(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-26
(45)【発行日】2024-08-05
(54)【発明の名称】通信システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/14 20180101AFI20240729BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240729BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240729BHJP
【FI】
H04W76/14
H04W84/10 110
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2022195578
(22)【出願日】2022-12-07
(62)【分割の表示】P 2018085293の分割
【原出願日】2018-04-26
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】大久保 洋志
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-127871(JP,A)
【文献】特開2017-208776(JP,A)
【文献】特開2014-027384(JP,A)
【文献】特開2014-195215(JP,A)
【文献】特開2015-212893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と通信可能な通信装置であって、
前記端末装置の外部且つ前記通信装置の外部にある外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続
であり、Group Ownerとして前記通信装置を動作させる規格であるWi-Fi Directに基づく無線接続である所定の無線接続を介して、前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための接続情報を受信する受信手段と、
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を前記接続情報に基づいて新たに確立するための第1処理と、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための第2処理とを、前記
所定の無線接続を介して前記接続情報が受信されたことに基づいて実行する処理手段と、
前記第1処理に基づいて確立された
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続と、前記第2処理に基づいて確立された前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続とが並行して維持されるよう制御する制御手段と、
を有し、
前記接続情報が受信された後、前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断され、
前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断された後、前記第2処理が実行されることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
端末装置と通信可能な通信装置であって、
前記端末装置の外部且つ前記通信装置の外部にある外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続
であり、Group Ownerとして前記通信装置を動作させる規格であるWi-Fi Directに基づく無線接続である所定の無線接続を介して、前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための接続情報を受信する受信手段と、
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を前記接続情報に基づいて新たに確立するための第1処理と、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための第2処理とを、前記
所定の無線接続を介して前記接続情報が受信された後の前記通信装置に対するユーザ操作無しに実行する処理手段と、
前記第1処理に基づいて確立された
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続と、前記第2処理に基づいて確立された前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続とが並行して維持されるよう制御する制御手段と、
を有し、
前記接続情報が受信された後、前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断され、
前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断された後、前記第2処理が実行されることを特徴とする通信装置。
【請求項3】
前記接続情報の受信に用いられる前記
所定の無線接続と、前記第2処理によって新たに確立される前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続は異なる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記接続情報の受信に用いられる前記
所定の無線接続における前記通信装置の親機としてのモードと、前記第2処理によって確立される前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続における前記通信装置の親機としてのモードは異なる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
前記第2処理は、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を確立するためのモードを起動する処理である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
Bluetoothによって通信する通信手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信手段は、Bluetooth Low Energyによって通信することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信手段は、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のBluetoothに基づく無線接続を介して、前記接続情報を受信することを特徴とする請求項6又は7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記第1処理と、前記第2処理とを、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のBluetoothに基づく無線接続を介して前記接続情報が受信されたことに基づいて実行する処理手段をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記第1処理と、前記第2処理とが、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のBluetoothに基づく無線接続を介して前記接続情報が受信されたことに基づいて実行された後も、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のBluetoothに基づく無線接続が切断されずに維持されることを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続は、前記通信装置が子機として動作している無線接続であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の通信装置。
【請求項12】
印刷を実行する印刷手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の通信装置。
【請求項13】
前記印刷手段は、前記端末装置から受信した印刷ジョブに基づいて印刷を実行することを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
【請求項14】
前記通信装置は、レーザービームプリンタであることを特徴とする請求項12又は13に記載の通信装置。
【請求項15】
前記通信装置は、インクジェットプリンタであることを特徴とする請求項12又は13に記載の通信装置。
【請求項16】
前記第1処理によって前記通信装置が接続した前記外部装置のプライバシーセパレータ機能が有効化されている場合、前記第2処理によって新たに確立された、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を介して通信が実行されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の通信装置。
【請求項17】
