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特許7523925情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240722BHJP
   G06F 1/24 20060101ALI20240722BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
G06F11/07 157
G06F1/24 A
G06F11/07 193
G06F11/07 140Q
H04N1/00 002B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020048006
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021149436
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】挽地 篤志
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-060173(JP,A)
【文献】特開2015-049731(JP,A)
【文献】特開2002-318643(JP,A)
【文献】特開2004-054583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
G06F 1/24
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの動作を制御するメインCPU及び特定の内部デバイスの動作を制御するサブCPUを備えるコントローラを備える情報処理装置であって、
前記サブCPUから受信した第1のリセット信号に従って第1のタイマ時間を設定する第1のWDT回路と、
前記サブCPUから受信した第2のリセット信号に従って前記第1のタイマ時間より長い第2のタイマ時間を設定する第2のWDT回路と、
前記第1のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第1のWDT回路から出力された第1の割り込み信号に従って、前記第2のタイマ時間を所定の時間に延長するように制御すると共に、前記コントローラのリブート処理の実行を制御する第1の制御手段と、
前記延長された第2のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第2のWDT回路から出力された第2の割り込み信号に従って、前記システムのリセット処理の実行を制御する第2の制御手段とを備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のWDT回路は、前記第1の割り込み信号を前記メインCPUへ出力し、
前記メインCPUが前記第1の割り込み信号の応答を出力しない場合、前記第2の制御手段は、前記サブCPUから受信した前記第2のリセット信号に従って設定された第2のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第2のWDT回路から出力された第2の割り込み信号に従って、前記システムのリセット処理の実行を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
記憶手段を更に備え、
前記コントローラのリブート処理は、前記情報処理装置にインストールされたアプリケーションに関するデータを保存する処理、前記記憶手段のアンマウント処理を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の時間は、前記コントローラのリブート処理の実行に要する時間を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の制御手段は、前記第1の割り込み信号に従って、特定のモジュールへの給電を停止させた後に、前記第2のタイマ時間を前記所定の時間に延長するように制御すると共に、前記コントローラのリブート処理の実行を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定の内部デバイスは、スキャナ部、プリンタ部、FAX部を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記延長された第2のタイマ時間がタイムアウトする前に前記コントローラのリブート処理を完了した場合、前記第2のタイマ時間が0秒に設定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
システムの動作を制御するメインCPU及び特定の内部デバイスの動作を制御するサブCPUを備えるコントローラと、第1のWDT回路と、第2のWDT回路とを備える情報処理装置の制御方法であって、
前記サブCPUから受信した第1のリセット信号に従って前記第1のWDT回路に第1のタイマ時間を設定する第1の設定ステップと、
前記サブCPUから受信した第2のリセット信号に従って前記第2のWDT回路に前記第1のタイマ時間より長い第2のタイマ時間を設定する第2の設定ステップと、
前記第1のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第1のWDT回路から出力された第1の割り込み信号に従って、前記第2のタイマ時間を所定の時間に延長するように制御すると共に、前記コントローラのリブート処理の実行を制御する第1の制御ステップと、
前記延長された第2のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第2のWDT回路から出力された第2の割り込み信号に従って、前記システムのリセット処理の実行を制御する第2の制御ステップとを有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記第1のWDT回路は、前記第1の割り込み信号を前記メインCPUへ出力し、
