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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20240716BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
E02F9/16 H
E02F9/20 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023580228
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2023003721
(87)【国際公開番号】W WO2023153348
(87)【国際公開日】2023-08-17
【審査請求日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2022019405
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 真介
(72)【発明者】
【氏名】田村 裕太
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-070079(JP,A)
【文献】特開2005-105591(JP,A)
【文献】特開2016-188553(JP,A)
【文献】特開平9-209405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/16
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席と、アクチュエータを操作するための操作レバーを有するコンソール装置と、前記コンソール装置に設けられ、前記操作レバーの操作に応じた前記アクチュエータの動作を禁止するロック位置と前記操作レバーの操作に応じた前記アクチュエータの動作を許可するロック解除位置とに変位するゲートロックレバーとを備えた建設機械において、
前記コンソール装置は、前記運転席が取付けられるシートベースに設けられた支持軸と、前記支持軸に上下方向に回動可能に支持され前記操作レバーが取付けられる回動フレームと、前記回動フレームの位置を前記支持軸を中心とした回動方向に対して調整する高さ調整機構と、を有し、
前記ゲートロックレバーは、前記回動フレームに設けられた第1の軸体に回動可能に支持され、なおかつ前記第1の軸体とは異なる位置に第2の軸体が設けられた基板と、前記基板に一体に設けられ作業者が把持する把持部を有するレバー部材と、を備え、
前記シートベースには、前記運転席の前後方向に回動可能なガイド部材が設けられており、
前記ガイド部材には、前記ゲートロックレバーの前記第2の軸体が係合するガイド溝が形成されており、
前記ガイド溝は、前記高さ調整機構による前記回動フレームの前記支持軸を中心とした回動方向に対する位置の変化に伴う前記第2の軸体の移動を規制して、前記レバー部材の前記把持部の高さ位置の変化を抑制することを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記コンソール装置は、前記ゲートロックレバーが前記ロック位置に変位したときに前記操作レバーが取り付けられた前記回動フレームを前記ゲートロックレバーと共に上方に回動させる操作レバー移動機構を備え、
前記ガイド溝の溝形状は、前記操作レバー移動機構により前記回動フレームが上方に回動するときに前記第2の軸体が描く移動径路と一致していることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記ガイド溝に隣接して形成される第2のガイド溝を有し、
前記操作レバー移動機構は、前記第2のガイド溝に係合する第3の軸体が形成され、上下方向に回動可能な状態で前記支持軸に支持される回動ブラケットと、前記回動ブラケットと前記回動フレームとを連結する連結部と、を備え、
前記ガイド溝と前記第2のガイド溝とは、前記支持軸を中心とした半径が異なる円弧上に配置されることを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転席の左右両側にコンソール装置を備えた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械を代表する油圧ショベルは、下部走行体と上部旋回体とからなる自走可能な車体と、上部旋回体の前側に設けられた作業装置とを備えている。上部旋回体の前部左側には、運転室を画成するキャブが設けられている。キャブ内には運転席が設けられ、運転席の左右方向の両側には、それぞれ操作レバーを備えたコンソール装置が配置されている。オペレータは、キャブの左側面に形成された乗降口から床板上の乗降通路を通って運転席に座り、左右の操作レバーを操作する。この操作レバーに対する操作に応じて、上部旋回体の旋回動作、作業装置の動作を担うアクチュエータが制御される。
【0003】
左右のコンソール装置のうち、乗降通路側となる左コンソール装置には、ゲートロックレバーが設けられている。このゲートロックレバーは、操作レバーに対するパイロット圧の供給を制御するもので、操作レバーの操作に関わらずアクチュエータの動作を禁止するロック位置と、操作レバーの操作に応じたアクチュエータの動作を許可するロック解除位置とに変位する。ゲートロックレバーは、ロック位置となったときには乗降通路を開放し、ロック解除位置となったときには乗降通路を遮断する。これにより、オペレータ等が開放された乗降通路を通るときに誤って操作レバーに触れたとしても、アクチュエータが不意に動作するのを防止することができる。
【0004】
