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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240716BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240716BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240716BHJP
【FI】
G03F7/20 521
H01L21/02 Z
G06F3/0481
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020079056
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021173915
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】滝口 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】北 健太
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-260978(JP,A)
【文献】特開2007-042701(JP,A)
【文献】国際公開第2014/006807(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0253866(US,A1)
【文献】特開2006-237052(JP,A)
【文献】国際公開第2006/019166(WO,A1)
【文献】特表2014-529909(JP,A)
【文献】国際公開第2005/045907(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/00-21/16、21/30
G05B 19/418、23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理に関する処理データ及び処理条件を含む処理情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記処理情報に基づいて、表示装置への表示を制御する表示制御部を有し、
前記表示制御部は、複数のロットの処理データをそれぞれロット単位で表示する第1画面と、第1のロットの処理データと、前記第1のロットで処理された処理条件と同じ処理条件を1つ以上含む処理条件で処理された第2のロットの処理データと、をそれぞれ基板単位で表示する第2画面とを、前記表示装置に選択的に表示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
基板処理に関する処理データ及び処理条件を含む処理情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記処理情報に基づいて、表示装置への表示を制御する表示制御部を有し、
前記表示制御部は、複数のロットの処理データをそれぞれロット単位で表示する第1画面と共に、第1のロットの処理データと、前記第1のロットで処理された処理条件と同じ処理条件を1つ以上含む処理条件で処理された第2のロットの処理データと、をそれぞれ基板単位で表示する第2画面を前記表示装置に表示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記第1画面に表示されたロットのうちユーザに指定されたロットである第1のロットを含む複数のロットの処理データをそれぞれ基板単位で表示する第2画面を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、第1のロットの処理データと、前記第1のロットで処理されたレシピと同じレシピで処理された第2のロットの処理データとを基板単位で表示する第2画面を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理データは、基板処理を行う処理装置の動作結果、及び基板処理が行われた基板の状態を含む情報であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理条件は、複数の装置間で共有して使用される処理条件であるレシピ、及び複数の装置間で共有されない処理条件である装置パラメータを含む条件であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記処理条件に関する情報を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、複数のロットの処理条件のうち、差異がある処理条件を強調表示するように前記表示装置に表示することