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特許7520656制御装置およびその調整方法、リソグラフィー装置、ならびに、物品製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】制御装置およびその調整方法、リソグラフィー装置、ならびに、物品製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20240716BHJP
   G05B 13/02 20060101ALI20240716BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F9/00 Z
G05B13/02 L
H01L21/68 K
H01L21/68 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020152293
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046317
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草柳 博一
(72)【発明者】
【氏名】畑 智康
(72)【発明者】
【氏名】猪股 裕也
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 康伸
(72)【発明者】
【氏名】橋本 拓海
(72)【発明者】
【氏名】森川 寛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正裕
(72)【発明者】
【氏名】石井 祐二
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-071405(JP,A)
【文献】特開平08-016208(JP,A)
【文献】特開平05-134710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G03F 9/00
G05B 13/02
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象を制御するための制御信号を発生する制御装置であって、
前記制御対象の制御偏差に基づいて第1信号を発生する第1補償器と、
係数を調整可能な演算式に従って前記制御偏差を補正することによって補正信号を発生する補正器と、
前記補正信号に基づいてニューラルネットワークによって第2信号を発生する第2補償器と、
前記第1信号と前記第2信号とに基づいて前記制御信号を発生する演算器と、
を備え
前記演算式は、前記制御偏差に比例する項、前記制御偏差に1回以上の積分を行う項、および、前記制御偏差に1回以上の微分を行う項、の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記演算式は、前記制御偏差に比例する項を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記演算式は、前記制御偏差に1回以上の積分を行う項を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記演算式は、前記制御偏差に1回以上の微分を行う項を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記演算式を設定する設定部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記設定部は、所定条件が満たされた場合に、前記演算式の前記係数を再設定する、
ことを特徴とする請求項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記所定条件は、前記制御偏差が規定値を超えることを含む、
ことを特徴とする請求項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記設定部は、所定条件が満たされた場合に、前記ニューラルネットワークのパラメータ値が従前の状態に維持された状態で、前記演算式の前記係数を再設定する、
ことを特徴とする請求項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記所定条件は、前記制御偏差が規定値を超えることを含む、
ことを特徴とする請求項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記設定部は、外乱抑圧特性に基づいて前記演算式を再設定する、
ことを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記ニューラルネットワークのパラメータ値を機械学習によって決定する学習部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
制御対象を制御するための制御信号を発生する制御装置であって、