ところで、運転席には様々な体格のオペレータが座るため、これらオペレータが楽な姿勢で操作レバーを操作できるように、操作レバーが設けられたコンソール装置の高さを変更することにより、運転席に対する左右の操作レバーの高さ位置の調整を可能とした油圧ショベルが知られている(特許文献1)。さらに、体格が大きなオペレータが、キャブの乗降口から運転席までの乗降通路を円滑に通行できるように、乗降通路側に位置する一方のコンソール装置が、乗降通路を広げる方向(後方)に移動可能となった油圧ショベルが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-168566号公報
【文献】特開2012-127137号公報
【発明の概要】
【0006】
しかし、特許文献1には、コンソール装置を移動させる機構が設けられておらず、乗降通路がコンソール装置によって狭まるため、オペレータが乗降通路を円滑に通行するのが困難となる。一方、特許文献2には、運転席に対する操作レバーの高さ位置を調整する機構が設けられていないため、様々な体格のオペレータが楽な姿勢で操作レバーを操作することが困難となる。
【0007】
このため、乗降通路側のコンソール装置に、乗降通路を広げる方向に移動できる機構と、運転席に対する操作レバーの高さ位置を調整する機構(高さ調整機構)とを組込むことが考えられる。この場合、乗降通路側のコンソール装置にはゲートロックレバーが設けられるため、ゲートロックレバーは、高さ調整機構により位置が変更されるコンソール装置と連動して位置が変化してしまう。高さ調整機構によって操作レバーの高さ位置を調整することにより、ゲートロックレバーの高さ位置が変化した場合には、運転席に座ったオペレータがゲートロックレバーの把持部を把持するときに違和感を覚えるという問題がある。さらに、ゲートロックレバーは、アクチュエータの動作を禁止させるものであるから、常に同じ位置にあることが好ましいが、高さ調整機構によって位置が変化してしまうと、ゲートロックレバーに対する操作性が低下してしまうという問題も生じる。
【0008】
本発明の目的は、運転席に対する操作レバーの高さ位置を調整した場合でも、ゲートロックレバーに対する操作性を良好に保つことができるようにした建設機械を提供することにある。
【0009】
本発明は、運転席と、アクチュエータを操作するための操作レバーを有するコンソール装置と、前記コンソール装置に設けられ、前記操作レバーの操作に応じた前記アクチュエータの動作を禁止するロック位置と前記操作レバーの操作に応じた前記アクチュエータの動作を許可するロック解除位置とに変位するゲートロックレバーとを備えた建設機械において、前記コンソール装置は、前記運転席が取付けられるシートベースに設けられた支持軸と、前記支持軸に上下方向に回動可能に支持され前記操作レバーが取付けられる回動フレームと、前記回動フレームの位置を前記支持軸を中心とした回動方向に対して調整する高さ調整機構と、を有し、前記ゲートロックレバーは、前記回動フレームに設けられた第1の軸体に回動可能に支持され、なおかつ前記第1の軸体とは異なる位置に第2の軸体が設けられた基板と、前記基板に一体に設けられ作業者が把持する把持部を有するレバー部材と、を備え、前記シートベースには、前記運転席の前後方向に回動可能なガイド部材が設けられており、前記ガイド部材には、前記ゲートロックレバーの前記第2の軸体が係合するガイド溝が形成されており、前記ガイド溝は、前記高さ調整機構による前記回動フレームの前記支持軸を中心とした回動方向に対する位置の変化に伴う前記第2の軸体の移動を規制して、前記レバー部材の前記把持部の高さ位置の変化を抑制する。
【0010】
本発明によれば、操作レバーの高さ調整が行われ、回動フレームが支持軸を中心として上下方向に回動するときに、ゲートロックレバーの基板に設けられた第2の軸体の移動が、ガイド部材のガイド溝によって規制される。これにより、ゲートロックレバーの把持部の高さ位置の変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による油圧ショベルを示す左側面図である。
図2】運転席、コンソール装置、ゲートロックレバー等を示す斜視図である。
図3】高さ調整機構により操作レバーを中間高さとした状態を示す左側面図である。
図4】支持軸、回動フレーム、ゲートロックレバー、操作レバー、ガイドプレート等を示す分解斜視図である。
図5】高さ調整機構により操作レバーを最大高さとした状態を示す左側面図である。
図6】高さ調整機構により操作レバーを最小高さとした状態を示す左側面図である。
図7】操作レバーの跳上げ動作の初期状態を示す左側面図である。
図8】操作レバーを上限位置の途中まで移動させた状態を示す左側面図である。
図9】操作レバーを上限位置まで移動させた状態を示す左側面図である。
図10】操作レバーの高さ調整時における位置決めピン、第2の軸体、ゲートロックレバーの把持部の変位を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る建設機械の一実施形態について、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。なお、本実施形態では、油圧ショベルの走行方向を前後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
【0013】
図中、建設機械を代表する油圧ショベル1は、前後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えている。下部走行体2と上部旋回体3とは、油圧ショベル1の車体を構成している。上部旋回体3の前側には、作業装置4が俯仰動可能に設けられている。油圧ショベル1は、下部走行体2によって作業現場を走行し、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を俯仰動させることにより、土砂の掘削作業等を行う。
【0014】
