクル110のCC端子と受電機器100のGNDとを接続する。プルダウン抵抗101は、給電機器120が受電機器100の接続を検出したり、受電機器100が給電機器120の電力供給能力を電圧で判定したりするために用いられる。なお、USB Type-C規格では、CC端子にプルダウン抵抗が接続されている機器は受電機器(シンク)、CC端子にプルアップ抵抗が接続されている機器は給電機器(ソース)と識別される。
【0020】
PD通信部102は、レセプタクル110のCC端子と接続され、CC端子を通じて給電機器120とPD通信を行う。PD通信部102は、給電機器120がPD通信可能な機器であるか否かを判定する。
【0021】
給電機器120がPD通信可能な機器と判定された場合、受電機器100は、PD通信部102を通じて給電機器120とネゴシエーション通信を行う。受電機器100はネゴシエーション通信により、給電機器120に対して所望の電力の供給を要求する。さらに、受電機器100は、PD通信部102を通じて給電機器120とケーブル130のうち少なくとも給電機器120とUSB Type-C Authentication規格(以下、USB AUTH規格という)にしたがった認証通信を行う。認証通信は、相手先の機器が所定の機器(USB PD規格に準拠した機器)であるか否かを判定するために行われる。実施形態1において、受電機器100はUSB AUTH規格における認証イニシエータとして動作する。
【0022】
実施形態1において、PD通信部102は、給電機器120に対して要求する電力の選択肢を少なくとも2種類有する。選択肢の1つは、受電機器100が認証通信の結果を得るまでの動作を実施可能な最低限の電力であってよい。
【0023】
認証部103は、給電機器120が所定の装置(USB PD規格に準拠した装置)であるか否かを認証する。例えば、認証部103は、USB Type-C Authentication規格(以下、C-Auth規格と呼ぶ)に準拠した認証通信を、PD通信部102を介して給電機器120およびケーブル130のそれぞれと行う。認証部103は、認証通信により取得された所定の情報に基づいて、給電機器120およびケーブル130のそれぞれについて、所定の機器(USB PD規格に準拠した機器)であるか否かを判定する。認証部103は、判定結果(認証結果)を制御部107に通知する。
【0024】
受電部104は、レセプタクル110のVBUS端子に接続され、給電機器120からVBUS端子を介して供給される電力を受電機器100の構成要素に供給する。受電部104はさらに、PD通信部102から得られる情報に基づいて、給電機器120から供給される電力が所定値を超えないように制御する。
【0025】
負荷105は、受電部104から供給される電力を消費して動作する回路などを含む。負荷105の構成は、受電機器100がどのような装置として動作可能かに応じて異なる。負荷105の消費電力は、受電機器100がどのような動作を行っているかに応じて変化する。例えば、受電機器100がデジタルカメラとして動作可能な場合、負荷105には、レンズユニットを駆動するモータ、撮像素子とその周辺回路、画像処理回路、表示装置、記録装置、スピーカ、タッチパネル、ボタン、スイッチなどが含まれる。例えば、受電機器100がデジタルカメラとして動作可能な場合、表示装置でライブビュー画像を行っているか否か、レンズユニットを駆動しているか否かなどに応じて、負荷105の消費電力は異なる。
【0026】
制御部107は、受電機器100の各構成要素を制御するように構成されている。制御部107は、例えば、受電機器100の各構成要素を制御するハードウェアプロセッサ(CPUなど)と、ハードウェアプロセッサが実行可能なプログラムを記憶したメモリとを有する。制御部107のメモリは、例えば、後述する受電機器100で行われる処理を実現するためのプログラムを記憶している。
【0027】
給電機器120は、プラグ140のCC端子と基準電源との間に接続されたプルアップ抵抗121を有する。プルアップ抵抗121は、給電機器120が受電機器100の接続を判定したり、給電機器120が受電機器100に電力供給能力を提示したりするために用いられる。基準電源は例えば5Vの定電圧源である。
【0028】
PD通信部122は、プラグ140のCC端子と接続され、CC端子を通じて受電機器100とPD通信を行う。さらに、PD通信部122は、受電機器100がPD通信可能な機器であるか否かを判定する。
【0029】
受電機器100がPD通信可能な機器と判定された場合、給電機器120は、PD通信部122を通じて受電機器100とネゴシエーション通信を行う。ネゴシエーション通信において給電機器120は、受電機器100に対して供給可能な電力情報を送信する。さらに、給電機器120は、PD通信部122を通じてUSB AUTH規格にしたがった認証通信が可能である。実施形態1において、給電機器120はUSB AUTH規格における認証レスポンダとして動作する。
