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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021075967
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170080
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】岡嵜 真一
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-070176(JP,A)
【文献】特開平05-180622(JP,A)
【文献】特開2014-179560(JP,A)
【文献】特開2007-311472(JP,A)
【文献】特開2017-054945(JP,A)
【文献】特開2008-098411(JP,A)
【文献】特開2017-045913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して部品を実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドの下方を撮像するように光軸が傾斜するように配置され、光学部材と、前記光学部材を介して被写体の像が結像する像面を有する撮像素子と、を含み、前記光学部材または前記撮像素子の前記像面が前記光軸に対して傾斜して配置されており、前記光学部材、前記像面および被写体面がシャインプルーフの条件を満たすように配置された撮像部と、を備え、
前記撮像部は、撮像高さ位置を上下方向に移動させる上下移動部を含み、互いに異なる複数の上下方向の撮像高さ位置から前記被写体を撮像可能に構成され
前記上下移動部の移動の制御を行う制御部と、
前記実装ヘッドに対して部品を供給する部品供給部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記撮像部により前記部品供給部の撮像を行う場合に、前記部品供給部の部品の供給位置の高さに基づいて設定された上下方向の部品供給撮像高さ位置に前記撮像部を移動させるように構成されている、部品実装装置。
【請求項2】
基板に対して部品を実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドの下方を撮像するように光軸が傾斜するように配置され、光学部材と、前記光学部材を介して被写体の像が結像する像面を有する撮像素子と、を含み、前記光学部材または前記撮像素子の前記像面が前記光軸に対して傾斜して配置されており、前記光学部材、前記像面および被写体面がシャインプルーフの条件を満たすように配置された撮像部と、を備え、
前記撮像部は、撮像高さ位置を上下方向に移動させる上下移動部を含み、互いに異なる複数の上下方向の撮像高さ位置から前記被写体を撮像可能に構成され、
前記上下移動部の移動の制御を行う制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記撮像部により基板に対する部品の実装位置の撮像を行う場合に、前記実装位置の高さおよび部品の大きさに基づいて設定された上下方向の部品実装撮像高さ位置に前記撮像部を移動させるように構成されている、部品実装装置。
【請求項3】
記制御部は、前記撮像部の撮像範囲内に前記被写体が含まれ、かつ、前記被写体面に前記撮像部の焦点が合うように、前記撮像部の上下方向の撮像高さ位置を調整するように、前記撮像部を移動させる、請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
記実装ヘッドに対して部品を供給する部品供給部をさらに備え、
前記制御部は、前記撮像部により前記部品供給部の撮像を行う場合に、前記部品供給部の部品の供給位置の高さに基づいて設定された上下方向の部品供給撮像高さ位置に前記撮像部を移動させるように構成されている、請求項に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、吸着する部品が決定されるタイミングより後で、かつ、前記実装ヘッドが部品を吸着する水平方向の位置に移動完了する前のタイミングにおいて、前記撮像部を上下方向の前記部品供給撮像高さ位置に移動させるように構成されている、請求項1または4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
記制御部は、前記撮像部により基板に対する部品の実装位置の撮像を行う場合に、前記実装位置の高さおよび部品の大きさに基づいて設定された上下方向の部品実装撮像高さ位置に前記撮像部を移動させるように構成されている、請求項に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記実装位置に前記実装ヘッドが移動する移動指令が出たタイミングより後で、かつ、前記実装ヘッドが部品を実装する水平方向の位置に移動完了する前のタイミングにおいて、前記撮像部を上下方向の前記部品実装撮像高さ位置に移動させるように構成されている、請求項2または6に記載の部品実装装置。
【請求項8】
記制御部は、前記実装ヘッドにより移送される部品の撮像を行う場合に、前記実装ヘッドの移送高さに基づいて設定された上下方向の移送撮像高さ位置に前記撮像部を移動させるように構成されている、請求項~7のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記実装ヘッドにより部品を吸着したタイミングより後で、かつ、前記実装ヘッドが移送高さ位置に上昇完了する前のタイミングにおいて、前記撮像部を上下方向の前記移送撮像高さ位置に移動させるように構成されている、請求項8に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記実装ヘッドの移動に同期させることなく先行させて、前記撮像部を撮像高さ位置に移動させるように構成されている、請求項~9のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項11】
前記撮像部の撮像高さ位置と、前記被写体の高さとに基づいて、前記被写体の水平方向の位置および姿勢が計測される、請求項1~10のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項12】
所定の高さ位置に配置され、前記撮像部により撮像される基準校正部材をさらに備え、
