(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】レンズ装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 35/10 20210101AFI20240729BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240729BHJP
G02B 7/10 20210101ALI20240729BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20240729BHJP
G03B 17/17 20210101ALI20240729BHJP
【FI】
G03B35/10
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
G02B7/10 Z
G03B17/14
G03B17/17
(21)【出願番号】P 2019049394
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2022-03-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】上原 匠
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】後藤 孝平
【審判官】野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-156584(JP,A)
【文献】特開2011-257633(JP,A)
【文献】特開2011-205558(JP,A)
【文献】特開2009-210957(JP,A)
【文献】特開平11-167071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 35/10
G03B 17/14
G02B 7/02
G02B 7/12
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一光学系と、
前記第一光学系と並列に配置された第二光学系と、を有し、
前記第一光学系および前記第二光学系により視差のある二つの像を結像可能な立体撮影用のレンズ装置であって、
前記第一光学系および前記第二光学系はそれぞれ、物体側から像側へ順に、第一光軸、第二光軸、および、第三光軸を有し、
前記第一光学系および前記第二光学系のそれぞれにおける前記第一光軸、前記第二光軸、および、前記第三光軸の相対位置および前記二つの像の結像位置における光軸が変化しないように前記第一光学系および前記第二光学系
がそれぞれ
の前記第三光
軸の周りに
一体的に回転することで、前記第一光学系および前記第二光学系のそれぞれの前記第一光軸の間隔は前記第三光軸の間隔よりも大きく変化し、
前記第一光軸の前記間隔の最小値は、前記第三光軸の前記間隔よりも大きいことを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記第一光学系および前記第二光学系はそれぞれ、入射光束を2回折り曲げる光学系であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記第二光軸は、前記第一光軸と直交していることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記第三光軸は、前記第一光軸と平行であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記第一光学系の第一回転量と前記第二光学系の第二回転量は、互いに逆方向において同角度であることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記第一光学系の第一回転機構と、
前記第二光学系の第二回転機構と、
前記第一回転機構と前記第二回転機構とを連結する歯車と、を更に有することを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のレンズ装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のレンズ装置と、
撮像素子を保持するカメラ本体と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子は、前記第一光学系により形成される第一像および前記第二光学系により形成される第二像を並列に結像する一つの撮像素子であることを特徴とする請求項
7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記レンズ装置は、前記カメラ本体に着脱可能であることを特徴とする請求項
7または
8に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体撮影用のレンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2組の光学系を並列に配置して一つの撮像素子に二つの像を結像させるレンズ装置が知られている。このようなレンズ装置では、基線長によって右眼と左眼に視差を有する像が投影されるため、鑑賞者は立体感を得ることができる。基線長が長いほど、鑑賞者は立体感を強く感じる。基線長を変更するには、右の光学系と左の光学系との間隔を変化させる必要がある。しかし、一つの撮像素子の上に二つの光学系の像を並べて結像させる場合、撮像素子の受光範囲を超えて像を離すことはできず、また、二つの像が重なるほど近付けることもできない。
【0003】
