(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240711BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023130322
(22)【出願日】2023-08-09
【審査請求日】2023-10-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
(72)【発明者】
【氏名】須田 洋行
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-096201(JP,A)
【文献】特開2022-034652(JP,A)
【文献】藤村 考,トークンによるトークンの流通制御,電子情報通信学会技術研究報告,一般社団法人電子情報通信学会,2022年11月11日,Vol.122 No.258,p.73-78
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザが第1ブロックチェーン上で保有するトークンである固有トークンであって、所定の発行者によって発行された前記第1ユーザの特性を示す固有トークンを取得するトークン取得部と、
物品又はサービスの提供を受ける権利を示す受取トークンと、ユーザ間で前記受取トークンを移転
可能であるか否か又は移転するための価格を決定するための移転条件であって、移転先のユーザの特性を示す固有トークンに応じて変動する移転条件
を特定するための情報と、を関連付けて記憶する第2ブロックチェーンから、前記第1ユーザが移転を希望する前記受取トークンに関連付けられた前記移転条件を取得する条件取得部と、
前記トークン取得部が取得した前記第1ユーザの固有トークンと前記移転条件との関係に基づいて、前記受取トークンを保有する第2ユーザから前記第1ユーザに前記受取トークンを移転する
処理に適用される適用条件を決定する決定部と、
前記適用条件に従って、前記第2ブロックチェーン上で前記受取トークンを前記第2ユーザから前記第1ユーザに移転させるトークン管理部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記トークン管理部は、前記受取トークンの発行者から前記第2ユーザへの前記受取トークンの発行要求を受けたことに応じて、前記移転条件を関連付けた前記受取トークンを前記第2ブロックチェーンに発行させる
、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移転条件は、前記第1ユーザが特定の固有トークンを保有しているか否かに応じて、前記第1ユーザに前記受取トークンを移転可能であるか否かを示す、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移転条件は、前記第1ユーザが所定の特性を有することを示す固有トークン又は所定の発行者によって発行された固有トークンを前記第1ユーザが保有していることを条件として、前記第1ユーザに前記受取トークンを移転可能であることを示す、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移転条件は、所定の機関により発行された前記第1ユーザが本人確認済であることを示す固有トークンを前記第1ユーザが保有していることを条件として、前記第1ユーザに前記受取トークンを移転可能であることを示す、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記移転条件は、前記第1ユーザに前記受取トークンを移転するための価格であって、前記第1ユーザが特定の固有トークンを保有しているか否かに応じて異なる価格を示す、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記移転条件は、前記第2ユーザが前記受取トークンの移転を受けた際の価格と前記第1ユーザへ前記受取トークンを移転するための価格との差額の一部又は全部を前記受取トークンの発行者に還元することを示す、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記第1ユーザの固有トークン及び前記第2ユーザの固有トークンと、前記移転条件と、の関係に基づいて、前記適用条件を決定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1ユーザから、前記第1ユーザの固有トークンのうち、他者に開示する固有トークンである開示トークンの指定を受け付ける受付部をさらに有し、
前記トークン取得部は、前記第1ユーザが指定した前記開示トークンを取得し、
前記決定部は、前記トークン取得部が取得した前記開示トークンと前記移転条件との関係に基づいて、前記適用条件を決定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1ユーザから、固有トークンを開示する相手である開示相手の指定を受け付ける受付部をさらに有し、
前記決定部は、前記第2ユーザが前記開示相手であることを条件として、前記第1ユーザの固有トークンと前記移転条件との関係に基づいて、前記適用条件を決定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1ユーザが前記第2ユーザから前記受取トークンの移転を受ける前に、前記第1ユーザが利用する情報端末に前記適用条件を表示させる表示制御部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1ユーザの固有トークンの発行者は、前記受取トークンの発行者とは異なる、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記トークン取得部は、前記受取トークンを保有する前記第2ユーザが前記第1ブロックチェーン上で保有するトークンである固有トークンであって、所定の発行者によって発行された前記第2ユーザの特性を示す固有トークンを取得し、
前記トークン管理部は、前記第2ユーザの固有トークンが、前記受取トークンに予め関連付けられた利用条件を満たさないことを条件として、前記第2ユーザによる前記受取トークンの利用を禁止する
