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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】光学機器の評価方法および評価装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240716BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020068987
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021165936
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】畠山 泰裕
【審査官】石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-357507(JP,A)
【文献】特開2019-037642(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1300250(KR,B1)
【文献】特開2010-206553(JP,A)
【文献】米国特許第06677591(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01M 11/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学機器の性能に関するデータであって、該光学機器の使用に伴って変化した第1のデータを取得するステップと、
前記光学機器の基準性能に関する第2のデータを取得するステップと、
前記第1のデータと前記第2のデータとを用いて前記光学機器の性能を評価する評価ステップとを有し、
前記第2のデータは、前記光学機器の工場出荷時の性能に関するデータ、および前記光学機器の設計上の性能に関するデータを含み、
前記評価ステップにおいて、前記第1のデータと前記工場出荷時の性能に関するデータとを用いた評価結果と、前記第1のデータと前記設計上の性能に関するデータとを用いた評価結果とを組み合わせて前記光学機器の性能を評価することを特徴とする光学機器評価方法。
【請求項2】
前記評価ステップにおいて、前記第1のデータと前記第2のデータとの割合または差に応じて前記光学機器の性能の劣化度を評価することを特徴とする請求項1に記載の光学機器評価方法。
【請求項3】
前記第1のデータと前記第2のデータを、光学機器個体ごとの第1および第2のデータを保存するサーバから前記光学機器の個体を示す識別情報を用いて取得することを特徴とする請求項1または2に記載の光学機器評価方法。
【請求項4】
前記第1および第2のデータは、前記光学機器の光学性能に関するデータであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の光学機器評価方法。
【請求項5】
前記第1および第2のデータは、前記光学機器のメカニカルな駆動性能に関するデータであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の光学機器評価方法。
【請求項6】
コンピュータに、請求項1からのいずれか一項に記載の光学機器評価方法に従う処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
光学機器の性能に関するデータであって、該光学機器の使用に伴って変化した第1のデータを取得する第1の取得手段と、
前記光学機器の基準性能に関する第2のデータを取得する第2の取得手段と、
前記第1のデータと前記第2のデータとを用いて前記光学機器の性能を評価する評価手段とを有し、
前記第2のデータは、前記光学機器の工場出荷時の性能に関するデータ、および前記光学機器の設計上の性能に関するデータを含み、
前記評価手段において、前記第1のデータと前記工場出荷時の性能に関するデータとを用いた評価結果と、前記第1のデータと前記設計上の性能に関するデータとを用いた評価結果とを組み合わせて前記光学機器の性能を評価することを特徴とする光学機器評価装置。
【請求項8】
前記光学機器の性能を計測して前記第1のデータを生成する計測装置と、
前記光学機器の個体ごとの前記第1のデータおよび前記第2のデータを保存するサーバと、
前記サーバから前記第1のデータおよび前記第2のデータを取得する請求項に記載の光学機器評価装置とを有することを特徴とする光学機器評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換レンズやカメラ等の光学機器の性能を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンシューマ向けのデジタルカメラや交換レンズ等の光学機器において、中古販売価格を設定したり修理費用を算出したりするために、該光学機器の性能(品質)が評価される。具体的には、特許文献1、2には、光学機器の使用回数や外観、光学機器に加わった衝撃の履歴、光学機器において検出された異常等の情報を用いて評価を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-171265号公報
