(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】給送装置、記録装置及び給送装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 19/10 20060101AFI20240726BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20240726BHJP
B65H 23/185 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B65H19/10 A
B41J15/04
B65H23/185
(21)【出願番号】P 2020043331
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島村 健史
(72)【発明者】
【氏名】張替 亮
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-217139(JP,A)
【文献】特開平03-227860(JP,A)
【文献】特開平01-267240(JP,A)
【文献】米国特許第06024321(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/10
B41J 15/04
B65H 23/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートがロール状に巻かれたロールシートを回転可能に支持するロール支持手段と、
前記ロール支持手段で支持された前記ロールシートを、前記ロールシートから前記シートを搬送経路に送り出すための第一の回転方向と前記第一の回転方向と逆の第二の回転方向とに回転させる駆動手段と、
前記ロールシートの外周面に第一の位置で当接可能に設けられた当接部と、
前記外周面に
、前記第一の回転方向で前記第一の位置
から離間した第二の位置で当接する回転体と、を備え、
前記ロールシートの周方向で前記第一の位置と前記第二の位置との、狭い側の間が前記搬送経路の入口を形成し、
前記駆動手段で前記ロールシートを前記第一の回転方向に回転させ、前記第一の位置と前記第二の位置との間を通過したシートの先端を前記搬送経路に導入する給送装置であって、
前記回転体は、前記第二の位置において前記ロールシートの前記外周面に当接する当接位置と、前記外周面に当接しない退避位置とに変位可能であり、
前記回転体は、前記第二の位置において、前記ロールシートが前記第一の回転方向に回転するときに前記ロールシートと従動して回転せず、前記ロールシートが前記第二の回転方向に回転するときに前記ロールシートと従動して回転する、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給送装置であって、
前記第一の位置と前記第二の位置とは、これらの間を前記シートの先端が通過することにより前記搬送経路に該先端が導入されるように設定され
、
前記駆動手段は、
前記搬送経路に前記シートの先端を導入する場合に、前記第一の回転方向に、前記外周面に当接した前記当接部、前記外周面に当接した前記回転体、前記ロールシートの先端の順にこれらが位置した状態で、前記第一の位置と前記第二の位置との間に前記シートの弛みが形成されるように前記ロールシートを前記第一の回転方向に回転させ、その後、前記先端が前記第二の位置を通過するまで、前記ロールシートを前記第二の回転方向に回転させる、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の給送装置であって、
前記当接部は、前記ロールシートの回転に従動して回転する少なくとも一つの自由回転体を備える、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3のいずれか一項に記載の給送装置であって、
前記搬送経路に前記シートの先端を導入する前に、前記シートの先端を検知する先端検知手段を備える、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の給送装置であって、
前記駆動手段は、前記先端検知手段の検知結果に基づいて、前記搬送経路に前記シートの先端を導入する場合に、前記ロールシートを前記第二の回転方向に回転させる回転量を決定する、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の給送装置であって、
前記駆動手段は、前記先端検知手段の検知結果に基づく前記シートの先端の位置と前記第二の位置との間の距離以上に、前記シートの先端が移動するように、前記ロールシートを前記第二の回転方向に回転させる回転量を決定する、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の給送装置であって、
前記回転体を支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、前記回転体を前記当接位置に位置させる作動位置と、前記回転体を前記退避位置に位置させる退避位置とに回動自在に設けられ、
