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特許7527125光学制御装置、撮像装置、それらの制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】光学制御装置、撮像装置、それらの制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/00 20210101AFI20240726BHJP
   G03B 17/12 20210101ALI20240726BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20240726BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240726BHJP
【FI】
G03B11/00
G03B17/12 Z
G03B17/14
H04N23/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020071198
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021167901
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 知大
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-066801(JP,A)
【文献】特開2011-107600(JP,A)
【文献】特開2001-264616(JP,A)
【文献】特開2010-026492(JP,A)
【文献】特開2018-005176(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119277(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00
G03B 17/12
G03B 17/14
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に対して交差する同一平面上を移動可能に配置された少なくとも2つの光学部材と、
前記少なくとも2つの光学部材を独立して移動させる駆動手段と、
前記少なくとも2つの光学部材の位置を検出する位置検出手段と、
前記少なくとも2つの光学部材の移動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記少なくとも2つの光学部材のうち、いずれか一方の光学部材を光路に挿入し、いずれか他方の光学部材を光路から退避させる移動を行う場合、前記光路に挿入する光学部材の移動を、少なくとも前記光路から退避する光学部材の移動開始を検出したに開始することを特徴とする光学制御装置。
【請求項2】
前記位置検出手段は、前記少なくとも2つの光学部材が前記光路に挿入された状態である挿入位置と、前記光路から退避された状態である退避位置とを検出可能であることを特徴とする請求項1に記載の光学制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記少なくとも2つの光学部材のいずれか一方を前記光路上に挿入し、いずれか他方を前記光路から退避させる移動を行う場合、前記光路から退避させる光学部材の移動手段に対し退避位置に移動するために必要な駆動量を与え、所定時間経過後に退避位置への到達が検出できない場合、再度退避位置に移動するために必要な駆動量を前記移動手段に与えるリトライ制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の光学制御装置。
【請求項4】
前記リトライ制御において、前記光路に挿入される光学部材の移動は、少なくとも前記光路から退避する光学部材が退避位置に到達した後に開始することを特徴とする請求項3に記載の光学制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記リトライ制御が行われた場合は、少なくとも前記光路から退避する光学部材が退避位置に到達しない間は、前記光路に挿入する光学部材を退避位置に戻す移動を行うことを特徴とする請求項4に記載の光学制御装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの光学部材は、前記同一平面上を移動可能に配置された第1の光学部材および第2の光学部材と、前記第1の光学部材および前記第2の光学部材とは異なる同一平面上を移動可能に配置された第3の光学部材および第4の光学部材とを含み、
前記第1の光学部材および前記第2の光学部材を独立して移動させる第1の駆動手段と、
前記第1の光学部材および前記第2の光学部材の位置を検出する第1の位置検出手段と、
前記第3の光学部材および前記第4の光学部材を独立して移動させる第2の駆動手段と、
前記第3の光学部材および前記第4の光学部材の位置を検出する第2の位置検出手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の光学部材と前記第2の光学部材の切り替え動作における前記光路から退避する移動および前記光路に挿入する移動のタイミングと、前記第3の光学部材と前記第4の光学部材の切り替え動作における前記光路から退避する移動および前記光路に挿入する移動のタイミングを同期させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光学制御装置。