【文献】特開2003-141283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光学機器の使用回数や衝撃の履歴による評価では、温度や湿度等の使用環境に応じた性能の変化までを反映した評価結果が得られない。また光学機器の外観に傷がなくても、大きな衝撃が加わっている可能性を否定できない。さらに光学機器のメカニカルな駆動部の異常については容易に検知が可能であるが、撮像画質のような撮像性能については明確に異常として検知することが困難である。しかも、大量生産品であるコンシューマ製品においては、新品であっても部品製造誤差や組立誤差による性能のバラつきが発生する。
【0005】
本発明では、従来よりも高精度に光学機器の性能を評価することができるようにした光学機器評価方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての光学機器評価方法では、光学機器の性能に関するデータであって、該光学機器の使用に伴って変化した第1のデータを取得するステップと、光学機器の基準性能に関する第2のデータを取得するステップと、第1のデータと第2のデータとを用いて光学機器の性能を評価するステップとを有し、第2のデータは、光学機器の工場出荷時の性能に関するデータ、および光学機器の設計上の性能に関するデータを含み、評価ステップにおいて、第1のデータと工場出荷時の性能に関するデータとを用いた評価結果と、第1のデータと設計上の性能に関するデータとを用いた評価結果とを組み合わせて光学機器の性能を評価することを特徴とする。なお、コンピュータに上記光学機器評価方法に従う処理を実行させるコンピュータプログラムも、本発明の他の一側面を構成する。
【0007】
また本発明の他の一側面としての光学機器評価装置は、光学機器の性能に関するデータであって、該光学機器の使用に伴って変化した第1のデータを取得する第1の取得手段と、光学機器の基準性能に関する第2のデータを取得する第2の取得手段と、第1のデータと第2のデータとを用いて光学機器の性能を評価する評価手段とを有し、第2のデータは、光学機器の工場出荷時の性能に関するデータ、および光学機器の設計上の性能に関するデータを含み、評価手段において、第1のデータと工場出荷時の性能に関するデータとを用いた評価結果と、第1のデータと設計上の性能に関するデータとを用いた評価結果とを組み合わせて光学機器の性能を評価することを特徴とする。なお、光学機器の性能を計測して第1のデータを生成する計測装置と、光学機器の個体ごとの第1のデータおよび前記第2のデータを保存するサーバと、サーバから第1のデータおよび第2のデータを取得する上記光学機器評価装置とを有する光学機器評価システムも、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高精度に光学機器の性能を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例におけるレンズ計測/評価処理を示すフローチャート。
図2】実施例におけるレンズ評価システムの構成を示す図。
図3】実施例におけるレンズ計測装置と交換レンズの構成を示す図。
図4】実施例におけるデータサーバと評価端末の構成を示す図。
図5】実施例におけるデータサーバ上のデータ保存構造を示す図。
図6】実施例における出荷時計測処理を示すフローチャート。
図7】実施例における評価時計測処理を示すフローチャート。
図8】実施例における評価処理を示すフローチャート。
図9】実施例におけるフォーカスアクチュエータの計測/評価処理を示すフローチャート。
図10】実施例におけるフォーカスアクチュエータの起動周波数取得処理を示すフローチャート。
図11】実施例におけるフォーカスアクチュエータの境界周波数取得処理を示すフローチャート。
図12】実施例におけるフォーカスアクチュエータの評価処理を示すフローチャート。
図13】実施例におけるMTF%データ(テーブルデータ)を示す図。
図14】実施例におけるフォーカスアクチュエータの駆動速度データ(テーブルデータ)を示す図。
図15】実施例におけるMTFに関する性能評価分類を示す図。
図16】実施例におけるフォーカスアクチュエータに関する性能評価分類を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施例である光学機器評価システムとしてのレンズ評価システムの構成を示している。レンズ評価システムは、光学機器としての交換レンズ100の性能を計測するレンズ性能計測装置200と、データサーバ300と、光学機器評価装置としての評価端末400とにより構成される。レンズ性能計測装置200、データサーバ300および評価端末400は、ネットワークNを介して相互に通信が可能である。
【0011】
