IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-撮像装置及びその制御方法 図1
  • 特許-撮像装置及びその制御方法 図2
  • 特許-撮像装置及びその制御方法 図3
  • 特許-撮像装置及びその制御方法 図4
  • 特許-撮像装置及びその制御方法 図5
  • 特許-撮像装置及びその制御方法 図6
  • 特許-撮像装置及びその制御方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】撮像装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240722BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240722BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20240722BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/63
G03B7/091
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020007679
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2021114749
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】大久保 俊之
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-134335(JP,A)
【文献】特開2019-179466(JP,A)
【文献】特開2017-143423(JP,A)
【文献】特開2017-041778(JP,A)
【文献】特開2019-079024(JP,A)
【文献】特開2019-197156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/40-23/76
G03B 7/091
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を有する撮像手段と、
前記撮像手段を用いて記憶用の静止画と表示装置に表示するための表示用画像を撮像する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記撮像手段により前記静止画を連続撮影する際に、前記静止画の撮像タイミングを設定した後、前記静止画を撮像する周期から前記静止画の撮像に要する時間を差し引いた余り時間に少なくとも1フレームの前記表示用画像を所定の遅延時間で前記表示装置に表示することができるように前記表示用画像の撮像タイミングを設定し、
前記制御手段は更に、前記静止画の連続撮影速度に基づいて前記静止画を撮像する周期を求め、前記余り時間では前記表示用画像を撮像する時間が不足する場合には、前記静止画を撮像する周期を前記静止画と1フレームの前記表示用画像を撮像することができる長さに延長することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記表示用画像の撮像を前記余り時間に複数回行うことが可能な場合には、撮像される複数の前記表示用画像で前記遅延時間が同じとなるように、複数の前記表示用画像の撮像タイミングを設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記遅延時間を同じとすることが可能な最大数の前記表示用画像を撮像することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記静止画の撮像タイミングを前記表示装置の表示周期とは独立して設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示用画像を撮像する周期を前記表示装置の表示周期の自然数倍の周期に設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、表示周期の異なる複数の前記表示装置がある場合に、前記表示用画像を撮像する周期を、前記複数の表示装置の表示周期のうち最も短い表示周期の自然数倍の周期に設定することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像装置の制御方法であって、
指定された連続撮影速度に基づいて記憶用の静止画を連続撮影するための1コマ当たりの時間を求めるステップと、
前記1コマ当たりの時間の最初に前記静止画の撮像タイミングを設定するステップと、 前記1コマ当たりの時間から前記静止画の撮像に要する時間を差し引いた余り時間を求めるステップと、
表示装置に表示するための表示用画像の撮像タイミングを、少なくとも1フレームの前記表示用画像を前記余り時間のなかで所定の遅延時間で前記表示装置に表示することができるように設定するステップと、