【0030】
記憶部123は、給電機器120がUSB AUTH規格に規定される認証レスポンダとして機能するために必要な情報(証明書チェーン、XIDなど)を記憶する。記憶部123は、給電機器120の機器情報を記憶する。記憶部123は例えば書き換え可能な不揮発性メモリであってよい。機器情報は、例えば、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であることを受電機器が判定可能な情報を含む。情報は給電機器の型番(モデル名)であってもよいし、特定の文字列や数値であってもよい。認証レスポンダとして機能するために必要な情報を機器情報として用いてもよい。受電機器100が給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であることを判定可能であれば、情報の記述形式は任意である。
【0031】
給電部124は、プラグ140のVBUS端子と接続され、受電機器100へ電力を供給する。給電部124はUSB PD規格に準拠した電圧および電流で電力を供給することができる。給電部124は受電機器100とのPD通信に基づいて、受電機器100へ供給する電力を制御する。
【0032】
次に、
図3のフローチャートを参照して、受電機器100で行われる処理を説明する。この処理は、例えば、受電機器100のレセプタクル110に給電機器120が接続されたことが受電部104で検出された場合に開始される。なお、受電部104は、VBUS端子の電圧が所定の電圧レベルを超えた場合に、レセプタクル110に給電機器120が接続されたことを検出する。受電部104は、レセプタクル110に給電機器120が接続されたことが検出されたことを制御部107に通知する。
【0033】
ステップS301において、制御部107は、USB PD規格に準拠した通信(PD通信)を開始するようPD通信部102に指示する。
【0034】
ステップS302において、PD通信部102は、USB PD規格に準拠した所定のメッセージを所定時間内に給電機器120から受信すると、給電機器120がPD通信ができる機器であると判定する。さらに、PD通信部102は、給電機器120がUSB PD規格におけるソース機器として動作可能な機器であると判定する。所定のメッセージは、例えば、給電機器120の供給可能な電力を示す情報を含んだメッセージ(Source_Capabilities)である。
【0035】
一方、PD通信部102は、USB PD規格に準拠した所定のメッセージを所定時間内に給電機器120から受信しない場合、給電機器120がPD通信ができる機器でないと判定する。PD通信部102は、給電機器120がPD通信ができる機器でないと判定したことを制御部107に通知する。制御部107は、給電機器120がUSB PD規格に準拠した通信ができる機器であると判定された場合にはステップS303の処理を行う。制御部107は、給電機器120がPD通信ができる機器でないと判定された場合にはステップS312の処理を行う。
【0036】
ステップS303において、制御部107は、給電機器120が所定の機器(USB PD規格に準拠した機器)であるか否かにかかわらず、第1の電力の供給を給電機器120に要求するメッセージをPD通信部102に送信させる。例えば、制御部107は、ステップS301でPD通信部102が給電機器120から所定のメッセージで受信した情報で示される、給電機器120が供給可能な電力の中から1つの電力を選択する。そして、制御部107は、選択した電力の供給を給電機器120に要求するメッセージ(Request)をPD通信部102に送信させる。
【0037】
一例として、制御部107は、給電機器120が供給可能な電力の中から、受電機器100が給電機器120の認証を行うことが可能な最も小さな電力を第1の電力として選択することができる。給電機器120の認証は、給電機器120が所定の機器(USB PD規格に準拠した機器)であるか否かを受電機器100が判定するために行われ、後述するステップS305からS308の動作に相当する。例えば、給電機器120が2.5W(5V,500mA)、15W(5V,3A)、27W(9V,3A)、および30W(15V,2A)を供給可能であり、認証を行うには2.5W(5V,500mA)が必要であるとする。この場合、制御部107は、第1の電力として2.5W(5V,500mA)を選択する。
【0038】
ステップS304において、制御部107は、電力供給の要求を受け付ける旨のメッセージを給電機器120からPD通信部102を介して受信すると、受電部104の動作を設定する。例えば、制御部107は、電流を500mA以下に制御するように受電部104を設定し、供給される電力が第1の電力を超えないようにする。受電部104は、給電機器120から供給される第1の電力を、負荷105など、予め定められた構成に供給する。なお、制御部107は、必要に応じて、節電モードに切り替えるなど、負荷105の機能または動作を制限することによって負荷105の消費電力を低減させてもよい。