図3は、交換レンズ100とレンズ性能計測装置200の詳細な構成を示している。交換レンズ100は、変倍レンズ、フォーカスレンズ、防振レンズおよび絞り等の等の光学素子110と、該光学素子110を移動させるメカニカル駆動部としてのアクチュエータ(ACT)120と、ACT120を駆動するドライバ130と、内部メモリ140と、計測用カメラ230と通信する通信部150と、交換レンズ100の全体を制御するレンズ制御部160とを有する。内部メモリ140は、交換レンズ100の個体を識別するために用いられる識別情報やACT120を駆動するための各種駆動情報を保持する。
【0012】
レンズ性能計測装置200は、計測用ディスプレイ210と、駆動ステージ220と、計測用カメラ(撮像装置)230と、計測端末240とにより構成されている。計測用ディスプレイ210は、計測端末240に含まれる各種ドライバ241からのチャート表示信号に応じて計測用チャート等を表示する。交換レンズ100(光学素子110)は、計測用ディスプレイ210に表示された計測用チャートからの光を計測用カメラ230内の撮像素子231上に結像させる。
【0013】
駆動ステージ220は、計測端末240の各種ドライバ241からのステージ駆動信号に応じて、計測用ディスプレイ210と交換レンズ100が装着された計測用カメラ230を光軸方向や光軸に直交する方向に移動させたり、光軸回りまたは光軸に直交する軸回りで回転させたりする。例えば、交換レンズ100の防振性能に関する計測においては計測用カメラ230を移動させる。また動く被写体に対するフォーカス追尾性能に関する計測においては計測用ディスプレイ210を移動させる。
【0014】
計測用カメラ230は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子231と、交換レンズ100との通信を可能とする通信部232と、計測端末240との通信を可能とする通信部233と、内部メモリ234と、カメラ制御部235とを有する。撮像素子231は計測用ディスプレイ210に表示された計測用チャートを交換レンズ100を介して撮像し、該撮像により得られた画像データを内部メモリ234に保存する。保存された画像データは、通信部233を介して計測端末240に送信される。カメラ制御部235は、計測端末240からの指令に応じて計測用カメラ230を制御するとともに、交換レンズ100に制御指令を送信する。
【0015】
なお、本実施例では、計測用カメラ230として通常のレンズ交換型カメラを用いているが、計測専用の撮像装置を用いてもよい。
【0016】
計測端末240は、計測用カメラ230との通信を可能とする通信部242と、データサーバ300に対してデータ通信を行うネットワークとの通信を可能とする通信部243と、計測記憶部244と、計測制御部245と、各種ドライバ241と、入力部246とを有する。入力部246に入力された各種計測項目や計測条件等の情報は、計測制御部245に伝えられる。計測制御部245は、入力された計測項目や計測条件に応じて、通信部242を介して計測用カメラ230および交換レンズ100に指令を送信し、該計測項目について計測条件に従って交換レンズ100の性能を計測する。計測制御部245は、該計測により得られた性能計測データを交換レンズ100の識別情報と対応付けて計測記憶部244に一時的に保存する。保存された性能計測データは、通信部243およびネットワークを介してデータサーバ300に送信される。性能計測データは、交換レンズ100の性能に関するデータであって、ユーザによる該交換レンズ100の使用に伴って変化する第1のデータに相当する。
【0017】
図4は、データサーバ300と評価端末400の詳細な構成を示している。データサーバ300は、レンズ性能計測装置200および評価端末400との通信を可能とする通信部310と、後述する各種データを保持する記憶部320と、個体情報その他の情報を管理してデータサーバ全体を制御するサーバ制御部330とにより構成されている。
【0018】
評価端末400は、データサーバ300との通信を可能とする通信部410と、各種情報が入力される入力部420と、表示部430と、評価結果を記憶する記憶部440と、評価端末400全体を制御するとともに交換レンズ100を評価する評価制御部450とを有する。
【0019】
評価制御部450は、ネットワークNおよび通信部410を介してデータサーバ300に対して各種データを送受信する。評価制御部450は、さらにネットワークNおよび通信部410を介してレンズ性能計測装置200とも通信が可能であり、レンズ性能計測装置200に設置された交換レンズ100から識別情報を取得したり、該識別情報に対応する性能計測データと性能基準データをデータサーバ300から取得したりする。性能基準データは、交換レンズ100の基準性能に関する第2のデータに相当し、後述する出荷時データや設計上のデータ(以下、設計値データという)を含む。評価制御部450は、性能計測データと性能基準データとを用いて、入力部420から入力された各種評価項目についての交換レンズ100の評価を行い、その評価結果を表示部430に表示させる。
【0020】