前記撮像部により前記基準校正部材を撮像した撮像結果に基づいて、前記撮像部の撮像範囲、スケール、焦点の合う高さ位置の校正が行われる、請求項1~11のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置に関し、特に、傾斜した光軸を有する撮像部を備える部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、傾斜した光軸を有する撮像部を備える部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基板に対して部品を実装する実装ヘッドと、実装ヘッドの下方を撮像するように傾斜した光軸を有する撮像部とを備える部品実装装置が開示されている。この特許文献1の部品実装装置では、撮像部は、被写体とレンズと結像面とがシャインプルーフの条件を満たすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-180622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の部品実装装置では、撮像部は、被写体とレンズと結像面とがシャインプルーフの条件を満たすように構成されているため、傾斜した光軸の撮像部により撮像した場合でも水平方向に沿って焦点が合うように構成されている。しかしながら、撮像部が傾斜した方向から撮像を行うため、被写体の上下方向の位置がずれる場合には、上下方向(鉛直方向)から撮像を行う場合に比べて、撮像部の画角に被写体が入らなくなったり、焦点が合いにくくなる。このため、撮像部により傾斜した方向から撮像する場合に、被写体全体を鮮明に撮像することができない場合がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、撮像部により傾斜した方向から撮像する場合にも、被写体全体を鮮明に撮像することが可能な部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品実装装置は、基板に対して部品を実装する実装ヘッドと、実装ヘッドの下方を撮像するように光軸が傾斜するように配置され、光学部材と、光学部材を介して被写体の像が結像する像面を有する撮像素子と、を含み、光学部材または撮像素子の像面が光軸に対して傾斜して配置されており、光学部材、像面および被写体面がシャインプルーフの条件を満たすように配置された撮像部と、を備え、撮像部は、撮像高さ位置を上下方向に移動させる上下移動部を含み、互いに異なる複数の上下方向の撮像高さ位置から被写体を撮像可能に構成され、上下移動部の移動の制御を行う制御部と、実装ヘッドに対して部品を供給する部品供給部と、をさらに備え、制御部は、撮像部により部品供給部の撮像を行う場合に、部品供給部の部品の供給位置の高さに基づいて設定された上下方向の部品供給撮像高さ位置に撮像部を移動させるように構成されている
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、光学部材と、被写体の像が結像する像面と、被写体面とがシャインプルーフの条件を満たすように配置された撮像部により、傾斜した方向から撮像する場合でも、水平方向に延びる基板などの被写体全体に焦点を合わせることができる。また、撮像部は、互いに異なる複数の上下方向の撮像高さ位置から被写体を撮像可能に構成されている。これにより、被写体の上下方向の位置が一定ではない場合でも、被写体の上下方向の位置に合わせて撮像部の撮像高さ位置を調整することができるので、傾斜した方向から撮像する場合でも被写体が撮像部の画角からはみ出るのを抑制することができる。また、上下方向の焦点位置を合わせることができるので、被写体を鮮明に撮像することができる。これらの結果、撮像部により傾斜した方向から撮像する場合にも、被写体全体を鮮明に撮像することができる。その結果、部品実装装置において、部品や部品の実装位置などの被写体を撮像部により撮像して状態を判断する際に、被写体の状態を精度よく判断することができる。また、被写体が画角からはみ出るのを抑制するために画角を大きくする必要がないので、同じ大きさの撮像範囲に対して画質が低下するのを抑制することができる。また、焦点の上下方向の範囲(被写界深度)を大きくするために、絞り値を大きくする(絞る)必要がないので、撮像画像が暗くなるのを抑制することができる。
【0009】
この発明の第2の局面による部品実装装置は、基板に対して部品を実装する実装ヘッドと、実装ヘッドの下方を撮像するように光軸が傾斜するように配置され、光学部材と、光学部材を介して被写体の像が結像する像面を有する撮像素子と、を含み、光学部材または撮像素子の像面が光軸に対して傾斜して配置されており、光学部材、像面および被写体面がシャインプルーフの条件を満たすように配置された撮像部と、を備え、撮像部は、撮像高さ位置を上下方向に移動させる上下移動部を含み、互いに異なる複数の上下方向の撮像高さ位置から被写体を撮像可能に構成され、上下移動部の移動の制御を行う制御部をさらに備え、制御部は、撮像部により基板に対する部品の実装位置の撮像を行う場合に、実装位置の高さおよび部品の大きさに基づいて設定された上下方向の部品実装撮像高さ位置に撮像部を移動させるように構成されている。
【0010】
上記第1または第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、撮像部の撮像範囲内に被写体が含まれ、かつ、被写体面に撮像部の焦点が合うように、撮像部の上下方向の撮像高さ位置を調整するように、撮像部を移動させる。このように構成すれば、撮像部により傾斜した方向から撮像する場合にも、より確実に被写体全体を鮮明に撮像することができる。
【0011】
上記部品実装撮像高さ位置に撮像部を移動させるように構成の部品実装装置において、好ましくは、実装ヘッドに対して部品を供給する部品供給部をさらに備え、制御部は、撮像部により部品供給部の撮像を行う場合に、部品供給部の部品の供給位置の高さに基づいて設定された上下方向の部品供給撮像高さ位置に撮像部を移動させるように構成されている。このように構成すれば、部品供給部の高さ位置や部品の厚みなどの変化に応じて、撮像高さ位置を部品供給部の部品の供給位置の高さに基づいて設定された部品供給撮像高さ位置に移動させて撮像を行うことができるので、部品供給部の状態を撮像部により精度よく撮像することができる。
【0012】
上記部品供給部を備える構成の部品実装装置において、好ましくは、制御部は、吸着する部品が決定されるタイミングより後で、かつ、実装ヘッドが部品を吸着する水平方向の位置に移動完了する前のタイミングにおいて、撮像部を上下方向の部品供給撮像高さ位置に移動させるように構成されている。このように構成すれば、撮像部の高さ位置の調整を部品の吸着前に完了することができるので、撮像部の上下方向の移動が完了するまでに待ち時間が生じるのを抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、撮像部により基板に対する部品の実装位置の撮像を行う場合に、実装位置の高さおよび部品の大きさに基づいて設定された上下方向の部品実装撮像高さ位置に撮像部を移動させるように構成されている。このように構成すれば、部品の実装位置の高さおよび部品の大きさなどの変化に応じて、撮像高さ位置を実装位置の高さおよび部品の大きさに基づいて設定された部品実装撮像高さ位置に移動させて撮像を行うことができるので、部品の実装位置の状態を撮像部により精度よく撮像することができる。
【0014】
上記部品実装撮像高さ位置に撮像部を移動させる構成の部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装位置に実装ヘッドが移動する移動指令が出たタイミングより後で、かつ、実装ヘッドが部品を実装する水平方向の位置に移動完了する前のタイミングにおいて、撮像部を上下方向の部品実装撮像高さ位置に移動させるように構成されている。このように構成すれば、撮像部の高さ位置の調整を部品の実装前に完了することができるので、撮像部の上下方向の移動が完了するまでに待ち時間が生じるのを抑制することができる。
【0015】