前記先端検知手段は、前記支持部材に支持されている、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項8】
請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載の給送装置であって、
前記ロールシートの巻径を検知する巻径検知手段を備え、
前記駆動手段は、前記巻径検知手段の検知結果に基づいて、前記搬送経路に前記シートの先端を導入する場合に、前記ロールシートを前記第一の回転方向に回転させる回転量及び前記第二の回転方向に回転させる回転量を決定する、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の給送装置であって、
前記巻径検知手段は、前記回転体が前記当接位置にある場合の前記回転体と前記ロールシートの回転中心との距離に関わるパラメータを検知する、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項10】
請求項2乃至請求項9のいずれか一項に記載の給送装置であって、
前記第一の位置と前記第二の位置との間に形成された前記シートの弛みの大きさを検知する弛み検知手段を備え、
前記駆動手段は、前記弛み検知手段の検知結果に基づいて、前記搬送経路に前記シートの先端を導入する場合に、前記ロールシートの前記第一の回転方向の回転を停止する、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項11】
シートがロール状に巻かれたロールシートを回転可能に支持するロール支持手段と、
前記ロール支持手段で支持された前記ロールシートを、前記ロールシートから前記シートを搬送経路に送り出すための第一の回転方向と前記第一の回転方向と逆の第二の回転方向とに回転させる駆動手段と、
前記ロールシートの外周面に第一の位置で当接可能に設けられた当接部と、
前記外周面に、前記第一の回転方向で前記第一の位置から離間した第二の位置で当接する回転体と、を備え、
前記ロールシートの周方向で前記第一の位置と前記第二の位置との、狭い側の間が前記搬送経路の入口を形成し、
前記駆動手段で前記ロールシートを前記第一の回転方向に回転させ、前記第一の位置と前記第二の位置との間を通過したシートの先端を前記搬送経路に導入する給送装置であって、
前記回転体は、前記第二の位置において、前記ロールシートが前記第一の回転方向に回転するときに前記ロールシートと従動して回転せず、前記ロールシートが前記第二の回転方向に回転するときに前記ロールシートと従動して回転し、
前記ロール支持手段に支持された前記ロールシートを覆うカバー部材を備え、
前記当接部はアーム部材を介して前記カバー部材に支持され、かつ、弾性部材によって前記ロールシートの外周面に付勢される、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項12】
シートがロール状に巻かれたロールシートを回転可能に支持するロール支持手段と、
前記ロール支持手段で支持された前記ロールシートを、前記ロールシートから前記シートを搬送経路に送り出すための第一の回転方向と前記第一の回転方向と逆の第二の回転方向とに回転させる駆動手段と、
前記ロールシートの外周面に第一の位置で当接可能に設けられた当接部と、
前記外周面に、前記第一の回転方向で前記第一の位置から離間した第二の位置で当接する回転体と、を備え、
前記ロールシートの周方向で前記第一の位置と前記第二の位置との、狭い側の間が前記搬送経路の入口を形成し、
前記駆動手段で前記ロールシートを前記第一の回転方向に回転させ、前記第一の位置と前記第二の位置との間を通過したシートの先端を前記搬送経路に導入する給送装置であって、
前記回転体は、前記第二の位置において、前記ロールシートが前記第一の回転方向に回転するときに前記ロールシートと従動して回転せず、前記ロールシートが前記第二の回転方向に回転するときに前記ロールシートと従動して回転し、
前記当接部は、前記回転体よりも高い位置に位置し、
前記当接部と前記回転体との間の高さに、前記搬送経路の
前記入口が位置している、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の給送装置であって、
前記回転体は、ワンウエイクラッチを有することにより、前記第一の回転方向の前記ロールシートの回転に従動せず、前記第二の回転方向の前記ロールシートの回転に従動して回転する、
ことを特徴とする給送装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の給送装置と、
前記給送装置から給送されたシートに画像を記録する記録手段と、を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項15】
ロールシートを、前記ロールシートからシートを搬送経路に送り出すための第一の回転方向と前記第一の回転方向と逆の第二の回転方向とに回転させる駆動手段と、
前記ロールシートの外周面に第一の位置で当接可能に設けられた当接部と、