前記第2処理は、前記Wi-Fi Directに基づく無線接続のためのモードでの動作を開始する処理であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の通信装置。
【請求項18】
端末装置と通信可能な通信装置の制御方法であって、
前記端末装置の外部且つ前記通信装置の外部にある外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続
であり、Group Ownerとして前記通信装置を動作させる規格であるWi-Fi Directに基づく無線接続である所定の無線接続を介して、前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための接続情報を受信する受信ステップと、
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための第1処理と、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための第2処理とを、前記
所定の無線接続を介して前記接続情報が受信されたことに基づいて実行する処理ステップと、
前記第1処理に基づいて確立された
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続と、前記第2処理に基づいて確立された前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続とが並行して維持されるよう制御する制御ステップと、
を有し、
前記接続情報が受信された後、前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断され、
前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断された後、前記第2処理が実行されることを特徴とする制御方法。
【請求項19】
端末装置と通信可能な通信装置の制御方法であって、
前記端末装置の外部且つ前記通信装置の外部にある外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続
であり、Group Ownerとして前記通信装置を動作させる規格であるWi-Fi Directに基づく無線接続である所定の無線接続を介して、前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための接続情報を受信する受信ステップと、
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を前記接続情報に基づいて新たに確立するための第1処理と、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための第2処理とを、前記
所定の無線接続を介して前記接続情報が受信された後の前記通信装置に対するユーザ操作無しに実行する処理ステップと、
前記第1処理に基づいて確立された
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続と、前記第2処理に基づいて確立された前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続とが並行して維持されるよう制御する制御ステップと、
を有し、
前記接続情報が受信された後、前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断され、
前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断された後、前記第2処理が実行されることを特徴とする制御方法。
【請求項20】
端末装置と通信可能な通信装置のコンピュータに、
前記端末装置の外部且つ前記通信装置の外部にある外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続
であり、Group Ownerとして前記通信装置を動作させる規格であるWi-Fi Directに基づく無線接続である所定の無線接続を介して、前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための接続情報を受信する受信ステップと、
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を前記接続情報に基づいて新たに確立するための第1処理と、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための第2処理とを、前記
所定の無線接続を介して前記接続情報が受信されたことに基づいて実行する処理ステップと、
前記第1処理に基づいて確立された
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続と、前記第2処理に基づいて確立された前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続とが並行して維持されるよう制御する制御ステップと、
を実行させ、
前記接続情報が受信された後、前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断され、
前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断された後、前記第2処理が実行されることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
端末装置と通信可能な通信装置のコンピュータに、
前記端末装置の外部且つ前記通信装置の外部にある外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続
であり、Group Ownerとして前記通信装置を動作させる規格であるWi-Fi Directに基づく無線接続である所定の無線接続を介して、前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための接続情報を受信する受信ステップと、
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を前記接続情報に基づいて新たに確立するための第1処理と、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための第2処理とを、前記
所定の無線接続を介して前記接続情報が受信された後の前記通信装置に対するユーザ操作無しに実行する処理ステップと、
前記第1処理に基づいて確立された
前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続と、前記第2処理に基づいて確立された前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続とが並行して維持されるよう制御する制御ステップと、
を実行させ、
前記接続情報が受信された後、前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断され、
前記接続情報の通信に用いられた、前記
所定の無線接続が切断された後、前記第2処理が実行されることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の端末装置がネットワーク対応のプリンタ等の通信装置と無線LAN通信等の通信方式によって接続する方法として、アクセスポイント(AP)等の外部装置を介して接続する方法がある。この接続方法をインフラストラクチャ接続(インフラ接続)と呼ぶ。端末装置と通信装置は、インフラ接続を確立して、外部装置による通信の中継を可能とすることにより、例えば、装置間の双方向通信や、インターネットに接続してインターネット上のサービスを利用することが可能となる。
【0003】
しかしながら例えば、プライバシーセパレータ機能により外部装置による通信の中継が行われないこと等が原因となり、端末装置と通信装置とが同一の外部装置に接続したにも拘らず、端末装置と通信装置とが外部装置を介して通信できないことがある。
【0004】
特許文献1には、端末装置と通信装置が同一の外部装置に接続したにも拘らず、端末装置と通信装置が外部装置を介して通信できない場合、外部装置との接続を切断し、外部装置を介さない端末装置との接続(アドホック接続)を確立する通信装置が記載されている。特許文献1に記載されている方法により、端末装置と通信装置は、インフラ接続の代わりにアドホック接続を用いて通信可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、端末装置と通信装置とが同一の外部装置に接続したにも拘らず、端末装置と通信装置とが外部装置を介して通信できないからといって、端末装置以外の装置と通信装置との間で外部装置を介して通信できないとは限らない。
【0007】
しかしながら上述したように、特許文献1において、端末装置と通信装置とが同一の外部装置に接続したにも拘らず、端末装置と通信装置とが外部装置を介して通信できない場合に、通信装置は、外部装置との接続を切断してしまう。そのため特許文献1は、端末装置と通信装置とが同一の外部装置に接続したにも拘らず、端末装置と通信装置とが外部装置を介して通信できない場合に、端末装置以外の装置と通信装置との間でも外部装置を介して通信できなくなるという課題がある。