なお、評価端末400とデータサーバ300は一体の端末であってもよい。また、データサーバ300はシステム管理者用の端末とするが、評価端末400はシステム管理者用の端末であってもよいしユーザ(クライアント)用の端末であってもよい。
【0021】
さらに本実施例では、交換レンズを評価対象とするレンズ評価システムについて説明するが、レンズ交換型カメラ、レンズ一体型カメラ、エクステンダや光学フィルタ等のアクセサリを評価対象とするように光学機器評価システムを構成してもよい。
【0022】
次に、データサーバ300に保有されるデータのデータ形式について詳述する。図13は、交換レンズの光学性能を示す指標の1つであるMTF(modulation transfer function )の各像面位置におけるパーセンテージのデータ(以下、MTF%データという)を示すテーブルデータの例である。テーブルデータは、下記のように表現される。
Table[001]「y,z」(x,Co,f,Z,Fo,Iris,g,Di,Ad,Disc)
上記テーブルデータにおいて、Tableはテーブルデータであることを示し、[]内の数字はテーブルデータ内のデータの通し番号を示す。001はMTF%データを示す。「」内の文字は、テーブルデータのメイン変数であり、2次元テーブルの大きさがy行×z列の配列であることを示す。以下の説明では、テーブルデータの数の単位を「枚」とする。()内の文字はサブ変数を示し、テーブルデータがサブ変数の組み合わせの枚数だけ存在することを示す。
【0023】
次に各変数について説明する。yとzはレンズ性能計測装置に装着された交換レンズの位置を示し、レンズ性能計測装置200に装着されたときの交換レンズの位置を基準として、上下方向の位置をy、左右方向の位置をzとする。本実施例では、yとzはそれぞれの方向において等分に64分割された位置を示す。xは光軸方向の位置(mm)を示し、撮像面の位置を0としたときの像面側を+、物体側を-としている。光軸方向での移動は、撮像面を移動させてもよいし、被写体距離を変化させたりフォーカスレンズを移動させたりする等で行ってもよい。
【0024】
Coは計測時に使用する光源の色(波長)であり、本実施例においては白色光として、特定のスペクトル波形を使用している。fは空間周波数(本/mm)、Zは焦点距離(mm)、Foは被写体距離(m)、Irisは絞り値、gは重力が作用している方向を示す。DiはMTF計測時の白黒のチャート線の方向を示し、一般的にサジタル方向とメリジオナル方向もしくは縦線と横線といった表現で区別される。Adはエクステンダに代表されるアダプタの有無を示す。Discは、MTFの計測をいつどこで行ったかや、出荷時データか設計値データか等を判別するための判別用データである。
【0025】
なお、データ形式はこれに限らず、例えばy、zの代わりにR、θ座標系で表してもよいし、Foを被写体距離ではなく、フォーカスレンズの位置としてもよい。
次に、交換レンズ100の光学性能を評価する際に用いられるテーブルデータの例を示す。このテーブルデータは、MTF%データの重み付け用テーブルデータとして、以下のように表現される。
Table[002]「y,z」(x,Co,f,Z,Fo,Iris,g,Di,Ad)
このTable[002]は、性能評価時に加重平均を計算するときに用いられる。例えば、x=-1、0、+1という変数を設定し、他の変数が特定の値であるときに交換レンズ100のピントが合う合焦位置x=0の重みを1に設定する。また合焦位置に対して手前側の位置x=-1の重みを0.5を設定し、合焦位置に対して奥側の位置x=+1の重みを0.3に設定している。xは、変数Irisと組み合わせることで、いわゆるボケ味を評価するパラメータともなり、光学性能がx=0からなだらかに変化することが望ましい。特に、深度が浅い焦点距離Zが大きい条件では、x=-1の重みを0.4等に増加させることも可能である。また、被写体距離Foが∞距離である場合は、無限遠よりも遠い被写体が通常では存在しないため、x=-1の重みを0とし、x=+1の重みを0.7としており、変数によって種々の重みの付け方を採用してもよい。
【0026】
また、Coは計測時に使用する光源の色(波長)であり、短波長な光である青色光、長波長である赤色光またはその他波長が混合した白色光を区別するための変数である。x=0とx=-1とx=+1でCoを変更したときに大きく差が出る場合は軸上色収差が大きく発生していることを示す。また、yとzの絶対値が大きい範囲(=計測画像データの端付近)でCoによって大きく性能が変化する場合は、倍率色収差が大きく発生していることを示す。望遠レンズにおいては色収差の重みを大きくするというように、交換レンズの機種ごとの特性に合わせた重み付けを行う。
【0027】
デジタルカメラでは、色収差の補正を画像処理システムで行うことが一般的である。しかし、設計値または出荷時から光学性能が変化すると画像処理で誤った補正が行われるため、出荷時と使用(計測)時とで性能を比較することは、画像処理システムも含めた撮像性能を評価する上で有効である。
【0028】
