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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/50 20230101AFI20240716BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240716BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240716BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240716BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240716BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240716BHJP
【FI】
H04N23/50
H04N23/68
H05K9/00 M
H05K1/02 B
G03B5/00 J
G03B17/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020059991
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021158635
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】戸田 大介
(72)【発明者】
【氏名】神谷 淳
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-235073(JP,A)
【文献】実開昭62-192699(JP,U)
【文献】特開2006-178045(JP,A)
【文献】特開2009-230025(JP,A)
【文献】特開2019-200349(JP,A)
【文献】特開2009-020476(JP,A)
【文献】特開2006-073840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
H04N 23/68
H05K 9/00
H05K 1/02
G03B 5/00-5/08
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材および該可動部材を支持する支持部材と、
前記可動部材が備える回路部を制御する制御部と、
可撓性を有し、前記回路部と前記制御部とを電気的に接続する第1の配線部材と、
シート状に形成された電波吸収体と、
前記電波吸収体と前記第1の配線部材とを離隔する離隔部材と、を備え、
前記第1の配線部材は、
前記回路部に接続される第1の接続部と、
前記制御部に接続される第2の接続部と、
前記第1の接続部から前記第2の接続部へ延出する配線部と、を有しており、
前記第1の接続部が前記回路部に接続され、かつ前記第2の接続部が前記制御部に接続された状態にて、前記電波吸収体は、前記第1の配線部材に対して接触することなく、前記第1の配線部材が有する湾曲部または該湾曲部とは異なる位置に前記離隔部材を介して固定されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電波吸収体は、前記第2の接続部と前記配線部の一部に対して複数の前記離隔部材を介して固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1および第2の接続部にそれぞれ配置される複数のコネクタを備え、
前記第1の配線部材にて前記複数のコネクタが実装される面に対して前記電波吸収体は前記離隔部材を介して固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記可動部材は、前記支持部材に対して第1の方向、および該第1の方向に直交する第2の方向に変位し得る状態で前記支持部材に支持されており、
前記配線部は、前記第1の接続部から前記第1の方向に延出している
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
可撓性を有し、前記回路部と前記制御部とを電気的に接続する第2の配線部材を更に備え、
前記第2の配線部材は、
前記回路部に接続される第3の接続部と、
前記第3の接続部から延出する配線部と、
前記制御部に接続される第4の接続部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の配線部材が備える配線部は、前記第1の接続部から第1の方向に延出し、
前記第2の配線部材が備える配線部は、前記第1の方向とは反対の第2の方向に延出している
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1または第2の配線部材が備える配線部は固定部を有しており、
前記固定部は、前記支持部材に固定されるか、または保持部材を介して前記支持部材に固定される
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1の配線部材は差動伝送配線を有する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第2の配線部材は電源配線を有する
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1の配線部材が備える配線部と前記第2の配線部材が備える配線部は長さまたは幅が等しい
ことを特徴とする請求項5乃至7、9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1の配線部材が備える配線部は第1の固定部を有し、
前記第2の配線部材が備える配線部は第2の固定部を有しており、
前記第1および第2の固定部は、前記支持部材に固定されるか、または保持部材を介して前記支持部材に固定される
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1の配線部材の配線方向における前記第1の接続部から前記第1の固定部までの長さと、前記第2の配線部材の配線方向における前記第3の接続部から前記第2の固定部までの長さとが等しい
ことを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記第1の配線部材が備える配線部における前記配線方向と直交する方向の幅と、前記第2の配線部材が備える配線部における前記配線方向と直交する方向の幅とが等しい
ことを特徴とする請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
前記可動部材の移動により像ブレ補正を行う補正手段を備え、
前記制御部は、前記支持部材に対する前記可動部材の変位の制御により、前記補正手段の駆動制御を行う
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項15】
撮像素子を備え、
前記補正手段は前記可動部材および前記撮像素子の変位により像ブレ補正を行う
ことを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
外部装置との通信に用いられる無線アンテナが内蔵された
