(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/18 20090101AFI20240716BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240716BHJP
H04W 76/15 20180101ALI20240716BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20240716BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240716BHJP
【FI】
H04W28/18
H04W84/12
H04W76/15
H04W52/02
H04W16/28 130
(21)【出願番号】P 2020040218
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】猪膝 裕彦
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-151641(JP,A)
【文献】特開2013-236212(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0206190(US,A1)
【文献】Minyoung Park (Intel Corp.),Multi-link power save operation,IEEE 802.22-19/1544r5,2020年01月16日,インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/19/11-19-1544-05-00be-multi-link-power-save-oeration.pptx>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
他の通信装置との間で、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信を実行可能な複数の周波数チャネルにおいて第1のリンクと第2のリンクとを確立する確立手段と、
前記確立手段によって確立された前記第1のリンクの運用に関する情報を変更する場合に、変更後の前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第2のリンクを介して前記他の通信装置に通知する通知手段と、
前記第1のリンクのスループットが、所定の閾値より低いかを判定する第2の判定手段と、を有し、
前記第1のリンクの運用に関する情報を変更する場合に、前記通知手段は、前記第2の判定手段によって前記第1のリンクのスループットが前記所定の閾値より低いと判定された場合は変更する前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第2のリンクを介して通知し、
前記第2の判定手段によって前記第1のリンクのスループットが前記所定の閾値より高いと判定された場合は変更する前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第1のリンクを介して通知する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1のリンクを介して前記他の通信装置から受信した信号のRSSI(Received Signal Strength Indication)が、所定の閾値より低いかを判定する第3の判定手段をさらに有し、
前記第1のリンクの運用に関する情報を変更する場合に、前記通知手段は、前記第3の判定手段によって前記第1のリンクを介して前記他の通信装置から受信した信号のRSSIが前記所定の閾値より低いと判定された場合は変更する前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第2のリンクを介して通知し、
前記第3の判定手段によって前記第1のリンクを介して前記他の通信装置から受信した信号のRSSIが前記所定の閾値より高いと判定された場合は変更する前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第1のリンクを介して通知することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1のリンクの運用に関する情報は、前記第1のリンクを介した通信において利用可能な帯域幅に関する情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1のリンクの運用に関する情報は、前記第1のリンクを介したMIMO(Multiple-Input And Multiple-Output)通信において前記通信装置が利用可能な空間ストリーム数に関する情報を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1のリンクの運用に関する情報は、前記通信装置が前記第1のリンクを介した通信で利用可能な符号化率と変調方式との少なくとも一方を示す情報を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1のリンクの運用に関する情報は、前記通信装置がMU(Multi User)の通信を実行できるか否かを示す情報を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1のリンクの運用に関する情報は、リンクを用いた通信が実行できるWakeup状態より消費電力が低いPower Save状態にある前記第1のリンクを、前記Wakeup状態に遷移させることを示す情報を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通知手段は、前記第1のリンクの運用に関する情報を含む、IEEE802.11シリーズ規格に準拠したMACフレームを前記他の通信装置に送信することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記MACフレームは、Beaconフレーム、Probe Responseフレーム、データフレームのいずれか1つであることを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記第1のリンクの運用に関する情報は、前記MACフレームのヘッダに含まれることを特徴とする請求項8または9に記載の通信装置。
【請求項11】
通信装置であって、
他の通信装置との間で、それぞれ異なる周波数チャネルを介し
た第1のリンクと第2のリンクとを確立する確立手段と、
前記確立手段によって確立された前記第1のリンクの運用に関する情報を変更する場合に、
変更後の前記第1のリンクにおいて運用される周波数領域のパラメータを含む変更後の前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第2のリンクを介して
Beaconフレームを送信することにより前記他の通信装置に通知する通知手段と、を有し、
前記通知手段は前記変更後の前記第1のリンクの運用に関する情報を
含む前記Beaconフレームを最初に通知してから所定期間の間、前記変更後の前記第1のリンクの運用に関する情報を
含むBeaconフレームを前記第2のリンクにおいて定期的に通知する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項12】
前記第1のリンクのスループットが、所定の閾値より低いかを判定する第1の判定手段をさらに有し、
前記第1のリンクの運用に関する情報を変更する場合に、前記通知手段は、前記第1の判定手段によって前記第1のリンクのスループットが前記所定の閾値より低いと判定された場合は変更する前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第2のリンクを介して通知し、
前記第1の判定手段によって前記第1のリンクのスループットが前記所定の閾値より高いと判定された場合は変更する前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第1のリンクを介して通知することを特徴とする請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
前記第1のリンクの運用に関する情報は、前記第1のリンクに対応する識別情報を含むことを特徴とする請求項11から
12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記通知手段は、前記第1のリンクの運用に関する情報を含む、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した
Beaconフレームを前記他の通信装置に送信することを特徴とする請求項11から
13のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記Beaconフレーム
は、
Beaconの送信間隔を示す情報を更に含み、
前記通知手段は前記送信間隔に基づいて、前記所定期間の間、前記変更後の前記第1のリンクの運用に関する情報を含むBeaconフレームを前記第2のリンクにおいて定期的に通知することを特徴とする
請求項11から請求項
14に記載の通信装置。
【請求項16】
通信装置の制御工程であって、
他の通信装置との間で、それぞれ異なる周波数チャネルを介し
た第1のリンクと第2のリンクとを確立する確立工程と、
