(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】電子機器及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 5/02 20060101AFI20240726BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240726BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240726BHJP
G03B 13/02 20210101ALI20240726BHJP
H04N 9/73 20230101ALI20240726BHJP
【FI】
G09G5/02 B
G09G5/00 510V
G09G5/00 550X
G09G5/10 B
G09G5/00 510M
G03B13/02
H04N9/73
(21)【出願番号】P 2020008597
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 淳
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 智行
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-212357(JP,A)
【文献】特開2013-207412(JP,A)
【文献】特開2006-166032(JP,A)
【文献】特許第5199499(JP,B1)
【文献】特開2013-162412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
G03B 13/02
G03B 17/18
H04N 23/63
H04N 9/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示装置と、
前記複数の表示装置への調整値が予め決められた複数のカラーバランスのうち、いずれかを指定する指定手段と、
前記複数の表示装置のカラーバランスを調整する調整手段と、を有し、
前記調整手段は、
前記複数の表示装置のカラーバランスを、前記指定手段により指定されたカラーバランスの
第1の調整値を用いて調整する第1の調整と、
前記第1の調整をした前記複数の表示装置間のカラーバランスを
第2の調整値を用いて調整する第2の調整と、を行い、
前記第2の調整の調整分解能は、前記第1の調整の調整分解能よりも高く、
更に、前記調整手段は、
前記第1の調整及び前記第2の調整による輝度の変化を補正するための輝度補正値により、前記複数の表示装置の輝度を調整
し、
前記輝度補正値は、前記第1の調整値及び前記第2の調整値から演算により求めた補正値、または、前記第1の調整値及び前記第2の調整値と関連付けて予め記憶された補正値である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第2の調整において選択可能な調整設定数は、前記第1の調整において選択可能な調整設定数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の調整において調整可能な調整幅は、前記第2の調整における調整幅よりも広いことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1
の調整値と、前記第2
の調整値とを、関連付けて記憶する記憶手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2
の調整値を設定するための設定手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2
の調整値を、前記第1
の調整値を中心座標とした2次元マトリックスの座標を指定することにより設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1
の調整値と、前記第2
の調整値と、指定された前記2次元マトリックスの座標とを、関連付けて記憶する記憶手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1
の調整値と、前記第2
の調整値と、前記輝度補正値とを、関連付けて記憶する記憶手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記電子機器は、撮像装置であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記複数の表示装置は、ファインダ外に設けられた第1の表示装置と、前記ファインダ内に設けられた第2の表示装置とを含み、
前記調整手段は、前記第1の調整をした前記第1または第2の表示装置のカラーバランスを調整することにより前記第2の調整を行うことを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記ファインダへの接眼を検知する検知手段を更に有し、
前記検知手段により前記ファインダへの接眼が検知された場合に、前記複数のカラーバランスの選択肢を、前記第2の表示装置に表示することを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
複数の表示装置を有する電子機器の制御方法であって、
指定手段が、前記複数の表示装置への調整値が予め決められた複数のカラーバランスのうち、いずれかを指定する指定工程と、
調整手段が、前記複数の表示装置のカラーバランスを、前記指定手段により指定されたカラーバランスの
第1の調整値を用いて第1の調整を行う第1の調整工程と、
前記調整手段が、前記第1の調整をした前記複数の表示装置間のカラーバランスを
第2の調整値を用いて第2の調整を行う第2の調整工程と、を有し、
前記第2の調整の調整分解能は、前記第1の調整の調整分解能よりも高く、
更に、前記調整手段が、前記第1の調整及び前記第2の調整による輝度の変化を補正するための輝度補正値により、前記複数の表示装置の輝度を調整する第3の調整工程と
を有
し、