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1画面及び前記第2画面の少なくとも一方は、処理データをグラフ表示することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記取得部で取得した基板単位の複数の処理データに基づいて、ロット単位の処理データを算出する算出部を更に有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記算出部は、基板単位の複数の処理データの最大値、最小値、平均値、中央値、標準偏差のいずれか1つの統計処理に基づいて、ロット単位の処理データを算出することを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
基板処理に関する処理データ、及び処理条件を含む処理情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した前記処理情報に基づいて、表示装置への表示を制御する表示制御工程を有し、
前記表示制御工程は、複数のロットの処理データをそれぞれロット単位で表示する第1画面と、第1のロットの処理データと、前記第1のロットで処理された処理条件と同じ処理条件を1つ以上含む処理条件で処理された第2のロットの処理データと、をそれぞれ基板単位で表示する第2画面とを、前記表示装置に選択的に表示することを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
基板処理に関する処理データ、及び処理条件を含む処理情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した前記処理情報に基づいて、表示装置への表示を制御する表示制御工程を有し、
前記表示制御工程は、複数のロットの処理データをそれぞれロット単位で表示する第1画面と共に、第1のロットの処理データと、前記第1のロットで処理された処理条件と同じ処理条件を1つ以上含む処理条件で処理された第2のロットの処理データと、をそれぞれ基板単位で表示する第2画面を前記表示装置に表示することを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
前記表示制御工程は、第1のロットの処理データと、前記第1のロットで処理されたレシピと同じレシピで処理された第2のロットの処理データとを基板単位で表示する第2画面を前記表示装置に表示することを特徴とする請求項12又は13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の情報処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
基板上にパターンを形成するパターン形成装置と、を含み、
前記情報処理装置は、前記パターン形成装置を含む複数の装置を管理することを特徴とする物品の製造システム。
【請求項17】
請求項16に記載の製造システムを用いて基板上にパターンを形成する形成工程と、
前記形成工程で前記パターンが形成された前記基板を加工する加工工程と、を含み、
前記加工工程で加工された前記基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場には通常、基板を露光する半導体露光装置などの半導体製造装置が設置されており、それぞれの稼働状況を把握した上で効率的に基板を処理することが求められる。また、半導体製造装置で異常が発生した場合には、即座に対処を行う必要がある。
【0003】
特許文献1には、半導体製造装置の異常を検知するために、半導体製造装置の処理結果を、複数の基板が属するロット単位で統計処理し、その統計処理結果をグラフ表示する内容が開示されている。これによってユーザは、どのロットで異常が発生しているかを即座に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-170612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の基板が属するロット単位でグラフを表示することで、ロット間で差が発生している事は分かるが、その要因についてまでは即座に判断することができない。ロット間で差が発生している要因を判断するためには、ロットに属するウエハ単位のデータから判断することが必要である。