上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5を有している。旋回フレーム5の後側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6が設けられている。旋回フレーム5には、カウンタウエイト6の前側に位置してエンジン、油圧ポンプ、熱交換器等の搭載機器(いずれも図示せず)が搭載されている。これらの搭載機器は、旋回フレーム5上に設けられた外装カバー7によって覆われている。上部旋回体3の前部左側には、運転室を画成するキャブ8が設けられている。
【0015】
キャブ8は、旋回フレーム5から上方に立上るボックス状に形成され、キャブ8の内部には運転室が画成されている。キャブ8の左側面には、オペレータがキャブ8内に乗り降りするための乗降口8Aと、乗降口8Aを開閉するドア8Bとが設けられている。キャブ8の下側はフロア部材9によって覆われている。フロア部材9は、キャブ8の床板を構成し、図2に示すように、前後方向に長尺な長方形状の板体として形成されている。キャブ8内の運転室には、後述の運転席12、左コンソール装置13、右コンソール装置14、ゲートロックレバー25等が設けられ、フロア部材9の左前部は、キャブ8の乗降口8Aと運転席12との間でオペレータが移動(乗降)する乗降通路9Aとなっている。
【0016】
運転席支持台10は、フロア部材9の前後方向の中間位置に設けられている。運転席支持台10は、フロア部材9上に固定された台座10Aと、台座10A上に設けられた位置調整機構10Bと、位置調整機構10B上に設けられたシートベース11とを含んで構成されている。運転席12には、様々な体格のオペレータが座るため、オペレータによって最適な操作レバーの位置が異なる。このため、運転席支持台10に位置調整機構10Bを設けることにより、運転席12、左コンソール装置13、右コンソール装置14を、前後方向および上下方向に位置調整することができる構成となっている。
【0017】
シートベース11は、位置調整機構10Bの上側に配置され、運転席12、左コンソール装置13および右コンソール装置14等を取付けるためのベースを構成している。シートベース11は全体として扁平な箱形状をなし、図4に示すように、シートベース11の左後部には、上方に突出する左後突出板11Aが設けられ、左後突出板11Aには後述の支持軸15が設けられている。一方、シートベース11の右後部には、左後突出板11Aと左右方向で対象となる位置に右後突出板(図示せず)が設けられ、この右後突出板には支持軸(図示せず)が設けられている。
【0018】
シートベース11の左前部には、下方に突出する左前突出板11Bが設けられている。さらに、シートベース11の前後方向の中間部のうち左後突出板11A寄りとなる部位には、下方に突出する左中間突出板11Cが設けられている。左前突出板11Bの下端側には、ガイドプレート軸11D、ストッパ軸11E、下係止ピン11Fが、前後方向に間隔をもって設けられ、それぞれ左前突出板11Bから左側に突出している。
【0019】
ガイドプレート軸11Dの突出端側には、後述するガイドプレート26が前後方向に回動可能に取付けられている。ストッパ軸11Eは、ガイドプレート26が当接することにより、ガイドプレート26を図3に示すレバー高さ調整姿勢に保持する。下係止ピン11Fには、後述するコイルばね31の一端が係止される。一方、左中間突出板11Cの下端側には、下ガスばねピン11Gが固定され、下ガスばねピン11Gは、左中間突出板11Cから左側に突出している。下ガスばねピン11Gには、後述するガスばね30のボトム側が取付けられる。
【0020】
運転席12は、運転席支持台10のシートベース11上に設けられている。運転席12の左側には、操作レバー19を有する左コンソール装置13が配置され、運転席12の右側には、操作レバー20を有する右コンソール装置14が配置されている。運転席12に座ったオペレータは、これら左,右の操作レバー19,20を操作することにより、上部旋回体3を駆動する旋回モータ、作業装置4を駆動する油圧シリンダ等のアクチュエータの動作を制御する。
【0021】
次に、本実施形態による左コンソール装置13と右コンソール装置14について説明する。これら左コンソール装置13と右コンソール装置14とは、左右方向でほぼ対称となるように形成されている。そこで、以下、乗降通路9A側に位置する一方のコンソール装置である左コンソール装置13の構成について詳細に説明し、右コンソール装置14については、左コンソール装置13の構成部品に対応する部品に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0022】
左コンソール装置13は、運転席12の左側に配置され、アクチュエータを操作するための操作レバー19を有している。左コンソール装置13は、フロア部材9の乗降通路9A側に位置する一方のコンソール装置を構成している。左コンソール装置13は、支持軸15、回動ブラケット16、回動フレーム17、ゲートロックレバー25、ガイドプレート26等を含んで構成されている。
【0023】
支持軸15は、シートベース11の左後部に設けられ、左側方に突出している。支持軸15は円柱状をなし、回動ブラケット16および回動フレーム17を、シートベース11に対して回動可能に支持している。
【0024】
回動ブラケット16は、シートベース11の左側方に隣接して設けられている。図4に示すように、回動ブラケット16は、全体として前後方向に延びる板状に形成されている。回動ブラケット16の後部上側には軸挿通孔16Aが形成され、軸挿通孔16Aには軸受を介して支持軸15が挿通されている。これにより、回動ブラケット16は、支持軸15を中心として上下方向に回動可能となっている。回動ブラケット16の前端側には、複数(例えば3個)の高さ調整孔16B,16C,16Dが設けられている。これら高さ調整孔16B,16C,16Dは、軸挿通孔16Aの中心(支持軸15の軸心)を中心とする半径R1の円弧上に一定の間隔をもって配置され、各高さ調整孔16B,16C,16Dのいずれか1個に後述の位置決めピン23が選択的に嵌合する。
【0025】
