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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240722BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01L23/12 L
H01L23/50 R
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022055057
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2018049015の分割
【原出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2022091907
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】原田 侑介
(72)【発明者】
【氏名】山上 守
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-170809(JP,A)
【文献】特開2017-175131(JP,A)
【文献】特開2003-110080(JP,A)
【文献】特開平11-176856(JP,A)
【文献】特開2008-186891(JP,A)
【文献】特開2016-219520(JP,A)
【文献】特開2005-216989(JP,A)
【文献】特開2005-252018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0001291(US,A1)
【文献】特開2003-188312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く素子第1面および素子第2面を有する半導体素子と、
前記半導体素子に導通する内部電極と、
前記半導体素子および前記内部電極の一部を覆う封止樹脂と、
前記封止樹脂から露出し、かつ、前記内部電極に導通する外部電極と、
を備えており、
前記内部電極は、前記素子第1面に対向する配線部第1面と、前記厚さ方向において前記配線部第1面と反対側を向く配線部第2面とを有する配線部を含んでおり、
前記配線部は、前記厚さ方向に直交する第1方向を向き、かつ、前記封止樹脂から露出した露出面を有しており、
前記露出面は、段差を有しており、
前記半導体素子は、前記素子第1面が前記配線部第1面に対向して、前記配線部にフリップチップ接続されており、
前記配線部第2面は、前記封止樹脂から露出する露出領域を含み、
前記露出領域は、前記露出面に繋がる第1領域と、前記第1領域から離間する第2領域とを含み、
前記第1領域は、前記外部電極に覆われており、
前記第2領域は、前記厚さ方向に見て、前記第1領域よりも前記封止樹脂全体の内側に配置されており、
前記半導体素子と前記配線部とがフリップチップ接続された部位は、前記厚さ方向に見て、前記第1領域および前記第2領域の各々に重なることなく、前記第1領域と前記第2領域の間に位置しており、
前記第1領域と前記第2領域とは、共通の前記配線部に形成され、且つ同電位である、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記厚さ方向に見て、前記第2領域は、前記半導体素子に重なる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記露出面は、露出面第1部と露出面第2部を含んでおり、
前記露出面第1部は、前記厚さ方向に見て、前記露出面第2部よりも外方に配置されており、
前記外部電極は、前記露出面第2部を覆う露出面被覆部を含む、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記外部電極は、前記配線部第2面の一部を覆い、かつ、前記露出面被覆部に繋がる底面被覆部をさらに含む、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体素子は、前記素子第1面が前記配線部第1面に対向して、前記配線部にフリップチップ接続されている、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記配線部第2面は、前記外部電極に覆われた電極被覆領域を含む、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
絶縁性を有する樹脂材料からなる第1絶縁膜をさらに備えており、
前記配線部第2面は、前記第1絶縁膜に覆われた絶縁膜被覆領域を有する、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁膜は、前記半導体素子に対向する絶縁膜第1面および前記厚さ方向において前記絶縁膜第1面と反対側を向く絶縁膜第2面を有しており、かつ、前記絶縁膜第1面から前記絶縁膜第2面まで前記厚さ方向に繋がる開口部を含んでおり、
前記内部電極は、前記開口部に充填された充填部を含む、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記配線部第1面は、前記厚さ方向に見て、前記半導体素子と重なる内側領域と前記半導体素子の外側に位置する外側領域とを含み、
前記配線部は、前記外側領域において、前記厚さ方向の寸法に違いのある段差を有する請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記外部電極は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層を含む、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記配線部は、前記配線部第1面および前記配線部第2面を有する配線層と、前記配線部第1面から前記厚さ方向に突き出た柱状部を含む、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記柱状部は、互いに積層された第1シード層および第1めっき層を含んで構成され、
前記第1シード層は、前記配線部第1面に接する、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記配線部は、互いに積層された第2シード層および第2めっき層を含んで構成され、
前記柱状部は、前記第2めっき層に接している、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1シード層と前記第2シード層とは同じ素材からなり、
前記第1めっき層と前記第2めっき層とは同じ素材からなる、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記配線部第1面は、前記配線部第2面よりも粗い面である、請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記露出面は、前記配線部第1面よりも粗い面である、請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記半導体素子と前記配線部との間に介在し、これらを導通接合する導電性接合材をさらに備える、請求項1ないし請求項16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記封止樹脂と前記内部電極との間に介在する第2絶縁膜をさらに備えており、
前記第2絶縁膜には、前記導電性接合材が充填された貫通孔が形成されている、請求項17に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体素子を搭載した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SONパッケージ(Small Outline Non-leaded package)やQFNパッケージ(Quad Flat Non-leaded package)などのリードレスパッケージ型の半導体装置が存在する。リードレスパッケージ型の半導体装置は、半導体素子を封止した封止樹脂から外部接続用の端子が突出していないため、半導体装置の小型化や薄型化に有利である。たとえば特許文献1には、このようなリードレスパッケージ型の半導体装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の半導体装置は、半導体素子、リードフレーム、複数のワイヤおよび封止樹脂を備えている。リードフレームは、たとえば銅からなる。リードフレームは、ダイパッド部および複数のリード部を有する。ダイパッド部は、半導体素子を支持する。複数のリード部はそれぞれ、ワイヤを介して半導体素子と電気的に接続されている。複数のリード部は、半導体装置を電子機器などの回路基板に実装する際の上記外部接続用の端子である。