(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】透明な硬質熱可塑性ポリウレタン
(51)【国際特許分類】
C08G 18/42 20060101AFI20240716BHJP
C08G 18/66 20060101ALI20240716BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20240716BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20240716BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20240716BHJP
B29C 48/00 20190101ALI20240716BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20240716BHJP
【FI】
C08G18/42 008
C08G18/66 033
C08G18/42 002
C08G18/40 009
C08G18/76
B29C45/00
B29C48/00
B29C48/08
(21)【出願番号】P 2020570575
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2019066018
(87)【国際公開番号】W WO2019243334
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-16
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ゼバスチィアン
(72)【発明者】
【氏名】トモヴィッチ,ジェリコ
(72)【発明者】
【氏名】ザーバフシュ,ジルス
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/108920(WO,A1)
【文献】英国特許出願公告第01447644(GB,A)
【文献】国際公開第2014/093995(WO,A1)
【文献】特開平08-127632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00- 18/87
C08G71/00- 71/04
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
B29C45/00- 45/84
B29C48/00- 48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも成分(i)~(iii):
(i)ポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物は、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含み、
前記分子量(Mw)は、式:
Mw = 1000 mg/g ・ [(z ・ 56.106g/mol)/ (OHN [mg/g])]
(式中、z=2である)
によって計算され、
前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は65%を超え
、且つ
前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである、熱可塑性ポリウレタン。
【請求項2】
(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項3】
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて25質量%~65質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む、請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項4】
前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、ポリエチレンテレフタレートブロック又はポリブチレンテレフタレートブロックである、請求項1から
3のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項5】
前記ポリオール(P1)は、500~2300g/molの範囲の分子量Mwを有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項6】
(ii)で使用される前記鎖延長剤は、220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールである、請求項1から
5のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項7】
(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、80:1~5:1のモル比で使用される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項8】
前記ポリオール組成物は、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール及びハイブリッドポリオールからなる群から選択されるさらなるポリオールを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項9】
ポリイソシアネートは芳香族ジイソシアネートである、請求項1から
8のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項10】
前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%~99%の範囲である、請求項1から
9のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項11】
成形体(SC)の製造方法であって、以下の工程:
(a)熱可塑性ポリウレタンを調製する工程であって、
(i)ポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含み、
前記ポリオール組成物が、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含み、
前記分子量(Mw)は、式:
Mw = 1000 mg/g ・ [(z ・ 56.106g/mol)/ (OHN [mg/g])]
(式中、z=2である)
によって計算され、
前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は65%を超え
、且つ
前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである、工程と、
(b)前記熱可塑性ポリウレタンから成形体(SC)を製造する工程と
を含む、方法。
【請求項12】
工程(b)において、押出成形、射出成形又は焼結方法により、又は溶液から前記成形体(SC)を製造する、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
請求項
11又は
12に記載の方法により得ることができる又は得られる成形体。
【請求項14】
前記成形体は、フィル
ム、スポーツ用品用のコーティング又は床コーティング、又は消費者物品又は家庭用品のためのハウジン
グ、コンピュータ又は電話の部品、プラグ、自動車内装用部品、履物部品
である、請求項13に記載の成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネート組成物、鎖延長剤及びポリオール組成物を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、ポリオール組成物は、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む。さらに、本発明は、このような熱可塑性ポリウレタンを含む成形体の製造方法、及び本発明の方法により得ることができる又は得られる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な用途のための熱可塑性ポリウレタンは、原則として従来技術から知られている。原料の変化により、異なる特性のプロファイルを得ることが可能である。
【0003】
US 5574092(特許文献1)は、少なくとも50℃のTgを有し、かつ、ジイソシアネートをベースとする硬質セグメント、及び芳香族ジオールを含む鎖延長剤混合物を含む硬質熱可塑性ポリウレタンを開示している。実施例によれば、170%未満の破断点伸びを有する非常に脆い材料が得られる。
【0004】
また、US 5627254(特許文献2)は、ブタンジオール(BDO)、及びHO-(CH2CH2O)n-Hタイプ(式中、nは2~6の整数である)のポリエチレングリコール(PEG)の単位を含む硬質熱可塑性ポリウレタンを開示している。これらの材料には、脆くて処理が難しいという欠点がある。
【0005】