前記余り時間では前記表示用画像を撮像する時間が不足する場合に、前記静止画を撮像する周期を前記静止画と1フレームの前記表示用画像を撮像することができる長さに延長するステップと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ等の撮像装置で撮像を行う際の手法として、撮像装置に設けられた表示装置に被写体像をライブビュー映像として表示させた状態で、撮影者が所望のタイミングでレリーズ動作を行う手法がある。この手法で連続撮影を行う場合に、被写体確認のための表示画像を適切に撮影者に提供する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載された撮像装置では、撮像素子が画像データを生成すると、生成された画像データに基づいて、第1のモードでは記憶用画像とアフタービュー画像を生成し、第2のモードではライブビュー表示用画像(以下「LV画像」という)を生成する。そして、撮像装置の状態に応じて、第1のモードと第2のモード(アフタービュー画像を表示するか、LV画像を表示するか)を切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-44566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された手法では、連続撮影の速度を上げた場合に、表示遅延時間がばらつくことで、ライブビュー表示の滑らかさが損なわれる場合があり、この事象について図7を参照して説明する。
【0005】
図7は、静止画を撮像する合間にLV画像を撮像して表示する従来のタイミングチャートの一例である。撮像同期信号に合わせて、1ライン目の読み出しが開始される。リセットは、読み出しのタイミングから予め設定された蓄積時間の分だけ前のタイミングで行われる。記憶用の静止画(以下単に「静止画」という)では全ラインの信号が読み出されるのに対して、LV画像では加算読み出し又は間引き読み出しが行われる。そのため、LV画像の読み出しに要する時間は、静止画の読み出しに要する時間よりも短くなる。
【0006】
図7の例では、連続撮影中に静止画は表示されずにLV画像のみが表示される。その際、LV画像は表示同期信号に合わせて表示される。なお、表示同期信号には、表示装置の最も短い周期を用いることができる。また、静止画の撮像周期は、所謂、コマ速であり、表示装置の表示周期とは独立して設定される。
【0007】
LV画像を撮像するための電荷の蓄積は、静止画の読み出し終了後に速やかに行われる。そのため、LV画像の撮像タイミングは、静止画の撮像タイミングを基準として設定される。撮像素子から読み出されたLV画像の画像信号は、撮像装置が備える記憶装置(例えば、DRAM)に送られた後、最初に現れる表示同期信号に合わせて表示される。これにより、静止画の撮影後に速やかにLV画像を表示することができる。
【0008】
ここで、LV画像の撮像間隔とLV画像の表示間隔とは独立して設定されているため、各LV画像の読み出しが終わってから表示装置にLV画像が表示されるまでのタイムラグ(表示遅延時間)がばらつく。例えば、図7では、LV画像1(LV画像1)の読み出しが終わってからLV画像2の読み出しが終わるまでの時間t1と、LV画像2の読み出しが終わってからLV画像3の読み出しが終わるまでの時間t2とは同じ長さである。しかしながら、LV画像1の表示を開始してからLV画像2の表示を開始するまでの時間t1と、LV画像2の表示を開始してからLV画像3の表示を開始するまでの時間t2とは異なる長さとなる。つまり、LV画像間のフレーム間において、撮像の間隔と表示の間隔との間にズレが生じることで、被写体の動きが不自然に見えてしまう。
【0009】
本発明は、連続撮影中に被写体の動きが自然に表現されるライブビュー映像の表示を可能とする撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る撮像装置は、撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像手段を用いて記憶用の静止画と表示装置に表示するための表示用画像を撮像する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記撮像手段により前記静止画を連続撮影する際に、前記静止画の撮像タイミングを設定した後、前記静止画を撮像する周期から前記静止画の撮像に要する時間を差し引いた余り時間に少なくとも1フレームの前記表示用画像を所定の遅延時間で前記表示装置に表示することができるように前記表示用画像の撮像タイミングを設定し、前記制御手段は更に、前記静止画の連続撮影速度に基づいて前記静止画を撮像する周期を求め、前記余り時間では前記表示用画像を撮像する時間が不足する場合には、前記静止画を撮像する周期を前記静止画と1フレームの前記表示用画像を撮像することができる長さに延長することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連続撮影中に被写体の動きが自然に表現されるライブビュー映像を表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】撮像装置による連続撮影処理のフローチャートである。
図3】静止画及びLV画像の撮像タイミングの配置方法を説明する図である。
図4】静止画及びLV画像の撮像タイミングの第1の配置例を示す図である。
図5】静止画及びLV画像の撮像タイミングの第2の配置例を示す図である。
図6】静止画及びLV画像の撮像タイミングの第3の配置例を示す図である。
図7】静止画を撮像する合間にLV画像を撮像して表示する従来のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0014】
撮像装置100は、撮影レンズ10、絞り12、撮像素子14、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、メモリ制御回路22、画像表示部28、メモリ30、不揮発性メモリ31、圧縮・伸長回路32及びシステム制御部50を備える。また、撮像装置100は、露光制御部40、測距制御部42、ストロボ装置48、モードダイアル60、レリーズボタン62、表示切替スイッチ66及びサーミスタ74を備える。更に撮像装置100は、I/F_90、コネクタ92、通信部110及びコネクタ(アンテナ)112を備える。