【0008】
そこで本発明は、端末装置と通信装置が同一の外部装置に接続したにも拘らず、端末装置と通信装置が外部装置を介して通信できない場合に、端末装置と通信装置の間の通信及び端末装置以外の装置と通信装置の間の通信の両方を実行可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の通信装置は、端末装置と通信可能な通信装置であって、前記端末装置の外部且つ前記通信装置の外部にある外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続であり、Group Ownerとして前記通信装置を動作させる規格であるWi-Fi Directに基づく無線接続である所定の無線接続を介して、前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための接続情報を受信する受信手段と、前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を前記接続情報に基づいて新たに確立するための第1処理と、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための第2処理とを、前記所定の無線接続を介して前記接続情報が受信されたことに基づいて実行する処理手段と、前記第1処理に基づいて確立された前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続と、前記第2処理に基づいて確立された前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続とが並行して維持されるよう制御する制御手段と、を有し、前記接続情報が受信された後、前記接続情報の通信に用いられた、前記所定の無線接続が切断され、前記接続情報の通信に用いられた、前記所定の無線接続が切断された後、前記第2処理が実行されることを特徴とする。
また本発明の通信装置は、端末装置と通信可能な通信装置であって、前記端末装置の外部且つ前記通信装置の外部にある外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続であり、Group Ownerとして前記通信装置を動作させる規格であるWi-Fi Directに基づく無線接続である所定の無線接続を介して、前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための接続情報を受信する受信手段と、 前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を前記接続情報に基づいて新たに確立するための第1処理と、前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続を新たに確立するための第2処理とを、前記所定の無線接続を介して前記接続情報が受信された後の前記通信装置に対するユーザ操作無しに実行する処理手段と、前記第1処理に基づいて確立された前記外部装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続と、前記第2処理に基づいて確立された前記外部装置を介さない前記端末装置と前記通信装置との間のIEEE802.11の通信規格に基づく無線接続とが並行して維持されるよう制御する制御手段と、を有し、前記接続情報が受信された後、前記接続情報の通信に用いられた、前記所定の無線接続が切断され、前記接続情報の通信に用いられた、前記所定の無線接続が切断された後、前記第2処理が実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、端末装置と通信装置とが同一の外部装置に接続したにも拘らず、端末装置と通信装置とが外部装置を介して通信できない場合に、端末装置と通信装置の間の通信及び、端末装置以外の装置と通信装置の間の通信の両方を実行可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態における通信システムの一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態における端末装置及び通信装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態における通信システムが実行するケーブルレスセットアップのシーケンス図の一例である。
【
図4】本発明の実施形態における通信システムが実行するケーブルレスセットアップのシーケンス図の一例である。
【
図5】本発明の実施形態における通信システムが実行するケーブルレスセットアップのシーケンス図の一例である。
【
図6】本発明の実施形態における通信システムが実行するケーブルレスセットアップのシーケンス図の一例である。
【
図7】本発明の実施形態における端末装置によって実行されるケーブルレスセットアップを示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態における通信装置によって実行されるケーブルレスセットアップを示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施形態における端末装置が表示する設定画面の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態におけるBLE通信を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を例示的に詳しく説明する。但し、本実施形態に記載されている構成要素の相対配置、表示画面等は、特に、特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、実施例の要旨から逸脱しない範囲で、構成要素を変更しても良い。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態の端末装置及び通信装置について説明する。端末装置として、本実施形態ではスマートフォンを例示している。スマートフォンとは、携帯電話の機能の他に、カメラや、ウェブブラウザ、電子メール機能等を搭載した多機能型の携帯電話のことである。なお、本発明を適用可能な端末装置は、スマートフォンに限定されず、後述の通信装置と通信可能な装置であれば良い。例えば、端末装置として、デジタルカメラ、携帯電話、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等を適用可能である。また、通信装置として、本実施形態では、複写サービス、FAXサービス、印刷サービスを提供可能なマルチファンクションプリンタ(以後、MFP)を例示しているが、これに限定されない。通信装置として、端末装置と通信を行うことが可能な装置であれば、種々のものを適用可能である。例えば、プリンタであれば、インクジェットプリンタ、フルカラーレーザービームプリンタ、モノクロプリンタ等を適用可能である。また、複写機やファクシミリ装置、スマートフォン、携帯電話、PC、タブレット端末、PDA、デジタルカメラ、音楽再生デバイス、ストレージ、プロジェクタ、スマートスピーカ等、印刷以外のサービスを提供可能な装置にも適用可能である。なお、スマートスピーカとは、ユーザが発する音声に従って、同一のネットワークに存在する機器に対して処理を指示したり、ユーザが発する音声に対応して、ネットワークを介して取得した情報をユーザに通知したりするための装置である。その他、単一の機能を備えるシングルファンクションプリンタ(以後、SFP)も適用可能である。
【0014】
<システム構成>
まず、本実施形態を実現するためのシステム構成について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の通信システムの構成の一例を示す図である。このシステムは、通信装置151、端末装置101、アクセスポイント(AP)131、外部サーバ161を含むものとする。
【0016】
端末装置101は、本実施形態の端末装置である。通信装置151は、本実施形態の通信装置である。AP131は、端末装置101の外部且つ通信装置151の外部に存在する外部装置である。外部サーバ161は、AP131に接続している装置に、インターネットを介してサービスを提供可能なサーバである。
【0017】
AP131によって構成されるLAN (Local Area Network)には、AP131、通信装置151及び、端末装置101が含まれる。一方、WAN(Wide Area Network)には、AP131及び外部サーバ161が含まれる。
【0018】
本実施形態において、端末装置101は、後述のインフラストラクチャ接続が確立している場合には、AP131を介して通信装置151と通信することができる。さらに、端末装置101は、後述のP2P接続が確立している場合には、AP131を介さず、通信装置151と直接通信することができる。
【0019】