前記メインCPUが前記第1の割り込み信号の応答を出力しない場合、前記第2の制御ステップは、前記サブCPUから受信した前記第2のリセット信号に従って設定された第2のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第2のWDT回路から出力された第2の割り込み信号に従って、前記システムのリセット処理の実行を制御することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
前記情報処理装置は、更に記憶手段を備え、
前記コントローラのリブート処理は、前記情報処理装置にインストールされたアプリケーションに関するデータを保存する処理、前記記憶手段のアンマウント処理を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項11】
前記所定の時間は、前記コントローラのリブート処理の実行に要する時間を含むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項12】
前記第1の制御ステップは、前記第1の割り込み信号に従って、特定のモジュールへの給電を停止させた後に、前記第2のタイマ時間を前記所定の時間に延長するように制御すると共に、前記コントローラのリブート処理の実行を制御することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項13】
前記特定の内部デバイスは、スキャナ部、プリンタ部、FAX部を含むことを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項14】
前記延長された第2のタイマ時間がタイムアウトする前に前記コントローラのリブート処理を完了した場合、前記第2のタイマ時間が0秒に設定されることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の情報処理装置の制御方法。
【請求項15】
システムの動作を制御するメインCPU及び特定の内部デバイスの動作を制御するサブCPUを備えるコントローラと、第1のWDT回路と、第2のWDT回路とを備える情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記情報処理装置の制御方法は、
前記サブCPUから受信した第1のリセット信号に従って前記第1のWDT回路に第1のタイマ時間を設定する第1の設定ステップと、
前記サブCPUから受信した第2のリセット信号に従って前記第2のWDT回路に前記第1のタイマ時間より長い第2のタイマ時間を設定する第2の設定ステップと、
前記第1のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第1のWDT回路から出力された第1の割り込み信号に従って、前記第2のタイマ時間を所定の時間に延長するように制御すると共に、前記コントローラのリブート処理の実行を制御する第1の制御ステップと、 前記延長された第2のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第2のWDT回路から出力された第2の割り込み信号に従って、前記システムのリセット処理の実行を制御する第2の制御ステップとを有することを特徴とするプログラム。
【請求項16】
システムの動作を制御するメインCPU及び特定の内部デバイスの動作を制御するサブCPUを備えるコントローラを備える情報処理装置であって、
前記サブCPUから受信した第1のリセット信号に従って第1のタイマ時間を設定する第1のWDT回路と、
前記メインCPUから受信した第2のリセット信号に従って前記コントローラのリブート処理の実行に要する時間より長い第2のタイマ時間を設定する第2のWDT回路と、
前記第1のWDT回路は、前記コントローラのリブート処理の実行を制御し、前記メインCPUは、前記コントローラのリブート処理が終了すると、前記コントローラのリブート処理が終了したことを示す通知を前記第2のWDT回路に行い、
前記第2のWDT回路は、前記第2のタイマ時間が経過する前に前記メインCPUから前記通知を受けると、前記システムのリセット処理の実行を制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
前記第1のWDT回路は、前記第1のタイマ時間のタイムアウトに基づいて第1の割り込み信号を出力することにより、前記コントローラのリブート処理の実行を制御することを特徴とする請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記コントローラのリブート処理が終了した後、前記メインCPUは、前記第2のタイマ時間を前記第2のリセット信号に従って設定された時間より短い所定の時間に設定する制御を行い、前記第2のWDT回路は、前記システムのリセット処理の実行を制御することを特徴とする請求項16又は17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記第2のWDT回路は、前記所定の時間に設定された第2のタイマ時間のタイムアウトに基づいてリセット回路へ第2の割り込み信号を出力することにより、前記システムのリセット処理の実行を制御することを特徴とする請求項18に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