【0039】
ステップS305において、制御部107は、給電機器120との認証通信を開始するよう認証部103に指示する。そして認証部103は、給電機器120との認証通信をPD通信部102を介して行う。認証通信において、受電機器100は認証イニシエータ、給電機器120は認証レスポンダとして動作する。
【0040】
認証部103は、給電機器120が所定の機器(USB PD規格に準拠した機器)であるか否かを判定する。認証部103は例えば、認証通信によって給電機器120からUSB AUTH規格に規定された所定の認証情報を所定の期間内に受信したか否かに基づいて判定を行うことができる。認証部103は、所定の認証情報を所定の期間内に受信できた場合には給電機器120が所定の機器であると判定する。認証部103は、所定の認証情報が所定の期間内に受信できなかった場合には給電機器120が所定の機器でないと判定する。認証部103は、判定結果(認証結果)を制御部107に通知する。
【0041】
所定の認証情報は、USB AUTH規格で規定された情報であればよい。ここでは、XIDという製品ごとに割り当てられる固有情報であるとする。そして、認証部103は、USB PD規格に準拠していることが認証済みの機器のXIDのリストを記憶した不揮発性メモリを有する。認証部103は、認証情報(例えば証明書チェーン)を要求するメッセージを送信してから所定の期間内に、給電機器120から、リストに含まれるXIDを含んだ応答メッセージを受信した場合に、給電機器120が所定の機器であると判定することができる。所定の期間は、USB PD規格に規定された期間であればよく、例えば、4.5secであってよい。
【0042】
認証部103は、認証通信において、給電機器120から機器情報を取得する。例えば、認証部103は、Security_Request PDメッセージをPD通信部102を通じて給電機器120に送信する。給電機器120の制御部125は、PD通信部122を通じて受信したSecurity_Request PDメッセージに応じた情報を含んだSecurity_Response PDメッセージを生成する。この際、制御部125は、記憶部123から機器情報を読み出し、Security_Response PDメッセージに含める。これにより、認証部103は、認証通信を通じて、給電機器120から機器情報を取得することができる。
【0043】
機器情報は、例えば、Security_Response PDメッセージに含まれるACD(Additional Certificate Data)のVendVendor Extension TLV Fieldsに含めることができる。TLVはType,Length,Valueの略である。
【0044】
図4は、PDメッセージのTLV Fieldsの構成を示している。TLV FieldsはTypeフィールド501、Lengthフィールド502、およびDataフィールド503から構成される。
【0045】
Typeフィールド501はTLV情報の種類を示す16進数を格納する領域であり、FEhはDataフィールド503に格納される情報がVendor Extension情報であることを示す。
Lengthフィールド502はDataフィールド503に格納される情報のデータサイズを示す16進数を格納する領域であり、04hはデータサイズが4Byteであることを示す。
【0046】
Dataフィールド503は、情報を16進数形式のデータで格納する領域である。4バイトのうち、上位2バイト(04A9h)は装置のベンダーごとに割り当てられたVendor IDである。また下位2バイト(0001h)は、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であることを示す。下位2バイトが0000hである場合は、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器でないことを示す。なお、下位2バイトの値を、ケーブル不要タイプの給電機器の種類(USBケーブルが一体化された給電機器か、USBケーブルを介さずに受電機器と接続可能なコネクタを有する給電機器か)に応じて異ならせてもよい。
【0047】
図4のフォーマットを有する機器情報は、PD通信部122によりUSB AUTH規格に則った処理により暗号化され、Security_Response PDメッセージに含められる。例えば、機器情報は、証明書チェーンを要求するSecurity_Req
uest PDメッセージに応答するSecurity_Response PDメッセージにLeaf Certificate情報として含めることができる。