前記制御対象の制御偏差に基づいて第1信号を発生する第1補償器と、
演算式に従って前記制御偏差を補正することによって補正信号を発生する補正器と、
前記補正信号に基づいてニューラルネットワークによって第2信号を発生する第2補償器と、
前記第1信号と前記第2信号とに基づいて前記制御信号を発生する演算器と、
を備え
前記演算式は、前記制御偏差に比例する項、前記制御偏差に1回以上の積分を行う項、および、前記制御偏差に1回以上の微分を行う項、の少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項13】
基板に原版のパターンを転写するリソグラフィー装置であって、
前記基板または前記原版の位置を制御するように構成された請求項1乃至12のいずれか1項に記載の制御装置を備える、
ことを特徴とするリソグラフィー装置。
【請求項14】
請求項13に記載のリソグラフィー装置を用いて基板に原版のパターンを転写する転写工程と、
前記転写工程を経た前記基板を処理する処理工程と、を含み、
前記処理工程を経た前記基板から物品を得ることを特徴とする物品製造方法。
【請求項15】
制御対象の制御偏差に基づいて第1信号を発生する第1補償器と、係数を調整可能な演算式に従って前記制御偏差を補正することによって補正信号を発生する補正器と、前記補正信号に基づいてニューラルネットワークによって第2信号を発生する第2補償器と、前記第1信号と前記第2信号とに基づいて制御信号を発生する演算器とを備える制御装置を調整する調整方法であって、
前記演算式は、前記制御偏差に比例する項、前記制御偏差に1回以上の積分を行う項、および、前記制御偏差に1回以上の微分を行う項、の少なくとも1つを含み、
前記ニューラルネットワークのパラメータが従前の状態に維持された状態で、前記補正器の特性を調整する調整工程を含む、
ことを特徴とする調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置およびその調整方法、リソグラフィー装置、ならびに、物品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、制御精度の向上に対する要求が厳しくなってきており、従来のフィードバック制御だけでは要求精度に達しないことがある。そこで、従来の制御器に加えて、ニューラルネットワーク制御器を並列に構成する取り組みが行われている(特許文献1)。ニューラルネットワーク制御器は、機械学習によってパラメータが調整されるが、信頼性に関する問題がある。例えば、機械学習によって生成される制御器は、学習時に与えられた状況から大きく外れた状況(制御対象の状態変化や外乱環境の変化)においては、異常な出力を行う可能性がある。このような問題に対して、ニューラルネットワーク制御器の後段に出力を制限する制限部を設ける技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表平7-503563号公報
【文献】特開2019-71405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ニューラルネットワークを用いた従来の制御装置では、制御対象の状態変化および/または外乱環境の変化が発生した場合に、予め決められたニューラルネットワークのパラメータ値が最適ではなくなり、制御精度が悪化しうる。このような場合、ニューラルネットワークのパラメータ値を再学習によって再決定すれば、制御精度を改善することができる。しかし、再学習の実行には相当の時間が必要となる。また、再学習においては、予め決められた学習シーケンスが実行されるので、装置による生産ができない。したがって、再学習の実行は、装置の生産性を低下させうる。
【0005】
本発明は、制御対象の状態変化および/または外乱環境の変化に対する寛容性を向上させるために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、制御対象を制御するための制御信号を発生する制御装置に係り、前記制御装置は、前記制御対象の制御偏差に基づいて第1信号を発生する第1補償器と、係数を調整可能な演算式に従って前記制御偏差を補正することによって補正信号を発生する補正器と、前記補正信号に基づいてニューラルネットワークによって第2信号を発生する第2補償器と、前記第1信号と前記第2信号とに基づいて前記制御信号を発生する演算器と、を備え、前記演算式は、前記制御偏差に比例する項、前記制御偏差に1回以上の積分を行う項、および、前記制御偏差に1回以上の微分を行う項、の少なくとも1つを含む
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制御対象の状態変化および/または外乱環境の変化に対する寛容性を向上させるために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のシステムの構成例を示す図。
図2】第1実施形態のシステムの構成例を示す図。
図3】第1実施形態のシステムにおける制御器の構成例を示すブロック図。