ことを特徴とする請求項15に記載の電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部材と電気的に接続される可撓性配線部材を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器における電気的な接続には可撓性を有するフレキシブル基板が使用される。例えばフレキシブル基板は、固定ユニット(支持部材)に変位可能な状態で支持された可動ユニット(可動部材)と、制御基板とを接続する。光学的な像ブレ補正機能を有する撮像装置では、撮像素子を支持する可動ユニットが、固定ユニットに対して光軸と直交する方向に移動する。特許文献1には、固定ユニットと可動ユニットとを電気的に接続しつつ、制御基板により可動ユニットが駆動制御される撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-192749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブル基板は、その配線部の一部が可動ユニットの変位に応じて変形可能である。その際、配線部の変形によって生じる反力は、可動ユニットを駆動する際の負荷になる。フレキシブル基板の可撓性が低いと、可動ユニットの駆動を阻害する可能性がある。よってフレキシブル基板は、可撓性を高めるために薄い層で形成するとともに、幅の狭い配線を備えることが好ましい。
【0005】
しかし近年では撮像装置の動画の高画素化や高速連写等の機能向上によって、撮像素子の消費電力や接続信号数が増加する傾向にある。このため、薄い層で形成され、幅の狭い配線を備えたフレキシブル基板を用いて、より多くの信号の高速伝送を実現しようとすると、通信性能が安定せず、電磁界ノイズ(不要輻射)の放射源となる可能性がある。電磁界ノイズの低減方法として、フレキシブル基板にシールド層を追加する方法がある。従来法による対策では、フレキシブル基板の可撓性が損なわれ、可動ユニットの駆動を阻害する可能性がある。
本発明は、可動部材が変位する際の負荷の増大を抑制しつつ、電磁界ノイズの低減が可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の電子機器は、可動部材および該可動部材を支持する支持部材と、前記可動部材が備える回路部を制御する制御部と、可撓性を有し、前記回路部と前記制御部とを電気的に接続する第1の配線部材と、シート状に形成された電波吸収体と、前記電波吸収体と前記第1の配線部材とを離隔する離隔部材と、を備える。前記第1の配線部材は、前記回路部に接続される第1の接続部と、前記制御部に接続される第2の接続部と、前記第1の接続部から前記第2の接続部へ延出する配線部と、を有しており、前記第1の接続部が前記回路部に接続され、かつ前記第2の接続部が前記制御部に接続された状態にて、前記電波吸収体は、前記第1の配線部材に対して接触することなく、前記第1の配線部材が有する湾曲部または該湾曲部とは異なる位置に前記離隔部材を介して固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、可動部材が変位する際の負荷の増大を抑制しつつ、電磁界ノイズの低減が可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図2】実施形態に係る電子機器の要部を示す分解斜視図である。
図3】実施形態に係る像ブレ補正ユニットの分解斜視図である。
図4】像ブレ補正ユニットを図3とは異なる方向から示す分解斜視図である。
図5】第1実施形態に係るフレキシブル基板の正面図である。
図6】第1実施形態に係る複数のフレキシブル基板が固定された可動ユニットの背面図である。
図7】第1実施形態に係る可動ユニットを制御基板に取り付けた状態を示す図である。
図8】第1実施形態に係る像ブレ補正ユニットおよびフレキシブル基板の斜視図である。
図9】第1実施形態に係る制御基板内部に展開される配線パターンの正面図である。
図10】第1実施形態に係るフレキシブル基板が固定された可動ユニットの背面図である。
図11】第1実施形態に係る像ブレ補正ユニットの斜視図である。
図12】第1実施形態における電磁界ノイズ対策を説明する分解斜視図である。
図13】第1実施形態における電磁界ノイズ対策を説明する側面図である。
図14】第2実施形態における電磁界ノイズ対策を説明する分解斜視図である。
図15】第2実施形態における電磁界ノイズ対策を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各実施形態では、本発明に係るフレキシブル基板の配線構造を適用した電子機器の例として撮像装置を示す。
【0010】
[第1実施形態]
図1は撮像装置10の斜視図である。撮像装置10の方向に関し、撮影者(ユーザ)から見たときの方向を基準として被写体側を前側と定義し、撮像装置10の背面と正対するユーザから見て上下方向、前後方向、左右方向をそれぞれ定義する。従って、図1(A)は撮像装置10を前側から見た場合の斜視図であり、図1(B)は撮像装置10を後側から見た場合の斜視図である。本実施形態では撮像装置への適用例として、カメラ本体部にレンズ装置を装着可能なレンズ交換式カメラを示すが、カメラ本体部とレンズユニットとが一体化したカメラに適用可能である。
【0011】
撮像装置10は外装部10cを備え、外装部10cは複数の部材から構成される。撮像装置10は前側にマウント10aを備え、マウント10aには、不図示の交換レンズ(レンズ装置)が装着可能である。マウント10aの上部には、無線アンテナ10bが内蔵されている。無線アンテナ10bは撮像装置10が外部装置と通信する際に用いる。マウント10aの中心を通る軸は、交換レンズの撮像光学系の光軸P(1点鎖線参照)、つまり撮影光軸と略一致する。
【0012】
図2は、撮像装置10の要部を後側(撮影者側)から見た場合の分解斜視図である。なお図2では外装部10c等の図示を省略している。また、図2以降の図では本発明の理解に必要な部分を図示し、不要な部分を省略する。撮像装置10は、制御基板100、像ブレ補正ユニット200、シャッタユニット300、および、ベース部材400を有する。像ブレ補正ユニット200は、画像の像ブレ補正を行う像ブレ補正装置を構成する。像ブレ補正装置の制御部は制御基板100を備える。
【0013】
像ブレ補正ユニット200とシャッタユニット300はいずれも可動光学部材を備える。像ブレ補正ユニット200は、シャッタユニット300とともにベース部材400に固定される。像ブレ補正ユニット200は、シャッタユニット300が組み付け固定されたベース部材400に保持される。例えば、像ブレ補正ユニット200は、3本のビス600a、600b、600cと3つのコイルばね500a、500b、500cとにより、ベース部材400に対して光軸P(図1(A)参照)に沿う方向にて変位可能に支持される。作業者は、ビス600a、600b、600cの締め込み量を調整する作業を行う。これにより、ベース部材400に対する撮像素子230(図3参照)の撮像面の傾きを調整することができる。撮像面の傾きの調整が完了すると、ビス600a、600b、600cは、それらの緩みを防止するため、像ブレ補正ユニット200の固定ユニットに接着固定される。この固定ユニット(200b)は支持部材であり、図3を用いて後述する。
【0014】
制御基板100とベース部材400は外装部10cに固定される。制御基板100には、撮像信号の制御に用いられる制御IC101、および、コネクタ102、103、104が実装されている。また制御基板100には、チップ抵抗、セラミックコンデンサ、インダクタ、トランジスタ等の様々な電子部品(不図示)が実装されている。可撓性配線部材として、像ブレ補正ユニット200から延出する第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bを示す。
【0015】
第1のフレキシブル基板270aはコネクタ102と接続され、第2のフレキシブル基板270bはコネクタ103と接続される。これにより、制御基板100と像ブレ補正ユニット200とが電気的に接続される。制御基板100に配置されたコネクタ104は、シャッタユニット300から延出するフレキシブル基板(不図示)と接続され、制御基板100とシャッタユニット300とが電気的に接続される。
【0016】