封止樹脂は、半導体素子を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-18846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の半導体装置において、リードフレームは金属板(銅板)を加工することで形成されている。このようなリードフレーム構造の半導体装置は、薄型化を図る上で改善の余地があった。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みて創作されたものであり、その目的は、薄型化を図った半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の側面によって提供される半導体装置は、厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面を有する半導体素子と、前記半導体素子に導通する内部電極と、前記半導体素子および前記内部電極の一部を覆う封止樹脂と、前記封止樹脂から露出し、かつ、前記内部電極に導通する外部電極と、を備えており、前記内部電極は、前記素子裏面に対向する配線層主面および前記厚さ方向において前記配線層主面と反対側を向く配線層裏面を有する配線層と、前記配線層主面から前記厚さ方向に突き出た柱状部と、を含んでおり、前記柱状部は、前記厚さ方向に直交する第1方向を向き、かつ、前記封止樹脂から露出した露出側面を有しており、前記外部電極は、前記露出側面を覆う第1被覆部を含むことを特徴とする。
【0008】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記柱状部は、前記素子主面が向く方向と同じ方向を向く頂面を有しており、前記頂面は、前記封止樹脂に覆われている。
【0009】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記柱状部は、互いに積層された第1シード層および第1めっき層を含んで構成され、前記第1シード層は、前記配線層主面に接する。
【0010】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記配線層は、互いに積層された第2シード層および第2めっき層を含んで構成され、前記柱状部は、前記第2めっき層に接している。
【0011】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記第1シード層と前記第2シード層とは同じ素材からなり、前記第1めっき層と前記第2めっき層とは同じ素材からなる。
【0012】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記配線層は、前記露出側面と同じ方向を向き、かつ、前記露出側面に繋がる端面を有しており、前記外部電極は、前記端面を覆い、かつ、前記第1被覆部に繋がる第2被覆部をさらに含む。
【0013】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記外部電極は、前記配線層裏面の一部を覆い、かつ、前記第2被覆部に繋がる第3被覆部をさらに含む。
【0014】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、絶縁性を有する樹脂材料からなる第1絶縁膜をさらに備えており、前記配線層裏面は、前記外部電極に覆われた電極被覆領域と、前記第1絶縁膜に覆われた絶縁膜被覆領域とを有する。
【0015】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記第1絶縁膜は、前記素子主面と同じ方向を向く絶縁膜主面および当該絶縁膜主面と反対側を向く絶縁膜裏面を有しており、かつ、前記絶縁膜主面から前記絶縁膜裏面まで前記厚さ方向に繋がる開口部を含んでおり、前記内部電極は、前記開口部に充填された充填部を含む。
【0016】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記厚さ方向に見て前記開口部に重なり、かつ、前記充填部に繋がる金属層をさらに備えている。
【0017】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記配線層主面は、前記配線層裏面よりも粗い面である。
【0018】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記露出側面は、前記配線層主面よりも粗い面である。
【0019】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記外部電極は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。
【0020】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記半導体素子と前記配線層との間に介在し、これらを導通接合する導電性接合材をさらに備える。
【0021】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記封止樹脂と前記内部電極との間に介在する第2絶縁膜をさらに備えており、前記第2絶縁膜には、前記導電性接合材が充填された貫通孔が形成されている。
【0022】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記柱状部は、前記厚さ方向に直交する方向を向き、前記封止樹脂に接する樹脂当接側面を有しており、前記柱状部は、前記厚さ方向に見て前記樹脂当接側面から突き出た突出部を含み、前記突出部は、前記樹脂当接側面に繋がり、かつ、前記封止樹脂に接する係止面を有する。
【0023】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記係止面は、前記露出側面と同じ方向を向く。
【0024】
前記半導体装置の好ましい実施の形態においては、前記係止面は、前記配線層主面に対向している。
【0025】
本開示の第2の側面によって提供される半導体装置の製造方法は、支持基板を準備する工程と、厚さ方向において互いに反対側を向く配線層主面および配線層裏面を有し、かつ、前記配線層裏面が前記支持基板に対向する配線層、および、前記配線層主面から突き出た柱状部を含む内部電極を形成する内部電極形成工程と、前記配線層上に半導体素子を導通接合する工程と、前記半導体素子および前記配線層主面を覆う封止樹脂を形成する工程と、前記支持基板を取り除く工程と、前記柱状部に、前記厚さ方向に直交する第1方向を向き、かつ、前記封止樹脂から露出した露出側面を形成する工程と、前記露出側面を覆う外部電極を形成する外部電極形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0026】
前記半導体装置の製造方法の好ましい実施の形態においては、前記内部電極形成工程は、電解めっきによる。
【0027】
前記半導体装置の製造方法の好ましい実施の形態においては、前記外部電極形成工程は、無電解めっきによる。
【発明の効果】
【0028】
本開示の半導体装置によれば、当該半導体装置を薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態にかかる半導体装置を示す平面図である。
図2】第1実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
図3】第1実施形態にかかる半導体装置を示す側面図である。
図4図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図4に示す断面の一部を拡大した要部拡大断面図である。
図6図4に示す断面の一部を拡大した要部拡大断面図である。
図7図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図8図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図9図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す平面図である。
図10図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図11図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図12図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す平面図である。
図13図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図14図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す平面図である。