システムの動作を制御するメインCPU及び特定の内部デバイスの動作を制御するサブCPUを備えるコントローラを備える情報処理装置が知られている。情報処理装置は、異常動作を検知するWDT(Watch Dog Timer)回路を備える。情報処理装置では、例えば、メインCPU上で動作する処理が異常状態になった際にWDT回路がサブCPUに通知を行う。この通知を受信したサブCPUは、メインCPUへ割り込み信号を出力して、情報処理装置のシステムをリブートさせる。また、サブCPUは、メインCPUが正常動作しておらず上記割り込み信号の応答を出力しない場合、リセット回路へ割り込み信号を出力してメインCPUをリセットさせ、更に上記システムをリブートさせる(例えば、特許文献1参照)。このようにして、従来では、WDT回路によって異常が検知された際に上記システムがリセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-258032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、WDT回路の通知先がサブCPUであるので、サブCPUが異常動作している場合、サブCPUからメインCPUやリセット回路へ割り込み信号が出力されず、上記システムをリセットすることができない。
【0005】
本発明の目的は、サブCPUが異常動作した際にシステムをリセットすることができる情報処理装置及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、システムの動作を制御するメインCPU及び特定の内部デバイスの動作を制御するサブCPUを備えるコントローラを備える情報処理装置であって、前記サブCPUから受信した第1のリセット信号に従って第1のタイマ時間を設定する第1のWDT回路と、前記サブCPUから受信した第2のリセット信号に従って前記第1のタイマ時間より長い第2のタイマ時間を設定する第2のWDT回路と、前記第1のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第1のWDT回路から出力された第1の割り込み信号に従って、前記第2のタイマ時間を所定の時間に延長するように制御すると共に、前記コントローラのリブート処理の実行を制御する第1の制御手段と、前記延長された第2のタイマ時間のタイムアウトに基づいて前記第2のWDT回路から出力された第2の割り込み信号に従って、前記システムのリセット処理の実行を制御する第2の制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サブCPUが異常動作した際にシステムをリセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置としての画像形成装置の構成を概略的に示す構成図である。
図2図1のコントローラの構成を概略的に示すブロック図である。
図3図1の画像形成装置の電源構成を説明するためのブロック図である。
図4図2のサブCPUが異常動作した際のリセット制御処理を説明するための図である。
図5図2のメインCPU及びサブCPUの両方が異常動作した際のリセット制御処理を説明するための図である。
図6図2のサブCPUが異常動作した際の給電制御を含むリセット制御処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置としての画像形成装置101の構成を概略的に示す構成図である。
【0011】
図1において、画像形成装置101は、スキャナ装置102(スキャナ部)、コントローラ103、プリンタ装置104(プリンタ部)、操作部105、HDD106、及びFAX装置107(FAX部)を備える。コントローラ103は、スキャナ装置102、プリンタ装置104、操作部105、HDD106、及びFAX装置107と接続されている。
【0012】
画像形成装置101は、例えば、複合機であり、スキャン機能、データ通信機能を備える。例えば、画像形成装置101は、LAN108経由でコンピュータ109とデータを送受信する。また、画像形成装置101は、LAN108経由でコンピュータ109から画像形成装置101の操作指示やジョブの実行指示を受け付ける。なお、画像形成装置101に接続されるコンピュータの台数は、1台に限られず、複数のコンピュータが画像形成装置101に接続されても良い。
【0013】
画像形成装置101は、更に複写機能、画像送信機能、画像保存機能、画像印刷機能等を備える。複写機能は、スキャナ装置102が読み込んだ画像をプリンタ装置104が印刷し、コントローラ103が当該画像をHDD106に記録する機能である。画像送信機能は、スキャナ装置102が読み込んだ画像をコントローラ103がLAN108経由でコンピュータ109へ送信する機能である。画像保存機能は、スキャナ装置102が読み込んだ画像をコントローラ103がHDD106に記録し、必要に応じて当該画像を外部装置へ送信する若しくは上記画像をプリンタ装置104によって印刷する機能である。画像印刷機能は、コントローラ103がコンピュータ109から受信したPDL(Page Description Language)データ等を解析し、PDLデータから得られた情報に基づいてプリンタ装置104が印刷する機能である。
【0014】
スキャナ装置102は、原稿給紙ユニット121及びスキャナユニット122を備える。原稿給紙ユニット121は、原稿を自動的に給紙する。スキャナユニット122は、原稿を光学的に読み取って得られた情報をデジタル画像データに変換する。変換されたデジタル画像データは、コントローラ103へ送信される。
【0015】
プリンタ装置104は、デジタル画像データを用紙に印刷する。プリンタ装置104は、給紙ユニット142、マーキングユニット141、及び排紙ユニット143を備える。給紙ユニット142は、用紙束から一枚ずつ用紙を給紙する。マーキングユニット141は、給紙ユニット142が給紙した用紙に画像データを印刷する。排紙ユニット143は、画像形成装置101に接続されたフィニッシャ装置150等に印刷済みの用紙を排紙する。フィニッシャ装置150は、排紙ユニット143から出力された印刷済みの用紙に対して、ソート、ステープル、パンチ、裁断等の加工を施す。
【0016】
