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特許7527805通信システム、無線通信装置および通信システムの通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】通信システム、無線通信装置および通信システムの通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 5/79 20240101AFI20240729BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20240729BHJP
【FI】
H04B5/79
G06F13/38 350
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020024403
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021129269
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 直人
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-251895(JP,A)
【文献】特開2019-140442(JP,A)
【文献】特開2008-192018(JP,A)
【文献】特開2015-053855(JP,A)
【文献】特開2018-147380(JP,A)
【文献】特開2017-112608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/79
G06F 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信装置と、
第2の無線通信装置とを有し、
前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置はカプラを有し、相互に、電界、磁界、または、電界と磁界の両方により、無線通信を行い、
前記第1の無線通信装置は送電コイルを有し、前記第2の無線通信装置は受電コイルを有し、電界、磁界、または、電界と磁界の両方により、無線電力伝送を行い、
前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置と近接したことを検知する近接センサを有し、前記近接センサが近接を検知したことを示す電圧を出力した場合に、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置が無線通信可能になったことを示す電圧に前記第1の無線通信装置の信号線の電圧を制御することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1の無線通信装置は第1の通信コネクタを介して第1の通信装置と接続し、
前記第2の無線通信装置は第2の通信コネクタを介して第2の通信装置と接続することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1の無線通信装置は第1の通信コネクタと、第1の通信装置と、第1の無線通信部を有し、前記第2の無線通信装置は第2の通信コネクタと、第2の通信装置と、第2の無線通信部を有することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1の通信コネクタと前記第2の通信コネクタは、USBコネクタであることを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1の通信コネクタと前記第2の通信コネクタは、LIGHTNINGコネクタであることを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置は、相互に、半二重方式で無線通信を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置は、相互に、全二重方式で無線通信を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置は、相互に、差動信号の無線通信を行うことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第1の無線通信装置は、前記第1の通信コネクタの電源供給端子から電源電圧の供給を受けることを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項10】
前記第1の無線通信装置は、ACアダプタから電源電圧の供給を受けることを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。
【請求項11】
前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置に対して、前記送電コイルを介して電力を送電する送電回路を有し、前記送電コイルと前記送電回路との間の電圧が第1の電圧以下に低下したことにより近接を検知することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項12】
前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置に対して、前記送電コイルを介して電力を送電する送電回路を有し、前記送電コイルと前記送電回路との間に流れる電流が第1の電流以上に増加したことにより近接を検知することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項13】
前記第1の無線通信装置は、前記近接センサにより前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置が相互に近接したことを検知し無線通信が行われた後に、近接していない状態に変化した場合、前記第1の無線通信装置の信号線の電圧を制御することを特徴とする請求項1~1のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項14】