前記確立工程において確立された前記第1のリンクの運用に関する情報を変更する場合に、
変更後の前記第1のリンクにおいて運用される周波数領域のパラメータを含む変更後の前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第2のリンクを介して
Beaconフレームを送信することにより前記他の通信装置に通知する通知工程と、を有し、
前記通知工程において前記変更後の前記第1のリンクの運用に関する情報を
含む前記Beaconフレームを最初に通知してから所定期間の間、前記変更後の前記第1のリンクの運用に関する情報を
含むBeaconフレームを前記第2のリンクにおいて定期的に通知する
ことを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータを請求項11から
15の何れか1項に記載の通信装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信におけるリンクの運用に関する情報の通知に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers、米国電気電子技術者協会)が策定しているWLAN通信規格として、IEEE802.11シリーズが知られている。なお、WLANとはWireless Local Area Networkの略である。IEEE802.11シリーズ規格としては、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax規格などの規格がある。特許文献1には、APとSTAとが通信を行う場合にリンクを確立することが開示されている。
【0003】
IEEEでは、さらなるスループットの向上や周波数利用効率の改善のため、IEEE802.11シリーズの新たな規格として、IEEE802.11be規格の策定が検討されている。IEEE802.11be規格では、1台のAP(Access Point)が異なる複数の周波数チャネルを介して1台のSTA(Station)と複数のリンクを確立し、通信するマルチリンク通信が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マルチリンク通信において、確立されたリンクの運用情報(例えば帯域幅)が変更されることが考えられる。しかし、例えば運用情報が変更されるリンクにおいて他の装置からの干渉が発生している場合、新たな運用情報をそのリンクを介して送信しても、相手装置に届くまで時間がかかる虞がある。あるいは、例えば運用情報が変更されるリンクにおいてデータ通信を行っている場合、新たな運用情報をそのリンクを介して送信すると、スループットが低下する虞がある。
【0006】
上記を鑑み、本発明は、他の通信装置との間で確立された第1のリンクの運用に関する情報を変更する場合に、新しい第1のリンクの運用に関する情報が、該他の通信装置と適切に共有されることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の通信装置は、他の通信装置との間で、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信を実行可能な複数の周波数チャネルにおいて第1のリンクと第2のリンクとを確立する確立手段と、前記確立手段によって確立された前記第1のリンクの運用に関する情報を変更する場合に、変更後の前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第2のリンクを介して前記他の通信装置に通知する通知手段と前記第1のリンクのスループットが、所定の閾値より低いかを判定する第2の判定手段と、を有し、前記第1のリンクの運用に関する情報を変更する場合に、前記通知手段は、前記第2の判定手段によって前記第1のリンクのスループットが前記所定の閾値より低いと判定された場合は変更する前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第2のリンクを介して通知し、前記第2の判定手段によって前記第1のリンクのスループットが前記所定の閾値より高いと判定された場合は変更する前記第1のリンクの運用に関する情報を前記第1のリンクを介して通知する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、他の通信装置との間で確立された第1のリンクの運用に関する情報を変更した場合に、変更した第1のリンクの運用に関する情報を第2のリンクを介して通知することで、該他の通信装置と適切に共有することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】通信装置102が属するネットワークの構成を示す図である。
【
図2】通信装置102のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】通信装置102と103とがリンクの運用パラメータを変更する際に実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】所定のリンクの運用パラメータを含むフレームフォーマットの一例を示す図である。
【
図6】リンクの運用パラメータを変更する際に、通信装置102が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図7】複数のリンクの運用パラメータを含むフレームフォーマットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態にかかる通信装置102が参加するネットワークの構成を示す。通信装置102はネットワーク101を構築する役割を有するアクセスポイント(Access Point、AP)である。なお、ネットワーク101は無線ネットワークである。本実施形態では、通信装置102が複数のネットワークを構築する場合、各ネットワークのBSSIDは全て同じであってもよいし、異なってもよい。なお、BSSIDはBasic Service Set Identifierの略で、ネットワークを識別するための識別子である。また、通信装置102が各ネットワークにおいて示すSSIDも同じであってもよいし、異なってもよい。なお、SSIDはService Set Identifierの略で、アクセスポイントを識別するための識別子である。
【0012】
また、通信装置103はネットワーク101に参加する役割を有するステーション(Station、STA)である。各通信装置は、IEEE802.11be(EHT)規格に対応しており、ネットワーク101を介してIEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる。なお、IEEEはInstitute of Electrical and Electronics Engineersの略である。また、EHTは、Extremely High Throughputの略である。なお、EHTは、Extreme High Throughputの略であると解釈してもよい。各通信装置は、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯の周波数帯において通信することができる。各通信装置が使用する周波数帯は、これに限定されるものではなく、例えば60GHz帯のように、異なる周波数帯を使用してもよい。また、各通信装置は、20MHz、40MHz、80MHz、160MHz、および320MHzの帯域幅を使用して通信することができる。
【0013】
通信装置102および103は、IEEE802.11be規格に準拠したOFDMA通信を実行することで、複数のユーザの信号を多重する、マルチユーザ(MU、Multi User)通信を実現することができる。OFDMA通信とは、Orthogonal Frequency Division Multiple Access(直交周波数分割多元接続)の略である。OFDMA通信では、分割された周波数帯の一部(RU、Resource Unit)が各STAに夫々重ならないように割り当てられ、各STAに割り当てられた搬送波が直交する。そのため、APは複数のSTAと並行して通信することができる。
【0014】
また、通信装置102および103は、複数の周波数チャネルを介してリンクを確立し、通信するマルチリンク(Multi-Link)通信を実行する。ここで、周波数チャネルとは、IEEE802.11シリーズ規格に定義された周波数チャネルであって、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信を実行できる周波数チャネルを指す。IEEE802.11シリーズ規格では、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯の各周波数帯に複数の周波数チャネルが定義されている。また、IEEE802.11シリーズ規格では、各周波数チャネルの帯域幅は20MHzとして定義されている。なお、隣接する周波数チャネルとボンディングすることで、1つの周波数チャネルにおいて40MHz以上の帯域幅を利用してもよい。例えば、通信装置102は、通信装置103と2.4GHz帯の第1の周波数チャネルを介した第1のリンク104と、5GHz帯の第2の周波数チャネルを介した第2のリンク105とを確立し、両方のリンクを介して通信することができる。この場合に、通信装置102は、第1の周波数チャネルを介した第1のリンク104と並行して、第2の周波数チャネルを介した第2のリンク105を維持する。このように、通信装置102は、複数の周波数チャネルを介したリンクを通信装置103と確立することで、通信装置103との通信におけるスループットを向上させることができる。なお、通信装置102と103とは、マルチリンク通信において、周波数帯の異なるリンクを複数確立してもよい。例えば、通信装置102と103とは、2.4GHz帯における第1の第1のリンク104と、5GHz帯における第2のリンク105に加えて、6GHz帯における第3のリンクを確立するようにしてもよい。あるいは同じ周波数帯に含まれる複数の異なるチャネルを介してリンクを確立するようにしてもよい。例えば2.4GHz帯における1chを介した第1のリンク104と、2.4GHz帯における5chを介した第2のリンク105を確立するようにしてもよい。なお、周波数帯が同じリンクと、異なるリンクとが混在していてもよい。例えば、通信装置102と103とは、2.4GHz帯における1chを介した第1のリンク104と、2.4GHz帯における5chを介した第2のリンク105に加えて、5GHz帯における36chを介した第3のリンクを確立してもよい。通信装置102は、通信装置103と周波数帯の異なる複数の接続を確立することで、ある帯域が混雑している場合であっても、通信装置103と他方の帯域で通信することができるため、通信装置103との通信におけるスループットの低下を防ぐことができる。