本実施形態において、端末装置101とAP131の間の接続141と、通信装置151とAP131の間の接続142は、IEEE802.11シリーズの規格に基づく通信方式による接続であるものとする。IEEE802.11シリーズの規格に基づく通信方式とは、具体的には、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)である。また、端末装置101と通信装置151の間の接続143は、Wi-Fi、又はBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)であるものとする。なお、各接続に用いられる通信方式は、この形態に限定されず、例えば、ClassicBluetoothや、Wi-Fi Aware、Near Field Communication(NFC)等であっても良い。AP131と外部サーバ161はインターネットを介して通信可能であり、AP131がインターネットに接続している状態では、AP131に接続している装置(端末装置101や通信装置151)もインターネットを利用可能となる。
【0020】
端末装置101と、通信装置151の構成について
図2のブロック図を参照して説明する。また、本実施形態では以下の構成を例に記載するが、特にこの図のとおりに機能を限定するものではない。
【0021】
端末装置101は、入力インタフェース102、CPU103、ROM104、RAM105、外部記憶装置106、出力インタフェース107、表示部108、通信部110、近距離通信部111等を有する。
【0022】
入力インタフェース102は、キーボード109が操作されることにより、ユーザからのデータ入力や動作指示を受け付けるためのインタフェースである。
【0023】
CPU103は、システム制御部であり、端末装置101の全体を制御する。
【0024】
ROM104は、CPU103が実行する制御プログラムやデータテーブル、組み込みオペレーティングシステム(以下、OSという。)プログラム等の固定データを格納する。本実施形態では、ROM104に格納されている各制御プログラムは、ROM104に格納されている組み込みOSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ、割り込み処理等のソフトウェア実行制御を行う。
【0025】
RAM105は、バックアップ電源を必要とするSRAM(Static Random Access Memory)等で構成される。なお、RAM105は、図示しないデータバックアップ用の1次電池によってデータが保持されているため、プログラム制御変数等の重要なデータを揮発させずに格納することができる。また、端末装置101の設定情報や端末装置101の管理データ等を格納するメモリエリアもRAM105に設けられている。また、RAM105は、CPU103の主メモリとワークメモリとしても用いられる。
【0026】
外部記憶装置106は、後述のケーブルレスセットアップを実行するためのアプリケーションや印刷実行機能を提供するアプリケーション、通信装置151が解釈可能な印刷情報を生成する印刷情報生成プログラム等を保存している。また、外部記憶装置106は、通信部110を介して接続している通信装置151との間で送受信する情報送受信制御プログラム等の各種プログラムや、これらのプログラムが使用する各種情報を保存している。
【0027】
出力インタフェース107は、表示部108がデータの表示や端末装置101の状態の通知を行うための制御を行うインタフェースである。
【0028】
表示部108は、LED(発光ダイオード)やLCD(液晶ディスプレイ)などから構成され、データの表示や端末装置101の状態の通知を行う。なお、表示部108上に、数値入力キー、モード設定キー、決定キー、取り消しキー、電源キー等の操作部を設置することで、入力インタフェース102は、表示部108を介してユーザからの入力を受け付けても良い。
【0029】
通信部110は、通信装置151やAP131等の装置と接続して、データ通信を実行するための構成である。例えば、通信部110は、通信装置151内のアクセスポイント(不図示)に接続可能である。通信部110と通信装置151内のアクセスポイントが接続することで、端末装置101と通信装置151は相互に通信可能となる。なお、通信部110は無線通信で通信装置151とダイレクトに通信しても良いし、端末装置101の外部且つ通信装置151の外部に存在する外部装置を介して通信しても良い。なお、外部装置とは、外部アクセスポイント(AP131)や、アクセスポイント以外で通信を中継可能な装置を含む。無線通信方式としては、例えば、Wi-Fi等が挙げられる。また、AP131としては、例えば、無線LANルーター等の機器などが挙げられる。なお、本実施形態において、端末装置101と通信装置151とが外部アクセスポイントを介さずにダイレクトに接続する方式をP2P接続方式という。また、端末装置101と通信装置151とが外部アクセスポイントを介して接続する方式をインフラストラクチャ接続方式という。
【0030】
近距離通信部111は、通信装置151等の装置と近距離で無線接続して、データ通信を実行するための構成であり、通信部110とは異なる通信方式によって通信を行う。近距離通信部111は、例えば、通信装置151内の近距離通信部157と接続可能である。通信方式としては、例えば、Classic Bluetooth、BLE、WiFiAware、NFC等が挙げられる。
【0031】
なお、本実施形態において、通信部110が用いる通信方式は、近距離通信部111が用いる通信方式よりも高速且つ遠距離での通信を行うことができる方式である構成とする。また、近距離通信部111は、通信部110によって通信を行うための通信情報を、通信装置151等の装置とやり取りするために用いられる構成とする。
【0032】
通信装置151は、本実施形態の通信装置である。通信装置151は、ROM152、RAM153、CPU154、プリントエンジン155、通信部156、近距離通信部157等を有する。CPU154、ROM152、RAM153等によって、いわゆるコンピュータが構成される。
【0033】
通信部156は、通信装置151内の内部アクセスポイントとして、端末装置101等の装置と接続するためのアクセスポイントを有している。なお、該アクセスポイントは、端末装置101の通信部110に接続可能である。なお、通信部156は無線通信で端末装置101とダイレクトに通信しても良いし、AP131を介して通信しても良い。通信方式としては、例えば、Wi-Fi等が挙げられる。また、通信部156は、アクセスポイントとして機能するハードウェアを備えていてもよいし、アクセスポイントとして機能させるためのソフトウェアにより、アクセスポイントとして動作してもよい。
【0034】
近距離通信部157は、端末装置101等の装置と近距離で無線接続するための構成であり、例えば、端末装置101内の近距離通信部111と接続可能である。通信方式としては、例えば、Classic Bluetooth、BLE、WiFi Aware、NFC等が挙げられる。
【0035】
なお、本実施形態において、通信部156が用いる通信方式は、近距離通信部157が用いる通信方式よりも高速な通信を行うことができる方式である構成とする。また、近距離通信部157は、通信部156によって通信を行うための通信情報を、端末装置101等の装置とやり取りするために用いられる構成とする。また、近距離通信部157が、後述のアドバタイズ情報をブロードキャストするアドバタイザ(又はスレーブ)として機能し、近距離通信部111が、アドバタイズ情報を受信するスキャナ(又はマスタ)として機能する。
【0036】
RAM153は、バックアップ電源を必要とするSRAM等で構成される。なお、RAM153は、図示しないデータバックアップ用の1次電池によってデータが保持されているため、プログラム制御変数等の重要なデータを揮発させずに格納することができる。また、通信装置151の設定情報や通信装置151の管理データ等を格納するメモリエリアもRAM153に設けられている。また、RAM153は、CPU154の主メモリとワークメモリとしても用いられ、端末装置101等から受信した印刷情報を一旦保存するための受信バッファや各種の情報を保存する。
【0037】
ROM152は、CPU154が実行する制御プログラムやデータテーブル、OSプログラム等の固定データを格納する。本実施形態では、ROM152に格納されている各制御プログラムは、ROM152に格納されている組み込みOSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ、割り込み処理等のソフトウェア実行制御を行う。
【0038】
CPU154は、システム制御部であり、通信装置151の全体を制御する。
【0039】
プリントエンジン155、RAM153に保存された情報や端末装置101等から受信した印刷ジョブに基づき、インク等の記録剤を紙等の記録媒体上に付加することで記録媒体上に画像を形成し、印刷結果を出力する。この時、端末装置101等から送信される印刷ジョブは、送信データ量が大きく、高速な通信が求められるため、近距離通信部157よりも高速な通信が可能な通信部156を介して受信する。
【0040】
なお、通信装置151には、外付けHDDやSDカード等のメモリがオプション機器として装着されてもよく、通信装置151に保存される情報は、当該メモリに保存されても良い。
【0041】
ここでは、例として端末装置101と通信装置151との処理分担を上記のように示したが、特にこの分担形態に限らず他の形態であってもよい。
【0042】
<BLE通信について>
ここで、