本実施例においては、Table[002]を交換レンズの機種ごとに代表値としてデータサーバ300上に保存する。ただし、評価端末400の入力部420からの情報に応じて別のデータを使用したり重み付け量を変更したりしてもよい。ここでいう別のデータとは、例えば同じ焦点距離の別レンズと比較するためのデータや、ユーザの好みに合わせた「解像度優先」や「ボケ味優先」、「歪曲優先」である。さらに具体的には、「中心解像度優先」、「周辺解像度優先」等の単一の収差情報だけでなく、撮像素子中の座標も考慮して重みを考えることが可能である。
【0029】
図14は、交換レンズ100のメカニカルな駆動性能を評価する際に用いられるテーブルデータの例を示す。ここでは、交換レンズにおいてフォーカスレンズを移動させるACT120(フォーカスアクチュエータ)としての圧電素子を用いた振動型モータ(USM)に関するテーブルデータを示している。このテーブルデータは、制御命令の1つである駆動周波数に対する駆動速度を記憶しており、以下のように表現される。
Table[010]「f,Di」(T,g,Disc)
この駆動速度データのテーブルデータにおいて、[]内の数字の010は、振動型モータの駆動速度のデータであり、駆動周波数fと駆動方向Diをメイン変数としている。()内の文字はサブ変数を示し、テーブルデータがサブ変数の組み合わせの枚数だけ存在することを示す。
【0030】
次に各変数について詳述する。fは振動型モータの制御を行う駆動周波数であり、周波数範囲の最大値を基準として、100Hz刻みで最小値まで30分割した周波数域で表される。一般に圧電素子を用いた振動型モータにおいては、共振周波数に向かって高周波側もしくは低周波側から徐々に周波数を変化させると共振周波数に近づくにつれて振幅が大きくなり、駆動速度を上げることができる。本実施例においては、共振周波数に対して高周波側から徐々に駆動周波数を低下させていくことで駆動速度を上げる制御を行う。駆動周波数が共振周波数より低くなると駆動速度は急激に下がって制御不能となる。
【0031】
Diはフォーカスアクチュエータの駆動方向であり、至近から無限遠にフォーカスする際の駆動方向を0、無限遠から至近にフォーカスする際の駆動方向を1としている。Tは温度であり、計測時の環境温度を示している。図14は23℃での計測の例を示している。なお、高温環境下と低温環境下では振動型モータの特性が変化しやすいため、本実施例では性能評価時に高温時と低温時のデータも取得する。gは重力が作用している方向、Discは振動型モータの計測をいつどこで行ったかや、出荷時データか設計値データか等を判別するための判別用データである。
【0032】
なお、本実施例では、MTF%データとフォーカスアクチュエータの駆動速度データについて説明したが、交換レンズの評価項目はMTFやフォーカスアクチュエータの駆動速度に限定されず、種々のデータがある。例えば、光学性能に関するデータとしては、周辺光量落ちや歪曲の光軸からのずれ量、倍率色収差の量、MTFから計算される像面湾曲の量やレンズのアス量、球面および非球面レンズの面精度、レンズ透過光の波面データといった項目が挙げられる。またメカニカルな駆動性能に関するデータとしては、絞りアクチュエータの駆動量に対する絞り値のデータや、防振アクチュエータとしてのボイスコイルモータへの通電量に対する防振レンズのシフト量のデータ等が挙げられる。
【0033】
図5は、データサーバ300上のデータ保存構造を示している。データサーバ300上では、データが交換レンズの機種ごとに保存されており、さらに機種ごとに固有のデータと同機種の個体ごとのデータとに分けられている。ここでいう機種ごとの固有のデータとは、各評価項目の設計値や評価項目ごとの評価(計測)時における重み付けデータである。また、個体ごとのデータとは、あるユーザが保有する交換レンズの評価(計測)時ごとのデータである。
【0034】
次に、データサーバ300に保存されているMTF%データを用いて交換レンズを評価する処理について説明する。本実施例では、工場出荷時である「出荷時」と出荷時のような製造誤差がない「設計値」および出荷後(使用後)の計測を行う「評価時」の3つのMTF%データを用いて評価を行う。以下では、それぞれのMTF%データを以下のように略記する。
【0035】
出荷時データ:
Table[001]「y,z」(x,Co,f,Z,Fo,Iris,g,Di,Ad,出荷時)
→Table[001](出荷時)
設計値データ:
Table[001]「y,z」(x,Co,f,Z,Fo,Iris,g,Di,Ad,設計値)
→Table[001](設計値)
評価時データ:
Table[001]「y,z」(x,Co,f,Z,Fo,Iris,g,Di,Ad,評価時)
→Table[001](評価時)
また本実施例では、交換レンズの劣化度を計算するために、以下の(1)式と(2)式を用いてTable[001](評価時)とTable[001](出荷時または設計値)との割合を算出する。
Table[001](評価時)/Table[001](出荷時)×100
=AAA (1)
Table[001](評価時)/Table[001](設計値)×100
=BBB (2)