図4】第1実施形態のシステムにおける制御器の構成例を示すブロック図。
図5】第1実施形態のシステムの構成例を示す図。
図6】第1、第2実施形態のシステムを生産装置に適用した場合のシステムの動作例を示す図。
図7】補正器のパラメータ値の調整(あるいは再調整)処理を例示する図。
図8】外乱抑圧特性を例示する図。
図9】第2実施形態のステージ制御装置の構成性を示す図。
図10】第2実施形態のステージ制御装置の制御器の構成例を示すブロック図。
図11】第3実施形態の露光装置の構成例を示す図。
図12】第3実施形態における位置制御偏差を例示する図。
図13】第3実施形態における周波数解析の結果を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1には、第1実施形態のシステムSSの構成が示されている。システムSSは、例えば、物品を製造するための製造装置に適用されうる。製造装置は、例えば、物品、または物品の一部を構成する部品の材料または部材を処理する処理装置を含みうる。処理装置は、例えば、材料または部材にパターンを転写するリソグラフィー装置、材料または部材に膜を形成する膜形成装置、材料または部材をエッチングする装置、および、材料または部材を加熱する加熱装置のいずれかでありうる。
【0011】
システムSSは、例えば、シーケンス部101と、制御装置100と、制御対象103とを備えうる。制御装置100は、制御器102を含みうる。制御装置100あるいは制御器102は、制御対象103を制御するための制御信号として操作量(操作量信号)MVを発生しうる。システムSSが生産システムに適用される場合、シーケンス部101には、生産シーケンスが提供されうる。生産シーケンスは、生産のための手順を規定しうる。シーケンス部101は、生産シーケンスに基づいて、制御対象103を制御するための目標値Rを発生し、目標値Rを制御装置100あるいは制御器102に提供しうる。
【0012】
制御装置100あるいは制御器102は、制御対象103をフィードバック制御しうる。具体的には、制御装置100あるいは制御器102は、シーケンス部101から提供される目標値Rと制御対象103から提供される制御量CVとの差分である制御偏差に基づいて、制御対象103の制御量CVが目標値Rに追従するように制御対象103を制御しうる。制御対象103は、制御量CVを検出するセンサを有することができ、該センサによって検出された制御量CVが制御部102に提供されうる。目標値R、操作量MVおよび制御量CVは、時間の経過に伴って値が変化する時系列データでありうる。
【0013】
図2に例示されるように、システムSSには、学習部201が組み込まれてもよい。学習部201は、制御装置100の一部として構成されてもよいし、制御装置100の外部装置として構成されてもよい。学習部201が制御装置100の外部装置として構成される場合、学習の終了後に学習部201が制御装置100から切り離されてもよい。学習部201は、予め準備された学習シーケンスをシーケンス部101に送るように構成されうる。シーケンス部101は、学習シーケンスに従って目標値Rを生成し制御部102に提供しうる。
【0014】
制御器102は、シーケンス部101から学習シーケンスに従って生成され提供される目標値Rと制御対象103から提供される制御量CVとの差分である制御偏差に基づいて操作量MVを生成しうる。ここで、制御器102は、ニューラルネットワークを有し、該ニューラルネットワークを用いて操作量MVを発生しうる。制御器102によって生成される操作量MVは、制御対象103に提供され、この操作量MVに従って制御対象103が動作しうる。この動作の結果としての制御量CVは、制御器102に提供されうる。制御器102は、目標値Rに基づく制御器102の動作の履歴を示す動作履歴を学習部201に提供しうる。学習部201は、該動作履歴に基づいて制御器102のニューラルネットワークのパラメータ値を決定し、該パラメータ値を該ニューラルネットワークに設定しうる。該パラメータ値は、例えば、強化学習等の機械学習によって決定されうる。
【0015】
図3には、制御器102の1つの構成例が示されている。制御器102は、制御対象103の制御偏差Eに基づいて第1信号S1を発生する第1補償器301と、係数を調整可能な演算式に従って制御偏差Eを補正することによって補正信号CSを発生する補正器303とを含みうる。また、制御器102は、補正信号CSに基づいてニューラルネットワークによって第2信号S2を発生する第2補償器302と、第1信号S1と第2信号S2とに基づいて制御信号としての操作量MVを発生する演算器306とを含みうる。操作量MVは、第1信号S1と第2信号S2との和であり、演算器306は、加算器で構成されうる。他の観点において、操作量MVは、第1信号S1を第2信号S2に基づいて補正した信号である。制御器102は、目標値Rと制御量CVとの差分である制御偏差Eを発生する減算器305を含みうる。
【0016】