図15図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図16図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図17図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す平面図である。
図18図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図19図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す平面図である。
図20図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図21図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す平面図である。
図22図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図23図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す平面図である。
図24図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図25図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図26図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図27図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図28図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す底面図である。
図29図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図30図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す底面図である。
図31図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図32図1の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す底面図である。
図33】第1実施形態の変形例にかかる半導体装置を示す要部拡大断面図である。
図34】第2実施形態にかかる半導体装置を示す断面図である。
図35】第3実施形態にかかる半導体装置を示す断面図である。
図36】第4実施形態にかかる半導体装置を示す断面図である。
図37図36の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図38図36の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図39】第4実施形態の変形例にかかる半導体装置を示す断面図である。
図40】第5実施形態にかかる半導体装置を示す平面図である。
図41図40のF-F線に沿う断面図である。
図42】第6実施形態にかかる半導体装置を示す断面図である。
図43図42の半導体装置の製造方法にかかる工程を示す断面図である。
図44】変形例にかかる半導体装置を示す平面図である。
図45】変形例にかかる半導体装置を示す平面図である。
図46】変形例にかかる半導体装置を示す平面図である。
図47】変形例にかかる半導体装置を示す平面図である。
図48図47のG-G線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の半導体装置および本開示の半導体装置の製造方法の好ましい実施の形態について、図面を参照して、以下に説明する。
【0031】
〔第1実施形態〕
図1図6は、本開示の第1実施形態に基づく半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A1は、半導体素子1、内部電極2、外部電極3、絶縁膜41、導電性接合材5および封止樹脂6を備えている。
【0032】
図1は、半導体装置A1を示す平面図である。図1において、封止樹脂6を省略している。図2は、半導体装置A1を示す底面図である。図3は、半導体装置A1を示す側面図である。図3は、後述するx方向に見たときの半導体装置A1の側面を示している。図4は、図1に示すIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図4の一部を拡大した要部拡大断面図である。図6は、図4の一部を拡大した要部拡大断面図である。説明の便宜上、互いに直交する3つの方向を、x方向、y方向、z方向とそれぞれ定義する。z方向は、半導体装置A1の厚さ方向である。x方向は、半導体装置A1の平面図における左右方向である。y方向は、半導体装置A1の平面図における上下方向である。x方向およびz方向が、特許請求の範囲に記載の「第1方向」および「厚さ方向」にそれぞれ相当する。
【0033】
半導体装置A1は、様々な電子機器などの回路基板に表面実装される樹脂パッケージである。半導体装置A1は、図1および図2に示すように、z方向に見て(以下、「平面視」ともいう)矩形状である。本実施形態における半導体装置A1は、いわゆるSONパッケージ型である。
【0034】
半導体素子1は、半導体装置A1の機能中枢となる素子である。半導体素子1は、たとえばLSI(Large Scale Integration)などの集積回路(IC)である。また、半導体素子1は、LDO(Low Drop Out)などの電圧制御用素子や、オペアンプなどの増幅用素子、ダイオードなどのディスクリート半導体素子であってもよい。半導体素子1は、平面視矩形状である。半導体素子1は、内部電極2に搭載されている。半導体素子1は、平面視において絶縁膜41に重なる。半導体素子1は、フリップチップボンディングにより搭載される。
【0035】
半導体素子1は、素子主面11および素子裏面12を有する。素子主面11および素子裏面12は、z方向において互いに離間して配置され、互いに反対側を向く。本実施形態においては、素子主面11および素子裏面12はともに、平坦である。
【0036】
素子裏面12には、複数の電極パッド13およびパッシベーション膜14が形成されている。複数の電極パッド13はそれぞれ、平面視矩形状である。各電極パッド13は、図6に示すように、導電性接合材5に接合される。各電極パッド13は、第1導電部131および第2導電部132を含む。
【0037】
第1導電部131は、たとえばAl(アルミニウム)から構成される。第2導電部132は、互いに積層されたNi(ニッケル)層、Pd(パラジウム)層およびAu(金)層から構成される。第2導電部132において、Ni層が第1導電部131に当接する。電極パッド13において、第2導電部132を設けたことで、Alからなる第1導電部131が導電性接合材5に浸透することを抑制できる。
【0038】
パッシベーション膜14は、素子裏面12を覆うように形成された半導体素子1の保護膜である。パッシベーション膜14は、たとえばプラズマCVD法により形成されたSi3N4層と、塗布により形成されたポリイミド樹脂層とが互いに積層されたものである。パッシベーション膜14は、複数の部分において(本実施形態においては4箇所において)、開口しており、当該開口した部分からそれぞれ電極パッド13が露出している。
【0039】
内部電極2は、半導体装置A1の内部に配置される導電体である。内部電極2は、半導体素子1に導通する。内部電極2は、配線層21および柱状部22を含んでいる。
【0040】
配線層21は、互いに積層されたシード層210aおよびめっき層210bから構成される。シード層210aは、たとえば主成分がTi(チタン)である第1層および主成分がCu(銅)である第2層からなる。シード層210aの厚さは、200~800nm程度である。めっき層210bは、主成分がCuである。めっき層210bのz方向寸法(以下、「厚み」ということもある)は、20~50μm程度である。なお、シード層210aおよびめっき層210bの素材および厚みは、上記したものに限定されない。シード層210aおよびめっき層210bが、特許請求の範囲に記載の「第2シード層」および「第2めっき層」にそれぞれ相当する。配線層21は、配線層主面211、配線層裏面212および端面213を有する。
【0041】
配線層主面211は、z方向を向き、半導体素子1の素子裏面12に対向する。配線層主面211には、導電性接合材5を介して、半導体素子1が搭載されている。配線層主面211の一部は、封止樹脂6に覆われている。配線層裏面212は、z方向を向き、かつ配線層主面211とは反対側を向く。配線層裏面212は、電極被覆領域212aおよび絶縁膜被覆領域212bを有する。電極被覆領域212aは、配線層裏面212のうち、外部電極3に覆われた領域である。絶縁膜被覆領域212bは、配線層裏面212のうち、絶縁膜41に覆われた領域である。本実施形態においては、電極被覆領域212aは、配線層裏面212のうち、絶縁膜被覆領域212b以外の領域である。また、本実施形態においては、電極被覆領域212aは、絶縁膜被覆領域212bよりもz方向の外方に配置されている。よって、配線層裏面212には段差がある。