【0015】
撮影レンズ10は、被写体からの反射光を取り込み、撮像素子14に結像させる。絞り12は、撮像素子14への入射光量を調節する。撮像装置100を、本体および本体に着脱可能な交換レンズからなる撮像システムとして構成し、撮影レンズ10と絞り12を交換レンズの内部に配置してもよい。
【0016】
撮像素子14は、撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。撮像装置100は、撮像素子14のリセットタイミングを制御することによって、蓄積時間を制御する電子シャッタ機能を有している。A/D変換器16は、撮像素子14からの出力信号(アナログ電気信号)をデジタル信号(画像データ)に変換するである。タイミング発生回路18は、撮像素子14やA/D変換器16にクロック信号や制御信号を供給する。タイミング発生回路18は、メモリ制御回路22及びシステム制御部50により制御される。
【0017】
画像処理回路20は、A/D変換器16から取得した画像データ又はメモリ制御回路22から取得した画像データに対して、画素補間処理や色変換処理等の各種の画像処理を行う。また、画像処理回路20は、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。更に、画像処理回路20は、画像の切り出しや変倍処理を行うことにより電子ズーム機能を可能とする。画像処理回路20は、撮像した画像データを用いて、システム制御部50が露光制御部40及び測距制御部42に対して制御を行うために必要とするデータを生成するための演算処理を行い、その演算結果をシステム制御部50へ送る。
【0018】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、メモリ30及び圧縮・伸長回路32を制御する。撮像した画像データは、画像処理回路20とメモリ制御回路22を介して、又は、直接にメモリ制御回路22を介して、メモリ30に書き込まれる。
【0019】
画像表示部28は、本実施形態では、撮像装置100の筐体背面に設けられる液晶表示装置或いは有機EL表示装置であるとするが、これに限られるものではない。メモリ30に書き込まれた表示用画像データは、メモリ制御回路22を介して画像表示部28に表示される。撮像した画像データを画像表示部28に逐次表示することにより、撮影者は画像表示部28に表示されたライブビュー映像を確認しながら撮像を行うことができる。
【0020】
メモリ30は、撮像された静止画像や動画像を格納するメモリカード等の半導体記憶装置やハードディスク等であり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納することが可能な十分な記憶容量を備えている。そして、複数枚の静止画像の連続撮影やパノラマ撮影を行った際も、大量の画像データの書き込みをメモリ30に対して高速で行うことが可能となっている。なお、システム制御部50の作業領域としてメモリ30を使用することも可能である。
【0021】
不揮発性メモリ31は、フラッシュROM等で構成されており、システム制御部50が実行するプログラムコード等を格納している。また、不揮発性メモリ31には、システム情報を記憶する領域やユーザ設定情報を記憶する領域が設けられており、各種情報や設定を、撮像装置100の次回の起動時に読み出して復元することが可能となっている。システム制御部50は、不揮発性メモリ31に書き込まれたプログラムコードを逐次読み出しながら実行することにより、撮像装置100の全体的な動作を制御する撮像制御装置である。
【0022】
圧縮・伸長回路32は、メモリ30に格納された画像を読み込んで、適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮・伸長し、処理を終えた画像データをメモリ30に書き込む。
【0023】
露光制御部40は、シャッタ速度(露光時間)、絞り値及び感度を制御するとともに、ストロボ装置48と連動してストロボ調光(発光撮影での調光)も行う。測距制御部42は、撮影レンズ10のフォーカシングを制御する。ストロボ装置48は、AF補助光の投光や発光撮影時の被写体への閃光照射を行う。露光制御部40と測距制御部42は、システム制御部50によって制御されている。システム制御部50は、撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、露光制御部40と測距制御部42を制御し、これにより、AF処理、AE処理処理が行われる。
【0024】
モードダイアル60、レリーズボタン62及び操作部70は、撮像装置100に対するユーザの指示を入力するための操作手段の一例である。操作手段は、これらに限らず、スイッチやボタン、画像表示部28に重畳して設けられるタッチパネル、視線検知によるポインティングデバイス、音声認識装置等を単独又は組み合わせて、構成される。
【0025】
モードダイアル60は、自動撮影モード、マニュアル撮影モード、パノラマ撮影モード、動画撮影モード、再生モード、PC接続モード等の各機能モードの切替設定を行うための操作装置である。レリーズボタン62は、半押し状態で第1スイッチSW1がオンし、SW1がオンすると、システム制御部50は、AF処理、AE処理及びAWB処理等の撮像準備動作を開始する。レリーズボタン62は、全押し状態で第2スイッチSW2がオンし、一連の撮像動作が行われる。