ユーザは、上述したデータの収集や分析を実行しなければロット間で差が発生している要因を判断することができず、発生している異常を解消するまでに多くの時間を費やしてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、半導体製造装置における異常の要因分析の時間短縮に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての情報処理装置は、基板処理が行われた複数の処理データ、及び処理条件を含む処理情報を取得する取得部と、前記取得部で取得した前記処理情報に基づいて、表示装置への表示を制御する表示制御部を有し、前記表示制御部は、複数のロットの処理データをそれぞれロット単位で表示する第1画面と、第1のロットの処理データと、前記第1のロットで処理された処理条件と同じ処理条件を1つ以上含む処理条件で処理された第2のロットの処理データと、をそれぞれ基板単位で表示する第2画面とを、前記表示装置に選択的に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、半導体製造装置における異常の要因分析の時間短縮に有利な技術を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】物品の製造システムを示した図である。
図2】パターン形成装置の一例としての露光装置を示した図である。
図3】情報処理装置のハードウェア構成を示した図である。
図4】管理装置のCPUの構成を示す図である。
図5】表示装置における表示処理のフローチャートである。
図6】第1実施形態におけるロットデータを表示した図である。
図7】第1実施形態における処理データを表示した図である。
図8】指定したロットの処理条件を強調して表示した図である。
図9】ロットデータと処理データを同一画面に表示した図である。
図10】第2実施形態におけるロットデータを表示した図である。
図11】第2実施形態における処理データを表示した図である。
図12】第3実施形態におけるロットデータを表示した図である。
図13】第3実施形態における処理データを表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
<第1実施形態>
本実施形態では、複数の装置と、複数の装置を管理する管理装置からなる物品製造システムについて説明する。図1は物品製造システムを示した図である。本実施形態の物品製造システム100は、ウエハ(基板)にパターン形成を行うパターン形成装置200、処理装置201、検査装置202と、それらの装置を管理する管理装置300とを有する。また、物品製造システム100において、パターン形成装置200、処理装置201、及び検査装置202には、それぞれ1又は複数の装置が含まれる。
【0012】
パターン形成装置200は、パターンが形成されたレチクル(マスク、原版)に光を照射して、レチクルからの光でウエハ上のショット領域にパターンを投影する露光装置を含む。また、パターン形成装置200は、例えば、ウエハ上に供給されたインプリント材と型(原版、モールド)とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることにより、型の形状が転写された組成物を形成するインプリント装置を含む。また、パターン形成装置200は、荷電粒子光学系を介して、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線で基板に描画を行って、基板にパターン形成装置を行う描画装置も含む。パターン形成装置200は、これらの方法で基板処理を実行するものである。
【0013】
処理装置201は、例えば、感光媒体などを基板の表面上に塗布する塗布装置、パターンが転写された基板を現像する現像装置など、デバイス等の物品の製造において、露光装置等の装置が実施する工程以外の工程を実施する製造装置も含む。その他にも、処理装置201には、エッチング装置、成膜装置などが含まれる。
【0014】
検査装置202は、例えば、重ね合わせ検査装置、線幅検査装置、パターン検査装置、電気特性検査装置などを含む。ここで、重ね合わせ検査装置とは、多層にパターンが形成された基板において上層のパターンと下層のパターンとの位置ずれの精度を検査する装置である。また、線幅検査装置とは、基板上に形成されたパターンの線幅等の寸法の精度を検査する装置である。また、パターン検査装置とは、パターンが形成された基板上に付着した異物やインプリント材の未充填などによって精度を満たさないパターンの有無を検査する装置である。また、電気特性検査装置とは、パターンが形成された基板から製造された半導体デバイス等の電気特性の精度を検査する装置である。
【0015】
次に、パターン形成装置200の一例として、パターンが形成されたレチクルからの光でウエハを露光する露光装置について説明する。図2はパターン形成装置の一例としての露光装置を示した図である。本実施例に係る露光装置204は、レチクルステージ及びウエハステージを同期駆動させながら露光するステップアンドスキャン方式の露光装置として説明する。また、露光装置204はスキャナに限られず、ウエハステージを静止させた状態で露光するステップアンドリピート方式の露光装置としても良い。図2の例では、露光装置204は光源7、照明光学系8、レチクルステージ2、投影光学系3、ウエハステージ6、ウエハチャック5、及び制御部13を有する。また、露光装置204は、レーザ干渉計9、レーザ干渉計10、フォーカスセンサ、ウエハ搬送部12、レチクル搬送部14、及びアライメントスコープ15を有する。また、図2では、投影光学系3の光軸に平行な方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な平面内で互いに直交する2方向をX軸方向及びY軸方向とする。