図10を用いて、BLE規格におけるアドバタイズ情報の送信及びGATT(Generic Attribute Profile)通信の開始要求の受信の処理について説明する。本実施形態では、近距離通信部157がスレーブ機器として動作するため、近距離通信部157が上記処理を行うものとする。
【0043】
近距離通信部157は、2.4GHzの周波数帯を40チャネル(0~39ch)に分割して通信を行う。近距離通信部157は、そのうち、37~39番目のチャネルをアドバタイズ情報の送信及びGATT通信の開始要求の受信に利用し、0~36番目のチャネルをBLE接続後のデータ通信に利用している。
図10(a)では、縦軸が近距離通信部157の消費電力を、横軸が時間を示しており、1つのチャネルを利用してアドバタイズ情報を送信する際の消費電力を各処理別に示している。Tx1005は、アドバタイズ情報をブロードキャストする処理である送信処理における総消費電力を、Rx1006は、GATT通信の開始要求を受信するための受信器を有効にしておく処理である受信処理における総消費電力を示している。なお、GATT通信の開始要求は、アドバタイズ情報を受信した近距離通信部111によって、近距離通信部157に対して送信される。
【0044】
送信電力1002は送信処理による瞬間消費電力を示している。また、受信電力1003は受信処理による瞬間消費電力を示している。また、マイコン動作電力1001は、近距離通信部157内のマイコンが動作している場合の瞬間消費電力を示している。なお、Tx1005とRx1006の前後や間にもマイコンが動作しているのは、送信・受信処理の実行や停止のためには事前にマイコンが起動している必要があるからである。また、アドバタイズ情報の送信を複数チャネルで行う場合は、アドバタイズ情報の送信を行うチャネルの数だけ消費電力が増えることになる。また、マイコンが動作を行っておらず、近距離通信部157が省電力状態となっている間は、スリープ電力1004が近距離通信部157の瞬間消費電力となる。このように、近距離通信部157は、所定のチャネルを用いて送信処理を行った後、同一のチャネルを用いて一定時間受信処理を行うことで、近距離通信部111からGATT通信の開始要求が送信されるのを待つ。近距離通信部157は、近距離通信部111からGATT通信の開始要求を受信したならば、近距離通信部111とのBLE接続を確立し、以後、近距離通信部111とのGATT通信が可能となる。なお、以下において説明するBLE通信とは、アドバタイズ情報による通信であっても良いし、GATT通信であっても良い。
【0045】
また、近距離通信部157は、
図10(b)に示すように、アドバタイズ情報の送信処理と受信処理を、チャネル別に3回繰り返した後、マイコンの動作を停止させ一定時間省電力状態になる。以下、所定のチャネルによるアドバタイズ情報の送信処理と受信処理の組み合わせをアドバタイズと言う。また、所定のチャネルによってアドバタイズ情報を送信する時間間隔をアドバタイズ間隔という。なお、1回目のアドバタイズを行ってから省電力状態になるまでに繰り返すアドバタイズの回数は、3回以下であれば任意に変更可能である。
【0046】
本実施形態では近距離通信部157は、後述のCLSモードでの動作が開始されることや、BLE機能を有効にするためのユーザ操作を受け付けたこと、通信装置151の電源がONされたこと等に基づいて、BLEにおけるスレーブ機器としての動作を開始する。
【0047】
<Wi-Fi通信(P2P(Peer to Peer)モード)について>
Wi-Fiにおける通信においてP2P方式の接続(以後、P2P接続)を確立するために、本実施形態の通信装置151は、P2Pモード(ソフトウェアAPモードやWi-Fi Direct(WFD)モード)で動作するものとする。なお、本実施形態では、P2P接続とは、AP131等の外部装置を介さずに装置同士が直接無線接続する形態を指す。P2Pモードで動作中の通信装置151は、通信装置151が属するネットワーク内で、親機として動作する。P2Pモードには、以下に説明するWFDモードとソフトウェアAPモードとが含まれる。
【0048】
なお、WFDは、WiFi Allianceによって策定された規格である。WFD対応機器である端末装置101及び通信装置151は、WFDにより、他のアクセスポイントを介さずに相互に直接、無線接続することが可能となる。WFD対応機器であり且つアクセスポイントの役割を果たす装置を特に、Group Ownerという。そして、WFDによって、P2P接続を実行するモードを、WFDモードという。
【0049】
また、通信装置151は、アクセスポイントとして動作するためのソフトウェアクセスポイント(ソフトAP)機能を有している。通信装置151が、通信装置151内部のソフトAPを有効化(起動)し、端末装置101が当該ソフトAPと、WFDではなく通常のWi-Fiによって接続する。このように接続することで、端末装置101及び通信装置151は、他のアクセスポイントを介さずに相互に直接、無線接続することが可能となる。通信装置151内部のソフトAPを有効化して動作することによって、P2P接続を実行するモードを、ソフトウェアAPモードという。なお、通信装置151は、ソフトウェアAPモードが停止すると、通信装置151内部のソフトAPを無効化し、ソフトAPを用いた他の装置とのP2P接続ができない状態となる。
【0050】
P2Pモードにおいては、通信装置151が親機として動作するため、P2Pモードにおける通信にいずれの通信チャネルを用いるのかを、通信装置151が決定することが可能である。通信装置151は例えば、インフラストラクチャモードとP2Pモードとで並行して動作する場合は、インフラストラクチャモードおける通信に利用している通信チャネルを、P2Pモードにおける通信にも利用するように制御する。また、通信装置151は例えば、P2Pモードにおける通信に利用するチャネルとして、AP131との接続に利用する通信チャネルを、その他のチャネルより優先的に選択しても良い。
【0051】
また、P2Pモードの通信装置151と接続するための接続情報(SSIDやパスワード)は、通信装置151が有する操作部に対するユーザ操作等によって、任意に変更されて良い。
【0052】
<Wi-Fi通信(インフラストラクチャモード)について>
Wi-Fiにおける通信においてインフラストラクチャ方式の接続(以後、インフラ接続)を確立するために、本実施形態の通信装置151は、インフラストラクチャモードで動作するものとする。なお、本実施形態では、インフラ接続とは、AP131等のネットワークを統括する外部装置が親機として動作し、当該親機を介して装置同士が無線接続する形態を指す。インフラストラクチャモードで動作中の通信装置151は、通信装置151が属するネットワーク内で、子機として動作する。
【0053】
インフラストラクチャモードにより、AP131を介して通信装置151と端末装置101とが接続することとなり、通信装置151と端末装置101との間で、AP131を介した通信が可能となる。なお、ここでのインフラストラクチャモードにおける通信に利用されるチャネルは、2.4Ghz以外の周波数帯域(5.0Ghz帯域等)であっても良い。なお、端末装置101は、通信装置151とAP131を介して通信するためには、AP131によって形成され、端末装置101が属するネットワーク上に、通信装置151が属していることを認識する必要がある。具体的には、端末装置101は、端末装置101が属するネットワーク上に、AP131を介して検索信号を送信し、通信装置151と疎通確認をする。
【0054】
本実施形態では、単に端末装置101と通信装置151とが同一のAPに接続している状態を、インフラ接続状態とみなす。すなわち、インフラ接続状態において、端末装置101や通信装置151は、同一のAPに接続していればよく、自身が属するネットワーク上に、相手装置が属していることを認識していなくても良い。
【0055】
<同時動作について>
本実施形態の通信装置151は、インフラストラクチャモードによる動作と、P2Pモードによる動作を、同時に(並行して)実行可能であるものとする。そのため、通信装置151は、インフラストラクチャモードによって通信するための接続と、P2Pモードによって通信するための接続とを同時に(並行して)維持することができる。以後、インフラ接続とP2P接続を同時に(並行して)確立し、インフラ接続とP2P接続を介して同時に(並行して)通信可能に動作することを、同時動作という。言い換えれば、同時動作とは、通信装置151が、親機(Group Ownerや、アクセスポイント)としての動作と、子機としての動作を、並行して実行する動作である。
【0056】
インフラストラクチャモードによる通信及びP2Pモードによる通信は、特定の周波数帯域(特定のチャネル)を使用して行われる。そのため、インフラストラクチャモードによる通信とP2Pモードによる通信のいずれにおいても、通信が開始される前に、まず、各装置間の通信・接続に利用されるチャネルが決定される必要がある。なお、1つの無線ICチップに同時に複数のチャネルを割り当てて通信させる形態では、通信を行う各装置の構成や各装置が実行する処理が複雑となってしまう。従って、例えば、通信装置151が同時動作する場合は、各モードにおける通信において、共通のチャネルが使用されることが望ましい。すなわち、通信装置151は、同時動作している場合においても、1つのチャネルのみを使用することが望ましい。そのため、本実施形態では、通信部156は、所定のチャネルによる通信を実現する無線ICチップを1つのみ有するものとし、通信装置151は、同時に複数のチャネルを用いて通信しないものとする。