【0026】
操作部70は、図2に明示しているモードダイアル60等の操作手段以外の操作手段であり、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連続撮影/セルフタイマー切り替えボタンを含む。
【0027】
サーミスタ74は、撮像装置100の内部温度を測定する。撮像素子14の欠陥画素は温度による影響を受けるため、撮影時の温度に応じて傷補正処理を変える必要があり、そのため、サーミスタ74は撮像装置100の内部において撮像素子14の近傍に配置されており、撮像素子14の温度を測定する。
【0028】
I/F_90は、メモリカード(半導体記憶装置)やハードディスク等の記憶媒体200とシステム制御部50との間での通信を可能とするためのインタフェースである。コネクタ92は、記憶媒体200との機械的且つ電気的接続を行うためのコネクタである。
【0029】
通信部110は、USB、IEEE1394、LAN、無線通信等により外部機器との通信を可能とするインタフェースである。コネクタ(アンテナ)112は、通信部110を介して撮像装置100と外部機器とを通信可能に接続するためのコネクタ(有線通信の場合)又は或いはアンテナ(無線通信の場合)である。
【0030】
コネクタ92に対して記憶媒体200の着脱が可能となっている。記憶媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記憶部202、撮像装置100との間での通信を可能とするインタフェースであるI/F_204、撮像装置100と機械的且つ電気的接続を行うコネクタ206を備える。
【0031】
図2は、撮像装置100による連続撮影処理のフローチャートである。図2のフローチャートにS番号で示す各処理(ステップ)は、システム制御部50が不揮発性メモリ31に格納されている所定のプログラムを実行して、撮像装置100を構成する各部の動作を統括的に制御することにより実現される。なお、図2のフローチャートの開始時には、連続撮影が設定されているものとする。また、画像表示部28にライブビュー映像が表示されている状態で連続撮影が開始されるものとする。システム制御部50は、第2スイッチSW2がオンしたことを検知すると、連続撮影を開始する。
【0032】
S101にてシステム制御部50は、予め自動露出制御により決定されたシャッタ速度、絞り値及び感度の設定値又はユーザが任意に指示した設定値で、記憶用の静止画を撮像するための露光処理(第1の撮像)を行う。つまり、撮像素子14に対する所定光量での露光、撮像素子14による光電変換、A/D変換器16による画像データへの変換、画像処理回路20による画像データの画像処理を経て生成された画像データがメモリ30に記憶される。
【0033】
S102にてシステム制御部50は、ライブビュー表示用画像である、1または複数のフレームのLV画像を撮像するために、撮像素子14に対する露光動作(第2の撮像)を行い、生成した画像データをメモリ制御回路22によりメモリ30に記憶させる。S103にてシステム制御部50は、連続撮影を継続するか否かを判定する。システム制御部50は、連続撮影を継続する場合(S103でYES)、処理をS101へ戻し、連続撮影を継続しない(連続撮影が終了した)と判定した場合(S103でNO)、本処理を終了させる。
【0034】
図3は、本実施形態での静止画及びLV画像の撮像タイミングの配置方法を説明する図である。連続撮影において静止画の撮像とLV画像の撮像とを行う場合、先ず、ユーザが指定する連続撮影速度に基づいてシステム制御部50が1コマ当たりの時間Tintを算出する。そして、1コマ当たりの時間Tint内で最初に静止画の撮像を行う。つまり、1コマ当たりの時間Tint内に最初に静止画の撮像タイミングを配置する。その際、静止画の撮像は、画像表示部28の表示周期とは独立した(関連のない)、コマ速に応じて定められたタイミングで行われる。これにより、静止画を撮像する際のシャッタ速度(露光時間)に応じて、1コマ当たりの時間Tintの始点から静止画の撮像が完了するまでの時間Tsが決定される。時間Tsは事前に求めることができ、よって、1コマ当たりの時間Tintから静止画の撮像に要する時間Tsを差し引いた余り時間Tremを求めることができる。
【0035】
画像表示部28の表示周期に同期させてLV画像の表示遅延時間が所定値となるように、LV画像の撮像を行う。つまり、余り時間Tremに対して、LV画像の表示遅延時間が所定値となるように、LV画像の撮像タイミングを配置する。余り時間Tremが長いためにLV画像の撮像を複数回行うことが可能な場合には、各LV画像の表示遅延時間が同じとなるように、余り時間Trem内にLV画像の撮像タイミングを複数回配置する。そのためには、LV画像の撮像を画像表示部28の表示周期に合わせて行う必要がある。
【0036】
あるフレームのLV画像の撮像が完了した後、次のフレームのLV画像の撮像が完了するまでの間隔は、画像表示部28の表示周期の自然数倍(1倍,2倍,3倍,・・・)となる。また、LV画像を撮像するためのシャッタ速度に応じて、1フレーム目のLV画像の撮像に要する時間が決まる。
【0037】
具体的には、図3に示すように、画像表示部28の表示周期を‘Tf’、自然数を‘n’、LV画像の撮像に要する露光時間を‘Tlv’とする。この場合に、‘Tlv+(x-1)×(n×Tf)<Trem’、の条件を満たす自然数xの最大値を求める。この自然数xが、時系列的に隣り合うる静止画の撮像の合間に実行可能なLV画像の撮像回数となる。