、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1ブロックチェーンにおいて前記固有トークンの保有者は前記第1ユーザであり、前記第1ブロックチェーン上で前記固有トークンの保有者を前記第1ユーザから他のユーザに変更することは許可されない、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項15】
プロセッサが実行する、
第1ユーザが第1ブロックチェーン上で保有するトークンである固有トークンであって、所定の発行者によって発行された前記第1ユーザの特性を示す固有トークンを取得するステップと、
物品又はサービスの提供を受ける権利を示す受取トークンと、ユーザ間で前記受取トークンを移転
可能であるか否か又は移転するための価格を決定するための移転条件であって、移転先のユーザの特性を示す固有トークンに応じて変動する移転条件
を特定するための情報と、を関連付けて記憶する第2ブロックチェーンから、前記第1ユーザが移転を希望する前記受取トークンに関連付けられた前記移転条件を取得するステップと、
前記固有トークンを取得するステップにおいて取得した前記第1ユーザの固有トークンと前記移転条件との関係に基づいて、前記受取トークンを保有する第2ユーザから前記第1ユーザに前記受取トークンを移転する
処理に適用される適用条件を決定するステップと、
前記適用条件に従って、前記第2ブロックチェーン上で前記受取トークンを前記第2ユーザから前記第1ユーザに移転させるステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーン上に記憶されるトークンに関する情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブロックチェーン上で、所定の内容を含むトークン(例えば、電力トークン)を移転することと引き換えに、電子通貨であるコインを移転することにより、トークンの取引を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トークンの発行者は、特定の特性を有するユーザに対して特定の条件(値引き販売、優先販売等)でトークンを譲渡する場合がある。従来、ユーザ間で自由にトークンの移転をできるようにすると、トークンの発行者はユーザ間でトークンを移転するために条件を課すことができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ブロックチェーン上に記憶されるトークンをユーザ間で移転するために条件を課すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、第1ユーザが第1ブロックチェーン上で保有するトークンである固有トークンであって、所定の発行者によって発行された前記第1ユーザの特性を示す固有トークンを取得するトークン取得部と、物品又はサービスの提供を受ける権利を示す受取トークンと、ユーザ間で前記受取トークンを移転するための移転条件であって、移転先のユーザの特性を示す固有トークンに応じて変動する移転条件と、を関連付けて記憶する第2ブロックチェーンから、前記第1ユーザが移転を希望する前記受取トークンに関連付けられた前記移転条件を取得する条件取得部と、前記トークン取得部が取得した前記第1ユーザの固有トークンと前記移転条件との関係に基づいて、前記受取トークンを保有する第2ユーザから前記第1ユーザに前記受取トークンを移転する際に適用される適用条件を決定する決定部と、を有する。
【0007】
前記情報処理装置は、前記受取トークンの発行者から前記第2ユーザへの前記受取トークンの発行要求を受けたことに応じて、前記移転条件を関連付けた前記受取トークンを前記第2ブロックチェーンに発行させるトークン管理部をさらに有してもよい。
【0008】
前記移転条件は、前記第1ユーザが特定の固有トークンを保有しているか否かに応じて、前記第1ユーザに前記受取トークンを移転可能であるか否かを示してもよい。
【0009】
前記移転条件は、前記第1ユーザが所定の特性を有することを示す固有トークン又は所定の発行者によって発行された固有トークンを前記第1ユーザが保有していることを条件として、前記第1ユーザに前記受取トークンを移転可能であることを示してもよい。
【0010】
前記移転条件は、所定の機関により発行された前記第1ユーザが本人確認済であることを示す固有トークンを前記第1ユーザが保有していることを条件として、前記第1ユーザに前記受取トークンを移転可能であることを示してもよい。
【0011】
前記移転条件は、前記第1ユーザに前記受取トークンを移転するための価格であって、前記第1ユーザが特定の固有トークンを保有しているか否かに応じて異なる価格を示してもよい。
【0012】
前記移転条件は、前記第2ユーザが前記受取トークンの移転を受けた際の価格と前記第1ユーザへ前記受取トークンを移転するための価格との差額の一部又は全部を前記受取トークンの発行者に還元することを示してもよい。
【0013】
前記決定部は、前記第1ユーザの固有トークン及び前記第2ユーザの固有トークンと、前記移転条件と、の関係に基づいて、前記適用条件を決定してもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、前記第1ユーザから、前記第1ユーザの固有トークンのうち、他者に開示する固有トークンである開示トークンの指定を受け付ける受付部をさらに有し、前記トークン取得部は、前記第1ユーザが指定した前記開示トークンを取得し、前記決定部は、前記トークン取得部が取得した前記開示トークンと前記移転条件との関係に基づいて、前記適用条件を決定してもよい。
【0015】
前記情報処理装置は、前記第1ユーザから、固有トークンを開示する相手である開示相手の指定を受け付ける受付部をさらに有し、前記決定部は、前記第2ユーザが前記開示相手であることを条件として、前記第1ユーザの固有トークンと前記移転条件との関係に基づいて、前記適用条件を決定してもよい。
【0016】
前記情報処理装置は、前記第1ユーザが前記第2ユーザから前記受取トークンの移転を受ける前に、前記第1ユーザが利用する情報端末に前記適用条件を表示させる表示制御部をさらに有してもよい。
【0017】
前記第1ユーザの固有トークンの発行者は、前記受取トークンの発行者とは異なっていてもよい。
【0018】