制御器102は、動作履歴記録304を更に含みうる。学習部201は、第2補償器302のニューラルネットワークのパラメータ値を決定するための学習を行うように構成されうる。学習部201による学習のために、動作履歴記録部304は、学習部201による学習に要する動作履歴を記録し、記録した動作履歴を学習部201に提供しうる。動作履歴は、例えば、第2補償器302に対する入力データである補正信号CSと、第2補償器302の出力データである第2信号S2でありうるが、他のデータでもよい。
【0017】
以下、補正器303のいくつかの構成例を説明する。第1乃至第5構成例は、補正器303が制御偏差Eに基づいて補正信号CSを生成するために使用する演算式の例を提供する。演算式は、例えば、単項式または多項式でありうる。
【0018】
第1構成例では、補正器303は、数1の演算式で表される制御特性を有する。ここで、補正器303に対する入力(E)をx、補正器303の出力(CS)をy、任意の係数(定数)をKpとする。
【0019】
【数1】
【0020】
第2構成例では、補正器303は、数2の演算式で表される制御特性を有する。ここで、補正器303に対する入力(E)をx、補正器303の出力(CS)をy、時刻をt、任意の係数(定数)をKとする。なお、積分は複数回行ってもよい。積分はある時間区間の定積分でもよいし、不定積分でもよい。
【0021】
【数2】
【0022】
第3構成例では、補正器303は、数3の演算式で表される制御特性を有する。ここで、補正器303に対する入力(E)をx、補正器303の出力(CS)をy、時刻をt、任意の係数(定数)Kとする。なお、微分は複数回行ってもよい。
【0023】
【数3】
【0024】
第4構成例では、補正器303は、数4の演算式で表される制御特性を有する。ここで、補正器303に対する入力(E)をx、補正器303の出力(CS)をy、任意の係数(定数)をK、K、Kとする。なお、積分および微分は複数回行ってもよい。
【0025】
【数4】
【0026】
第5構成例では、補正器303は、数5の演算式で表される制御特性を有する。ここで、補正器303に対する入力(E)をx、補正器303の出力(CS)をy、多重積分の積分階数をn、微分階数をm、任意の係数(定数)をK、n重積分のときの任意の係数(定数)をKi_n、m階微分のときの任意の定数をKd_mとする。
【0027】
【数5】
【0028】
第1乃至第5構成例は、補正器303が補正信号CSを生成するために使用する演算式が、制御偏差Eに比例する項、制御偏差Eに1回以上の積分を行う項、および、制御偏差Eに1回以上の微分を行う項の、少なくとも1つを含む例として理解されうる。
【0029】
第1乃至第5構成例で挙げられた演算式の係数(定数)K、K、K、Ki_n、Kd_mは、補正器303の調整可能なパラメータの例である。システムSSの動作中に制御対象103の状態および/または外乱環境が変化した場合において、第1乃至第5構成例として例示された演算式(の係数)の値(パラメータ値)を調整することによって、その変化に対応することができる。補正器303の演算式(の係数)の値の調整に要する時間は、ニューラルネットワークの再学習に要する時間よりも短い。したがって、システムSSの生産性を落とすことなく、制御精度を維持することができる。つまり、補正器303を導入することによって、制御対象の状態変化および/または外乱環境の変化に対する寛容性を向上させることができる。
【0030】
図4には、制御器102の他の構成例が示されている。図4に例示されるように、制御器102は、複数(2以上)のニューラルネットワーク302を有してもよい。補正器303によって生成される補正信号CSは、複数のニューラルネットワーク302に提供されうる。あるいは、補正器303によって生成される補正信号CSは、複数のニューラルネットワーク302のうち選択されたニューラルネットワーク302に提供されうる。複数のニューラルネットワーク302は、制御対象103の動作パターンに基づいて選択器401によって選択され、選択器401によって選択されたニューラルネットワーク302の出力が第2信号S2として演算器306に提供されうる。選択器401がニューラルネットワークの選択のために用いる動作パターンを示す情報は、シーケンス部101から選択器401に提供されうる。
【0031】
複数のニューラルネットワーク302のそれぞれのパラメータ値は、制御対象103の動作パターンに応じて決定されうる。例えば、制御対象103がステージを含み、ステージの位置を制御する場合、ステージを加速する加速区間の動作パターンと、それ以外の動作パターンとで、使用するニューラルネットワークを異ならせてもよい。あるいは、2つのシステムSSを露光装置に組み込み、1つのシステムSSによってプレートステージ(基板ステージ)を制御し、もう1つのシステムSSによってマスクステージ(原版ステージ)を制御することができる。この場合において、プレートステージとマスクステージとを同期させて駆動する同期区間の動作パターンと、それ以外の動作パターンとで、各システムSSにおいて使用するニューラルネットワークを異ならせてもよい。
【0032】