前記輝度補正値は、前記第1の調整値及び前記第2の調整値から演算により求めた補正値、または、前記第1の調整値及び前記第2の調整値と関連付けて予め記憶された補正値であることを特徴とする制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電子機器の前記複数の表示装置を除く各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示デバイスを有する電子機器及びその制御方法、及び撮像装置に関し、特に、複数の表示デバイス間のカラーバランス調整に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラのデジタル化が進んだことで、光学式ファインダから電子ビューファインダへの置き換えが進んでいる。そのため、背面モニタと電子ビューファインダのように、1つのカメラに複数の表示デバイスが搭載されることが多くなった。しかしながら、表示デバイスのカラーバランスは、各表示デバイスの特性により異なる。結果として、背面モニタと電子ビューファインダとの間で各々のカラーバランスに差が生じてしまい、ユーザーが違和感を覚えることがある、という課題がある。電子ビューファインダのカラーバランスを背面モニタのカラーバランスに合わせるためには、高い分解能(例えば色温度約100Kごと)でカラーバランスを調整する機能が必要となる。
【0003】
また、カメラの背面モニタのカラーバランスを、ユーザーが使用するPC等に使われる外部の表示モニタのカラーバランスに合わせたいという要望もある。PC等に使われる外部の表示モニタのカラーバランス設定は、印刷業界の標準や、日本の放送基準等、様々なものがある。そのため、カメラの背面モニタや電子ビューファインダのカラーバランスを外部モニタの各基準に合わせるためには、広い設定範囲(例えば色温度約5000K~約9300K)を有することが必要となる。
【0004】
以上の2つの要件を満足するためには、高い分解能と広い設定範囲を有するカラーバランス調整機能が各表示デバイスに必要となるが、その場合、ユーザーが設定可能なカラーバランス調整点数が膨大になり、設定操作が煩雑になるという課題がある。
【0005】
上述の課題に対して、例えば、特許文献1では複数の表示装置の画質調整を一括もしくは個別に調整できる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、一括で複数モニタの画質調整をした後に個別で画質調整もできるが、個別調整の分解能が一括調整における分解能と同じであるため、微調整が難しい。
【0008】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、複数の表示デバイスを有する電子機器において、複数の表示デバイスに対するカラーバランス調整設定の煩雑さを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、複数の表示装置と、前記複数の表示装置への調整値が予め決められた複数のカラーバランスのうち、いずれかを指定する指定手段と、前記複数の表示装置のカラーバランスを調整する調整手段と、を有し、前記調整手段は、前記複数の表示装置のカラーバランスを、前記指定手段により指定されたカラーバランスの第1の調整値を用いて調整する第1の調整と、前記第1の調整をした前記複数の表示装置間のカラーバランスを第2の調整値を用いて調整する第2の調整と、を行い、前記第2の調整の調整分解能は、前記第1の調整の調整分解能よりも高く、更に、前記調整手段は、前記第1の調整及び前記第2の調整による輝度の変化を補正するための輝度補正値により、前記複数の表示装置の輝度を調整し、前記輝度補正値は、前記第1の調整値及び前記第2の調整値から演算により求めた補正値、または、前記第1の調整値及び前記第2の調整値と関連付けて予め記憶された補正値であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の表示デバイスを有する電子機器において、複数の表示デバイスに対するカラーバランス調整設定の煩雑さを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態における撮像装置の外観図。
【
図2】実施形態における撮像システムの機能構成例を示すブロック図。
【
図3】第1の実施形態及び第2の実施形態における表示部とEVFのカラーバランスを調整するための制御方法を示すフローチャート。
【
図4】第1の実施形態におけるメインカラーバランス設定を行うための設定メニュー画面の一例を示す図。
【
図5】第1の実施形態におけるサブカラーバランス設定を行うための設定画面の一例を示す図。
【
図6】第1の実施形態におけるサブカラーバランス設定の調整値を示すテーブルの一例を示す図。
【
図7】第2の実施形態における表示部とEVFのカラーバランスを調整するための制御方法を示すフローチャート。
【
図8】第3の実施形態における表示部とEVFのカラーバランスを調整するための制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
図1に本発明を適用可能な電子機器の一例として、撮像装置100の外観図を示す。
図1(a)は撮像装置100の前面斜視図であり、
図1(b)は撮像装置100の背面斜視図である。
【0014】
表示部28はカメラ背面に設けられ、画像や各種情報を表示する。タッチパネル88は、表示部28の表示面(操作面)に対するタッチ操作を検出することができる。ファインダ外表示部43はカメラ上面に設けられた表示部であり、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。
【0015】
また、ユーザーが撮像装置100に指示するための操作部材として、撮影指示を行うためのシャッターボタン61、各種モードを切り替えるためのモード切替えスイッチ60、撮像装置100の電源のON及びOFFを切り替えるための電源スイッチ72を含む。更に、操作部材は、回転操作部材であるメイン電子ダイヤル71及びサブ電子ダイヤル73を含む。メイン電子ダイヤル71は、回すことでシャッター速度や絞り等の設定値の変更等を行うことができ、サブ電子ダイヤル73は、回すことで選択枠の移動や画像送り等を行うことができる。
【0016】
また、十字キー74は、上、下、左、右部分をそれぞれ押し込み可能な4方向キーであり、押した部分に応じた操作が可能である。SETボタン75は、押しボタンであり、主に選択項目の決定等に用いられる。
【0017】