前記外周面に
、前記第一の回転方向で前記第一の位置
から離間した第二の位置で当接する回転体と、を備え、
前記ロールシートの周方向で前記第一の位置と前記第二の位置との、狭い側の間が前記搬送経路の入口を形成し、
前記駆動手段でロールシートを前記第一の回転方向に回転させ、前記第一の位置と前記第二の位置との間を通過したシートの先端を前記搬送経路に導入する給送装置の制御方法であって、
前記第一の位置と前記第二の位置とシートの先端とを順に配置する第一の工程、
前記回転体をロールシートに従動させない状態で、前記駆動手段でロールシートを前記第一の回転方向に回転させる第二の工程、及び、
前記回転体をロールシートに従動回転させる状態で、前記先端が前記第二の位置を通過するまで、ロールシートを前記第二の回転方向に回転させる第三の工程を備える、
こと特徴とする
給送装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロールシートの給送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ロールシートからシートを引き出して装置内へ導入する際、ユーザーの手を煩わせることを軽減するために、給送動作の一部を自動化する技術が提案されている。特許文献1には、ロールシートの先端が、ロールシートの外周面から自重によって分離したことを検知したことを契機として、ロールシートをシートの送り出し方向に回転させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置による方法は、シートの先端がロールシートから自重によって剥離しにくい方向から搬送経路に搬送する場合に適用できない。
【0005】
本発明は、ロールシートの先端をより確実に搬送経路に導入可能な技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
シートがロール状に巻かれたロールシートを回転可能に支持するロール支持手段と、
前記ロール支持手段で支持された前記ロールシートを、前記ロールシートから前記シートを搬送経路に送り出すための第一の回転方向と前記第一の回転方向と逆の第二の回転方向とに回転させる駆動手段と、
前記ロールシートの外周面に第一の位置で当接可能に設けられた当接部と、
前記外周面に、前記第一の回転方向で前記第一の位置から離間した第二の位置で当接する回転体と、を備え、
前記ロールシートの周方向で前記第一の位置と前記第二の位置との、狭い側の間が前記搬送経路の入口を形成し、
前記駆動手段で前記ロールシートを前記第一の回転方向に回転させ、前記第一の位置と前記第二の位置との間を通過したシートの先端を前記搬送経路に導入する給送装置であって、
前記回転体は、前記第二の位置において前記ロールシートの前記外周面に当接する当接位置と、前記外周面に当接しない退避位置とに変位可能であり、
前記回転体は、前記第二の位置において、前記ロールシートが前記第一の回転方向に回転するときに前記ロールシートと従動して回転せず、前記ロールシートが前記第二の回転方向に回転するときに前記ロールシートと従動して回転する、
ことを特徴とする給送装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロールシートの先端をより確実に搬送経路に導入可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る記録装置の外観図。
【
図2】(A)は
図1の記録装置の内部構造を示す模式図、(B)は回転体の断面図。
【
図9】給送装置の制御処理例を示すフローチャート。
【
図11】
図10の例の給送装置の制御処理例を示すフローチャート。
【
図13】
図12の例の給送装置の制御処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
<記録装置の概要>
図1は本実施形態における記録装置1の外観図である。
図2(A)は記録装置1の内部構造を示す模式図である。図中、Xは記録装置1の幅方向(左右方向)を示し、Yは記録装置1の奥行き方向(前後方向)を示し、Zは上下方向を示す。本実施形態では、シリアル型のインクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明するが、本発明は他の形式の記録装置にも適用可能である。
【0011】
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施形態では記録対象である「記録媒体」としてシート状の紙を想定するが、シート状の布、プラスチック・フィルム等であってもよい。
【0012】
記録装置1は、一対の脚部5に支持されている。記録装置1の奥側(後ろ側)には給送装置2が備えられ、手前側(前側)に排紙トレイ3が備えられている。記録装置1の上面にはユーザが様々な設定やコマンドを入力したり、情報を確認したりするための操作パネル6が設けられている。
【0013】
記録装置1は、ロールシート100からシートSを引き出して画像を記録可能な装置である。シートSは連続した一枚のシートであり、ロールシート100は、筒状の芯材にシートSがロール状に巻かれたものである。ロールシート100はシートSのうち、特にロール状の部分を指す。