回動ブラケット16の長さ方向(前後方向)の中間部には、上ガスばねピン16Eが設けられている。上ガスばねピン16Eは段付き円柱状をなし、回動ブラケット16から左側に突出している。上ガスばねピン16Eの突出端には、ガスばね30のロッド側が回動可能に取付けられる。また、回動ブラケット16の前側には、スペーサ16Fを介して軸取付板16Gが取付けられている。軸取付板16Gには、左側方に突出する段付き円柱状の第3の軸体16Hが設けられ、第3の軸体16Hの突出端は、ガイドプレート26の第2のガイド溝28に係合する。
【0026】
回動フレーム17は、回動ブラケット16の左側方に隣接して設けられている。回動フレーム17は、全体として前後方向に延びる枠状に形成されている。回動フレーム17の後部側には軸挿通孔17Aが形成され、軸挿通孔17Aには軸受を介して支持軸15が挿通されている。これにより、回動フレーム17は、支持軸15を中心として上下方向に回動可能となっている。回動フレーム17のうち軸挿通孔17Aの上側には、角筒状の後側取付部17Bが設けられている。後側取付部17Bには、運転席12に座ったオペレータが腕を乗せるアームレスト18が取付けられている。
【0027】
回動フレーム17の前部側には、箱状の前側取付部17Cが設けられている。前側取付部17Cには、操作レバー19が取付けられ、前側取付部17Cの前端には、高さ調整機構21を構成するピン支持ケース22が設けられている。また、前側取付部17Cには、円柱状をなす第1の軸体17Dが左側方に突出して設けられ、第1の軸体17Dには、ゲートロックレバー25の基板25Aが回動可能に支持されている。
【0028】
操作レバー19は、左コンソール装置13に設けられ、操作レバー20は、右コンソール装置14に設けられている。これら左,右の操作レバー19,20は、上部旋回体3の旋回動作を行う旋回モータ、作業装置4を構成する油圧シリンダ等のアクチュエータを制御するため、オペレータによって操作される。操作レバー19は、回動フレーム17の前側取付部17Cに取付けられた減圧弁型のパイロット弁(図示せず)と、パイロット弁から上側に延びオペレータに把持されるレバー部19Aとを含んで構成されている。右側の操作レバー20も、減圧弁型のパイロット弁(図示せず)と、オペレータに把持されるレバー部20Aとを含んで構成されている。
【0029】
高さ調整機構21は、左コンソール装置13の前側に設けられ、運転席12に対する操作レバー19の高さ位置を段階的(例えば3段階)に調整する。なお、右コンソール装置14の前側にも、操作レバー20の高さ位置を調整する高さ調整機構が設けられているが、右側の高さ調整機構は左側の高さ調整機構21と同様に構成されている。このため、以下、左側の高さ調整機構21について説明し、右側の高さ調整機構の説明は省略する。図4に示すように、高さ調整機構21は、回動ブラケット16に設けられた3個の高さ調整孔16B,16C,16Dと、ピン支持ケース22と、位置決めピン23と、解除レバー24とを含んで構成されている。
【0030】
ピン支持ケース22は、回動フレーム17を構成する前側取付部17Cの前端に設けられている。ピン支持ケース22は、上下方向に延びる角筒状に形成され、ピン支持ケース22の下端側には、左右方向に貫通するピン挿通孔22Aが設けられている。また、ピン支持ケース22の前面には、ピン挿通孔22Aよりも上側に位置して前後方向に貫通するレバー挿通孔(図示せず)が設けられている。
【0031】
位置決めピン23は、ピン支持ケース22に移動可能に支持されている。位置決めピン23は、左右方向に延びる円柱状に形成され、ピン支持ケース22に設けられたピン挿通孔22Aに、軸方向(左右方向)に移動可能に挿通されている。位置決めピン23は、ばね等の付勢部材(図示せず)により、回動ブラケット16に向けて突出する方向に付勢されている。そして、回動フレーム17が支持軸15を中心として回動したときに、位置決めピン23が、回動ブラケット16に設けられた3個の高さ調整孔16B,16C,16Dのいずれかに選択的に挿通される。
【0032】
例えば図5に示すように、位置決めピン23が高さ調整孔16Bに挿通されたときには、操作レバー19の高さ位置は、最大高さに設定される。また、図6に示すように、位置決めピン23が高さ調整孔16Dに挿通されたときには、操作レバー19の高さ位置は、最小高さに設定される。さらに、図3に示すように、位置決めピン23が高さ調整孔16Cに挿通されたときには、操作レバー19の高さ位置は、最大高さと最小高さの中間となる中間高さに設定される。このように、操作レバー19が取付けられた回動フレーム17が、高さ調整孔16B,16C,16Dのいずれかの高さ位置でロックされることにより、運転席12に対する操作レバー19の高さ位置が3段階に調整される。この状態で、回動ブラケット16と回動フレーム17とが連結され、位置決めピン23と高さ調整孔16B,16C,16Dとにより、回動ブラケット16と回動フレーム17とを連結する連結部が構成されている。
【0033】
解除レバー24は、位置決めピン23よりも上側に位置してピン支持ケース22に回動可能に設けられている。解除レバー24は、前後方向に延びる棒状体からなり、ピン支持ケース22のレバー挿通孔(図示せず)に回動可能に支持されている。解除レバー24はピン支持ケース22から前方に突出し、その突出端は左コンソール装置13の前端から左右方向に延びる操作部となっている(図2参照)。運転席12に座ったオペレータは、解除レバー24の操作部を操作して解除レバー24を回動させる。
【0034】
ピン支持ケース22の内部には、解除レバー24の回動動作を位置決めピン23の軸方向への直線動作に変換する変換部材(図示せず)が設けられている。従って、オペレータが解除レバー24を操作して回動させると、この解除レバー24の回動動作が、変換部材によって位置決めピン23の軸方向への直線動作に変換される。これにより、回動ブラケット16の高さ調整孔16B~16Dのいずれかに挿通されていた位置決めピン23が、付勢部材に抗して高さ調整孔16B~16Dから離脱する。このため、回動フレーム17のロック状態が解除され、回動フレーム17は、操作レバー19と共に支持軸15を中心として上下方向に回動できる構成となっている。