【0015】
マルチリンク通信において、通信装置102と103とが確立する複数のリンクは、少なくともそれぞれの周波数チャネルが異なればよい。なお、マルチリンク通信において、通信装置102と103とが確立する複数のリンクの周波数チャネルのチャネル間隔は、少なくとも20MHzより大きければよい。なお、本実施形態では、通信装置102と103とは第1のリンク104と第2のリンク105とを確立するとしたが、3つ以上のリンクを確立してもよい。
【0016】
マルチリンク通信を行う場合、通信装置102と103とは、1つのデータを分割して複数のリンクを介して相手装置に送信する。あるいは通信装置102と103とは、複数のリンクのそれぞれを介して同じデータを送信することで、一方のリンクを介した通信を、他方のリンクを介した通信に対するバックアップの通信としてもよい。具体的には、通信装置102が、第1の周波数チャネルを介した第1のリンクと第2の周波数チャネルを介した第2のリンクとを介して同じデータを通信装置103に送信するとする。この場合に、例えば第1のリンクを介した通信においてエラーが発生しても、第2のリンクを介して同じデータを送信しているため、通信装置103は通信装置102から送信されたデータを受信することができる。あるいは、通信装置102と103とは、通信するフレームの種類やデータの種類に応じてリンクを使い分けてもよい。通信装置102は、例えばマネジメントフレームは第1のリンクを介して送信し、データを含むデータフレームは第2のリンクを介して送信するようにしてもよい。なお、マネジメントフレームとは、具体的にはBeaconフレームや、Probe Requestフレーム/Responseフレーム、Association Requestフレーム/Responseフレームを指す。また、これらのフレームに加えて、Disassociationフレーム、Authenticationフレームや、De-Authenticationフレーム、Actionフレームも、マネジメントフレームと呼ばれる。Beaconフレームは、ネットワークの情報を報知するフレームである。また、Probe Requestフレームとはネットワーク情報を要求するフレームであり、Probe Responseフレームはその応答であって、ネットワーク情報を提供するフレームである。Association Requestフレームとは、接続を要求するフレームであり、Association Responseフレームはその応答であって、接続を許可やエラーなどを示すフレームである。Disassociationフレームとは、接続の切断を行うフレームである。Authenticationフレームとは、相手装置を認証するフレームであり、De-Authenticationフレームは相手装置の認証を中断し、接続の切断を行うフレームである。Actionフレームとは、上記以外の追加の機能を行うためのフレームである。通信装置102および103は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠したマネジメントフレームを送受信する。あるいは、通信装置102は、例えば撮像画像に関するデータを送信する場合、日付や撮像時のパラメータ(絞り値やシャッター速度)、位置情報などのメタ情報は第1のリンクを介して送信し、画素情報は第2のリンクを介して送信するようにしてもよい。
【0017】
また、通信装置102および103はMIMO(Multiple-Input And Multiple-Output)通信を実行できてもよい。この場合、通信装置102および103は複数のアンテナを有し、一方がそれぞれのアンテナから異なる信号を同じ周波数チャネルを用いて送る。受信側は、複数のアンテナを用いて複数ストリームから到達したすべての信号を同時に受信し、各ストリームの信号を分離し、復号する。このように、MIMO通信を実行することで、通信装置102および103は、MIMO通信を実行しない場合と比べて、同じ時間でより多くのデータを通信することができる。また、通信装置102および103は、マルチリンク通信を行う場合に、一部のリンクにおいてMIMO通信を実行してもよい。
【0018】
本実施形態の通信装置102と103とはマルチリンク通信のリンクを確立すると、該当のリンクの運用に関する情報をそれぞれ保持する。リンクの運用に関する情報とは、MIMO通信で用いる空間ストリーム数や、通信の帯域幅などである。これらの運用に関するパラメータは、通信装置102と103とがリンクを確立する際に決定されるが、リンクの確立後に変更させる場合がある。例えば、該当のリンクで使用する周波数チャネルに隣接する周波数チャネルが混雑してきたため、帯域幅を狭めるように変更することなどが想定される。あるいは、該当のリンクで使用する周波数チャネルが混雑してきたため、実行していたMIMO通信を終了するようなことが想定される。このように、マルチリンク通信の運用のパラメータを変更した場合に、通信装置102と103とは、新たな運用のパラメータを早く共有する必要がある。本実施形態における通信装置102は、運用のパラメータが変更させるリンクとは別のリンクを介して新たな運用に関する情報を通信装置103に送信することで、通信装置103とより早く新たな運用に関する情報を共有できるようにする。
【0019】
なお、通信装置102および103は、IEEE802.11be規格に対応するとしたが、これに加えて、IEEE802.11be規格より前の規格であるレガシー規格の少なくとも何れか一つに対応していてもよい。レガシー規格とは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax規格のことである。なお、本実施形態では、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax/be規格の少なくとも何れか一つを、IEEE802.11シリーズ規格と呼ぶ。また、IEEE802.11シリーズ規格に加えて、Bluetooth(登録商標)、NFC、UWB、Zigbee、MBOAなどの他の通信規格に対応していてもよい。なお、UWBはUltra Wide Bandの略であり、MBOAはMulti Band OFDM Allianceの略である。なお、OFDMはOrthogonal Frequency Division Multiplexingの略である。また、NFCはNear Field Communicationの略である。UWBには、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、Winetなどが含まれる。また、有線LANなどの有線通信の通信規格に対応していてもよい。
【0020】
通信装置102の具体例としては、無線LANルーターやPCなどが挙げられるが、これらに限定されない。通信装置102は、他の通信装置とマルチリンク通信を実行することができる通信装置であれば何でもよい。また、通信装置102は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、通信装置103の具体的な例としては、カメラ、タブレット、スマートフォン、PC、携帯電話、ビデオカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。通信装置103は、他の通信装置とマルチリンク通信を実行することができる通信装置であればよい。また、通信装置103は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、
図1のネットワークは1台のAPと1台のSTAによって構成されるネットワークであるが、APおよびSTAの台数はこれに限定されない。なお、無線チップなどの情報処理装置は、生成した信号を送信するためのアンテナを有する。
【0021】
なお、本実施形態では、通信装置102はAPであって、通信装置103はSTAであるとしたが、これに限らず、通信装置102も103もSTAであってもよい。この場合、通信装置102はSTAであるが、通信装置103とリンクを確立するための無線ネットワークを構築する役割を有する装置として動作する。
【0022】
図2に、本実施形態における通信装置102のハードウェア構成を示す。通信装置102は、記憶部201、制御部202、機能部203、入力部204、出力部205、通信部206およびアンテナ207を有する。