【0038】
図3には‘n=2’とした例が示されており、‘x=3’となるが、これに限られるものではない。但し、‘n×Tf’がLV画像の露光時間Tlvよりも長くなるようにnの値を設定する必要がある。
【0039】
また、LV画像の撮像周期は、画像表示部28の最も短い表示周期と同じ周期に設定する。撮像装置100に複数の表示装置が搭載されており、各表示装置で表示周期が異なる場合には、短い表示周期にLV画像の撮像周期を合わせることで、連続撮影中に表示先が切り替わった場合にもシームレスに所定の表示遅延時間を維持することができる。つまり、表示先が切り替わっても、被写体の動きに不自然さが生じしてしまうことを抑制することが可能になる。
【0040】
なお、撮像装置100に複数の表示装置が搭載されている例として、画像表示部28が、撮像装置100の筐体背面に設けられる液晶表示装置等に加えて、電子ビューファインダ機能を実現する液晶表示部を有する構成を挙げることができる。ユーザは、電子ビューファインダ機能を用いることにより、光学ファインダを用いて撮像を行う場合と同様の操作性を得ることができる。
【0041】
ところで、画像表示部28の表示周期に関係なく、LV画像のフレーム間の間隔を設定すれば、時系列的に隣り合う静止画の撮像の合間に撮像するLV画像の数を増やすことができる。時系列的に隣り合う静止画の撮像の合間に撮像するLV画像の数を増やすほどLV画像のフレームレートが上がって、被写体の様子をより良く観察できるように思われる。しかしながら、そのようにすると、実際には各LV画像の表示遅延時間が異なってしまう影響によって、返って不自然な表示となってしまう。
【0042】
そこで、本実施形態では、静止画の撮像の合間に複数のLV画像を撮像する場合には、各LV画像の表示遅延時間が一定となるようにする。これにより、被写体動きの自然な表示を可能とし、視認性を向上させることが可能となる。以下、静止画及びLV画像の撮像タイミングの配置例について説明する。
【0043】
図4は、静止画撮像時の露光時間が比較的長秒である場合の静止画及びLV画像の撮像タイミングの配置例を示す図であり、1コマ当たりの時間Tint内に静止画とLV画像を1フレームずつ撮像する例を示している。この例では、LV画像を表示する際の表示遅延時間は各コマで同じとなっており、よって、被写体の動きの自然な表示が可能となっている。なお、図4と後述する図5及び図6では、静止画の撮像を単に「静」と記し、LV画像の撮像を「LV」と記している。
【0044】
図5は、静止画撮像時の露光時間が比較的長秒である場合の静止画及びLV画像の撮像タイミングの別の配置例を示す図である。図5の配置例は、図4の配置例と比較すると、静止画及びLV画像の撮像に要する露光時間が延びており、これに伴って、1コマ当たりの時間Tintが伸びている点で、異なっている。
【0045】
1コマ当たりの時間Tint内で静止画とLV画像を撮像する連続撮影では、前述の通り、1コマ当たりの時間Tintを算出し、静止画と、表示遅延量を一定にした少なくとも1フレームのLV画像と、を撮像する。その際、静止画を長秒露光で撮像する場合のように静止画の撮像に要する撮像素子14での電荷蓄積時間が長く、LV画像の撮像に要する電荷蓄積時間が不足する場合、1コマ当たりの時間Tintを延長して、静止画とLV画像を最低1フレームずつ撮像する。この場合1コマ当たりの時間Tintは、‘Tint=Ts+Tlv’、に変更される。
【0046】
これにより、図5の例でも、1コマ当たりの時間Tint内に静止画とLV画像は1フレームずつ撮像される。そして、LV画像の表示遅延時間は各コマで同じとすることができるため、被写体の動きを自然に表現することが可能となる。
【0047】
図6は、静止画の撮影周期が長い場合の静止画とLV画像の撮像タイミングの配置例を示す図である。LV画像の撮像は、撮像同期信号の4倍の長さの周期である表示同期信号に対して、表示遅延時間が一定となるように行われる。なお、静止画の撮像は、画像表示部28の表示周期とは独立したタイミング、つまり、コマ速に応じて定められたタイミングで行われる。
【0048】
図6の例のように表示同期信号の周期が撮像同期信号の周期よりも長い場合に表示同期信号の周期を考慮せずにLV画像のコマ数nを設定してしまうと、表示遅延量が異なる場合が出てくる。そのため、1コマ当たりの時間Tint内で静止画を撮像し、その余り時間TremでLV画像を撮像する際に、表示遅延時間を担保することができる最大数のLV画像を撮像する。これにより、視認性を低下させることなく、且つ、ユーザは被写体の様子をより正確に観察することが可能になる。
【0049】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、撮影レンズ10、撮像素子14、システム制御部50及び画像表示部28を備える撮像装置100を取り上げたが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、撮像手段(撮影レンズ10、撮像素子14)と、システム制御部50と、表示装置とが別体で構成され、それぞれが通信可能に接続された撮像システムでの実現も可能である。
【0051】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 撮影レンズ
14 撮像素子
20 画像処理回路
28 画像表示部
30 メモリ
31 不揮発性メモリ
50 システム制御部
100 撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7