上記第1または第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装ヘッドにより移送される部品の撮像を行う場合に、実装ヘッドの移送高さに基づいて設定された上下方向の移送撮像高さ位置に撮像部を移動させるように構成されている。このように構成すれば、撮像部を設定された移送撮像高さ位置に移動させることができるので、部品の吸着位置および実装位置に対して上方に位置する移送位置の撮像を、吸着位置および実装位置の撮像を行う共通の撮像部を用いて撮像することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、制御部は、実装ヘッドにより部品を吸着したタイミングより後で、かつ、実装ヘッドが移送高さ位置に上昇完了する前のタイミングにおいて、撮像部を上下方向の移送撮像高さ位置に移動させるように構成されている。このように構成すれば、撮像部の高さ位置の調整を実装ヘッドの移送前に完了することができるので、撮像部の上下方向の移動が完了するまでに待ち時間が生じるのを抑制することができる。
【0017】
上記第1または第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装ヘッドの移動に同期させることなく先行させて、撮像部を撮像高さ位置に移動させるように構成されている。このように構成すれば、撮像部の上下方向の移動を先行させて行うので、撮像部の上下方向の移動を完了するまでに待ち時間が生じるのを効果的に抑制することができる。また、実装ヘッドの移動とは独立して撮像部が上下方向に移動するので、実装ヘッドの動作とは関連していない被写体の撮像を実装ヘッドの移動と並行して撮像部により行うことができる。
【0018】
上記第1または第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、撮像部の撮像高さ位置と、被写体の高さとに基づいて、被写体の水平方向の位置および姿勢が計測される。このように構成すれば、被写体全体が鮮明に撮像された画像に基づいて、被写体の水平方向の位置および姿勢をより精度よく計測することができる。
【0019】
上記第1または第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、所定の高さ位置に配置され、撮像部により撮像される基準校正部材をさらに備え、撮像部により基準校正部材を撮像した撮像結果に基づいて、撮像部の撮像範囲、スケール、焦点の合う高さ位置の校正が行われる。このように構成すれば、経年変化や熱膨張などにより撮像部の上下方向の高さ位置が変化する場合でも、基準校正部材の撮像により、撮像部の高さ位置を、撮像部の撮像範囲、スケール、焦点の合う適切な位置に校正することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、撮像部により傾斜した方向から撮像する場合にも、被写体全体を鮮明に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による部品実装装置の概略を示した平面図である。
図2】本発明の実施形態による部品実装装置の概略を示した側面図である。
図3】本発明の実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示したブロック図である。
図4】本発明の実施形態による部品実装装置の状態監視カメラを示した側面図である。
図5】本発明の実施形態による部品実装装置の部品の供給位置の撮像を行う際の高さ調整を説明するための図である。
図6】本発明の実施形態による部品実装装置の部品の実装位置の撮像を行う際の高さ調整を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態による部品実装装置の移送される部品の撮像を行う際の高さ調整を説明するための図である。
図8】本発明の実施形態による部品実装装置のCPUによる部品実装処理を説明するための第1のフローチャートである。
図9】本発明の実施形態による部品実装装置のCPUによる部品実装処理を説明するための第2のフローチャートである。
図10】本発明の実施形態の第1変形例による部品実装装置の概略を示した側面図である。
図11】本発明の実施形態の第2変形例による部品実装装置の概略を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(部品実装装置の構成)
図1図9を参照して、本発明の実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板PをX方向に搬送し、実装作業位置Mにおいて基板Pに部品31を実装する部品実装装置である。
【0025】
部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、支持部5と、一対のレール部6と、部品認識カメラ7とを備えている。また、図3に示すように、部品実装装置100は、制御的な構成として、CPU(中央演算処理装置)81と、記憶装置82と、メモリ83と、表示部84と、入力装置85と、モータコントローラ86と、カメラI/F87と、照明コントローラ88と、レーザ変位計コントローラ89と、モータアンプ90と、モータ91とを備えている。なお、CPU81は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0026】
図1に示すように、一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板PをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2には、搬送中の基板Pを実装作業位置Mで停止させた状態で保持する保持機構が設けられている。また、一対のコンベア2は、基板Pの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。また、基台1上には、各種カメラ(状態監視カメラ43および基板認識カメラ45)の校正を行うための基準校正部材11が設けられている。
【0027】
部品供給部3は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ3aが配置されている。また、部品供給部3には、トレイ30bにより部品31を供給するトレイ装置3bが配置されている。部品供給部3は、後述する実装ヘッド42に対して部品31を供給するように構成されている。
【0028】
テープフィーダ3aは、複数の部品31を所定の間隔を隔てて保持したテープ30a(図5参照)が巻き付けられたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ3aは、部品31を保持するテープ30aを送出することによりリールを回転させて、テープフィーダ3aの先端から部品31を供給するように構成されている。ここで、部品31は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品を含む。テープ30aには、実装ヘッド42に供給される部品31が収容される収容部(キャリアポケット)が複数設けられている。
【0029】
トレイ装置3bは、複数の部品31が載置されたトレイ30bを部品供給位置に供給するように構成されている。トレイ装置3bは、トレイ30bを交換することにより、新たな部品31を部品供給位置に供給するように構成されている。
【0030】