前記トークン取得部は、前記受取トークンを保有する前記第2ユーザが前記第1ブロックチェーン上で保有するトークンである固有トークンであって、所定の発行者によって発行された前記第2ユーザの特性を示す固有トークンを取得し、前記情報処理装置は、前記第2ユーザの固有トークンが、前記受取トークンに予め関連付けられた利用条件を満たさないことを条件として、前記第2ユーザによる前記受取トークンの利用を禁止するトークン管理部をさらに有してもよい。
【0019】
前記第1ブロックチェーンにおいて前記固有トークンの保有者は前記第1ユーザであり、前記第1ブロックチェーン上で前記固有トークンの保有者を前記第1ユーザから他のユーザに変更することは許可されなくてもよい。
【0020】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、第1ユーザが第1ブロックチェーン上で保有するトークンである固有トークンであって、所定の発行者によって発行された前記第1ユーザの特性を示す固有トークンを取得するステップと、物品又はサービスの提供を受ける権利を示す受取トークンと、ユーザ間で前記受取トークンを移転するための移転条件であって、移転先のユーザの特性を示す固有トークンに応じて変動する移転条件と、を関連付けて記憶する第2ブロックチェーンから、前記第1ユーザが移転を希望する前記受取トークンに関連付けられた前記移転条件を取得するステップと、前記固有トークンを取得するステップにおいて取得した前記第1ユーザの固有トークンと前記移転条件との関係に基づいて、前記受取トークンを保有する第2ユーザから前記第1ユーザに前記受取トークンを移転する際に適用される適用条件を決定するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ブロックチェーン上に記憶されるトークンをユーザ間で移転するために条件を課すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
【
図3】ユーザの特性を示す固有トークンを説明するための模式図である。
【
図4】移転先ユーザが開示条件を指定するための開示条件指定画面を表示している情報端末の模式図である。
【
図5】情報処理装置が受取トークンを発行する処理を説明するための模式図である。
【
図6】情報処理装置が適用条件を決定する処理を説明するための模式図である。
【
図7】適用条件を表示するための適用条件表示画面を表示している情報端末の模式図である。
【
図8】情報処理装置が受取トークンを移転する処理を説明するための模式図である。
【
図9】情報処理装置がユーザに受取トークンを利用させる処理を説明するための模式図である。
【
図10】実施形態に係る情報処理装置が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、情報処理装置1と、一又は複数の情報端末2と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0024】
情報処理装置1は、ブロックチェーン上に記憶される情報に関する処理を行うコンピュータである。ブロックチェーンは、情報処理装置1の記憶部又は情報処理装置1とは異なる装置の記憶部に構築される。ブロックチェーンは複数の装置の記憶部に構築されており、情報処理装置1は当該複数の装置のうちいずれかであってもよい。
【0025】
ブロックチェーン上に記憶される情報は、例えば、ユーザの特性を示す固有トークンと、ユーザが物品又はサービスの提供を受ける権利を示す受取トークンと、を含む。固有トークンは、当該固有トークンを保有するユーザの特性を示す情報であり、例えばソウルバウンドトークン(SBT: SoulBound Token)である。ユーザの特性は、例えば、ユーザの個人情報、ユーザの行動の履歴等を含む。固有トークンは、ブロックチェーン上でユーザ間で移転することが許可されないことにより、保有者であるユーザの特性を示すことが担保されている。
【0026】
受取トークンは、当該受取トークンの保有者であるユーザが所定の物品又はサービスの提供を受ける権利を示す情報である。受取トークンは、例えば、ユーザに提供される物品又はサービスを示す情報と、ユーザが物品又はサービスの提供を受けたか否かを示す情報と、を関連付けた情報である。
【0027】
受取トークンは、ブロックチェーン上で、所定の発行者によって発行され、いずれかのユーザが保有者として記憶される。ユーザは、所定の店舗に対して受取トークンを提示することにより、当該店舗から受取トークンが示す物品又はサービスの提供を受けることができる。
【0028】
受取トークンは、ブロックチェーン上で、ユーザ間で当該受取トークンを移転するための条件である移転条件に予め関連付けられている。移転条件は、受取トークンの移転先となるユーザの特性を示す固有トークンに応じて変動する条件である。移転条件は、例えば、移転先のユーザが所定の特性を有することを示す固有トークンを保有していることを条件として、移転先のユーザに受取トークンを移転可能であることを示す。情報処理装置1は、ブロックチェーン上で、受取トークンに関連付けられた移転条件に従って、当該受取トークンの移転を許可するか否かを制御し、又は当該受取トークンの移転のための価格を制御する。
【0029】
固有トークン及び受取トークンは、例えば、ネットワーク上の一又は複数の記憶部上のブロックチェーンによって、保有者であるユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID:Identifier)と関連付けて記憶される。ブロックチェーンは複数のデータのブロックを含み、各ブロックは固有トークン又は受取トークンの保有者が移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0030】
本実施形態において、固有トークンは第1ブロックチェーンに記憶され、受取トークンは第2ブロックチェーンに記憶される。第1ブロックチェーン及び第2ブロックチェーンは、固有トークン及び受取トークンの両方を記憶する単一のブロックチェーンであってもよい。
【0031】