【請求項7】
光軸に対して交差する同一平面上を移動可能に配置された少なくとも2つの光学部材と、
前記少なくとも2つの光学部材を独立して移動させる駆動手段と、
前記少なくとも2つの光学部材の位置を検出する位置検出手段と、を備える光学制御装置の制御方法であって、
前記少なくとも2つの光学部材の移動を制御する制御ステップを備え、
前記制御ステップでは、前記少なくとも2つの光学部材のうち、いずれか一方の光学部材を光路に挿入し、いずれか他方の光学部材を光路から退避させる移動を行う場合、前記光路に挿入する光学部材の移動を、少なくとも前記光路から退避する光学部材の移動開始を検出したに開始することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の光学制御装置が内蔵または追加装着され、
撮影条件に基づいて前記光学制御装置が撮像装置の光路上に挿入される光学部材を選択的に切り替える制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の光学制御装置が内蔵または追加装着される撮像装置の制御方法であって、
撮影条件に基づいて前記光学制御装置が撮像装置の光路上に挿入される光学部材を選択的に切り替えるステップを有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項7または9に記載された制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材の動作を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの撮像装置には、イメージセンサに入射する光学像の特性を変化させる光学部材を制御する光学制御装置として、例えば光学特性が異なる複数の光学フィルタ(NDフィルタやIRカットフィルタなど)が個別に移動可能であり、これらの光学フィルタを個別に移動させて光路上に出没させる光学制御装置が存在する。ユーザは光学制御装置を用いて、撮影環境または撮影意図に応じて、適切な光学フィルタを光路上に配置することによって最適な条件で撮影を行うことができる。
【0003】
特許文献1には、複数の光学フィルタを撮像光学系の光軸と直交する平面上に配置し、同一平面上に2つの光学フィルタを配置することによって小型化、薄型化した光学制御装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-66801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように同一平面上に2つの光学フィルタを配置した構成では、光路上の光学フィルタを切り替える場合に一方の光学フィルタが光路上から退避するのを待ってから他方の光学フィルタの移動を開始する排他動作を行うため、1つの光学フィルタを移動させる場合に比べて時間がかかる。この場合、一方の光学フィルタの光路外への移動と、他方の光学フィルタの光路上への移動を同時に実行することで切替時間を削減することは可能であるが、光学フィルタ同士が接触したり衝突したりする可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、少なくとも2つの光学部材が光軸と交差する同一平面上を移動する場合に、光学部材の切り替えに要する時間を短縮し、光学部材同士が接触または衝突する可能性を低減できる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の光学制御装置は、光軸に対して交差する同一平面上を移動可能に配置された少なくとも2つの光学部材と、前記少なくとも2つの光学部材を独立して移動させる駆動手段と、前記少なくとも2つの光学部材の位置を検出する位置検出手段と、前記少なくとも2つの光学部材の移動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記少なくとも2つの光学部材のうち、いずれか一方の光学部材を光路に挿入し、いずれか他方の光学部材を光路から退避させる移動を行う場合、前記光路に挿入する光学部材の移動を、少なくとも前記光路から退避する光学部材の移動開始を検出したに開始する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少なくとも2つの光学部材が光軸と交差する同一平面上を移動する場合に、光学部材の切り替えに要する時間を短縮し、光学部材同士が接触または衝突する可能性を低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の光学制御装置の外観構成を示す分解斜視図。
図2】実施形態1の光学制御装置の内部構成を示すブロック図。
図3】実施形態1の光学フィルタの動量と検出位置の関係を示す図。
図4】実施形態1の光学フィルタの切替動作に係る制御処理を示すフローチャート。
図5】実施形態2の光学制御装置の内部構成を示すブロック図。
図6】実施形態2の光学フィルタの移動量と検出位置の関係を示す図。
図7】実施形態2の光学フィルタの切替動作に係る制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
以下に、本発明の光学制御装置として、デジタルカメラなどの撮像装置に内蔵または追加装着される光学フィルタ装置に適用した実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態では、撮像装置の光軸方向に対して被写体側を前方側または正面側、撮影者側を後方側または背面側と呼ぶものとする。また、撮像装置の上下方向および左右方向は正位置にある撮像装置を前方から見たときを基準とする。