動画ボタン76は、動画撮影(記録)の開始、停止の指示に用いられる押しボタンである。AEロックボタン77は押しボタンであり、撮影待機状態で押下することにより露出状態を固定することができる。拡大ボタン78は、撮影モードのライブビュー表示において拡大モードのON、OFFを行うための押しボタンである。拡大モードをONとしてからメイン電子ダイヤル71を操作することにより、ライブビュー画像の拡大、縮小を行うことができる。再生モードにおいては再生画像を拡大し、拡大率を増加させるための拡大ボタンとして機能する。
【0018】
再生ボタン79は、撮影モードと再生モードとを切り替える押しボタンであり、撮影モード中に再生ボタン79を押下することで再生モードに移行し、後述する記録媒体200に記録された画像のうち最新の画像を表示部28に表示させることができる。
【0019】
メニューボタン81は押しボタンであり、押下することにより各種の設定可能なメニュー画面が表示部28に表示される。ユーザーは、表示部28に表示されたメニュー画面と、十字キー74やSETボタン75を用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0020】
通信端子10は、後述する着脱可能なレンズユニット150が装着された場合に、撮像装置100がレンズユニット150と通信を行う為の通信端子である。
【0021】
接眼部16は、接眼ファインダ(覗き込み型のファインダ)の接眼部であり、ユーザーは、接眼部16を介して、ファインダ内に構成された後述するEVF29に表示された映像を視認することができる。接眼検知部57は接眼部16に撮影者が接眼しているか否かを検知する。
【0022】
蓋202は、記録媒体200を格納するためのスロットの蓋である。端子カバー40は、外部機器との接続ケーブルと撮像装置100とを接続するためのコネクタ(不図示)を保護するカバーである。
【0023】
グリップ部90は、ユーザーが撮像装置100を構えた際に、撮像装置100を安定した状態で保持できるようにするための構造であり、握りやすい形状となっている。
図1に示す例では、グリップ部90を右手の小指、薬指、中指で握って撮像装置を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン61、メイン電子ダイヤル71が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル73が配置されている。
【0024】
図2は、本実施形態における撮像システムの機能構成例を示すブロック図であり、主に、
図1に示した撮像装置100と、撮影レンズ103を搭載した、撮像装置100に着脱可能なレンズユニット150とからなる。撮影レンズ103は、通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは図の簡略化のために1枚のレンズにより表している。通信端子6は、レンズユニット150が撮像装置100と通信を行う為の通信端子である。レンズユニット150は、この通信端子6と、撮像装置100の通信端子10を介してシステム制御部50と通信し、内部のレンズシステム制御回路4によって絞り駆動回路2を介して絞り1の制御を行う。また、AF駆動回路3を介して、撮影レンズ103に含まれるフォーカスレンズの位置を変位させることで焦点を合わせる。
【0025】
シャッター101は、システム制御部50の制御で撮像部22の露光時間を自由に制御できるフォーカルプレーンシャッターである。撮像部22は、レンズユニット150を通過した光学像を電気信号に変換する、CCDやCMOS素子等で構成される撮像素子である。A/D変換器23は、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0026】
画像処理部24は、A/D変換器23からのデータ、または、後述するメモリ制御部15からのデータに対し、所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部24はA/D変換器23から出力される画像データを用いて所定の演算処理を行う。そして、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御及び焦点調節制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。更に、画像処理部24では、A/D変換器23から出力される画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0027】
メモリ制御部15は、A/D変換器23、画像処理部24、メモリ32間のデータ送受を制御する。A/D変換器23からの出力される画像データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、或いは、メモリ制御部15を介して直接メモリ32に書き込まれる。
【0028】
メモリ32は、撮像部22によって得られ、A/D変換器23によりデジタルデータに変換された画像データや、表示部28、EVF29に表示するための画像データを格納する。メモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像及び音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。また、メモリ32は、画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。メモリ32に書き込まれた表示用の画像データは、メモリ制御部15を介して表示部28やEVF29により表示される。
【0029】
表示部28及びEVF29は、LCDや有機EL等の表示器上に、メモリ制御部15からの信号に応じた表示を行う。A/D変換器23によってA/D変換されメモリ32に蓄積された画像データを、D/A変換器19によりアナログ画像信号に変換して、表示部28またはEVF29に逐次転送して表示することで、ライブビュー表示(LV表示)を行うことができる。以下、ライブビューで表示される画像をライブビュー画像と呼ぶ。また、上述したように、表示部28にはタッチパネル88が形成されており、表示画面上をタッチ操作することで操作部70と同様の操作が可能となる。
【0030】