【0042】
端面213は、配線層裏面212に交差し、かつ、x方向外方を向く。本実施形態においては、端面213は、配線層主面211にも交差している。端面213は、外部電極3に覆われている。このため、端面213は、半導体装置A1の外部から視認されてない。
【0043】
複数の柱状部22の各々は、配線層21(配線層主面211)からz方向に突き出た部分である。本実施形態においては、内部電極2は、4つの柱状部22を有する。各柱状部22は、x-y平面での断面が矩形の角柱である。なお、各柱状部22の形状は限定されず、たとえば円柱や多角柱などであってもよい。各柱状部22は、配線層21よりもz方向寸法が大きい。各柱状部22は、互いに積層されたシード層220aおよびめっき層220bから構成される。シード層220aは、たとえば主成分がTiである第1層および主成分がCuである第2層からなる。したがって、シード層210aとシード層220aとは同じ素材からなる。シード層220aの厚さは、200~800nm程度である。めっき層220bは、主成分がCuである。したがって、めっき層210bとめっき層220bとは同じ素材からなる。めっき層220bの厚さは、50~100μm程度である。なお、シード層220aおよびめっき層220bの素材および厚みは、上記したものに限定されない。シード層220aおよびめっき層220bが、特許請求の範囲に記載の「第1シード層」および「第1めっき層」にそれぞれ相当する。
【0044】
各柱状部22は、図4に示すように、基端面221、頂面222、露出側面223および樹脂当接側面224を有する。基端面221は、配線層21に接する面である。基端面221は、平坦である。頂面222は、z方向において、基端面221と反対側を向く面である。本実施形態においては、頂面222は平坦である。頂面222は、封止樹脂6に覆われている。本実施形態においては、頂面222は、x方向に見て半導体素子1に重なる。換言すると、頂面222は、z方向において素子主面11と素子裏面12との間に配置されている。各柱状部22において、露出側面223および樹脂当接側面224は、z方向に直交するx方向あるいはy方向のいずれかを向く。本実施形態においては、露出側面223は、x方向外方を向く。露出側面223は、封止樹脂6から露出している。本実施形態において、露出側面223は端面213と面一である。樹脂当接側面224は、封止樹脂6に接している。よって、樹脂当接側面224は封止樹脂6に覆われている。
【0045】
本実施形態において、内部電極2は、図5に示すz方向寸法d1が100μm以上である。あるいは、当該z方向寸法d1が100~150μm程度であってもよい。また、内部電極2において、封止樹脂6に接する面(配線層主面211、頂面222および樹脂当接側面224)は、後述する製造方法における粗化処理により、たとえば2~3μm程度の粗面である。本実施形態においては、当該封止樹脂6に接する各面は、配線層裏面212よりも粗い。また、当該封止樹脂6に接する各面は、露出側面223よりも滑らかである。すなわち、露出側面223は、上記封止樹脂6に接する面よりも粗い。
【0046】
外部電極3は、内部電極2に導通し、半導体装置A1において外部に露出する導電体である。外部電極3は、半導体装置A1を回路基板に実装する際の端子である。外部電極3は、無電解めっきにより形成される。本実施形態においては、外部電極3は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。Ni層は、内部電極2に接し、厚みが5μm程度である。Au層は、外部に露出し、厚みが0.01~0.02μm程度である。また、Pd層は、Ni層とAu層との間に介在し、厚みが0.01~0.02μm程度である。なお、外部電極3の個数、厚み、素材および形成方法は限定されない。
【0047】
複数の外部電極3はそれぞれ、図3および図4に示すように、第1被覆部31、第2被覆部32および第3被覆部33を含んでいる。第1被覆部31は、外部電極3のうち柱状部22の露出側面223を覆う部分である。第2被覆部32は、外部電極3のうち配線層21の端面213を覆う部分である。第3被覆部33は、配線層21の配線層裏面212の一部(電極被覆領域212a)を覆う部分である。本実施形態において、半導体装置A1のx方向を向く2つの側面のそれぞれに2つずつの外部電極3が視認され、かつ、半導体装置A1の底面から4つの外部電極3が視認される。第1被覆部31、第2被覆部32および第3被覆部33は、一体的に形成されている。複数の外部電極3は、絶縁膜41によって互いに絶縁されている。
【0048】
絶縁膜41は、絶縁性を有する材料からなり、たとえばポリイミド樹脂あるいはフェノール樹脂からなる。絶縁膜41は、半導体装置A1の底面側に設けられている。本実施形態においては、絶縁膜41は封止樹脂6よりもz方向下方に配置される。また、本実施形態においては、絶縁膜41は、図1に示すように、平面視において、矩形状である。なお、絶縁膜41の平面視形状は限定されない。絶縁膜41が、特許請求の範囲に記載の「第1絶縁膜」に相当する。絶縁膜41は、z方向において互いに反対側を向く絶縁膜主面411および絶縁膜裏面412を有する。
【0049】
絶縁膜主面411は、半導体素子1の素子主面11と同じ方向を向き、半導体素子1の素子裏面12に対向する。絶縁膜裏面412は、素子裏面12と同じ方向を向く。絶縁膜主面411は、配線層21の配線層裏面212の一部(絶縁膜被覆領域212b)に接する。絶縁膜裏面412は、配線層21の配線層裏面212の一部(電極被覆領域212a)と面一である。
【0050】
導電性接合材5は、図4および図6に示すように、内部電極2の配線層21と半導体素子1の電極パッド13との間に介在する導電部材である。本実施形態においては、導電性接合材5は、配線層21に接するNi層および当該Ni層に接するはんだ層からなる。はんだ層は、Sn(スズ)を含む合金からなる。このような合金を例示すると、Sn-Sb系合金、または、Sn-Ag系合金などの鉛フリーはんだ、あるいは、Pb(鉛)含有のはんだなどがある。半導体素子1は、導電性接合材5により配線層21(内部電極2)に固着されている。
【0051】
封止樹脂6は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を主剤とした合成樹脂である。封止樹脂6は、図4に示すように、半導体素子1、内部電極2の一部および導電性接合材5を覆っている。封止樹脂6は、樹脂主面61、樹脂裏面62および複数の樹脂側面63を有する。
【0052】
樹脂主面61は、素子主面11と同じ方向を向く。樹脂裏面62は、図3に示すように、素子裏面12と同じ方向を向く。樹脂裏面62は、内部電極2および絶縁膜41に接する。各樹脂側面63は、樹脂主面61および樹脂裏面62に直交する。本実施形態においては、封止樹脂6は、x方向において互いに反対側を向く2つの樹脂側面63およびy方向において互いに反対側を向く2つの樹脂側面63を有する。本実施形態においては、図3に示すように、x方向を向く2つの樹脂側面63からそれぞれ2つの外部電極3が露出している。また、外部電極3は、平面視において、x方向を向く2つの樹脂側面63のそれぞれよりも半導体装置A1の外方に位置する。
【0053】
次に、図7図32に基づき、半導体装置A1の製造方法の一例について説明する。図7図32のうち、図9図12図14図17図19図21および図23は、半導体装置A1の製造方法にかかる工程を示す平面図であり、図28図30および図32は、半導体装置A1の製造方法にかかる工程を示す底面図である。これら以外の図面は、半導体装置A1の製造方法にかかる工程を示す断面図である。当該断面は、図4に示す断面と同一である。なお、理解の便宜上、図25図27図29および図31に示す断面図は、それ以外の断面図に対して、z方向の上下を反対にして示している。
【0054】
まず、図7に示すように、z方向を向く主面800aおよび裏面800bを有する支持基板800を準備する。支持基板800は、たとえばガラス基板あるいはSi(シリコン)基板である。本実施形態においては、支持基板800を準備する工程(支持基板準備工程)では、支持基板800として透光性を有するガラス基板を用いる。支持基板800の厚みは、0.5μm程度である。続いて、図7に示すように、当該支持基板800上に、仮固定材801を形成する。仮固定材801を形成する工程(仮固定材形成工程)においては、主面800aの全面を覆うように、仮固定材801を形成する。そして、図7に示すように、当該仮固定材801上にスパッタ膜802を形成する。スパッタ膜802を形成する工程(スパッタ膜形成工程)においては、仮固定材801の全面を覆うように、スパッタ膜802を形成する。スパッタ膜802は、主成分がTiである金属膜である。
【0055】
