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特許7527129焦点調節装置、撮像装置、焦点調節方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】焦点調節装置、撮像装置、焦点調節方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/67 20230101AFI20240726BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240726BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240726BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240726BHJP
【FI】
H04N23/67 100
H04N23/63 330
G03B15/00 Q
G02B7/28 N
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020079556
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021175133
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 彬子
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-120748(JP,A)
【文献】特開2020-003759(JP,A)
【文献】特開2010-141616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/67
H04N 23/63
G03B 15/00
G02B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影範囲に含まれる1以上の被写体のうちの主被写体をAF設定に基づいて決定する決定処理を繰り返し実行する決定手段と、
前記決定された主被写体に基づいて決定される対象位置に対する焦点調節を行う焦点調節手段と、
前記AF設定を変更する変更手段と、
を備え、
前回の決定処理の実行後に前記AF設定が変更された場合、前記決定手段は、前記AF設定の変更内容に応じて、前回の主被写体に基づいて今回の決定処理を実行するか前記前回の主被写体と無関係に前記今回の決定処理を実行するかを決定する
ことを特徴とする焦点調節装置。
【請求項2】
前記AF設定は、前記決定処理において優先的に決定する被写体の種類を示す優先被写体種類を規定する設定項目を含み、
前記優先被写体種類を変更するように前記AF設定が変更された場合、前記決定手段は、前記前回の主被写体と無関係に前記今回の決定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の焦点調節装置。
【請求項3】
前記優先被写体種類を変更するように前記AF設定が変更された場合であっても、変更前又は変更後の前記優先被写体種類が瞳である場合には、前記決定手段は、前記前回の主被写体に基づいて前記今回の決定処理を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の焦点調節装置。
【請求項4】
前記AF設定は、ユーザによる1回の焦点調節指示に応じて前記焦点調節手段による前記焦点調節を1回だけ行うか継続的に繰り返すかを規定する設定項目を含み、
前記1回の焦点調節指示に応じて前記焦点調節手段による前記焦点調節を継続的に繰り返すように前記AF設定が変更された場合、前記決定手段は、前記前回の主被写体に基づいて前記今回の決定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の焦点調節装置。
【請求項5】
前記AF設定は、前記撮影範囲のうちの前記決定処理の対象範囲を規定する設定項目を含み、
前記対象範囲を縮小するように前記AF設定が変更された場合、前記決定手段は、前記前回の主被写体と無関係に前記今回の決定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の焦点調節装置。
【請求項6】
前記対象範囲を拡大するように前記AF設定が変更された場合、前記決定手段は、前記前回の主被写体に基づいて決定された前記対象位置に基づいて前記今回の決定処理を実行する
ことを特徴とする請求項5に記載の焦点調節装置。
【請求項7】
前記AF設定は、前記撮影範囲のうちの前記決定処理の対象範囲を規定する設定項目を含み、
前記対象範囲を拡大するように前記AF設定が変更された場合、前記決定手段は、前記前回の主被写体に基づいて決定された前記対象位置に基づいて前記今回の決定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の焦点調節装置。
【請求項8】
前記前回の主被写体に基づいて決定された前記対象位置に基づいて前記今回の決定処理を実行することは、前記今回の決定処理の対象範囲を当該対象位置から所定の範囲内に制限することを含む
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の焦点調節装置。
【請求項9】
前記所定の範囲は、前記AF設定により規定される前記対象範囲の大きさに基づいて決定される
ことを特徴とする請求項8に記載の焦点調節装置。
【請求項10】
1以上の操作部材を更に備え、
前記1以上の操作部材の個別の操作部材には前記AF設定の個別の設定内容が関連付けられており、