前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置に対して、前記送電コイルを介して電力を送電する送電回路を有し、前記送電コイルと前記送電回路との間の電圧が第2の電圧以上に上昇した場合には、前記信号線を、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置が無線通信可能でなくなったことを示す電圧に制御することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項15】
前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置に対して、前記送電コイルを介して電力を送電する送電回路を有し、前記送電回路に接続される電源から出力される電流が第1の電流以上に増加した場合には、前記信号線を、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置が無線通信可能になったことを示す電圧に制御することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項16】
無線通信装置であって、
無線通信用のカプラと、無線電力伝送用の送電コイルと、他の無線通信装置が近接したことを検知する近接センサを有し、
前記カプラは電界、磁界、または、電界と磁界の両方を用いて無線通信を行い、
前記送電コイルは電界、磁界、または、電界と磁界の両方を用いて無線電力伝送を行い、
前記近接センサが、前記他の無線通信装置と近接したことを示す電圧を出力した場合に、前記他の無線通信装置と無線通信可能になったことを示す電圧に前記無線通信装置の信号線の電圧を制御することを特徴とする無線通信装置。
【請求項17】
前記無線通信装置はUSBコネクタタを介して第1の通信装置と接続することを特徴とする請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記無線通信装置は差動信号の無線通信を行うことを特徴とする請求項16または17に記載の無線通信装置。
【請求項19】
第1の無線通信装置と、
第2の無線通信装置とを有する通信システムの通信方法であって、
前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置はカプラを有し、相互に、電界、磁界、または、電界と磁界の両方により、無線通信を行い、
前記第1の無線通信装置は送電コイルを有し、前記第2の無線通信装置は受電コイルを有し、電界、磁界、または、電界と磁界の両方により、無線電力伝送を行い、
前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置と近接したことを検知する近接センサを有し、前記近接センサが近接を検知したことを示す電圧を出力した場合に、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置が無線通信可能になったことを示す電圧に前記第1の無線通信装置の信号線の電圧を制御することを特徴とする通信システムの通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、無線通信装置および通信システムの通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースは、パーソナルコンピュータ(PC)を中心に広く普及しており、USBインターフェースを搭載した様々なUSB対応機器が市販されている。また、USB通信を無線化する規格を策定するための推進団体として、Wireless USB Promoter Groupが発足した。しかし、無線化の規格がUSB2.0であることもあり、無線化対応機器は普及しておらず、高速化が進んだUSB規格に対応できないでいる。
【0003】
特許文献1には、USB信号の無線化に関する技術が記載されている。赤外線通信制御装置は、USB信号送受信装置からのUSB信号を駆動回路および発光素子により赤外線信号に変換する。赤外線通信制御装置は、また、対向するUSB中継装置からのUSB信号を搬送する光信号を受光素子および再生回路で受信し、受信したUSB信号をUSB信号送受信装置に供給する。USB中継装置間で赤外線通信のリンクを確立すると、電源制御装置はUSBコネクタの電源線を終端し、電源制御装置はUSBコネクタの電源線に所定の電圧/電流を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-152775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年は通信コネクタを介した機器間の通信に求められる通信速度が高くなっており、従来技術では通信を無線化しつつ通信速度の要求に応えることが難しい場合がある。例えば、特許文献1に記載の技術では、信号を無線伝送する媒体が赤外線であり、伝送速度がUSB2.0の通信速度である480Mbpsを超えることは難しく、USB3.0の通信に求められる通信速度を実現できない。
【0006】
本発明の目的は、無線通信装置間の通信を無線化した通信システムにおける通信速度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信システムは、第1の無線通信装置と、第2の無線通信装置とを有し、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置はカプラを有し、相互に、電界、磁界、または、電界と磁界の両方により、無線通信を行い、前記第1の無線通信装置は送電コイルを有し、前記第2の無線通信装置は受電コイルを有し、電界、磁界、または、電界と磁界の両方により、無線電力伝送を行い、前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置と近接したことを検知する近接センサを有し、前記近接センサが近接を検知したことを示す電圧を出力した場合に、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置が無線通信可能になったことを示す電圧に前記第1の無線通信装置の信号線の電圧を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線通信装置間の通信を無線化した通信システムにおける通信速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】通信システムの構成例を示す図である。