WO 2015/063062 A1(特許文献3)は、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも1種の鎖延長剤及び少なくとも1種のポリオール組成物を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、ポリオール組成物は、ポリエーテルオールからなる群から選択されるポリオール、及び315g/mol超の分子量Mwを有するビスフェノールA誘導体及び315g/mol超の分子量Mwを有するビスフェノールS誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のビスフェノール誘導体を含み、ビスフェノール誘導体の少なくとも1個のOH基はアルコキシル化されている。WO 2015/063062 A1は、このような熱可塑性ポリウレタンの製造方法、及びその発明の熱可塑性ポリウレタンを押出製品、フィルム及び成形体の製造に使用する方法に関する。70ショアD超の硬度を有するこのような脂肪族TPUは、低い弾性率、及び不十分な破断点伸びを有する。さらなる欠点は、いくつかの毒物学的懸念があるビスフェノールAの使用である。
【0006】
典型的には、イソシアネートと、鎖延長剤、例えばヘキサン-1,6-ジオール又はシクロヘキサン-1,4-ジメタノールとの反応により得られる硬質熱可塑性ポリウレタンは、90%以上の硬質セグメント含有量を有する。これらの材料は、高い硬度及び高い寸法安定性を有するが、非常に脆く、200%未満、又はさらには100%未満の破断点伸びを有する。
【0007】
しかしながら、多くの用途は、高い硬度、すなわち、より具体的に、75ショアD超の硬度及び室温で2000MPa超の弾性率だけでなく、良好な破断点伸び及び高温で良好な弾性率も有する材料を必要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】US 5574092
【文献】US 5627254
【文献】WO 2015/063062 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術から進んで、本発明の目的は、第一に透明で、高い硬度及び高い弾性率を有し、第二に、良好な破断点伸び及び高温で良好な弾性率を有する熱可塑性ポリウレタンを提供することであった。本発明のさらなる目的は、第一に透明で、高い硬度及び高い弾性率を有し、第二に、良好な破断点伸び及び高温で良好な弾性率を有し、ワンショット法で簡単かつ安価な方法で製造可能である熱可塑性ポリウレタンを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i)ポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンによって達成され、
ここで、前記ポリオール組成物は、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明よれば、好ましくは、鎖延長剤及びポリオール組成物中に存在するポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される。
【0012】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、(ii)で使用される鎖延長剤及びポリオール組成物中に存在するポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される。
【0013】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンは特に、コンパクトな熱可塑性ポリウレタンであり得る。したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンはコンパクトな熱可塑性ポリウレタンである。
【0014】
本発明によれば、ポリオール(P1)は、500~2500g/molの範囲の分子量Mwを有する。さらに、ポリオール(P1)は芳香族ポリエステルブロック(B1)を有し、ここで、ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む。本発明の文脈において、これは、芳香族ポリエステルブロック(B1)が、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステル、又は脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールとのポリエステルであり得ることを意味すると理解される。好ましくは、本発明の文脈における芳香族ポリエステルブロック(B1)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである。本発明によれば、ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の芳香族ポリエステルブロック(B1)、換言すれば、20質量%~70質量%のポリエステル単位、すなわち、例えば20質量%~70質量%の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステル単位、又は20質量%~70質量%の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジオールとのポリエステル単位を含む。
【0015】
好適な芳香族ジカルボン酸は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸又はフタル酸、好ましくはテレフタル酸である。したがって、本発明の文脈において好適なポリオール(P1)は、例えば、少なくとも1種のポリエチレンテレフタレートブロック又は少なくとも1種のポリブチレンテレフタレートブロックを有するものであり、ここで、芳香族システム中の繰り返し単位の数は直列で少なくとも2である。好ましくは、芳香族ポリエステルブロック(B1)は、高分子量の芳香族ポリエステルの分解反応による反応で得られ、ここで、芳香族システムの繰り返し単位の十分なブロック長を確保するために、高分子量の芳香族ポリエステルは典型的に、ポリオール(P1)に変換する前に別の工程で調製される。
【0016】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、芳香族ポリエステルブロック(B1)は芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである。さらなる実施態様において、本発明はまた、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、芳香族ポリエステルブロック(B1)はポリエチレンテレフタレートブロック又はポリブチレンテレフタレートブロックである。さらに好ましい実施態様において、本発明はさらに、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、芳香族ポリエステルブロック(B1)はポリエチレンテレフタレートブロックである。
【0017】
本発明によれば、好ましくは、熱可塑性ポリウレタンは、50%超、好ましくは60%超、さらに好ましくは65%超又は75%超の硬質セグメント含有量を有する。ここでは、硬質セグメント含有量は、イソシアネート及び鎖延長剤によって形成される熱可塑性ポリウレタンの割合である。本発明の文脈において、硬質セグメント含有量は、WO 2007/118827 A1に開示されている式によって決定され、ここで、0.1の値は100%に対応し、すなわち、50%超の硬質セグメント含有量はWO 2007/118827 A1で特定された式による0.50超の値に対応する。
【0018】
驚いたことには、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有するポリオール(P1)(ここで、ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む)の使用により、透明で、硬度が高く、同時に脆くない、50%超の硬質セグメント含有量を有する熱可塑性ポリウレタンを得ることが可能であることが見出された。したがって、本発明の熱可塑性ポリウレタンは、75ショアD超の硬度、室温で2000MPa超の弾性率、及び150%超の破断点伸びを有する。本発明によれば、得られた熱可塑性ポリウレタンは、さらに、良好な熱的特性、例えば、70℃の温度で1000MPa超の弾性率を有する。
【0019】
本発明の文脈において、好適なポリオール(P1)は特に、芳香族ポリエステルをベースとするもの、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンテレフタレート(PET)である。好ましくは、ここで、ポリオール(P1)は、芳香族ポリエステルをジカルボン酸及びジオールと反応させて混合の芳香族/脂肪族ポリエステルジオールを得ることにより調製される。例えば、本発明の文脈において、固体又は液体形態での芳香族ポリエステルをジカルボン酸及びジオールと反応させることが可能である。本発明によれば、使用される芳香族ポリエステルは典型的に、ポリオール(P1)中に存在するブロック(B1)より高い分子量を有する。
【0020】
本発明に従って好適なポリエステルポリオール(P1)は、いずれの場合もポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて、20質量%~70質量%、好ましくは25質量%~65質量%、より好ましくは30質量%~60質量%、さらに好ましくは35質量%~55質量%、特に好ましくは40質量%~55質量%又は40質量%~50質量%の芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む。したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて25質量%~65質量%の芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む。