【0014】
給送装置2は、ロールシート100を回転可能に支持するロール支持ユニット20を備える。ロールシート100の両端部には、その回転中心軸(X方向の軸)を規定するホルダ7が脱着可能に取り付けられる。ユーザはホルダ7が装着されたロールシート100を保持部20aにセットすることで、ロールシート100を記録に使用できる。ロール支持ユニット20はホルダ7のスプール軸を回転自在に支持する左右の保持部20aを有する。保持部20aは谷型の溝であり、その底部にホルダ7の軸部を回転自在に保持する。
【0015】
給送装置2は、ロール支持ユニット20に支持されたロールシート100を覆うカバー部材4を備える。カバー部材4は断面円弧形状の部材であり、ロールシート100を覆うカバー位置(例えば
図2の位置)と、ロールシート100を外部に露出させる退避位置(例えば
図1の位置)との間で開閉可能に設けられている。カバー部材4によりロールシート100をゴミの付着から保護したり、記録中にユーザがロールシート100に触れて記録画像が乱れることを防ぐことができる。
【0016】
給送装置2は、ロール支持ユニット20に支持されたロールシート100を回転させて搬送経路RTに送り出す給送駆動ユニット25を備える。駆動ユニット25は、駆動源である給送モータ25aと、給送モータ25aの駆動力をホルダ7のスプールギヤに伝達する歯車機構等の伝達機構とを備える。給送モータ25aの回転により、ロールシート100のシートSを搬送経路RTに送り出すことができる。
【0017】
ロールシート100をロール支持ユニット20にセットした段階では、シートSの先端を搬送経路RTに導入することが必要となる。給送装置2は、シートSの先端をロールシート100の周面から分離して搬送経路RTへ自動的に導入するための分離ユニットSUを備える。分離ユニットSUの詳細は後述する。
【0018】
搬送経路RTは、上側のガイド部材25Bと下側のガイド部材25Aとの間の空間として形成されている。搬送経路RTの下流端には、搬送ローラ9と従動ローラ10のニップ部が位置している。記録装置1は搬送ローラ9を回転させる駆動ユニット18を備える。駆動ユニット18は、駆動源である搬送モータ18aと、搬送モータ18aの駆動力を搬送ローラ9に伝達する歯車機構等の伝達機構とを備える。搬送モータ18aの駆動により、記録の際、シートSは搬送ローラ9と従動ローラ10に挟持されつつ、これらの回転によって、記録ヘッド13に対向して配置されたプラテン11上に搬送される。
【0019】
プラテン11は、
シートSを下側から支持し、記録ヘッド13とシートSとの隙間を保証する。プラテン11には、複数の吸気孔が形成されており、複数の吸気孔はダクトを介して不図示の吸引ファン(
図3の吸引ファン17)に接続されている。吸引ファン17を駆動することにより、プラテン11の吸気孔に吸引負圧が発生し、シートSをプラテン11上に吸着保持することができる。
【0020】
記録ヘッド13はキャリッジ12に搭載されている。キャリッジ12はX方向(主走査方向)に往復移動可能に支持されている。キャリッジ12は、キャリッジモータ12a(
図3)を駆動源とした駆動機構により往復移動される。
【0021】
記録ヘッド13には、インクを吐出する吐出口(ノズル)が設けられている。インクは不図示のインク貯留部から記録ヘッド13に供給される。キャリッジ12が移動している間に記録ヘッド13からインクがシートS上に吐出される。記録ヘッド13の吐出動作とキャリッジ12の移動によって1ライン分の画像を記録することができる。このような画像の記録と、搬送ローラ9によるシートSの間欠的なY方向(副走査方向)の搬送とを交互に繰り返すことで、頁単位の画像を記録することができる。シートSの搬送方向で記録ヘッド13及びプラテン11よりも下流側にはカッタ16が配置されている。カッタ16は、シートSをX方向に切断する。これによりロールシート100から、画像が記録されたカットシートを得られる。
【0022】
記録装置1は開閉可能な上面カバー8を備えており、上面カバー8を開放することで、キャリッジ12やカッタ16の周辺の機構が外部に露出し、これらのメンテナンスを行うことができる。
【0023】
<分離ユニット>
図2(A)及び
図2(B)を参照して分離ユニットSUを説明する。分離ユニットSUは、回転体23、回転体23を支持する支持部材24及び駆動ユニット26を備える。回転体23は、X方向の軸周りに回転自在に支持部材24に支持され、ロールシート100の外周面に当接可能に設けられている。
【0024】
図2(B)は回転体23の断面図である。回転体23は一方向に自由回転可能