図2】通信システムの構成例を示す図である。
図3】通信カプラの配置例を示す図である。
図4】通信システムの構成例を示す図である。
図5】通信可否判断部の構成例を示す図である。
図6】通信システムの構成例を示す図である。
図7】通信可否判断部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1(A)は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブル105で接続されたホスト101とデバイス102を示す図である。ホスト101は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。デバイス102は、例えば、カメラである。ホスト101とデバイス102は、USBケーブル105を介して、データ転送またはファイル転送を行う。ホスト101は、USBケーブル105を接続するためのUSB規格に準拠したUSBコネクタ103を有する。デバイス102は、USBケーブル105を接続するためのUSB規格に準拠したUSBコネクタ104を有する。
【0011】
図1(B)は、通信システム100の構成例を示す図である。通信システム100は、ホスト101と、デバイス102と、ホスト機器110と、デバイス機器120を有する。ホスト101は、通信装置であり、USB規格に準拠したUSBコネクタ103を有する。USBコネクタ103は、データ伝送および電力伝送に使用可能な通信コネクタである。デバイス102は、通信装置であり、USB規格に準拠したUSBコネクタ104を有する。USBコネクタ104は、通信コネクタである。
【0012】
通信システム100は、ホスト機器110とデバイス機器120により、図1(A)のUSBケーブル105を無線化する。ホスト機器110とデバイス機器120は、相互に、磁界通信、電界通信、または磁界通信と電界通信の両方を用いる通信方式(以下、これらを併せて電磁界通信という)の少なくとも1つの方式でUSB規格に準拠して無線通信を行う。
【0013】
ホスト機器110は、無線通信装置であり、ホスト101のUSBコネクタ103に接続される。ホスト機器110は、USB2.0規格またはUSB3.0以降の規格対応のホスト機器であり、電磁界通信を行う。デバイス機器120は、無線通信装置であり、デバイス102のUSBコネクタ104に接続される。デバイス機器120は、USB2.0規格またはUSB3.0以降の規格対応のデバイス機器であり、電磁界通信を行う。
【0014】
ホスト101は、PCに限定されず、スマートフォンまたはタブレットなどでもよい。デバイス102は、カメラに限定されず、メモリまたはスマートウォッチなどでもよい。
【0015】
図2(A)は、USB2.0の規格に対応する通信システム100の構成例を示す図である。ホスト機器110とデバイス機器120は、USB2.0の規格に対応し、電磁界通信を行う。以下、通信システム100の通信方法を説明する。
【0016】
ホスト機器110は、カプラ111と、カプラ112と、双方向アンプ113を有する。双方向アンプ113には、電源電圧Vinが供給される。カプラ111および112は、電磁界通信の磁界、電界または電磁界の送受信を行う。カプラ111および112が差動信号Data+およびData-の通信を行う場合、例えば、カプラ111がプラス信号Data+の送受信を行い、カプラ112がマイナス信号Data-の送受信を行う。カプラ111および112のプラス信号Data+とマイナス信号Data-は入れ替わってもよい。USB2.0規格は、送信と受信を交互に繰り返す半二重方式で通信が行われるため、ホスト機器110は、半二重方式で無線通信を行い、カプラ111および112は、送信と受信の両方を行う。
【0017】
デバイス機器120は、カプラ121と、カプラ122と、双方向アンプ123を有する。双方向アンプ113には、電源電圧Vが供給される。カプラ121および122は、電磁界通信の磁界、電界または電磁界の送受信を行う。カプラ121および122が差動信号Data+およびData-の通信を行う場合、例えば、カプラ121がプラス信号Data+の送受信を行い、カプラ122がマイナス信号Data-の送受信を行う。USB2.0規格は、半二重方式で通信が行われるため、デバイス機器120は、半二重方式で無線通信を行い、カプラ121および122は、送信と受信の両方を行う。
【0018】
双方向アンプ113は、送信時には、ホスト101のUSBコネクタ103から差動信号Data+およびData-を入力し、差動信号Data+およびData-を増幅する。そして、双方向アンプ113は、増幅したプラス信号Data+をカプラ111に出力し、増幅したマイナス信号Data-をカプラ112に出力する。カプラ111および112は、それぞれ、カプラ121および122に対して、電磁界通信で差動信号Data+およびData-を無線送信する。
【0019】
デバイス機器120のカプラ121および122は、電磁界通信で差動信号Data+およびData-を無線受信する。双方向アンプ123は、カプラ121および122から差動信号Data+およびData-を入力し、差動信号Data+およびData-を増幅し、増幅した差動信号Data+およびData-をデバイス102のUSBコネクタ104に出力する。
【0020】