【0023】
記憶部201は、ROMやRAM等の1以上のメモリにより構成され、後述する各種動作を行うためのコンピュータプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の各種情報を記憶する。ROMはRead Only Memoryの、RAMはRandom Access Memoryの夫々略である。なお、記憶部201として、ROM、RAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を用いてもよい。また、記憶部201が複数のメモリ等を備えていてもよい。
【0024】
制御部202は、例えば、例えばCPUやMPU等の1以上のプロセッサにより構成され、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、通信装置102全体を制御する。なお、制御部202は、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムとOS(Operating System)との協働により、通信装置102全体を制御するようにしてもよい。また、制御部202は、他の通信装置との通信において送信するデータや信号(無線フレーム)を生成する。なお、CPUはCentral Processing Unitの、MPUは、Micro Processing Unitの略である。また、制御部202がマルチコア等の複数のプロセッサを備え、複数のプロセッサにより通信装置102全体を制御するようにしてもよい。
【0025】
また、制御部202は、機能部203を制御して、無線通信や、撮像、印刷、投影等の所定の処理を実行する。機能部203は、通信装置102が所定の処理を実行するためのハードウェアである。
【0026】
入力部204は、ユーザからの各種操作の受付を行う。出力部205は、モニタ画面やスピーカーを介して、ユーザに対して各種出力を行う。ここで、出力部205による出力とは、モニタ画面上への表示や、スピーカーによる音声出力、振動出力などであってもよい。なお、タッチパネルのように入力部204と出力部205の両方を1つのモジュールで実現するようにしてもよい。また、入力部204および出力部205は、夫々通信装置102と一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0027】
通信部206は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信の制御を行う。また、通信部206は、IEEE802.11be規格に加えて、他のIEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信の制御や、有線LAN等の有線通信の制御を行ってもよい。通信部206は、アンテナ207を制御して、制御部202によって生成された無線通信のための信号の送受信を行う。通信装置102は、通信部206を複数有していてもよい。通信部206を複数有する通信装置102は、マルチリンク通信において複数のリンクを確立する場合に、1つの通信部206あたり少なくとも1つのリンクを確立する。あるいは、通信装置102は、1つの通信部206を用いて複数のリンクを確立してもよい。この場合、通信部206は時分割で動作する周波数チャネルを切り替えることで、複数のリンクを介した通信を実行する。なお、通信装置102が、IEEE802.11be規格に加えて、NFC規格やBluetooth規格等に対応している場合、これらの通信規格に準拠した無線通信の制御を行ってもよい。また、通信装置102が複数の通信規格に準拠した無線通信を実行できる場合、夫々の通信規格に対応した通信部とアンテナを個別に有する構成であってもよい。通信装置102は通信部206を介して、画像データや文書データ、映像データ等のデータを通信装置103と通信する。なお、アンテナ207は、通信部206と別体として構成されていてもよいし、通信部206と合わせて一つのモジュールとして構成されていてもよい。
【0028】
アンテナ207は、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯における通信が可能なアンテナである。本実施形態では、通信装置102は1つのアンテナを有するとしたが、周波数帯ごとに異なるアンテナを有していてもよい。また、通信装置102は、アンテナを複数有している場合、各アンテナに対応した通信部206を有していてもよい。
【0029】
なお、通信装置103は通信装置102と同様のハードウェア構成を有する。
【0030】
図3には、本実施形態における通信装置102の機能構成を示す。通信装置102は、運用パラメータ変更部301、運用パラメータ取得部302、リンク選択部303、Power Save状態管理部304、MACフレーム生成部305、およびデータ送受信部306を有する。なお、運用パラメータとは、マルチリンク通信におけるリンクの運用に関するパラメータのことである。またMACとは、Media Access Controlの略である。
【0031】
運用パラメータ変更部301は、通信装置102が相手装置(通信装置103)との間に確立したマルチリンク通信のリンクの運用パラメータの変更を管理するブロックである。リンクの運用パラメータは、リンクの確立時に決定されるが、リンクの確立後も動的に変更される可能性がある。例えばリンクが確立されている周波数チャネルの周囲の周波数チャネルが混雑してきた場合に、該当のリンクで使用する帯域幅を狭めるように変更するようなことが考えられる。運用パラメータの変更は、通信装置102が新たな運用パラメータを決定して変更する場合と、相手装置(通信装置103)から通知された新しい運用パラメータに基づいて変更する場合がある。相手装置から新たな運用パラメータを通知される場合、運用パラメータ変更部301は、後述の運用パラメータ取得部302によって取得した運用パラメータに基づいて、運用パラメータの変更を行う。
【0032】
運用パラメータ取得部302は、相手装置(通信装置103)から受信したMACフレームに含まれる運用パラメータを取得するブロックである。本実施形態において、運用パラメータはMACフレームのヘッダ部分に含まれる。
【0033】
リンク選択部303は、相手装置(通信装置103)と複数のリンクを確立している場合に、運用パラメータを通知する際に利用するリンクを決定するブロックである。運用パラメータを通知するリンクの決定方法については、後述の
図6で詳細に説明する。
【0034】
Power Save状態管理部304は、相手装置(通信装置103)と確立したマルチリンク通信のリンクをPower Save状態にするか否かを管理するブロックである。リンクをPower Save状態にするとは、該当のリンクを用いた通信を行わない状態に遷移することを指す。ここで、通信を行わないとは、データフレームを通信しないことを指す。これに加えて、マネジメントフレームを通信しないようにしてもよい。通信装置102がリンクごとに通信部206を有している場合、Power Save状態に移行するリンクに対応する通信部206への電力の供給を一時的に停止、あるいは低減してもよい。本実施形態では、Power Save状態とは反対に、リンクが通信を行う状態にあることを、Wakeup状態と呼ぶ。リンクごとに通信部206を有する場合、Power Save状態のリンクに対応する通信部206に供給される電力は、Wakeup状態のリンクに対応する通信部206に供給される電力より低い。また、Power Save状態のリンクに対応する通信部206は、Wakeup状態のリンクに対応する通信部206より消費電力が低い。通信装置102は、相手装置(通信装置103)から受信したPower Save状態を示すMACフレームに基づいて、受信したMACフレームに示されたリンクをPower Save状態にしたり、Wakeup状態にしたりする。あるいは通信装置102は、ユーザからの指示によって、リンクをPower Save状態にしたり、Wakeup状態にしたりしてもよい。また、通信装置102は、相手装置(通信装置103)とのデータ通信の状態に基づいて、リンクをPower Save状態にしたり、Wakeup状態にしたりしてもよい。例えば通信装置102は、通信装置103に送信するデータ量が所定の閾値より低い場合は、通信装置103との間に確立している複数のリンクの内の一部をPower Save状態に移行させる。一方、通信装置102は、通信装置103に送信するデータ量が所定の閾値より高い場合は、Power Save状態にしていた通信装置103とのリンクをWakeup状態に遷移させる。あるいは、通信装置102は、通信装置103とのデータ通信に使用していたリンクのスループットが低下したことに基づいて、Power Save状態にしていた通信装置103との別のリンクをWakeup状態に遷移させる。この場合に、通信装置102は、データ通信に使用していた元のリンクをWakeup状態からPower Save状態に遷移させてもよい。
【0035】
MACフレーム生成部305は、運用パラメータ変更部301で変更した運用パラメータを相手装置(通信装置103)に通知するための情報を含むMACフレームを生成するブロックである。MACフレーム生成部305で生成されるMACフレームは、BeaconフレームやProbe Responseフレーム等の各種マネジメントフレームである。これに加えて、あるいは代えて、データフレームなどが生成されてもよい。MACフレームに含まれる運用パラメータを通知するための情報については、後述の