【0057】
<接続設定処理について>
本実施形態において、端末装置101は、インフラストラクチャモードとP2Pモードのうち少なくとも1つの通信モードで通信装置151を動作させるための設定(接続設定)を、通信装置151との無線通信を用いて実行する。本実施形態における接続設定処理は、無線通信によって実行されるため、ケーブルレスセットアップ(CLS)と呼ばれるものとする。端末装置101は、端末装置101にインストールされたCLSを実行するためのアプリケーション(CLS用アプリ)を用いて、CLSを実行する。なお、接続設定処理は、無線でなく、有線を用いて実行されても良い。
【0058】
端末装置101は、AP131と通信装置151とを接続させ、インフラストラクチャモードとして通信装置151を動作させる場合、インフラストラクチャモードとして通信装置151を動作させるためのインフラ設定コマンドを通信装置151に無線送信する。インフラ設定コマンドとは、例えば、AP131に関する情報である。そして、AP131に関する情報は、例えば、AP131のSSID(Service Set Identifier)や、AP131と接続するためのパスワード等である。
【0059】
一方、端末装置101は、P2Pモードとして通信装置151を動作させる場合、P2Pモードとして通信装置151を動作させるためのP2P設定コマンドを、通信装置151に無線送信する。また、端末装置101は、通信装置151から、通信装置151とP2P接続するための情報を取得する。通信装置151とP2P接続するための情報とは、例えば、通信装置151のSSIDや、通信装置151と接続するためのパスワード等である。なお、通信装置151は、P2P設定コマンドを受信した場合、WFD機能を有効化しGroup Ownerとして動作したり、通信装置151内部のアクセスポイントを有効化したりしても良い。
【0060】
本実施形態では、CLSにおける、インフラ設定コマンドやP2P設定コマンドの送信及び、通信装置151とP2P接続するための情報の取得には、端末装置101と通信装置151との間のCLS用のP2P接続が用いられる。そして、本実施形態では、CLS用のP2P接続として、Wi-Fiによる接続(通信部110及び通信部156による接続)と、BLEによる接続(近距離通信部111及び近距離通信部157による接続)の2つがあるものとする。
【0061】
そのため、以下では、Wi-Fiによる接続を用いたCLSと、BLEによる接続を用いたCLSの2つについて説明する。
【0062】
なお、CLS用のP2P接続として、例えば、Classic Bluetooth等、Wi-FiやBLE以外の通信方式が用いられても良い。
【0063】
CLSによって、端末装置101と通信装置151との間に、Wi-Fiによるインフラ接続又はP2P接続が確立した後は、確立した接続を介して、端末装置101と通信装置151との間で通信が可能となる。具体的には、例えば、端末装置101は、確立した接続を介して、通信装置151に印刷を実行させるための印刷ジョブや、通信装置151にスキャンを実行させるためのスキャンジョブを通信装置151に送信することができる。
【0064】
<AP131の機能について>
AP131は、プライバシーセパレータ(Privacy Separator)設定機能を有する。プライバシーセパレータ設定機能とは、AP131が、AP131によって構成されるLAN内の通信を中継しないための機能であるプライバシーセパレータ機能のON/OFFを設定するための機能である。AP131のプライバシーセパレータ機能がON(有効)に設定されている場合、AP131は、AP131によって構成されるLAN内の通信を中継しない。すなわち、AP131のプライバシーセパレータ機能がONに設定されている状態で、AP131によって構成されるLAN内に端末装置101と通信装置151とが存在する場合、AP131は、端末装置101と通信装置151との間の通信を中継しない。一方、AP131のプライバシーセパレータ機能がOFF(無効)に設定されている場合、AP131は、AP131によって構成されるLAN内の通信を中継する。
【0065】
なお、AP131のプライバシーセパレータ機能の設定は、例えば、AP131に対して直接的に実行されるユーザ操作によって切り替えられて良い。また、AP131のプライバシーセパレータ機能の設定は、例えば、AP131と接続している不図示の端末装置をユーザが操作することで当該端末装置からAP131に対して送信されるコマンドによって切り替えられても良い。
【0066】
また、AP131は、AP131によって構成されるLAN内の装置と、AP131を含むWAN内の装置と、の間の通信を中継する機能を備える。これにより、AP131によって構成されるLAN内の装置は、AP131と接続している状態では、インターネットを利用して、外部サーバ161からサービスの提供を受け付けることが可能となる。なお、AP131によって構成されるLAN内の装置と、AP131を含むWAN内の装置と、の間の通信の中継は、AP131のプライバシーセパレータ機能の設定がONであってもOFFであっても実行される。すなわち、AP131のプライバシーセパレータ機能の設定がONであっても、AP131によって構成されるLAN内の装置は、インターネットを利用して、外部サーバ161からサービスの提供を受け付けることが可能となる。
【0067】
ところで、上述したように本実施形態において端末装置101は、CLSにより、端末装置101が接続するAP131と通信装置151とを接続させ、端末装置101と通信装置151との間にAP131を介したインフラ接続を確立させることができる。しかしながら、AP131のプライバシーセパレータ機能がONになっている場合、端末装置101と通信装置151との間にAP131を介したインフラ接続が確立しても、端末装置101と通信装置151との間の通信が実行されない。
【0068】
そこで、本実施形態では、AP131のプライバシーセパレータ機能がONになっている場合にも、端末装置101と通信装置151との間の通信が実行されるように制御する形態について説明する。
【0069】
<本実施形態における制御について>
図3~6は、本実施形態の通信システムが実行するCLSのシーケンス図である。なお、各シーケンス図が示す処理は、例えば、各装置のメモリに格納されたプログラムを各装置のCPUが各装置のRAMに読み出して実行することにより実現される。
【0070】
まず、
図3に示すシーケンス図について説明する。
図3は、端末装置101と通信装置151との間のWi-Fi通信によって実行されるCLSのシーケンス図である。また、
図3は、プライバシーセパレータ機能がOFFになっているAP131と通信装置151とを接続させるためのCLSのシーケンス図である。
【0071】
まず、S301にて、端末装置101は、AP131とWi-Fiによって接続する。
【0072】
次に、S302にて、通信装置151は、ケーブルレスセットアップモード(CLSモード)での動作を開始する。CLSモードとは、CLSにより通信装置151の接続設定を実行するためのモードである。なお、通信装置151がCLSモードでの動作を開始するためのトリガーは、例えば、通信装置151が備えるCLSモード用ボタンをユーザが押下することであっても良いし、通信装置151が、着荷後初めて起動(電源ON)することであっても良い。
【0073】
通信装置151は、CLSモードでの動作を開始すると、CLSモード専用の、通信装置151の内部のAP(CLS用AP)を有効化する。これにより、通信装置151は、端末装置101とWi-FiによるP2P接続を確立可能な状態になる。CLS用APと接続するための接続情報(SSIDやパスワード)は、端末装置101にインストールされたCLS用アプリに予め保持されており、端末装置101は、CLS用APと接続するための接続情報を予め認識しているものとする。そのため、P2Pモードにおいて有効化されるAPの接続情報と異なりCLS用APと接続するための接続情報は、ユーザによって任意に変更できないものとする。なお、CLSモードにおいて、通信装置151は、通常のWi-Fiでなく、WFDによって端末装置101と接続しても良い。
【0074】
また、本実施形態では、通信装置151は、CLSモードでの動作を開始すると、さらに、BLE機能を有効化し、アドバタイズ情報の送信を開始する。これにより、通信装置151は、端末装置101とBLEによる接続を確立可能な状態になる。
【0075】
次に、S303において、端末装置101は、CLS用アプリにより表示部108に表示される画面を介して、ユーザからCLSの実行指示を受け付ける。
【0076】
次に、S304において、端末装置101は、CLSの実行指示を受け付けた時に接続しているAP(AP131)に関する情報をメモリに保存する。AP131に関する情報とは例えば、AP131と接続するための接続情報(SSIDやパスワード)や、AP131との接続に用いていた周波数やチャネルに関する情報等である。
【0077】
次に、S305において、端末装置101は、AP131とのWi-Fiによる接続を切断する。
【0078】
次に、S306において、端末装置101は、予め認識しているCLS用APと接続するための接続情報を用いて、通信装置151内部のCLS用APとWi-Fiによる接続を確立する。これにより、端末装置101は、一時的に、通信装置151とWi-FiによるP2P接続を確立する。