双方向アンプ123は、送信時には、デバイス102のUSBコネクタ104から差動信号Data+およびData-を入力し、差動信号Data+およびData-を増幅する。そして、双方向アンプ123は、増幅したプラス信号Data+をカプラ121に出力し、増幅したマイナス信号Data-をカプラ122に出力する。カプラ121および122は、それぞれ、カプラ111および112に対して、電磁界通信で差動信号Data+およびData-を送信する。
【0021】
ホスト機器110のカプラ111および112は、電磁界通信で差動信号Data+およびData-を受信する。双方向アンプ113は、カプラ111および112から差動信号Data+およびData-を入力し、差動信号Data+およびData-を増幅し、増幅した差動信号Data+およびData-をホスト101のUSBコネクタ103に出力する。なお、図2(A)に示すシステムでは送信と受信の切り替えをUSB2.0のプロトコルに従って行うものとするが、これに限らず、独自のタイミングで切り替えてもよい。
【0022】
図2(B)は、USB3.0以降の規格に対応する通信システム100の構成例を示す図である。ホスト機器110とデバイス機器120は、USB3.0以降の規格に対応し、電磁界通信を行う。以下、通信システム100の通信方法を説明する。
【0023】
ホスト機器110は、カプラ131~134と、受信アンプ135と、送信アンプ136を有する。受信アンプ135と送信アンプ136には、電源電圧Vinが供給される。ホスト機器110のカプラ131および132は、デバイス機器120のカプラ141および142から、電磁界通信で差動信号RX+およびRX-を無線受信する。カプラ131は、プラス信号RX+を受信し、カプラ132は、マイナス信号RX-を受信する。カプラ131および132のプラス信号RX+とマイナス信号RX-は、入れ替わってもよい。
【0024】
カプラ133および134は、カプラ143および144に、電磁界通信で差動信号TX+およびTX-を無線送信する。カプラ133は、プラス信号TX+を送信し、カプラ134は、マイナス信号TX-を送信する。カプラ133および134のプラス信号TX+とマイナス信号TX-は、入れ替わってもよい。
【0025】
USB3.0以降の規格は、送信の経路と受信の経路が分離されている全二重方式で通信が行われる。ホスト機器110は、全二重方式で無線通信を行う。カプラ131および132は、受信専用のカプラである。カプラ133および134は、送信専用のカプラである。受信アンプ135は、カプラ131および132から差動信号RX+およびRX-を入力し、差動信号RX+およびRX-を増幅し、増幅した差動信号RX+およびRX-をホスト101のUSBコネクタ103に出力する。送信アンプ136は、ホスト101のUSBコネクタ103から差動信号TX+およびTX-を入力し、差動信号TX+およびTX-を増幅し、増幅した差動信号TX+およびTX-をカプラ133および134に出力する。
【0026】
デバイス機器120は、カプラ141~144と、送信アンプ145と、受信アンプ146を有する。送信アンプ145と受信アンプ146には、電源電圧Vが供給される。カプラ141および142は、カプラ131および132に、電磁界通信で差動信号TX+およびTX-を無線送信する。カプラ141は、プラス信号TX+を送信し、カプラ142は、マイナス信号TX-を送信する。カプラ141および142のプラス信号TX+とマイナス信号TX-は、入れ替わってもよい。
【0027】
カプラ143および144は、カプラ133および134から、電磁界通信で差動信号RX+およびRX-を無線受信する。カプラ143は、プラス信号RX+を受信し、カプラ144は、マイナス信号RX-を受信する。カプラ143および144のプラス信号RX+とマイナス信号RX-は、入れ替わってもよい。
【0028】
USB3.0以降の規格は、送信の経路と受信の経路が分離されている全二重方式で通信が行われる。デバイス機器120は、全二重方式で無線通信を行う。カプラ143および144は、受信専用のカプラである。カプラ141および142は、送信専用のカプラである。受信アンプ146は、カプラ143および144から差動信号RX+およびRX-を入力し、差動信号RX+およびRX-を増幅し、増幅した差動信号RX+およびRX-をデバイス102のUSBコネクタ104に出力する。送信アンプ145は、デバイス102のUSBコネクタ104から差動信号TX+およびTX-を入力し、差動信号TX+およびTX-を増幅し、増幅した差動信号TX+およびTX-をカプラ141および142に出力する。
【0029】
図3(A)は、図2(A)のUSB2.0の規格に対応した通信システム100のカプラ111,112,121,122の配置例を示す図である。双方向アンプ113は、カプラ111および112に接続される。双方向アンプ123は、カプラ121および122に接続される。カプラ111とカプラ121は、間隔が数ミリメートルであり、無線通信が行われる。カプラ112とカプラ122は、間隔が数ミリメートルであり、無線通信が行われる。
【0030】
図3(B)は、図2(B)のUSB3.0以降の規格に対応した通信システム100のカプラ131~134,141~144の配置例を示す図である。受信アンプ135は、カプラ131および132に接続される。送信アンプ136は、カプラ133および134に接続される。送信アンプ145は、カプラ141および142に接続される。受信アンプ146は、カプラ143および144に接続される。カプラ131とカプラ141は、間隔が数ミリメートルであり、無線通信が行われる。カプラ132とカプラ142は、間隔が数ミリメートルであり、無線通信が行われる。カプラ133とカプラ143は、間隔が数ミリメートルであり、無線通信が行われる。カプラ134とカプラ144は、間隔が数ミリメートルであり、無線通信が行われる。
【0031】
以上のように、図2(A)の通信システム100は、USB2.0規格の通信を無線化し、電磁界通信により無線通信を行うことができる。図2(B)の通信システム100は、USB3.0以降の規格の通信を無線化し、電磁界通信により無線通信を行うことができる。