【0035】
次に、左コンソール装置13に設けられたゲートロックレバー25について説明する。
【0036】
ゲートロックレバー25は、左コンソール装置13および右コンソール装置14のうち、運転席12に乗降するための乗降通路9A側に位置する左コンソール装置13に設けられている。ゲートロックレバー25は、オペレータ等が操作することにより、図7に示すロック位置と、図3に示すロック解除位置とに変位する。
【0037】
ゲートロックレバー25が図7に示すロック位置を保持し、ゲートロックレバー25が乗降通路9Aを開放しているときには、操作レバー19,20に対するパイロット圧の供給が停止される。これにより、左,右の操作レバー19,20に対する操作に関わらずアクチュエータの動作が禁止され、オペレータ等が乗降通路9Aを通るときに誤って操作レバー19等に触れたとしても、アクチュエータが不意に動作するのを防止できる構成となっている。
【0038】
一方、ゲートロックレバー25が図3に示すロック解除位置を保持し、ゲートロックレバー25が乗降通路9Aを遮断しているときには、操作レバー19,20に対するパイロット圧の供給が可能となる。これにより、左,右の操作レバー19,20の操作に応じたアクチュエータの動作が許可される。
【0039】
ここで、図4に示すように、ゲートロックレバー25は、平板状の基板25Aと、基板25Aに一体に固定されたレバー部材25Bとを含んで構成されている。基板25Aの上部側には、板厚方向に貫通する軸挿通孔25Cが設けられ、軸挿通孔25Cは、回動フレーム17(前側取付部17C)に突設された第1の軸体17Dに挿通されている。従って、ゲートロックレバー25は、第1の軸体17Dを介して回動フレーム17に回動可能に支持され、第1の軸体17Dを中心としてロック位置とロック解除位置とに変位する。基板25Aの下部側には、第2の軸体25Dが設けられている。第2の軸体25Dは、左右方向に延びる円柱状に形成され、基板25Aから左側に突出している。第2の軸体25Dは、ガイドプレート26のガイド溝27に移動可能に係合する。
【0040】
レバー部材25Bは、基板25Aに溶接等の手段を用いて固定されている。レバー部材25Bは、例えば丸棒材に曲げ加工を施すことにより形成され、レバー部材25Bは、ゲートロックレバー25がロック解除位置(図3の位置)にあるときには、乗降通路9Aを遮断するように前方に突出する。レバー部材25Bの先端側は、ゲートロックレバー25を操作するときにオペレータ等によって把持される把持部25Eとなり、この把持部25Eには、グリップ25Fが取付けられている。
【0041】
ガイド部材としてのガイドプレート26は、シートベース11に回動可能に取付けられている。図3および図4に示すように、ガイドプレート26は、上下方向に延びる平板状に形成され、ガイド溝27と第2のガイド溝28とを有している。ここで、ガイドプレート26の下部側には、板厚方向に貫通する軸挿通孔26Aが設けられ、この軸挿通孔26Aは、シートベース11の左前突出板11Bに設けられたガイドプレート軸11Dに軸受を介して挿通されている。
【0042】
これにより、ガイドプレート26は、ガイドプレート軸11Dを中心として前後方向に回動可能に支持され、高さ調整機構21により操作レバー19の高さを調整するときには、図3図5および図6に示すレバー高さ調整姿勢を保持する。一方、ガイドプレート26は、後述する操作レバー移動機構29により操作レバー19を上方(乗降通路9Aを広げる方向)に移動させるときには、図7ないし図9に示すレバー移動姿勢を保持する。このように、ガイドプレート26は、ガイドプレート軸11Dを中心として、レバー高さ調整姿勢とレバー移動姿勢とに変位する。
【0043】
ガイド溝27は、軸挿通孔26Aよりも上側に位置してガイドプレート26に設けられている。ガイド溝27には、ゲートロックレバー25の基板25Aに設けられた第2の軸体25Dが、移動可能に係合している。これにより、操作レバー19が取付けられた回動フレーム17が、高さ調整機構21によってゲートロックレバー25と共に支持軸15を中心として回動するときに、第2の軸体25Dの移動がガイド溝27の形状に沿って規制される。
【0044】
ここで、ガイド溝27は、ガイドプレート26がレバー移動姿勢(図7ないし図9の姿勢)にあるときには、支持軸15を中心とした半径R2の円弧となるように形成されている。ガイド溝27の上端には、上係止溝27Aが設けられている。上係止溝27Aは、ガイド溝27の半径R2よりも支持軸15から離れた部位に配置され、ガイド溝27の上端側に連通している。操作レバー19が、後述の操作レバー移動機構29によって図9に示す上限位置(跳上げ位置)に移動したときには、ゲートロックレバー25(基板25A)の第2の軸体25Dが、ガイド溝27から上係止溝27Aに係合する。これにより、第2の軸体25Dの移動が停止し、操作レバー19およびゲートロックレバー25は、図9の上限位置を保持する。
【0045】
第2のガイド溝28は、ガイド溝27に隣接してガイドプレート26に設けられている。第2のガイド溝28は、操作レバー移動機構29の一部を構成している。第2のガイド溝28には、回動ブラケット16(軸取付板16G)に設けられた第3の軸体16Hが、移動可能に係合している。第2のガイド溝28は、操作レバー移動機構29によって操作レバー19を上方に移動させるため、回動ブラケット16が支持軸15を中心として上方に回動するときに、第3の軸体16Hの移動を規制する。
【0046】