操作部105は、図示しないLCDタッチパネル、節電ボタン、コピーボタン、キャンセルボタン、リセットボタン、テンキー、ユーザモードキー等で構成される。操作部105は、画像形成装置101を操作するためのユーザI/Fである。例えば、ユーザは、テンキー等を用いて画像形成装置101に関する設定を入力する。タッチパネルには、画像形成装置101の処理状態等が表示される。HDD106は、デジタル画像データや制御プログラム等を記憶する。FAX装置107は、電話回線等を介してデジタル画像データを外部装置と送受信する。コントローラ103は、接続された各ユニットに指示することで、ジョブを実行する。また、コントローラ103には、各ユニットへの給電のオンオフを制御する電源スイッチ110が接続されている。
【0017】
図2は、図1のコントローラ103の構成を概略的に示すブロック図である。図2において、コントローラ103は、メインボード200及びサブボード220を備える。メインボード200は、汎用的なCPUシステムである。メインボード200は、CPU340、ブートロム202、メモリ341、バスコントローラ204、不揮発性メモリ205、ディスクコントローラ206を備える。メインボード200は、更にフラッシュディスク207、USBコントローラ208、ネットワークコントローラ211、RTC212、電源制御部303を備える。メインボード200の外部には、USBメモリ209、操作部105、HDD106、スキャナ装置102、プリンタ装置104、FAX装置107、フィニッシャ装置等が接続されている。
【0018】
CPU340は、メインボード200全体を制御する。ブートロム202は、ブートプログラムを格納する。メモリ341は、CPU340のワークメモリとして使用される。バスコントローラ204は、外部バスとのブリッジ機能を持つ。不揮発性メモリ205は、電力の供給が停止されてもデータを保持可能な記憶デバイスである。ディスクコントローラ206は、フラッシュディスク207にデータを書き込む制御又はフラッシュディスク207からデータを読み出す制御を行う。フラッシュディスク207は、半導体デバイスで構成された比較的小容量なストレージ装置、例えば、SSDである。USBコントローラ208は、メインボード200に接続されたUSBデバイス、例えば、USBメモリ209との通信を制御する。電源制御部303は、CPLD(Complex Programmable Logic Device)や結合プログラマブル論理回路と呼ばれ、コントローラ103に接続された各ユニットに対する電力の供給を制御する。
【0019】
サブボード220は、メインボード200より小さい汎用CPUシステムと、画像処理ハードウェアで構成される。汎用CPUシステムは、例えば、CPU221、メモリ223、バスコントローラ224、不揮発性メモリ225である。画像処理ハードウェアは、例えば、画像処理プロセッサ227、及びデバイスコントローラ226a,226bである。
【0020】
CPU221は、サブボード220全体を制御する。また、CPU221は、サブボード220に接続されたFAX装置107を直接制御する。メモリ223は、CPU221のワークメモリとして使用される。バスコントローラ224は、外部バスとのブリッジ機能を持つ。不揮発性メモリ225は、電力の供給が停止されてもデータを保持可能な記憶デバイスである。画像処理プロセッサ227は、リアルタイムデジタル画像データ処理を行う。デバイスコントローラ226aは、サブボード220に接続されたプリンタ装置104とのデジタル画像データの受け渡しを制御する。デバイスコントローラ226bは、サブボード220に接続されたスキャナ装置102とのデジタル画像データの受け渡しを制御する。なお、図2では、メインボード200及びサブボード220の構成が簡略化して示されており、メインボード200及びサブボード220の構成は、この構成に限られない。例えば、メインボード200及びサブボード220において、CPUの周辺ハードウェアとして、チップセット、バスブリッジ、クロックジェネレータ等が更に設けられていても良い。また、本実施の形態では、コントローラ103が、メインボード200とサブボード220とに分かれた構成について説明するが、この構成に限られない。例えば、メインボード200及びサブボード220に含まれる全てのモジュールが1つのボードに配置される構成であっても良い。このような構成において、CPU340及びCPU221は、バスコントローラ204,224を介して接続されるのではなく、直接接続されても良く、同じボード又は同じチップの別ブロックに配置され、メモリ223,341を共用しても良い。
【0021】
次に、コントローラ103の動作について、用紙に画像を複写する処理を例に説明する。
【0022】
ユーザが操作部105に画像複写処理の実行指示を入力すると、CPU340がCPU221を介してスキャナ装置102に画像読み取り命令を送信する。スキャナ装置102は、画像読み取り命令を受信すると、原稿を光学的に読み取って得られた情報をデジタル画像データに変換し、デバイスコントローラ226bを介して画像処理プロセッサ227へ上記デジタル画像データを送信する。画像処理プロセッサ227は、CPU221を介してメモリ223へ受信したデジタル画像データをDMA転送して、当該デジタル画像データをメモリ223に一時的に保存する。
【0023】
CPU340は、デジタル画像データの所定量の領域又は全ての領域がメモリ223に格納されたことを確認すると、CPU221へデジタル画像データの出力を指示する。この指示を受けたCPU221は、デジタル画像データが格納されたメモリ223のアドレスを含む指示を画像処理プロセッサ227へ送信する。メモリ223上のデジタル画像データは、プリンタ装置104が出力する同期信号に従って、画像処理プロセッサ227及びデバイスコントローラ226aを介してプリンタ装置104へ送信される。プリンタ装置104は、受信したデジタル画像データを用紙に印刷する。
【0024】
複数部を印刷する場合、CPU340は、メモリ223に格納されたデジタル画像データをHDD106に保存する。これにより、2部目以降を印刷する際にスキャナ装置102から取得しなくても、HDD106やメモリ223からプリンタ装置104へ印刷対象となるデジタル画像データを送信可能となる。