次いで、図8および図9に示すように、絶縁膜841を形成する。絶縁膜841は、半導体装置A1の絶縁膜41に対応する。絶縁膜841は、たとえばポリイミド樹脂やフェノール樹脂などの感光性樹脂材料からなる。絶縁膜841を形成する工程(絶縁膜形成工程)においては、たとえばスピンコータ(回転式塗布装置)を用いて、図8に示すように、絶縁膜841をスパッタ膜802上に塗布する。なお、フィルム状の感光性樹脂材料を貼り付けるようにしてもよい。そして、当該感光性樹脂材料に対して露光および現像を行うことで、パターニングを行う。これにより、図8および図9に示す絶縁膜841が形成される。絶縁膜841が形成されたことにより、スパッタ膜802は、図9に示すように、絶縁膜841に覆われた部分と、絶縁膜841から露出した部分とを有する。絶縁膜841からスパッタ膜802が露出した部分は、後に、半導体装置A1の配線層21における電極被覆領域212aに対応する部分となる。
【0056】
次いで、図10に示すように、シード層820aを形成する。シード層820aの一部が、後に、半導体装置A1の内部電極2の一部(具体的には配線層21のシード層210a)に対応する。シード層820aの形成は、スパッタリング法による。シード層820aは、支持基板800の主面800a側の全面に渡って形成される。本実施形態にかかるシード層820aは、互いに積層されたTi層およびCu層から構成される。シード層820aを形成する工程(先行シード層形成工程)においては、絶縁膜841およびスパッタ膜802に接するTi層を形成した後に、当該Ti層に接するCu層を形成する。
【0057】
次いで、図11および図12に示すように、めっき層820bを形成する。めっき層820bが、半導体装置A1の内部電極2の一部(具体的には配線層21のめっき層210b)に対応する。めっき層820bの形成は、フォトリソグラフィによるパターン形成および電解めっきによる。めっき層820bを形成する工程(先行めっき層形成工程)においては、まず、めっき層820bを形成するためのレジスト層(図示略)をフォトリソグラフィにより形成する。当該レジスト層の形成においては、シード層820aの全面を覆うように、感光性レジストを塗布し、当該感光性レジストに対して露光・現像を行うことによってパターニングを行う。このパターニングにより、シード層820aの一部(めっき層820bを形成する部分)が露出する。そして、シード層820aを導電経路とした電解めっきにより、露出したシード層820a上にめっき層820bを形成する。その後、レジスト層を除去することで、図11および図12に示すめっき層820bが形成される。
【0058】
次いで、図13および図14に示すように、めっき層820bに覆われていない不要なシード層820aを全て除去する。この不要なシード層820aの除去は、ウェットエッチングにより行う。このウェットエッチングでは、たとえばH2SO4(硫酸)およびH2O2(過酸化水素)の混合溶液が用いられる。不要なシード層820aを除去する工程(先行シード層除去工程)により、図13および図14に示すように、シード層820aが除去された部分から、絶縁膜841が露出する。また、不要なシード層820aが除去されたことにより、シード層820aおよびめっき層820bからなる配線層821が形成される。当該配線層821は、半導体装置A1の内部電極2の配線層21に対応する。よって、配線層821は、先行シード層形成工程、先行めっき層形成工程、および、先行シード層除去工程を含む配線層形成工程によって形成される。
【0059】
次いで、図15に示すように、シード層820cを形成する。シード層820cの一部が、後に、半導体装置A1の内部電極2の一部(具体的には柱状部22のシード層220a)に対応する。シード層820cの形成は、スパッタリング法による。シード層820cは、支持基板800の主面800a側の全面に渡って形成される。本実施形態にかかるシード層820cは、互いに積層されたTi層およびCu層から構成される。シード層820cを形成する工程(後行シード層形成工程)においては、絶縁膜841あるいはめっき層820bのいずれかに接するTi層を形成した後に、当該Ti層に接するCu層を形成する。
【0060】
次いで、図16および図17に示すように、めっき層820dを形成する。当該めっき層820dが、半導体装置A1の内部電極2の一部(具体的には柱状部22のめっき層220b)に対応する。めっき層820dの形成は、フォトリソグラフィによるパターン形成および電解めっきによる。めっき層820dを形成する工程(後行めっき層形成工程)においては、まずめっき層820dを形成するためのレジスト層(図示略)をフォトリソグラフィにより形成する。当該レジスト層の形成においては、シード層820cの全面を覆うように、感光性レジストを塗布し、当該感光性レジストに対して露光・現像を行うことによってパターニングを行う。このパターニングにより、シード層820cの一部(めっき層820dを形成する部分)が露出する。そして、シード層820cを導電経路とした電解めっきにより、露出したシード層820c上にめっき層820dを形成する。その後、レジスト層を除去することで、図16および図17に示すめっき層820dが形成される。
【0061】
次いで、図18および図19に示すように、導電性接合材85を形成する。当該導電性接合材85が、半導体装置A1の導電性接合材5に対応する。導電性接合材85の形成は、フォトリソグラフィによるパターン形成および電解めっきによる。導電性接合材85を形成する工程(導電性接合材形成工程)においては、まず、導電性接合材85を形成するためのレジスト層(図示略)をシード層820c上に形成し、レジスト層のパターニングを行う。このパターニングによって、レジスト層からシード層820cの一部(導電性接合材85を形成する部分)が露出する。そして、シード層820cを導電経路とした電解めっきにより、露出した部分上の導電性接合材85を形成する。このとき、シード層820cに接する第1導電層、当該第1導電層に接する第2導電層を順に積層させる。本実施形態においては、第1導電層は、主成分がNiであり、第2導電層は、主成分がSn-Ag系合金またはSn-Sb系合金などの鉛フリーはんだである。その後、レジスト層を除去する。
【0062】
次いで、図20および図21に示すように、めっき層820dおよび導電性接合材85に覆われていない不要なシード層820cを全て除去する。この不要なシード層820cの除去は、第1シード層除去工程と同様に行う。すなわち、たとえばH2SO4(硫酸)およびH2O2(過酸化水素)の混合溶液を用いたウェットエッチングにより行う。不要なシード層820cを除去する工程(後行シード層除去工程)により、図20および図21に示すように、シード層820cが除去された部分から、配線層821、絶縁膜841およびスパッタ膜802が露出する。また、不要なシード層820cが除去されたことにより、シード層820cおよびめっき層820dからなる柱状部822が形成される。柱状部822は、半導体装置A1の内部電極2の柱状部22に対応する。よって、柱状部822は、後行シード層形成工程、後行めっき層形成工程、および、後行シード層除去工程を含む柱状部形成工程によって形成される。また、内部電極82は配線層821および柱状部822を含んでいるため、内部電極82を形成する工程(内部電極形成工程)は、上記配線層形成工程および上記柱状部形成工程を含んでいる。
【0063】
次いで、粗化処理を行う。当該粗化処理に用いる薬液は、内部電極82(配線層821および柱状部822)の素材(Cu)に反応する薬液であれば、特に限定されない。当該粗化処理により、配線層821および柱状部822の表面が、粗くなる。この粗さはたとえば2~3μm程度である。
【0064】
次いで、図22および図23に示すように、半導体素子81を搭載する。なお、図22を含む以降の図において、シード層820aおよびめっき層820bとは区別せずに、配線層821として示す。また、同様に、シード層820cおよびめっき層820dとは区別せずに、柱状部822として示す。当該半導体素子81が半導体装置A1の半導体素子1に対応する。半導体素子81を搭載する工程(半導体素子搭載工程)は、FCB(Flip Chip Bonding)により行う。半導体素子81の電極パッド(図示略)にフラックスを塗布した後、フリップチップボンダを用いて、半導体素子81を配線層821に対向させた姿勢で導電性接合材85に仮付けする。このとき、導電性接合材85は、配線層821と半導体素子81との双方に挟まれた状態となる。次いで、リフローにより導電性接合材85を溶融させた後、冷却により導電性接合材85を固化させることによって、半導体素子81の搭載が完了する。
【0065】