ここで、第2のガイド溝28は、ガイドプレート26がレバー移動姿勢にあるときには、支持軸15を中心とした半径R3の円弧となるように形成されている。この場合、第2のガイド溝28の円弧形状の半径R3は、ガイド溝27の円弧形状の半径R2よりも小さく設定されている(R2>R3)。このように、ガイドプレート26がレバー移動姿勢にあるときには、ガイド溝27と第2のガイド溝28とは、支持軸15を中心とした半径が異なる円弧上に配置されている。
【0047】
第2のガイド溝28の下端には、下係止溝28Aが設けられている。下係止溝28Aは、第2のガイド溝28の半径R3よりも支持軸15から離れた部位に配置され、第2のガイド溝28の下端側に連通している。回動ブラケット16の第3の軸体16Hが、下係止溝28Aに係合したときには、ガイドプレート26は、図3等に示すレバー高さ調整姿勢を保持する。そして、第3の軸体16Hが、下係止溝28Aから第2のガイド溝28に係合することにより、ガイドプレート26は、レバー高さ調整姿勢からレバー移動姿勢へと移行する構成となっている。
【0048】
ガイドプレート26のうち下係止溝28Aに隣接する部位には、上係止ピン26Bが設けられている。上係止ピン26Bはガイドプレート26から左側に突出し、上係止ピン26Bの突出端には、コイルばね31の他端が係止される。
【0049】
操作レバー移動機構29は、左コンソール装置13に設けられている。操作レバー移動機構29は、ゲートロックレバー25がロック位置に変位したときに、操作レバー19を、ゲートロックレバー25と共に支持軸15を中心として、乗降通路9Aを広げる方向である上方へと移動させる。操作レバー移動機構29は、回動ブラケット16と、回動フレーム17と、ゲートロックレバー25と、ガイドプレート26と、ガスばね30と、コイルばね31とを含んで構成されている。
【0050】
ガスばね30は、シートベース11と回動ブラケット16との間に設けられている。ガスばね30のボトム側は、シートベース11(左中間突出板11C)に設けられた下ガスばねピン11Gに回動可能に取付けられ、ガスばね30のロッド側は、回動ブラケット16に設けられた上ガスばねピン16Eに回動可能に取付けられている。これにより、ガスばね30は、回動ブラケット16を、支持軸15を中心として上方に回動させる方向に付勢している。
【0051】
コイルばね31は、シートベース11とガイドプレート26との間に設けられている。コイルばね31は引張ばねからなり、コイルばね31の一端は、シートベース11の下係止ピン11Fに係止され、コイルばね31の他端は、ガイドプレート26の上係止ピン26Bに係止されている。コイルばね31は、ガイドプレート26を、ガイドプレート軸11Dを中心としてストッパ軸11Eに当接する方向に付勢している。
【0052】
本実施形態による油圧ショベル1の左コンソール装置13は、上述の如き構成を有するもので、次に、操作レバー移動機構29により、操作レバー19を上方(乗降通路9Aを広げる方向)に移動させる動作(跳上げ動作)について説明する。
【0053】
操作レバー移動機構29による操作レバー19の跳上げ動作を行うときには、例えば図3のロック解除位置にあるゲートロックレバー25を、回動フレーム17に突設された第1の軸体17Dを中心として上方に回動させる。これにより、図7に示すように、ゲートロックレバー25に設けられた第2の軸体25Dが、コイルばね31に抗してガイドプレート26を前方に押圧する。このため、ガイドプレート26は、ガイドプレート軸11Dを中心として前方に回動し、レバー移動姿勢に変位する。このとき、回動ブラケット16に突設された第3の軸体16Hが、ガイドプレート26の下係止溝28Aから離脱して第2のガイド溝28に係合する。
【0054】
このため、回動ブラケット16は、ガスばね30により支持軸15を中心として上方に回動する。このとき、高さ調整機構21の位置決めピン23は、回動ブラケット16の高さ調整孔16B~16Dのいずれか(例えば、高さ調整孔16C)に係合しているため、回動フレーム17と回動ブラケット16とは一体化している。従って、回動ブラケット16、回動フレーム17、操作レバー19、ゲートロックレバー25は、一体となって支持軸15を中心として上方に回動する。
【0055】
ガイドプレート26が、レバー移動姿勢に変位したときには、ガイドプレート26のガイド溝27および第2のガイド溝28は、それぞれ支持軸15を中心とした半径が異なる円弧上に配置される。このため、ゲートロックレバー25の第2の軸体25Dは、ガイド溝27に沿って円滑に上方へと移動し、回動ブラケット16の第3の軸体16Hは、第2のガイド溝28に沿って円滑に上方へと移動することができる。この結果、操作レバー19とゲートロックレバー25とを、互いに連動させた状態で上限位置へと移動させることができ、その作業性を高めることができる。
【0056】
そして、図9に示すように、ゲートロックレバー25の第2の軸体25Dが、ガイド溝27の上端側に設けられた上係止溝27Aに係合することにより、第2の軸体25Dの移動が停止し、操作レバー19およびゲートロックレバー25は上限位置(跳上げ位置)で停止する。これにより、ゲートロックレバー25をロック位置とした状態で、操作レバー19およびゲートロックレバー25を、乗降通路9Aを広げる方向に移動させ、乗降通路9Aのスペースを大きく確保することができる。
【0057】
このように、操作レバー19およびゲートロックレバー25を上限位置に移動させたときには、ゲートロックレバー25の第2の軸体25Dは、ガイド溝27の上端側に設けられた上係止溝27Aに係合する。このため、第1の軸体17Dを介してゲートロックレバー25に連結された回動フレーム17は、支持軸15を中心とした回動が阻止される。従って、回動ブラケット16の高さ調整孔16B,16C,16Dに対し、回動フレーム17に取付けられた高さ調整機構21の位置決めピン23を抜き差しすることができない。即ち、本実施形態では、操作レバー19およびゲートロックレバー25を上限位置に移動させた状態では、運転席12に対する操作レバー19の高さ位置の調整を禁止することができる。
【0058】