図5および
図7で詳細に説明する。なお、MACフレーム生成部305は、運用パラメータを通知するための情報を含まないMACフレームを生成してもよい。
【0036】
データ送受信部306は、MACフレーム生成部305によって生成されたMACフレームを含む無線フレームの送信および相手装置(通信装置103)からの無線フレームの受信を行う。
【0037】
通信装置103は、通信装置102と同様の機能構成を有する。
【0038】
図4には通信装置102と通信装置103とがリンクの運用パラメータを変更する際に実行する処理の一例を示すシーケンス図を示した。
【0039】
本実施形態では、通信装置102と103とは、2つのリンクを確立してマルチリンク通信を実行する。リンク1は第1の周波数チャネル(例えば2.4GHz帯の1ch)を用いたリンクであって、リンク2は第2の周波数チャネル(例えば5GHz帯の36ch)を用いたリンクである。
【0040】
本シーケンスの処理は、通信装置102および103のそれぞれの電源が投入されたことに応じて開始される。あるいは、通信装置102および103の少なくとも一方は、ユーザまたはアプリケーションからマルチリンク通信の開始を指示されたことに応じて開始してもよい。あるいは通信装置102および103の少なくとも一方は、相手装置と通信したいデータのデータ量が所定の閾値以上となったことに応じて開始してもよい。
【0041】
まず、通信装置102と通信装置103は、S401の処理を行うことで、第1の周波数チャネルにおけるリンク1を確立する。より具体的には通信装置103が認証のためのAuthentication Requestフレームを送信し、それに対する応答として通信装置102はAuthentication Responseフレームを送信する。その後、通信装置103が接続のためのAssociation Requestフレームを送信し、それに対する応答として通信装置102はAssociation Responseフレームを送信する。通信装置103が送信するAssociation Requestフレームには、リンク1を示す情報として、例えば第1の周波数チャネルを示す情報が含まれる。第1の周波数チャネルを示す情報に加えて、あるいは代えて、第1の周波数チャネルにおいて通信装置102が構築している無線ネットワークのBSSIDを示す情報が含まれてもよい。なおS401ではこれらのフレーム交換に加えてデータ通信を行う際の暗号鍵を生成するための4-way-HandShake処理を実行してもよい。次に、通信装置102と通信装置103は、S402の処理を行うことで、第2の周波数チャネルにおけるリンク2を確立する。S402の具体的な処理は、S401と同内容である。S402で通信装置103が送信するAssociation Requestフレームには、リンク2を示す情報として、例えば第2の周波数チャネルを示す情報が含まれる。第2の周波数チャネルを示す情報に加えて、あるいは代えて、第2の周波数チャネルにおいて通信装置102が構築している無線ネットワークのBSSIDを示す情報が含まれてもよい
なお、通信装置102と103とは、S401の処理を行うことで、リンク1とリンク2の両方を確立してもよい。この場合、通信装置103はS401で送信するAssociation Requestフレームに、リンク1とリンク2の両方のリンクを示す情報を含める。また、S402の処理は省略される。
【0042】
通信装置102と103とは、S401の処理を行う前に、BeaconフレームやProbe Request/Responseフレームを送受信することで、マルチリンク通信に関する能力情報を交換してもよい。
【0043】
複数リンクの確立を行った後、通信装置103はS403でリンク2を介して通信装置102にPower Managementビットを1に設定したQoS Nullフレームを送信する。これにより、通信装置103は、通信装置102へリンク2をPower Save状態へ移行させることを通知する。その後、通信装置103はS404で、リンク2をPower Save状態へ移行させる。なお、本実施形態では、QoS Nullフレームを送信したリンクをPower Save状態へ移行させるとしたがこれに限らない。通信装置103は、リンク1を介してリンク2を示す情報を含めたQoS Nullフレームを送信してから、リンク2をPower Save状態へ移行させてもよい。この場合、通信装置103は、QoS Nullフレームを送信したリンク1は、Power Save状態に移行させない。なお、通信装置103は、リンク2を示す情報として、リンク2をほかのリンクと識別可能にする識別子をQoS Nullフレームに含める。これに加えて、あるいは代えて、通信装置103は、リンク2が構築されている無線ネットワークのBSSIDを示す情報を含めてもよいし、第2の周波数チャネルを示す情報を含めてもよい。
【0044】
その後、通信装置102はS405でリンク2の運用パラメータの変更を行う。運用パラメータの変更とは、例えば、リンク2で通信する際に利用可能な帯域幅の変更である。これに加えて、あるいは代えて、リンク2における通信で利用可能なMCSを変更してもよい。MCSとは、Modulation and Coding Schemeの略で、通信において用いられる変調方式と符号化率との組み合わせを示す情報である。なお、リンク2の運用パラメータを変更する場合、変調方式と符号化率との少なくとも一方が変更されればよい。あるいは、運用パラメータの変更として、リンク2で通信装置102と103とがMIMO通信を行っている場合、MIMO通信で用いる空間ストリーム数を変更してもよいし、MIMO通信を終了してもよい。あるいは、リンク2におけるMIMO通信を開始してもよい。また、Power Save状態のリンクをWakeup状態に移行させてもよい。
【0045】
通信装置102は、リンク2の運用パラメータを変更すると、S406で変更後の運用パラメータとリンク2の識別子を含むBeaconフレームを、リンク1を介して通信装置103に送信する。これにより、通信装置102は、リンク2の変更後の運用パラメータを通信装置103に通知することができる。なお、リンク2の識別子とは、リンク2をほかのリンクと一意に識別することができる情報である。あるいはリンク2の識別子として、リンク2が確立されている無線ネットワークのBSSIDが、Beaconフレームに含まれていてもよい。なお、本実施形態では、運用パラメータの変更を通知するためにBeaconフレームを使用するとしたがこれに限らず、通信装置102はProbe Responseフレームやデータフレームを使用してもよい。変更後の運用パラメータを通知する際に利用するフレームフォーマットの詳細については、後述の
図5および
図7において説明する。
【0046】
通信装置103は、リンク2の運用パラメータの変更を通知するBeaconフレームを受信すると、S407でリンク2の運用パラメータの変更を行う。本シーケンスでは、通信装置103は、変更後の運用パラメータとして、リンク2で使用する新しい帯域幅を通知されたものとする。この場合、通信装置103は、本ステップにおいて、保持しているリンク2の運用パラメータのうち、帯域幅に関する情報を変更する。
【0047】
次に、通信装置103は、S408でリンク2のPower Save状態を解除してWakeup状態に移行させる。これにより、通信装置103は、リンク2を介した通信を実行できない状態から実行できる状態に遷移する。
【0048】
本実施形態では、通信装置103はS406において受信したBeaconフレームにおいて、Power Save状態のリンクをWakeup状態に遷移させることを通知されなくても、S408でリンク2をWakeup状態に移行させた。これに限らず、通信装置103は、通信装置102からWakeup状態への遷移を通知されたか否かに基づいて、S408の処理を行ったり行わなかったりしてもよい。つまり、通信装置103は、通信装置102からリンク2のWakeup状態への移行を通知された場合はS408の処理を実行し、通信装置102からリンク2のWakeup状態への移行を通知されなかった場合はS408の処理をスキップしてもよい。
【0049】
通信装置103は、リンク2をWakeup状態に遷移させると、S409でPower Managementビットを0に設定したQoS Nullフレームを通信装置102に送信する。これにより、通信装置103は、リンク2をWakeup状態に遷移させたことを通信装置102に通知することができる。
【0050】
次に、通信装置103は、S410において、新しい運用パラメータを用いて、Wakeup状態となったリンク2を介したデータフレームの送信を実行する。通信装置103からのデータフレームの送信に加えて、あるいは代えて、通信装置102が新しい運用パラメータを用いて、リンク2を介したデータフレームの送信を行ってもよい。
【0051】
図4に示したように、通信装置102と103との間で複数のリンクを確立し、いずれかのリンクの運用パラメータを変更した場合に、別のリンクを介して変更後の運用パラメータを通知することで、より早く変更後の運用パラメータを通知することができる。
【0052】
また、運用パラメータが変更されたリンクがPower Save状態の場合は、別のリンクを介して変更後の運用パラメータを通知することで、該当のリンクをPower Save状態にしたまま、変更後の運用パラメータを通知することができる。これにより、例えばPower Save状態のリンクを定期的にWakeup状態に遷移させるなどの処理を行わずに、変更後の運用パラメータを受信することができるため、通信装置103の省電力性を向上させることができる。