【0048】
ステップS306において制御部107は、給電機器120の認証に成功したか否かを判定する。制御部107は、給電機器120の認証に成功したと判定されればステップS307の処理を行う。制御部107は、給電機器120の認証に成功したと判定されなければステップS312の処理を行う。制御部107は、認証部103によって給電機器120が所定の機器であると判定された場合に給電機器120の認証に成功したと判定する。
【0049】
ステップS307において、制御部107は、ケーブル130との認証通信を開始するよう認証部103に指示する。そして認証部103はケーブル130との認証通信をPD通信部102を介して行う。認証通信において、受電機器100は認証イニシエータ、ケーブル130は認証レスポンダとして動作する。
【0050】
認証部103は、ケーブル130が所定の機器(USB PD規格に準拠した機器)であるか否かを判定する。認証部103は例えば、認証通信によってケーブル130からUSB AUTH規格に規定された所定の認証情報を所定の期間内に受信したか否かに基づいて判定を行うことができる。認証部103は判定結果を制御部107に通知する。ステップS307は認証通信の相手先が異なる以外、ステップS305と同様に行うことができる。
【0051】
ステップS308において制御部107は、ケーブル130の認証に成功したか否かを判定する。制御部107は、ケーブル130の認証に成功したと判定されればステップS310を行う。制御部107は、ケーブル130の認証に成功したと判定されなければステップS309の処理を行う。制御部107は、認証部103によってケーブル130が所定の機器であると判定された場合にケーブル130の認証に成功したと判定する。
【0052】
ステップS309において、認証部103は、ステップS305で取得した機器情報に基づいて、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを判定する。
図4に示した機器情報の場合、Dataフィールド503に格納された値の下位2バイトが0001hであれば、認証部103は、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であると判定する。Dataフィールド503に格納された値の下位2バイトが0000hであれば、認証部103は給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器でないと判定する。認証部103は判定結果を制御部107に通知する。
【0053】
制御部107は、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であると判定された場合にはステップS310を行う。制御部107は、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器でないと判定された場合にはステップS312の処理を行う。
【0054】
給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器でない場合、ケーブル130は単体のケーブル(給電機器120とは独立したケーブル)である。したがって、ケーブル130が所定の機器でないと判定された場合にはケーブル130が不適切であると考えられる。
【0055】
一方、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器である場合、給電機器120に対する認証結果はケーブル130を含めた構成に対する認証結果と考えられる。したがって、給電機器120が所定の機器と判定されていれば、ケーブル130についても所定の機器と判定されていることとみなすことができる。
【0056】
ステップS310において、制御部107は、第2の電力の供給を給電機器120に要求するメッセージをPD通信部102に送信させる。第2の電力は第1の電力より大きい電力であってよく、典型的には受電機器100の機能を制限しない場合に必要な電力である。なお、制御部107は、第2の電力についても給電機器120が供給可能な電力の中から選択する。制御部107は第2の電力として例えば30W(15V,2A)を選択する。
【0057】
ステップS311において、制御部107は、電力供給の要求を受け付ける旨のメッセージを給電機器120からPD通信部102を介して受信すると、受電部104の動作を設定する。例えば、制御部107は、電流を2A以下に制御するように受電部104を設定し、供給される電力が第2の電力を超えないようにする。受電部104は、給電機器120から供給される第2の電力を、負荷105などの構成要素に供給する。なお、第1の電力の供給を受けていた期間における機能制限は、ここで解除または軽減することができる。
【0058】