この結果、例えば操作レバー19およびゲートロックレバー25を上限位置に移動させた状態において、オペレータ等が誤って高さ調整機構21の解除レバー24等に触れることにより、操作レバー19が意図しない高さ位置に設定されてしまうのを防止することができる。従って、ゲートロックレバー25がロック解除位置に移行した状態において、運転席12に座ったオペレータが、操作レバー19の高さ位置を的確に調整することができる。
【0059】
次に、高さ調整機構21により、運転席12に対する操作レバー19の高さ位置を調整する高さ調整動作について説明する。
【0060】
高さ調整機構21による操作レバー19の高さ調整動作を行うときには、例えば上限位置にあるゲートロックレバー25を、第1の軸体17Dを中心として下方(前方)に回動させる。これにより、図8に示すように、第2の軸体25Dが、ガイド溝27の上係止溝27Aから離脱し、ガイド溝27に係合する。この状態で、ガスばね30に抗してゲートロックレバー25を下向きに押圧する。
【0061】
これにより、回動ブラケット16、回動フレーム17、操作レバー19、ゲートロックレバー25は、一体となって支持軸15を中心として下方に回動する。そして、図7に示すように、回動ブラケット16の第3の軸体16Hが、ガイドプレート26の第2のガイド溝28の下端に達したときに、ゲートロックレバー25を、第1の軸体17Dを中心としてさらに下方(前方)に回動させる。
【0062】
これにより、ゲートロックレバー25の第2の軸体25Dが、ガイドプレート26を後方に押圧し、ガイドプレート26は、ガイドプレート軸11Dを中心として後方に回動する。このようにして、図3に示すように、回動ブラケット16の第3の軸体16Hが、第2のガイド溝28から下係止溝28Aに係合する。このとき、ガイドプレート26は、コイルばね31によりシートベース11のストッパ軸11Eに当接し、レバー高さ調整姿勢を保持する。
【0063】
このようにして、ガイドプレート26がレバー高さ調整姿勢を保持した状態において、回動ブラケット16は、ガイドプレート26を介してシートベース11に固定される。この状態で、運転席12に対する操作レバー19の高さ調整が、高さ調整機構21を用いて行われる。
【0064】
例えば図3に示すように、高さ調整機構21の位置決めピン23が、回動ブラケット16の高さ調整孔16Cに挿通されている場合には、オペレータ等が解除レバー24を回動させることにより、位置決めピン23を高さ調整孔16Cから離脱させる。これにより、操作レバー19が取付けられた回動フレーム17は、支持軸15を中心として上下方向に回動可能となる。
【0065】
従って、回動フレーム17を上方に回動させ、位置決めピン23を高さ調整孔16Bに挿通したときには、図5に示すように、操作レバー19の高さ位置を最大高さに調整することができる。また、回動フレーム17を下方に回動させ、位置決めピン23を高さ調整孔16Dに挿通したときには、図6に示すように、操作レバー19の高さ位置を最小高さに調整することができる。さらに、位置決めピン23を高さ調整孔16Cに挿通したときには、図3に示すように、操作レバー19の高さ位置を中間高さに調整することができる。
【0066】
このように、高さ調整機構21によって、操作レバー19の高さ位置を調整するときには、回動フレーム17に取付けられた操作レバー19と、回動フレーム17に第1の軸体17Dを介して取付けられたゲートロックレバー25とが、支持軸15を中心として一緒に回動する。ゲートロックレバー25は、第1の軸体17Dを中心として回動フレーム17に対して回動可能となり、ゲートロックレバー25に設けられた第2の軸体25Dは、ガイドプレート26のガイド溝27に係合することにより、その移動が規制される。
【0067】
ここで、図10は、操作レバー19の高さ位置の変位に伴って、ゲートロックレバー25が3段階に変位する状態を示している。操作レバー19が中間高さにあるときには、ゲートロックレバー25は実線で示す中間位置となり、操作レバー19が最大高さにあるときには、ゲートロックレバー25は一点鎖線で示す上側位置となり、操作レバー19が最小高さにあるときには、ゲートロックレバー25は破線で示す下側位置となる。
【0068】
図10に示すように、高さ調整孔16B~16Dは、支持軸15を中心とした半径R1の円弧状に配置されているため、高さ調整機構21の位置決めピン23は、回動フレーム17と共に、支持軸15を中心とした円弧状の経路を移動する。一方、ゲートロックレバー25は、回動フレーム17に第1の軸体17Dを介して回動可能に取付けられ、ゲートロックレバー25に設けられた第2の軸体25Dは、ガイドプレート26のガイド溝27に係合している。このため、第2の軸体25Dの移動が、ガイド溝27の形状によって規制される。この結果、ゲートロックレバー25が中間位置、上側位置、下側位置に変位した場合でも、ゲートロックレバー25(レバー部材25B)の把持部25Eの高さ位置の変化が抑制され、把持部25Eは、一定の位置を保持することができる。即ち、ガイド溝27は、高さ調整機構21による回動フレーム17の支持軸15を中心とした位置の変化に伴う第2の軸体25Dの移動を規制し、ゲートロックレバー25の把持部25Eの高さ位置の変化を抑制している。
【0069】
このため、操作レバー19の高さ位置を調整することにより、ゲートロックレバー25が中間位置、上側位置、下側位置の3位置に変位したとしても、運転席12に座ったオペレータは、同じ姿勢を保ったまま腕を伸ばすことにより、常にほぼ一定の位置で違和感なくゲートロックレバー25の把持部25Eを把持することができる。この結果、例えばゲートロックレバー25をロック解除位置からロック位置へと円滑に操作することができ、操作レバー19の高さ位置を調整した場合でも、ゲートロックレバー25に対する操作性を良好に保つことができる。この場合、ガイド溝27の溝形状は、操作レバー移動機構29により操作レバー19を乗降通路9Aを広げる方向に移動させるときに第2の軸体25Dが描く移動径路と一致している。この結果、操作レバー19を上限位置へと移動させるときに第2の軸体25Dの移動径路となるガイド溝27を利用して、操作レバー19の高さ調整時に、ゲートロックレバー25の把持部25Eを一定の位置に保つことができる。