【0013】
図1に示すように、光学フィルタ装置10は、中空枠状の保持部材101、第1の駆動ユニット102、第2の駆動ユニット103、第1の光学フィルタユニット104、および第2の光学フィルタユニット105を備える。
【0014】
第1の光学フィルタユニット104は、独立して移動可能な光学部材である光学フィルタ106と光学フィルタ108を有し、駆動ユニット102は、モータ107とモータ109を有する。モータ107は後述するモータドライバから供給される電力を動力に変換し、ギアなどの動力伝達機構によって光学フィルタ106の駆動力として変換され、光学フィルタ106は上下方向への移動を可能とする。同様に、光学フィルタ108はモータ109の動力により上下方向への移動を可能とする。なお、本実施形態では、レンズの光軸中心を光軸Rで示す。また、第1の光学フィルタユニット104と第2の光学フィルタユニット105は同様の構成であるので、以下では、第1の光学フィルタユニット104の構成を説明すると共にが、第2の光学フィルタユニット105の説明は省略する。
【0015】
図2は光学フィルタ装置10と、光学フィルタ装置10が装着される撮像装置20の機能ブロックを例示している。
【0016】
撮像装置20がデジタルカメラである場合、被写体像を撮像して画像データを生成し、記憶装置に画像ファイルとして記憶したり、表示装置や外部装置に出力したりする機能を備えているが、これらの構成や機能は既知であるので、本実施形態では詳細は説明しない。
【0017】
撮像装置20は、撮影環境または撮影意図などに応じて、適切な光学フィルタを光路上に配置することによって最適な撮影条件で撮影を行うことができる。
【0018】
なお、光学フィルタ106と光学フィルタ108は、後述する切替動作中以外は予め定めた位置に停止しているものとし、光路上(光軸と交差(直交)する位置上)の停止位置を挿入位置、光路外の停止位置を退避位置と定義する。
【0019】
光学フィルタ装置10は、光学フィルタ106、108、モータ107、109に加えて、光学フィルタ106の位置を検出する位置検出部110と、光学フィルタ10の位置を検出する位置検出部111を備える。光学フィルタ106は、上述したように、上下方向への移動が可能であり、位置検出部110は光学フィルタ106が退避位置に移動したときにオンする退避位置側スイッチと、挿入位置に移動したときにオンする挿入位置側スイッチを含む。位置検出部111も位置検出部110と同様の構成を持ち、光学フィルタ108の退避位置および挿入位置を検出可能である。なお、位置検出部110、111を構成する部材はオンまたはオフに切り替わるスイッチに限らず、フォトインタラプタの受光/遮光により位置を検出する形態や、光学フィルタが備える磁石の磁界変化を検出するホール素子などを用いた形態でもよい。
【0020】
撮像装置20は、光学フィルタ106、108を光軸上に挿入/退避させることで後述する撮像素子201に入射する被写体像の光量を調節する。光学フィルタ106、108の挿入/退避は、撮影者であるユーザの操作に応じて動作する場合と、撮像装置20の自動露出制御により動作する場合がある。
【0021】
撮像装置20は、操作検出部200を備える。操作検出部200は、ユーザの操作情報を検出し、露出制御部204に出力する。ユーザの操作情報は、例えば、撮像装置20に設けられた操作部材などの押下や撮像装置20に接続されたリモコンなどの操作に関する情報である。ユーザ操作により、光学フィルタの挿入/退避、あるいは減光量を直接設定することが可能となる。撮像素子201は被写体像を電気信号に変換するCCDやCMOSなどのイメージセンサを備える。
【0022】
測光部202は、撮像素子201から出力される撮像信号に基づいて輝度情報を検出し、検出した輝度情報を露出制御部204に出力する。露出制御部204は、CPUなどのプロセッサやメモリを含み、測光部202から出力される情報と、操作検出部200から出力される情報のいずれかを用いて光学フィルタの目標減光量を決定する。撮像装置20は、複数の露出モードが選択可能であり、ユーザがメニュー画面を操作するなどして露出モードを設定できるものとする。撮像装置20が、自動で露出を適正に制御するモードに設定されている場合は、測光部202により検出された輝度値と予め決められた適正値との差分に基づいて、撮像素子201に入射する被写体像の輝度値が適正値となるように光学フィルタ106、108で減光すべき目標減光量を決定する。また、ユーザが操作部材により手動で被写体像の輝度値を決定するモードの場合は、操作検出部200により検出されたユーザの操作情報に基づいて光学フィルタの目標減光量を決定する。
【0023】
ここで、露出制御部204において光学フィルタの目標減光量を決定する方法について説明する。
【0024】
減光量算出部207から、現在光路上に挿入されている光学フィルタの減光量を取得する。例えば、光学フィルタ106は光量を2段分減光させる可視光透過率が約25%のNDフィルタであり、光学フィルタ108は光量を4段分減光させる可視光透過率が約6.3%のNDフィルタであるものとする。なお、1段は半減を意味する。光学フィルタ106が挿入位置にある場合、露出制御部204は減光量算出部207から減光量2段という情報が取得できる。ユーザがさらに2段分減光する操作を行った場合、操作検出部200からプラス2段減光の要求が通知される。露出制御部204は、現在の光学フィルタによる減光量2段に対し、ユーザの要求であるプラス2段減光の情報から、目標位置算出部205に対して光学フィルタ目標減光量4段を出力する。なお、上述したように、露出制御部204は自動露出モードの場合は、減光量算出部207から通知される現在の減光量に対し、現在の輝度値と適正輝度値との差分を加算あるいは減算して、光学フィルタの目標減光量を決定する。ただし、撮像素子201に入力する被写体像の光量を減光する装置は光学フィルタ以外の機構と併用してよい。例えば、撮像素子201に入射する光路を狭めることで減光する絞りなどが挙げられる。