接眼検知部57は、ファインダの接眼部16に対する目(物体)161の接近(接眼)及び離脱(離眼)を検知するセンサーである。システム制御部50は、接眼検知部57で検知された状態に応じて、表示部28とEVF29の表示/非表示を切り替える。より具体的には、少なくとも撮影待機状態で、かつ、表示先の切替えが自動切替えである場合において、非接眼中は表示先を表示部28として、表示部28を表示、EVF29を非表示とする。また、接眼中は表示先をEVF29として、EVF29を表示、表示部28を非表示とする。
【0031】
接眼検知部57には、例えば赤外線近接センサーを用いることができ、EVF29を内蔵するファインダの接眼部16への何らかの物体の接近を検知することができる。物体が接近した場合は、接眼検知部57の投光部(不図示)から投光した赤外線が反射して赤外線近接センサーの受光部(不図示)に受光される。また、受光された赤外線の量によって、物体が接眼部16からどの距離まで近づいているか、も判別することができる。
【0032】
非接眼状態(非接近状態)から、接眼部16に対して所定距離以内に近づく物体が検出された場合に、接眼されたと検出するものとする。また、接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に、離眼されたと検出するものとする。接眼を検出する閾値と、離眼を検出する閾値は、例えばヒステリシスを設ける等して異なっていてもよい。また、接眼を検出した後は、離眼を検出するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検出した後は、接眼を検出するまでは非接眼状態であるものとする。
【0033】
なお、赤外線近接センサーは一例であって、接眼検知部57には、接眼とみなせる目や物体の接近を検知できるものであれば他のセンサーを採用してもよい。
【0034】
ファインダ外表示部43には、ファインダ外表示部駆動回路44を介して、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。
【0035】
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばFlash-ROM等が用いられる。不揮発性メモリ56には、システム制御部50の動作用の定数、プログラム等が記憶される。この不揮発性メモリ56に記憶されたプログラムには、後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムが含まれる。
【0036】
システム制御部50は、少なくとも1つのプロセッサーまたは回路からなる制御部であり、撮像装置100全体を制御する。不揮発性メモリ56に記録されたプログラムを実行することで、後述する各処理を実現する。システムメモリ52には、例えばRAMが用いられ、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等が展開される。システム制御部50は、メモリ32、表示部28等を制御することにより表示制御も行う。システムタイマー53は、各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する計時部である。
【0037】
操作部70はシステム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。
図1に記載のモード切替えスイッチ60、メイン電子ダイヤル71、サブ電子ダイヤル73、十字キー74、SETボタン75、動画ボタン76、AEロックボタン77、拡大ボタン78、再生ボタン79、メニューボタン81を含む。なお、各操作部材による操作は、
図1を参照して上述した通りである。
【0038】
また、操作部70は、上述した操作部材の他に、各種ボタンスイッチやダイヤルを含む。それらを操作することにより、撮影モード、連写モード、セット、マクロ、ページ送り、フラッシュ設定、メニュー移動、ホワイトバランス選択、撮影画質選択、露出補正、日付/時間設定、シャッタースピード、絞り値、露出等を設定することができる。さらにライブビュー撮影開始及び停止スイッチや、上下左右方向スイッチ、再生画像のズーム倍率変更スイッチ、画像表示ON/OFFスイッチ、撮影直後に撮影画像を自動再生するクイックレビューON/OFFスイッチ、再生画像を消去するスイッチを含む。また、JPEG及びMPEG圧縮の各圧縮率と、撮像素子の信号をそのままデジタル化して記録するCCDRAWモードとを選択する圧縮モードスイッチを含む。その他、レリーズスイッチ半押し状態でAFの合焦状態を保ち続けるワンショットAFモードと連続してAF動作を続けるサーボAFモードとを設定するAFモード設定スイッチ等を含む。
【0039】
電源スイッチ72は、撮像装置100の電源オン、電源オフの各モードを切り替え設定することができる。また、撮像装置100に接続されたレンズユニット150、記録媒体等の各種付属装置の電源オン、電源オフの設定も合わせて切り替え設定することができる。
【0040】
第1シャッタースイッチ62は、撮像装置100に設けられたシャッターボタン61の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でONとなり、第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF処理、AE処理、AWB処理、EF処理等の撮影準備動作を開始する。
【0041】
第2シャッタースイッチ64は、シャッターボタン61の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部50は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部22からの信号読み出しから、撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体200に書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0042】
電源制御部80は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部80は、その検出結果及びシステム制御部50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。電源部30は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、リチウムイオン電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0043】