前記変更手段は、前記1以上の操作部材の個別の操作部材が作動状態に切り替わったことに応じて、当該個別の操作部材に関連付けられた設定内容を反映するように前記AF設定を変更し、当該個別の操作部材が非作動状態に切り替わったことに応じて、当該個別の操作部材に関連付けられた設定内容の反映を取り消すように前記AF設定を変更するように構成され、
前記1以上の操作部材の個別の操作部材が非作動状態に切り替わったことに応じて前記AF設定が変更され、かつ前記1以上の操作部材の全てが非作動状態である場合には、前記決定手段は、前記AF設定の変更内容に関わらず、前記前回の主被写体と無関係に前記今回の決定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の焦点調節装置。
【請求項11】
前記撮影範囲の画像を表示手段に表示するか否かを制御する表示制御手段を更に備え、
前記撮影範囲の画像が前記表示手段に表示されていない状態において前記AF設定が変更された場合には、前記決定手段は、前記AF設定の変更内容に関わらず、前記前回の主被写体と無関係に前記今回の決定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の焦点調節装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の焦点調節装置と、
撮像手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項13】
焦点調節装置が実行する焦点調節方法であって、
撮影範囲に含まれる1以上の被写体のうちの主被写体をAF設定に基づいて決定する決定処理を繰り返し実行する決定工程と、
前記決定された主被写体に基づいて決定される対象位置に対する焦点調節を行う焦点調節工程と、
前記AF設定を変更する変更工程と、
を備え、
前回の決定処理の実行後に前記AF設定が変更された場合、前記決定工程では、前記AF設定の変更内容に応じて、前回の主被写体に基づいて今回の決定処理を実行するか前記前回の主被写体と無関係に前記今回の決定処理を実行するかを決定する
ことを特徴とする焦点調節方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の焦点調節装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調節装置、撮像装置、焦点調節方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像から特定の被写体パターン(例えば、人の顔領域)を自動的に検出する画像処理手法が知られている。デジタルカメラなどの撮像装置は、撮影画像から特定の被写体領域を検出し、その領域を制御対象としてAF及びAE(焦点及び露出)を最適化している。そのため、AF及びAEの制御を行う対象としてふさわしい被写体(主被写体)をユーザの意図に沿って適切に選択できることが、撮影画像の画質を決める非常に重要な要素となっている。
【0003】
特許文献1は、検出された被写体の位置やサイズや直近での優先度に基づいて各被写体の優先度を算出し、主被写体を決定するという手法を提案している。それによって、特許文献1は、ユーザの意図に沿ったより適切な主被写体選択を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-141616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザは、意図する主被写体にAF追従しやすいようにAF制御を実施する際の設定(以下、AF設定)を切り替えることができる。AF設定の例としては、画面内でAF制御を行う範囲であるAF範囲設定、被写体の瞳を対象としたAF制御を実施する瞳AF設定、撮影時に継続的なAF制御を実施するサーボAF設定、AF対象として優先する被写体の種類を指定する優先被写体設定などがある。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、AF設定が変更された場合にユーザの意図に沿った主被写体を適切に選択できない可能性がある。
【0007】
一例として、図1を参照して、AF範囲が拡大するようにAF設定が変更された場合について説明する。図1は、撮影画面内に人物101及び人物102が含まれ、ユーザが人物101を主被写体としたい状況を示している。図1(A)に示すように、ユーザが実線で示す狭いAF範囲103を設定した場合は、AF範囲103内に人物101を収めるようにフレーミングすることによって、点線で示す人物101の全身部分104を主被写体として選択することができる。これにより、ユーザの意思にあった被写体に対するAF制御が可能である。ここで、図1(B)に示すように、人物101が近づいてきて被写体が大きくなり顔へのピント精度が要求されるようになる場合がある。この場合、図1(C)に示すように、実線で示す広いAF範囲105に切り替えることで、顔を主被写体として選択できるようになる。但し、AF範囲を広げることによりAF範囲105内に人物102が含まれるようになるため、点線で示す人物102の顔106が主被写体として選択されてしまい、ユーザの意思と合わない可能性もある。一方で、AF設定の変更内容によっては、ユーザが人物102の顔106を新たな主被写体として選択することを望む可能性がある。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、AF設定の変更内容に応じて、前回の主被写体に基づいて今回の主被写体を選択するか前回の主被写体と無関係に今回の主被写体を選択するかを決定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、撮影範囲に含まれる1以上の被写体のうちの主被写体をAF設定に基づいて決定する決定処理を繰り返し実行する決定手段と、前記決定された主被写体に基づいて決定される対象位置に対する焦点調節を行う焦点調節手段と、前記AF設定を変更する変更手段と、を備え、前回の決定処理の実行後に前記AF設定が変更された場合、前記決定手段は、前記AF設定の変更内容に応じて、前回の主被写体に基づいて今回の決定処理を実行するか前記前回の主被写体と無関係に前記今回の決定処理を実行するかを決定することを特徴とする焦点調節装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、AF設定の変更内容に応じて、前回の主被写体に基づいて今回の主被写体を選択するか前回の主被写体と無関係に今回の主被写体を選択するかを決定することが可能となる。