【0025】
目標位置算出部205は、露出制御部204から取得した目標減光量から、各光学フィルタの挿入情報/退避情報を算出する。上述した例では、光学フィルタによって減光量4段が目標値として入力されるので、2段減光の光学フィルタ106を退避、4段減光の光学フィルタ108を挿入という目標位置が決定され、光学フィルタ制御部208に出力される。光学フィルタ制御部208は、CPUなどのプロセッサやメモリを含み、目標位置算出部205から入力された各光学フィルタの目標位置へ光学フィルタを移動させる制御を行う。光学フィルタ制御部208は、後述するように、光学フィルタの選択的な移動と、光学フィルタの退避と挿入の移動開始のタイミングを制御する。光学フィルタ制御部208は光学フィルタ106または光学フィルタ108の移動を開始するときに、駆動波形生成部209に目標駆動量を出力する。駆動波形生成部209は目標駆動量を取得し、モータ駆動波形をモータドライバ210に出力する。
【0026】
ここで、光学フィルタ106を退避し、光学フィルタ108を挿入する場合の各部の動作例について説明する。
【0027】
モータ107およびモータ109はステッピングモータであるものとする。光学フィルタ制御部208は駆動パルス数/駆動速度を出力する。光学フィルタを挿入位置と退避位置との間で移動させるのに必要な駆動パルス数は、光学フィルタ装置10の構成に基づいて予め定められている。駆動波形生成部209は、入力されたパルス数に応じてステッピングモータの回転角度を制御する正弦波を生成する。正弦波Aと正弦波Bの位相を90°シフトし、正弦波Aの位相を正弦波Bより進めることでステッピングモータを正転、正弦波Bの位相を正弦波Aより進めることで逆転させることができる。モータドライバ210およびモータドライバ212はHブリッジ回路を有する。入力される正弦波A、正弦波Bと逆位相である正弦波C、正弦波Dを生成し、これら正弦波A~Dをモータ107、モータ109に入力することで、ステッピングモータの固定子コイルに磁力を発生させ、回転子を着磁させることでモータが回転する。
【0028】
A/D変換器203は、位置検出部110から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換して光学フィルタ位置算出部206に出力する。A/D変換器211も同様に位置検出部111から出力されるアナログ信号をデジタルデータに変換して出力する。光学フィルタ位置算出部206は、A/D変換器203およびA/D変換器211から出力されるデータに基づいて、光学フィルタ106、108の挿入位置、退避位置、それらのいずれでもない移動途中位置(位置不定)の、少なくとも3パターンの位置情報に変換する。光学フィルタ位置算出部206から出力される情報は、目標位置算出部205から出力される情報に対し、位置不定情報を含むこと以外は同一種類(挿入位置/退避位置)の情報である。減光量算出部207は、光学フィルタ106と光学フィルタ108の挿入/退避の情報に基づき、現在挿入位置にある光学フィルタの減光量を出力する。例えば、光学フィルタ106が挿入位置にあれば現在の減光量を2段、光学フィルタ108が挿入位置にあれば現在の減光量を4段、光学フィルタ106、108のいずれも退避位置であれば現在の減光量0段と出力する。
【0029】
次に、図3および図4を参照して、実施形態1の光学フィルタ切替時の動作について説明する。
【0030】
図3は、実施形態1の光学フィルタ106、108の切替時の移動量と検出位置の関係を例示している。図4は、実施形態1の光学フィルタ106、108の切替時の制御処理を例示している。
【0031】
本実施形態では、上述したように、光学フィルタ106が2段分減光させるフィルタ、光学フィルタ108が4段分減光させるフィルタであるものとする。初期状態として光学フィルタ106が挿入位置、光学フィルタ108が退避位置にあり、ユーザ操作または撮像装置20の自動露出制御によって、4段減光のために光学フィルタ106を退避し、光学フィルタ108を挿入させる動作例を説明する。
【0032】
図3(A)は、縦軸に光学フィルタ106と光学フィルタ108の移動量、横軸に時刻を示している。点線で示すグラフが光学フィルタ106の移動軌跡、実線で示すグラフが光学フィルタ108の移動軌跡である。図3(B)は、縦軸に光学フィルタ位置検出結果、横軸に時刻を示している。点線で示すグラフが光学フィルタ106の位置検出結果、実線で示すグラフが光学フィルタ108の位置検出結果である。
【0033】