(1)式と(2)式、さらに以降に示す式中の変数は互いに同じ値とする。(1)式は評価時の交換レンズの性能の出荷時からの劣化度AAAをパーセンテージで表現する。(2)式は評価時の交換レンズの性能の設計値に対する劣化度BBBをパーセンテージで表現する。
【0036】
次に、各変数による重み付けを行うためのTable[002]を用いて、以下の(3)式と(4)式を計算することで劣化度AAA′、BBB′を算出する。
AAA×Table[002]「y,z」(x,Co,f,Z,Fo,Iris,g,Di,Ad)
=AAA′ (3)
BBB×Table[002]「y,z」(x,Co,f,Z,Fo,Iris,g,Di,Ad)
=BBB′ (4)
こうして各変数により重み付けされた加重平均値としての劣化度AAA′、BBB′を図15に示す性能評価分類に当てはめることで、MTF%データに関する性能評価結果として、高評価側(劣化度が小さい側)からSランク、Aランク、BランクおよびCランクとランク付けする。性能評価分類では、AAA′とBBB′の組み合わせによってランクを分類している。この性能評価結果に応じて、例えば交換レンズの中古市場では、図15に示すように「新品同様」、「劣化度小」および「劣化度大」といったランクが付けられる。
【0037】
図1のフローチャートは、交換レンズのある個体(光学機器個体:以下、レンズ個体という)600に対して出荷時から評価時までに行われるレンズ計測/評価処理(光学機器評価方法)の流れを示している。図中のSはステップを意味する。なお、ここではMTF%データを用いたレンズ計測/評価処理について説明するが、前述したメカニカルな駆動性能に関するデータやその他の性能に関するデータを用いたレンズ計測/評価処理でも同様の処理が行われる。まずS001では、準備処理として、交換レンズの機種ごとのデータ形式、データの種類および各変数等をデータサーバ300に登録する。また、機種ごとの製造誤差がない設計値データとしてのTable[001](設計値)をデータサーバ300に記憶させる。
【0038】
S002では、レンズ性能計測装置200によりレンズ個体600の出荷時の計測を行って、Table[001](出荷時)を取得し、これをデータサーバ300に記憶させる。
【0039】
S003では、レンズ性能計測装置200によりレンズ個体600の評価時の計測を行ってTable[001](評価時)を取得する。
【0040】
S004では、評価端末400によりデータサーバ300から読み出したTable[001](出荷時)およびTable[001](設計値)とTable[001](評価時)とを用いてレンズ個体600の評価を行う。
【0041】
図6は、S002で行われるレンズ個体600に対する出荷時計測処理の流れを示している。S101では、レンズ個体600の内部メモリ140にそのレンズ個体600に固有の識別情報が保存される。この際、レンズ個体600の外装部材には、そのレンズ個体600の製造番号等のシリアル番号が印字され、該シリアル番号も識別情報に対応付けられて内部メモリ140に保存される。なお、識別情報とシリアル番号とが同じであってもよい。
【0042】
S102では、S001で内部メモリ140に保存された識別情報とシリアル番号がデータサーバ300に送信される。これにより、データサーバ300上にレンズ個体600用のデータ保存領域が作成される。
【0043】
S103では、レンズ個体600がレンズ性能計測装置200(計測用カメラ230)に機械的および電気的に接続され、レンズ固体600の内部メモリ140に保存された識別情報とシリアル番号が、レンズ制御部160とカメラ制御部235および計測制御部245を通じて計測端末240の計測記憶部244に保存される。
【0044】
S104では、計測端末240の入力部246から計測項目と計測条件と計測開始タイミングが入力される。これに応じて、計測端末240の計測制御部245は、レンズ個体600に対する計測を開始する。
【0045】
S105では、計測制御部245は、計測用カメラ230を通じてレンズ個体600に計測用動作を行わせるための駆動指令を送信する。
【0046】
S106では、計測制御部245は、レンズ個体600の計測用動作に応じて計測用カメラ230により取得された画像データを取得し、これを計測記憶部244に保存する。
【0047】
S107では、計測制御部245は、計測記憶部244に保存された画像データを用いてMTF%データを生成し、これを計測記憶部244に保存する。
【0048】
S108では、計測制御部245は、レンズ個体600の識別情報、シリアル番号およびMTF%データをデータサーバ300に送信する。データサーバ300は、これらのデータをS102で作成されたレンズ個体600用のデータ保存領域に保存する。ここまでが、レンズ個体600が工場で製造されて出荷されるまでの処理である。
【0049】
図7は、出荷後の任意のタイミングで行われるレンズ個体600に対する評価時計測処理の流れを示している。S201~S206では、図6のS103~S108の処理が行われる。この際、レンズ性能計測装置200は、工場に設置されていてもよいし、工場以外の場所(中古交換レンズを扱うショップ等)に設置されていてもよい。
【0050】