【0021】
本発明によれば、ポリオール(P1)は、500~2500g/molの範囲、好ましくは500~2300g/molの範囲、さらに好ましくは500~2200g/molの範囲、特に好ましくは500~2000g/molの範囲、より好ましくは600~1500g/molの範囲、最も好ましくは700~1200g/molの範囲の分子量Mwを有する。したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、ポリオール(P1)は500~2300g/molの範囲の分子量Mwを有する。
【0022】
分子量(Mw)は、以下の式:
Mw = 1000 mg/g [(z 56.106 g/mol)/ (OHN [mg/g])]
(式中、zはポリエステルポリオールの官能価であり、z=2である)
を使用して計算される。
【0023】
ポリオール(P1)の調製では、好ましくは、芳香族ポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンテレフタレート(PET)を使用する。ポリエチレンテレフタレートは、重縮合によって調製された熱可塑性ポリマーである。PETの品質、及びその物理的特性、例えば靭性又は耐久性は、鎖の長さに依存する。古いPET合成法は、ジメチルテレフタレートをエチレングリコールでエステル交換することに基づくものである。現在、PETは主に、テレフタル酸をエチレングリコールで直接エステル化することによってのみ合成されている。同様に、テレフタル酸をブタン-1,4-ジオールと反応させて、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を得ることもできる。この同様の熱可塑性ポリマーは、例えばCRASTIN(登録商標)(DuPont)、POCAN(登録商標)(Lanxess)、ULTRADUR(登録商標)(BASF)又はENDURAN(登録商標)及びVESTODUR(登録商標)(SABIC IP)の商品名で購入できる。その化学的及び物理的/技術的特性は主に、PETの特性に対応する。
【0024】
本発明によれば、リサイクルプロセスから得られる芳香族ポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリエチレンテレフタレート(PET)を使用することも可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレートは、フレークの形態で、又はプラスチックのリサイクルプロセスから得られるペレットとして使用することができる。この種の材料は典型的に、約12000g/molの分子量を有する。
【0025】
本発明によれば、好適なポリオール(P1)は、より高い分子量を有する芳香族ポリエステル、例えばポリブチレンテレフタレート又はポリエチレンテレフタレート、及びエステル交換によるジオールを使用して、得ることもできる。好適な反応条件は、それ自体当業者に知られている。
【0026】
さらに、ポリオール(P1)の調製では、2~36個の炭素原子を有するジオール、例えばエタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、又はジ-又はトリエチレングリコール、又は二量体化した脂肪酸から得られるジオールを使用する。本発明によれば、2種以上のジオールの混合物を使用することも可能である。より具体的には、ブタン-1,4-ジオール又はブタン-1,4-ジオールを含む混合物を使用する。短いポリエーテルジオール、例えばPTHF 250又はPTHF 650、又は短鎖ポリプロピレングリコール、例えばPPG 500を使用することも可能である。使用されるジカルボン酸は、例えば4~36個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の二酸、又はその混合物であり得る。例えば、二量体化した脂肪酸を使用することも可能である。好ましくは、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸又はセバシン酸、又は上記の酸の混合物を使用する。本発明の文脈において、アジピン酸が特に好ましい。本発明によれば、ポリオール(P1)の調製において、さらなるポリエステルジオール、例えばブタンジオールアジパート又はエチレンアジパートを原料として使用することも可能である。
【0027】
本発明の文脈において、熱可塑性ポリウレタンの調製では、少なくとも1種の鎖延長剤及び上記のポリオール組成物を使用することが必要である。
【0028】
本発明によれば、1種の鎖延長剤を使用することが可能であるが、異なる鎖延長剤の混合物を使用することも可能である。
【0029】
本発明の文脈において使用される鎖延長剤は、例えば、ヒドロキシル又はアミノ基、特に2個のヒドロキシル又はアミノ基を有する化合物であり得る。しかしながら、本発明によれば、異なる化合物の混合物を鎖延長剤として使用することも可能である。本発明によれば、この混合物の平均官能価は2である。
【0030】
本発明に従って、ヒドロキシル基を有する化合物、特にジオールを鎖延長剤として使用することが好ましい。好ましくは、50g/mol~220g/molの分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式ジオールを使用することが可能である。アルキレンラジカルに2~10個の炭素原子を有するアルカンジオール、特にジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-及び/又はデカアルキレングリコールが好ましい。本発明において、1,2-エチレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール又はシクロヘキサン-1,4-ジメタノールが特に好ましい。芳香族化合物、例えばヒドロキシキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテルを使用することも可能である。
【0031】
本発明によれば、アミノ基を有する化合物、例えばジアミンを使用することも可能である。同様に、ジオールとジアミンの混合物を使用することが可能である。
【0032】
好ましくは、鎖延長剤は、220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールである。本発明によれば、220g/mol未満の分子量Mwを有する1種のみのジオールを、透明な熱可塑性ポリウレタンの調製に使用することが可能である。
【0033】
さらなる実施態様において、1種以上のジオールを鎖延長剤として使用する。したがって、鎖延長剤の混合物を使用することも可能であり、ここで、少なくとも1種のジオールは220g/mol未満の分子量Mwを有する。1種以上の鎖延長剤を使用する場合、第2の又はさらなる鎖延長剤は220g/mol以上の分子量を有してもよい。
【0034】
本発明のさらなる実施態様において、鎖延長剤は、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール及びシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、又はこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0035】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、(ii)で使用される鎖延長剤は、220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールである。
【0036】
鎖延長剤、特に220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールは、好ましくは、100:1~1:1の範囲のポリオール(P1)に対するモル比で使用される。好ましくは、鎖延長剤及びポリオール(P1)は、80:1~5:1の範囲、さらに好ましくは60:1~10:1の範囲のモル比で使用される。
【0037】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、(ii)で使用される鎖延長剤及びポリオール組成物中に存在するポリオール(P1)は100:1~1:1のモル比で使用される。したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、(ii)で使用される鎖延長剤及びポリオール組成物中に存在するポリオール(P1)は80:1~5:1のモル比で使用される。
【0038】
本発明によれば、ポリオール組成物は、さらなるポリオール及び少なくとも1種のポリオール(P1)を含み得る。したがって、本発明の文脈において、少なくとも1種の鎖延長剤、並びに、上記の少なくとも1種のポリオール(P1)及び少なくとも1種のさらなるポリオールを含むポリオール組成物を使用することも可能である。
【0039】
したがって、他の実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、ポリオール組成物は、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール及びハイブリッドポリオールからなる群から選択されるさらなるポリオールを含む。