以上のように、複数のニューラルネットワーク302を使用する場合において、補正器303を導入することによって、制御対象の状態変化および/または外乱環境の変化に対する寛容性を向上させることができる。
【0033】
図5に例示されるように、制御装置100は、補正器303のパラメータ値を設定する設定部202を備えてもよい。設定部202は、補正器303のパラメータ値を調整するための調整処理を実行し、この調整処理によって補正器303のパラメータ値を決定し設定してもよいし、ユーザからの指令に基づいて補正器303のパラメータ値を設定してもよい。前者においては、設定部202は、制御器102の動作を確認するための確認シーケンスをシーケンス部101に送り、この確認シーケンスに基づいてシーケンス部101に目標値Rを生成させうる。そして、設定部202は、その目標値Rに基づいて動作する制御器102から動作履歴(例えば、制御偏差)を取得し、その動作履歴に基づいて補正器303のパラメータ値を決定しうる。このような機能を有する設定部202は、補正器303のパラメータ値を調整する調整部として理解することができる。
【0034】
設定部202は、シーケンス部101が生産シーケンスに基づいて目標値Rを生成する生産時において、制御器102から動作履歴(例えば、制御偏差)を取得し、その動作履歴に基づいて補正器303のパラメータ値の調整を実行するかどうかを決定してもよい。あるいは、シーケンス部101が生産シーケンスに基づいて目標値Rを生成する生産時において設定部202による補正器303のパラメータ値の調整を実行するかどうかを判断する判断部が設定部202とは別に設けられてもよい。
【0035】
図6には、第1実施形態のシステムSSを生産装置に適用した場合のシステムSSの動作例が示されている。工程S501では、シーケンス部101は、与えられた生産シーケンスに基づいて目標値Rを生成し、制御装置100あるいは制御器102に提供しうる。制御装置100あるいは制御器102は、その目標値Rに基づいて制御対象103を制御しうる。工程S502では、設定部202は、工程S501における制御器102の動作履歴(例えば、制御偏差)を取得しうる。工程S503では、設定部202は、工程S502で取得した動作履歴に基づいて、補正器303のパラメータ値の調整(あるいは再調整)を実行するかどうかを判断しうる。設定部202は、例えば、動作履歴が所定条件を満たす場合に、補正器303のパラメータ値の調整(あるいは再調整)を実行すると判断することができる。所定条件は、生産を停止させるべき条件であり、例えば、動作履歴として取得した制御偏差が規定値を超えることでありうる。そして、設定部202による補正器303のパラメータ値の調整(あるいは再調整)を実行する場合には工程S504に進み、そうでない場合には工程S505に進む。工程504では、設定部202は、補正器303のパラメータ値の調整(あるいは再調整)を実行する。この調整は、第2補償器302のパラメータ値が従前の状態に維持された状態でなされ、この調整によって、補正器303のパラメータ値(係数)が再設定される。
【0036】
工程S505では、シーケンス部101は、生産シーケンスに従う生産を終了するかどうかを判断し、終了しない場合には工程S501に戻り、終了する場合には生産を終了する。以上の処理によれば、生産を停止させるべき状態になった場合においても、速やかに補正器303のパラメータ値を調整し、生産の中断を最小限に抑えながら生産を再開させることができる。
【0037】
工程S504では、設定部202は、確認シーケンスをシーケンス部101に送り、シーケンス部101に確認シーケンスを実行させ、確認シーケンスにおける動作履歴(例えば、制御偏差)を制御器102から取得しうる。そして、設定部202は、その動作履歴の周波数解析を行い、その結果に基づいて、改善すべき周波数を決定し、その周波数における制御偏差が規定値以内になるように補正器303のパラメータ値を決定しうる。工程S504の更に具体的な例については、第2実施形態において説明する。
【0038】
図8には、外乱抑圧特性の計測結果が例示されている。外乱抑圧特性は、操作量MVとして正弦波を与えたときの制御偏差Eの周波数応答である。図8において、横軸は周波数、縦軸は外乱抑圧特性のゲインを表す。外乱抑圧特性は、操作量に外乱が加算された場合の制御偏差Eの周波数応答を表すため、ゲインが大きいことは、外乱を抑圧する効果が低いことを示す。一方、ゲインが小さいことは、外乱を抑圧する効果が高いことを示す。図8において、破線は、調整前の外乱抑圧特性を示している。
【0039】
図8における一点鎖線で示された周波数を、外乱抑圧特性を改善すべき周波数として定めて工程S504を実行すると、例えば、実線で示されるような外乱抑圧特性を得ることができる。改善すべき周波数において外乱抑圧特性のゲイン小さくなり、外乱抑圧特性が向上していることが分かる。
【0040】