【0011】
なお、本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面及び以下の発明を実施するための形態における記載によって更に明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】AF設定が変更された場合にユーザの意図に沿った主被写体を適切に選択できない場合の例を示す図。
図2】焦点調節装置を含む撮像装置100の構成を示すブロック図。
図3】撮像装置100の全体動作のフローチャート。
図4】基本の主被写体選択処理の概念図。
図5】第1の実施形態に係る、AF設定変更時の主被写体選択処理(図3のS305)の詳細を示すフローチャート。
図6】(A)(B)AF範囲が縮小された場合の主被写体選択処理の具体例を説明する図、(C)優先被写体設定の変更により優先被写体種類が変更された場合の主被写体選択処理の具体例を説明する図。
図7】(A)瞳AF設定が有効化又は無効化された場合の主被写体選択処理の具体例を説明する図、(B)サーボAF設定が有効化された場合の主被写体選択処理について説明する図。
図8図5のS504における前回のAF位置に基づく主被写体選択処理の詳細を示すフローチャート。
図9】前回のAF位置に基づく主被写体選択処理の具体例を示す図。
図10図8のS801における処理の具体例を示す図。
図11図8のS802における選択範囲の決定処理の具体例を示す図。
図12】第2の実施形態に係る、AF設定変更時の主被写体選択処理(図3のS305)の詳細を示すフローチャート。
図13】第2の実施形態に係る、AF設定変更時の主被写体選択処理の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
図2は、焦点調節装置を含む撮像装置100の構成を示すブロック図である。図2において、101は、ズーム機構を含む撮影レンズである。102は、入射光量の制御及び被写界深度の調節のための絞りである。104は、後述する撮像素子108上に焦点を合わせるためのフォーカスレンズである。105は、フォーカスレンズ104の駆動機構を含むAF処理部(オートフォーカス処理部)である。108は、被写体からの反射光を電気信号に変換する光電変換部を含む撮像素子である。109は、撮像素子108の出力ノイズを除去するCDS(相関二重サンプリング処理)回路やA/D変換前に処理を行う非線形増幅回路を含むA/D変換部である。
【0015】
110は、A/D変換部109の出力信号に基づいて被写体の輝度を算出する輝度算出部と輝度算出部の出力信号から特定周波数帯域の信号成分を抽出する抽出部とを含む画像処理部である。111はAE処理部(露出処理部)である。112はフォーマット変換部である。113は、高速な内蔵メモリ(DRAM)である。DRAM113は、一時的な画像記憶のための高速バッファとして使用される。また、DRAM113は、画像の圧縮・伸張における作業用メモリなどに使用される。114は、メモリカードなどの記録媒体とそのインタフェースとを含む画像記録部である。
【0016】
115は、撮像装置100全体の動作を制御するシステム制御部(CPU)である。116は、画像表示用メモリ(VRAM)である。117は、画像の表示、操作補助のための表示、カメラ状態の表示などを行う表示部である。表示部117は、撮影時には撮影画像とAF範囲とを表示する。システム制御部115は、ユーザによるAF設定の切り替えを可能にするために、表示部117にAF設定切り替えのための画面を表示することができる。
【0017】
118は、撮像装置100を外部から操作するための操作部である。操作部118は、例えば、撮像装置100の撮影機能や画像再生時の設定などの各種設定を行うメニュースイッチ、撮影レンズ101のズーム動作を指示するズームレバー、及び、撮影モードと再生モードとを切り替える動作モード切替スイッチなどを含む。ユーザは、AF設定の切り替えを行う際に、表示部117に撮影画像とAF範囲を表示したまま、操作部118の操作によってAF設定を切り替える場合もある。
【0018】
121は、撮像装置100に対してAFやAE等の撮影スタンバイ動作を行うように指示するための撮影スタンバイスイッチ(SW1)である。SW1 121が操作されると、フォーカスレンズ104の撮影のための合焦位置を確定されるための制御が行われる。
【0019】
123は被写体検出モジュールである。被写体検出モジュール123は、画像処理部110で処理された画像信号を用いて、様々な種類の被写体の検出を行い、検出した1以上の被写体それぞれの被写体情報(種類、位置、大きさ、信頼度、距離など)を取得する。また、被写体検出モジュール123は、AF処理部105及びAE処理部111での処理対象となる主被写体を決定(選択)する。被写体検出モジュール123は、被写体情報(種類、位置、大きさ、信頼度、距離など)に基づき、検出した1以上の被写体の中から主被写体を決定(選択)する。
【0020】
次に、図3を参照して、撮像装置100の全体動作について説明する。本フローチャートの処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0021】