【0053】
図5は、所定のリンクの運用パラメータを含むフレームフォーマットの一例を示す図である。
図5に示したControl IDフィールド501とControl Informationフィールド502とは、MACヘッダ内のHT Controlフィールドに含まれる。なお、HTとは、High Throughputの略である。あるいは、同様の情報をMACフレームボディに含めるようにしても良い。なお、これらの情報は、Beaconフレームに含まれてもよいし、Probe Responseフレームに含まれてもよい。あるいはデータフレームに含まれてもよい。リンクの運用パラメータは、Control Informationフィールド502に含まれる。Control IDフィールド501とControl Informationフィールド502とは、MACフレーム内においてControl IDフィールド501から順に送受信されるように配置される。
【0054】
Control IDフィールド501には、Control Informationフィールド502に含まれる情報の種類を示す情報が含まれる。Control IDフィールド501に含まれる値に対応する情報がControl Informationフィールド502に含まれる。つまり、Control IDフィールド501が変わると、Control Informationフィールド502に含まれる情報も変わる。本実施形態では、Control IDフィールド501には、Control Informationフィールド502に運用パラメータが含まれることを示す値が含まれる。
【0055】
Control Informationフィールド502は、Link ID520、Rx NSS521、Channel Width522、およびUL MU Disable523の各フィールドを含む。さらにControl Informationフィールド502は、Tx NSTS524、およびER SU Disable525の各フィールドを含む。これらに加えて、Control Informationフィールド502は、DL MU-MIMO Resound Recommendation526、およびUL MU Data Disable527の各フィールドを含む。
【0056】
なお、ULはUplinkの略であり、STAからAPへのデータ送信のことを指す。また、DLはdownlinkの略であり、APからSTAへのデータ送信のことを指す。
【0057】
520~527の各フィールドは、520から順に送受信されるようにControl Informationフィールド502内に配置されるが、各フィールドの順番はこれに限らない。いずれのフィールドが他のフィールドの直前や直後に送受信されるように配置されてもよい。また、Control Informationフィールド502は、520~527の少なくとも一つのフィールドが省略されていてもよい。
【0058】
Link ID520は、運用パラメータを変更する対象となるリンクを識別するため識別情報を含むフィールドである。リンクの識別情報とは、具体的には、通信装置102と103とがマルチリンク通信のリンクを確立する際に、該リンクに割り当てられるIDである。通信装置102と103とは、リンクのIDに基づいて、通信装置102と103との間に確立された複数のリンクから所定のリンクを一意に識別することができる。
【0059】
なお、Link ID520に加えて、あるいは代えて、運用パラメータを変更する対象となるリンクが確立されている無線ネットワークを識別するための識別情報が含まれるフィールドが含まれてもよい。無線ネットワークを識別するための識別情報とは、具体的には、該当の無線ネットワークのBSSIDである。なお、BSSIDの代わりに、BSSIDのハッシュ値が含まれてもよい。
【0060】
Rx NSS521は、通信装置102がデータを受信する際に利用可能なMIMOの空間ストリーム数を示す情報が含まれるフィールドである。
【0061】
Channel Width522は、通信装置102がデータの送受信において利用可能な帯域幅を示す情報が含まれるフィールドである。
【0062】
UL MU Disable523は、通信装置102がUL MU通信において送信可能なフレームの種別を示す情報が含まれるフィールドである。具体的には、後述のUL MU Data Disable527との組み合わせによって、送信可能なフレームの種別を示す。詳細については後述する。なお、Control Informationフィールド502は、本フィールドに加えて、あるいは代えて、通信装置102がDL MU通信において通信可能なフレームの種別を示す情報を含むフィールドを含んでもよい。
【0063】
Tx NSTS524は、通信装置102がデータの送信する際に利用可能なMIMOの空間ストリーム数を示す情報が含まれるフィールドである。
【0064】
ER SU Disable525は、通信装置102が通信距離拡張のための所定のフォーマットのフレームの受信をサポートするかどうかを示す情報が含まれるフィールドである。
【0065】
DL MU-MIMO Resound Recommendation526は、通信装置102がMIMO通信に利用するチャネル状態を取得するためのサウンディング処理の頻度の増加を要望するための情報を含むフィールドである。
【0066】
UL MU Data Disable527は、UL MUのデータ通信を通信装置102が実行可能か否かを示す情報を含むフィールドである。なお、Control Informationフィールド502は、本フィールドに加えて、あるいは代えて、DL MUのデータ通信を通信装置102が実行可能か否かを示す情報を含むフィールドを含んでもよい。
【0067】
図5に示したフレームフォーマットは、UL MU Disable523とUL MU Data Disable527との組み合わせによって、UL MU通信において通信装置102が送信可能なフレームの種別を示す。具体的には、両方のフィールドに値として0が含まれる場合、通信装置102はUL MU通信においてデータフレームと、マネジメントフレームの両方を送信可能であることが示される。UL MU Disable523には0が含まれ、UL MU Data Disable527には1が含まれる場合、通信装置102は、UL MU通信においてマネジメントフレームのみの送信が可能であることを示す。この場合、通信装置102は、UL MU通信においてデータフレームは送信不可能である。また、UL MU Disable523に1が含まれる場合、通信装置102は、UL MU通信においてデータフレームもマネジメントフレームも送信不可能であることを示す。この場合、UL MU Data Disable527にも1が含まれる。
【0068】
なお、本実施形態において、UL MU Disable523とUL MU Data Disable527との組み合わせによって、通信装置102がUL MU通信において送信可能なフレームの種別を示すとしたが、これに限らない。通信装置102は、DL MU通信についての同様のフィールドをControl Informationフィールド502に含めることで、UL MU通信に加えて、あるいは代えて、DL MU通信において送信可能なフレームの種別を示すようにしてもよい。
【0069】
通信装置102は、
図5で示したフレームフォーマットを含むBeaconフレームを通信装置103に送信することで、変更後の運用パラメータを通信装置103に通知することができる。なお、通信装置102は、Beaconフレームに代えて、Probe Responseフレームまたはデータフレームに
図5で示したフレームフォーマットを含めて送信するようにしてもよい。
【0070】
なお、
図5に示したフィールドの少なくとも一つに加えて、あるいは代えて、通信装置102はリンクをPower Save状態からWakeup状態へ遷移させるか否かを示す情報を含むフィールドを送信してもよい。また、通信装置102は、
図5に示したフィールドの少なくとも一つに加えて、あるいは代えて、通信装置102が通信で利用可能なMCSを示す情報を含むフィールドを送信してもよい。なお、通信装置102は、MCSを示すフィールドに代えて、通信装置102が通信で利用可能な符号化率を示すフィールドと、変調方式を示すフィールドとの少なくとも一方を送信するようにしてもよい。
【0071】
図5には1つのリンクの運用パラメータを通知することができるフレームフォーマットを示した。
図7には、複数のリンクの運用パラメータを通知することができるフレームフォーマットの一例を示す。
【0072】
図7に示したControl IDフィールド701とControl Informationフィールド702とは、MACヘッダ内のHT Controlフィールドに含まれる。あるいは、同様の情報をMACフレームボディに含めるようにしても良い。なお、これらの情報は、Beaconフレームに含まれてもよいし、Probe Responseフレームに含まれてもよい。あるいはデータフレームに含まれてもよい。Control IDフィールド701とControl Informationフィールド702とは、MACフレーム内においてControl IDフィールド701から順に送受信されるように配置される。
【0073】
Control IDフィールド701については、
図5のControl IDフィールド501と同様である。なお、1つのリンクの運用パラメータの通知と、複数のリンクの運用パラメータの通知とを識別する場合、Control IDフィールド701には、Control IDフィールド501と違う値が設定される。