【0040】
使用されるイソシアネートに対して反応性の水素原子を有するより高い分子量の化合物は、イソシアネートに対して反応性の化合物を有する一般に知られているポリオールであり得る。
【0041】
ポリオールは、基本的に当業者に知られており、例えば「Kunststoffhandbuch,Band 7,Polyurethane」[プラスチックハンドブック,第7巻,ポリウレタン],Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第3.1章に記載されている。特に好ましくは、ポリエステルオール又はポリエーテルオールをポリオールとして使用する。ポリエステルポリオールが特に好ましい。同様に、ポリカーボネートを使用することが可能である。コポリマーも本発明の文脈において使用することができる。本発明に従って使用されるポリオールの数平均分子量は、好ましくは、0.5×103g/mol~8×103g/mol、好ましくは0.6×103g/mol~5×103g/mol、特に0.8×103g/mol~3×103g/molである。
【0042】
それらは、好ましくは1.8~2.3、より好ましくは1.9~2.2、特に2のイソシアネートに関する平均官能価を有する。
【0043】
使用されるポリエステルオールは、二酸及びジオールをベースとするポリエステルオールであり得る。使用されるジオールは、好ましくは、2~10個の炭素原子を有するジオール、例えばエタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、又はジ-又はトリエチレングリコール、特にブタン-1,4-ジオール、又はそれらの混合物である。使用される二酸は、任意の既知の二酸、例えば4~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の二酸、又はそれらの混合物であり得る。好ましくは、アジピン酸を二酸として使用する。
【0044】
本発明に従って、好ましいポリエーテルオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラヒドロフランである。
【0045】
特に好ましい実施態様において、ポリオールは、600g/mol~3000g/molの範囲の分子量Mwを有するポリテトラヒドロフラン(PTHF)である。
【0046】
本発明によれば、PTHFと同様に、様々な他のポリエーテルが好適であるが、ポリエステル、ブロックコポリマー及びハイブリッドポリオール、例えばポリ(エステル/アミド)も使用可能である。
【0047】
好ましくは、使用されるポリオールは、1.8~2.3、好ましくは1.9~2.2、特に2の平均官能価を有する。好ましくは、本発明に従って使用されるポリオールは、一級ヒドロキシル基のみを有する。
【0048】
本発明によれば、ポリオールは、純粋な形態で、又はポリオール及び少なくとも1種の溶媒を含む組成物の形態で使用されてもよい。好適な溶媒は、それ自体当業者に知られている。
【0049】
さらなるポリオールは、好ましくは、10:1~1:10の範囲のポリオール(P1)に対するモル比で使用される。さらに好ましい実施態様において、さらなるポリオール及びポリオール(P1)は、9:1~1:9の範囲、さらに好ましくは5:1~1:5の範囲のモル比で使用される。
【0050】
本発明によれば、少なくとも1種のポリイソシアネートを使用する。本発明によれば、2種以上のポリイソシアネートの混合物を使用することも可能である。
【0051】
本発明の文脈において、好ましいポリイソシアネートは、ジイソシアネート、特に脂肪族又は芳香族ジイソシアネート、さらに好ましくは芳香族ジイソシアネートである。
【0052】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、ポリイソシアネートは、脂肪族又は芳香族ジイソシアネート、さらに好ましくは芳香族ジイソシアネートである。
【0053】
本発明によれば、好ましくは、成分は、熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量が、50%超、特に65%超、好ましくは75%超、好ましくは80%超、さらに好ましくは85%超のような比で反応される。したがって、熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は、好ましくは75%~99%の範囲、好ましくは80%~98%の範囲、さらに好ましくは85%~95%の範囲である。したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンに関し、ここで、熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%~99%の範囲である。
【0054】
さらに、本発明の文脈において、使用されるイソシアネート成分は、先行する反応工程で一部のOH成分をイソシアネートと反応させた予備反応プレポリマーであり得る。これらのプレポリマーは、さらなる工程である実際のポリマー反応で残りのOH成分と反応し、次に熱可塑性ポリウレタンを形成する。プレポリマーの使用により、二級アルコール基を有するOH成分を使用することも可能になる。
【0055】
使用される脂肪族ジイソシアネートは、通常の脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート、例えばトリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)である。
【0056】
好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、及びメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)であり;メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)及び1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン、又はそれらの混合物が特に好ましい。
【0057】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の方法に関し、ここで、ポリイソシアネートは、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及び1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0058】
好適な芳香族ジイソシアネートは、特に、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ジフェニルエタン4,4’-ジイソシアネート(EDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニル3,3’-ジイソシアネート、ジフェニルエタン1,2-ジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネートである。
【0059】
好ましい芳香族ジイソシアネートは、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI)及びそれらの混合物である。
【0060】
高官能価イソシアネートの好ましい例は、トリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネート、及び前述したジイソシアネートのシアヌレート、及びジイソシアネートと水との部分的反応によって得ることができるオリゴマー、例えば前述したジイソシアネートのビウレット、及びセミブロックされたジイソシアネートと平均2個超、好ましくは3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールとの制御された反応によって得ることができるオリゴマーである。
【0061】
さらなる実施態様において、本発明は上記の方法に関し、ここで、ポリイソシアネートは脂肪族ジイソシアネートである。
【0062】
本発明によれば、ポリイソシアネートは、純粋な形態で、又はポリイソシアネート及び少なくとも1種の溶媒を含む組成物の形態で使用されてもよい。好適な溶媒は、当業者に知られている。好適な例は、非反応性溶媒、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン及び炭化水素である。
【0063】
本発明によれば、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも1種の鎖延長剤及び少なくとも1種のポリマー組成物の反応では、さらなる原料、例えば触媒又は助剤及び添加剤を添加することが可能である。
【0064】
好適な助剤及び添加剤は、それ自体当業者に知られている。例には、界面活性物質、難燃剤、核剤、酸化安定剤、酸化防止剤、潤滑剤及び離型助剤、染料及び顔料、例えば加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、無機及び/又は有機充填剤、強化剤及び可塑剤が含まれる。好適な助剤及び添加剤は、例えばKunststoffhandbuch,第VII巻,Vieweg及びHoechtlenによって発行され,Carl Hanser Verlag,Munich 1966年(103~113頁)に見出すことができる。