S301で、被写体検出モジュール123は、画像処理部110から画像信号を取得する。S302で、被写体検出モジュール123は、S301において取得した画像信号を用いて被写体検出処理を行う。検出対象の被写体は、例えば、人物、動物、及び、色輝度の顕著な被写体などである。色輝度の顕著な被写体を対象とする被写体検出を、「モノ検出」と呼ぶ。被写体検出モジュール123は、検出された1以上の被写体それぞれの被写体情報(種類、位置、大きさ、信頼度、距離など)を取得する。
【0022】
S303で、システム制御部115は、前回の主被写体選択処理(S304又はS305)の実行後にAF設定が変更されたか否かを判定する。AF設定が変更されていない場合、処理ステップはS304に進み、AF設定が変更された場合、処理ステップはS305に進む。変更可能なAF設定の設定項目としては、例えば、撮影範囲のうちの主被写体選択処理の対象範囲(AF範囲)を規定する設定項目(AF範囲設定)や、被写体の瞳を対象としたAF制御に関する設定項目(瞳AF設定)などが挙げられる。他の例として、撮影時の継続的なAF制御に関する設定項目(サーボAF設定)、主被写体として優先的に選択する被写体の種類(優先被写体種類)を設定する設定項目(優先被写体設定)なども挙げられる。
【0023】
S304で、被写体検出モジュール123は、基本の主被写体選択処理を実行する。図4は、基本の主被写体選択処理の概念図である。基本の主被写体選択処理において、被写体検出モジュール123は、被写体情報に基づいて被写体の優先度を算出して主被写体を選択する。
【0024】
例えば、図4(A)に示すように、被写体のサイズがより大きい場合に主被写体としての優先度が高いとする場合、被写体検出モジュール123は、人物401と人物402とを比較し、より顔サイズの大きい人物401の優先度を上げる。また、図4(B)に示すように、被写体がより画面中心に近い場合に主被写体としての優先度が高いとする場合、被写体検出モジュール123は、人物401と人物402とを比較し、より画面中心に近い人物401の優先度を上げる。また、図4(C)に示すように、被写体が前回の主被写体選択時に主被写体として選択されていた場合に主被写体としての優先度が高いとする場合を考える。この場合、前回主被写体として選択されていたのが人物401であれば、被写体検出モジュール123は、人物401の優先度を上げる。また、AF設定の中に主被写体として優先的に選択する被写体の種類(優先被写体種類)を設定する設定項目(優先被写体設定)がある場合は、被写体検出モジュール123は、ユーザが設定した優先被写体種類に対応する被写体の主被写体としての優先度を上げる。図4(D)の左側に示すように、優先被写体種類として人物が設定された場合は、被写体検出モジュール123は、人物401と動物403とのうち、優先被写体種類に対応する人物401の優先度を上げる。同様に、図4(D)の右側示すように、優先被写体種類として動物が設定された場合は、被写体検出モジュール123は、人物401と動物403とのうち、優先被写体種類に対応する動物403の優先度を上げる。
【0025】
以上のようにして、被写体検出モジュール123は、被写体のサイズ及び位置、前回の主被写体、被写体の種類などに応じて各種優先度を算出する。そして、被写体検出モジュール123は、算出した各種優先度の数値の重み平均をとるなどして各被写体の最終的な優先度を算出して、最も優先度の高い被写体を主被写体として選択する。それによって、被写体のサイズ及び位置、前回の主被写体、被写体の種類などの様々な観点を加味して撮影対象としてよりふさわしい被写体を主被写体として選択することができる。
【0026】
また、上記の他にも、被写体情報として得られている、信頼度や被写体距離に応じて優先度を算出してもよい。
【0027】
図3に戻り、S305で、被写体検出モジュール123は、AF設定変更時の主被写体選択処理を行う。AF設定変更時の主被写体選択処理の詳細については、図5を参照して後述する。
【0028】
S306で、システム制御部115は、S304又はS305において主被写体が選択されたか否かを判定する。主被写体が選択された場合、処理ステップはS308に進む。主被写体が選択されなかった場合(例えば、被写体の検出に失敗した場合など)、処理ステップはS307に進む。
【0029】
S307で、AF処理部105は、AF制御領域を決定する。例えば、AF処理部105は、カメラ設定やシーン判断結果に応じて、AF範囲の中心付近かつ至近の位置付近の領域や、前回のAF位置(焦点調節の対象位置)との連続性の高い領域などを、AF制御領域として決定する。
【0030】
S308で、AF処理部105は、S304又はS305で決定した主被写体、若しくはS307で決定したAF制御領域に基づいて決定される、AF位置(焦点調節の対象位置)に対して焦点調節を行う。また、AE処理部111は、S304又はS305で決定した主被写体、若しくはS307で決定したAF制御領域に基づいてAE処理を行う。なお、ワンショットAF(詳細は後述)により既にAFがロックされている場合には、S308におけるAF処理は省略可能である。
【0031】
次に、図5を参照して、AF設定変更時の主被写体選択処理(図3のS305)の詳細について説明する。AF設定変更時の主被写体選択処理は、AF設定の変更内容(変更された設定項目の変更前後の設定内容の関係など)に応じて行われる。なお、システム制御部115は、撮影画面(撮影範囲の画像)を表示部117に表示するか否かを制御する表示制御を行うことができる。
【0032】
S501で、被写体検出モジュール123は、AF設定の切り替え(変更)が表示部117に撮影画面(撮影範囲の画像)が表示されている状態で行われたか否かを判定する。AF設定の切り替えが表示部117に撮影画面が表示されている状態で行われた場合、処理ステップはS502に進み、そうでない場合、処理ステップはS503に進む。