そこで特許文献1には、右眼と左眼の光学系の絞りを各々の光軸に対して偏らせて絞ることによって、撮像素子上に並んだ二つの像の位置を動かすことなく基線長を変更することが可能な立体撮像光学系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された立体撮像光学系は、絞りを開放させた状態で基線長を変更することができない。また、この立体撮像光学系において基線長を変更可能な範囲は、絞りの開放径の範囲内に限定される。
【0006】
そこで本発明は、基線長を広い範囲で変更することが可能なレンズ装置および撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としてのレンズ装置は、第一光学系と、前記第一光学系と並列に配置された第二光学系とを有し、前記第一光学系および前記第二光学系により視差のある二つの像を結像可能な立体撮影用のレンズ装置であって、前記第一光学系および前記第二光学系はそれぞれ、物体側から像側へ順に、第一光軸、第二光軸、および、第三光軸を有し、前記第一光学系および前記第二光学系のそれぞれにおける前記第一光軸、前記第二光軸、および、前記第三光軸の相対位置および前記二つの像の結像位置における光軸が変化しないように前記第一光学系および前記第二光学系がそれぞれの前記第三光軸の周りに一体的に回転することで、前記第一光学系および前記第二光学系のそれぞれの前記第一光軸の第一間隔は前記第三光軸の間隔よりも大きく変化し、前記第一光軸の前記間隔の最小値は、前記第三光軸の前記間隔よりも大きい。
【0008】
本発明の他の側面としての撮像装置は、前記レンズ装置と、撮像素子を保持するカメラ本体とを有する。
【0009】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基線長を広い範囲で変更することが可能なレンズ装置および撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態における撮像装置の概略図である。
【
図2】本実施形態におけるレンズ装置の俯瞰図である。
【
図3】本実施形態におけるレンズ装置の断面図である。
【
図4】本実施形態における基線長が長い状態のレンズ装置の説明図である。
【
図5】本実施形態における基線長が短い状態のレンズ装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
まず、
図1を参照して、本実施形態における撮像装置について説明する。
図1は、撮像装置100の概略図である。撮像装置100は、立体像の撮影が可能である。撮像装置100は、カメラ本体110とレンズ装置120とを有する。レンズ装置120は、カメラ本体110に着脱可能な交換レンズである。ただし本発明は、これに限定されるものではなく、カメラ本体110とレンズ装置120とが一体的に構成された撮像装置にも適用可能である。
【0014】
レンズ装置120は、右眼光学系(第一光学系)200R、左眼光学系(第二光学系)200L、および、システム制御部(レンズシステム制御部)121を有する。カメラ本体110は、撮像素子111、A/D変換器112、画像処理部113、表示部114、操作部115、記憶部116、システム制御部(カメラシステム制御部)117、検出部(検出手段)118を有する。なお検出部118は、レンズ装置120に設けてもよい。カメラ本体110にレンズ装置120を装着すると、カメラ本体110のシステム制御部117とレンズ装置120のシステム制御部121とが電気的に接続される。
【0015】
被写体の像は、右眼光学系200Rを介して結像される右眼像(第一像)と、左眼光学系200Lを介して結像される左眼像(第二像)とが並んで撮像素子111に結像される。撮像素子111は、結像された被写体の像(光信号)をアナログ電気信号に変換する。A/D変換器112は、撮像素子111から出力されたアナログ電気信号をデジタル電気信号(画像信号)に変換する。画像処理部113は、A/D変換器112から出力されたデジタル電気信号(画像信号)に対して種々の画像処理を行う。
【0016】
表示部114は、各種の情報を表示する。表示部114は、例えば、電子ビューファインダや液晶パネルを用いることにより実現される。操作部115は、撮像装置100に対する指示をユーザが行うためのユーザインタフェースとしての機能を有する。なお、表示部114がタッチパネルを有する場合、タッチパネルも操作部115の一つを構成する。記憶部116は、画像処理部113で画像処理が行われた画像データ等の各種のデータを記憶する。また記憶部116は、プログラムを記憶する。記憶部116は、例えば、ROM、RAM、および、HDDを用いることにより実現される。システム制御部117は、撮像装置100の全体を統括制御する。システム制御部117は、例えば、CPUを用いることにより実現される。
【0017】
次に、
図2および
図3を参照して、レンズ装置120の構成について説明する。
図2は、レンズ装置120の俯瞰図である。
図3は、右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lの断面図である。ここからの説明には、右眼光学系についての記述には符号の末尾にRを付け、左眼光学系についての記述には符号の末尾にLを付ける。また、右眼光学系と左眼光学系の両方に共通する記述には符号の末尾にRもLも付けない。
【0018】