次に、図3および図4を参照して像ブレ補正ユニット200について説明する。図3および図4は、像ブレ補正ユニット200の分解斜視図である。像ブレ補正ユニット200は、可動ユニット200aと固定ユニット200bとを有する。可動ユニット200aは、撮像素子230を含む可動部材である。固定ユニット200bは、ベース部材400に固定される支持部材である。可動ユニット200aは、固定ユニット200bに対して、光軸Pと直交する平面内の任意方向に変位可能な状態で固定ユニット200bに支持される。可動ユニット200aが光軸Pと直交する方向に移動することにより、光学的な像ブレ補正動作が実現される。
【0017】
固定ユニット200bの主要構成部材は、前側ヨーク210、ベースプレート250、および、後側ヨーク260である。可動ユニット200aの主要構成部材は、センサホルダ220および第3のフレキシブル基板240である。第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bは、可動ユニット200aと制御基板100とを接続する。第3のフレキシブル基板240は、センサホルダ220と制御基板100とを接続する。第1のフレキシブル基板270a、第2のフレキシブル基板270b、および、第3のフレキシブル基板240はいずれもフレキシブルプリント基板である。
【0018】
可動ユニット200aは撮像素子基板231を備え、該基板に撮像素子230が実装されている。撮像素子230は、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサやCCD(電荷結合素子)イメージセンサであり、被写体の光学像を電気信号に変換する。センサホルダ220には、撮像素子230および撮像素子基板231が接着固定されている。センサホルダ220において、撮像素子230よりも前側には光学ローパスフィルタ221が配置されている。光学ローパスフィルタ221は赤外線の入射を防止し、色モアレ等の発生を防止するための光学素子である。
【0019】
センサホルダ220には3か所の開口部223a、223b、223cが形成されている。また第3のフレキシブル基板240には3つのコイル241a、241b、241cが搭載されている(図3)。センサホルダ220に対して後側から第3のフレキシブル基板240が組み込まれて接着固定され、開口部223a、223b、223cに対してコイル241a、241b、241cがそれぞれ内部に収容される。
【0020】
センサホルダ220には、3か所の球受け部222a、222b、222c(図3)が形成されている。また前側ヨーク210には、球受け部222a、222b、222cとそれぞれ対向する位置に球受け部213a、213b、213c(図4)が形成されている。撮像素子230と撮像素子基板231を接着固定した状態のセンサホルダ220と、前側ヨーク210とは、それぞれ対向する球受け部同士の間に球体215a、215b、215cを挟持する。これにより、球体215a、215b、215cが転動可能に支持される。
【0021】
前側ヨーク210(図4)は、センサホルダ220と対向する面の所定に位置に磁石212a、212b、212cが接着固定されている。センサホルダ220には磁石212a、212b、212cと対向する位置に不図示の強磁性材料(鉄等)の板材が貼り合わされている。前側ヨーク210とセンサホルダ220とを所定距離まで近接させると、センサホルダ220は前側ヨーク210に磁気吸引される。センサホルダ220は球体215a、215b、215cを介して、光軸Pと直交する平面内の任意方向に変位可能な状態で前側ヨーク210に保持される。
【0022】
図4に示される前側ヨーク210にて磁石212a、212b、212cは、コイル241a、241b、241cとそれぞれ対向する位置に貼り付けられている。また前側ヨーク210には、支柱211a、211b、211cがベースプレート250に向けて立設されている。支柱211a、211b、211cは各々の一端部がベースプレート250に圧入されている。センサホルダ220を挟み込むようにして前側ヨーク210とベースプレート250とが接合される。
【0023】
ベースプレート250には、光軸Pの方向から見て異なる位置に開口部251a、251b、251cが形成されている。開口部251a、251b、251cには磁石261a、261b、261cがそれぞれ組み込まれている。光軸Pの方向から見た場合、磁石261a、261b、261cは、対応するコイル241a、241b、241cと略同じ位置で同じ形状に形成されている。また磁石261a、261b、261cは、対応するコイル241a、241b、241cとの中心が略一致する位置に配置される。
【0024】
作業者は、開口部251a、251b、251cに対して、磁石261a、261b、261cがそれぞれ内部に収容されるように、ベースプレート250に対して後側から後側ヨーク260を装着する。後側ヨーク260およびベースプレート250はいずれも強磁性材料で形成されている。作業者は、磁石261a、261b、261cが貼り合わされた後側ヨーク260をベースプレート250に位置合わせして接触させるだけで互いに磁気吸着させることができる。つまり接着剤を用いることなく2つの部品を接合可能である。
【0025】
またベースプレート250には、開口部252が形成されている。センサホルダ220が前側ヨーク210とベースプレート250とで挟持された状態では、開口部252から撮像素子基板231が後側に露出する。図4に示されるように、撮像素子基板231には、コネクタ232aおよび232bが実装されている。一方、図3に示されるように、第1のフレキシブル基板270aにはコネクタ271aが実装され、第2のフレキシブル基板270bにはコネクタ271bが実装されている。作業者は第1および第2のフレキシブル基板270a,270bを、撮像素子基板231に対して後側から開口部252を通過させて組み込み、コネクタ232aとコネクタ271aとを嵌合させ、コネクタ232bとコネクタ271bとを嵌合させる。コネクタ232a、232bとコネクタ271a、271bとは、互いに嵌合形状が適合するプラグコネクタとリセプタクルコネクタの関係になっている。またコネクタ271a、271bは、互いに平行な2列の信号端子列を有する構造である。
【0026】
第1および第2のフレキシブル基板270a,270bはいずれも、長尺の板状の形状を有し、各々の一端部にコネクタ271a、271bが実装されている。第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bの配線方向は長手方向であり、長手方向の各他端部には、コネクタ273、274がそれぞれ実装されている。コネクタ273は、制御基板100に実装されているコネクタ102(図2参照)と嵌合形状が適合するプラグコネクタとリセプタクルコネクタの関係になっている。同様に、コネクタ274は制御基板100に実装されているコネクタ103(図2参照)と嵌合形状が適合するプラグコネクタとリセプタクルコネクタの関係になっている。またコネクタ273、274は、コネクタ271a、271bと同様に、互いに平行な2列の信号端子列を有する構造である。
【0027】
コネクタ271a、271b(図3参照)とコネクタ232a、232b(図4参照)とが接続されることで、第1および第2のフレキシブル基板270a,270bがそれぞれ撮像素子基板231と電気的に接続される。また、これにより、コネクタ271a、271bが可動ユニット200aに固定される。
【0028】
次に、図5を参照して、第3のフレキシブル基板240について説明する。図5は、第3のフレキシブル基板240の正面図である。第3のフレキシブル基板240にはコイル241a、241b、241cが接着固定されている。第3のフレキシブル基板240には、各コイルの巻き線と電気的に接続するための半田付けランド243a、243b、243c、243d、243e、243fが形成されている。半田付けランド243a、243bに対して、コイル241aの巻き始めと巻き終わりの各端部の半田付け作業が行われる。同様に半田付けランド243c、243dに対して、コイル241bの巻き始めと巻き終わりの各端部の半田付け作業が行われる。半田付けランド243e、243fに対して、コイル241cの巻き始めと巻き終わりの各端部の半田付け作業が行われる。半田付け作業により、各コイルはそれぞれ第3のフレキシブル基板240と電気的に接続される。