で他方向に回転が規制される自由回転ローラである。具体的には、回転体23は円筒状の本体23a、本体23aの外周面を被覆するゴム23bを有し、ワンウエイクラッチ24dを介して支持軸24cに支持されている。ワンウエイクラッチ24dは、d2方向の回転体23の回転を許容し、d1方向の回転体23の回転に抵抗する。シートSの送り出す際のロールシート100の回転方向をD1、逆回転方向をD2とする。回転体23がロールシート100の外周面に当接している場合、回転体23はD1方向のロールシート100の回転には従動しない。一方、回転体23はD2方向のロールシート100の回転には従動して回転する。ロールシート100のセット後にシートSの先端を搬送経路RTに導入する際、回転体23がロールシート100の外周面に圧接しつつ、ワンウエイクラッチ24dによって従動回転が規制される。これによりシートSの捲り上げを行い、シートSの先端を搬送経路RTに導入する。
【0025】
支持部材24は、一方の端部にガイド部24a及び回転体23を有し、他方の端部において回動軸24bの周りに回動自在に支持されたアーム部材である。ガイド部24aは、搬送経路RTの方向に延設されており、ロールシート100のセット後にシートSの先端を搬送経路RTに導入する際、シートを搬送経路RTに案内する。回転体23がガイド部24aに隣接しているため、回転体23の回転により巻き上げられたシートSの先端をガイド部24aの案内によりスムーズに搬送経路RTに導入できる。
【0026】
駆動ユニット26は、支持部材24を変位させるユニットである。駆動ユニット26は、支持部材24の回動軸24b周りの回動を生じさせる。駆動ユニット26は、電磁ソレノイド(プルソレノイド)26aと、電磁ソレノイド26aのプランジャと支持部材24の端部とを連結する弾性部材26bを備える。弾性部材26bは引っ張りばねである。
【0027】
電磁ソレノイド26aの非駆動状態(OFF状態)では、
図2(A)に示すように支持部材24は自重によりガイド部材25Aに寄り掛かった位置(退避位置)に位置している。このとき、回転体23もロールシート100から離間した退避位置に位置している。電磁ソレノイド26aの駆動状態(ON状態)では、支持部材24の下端部が電磁ソレノイド26aによって引っ張られる。これにより、
図2(A)において回動軸24bを中心として支持部材24が時計回りに回動した作動位置に変位する。このとき、回転体23はロールシート100の外周面に当接した当接位置に位置する。弾性部材26bの弾性力によって、ロールシート100の巻径に関わらず、回転体23とロールシート100の外周面の圧接状態が維持される。このように本実施形態では、支持部材24を退避位置と作動位置とに変位可能(回動可能)に設け、回転体23が退避位置と当接位置とに変位可能に構成されている。
【0028】
<制御装置>
図3を参照して記録装置1の制御装置について説明する。制御装置は、主制御部30と記録制御部34とを備える。主制御部30は、ホスト装置200から画像データとその記録指示を受信し、記録動作を実行する。主制御部30は、処理部31、記憶部32、インタフェース部(I/F部)33を備え、記録装置1の全体を制御する。処理部31はCPUに代表されるプロセッサであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行する。記憶部32はRAMやROM等の記憶デバイスであり、プログラムやデータを記憶する。センサ群SRの検知結果に基づく主制御部30の指示のもと、記録制御部34は搬送モータ18a、吸引ファン17、キャリッジモータ12a、記録ヘッド13、カッタ16、給送モータ25a及び電磁ソレノイド26a等を制御する。センサ群SRには後述するセンサ27等が含まれる。
【0029】
<ロールシートのセット>
図4(A)及び
図4(B)を参照して、ユーザによるロールシート100のセット操作及びセット後の分離ユニットSU及びカバー部材4の構成の配置について説明する。
【0030】
本実施形態のカバー部材4は、X方向の両端部で記録装置本体に回動可能に支持され、回動中心は断面方向から見たときに保持部20aのスプール軸受けの軸中心と略同じ位置に設定されている。この回動中心回りに回動して、カバー部材4は上述したカバー位置と、退避位置とに移動可能である。
図4(A)はカバー部材4が退避位置に位置している状態を示し、
図4(B)はカバー部材4がカバー位置に位置している状態を示している。
【0031】
カバー部材4が退避位置にある場合、ユーザはロールシート100を保持部20aにセット可能である。ユーザは
図4(A)に示すようにロールシート100を保持部20aにセットし、
図4(B)に示すようにカバー部材4をカバー位置に手動操作で移動してセットが完了する。
【0032】
カバー部材4の内面には、当接部21がアーム部材22を介して支持されている。当接部21は、ロールシート100の外周面に当接可能に設けられている。本実施形態の場合当接部21は、
図4(B)に示すようにカバー部材4がカバー位置に位置している場合にロールシート100の外周面に当接する。本実施形態の当接部21とアーム部材22の組が、X方向に離間して複数組、配置されている。各組の当接部21は、ロールシート100の回転に従動して回転する二つのニップローラであり、自由回転体である。二つのニップローラは、X方向の軸周りに回転自在にアーム部材22に支持され、かつ、ロールシート100の周方向に配列されている。本実施形態では、各当接部21を二つのニップローラとしたが、一つのニップローラでもよく、或いは、三以上のニップローラでもよい。また、当接部21はローラに限られず、例えば、ボールキャスタや、先端が球形状或いは円弧形状のピンであってもよい。