図8のフローチャートは、レンズ個体600に対して行われる評価処理の流れを示している。コンピュータとしての評価端末400は、コンピュータプログラムに従ってS301~S304の処理を実行する。評価端末400も、レンズ性能計測装置200と同様に、工場に設置されていてもよいし、工場以外の場所に設置されていてもよい。
【0051】
S301では、評価端末400の評価制御部(第1の取得手段、第2の取得手段および評価手段)450は、評価対象であるレンズ個体600が装着されたレンズ性能計測装置200から該レンズ個体600の識別情報を取得する。
【0052】
S302では、評価制御部450は、取得した識別情報をデータサーバ300に送信し、データサーバ300から該識別情報および評価端末400の入力部420にて入力された評価項目(ここではMTF)に対応するレンズ個体600のTable[001](出荷時)、Table[001](設計値)およびTable[001](評価時)を取得する。
【0053】
S303では、評価制御部450は、Table[001](出荷時)、Table[001](設計値)、Table[001](評価時)およびTable[002]を用いて劣化度AAA′、BBB′を算出し、該劣化度に対応する性能評価結果を選択する。
【0054】
S304では、評価制御部450は、選択した性能評価結果を表示部430に表示し、データサーバ300に識別情報と共に性能評価結果を送信する。
【0055】
S305では、データサーバ300は、受信した性能評価結果をレンズ個体600の識別情報に対応付けて保存する。
【0056】
次に、図9は、レンズ個体600におけるフォーカスアクチュエータの駆動性能に関する計測/評価処理の流れを示している。まずS401では、評価端末400は、Discとして「出荷時」を設定する。
【0057】
S402およびS403では、評価制御部450は、データサーバ300に既に保存されているレンズ個体600のTable[010]「fa,Di」(T,g,出荷時)を読み出し、これを用いて出荷時の起動周波数fst(出荷時)と境界周波数fbo(出荷時)を取得する。
【0058】
S404では、評価制御部450は、Discとして「評価時」を設定する。
【0059】
S405およびS406では、評価制御部450は、データサーバ300に既に保存されているレンズ個体600のTable[010]「fa,Di」(T,g,評価時)を読み出し、これを用いて評価時の起動周波数fst(評価時)と境界周波数fbo(評価時)を取得する。
【0060】
図10のフローチャートは、S402およびS405で評価制御部450が起動周波数fst(Disc)を取得する起動周波数取得処理の流れを示している。この処理では、フォーカスアクチュエータの駆動周波数fを28000Hzから100Hzずつ下げながら、Table[010]「f,Di」(T,g,Disc)>0となったとき、つまりはフォーカスアクチュエータの駆動が開始するときの駆動周波数を起動周波数fst(Disc)として取得する。ここでは、Disc以外の変数の設定についての説明は省略する。
【0061】
まずS501において、評価制御部450は、データサーバ300からTable[010]「f,Di」(T,g,Disc)を取得する。
【0062】
S502では、評価制御部450は、駆動周波数fを28000Hzに設定する。
【0063】
S503では、評価制御部450は、Table[010]「28000,Di」(T,g,Disc)の値が0より大きいか否かを判定し、大きい場合はS505に、そうでなければ(=0)S504に進む。
【0064】
S504では、評価制御部450は、f=f-100とする。そしてS503に戻り、再びTable[010]「f-100,Di」(T,g,Disc)の値が0より大きいか否かを判定する。
【0065】
S505では、評価制御部450は、S503でTable[010]「f,Di」(T,g,Disc)>0となったときの駆動周波数fを起動周波数fst(Disc)として取得する。
【0066】
図11のフローチャートは、S403およびS406で評価制御部450が境界周波数fbo(Disc)を取得する境界周波数取得処理の流れを示している。境界周波数は、フォーカスアクチュエータの駆動周波数を下げていくにつれて増加していた駆動速度が低下に転じる直前(共振周波数付近)の駆動周波数である。具体的には、ある駆動周波数をfaとし、faから100Hz下げた駆動周波数をfbとして、Table[010]「fa,Di」(T,g,Disc)>Table[010]「fb,Di」(T,g,Disc)となったときの駆動周波数faを、境界周波数fbo(Disc)として取得する。
【0067】
まずS601において、評価制御部450は、faを28000Hz、fbを27900Hzに設定する。
【0068】
S602では、評価制御部450は、Table[010]「fa,Di」(T,g,Disc)>Table[010]「fb,Di」(T,g,Disc)か否かを判定し、そうであればS604に進み、そうでなければS603に進む。
【0069】