【0032】
図4は、USB2.0の規格に対応する通信システム100の別の構成例を示す図である。ホスト機器110とデバイス機器120は、USB2.0の規格に対応し、差動信号Data+およびData-の電磁界通信と無線電力伝送を行う。ホスト機器110は、デバイス機器120に対して、電力を無線送電する。デバイス機器120は、ホスト機器110から電力を無線受電する。以下、図4の通信システム100が図2(A)の通信システム100と異なる点を説明する。
【0033】
ホスト機器110は、カプラ111,112と、双方向アンプ113を有する。さらに、ホスト機器110は、通信可否判断部401と、送電回路402と、送電コイル403と、DC-DCコンバータ406と、ACアダプタ407と、電源線408と、電圧検出部409と、電流検出部410と、近接センサ412を有する。
【0034】
デバイス機器120は、カプラ121,122と、双方向アンプ123を有する。さらに、デバイス機器120は、受電コイル404と、受電回路405を有する。
【0035】
ホスト機器110は、ホスト101のUSBコネクタ103の電源供給端子Vbusから電源電圧Vinの供給を受ける。ホスト101のUSBコネクタ103の電源供給端子Vbusは、電源線408を経由して、電源電圧Vinをホスト機器110の送電回路402と双方向アンプ113と近接センサ412に供給する。
【0036】
また、ホスト機器110は、ACアダプタ407とDC-DCコンバータ406から電源電圧Vinの供給を受ける。ACアダプタ407とDC-DCコンバータ406は、電源電圧Vinをホスト機器110の送電回路402と双方向アンプ113と近接センサ412に供給することができる。ACアダプタ407は、変圧器であり、交流100Vまたは200Vの電圧を直流電圧に変換する。DC-DCコンバータ406は、ACアダプタ407により変換された直流電圧を電源電圧Vinに変換し、電源電圧Vinを送電回路402と双方向アンプ113と近接センサ412に供給する。ホスト機器110および/またはデバイス機器120の電源電圧はVbusから供給しても良いし、ACアダプタ407から供給しても良い。
【0037】
デバイス機器120には、双方向アンプ123に電源電圧Vを供給するバッテリを搭載することができる。しかし、デバイス機器120にバッテリを搭載すると、デバイス機器120の重量が重くなり、またバッテリのスペースが必要となり、またバッテリの充電が必要になるため、運用に手間を必要とする。
【0038】
そこで、ホスト機器110は、デバイス機器120に対して、電力を無線送電する。送電回路402は、電源電圧Vinを入力し、送電コイル403を介して、受電コイル404に電力を無線送電する。送電回路402は、電力を間欠的または連続的に送電コイル403から送電する。間欠的に送電する電力は、通常時に送電する電力より小さくてもよい。
【0039】
電圧検出部409は、送電回路402と送電コイル403との間の線の電圧を検出する。電流検出部410は、送電回路402に接続される電源電圧Vinの線の電流を検出する。なお、電圧検出部409および電流検出部410の配置は図4に示す例に限定されず、これらはシステムにおいて他の位置に配置されても良い。
【0040】
受電コイル404は、送電コイル403の送電電力を受電できる範囲内に配置されると、電力を受電し、デバイス機器120が電力を消費する。デバイス機器120により電力が消費されると、電圧検出部409により検出される電圧が第1の電圧以下に低下し、電流検出部410により検出される電流が第1の電流以上に増加する。
【0041】
近接センサ412は、ホスト機器110とデバイス機器120が相互に近接したか否かを示すセンサ出力信号411を出力する。近接センサ412は、ホスト機器110とデバイス機器120が相互に近接した場合には、ハイレベルのセンサ出力信号411を出力し、ホスト機器110とデバイス機器120が相互に近接していない場合には、ローレベルのセンサ出力信号411を出力する。近接した場合の電圧レベルはシステムにより任意に決定できる。近接センサ412の種類は、誘導形、静電容量形、または磁気近接などがあるが、これに限らない。
【0042】
通信可否判断部401は、電圧検出部409により検出される電圧が第1の電圧以下に低下した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能になったと判断する。これは、図1(A)のシステムにおいて有線のUSBケーブル105がUSBコネクタ103および104に差し込まれたことに対応する。また、通信可否判断部401は、電圧検出部409により検出される電圧が第2の電圧以上に上昇した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能でなくなったと判断する。これは、図1(A)のシステムにおいて有線のUSBケーブル105がUSBコネクタ103または104から引き抜かれたことに対応する。
【0043】
また、通信可否判断部401は、電流検出部410により検出される電流が第1の電流以上に増加した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能になったと判断する。また、通信可否判断部401は、電流検出部410により検出される電流が第2の電流以下に減少した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能でなくなったと判断する。
【0044】
また、通信可否判断部401は、センサ出力信号411がローレベルからハイレベルになった場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能になったと判断する。また、通信可否判断部401は、センサ出力信号411がハイレベルからローレベルになった場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能でなくなったと判断する。