次いで、図24に示すように、半導体素子81を覆う封止樹脂86を形成する。当該封止樹脂86が、半導体装置A1の封止樹脂6に対応する。本実施形態における封止樹脂86は、電気絶縁性を有する、たとえば黒色のエポキシ樹脂を主剤とした合成樹脂である。封止樹脂86を形成する工程(封止樹脂形成工程)においては、半導体素子81を露出させることなく覆うように、支持基板800上に封止樹脂86を形成する。封止樹脂形成工程によって形成された封止樹脂86は、樹脂主面861を有する。また、図24に示すように、配線層821と柱状部822とが封止樹脂86に覆われる。なお、封止樹脂形成工程後に、樹脂主面861側から封止樹脂86を研削して、封止樹脂86の厚みを小さくしてもよい。このとき、半導体素子81の上面が、封止樹脂86から露出するまで研削してもよい。
【0066】
次いで、図25および図26に示すように、支持基板800を剥離する。支持基板800を剥離する工程(支持基板剥離工程)では、まず図25に示すように、樹脂主面861にダイシングテープ804を貼り付ける。その後、たとえば支持基板800の裏面800bからレーザを照射する。このとき、レーザ光は、支持基板800を透過して、仮固定材801に照射される。これにより、仮固定材801の密着力が低下して、支持基板800を剥離できる。支持基板800を剥離した後、仮固定材801が部分的に残る(たとえばすすとして残存する)場合、この部分的に残った仮固定材801をたとえばプラズマにより除去する。以上の処理により、図26に示すように、支持基板800および仮固定材801が除去される。なお、支持基板剥離工程は、レーザ照射によるものに限定されない。たとえば、x方向(図25における左右方向)から空気を吹きかけて、支持基板800等を剥離してもよいし、加熱することで、仮固定材801を軟化させてから、支持基板800等を剥離してもよい。なお、レーザ照射による剥離の場合は、レーザ光を透過させるため、支持基板800は適度な透光性を有する素材である必要がある。一方、空気を吹きかけた剥離や加熱による剥離の場合においては、支持基板800としてガラス基板の代わりにたとえばSi基板などを用いることもできる。
【0067】
次いで、図27および図28に示すように、スパッタ膜802を除去する。当該スパッタ膜802を除去する工程(スパッタ膜除去工程)により、図28に示すように、絶縁膜841の絶縁膜裏面841bおよび配線層821の配線層裏面821bが露出する。
【0068】
次いで、図29および図30に示すように、x方向とy方向とのそれぞれに沿って封止樹脂86を切断することによって、半導体素子81ごとの個片に分割する。当該封止樹脂86を切断する工程(切断工程)は、ブレードダイシングにより行う。本実施形態においては、図27および図28に示す切断線CLに沿って切断することで、半導体素子81ごとの個片に分割される。なお、図27および図28に示す切断線CLにおいて、短手方向の幅はダイシングブレードの厚みである。本実施形態における切断工程では、図28の切断線CLで示すように、ダイシングテープ804をz方向において完全に切断しない(少しは切断される)。これにより、封止樹脂86が半導体素子81ごとに個片化されても、ダイシングテープ804によって繋がっているため、バラバラにならない。切断工程により、図29に示すように、封止樹脂86の樹脂側面863、配線層821の端面821c、および、柱状部822の露出側面822cが形成される。これらの面は、外部に露出する。
【0069】
次いで、図31および図32に示すように、外部電極83を形成する。当該外部電極83が、半導体装置A1の外部電極3に対応する。外部電極83を形成する工程(外部電極形成工程)は、無電解めっきによる。本実施形態においては、無電解めっきにより、Ni層、Pd層、Au層の順に各々を析出させる。このとき、絶縁膜841および封止樹脂86から露出する配線層821および柱状部822のそれぞれの表面に接し、これを覆うようにNi層が形成される。そして、Ni層上にPd層、Pd層上にAu層が順次形成される。なお、絶縁膜841には、外部電極83が析出されない。これにより、図31および図32に示す外部電極83が形成される。
【0070】
次いで、ダイシングテープ804を剥離する。以上の工程を経ることで、図1図6に示す半導体装置A1が製造される。
【0071】
次に、第1実施形態にかかる半導体装置A1およびその製造方法の作用効果について説明する。
【0072】
本実施形態によれば、半導体装置A1は、電解めっきにより形成された内部電極2および無電解めっきにより形成された外部電極3を備えている。したがって、半導体装置A1は、めっき処理により配線されたものであって、金属板から形成されるリードフレームを用いていない。めっき処理による配線は、リードフレーム構造を採用した場合よりも薄くできる。したがって、半導体装置A1の薄型化を図ることができる。さらに、IC、LSIの高集積化に伴い端子の数が増加し、内部電極などを微細化することが必要とされているが、リードフレームを用いる場合、金属板を加工するために、微細化には限度があった。一方、半導体装置A1は、めっき処理により内部電極2を形成するため、微細化にも対応することができる。したがって、より多くの端子を有する半導体装置を製造することも可能となる。
【0073】
本実施形態によれば、内部電極2は、樹脂側面63から露出した端面213を有する配線層21と、樹脂側面63から露出した露出側面223を有する柱状部22とを含んでいる。また、外部電極3は、端面213を覆う第2被覆部32および露出側面223を覆う第1被覆部31を含んでいる。このような構成をとることで、半導体装置A1の側面(本実施形態においてはx方向を向く側面)に形成された外部電極3のz方向寸法を、柱状部22を備えていない場合よりも大きくできる。半導体装置A1を回路基板などに実装するときはんだを用いる。仮に、内部電極2が、柱状部22を含まず、配線層21のみで構成されている場合、半導体装置A1の側面に形成された外部電極3は第2被覆部32だけとなる。この場合、第2被覆部32のz方向寸法だけでは、その寸法が小さすぎて、半導体装置A1の回路基板への実装時において、はんだフィレットの形成が困難である。しかしながら、本実施形態においては、半導体装置A1の側面に形成された外部電極3のz方向寸法を大きくできるため、半導体装置A1を回路基板などに実装するときに、はんだフィレットを形成することができる。これにより、半導体装置A1の回路基板への実装強度を高めることができる。また、はんだの接続状態を、半導体装置A1の側面から目視確認することができる。
【0074】
本実施形態によれば、半導体装置A1の製造工程において粗化処理を行っている。この粗化処理によって、配線層主面211、頂面222および樹脂当接側面224が粗面となる。この構成をとることで、内部電極2と封止樹脂6との密着性が高くなる。
【0075】
第1実施形態においては、配線層裏面212と端面213とのなす角度が略直角である場合を示したが、上記切断工程時においては、配線層裏面212と端面213とが繋がる部分に突起が生じることがある。図33は、このような突起が生じた場合の要部拡大断面図を示している。図33は、図5の要部拡大断面図に対応している。図33においては、突起214が配線層21の配線層裏面212からz方向に突き出た場合を示している。この場合、突起214を覆うように外部電極3が形成される。なお、図33に示した突起214の形状は一例であって、これに限定されない。たとえば突起214は、z方向ではなくx方向やy方向など他の方向に突き出る場合もある。
【0076】
第1実施形態においては、半導体装置A1を底面側から見たとき(図2参照)、絶縁膜41から外部電極3だけが露出している場合を示したが、これに限定されず、たとえば封止樹脂6の樹脂裏面62の一部が、絶縁膜41から露出していてもよい。
【0077】
以下に、本開示の半導体装置および本開示の半導体装置の製造方法にかかる他の実施形態について説明する。なお、以下に示す他の実施形態において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0078】
〔第2実施形態〕
図34は、第2実施形態にかかる半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A2は、上記半導体装置A1(第1実施形態)と比較して、金属層7をさらに備えている点で異なる。
【0079】
図34は、半導体装置A2を示す断面図である。図34は、第1実施形態の図4に示す断面に対応する。
【0080】
本実施形態においては、絶縁膜41は、開口部413を有する。開口部413は、絶縁膜主面411から絶縁膜裏面412までz方向に繋がる。開口部413の平面視形状は、特に限定されないが、本実施形態においては、矩形としている。開口部413は、上記絶縁膜形成工程時におけるパターニングによって形成される。
【0081】
本実施形態においては、内部電極2は、充填部23をさらに含む。充填部23は、内部電極2のうち、絶縁膜41の開口部413に充填された部分である。充填部23は、上記配線層形成工程によって形成される。
【0082】
金属層7は、導電性を有する金属材料からなる。本実施形態においては、金属層7は外部電極3と同様に無電解めっきにより形成される。よって、金属層7は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層からなる。なお、金属層7の素材および形成方法は、上記したものに限定されない。金属層7は、充填部23に繋がり、半導体装置A2の外部に露出している。