S603では、計測制御部245は、fa=fbとし、fb=fb-100とする。そしてS602に戻ってTable[010]「fa,Di」(T,g,Disc)>Table[010]「fb,Di」(T,g,Disc)か否かを判定する。
【0070】
S604では、計測制御部245は、faを境界周波数fbo(Disc)として取得する。
【0071】
図9のS407では、評価制御部450は、fst(評価時)に対するfst(出荷時)の差fst′を、
fst′=fst(評価時)-fst(出荷時)
により計算する。
【0072】
またS408では、評価制御部450は、fbo(評価時)に対するfbo(出荷時)の差fbo′を、
fbo′=fbo(評価時)-fbo(出荷時)
により計算する。fst′やfbo′が正の場合は評価時の各周波数が出荷時に比べて高周波側に変化したことを示し、負の場合は低周波側に変化したことを示す。
【0073】
そしてS409では、評価制御部450は、fst′とfbo′を用いてレンズ個体600(フォーカスアクチュエータ)を評価する。図12のフローチャートは、S409で評価制御部450が行う評価処理の流れを示している。この処理では、fst′とfbo′がそれぞれ、起動周波数と境界周波数の計測ピッチである±100Hz未満であるときはfst′=0、fbo′=0とみなす。そして、fst′とfbo′がそれぞれ+100Hz以上の正であるときにfst′>0、fbo′>0とみなし、-100Hz以上の負であるときにfst′<0、fbo′<0とみなす。

【0074】
まずS701において、評価制御部450は、fst′=0か否かを判定し、fst′=0であればS702に進み、そうでなければS703に進む。
【0075】
S702では、評価制御部450は、fbo′=0か否かを判定し、fbo′=0であればS705に進み、そうでなければS706に進む。
【0076】
S705では、評価制御部450は、fst′=0かつfbo′=0であって起動周波数も境界周波数もほとんど変化しておらずフォーカスアクチュエータが劣化していないと判断して、図16の性能評価分類に示すように性能評価結果をAランク(中古ランク「新品同様」)とする。
【0077】
一方、S703では、評価制御部450は、fst′>0か否かを判定し、fst′>0であればS704に進み、そうでなければS707に進む。
【0078】
S704では、評価制御部450は、fbo′<0か否かを判定し、fbo′<0であればS706に進み、そうでなければS707に進む。
【0079】
S706では、評価制御部450は、fst′>0かつfbo′<0であり、駆動周波数と境界周波数は変化しているがフォーカスアクチュエータの駆動制御には影響が少ないと判断して、図16に示すように性能評価結果をBランク(中古ランク「劣化度小」)とする。
【0080】
S707では、評価制御部450は、fst′=0かつfbo′=0でもfst′>0かつfbo′<0でもなく、起動周波数と境界周波数のうち少なくとも一方が出荷時に比べてフォーカスアクチュエータの駆動制御を制限するように変化していると判断して、図16に示すように性能評価結果をCランク(中古ランク「劣化度大」)とする。
【0081】
評価制御部450は、上記の性能評価結果を表示部430に表示するとともに、データサーバ300に送信する。データサーバ300は、受信した性能評価結果をレンズ個体600の識別情報に対応付けて保存する。
【0082】
このようなアクチュエータの性能評価を行うことで、個体ごとのバラつきがあるために絶対値での評価が困難なアクチュエータを定量的に評価することができる。特に本実施例でフォーカスアクチュエータとして用いている振動型モータにおいては、起動周波数や境界周波数が変化することによってフォーカスレンズの制御性に大きな影響が出る。本実施例によれば、フォーカスレンズの制御性への影響度合いに応じた性能評価を正確に行うことができる。
【0083】
以上説明した本実施例によれば、出荷時(および設計値)としてのMTF%データやアクチュエータの駆動速度データと評価時のデータとを用いて、交換レンズの性能評価を精度良く行うことができる。性能評価の精度が良くなることで、中古の交換レンズの価格査定の客観性を高めたり、修理品の修理代金や工程時間の見積もりの精度を高めたり、さらに故障個所の特定を容易としたりすることができる。
【0084】
しかも、本実施例によれば、性能評価に使用する大容量のデータをデータサーバ上に保存するので、個々の交換レンズにそのようなデータを保存するメモリを設けることを不要とすることができる。また、データサーバに保存されたデータを製造者が参照して製品の改良や開発に生かすことも可能である。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0085】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
100 交換レンズ
200 レンズ性能計測装置
300 データサーバ
400 評価端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16