【0025】
図3は、図1の画像形成装置101の電源構成を説明するためのブロック図である。図3では、一例として、画像形成装置101の一部、具体的に、コントローラ103、プリンタ装置104、電源制御部303、電源301の電源構成が示されている。
【0026】
図3において、電源制御部303には、電源ラインJ302経由で電力が常時供給されている。なお、電源制御部303による電力の消費量は極めて小さく、電源制御部303には画像形成装置101の電源オン時だけでなく、画像形成装置101の電源オフ時にも電力が供給されている。このように電力が常時供給されるため、電源制御部303は、画像形成装置101を電源オフ状態から電源オン状態へ移行させるための給電制御を実施可能である。
【0027】
電源制御部303は、電源ラインV309、電源ラインP312、電源ラインQ316の給電を制御する。例えば、電源制御部303は、電源制御信号であるIO信号V_ON307によってリレースイッチ308を切り替えて、電源ラインV309経由の給電、具体的に、電源301からコントローラ103への給電を制御する。なお、図3では、説明を容易にするために示されていないが、リレースイッチ308は、例えば、2つのスイッチを備え、電源系統を2つに分割可能な構成である。コントローラ103のモジュールは、リレースイッチ308における2つのスイッチの何れかに接続されている。スリープ状態では、リレースイッチ308の2つのスイッチのうちスリープ状態時に電源オフするモジュールが接続された一方をオフし、他方をオンのまま維持する。シャットダウン状態では、リレースイッチ308の2つのスイッチの両方をオフする。このような構成のリレースイッチ308の切り替えを制御するIO信号V_ON307は、二値ではなく、通電状態に応じた多値の制御信号となる。
【0028】
また、電源制御部303は、電源制御信号であるIO信号P_ON310によってリレースイッチ311を切り替えて、電源ラインP312経由の給電、具体的に、電源301からプリンタ装置104の図3のプリンタ制御部327への給電を制御する。プリンタ制御部327は、プリンタ装置104のロジック系統回路であるCPU320及びメモリ326を少なくとも備える。
【0029】
さらに、電源制御部303は、電源制御信号であるIO信号N_ON360によってリレースイッチ361を切り替え、電源ラインN362経由の給電、つまり、電源301から図3のNIC350への給電を制御する。NIC350は、画像形成装置101がコンピュータ109等の外部装置とLAN108を介した通信を実現するためのモジュールである。コントローラ103のモジュールのうちNIC350のみが、電源ラインV309と異なる電源ラインN362経由で給電される。電源ラインN362は、電源ラインV309と異なり、通常時だけでなく、スリープ時にも給電される。これにより、画像形成装置101のスリープ時にLAN108を介してコンピュータ109等からアクセスされた際に画像形成装置101をスリープ状態から復帰させる処理を行うことができる。なお、電源ラインN362は、シャットダウン時には、Wake On LAN等の所定の設定が有効である場合を除いて給電されない。
【0030】
電源制御部303は、電源制御信号であるIO信号Q_ON313によってリレースイッチ315を切り替え、電源ラインP312のサブラインである電源ラインQ316経由の給電、具体的に、電源301からプリンタ装置104の図3の印刷部328への給電を制御する。印刷部328は、プリンタ装置104の高負荷系統装置であり、図3に示すように、マーキングユニット141の定着ユニット321~324及びFAN325を備える。なお、本実施の形態では、電源ラインQ316は、電源ラインP312のサブラインのような構成でなくても良い。例えば、電源ラインQ316は、リレースイッチ311を介すことなく、リレースイッチ315を介して電源301に接続される構成であっても良い。
【0031】
電源制御部303は、CPU340の指示によって発行したDCON_LIVEWAKE信号305をプリンタ装置104へ送信する。DCON_LIVEWAKE信号305がアサートされた状態でプリンタ装置104の電源が投入されると、プリンタ装置104は、特定の動作を行わずに、静かに復帰する。特定の動作は、例えば、モータ、ローラ、ポリゴン等の回転動作や、定着ユニット321~324の温調やFAN325による排熱を行うための動作である。本実施の形態では、スキャナ装置102に対する給電の制御も、プリンタ装置104と同様に、電源制御部303によって行われる。
【0032】
次に、画像形成装置101の起動時における給電について説明する。ユーザが電源スイッチ110をオン操作すると、電源制御部303は、電源ラインJ302の状態から電源オンを検知する。電源制御部303は、IO信号V_ON307、IO信号P_ON310、IO信号Q_ON313によってリレースイッチ308,311,315をそれぞれオンする。これにより、電源オン時の給電対象となるユニットへ電力が供給される。電源オン時の給電対象となるユニットは、例えば、コントローラ103、プリンタ装置104、スキャナ装置102である。電力が供給されたプリンタ装置104、スキャナ装置102では、各々に設けられるCPUが初期化動作を開始する。
【0033】
コントローラ103のCPU340は、電源301から電力が供給されると、ハードウェアの初期化を行う。ハードウェアの初期化は、例えば、レジスタの初期化、割り込みの初期化、カーネル起動時のデバイスドライバの登録、操作部105の初期化である。次いで、CPU340は、ソフトウェアの初期化を行う。ソフトウェアの初期化は、例えば、各ライブラリの初期化ルーチンの呼び出し、プロセスやスレッドの起動、プリンタ装置104やスキャナ装置102と通信するソフトウェアサービスの起動、操作部105の描画である。上述した全ての初期化を完了すると、CPU340は、スタンバイ状態へ移行する。