【0079】
次に、S307において、端末装置101は、インフラストラクチャモード設定指示を、通信装置151に、Wi-Fiによって送信する(接続情報送信ステップ)。インフラストラクチャモード設定指示は、例えば、S304でメモリに保存したAP131と接続するための接続情報を含む。なおこのとき、端末装置101は、AP131と接続するための追加の接続情報(パスワード等)の入力を、ユーザから受け付けて、当該追加の接続情報もインフラストラクチャモード設定指示として通信装置151に送信しても良い。
【0080】
次に、S308において、通信装置151は、P2Pモードで動作する通信装置151と接続するための接続情報であるP2P接続情報を、端末装置101に、Wi-Fiによって送信する。すなわち、端末装置101は、P2P接続情報を、Wi-Fiによって受信する(接続情報受信ステップ)。
【0081】
次に、S309において、端末装置101は、通信装置151とのWi-FiによるP2P接続を切断する。
【0082】
次に、S310において、端末装置101は、S304でメモリに保存したAP131と接続するための接続情報を用いて、AP131とWi-Fiによって再度接続する。
【0083】
次に、S311において、通信装置151は、インフラストラクチャモード設定指示に基づき、S307で受信したAP131と接続するための接続情報を用いて、AP131とWi-Fiによって接続する。これにより、端末装置101と通信装置151との間に、AP131を介したインフラ接続が確立する。なお、本実施形態では、通信装置151は、インフラストラクチャモード設定指示を受信した場合は、同時動作を開始する。具体的には、通信装置151は、インフラストラクチャモードでの動作を開始して、AP131と接続した後、P2Pモードでの動作を開始する。これは、インフラストラクチャモードにおいてAP131と接続するために用いる通信チャネルが決定してから、P2Pモードでの動作を開始するためである。通信装置151は、P2Pモードにおける接続において、インフラストラクチャモードにおいてAP131と接続するために用いる通信チャネルと同一の通信チャネルを用いるよう制御する。なお、通信チャネルの同期制御を実行しない形態であれば、例えば、インフラストラクチャモードでの動作を開始して、AP131と接続する前に、P2Pモードでの動作を開始しても良い。
【0084】
次に、S312において、端末装置101は、応答要求を、通信装置151に、AP131を介してWi-Fiによって送信する(要求送信ステップ)。具体的には、端末装置101は、応答要求の送信先のアドレスとして、通信装置151のアドレスを指定して、AP131に応答要求を送信する。このとき、AP131のプライバシーセパレータ機能がOFFになっているため、AP131は、端末装置101から応答要求を受け付けた場合、応答要求を通信装置151に中継する。
【0085】
次に、S313において、通信装置151は、応答要求を受信したことに応じて、端末装置101に、応答を送信する。具体的には、通信装置151は、応答要求の送信先のアドレスとして、端末装置101のアドレスを指定して、AP131に応答を送信する。このとき、AP131のプライバシーセパレータ機能がOFFになっているため、AP131は、通信装置151から応答を受け付けた場合、応答を端末装置101に中継する。応答を受信した端末装置101は、通信装置151と、AP131を介した通信が実行可能であることを認識するため、CLSを終了する。
【0086】
次に、
図4に示すシーケンス図について説明する。
図4は、端末装置101と通信装置151との間のWi-Fi通信によって実行されるCLSのシーケンス図である。また、
図4は、プライバシーセパレータ機能がONになっているAP131と通信装置151とを接続させるためのCLSのシーケンス図である。
【0087】
S401~S411までの処理は、S301~S311と同様であるため説明を省略する。
【0088】
S412にて、端末装置101は、応答要求を、通信装置151に、AP131を介してWi-Fiによって送信する。具体的には、端末装置101は、応答要求の送信先のアドレスとして、通信装置151のアドレスを指定して、AP131に応答要求を送信する。しかしながらこのとき、AP131のプライバシーセパレータ機能がONになっているため、AP131は、端末装置101から応答要求を受け付けた場合、応答要求をLAN内の装置である通信装置151に中継しない。そのため、通信装置151に応答要求は届かず、通信装置151が応答を端末装置101に返さない。端末装置101は、応答要求を送信してから所定の時間以上経過しても応答を受信しない場合は、通信装置151と、AP131を介した通信が実行可能でないことを認識する。
【0089】
そのため、S413にて、端末装置101は、AP131とのWi-Fi接続を切断する。
【0090】
その後、S414にて、端末装置101は、S408で受信したP2P接続情報を用いて、通信装置151とP2P接続する。
【0091】
このような形態とすることにより、CLSによりプライバシーセパレータ機能がONになっているAPを介したインフラ接続が設定されてしまった場合にも、端末装置101と通信装置151とがP2P接続で通信可能となるように設定することができる。
【0092】
また、本実施形態では、通信装置151は、同時動作する形態とし、プライバシーセパレータ機能がONになっているAPを介したインフラ接続が設定されてしまった場合にも、AP131との接続を維持する。これにより、通信装置151は、AP131との接続を介してインターネットを利用する(外部サーバ161と通信する)ことも、端末装置101とのP2P接続を介して端末装置101と通信することも可能となる。
【0093】
なお、本実施形態において、通信装置151は、インターネットを介して外部サーバ161と通信することで、例えば、外部サーバ161からSNS(Social Networking Service)の提供を受け付ける。これにより、通信装置151は、SNS上にアップロードされた画像を表示部108に表示したり、表示した画像群の中からユーザによって選択された画像を印刷したりすることが可能となる。なお例えば通信装置151は、通信装置151上で発生したエラーに関する情報(エラーの種類やエラーの解除方法)を受信したり、通信装置151のファームウェアのアップデートするためのサービスの提供を、外部サーバ161から受け付けたりしても良い。
【0094】
次に、
図5に示すシーケンス図について説明する。
図5は、端末装置101と通信装置151との間のBLE通信によって実行されるCLSのシーケンス図である。また、
図5は、プライバシーセパレータ機能がOFFになっているAP131と通信装置151とを接続させるためのCLSのシーケンス図である。
【0095】
S501~S503までの処理は、S301~S303と同様であるため説明を省略する。
【0096】
S504にて、端末装置101は、通信装置151とBLEによるP2P接続を確立する。
【0097】
次に、S505にて、端末装置101は、インフラストラクチャモード設定指示を、通信装置151に、BLEによって送信する。Wi-Fiを用いたCLSと異なり、BLEを用いたCLSにおいては、端末装置101は、AP131との接続を切断することなく、インフラストラクチャモード設定指示を通信装置151に送信できる。なおこのとき、端末装置101は、AP131と接続するための追加の接続情報(パスワード等)の入力を、ユーザから受け付けて、当該追加の接続情報もインフラストラクチャモード設定指示として通信装置151に送信しても良い。
【0098】
次に、S506において、通信装置151は、P2Pモードで動作する通信装置151と接続するための接続情報であるP2P接続情報を、端末装置101に、BLEによって送信する。
【0099】
次に、S507において、通信装置151は、S505で受信したAP131と接続するための接続情報を用いて、AP131とWi-Fiによって接続する。これにより、端末装置101と通信装置151との間に、AP131を介したインフラ接続が確立する。AP131とのWi-Fi接続が確立した場合、通信装置151は、AP131とのWi-Fi接続が成功した旨を示す情報を、BLEで端末装置101に送信しても良い。また、例えば、S505で受信した接続情報が正しくない等の理由により、AP131とのWi-Fi接続が失敗した場合は、通信装置151は、AP131とのWi-Fi接続が失敗した旨を示す情報を、BLEで端末装置101に送信しても良い。
【0100】
S508、S509の処理は、S312、S313と同様であるため説明を省略する。
【0101】
このように、BLEを用いたCLSにおいては、端末装置101がWi-Fiの接続先を切り替える必要がないため、Wi-Fiを用いたCLSと比較して処理の数が少ない。そのため、端末装置101は、BLEを用いたCLSによって、通信装置151のセットアップを迅速に完了させることができる。
【0102】
次に、
図6に示すシーケンス図について説明する。
図6は、端末装置101と通信装置151との間のBLE通信によって実行されるCLSのシーケンス図である。また、
図6は、プライバシーセパレータ機能がONになっているAP131と通信装置151とを接続させるためのCLSのシーケンス図である。