図1に示すように、ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3の上方位置に配置されており、ノズル41(図2参照)が下端に取り付けられた実装ヘッド42と、状態監視カメラ43と、レーザ変位計44と、基板認識カメラ45と、を含んでいる。状態監視カメラ43、レーザ変位計44および基板認識カメラ45は、実装ヘッド42とともに水平方向(XY方向)に移動されるように構成されている。なお、状態監視カメラ43は、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0031】
実装ヘッド42は、基板Pに対して部品31を実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド42は、部品供給部3により供給される部品31を吸着して、実装作業位置Mに配置された基板Pに対して吸着した部品31を実装(装着)するように構成されている。また、実装ヘッド42は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成され、負圧発生機(図示せず)によりノズル41の先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ3aまたはトレイ装置3bから供給される部品31を吸着して保持し、基板Pにおける実装位置に部品31を装着するように構成されている。
【0032】
状態監視カメラ43は、部品供給位置の状態、基板P上の状態、実装ヘッド42による部品移送中の部品31の状態などを監視するための撮像を行うように構成されている。また、状態監視カメラ43の近傍には、照明431(図3参照)が設けられている。照明431は、状態監視カメラ43の撮像時に可視光を被写体Oに照射するように構成されている。これにより、状態監視カメラ43により被写体Oを鮮明に撮像することが可能である。なお、照明431は、状態監視カメラ43の光軸に沿って光を照射してもよいし、実装ヘッド42の移動する上下方向(鉛直方向)に沿って光を照射してもよい。
【0033】
また、状態監視カメラ43は、図4に示すように、被写体Oの像が結像する像面432aが配置される撮像素子432と、撮像素子432に光を結像させる光学部材433と、を含んでいる。撮像素子432は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどのイメージセンサを含んでいる。光学部材433は、レンズを含んでいる。ここで、本実施形態では、図2に示すように、状態監視カメラ43は、実装ヘッド42の下方を撮像するように光軸が傾斜するように配置されている。また、光学部材433は、状態監視カメラ43の光軸に対して傾斜して(直交しないように)配置されている。また、図4に示すように、状態監視カメラ43は、光学部材433と、被写体Oの像が結像する像面432aと、被写体面とがシャインプルーフの条件を満たすように配置されている。つまり、状態監視カメラ43は、被写体面、光学部材433のレンズ主面および像面432aを各々延長した面が1つの箇所Aにおいて交わっており、像面全体において焦点が合うように構成されている。また、状態監視カメラ43は、シャインプルーフの原理によりアオリ撮像可能に構成されている。
【0034】
また、本実施形態では、図2に示すように、状態監視カメラ43は、互いに異なる複数の上下方向の撮像高さ位置から被写体Oを撮像可能に構成されている。具体的には、状態監視カメラ43は、撮像高さ位置を上下方向に移動させる上下移動部43aを含んでいる。上下移動部43aは、モータとボールネジ機構とを有し、状態監視カメラ43を上下方向(Z方向)に移動させて、状態監視カメラ43の光軸を上下方向に移動させる。この上下移動の際に、状態監視カメラ43の光軸の傾斜角度は略一定である。
【0035】
レーザ変位計44は、各部の高さを計測するように構成されている。具体的には、レーザ変位計44は、基板Pの表面の高さを計測するように構成されている。また、レーザ変位計44は、部品供給位置における部品31やテープ30aの高さを計測するように構成されている。また、レーザ変位計44は、基板Pに実装された部品31の高さや基板Pの上面高さを計測するように構成されている。
【0036】
基板認識カメラ45は、基板Pの位置および姿勢を認識するために、基板PのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Pにおける部品31の実装位置を正確に取得することが可能である。また、基板認識カメラ45は、基板Pの各部を撮像可能に構成されている。具体的には、基板認識カメラ45は、基板Pの部品31の実装位置を撮像するように構成されている。また、基板認識カメラ45の近傍には、照明451(図3参照)が設けられている。照明451は、基板認識カメラ45の撮像時に可視光を撮像対象に照射するように構成されている。これにより、基板認識カメラ45により撮像対象を鮮明に撮像することが可能である。
【0037】
支持部5は、モータ51を含んでいる。支持部5は、モータ51を駆動させることにより、支持部5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。支持部5は、両端部が一対のレール部6により支持されている。
【0038】
一対のレール部6は、基台1上に固定されている。X1側のレール部6は、モータ61を含んでいる。レール部6は、モータ61を駆動させることにより、支持部5を一対のレール部6に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が支持部5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部5がレール部6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4は水平方向(XY方向)に移動可能である。
【0039】
部品認識カメラ7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識カメラ7は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識カメラ7は、部品31の実装に先立って部品31の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42のノズル41に吸着された部品31の吸着状態をCPU81により取得することが可能である。また、部品認識カメラ7の近傍には、照明71(図3参照)が設けられている。照明71は、部品認識カメラ7の撮像時に可視光をノズル41に吸着された部品31に照射するように構成されている。これにより、部品認識カメラ7によりノズル41に吸着された部品31を鮮明に撮像することが可能である。
【0040】
CPU81は、実装ヘッド42による部品実装動作を制御するように構成されている。具体的には、CPU81は、一対のコンベア2による基板Pの搬送動作、ヘッドユニット4による実装動作、状態監視カメラ43、基板認識カメラ45、部品認識カメラ7による撮像動作、レーザ変位計44による高さ計測動作および3次元形状計測動作などの部品実装装置100の全体の動作を制御するように構成されている。
【0041】
記憶装置82は、基板Pの情報、部品31の情報、実装動作を行うプログラムなどが格納されている。記憶装置82は、たとえば、HDD(ハードディスクドライブ)や、SSD(ソリッドステートドライブ)などを含んでいる。
【0042】