【0034】
次に、スタンバイ状態における給電について説明する。スタンバイ状態は、画像形成装置101が起動した後にプリンタ装置104やスキャナ装置102が使用されていない状態である。スタンバイ状態では、状況に応じて給電状態が異なる。例えば、画像形成装置101が起動した直後には、画像形成装置101の全てのユニットが電源301から給電される。印刷処理を実行していない場合には、プリンタ装置104が電源301から給電されない。操作部105が点灯しておらずユーザが画像形成装置101の前にいないと判別された場合には、スキャナ装置102が電源301から給電されない。
【0035】
次に、プリンタ装置104やスキャナ装置102が使用されているPDL印刷状態における給電について説明する。以下では、PDL印刷状態の一例として、コンピュータ109からPDLデータを受信し、受信したPDLデータに基づいて印刷を行う場合について説明する。
【0036】
コントローラ103のCPU340は、コンピュータ109からLAN108経由で受信したPDLデータを解析し、印刷ジョブを生成する。次いで、CPU340は、電源制御部303に対し、プリンタ装置104へ給電する指示を行う。この指示を受けた電源制御部303は、IO信号P_ON310によってリレースイッチ311を切り替えて、電源301から電源ラインP312経由でプリンタ装置104へ給電させる。プリンタ装置104に電力が供給されると、CPU340は、印刷ジョブを実行する。印刷ジョブでは、CPU340は、メモリ341、バスコントローラ204、サブボード220のバスコントローラ224、サブボード220のCPU221へ印刷対象となるデータを送信する。また、CPU340は、画像処理プロセッサ227、デバイスコントローラ226aを経由して、プリンタ装置104へ上記データを送信する。プリンタ装置104は、受信したデータを印刷し、印刷を完了すると、その旨をCPU340へ通知する。CPU340は、印刷を完了した旨を示す通知を受信すると、電源制御部303にプリンタ装置104への給電を停止する指示を行う。この指示を受けた電源制御部303は、IO信号P_ON310によってリレースイッチ311を切り替えて、電源301からプリンタ装置104への給電を停止させる。
【0037】
次に、CPU340がスタンバイ状態からスリープ状態に移行する際の給電について説明する。CPU340は、スタンバイ状態において、ユーザが操作部105等を操作しないまま所定の時間が経過した場合、ユーザが操作部105上の節電キー(不図示)を押下した場合、予め設定された時刻に達した場合等にスリープ状態へ移行する処理を開始する。具体的に、CPU340は、電源制御部303にスリープ状態へ移行する指示を行う。この指示を受けた電源制御部303は、CPU340のスリープ状態時に電源をオンするモジュールのみに給電する制御を行う。これにより、CPU340がスリープ状態に移行する。スリープ状態に移行すると、画像形成装置101は、電力の消費量が抑えられ、また、スタンバイ状態へ移行するまでの時間が通常起動時よりも短縮可能となる。
【0038】
次に、CPU340がスリープ状態から復帰する際の給電について説明する。CPU340は、スリープ状態において、特定の復帰要因を検知した際に、スリープ状態から復帰する処理を開始する。特定の復帰要因は、ファクシミリ通信の着信やオフフックを検知した場合、ユーザが操作部105上の節電キー(不図示)を押下した場合、USBデバイスが画像形成装置101に接続された場合、予め設定された時刻に達した場合等を含む。これら特定の復帰要因を検知するために、スリープ状態時には、例えば、コントローラ103におけるUSBコントローラ208、ネットワークコントローラ211、RTC212、割り込みコントローラ(不図示)、操作部105の節電キー(不図示)、FAX装置107の一部のモジュール、各種センサ(不図示)に給電されている。電源制御部303は、上記特定の復帰要因を示す割り込み信号を受信すると、CPU340をスリープ状態から復帰させる。スリープ状態から復帰したCPU340は、その旨を電源制御部303に通知し、また、画像形成装置101のソフトウェアの状態を通常状態に戻すためのスリープ復帰処理を実行する。この通知を受けた電源制御部303は、スリープ状態からの復帰時に電源をオンするモジュールに給電する制御を行う。
【0039】
例えば、コンピュータ109からPDLデータを受信するといった特定の復帰要因が検知された場合、コントローラ103、プリンタ装置104、スキャナ装置102に給電される。なお、図3には、説明を容易にするために、スキャナ装置102に対する電源制御信号が示されていないが、プリンタ装置104に対する電源制御信号をスキャナ装置102に対する電源制御信号として共用しても良い。また、スキャナ装置102に対する別の電源制御信号(不図示)を使用しても良い。
【0040】
次に、メインCPU340及びサブCPU221の異常動作時のリセット制御処理について説明する。
【0041】
図4は、図2のサブCPU221が異常動作した際のリセット制御処理を説明するための図である。本実施の形態では、コントローラ103は、図4に示すように、リセット回路431と、2つのWDT(Watchdog Timer)回路、具体的に、第1のWDT回路411及び第2のWDT回路412を備える。リセット回路431は、コントローラ103をリセットするためのモジュールである。第1のWDT回路411及び第2のWDT回路412は、サブCPU221の異常動作を検知する。
【0042】