【0070】
なお、本実施形態では、操作レバー19の高さ位置を調整する間にゲートロックレバー25の把持部25Eが保持する一定の位置とは、一点に限るものではなく、例えばゲートロックレバー25が中間位置となったときの把持部25Eをオペレータが把持したときに、このオペレータが姿勢を変えることなく掌中に収めることができる範囲として定義される。
【0071】
かくして、本実施形態による油圧ショベル1は、運転席12に乗降するための乗降通路9A側に位置する左コンソール装置13は、運転席12が取付けられるシートベース11に設けられた支持軸15と、支持軸15に上下方向に回動可能に支持され操作レバー19が取付けられる回動フレーム17と、回動フレーム17の位置を支持軸15を中心とした回動方向に対して調整する高さ調整機構21と、を有し、ゲートロックレバー25は、回動フレーム17に設けられた第1の軸体17Dに回動可能に支持され、なおかつ第1の軸体17Dとは異なる位置に第2の軸体25Dが設けられた基板25Aと、基板25Aに一体に設けられ作業者が把持する把持部25Eを有するレバー部材25Bと、を備え、シートベース11には、運転席12の前後方向に回動可能なガイドプレート26が設けられており、ガイドプレート26には、ゲートロックレバー25の第2の軸体25Dが係合するガイド溝27が形成されており、ガイド溝27は、高さ調整機構21による回動フレーム17の支持軸15を中心とした回動方向に対する位置の変化に伴う第2の軸体25Dの移動を規制して、レバー部材25Bの把持部25Eの高さ位置の変化を抑制する。
【0072】
この構成によれば、高さ調整機構21によって操作レバー19の運転席12に対する高さ位置の調整が行われるときには、回動フレーム17は、ゲートロックレバー25と共に支持軸15を中心として上下方向に回動する。このとき、ゲートロックレバー25の基板25Aに設けられた第2の軸体25Dの移動が、ガイドプレート26のガイド溝27によって規制される。これにより、ゲートロックレバー25の把持部25Eの高さ位置の変化を抑制することができる。
【0073】
実施形態では、左コンソール装置13は、ゲートロックレバー25がロック位置に変位したときに操作レバー19が取付けられた回動フレーム17をゲートロックレバー25と共に上方に回動させる操作レバー移動機構29を備え、ガイド溝27の溝形状は、操作レバー移動機構29により回動フレーム17が上方に回動するときに第2の軸体25Dが描く移動径路と一致している。この構成によれば、操作レバー19を上限位置に向けて上方に回動させるときに、第2の軸体25Dの移動径路となるガイド溝27を利用して、ゲートロックレバー25の把持部25Eの高さ位置の変化を抑制することができる。
【0074】
実施形態では、ガイドプレート26は、ガイド溝27に隣接して形成される第2のガイド溝28を有し、操作レバー移動機構29は、第2のガイド溝28に係合する第3の軸体16Hが形成され、上下方向に回動可能な状態で支持軸15に支持される回動ブラケット16と、回動ブラケット16と回動フレーム17とを連結する連結部と、を備え、ガイド溝27と第2のガイド溝28とは、支持軸15を中心とした半径が異なる円弧上に配置される。
【0075】
この構成によれば、操作レバー移動機構29を用いて操作レバー19を上方に回動させるときに、ゲートロックレバー25に設けられた第2の軸体25Dと、回動ブラケット16に設けられた第3の軸体16Hとは、支持軸15を中心とした円弧状の径路で移動することができる。この結果、操作レバー19とゲートロックレバー25とを、互いに連動させた状態で上方に回動させて乗降通路9Aを広げる方向(上限位置)に移動させることができ、その作業性を高めることができる。
【0076】
なお、実施形態では、フロア部材9の左前部が乗降通路9Aとなった油圧ショベル1において、乗降通路9A側に位置する左コンソール装置13にゲートロックレバー25、操作レバー移動機構29等を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、フロア部材の右前部が乗降通路となった油圧ショベルにおいて、乗降通路側に位置する右コンソール装置にゲートロックレバー、操作レバー移動機構等を設ける構成としてもよい。
【0077】
実施形態では、高さ調整機構21の位置決めピン23が挿通される高さ調整孔を、回動ブラケット16に3個設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2個、あるいは4個以上の高さ調整孔を設ける構成としてもよい。
【0078】
実施形態では、左,右のコンソール装置13,14を備えた建設機械として、クローラ式の下部走行体2を有する油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を有する油圧ショベル等の他の建設機械に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
9 フロア部材
9A 乗降通路
11 シートベース
12 運転席
13 左コンソール装置
14 右コンソール装置
15 支持軸
16 回動ブラケット
16B,16C,16D 高さ調整孔(連結部)
16H 第3の軸体
17 回動フレーム
17D 第1の軸体
19,20 操作レバー
21 高さ調整機構
23 位置決めピン(連結部)
25 ゲートロックレバー
25A 基板
25B レバー部材
25D 第2の軸体
25E 把持部
26 ガイドプレート(ガイド部材)
27 ガイド溝
28 第2のガイド溝
29 操作レバー移動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10