【0074】
Control Informationフィールド702には、複数のリンクの運用パラメータを示す情報が含まれる。一つのリンクに対応する運用パラメータは、710で示したように、Link IDフィールド711とOM(Operating Mode) Controlフィールド712とのセットで示される。Control Informationフィールド702は、710に示したフィールドのセットを複数含むことで、複数のリンクの運用パラメータを示すことができる。
【0075】
Link IDフィールド711については、
図5のLink ID520と同様である。
【0076】
OM Controlフィールド712には、直前に送受信されるように配置されたLink IDフィールド711によって示されたリンクの運用パラメータを示す情報が含まれる。OM Controlフィールド712に含まれる、721~727の各フィールドについては、
図5の521~527と同様である。
【0077】
なお、
図7に示したフィールドの少なくとも一つに加えて、あるいは代えて、通信装置102はリンクをPower Save状態からWakeup状態へ遷移させるか否かを示す情報を含むフィールドを送信してもよい。また、通信装置102は、
図7に示したフィールドの少なくとも一つに加えて、あるいは代えて、通信装置102が通信で利用するMCSを示す情報を含むフィールドを送信してもよい。なお、通信装置102は、MCSを示すフィールドに代えて、通信装置102が通信で利用する符号化率を示すフィールドと、変調方式を示すフィールドとの少なくとも一方を送信するようにしてもよい。
【0078】
通信装置102は、
図7に示したフレームフォーマットを使用することで、複数のリンクについて変更後の運用パラメータを一つのMACフレームで送信することができる。
【0079】
通信装置102は、
図7に示したフレームフォーマットを用いて、
図4のリンク1とリンク2の両方の運用パラメータを示すようにしてもよい。この場合、通信装置102は、リンク1とリンク2の両方の運用パラメータを含むBeaconを、リンク1およびリンク2とは異なる通信装置103との間のリンク(リンク3)を介して送信する。
【0080】
図6は、通信装置102がリンクの運用パラメータを変更する場合に、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを制御部202が読み出し、実行することで実行される処理を示すフローチャートである。
【0081】
本フローチャートは、通信装置102が通信装置103と複数リンクを確立した後、通信装置103との所定のリンクの運用パラメータの変更を決定したことに応じて開始される。運用パラメータの変更は、通信装置102で動作するアプリケーションによって決定されてもよいし、運用パラメータの変更を指示するユーザ操作に基づいて決定されてもよい。
【0082】
あるいは、通信装置102は、所定のリンクを介した通信装置103との通信において、所定の回数の再送が発生したことに応じて、該当のリンクの運用パラメータを変更することを決定してもよい。再送回数の閾値は、ユーザによって設定されてもよいし、通信装置102にあらかじめ設定されていてもよい。あるいは、通信装置102は、所定のリンクを介した通信装置103との通信のスループットが、所定の閾値以下になったことに応じて、該当のリンクの運用パラメータを変更することを決定してもよい。スループットの閾値は、ユーザによって設定されてもよいし、通信装置102にあらかじめ設定されていてもよい。あるいは、通信装置102は、所定のリンクを介した通信装置103との通信の信号対雑音比(Signal to Noise Ratio、SNR)が、所定の閾値以下になったことに応じて、該当のリンクの運用パラメータを変更することを決定してもよい。信号対雑音比の閾値は、ユーザによって設定されてもよいし、通信装置102にあらかじめ設定されていてもよい。あるいは通信装置102は、所定のリンクを介した通信装置103との通信のキャリア対雑音比(Carrier to Noise Ratio、CNR)が、所定の閾値以下になったことに応じて、該当のリンクの運用パラメータを変更することを決定してもよい。キャリア対雑音比の閾値は、ユーザによって設定されてもよいし、通信装置102にあらかじめ設定されていてもよい。あるいは、通信装置102は、所定のリンクを介して通信装置103から受信する信号のRSSI(受信信号強度)が所定の閾値以下になったことに応じて、該当のリンクの運用パラメータを変更することを決定してもよい。なお、RSSIはReceived Signal Strength Indicationの略である。RSSIの閾値は、ユーザによって設定されてもよいし、通信装置102にあらかじめ設定されていてもよい。あるいは、通信装置102は、通信装置103との所定のリンクが、所定の期間においてビジーとなる割合を測定し、その割合が所定の値以上になったことに応じて、該当のリンクの運用パラメータを変更することを決定してもよい。リンクがビジーとなる割合の閾値は、ユーザによって設定されてもよいし、通信装置102にあらかじめ設定されていてもよい。通信装置102は、これらの条件の少なくとも1つに基づいて本フローを開始してもよいし、2つ以上の条件を組み合わせて、組み合わせた条件のすべてが満たされた場合に本フローを開始するようにしてもよい。
【0083】
まず、通信装置102は、所定のリンクの運用パラメータを変更する(S601)。この処理は
図4のS405と同様である。
【0084】
次に、通信装置102は、S601で運用パラメータを変更したリンクが、Power Save状態であるかを判定する(S602)。通信装置102は、該当のリンクがPower Save状態であれば、本ステップでYesと判定し、S603の処理を行う。一方、通信装置102は、該当のリンクがPower Save状態ではない、つまりWakeup状態であれば、本ステップでNoと判定し、S604の処理を行う。
【0085】
なお、本ステップの判定は、リンクがPower Save状態であるか否かに限らない。これに加えて、あるいは代えて、該当のリンクのスループットが所定の閾値より低いかを判定してもよい。通信装置102は、該当のリンクのスループットが所定の閾値より低い場合は本ステップでYesと判定し、スループットが所定の閾値より高い場合は本ステップでNoと判定する。あるいは、通信装置102は、該当のリンクの信号対雑音比(Signal to Noise Ratio、SNR)が所定の閾値より低いかを判定してもよい。通信装置102は、該当のリンクの信号対雑音比が所定の閾値より小さい場合は本ステップでYesと判定し、信号対雑音比が所定の閾値より高い場合は本ステップでNoと判定する。あるいは、通信装置102は、該当のリンクのキャリア対雑音比(Carrier to Noise Ratio、CNR)が所定の閾値より低いかを判定してもよい。通信装置102は、該当のリンクのキャリア対雑音比が所定の閾値より小さい場合は本ステップでYesと判定し、キャリア対雑音比が所定の閾値より高い場合は本ステップでNoと判定する。あるいは、通信装置102は、該当のリンクを介して通信装置103から受信した信号のRSSIが所定の閾値より低いかを判定してもよい。通信装置102は、該当のリンクを介して受信した信号のRSSIが所定の閾値より低い場合は本ステップでYesと判定し、RSSIが所定の閾値より高い場合は本ステップでNoと判定する。あるいは、通信装置102は、該当のリンクの所定の期間あたりビジーとなる割合が、所定の閾値より高いかを判定してもよい。通信装置102は、該当のリンクがビジーとなる割合が所定の閾値より高い場合は本ステップでYesと判定し、ビジーとなる割合が所定の閾値より低い場合は本ステップでNoと判定する。通信装置102は、これらの条件の少なくとも1つに基づいて本ステップの判定を実行する。あるいは、通信装置102は2つ以上の条件を組み合わせて、組み合わせた条件のすべてがYesとなった場合は本ステップでYesと判定し、1つ以上の条件がNoとなった場合は本ステップでNoと判定するようにしてもよい。あるいは、通信装置102は、複数の条件のうち、少なくとも何れか1つの条件がYesとなった場合に本ステップでYesと判定し、全ての条件がNoとなった場合に本ステップでNoと判定するようにしてもよい。
【0086】
通信装置102はS602でYesと判定すると、運用パラメータを変更されたリンクとは別のリンクを、変更後の運用パラメータを通知するリンクとして選択する(S603)。例えば、運用パラメータが変更されたリンクがPower Save状態の場合、通信装置102は該当のリンクを介した運用パラメータの通知を実行できないので、通信装置103との別のリンクを、運用パラメータを通知するリンクとして選択する。あるいは、例えば運用パラメータが変更されたリンクのスループットが所定の閾値より低い場合、通信装置102は該当のリンクを介して変更後の運用パラメータを通知しても、通信装置103はすぐには受信できない虞がある。そのため、通信装置102は、通信装置103との別のリンクを、変更後の運用パラメータを通知するリンクとして選択することで、通信装置103により早く新たな運用パラメータを通知することができる。
【0087】
一方、通信装置102はS602でNoと判定した場合、運用パラメータが変更されたリンクを、変更後の運用パラメータを通知するリンクとして選択する(S604)。
【0088】