【0033】
アーム部材22は、カバー部材4にX方向の軸周りに回動自在に支持されており、その根元部分にはねじりコイルバネ等の弾性部材22aが設けられている。弾性部材22aは、当接部21がロールシート100の外周面に圧接する方向にアーム部材22を付勢する。なお、当接部21をロールシート100の外周面に圧接するために、アーム部材22が弾性部材であってもよい。アーム部材22は、ロールシート100の巻径の変化に対応可能な角度以上、回動するように構成されている。当接部21とロールシート100の外周面との接線は、ロールシート100の巻径に関わらず、搬送経路RTの方向を向くように構成されている。
【0034】
給送装置2は、ロールシート100の外周面上の、シートSの先端検知を行うセンサ27を備えている。本実施形態の場合、センサ27は支持部材24に設けられている。センサ27を支持部材24に支持したことにより、ロールシート100の巻径の変化に関わらず、シートSの先端の位置を検知できる。また、センサ27を支持部材24に設けたことで、回転体23に近い位置でシートSの先端が到達したことを検知することができ、後述する距離Lをより短くすることができる。
【0035】
センサ27は、シートSの端部が通過する前後で出力が変化するセンサであり、例えば光学式センサや、反射型PIセンサ、フラグ式PIセンサを使用することができる。光学式センサは、例えば、発光素子と受光素子とを備える。発光素子はロールシート100の外周面に光を照射し、受光素子がその反射光を受光する。受光量は、センサ27とロールシート100の外周面との距離によって変化する。よって、シートSの端部の通過をセンサ27で検知できる。
【0036】
当接部21と回転体23との配置について説明する。
図5(A)は、当接部21がロールシート100の外周面に当接し、かつ、支持部材24が作動位置に回動して回転体23がロールシート100の外周面に当接した状態を示している。
【0037】
当接部21は、位置P1においてロールシート100の外周面に当接する。位置P1はロールシート100の巻径に応じて多少の変化をする。回転体23は、位置P2においてロールシート100の外周面に当接する。位置P2もロールシート100の巻径に応じて多少の変化をする。
【0038】
位置P1と位置P2とは、これらの間をシートSの先端が通過することにより搬送経路RTにシートSの先端が導入されるように設定されている。換言すると、搬送経路RTは位置P1と位置P2との間の高さに位置している。位置P1と位置P2とは、搬送経路RTの入口を跨るように配置されており、位置P1は入り口の一端側の位置(上側の位置)であり、位置P2は入り口の他端側の位置(下側の位置)である。また、シートSの送り出す際のロールシート100の回転方向D1に関し、位置P2は、位置P1からD1方向に離間した位置に設定されている。このような配置関係によって、以下に述べるようにロールシート100がセットされた際、シートSの端部の搬送経路RTへの導入を自動化する。なお、回転方向D1を正転と呼び、逆の回転方向D2を逆転と呼ぶ場合がある。
【0039】
<自動導入動作>
本実施形態では、
図4(B)に示したように、ロールシート100をユーザがセットすると自動的にシートSの先端を搬送経路RTに導入する導入動作を行う。
図5(A)~
図8(C)は、この自動導入動作の動作例を示している。また、
図9は主制御部30の処理例を示すフローチャートである。
【0040】
図9のS1ではロールシート100がロール支持ユニット20にセットされたか否かを判定する。ロールシート100のセットは不図示のセンサ、又は、操作パネル6に対するユーザのセット完了操作に基づき判定することができる。ロールシート100がセットされたと判定した場合、S2以下の自動導入動作に関わる処理を実行する。
【0041】
図9のS2では
図5(A)に示すように、電磁ソレノイド26aを駆動状態として支持部材24を作動位置に変位させる。回転体23が当接位置に位置し、回転体23はロールシート100の外周面に圧接する。
図9のS3では
図5(B)に示すように駆動ユニット25によりロールシート100をD2方向(シートSを巻き取る方向)に回転する。このとき、回転体23はロールシート100の回転に従動してd2方向に回転する。ロールシート100の回転中、センサ27の検知結果を監視して、シートSの
先端LEがセンサ27により検知されたか否かを判定する(
図9のS4)。
【0042】
ロールシート100を一周分、回転させれば、先端LEはセンサ27を通過する。したがって、シートSの端部LEがセンサ27により検知されていない場合、
図9のS12においてロールシート100を一周分、回転させたか否かを判定する。ロールシート100の回転量は例えば給送モータ25aの回転量から判定することができる。ロールシート100を一周分、回転させていない場合はS4へ戻り、回転させていた場合は
図9のS13へ進む。
【0043】