記録媒体I/F18は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースである。記録媒体200は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0044】
通信部54は、無線または有線ケーブルによって接続し、映像信号や音声信号の送受信を行う。通信部54は無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続可能である。また、通信部54は、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energyでも外部機器と通信可能である。通信部54は撮像部22で撮像した画像(ライブビュー画像を含む)や、記録媒体200に記録された画像を送信可能であり、また、外部機器から画像やその他の各種情報を受信することができる。
【0045】
姿勢検知部55は、重力方向に対する撮像装置100の姿勢を検知する。姿勢検知部55で検知された姿勢に基づいて、撮像部22で撮影された画像が、撮像装置100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像であるかを判別することができる。システム制御部50は、姿勢検知部55で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部22で撮像された画像の画像ファイルに付加したり、画像を回転して記録したりすることができる。姿勢検知部55としては、加速度センサーやジャイロセンサー等を用いることができる。なお、この加速度センサーやジャイロセンサーを用いて、撮像装置100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止しているか否か等)を検知することも可能である。
【0046】
<第1の実施形態>
以下、
図3~
図6を参照して、本発明の第1の実施形態における、複数の表示デバイスのカラーバランスを調整する制御方法について説明する。
図3は、システム制御部50が、表示部28及びEVF29のカラーバランスを調整する制御を示すフローチャートである。
【0047】
撮像装置100の電源スイッチ72が操作されると、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開して、システム制御部50が起動する。このフローチャートは、システム制御部50が、メニューボタン81が押されたと判断し、表示部28もしくはEVF29に、撮像装置100の設定メニュー画面を表示するところから開始する。
【0048】
S101では、操作部70への操作により、表示部28及びEVF29に表示された設定メニュー画面において、カラーバランスを調整するメニューが選択されたかどうかを、システム制御部50が判別する。ここで、このときの選択に用いられる設定メニュー画面について説明する。
【0049】
図4(a)は、メニューボタン81が操作されたときに表示部28もしくはEVF29に表示される撮像装置100の種々の設定をするための設定メニュー画面の一例である。ユーザーが操作部70を操作して選択カーソル221を合わせて決定操作をすると、各種の設定を行う画面に表示が切り替わる。ここで、ユーザーが「モニター/ファインダーのカラーバランス」に選択カーソル221を合わせた状態で決定操作すると、システム制御部50は、カラーバランス調整が選択されたと判断する。カラーバランス調整が選択されたと判断したときはS102へ進み、そうでない場合はS106へ進む。
【0050】
S102において、システム制御部50は、表示部28及びEVF29のカラーバランスとして、デフォルトのカラーバランスと異なるカラーバランスが選択されたかどうかを判別する。なお、デフォルトのカラーバランスとは、例えば、撮像装置100の工場出荷時に設定されたカラーバランス等の予め決められたカラーバランスを指す。
【0051】
図4(b)は、このときのカラーバランス設定画面の一例を示す。
図4(b)において、1~4は、撮像装置100に設定されたカラーバランスの番号を示している。カラーバランスの一例としては、例えば、印刷業界の標準のカラーバランス、日本の放送基準のカラーバランス、sRGB標準のカラーバランス等がある。ユーザーが操作部70を操作して選択カーソル222を1~4と表示されている各種設定のいずれかに合わせてセットボタン224を操作をすることで、選択することができる。このように複数のカラーバランスを1~4に示す選択肢として予め設定しておくことで、ユーザーは所望のカラーバランスを容易に選択することができる。なお、カラーバランスの選択肢は、4つに限られるものでは無く、また、上述したカラーバランスの種類に限られるものでもない。
【0052】
また、欄223には、選択カーソル222により選択中のカラーバランスの種類が表示される。ここでは、選択カーソル222により選択中の「2」に、「sRGB標準」が設定されている場合を表している。なお、1~4の数字の代わりに、設定したカラーバランス名を表示してもよく、その場合、欄223は無くてもよいし、現在撮像装置100に設定されているカラーバランス名を表示してもよい。
【0053】
デフォルトのカラーバランスとしては、1~4に設定されたカラーバランスのうち、任意のカラーバランスを設定しておくことができるが、ここでは一例として、「sRGB標準」とする。
【0054】
S102において、セットボタン224が操作されたときに、選択カーソル222がデフォルトのカラーバランスと異なるカラーバランスが選択されたと判断した場合(例えば、「1」、「3」、「4」のいずれかが選択された場合)には、S103に進む。一方、デフォルトのカラーバランスが選択されたと判断した場合(例えば、「2」が選択された場合)には、S104に進む。
【0055】
S103及びS104では、カラーバランスの調整値を求めるが、S103及びS104では、表示部28とEVF29のカラーバランスの調整を連動して行う。その目的は、例えば、外部の表示モニタのカラーバランスに近づけるもので、例えば、印刷業界の標準のカラーバランスや、日本の放送基準のカラーバランス等がある。そのため、設定できるカラーバランスの調整幅は、後述する微調整で設定可能な調整幅と比べて広く(例えば、色温度で約5000K~9000K)、分解能は低い。また、上述の通り、外部の表示モニタのカラーバランスに近づける目的のため、選択できる設定数は少ない(