【0029】
第3のフレキシブル基板240には、コイル241a、241b、241cの巻き線の内側にホール素子242a、242b、242cがそれぞれ実装されている。各ホール素子は、対応するコイル巻き線の内側において対をなす複数の半田付けランドの略中間位置に配置されている。第3のフレキシブル基板240は、その長手方向の一端部にコネクタ端子部244が形成されている。各半田付けランドや各ホール素子からの複数の配線パターンが第3のフレキシブル基板240の内部に展開されて、コネクタ端子部244へ接続されている。コネクタ端子部244は制御基板100に実装されているコネクタに接続される。
【0030】
このように、前側ヨーク210に設置されている磁石212a、212b、212cと後側ヨーク260に設置されている磁石261a、261b、261cとにより磁路が形成され、磁界環境中にコイル241a、241b、241cが配置される。制御部はこれらのコイルの電流を制御して各コイルにローレンツ力を発生させる。ローレンツ力を推力としてセンサホルダ220は光軸Pと直交する平面内の任意方向への変位が可能である。またホール素子242a、242b、242cは、コイル241a、241b、241cの内側にそれぞれ実装されており、センサホルダ220が磁石212a、212b、212cに対して相対的に移動することによる磁力の変化を検出する。各ホール素子の検出信号に基づいて、固定ユニット200bに対する可動ユニット200aの相対的な変位量、つまり光軸Pと直交する平面内の任意方向の変位量を検出することができる。
【0031】
像ブレ補正ユニット200を組み立てた状態において、撮像素子230に対するコイル241a、241b、241cの位置関係は異なっている。図1にて前述した方向の定義では、撮像素子230に対してコイル241cは右下部に位置し、コイル241aは右上部に位置する。また制御基板100(図2参照)にてコネクタ102、104は下側の位置に実装され、コネクタ103は上側の位置に実装されている。制御基板100にてコネクタ102、103、104は後面に実装されている。撮像素子基板231(図4参照)にてコネクタ232a、232bは後面に実装されている。
【0032】
撮像装置10における像ブレ方向はピッチ方向、ヨー方向、ロール方向である。ピッチ方向とヨー方向は撮像光学系の光軸Pにそれぞれ垂直であって互いに直交する軸の回りの2方向であり、ロール方向は光軸Pに平行な軸の回りの方向である。左右方向の軸を中心軸とする回転であるピッチ方向の像ブレを補正する場合、可動ユニット200aは上下方向へ並進移動する。上下方向の軸を中心軸とする回転であるヨー方向の像ブレを補正する場合、可動ユニット200aは左右方向へ並進移動する。前後方向の軸を中心軸とする回転であるロール方向の像ブレを補正する場合、可動ユニット200aは前後方向の軸に平行な軸を中心に回転移動する。
【0033】
次に、図6乃至図8を参照して、第1および第2のフレキシブル基板270a,270bの構成を説明する。図6は、第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bが固定された状態の可動ユニット200aを示す背面図である。図7は、第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bが固定された可動ユニット200aを制御基板100に取り付けた状態を後側から見た場合の図である。コネクタ273、274がコネクタ102、103にそれぞれ接続されている状態を示している。図8は、像ブレ補正ユニット200の斜視図である。
【0034】
図6に示されるように、第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bはそれぞれ、大別して3つの領域、すなわち2つの剛体部分(接続部)とこれらの剛体部分同士をつなぐ可撓部分(配線部)とで構成される。剛体部分(接続部)については、可撓部分(配線部)にガラスエポキシ樹脂等の絶縁補強材料を熱硬化性接着剤等で貼り合わせることで剛性を持たせており、可撓部分(配線部)表面にコネクタが実装されている。
【0035】
第1のフレキシブル基板270aは、その長手方向である配線方向においてコネクタ271a(図3参照)に近い側から順に、第1の接続部275a、第1の配線部276、および、第2の接続部278を有する。第1の配線部276は、第1の接続部275aから、光軸Pに直交する第1の方向へ延出する。第1の方向は図6の下方向である。コネクタ271aは第1の接続部275aに配置され、コネクタ273は第2の接続部278に配置される。
【0036】
第2のフレキシブル基板270bは、その長手方向である配線方向においてコネクタ271b(図3参照)に近い側から順に、第3の接続部275b、第2の配線部277、および、第4の接続部279を有する。第2の配線部277は、第3の接続部275bから、光軸Pに直交する第2の方向へ延出する。第2の方向は前記第1の方向とは反対方向、つまり図6の上方向である。コネクタ271bは第3の接続部275bに配置され、コネクタ274は第4の接続部279に配置される。
【0037】
第1の接続部275a、第3の接続部275b、第2の接続部278、および、第4の接続部279については、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁補強材料を熱硬化性接着剤等で貼り合わせることで剛性を持たせている。これらの接続部において絶縁補強材料を貼り合わせている面とは反対側の面に基板間の接続コネクタ(コネクタ271a、271b、273、274)が実装される。
【0038】
図6に示す第1のフレキシブル基板270aの配線方向において、第1の配線部276は、第1の接続部275aと第2の接続部278との間の領域に配置される。第1の配線部276は可撓性を有し、且つコネクタ271aおよびコネクタ273を電気的に接続している。また第2のフレキシブル基板270bの配線方向において、第2の配線部277は、第3の接続部275bと第4の接続部279との間の領域に配置される。第2の配線部277は可撓性を有し、且つコネクタ271bとコネクタ274とを電気的に接続している。
【0039】
図7に示されるように、制御基板100の下辺部と上辺部には切欠き部がそれぞれ形成されている。下辺部(第1の方向の縁)には第1の切欠き部107aが形成されており、上辺部(第2の方向の縁)には、第2の切欠き部107bが形成されている。第1のフレキシブル基板270aの第1の配線部276は、第1の切欠き部107aを通して配線され、第2のフレキシブル基板270bの第2の配線部277は、第2の切欠き部107bを通して配線されている。すなわち第1の配線部276は、第1の接続部275aから下方へ延びた後、後側に湾曲して第1の切欠き部107aを通り、上方に延在する。そしてコネクタ273がコネクタ102に嵌合される。一方、第2の配線部277は、第3の接続部275bから上方へ延びた後、後側に湾曲して第2の切欠き部107bを通り、下方に延在する。そしてコネクタ274がコネクタ103に嵌合される。
【0040】
図7に示される構成では、第2の配線部277と第1の配線部276とが制御基板100の上下方向の一部を覆い囲うようにして配線される。第2の配線部277と第1の配線部276は、像ブレを発生させる振動のピッチ方向、すなわち可動ユニット200aの並進方向である上下方向にて2ルートに分かれて引き出されている。このような引き出し方向に設定することで、可動ユニット200aを右方向へ駆動させるときと左方向へ駆動させるときとで、フレキシブル基板270a、270bの変形により生じる負荷を均一な大きさに近づけることができる。つまり、可動ユニット200aの駆動の向きの違いによる負荷の差を抑制可能である。