図9のS13では、シートSの先端LEを検知できないため、ユーザに手動導入を促す報知を行う。報知は例えば操作パネル6の表示により行う。なお、先端LEを検知できない場合としては、ロールシート100として、シートSがなく芯管のみのものがセットされていた場合、先端LEがテープ等でロールシート100の外周面に止められていた場合等が想定される。
【0044】
図6(A)に示すように、ロールシート100の逆転により、シートSの先端LEが時計回りに移動し、やがて
図6(B)に示すように先端LEがセンサ27に到達する。先端LEがセンサ27で検知されると、
図9のS5へ進み、ロールシート100の回転を停止する。先端LEがセンサ27で検知されたとき、先端LEの位置はセンサ27とほぼ同じ位置にある。よって、先端LEから位置P2までの距離Lは既知の距離(設計値)である。
【0045】
次に
図9のS6では、ロールシート100をD1方向に所定量回転する。回転体23はロールシート100のD1方向の回転には従動しない。このため、
図7(A)に示すように、位置P1と位置P2との間にシートSの弛み(ループ)が形成される。詳しく説明する。回転体23のニップ力をN、シートSの表面と裏面の摩擦係数をμ1とする。回転体23の当接点においてシートSに対して反時計回り方向の搬送力F1=N×μ1が発生する。回転体23は、ロールシート100のD1方向の回転には従動しないため、シートSと回転体23との間の摩擦係数μ2とすると、抵抗力F2=N×μ2が発生する。
【0046】
F1<F2となるように回転体23の仕様(表面の素材や形状)を設計することでシートSは回転体23の当接点で動かないが、シートSは当接部21の側から送り出されてくるため、位置P1と位置P2との間にシートSの弛みが形成される。
【0047】
弛みの大きさはシートSの搬送量、つまり、ロールシート100の回転量で制御できる。シートSの搬送量は予め実験などで決定すればよい。ロールシート100の巻径によって、ロールシート100の回転量に対するシートSの搬送量は変化するが、例えば、最大巻径の場合の回転量と、最小巻径の場合の回転量との平均値としてもよい。最大巻径をDmax、最小巻径をDmin、シートSの搬送量をTpとすると、回転量θp=4Tp/(Dmax+Dmin)となる。このとき最大巻径時のループの大きさは、Tpmax=2Dmax/(Dmax+Dmin)×Tp、最小巻径時のループの大きさはTpmin=2Dmin/(Dmax+Dmin)×Tpとなる。
【0048】
このようにして設定した所定量だけロールシート100を正転するとその回転を停止し、
図9のS7へ進む。S7ではロールシート100をD2方向に所定量回転する。回転体23はロールシート100のD2方向の回転には従動して回転する。よって、位置P1と位置P2との間の弛みを維持したまま、シートSの先端LE側の部分がロールシート100に巻き取られる。
図6(B)の距離LだけシートSが巻き取られると、
図7(B)に示すようにシートSの先端LEが位置P2を通過して、当接部21と回転体23との間に抜け出る。こうしてロールシート100の先端LEをより確実に搬送経路RTに導入することができる。更に
図8(A)に示すようにシートSは、その剛性によって平坦な形状に復帰し、ガイド部24aに載置され、以降の給送動作を円滑なものとする。
【0049】
ロールシート100の回転量は、先端LEが位置P2を通過するまでロールシート100が回転するように設定される。回転量は予め実験などで決定すればよい。ロールシート100の巻径によって、ロールシート100の回転量に対するシートSの搬送量は変化するが、例えば、最小巻径の場合を想定して回転量を決定すればよい。具体的にはロールシート100の回転量をθsとすると、θs=2L/Dminと設定すればよい。つまり、シートSの先端LEが、Lで示した距離以上を移動するように回転量を決定する。これにより、確実に、先端LEが回転体23を通過して、搬送経路RTへ導入される。なお、最小巻径の場合を想定して回転量を決定した場合、最大巻径の場合のシートSの搬送量は、搬送量=Dmax/Dmin×Lとなる。距離Lが短いほど、巻き取り量が減る点で有利である。
【0050】
図9のS8で電磁ソレノイド26aを非駆動状態として
図8(B)に示すように支持部材24を退避位置に変位させる。回転体23
はロールシート
100から離間した退避位置に変位する。
図9のS9では駆動ユニット25によりロールシート100をD1方向に回転し、
図8(C)に示すようにシートSを搬送経路RTに送り出す。図
9のS10では搬送ローラ9と従動ローラ10とのニップ部にシートSの先端LEが到達したか否かを判定する。この判定はニップ部近傍に配置された不図示のセンサの検知結果に基づいて行われる。シートSの先端LEがニップ部に到達したと判定した場合はS11へ進み、ロールシート100の回転を停止する。これにより記録装置1は、記録動作の待機状態となる。
【0051】
<第二実施形態>
ロールシート100の巻径検知を行うセンサを設けてもよい。