時刻t1において露出制御部204から4段減光の目標値が設定され、それに応じて光学フィルタ106の退避移動が開始される。なお、露出制御部204が目標値を出力してから光学フィルタが移動開始するまでの遅延はないものとする。光学フィルタ106の移動が開始してから時刻t2において位置検出スイッチの挿入位置側スイッチがオフされる。これにより光学フィルタ10の位置検出結果が移動中、すなわち位置不定となる。ここで、光学フィルタ106の移動開始時刻t1と位置検出結果が挿入検出状態から位置不定状態に変化するまでに遅延があるのは、光学フィルタを挿入/退避する場合に光学フィルタ制御部208から出力される駆動パルス数は、スイッチオン位置よりも所定量だけ大きい値を与えて余分に駆動させているためである。この処理はスイッチオンして駆動を停止させてしまうと、撮像装置20に加わる振動などでスイッチオン状態が解除されて、位置不定となることを防ぐために行われる処理である。なお、光学フィルタ制御部208が予め決められた駆動パルス数を出力する構成としたが、最初に駆動パルス数を出力して光学フィルタの移動が開始された後、挿入位置または退避位置の検出が確認された場合、上述した余分の駆動パルスを追加で発生させて停止させるような、位置検出結果を基にした駆動パルス数の補正処理を含むものである。
【0034】
時刻t2において光学フィルタ106の退避移動が検出されたことで、光学フィルタ108の挿入移動を開始する。その後は時刻t3において光学フィルタ106の退避移動が完了し、時刻t4にて光学フィルタ108の挿入移動が完了する。なお、上述したように、光学フィルタ106、108は位置検出スイッチのオン後に余分量の移動を行う。このため、図3(B)の光学フィルタ106の退避位置検出時刻は移動完了時刻t3より前の時刻、光学フィルタ108の挿入位置検出時刻は移動完了時刻t4より前の時刻となっている。
【0035】
このように光学フィルタ106の退避移動が検出された時刻t2で光学フィルタ108の移動を開始することにより、2つの光学フィルタの移動による遅延量はt2-t1の時間のみとなる。よって、ユーザ操作あるいは撮像装置20の自動露出制御に応じた光学フィルタの切り替えに要する時間を短縮することが可能となる。これに対して、時刻t1において光学フィルタ108の挿入移動を開始した場合は制御応答性はよくなるものの、光学フィルタ108が光学フィルタ106に接触または衝突する可能性がある。衝突する要因はモータへの駆動波形出力タイミングの誤差や、ギアなどの動力伝達機構のバックラッシュなどによる動き出しの遅延、駆動トルク低下など、様々な要因が考えられる。本実施形態では、光学フィルタ106の退避移動が検出された時刻t2で光学フィルタ108の移動を開始させることにより、上記のような接触や衝突の可能性を低減することが可能となる。
【0036】
次に、図4を参照して、本実施形態の光学フィルタの切り替え時の動作を実現するための光学フィルタ制御部(以下、制御部)208の制御処理について説明する。
【0037】
なお、図4の処理は、光学フィルタ制御部208がメモリに格納されたプログラムを実行して各部を制御することにより実現される。
【0038】
ステップS100では、制御部208は、光学フィルタ106の目標位置を目標位置算出部205から、現在位置情報を光学フィルタ位置算出部206から取得する。光学フィルタ106は目標位置が退避位置であり、現在位置は挿入位置である。
【0039】
ステップS101では、制御部208は、光学フィルタ108の目標位置および現在位置を取得する。光学フィルタ108は目標位置が挿入位置であり、現在位置は退避位置である。
【0040】
ステップS102では、制御部208は、移動が必要な光学フィルタの有無を判定する。この判定は、移動する光学フィルタがなれば不要な処理を削減するために即座に処理を終了させるために行う。後述するステップS103とステップS105で挿入/退避の必要な光学フィルタがあるか否かを判定するため、ステップS102の処理は必須ではない。今回の処理では光学フィルタ106と光学フィルタ108がいずれも目標位置と現在位置に乖離があるため、処理をステップS103に進める。
【0041】
ステップS103では、制御部208は、退避位置への移動が必要な光学フィルタがあるか判定する。退避位置への移動が必要な光学フィルタがあればステップS104へ処理を進め、退避位置への移動が必要なフィルタがなければステップS105へ処理を進める。今回の処理では、光学フィルタ106の退避移動が必要であるので、ステップS104へ処理を進める。
【0042】
ステップS104では、制御部208は、退避用の駆動量を駆動波形生成部209に出力する。以降は駆動波形生成部209から出力される正弦波により、モータドライバ210を介してモータ107が所定量回転し、光学フィルタ106が退避位置に到達するまで移動し続ける。ステップS104で駆動量を出力した後は処理をステップS105へ進めす。
【0043】
ステップS105では、制御部208は、挿入位置への移動が必要な光学フィルタがあるか判定する。挿入位置への移動が必要な光学フィルタがあればステップS106へ処理を進め、挿入位置への移動が必要なフィルタがなければ本処理を終了する。今回の処理では、光学フィルタ108の挿入移動が必要であるので、ステップS106へ処理を進める。
【0044】
ステップS106では、制御部208は、ステップS104で退避移動させた光学フィルタ106の位置情報を再取得する。図3で説明したように、光学フィルタ108の移動開始を光学フィルタ106の退避移動開始を検出したタイミングに合わせるためにステップS106のように光学フィルタ106の位置情報の取得が必要となる。
【0045】
ステップS107では、制御部208は、ステップS106で取得した情報に基づいて、光学フィルタ10が挿入位置から移動を開始したか判定する。詳しくは、位置検出部110の挿入位置側スイッチをオフし、光学フィルタ位置算出部206から位置不定という情報が取得できた場合にステップS107の判定結果が移動開始とみなされる。制御部208は、移動開始と判定した場合はステップS108に処理を進める。位置検出部110の挿入位置側スイッチがオン状態であった場合はステップS106に戻り、再度ステップS106の処理を行う。