レンズ装置120は、右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lを有する。右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lはそれぞれ、被写体側(物体側)から像側へ順に、第1光軸OA1R、OA1L、第1光軸と略直交する第2光軸OA2R、OA2L、第1光軸と平行な第3光軸OA3R、OA3Lを有する。また右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lはそれぞれ、各光軸に沿って、1群レンズ210R、210L、2群レンズ220R、220L、および、3群レンズ230R、230Lを有する。また右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lはそれぞれ、第1プリズム211R、211Lおよび第2プリズム221R、221Lを有する。第1プリズム211R、211Lはそれぞれ、第1光軸OA1R、OA1Lの光束を折り曲げて第2光軸OA2R、OA2Lに導く。第2プリズム221R、221Lはそれぞれ、第2光軸OA2R、OA2Lの光束を折り曲げて第3光軸OA3R、OA3Lに導く。
【0019】
カメラ本体110の撮像素子111上には、右眼光学系200Rにより結像する右眼イメージサークルICRと、左眼光学系200Lにより結像する左眼イメージサークルICLとが並列に像を結ぶ。イメージサークルICR、ICL同士が重ならないように、イメージサークルICR、ICLのサイズとイメージサークルICR、ICL同士の離間距離を設定することが好ましい。例えば撮像素子111の受光範囲を中央で左右に半分に分けた領域を考え、受光範囲の右領域の略中央に右眼イメージサークルICRの中心が来るように設定し、受光範囲の左領域の略中央に左眼イメージサークルICLの中心が来るように設定することが好ましい。
【0020】
右眼光学系200Rの第1光軸OA1Rと左眼光学系200Lの第1光軸OA1Lとの間の距離を基線長L1と称する。基線長L1が長いほど、鑑賞時の立体感が増す。しかし、基線長L1が物体距離の略1/20を超えると、立体感が強くなり過ぎることがある。このため、物体距離が近い場合、基線長L1を短くすることが好ましい。
【0021】
以下、基線長L1を変更する方法について詳述する。右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lはそれぞれ、1群レンズ保持部材212R、212L、2群レンズ保持部材222R、222L、および、3群レンズ保持部材231R、231Lを有する。1群レンズ保持部材212R、212Lはそれぞれ、1群レンズ210R、210Lと第1プリズム211R、211Lとを保持する。2群レンズ保持部材222R、222Lはそれぞれ、2群レンズ220R、220Lと第2プリズム221R、221Lとを保持する。また2群レンズ保持部材222R、222Lはそれぞれ、右眼光学系200Rの第一回転機構および左眼光学系200Lの第二回転機構を構成する。3群レンズ保持部材231R、231Lはそれぞれ、3群レンズ230R、230Lを保持する。また右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lはそれぞれ、レンズベース123に固定されている。レンズベース123は、レンズ装置120をカメラ本体110に接続するためのレンズマウント部122に固定される。
【0022】
右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lはそれぞれ、第3光軸OA3R、OA3Lを中心に回転可能に構成されている。本実施形態では、3群レンズ保持部材231R、231Lの外周部231aR、231aLをレンズベース123の第3光軸OA3R、OA3Lを中心とした円周面123aR、123aLに嵌合させる。右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lのそれぞれが第3光軸OA3R、OA3Lを中心に回転すると、撮像素子111上のイメージサークルICR、ICLは移動せず、第1光軸OA1R、OA1Lの位置が移動する。したがって、右眼光学系200Rと左眼光学系200Lを同じ角度ずつ逆方向に回転させると、右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lのそれぞれの第1光軸OA1R、OA1Lは、横並びの関係を保ちながら基線長L1を変更することができる。
【0023】
図2に示されるように、右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lの2群レンズ保持部材222R、222L同士は、2群レンズ保持部材222R、222Lにそれぞれ設けられた歯車(ギア)222aR、222aLで連結されている。これにより、右眼光学系200Rと左眼光学系200Lとを確実に同じ角度ずつ逆方向に回転させることができる。
【0024】
図4は、基線長L1が長い状態のレンズ装置120の説明図である。
図4(A)はレンズ装置120の被写体側から見た正面図を示し、
図4(B)は第一光軸OA1R、OA1L、第二光軸OA2R、OA2L、第三光軸OA3R、OA3L、および、イメージサークルICR、ICLのそれぞれの位置を示す。
図5は、基線長L1が短い状態のレンズ装置120の説明図である。
図5(A)はレンズ装置120の被写体側から見た正面図を示し、
図5(B)は第一光軸OA1R、OA1L、第二光軸OA2R、OA2L、第三光軸OA3R、OA3L、および、イメージサークルICR、ICLのそれぞれの位置を示す。
図5は、右眼光学系200Rと左眼光学系200Lがそれぞれ第3光軸OA3R、OA3Lを中心に回転し、
図4と比較して、第1光軸OA1R、OA1Lの間の基線長L1が短くなった状態を示している。
【0025】
図4と
図5とを比較すると、
図4では第2光軸OA2R、OA2Lが水平方向に延びているのに対し、
図5では第2光軸OA2R、OA2Lが斜めに配置されているため、
図5のほうが