情報端末2は、発行者又はユーザが利用するコンピュータである。発行者は、固有トークン又は受取トークンを発行する人間又は組織である。ユーザは、ブロックチェーン上でトークンを保有し得る人間又は組織である。受取トークンがユーザ間で移転される場合に、受取トークンの移転先であるユーザを移転先ユーザ(第1ユーザ)といい、受取トークンの移転元であるユーザを移転元ユーザ(第2ユーザ)という。受取トークンが移転元ユーザから移転先ユーザに移転された後に、当該移転先ユーザは新たな移転元ユーザになり得る。
【0032】
情報端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。情報端末2は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。情報端末2は、ネットワークを介して情報処理装置1と通信可能である。
【0033】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。移転先ユーザが受取トークンの移転を希望したことに応じて、情報処理装置1は、第1ブロックチェーンから、移転先ユーザの特性を示す固有トークンを取得する。情報処理装置1は、第2ブロックチェーンから、受取トークンに関連付けられた移転条件を取得する。
【0034】
情報処理装置1は、移転先ユーザの固有トークンと、受取トークンに関連付けられた移転条件と、の関係に基づいて、移転元ユーザから移転先ユーザに受取トークンを移転する際に適用される適用条件を決定する。情報処理装置1は、決定した適用条件に従って、ブロックチェーンに受取トークンの保有者を変更させ、又はブロックチェーンに受取トークンの保有者を変更させない。
【0035】
このように、情報処理システムSは、移転先ユーザの特性を示す固有トークンと受取トークンに予め関連付けられた移転条件との関係に基づいて、ブロックチェーンに記憶された受取トークンを移転元ユーザから移転先ユーザに移転させる。これにより、情報処理システムSは、ブロックチェーン上に記憶されるトークンをユーザ間で移転するために条件を課すことができる。
【0036】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0037】
情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。情報処理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0038】
通信部11は、ネットワークを介して情報端末2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、情報端末2からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータを情報端末2に送信する。
【0039】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、情報処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0040】
制御部13は、受付部131と、トークン管理部132と、トークン取得部133と、条件取得部134と、決定部135と、表示制御部136と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部131、トークン管理部132、トークン取得部133、条件取得部134、決定部135及び表示制御部136として機能する。
【0041】
以下、情報処理システムSが実行する処理について詳細に説明する。まず、ユーザの特性を示す固有トークンについて説明する。固有トークンは、当該固有トークンを保有するユーザの特性を示す情報である。
【0042】
第1ブロックチェーンは、各ユーザの特性を示す固有トークンを予め記憶している。ユーザの特性は、例えば、性別、年齢、住所、出身地、職業、会員、家族構成、資産額等のユーザの個人情報を含む。また、ユーザの特性は、移動履歴、商品の購入履歴、サービスの契約履歴、グループへの加入履歴等のユーザの行動の履歴を含んでもよい。また、ユーザの特性は、通院歴、服薬歴、アレルギー歴等の医療情報を含んでもよい。
【0043】
また、ユーザの特性は、ユーザが本人確認済であることを示す情報を含んでもよい。本人確認済であることは、例えば、所定の機関がユーザから免許証、マイナンバーカード、保険証等の証明書の提示を受けることにより、当該ユーザの身元を確認したことである。ユーザが本人確認済であることを示す固有トークンの発行者は、当該ユーザに対して本人確認を行った機関であることが望ましい。
【0044】
図3は、ユーザの特性を示す固有トークンを説明するための模式図である。固有トークンは、例えば、固有トークンの発行者と、ユーザの特性の種類(項目ともいう)と、ユーザの特性の内容(値ともいう)と、を関連付けた情報である。また、固有トークンは、固有トークンの発行日時を含んでもよい。各ユーザは、第1ブロックチェーン上で、一又は複数の発行者により発行された一又は複数の固有トークンを保有する。
【0045】
固有トークンの発行者は、情報端末2を用いて、情報処理装置1又はその他の装置に対して固有トークンの発行要求を送信する。発行要求は、ユーザの特性の種類及び内容と、当該ユーザのユーザIDと、を含む。ユーザの特性は、例えば、ユーザが情報端末2において入力した情報(アンケート等)、又はユーザの情報を管理する事業者から提供された情報(契約情報等)に基づいて設定される。情報処理装置1又はその他の装置は、発行者から受け付けた発行要求に応じて、ユーザの特性を示す固有トークンを、当該ユーザを保有者として第1ブロックチェーンに発行させる。
【0046】
情報処理装置1又はその他の装置は、例えば、発行要求を行った発行者を識別するための発行者識別情報(発行者ID)と、発行要求が示すユーザの特性の種類及び内容と、を関連付けた固有トークンを、発行要求が示すユーザIDと関連付けて第1ブロックチェーンに発行させる発行指示を、第1ブロックチェーンに送信する。第1ブロックチェーンは、情報処理装置1又はその他の装置が送信した発行指示に従って、固有トークンをユーザIDと関連付けて生成及び記憶する。これにより、ユーザの特性を示す固有トークンが、当該ユーザを保有者として第1ブロックチェーンに記憶される。
【0047】