ステップS312において、制御部107は、PD通信部102にPD通信を停止させる。これにより、給電機器120からの第1の電力の供給は停止する。これにより、給電機器120と受電機器100はPD通信開始前の状態に戻る。なお、ステップS306の判定結果に応じてステップS312の処理を行う場合、制御部107は、USB PD規格に準拠した通信を停止させずに、第1の電力での受電機器100の動作を継続してもよい。これにより、一定の安全性を担保しつつ、受電機器100の一部の機能を提供し続けることができる。
【0059】
図3のフローチャートでは、ケーブル130の認証に成功しなかった場合(ステップS308でNO)に給電機器120がケーブル不要タイプであるか否か判定した(ステップS309)。しかし、給電機器120の認証に成功した場合(ステップS306でYES)、給電機器120がケーブル不要タイプであるか否かの判定(ステップS309)を実行してもよい。そして、給電機器120がケーブル不要タイプであると判定された場合には、ケーブル130との認証通信を行わないようにしてもよい。
【0060】
この場合、制御部107は、ステップS307の前にステップS309の処理を行う。そして、制御部107は、給電機器120がケーブル不要タイプであると判定された場合にはステップS310を行う。制御部107は、給電機器120がケーブル不要タイプであると判定されない場合にはステップS307でケーブルとの認証通信を行う。ケーブルの認証に成功しなかった場合(ステップS308でNO)、制御部107はステップS312の処理を行う。
【0061】
以上説明したように、実施形態1における受電機器100は、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であると判定され、給電機器120の認証に成功すれば、給電機器120から受電機器100への給電を適切に制御することができる。例えば、給電機器120がケーブル不要タイプであると判定された場合には、ケーブル130の認証に成功したものとみなしたり、ケーブル130との認証通信を行わないようにしたりすることができる。
【0062】
[実施形態2]
次に、
図5および
図6を参照して、実施形態2について説明する。実施形態2における給電機器120および受電機器100の構成は、実施形態1と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0063】
図5のフローチャートを用いて、実施形態2における受電機器100で行われる処理を説明する。
図5において、実施形態1と同様の処理を行うステップには
図3と同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0064】
ステップS304で第1の電力の供給を受け始めた後、ステップS501において、制御部107は、給電機器120との認証通信を開始するよう認証部103に指示する。そして認証部103は、給電機器120との認証通信をPD通信部102を介して行う。認証通信の内容は実施形態1と同様であるが、給電機器120は機器情報を認証通信における応答メッセージ(Security_Response PDメッセージ)に含めない。したがって、認証通信が完了した時点で、受電機器100は給電機器120の機器情報を取得していない。
【0065】
実施形態2では、ステップS308において、ケーブル130の認証に成功したと判定されなかった場合、制御部107はステップS502の処理を行う。なおステップS308において、ケーブル130の認証に成功したと判定された場合の処理は、実施形態1と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0066】
ステップS502において、制御部107は、PD通信部102を通じて給電機器120とPD通信を行い、給電機器120から機器情報を取得する。制御部107は、例えばUSB PD規格に規定されたVendor_Definedメッセージ(VDM)を用いて、給電機器120から機器情報を取得することができる。
【0067】
図6は、ステップS502で用いることのできるVDMのフォーマットおよび、給電機器120から受電機器100に機器情報を送信するVDMメッセージの一例を示す。プリアンブル701はメッセージの開始を示し、通信の同期に用いられる。プリアンブル701には固定値が格納される。SOP(Start of Packet)702には、メッセージの宛先を指定するデータが格納される。ここでは、受電機器100(Port Partner)に宛てた通信であることを示す値が格納される。
【0068】