【0016】
光源7としては、例えば高圧水銀ランプ、ArFエキシマレーザ、及びKrFエキシマレーザなどがある。また、光源7は、露光装置のチャンバ内部にあるとは限らず、外付けになっている構成もありうる。光源7を出た光は照明光学系8を介して、レチクル1を照明する。レチクル1には、感光材が塗布されたウエハ4上に転写するパターンが描画されており、レチクルステージ2に搭載される。レチクルステージ2は、レチクルチャックを介してレチクルを吸着保持し、例えば、リニアモータにより移動可能に構成される。
【0017】
投影光学系3は、レチクル1に描画されたパターンの像を、ウエハチャック5上に載置されたウエハ4上に投影する。パターンの像をウエハ4上に投影する際に、投影光学系3を介して投影倍率(例えば、4分の1)で反転縮小した像が、ウエハ4上に投影される。パターンの像が投影される領域をショット領域とすると、ウエハ4には複数のショット領域が設定され、順次、ショット領域への投影が繰り返し行われる。
【0018】
ウエハステージ6はリニアモータのアクチュエータ等によって駆動されることにより、X方向、Y方向に移動可能である。ウエハチャック5は、ウエハステージ6上に搭載され、ウエハ4を保持する。ウエハステージ6はウエハチャック5をZ方向、θ方向、ωX方向、及びωY方向に位置決めする。このように、ウエハチャック5に保持されたウエハ4は、ウエハステージ6、及びウエハチャック5の駆動によって移動する。
【0019】
レーザ干渉計9は、レチクルステージ2のY方向の位置を計測し、かつレチクルステージ2の姿勢を計測する。レーザ干渉計9には、同様にレチクルステージ2のX方向の位置を計測するためのレーザ干渉計を含む。また、レーザ干渉計10は、ウエハ4を搭載するウエハステージ6のY方向の位置を計測し、かつウエハステージ6の姿勢を計測する。また、レーザ干渉計10には、同様にウエハステージ6のX方向の位置を計測するレーザ干渉計を含む。レチクルステージ2とウエハステージ6とは、レーザ干渉計9、レーザ干渉計10によって計測された位置に基づき、後述の制御部13により位置が制御される。
【0020】
フォーカスセンサは、ウエハ4に対して光を投射する投光系11aと、ウエハからの反射光を受光する受光系11bと、受光系からの光を検出し制御部13へ検出信号を出力する検出部とを含む。投光系11aと受光系11bは、投影光学系3の射出部付近を挟むように設置され、投光系11aがウエハに斜入射光を照射し、受光系11bが反対側で反射した光を取り込む。フォーカスセンサにより検出された検出信号から、後述の制御部13がウエハ4のZ方向の位置を計測して、ウエハステージ6によるウエハ4の移動を制御する。
【0021】
ウエハ搬送部12はウエハ4を搬送する。ウエハ搬送部12は、ウエハ4を収納するウエハ収納容器等からウエハステージ6にウエハ4を搬送する。また、ウエハ搬送部12は、ウエハステージ6からウエハ収納容器等へウエハ4を搬送する。
【0022】
レチクル搬送部14はレチクル1を搬送する。レチクル搬送部14は、レチクル1を収納するレチクル収納容器等からレチクルステージ2にレチクル1を搬送する。また、レチクル搬送部14は、レチクルステージ2からレチクル収納容器等へレチクル1を搬送する。
【0023】
アライメントスコープ15は、ウエハチャック5に保持されたウエハ4の位置決め(アライメント)を行うために、ウエハ4上に形成されたマークを撮像したデジタル画像信号を取得する。アライメントスコープ15は、ウエハ4からの反射光の明るさ、即ち濃淡に応じた濃淡画像信号を出力するイメージセンサと、そのイメージセンサから得られる濃淡画像信号をデジタル画像信号に変換するA/D変換器を備える。後述の制御部13は、取得されたデジタル画像信号を用いてウエハ4上に形成されたマークの位置を検出して、検出したマークの位置に基づきウエハステージ6を制御してウエハ4の位置決めを行う。
【0024】
制御部13は、露光装置204の各部の動作及び調整などを制御することでウエハ4への露光処理を制御する。制御部13は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrayの略。)などのPLD(Programmable Logic Deviceの略。)、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略。)、プログラムが組み込まれたコンピュータ、又は、これらの全部又は一部の組み合せによって構成される。また、制御部13は、露光装置204の他の部分と一体で(共通の筐体内に)構成しても良いし、露光装置204の他の部分とは別体で(別の筐体内に)構成しても良い。また、制御部13は、後述の記憶装置等から取得した情報を適用して、ウエハ4への露光処理(パターン形成処理)を実行するように制御する。