あるユーザの特性を示す固有トークンは、第1ブロックチェーンにおいて、当該ユーザが保有者として記憶される。ユーザは、第1ブロックチェーン上で、当該ユーザの特性を示す固有トークンを保有する。第1ブロックチェーンにおいて、あるユーザの特性を示す固有トークンの保有者を、当該ユーザから他のユーザに変更することは許可されない。すなわち、固有トークンはユーザ間で移転不可能である。これにより、固有トークンは、保有者であるユーザの特性を示すことが担保される。
【0048】
次にユーザの固有トークンを他者に開示するための開示条件について説明する。情報処理装置1において、受付部131は、移転先ユーザから、移転先ユーザが有する固有トークンを他者に開示するための開示条件の指定を受け付ける。受付部131は、例えば、移転先ユーザが開示条件を指定するための開示条件指定画面を表示するための表示情報を、移転先ユーザが利用する情報端末2に送信する。情報端末2は、情報処理装置1から受信した表示情報に従って、開示条件指定画面を表示する。
【0049】
図4は、移転先ユーザが開示条件を指定するための開示条件指定画面を表示している情報端末2の模式図である。開示条件指定画面は、例えば、固有トークンを開示する相手である開示相手を指定するための領域と、他者に開示する固有トークンである開示トークンを指定するための領域と、を含む。開示相手を指定するための領域は、例えば、受取トークンの移転元ユーザとなり得る一又は複数の個人又は組織を表す選択肢を含む。開示トークンを指定するための領域は、例えば、移転先ユーザが保有する一又は複数の固有トークンの種類を表す選択肢を含む。
【0050】
情報端末2は、移転先ユーザにより所定の操作(例えば、送信ボタンの選択)が行われたことに応じて、開示条件指定画面において指定された開示相手及び開示トークンを含む開示条件を示す情報を、情報処理装置1に送信する。情報処理装置1において、受付部131は、情報端末2から受信した情報が示す開示条件を受け付け、受け付けた開示条件を移転先ユーザのユーザIDと関連付けて記憶部12に記憶させる。また、受付部131は、移転先ユーザから開示条件の指定を受け付けることなく、全ての相手を開示相手とし、全ての固有トークンを開示トークンとしてもよい。
【0051】
次に情報処理装置1が受取トークンを発行する処理について説明する。受取トークンは、当該受取トークンの保有者であるユーザが所定の物品又はサービスの提供を受ける権利を示す情報である。
図5は、情報処理装置1が受取トークンを発行する処理を説明するための模式図である。
【0052】
受取トークンの発行者は、情報端末2を用いて、情報処理装置1に対して受取トークンの発行要求を送信する。受取トークンの発行者は、移転先ユーザの固有トークンの発行者とは異なっていてもよい。また、受取トークンの発行者は、移転先ユーザの固有トークンの発行者と同一であってもよい。
【0053】
情報処理装置1において、受付部131は、発行者から受取トークンの発行要求を受け付ける。ここでは、後に移転元ユーザとなるユーザに対して発行者が受取トークンを発行する例を説明する。発行要求は、受取トークンによって提供する物品又はサービスを示す情報と、ユーザ間で受取トークンを移転するための移転条件と、移転元ユーザのユーザIDと、を含む。
【0054】
物品又はサービスを示す情報は、所定の店舗に対して受取トークンを提示することにより当該店舗からユーザが提供を受ける物品又はサービスの内容を示す情報である。物品又はサービスを示す情報は、例えば、ユーザが提供を受ける物品又はサービスの種類(商品名等)と、当該物品又はサービスの数又は量と、を含む。
【0055】
移転条件は、移転元ユーザから移転先ユーザに受取トークンが移転する場合に、移転先ユーザの特性を示す固有トークンに応じて変動する条件である。移転条件は、移転先ユーザの特性を示す固有トークンに応じて、受取トークンの移転可否と、受取トークンを移転するための価格と、のうちどちらかを異ならせる。移転条件は、例えば、移転先ユーザが所定の固有トークンを保有している場合に、受取トークンが移転可能でありかつ異なる価格を示してもよく、又は受取トークンが移転可能でありかつ同一の価格を示してもよく、又は受取トークンが移転不可能であることを示してもよい。また、移転条件は、移転先ユーザの特性を示す固有トークンに応じて、受取トークンを移転する際に受取トークンの発行者に還元される対価と、ユーザに提供される物品又はサービスの内容と、ユーザが物品又はサービスの提供を受けることが可能な期間と、ユーザが物品又はサービスの提供を受けるために必要な追加費用と、ユーザが物品又はサービスの提供を受ける際に付与される特典と、のうち少なくとも1つを異ならせてもよい。
【0056】
移転条件は、例えば、移転先ユーザが特定の固有トークンを保有しているか否かに応じて移転先ユーザに受取トークンを移転可能であるか否かを示してもよい。この場合に、移転条件は、例えば、所定の特性を有することを示す固有トークン又は所定の発行者によって発行された固有トークンを移転先ユーザが保有している場合に、移転先ユーザに受取トークンを移転可能であることを示し、そうでない場合に、移転不可能であることを示す。これにより、情報処理システムSは、移転先ユーザが特定の固有トークンを保有しているか否かに応じて受取トークンの移転可否を切り替えることができる。
【0057】
移転条件は、例えば、所定の機関により発行された本人確認済であることを示す固有トークンを移転先ユーザが保有している場合に、移転先ユーザに受取トークンを移転可能であることを示し、そうでない場合に、移転不可能であることを示してもよい。これにより、情報処理システムSは、移転先ユーザが本人確認済であるか否かに応じて受取トークンの移転可否を切り替えることができる。
【0058】
また、移転条件は、例えば、移転先ユーザが保有している本人確認済であることを示す固有トークンの発行日時が所定期間内である場合に、移転先ユーザに受取トークンを移転可能であることを示し、そうでない場合に、移転不可能であることを示してもよい。これにより、情報処理システムSは、移転先ユーザが所定期間内に本人確認済であるか否かに応じて受取トークンの移転可否を切り替えることができる。
【0059】
また、移転条件は、例えば、本人確認済であることを示す複数の固有トークンであって、複数の機関により発行された複数の固有トークンを移転先ユーザが保有している場合に、移転先ユーザに受取トークンを移転可能であることを示し、そうでない場合に、移転不可能であることを示してもよい。これにより、情報処理システムSは、移転先ユーザが複数の機関によって本人確認済であるか否かに応じて受取トークンの移転可否を切り替えることができる。