【0041】
図8を参照して、各フレキシブル基板270a、270bの変形により生じる負荷と可動ユニット200aの制御について説明する。ここでは可動ユニット200aが左方向へ移動する場合を想定する。この場合、右方向への反力Fxa、Fxbと、下方向への反力Fyaと、上方向への反力Fybが発生する。つまり、フレキシブル基板270a、270bがそれぞれ発生させる反力として、右方向への反力Fxa、Fxbが発生する。また、上下方向に関して、第1のフレキシブル基板270aの反力として下方への反力Fya、第2のフレキシブル基板270bの反力として上方への反力Fybが発生する。
【0042】
第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bは、上下方向の2ルートに引き出し方向が分割されている。そのため、反力Fyaと反力Fybの大きさは略等しくなるので、上下方向の負荷のバランスをとることが可能となる。従って、第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bの負荷は実質的に右方向のみに生じ、その大きさは反力Fxaと反力Fxbとの和となる。よって上下方向の負荷が略ゼロとなるので、左右方向の駆動制御のみとなり、制御が簡単になる。負荷の増大や制御の複雑化は、高精度の制御に必要な磁石やコイルの大型化の原因となり、結果的に撮像装置10の大型化につながる。したがって、負荷の増加を抑えつつ制御を簡単にすることは撮像装置10の小型化、消費電力の低減に寄与する。
【0043】
図6を参照して、第1および第2のフレキシブル基板270a,270bの寸法について説明する。長さL1は、第1のフレキシブル基板270aの配線方向において、第1の配線部276と第1の接続部275aとの境界から第1の配線部276と第2の接続部278との境界までの長さであり、第1の配線部276の長さに相当する。長さL2は、第2のフレキシブル基板270bの配線方向において、第2の配線部277と第3の接続部275bとの境界から第2の配線部277と第4の接続部279との境界までの長さであり、第2の配線部277の長さに相当する。また、配線方向である上下方向において、長さL3は光軸Pから第1の接続部275aと第1の配線部276との境界までの長さである。長さL4は光軸Pから第3の接続部275bと第2の配線部277との境界までの長さである。左右方向において、幅W1は第1の配線部276の幅であり、幅W2は第2の配線部277の幅である。
【0044】
基本的に、第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bの変形によって生じる負荷のバランスをより均一にするには、長さL1と長さL2とを略同じとし、長さL3と長さL4とを略同じとすることが好ましい。さらに、幅W1と幅W2とを略同じとすることが好ましい。「略同じ」とは、長さLまたは幅Wの差が許容誤差の範囲内で所定の閾値以下であることを意味する。
【0045】
一方、各フレキシブル基板の変形により生じる負荷は、それぞれの層構成や配線幅によっても異なるので、負荷のバラつきを相殺するように長さL、幅Wの調整が行われる。その結果、第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bの変形により生じる負荷をより均一な大きさに近づけることができ、このことは撮像装置10の小型化、消費電力の低減に寄与する。
【0046】
図7には可動ユニット200aが変位していない初期状態を示している。初期状態において、左右方向の長さX1、X2はそれぞれ、第1の配線部276と第1の切欠き部107aとの間隔を表す。つまり、第1の配線部276と第1の切欠き部107aとの間隔に関し、左側の間隔を長さX1と表記し、右側の間隔を長さX2と表記する。第1の切欠き部107aの左右方向の切欠き幅は、「第1の配線部276の幅+(X1+X2)」である。
【0047】
一方、上下方向の長さY1、Y2に関して、第1の切欠き部107aの深さ方向の位置と、第1の配線部276の湾曲形状の内側面の最下端との間隔を長さY1と表記する。また制御基板100の最外形の下端位置と第1の配線部276の湾曲形状の外側面との間隔を長さY2と表記する。
【0048】
固定ユニット200bに対して可動ユニット200aが最大限に変位した場合でも、第1の配線部276は第1の切欠き部107aの左右の縁および上方の縁に接触しないように、長さX1、X2、Y1が設定されている。また、固定ユニット200bに対して可動ユニット200aが最大限に変位した場合でも、第1の配線部276が第1の切欠き部107aから下方向に突出することがなく、従って、制御基板100の最外形の内側に収まるように長さY2が設定されている。
【0049】
まず、ヨー方向の像ブレ補正のために可動ユニット200aが左右方向へ並進移動する場合を説明する。長さX1は、可動ユニット200aの中心が光軸Pに合っている状態(初期状態)での位置を基準として、可動ユニット200aの左方向への並進移動の最大可動量より大きい値に設定される。長さX2は、初期状態での位置を基準として、可動ユニット200aの右方向への並進移動の最大可動量より大きい値に設定される。また、ピッチ方向の像ブレ補正のために、可動ユニット200aは上下方向へ並進移動する。長さY1は、初期状態での位置を基準として、可動ユニット200aの上方向への並進移動の最大可動量より大きい値に設定される。長さY2は、初期状態での位置を基準として、可動ユニット200aの下方向への並進移動の最大可動量より大きい値に設定される。
【0050】
第2の切欠き部107bと第2の配線部277との位置関係についても、第1の切欠き部107aと第1の配線部276との位置関係と同様に設定される。従って、固定ユニット200bに対して可動ユニット200aが最大限に変位した場合でも、第2の配線部277は第2の切欠き部107bの左右の縁および下方の縁に接触することがない。また、固定ユニット200bに対して可動ユニット200aが最大限に変位した場合でも、第2の配線部277が第2の切欠き部107bから上方向に突出することがなく、従って、制御基板100の最外形の内側に収まる。
【0051】
次に、図6乃至図9を参照して、撮像装置10の内部で展開される配線パターンについて説明する。図9は、制御基板100の内部に展開される配線パターンを表す正面図である。第1のフレキシブル基板270aには、コネクタ271a(図3参照)から第1の配線部276を介してコネクタ273(図6参照)まで電気的に接続される高速伝送配線が形成されている。この高速伝送配線は、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signal:低電圧差動信号)等の伝送方式を採用した、2本の信号線を1対とする伝送路を形成する。撮像装置10は、この高速伝送配線を使って撮像素子230と制御基板100との間で撮像信号を伝送し、撮像信号の高速伝送に対応している。第1のフレキシブル基板270aは、高速伝送配線以外にグランド配線や撮像素子230に必要な配線等を有する。
【0052】
第2のフレキシブル基板270bには、コネクタ271b(図3参照)から第2の配線部277を介してコネクタ274(図6参照)まで電気的に接続される電源配線が形成されている。第2のフレキシブル基板270bは、電源配線以外にグランド配線や撮像素子230に必要な配線等を有する。
【0053】