【0025】
次に、管理装置300について説明する。図3は情報処理装置のハードウェア構成を示した図である。情報処理装置はCPU301、ROM302、RAM303、記憶装置304、入力装置305、表示装置306、通信装置307を含む。情報処理装置の各ハードウェア構成は、プログラムに従って機能する。図3の例では、CPU301は、プログラムに従って制御のための演算を行い、バス308に接続された各構成要素を制御する処理装置である。ROM302は、データ読出し専用のメモリであり、プログラムやデータが格納されている。RAM303は、データ読み書き用のメモリであり、プログラムやデータの保存用に用いられる。RAM303は、CPU301の演算の結果等のデータの一時保存用に用いられる。記憶装置304も、プログラムやデータの保存用に用いられる。記憶装置304は、情報処理装置のオペレーティングシステム(OS)のプログラム、及びデータの一時保存領域としても用いられる。
【0026】
記憶装置304は、RAM303に比べてデータの入出力は遅いが、大容量のデータを保存することが可能である。記憶装置304は、保存するデータを長期間にわたり参照できるように、永続的なデータとして保存できる不揮発性記憶装置であることが望ましい。記憶装置304は、主に磁気記憶装置(HDD)で構成されるが、CD、DVD、メモリカードといった外部メディアを装填してデータの読み込みや書き込みを行う装置であっても良い。
【0027】
入力装置305は、情報処理装置に文字やデータを入力するための装置であり、各種のキーボードやマウスなどが該当する。表示装置306は、管理装置300のユーザインターフェースとしての役割を果たし、情報処理装置の操作に必要な情報や処理結果などを表示するための装置であり、CRT又は液晶モニターなどが該当する。表示装置306は、例えばタッチパネルのように、画面にタッチして操作可能である場合については、入力装置305の役割も果たす。また、入力装置305と表示装置306については、管理装置300の一部として説明したがこれに限られず、例えば、パターン形成装置200の一部としても良い。
【0028】
通信装置307は、ネットワークに接続してTCP/IP等の通信プロトコルによるデータ通信を行い、他の装置と相互に通信を行う場合に使用される。また、情報処理装置には高速な演算処理を可能とするために、GPU(Graphics Processor Unitの略。)が構成されていても良い。管理装置300は情報処理装置であり、通信装置307を介して複数の露光装置204とデータを通信するために接続している。
【0029】
図4は管理装置300におけるCPU301の構成を示す図である。CPU301は、取得部401、蓄積部402、算出部403、及び表示制御部404を含む。図5は露光装置で発生している異常を分析するための表示装置306の表示処理を示したフローチャートである。
【0030】
以下、図4及び図5を参照して、本実施形態の管理装置300における表示装置306の表示処理について説明する。本実施形態では、表示装置306の表示によって、露光装置204における異常の要因分析の時間を短縮することが可能である。本実施形態における異常とは、露光装置204が停止してしまうほどの重大なものや、露光装置204の精度が低下してしまうような生産性に影響を与えるものも含む。
【0031】
図5のフローチャートについて説明する。ステップS501において、取得部401は、露光装置204の処理情報を取得する。露光装置204の処理情報は、露光装置204の処理データ、及び露光処理時に適用された処理条件を含む。露光装置204の処理データとは、露光装置204の動作結果や、露光装置204によって露光されたウエハの状態を含む情報であり、具体的な内容としては、同期精度データ、アライメント精度データ等である。同期精度データとは、対象のショット領域を露光するためにレチクルステージ2とウエハステージ6を、例えばY軸方向において同期して駆動させる期間におけるレチクルステージ2とウエハステージ6との相対的な位置の誤差を示すデータである。またアライメント精度データとは、対象のウエハ4上に形成されたマークを撮像して得られたデジタル画像信号の波形データやデジタル画像信号の評価(波形データの対称性、デジタル画像信号のコントラスト)を示すデータである。
【0032】