【0060】
移転条件は、例えば、移転先ユーザに受取トークンを移転するための価格であって、移転先ユーザが特定の固有トークンを保有しているか否かに応じて異なる価格を示してもよい。この場合に、移転条件は、例えば、所定の特性を有することを示す固有トークン又は所定の発行者によって発行された固有トークンを移転先ユーザが保有している場合の価格を、当該固有トークンを移転先ユーザが保有していない場合の価格よりも安くする。これにより、情報処理システムSは、移転先ユーザが特定の固有トークンを保有しているか否かに応じて、受取トークンを移転するために異なる価格を適用することができる。
【0061】
移転条件は、例えば、移転元ユーザが発行者又は他のユーザから受取トークンの移転を受けた際の価格と移転先ユーザへ受取トークンを移転するための価格との差額の一部又は全部を受取トークンの発行者に還元することを示してもよい。これにより、情報処理システムSは、移転元ユーザが受取トークンを取得した価格と移転先ユーザへ移転するための価格に差が生じた場合に、受取トークンの発行者又は前の保有者に還元することができる。
【0062】
移転条件は、移転先ユーザの特性を示す固有トークンと、移転元ユーザの特性を示す固有トークンと、の関係に応じて変動する条件であってもよい。この場合に、移転条件は、例えば、同一の特性を有することを示す固有トークン又は同一の発行者によって発行された固有トークンを移転先ユーザ及び移転元ユーザが保有している場合に、移転先ユーザに受取トークンを移転可能であることを示し、そうでない場合に、移転不可能であることを示す。また、移転条件は、例えば、同一の特性を有することを示す固有トークン又は同一の発行者によって発行された固有トークンを移転先ユーザ及び移転元ユーザが保有している場合の価格を、当該固有トークンを移転先ユーザ及び移転元ユーザが保有していない場合の価格よりも安くしてもよい。これにより、情報処理システムSは、移転先ユーザと移転元ユーザとの関係に基づいて受取トークンを移転するための条件を変更することができる。
【0063】
トークン管理部132は、受付部131が受け付けた発行要求が示す物品又はサービスを示す情報と、受付部131が受け付けた発行要求が示す移転条件と、を関連付けた受取トークンを、発行要求が示す移転元ユーザのユーザIDと関連付けて第2ブロックチェーンに発行させる発行指示を、第2ブロックチェーンに送信する。
【0064】
第2ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した発行指示に従って、受取トークンを移転元ユーザのユーザIDと関連付けて生成及び記憶する。受取トークンは、受取トークンが利用済であるか否か(ユーザが物品又はサービスの提供を受けたか否か)を示す情報をさらに含んでもよい。これにより、ユーザが物品又はサービスの提供を受ける権利を示す受取トークンが、移転元ユーザを保有者として第2ブロックチェーンに記憶される。
【0065】
次に情報処理装置1が移転元ユーザから移転先ユーザに受取トークンを移転する際に適用される適用条件を決定する処理について説明する。
図6は、情報処理装置1が適用条件を決定する処理を説明するための模式図である。
【0066】
情報処理装置1において、受付部131は、移転先ユーザから、移転を希望する受取トークンの指定を受け付ける。移転先ユーザが利用する情報端末2は、例えば、一又は複数の移転元ユーザが保有する一又は複数の受取トークンのうちいずれかの受取トークンを指定する操作が移転先ユーザにより行われたことに応じて、指定された受取トークンを示す情報を、移転先ユーザのユーザIDとともに情報処理装置1に送信する。受付部131は、情報端末2が送信した情報が示す受取トークンを、移転先ユーザが移転を希望する受取トークンとして受け付ける。
【0067】
トークン取得部133は、記憶部12において移転先ユーザのユーザIDに関連付けられた、移転先ユーザが固有トークンを他者に開示するための開示条件を取得する。トークン取得部133は、第1ブロックチェーン上で移転先ユーザのユーザIDに関連付けられた一又は複数の固有トークンのうち、開示条件が示す固有トークンを開示トークンとして取得する。移転先ユーザにより特定の開示トークンが指定されていない場合に、トークン取得部133は、移転先ユーザが保有する全ての固有トークンを開示トークンとしてもよい。
【0068】
条件取得部134は、第2ブロックチェーンから、移転先ユーザが移転を希望する受取トークンに関連付けられた移転条件を取得する。決定部135は、トークン取得部133が取得した移転先ユーザの開示トークン(固有トークン)と、条件取得部134が取得した移転条件と、の関係に基づいて、移転元ユーザから移転先ユーザに受取トークンを移転する際に適用される適用条件を決定する。
【0069】
適用条件は、上述の各種移転条件と移転先ユーザの開示トークンとの関係に基づいて確定した、移転先ユーザへ受取トークンを移転する際に適用される条件である。適用条件は、例えば、受取トークンの移転可否、又は受取トークンを移転するための価格を示す。また、適用条件は、受取トークンを移転する際に受取トークンの発行者に還元される対価と、ユーザに提供される物品又はサービスの内容と、ユーザが物品又はサービスの提供を受けることが可能な期間と、ユーザが物品又はサービスの提供を受けるために必要な追加費用と、ユーザが物品又はサービスの提供を受ける際に付与される特典と、のうち少なくとも1つを示してもよい。
【0070】
決定部135は、移転条件と移転先ユーザの開示トークンとの関係に応じて、受取トークンを移転するための適用条件を決定する。移転先ユーザが複数の開示トークンを保有している場合に、決定部135は、複数の開示トークンそれぞれに対して、当該開示トークンに応じた適用条件(すなわち、いずれか1つの開示トークンを開示した場合の適用条件)を決定してもよい。決定部135は、移転条件と、移転先ユーザの開示トークン及び移転元ユーザの固有トークンと、の関係に基づいて、適用条件を決定してもよい。
【0071】