メモリ83は、CPU81の動作の際に情報が記憶されるように構成されている。表示部84は、部品実装装置100の状態や、生産している基板Pの情報などが表示されるように構成されている。入力装置85は、ユーザの部品実装装置100に対する操作が入力されるように構成されている。入力装置85は、たとえば、マウス、キーボード、スイッチ、タッチパネルなどが含まれる。
【0043】
モータコントローラ86は、CPU81の制御によりモータアンプ90を介して各種モータ91(モータ51、モータ61、実装ヘッド42の昇降モータ(Z軸モータ)、実装ヘッド42の回転モータ(R軸モータ)など)を駆動させるように構成されている。カメラI/F(インターフェース)87は、部品認識カメラ7、状態監視カメラ43および基板認識カメラ45が接続されている。また、カメラI/F87は、CPU81に接続されている。これにより、CPU81と、部品認識カメラ7、状態監視カメラ43および基板認識カメラ45とをそれぞれ接続するように構成されている。
【0044】
照明コントローラ88は、CPU81の制御により照明71、431および451を駆動させるように構成されている。レーザ変位計コントローラ89は、CPU81に対して、入力および出力される信号を制御するように構成されている。レーザ変位計コントローラ89は、レーザ変位計44が接続されている。これにより、CPU81と、レーザ変位計44とを接続するように構成されている。
【0045】
レーザ変位計44は、X方向に沿ってレーザをスキャンすることにより、3次元形状を計測するように構成されている。また、レーザ変位計44は、線状にレーザを照射し、反射光に基づいて、線状のレーザ光が反射された各々の高さを計測する。
【0046】
ここで、本実施形態では、CPU81は、上下移動部43aの移動の制御を行うように構成されている。また、CPU81は、状態監視カメラ43の撮像範囲内に被写体Oが含まれ、かつ、被写体面に状態監視カメラ43の焦点が合うように、状態監視カメラ43の上下方向の撮像高さ位置を調整するように、状態監視カメラ43を移動させるように構成されている。
【0047】
また、CPU81は、状態監視カメラ43の撮像高さ位置と、被写体Oの高さとに基づいて、被写体Oの水平方向の位置および姿勢を計測する。
【0048】
また、CPU81は、図5に示すように、状態監視カメラ43により部品供給部3の撮像を行う場合に、部品供給部3の部品31の供給位置の高さに基づいて設定された上下方向の第1撮像高さ位置H11、H12に状態監視カメラ43を移動させるように構成されている。なお、第1撮像高さ位置H11、H12は、特許請求の範囲の「部品供給撮像高さ位置」の一例である。
【0049】
具体的には、CPU81は、部品吸着時の撮像高さを、記憶装置82に予め記憶されている部品吸着高さ位置に基づいて設定する。CPU81は、状態監視カメラ43の焦点が部品31に合うように、状態監視カメラ43の高さを調整する。CPU81は、たとえば、部品31の上面高さ(部品吸着高さ)、部品31の下面高さ、または、部品31の中間高さなどの高さを、状態監視カメラ43の焦点高さの中心とするように、状態監視カメラ43の高さを調整する。なお、これらの部品31の高さは、部品吸着高さおよび部品31の厚みから算出される。
【0050】
図5(A)に示すように、テープ30aから供給される部品31を撮像する場合、部品吸着高さは、予め測定されて記憶されたテープフィーダ3a共通の部品吸着高さが用いられる。部品吸着高さは、ヘッドユニット4のレーザ変位計44により、部品供給バンクの基準高さが測定されて算出される。そして、CPU81は、状態監視カメラ43によりテープ30aの部品供給位置の撮像を行う場合に、第1撮像高さ位置H11に状態監視カメラ43を移動させる。
【0051】
図5(B)に示すように、トレイ30bから供給される部品31を撮像する場合、部品吸着高さは、予め測定されて記憶された部品種類ごとに異なる部品吸着高さが用いられる。部品吸着高さは、トレイ装置3bのパレット高さとトレイ厚みと部品厚みとから計算された部品吸着高さが用いられる。または、ヘッドユニット4のレーザ変位計44により、部品31の上面高さが計測されて算出される。そして、CPU81は、状態監視カメラ43によりトレイ30bの部品供給位置の撮像を行う場合に、第1撮像高さ位置H12に状態監視カメラ43を移動させる。
【0052】
また、CPU81は、吸着する部品31が決定されるタイミングより後で、かつ、実装ヘッド42が部品31を吸着する水平方向の位置に移動完了する前のタイミングにおいて、状態監視カメラ43を上下方向の第1撮像高さ位置H11、H12に移動させるように構成されている。
【0053】
部品供給部3の部品供給位置(部品吸着位置)の撮像では、部品供給位置の部品31の撮像(部品供給位置の計測、部品供給姿勢の判定、部品種類の判定)と、ノズル41を下降して部品31を吸着するときの部品姿勢の撮像(部品吸着時姿勢の判定)と、部品吸着後にノズル41を上昇し始めた時の部品31の撮像(部品吸着後姿勢の判定)と、部品吸着後の空いた部品供給位置の撮像(部品供給後の状態の判定)とのうち、少なくとも1つの撮像が行われる。
【0054】
また、部品吸着時の撮像タイミングは、部品供給完了の後で部品吸着完了の前までのいずれかのタイミングである。また、このうちの複数のタイミングに撮像してもよい。たとえば、部品供給位置の部品31の撮像は、部品供給が完了し、実装ヘッド42(ノズル41)が下降するまでの間のタイミングで行われる。また、ノズル41を下降して部品31を吸着するときの部品姿勢の撮像は、実装ヘッド42(ノズル41)が吸着高さに下降した時のタイミングで行われる。また、部品吸着後の空いた部品供給位置の撮像は、実装ヘッド42(ノズル41)が上昇し部品供給位置が見える状態になったタイミングで行われる。
【0055】
また、CPU81は、図6に示すように、状態監視カメラ43により基板Pに対する部品31の実装位置の撮像を行う場合に、実装位置の高さおよび部品31の大きさに基づいて設定された上下方向の第2撮像高さ位置H21、H22に状態監視カメラ43を移動させるように構成されている。なお、第2撮像高さ位置H21、H22は、特許請求の範囲の「実装位置撮像高さ位置」の一例である。
【0056】
具体的には、CPU81は、部品実装時(部品装着時)の撮像高さを、記憶装置82に予め記憶されている部品実装高さ位置に基づいて設定する。CPU81は、状態監視カメラ43の焦点が実装された部品31に合うように、状態監視カメラ43の高さを調整する。CPU81は、たとえば、部品31の上面高さ、部品31の下面高さ(部品実装高さ)、または、部品31の中間高さなどの高さを、状態監視カメラ43の焦点高さの中心とするように、状態監視カメラ43の高さを調整する。なお、これらの部品31の高さは、部品実装高さおよび部品31の厚みから算出される。
【0057】
また、部品実装高さは、予め記憶されているコンベア2の高さや基板Pの厚みから計算される。また、図6(B)に示すように、基板Pに反りが発生する場合には、部品実装前に、ヘッドユニット4のレーザ変位計44により基板Pの反りが計測されて、実装高さ位置が算出される。
【0058】
図6(A)に示すように、基板Pの反りの影響がない場合、CPU81は、状態監視カメラ43により基板Pに対する部品31の実装位置の撮像を行う場合に、第2撮像高さ位置H21に状態監視カメラ43を移動させる。また、図6(B)に示すように、基板Pの反りの影響がある場合、CPU81は、状態監視カメラ43により基板Pに対する部品31の実装位置の撮像を行う場合に、第2撮像高さ位置H22に状態監視カメラ43を移動させる。