通信装置102は、S601で運用パラメータを変更したリンクの識別情報と、変更後の運用パラメータを、MACフレームに設定する(S605)。具体的には、通信装置102は、S601で運用パラメータを変更したリンクの情報を含む、
図5または
図7に示したフレームを含むMACフレームを生成する。
【0089】
通信装置102は、S603またはS604で選択したリンクを介して、S605で情報を設定したMACフレームを通信装置103に送信し(S606)、本フローの処理を終了する。
【0090】
以上、
図6の処理を行うことで、通信装置102はリンクの運用パラメータを変更した場合に、相手装置である通信装置103により早く新たな運用パラメータを通知することができる。また、運用パラメータを変更したリンクがPower Save状態である場合には、別のリンクを介して新たな運用パラメータを通知することで、通信装置103に運用パラメータを通知することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、通信装置102は自装置の運用パラメータを変更してから通信装置103に変更後の運用パラメータを通知するとしたが、これに限らず、通信装置102は運用パラメータを通知してから変更するようにしてもよい。具体的には、通信装置102は、
図4のS406の処理を行ってからS405の処理を行うようにしてもよい。また、通信装置102は、
図6のフローの処理を開始した場合に、S601ではなくS602の処理から開始してもよい。この場合に通信装置102は、S606の次にS601の処理を行い、
図6のフローの処理を終了する。
【0092】
また、本実施形態において、通信装置102は、S603において運用パラメータを変更したリンクとは異なるリンクのみを介して変更後の運用パラメータを通知するとしたが、これに限らず、運用パラメータを変更したリンクにおいても通知を行ってもよい。具体的には、通信装置102は、
図6のS606において、運用パラメータを変更したリンクとは別のリンクを介した運用パラメータの通知に加えて、運用パラメータを変更したリンクを介した運用パラメータの通知を行ってもよい。なお、通信装置102は、運用パラメータを変更したリンクがPower Save状態の場合は、運用パラメータを変更したリンクと異なるリンクのみを介した通知を行う。
【0093】
また、本実施形態において、通信装置102は、通信装置103とのリンクのスループットの低下や、信号対雑音比の悪化などに基づいて、リンクの運用パラメータを変更するとした。しかし、これに限らず、通信装置102は、通信装置103との所定のリンクのスループットが高くなったことや、信号対雑音比の改善などに基づいて、該リンクの運用パラメータを変更するように決定してもよい。具体的には、通信装置102は、通信装置103との所定のリンクのスループットが所定の閾値以上になったことに応じて、該リンクの運用パラメータを変更すると決定してもよい。これに加えて、あるいは代えて、通信装置102は、通信装置103との所定のリンクの信号対雑音比(SNR)が所定の閾値以上になったことに応じて、該リンクの運用パラメータを変更すると決定してもよい。また、通信装置102は、通信装置103との所定のリンクのキャリア対雑音比(CNR)が所定の閾値以上になったことに応じて、該リンクの運用パラメータを変更すると決定してもよい。また、通信装置102は、所定のリンクを介して通信装置103から受信する信号のRSSIが所定の閾値以上になったことに応じて、該リンクの運用パラメータを変更すると決定してもよい。また、通信装置102は、所定時間当たりのリンクがビジーとなる割合が、所定の値以下となったことに応じて、該当のリンクの運用パラメータを変更することを決定してもよい。この場合、通信装置102は、
図6のS601においてリンクの運用パラメータを変更する場合に、データ通信がより高速化するように運用パラメータを変更する。例えば、通信装置102は、MU通信を実行するように変更したり、より高い符号化率を使用するように変更したりする。この場合も、運用パラメータを変更したリンクと異なるリンクを介して変更後の運用パラメータを通知するようにすることで、運用パラメータを変更したリンクのスループットの低下を防ぐことができる。
【0094】
また、本実施形態では、通信装置102はMACフレームに変更後の運用パラメータを含めて通信装置103に送信するとした。この場合に、通信装置102は、所定の回数、変更後の運用パラメータを含むMACフレームを送信するようにしてもよい。通信装置102は、複数回変更後の運用パラメータを含むMACフレームを送信することで、通信装置103に変更後の運用パラメータが通知されない可能性を低減させることができる。なお、通信装置102が変更後の運用パラメータを含むMACフレームを送信する回数は、ユーザによって設定されてもよいし、通信装置102にプリセットされていてもよい。
【0095】
また、通信装置102は、最初に変更後の運用パラメータを含むMACフレームを送信してから所定の期間の間、変更後の運用パラメータを含むMACフレームの送信を継続するようにしてもよい。通信装置102が変更後の運用パラメータを含むMACフレームを送信する期間は、ユーザによって設定されてもよいし、通信装置102にプリセットされていてもよい。
【0096】
例えば、通信装置102は、
図6のS606の処理を行った後の所定の期間の間にBeaconを送信する場合、変更後の運用パラメータを含むBeaconを送信する。通信装置102は、所定の期間が終了すると、変更後の運用パラメータを含まないBeaconを送信する。
【0097】
なお、変更後の運用パラメータを含まないBeaconには、少なくともTime Stamp、Beacon interval、Capability Informationが必須で含まれる。また、これらに加えて、Beaconには、SSIDと、Supported Rates and BSS Membership Selectorsが必須で含まれる。
【0098】
Timestampには、MACフレームの送信装置のTSF(Timing Synchronization Function)タイマの値を示す情報が含まれる。
【0099】
Beacon intervalには、MACフレームの送信装置によるBeaconの送信間隔を示す情報が含まれる。
【0100】
Capability Informationには、MACフレームの送信装置がPCF(Point Coordination Function)を実行可能か否かを示す情報が含まれる。また、Capability Informationには、MACフレームの送信装置がデータの通信において暗号化を必要とするか否かを示す情報が含まれる。
【0101】
SSIDには、MACフレームの送信装置のESSまたはIBSSの識別子を示す情報が含まれる。ESSとはExtended Service Setの略であって、IBSSとはIndependent Basic Service Setの略である。ESSの識別子としては、APの識別名であるESSIDが含まれる。一般的にはESSIDとしてSSIDが含まれる。
【0102】
Supported Rates and BSS Membership Selectorsには、Beaconの送信装置がサポートしている無線伝送レートを示す情報が含まれる。
【0103】
変更後の運用パラメータを含むBeaconには、上記の必須の情報に加えて、
図5で示した情報が含まれる。
【0104】
同様に、例えば、通信装置102は、
図6のS606の処理を行った後の所定の期間の間にProbe Responseを送信する場合、変更後の運用パラメータを含むProbe Responseを送信する。通信装置102は、所定の期間が終了すると、変更後の運用パラメータを含まないProbe Responseを送信する。変更後の運用パラメータを含まないProbe Responseには、少なくともTime Stamp、Beacon interval、Capability Information、SSIDが必須で含まれる。Supported Rates and BSS Membership SelectorsはProbe Responseには含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0105】
変更後の運用パラメータを含むProbe Responseには、上記の必須の情報に加えて、
図5で示した情報が含まれる。
【0106】
また、例えば通信装置102が、
図6のS606で変更後の運用パラメータを含むデータフレームを送信した場合、通信装置102は所定の期間の間、定期的に変更後の運用パラメータを含むデータフレームを送信するようにしてもよい。
【0107】
なお、
図6に示した通信装置103のフローチャートの少なくとも一部または全部をハードウェアにより実現してもよい。ハードウェアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各ステップを実現するためのコンピュータプログラムからFPGA上に専用回路を生成し、これを利用すればよい。FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略である。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現するようにしてもよい。
【0108】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0109】
101 ネットワーク
102 通信装置(AP)
103 通信装置(STA)
104 第1のリンク
105 第2のリンク