【0045】
通信可否判断部401は、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能になったと判断した場合には、プラス信号Data+の線をハイレベルにし、マイナス信号Data-の線をローレベルにする。すると、ホスト101は、ホスト機器110とデバイス機器120を介して、デバイス102に対して、USB2.0の規格の無線通信手順を開始する。
【0046】
通信可否判断部401は、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能でなくなったと判断した場合には、プラス信号Data+の線とマイナス信号Data-の線をローレベルにする。すると、ホスト101は、デバイス102に対する通信処理を終了する。
【0047】
受電回路405は、送電コイル403から、受電コイル404を介して電力を受電し、その受電した電力を電源電圧Vに変換し、電源電圧Vを双方向アンプ123に供給する。双方向アンプ123は、電源電圧Vの供給を受けて動作する。
【0048】
USB2.0の規格では、ホスト機器110とデバイス機器120が消費する電力の合計が2.5W以内である場合には、ホスト機器110は、USBコネクタ103の電源供給端子Vbusから供給される電源電圧を電源電圧Vinとして使用することができる。ホスト機器110とデバイス機器120が消費する電力の合計が2.5Wより大きい場合には、ホスト機器110は、ACアダプタ407およびDC-DCコンバータ406が生成する電源電圧Vinを使用する。電源電圧は、電源供給端子Vbusから供給してもよいし、ACアダプタから供給してもよい。
【0049】
図1(A)の場合、ホスト101は、USBケーブル105の挿抜検出を行い、USBケーブルが挿入されたと判断する事で、通信が可能であるか否かを判断することができる。しかし、図4の通信システム100は、USBケーブル105による接続ではないため、USBケーブル105の挿抜検出機能はない。そこで、通信可否判断部401が、有線のUSBケーブルの挿抜検出機能と同等の機能を具備し、通信可能であるか否かを判断する。
【0050】
図5は、図4の通信可否判断部401の構成例を示す回路図である。通信可否判断部401は、ホスト101のUSBコネクタ103と双方向アンプ113の間に設けられる。通信可否判断部401は、切替スイッチ501と、抵抗502~505を有する。
【0051】
切替スイッチ501は、コモン端子Cと、端子1と、端子2と、端子3を有する。切替スイッチ501のコモン端子Cは、電源電圧Vinのノードに接続される。抵抗502は、例えば15kΩであり、プラス信号Data+の線とグランド電位ノードとの間に接続される。抵抗503は、例えば15kΩであり、マイナス信号Data-の線とグランド電位ノードとの間に接続される。抵抗504は、例えば1.5kΩであり、切替スイッチ501の端子1とマイナス信号Data-の線との間に接続される。抵抗505は、例えば1.5kΩであり、切替スイッチ501の端子2とプラス信号Data+の線との間に接続される。切替スイッチ501の端子3は、オープン(開放)状態である。
【0052】
切替スイッチ501は、図4の電圧検出部409により検出される電圧が第1の電圧以下に低下した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能になったので、コモン端子Cを端子2に接続する。
【0053】
また、切替スイッチ501は、図4の電流検出部410により検出される電流が第1の電流以上に増加した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能になったので、コモン端子Cを端子2に接続する。
【0054】
また、切替スイッチ501は、図4のセンサ出力信号411がローレベルからハイレベルになった場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能になったので、コモン端子Cを端子2に接続する。コモン端子Cを接続するタイミングは、電圧検出、電流検出、センサ出力の少なくともいずれかを使用して決定されるものとするが、タイミング決定方法はこれに限定されない。
【0055】
切替スイッチ501がコモン端子Cを端子2に接続すると、プラス信号Data+の線がハイレベルになり、マイナス信号Data-の線がローレベルになる。すると、ホスト101は、ホスト機器110とデバイス機器120を介して、デバイス102に対して、USB2.0のハイスピード規格またはフルスピード規格の無線通信手順を行う。
【0056】
ホスト101は、USB2.0のハイスピード規格またはフルスピード規格の無線通信手順が成功した場合には、ホスト101とデバイス102は、USB2.0のハイスピード規格またはフルスピード規格の無線通信を行う。
【0057】
ホスト101は、USB2.0のハイスピード規格またはフルスピード規格の無線通信手順が失敗した場合(応答がない場合)には、ハイスピード規格またはフルスピード規格に対応出来ないと判断し、切替スイッチ501は、ホスト101の制御または通信可否判断部401の制御により、コモン端子Cを端子1に接続する。切替スイッチ501がコモン端子Cを端子1に接続すると、プラス信号Data+の線がローレベルになり、マイナス信号Data-の線がハイレベルになる。すると、ホスト101は、ホスト機器110とデバイス機器120を介して、デバイス102に対して、USB2.0のロースピード規格の無線通信手順を行う。
【0058】
切替スイッチ501は、図4の電圧検出部409により検出される電圧が第2の電圧以上に上昇した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120の距離が離れたことによりUSB規格の無線通信が可能でなくなったので、コモン端子Cを端子3に接続する。
【0059】