【0033】
AF設定の切り替えが表示部117に撮影画面が表示されている状態で行われた場合とは、例えば、ユーザが撮影シーンを確認しながら操作部118を操作することにより予め登録しておいたAF設定の設定内容に切り替えた場合である。AF設定の切り替えが表示部117に撮影画面が表示されていない状態で行われた場合とは、例えば、ユーザが表示部117にAF設定切り替えのメニューを表示してAF設定を切り替えた場合である。
【0034】
S502で、被写体検出モジュール123は、AF設定の変更内容に応じて、主被写体の選択方式を切り替える。例えば、AF範囲(撮影範囲のうちの主被写体選択処理の対象範囲)を縮小するようにAF設定が変更された場合や、優先被写体設定の変更により優先被写体種類が変更された場合には、処理ステップはS503へ進む。また、AF範囲(撮影範囲のうちの主被写体選択処理の対象範囲)を拡大するようにAF設定が変更された場合には、処理ステップはS504に進む。また、瞳AF設定が有効化又は無効化された場合や、サーボAF設定が有効化された場合には、処理ステップはS505に進む。その他の変更内容の場合も、変更内容の性質に応じて、処理ステップはS503~S505のいずれかに進む。
【0035】
なお、優先被写体設定が変更された場合、優先被写体種類が変更される。また、瞳AF設定が有効化された場合、優先被写体種類が瞳に変更され、瞳AF設定が無効化された場合、優先被写体種類が瞳AF設定の有効化前の状態に戻る。従って、S502の条件分岐は、優先被写体種類が変更された場合は原則として処理ステップがS502からS503に遷移するが、変更前又は変更後の優先被写体種類が瞳である場合には処理ステップがS502からS505に遷移することを意味する。
【0036】
次に、S503の処理について説明する。上述の通り、S503の処理は、AF範囲が縮小された場合や、優先被写体設定の変更により優先被写体種類が変更された場合などに実行される。これらの場合、前回の主被写体がユーザの意図に沿っていない可能性が高い。そこで、S503で、被写体検出モジュール123は、前回の主被写体と無関係に今回の主被写体を選択する。ここでの選択処理は、例えば、図3のS304で説明した基本の主被写体選択処理と概ね同様であるが、図4(C)を参照して説明した、前回の主被写体に基づく優先度の設定は行われない。
【0037】
図6(A)及び図6(B)を参照して、AF範囲が縮小された場合の主被写体選択処理の具体例を説明する。AF範囲が縮小された場合のユーザの意図としては、広いAF範囲内で撮像装置100が選択した主被写体では適切に焦点が合わせられないため、狭いAF範囲に限定することで焦点を適切に合わせ直したい、という状況が想定される。
【0038】
例えば、図6(A)に示すように、破線で示す全域のAF範囲610を設定した場合に、人物の動きが激しいことや帽子やゴーグル等が存在することなどが原因で被写体検出が安定しない場合がある。このような状況においてAF制御を行うとかえって焦点が合わせづらい場合がある。そのため、ユーザが人物の体付近の狭いAF範囲611に切り替えて焦点を合わせ直そうとする場合がある。
【0039】
また、図6(B)の左側に示すように、広いAF範囲620を設定していた状況において画面内に複数の被写体が存在する場合に、主被写体選択結果がユーザの意図通りでなかったため、AF範囲を狭い範囲に切り替えるというユーザ意図も想定される。図6(B)の左側は、破線で示すAF範囲620を設定して、走行中のランナーを順次撮影する意図がある場合を示している。しかし、ユーザが人物622を主被写体として想定しているのにも関わらず、画面中心にわずかに近い人物623が主被写体として選択されている。そこで、図6(B)の右側に示すように、二重線で示す狭いAF範囲621に切り替えることによって、ユーザの狙っている人物622の体の一部を主被写体として選択することができる。
【0040】
次に、図6(C)を参照して、優先被写体設定の変更により優先被写体種類が変更された場合の主被写体選択処理の具体例を説明する。この場合のユーザ意図は、AF設定切り替え前とは異なる種類の被写体を優先したい状況が想定される。そのため、この場合もAF設定切り替え前の主被写体は考慮せずに主被写体選択を行う。
【0041】
図6(C)は、優先被写体種類を人物から動物に切り替えたシーンを示している。図6(C)の左側では優先被写体種類が人物であり、実線で囲まれた人物632が主被写体として優先的に選ばれる。それに対し、図6(C)の右側に示すように、ユーザが優先被写体種類を動物に切り替えた場合は、ユーザが撮影対象を人物から動物に切り替えたい意思があると想定される。そのため、前回のAF設定での主被写体であった人物632は考慮せずに、実線で囲まれた動物633が主被写体として選択される。
【0042】
更に、S503の処理は、AF設定の切り替えが表示部117に撮影画面が表示されていない状態で行われた場合にも実行される。この場合、AF設定を切り替えている間の被写体の変化をユーザが確認できないため、ユーザとしては被写体を追っておらずにシーンの切り替えに伴いAF設定を切り替えているという想定である。そのため、切り替え前の主被写体の状況は考慮していないという思想があると想定される。従って、この場合には、AF設定の変更内容に関わらず、前回の主被写体とは無関係に今回の主被写体が選択される。
【0043】
次に、S504の処理について説明する。上述の通り、S504の処理は、AF範囲を拡大するようにAF設定が変更された場合などに実行される。S504で、被写体検出モジュール123は、前回の主被写体に基づいて今回の主被写体を選択する。例えば、被写体検出モジュール123は、前回の主被写体に基づいて決定された前回のAF位置(焦点調節の対象位置)に基づいて今回の主被写体として選択する。S504における主被写体選択処理の詳細については、図8乃至図11を参照して後述する。