【0059】
また、CPU81は、実装位置に実装ヘッド42が移動する移動指令が出たタイミングより後で、かつ、実装ヘッド42が部品31を実装する水平方向の位置に移動完了する前のタイミングにおいて、状態監視カメラ43を上下方向の第2撮像高さ位置H21、H22に移動させるように構成されている。
【0060】
基板Pの部品実装位置(部品装着位置)の撮像では、部品実装前の基板Pの撮像(部品実装前の異物の有無、半田状態の判定)と、部品実装時の部品31の撮像(部品実装時の姿勢判定)と、実装後の部品31の撮像(部品実装後の姿勢判定)と、部品実装後のノズル41の先端の撮像(部品31切り離し時の部品状態判定、部品持ち帰り有無判定)と、部品実装後の基板Pと部品31との撮像(実装部品状態の判定)とのうち、少なくとも1つの撮像が行われる。
【0061】
また、部品実装時の撮像タイミングは、部品実装直前の後で部品実装時を経て部品実装直後の前までのいずれかのタイミングである。また、このうちの複数のタイミングに撮像してもよい。たとえば、部品実装前の基板Pの撮像は、実装ヘッド42が部品実装位置(XY位置)に到達した時から実装ヘッド(ノズル41)が下降するまでの間のタイミングで行われる。また、部品実装時の部品31の撮像は、実装ヘッド42(ノズル41)が実装高さ(Z位置)に下降した時のタイミングで行われる。また、実装後の部品31の撮像は、実装ヘッド42(ノズル41)が上昇し始めた時のタイミングで行われる。また、部品実装後の基板Pと部品31との撮像は、実装ヘッド42(ノズル41)が上昇し部品実装位置が見える状態になったタイミングで行われる。
【0062】
また、CPU81は、図7に示すように、実装ヘッド42により移送される部品31の撮像を行う場合に、実装ヘッド42の移送高さに基づいて設定された上下方向の第3撮像高さ位置H31、H32に状態監視カメラ43を移動させるように構成されている。なお、第3撮像高さ位置H31、H32は、特許請求の範囲の「移送撮像高さ位置」の一例である。
【0063】
具体的には、CPU81は、移送される部品31の撮像高さを、実装ヘッド42のXY移動中の高さに基づいて設定する。CPU81は、状態監視カメラ43の焦点が移送される部品31に合うように、状態監視カメラ43の高さを調整する。CPU81は、たとえば、部品31の上面高さ、部品31の下面高さ、または、部品31の中間高さなどの高さを、状態監視カメラ43の焦点高さの中心とするように、状態監視カメラ43の高さを調整する。なお、これらの部品31の高さは、実装ヘッド42のXY移動中の高さおよび部品31の厚みから算出される。
【0064】
また、実装ヘッド42のXY移動中の高さは、実装ヘッド42が部品吸着位置から部品実装位置にXY軸移動(水平移動)して部品移送する際に、部品認識カメラ7の上方や基板Pの上方、または、他の領域において、実装ヘッド42および実装ヘッド42の先端に吸着された部品31が他の構成(搬送装置、各種カメラ、基板P、実装済み部品31など)に干渉しない高さである。また、実装ヘッド42のXY移動中の高さは、干渉高さおよび部品厚みから計算される。
【0065】
図7(A)に示すように、干渉高さが低い場合、CPU81は、状態監視カメラ43により実装ヘッド42により移送される部品31の撮像を行う場合に、第3撮像高さ位置H31に状態監視カメラ43を移動させる。また、図7(B)に示すように、干渉高さが高い場合、CPU81は、状態監視カメラ43により実装ヘッド42により移送される部品31の撮像を行う場合に、第3撮像高さ位置H32に状態監視カメラ43を移動させる。
【0066】
また、CPU81は、実装ヘッド42により部品31を吸着したタイミングより後で、かつ、実装ヘッド42が移送高さ位置に上昇完了する前のタイミングにおいて、状態監視カメラ43を上下方向の第3撮像高さ位置H31、H32に移動させるように構成されている。
【0067】
移送される部品31の撮像では、部品31が吸着されてから部品認識カメラ7により撮像されるまでの間の移送中の部品31の撮像(移送中の部品31の有無の判定、移送中の部品31の吸着姿勢の判定)と、部品31が部品認識カメラ7により撮像されてから部品実装までの間の移送中の部品31の撮像(移送中の部品31の有無の判定、移送中の部品31の吸着姿勢の判定)とのうち、少なくとも1つの撮像が行われる。
【0068】
また、移送される部品31の撮像タイミングは、部品吸着の後で部品実装の前までのいずれかのタイミングである。また、このうちの複数のタイミングに撮像してもよい。たとえば、部品31が吸着されてから部品認識カメラ7により撮像されるまでの間の移送中の部品31の撮像は、実装ヘッド42(ノズル41)に保持された部品31が認識可能な高さになった時から部品認識カメラ7により撮像するまでの間のタイミングで行われる。また、部品31が部品認識カメラ7により撮像されてから部品実装までの間の移送中の部品31の撮像は、実装ヘッド42(ノズル41)に保持された部品31がXY移動高さになった時から部品実装位置(XY位置)に到達するまでの間のタイミングで行われる。
【0069】
また、CPU81は、実装ヘッド42の移動に同期させることなく先行させて、状態監視カメラ43を撮像高さ位置に移動させるように構成されている。
【0070】
部品吸着時の撮像の状態監視カメラ43の上下方向の移動は、次に吸着する部品31が決定するタイミング(たとえば、前の部品実装が完了したタイミング、フィデューシャルマークFを認識しているタイミング)以降に移動開始し、実装ヘッド42が部品吸着位置にXY軸移動完了する前までに移動完了することが好ましい。
【0071】
部品実装時の撮像の状態監視カメラ43の上下方向の移動は、部品31の移送中の撮像が終わった直後から移動開始し、実装ヘッド42が部品実装位置にXY軸移動完了する前までに移動完了することが好ましい。
【0072】
移送される部品31の撮像時の状態監視カメラ43の上下方向の移動は、部品吸着時の撮像が終わった直後から移動開始し、部品移送中の撮像に間に合うタイミングまでに移動完了することが好ましい。
【0073】
また、CPU81は、状態監視カメラ43により基準校正部材11を撮像した撮像結果に基づいて、状態監視カメラ43の撮像範囲、スケール、焦点の合う高さ位置の校正を行うように構成されている。基準校正部材11は、所定の高さ位置に配置され、状態監視カメラ43により撮像される。基準校正部材11は、上面に基準位置を示す所定の形状を表示している。CPU81は、状態監視カメラ43により、基準校正部材11の上面の形状を撮像して、撮像結果に基づいて、状態監視カメラ43の撮像範囲、スケール、焦点が合うように、状態監視カメラ43の高さ位置の基準位置を調整する。そして、CPU81は、調整された基準位置を更新して記憶する。
【0074】
(部品実装処理)
次に、図8および図9を参照して、部品実装装置100のCPU81による部品31の基板Pへの実装処理について説明する。
【0075】
図8のステップS1において、実装プログラムに基づいて次に吸着される部品31が決定される。ステップS2において、実装ヘッド42が部品供給位置にXY移動(水平方向に移動)される。また、状態監視カメラ43が第1撮像高さにZ移動(上下方向に移動)される。
【0076】