図4よりも基線長L1が短い。また第3光軸OA3R、OA3Lが回転中心となっているため、第3光軸OA3R、OA3Lは移動せず、イメージサークルICR、ICLも移動しない。イメージサークルICR、ICLが移動しないため、基線長L1を変更した場合でも、イメージサークルICR、ICLが撮像素子111の受光範囲よりも外側に外れる可能性や、右眼と左眼のイメージサークルICR、ICL同士が重なる可能性はない。例えば撮像素子111のサイズを縦24mm×横36mm、イメージサークルICR、ICLの直径をφ17mm、第3光軸OA3R、OA3L同士の離間距離を18mm、第2光軸OA2R、OA2Lの長さを21mmとする。第2光軸OA2R、OA2Lが水平方向に延びるように右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lを配置すると、
図4に示される基線長L1は60mmとなり、成人の眼幅と略等しくなる。この状態から右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lのそれぞれを、第3光軸OA3R、OA3Lを中心に60度回転させると、
図5に示されるように基線長L1は約39mmまで縮まる。
【0026】
本実施形態において、右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lはそれぞれ第三光軸OA3R、OA3Lを中心として回転する(回転中心は第三光軸OA3R、OA3Lと一致する)が、本発明はこれに限定されるものではない。右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lのそれぞれが第三光軸OA3R、OA3Lに平行な軸の周りに回転することで、基線長L1(第一光軸の間隔)が第三光軸の間隔L3よりも大きく変化するように構成されていればよい。すなわち、回転中心が第3光軸OA3R、OA3Lの近傍であれば、回転半径の比を考えると第3光軸OA3R、OA3L同士の間隔よりも、第1光軸OA1R、OA1L同士の間隔(基線長L1)のほうが大きく変化する。イメージサークルICR、ICL同士の離間距離と、撮像素子111の受光範囲に対する右眼と左眼それぞれの記録画素範囲の余裕量があれば、右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lをそれぞれ回転させて基線長L1を変えることができる。
【0027】
第3光軸OA3R、OA3Lから離れた位置に回転中心を設定した場合、右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lを回転させると、撮像素子111上におけるイメージサークルICR、ICLの位置が移動する。その場合、イメージサークルICR、ICLの移動量に合わせて記録画素範囲を移動することが好ましい。または、イメージサークルICR、ICLの移動量をデータとして記録し、静止画データや動画データを格納するデータファイルにイメージサークルの位置をメタデータとして付与してもよい。
【0028】
第3光軸OA3R、OA3Lの位置は、右眼光学系200Rおよび左眼光学系200Lのそれぞれの回転軸の設計位置と回転量から演算可能である。回転量の検出部(検出手段)118として、例えばポテンショメータを用いることができる。システム制御部(制御手段)117は、第三光軸OA3R、OA3Lの位置に基づいて撮像素子111の記録画素範囲を移動させることができる。第3光軸OA3R、OA3Lの位置をイメージサークルICR、ICLの光量中心で代替してもよい。イメージサークルICR、ICLの光量中心は、撮像素子111の輝度分布から求めることができる。
【0029】
このように本実施形態において、レンズ装置120は、第一光学系(右眼光学系200R)、および、第一光学系と並列に配置された第二光学系(左眼光学系200L)を有する。第一光学系および第二光学系はそれぞれ、物体側から像側へ順に、第一光軸OA1R、OA1L、第二光軸OA2R、OA2L、および、第三光軸OA3R、OA3Lを有する。第一光学系および第二光学系のそれぞれが第三光軸に平行な軸の周りに回転することで、第一光学系および第二光学系のそれぞれの第一光軸の間隔(基線長L1)は第三光軸の間隔L3よりも大きく変化する。
【0030】
好ましくは、第一光学系および第二光学系はそれぞれ、入射光束を2回折り曲げる光学系である。また好ましくは、第二光軸は、第一光軸と直交している。また好ましくは、第三光軸は、第一光軸と平行である。また好ましくは、第一光学系および第二光学系はそれぞれ、第三光軸の周りに回転することで、第一光軸の間隔を変更する。また好ましくは、第一光学系の第一回転量と第二光学系の第二回転量は、互いに逆方向において同角度である。
【0031】
好ましくは、レンズ装置は、第一光学系の第一回転機構(2群レンズ保持部材222R)、第二光学系の第二回転機構(2群レンズ保持部材222L)、および、第一回転機構と第二回転機構とを連結する歯車(222aR、222aL)を有する。また好ましくは、レンズ装置は、第一光学系および第二光学系により視差のある二つの像を結像可能な立体撮影用のレンズ装置である。
【0032】
好ましくは、撮像素子111は、第一光学系により形成される第一像および第二光学系により形成される第二像を並列に結像する一つの撮像素子である。また好ましくは、撮像装置100は、第三光軸の位置を検出する検出手段(検出部118)、および、第三光軸の位置に基づいて撮像素子の記録画素範囲を移動させる制御手段(システム制御部117)を有する。
【0033】
本実施形態によれば、基線長を広い範囲で変更することが可能なレンズ装置および撮像装置を提供することができる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
120 レンズ装置
200R 右眼光学系(第一光学系)
200L 左眼光学系(第二光学系)
OA1R、OA1L 第一光軸
OA2R、OA2L 第二光軸
OA3R、OA3L 第三光軸
L1 基線長(第一光軸の間隔)
L3 第三光軸の間隔