以下、第2実施形態を説明する。第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。図9には、第1実施形態の制御システムSSあるいは制御装置100をステージ制御装置800に適用した例が示されている。ステージ制御装置800は、ステージ804を制御するように構成されている。ステージ制御装置800は、例えば、制御基板801、電流ドライバ802、モータ803、ステージ804およびセンサ805を備えうる。制御基板801は、第1実施形態のシステムSSにおける制御装置100または制御器102に対応する。電流ドライバ802、モータ803、ステージ804およびセンサ805は、第1実施形態のシステムSSにおける制御対象103に対応する。ただし、電流ドライバ802は、制御基板801に組み込まれてもよい。図9に示されていないが、ステージ制御装置800は、シーケンス部101、学習部201、設定部202を備えうる。
【0041】
制御基板801には、シーケンス部101から目標値としての位置目標値が供給されうる。制御基板801は、シーケンス部101から供給される位置目標値とセンサ805から供給される位置情報とに基づいて、制御信号あるいは操作量(操作量指令)としての電流指令を発生し、電流ドライバ802に供給しうる。また、制御基板801は、動作履歴をシーケンス部101に供給しうる。
【0042】
電流ドライバ802は、電流指令に従った電流をモータ803に供給しうる。モータ803は、電流ドライバ802から供給される電流を推力に変換し、その推力でステージ804を駆動するアクチュエータでありうる。ステージ804は、例えば、プレートまたはマスク等の物体を保持しうる。センサ805は、ステージ804の位置を検出し、それによって得られた位置情報を制御基板801に供給しうる。
【0043】
図10には、制御基板801の構成例がブロック線図として示されている。制御基板801は、制御対象としてのステージ804の位置制御偏差Eに基づいて第1信号S1を発生する第1補償器301と、係数を調整可能な演算式に従って制御偏差Eを補正することによって補正信号CSを発生する補正器303とを含みうる。また、制御基板801は、補正信号CSに基づいてニューラルネットワークによって第2信号S2を発生する第2補償器302と、第1信号S1と第2信号S2とに基づいて制御信号あるいは操作量信号として電流指令を発生する演算器306とを含みうる。また、制御基板801は、位置目標値PRと位置情報との差分である制御偏差Eを発生する減算器305を含みうる。
【0044】
第2実施形態のステージ制御装置100は、学習部201を備えることができ、学習部201は、第2補償器302のニューラルネットワークのパラメータ値を決定するための学習を行うように構成されうる。学習部201による学習のために、動作履歴記録部304は、学習部201による学習に要する動作履歴を記録し、記録した動作履歴を学習部201に提供しうる。動作履歴は、例えば、第2補償器302に対する入力データである補正信号CSと、第2補償器302の出力データである第2信号S2でありうるが、他のデータでもよい。
【0045】
第2実施形態のステージ制御装置100は、設定部202を備えることができる。設定部202は、補正器303のパラメータ値を調整するための調整処理を実行し、この調整処理によって補正器303のパラメータ値を決定し設定してもよいし、ユーザからの指令に基づいて補正器303のパラメータ値を設定してもよい。
【0046】
図6を援用して、第2実施形態のステージ制御装置800を生産装置に適用した場合のステージ装置800の動作を例示的に説明する。工程S501では、シーケンス部101は、与えられた生産シーケンスに基づいて位置目標値PRを生成し、ステージ制御装置800に提供しうる。ステージ制御装置800は、その位置目標値PRに基づいてステージ804の位置を制御しうる。工程S502では、設定部202は、工程S501における制御基板801の動作履歴(例えば、制御偏差)を取得しうる。工程S503では、設定部202は、工程S502で取得した動作履歴に基づいて、設定部202による補正器303のパラメータ値の調整(あるいは再調整)を実行するかどうかを判断しうる。設定部202は、例えば、動作履歴が所定条件を満たす場合に、補正器303のパラメータ値の調整(あるいは再調整)を実行すると判断することができる。所定条件は、生産を停止させるべき条件であり、例えば、ステージ804の等速駆動中の位置制御偏差の最大値が予め決められた規定値を超えることでありうる。そして、設定部202による補正器303のパラメータ値の調整(あるいは再調整)を実行する場合には工程S504に進み、そうでない場合には工程S505に進む。工程504では、設定部202は、補正器303のパラメータ値の調整(あるいは再調整)を実行しうる。工程S505では、シーケンス部101は、生産シーケンスに従う生産を終了するかどうかを判断し、終了しない場合には工程S501に戻り、終了する場合には生産を終了する。
【0047】