また、切替スイッチ501は、図4の電流検出部410により検出される電流が第2の電流以下に減少した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120の距離が離れたことによりUSB規格の無線通信が可能でなくなったので、コモン端子Cを端子3に接続してもよい。
【0060】
また、切替スイッチ501は、図4のセンサ出力信号411がハイレベルからローレベルになった場合には、ホスト機器110とデバイス機器120の距離が離れたことによりUSB規格の無線通信が可能でなくなったので、コモン端子Cを端子3に接続してもよい。ホスト機器110とデバイス機器120が通信が可能でなくなったことは上記の少なくとも何れかにより判断されるものとするが、これに限定されない。
【0061】
切替スイッチ501がコモン端子Cを端子3に接続すると、プラス信号Data+の線とマイナス信号Data-の線の両方がローレベルになる。すると、ホスト101は、USB2.0の規格の無線通信処理を終了する。
【0062】
図6は、USB3.0以降の規格に対応する通信システム100の構成例を示す図である。ホスト機器110とデバイス機器120は、USB3.0以降の規格に対応し、差動信号TX+およびTX-の無線送信と、差動信号RX+およびRX-の無線受信と、無線電力伝送を行う。ホスト機器110は、デバイス機器120に対して、電力を無線送電する。デバイス機器120は、ホスト機器110から電力を無線受電する。以下、図6の通信システム100が図2(B)の通信システム100と異なる点を説明する。
【0063】
図6のホスト機器110は、図2(B)のホスト機器110に対して、通信可否判断部601と、送電回路402と、送電コイル403と、DC-DCコンバータ406と、ACアダプタ407と、電源線408と、電圧検出部409と、電流検出部410と、近接センサ412を追加したものである。
【0064】
送電回路402と、送電コイル403と、DC-DCコンバータ406と、ACアダプタ407と、電源線408と、電圧検出部409と、電流検出部410と、近接センサ412は、図4のものと同様である。
【0065】
ホスト101のUSBコネクタ103の電源供給端子Vbusは、電源線408を経由して、電源電圧Vinをホスト機器110の送電回路402と受信アンプ135と送信アンプ136と近接センサ412に供給する。
【0066】
DC-DCコンバータ406は、ACアダプタ407により変換された直流電圧を電源電圧Vinに変換し、電源電圧Vinを送電回路402と受信アンプ135と送信アンプ136と近接センサ412に供給する。
【0067】
近接センサ412は、ホスト機器110とデバイス機器120が相互に近接した場合には、ハイレベルのセンサ出力信号411を出力し、ホスト機器110とデバイス機器120が相互に近接していない場合には、ローレベルのセンサ出力信号411を出力する。近接センサ412からの出力電圧レベルはこれに限定されない。
【0068】
送電回路402は、電力を間欠的または連続的に送電コイル403から送電する。通信可否判断部601は、ホスト101のUSBコネクタ103と受信アンプ135との間に設けられる。
【0069】
USB3.0以降の規格では、ホスト機器110とデバイス機器120が消費する電力の合計が4.5W以内である場合には、ホスト機器110は、USBコネクタ103の電源供給端子Vbusから供給される電源電圧を電源電圧Vinとして使用できる。ホスト機器110とデバイス機器120が消費する電力の合計が4.5Wより大きい場合には、ホスト機器110は、ACアダプタ407とDC-DCコンバータ406により生成される電源電圧Vinを使用する。電源電圧は、電源供給端子Vbusから供給されてもよいし、ACアダプタから供給されてもよい。
【0070】
図6のデバイス機器120は、図2(B)のデバイス機器120に対して、受電コイル404と受電回路405を追加したものである。受電コイル404と受電回路405は、図4のものと同様である。
【0071】
受電回路405は、送電コイル403から、受電コイル404を介して電力を受電し、その受電した電力を電源電圧Vに変換し、電源電圧Vを送信アンプ145と受信アンプ146に供給する。送信アンプ145と受信アンプ146は、電源電圧Vの供給を受けて動作する。
【0072】
図7は、図6の通信可否判断部601の構成例を示す回路図である。通信可否判断部601は、ホスト101のUSBコネクタ103と受信アンプ135の間に設けられる。通信可否判断部601は、スイッチ701と、抵抗702~705を有する。
【0073】
スイッチ701は、端子1と、端子2と、端子3と、端子4を有する。スイッチ701の端子1は、プラス信号RX+の線に接続される。スイッチ701の端子3は、マイナス信号RX-の線に接続される。抵抗702は、スイッチ701の端子1とグランド電位ノードとの間に接続される。抵抗703は、スイッチ701の端子4とグランド電位ノードとの間に接続される。抵抗704は、プラス信号RX+の線とグランド電位ノードとの間に接続される。抵抗705は、マイナス信号RX-の線とグランド電位ノードとの間に接続される。
【0074】
スイッチ701は、図6の電圧検出部409により検出される電圧が第1の電圧以下に低下した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とが近接し、USB規格の無線通信が可能になったので、端子1を端子2に接続し、端子4を端子3に接続する。
【0075】
また、スイッチ701は、図6の電流検出部410により検出される電流が第1の電流以上に増加した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とが近接し、USB規格の無線通信が可能になったので、端子1を端子2に接続し、端子4を端子3に接続する。
【0076】
また、スイッチ701は、図6のセンサ出力信号411がローレベルからハイレベルになった場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とが近接し、USB規格の無線通信が可能になったので、端子1を端子2に接続し、端子4を端子3に接続する。端子1と端子2の接続および端子4と端子3の接続の決定は、上記の少なくとも何れかに基づいて行われるものとするが、これに限定されない。