条件取得部134が取得した開示条件が特定の開示相手を示す場合に、決定部135は、移転元ユーザが開示相手である場合に、移転先ユーザの開示トークンと移転条件との関係に基づいて適用条件を決定し、そうでない場合に、移転先ユーザの開示トークンを用いることなく適用条件を決定してもよい。これにより、情報処理システムSは、移転元ユーザが移転先ユーザにより指定された開示相手であることを条件として、受取トークンを移転する際に適用される条件に移転先ユーザの固有トークンを反映することができる。
【0072】
表示制御部136は、移転先ユーザが移転元ユーザから受取トークンの移転を受ける前に、移転先ユーザが利用する情報端末2に、決定部135が決定した適用条件を表示するための表示情報を送信する。情報端末2は、情報処理装置1が送信した表示情報に従って、適用条件を表示するための適用条件表示画面を表示する。
【0073】
図7は、適用条件を表示するための適用条件表示画面を表示している情報端末2の模式図である。適用条件表示画面は、例えば、決定部135が決定した一又は複数の適用条件と、受取トークンを移転する際に実際に適用する適用条件を選択するための領域と、を含む。適用条件を選択するための領域は、一又は複数の適用条件のうちいずれかを選択するためのボタンを含む。これにより、移転先ユーザは、実際に受取トークンの移転を受ける前に、他者に開示する固有トークンごとに適用条件を確認し、いずれかの適用条件を選択することができる。
【0074】
次に情報処理装置1が移転元ユーザから移転先ユーザに受取トークンを移転する処理について説明する。
図8は、情報処理装置1が受取トークンを移転する処理を説明するための模式図である。
【0075】
情報端末2は、移転先ユーザにより所定の操作(例えば、送信ボタンの選択)が行われたことに応じて、受取トークンの移転を行うための移転要求を情報処理装置1に送信する。移転要求は、例えば、適用条件指定画面において選択されたいずれかの適用条件を示す情報を含む。情報処理装置1において、受付部131は、情報端末2が送信した移転要求を受け付ける。トークン管理部132は、受付部131が受け付けた移転要求が示す適用条件を用いて以降の受取トークンを移転する処理を実行する。
【0076】
また、トークン管理部132は、情報端末2に適用条件表示画面を表示させることなく、決定部135が適用条件を決定したことに引き続いて、以降の受取トークンを移転する処理を実行してもよい。決定部135が複数の適用条件を決定した場合に、トークン管理部132は、所定の規則に従って複数の適用条件からいずれか1つの適用条件(例えば、移転のための価格が最も安い適用条件)を選択し、選択した適用条件を用いて以降の受取トークンを移転する処理を実行してもよい。
【0077】
トークン管理部132は、決定部135が決定した適用条件を用いて、移転元ユーザから移転先ユーザに受取トークンを移転する。トークン管理部132は、例えば、適用条件が移転可能であることを示す場合に、受取トークンの保有者を移転元ユーザから移転先ユーザに変更させる変更指示を第2ブロックチェーンに送信し、適用条件が移転不可能であることを示す場合に、変更指示を第2ブロックチェーンに送信しない。第2ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した変更指示に従って、受取トークンの保有者を移転元ユーザから移転先ユーザに変更する情報(例えば、トランザクション)を記憶する。
【0078】
トークン管理部132は、例えば、適用条件が受取トークンを移転するための価格を示す場合に、受取トークンの保有者を移転元ユーザから移転先ユーザに変更させるとともに、当該価格に対応する対価(例えば、暗号資産)の保有者を移転先ユーザから移転元ユーザに変更させる変更指示を第2ブロックチェーンに送信する。第2ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した変更指示に従って、受取トークンの保有者を移転元ユーザから移転先ユーザに変更する情報を記憶するとともに、対価の保有者を移転先ユーザから移転元ユーザに変更する情報を記憶する。
【0079】
トークン管理部132は、適用条件が受取トークンの発行者に還元することを示す場合に、移転元ユーザが発行者又は他のユーザから受取トークンの移転を受けた際の価格と移転先ユーザへ受取トークンを移転するための価格との差額の一部又は全部に対応する対価の保有者を移転先ユーザから受取トークンの発行者に変更させる変更指示を第2ブロックチェーンに送信してもよい。第2ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した変更指示に従って、対価の保有者を移転先ユーザから受取トークンの発行者に変更する情報を記憶する。
【0080】
このように、情報処理システムSは、移転先ユーザの特性を示す固有トークンと受取トークンに予め関連付けられた移転条件との関係に基づいて、受取トークンを移転元ユーザから移転先ユーザに移転させる。これにより、情報処理システムSは、受取トークンをユーザ間で移転するために条件を課すことができる。
【0081】
次に、情報処理装置1がユーザに受取トークンを利用させる処理について説明する。
図9は、情報処理装置1がユーザに受取トークンを利用させる処理を説明するための模式図である。ここでは、移転元ユーザが受取トークンを利用する例を説明するが、受取トークンの移転を受けた後の移転先ユーザが受取トークンを利用する場合も同様である。
【0082】
情報処理装置1において、受付部131は、移転元ユーザから、利用を希望する受取トークンの指定を受け付ける。移転元ユーザが利用する情報端末2は、例えば、移転元ユーザが保有する一又は複数の受取トークンのうちいずれかの受取トークンを指定する操作が移転元ユーザにより行われたことに応じて、指定された受取トークンを示す利用要求を、移転元ユーザのユーザIDとともに情報処理装置1に送信する。
【0083】
情報処理装置1において、受付部131は、情報端末2が送信した利用要求が示す受取トークンを、移転元ユーザが利用を希望する受取トークンとして受け付ける。トークン取得部133は、第1ブロックチェーン上で移転元ユーザのユーザIDに関連付けられた一又は複数の固有トークンを取得する。
【0084】