露光処理時に適用された処理条件とは、生産したいウエハのレシピ毎に決められるレシピや、露光装置204毎に決められる装置パラメータである。レシピは、複数の露光装置間で共有して使用される処理条件であり、装置パラメータは、複数の露光装置間で共有されない処理条件である。レシピとしては、例えば、ウエハに露光する際の露光量や、露光済みパターンに追従するための個別の補正値及び補正アルゴリズムの選択等が挙げられる。装置パラメータとしては、例えば、投影光学系の補正値やウエハステージの制御方法及び制御パラメータなどが挙げられる。また、表702に表示される処理条件はこれに限られず、他の処理条件を定めるパラメータを表示しても良い。
【0033】
次に、ステップS502において、ステップS501で取得した露光装置204の処理データ、及び処理条件を蓄積部402に蓄積させる。処理データは、例えば、ウエハ単位(基板単位)の処理データを蓄積部402に蓄積する。
【0034】
ステップS503において、算出部403は、蓄積部402により蓄積されたウエハ単位の処理データに基づいて、ロット単位の処理データであるロットデータを算出する。ロットデータは、ウエハ単位の処理データの統計値(例えば、最大値、最小値、平均値、中央値、標準偏差)によって算出される。また、ロットデータは、算出部403によって算出されるのではなく、露光装置304において算出されても良い。例えば、露光装置304で算出されたロットデータを、取得部401が露光装置204から取得してステップS504に進んでも良い。
【0035】
ステップS504において、表示制御部404は、ロットデータを表示装置306に出力し、表示装置306に図6のように表示するよう制御する。図6は、ロットデータが表示された画面を示す。グラフ601の横軸は露光装置204で実行されたロットの名称、縦軸はロット単位の処理データの値であるロットデータ値を示している。
【0036】
設定欄602は、グラフ601に表示する内容を入力又は選択することができる。ユーザは、露光装置204が設置されている半導体製造ラインの名称、装置を特定する情報(例えば、装置示すID)、表示したいデータ及び統計値を算出するための統計手法(例えば、最大値、最小値、平均値、中央値、標準偏差)を入力又は選択する。表示装置306は、入力又は選択した内容に基づいてグラフ601の表示内容を更新する。グラフ601において、各ロットを実行した際のレシピによって、表示する際の色や形状を変更しても良い。
【0037】
ステップS505において、表示制御部404は、ロットがユーザに指定されたかどうかを判断する。ロットが指定された場合には、ステップS506へと進む。ロットの指定は、グラフ601にプロットされているロットデータをユーザが選択することや、ロット名を入力することにより実行される。ロットを指定する方法は、マウス、キーボード、タッチパネルなどのコンピュータ用入力機器及びこれを制御するプログラムによって実現される。ユーザは、異常が発生しているロットを指定することで、後述する方法によりその要因を特定することが可能となる。
【0038】
ステップS506において、表示制御部404は、ステップS505で指定されたロットにおける処理データを表示装置306に出力し、表示装置306は図7を表示する。図7は、処理データを表すグラフ701と、露光処理の処理条件を示す表702が表示された画面を示す図である。グラフ701の横軸はウエハの番号、縦軸はウエハ単位の処理データの値であるウエハデータ値を示している。
【0039】
表702は、各ロットの名称と露光装置204の処理条件を示している。表示する処理条件は、全ての処理条件を表示しても良いし、処理データに関連する内容の処理条件に絞って表示をしても良い。処理データと、それに関連した処理条件の関係は記憶装置304に保存することができ、ユーザが、処理データとそれに関連した処理条件の関係を静的又は動的に指定しても良い。
【0040】
グラフ701では、ステップS506において指定されたロットの表示の比較対象として、ユーザに指定されたロットと同一レシピで露光処理されたロットに属する処理データも併せて表示している。表702には、指定されたロットと、比較するためのロットの処理条件を表示する。以下の説明では、ユーザに指定されたロットと同一レシピで露光処理されたロットを比較対象のロットとして説明するが、これに限らず、ユーザに指定されたロットと同じ処理条件を1つ以上含む処理条件で露光処理されたロットとしても良い。
【0041】
ユーザは、ステップS506で表示装置306に表示された内容を確認し、指定したロットと他のロットとのウエハ単位の処理データの差や傾向の違い、及び処理条件の違いなどを分析する。分析結果から、ユーザは、露光装置204で発生している異常の要因を特定し、異常を解消するための対応を実施する。
【0042】
ステップS507おいて、ユーザによって画面の終了が選択されたら、表示装置306の表示は終了される。
【0043】