【0077】
スイッチ701が端子1を端子2に接続し、端子4を端子3に接続すると、USB3.0以降の規格に準拠し、プラス信号RX+の線とマイナス信号RX-の線の両方の電位が第1の電位に変化する。すると、ホスト101は、ホスト機器110とデバイス機器120を介して、デバイス102に対して、USB3.0以降の規格の無線通信を行う。
【0078】
図6の電圧検出部409により検出される電圧が第2の電圧以上に増加した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能でなくなったことを意味する。その場合、スイッチ701は、端子1を端子2から切断し、端子4を端子3から切断する。
【0079】
また、図6の電流検出部410により検出される電流が第2の電流以下に減少した場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能でなくなったことを意味する。その場合、スイッチ701は、端子1を端子2から切断し、端子4を端子3から切断する。
【0080】
また、図6のセンサ出力信号411がハイレベルからローレベルになった場合には、ホスト機器110とデバイス機器120とがUSB規格の無線通信が可能でなくなったことを意味する。その場合、スイッチ701は、端子1を端子2から切断し、端子4を端子3から切断する。スイッチ701の端子1と端子2の切断および端子4と端子3の切断の決定は上記の少なくとも何れに基づいて行われるものとするが、これに限定されない。
【0081】
スイッチ701が端子1を端子2から切断し、端子4を端子3から切断すると、プラス信号RX+の線とマイナス信号RX-の線の両方の電位が第2の電位に変化する。すると、ホスト101は、USB2.0の規格の無線通信処理を終了する。
【0082】
なお、USBコネクタ103および104の形状は、TypeA、TypeB、3.0TypeB、TypeC、miniA、miniB、MicroA、MicroB、または3.0MicroBなどである。また、USBコネクタ103および104の代わりに、データ伝送および電力伝送に使用可能なLIGHTNING(登録商標)コネクタを設け、LIGHTNING規格の無線通信を行ってもよい。
【0083】
以上のように、ホスト機器110とデバイス機器120は、電界通信、磁界通信、または電界通信と磁界通信の両方を用いる通信方式のうち少なくとも1つの方式で無線通信する。これにより、通信システム100は、通信を高速化すると共に低コストでUSBケーブルまたはLIGHTNINGケーブルの無線化を実現できる。
【0084】
また、ホスト機器110は、デバイス機器120に対して、無線電力伝送により電力供給を行う。これにより、デバイス機器120は、バッテリ等の電源を具備しなくても、無線通信の動作を行うことができる。
【0085】
通信可否判断部401と601は、ホスト機器110とデバイス機器120が無線通信可能になった場合に、USBコネクタ103の信号線の電位を制御する。また、通信可否判断部401および601は、ホスト機器110とデバイス機器120が無線通信可能でなくなった場合に、USBコネクタ103の信号線の電位を制御する。
【0086】
通信可否判断部401および601は、送電コイル403と送電回路402との間の線の電圧が第1の電圧以下に低下した場合には、USBコネクタ103の信号線を、ホスト機器110とデバイス機器120が無線通信可能になったことを示す電位に制御する。
【0087】
通信可否判断部401と601は、送電コイル403と送電回路402との間の線の電圧が第2の電圧以上に上昇した場合には、USBコネクタ103の信号線を、ホスト機器110とデバイス機器120が無線通信可能でなくなったことを示す電位に制御する。
【0088】
通信可否判断部401と601は、送電回路402に接続される電源電圧Vinの線の電流が第1の電流以上に増加した場合には、USBコネクタ103の信号線を、ホスト機器110とデバイス機器120が無線通信可能になったことを示す電位に制御する。
【0089】
通信可否判断部401と601は、送電回路402に接続される電源電圧Vinの線の電流が第2の電流以下に減少した場合には、USBコネクタ103の信号線を、ホスト機器110とデバイス機器120が無線通信可能でなくなったことを示す電位に制御する。
【0090】
通信可否判断部401と601は、近接センサ412が出力するセンサ出力信号411を用い、ホスト機器110とデバイス機器120が相互に近接していない状態から近接した状態に変化したことを認識する。その場合、通信可否判断部401と601は、USBコネクタ103の信号線を、ホスト機器110とデバイス機器120が無線通信可能になったことを示す電位に制御する。
【0091】
通信可否判断部401と601は、近接センサ412が出力するセンサ出力信号411を用い、ホスト機器110とデバイス機器120が相互に近接した状態から近接していない状態に変化したことを認識する。その場合、通信可否判断部401と601は、USBコネクタ103の信号線を、ホスト機器110とデバイス機器120が無線通信可能でなくなったことを示す電位に制御する。
【0092】
このように、通信可否判断部401と601によって、有線通信の場合にはケーブルの挿抜検出により行われていた通信可否判断を、無線通信においても簡易な構成で実現することができる。
【0093】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0094】
110 ホスト機器、120 デバイス機器、113,123 双方向アンプ、135 送信アンプ、145 送信アンプ、136 受信アンプ、146 受信アンプ、401 通信可否判断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7