【0044】
次に、S505の処理について説明する。上述の通り、S505の処理は、瞳AF設定が有効化又は無効化された場合や、サーボAF設定が有効化された場合などに実行される。これらの場合、AF設定の変更前後でユーザは同じ被写体を対象として追い続けることを意図している可能性が高い。そこで、S505で、被写体検出モジュール123は、前回の主被写体に基づいて今回の主被写体を選択する。例えば、被写体検出モジュール123は、前回の主被写体と関連する被写体を優先的に今回の主被写体として選択する。
【0045】
図7(A)を参照して、瞳AF設定が有効化又は無効化された場合の主被写体選択処理の具体例を説明する。瞳AF設定が有効化された場合、前回の主被写体と同じ被写体の瞳に焦点を合わせたいというユーザニーズがある。図7(A)の左側では、瞳AF設定は無効であり、実線の矩形枠で示す人物711の顔が主被写体である。図7(A)の右側では、瞳AF設定が有効化されているが、画面中心の人物712の瞳ではなく、AF設定切り替わり前の主被写体である人物711の瞳が主被写体として選択されている。これにより、ユーザの意図にあった主被写体選択が実現している。その後、瞳AF設定が無効化された場合、図7(A)の左側に示すように、再び人物711(図7(B)において主被写体として選択されている被写体である瞳に関連する被写体)が選択される。
【0046】
次に、図7(B)を参照して、サーボAF設定が有効化された場合の主被写体選択処理について説明する。同じ被写体を主被写体としながら、被写体の動きに応じてサーボAF設定を有効化したいというユーザニーズがある。図7(B)の左側では、実線の矩形枠で示す動物721が静止しているため、サーボAF設定は無効化されており、ワンショットAF(ユーザによる1回の焦点調節指示に応じて焦点調節を1回だけ行うAF)が行われる。一方、図7(B)の右側では、実線の矩形枠で示す動物721が動き出したため、ユーザによりサーボAF設定が有効化され、サーボAF(ユーザによる1回の焦点調節指示に応じて焦点調節を継続的に繰り返すAF)が行われる。このようにサーボAF設定が有効化される場合、同じ被写体を引き続き主被写体として選択することがユーザの意図にあっていると想定される。そのため、より画面中心に近くて大きい動物722ではなく、AF設定切り替え前に主被写体であった動物721が主被写体として選択される。
【0047】
次に、図8乃至図11を参照して、図5のS504における前回のAF位置に基づく主被写体選択処理の詳細について説明する。前回のAF位置に基づく主被写体選択処理は、AF範囲を拡大するようにAF設定が変更された場合などに実行される。この場合、前回のAF位置の近傍に、ユーザが意図する主被写体が存在する可能性が高いと考えられる。そこで、被写体検出モジュール123は、前回のAF位置の近傍で主被写体を選択することによって、ユーザが意図に沿う主被写体を対象としてAF制御を実施できるようにする。
【0048】
図9は、前回のAF位置に基づく主被写体選択処理の具体例を示す図である。図9は、破線で示すAF範囲903(AF設定の変更前のAF範囲)から、二重線で示すAF範囲904にAF範囲が切り替わるようにAF設定の変更が行われた場合を示している。AF範囲903内の人物901の体の一部を主被写体としてAF制御している状況から、人物901の顔に主被写体を切り替えてAF制御を実施することがユーザの狙いである。この場合に、前回のAF位置の近傍で主被写体を選択することにより、画面中心付近でより顔サイズの大きい人物902ではなく人物901を主被写体として適切に選択することが可能となる。
【0049】
図8は、図5のS504における前回のAF位置に基づく主被写体選択処理の詳細を示すフローチャートである。S801で、被写体検出モジュール123は、AF設定変更前のAF位置の近傍内での主被写体選択の対象となる被写体の種類を決定する。例えば、被写体検出モジュール123は、優先被写体設定に基づく優先被写体種類(人物、動物など)のみを対象として決定してもよい。また、被写体検出モジュール123は、AF設定変更前の主被写体の種類と同じ種類の被写体を対象として決定してもよい。また、AF設定変更前は被写体の一部をモノ検出により追っていた場合に関しては、被写体検出モジュール123は、優先被写体種類を対象として決定してもよい。
【0050】
図10は、S801における処理の具体例を示す。例えば、図10のシーンは、人物1001と動物1002とが寄り添うシーンである。このシーンにおいて、人物1001及び動物1002の体の一部に重なるAF範囲1003から二重線で示す全域のAF範囲1004にAF範囲が変更された場合を考える。この場合において、優先被写体種類が人物であれば、図10(A)に示すように実線の矩形で示す人物1001の顔に焦点を合わせたいシーンであることが想定されるため、人物が主被写体の選択対象として決定される。また、優先被写体種類が動物であれば、図10(B)に示すように実線の矩形で示す動物1002に焦点を合わせたいシーンと想定されるため、動物が主被写体の選択対象として決定される。このように、ユーザがAF設定変更前にピントを合わせていた被写体を引き続き追い続けられるように、前回の(AF設定変更前の)AF位置の近傍内での主被写体選択対象となる被写体の種類が決定される。
【0051】
S802で、被写体検出モジュール123は、AF設定切り替わり前(変更前)のAF位置の近傍内での主被写体選択処理の対象範囲(以下、選択範囲)を決定する。なお、AF範囲も選択範囲と同様に主被写体選択処理の対象範囲を規定するが、前回のAF位置に基づく主被写体選択処理においては、選択範囲がAF範囲よりも優先的に使用される。但し、選択範囲の決定は、AF範囲に基づいて行われてもよい。例えば、AF設定切り替え後(変更後)のAF範囲のサイズに応じて選択範囲を決定することで、AF範囲のサイズに応じて適切なサイズの選択範囲を設定することができる。これにより、選択範囲が広すぎて無関係な被写体が主被写体となる可能性や、選択範囲が狭すぎて狙っている被写体を選択できない可能性を軽減できる。