【0046】
なお、本実施形態では、説明の容易化のために、ステップS107の判定結果が移動開始とならない間はステップS106の処理を繰り返す処理としている。しかしながら、ステップS106で移動開始が検出できなかった場合は、光学フィルタ106の移動開始後に光学フィルタ108の移動が開始されるのであれば異なる処理であってもよい。例えば、ステップS107の判定で移動開始が検出できなかった場合は本処理を終了し、所定時間経過後に処理が再開されると、ステップS106から処理が開始されるようにしてもよい。
【0047】
また、ステップS107の判定で移動開始が検出できなかった場合、一旦処理を中断(スリープ)させて、光学フィルタ位置算出部206で検出結果が変化したことをトリガとする割込み処理によって本処理をステップS106から再開するようにしてもよい。ステップS108では挿入用の駆動量を駆動波形生成部209に出力する。以降は駆動波形生成部209から出力される正弦波により、モータドライバ212を介して、モータ109が所定量回転し、光学フィルタ108が挿入位置に到達するまで移動し続ける。ステップS108で駆動量を出力して本処理を終了する。
【0048】
ここで、光学フィルタ装置10は第1の光学フィルタユニット104および第2の光学フィルタユニット105を備え、上述した処理は両フィルタユニットを組み合わせた処理においても適用できる。例えば第1の光学フィルタユニットにおいて退避が必要な光学フィルタがあり、第2の光学フィルタユニットにおいても退避が必要な光学フィルタがあるとする。この場合、ステップS104では両フィルタの退避移動用の駆動波形を出力し、ステップS107で両光学フィルタの移動開始が検出されたときに処理をステップS108に進めるものとする。このように光軸に対して同一平面上ではなく前後に配置する両光学フィルタユニットで退避と挿入の移動開始のタイミングを同期させることで、前後の光学フィルタユニットがバラバラに動くことがなく、ユーザに違和感を与えることがなくなる。
【0049】
実施形態1によれば、少なくとも2つの光学フィルタが同一平面上を移動する場合に、ユーザ操作あるいは自動露出制御により決定される光学フィルタの切り替えに要する時間を短縮しつつ、光学フィルタ同士の接触や衝突の可能性を低減することが可能となる。
【0050】
[実施形態2]次に、実施形態2の光学フィルタの切り替え処理について説明する。
【0051】
実施形態2では、実施形態T1の光学フィルタの切り替え処理に対して、光学フィルタの移動失敗を検出し、再度移動を実施するリトライ制御を追加する。これにより実施形態1の処理よりもさらに光学フィルタ同士の接触や衝突の可能性を低減できるようになる。
【0052】
図5は、実施形態2の装置構成を示すブロック図であり、図3の構成にエラー検出部300を追加した構成の一例を示している。光学フィルタ位置検出部301および駆動波形生成部303はエラー検出部300にも出力を行い、光学フィルタ制御部302はエラー検出部300の出力結果を受けてエラー発生時の処理を追加しているため、実施形態1とは異なる符号を付している。ただし、実施形態1と同じ処理は実施形態2での説明は省略する。
【0053】
エラー検出部300は、駆動波形生成部303において駆動波形を出力したにも関わらす、光学フィルタが目標位置に到達しなかった場合にエラーとみなし、エラー検出結果を光学フィルタ制御部302に出力する。エラーが発生する要因として、モータ107やモータ109の故障によるトルク不足、モータ回転を光学フィルタの上下運動として動力伝達するギアなどの不良、位置検出部110、位置検出部111のスイッチ不良、保持部材101が落下などにより変形することで光学フィルタと接触し移動の妨害となる、など様々である。
【0054】
駆動波形生成部303は駆動パルス数に応じた正弦波信号をモータドライバ210、モータドライバ212に出力するとともに、現在駆動波形として出力済みの駆動パルス数を外部に出力することができる。駆動波形生成部303はエラー検出部300に現在出力したパルス数を出力する。エラー検出部300は駆動波形生成部303から取得する出力済み駆動パルス数が、予め定められた挿入位置から退避位置への移動に必要な駆動パルス数に到達したときに、光学フィルタ位置検出部301から通知される光学フィルタ106の位置情報が退避位置となっていない場合、エラー発生とみなし、光学フィルタ制御部302に出力する。エラー検出部300からエラー発生の情報が通知されると、光学フィルタ制御部302は移動に必要な駆動パルス数を再度駆動波形生成部303に出力する。この再度退避位置に移動させる処理をリトライ制御と定義する。リトライ制御を実施してもエラーが発生する場合は、所定回数リトライ制御を繰り返した後、故障をユーザに通知し、モータドライバ210、モータドライバ212の出力を停止し、モータに電流が流れないようにする。
【0055】
実施形態2では、リトライ制御時の光学フィルタ108の移動開始タイミングを正常時と変えている。正常時は光学フィルタ108の移動開始は、光学フィルタ106の移動開始を検出したタイミングであるが、リトライ制御時は光学フィルタ106が退避位置への移動を検出した後に光学フィルタ108の移動を開始する。これは光学フィルタ106の動作に異常があったため、リトライ制御によって移動開始はできたとしても退避位置まで正常に移動完了できない可能性があるためである。エラー発生時は光学フィルタ106が途中位置で止まるなどの可能性が正常時より高いことから、光学フィルタ同士の衝突を回避する措置をより強化する必要がある。