【0083】
半導体装置A2においても、めっき処理により配線されているので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、半導体装置A2の薄型化を図ることができる。
【0084】
本実施形態によれば、半導体装置A2は金属層7を備えている。半導体装置A2の通電時に、半導体素子1が発熱する。この半導体素子1から発生した熱は金属層7に伝達し、外部に放出される。したがって、金属層7は半導体装置A2における放熱部として機能する。このような構成をとることで、半導体装置A2の放熱性を向上できる。また、金属層7は金属からなり、導電性を有する。そこで、金属層7を外部接続用の端子として利用することも可能である。
【0085】
本実施形態によれば、金属層7は外部電極3と同様に無電解めっきにより形成される。したがって、外部電極3と金属層7とを一度に形成することができる。
【0086】
〔第3実施形態〕
図35は、第3実施形態にかかる半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A3は、上記半導体装置A1(第1実施形態)と比較して、絶縁膜42をさらに備えている点で異なる。
【0087】
図35は、半導体装置A3を示す断面図である。図35は、第1実施形態の図4に示す断面に対応する。
【0088】
絶縁膜42は、絶縁性を有する材料からなり、たとえばポリイミド樹脂からなる。絶縁膜42は、内部電極2と封止樹脂6とに挟まれて配置されている。絶縁膜42の形成は、たとえばフォトリソグラフィによる。絶縁膜42は、粗化処理後であって、半導体素子搭載工程の前に形成される。よって、絶縁膜42は、導電性接合材5(85)を形成した後に行われるため、絶縁膜42は貫通孔421を有し、当該貫通孔421には導電性接合材5が充填されている。絶縁膜42が特許請求の範囲に記載の「第2絶縁膜」に相当する。
【0089】
半導体装置A3においても、めっき処理により配線されているので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、半導体装置A3の薄型化を図ることができる。
【0090】
本実施形態においては、絶縁膜42は貫通孔421を有しており、導電性接合材5は一部が当該貫通孔421を充填して形成されている。半導体素子搭載工程時のリフローにより導電性接合材85が軟化する。このとき、軟化した導電性接合材85が配線層主面211に沿って拡散する場合がある。しかしながら、本実施形態においては、配線層主面211が絶縁膜42によって覆われているため、導電性接合材5(85)が配線層主面211に沿って拡散することを抑制できる。
【0091】
〔第4実施形態〕
図36は、第4実施形態にかかる半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A4は、上記半導体装置A1(第1実施形態)と比較して、封止樹脂6の樹脂側面63に段差がある点で異なる。
【0092】
図36は、半導体装置A4を示す断面図である。図36は、第1実施形態の図4に示す断面に対応する。
【0093】
本実施形態においては、図36に示すように、複数の樹脂側面63の各々は、樹脂側面第1部631および樹脂側面第2部632を含んでいる。樹脂側面第1部631および樹脂側面第2部632はともに平坦である。樹脂側面第1部631は、平面視において樹脂側面第2部632よりも外方に配置されている。樹脂側面第2部632は、柱状部22の露出側面223および配線層21の端面213と面一である。
【0094】
図37および図38に基づき、半導体装置A4の製造方法の一例について説明する。なお、第1実施形態にかかる半導体装置A1の製造方法と共通する部分は説明を省略する。図37および図38は、半導体装置A4の製造工程を示す断面図である。
【0095】
半導体装置A4の製造方法において、支持基板準備工程(図7参照)からスパッタ膜除去工程(図27および図28参照)までは、上記第1実施形態と同様に行う。ただし、本実施形態においては、上記支持基板剥離工程におけるダイシングテープ804の貼り付けは行わなくてもよい。その後、図37に示すように、溝89を形成する。溝89を形成する工程は、たとえばダイシングブレードを用いたハーフカットダイシングによる。ハーフカットダイシングにおいては、封止樹脂86をz方向において完全に切断しないことで、溝89が形成される。溝89の深さは、当該ハーフカットダイシング時の切り込み量によって決まり、溝89の幅は、用いるダイシングブレードの厚さによって決まる。ハーフカットダイシングにより、図37に示すように、封止樹脂86から露出した、配線層821の端面821c、および、柱状部822の露出側面822cが形成される。
【0096】
次いで、図38に示すように、外部電極83を形成する。本実施形態における外部電極形成工程は、上記第1実施形態と同様に無電解めっきによる。これにより、封止樹脂86から露出する配線層821および柱状部822のそれぞれの表面を覆うように外部電極83が形成される。その後、図38に示す切断線CL2に沿って切断し、半導体素子81ごとの個片に分割する。切断線CL2に沿って切断する際のダイシングブレードは、その厚さが上記ハーフカットダイシング時に用いたダイシングブレードの厚さよりも小さい。以上の工程を得ることで、図36に示す半導体装置A4が製造される。すなわち、封止樹脂6の樹脂側面63に段差がある半導体装置A4が製造される。
【0097】
半導体装置A4においても、めっき処理により配線されているので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、半導体装置A4の薄型化を図ることができる。
【0098】
本実施形態によれば、支持基板剥離工程において、ダイシングテープ804の貼り付けを行っていない。上記第1実施形態においては、切断工程において、封止樹脂86をz方向に沿って完全に切断している。そのため、外部電極形成工程(無電解めっき)を行う時に、バラバラにならないようにダイシングテープ804によって固定する必要があった。一方、本実施形態においては、外部電極形成工程を行う時には、封止樹脂86が連続しているため、ダイシングテープ804がなくてもバラバラにならない。したがって、半導体装置A4の製造方法において、ダイシングテープ804を貼り付ける必要がない。
【0099】
第4実施形態においては、樹脂側面63に段差がある場合を示したが、柱状部22の露出側面223に段差があってもよい。図39は、このような露出側面223に段差がある場合を示している。図39は、このような変形例にかかる半導体装置の断面図を示しており、図36に対応する。
【0100】
本変形例においては、図39に示すように、露出側面223は、露出側面第1部223aおよび露出側面第2部223bを含んでいる。露出側面第1部223aおよび露出側面第2部223bはともに平坦である。露出側面第1部223aは、平面視において露出側面第2部223bよりも外方に配置されている。露出側面第1部223aは樹脂側面63と面一である。露出側面第2部223bは、配線層21の端面213と面一である。また、図39に示すように、露出側面第1部223aは外部電極3に覆われておらず、露出側面第2部223bは外部電極3に覆われている。
【0101】
本変形例における露出側面223は、上記ハーフカットダイシングにおいて、形成する溝89(図37参照)の深さを浅くして、すなわち、ハーフカットダイシング時の切り込み量を少なくして、柱状部822をz方向に完全に切断しないでおく。これにより、後に半導体素子1(81)毎に個片化するように封止樹脂6(86)を切断したときに、露出側面第1部223aおよび露出側面第2部223bを含む露出側面223が形成される。
【0102】
〔第5実施形態〕
図40および図41は、第5実施形態にかかる半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A5は、上記半導体装置A1(第1実施形態)と比較して、柱状部22が突出部225を含んでいる点で異なる。
【0103】
図40は、半導体装置A5を示す平面図である。なお、図40において封止樹脂6を省略している。図41は、図40のF-F線に沿う断面図である。
【0104】
本実施形態においては、柱状部22は、図40に示すように、突出部225を含んでいる。突出部225は、平面視においてy方向を向く樹脂当接側面224から突き出た部分である。本実施形態においては、図40に示すようにy方向を向く2つの樹脂当接側面224からそれぞれ1つずつの突出部225が突き出ている。突出部225は、係止面225aを有する。
【0105】