図4(b)に示す例では4種類)。これにより、ユーザーは煩雑さを感じることなく、所望のカラーバランスを選択することができる。以降、S103及びS104で行う表示部28とEVF29とを連動したカラーバランス設定を、「メインカラーバランス設定」と呼ぶ。
【0056】
S103において、システム制御部50は、S102で選択したカラーバランスとなるように、調整値を演算する。このとき、デフォルトのカラーバランス設定を示す初期値は、不揮発性メモリ56に、表示部28とEVF29とで個別に予め記憶されている。S103では、この初期値を読み出すと共に、表示部28とEVF29それぞれについて初期値からの調整値を算出する。
【0057】
S104では、予め不揮発性メモリ56に記録された、表示部28及びEVF29各々のデフォルトのカラーバランス設定値を示す初期値を読み出す。なお、ここでは調整値は算出しない。
【0058】
S105では、S103或いはS104で得られた初期値及び、算出されていれば調整値を使って、表示部28及びEVF29のカラーバランスを調整する。具体的には、画像データに初期値及び調整値をかけるための設定を行い、画像データが表示されるときに、調整されたカラーバランスとなるようにする。なお、システム制御部50は、このときの調整値を不揮発性メモリ56に初期値とは別に記憶する。これにより、撮像装置100の電源スイッチ72が操作されて電源オフ状態に入り、のちに再起動したときでも、調整値を読み出すことで、S102で選択されたカラーバランスとなるように表示部28及びEVF29を調整することができる。
【0059】
S106では、操作部70が操作されて、表示部28及びEVF29に表示された設定メニュー画面において、EVF29のカラーバランスを微調整するメニューが選択されたかどうかを、システム制御部50が判別する。この時の選択に用いられる設定メニュー表示画面を、
図5(a)に示す。
【0060】
図5(a)は、メニューボタン81が操作されたときに表示部28もしくはEVF29に表示される撮像装置100の種々の設定をするための設定メニュー画面の一例である。ユーザーが操作部70を操作して選択カーソル221を合わせて決定操作をすると、各種の設定を行う画面に表示が切り替わる。ここで、ユーザーが「ファインダーのカラーバランス微調整」に選択カーソル221を合わせた状態で決定操作すると、システム制御部50は、カラーバランス微調整が選択されたと判断してS107に進み、そうでない場合はS101へ戻る。
【0061】
以下の処理で行うカラーバランス微調整は、撮像装置100のEVF29のカラーバランスを、表示部28のカラーバランスに近づけることを目的としている。EVF29と表示部28のカラーバランスの差は、メインカラーバランス設定時と比べて小さいため、設定できるカラーバランスの調整幅を、メインカラーバランス設定時と比べて狭く、また、設定分解能は十分高いもの(例えば、色温度の単位幅で約100K)とする。
【0062】
S107では、システム制御部50が接眼検知部57からの通知を受け、接眼が検出されたか否かを判定する。接眼を検出した場合はS109へ進み、接眼を検出しなかった場合はS108へ進む。
S108では、システム制御部50が、EVF29を覗いてカラーバランスの確認をする旨をユーザーに促すコメントを表示部28上に表示し、S107に戻る。
【0063】
図5(b)は、S108で表示部28に表示するEVF29のカラーバランス微調整画面の一例を示す。EVF29のカラーバランスの微調整の効果は、ユーザーがEVF29をのぞき込んで確認する必要がある。従って、ユーザーにEVF29を見て微調整をするように促すコメント226を表示部28に表示する。このとき、表示部28上でEVFカラーバランス設定が行えるようにしてもよいし、そうでなくてもよい。
【0064】
図5(c)は、S110で表示されるEVF29のカラーバランス微調整画面の設定画面の一例である。EVF29のカラーバランスの微調整には、例えばグリーン(G)‐マゼンダ(M)、ブルー(B)‐アンバー(A)の二軸の色方向にカラーバランスを調整可能な設定画面を表示する。カーソル225をマトリックスの各座標に合わせることで、EVF29のカラーバランスを微調整することができる。このように、設定を2次元マトリックス座標で行えるようにすることで、ブルーとグリーンの中間色等、1次元座標では難しい設定を、ユーザーが直感的に選択することができる。このとき、2次元マトリックス座標の中心座標を、S105で設定したメインカラーバランス設定の調整値とする。また、各座標の調整値を選択可能であるため、メインカラーバランス設定で選択可能な調整設定数と比べて、その分解能は十分に高く、選択可能な調整設定数は多い。これにより、ユーザーはメインカラーバランス設定で設定した調整値を、更に微調整することができる
。
【0065】
S109では、システム制御部50が、
図5(c)のようなEVF29のカラーバランス微調整画面においてユーザーがEVF
29のカラーバランス設定を変更したかどうかを判別する。ユーザーがカラーバランス設定を変更していないとシステム制御部50が判断した場合、すでにEVF29のカラーバランスは微調整済みであるため、そのまま処理を終了する。そうでない場合、すなわちユーザーがカーソル225を移動することによってカラーバランス設定を変更した場合、S110へ進む。
【0066】
S110では、カーソル225の位置座標に基づいてEVF29のカラーバランスの微調整値を選択し、選択したカラーバランスとなるように、EVF29のカラーバランス設定の調整値を、システム制御部50が演算する。
なお、本実施形態では、メインカラーバランス設定の変更後に、カーソル225の位置座標を2次元マトリックス座標の中心座標(デフォルト)に戻しているが、それに限られない。つまり、メインカラーバランス設定の変更前のカーソル225の位置座標を不揮発性メモリ56に記憶しておき、メインカラーバランス設定の変更時に、記憶しておいたカーソル225の位置座標にも基づいて調整値を算出しても良い。
【0067】