【0056】
ここで、図6を参照して、実施形態2の光学フィルタ106と光学フィルタ108の切替時の動作について説明する。本実施形態では、最初の駆動処理で光学フィルタ106の移動が開始できず、次に行うリトライ制御により動作開始できたものとする。
【0057】
図6は、図3と同様に、実施形態2の光学フィルタ106、108の切替時の動軌跡と位置検出波形の関係を示している。図6(A)は、縦軸に光学フィルタ106と光学フィルタ108の移動量、横軸に時刻を示している。点線で示すグラフが光学フィルタ106の移動軌跡、実線で示すグラフが光学フィルタ108の移動軌跡である。図6(B)は、縦軸に光学フィルタ位置検出結果、横軸に時刻を示している。点線で示すグラフが光学フィルタ106の位置検出結果、実線で示すグラフが光学フィルタ108の位置検出結果である。時刻t1~t4は図3と同じ時刻である。光学フィルタが正常であれば図3で説明したように、時刻t1において駆動波形を出力しているため光学フィルタ106は移動開始する。しかしながら、何らかの要因により光学フィルタ106が移動開始できなかった場合、図6に示すように時刻t1においても光学フィルタ位置検出部301の検出結果が挿入位置から変化しない。この時点ではエラー検出部300はエラー発生とは検出しない。時刻t4では駆動波形生成部303から通知される出力済み駆動パルス数が退避駆動に必要な駆動パルス数に達しながら、光学フィルタが挿入位置から変化しない。このため、この時点でエラー検出部300はエラー発生と検出し、エラー発生情報を光学フィルタ制御部302に通知する。光学フィルタ制御部302はエラー発生の情報を受けてリトライ制御処理に移行する。リトライ制御時は、上述したように、光学フィルタ108の移動開始を正常時とは異なるタイミングにする。光学フィルタ制御部302は時刻t5においてリトライ制御処理において駆動パルス数を駆動波形生成部303に出力し、時刻t5において光学フィルタ106の移動が開始される。時刻t6において光学フィルタ106の挿入位置側スイッチがオフされて、光学フィルタ位置検出部301は光学フィルタ106の位置情報を位置不定として出力する。正常時であれば時刻t5において光学フィルタ108に移動を開始するが、リトライ制御時においては再度光学フィルタ106が退避位置に到達するまで光学フィルタ108の移動を開始しない。時刻t7において光学フィルタ106の退避位置側スイッチがオン、すなわち光学フィルタ位置検出部301から光学フィルタ106の位置情報が退避位置であると出力される。これにより光学フィルタ制御部302は時刻t7において光学フィルタ108の挿入位置への移動を開始する。
【0058】
次に、図7を参照して、本実施形態の光学フィルタの切り替え時の動作を実現するための光学フィルタ制御部(以下、制御部)302の制御処理について説明する。なお、図7の処理において図4と異なる処理に異なる符号を付しているが、図4で説明した処理と異なる処理の説明を行う。
【0059】
光学フィルタ制御部302は、実施形態1の処理と同様に、光学フィルタ106、光学フィルタ108の目標位置、現在位置から移動が必要な光学フィルタがあるか判定する。そして、退避移動が必要な光学フィルタがある場合はまず退避移動を開始する(ステップS200~ステップS204)。その後、実施形態1では、光学フィルタ106の退避移動が開始されたタイミングで光学フィルタ108の挿入移動を開始していたが、実施形態2ではステップS206でまずリトライ状態が設定されているかを判定する。リトライ状態とは、上述したように、駆動波形生成部303から移動に必要な駆動波形を出力しても光学フィルタが目標位置に到達できなかった場合に、再度必要な駆動波形を出力する処理が発生した状態である。光学フィルタ制御部302は、リトライ状態を示すフラグ情報で管理し、ステップS206ではリトライ状態を示すフラグの真偽で判定を行う。なお、ステップS206で判定されるリトライ状態を示すフラグを設定する、あるいは解除する処理は後述する。
【0060】
ステップS206でリトライ状態であると判定された場合、光学フィルタ108の移動開始タイミングは光学フィルタ106が退避位置に移動完了した後とする。ステップS206でリトライ状態であると判定された場合、制御部302は、処理をステップS207に進め、ステップS207において光学フィルタ106の移動が完了したか否か判定する。光学フィルタ106の移動完了が検出された場合、制御部302は、処理をステップS208に進め、光学フィルタ108の挿入移動処理を開始し、処理をステップS209に進める。
【0061】
ステップS209~ステップS211では、制御部302は、最初の処理と同様に、光学フィルタ106、光学フィルタ108の目標位置、現在位置から移動が必要な光学フィルタがあるか判定する。ステップS211の判定は、現在移動対象となっている全ての光学フィルタの移動が完了したことを確認する処理である。ステップS211の判定で、目標位置と現在位置との乖離がない、すなわち全ての光学フィルタが目標位置に到達している状態であれば、正常に移動完了できたものとみなし、制御部302は、ステップS212でリトライ状態を解除し、本処理を終了する。ステップS212のように正常移動ができたときにリトライ状態を解除する理由は、一度リトライ状態になってそれを継続してしまうと、常に一方の移動完了を待ってから他方の移動開始という不要な待ち時間が発生してしまうのを回避するためである。正常移動完了できたことで故障の可能性が低減したものとみなし、正常移動の確認ができたタイミングでリトライ状態も解除している。