図7には、工程S504における補正器303のパラメータ値の調整(あるいは再調整)処理の具体例が示されている。工程S601では、設定部202は、ステージ制御装置800の動作を確認するための確認シーケンスをシーケンス部101に送り、この確認シーケンスに基づいてシーケンス部101に位置目標値PRを生成させうる。工程S602では、設定部202は、その位置目標値PRに基づいて動作する制御器102から動作履歴としての位置制御偏差Eを取得しうる。図12には、位置制御偏差が例示されている。図12において、横軸は時間、縦軸は位置制御偏差Eを示している。ここで、点線で示される曲線は、補正器303のパラメータ値を調整する前の位置制御偏差Eであり、位置制御精度が悪化していることを示している。
【0048】
工程S603では、設定部202は、工程S602で取得した位置制御偏差Eの周波数解析を行いうる。図13には、工程S603における周波数解析の結果が例示されている。図13において、横軸は周波数、縦軸はパワースペクトラムである。点線は、調整前において最大スペクトルを示す周波数を示している。工程S604では、設定部202は、例えば、パワースペクトラムにおいて最大スペクトルを示す周波数を、改善すべき周波数として決定しうる。
【0049】
工程S605~S610は、補正器303のパラメータ値を調整する調整処理の具体例である。ここでは、パラメータ値の調整方法として最急降下法を採用して例を説明するが、他の方法が使用されてもよい。工程S605では、設定部202は、nを1に初期化する。例えば、補正器303の演算式が一次積分項、比例項および一次微分項の3項で構成される場合、パラメータ値を調整すべきパラメータは、K、K、Kの3個である。n回目の調整におけるパラメータ値pを数6で示す。
【0050】
【数6】
【0051】
工程S606では、設定部202は、パラメータ値pの1回目の調整におけるパラメータ値pについては、任意の初期値を設定することができる。n回目の調整では、後述の数8で示されるパラメータ値pを設定することができる。
【0052】
パラメータ値pを調整するための目的関数J(p)は、例えば、工程S604で決定した周波数における外乱抑圧特性のゲインとされうる。工程S607では、設定部202は、目的関数J(p)の勾配ベクトルgrad J(p)を測定しうる。勾配ベクトルgrad J(p)は、数7で与えられうる。勾配ベクトルgrad J(p)は、パラメータ値pを構成する各要素Ki-n、Kp-n、Kd-nを微小量だけ変化させることよって計測されうる。
【0053】
【数7】
【0054】
工程S608では、設定部202は、最急降下法の収束判定として、勾配ベクトルgrad J(p)の各要素の値が規定値以下であるかどうかを判断しうる。勾配ベクトルgrad J(p)の各要素の値が規定値以下であれば、設定部202は、補正器303のパラメータ値の調整を終了しうる。一方、勾配ベクトルgrad J(p)の各要素の値が規定値を超えていれば、工程S609において、設定部202は、パラメータ値pn+1を計算しうる。ここで、パラメータ値pn+1は、例えば、0より大きい任意の定数αを使用して、数8に従って計算されうる。工程S610では、設定部202は、nの値に1を加算し、工程S606に戻る。
【0055】
【数8】
【0056】
工程S611では、設定部202は、ステージ制御装置800の動作を確認するための確認シーケンスをシーケンス部101に送り、この確認シーケンスに基づいてシーケンス部101に位置目標値PRを生成させうる。工程S612では、設定部202は、その位置目標値PRに基づいて動作する制御器102から動作履歴としての位置制御偏差Eを取得しうる。
【0057】
工程S613では、設定部202は、工程S612で取得した位置制御偏差Eが規定値以下であるかどうかを判断し、位置制御偏差Eが規定値を超えていれば工程S601に戻って調整を再実行し、位置制御偏差Eが規定値以下であれば、調整を終了しうる。
【0058】
第2実施形態によれば、ステージ804を含む制御対象の状態および/または外乱が変化したような場合において、補正器303のパラメータ値を調整することによって、その変化に対応することができる。例えば、図12の例では、点線で示された位置制御偏差は、実線で示された位置制御偏差まで低減され、制御精度が向上する。
【0059】
数6の例では、補正器303のパラメータ数はわずか3個であり、一般的なニューラルネットワークのパラメータ数よりも遥かに少ない。例えば、ディープニューラルネットワークを用いる場合、入力層の次元数を5、隠れ層の次元数を32の2段、出力層の次元数を8とすると、パラメータ数は1545個となる。これら1545個のパラメータの値を再学習によって決定するよりも、補正器303のパラメータ値を調整する方が短時間で調整を終えることができる。したがって、ステージ制御装置800の生産性を落とすことなく、制御精度を維持することができる。
【0060】