係止面225aは、樹脂当接側面224から突き出た面である。本実施形態においては、係止面225aと樹脂当接側面224とがなす角度が直角である。すなわち、係止面225aは、樹脂当接側面224に直交する。なお、係止面225aは、樹脂当接側面224に対して傾斜していてもよい。本実施形態においては、係止面225aは、平面視においてx方向外方を向く。よって、係止面225aは、y-z平面に対して平行である。係止面225aは、封止樹脂6に接している。x方向において、係止面225aと樹脂側面63との間には、封止樹脂6が介在する。
【0106】
半導体装置A5においても、めっき処理により配線されているので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、半導体装置A5の薄型化を図ることができる。
【0107】
本実施形態によれば、柱状部22は、突出部225を含んでいる。また、突出部225は、樹脂当接側面224から突き出し、かつ、封止樹脂6に接する係止面225aを有する。このような構成によれば、内部電極2にx方向外方への応力が加わっても、係止面225aが封止樹脂6に引っ掛かる。したがって、半導体装置A5は、内部電極2がx方向に抜けてしまうことを防止することができる。
【0108】
〔第6実施形態〕
図42は、第6実施形態にかかる半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A6は、上記半導体装置A1(第1実施形態)と比較して、柱状部22が突出部226を含んでいる点で異なる。
【0109】
図42は、半導体装置A6を示す断面図である。図42は、第1実施形態の図4に対応する断面である。
【0110】
本実施形態においては、柱状部22の頂面222は、図42に示すように曲面である。また、柱状部22は、図42に示すように、突出部226を含んでいる。突出部226は、平面視において樹脂当接側面224から突き出た部分である。突出部226は、係止面226aを有する。
【0111】
係止面226aは、樹脂当接側面224から突き出た面である。本実施形態においては、係止面226aと樹脂当接側面224とがなす角度が直角である。すなわち、係止面226aは、樹脂当接側面224に直交する。なお、係止面226aは、樹脂当接側面224に対して傾斜していてもよい。本実施形態においては、係止面226aは、z方向下方(図42における下方)を向く。よって、係止面226aは、x-y平面に対して平行である。係止面226aは、封止樹脂6に接している。
【0112】
図43は、突出部226の形成方法を説明するための図である。図43は、上記第1実施形態にかかる製造方法の後行めっき層形成工程(図16参照)を示している。
【0113】
本実施形態における後行めっき層形成工程において、上記第1実施形態と同様に、フォトリソグラフィによって、めっき層820dを形成する部分以外に、レジスト層805をパターニングする。その後、めっき層820dを電解めっきにより積層させる。このとき、パターニングされたレジスト層805の厚みを超えるまで、電解めっきを継続すると、当該レジスト層805の上面に沿って、めっき層820dが成長する。その後、レジスト層805を除去することで、柱状部22に突出部226が形成される。
【0114】
半導体装置A6においても、めっき処理により配線されているので、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、半導体装置A6の薄型化を図ることができる。
【0115】
本実施形態によれば、柱状部22は、突出部226を含んでいる。また、突出部226は、樹脂当接側面224から突き出し、かつ、封止樹脂6に接する係止面226aを有する。このような構成によれば、内部電極2にz方向外方への応力が加わっても、係止面226aが封止樹脂6に引っ掛かる。したがって、半導体装置A6は、内部電極2がz方向に抜けてしまうことを防止することができる。
【0116】
第1実施形態ないし第6実施形態においては、x方向を向く2つの樹脂側面63のそれぞれにおいて、2つの外部電極3が露出している場合を示したが、当該外部電極3の個数は限定されない。また、内部電極2の配置や形状も、上記したものに限定されない。たとえば、図44図46に示すように内部電極2を形成(配線)してもよい。図44図46はそれぞれ、平面図である。図44図46のそれぞれにおいて、導電性接合材5および封止樹脂6を省略しており、また、半導体素子1を想像線(二点鎖線)で示している。なお、図45および図46において、想像線(二点鎖線)で示す領域19に、たとえば抵抗器、コンデンサあるいは他の半導体素子などを配置することもできる。
【0117】
第1実施形態ないし第6実施形態においては、半導体装置の2つの側面(上記例では、x方向を向く2つの樹脂側面63)にそれぞれ端子が配置されたSONパッケージ型の樹脂パッケージである場合を示したが、これに限定されない。たとえば、半導体装置の4つの側面にそれぞれ端子が配置されたQFNパッケージ型の樹脂パッケージであってもよい。
【0118】
第1実施形態ないし第6実施形態においては、z方向において配線層21が1つである場合を示したが、z方向において配線層21が複数あってもよい。図47および図48は、z方向に2つの配線層21(第1配線層21Aおよび第2配線層21B)により多層構造をとった半導体装置を示している。図47は、当該半導体装置を示す平面図である。なお、図47においては、封止樹脂6を省略している。図48は、図47のG-G線に沿う断面図である。
【0119】
図48に示すように、内部電極2は、第1配線層21A、第2配線層21B、および、柱状部22を含んでいる。第1配線層21Aと第2配線層21Bとは部分的に接しており、それ以外の部分においては、絶縁膜43によって絶縁されている。絶縁膜43は、たとえばポリイミド樹脂からなる。柱状部22は、第2配線層21Bからz方向に突き出るように形成されている。このように、z方向において複数の配線層21が形成された多層構造の半導体装置においても、柱状部22を設けてもよい。
【0120】
本開示にかかる半導体装置および当該半導体装置の製造方法は、上記した実施形態に限定されるものではない。本開示の半導体装置の各部の具体的な構成、および、本開示の半導体装置の製造方法の各工程の具体的な処理は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0121】
A1~A6:半導体装置
1 :半導体素子
11 :素子主面
12 :素子裏面
13 :電極パッド
131 :第1導電部
132 :第2導電部
14 :パッシベーション膜
2 :内部電極
21 :配線層
21A :第1配線層
21B :第2配線層
210a :シード層
210b :めっき層
211 :配線層主面
212 :配線層裏面
212a :電極被覆領域
212b :絶縁膜被覆領域
213 :端面
214 :突起
22 :柱状部
220a :シード層
220b :めっき層
221 :基端面
222 :頂面
223 :露出側面
223a :露出側面第1部
223b :露出側面第2部
224 :樹脂当接側面
225,226:突出部
225a,226a:係止面
23 :充填部
3 :外部電極
31 :第1被覆部
32 :第2被覆部
33 :第3被覆部
41~43:絶縁膜
411 :絶縁膜主面
412 :絶縁膜裏面
413 :開口部
421 :貫通孔
5 :導電性接合材
6 :封止樹脂
61 :樹脂主面
62 :樹脂裏面
63 :樹脂側面
631 :樹脂側面第1部
632 :樹脂側面第2部
7 :金属層
800 :支持基板
800a :主面
800b :裏面
801 :仮固定材
802 :スパッタ膜
804 :ダイシングテープ
805 :レジスト層
81 :半導体素子
82 :内部電極
820a :シード層
820b :めっき層
820c :シード層
820d :めっき層
821 :配線層
821b :配線層裏面
821c :端面
822 :柱状部
822c :露出側面
83 :外部電極
841 :絶縁膜
841b :絶縁膜裏面
85 :導電性接合材
86 :封止樹脂
861 :樹脂主面
863 :樹脂側面
89 :溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図19
図20
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図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
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図37
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図39
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図41
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図44
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