【0062】
ここで、ステップS211において目標位置に移動完了するまではステップS213の処理が行われる。ステップS213では、制御部302は、エラー検出部300からエラー情報を取得する。ステップS214では、制御部302は、エラー情報の発生があれば処理をステップS215に進め、エラーがなければ移動完了を待つために処理をステップS209に戻す。ステップS214でエラー発生があった場合、制御部302は、ステップS215に処理を進め、リトライ状態を設定し、本処理を終了する。ここで、リトライ状態が設定されている間は、本処理が所定周期ごとに実行されるものとする。すなわち、再度処理が実行されたときは、リトライ状態が設定されたまま処理が進められるため、ステップS205までで退避駆動処理が実施され、ステップS206の判定で処理がステップS207に移行して、以降の処理を実行する。
【0063】
なお、リトライ状態が設定されてない場合は、ステップS206の判定からステップS216に処理が進む。ステップS216の処理以降は実施形態1と同様に光学フィルタ106の移動開始タイミングで光学フィルタ108の処理を実施する。ただし、実施形態1と異なるのは、光学フィルタ106の移動開始が検出されるのを待っている間、エラー判定を実施する。ステップS217でエラー情報を取得し、ステップS218のエラー判定を行い、駆動エラーを検出した場合は上述した処理と同様にステップS215にてリトライ状態を設定する。ただし、実施形態1では特にエラー検出について記述しなかったが、モータ故障などで移動開始できなかった場合、処理が無限にループしてしまうため、エラー検出やタイムアウト処理など、ループを抜ける処理は必要となる。
【0064】
ここで、ステップS214においてエラー発生が検出された場合、光学フィルタ108の移動中に光学フィルタ106が移動停止してしまった場合が含まれる。この場合、光学フィルタ106と光学フィルタ108とが衝突してしまう可能性がある。このような衝突状態からリトライ制御をした場合、光学フィルタ108が接触した状態では光学フィルタ106が正常移動できない可能性がある。そこで、例えばステップS204の処理において、光学フィルタ106に退避移動のための駆動波形を生成すると同時に光学フィルタ108も再び退避位置に移動させるための駆動波形を生成してもよい。これにより、光学フィルタ106と光学フィルタ108が互いに離れる方向に移動することで、光学フィルタ106のリトライ制御の成功率を上げることが可能になる。なお、リトライ制御時に光学フィルタ同士を互いに離れる方向に駆動させる処理は、上述したようにステップS204にて光学フィルタ108に対しても駆動波形生成部303に退避用駆動量を出力する処理のみが図7と相違しているため、説明しない。
【0065】
また、実施形態1でも説明したように、光学フィルタ装置10は第1の光学フィルタユニット104と第2の光学フィルタユニット105を備え、上述した処理は両フィルタユニットを組み合わせた処理にも適用できる。例えば第1の光学フィルタユニット104において退避移動開始時に異常が発生した場合、第2の光学フィルタユニット105にもリトライ状態が適用される。つまり、第1の光学フィルタユニットが要因でリトライ状態が設定された場合、ステップS207で退避移動の完了を待ってから挿入移動を開始する処理が第2の光学フィルタユニット105にも適用される。第1の光学フィルタユニット104と第2の光学フィルタユニット105ともに挿入方向への移動開始タイミングは、退避移動が必要なフィルタが退避位置まで到達した後とする。第1の光学フィルタユニット104で退避移動エラーが生じたとしても第2の光学フィルタユニット105のフィルタ挿入移動動作には影響を及ぼさない。しかしながら、第2の光学フィルタユニット105のみが先に移動完了させてもユーザが望むものは第1の光学フィルタユニット104との合計の減光量である。このため、第1の光学フィルタユニット104が目標とする位置に移動完了しなければ第2の光学フィルタユニットのみ移動することは減光量調整の機能としては意味をなさず、さらに同一平面上ではなく前に配置された光学フィルタユニットがバラバラ動くことは統一感をなくしユーザに違和感を与える。このような理由から、第1の光学フィルタユニット104と第2の光学フィルタユニット105は個別には制御されず、両光学フィルタユニットで退避と挿入の移動開始のタイミングを同期されるものとする。
【0066】
実施形態2の光学フィルタの切り替え処理によれば、光学フィルタ装置で駆動開始、または駆動途中で異常が発生した場合にも、移動制御を正常時から変更することで、フィルタ同士の接触や衝突の可能性を最小限に抑えることができる。
【0067】
[他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0068】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0069】
100…光学フィルタ装置、106、108…光学フィルタ、107、109…モータ
110、111…位置検出部、204…露出制御部、205…目標位置算出部、206…光学フィルタ位置算出部、208…光学フィルタ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7