第1および第2のフレキシブル基板270a,270bは多層の積層構造を有し、本実施形態では2層構成である。第1のフレキシブル基板270aおよび第2のフレキシブル基板270bにおいて、コネクタ271a、271bが実装されている面とは反対側の面にコネクタ273、274が実装されている。高速伝送配線は、コネクタ271aの信号端子列から配線が延出し、コネクタ273の平行な2列の信号端子列の内、コネクタ271aから見て奥側の端子列に配置される信号端子列と電気的に接続されている。具体的には、高速伝送配線は、コネクタ273の実装面の裏側の面を通過した後、スルーホールを介してコネクタ273の実装面に配線されている伝送路と電気的に接続し、コネクタ271aから見て奥側の端子列に配置される信号端子と接続する。
【0054】
図9に示す制御IC101は、制御基板100に実装されているコネクタ102の右上に配置され、矩形状のパッケージ外形をなす制御回路部である。制御IC101が備える複数の信号端子は、制御基板100と半田で接合されて制御基板100と電気的に接続されている。制御基板100にて高速伝送配線105は、コネクタ102と制御IC101の信号端子の一部を電気的に接続している、3対の差動伝送配線である。高速伝送配線105は、第1のフレキシブル基板270aの内部の高速伝送配線に対してコネクタ273およびコネクタ102を介して電気的に接続されている。高速伝送配線105は、第1のフレキシブル基板270aの内部の高速伝送配線と同様の差動伝送路を形成している。制御基板100には高速伝送配線105以外にも様々な信号配線やグランド配線が展開されているが、図9ではそれらの図示を省略している。
【0055】
一般に、高速伝送路において、同期をとることが必要とされる複数の電気信号を伝送する場合、配線による遅延時間の差が十分小さくなるように設計が行われる。複数の電気信号が伝送される配線それぞれの長さが等しくなるように等長配線を行うことが好ましい。また、信号線は極力短く配線し、ノイズ等の影響を受けないように設計が行われる。像ブレ補正ユニット200から、制御基板100に実装される制御IC101までの伝送路の配線長を短くするために、制御基板100のコネクタ102と制御IC101とは極力近くに配置される。図9では制御IC101をコネクタ102の右上部に配置した例を示すが、制御IC101をコネクタ102の左側または右側に配置してもよい。それにより高速伝送配線の配線長をより短縮可能である。
【0056】
前述のように、第1のフレキシブル基板270aには高速伝送路が配線されており、第1の接続部275aに実装されているコネクタ271a、第2の接続部278に実装されているコネクタ273はノイズ源となる可能性がある。例えば、撮像素子基板231と接続されるコネクタ271aは、撮像装置10に内蔵された無線アンテナ10b(図1(A)参照)と近い側に配置されている。この場合、電磁界ノイズの伝搬による無線性能の低下を抑制する必要がある。
【0057】
また、第1の配線部276と第2の配線部277とが上下方向において互いに相反する方向へ延出されるので、可動ユニット200aが変位する際にかかる負荷のバランスを均一化することができる。従って、可動ユニット200aの駆動制御の複雑化と消費電力の増加を抑制できる。また、第1および第2のフレキシブル基板270a,270bの可撓性部分の、単位長さあたりの変形量を過剰に小さく設計しなくてもよいので、撮像装置10の小型化に有利である。
【0058】
本実施形態では、第1のフレキシブル基板270aと第2のフレキシブル基板270bとが発生させる反力の大きさを略等しくする設計が行われる。このため、第1の配線部276および第2の配線部277の長さ、幅、厚みを考慮した曲げ剛性の観点で両者の反力の設計が行われる。第1および第2のフレキシブル基板270a,270bの配線路の厚みを個別に設計することができる。例えば、第2のフレキシブル基板270bについては断面積を一定とした条件で厚みを増し且つ幅を狭め、第1のフレキシブル基板270aとの間で負荷が等しくなるように構成される。これにより、第2のフレキシブル基板270bの定格電流値を変化させずに幅を変更することが可能である。
【0059】
次に、図10乃至図13を参照して、第1および第2のフレキシブル基板の別構成、並びに後側ヨークの詳細な構成について説明する。図10は、第1のフレキシブル基板770aおよび第2のフレキシブル基板770bが固定された可動ユニット700aの背面図である。図11は、像ブレ補正ユニット700の斜視図である。図12は、第1のフレキシブル基板770aに対して施した電磁界ノイズ対策部品の貼付位置を示す分解斜視図である。図13は、電磁界ノイズ対策部品が貼付された第1のフレキシブル基板770aの基板接続時の状態を、右方向から見た場合の側面図であり、簡単化して示している。
【0060】
像ブレ補正ユニット700は、前述の像ブレ補正ユニット200に対応し、第1のフレキシブル基板770aおよび第2のフレキシブル基板770bが取り付けられる。第1および第2のフレキシブル基板770a,770bは、前述の第1および第2のフレキシブル基板270a,270bにそれぞれ対応する。像ブレ補正ユニット700が備える後側ヨーク265は、前述の後側ヨーク260に対応する。後側ヨーク265は、光軸Pの方向から見て外形形状がコ字状に形成された平板形状を成している。
【0061】
第1のフレキシブル基板770aは、配線方向(長手方向)においてコネクタ271a(図3参照)に近い側から順に、第1の接続部775a、配線部776、配線部780、および、第2の接続部782を有する。コネクタ271aは第1の接続部775aに配置され、コネクタ273は第2の接続部782に配置される。第1のフレキシブル基板270aと対比すると、第1の接続部775aが第1の接続部275aに対応し、配線部776および配線部780が第1の配線部276に対応し、第2の接続部782が第2の接続部278に対応する。
【0062】
第2のフレキシブル基板770bは、配線方向(長手方向)においてコネクタ271b(図3参照)に近い側から順に、第3の接続部775b、配線部777、配線部781、および、第4の接続部783を有する。第2のフレキシブル基板270bと対比すると、第3の接続部775bが第3の接続部275bに対応し、配線部777および配線部781が第2の配線部277に対応し、第4の接続部783が第4の接続部279に対応する。
【0063】
第1のフレキシブル基板770aの配線部776は、第1の接続部775aから、光軸Pに直交する方向(上方向)へ延出する。第2のフレキシブル基板770bの配線部777は、第3の接続部775bから、光軸Pに直交する方向(下方向)へ延出する。第1のフレキシブル基板770aには、第1の接続部775aに実装されるコネクタ271aから配線部776、780を介して第2の接続部782に実装されるコネクタ273まで電気的に接続される配線路が形成されている。また第2のフレキシブル基板770bには、第3の接続部775bに実装されるコネクタ271bから配線部777、781を介して第4の接続部783に実装されるコネクタ274まで電気的に接続される配線路が形成されている。第1のフレキシブル基板770aおよび第2のフレキシブル基板770bは、コネクタの実装面が同一面に揃っているため、片面の配線構造でも製造可能である。本実施形態では定性的に柔らかい構成を達成しやすい片面配線構成が採用されている。
【0064】
第1のフレキシブル基板770aの配線方向にて第1の接続部775aと第2の接続部782との間の配線部の途中位置には、第1の固定部778が形成されている。すなわち第1の固定部778は、配線部776と配線部780との間に設けられ、後側ヨーク265に固定される(図11)。第1の固定部778は第1のフレキシブル基板770aの長手方向の側辺部から、配線方向に直交する左右方向にそれぞれ突出した2つの取付け部を有する。
【0065】