【0052】
図11は、S802における選択範囲の決定処理の具体例を示す図である。図11に示すように、二重線の矩形で示すAF設定切り替え後のAF範囲1101の長辺1104に対して、予め決められた所定の係数Nを乗算した長さを、実線の円形で示す選択範囲1103の直径1105の長さとしてもよい。選択範囲1103の中心は、前回のAF位置1102である。また、選択範囲は円形ではなく楕円形や矩形などでもよい。また、選択範囲の設定は画面内での範囲だけでなく、AF設定切り替え前のAF位置を中心とした奥行き方向の範囲を設定してもよい。
【0053】
S803で、被写体検出モジュール123は、選択範囲内で検出された被写体の中から主被写体を選択する。ここで、選択範囲内に複数の被写体が検出された場合は、被写体検出モジュール123は、AF設定切り替え前のAF位置に最も近い被写体を主被写体として選択する。また、被写体検出モジュール123は、S801で決められた種類以外の被写体については、主被写体の選択対象とはしない。
【0054】
図9の例では、AF設定切り替わり前のAF位置905を中心とした実線の円形範囲が選択範囲906として設定されている。ここでは、人物901及び902は選択範囲906に含まれているが、人物907は選択範囲906に含まれていないため、人物907は主被写体選択の対象外となる。そして、選択範囲906に含まれてかつAF設定切り替わり前のAF位置905から最も近い人物901が主被写体として選択される。
【0055】
S804で、被写体検出モジュール123は、S803において主被写体が選択されたか否かを判定する。主被写体が選択された場合、処理ステップはS806に進む。主被写体が選択されなかった場合、処理ステップはS805に進む。
【0056】
S805の処理は、選択範囲内で主被写体が選択できなかった場合に実行される。この場合、AF設定切り替え前の主被写体とは関係なく新たに主被写体を決め直したいシーンであると考えられる。そのため、システム制御部115は、図3のS304と同様に基本の主被写体選択処理を行う。
【0057】
なお、S805においても主被写体が選択されなかった場合は、図3において処理ステップがS306からS307へと遷移するため、S307においてAF制御領域を決定する処理が行われる。その際に、AF設定切り替え前後でサーボAF設定が有効化されていた場合は、ユーザはAF設定切り替え前の被写体を追従したい意思が強いと考えられる。そこで、AF処理部105は、前回のAF位置との連続性の高い位置をAF制御領域として選択する。それによって、被写体の動きが激しい等により被写体検出が難しいシーンや、検出対象外の被写体にAF追従したいシーンなどの、被写体検出ができないシーンにおいてもAF設定切り替え前の被写体を追い続けたいというユーザの意図に沿うAF制御が実現する。
【0058】
S806で、被写体検出モジュール123は、主被写体が他の被写体に乗り移らないように設定する(以下、ロック設定)。ロック設定をすることによって、AF設定切り替わり後に決定した主被写体よりも優先度が高い被写体が検出されたとしても、主被写体を切り替えずに狙った被写体を追い続けたいというユーザの意図に沿うAF制御を実現することができる。それによって、図9において人物901が主被写体として選択された後も、主被写体がより顔サイズの大きい人物902に乗り移ることなく、人物901を主被写体として維持することができる。また、ロック設定が継続する時間を、ユーザがフレーミングし直すなどして安定した構図に設定できるまでの有限時間に設定してもよい。それによって、図9で人物901を主被写体として選択した後に、ユーザがフレーミングし直して、人物901の顔を画面中心に配置しかつ人物902及び人物907を画面端に配置する構図に切り替えるまでロック設定を継続できる。人物901が主被写体としてふさわしい構図に切り替われば主被写体としての優先度も上がるため、ロック設定によって主被写体を維持する必要性もなくなる。更に、有限時間でロック設定が解除された後は、ユーザが意図的に構図を切り替えることで人物901から他の被写体に主被写体を切り替えることも可能となる。
【0059】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、撮像装置100は、前回の主被写体選択処理の実行後にAF設定が変更された場合、AF設定の変更内容に応じて、前回の主被写体に基づいて今回の主被写体選択処理を実行するか前回の主被写体と無関係に今回の主被写体選択処理を実行するかを決定する。これにより、ユーザの意図に沿う主被写体が選択される可能性が向上する。
【0060】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、図5に示すAF設定変更時の主被写体選択処理(図3のS305)について説明した。第2の実施形態では、AF設定変更時の主被写体選択処理の他の例について説明する。第2の実施形態において、撮像装置100の基本的な構成は第1の実施形態と同様である。以下、主に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0061】