図11には、第3実施形態の露光装置EXPの構成例が模式的に示されている。露光装置EXPは、走査露光装置として構成されうる。露光装置EXPは、例えば、照明光源1000、照明光学系1001、マスクステージ1003、投影光学系1004、プレートステージ1006を備えうる。照明光源1000は、水銀ランプ、エキシマレーザ光源またはEUV光源を含みうるが、これらに限定されない。照明光源1000からの露光光1010は、照明光学系1001によって均一な照度で投影光学系1004の照射領域の形に成形される。一例において、露光光1010は、Y軸およびZ軸による平面に垂直な軸であるX方向に長い矩形に成形されうる。投影光学系1004の種類に応じて、露光光1010は、円弧形状に成形されうる。成形された露光光1010はマスク(原版)1002のパターンに照射され、マスク1002のパターンを通った露光光1010は、投影光学系1004を介してプレート1005(基板)の面にマスク1002のパターンの像を形成する。
【0061】
マスク1002は、マスクステージ1003によって真空吸引等によって保持され。プレート1005は、プレートステージ1006のチャック1007によって真空吸引等によって保持される。マスクステージ1003およびプレートステージ1006の位置は、レーザー干渉計またはレーザースケール等の位置センサ1030と、リニアモータ等の駆動系1031と、制御器1032とを備えた多軸位置制御装置によって制御されうる。位置センサ1030から出力される位置計測値は、制御器1032に提供されうる。制御器1032は、位置目標値と位置計測値との差分である位置制御偏差に基づいて制御信号(操作量信号)を発生し、それを駆動系1031に提供することによって、マスクステージ1003およびプレートステージ1006を駆動する。マスクステージ1003とプレートステージ1006をY方向に同期駆動しながらプレート1005を走査露光することでマスク1002のパターンがプレート1005(上の感光材)に転写される。
【0062】
第2実施形態をプレートステージ1006の制御に適用する場合について説明する。図9における制御基板801は制御器1032、電流ドライバ802とモータ803は駆動系1031、ステージ804はプレートステージ1006、センサ805は位置センサ1030に該当する。ニューラルネットワークを有する制御器をプレートステージ1006の制御に適用することで、プレートステージ1006の位置制御偏差を低減することができる。これにより、重ね合わせ精度等を向上させることができる。ニューラルネットワークのパラメータ値は、予め決められた学習シーケンスによって決定されうる。しかし、学習時からの制御対象の状態変化および/または外乱環境が変化した際に、プレートステージ1006の制御精度が低下する。そのような場合でも、補正器のパラメータ値を調整することで、ニューラルネットワークの再学習を行うよりも、短時間で調整を終えることができる。結果として、露光装置の生産性を落とすことなく、制御精度を維持することができる。
【0063】
第2実施形態をマスクステージ1003の制御に適用する場合について説明する。図9における制御基板801は制御器1032、電流ドライバ802とモータ803は駆動系1031、ステージ804はマスクステージ1003、センサ805は位置センサ1030に該当する。
【0064】
第2実施形態をマスクステージ1003の制御に適用した場合においても、マスクステージ1003の位置制御偏差を低減することができる。これにより、重ね合わせ精度等を向上させることができる。ニューラルネットワークのパラメータ値は、予め決められた学習シーケンスによって決定されうる。しかし、学習時からの制御対象の状態変化および/または外乱環境が変化した際に、マスクステージ1003の制御精度が低下する。そのような場合でも、補正器のパラメータ値を調整することで、ニューラルネットワークの再学習を行うよりも、短時間で調整を終えることができる。結果として、露光装置の生産性を落とすことなく、制御精度を維持することができる。
【0065】
第2実施形態は、露光装置におけるステージの制御のみならず、インプリント装置および電子線描画装置のような他のリソグラフィー装置におけるステージの制御にも適用されうる。また、第1実施形態または第2実施形態は、例えば、物品を搬送する搬送機構における可動部、例えば、物品を保持するハンドの制御にも適用されうる。
【0066】
上記のようなリソグラフィー装置は、種々の物品(半導体IC素子、液晶表示素子、MEMS等)の製造のための物品製造方法の実施のために使用されうる。物品製造方法は、上記のリソグラフィー装置を用いて基板に原版のパターンを転写する転写工程と、該転写工程を経た該基板を処理する処理工程と、を含み、該処理工程を経た該基板から物品を得る。該リソグラフィー装置が露光装置である場合、該転写工程は、原版を通して基板を露光する露光工程と、該露光工程を経た該基板を現像する現像工程とを含みうる。
【0067】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0068】
100:制御装置、102:制御器、103:制御対象、301:第1補償器、302:第2補償器、303:補正器、305:減算器、306:演算器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13