【0065】
好適な触媒は、同様に、原則として先行技術から知られている。好適な触媒は、例えば、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ビスマス、亜鉛、アルミニウム及び鉄オルガニル(organyl)からなる群から選択される有機金属化合物、例えばスズオルガニル化合物、好ましくはスズジアルキル、例えばスズ(II)イソオクトエート、スズジオクトエート、ジメチルスズ又はジエチルスズ、又は脂肪族カルボン酸のスズオルガニル化合物、好ましくはスズジアセテート、スズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、チタン酸エステル、ビスマス化合物、例えばビスマスアルキル化合物、好ましくはネオデカン酸ビスマス又は類似物、又は鉄化合物、好ましくは鉄(III)アセチルアセトナートである。
【0066】
好ましい実施態様において、触媒は、スズ化合物及びビスマス化合物、より好ましくはスズアルキル化合物又はビスマスアルキル化合物から選択される。スズ(II)イソオクトエート及びネオデカン酸ビスマスが特に好適である。
【0067】
触媒は、典型的に3ppm~2000ppm、好ましくは10ppm~1000ppm、さらに好ましくは20ppm~500ppm、最も好ましくは30ppm~300ppmの量で使用される。
【0068】
さらなる態様において、本発明はまた、成形体(SC)の製造方法に関し、この方法は、以下の工程:
(a)熱可塑性ポリウレタンを調製する工程であって、
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含み、
ポリオール組成物が、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む、工程と、
(b)熱可塑性ポリウレタンから成形体(SC)を製造する工程と
を含む。
【0069】
本発明の方法は、工程(a)及び(b)を含む。まずは、工程(a)では、少なくとも1種のポリイソシアネート組成物、少なくとも1種の鎖延長剤、及び少なくとも1種のポリオール組成物を反応させることにより熱可塑性ポリウレタンを調製する。この場合、本発明によれば、ポリオール組成物は、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む。
【0070】
好ましい実施態様に関しては、相応に適用可能な上記の詳細が参照される。
【0071】
工程(b)では、工程(a)で得られた熱可塑性ポリウレタンから成形体(SC)を製造する。本発明の文脈において、成形体(SC)は、例えばホイルであってもよい。本発明の文脈において、成形体(SC)は、すべての通常の方法により、例えば押出成形、射出成形又は焼結方法により、又は溶液から製造することができる。本発明の文脈において、射出成形により成形体(SC)を製造することが特に好ましい。
【0072】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の方法に関し、ここで、工程(b)において、押出成形、射出成形又は焼結方法により、又は溶液から成形体(SC)を製造する。
【0073】
工程(a)におけるプロセスは、原則として、それ自体が知られている反応条件下で行うことができる。
【0074】
好ましい実施態様において、工程(a)におけるプロセスは、室温より高い温度で、さらに好ましくは50℃~250℃の範囲、より好ましくは50℃~200℃の範囲の温度で行われる。本発明によれば、原料を、例えば50℃~150℃の範囲、好ましくは60℃~120℃の範囲の温度に予熱することも可能である。
【0075】
本発明によれば、加熱は、当業者に知られている任意の好適な方法で、好ましくは電気加熱、加熱された油、加熱されたポリマー流体又は水を介する加熱、誘導磁界、熱風又はIR放射によって行うことができる。
【0076】
得られた熱可塑性ポリウレタンを本発明に従って処理して、成形体(SC)を得る。したがって、方法は工程(a)及び工程(b)を含む。本発明によれば、方法は、さらなる工程、例えば熱処理を含んでもよい。
【0077】
本発明の方法により、透明で、高い硬度を有し、同時に脆くない成形体(SC)が得られる。さらなる態様において、本発明は、上記の方法により得ることができる又は得られる成形体にも関する。
【0078】
原則として、成形体(SC)は、すべての可能な形状体、例えば、フィルム及び他の成形体などの押出製品であり得る。本発明によれば、成形体は、特に、消費者物品又は消費者物品のためのハウジング、例えば、用品(uses)、例えば歯ブラシ、かみそり、ディスプレイ、眼鏡フレーム又は眼鏡レンズ、コンピュータ又は電話の部品、プラグ、自動車内装用部品、履物部品、例えば履物の安全キャップを含んでもよい。フィルムは、例えば包装用のフィルム、又はコーティング用のフィルム、例えば積層システム用のフィルム、スポーツ用品用のコーティング又は床コーティングであり得る。
【0079】
したがって、さらなる実施態様において、本発明は、上記の成形体に関し、ここで、成形体は、フィルム、例えば、包装用のフィルム、又はコーティング用のフィルム、例えば積層システム用のフィルム、スポーツ用品用のコーティング又は床コーティング、又は消費者物品又は家庭用品のためのハウジング、例えば、用品、例えば歯ブラシ、かみそり、ディスプレイ、眼鏡フレーム又は眼鏡レンズ、コンピュータ又は電話の部品、プラグ、自動車内装用部品、履物部品、例えば履物の安全キャップである。
【0080】
本発明のさらなる実施態様は、請求の範囲及び実施例から明らかである。上記に列挙され、以下に解明される本発明による主題/方法/使用方法の特徴は、それぞれの場合に特定された組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせでも使用可能であることが理解されるべきである。したがって、例えば、好ましい特徴と特に好ましい特徴との組み合わせ、又は特に好ましい特徴などでさらに特徴付けられていない特徴の組み合わせも、この組み合わせが明示的に言及されていなくても暗黙的に包含される。
【0081】
本発明の例示的な実施態様を以下に列挙するが、本発明を限定するものではない。特に、本発明は、従属性参照、及びしたがって以下に特定される組み合わせから得られる実施態様も包含する。より具体的には、以下の実施態様の範囲の命名の場合、例えば、「実施態様1から4のいずれか一項に記載の方法」という表現は、この範囲内の実施態様の任意の組み合わせが当業者に明示的に開示されている、すなわち、この表現は「実施態様1、2、3及び4のいずれか一項に記載の方法」と同義であると見なされるべきであるように理解されるべきである。
【0082】
1.少なくとも成分(i)~(iii):
(i)ポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物は、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含み、
前記分子量(Mw)は、式:
Mw = 1000 mg/g [(z 56.106 g/mol)/ (OHN [mg/g])]
(式中、z=2である)
によって計算される、熱可塑性ポリウレタン。
【0083】
2.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される、実施態様1に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0084】
3.前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて25質量%~65質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む、実施態様1又は2に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0085】
4.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである、実施態様1から3のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0086】
5.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、ポリエチレンテレフタレートブロック又はポリブチレンテレフタレートブロックである、実施態様1から4のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0087】
6.前記ポリオール(P1)は、500~2300g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施態様1から5のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0088】
7.(ii)で使用される前記鎖延長剤は、220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールである、実施態様1から6のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0089】
8.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、80:1~5:1のモル比で使用される、実施態様1から7のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0090】