メッセージヘッダ703は、メッセージの種類など通信の情報を示すメッセージヘッダであり、不図示だが703にはUSB PD規格に則って該メッセージがVDMであることを示す値が格納される。VDM704にはメッセージで送信するデータ(ここでは機器情報)が格納される。なお、機器情報は給電機器120がケーブル不要タイプであるか否かを特定可能な情報を含んでいれば、実施形態1と同じであってもなくてもよい。CRC705にはメッセージが正しく送信されたかを確認するために使用される巡回冗長コードが格納される。EOP706はメッセージの終了を示す値が格納される。
【0069】
VDM704は、Vendor ID7041、VDM Type7042、Vender Use7043を有している。Vendor ID7041には機器のベンダーごとに割り当てられた16ビットの値が格納される。VDM Type7042は、VDMの種別を示す1ビットの値が格納される。0hはVDMの種別がUnstructured VDMであることを示す。Vender Use7043は15ビットの領域であり、機器情報はこの領域に格納される。001hは、給電機器120がケーブル不要タイプであることを示す機器情報である。給電機器120がケーブル不要タイプでない場合、Vender Use7043には000hが格納される。
【0070】
ここでは、機器情報を平文でメッセージに格納しているが、機器情報を暗号化してメッセージに格納してもよい。機器情報は受電機器100で復号可能な任意の方式で暗号化することができる。例えばステップS305の認証通信で使用した鍵情報を用いて機器情報を暗号化することができる。
【0071】
ステップS309において、受電機器100の認証部103は、ステップS502で給電機器120から取得した機器情報に基づいて、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを判定する。以降の処理は、実施形態1と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0072】
図5のフローチャートでは、ケーブル130の認証に成功しなかった場合(ステップS308でNO)に給電機器120の機器情報の取得と、給電機器120がケーブル不要タイプであるか否かの判定(ステップS502およびS309)とを実行した。しかし、給電機器の認証に成功した場合(ステップS306でYES)、ステップS502およびS309を実行し、給電機器120がケーブル不要タイプであるか否かを判定してもよい。そして、給電機器120がケーブル不要タイプであると判定された場合には、ケーブル130との認証通信(ステップS307)を行わないようにしてもよい。
【0073】
この場合、制御部107は、ステップS307の前にステップS502およびS309の処理を行う。そして、制御部107は、給電機器120がケーブル不要タイプであると判定された場合にはステップS310を行う。制御部107は、給電機器120がケーブル不要タイプであると判定されない場合にはステップS307でケーブル130との認証通信を行う。ケーブル130の認証に成功しなかった場合(ステップS308でNO)、制御部107はステップS312の処理を行う。
【0074】
以上説明したように、実施形態2における受電機器100は、給電に関する認証通信とは別の通信によって、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを示す情報を取得することができる。これにより、実施形態2では、実施形態1と同様に、給電機器120がケーブル不要タイプの給電機器であった場合であっても、給電機器120から受電機器100への給電を適切に制御することができる。
【0075】
[実施形態3]
次に、
図7から
図9を参照して、実施形態3について説明する。
図7は、実施形態3における給電機器120’と受電機器100’の構成例を説明するためのブロック図である。実施形態3における給電機器120’の構成要素のうち、実施形態1で説明した構成要素については、
図2と同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。実施形態3における受電機器100’の構成要素のうち、実施形態1で説明した構成要素については、
図2と同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0076】
受電機器100’が有する検出部801は、レセプタクル110のSBU1端子およびSBU2端子の一方または両方に接続される。検出部801は、ケーブル130によって接続される給電機器120がケーブル不要タイプであるか否かを検出する。検出部801は検出結果を制御部107に通知する。
【0077】
給電機器120’が有する通知部803は、プラグ140のSBU1端子およびSBU2端子の一方または両方に接続される。通知部803は、給電機器120’がケーブル不要タイプであるか否かを、受電機器100’に通知する。通知部803は、いくつかの受動部品などから構成することができる。
【0078】