一方、第2のフレキシブル基板770bの配線方向にて第3の接続部775bと第4の接続部783との間の配線部の途中位置には、第2の固定部779が形成されている。すなわち第2の固定部779は、配線部777と配線部781との間に設けられ、後側ヨーク265に固定される(図11)。第2の固定部779は第2のフレキシブル基板770bの長手方向の側辺部から、配線方向に直交する左右方向にそれぞれ突出した2つの取付け部を有する。
【0066】
第1の固定部778および第2の固定部779はそれぞれの2つの取付け部に、後側ヨーク265に対して位置合わせを行うための穴部が形成されている。作業者は、治具等を用いて固定部778、779を後側ヨーク265の対応する穴部に対して位置合わせした後、後側ヨーク265に固定する。固定部778、779は後側ヨーク265に固定されるので、固定部778、779の位置は変位しない。したがってフレキシブル基板770aにおける第2の接続部782側の領域、フレキシブル基板770bにおける第4の接続部783側の領域は変位しない。
【0067】
配線部776は、一定量の撓みが形成された状態で、第1の固定部778が後側ヨーク265に固定されることにより、撓み形状が維持される。同様に、配線部777は、一定量の撓みが形成された状態で、第2の固定部779が後側ヨーク265に固定されることにより、撓み形状が維持される。配線部776、777に形成される撓み量は、所定量を維持することができるように設定される。所定量とは、可動ユニット700aが最も光軸Pから離れた位置に変位した場合に、配線部776、777が延びきってしまうことなく維持可能な撓み量である。
【0068】
左右方向にて配線部776、777は、可動ユニット700aの左右方向の並進移動の最大可動量以上に離れている。これにより、像ブレ補正の際に配線部同士が互いに干渉して負荷に影響を与えることが回避される。
【0069】
配線部776と配線部777は、可動ユニット700aの並進方向である上下方向において2ルートに分かれて、互いに相反する方向に引き出されている。従って、可動ユニット700aを右方向へ駆動させるときと左方向へ駆動させるときとで、第1および第2のフレキシブル基板770a,770bの変形により生じる負荷を均一化することができる。また、可動ユニット700aを上方向へ駆動するときと下方向へ駆動するときとで、第1および第2のフレキシブル基板770a,770bの変形により生じる負荷を均一化することができる。
【0070】
図12および図13を参照して、第1のフレキシブル基板770aに施した電磁界ノイズ対策に関する構成を詳述する。第1のフレキシブル基板770aに配線される高速伝送路では、高速伝送配線から電磁界ノイズが発生した場合、主として、基板間の接続部がノイズ源となり得る。例えば、第1の接続部775aに実装されているコネクタ271aがノイズ源となることを回避する必要がある。また、第1のフレキシブル基板770aから発生した電磁界ノイズがフレキシブル基板770aに近接している撮像装置内部の金属部材や金属外装へ伝搬することへの対策が必要となる。
【0071】
本実施形態では電波吸収体790を使用して電磁界ノイズ対策が講じられる。電波吸収体790は、例えば100μm(マイクロメートル)程度の薄いシート状の部材である。電波吸収体790はセンダストやフェライト等の磁性材料の粉末を含む磁性層を有する。但し、これに限定されるものではなく、他の誘電体または非導体を使用してもよい。電波吸収体790は、例えばアクリル系の両面テープや熱硬化性接着剤で部材に接着できるよう構成されている。
【0072】
図12に示す複数の絶縁補強材料部791bと778aは、電波吸収体790と配線部との間に所定距離を確保するための離隔部材(スペーサー)として使用される。絶縁補強材料部791aは第1の接続部775aに貼付けられ、絶縁補強材料部791bは第2の接続部782に貼付けられる。絶縁補強材料部778aは配線部776と配線部780との間の部分、つまり第1の固定部778が有する2つの取付け部の間の部分に貼付けられる。
【0073】
コネクタ273の裏面側において、絶縁補強材料部791b,778aは、第1のフレキシブル基板770aと電波吸収体790との間に介在される。つまり電波吸収体790は絶縁補強材料部791b,778aを介して、第1のフレキシブル基板770aの一部に接着固定されている。第1のフレキシブル基板770aの剛体部分である接続部782において電波吸収体790は貼付されるが、配線部780において第1のフレキシブル基板770aに電波吸収体790は貼付されない。基板接続状態では、図13に示されるようにフレキシブル基板770aには上側の湾曲部776Rと下側の湾曲部780Rが形成される。電波吸収体790は、基板接続状態にてフレキシブル基板770aに倣って湾曲するが、配線部780においてフレキシブル基板770aとの間にクリアランスが設けられた構成である。第1のフレキシブル基板770aの配線方向において、電波吸収体790は配線部780の長さよりも長いので、フレキシブル基板770aとの間によりクリアランスを設けることができる。なお、絶縁補強材料部778aについては図12の例に限らず、配線部776に絶縁補強材料部778aを配設して、電波吸収体790を接着してもよい。
【0074】
図12および図13で説明した方法は、第1のフレキシブル基板770aの配線部776の負荷が像ブレ補正ユニットの性能に大きな影響を与える場合に効果的である。すなわち配線部776に対して電波吸収体790を配置しない構成により、可動ユニット700aが変位する際にフレキシブル基板の変形によって生じる負荷の増大を抑えることが可能となる。
【0075】
ところで、LVDSに代表される高速伝送配線を採用する場合には、信号品質を管理することが必要となる。電波吸収体790と配線部780とが密着または接触している構成では、電波吸収体790が信号伝送に影響を及ぼす可能性がある。図12および図13で説明した方法によれば、配線部780において電波吸収体790との間にクリアランスを十分確保できるので、信号伝送の影響を最小限に抑えることが可能である。すなわち、信号伝送に影響の少ない磁性タイプの電波吸収体790と配線部780とのクリアランスを所定量以上に確保可能な構成が好適である。
【0076】
電波吸収体790については、第1のフレキシブル基板770aに対してコネクタ273の裏面の絶縁補強材料部791b側、すなわち撮像装置の外装側に貼付けられる。これは、第1のフレキシブル基板770aから撮像装置底面に配置される不図示の部材(撮像装置内部の金属部材や金属外装部材等)への電磁界ノイズの伝搬を防止するためである。本実施形態の構成を採用し、電波吸収体790がコネクタ投影方向の全面(投影領域の全体)と金属部材を覆うことで、より電磁界ノイズ対策の効果を高めることが可能となる。コネクタ投影方向とは、コネクタ273の端子部の配列方向に直交する方向(図13では下方向)である。
【0077】
[第2実施形態]
図10図14図15を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、主として、第1のフレキシブル基板770aに対して電波吸収体790を貼り付けた構成に関する前記実施形態との相違点を説明する。なお、説明済みの事項については既に使用した符号を流用することで、それらの詳細な説明を省略する。
【0078】
図14は本実施形態において第1のフレキシブル基板770aに対して施した電磁界ノイズ対策部品の貼付位置を示す分解斜視図である。図15は、電磁界ノイズ対策部品が貼付された第1のフレキシブル基板770aの基板接続時の状態を右方向から示す簡略化した側面図である。
【0079】
図14に示す第1の固定部778、および、配線部776に対して絶縁補強材料部778b、776bが配置される。第1のフレキシブル基板770aのコネクタ271aの実装面と同一の面に対して電波吸収体790部分的に接着されている。すなわち、第1のフレキシブル基板770aの配線部776のうちの湾曲部776R以外の領域において電波吸収体790が貼付けられる。湾曲部776Rは、図15にて第1の接続部775aの絶縁補強材料部791aの上端より上側に位置した配線部776に相当する。基板接続状態では、図15に示されるようにフレキシブル基板770aは変形するが、可撓部分である配線部776においてフレキシブル基板770aと電波吸収体790との間にクリアランスが設けられている。