図4において、サブCPU221は、所定の時間毎に、WDTリセット時間を設定するためのWDTリセット信号を第1のWDT回路411及び第2のWDT回路412へそれぞれ送信する(ステップS101)。WDTリセット時間は、サブCPU221の異常動作の検知に用いられる。なお、本実施の形態では、第1のWDT回路411がサブCPU221の異常動作を第2のWDT回路412より早期に検知できるように、第1のWDT回路411のWDTリセット時間には、第2のWDTリセット時間より短い時間が設定される。例えば、第1のWDT回路411は、受信したWDTリセット信号が示す時間、例えば、10秒を第1のWDT回路411のWDTリセット時間(以下、「第1のWDTリセット時間」という。)(第1のタイマ時間)として設定する。また、第2のWDT回路412は、受信したWDTリセット信号が示す時間、例えば、20秒を第2のWDT回路412のWDTリセット時間(以下、「第2のWDTリセット時間」という。)(第2のタイマ時間)として設定する。
【0043】
第1のWDTリセット時間、例えば、10秒が設定されてから当該10秒が経過するまでにサブCPU221から次のWDTリセット信号を受信しない場合、つまり、第1のWDTリセット時間がタイムアウトした場合、第1のWDT回路411は、メインCPU340へ第1の割り込み信号を送信する(ステップS102)。
【0044】
メインCPU340は、第1の割り込み信号を受信すると、第2のWDTリセット時間を延長するためのWDTリセット信号を第2のWDT回路412へ送信する(ステップS103)。第2のWDT回路412は、受信したWDTリセット信号に従って、第2のWDTリセット時間を所定の時間に延長する。所定の時間は、第2のWDTリセット時間として設定された20秒より長い時間であって後述するコントローラ103のリブート処理の実行に要する時間に或る程度のマージンを加味した時間、例えば、90秒である。
【0045】
また、メインCPU340は、ステップS103の処理を行った後、コントローラ103のリブート処理を実行する(ステップS104)。コントローラ103のリブート処理は、例えば、メインCPU340が制御する図4のOS401やアプリケーション402に関するデータを保存する処理、HDD106のアンマウント処理を含む。このようにして、本実施の形態では、第2のWDT回路412がサブCPU221の異常動作を検知する前にコントローラ103のリブート処理の実行を完了させる時間が確保される。
【0046】
延長された第2のWDTリセット時間、例えば、90秒が設定されてから当該90秒が経過するまでにサブCPU221から次のWDTリセット信号を受信しない場合、つまり、延長された第2のWDTリセット時間がタイムアウトした場合、第2のWDT回路412は、リセット回路421へ第2の割り込み信号を送信する(ステップS105)。画像形成装置101では、第2の割り込み信号に基づいて、画像形成装置101のシステムのリセット処理が実行される。具体的に、リセット回路421は、受信した第2の割り込み信号に従って、コントローラ103の各モジュールにリセット信号を送信し、コントローラ103をリセットする(ステップS106)。また、スキャナ装置102、プリンタ装置104、FAX装置107等のデバイスは、それぞれに設けられる図4のリセット回路431によってデバイスをリセットする。リセット回路431は、コントローラ103のリセット状態を監視する。コントローラ103がリセットされた場合、リセット回路431は、デバイスに設けられるハードウェア432に対してリセット信号を発行して、デバイスをリセットする(ステップS107)。
【0047】
上述した実施の形態によれば、第1のWDTリセット時間のタイムアウトに基づいて第1のWDT回路411から出力された第1の割り込み信号に従って、第2のWDTリセット時間が所定の時間に延長されると共に、コントローラ103のリブート処理が実行される。また、延長された第2のWDTリセット時間のタイムアウトに基づいて第2のWDT回路412から出力された第2の割り込み信号に従って、システムのリセット処理が実行される。これにより、サブCPU221が異常動作した際にシステムをリセットすることができる。
【0048】
また、上述した実施の形態では、コントローラ103のリブート処理は、画像形成装置101にインストールされたアプリケーション402に関するデータを保存する処理、HDD106のアンマウント処理を含む。これにより、サブCPU221の異常動作に起因するシステムのリセットにおいて、上記アプリケーションに関するデータを保持することができ、また、HDD106を正常に停止させることができる。
【0049】
さらに、上述した実施の形態では、所定の時間は、コントローラ103のリブート処理の実行に要する時間を含む。これにより、システムのリセット処理を実行する前にコントローラ103のリブート処理の実行を完了させる時間を確保することができる。その結果、上記アプリケーションに関するデータの保持や、HDD106の正常な停止を確実に行うことができる。
【0050】
図5は、図2のメインCPU340及びサブCPU221の両方が異常動作した際のリセット制御処理を説明するための図である。
【0051】
図5において、サブCPU221は、ステップS101の処理を行う。これにより、第1のWDT回路411に第1のWDTリセット時間、例えば、10秒が設定され、第2のWDT回路412に第2のWDTリセット時間、例えば、20秒が設定される。
【0052】
第1のWDTリセット時間がタイムアウトした場合、第1のWDT回路411は、ステップS102の処理により、メインCPU340へ第1の割り込み信号を送信する。ここで、メインCPU340が異常動作、例えば、ハングアップしている場合、メインCPU340は第1の割り込み信号に応答することができない。このような場合、本実施の形態では、ステップS103,S104の処理が行われない。
【0053】
つまり、ステップS102にて設定された第2のWDTリセット時間、例えば、20秒がタイムアウトした場合、第2のWDT回路412は、ステップS105の処理により、リセット回路421へ第2の割り込み信号を送信する。次いで、画像形成装置101は、上述した図4のように、ステップS106,S107を実行して、システムのリセット処理を実行する。
【0054】