S111では、システム制御部50が、S110で演算した調整値を使って、EVF29のカラーバランス設定を調整する。このとき、システム制御部50は、メインカラーバランス設定時の調整値に基づいて調整演算を行う。これにより、メインカラーバランス設定で設定したEVF29のカラーバランスを、表示部28に合わせて微調整することができる。このときの調整値は、不揮発性メモリ56に初期値とは別に記憶する。これにより、撮像装置100は電源スイッチ72が操作されて電源オフ状態に入り、のちに再起動したときでも、調整値を読み出すことで、S102で選択されたカラーバランスにおいて、微調整されたEVF29のカラーバランスを設定することができる。
以降、表示部28のカラーバランスに合わせるためのEVF29の微調整を、「サブカラーバランス設定」と呼ぶ。
【0068】
図6は、S111で不揮発性メモリ56に記憶しておく、EVF29のメインカラーバランス設定及びサブカラーバランス設定による調整値の内容について記載した図である。
【0069】
図6(a)は、メインカラーバランス設定を実行後、サブカラーバランス設定を実行前の状態でのEVF29の調整値の座標と調整値を示している。
図6(a)において、設定No.は、
図4(b)に示すメインカラーバランス設定の選択肢1~4に対応し、調整値はS103で算出された各カラーバランスに対応する調整値またはデフォルトのカラーバランスの調整値である。また、サブカラーバランス設定の座標は、
図5(b)及び(c)に示す2次元マトリックス座標の座標を示している。ここで、メインカラーバランス設定での調整値によらず、初期状態ではサブカラーバランス設定時のEVF29の調整値の座標は原点として記憶されており、調整値はメインカラーバランス設定の調整値と同じである。
【0070】
図6(b)は、メインカラーバランス設定を実行後に、サブカラーバランス設定を実行した後の、座標と調整値を示している。デフォルトのカラーバランスである設定No.2に対しては、サブカラーバランス設定を行わないので、
図6(a)と同じ座標(0,0)及び調整値Bが維持される。一方、デフォルトのカラーバランス以外の設定No.1,3,4に対しては、サブカラーバランス設定で設定された座標及び微調整後の調整値により更新される。
【0071】
このように、メインカラーバランス設定による調整値と、サブカラーバランス設定時の座標及び微調整後の調整値とを関連付けて記憶しておくことで、カラーバランスの指定が変わったときに、関連付けられたサブカラーバランス設定後の調整値を読み出すことができる。これにより、ユーザーは、カラーバランスの各選択肢に対してEVF29のカラーバランスを各1回微調整しておけばよく、メインカラーバランスを変える度にサブカラーバランス設定を行う必要が無くなるため、ユーザー操作の煩雑さを軽減することができる。
また、EVF29を再び微調整したい場合には、
図5(c)に示す2次元マトリックスのカーソル225をカラーバランス設定後の座標に表示することで、現在のカラーバランスからの微調整を行うことができる。
【0072】
以上のように、メインカラーバランス設定により、表示部28及びEVF29のカラーバランスを連動して設定することで、外部モニタのカラーバランスと、撮像装置100の表示部28及びEVF29のカラーバランスとを、簡易に近づけることができる。さらに、サブカラーバランス設定により、表示部28とEVF29とのカラーバランスの差を微調整することで、外部モニタ、撮像装置100の表示部28、及びEVF29の3つの異なる表示デバイス(表示装置間)のカラーバランスを更に近づけることができるようになる。
【0073】
また、表示部28及びEVF29のカラーバランスを連動してメインカラーバランス設定で粗調整してから、EVF29のカラーバランスのみサブカラーバランス設定で微調整できるようにした。これにより、表示部28とEVF29のカラーバランスをそれぞれ別々に設定する制御方法と比べて、調整点数を大幅に削減でき、ユーザーが感じる煩雑さを軽減することができる。
【0074】
なお、上述した例では、S109において、デフォルトのカラーバランスが選択されていると判断された場合に、サブカラーバランス設定を行わないものとして説明した。しかしながら、経年劣化等により表示部28とEVF29とのカラーバランスが初期値から異なってしまった場合に備えて、デフォルトのカラーバランスが選択されている場合にもサブカラーバランス設定を行えるように制御してもよい。
【0075】
また、上述した例では、S107で接眼を検出した後にS109でデフォルトのカラーバランスが選択されているかどうかを判断したが、S107の前にS109の判定を行ってもよい。その場合、デフォルトのカラーバランスが選択されていればサブカラーバランス設定を行わないため、接眼検出を行わなくてもよい。また、デフォルトのカラーバランスが選択されているために微調整を行わない旨のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0076】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は、第2の実施形態において、システム制御部50が表示部28とEVF29のカラーバランスを調整する制御を示すフローチャートである。
【0077】
撮像装置100の電源スイッチ72が操作されると、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開して、システム制御部50が起動する。このフローチャートは、システム制御部50が、メニューボタン81が押されたと判断し、表示部28もしくはEVF29に、
図5(a)に示す撮像装置100の設定メニュー画面を表示するところから開始する。
【0078】
S201では、システム制御部50が接眼検知部57からの通知を受け、接眼が検出されたか否かを判定する。接眼を検出した場合はS202へ進み、接眼を検出しなかった場合は
図3のS101へ進み、上述した第1の実施形態で説明した処理を実施する。
【0079】
S202からS206では、S101からS105と同様の処理を行うため説明を省略が、このときのカラーバランス設定画面の表示先はEVF29となる。
【0080】
S207では、システム制御部50が、上述した
図5(c)に示すサブカラーバランス設定の設定画面をEVF29に表示する。
【0081】
S208からS210では、S109からS111と同様の処理を行うため、説明を省略する。