図10はその一例を示す説明図である。ロールシート100の巻径は、回転体23が当接位置にある場合の回転体23(特に当接点)とロールシート100の回転中心との距離の2倍である決定される。よって、この距離に関わるパラメータを検知することでロールシート100の巻径を検知できる。本実施形態の構成では、支持部材24が退避位置から作動位置へ回動する回動量がこのパラメータにあたる。
図10に示すように、ロールシート100の巻径が大の場合(半径R1)よりも、ロールシートの巻径が小の場合(半径R2)の場合の方が支持部材24の回動量が増える。そこで、支持部材24の回動軸24bの回動量を検知するセンサ27を設け、その検知結果からロールシート100の巻径を検知できることになる。センサ27は例えばロータリエンコーダ等の角度センサである。
【0052】
本実施形態における自動導入動作における制御処理例を
図11を参照して説明する。
図11は、
図9の処理例に代わる制御処理例であり、以下、異なる処理のみを説明する。
【0053】
S1でロールシート100がロール支持ユニット20にセットされたと判定した後、S2に代わるS2’では、電磁ソレノイド26aを駆動状態として支持部材24を作動位置に変位させる。回転体23が当接位置に位置し、回転体23はロールシート100の外周面に圧接する。更に、センサ27の検知結果を取得してロールシート100の巻径Dを演算する。支持部材24の回動量(センサ27の検知結果)とロールシート100の巻径Dとの関係は事前に特定しておいてもよい。或いは、支持部材24の寸法と、ロールシート100の回転中心と、支持部材24の回動量(センサ27の検知結果)から、その都度、計算してもよい。
【0054】
S6’ではロールシート100をD1方向に回転させる回転量を演算する。実験で求めた、シートSの弛みを形成するのに最適なシートSの搬送量をTpとすると、回転量は、回転量=2Tp/Dで演算できる。そして、ロールシート100を、演算した回転量だけ回転する。
【0055】
S7’ではロールシート100をD2方向に回転させる回転量を演算する。回転量は、回転量=2L/Dで演算できる。そして、ロールシート100を、演算した回転量だけ回転する。
【0056】
以上のように、ロールシート100の巻径を検知するセンサ27を備えることで、シートSの弛みを最適化することができる。S7’の処理において、シートSの巻き戻し量を距離Lに精度よく合わせることができ、巻径が大きい場合に巻き戻しすぎることもない。これによりセンサ27の配置自由度を向上できる。
【0057】
<第三実施形態>
位置P1と位置P2との間に形成されるシートSの弛みの大きさを検知するセンサを設けてもよい。
図12(A)はその一例を示す説明図である。図示の例では、上側のガイド部材25Bにセンサ29が設けられている。センサ29は、当接部21と回転体23(当接位置)との間で、搬送経路RT側に位置している。センサ29はセンサ27と同様のセンサを用いることができ、例えば、光学式センサである。発光素子はシートSの弛みの方向に光を照射し、受光素子がその反射光を受光する。受光量は、センサ29と弛みとの距離によって変化する。弛みが大きいと受光量が増え、小さいと受光量が減る。よって、シートSの弛みの大きさを検知できる。
【0058】
本実施形態における自動導入動作における制御処理例を
図13を参照して説明する。
図13は、
図9のS5以下の処理例に代わる制御処理例であり、以下、異なる処理のみを説明する。
【0059】
S5でロールシート100の逆転を停止すると、S21でロールシート100の正転を開始する。ロールシート100の正転開始からセンサ29の検知結果を監視し、S2
2で位置P1と位置P2との間にシートSの所定の大きさの弛みが形成されたか否かを判定する。弛みの大きさ、すなわちセンサ29の検知結果の閾値は予め実験等で求めて設定しておく。
図12(B)は弛みが形成され、これをセンサ29が検知した状況を模式的に示している。
【0060】
S22で所定の大きさの弛みが形成されたと判定すると、S23でロールシート100の逆転を開始する。ロールシート100の逆転開始からセンサ29の検知結果を監視し、S24でシートSの先端LEが回転体23を通過したか否かを判定する。すなわち、センサ29を、先端LEの通過判定用のセンサとしても用いる。先端LEが位置P2を通過すると、
図12(C)に示すように先端LEが自由端となる。シートSの弛みが解消され、
図8(A)に例示したようにシートSの剛性によって平坦な形状に復帰し、ガイド部24aに載置される。センサ29の受光量が低下するので先端LEが回転体23を通過したと判定することができる。そのためのセンサ29の検知結果の閾値は予め実験等で求めて設定しておく。
【0061】
S24でシートSの先端LEが回転体23を通過したと判定した場合はS25でロールシート100の回転を停止する。以下、S8~S11の処理は
図9の例と同じである。
【0062】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0063】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0064】
1 記録装置、2 給送装置、21 当接部、23 回転体