検出部801と通知部803はいずれもSBU端子に接続されているため、受電機器100’のレセプタクル110に給電機器120’のプラグ140が接続されると、通知部803が検出部801と電気的に接続される。
【0079】
図8(a)から
図8(d)は、通知部803の構成例を説明するための図である。なお、
図8(a)から
図8(d)に示す構成例は単なる例示であり、通知部803はSBU1端子およびSBU2端子の少なくとも一方を用いて給電機器120’から受電機器100’に給電機器の機器情報を通知する任意の構成を取りうる。機器情報は少なくとも給電機器120’がケーブル不要タイプであるか否かを受電機器100’が特定可能な任意の情報であってよい。
【0080】
図8(a)に示す通知部803は、SBU1端子とSBU2端子とを接続する抵抗8031を有する。抵抗8031の値は任意である。また、検出部801がSBU1端子(またはSBU2端子)に定電流を供給し、SBU2端子(またはSBU1端子)の電圧を監視する構成であるとする。この場合、受電機器100’のレセプタクル110に給電機器120’のプラグ140が接続されると、検出部801は通知部803でSBU1端子とSBU2端子が抵抗で接続されていることを検出する。
【0081】
図8(b)に示す通知部803は、SBU1端子に接続されたプルアップ抵抗8032を有する。プルアップ抵抗8032の値および電源の電位はいずれも任意である。SBU2端子(またはSBU1端子)はオープンである。また、検出部801がSBU1端子の電位を監視する構成であるとする。この場合、受電機器100’のレセプタクル110に給電機器120’のプラグ140が接続されると、検出部801はSBU1端子の電位が所定値以上になったことを検出する。なお、SBU1端子の代わりにSBU2端子にプルアップ抵抗8032が接続されてもよいし、SBU1端子とSBU2端子のそれぞれにプルアップ抵抗8032が接続されてもよい。
【0082】
図8(c)に示す通知部803は、電源とGNDとの間に直列に接続された抵抗8033と8034とを有し、SBU1端子は抵抗8033および8034の接続点に接続されている。電源の電位および抵抗8033および8034の値は任意である。抵抗8033の値をR1、抵抗8034の値をR2とすると、SBU1端子はR1とR2の値に応じた電圧を有する。また、検出部801がSBU1端子の電位を監視する構成であるとする。この場合、受電機器100’のレセプタクル110に給電機器120’のプラグ140が接続されると、検出部801はSBU1端子の電位が所定の値になったことを検出する。なお、SBU1端子の代わりにSBU2端子が抵抗8033および8034と接続されてもよい。また、SBU1端子とSBU2端子のそれぞれが抵抗8033および8034と接続されてもよい。
【0083】
図8(d)に示す通知部803は、S
BU1端子およびS
BU2端子の両方ともオープンな状態である。この場合、受電機器100’のレセプタクル110に給電機器120’のプラグ140が接続されても、検出部801はSBU1端子、SBU2端子の電位変化を検出できない。
【0084】
実施形態3では、給電機器120’がケーブル不要タイプの場合には
図8(a)から
図8(c)のいずれかに示した構成の通知部803を有するものとする。また、給電機器120がケーブル不要タイプでない場合には
図8(d)に示した構成の通知部803を有するものとする。また、検出部801は、S
BU1端子およびS
BU2端子少なくとも一方の電位に基づいて、接続された給電機器120’がケーブル不要タイプであるか否かを検出できるように構成される。ここでは通知部803がS
BU1端子および/またはS
BU2端子の電位によって機器情報を通知し、検出部801もS
BU1端子および/またはS
BU2端子の電位に基づいて検出を行うものとした。しかし、通知部803が別の方法で機器情報を通知する場合、それに応じて検出部801が給電機器120’がケーブル不要タイプであるか否かを検出する方法も異なりうる。
【0085】
次に、
図9のフローチャートを用いて、実施形態3における受電機器100’で行われる処理を説明する。
図9において、実施形態1と同様の処理を行うステップについては
図3と同じ参照符号を付し、実施形態2と同様の処理を行うステップについては
図5同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0086】
図9において、ステップS301~S308までの処理は実施形態2と同じである。ステップS308において、ケーブル130の認証に成功したと判定されなかった場合、制御部107はステップS901の処理を行う。なお、ステップS308において、ケーブル130の認証に成功したと判定された場合の処理は、実施形態1と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0087】