9.前記ポリオール組成物は、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール及びハイブリッドポリオールからなる群から選択されるさらなるポリオールを含む、実施態様1から8のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0091】
10.ポリイソシアネートは芳香族ジイソシアネートである、実施態様1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0092】
11.前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は50%を超える、実施態様1から10のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0093】
12.前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%~99%の範囲である、実施態様1から11のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0094】
13.成形体(SC)の製造方法であって、以下の工程:
(a)熱可塑性ポリウレタンを調製する工程であって、
(i)ポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含み、
前記ポリオール組成物が、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む、工程と、
(b)前記熱可塑性ポリウレタンから成形体(SC)を製造する工程と
を含み、
前記分子量(Mw)は、式:
Mw = 1000 mg/g [(z 56.106 g/mol)/ (OHN [mg/g])]
(式中、z=2である)
によって計算される、方法。
【0095】
14.工程(b)において、押出成形、射出成形又は焼結方法により、又は溶液から前記成形体(SC)を製造する、実施態様13に記載の方法。
【0096】
15.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される、実施態様13又は14に記載の方法。
【0097】
16.前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて25質量%~65質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む、実施態様13から15のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
17.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである、実施態様13から16のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
18.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、ポリエチレンテレフタレートブロック又はポリブチレンテレフタレートブロックである、実施態様13から17のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
19.前記ポリオール(P1)は、500~2300g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施態様13から18のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
20.(ii)で使用される前記鎖延長剤は、220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールである、実施態様13から19のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
21.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、80:1~5:1のモル比で使用される、実施態様13から20のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
22.前記ポリオール組成物は、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール及びハイブリッドポリオールからなる群から選択されるさらなるポリオールを含む、実施態様13から21のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
23.ポリイソシアネートは芳香族ジイソシアネートである、実施態様13から22のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
24.前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は50%を超え、好ましくは、前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%~99%の範囲である、実施態様13から23のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
25.実施態様13から24のいずれか一項に記載の方法により得ることができる又は得られる成形体。
【0107】
26.前記成形体は、フィルム、例えば、包装用のフィルム、又はコーティング用のフィルム、例えば積層システム用のフィルム、スポーツ用品用のコーティング又は床コーティング、又は消費者物品又は家庭用品のためのハウジング、例えば、用品、例えば歯ブラシ、かみそり、ディスプレイ、眼鏡フレーム又は眼鏡レンズ、コンピュータ又は電話の部品、プラグ、自動車内装用部品、履物部品、例えば履物の安全キャップである、実施態様25に記載の成形体。
【0108】
27.少なくとも成分(i)~(iii):
(i)ポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物は、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含み、
(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される、熱可塑性ポリウレタン。
【0109】
28.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、60:1~10:1のモル比で使用される、実施態様27に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0110】
29.前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて25質量%~65質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む、実施態様27又は28に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0111】
30.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである、実施態様27から29のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0112】
31.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、ポリエチレンテレフタレートブロック又はポリブチレンテレフタレートブロックである、実施態様27から30のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0113】
32.前記ポリオール(P1)は、500~2300g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施態様27から31のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0114】
33.(ii)で使用される前記鎖延長剤は、220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールである、実施態様27から32のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0115】
34.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、80:1~5:1のモル比で使用される、実施態様27から33のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0116】
35.前記ポリオール組成物は、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール及びハイブリッドポリオールからなる群から選択されるさらなるポリオールを含む、実施態様27から34のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0117】
36.ポリイソシアネートは芳香族ジイソシアネートである、実施態様27から35のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0118】