上述した、露光装置204で発生している異常を解消するまでの流れを、表示装置306に表示される画面とユーザの動きを紐づけて、より具体的に説明する。ユーザは、まず露光装置で異常が発生しているかを確認するために、図6の画面を表示させる。ユーザは、グラフ601を確認することでロットBBBのロットデータが他のロットデータと比較して大きい事が分かる。そこでユーザは何が原因でこの違いが発生しているかを分析するために、グラフ601の画面上でロットBBBを指定する。表示装置306の画面表示は、グラフ601から、図7のグラフ701及び表702に切り替わる。この時、ロットBBBと同一レシピで露光処理が実行されたロットCCC、ロットEEEのウエハ単位の処理データ及び処理条件も合わせて表示する。
【0044】
グラフ701で表示するウエハ単位の処理データは、グラフ601で表示しているロットデータを算出する元となった処理データである。ユーザはグラフ701を確認することで、ロットBBBに属する10枚のウエハのうち、1枚目のウエハが2~10枚目のウエハ及び他のロットに属するウエハの処理データの値より大きい事が分かる。また、表702に表示されている処理条件の設定値1~4のうち、設定値1~3が他のロットと異なることが分かる。また、設定値1、2に関してはほぼ同じ数値のため影響は少ないと考えられることから、設定値3の違いが発生している異常の要因であると判断できる。
【0045】
これらの結果から、ユーザは、ロット間での差が設定値3に起因していると判断し、他のロットと同じ処理条件に変更するといった対応を迅速に実施できる。このような分析作業を更に効率化するため、ロット間で異なる処理条件を強調表示しても良い。図8は、処理条件の強調表示の例を示しており、ユーザがロットBBBとロットEEEを指定すると、表示している処理条件の中で異なる処理条件である設定値1と設定値3のみを強調表示する。これによりユーザは、視覚的にロット間での処理条件の違いを判断しやすくなる。図8の例では表の表示を白抜き文字に変更することで強調表示しているが、例えば文字の色、太さ、文字フォント等を他の内容と変更したり、枠の色、太さを変えたり、内容が異なる部分を点滅させたりしても良い。また、上述した説明のように、図6図7の表示は、表示装置306に選択的に表示されても良いし、図9に示すように、グラフ601、設定欄602、グラフ701、表702を同一画面上に表示しても良い。
【0046】
以上のように、本実施形態では、表示装置306において指定したロットのウエハ単位の処理データをグラフ表示することができるため、どのウエハで異常が発生しているかを分析しやすい。一方で、処理条件についても表示しているので、異常の要因となる処理条件についても即座に分析することができるため、異常を解消するまでの時間を短縮することが可能である。
【0047】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と比較して、より具体的な状況について説明する。本実施形態では、露光装置204のステージの同期精度に関連する異常を分析する方法について説明する。ステージの同期精度とは、対象のショット領域を露光するためにレチクルステージ2とウエハステージ6を、例えばY軸方向において同期して駆動させる期間におけるレチクルステージ2とウエハステージ6との相対的な位置の誤差を示すデータである。尚、本実施形態で言及しない事項については、第1実施形態に従う。
【0048】
ユーザは、第1実施形態における図5のステップS504に相当する図10の画面において、設定部602のライン名(例えば工場、建物、製造ラインなどを示すID)、装置名(例えば、装置を示すID)を入力する。図10では、ライン名、装置名をそれぞれ「L1」、「T1」と入力している。また、ユーザは、設定部602の表示データを入力する。図10では、表示データとして、「同期精度計測結果」を入力している。更にユーザは、設定部602の統計手法を入力する。統計手法は、算出部403がロットデータを算出するための統計手法(例えば、最大値、最小値、平均値、中央値、標準偏差)である。図10では、ロットに属するウエハのうち、最も同期精度計測結果の精度が悪いウエハを比較するため、統計手法に最大値を算出する設定の「MAX」を入力している。表示装置306は、設定部602で入力した設定に基づいて、グラフ601を表示する。
【0049】
ユーザはグラフ601を確認することで、ロットBBBの統計値が他のロットと比較して大きいことが分かる。更にユーザは、ロットBBBと同一レシピで露光処理されたロットCCC、ロットEEEの値がロットBBBより小さいことも分かる。ユーザはこの差異について詳細に分析するため、ロットBBBを指定する。
【0050】