撮像装置100の操作部118は、AF設定変更用の1以上の操作部材(例えば、ボタン)を備える。1以上の操作部材の個別の操作部材には、AF設定の個別の設定内容が関連付けられている。例えば、第1の操作部材には、サーボ設定の有効化が関連付けられており、第2の操作部材には、瞳AF設定の有効化が関連付けられている。システム制御部115は、個別の操作部材が作動状態に切り替わったこと(例えば、ボタンが押下された状態になったこと)に応じて、この操作部材に関連付けられた設定内容を反映するようにAF設定を変更する。また、システム制御部115は、個別の操作部材が非作動状態に切り替わったこと(例えば、ボタンが押下されていない状態になったこと)に応じて、この操作部材に関連付けられた設定内容の反映を取り消すようにAF設定を変更する。例えば、特定のボタンにサーボ設定の有効化が関連付けられている場合、このボタンが押下された状態になると、システム制御部115は、サーボ設定を有効化するようにAF設定を変更する。その後、このボタンが押下されていない状態になると、システム制御部115は、サーボ設定の有効化を取り消す(サーボ設定を無効化する)ようにAF設定を変更する。更に、ユーザは複数の操作部材を同時に作動状態にすることが可能であり、この場合、各操作部材に関連付けられた設定内容がAF設定に反映される。
【0062】
図12は、第2の実施形態に係る、AF設定変更時の主被写体選択処理(図3のS305)の詳細を示すフローチャートである。図12のフローチャートにおいて、図5と同一又は同様の処理が行われるステップには図5と同一の符号を付す。
【0063】
S1201で、被写体検出モジュール123は、AF設定の変更がAF設定変更用の操作部材の作動状態解除(非作動状態への切り替わり)に起因するか否かを反映する。AF設定の変更が作動状態解除に起因する場合、処理ステップはS1202に進み、AF設定の変更が作動状態解除に起因しない場合、処理ステップはS502に進む。
【0064】
S1202で、被写体検出モジュール123は、AF設定が初期状態に戻ったか否か(1以上の操作部材の全てが非作動状態であるか否か)を判定する。AF設定が初期状態に戻った場合、処理ステップはS503に進み、そうでない場合、処理ステップはS502に進む。従って、個別の操作部材が非作動状態に切り替わったことに応じてAF設定が変更され、かつ1以上の操作部材の全てが非作動状態である場合には、AF設定の変更内容に関わらず、前回の主被写体と無関係に今回の主被写体選択処理が実行される。
【0065】
ここで、操作部118のAF設定変更用の操作部材によってAF設定に反映された設定内容の中でまだ有効な設定内容が残っている場合は、ユーザが表示部117を見ながら操作部118の操作を継続している状態である。従って、ユーザが被写体を追い続ける意思が残っていると考えられるため、AF設定の変更内容に応じた主被写体選択処理が行われる(S502)。一方、操作部118のAF設定変更用の操作部材によって反映された全ての設定内容が解除された場合は、ユーザが被写体を追い続ける意思がなくなったと考えられる。従って、AF設定の変更内容に関わらず、前回の主被写体と無関係に今回の主被写体選択処理が実行される(S503)。
【0066】
図13は、第2の実施形態に係る、AF設定変更時の主被写体選択処理の具体例を示す図である。図13の例では、操作部118に含まれる物理ボタンAにサーボAF設定が登録されており、物理ボタンBに瞳AF設定が登録されているものとする。そして、ユーザが物理ボタンA及びBを押下するとサーボAF設定及び瞳AF設定がそれぞれ有効化され、ユーザが物理ボタンA及びBを離すとサーボAF設定及び瞳AF設定がそれぞれ無効化されるものとする。
【0067】
図13(A)は、物理ボタンA及びBが共に押されていない状態を示す。この状態において、ワンショット設定が有効化されており、実線の矩形で示す静止している動物1301が主被写体として選択されている。図13(B)では、動物1301が動き出したためユーザは物理ボタンAを押下して、サーボ設定を有効化する。この場合、AF設定切り替え前の主被写体に基づき、動物1301が主被写体として引き続き選択される。続いて、図13(C)では、ユーザは物理ボタンBを押下して瞳AF設定を有効化する。この場合も、画面中心に存在する動物1302ではなく、AF設定切り替え前の主被写体である動物1301の瞳が今回の主被写体として選択される。図13(D)では、ユーザは物理ボタンBを離すことによって瞳AF設定を解除(無効化)するが、物理ボタンAはまだ押下されているため、サーボAFにより元の主被写体を追い続けたい意思が残っている。そのため、前回の主被写体である瞳に対応する動物1301が主被写体として選択される。図13(E)では、ユーザが物理ボタンAを離すことによって、AF設定変更用の操作部材による全ての設定内容が解除されて、AF設定が初期状態に戻る。そのため、ユーザとしてはAF設定をリセットして主被写体選択をやり直す意思があると想定される。従って、前回の主被写体と無関係に今回の主被写体選択処理が行われ、画面中心の動物1302が主被写体として選択される。
【0068】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、撮像装置100は、個別の操作部材が非作動状態に切り替わったことに応じてAF設定が変更され、かつ1以上の操作部材の全てが非作動状態である場合には、AF設定の変更内容に関わらず、前回の主被写体と無関係に今回の主被写体選択処理を実行する。これにより、ユーザの意図に沿う主被写体が選択される可能性が向上する。
【0069】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0070】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0071】
100…撮像装置、104…フォーカスレンズ、105…AF処理部、108…撮像素子、110…画像処理部、115…システム制御部、117…表示部、118…操作部、123…被写体検出モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13