37.前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は50%を超える、実施態様27から36のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0119】
38.前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%~99%の範囲である、実施態様27から37のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0120】
39.成形体(SC)の製造方法であって、以下の工程:
(a)熱可塑性ポリウレタンを調製する工程であって、
(i)ポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含み、
前記ポリオール組成物が、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含み、
(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される、工程と、
(b)前記熱可塑性ポリウレタンから成形体(SC)を製造する工程と
を含む、方法。
【0121】
40.工程(b)において、押出成形、射出成形又は焼結方法により、又は溶液から前記成形体(SC)を製造する、実施態様39に記載の方法。
【0122】
41.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される、実施態様39又は40に記載の方法。
【0123】
42.前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて25質量%~65質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む、実施態様39から41のいずれか一項に記載の方法。
【0124】
43.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである、実施態様39から42のいずれか一項に記載の方法。
【0125】
44.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、ポリエチレンテレフタレートブロック又はポリブチレンテレフタレートブロックである、実施態様39から43のいずれか一項に記載の方法。
【0126】
45.前記ポリオール(P1)は、500~2300g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施態様39から44のいずれか一項に記載の方法。
【0127】
46.(ii)で使用される前記鎖延長剤は、220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールである、実施態様39から45のいずれか一項に記載の方法。
【0128】
47.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、80:1~5:1のモル比で使用される、実施態様39から46のいずれか一項に記載の方法。
【0129】
48.前記ポリオール組成物は、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール及びハイブリッドポリオールからなる群から選択されるさらなるポリオールを含む、実施態様39から47のいずれか一項に記載の方法。
【0130】
49.ポリイソシアネートは芳香族ジイソシアネートである、実施態様39から48のいずれか一項に記載の方法。
【0131】
50.前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は50%を超え、好ましくは、前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%~99%の範囲である、実施態様39から49のいずれか一項に記載の方法。
【0132】
51.実施態様39から50のいずれか一項に記載の方法により得ることができる又は得られる成形体。
【0133】
52.前記成形体は、フィルム、例えば、包装用のフィルム、又はコーティング用のフィルム、例えば積層システム用のフィルム、スポーツ用品用のコーティング又は床コーティング、又は消費者物品又は家庭用品のためのハウジング、例えば、用品、例えば歯ブラシ、かみそり、ディスプレイ、眼鏡フレーム又は眼鏡レンズ、コンピュータ又は電話の部品、プラグ、自動車内装用部品、履物部品、例えば履物の安全キャップである、実施態様51に記載の成形体。
【0134】
53.少なくとも成分(i)~(iii):
(i)ポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物は、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含み、
前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%を超える、熱可塑性ポリウレタン。
【0135】
54.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される、実施態様53に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0136】
55.前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて25質量%~65質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む、実施態様53又は54に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0137】
56.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである、実施態様53から55のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0138】
57.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、ポリエチレンテレフタレートブロック又はポリブチレンテレフタレートブロックである、実施態様53から56のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0139】
58.前記ポリオール(P1)は、500~2300g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施態様53から57のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0140】
59.(ii)で使用される前記鎖延長剤は、220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールである、実施態様53から58のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0141】
60.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、80:1~5:1のモル比で使用される、実施態様53から59のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0142】
61.前記ポリオール組成物は、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール及びハイブリッドポリオールからなる群から選択されるさらなるポリオールを含む、実施態様53から60のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0143】
62.ポリイソシアネートは芳香族ジイソシアネートである、実施態様53から61のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0144】
63.前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%~99%の範囲である、実施態様53から62のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0145】
64.成形体(SC)の製造方法であって、以下の工程:
(a)熱可塑性ポリウレタンを調製する工程であって、
(i)ポリイソシアネート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物
の反応を含み、
前記ポリオール組成物が、500~2500g/molの範囲の分子量Mw及び少なくとも1種の芳香族ポリエステルブロック(B1)を有する少なくとも1種のポリオール(P1)を含み、
前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて20質量%~70質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含み、
前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%を超える、工程と、
(b)前記熱可塑性ポリウレタンから成形体(SC)を製造する工程と