ステップS3において、状態監視カメラ43により部品供給位置の撮像が行われる。ステップS4において、部品供給位置の判定がOKか否かが判断される。たとえば、部品供給位置の計測や部品供給姿勢の判定や部品種類が正常であるか否かが判断される。また、部品吸着時の部品31の姿勢が正常であるか否かが判断される。また、部品吸着後の部品31の姿勢が正常であるか否かが判断される。また、部品供給後の部品供給位置の状態が正常であるか否かが判断される。部品吸着位置の判定がOKであれば、ステップS5に進み、OKでなければ(NGであれば)ステップS11に進む。
【0077】
ステップS5において、実装ヘッド42が部品認識位置(部品認識カメラ7の上方)にXY移動される。また、状態監視カメラ43が第3撮像高さにZ移動(上下方向に移動)される。ステップS6において、状態監視カメラ43により、実装ヘッド42により部品供給位置から部品認識位置に移送される部品31の撮像が行われる。
【0078】
ステップS7において、部品移送中の判定がOKか否かが判断される。たとえば、移送中の部品31の有無が判断される。また、移送中の部品31の吸着姿勢が正常であるか否かが判断される。部品移送中の判定がOKであれば、ステップS8に進み、OKでなければ(NGであれば)ステップS11に進む。
【0079】
ステップS8において、実装ヘッド42が部品実装位置にXY移動される。また、状態監視カメラ43が第3撮像高さにZ移動(上下方向に移動)される。ステップS9において、状態監視カメラ43により、実装ヘッド42により部品認識位置から部品実装位置に移送される部品31の撮像が行われる。
【0080】
ステップS10において、部品移送中の判定がOKか否かが判断される。たとえば、移送中の部品31の有無が判断される。また、移送中の部品31の吸着姿勢が正常であるか否かが判断される。部品移送中の判定がOKであれば、図9のステップS12に進み、OKでなければ(NGであれば)ステップS11に進む。ステップS11において、実装ヘッド42を部品廃棄位置にXY移動し、部品31が廃棄される。
【0081】
図9のステップS12において、実装ヘッド42が部品実装位置にXY移動される。また、状態監視カメラ43が第2撮像高さにZ移動(上下方向に移動)される。ステップS13において、状態監視カメラ43により部品実装前の部品実装位置の撮像が行われる。
【0082】
ステップS14において、部品実装位置の部品実装前の判定がOKか否かが判断される。たとえば、部品実装前の部品実装位置の異物の有無が判断される。また、部品実装前の部品実装位置の半田状態が正常であるか否かが判断される。部品実装位置の部品実装前の判定がOKであれば、ステップS15に進み、OKでなければ(NGであれば)ステップS19に進む。
【0083】
ステップS15において、実装ヘッド42が部品実装位置にZ移動(下降)される。そして、実装ヘッド42により部品実装位置に部品31が実装(装着)される。ステップS16において、状態監視カメラ43により部品実装後の部品実装位置の撮像が行われる。
【0084】
ステップS17において、部品実装位置の部品実装後の判定がOKか否かが判断される。たとえば、部品実装時の部品31の姿勢が正常であるか否かが判断される。また、部品実装後の部品31の実装状態が正常であるか否かが判断される。また、部品実装後の部品31の持ち帰りの有無が判断される。部品実装位置の部品実装後の判定がOKであれば、ステップS18に進み、OKでなければ(NGであれば)ステップS19に進む。
【0085】
ステップS18において、正常に部品実装処理が行われたので、次の部品実装プログラムのステップが実行される。
【0086】
ステップS19において、異常を通知して、マシン動作が停止される。または、エラーを記録して、動作が継続される。
【0087】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0088】
本実施形態では、上記のように、光学部材433と、被写体Oの像が結像する像面432aと、被写体面とがシャインプルーフの条件を満たすように配置された状態監視カメラ43により、傾斜した方向から撮像する場合でも、水平方向に延びる基板Pなどの被写体O全体に焦点を合わせることができる。また、状態監視カメラ43は、互いに異なる複数の上下方向の撮像高さ位置から被写体Oを撮像可能に構成されている。これにより、被写体Oの上下方向の位置が一定ではない場合でも、被写体Oの上下方向の位置に合わせて状態監視カメラ43の撮像高さ位置を調整することができるので、傾斜した方向から撮像する場合でも被写体Oが状態監視カメラ43の画角からはみ出るのを抑制することができる。また、上下方向の焦点位置を合わせることができるので、被写体Oを鮮明に撮像することができる。これらの結果、状態監視カメラ43により傾斜した方向から撮像する場合にも、被写体O全体を鮮明に撮像することができる。その結果、部品実装装置100において、部品31や部品31の実装位置などの被写体Oを状態監視カメラ43により撮像して状態を判断する際に、被写体Oの状態を精度よく判断することができる。また、被写体Oが画角からはみ出るのを抑制するために画角を大きくする必要がないので、同じ大きさの撮像範囲に対して画質が低下するのを抑制することができる。また、焦点の上下方向の範囲(被写界深度)を大きくするために、絞り値を大きくする(絞る)必要がないので、撮像画像が暗くなるのを抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、状態監視カメラ43は、撮像高さ位置を上下方向に移動させる上下移動部43aを含む。これにより、撮像高さ位置を上下方向に移動させる上下移動部43aを設けることにより、状態監視カメラ43の高さ位置を上下方向に容易に変化させることができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、上下移動部43aの移動の制御を行うCPU81を設ける。また、CPU81は、状態監視カメラ43の撮像範囲内に被写体Oが含まれ、かつ、被写体面に状態監視カメラ43の焦点が合うように、状態監視カメラ43の上下方向の撮像高さ位置を調整するように、状態監視カメラ43を移動させるように構成されている。これにより、状態監視カメラ43により傾斜した方向から撮像する場合にも、より確実に被写体O全体を鮮明に撮像することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、CPU81は、状態監視カメラ43により部品供給部3の撮像を行う場合に、部品供給部3の部品31の供給位置の高さに基づいて設定された上下方向の第1撮像高さ位置H11、H12に状態監視カメラ43を移動させるように構成されている。これにより、部品供給部3の高さ位置や部品31の厚みなどの変化に応じて、撮像高さ位置を部品供給部3の部品31の供給位置の高さに基づいて設定された第1撮像高さ位置H11、H12に移動させて撮像を行うことができるので、部品供給部3の状態を状態監視カメラ43により精度よく撮像することができる。
【0092】