上述した実施の形態では、メインCPU340が第1の割り込み信号の応答を出力しない場合、ステップS102にて設定された第2のWDTリセット時間のタイムアウトに基づいて第2のWDT回路412から出力された第2の割り込み信号に従って、システムのリセット処理が実行される。これにより、メインCPU340及びサブCPU221の両方が異常動作した際にもシステムをリセットすることができる。
【0055】
以上、本発明について、上述した実施の形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、第1のWDT回路411の代わりにRTCを使用しても良い。
【0056】
上述した実施の形態では、リレースイッチ315は、電源制御部303以外のモジュール、例えば、CPU320によってオンオフ制御されても良い。
【0057】
また、上述した実施の形態では、印刷部328は、給紙ユニット142、マーキングユニット141、排紙ユニット143を備えていても良い。
【0058】
上述した実施の形態では、コントローラ103が2つのWDT回路を備える構成について説明したが、この構成に限られず、コントローラ103が3つ以上のWDT回路を備えていても良い。例えば、コントローラ103が、メインCPU340の異常動作を検知する第3のWDT回路を備えていても良い。第3のWDT回路は、メインCPU340から所定の時間毎に送信されるWDTリセット信号に基づいてWDTリセット時間を設定する。当該WDTリセット時間がタイムアウトした場合、第3のWDT回路は、リセット回路421へ割り込み信号を送信して、システムのリセット処理を実行させる。このような構成により、メインCPU340及びサブCPU221のうちメインCPU340のみが異常動作した際にもシステムをリセットすることができる。
【0059】
上述した実施の形態では、第1のWDTリセット時間のタイムアウトに基づいて第1のWDT回路411から出力された第1の割り込み信号に従って、スキャナ装置102、プリンタ装置104、FAX装置107等のデバイスへの給電を停止し、その後、ステップS103,S104の処理を実行しても良い。
【0060】
図6は、図2のサブCPU221が異常動作した際の給電制御を含むリセット制御処理を説明するための図である。
【0061】
図6において、サブCPU221は、ステップS101の処理を行う。これにより、第1のWDT回路411に第1のWDTリセット時間、例えば、10秒が設定され、第2のWDT回路412に第2のWDTリセット時間、例えば、20秒が設定される。
【0062】
第1のWDTリセット時間がタイムアウトした場合、第1のWDT回路411は、ステップS102の処理により、メインCPU340へ第1の割り込み信号を送信する。
【0063】
メインCPU340は、第1の割り込み信号を受信すると、電源制御部303に指示を行って、電源301からコントローラ103が制御するデバイス(以下、「コントローラ制御デバイス」という。)への給電を停止させる(ステップS201)。コントローラ制御デバイスは、例えば、スキャナ装置102、プリンタ装置104、FAX装置107である。電源301からコントローラ制御デバイスへの給電が停止すると、メインCPU340は、ステップS103の処理により、第2のWDTリセット時間を延長するためのWDTリセット信号を第2のWDT回路412へ送信する。第2のWDT回路412は、受信したWDTリセット信号に従って、第2のWDTリセット時間を、ステップS101の処理にて設定された時間、例えば、20秒より長い所定の時間、例えば、90秒に設定する。
【0064】
また、メインCPU340は、ステップS103の処理を行った後、ステップS104の処理により、コントローラ103のリブート処理を実行する。コントローラ103のリブート処理を完了すると、メインCPU340は、第2のWDTリセット時間を「0秒」に設定するためのWDTリセット信号を第2のWDT回路412へ送信する。第2のWDT回路412は、受信したWDTリセット信号に従って、第2のWDTリセット時間を「0秒」に設定する。
【0065】
第2のWDT回路412は、「0秒」に設定した第2のWDTリセット時間がタイムアウトした場合、ステップS105の処理により、リセット回路421へ第2の割り込み信号を送信する。このようにして、本実施の形態では、コントローラ103のリブート処理を完了した直後に、システムのリセット処理の実行指示となる第2の割り込み信号が送信される。画像形成装置101では、第2の割り込み信号に基づいて、ステップS106,S107の処理により、システムのリセット処理が実行される。
【0066】
上述した実施の形態では、第1のWDTリセット時間のタイムアウトに基づいて第1のWDT回路411から出力された第1の割り込み信号に従って、コントローラ制御デバイスへの給電が停止され、その後、ステップS103,S104の処理が実行される。これにより、サブCPU221の異常動作に起因するシステムのリセットにおいて、コントローラ制御デバイスを正常に停止させることができる。
【0067】
また、上述した実施の形態では、延長された第2のWDTリセット時間がタイムアウトする前にコントローラ103のリブート処理を完了した場合、第2のWDTリセット時間が0秒に設定される。これにより、リセット制御処理においてコントローラ103のリブート処理を完了した後の不要な待ち時間を無くすことができ、もって、リセット制御処理の実行時間を短縮することができる。
【0068】
本発明は、上述の実施の形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、該システム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0069】
101 画像形成装置
102 スキャナ装置
104 プリンタ装置
107 FAX装置
221 サブCPU
340 メインCPU
411 第1のWDT回路
412 第2のWDT回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6