表示装置306は、ロットBBBにおいて露光処理されたウエハの同期精度計測結果のグラフ、ロットBBBの処理条件、ロットBBBと同一レシピで露光処理されたロットCCC、ロットEEEの同期精度計測結果及び処理条件を図11のように表示する。この時、表702には同期精度に関連する処理条件のみを表示することもできる。ステージの同期精度に関連する処理条件は、例えば、ウエハステージのスキャン速度、ウエハステージを駆動させるリニアモータをFeedForward(FF)技術を用いて制御するための設定、露光時の光源の照度などである。ユーザはグラフ701を確認し、ロットBBBで露光処理された全てのウエハの同期精度計測結果が他のロットのウエハの同期精度計測結果と比較して大きいことが分かる。ここでユーザは、表702を確認し、各ロットの処理条件を比較することで、ロットBBBのスキャン速度が他のロットと比較して大きいことが分かる。
【0051】
したがって、ユーザは、同期精度計測結果の違いがスキャン速度の違いによるものだと分析することができ、露光装置204で発生している異常を解消するための対応を即座に実施することができる。
【0052】
<第3実施形態>
本実施形態では、第2実施形態とは異なる異常が発生している場合について説明する。本実施形態では、露光装置204のアライメント計測結果に関連する異常を分析する方法について説明する。アライメント計測結果とは、対象のウエハ4上に形成されたマークを撮像して得られたデジタル画像信号の波形データやデジタル画像信号の評価(波形データの対称性、デジタル画像信号のコントラスト)を示すデータである。尚、本実施形態で言及しない事項については、第1実施形態に従う。
【0053】
ユーザは、第1実施形態における図5のステップS504に相当する図12の画面において、設定部602のライン名(例えば工場、建物、製造ラインなどを示すID)、装置名(例えば、装置示すID)を入力する。図12では、ライン名、装置名をそれぞれ「L2」、「T2」と入力している。また、ユーザは、設定部602の表示データを入力する。図12では、表示データとして、「アライメント計測結果」を入力している。更にユーザは、設定部602の統計手法を入力する。統計手法は、算出部403がロットデータを算出するための統計手法(例えば、最大値、最小値、平均値、中央値、標準偏差)である。図12では、ロットに属するウエハの平均値を比較するため、統計手法に平均値を算出する設定の「AVE」を入力している。表示装置306は、設定部602で入力した設定に基づいて、グラフ601を表示する。
【0054】
ユーザはグラフ601を確認することで、ロットGGGのロットデータが他のロットデータと比較して大きいことが分かる。更にユーザは、ロットGGGと同一レシピで露光処理を実行したロットHHH、ロットJJJのロットデータがロットGGGのロットデータより小さいことも分かる。ユーザはこの差異について詳細に分析するために、ロットGGGを指定する。
【0055】
表示装置306は、ロットGGGにおいて露光処理されたアライメント計測結果のグラフ、ロットGGGの処理条件、ロットGGGと同一レシピで露光処理されたロットHHH、ロットJJJのアライメント計測結果及び処理条件を図13のように表示する。この時、表702にはアライメント計測に関連する処理条件のみを表示することもできる。アライメント計測に関連する処理条件とは、例えば、照明モード、異常が発生した場合にリトライを実行するか否かを指定する設定、ウエハ上に形成されるマークタイプ、アライメント計測時のオフセット値などである。ユーザは、グラフ701を確認し、ロットGGGに属するウエハのうち、1枚目に露光処理したウエハのアライメント計測結果の差異が大きく、その他のウエハのアライメント計測結果は他のロットのウエハのアライメント計測結果と差異が小さいことが分かる。ここでユーザは表702を確認し、各ロットの処理条件を比較することで、ロットGGGのオフセット値が他のロットと比較して大きいことが分かる。
【0056】
したがって、ユーザはアライメント計測結果の違いがオフセット値の違いによるものだと分析をすることができ、露光装置204で発生している異常を解消するための対応を即座に実施することができる。
【0057】
<物品の製造方法の実施形態>
本発明の実施形態における物品の製造方法は、例えば、半導体デバイス等のマイクロデバイスや微細構造を有する素子等の物品を製造するのに好適である。本実施形態の物品の製造方法は、上記の物品の製造システムを用いて基板に原版のパターンを形成する形成工程と、該形成工程でパターンが形成された基板を加工する加工工程とを含みうる。更に、かかる物品製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含みうる。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
200 パターン形成装置
300 管理装置
306 表示装置
401 取得部
404 表示制御部

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