【0082】
第1の実施形態では、メインカラーバランス設定の設定メニューと、サブカラーバランス設定の設定メニューを、ユーザーが各々選択して実行する構成であった。第2の実施形態の構成によれば、ユーザーがEVF29をのぞき込んでいる場合は、メインカラーバランス設定を実行した後に、続けてサブカラーバランス設定を行うことができる。両設定を一連の作業で行うことができるため、設定の煩雑さをより軽減することができる。
【0083】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図8は、第3の実施形態において、システム制御部50が表示部28とEVF29のカラーバランスを調整する制御を示すフローチャートである。
【0084】
撮像装置100の電源スイッチ72が操作されると、不揮発性メモリ56に記録されたプログラムをシステムメモリ52に展開して、システム制御部50が起動する。このフローチャートは、システム制御部50が、メニューボタン81が押されたと判断し、表示部28もしくはEVF29に、
図5(a)に示す撮像装置100の設定メニュー画面を表示するところから開始する。なお、
図8において、
図3に示す処理と同様の処理には同じ参照番号を付して、適宜説明を省略する。
【0085】
S103で初期値及び調整値を取得すると、S305において、システム制御部50は、算出した調整値に基づいて、表示部28及びEVF29の表示輝度がどれだけ低下するかを表す輝度低下量を算出する。
【0086】
そしてS306において、システム制御部50は、S305で算出した輝度低下量に基づいて、輝度補正値を算出し、表示部28及びEVF29のカラーバランスを補正する。具体的には、画像データに初期値、調整値、輝度補正値をかけるための設定を行い、画像データが表示されるときに、調整されたカラーバランスとなるようにする。これは、表示データを構成するRed、Green、Blue各信号にゲインをかける方式でカラーバランスを調整する方式の場合、カラーバランスの調整を行うことで、表示輝度が低下することがあるためである。そのため、カラーバランスの調整による輝度低下量を演算し、補正しておく。例えば、表示部28やEVF29の不図示の光源に対する輝度補正値を設定することになる。算出した輝度補正値は、S103で算出したメインカラーバランス設定による調整値に関連付けて、不揮発性メモリ56に記憶しておく。このとき、不揮発性メモリ56に記憶するのは表示部28とEVF29のそれぞれの輝度補正値となる。
【0087】
そして、S110でサブカラーバランス設定の調整値を算出した後、S313において、システム制御部50は、S110で算出した調整値に基づいて、EVF29の表示輝度がどれだけ低下するかを表す輝度低下値を演算する。
【0088】
S314は、S313で算出した輝度低下量をもとに、システム制御部50が輝度補正値を算出し、EVF29の表示データに補正値を反映させる。算出した輝度補正値はS110で算出したサブカラーバランス設定による調整値に関連付けて、不揮発性メモリ56に記憶しておく。
【0089】
上記の通り第3の実施形態によれば、表示部28とEVF29のカラーバランスを調整するときに発生する表示輝度の低下を補正することにより、いずれのカラーバランスを選択しても表示部28とEVF29の表示輝度を一定に保つことができる。
【0090】
なお、本実施形態ではEVF29のみ微調整できる構成としたが、表示部28のみ微調整できる構成としても構わないし、メインカラーバランス設定の後に各々の表示デバイスのカラーバランスを微調整可能とする構成としても構わない。
【0091】
また、カラーバランスの調整方法としては、上述した調整方法に限られるものでは無く、公知の調整方法を用いてもよい。更に、第3の実施形態における輝度補正の補正方法についても、公知の調整方法を用いてもよい。
【0092】
また、
図4(b)に示す例では、メインカラーバランス設定時のカラーバランスの選択数を4つとしたが、本発明はこれに限られるものでは無く、任意の複数の数であってよい。また、カラーバランス調整の調整幅及び調整分解能ついても上述した例に限られるものでは無い。
【0093】
また、
図5(b)に示す例では、サブカラーバランス設定時のEVFのカラーバランス微調整の設定画面の表示に2次元マトリックス座標を使って表したが、本発明はこれに限られるものでは無く、他の設定画面を用いてもよい。また微調整におけるカラーバランス調整の調整幅及び調整分解能についても、操作性が煩雑にならない範囲、且つ目視での変化が認められる範囲であればよい。
【0094】
また、第1の実施形態では、
図5(b)に示すように、表示部28の表示上にEVF29をのぞいてEVF29のカラーバランスの確認を促す表示を出したが、通知の仕方はこれに限られるものではない。例えば、音声や記号等を用いてもよい。
【0095】
また、本実施形態におけるメインカラーバランス設定の調整値やサブカラーバランス設定の調整値の算出方法は、任意であってよい。
【0096】
また、本実施形態では、メインカラーバランス設定の調整値に対してサブカラーバランス設定の調整値を不揮発性メモリ56に記憶させるものとしたが、記憶させる内容については任意であってよい。
【0097】
なお、本実施形態では、各メインカラーバランス設定においてEVFのカラーバランスを各1回微調整する構成とした。しかし、ある1つのメインカラーバランスにおける微調整設定時の座標シフト値を、残りのメインカラーバランスにおける微調整設定に一括で適用できる構成としても構わない。いずれのメインカラーバランスにおいても、表示部28とEVF29との間の色差方向は同じ傾向にある。従って、微調整の調整値を一括で仮設定しておくことで、各メインカラーバランス設定に対する各微調整をより簡易に行える。また、あるメインカラーバランス設定に対する微調整の調整値を、残りのメインカラーバランス設定に対する微調整の調整値に一括で反映するためのメニューを設けてもよい。
【0098】
<他の実施形態>
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0099】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0100】
100:撮像装置、28:表示部、29:EVF、50:システム制御部、56:不揮発性メモリ、57:接眼検知部、70:操作部