条件取得部134は、第2ブロックチェーンから、移転元ユーザが利用を希望する受取トークンに予め関連付けられた利用条件を取得する。利用条件は、ユーザが受取トークンを利用するための条件であり、受取トークンの発行者によって予め設定され、記憶部12に記憶されている。利用条件は、例えば、移転条件の元となる条件であり、移転条件を包含している。また、利用条件は、移転条件とは異なる条件であってもよい。
【0085】
トークン管理部132は、トークン取得部133が取得した移転元ユーザの固有トークンが、条件取得部134が取得した利用条件を満たさない場合に、移転元ユーザによる受取トークンの利用を禁止し、利用条件を満たす場合に、移転元ユーザによる受取トークンの利用を許可する。
【0086】
表示制御部136は、トークン管理部132が移転元ユーザによる受取トークンの利用を許可したことを示す情報を、店舗に関連付けられた情報端末2に表示させる。店舗の従業者は、店舗に関連付けられた情報端末2に表示された情報に従って、移転元ユーザに受取トークンが示す物品又はサービスを提供する。その後、トークン管理部132は、第2ブロックチェーンに、受取トークンが利用済であることを示す情報を記憶させてもよい。
【0087】
トークン管理部132は、移転元ユーザによる受取トークンの利用を禁止したことに応じて、移転元ユーザが受取トークンの移転を受けるために支払った対価を、移転元ユーザに払い戻してもよい。この場合に、トークン管理部132は、例えば、移転元ユーザが発行者又は他のユーザから受取トークンの移転を受けた際の価格に対応する対価(例えば、暗号資産)の保有者を当該発行者又は他のユーザから移転元ユーザに変更させる変更指示を第2ブロックチェーンに送信する。第2ブロックチェーンは、情報処理装置1が送信した変更指示に従って、対価の保有者を当該発行者又は他のユーザから移転元ユーザに変更する情報を記憶する。これにより、情報処理システムSは、移転元ユーザが受取トークンを保有した後に利用できない状況になったとしても、移転元ユーザが受取トークンの対価の払い戻しを受けられるようにすることができる。
【0088】
[情報処理方法のフロー]
図10は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。受付部131は、移転先ユーザが移転を希望する受取トークンの指定を受け付ける(S11)。受付部131は、例えば、移転先ユーザが利用する情報端末2から、移転先ユーザが移転を希望する受取トークンを示す情報を受信する。
【0089】
トークン取得部133は、記憶部12において移転先ユーザのユーザIDに関連付けられた、移転先ユーザが固有トークンを他者に開示するための開示条件を取得する(S12)。
【0090】
トークン取得部133は、第1ブロックチェーン上で移転先ユーザのユーザIDに関連付けられた一又は複数の固有トークンのうち、開示条件が示す固有トークンを開示トークンとして取得する(S13)。移転先ユーザにより特定の開示トークンが指定されていない場合に、トークン取得部133は、移転先ユーザが保有する全ての固有トークンを開示トークンとしてもよい。
【0091】
条件取得部134は、第2ブロックチェーンから、移転先ユーザが移転を希望する受取トークンに関連付けられた移転条件を取得する(S14)。決定部135は、トークン取得部133が取得した移転先ユーザの開示トークン(固有トークン)と、条件取得部134が取得した移転条件と、の関係に基づいて、移転元ユーザから移転先ユーザに受取トークンを移転する際に適用される適用条件を決定する(S15)。
【0092】
表示制御部136は、移転先ユーザが移転元ユーザから受取トークンの移転を受ける前に、移転先ユーザが利用する情報端末2に、決定部135が決定した適用条件を表示させる(S16)。表示制御部136は、例えば、適用条件を表示情報を情報端末2に送信し、情報端末2は、情報処理装置1が送信した表示情報に従って適用条件を表示する。
【0093】
受付部131は、移転先ユーザから受取トークンの移転を行うための移転要求を受け付ける(S17)。受付部131は、例えば、移転先ユーザが利用する情報端末2から、移転先ユーザによって選択されたいずれかの適用条件を示す移転要求を受信する。
【0094】
トークン管理部132は、決定部135が決定した適用条件であって、受付部131が受け付けた移転要求が示す適用条件を用いて、第2ブロックチェーン上で移転元ユーザから移転先ユーザに受取トークンを移転する(S18)。
【0095】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、移転先ユーザの特性を示す固有トークンと受取トークンに予め関連付けられた移転条件との関係に基づいて、移転元ユーザから移転先ユーザへの受取トークンの移転の可否を切り替え、又は受取トークンの移転のための価格を変更する。これにより、情報処理システムSは、ブロックチェーン上に記憶される受取トークンをユーザ間で移転するために条件を課すことができる。
【0096】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0097】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0098】
S 情報処理システム
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受付部
132 トークン管理部
133 トークン取得部
134 条件取得部
135 決定部
136 表示制御部
2 情報端末
【要約】 (修正有)
【課題】ブロックチェーン上に記憶されるトークンに関する情報を処理する情報処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】情報処理システムSにおいて、情報処理装置1は、第1ユーザが第1ブロックチェーン上で保有し、第1ユーザの特性を示す固有トークンを取得するトークン取得部133と、物品又はサービスの提供を受ける権利を示す受取トークンと、ユーザ間で受取トークンを移転するために、移転先のユーザの特性を示す固有トークンに応じて変動する移転条件と、を関連付けて記憶する第2ブロックチェーンから、第1ユーザが移転を希望する受取トークンに関連付けられた移転条件を取得する条件取得部134と、第1ユーザの固有トークンと移転条件との関係に基づいて、受取トークンを保有する第2ユーザから第1ユーザに受取トークンを移転する際に適用される適用条件を決定する決定部135と、を有する。
【選択図】
図2