ステップS901において、検出部801は、S
BU1端子およびS
BU2端子の電位に基づいて、通知部803から給電機器120’がケーブル不要タイプであるか否かを検出する。例えば、検出部801は、
図8(a)から
図8(c)のいずれかに示した構成の通知部803が接続されていることが検出されれば、給電機器120’がケーブル不要タイプであると検出する。検出部801は、
図8(d)に示した構成の通知部803が接続されていることが検出されれば、給電機器120’がケーブル不要タイプでないと検出する。
【0088】
また、ここでは、検出部801が、給電機器120’がケーブル不要タイプであると検出した場合に制御部107に検出結果を通知し、給電機器120’がケーブル不要タイプでないと検出した場合には制御部107に検出結果を通知しないものとする。
【0089】
ステップS902で制御部107は、検出部801からの通知の有無に基づいて、給電機器120’がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを判定する。そして、制御部107は、給電機器120’がケーブル不要タイプの給電機器であると判定された場合にはステップS310を行う。また、制御部107は、給電機器120’がケーブル不要タイプの給電機器でないと判定された場合にはステップS312の処理を行う。
【0090】
図9のフローチャートでは、ケーブル130の認証に成功しなかった場合(ステップS308でNO)に検出部801が給電機器120’がケーブル不要タイプであるか否か判定した(ステップS901)。しかし、給電機器120’の認証に成功した場合(ステップS306でYES)、ステップS901を実行し、給電機器120’がケーブル不要タイプであるか否かを判定してもよい。そして、給電機器120’がケーブル不要タイプであると判定された場合には、ケーブル130との認証通信を行わないようにしてもよい。
【0091】
この場合、給電機器120’が接続された時点からステップS307の前の任意の時点で検出部801はステップS901の処理を行う。そして、制御部107は、ステップS306とステップS307との間でステップS902の処理を行う。制御部107は、給電機器120’がケーブル不要タイプであると判定された場合にはステップS310を行う。また、制御部107は、給電機器120’がケーブル不要タイプであると判定されない場合にはステップS307でケーブル130との認証通信を行う。ケーブル130の認証に成功しなかった場合(ステップS308でNO)、制御部107はステップS312の処理を行う。
【0092】
以上説明したように、実施形態3おける受電機器100’は、給電に関する認証通信で用いる端子とは異なる端子を用いて、給電機器120’がケーブル不要タイプの給電機器であるか否かを示す情報を取得することができる。これにより、実施形態3では、実施形態1と同様に、給電機器120’がケーブル不要タイプの給電機器であった場合であっても、給電機器120’から受電機器100’への給電を適切に制御することができる。
【0093】
[実施形態4]
実施形態1~3で説明した様々な機能、処理または方法は、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサがプログラムを実行することによって実現することもできる。以下、実施形態4では、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサを「コンピュータX」と呼ぶ。実施形態4では、コンピュータXを制御するためのプログラムであって、実施形態1~3で説明した様々な機能、処理または方法を実現するためのプログラムを「プログラムY」と呼ぶ。
【0094】
実施形態1~3で説明した様々な機能、処理または方法は、コンピュータXがプログラムYを実行することによって実現される。この場合において、プログラムYは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してコンピュータXに供給される。実施形態4におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスク装置、磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置、メモリカード、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの少なくとも一つを含む。実施形態4におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、non-transitoryな記憶媒体である。
【符号の説明】
【0095】
100、100’…受電機器、120、120’…給電機器、107、125…制御部、102、122…PD通信部、103…認証部、104…受電部、124…給電部