を含む、方法。
【0146】
65.工程(b)において、押出成形、射出成形又は焼結方法により、又は溶液から前記成形体(SC)を製造する、実施態様64に記載の方法。
【0147】
66.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、100:1~1:1のモル比で使用される、実施態様64又は65に記載の方法。
【0148】
67.前記ポリオール(P1)は、ポリエステルポリオール(P1)の全体に基づいて25質量%~65質量%の前記芳香族ポリエステルブロック(B1)を含む、実施態様64から66のいずれか一項に記載の方法。
【0149】
68.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリエステルである、実施態様64から67のいずれか一項に記載の方法。
【0150】
69.前記芳香族ポリエステルブロック(B1)は、ポリエチレンテレフタレートブロック又はポリブチレンテレフタレートブロックである、実施態様64から68のいずれか一項に記載の方法。
【0151】
70.前記ポリオール(P1)は、500~2300g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施態様64から69のいずれか一項に記載の方法。
【0152】
71.(ii)で使用される前記鎖延長剤は、220g/mol未満の分子量Mwを有するジオールである、実施態様64から70のいずれか一項に記載の方法。
【0153】
72.(ii)で使用される前記鎖延長剤及び前記ポリオール組成物中に存在する前記ポリオール(P1)は、80:1~5:1のモル比で使用される、実施態様64から71のいずれか一項に記載の方法。
【0154】
73.前記ポリオール組成物は、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートアルコール及びハイブリッドポリオールからなる群から選択されるさらなるポリオールを含む、実施態様64から72のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
74.ポリイソシアネートは芳香族ジイソシアネートである、実施態様64から73のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
75.前記熱可塑性ポリウレタン中の硬質セグメント含有量は75%~99%の範囲である、実施態様64から74のいずれか一項に記載の方法。
【0157】
76.実施態様64から75のいずれか一項に記載の方法により得ることができる又は得られる成形体。
【0158】
77.前記成形体は、フィルム、例えば、包装用のフィルム、又はコーティング用のフィルム、例えば積層システム用のフィルム、スポーツ用品用のコーティング又は床コーティング、又は消費者物品又は家庭用品のためのハウジング、例えば、用品、例えば歯ブラシ、かみそり、ディスプレイ、眼鏡フレーム又は眼鏡レンズ、コンピュータ又は電話の部品、プラグ、自動車内装用部品、履物部品、例えば履物の安全キャップである、実施態様76に記載の成形体。
【0159】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しているが、本発明の主題を制限することを決して意図していない。
【実施例】
【0160】
1 以下の原料を使用した:
ポリオール1:111.2のOH価を有する、アジピン酸、PET、ブタン-1,4-ジオール及びジエチレングリコールをベースとするポリエステルポリオール、官能価:2
ポリオール2:112.1のOH価を有する、アジピン酸、PET、ブタン-1,4-ジオール及びプロパン-1,3-ジオールをベースとするポリエステルポリオール、官能価:2
ポリオール3:50のOH価を有する、アジピン酸、PET及びジエチレングリコールをベースとするポリエステルポリオール、官能価:2
イソシアネート1:芳香族イソシアネート(メチレンジフェニル4,4’-ジイソシアネート)
CE1:ブタン-1,4-ジオール
CE2:ヘキサン-1,6-ジオール
安定剤1:ポリカルボジイミドをベースとする加水分解安定剤。
【0161】
2 PETブロックを有するポリエステルポリオールの合成
2.1 ポリオール1の合成
最初に、PT100熱電対、窒素注入口、撹拌器、カラム、カラムヘッド、Anschuetz-Thieleアタッチメント及び加熱マントルを備える4000mlのラウンドネックフラスコに、880.84gのアジピン酸、395.56gのブタン-1,4-ジオール(3%過剰)及び465.79gのジエチレングリコール(3%過剰)を入れた。次に、均一な混合物を形成するまで、混合物を120℃で加熱した。次に、1000gのポリエチレンテレフタレート(PET)を混合物に添加し、次に10ppm=2.5gのTTB(テトラ-n-ブチルオルソチタネート、トルエン中1%)を添加した。反応混合物を最初に180℃で約1.5時間加熱し、次に240℃でさらに加熱し、得られた反応の水を連続的に除去した。合成全体を通して、PETフレークは徐々に分解し、透明な混合物を形成し、1.0mg KOH/g未満の酸価を有する生成物を得るまで混合物を濃縮した。
【0162】
得られたポリマーは以下の特性を有した:
ヒドロキシル価:111.2mg KOH/g
酸価:0.45mg KOH/g
75℃での粘度:757mPas。
【0163】
2.2 ポリオール2の合成
最初に、PT100熱電対、窒素注入口、撹拌器、カラム、カラムヘッド、Anschuetz-Thieleアタッチメント及び加熱マントルを備える4000mlのラウンドネックフラスコに、788.52gのアジピン酸、309.27gのプロパン-1,3-ジオール(3%過剰)及び366.24gのブタン-1,4-ジオール(3%過剰)を入れた。次に、均一な混合物を形成するまで、混合物を120℃で加熱した。次に、1250gのポリエチレンテレフタレート(PET)を混合物に添加し、次に10ppm=2.5gのTTB(テトラ-n-ブチルオルソチタネート、トルエン中1%)を添加した。反応混合物を最初に180℃で約1.5時間加熱し、次に240℃でさらに加熱し、得られた反応の水を連続的に除去した。合成全体を通して、PETフレークは徐々に分解し、透明な混合物を形成し、1.0mg KOH/g未満の酸価を有する生成物を得るまで混合物を濃縮した。
【0164】
得られたポリマーは以下の特性を有した:
ヒドロキシル価:112.1mg KOH/g
酸価:0.38mg KOH/g
75℃での粘度:1803mPas。
【0165】
2.3 ポリオール3の合成
最初に、PT100熱電対、窒素注入口、撹拌器、カラム、カラムヘッド、Anschuetz-Thieleアタッチメント及び加熱マントルを備える4000mlのラウンドネックフラスコに、1099.59gのアジピン酸及び921.43gのジエチレングリコール(過剰なし)を入れた。次に、均一な混合物を形成するまで、混合物を120℃で加熱した。次に、750gのポリエチレンテレフタレート(PET)をフレークの形態で混合物に添加し、次に10ppm=2.5gのTTB(テトラ-n-ブチルオルソチタネート、トルエン中1%)を添加した。反応混合物を最初に180℃で約1.5時間加熱し、次に240℃でさらに加熱し、得られた反応の水を連続的に除去した。合成全体を通して、PETフレークは徐々に分解し、透明な混合物を形成し、1.0mg KOH/g未満の酸価を有する生成物を得るまで混合物を濃縮した。
【0166】
得られたポリマーは以下の特性を有した:
ヒドロキシル価:50mg KOH/g
酸価:0.38mg KOH/g
75℃での粘度:1936mPas。
【0167】
3 方法
3.1 粘度の決定:
特に明記しない限り、DIN EN ISO 3219(1994年1月10日版)に従って、Rheotec RC 20回転粘度計で、50 l/sのせん断速度でのCC 25 DINスピンドル(スピンドル直径:12.5mm、測定シリンダーの内径:13.56mm)を使用して、75℃で粘度を決定した。
【0168】
3.2 ヒドロキシル価の測定:
ヒドロキシル価は、無水フタル酸法DIN 53240(1971年1月12日版)によって決定し、mg KOH/gで報告した。
【0169】
3.3 酸価の測定:
酸価は、DIN EN 1241(1998年1月5日版)に従って決定し、mg KOH/gで報告した。
【0170】
4 一般的な調製例
最初に、ポリオールを80℃で容器に入れ、激しい攪拌によって表1による成分と混合した。反応混合物を110℃超に加熱し、次に加熱のテフロン(登録商標)コーティングされたテーブルに注いだ。得られた鋳造スラブを80℃で15時間熱処理し、次にペレット化し、射出成形によって処理した。
【0171】
【0172】
5 機械的特性
実施例の射出成形シートから、表2で比較する測定を確立した。
【0173】
下記の方法によって、得られたポリウレタンの以下の特性を決定した:
ショア硬度:DIN ISO 7619-1
引張強度及び破断点伸び:DIN 53504
弾性率:DIN EN ISO 527
【0174】
【0175】
引用文献
US 5574092
US 5627254
WO 2015/063062 A1
WO 2007/118827 A1
Kunststoffhandbuch,第7巻,「ポリウレタン」,Carl Hanser Verlag,第3版,1993年,第3.1章
Kunststoffhandbuch,第7巻,Carl Hanser Verlag,第1版,1966年,103~113頁