また、本実施形態では、上記のように、CPU81は、吸着する部品31が決定されるタイミングより後で、かつ、実装ヘッド42が部品31を吸着する水平方向の位置に移動完了する前のタイミングにおいて、状態監視カメラ43を上下方向の第1撮像高さ位置H11、H12に移動させるように構成されている。これにより、状態監視カメラ43の高さ位置の調整を部品31の吸着前に完了することができるので、状態監視カメラ43の上下方向の移動が完了するまでに待ち時間が生じるのを抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態では、上記のように、CPU81は、状態監視カメラ43により基板Pに対する部品31の実装位置の撮像を行う場合に、実装位置の高さおよび部品31の大きさに基づいて設定された上下方向の第2撮像高さ位置H21、H22に状態監視カメラ43を移動させるように構成されている。これにより、部品31の実装位置の高さおよび部品31の大きさなどの変化に応じて、撮像高さ位置を実装位置の高さおよび部品31の大きさに基づいて設定された第2撮像高さ位置H21、H22に移動させて撮像を行うことができるので、部品31の実装位置の状態を状態監視カメラ43により精度よく撮像することができる。
【0094】
また、本実施形態では、上記のように、CPU81は、実装位置に実装ヘッド42が移動する移動指令が出たタイミングより後で、かつ、実装ヘッド42が部品31を実装する水平方向の位置に移動完了する前のタイミングにおいて、状態監視カメラ43を上下方向の第2撮像高さ位置H21、H22に移動させるように構成されている。これにより、状態監視カメラ43の高さ位置の調整を部品31の実装前に完了することができるので、状態監視カメラ43の上下方向の移動が完了するまでに待ち時間が生じるのを抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、上記のように、CPU81は、実装ヘッド42により移送される部品31の撮像を行う場合に、実装ヘッド42の移送高さに基づいて設定された上下方向の第3撮像高さ位置H31、H32に状態監視カメラ43を移動させるように構成されている。これにより、状態監視カメラ43を設定された第3撮像高さ位置H31、H32に移動させることができるので、部品31の吸着位置および実装位置に対して上方に位置する移送位置の撮像を、吸着位置および実装位置の撮像を行う共通の状態監視カメラ43を用いて撮像することができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、CPU81は、実装ヘッド42により部品31を吸着したタイミングより後で、かつ、実装ヘッド42が移送高さ位置に上昇完了する前のタイミングにおいて、状態監視カメラ43を上下方向の第3撮像高さ位置H31、H32に移動させるように構成されている。これにより、状態監視カメラ43の高さ位置の調整を実装ヘッド42の移送前に完了することができるので、状態監視カメラ43の上下方向の移動が完了するまでに待ち時間が生じるのを抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、CPU81は、実装ヘッド42の移動に同期させることなく先行させて、状態監視カメラ43を撮像高さ位置に移動させるように構成されている。これにより、状態監視カメラ43の上下方向の移動を先行させて行うので、状態監視カメラ43の上下方向の移動を完了するまでに待ち時間が生じるのを効果的に抑制することができる。また、実装ヘッド42の移動とは独立して状態監視カメラ43が上下方向に移動するので、実装ヘッド42の動作とは関連していない被写体Oの撮像を実装ヘッド42の移動と並行して状態監視カメラ43により行うことができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、状態監視カメラ43の撮像高さ位置と、被写体Oの高さとに基づいて、被写体Oの水平方向の位置および姿勢が計測される。これにより、被写体O全体が鮮明に撮像された画像に基づいて、被写体Oの水平方向の位置および姿勢をより精度よく計測することができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、所定の高さ位置に配置され、状態監視カメラ43により撮像される基準校正部材11を設ける。また、状態監視カメラ43により基準校正部材11を撮像した撮像結果に基づいて、状態監視カメラ43の撮像範囲、スケール、焦点の合う高さ位置の校正が行われる。これにより、経年変化や熱膨張などにより状態監視カメラ43の上下方向の高さ位置が変化する場合でも、基準校正部材11の撮像により、状態監視カメラ43の高さ位置を、状態監視カメラ43の撮像範囲、スケール、焦点の合う適切な位置に校正することができる。
【0100】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0101】
たとえば、上記実施形態では、撮像部が撮像高さ位置を上下方向に移動させる上下移動部を含み、上下移動部の移動により撮像部の撮像高さ位置を変更させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図10に示す変形例のように、撮像部が、互いに異なる複数の上下方向の撮像高さ位置に配置された複数の撮像部43bを含んでいてもよい。この場合、制御部は、複数の撮像部の撮像を切り替える制御を行うように構成されている。また、制御部は、撮像部の撮像範囲内に被写体が含まれ、かつ、被写体面に撮像部の焦点が合うように、複数の撮像部の撮像を切り替えるように構成されている。
【0102】
また、上記実施形態では、光学部材が撮像部の光軸に対して傾斜している(直交していない)構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図11に示す変形例のように、撮像部43cは、撮像素子432の像面432aが光軸に対して傾斜していてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、ヘッドユニットに1つの実装ヘッドが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヘッドユニットに複数の実装ヘッドが設けられていてもよい。この場合、複数の実装ヘッドは直線状に配置されたいわゆるインライン式のヘッドユニットにしてもよいし、複数の実装ヘッドが円周状に複数設けられたいわゆるロータリー式のヘッドユニットにしてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、ヘッドユニットが1つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヘッドユニットを複数設けてもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、基板を搬送するコンベアが一対設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板を搬送するコンベアが複数対設けられていてもよい。たとえば、並行して基板を搬送可能であり、並行して基板に部品を実装可能な部品実装装置に本発明を適用してもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部としてのCPU(制御部)の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0107】
3 部品供給部
11 基準校正部材
31 部品
42 実装ヘッド
43 状態監視カメラ(撮像部)
43a 上下移動部
43b、43c 撮像部
81 CPU(制御部)
100 部品実装装置
433 撮像素子
432a 像面
433 光学部材
O 被写体
P 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11