【0080】
第1のフレキシブル基板770aの湾曲部776Rの負荷は像ブレ補正ユニットの性能に大きな影響を及ぼす可能性がある。図14に示した貼付方法によれば、湾曲部776Rに電波吸収体790を配置しない構成とすることにより、可動ユニット700aが変位する際にフレキシブル基板の変形によって生じる負荷の増大を抑制可能である。また、電波吸収体790とフレキシブル基板770aとが接触または近接して配置されると、信号伝送に影響を与える可能性がある。図14の貼付方法によれば、配線部776においてフレキシブル基板770aと電波吸収体790との間にクリアランスを設けた構成とすることにより、信号伝送の影響を最小限に抑制可能である。
【0081】
一方、LVDSに代表される高速伝送配線を使用する場合には、信号品質の管理が必要となる。電波吸収体790と配線部776とが密着または接触している構成においては、電波吸収体790が信号伝送に影響を与える可能性がある。図14の貼付方法によれば、配線部776と電波吸収体790との間にクリアランスを設けた構成とすることにより、信号伝送の影響を最小限に抑えることが可能である。信号伝送に影響の少ない磁性タイプの電波吸収体790と配線部776とのクリアランスを所定量以上に確保可能な構成が好適である。
【0082】
電波吸収体790は、第1のフレキシブル基板770aのコネクタ271aの実装面と同一の面に対して部分的に接着している。これは、フレキシブル基板770aから撮像装置背面に配置される不図示の部材(撮像装置内部の金属部材等)への電磁界ノイズの伝搬を防止するためである。本実施形態の構成を採用し、電波吸収体790がコネクタ投影面の全面(投影領域の全体)と金属部材を覆うことで、より電磁界ノイズ対策の効果を高めることが可能となる。
【0083】
次に図10を参照して各部材の寸法について説明する。第1の接続部775aと配線部776との境界から第1の固定部778までの長さをL5と表記する。第3の接続部775bと配線部777との境界から第2の固定部779までの長さをL6と表記する。光軸Pから第1の接続部775aと配線部776との境界までの長さをL7、光軸Pから第3の接続部775bと配線部777との境界までの長さをL8と表記する。左右方向における、配線部776の幅をW3、配線部777の幅をW4と表記する。
【0084】
基本的には、第1および第2のフレキシブル基板770a,770bの変形によって生じる負荷のバランスをより均一にするために、以下の設定が行われる。
・長さL5と長さL6とを略同じにすること。
・長さL7と長さL8とを略同じにすること。
・幅W3と幅W4とを略同じにすること。
【0085】
一方、フレキシブル基板の変形によって生じる負荷はそれぞれの層構成や配線幅によっても異なる。そのため、負荷バラつきを相殺するように長さL、幅Wを調整が行われる。その結果、第1および第2のフレキシブル基板770a,770bの変形によって生じる負荷をより均一化できるので、撮像装置10の小型化、消費電力の低減に寄与する。
【0086】
本実施形態においては、第1のフレキシブル基板770aに対して電磁界ノイズ対策を施した構成を説明したが、第2のフレキシブル基板770bに対しても同様の対策が施される。この場合、第2のフレキシブル基板770bに対して電波吸収体790と同様の第2の電波吸収体が設けられる。また、第1および第2のフレキシブル基板770a,770b、第3のフレキシブル基板240を別体に形成する構成以外に、これらを一体的に構成する実施形態がある。
【0087】
本実施形態によれば、可動ユニットが変位する際にかかる負荷の増大を抑えつつ、電磁界ノイズの低減が可能である。特に、電磁界ノイズ発生源となりやすい基板との接続部とフレキシブル基板と金属部材の近接部分において、電波吸収体790がコネクタ投影面を覆うことで、より電磁界ノイズ対策の効果を高めることが可能である。
【0088】
また本実施形態では、配線部776と配線部777とが上下方向において互いに相反する方向へ延出されるので、可動ユニット700aが変位する際にかかる負荷のバランスを均一化できる。配線部776、777が主に撓み、固定部778、779よりも第2の接続部782側の領域、第4の接続部783側の領域はほとんど撓まない。従って、制御基板100における切欠き部107a、107bの形成に関して、可動ユニット700aの最大変位量を考慮した分だけ余裕を持って大きく形成する必要がない。これは、制御基板100の基板面積を拡大する上で有利な点である。また、第1のフレキシブル基板770aの内部に配線される高速伝送路を等長配線で揃えつつ、配線部780を適宜好適な形状にするのに有利となる。従って、高速伝送路の伝送品質を確保しつつ、制御基板100の部品配置、配線の自由度を向上させることができる。
【0089】
本実施形態の変形例として、第1の固定部778および第2の固定部779を、後側ヨーク265に対して、別個の保持部材等を介して固定する構成がある。その場合、保持部材には円筒形の位置決め形状部が設けられ、固定部778、779に設けられている穴部と位置決め形状部とが嵌合される。また、配線部776、777において、配線路と平行な方向に沿ったスリット部等を形成することにより、変形により生じる負荷を低減させることができる。これは、像ブレ補正ユニット700をより高精度に制御する上で有利である。
【0090】
以上のように、撮像装置10は、支持部材である固定ユニット200b、可動部材である可動ユニット200a、制御部を構成する制御基板100を備える。可動部材は、支持部材に対して変位可能に支持されており、制御部は、可動部材の移動を制御する。フレキシブル基板は可動部材が備える回路部と制御部とを電気的に接続する。シート状の電波吸収体790は、フレキシブル基板に対して離隔部材(776b,778a、778b,791b)を介して部分的に固定されている。好ましくは、フレキシブル基板は、可動部材に接続される第1の接続部と、該接続部から延出する配線部と、配線部の端部に配置されて制御部に接続される第2の接続部を有する。電波吸収体は、第1または第2の接続部の近傍において部分的に貼付されている。
【0091】
また可動部材は、支持部材に対して所定の軸(光軸P)と直交する方向に変位可能な状態で支持部材に支持されている。例えば可動部材の移動により像ブレを補正する像ブレ補正ユニットが構成される。像ブレ補正ユニットは可動部材を駆動する電磁駆動手段(コイルおよび永久磁石)を備える。制御部は像ブレ補正ユニットの制御に関し、可動部材とともに撮像素子、またはレンズやプリズム等の光学部材を、支持部材に対して変位させる制御を行う。
【0092】
前記の各実施形態では電子機器の例として撮像装置を説明した。これに限定されるものではなく、支持部材に変位可能な状態で支持された可動部材と、制御基板とが、フレキシブル基板で接続される各種の電子機器に適用可能である。可動部材が変位する際の負荷の増大を抑制しつつ、電磁界ノイズを低減することが可能な電子機器を提供することができる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 撮像装置(電子機器)
100 制御基板(制御部)
200 撮像ユニット
770a,770b フレキシブル基板
776b,778a、778b,791b 絶縁補強材料部(離隔部材)
790 電波吸収体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図13
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