【0103】
S601~S607までの処理は、S501~S507と同様であり、S608~S610までの処理は、S412~S414と同様であるため説明を省略する。
【0104】
このように、BLEを用いたCLSにおいて、プライバシーセパレータ機能がONになっているAPを介したインフラ接続が設定されてしまった場合にも、端末装置101と通信装置151とが通信可能となるように設定することができる。
【0105】
ところで、
図3及び
図5に示すシーケンス図においては、AP131のプライバシーセパレータ機能がOFFになっているため、インフラ接続によって端末装置101と通信装置151とが通信可能となる。このケースにおいて、通信装置151は、P2Pモードで動作する必要はない。そのため、例えば、通信装置151は、インフラ接続によって端末装置101と通信装置151とが通信可能である場合は、同時動作を解除し、P2Pモードでの動作を停止しても良い。
【0106】
図7は、端末装置101によって実行されるCLSを示すフローチャートである。なお、本フローチャートが示す処理は、例えば、ROM104等のメモリに格納されたプログラム(CLS用アプリ等)をCPU103がRAM105に読み出して実行することにより実現される。また、本フローチャートが示す処理は、端末装置101がAP131とWi-Fiによって接続している状態で開始されるものとする。また、本フローチャートが示す処理は、CLS用アプリが端末装置101上で起動している状態で実行されるが、端末装置101とAP131とのWi-Fiによる接続は、CLS用アプリが端末装置101上で起動していない状態で確立されても良い。
【0107】
まず、S701にて、端末装置101は、ユーザから、CLSの実行指示を受け付ける。本処理は、S303の処理に対応する。
【0108】
次に、S702にて、端末装置101は、ユーザから、設定対象装置の選択を受け付ける。具体的には、端末装置101は、S701で実行指示が受け付けられた場合、まず、CLSモードで動作している装置を検索する。CLSモードで動作している装置は、CLS用APを有効化していたり、BLE機能を有効化していたりする。そのため、端末装置101は、CLS用APに対応するビーコンや、CLSモードに対応するアドバタイズ情報を取得することで、CLSモードで動作している装置を検索する。そして、端末装置101は、検索された装置のリストを表示部108に表示し、リストの中から、設定対象装置をユーザに選択させる。なお、端末装置101は、S701の前からBLEによって装置と接続していても良く、リストには、端末装置101がBLE接続している装置が含まれても良い。また、1つの装置しか検索されなかった場合、S702を省略し、検索された1つの装置を設定対象装置として自動で特定して、以降の処理が実行されても良い。また、同じ装置から、CLS用APに対応するビーコンとCLSモードに対応するアドバタイズ情報の両方が取得される場合は、リストには、同じ装置に対応する情報が2つ含まれても良い。なお、以下では、通信装置151が、設定対象装置として選択されたものとして説明する。
【0109】
次に、S703にて、端末装置101は、Wi-FiによるCLSを実行するか否かを判定する。上述したように、本実施形態において、端末装置101は、Wi-FiによるCLSの他に、BLEによるCLSを実行可能である。端末装置101は、設定対象装置がいずれのCLSに対応しているかどうかを判定することで、本判定を実行する。例えば、端末装置101は、CLS用APに対応するビーコンが取得されたことに基づいて表示された装置がS702においてユーザに選択された場合は、YESと判定する。また、例えば、端末装置101は、CLSモードに対応するアドバタイズ情報が取得されたことに基づいて表示された装置や、端末装置101とBLE接続していることに基づいて表示された装置がS702においてユーザに選択された場合は、NOと判定する。端末装置101は、本判定の結果がYESである場合、S704に進んでWi-FiによるCLSを実行し、本判定の結果がNOである場合、S714に進んでBLEによるCLSを実行する。
【0110】
Wi-FiによるCLSを実行するとS703にて判定された後の処理について以下に説明する。S704にて、端末装置101は、現在接続しているAP(AP131)に関する情報をメモリに保存する。本処理は、S304の処理に対応する。
【0111】
次に、S705にて、端末装置101は、AP131との接続を切断した後、Wi-Fiによる接続要求を通信装置151内部のCLS用APに送信し、通信装置151とWi-FiによるP2P接続を確立する。本処理は、S305、S306の処理に対応する。
【0112】
次に、S706にて、端末装置101は、インフラストラクチャモード設定指示を、通信装置151に、Wi-Fiによって送信する。本処理は、S307の処理に対応する。
【0113】
次に、S707にて、端末装置101は、P2P接続情報を、通信装置151から、Wi-Fiによって受信する。本処理は、S308の処理に対応する。
【0114】
次に、S708において、端末装置101は、通信装置151とのWi-Fiによる接続を切断した後、AP131とWi-Fiによって再度接続する。本処理は、S309、S310の処理に対応する。
【0115】
次に、S709において、端末装置101は、応答要求を、通信装置151に、AP131を介してWi-Fiによって送信する。本処理は、S312、S412の処理に対応する。
【0116】
次に、S710において、端末装置101は、通信装置151から応答を受信したか否かを判定する。本処理によって、端末装置101は、通信装置151とAP131を介して通信可能か否かを判定する。端末装置101は、本判定の結果がYESである場合、S713に進み、本判定の結果がNOである場合、S711に進む。
【0117】
S711において、端末装置101は、応答要求を送信してから、所定の時間が経過したか(タイムアウトしたか)否かを判定する。端末装置101は、本判定の結果がYESである場合、S712に進み、本判定の結果がNOである場合、再びS710に進む。
【0118】
S712において、端末装置101は、AP131とのWi-Fi接続を切断した後、S707で受信したP2P接続情報を用いて、通信装置151とP2P接続する。本処理は、S413、S414の処理に対応する。なおこのとき、端末装置101は、通信装置151とAP131を介して通信できないことや、AP131のプライバシーセパレータ機能がONになっていることをユーザに通知しても良い。また、例えば、端末装置101は、まず、ユーザからの入力を受け付けて、端末装置101と通信装置151とをP2P接続させるか否かをユーザに選択させても良い。そして、端末装置101は、P2P接続させることが選択された場合に、S712の処理を実行し、P2P接続させることが選択されなかった場合に、S712の処理を実行せず、処理を終了しても良い。
【0119】
S713において、端末装置101は、通信装置151とのWi-Fi接続(インフラ接続かP2P接続)を介して、通信装置151から、通信装置151に関する情報を取得する。通信装置151に関する情報は、例えば、通信装置151のMACアドレス、通信装置151のエラー状態に関する情報、通信装置151が保持する記録剤や記録媒体の残量に関する情報等である。これにより、CLS用アプリにおいて、通信装置151が登録され、以後、端末装置101は、通信装置151に、印刷ジョブやスキャンジョブを送信することが可能となる。その後、端末装置101は、処理を終了する。
【0120】
Wi-FiによるCLSを実行しない(BLEによるCLSを実行する)とS703にて判定された後の処理について以下に説明する。S714において、端末装置101は、受信したアドバタイズ情報に応答して、BLEによる接続要求を通信装置151に送信することで、通信装置151とBLEによるP2P接続を確立する。なお、通信装置151と既にBLEによって接続していた場合は、S714の処理は省略される。
【0121】
次に、S715において、端末装置101は、インフラストラクチャモード設定指示を、通信装置151に、BLEによって送信する。本処理は、S505の処理に対応する。
【0122】
次に、S716にて、端末装置101は、P2P接続情報を、通信装置151から、BLEによって受信する。本処理は、S506の処理に対応する。
【0123】
次に、S717において、端末装置101は、応答要求を、通信装置151に、AP131を介してWi-Fiによって送信する。本処理は、S508、S608の処理に対応する。なお、端末装置101は、通信装置151からAP131とのWi-Fi接続が成功した旨を示す情報をBLEで取得したことに基づいて、本処理を実行しても良い。また端末装置101は、通信装置151からAP131とのWi-Fi接続が失敗した旨を示す情報をBLEで取得した場合は、S717を実行せずに当該情報を表示部108に表示してS715に戻っても良い。そして、端末装置101は、接続情報の入力をユーザから再度受け付けた後、再度接続情報を送信しても良い。
【0124】
次に、S718において、端末装置101は、通信装置151から応答を受信したか否かを判定する。本処理によって、端末装置101は、通信装置151とAP131を介して通信可能か否かを判定する。端末装置101は、本判定の結果がYESである場合、S721に進み、本判定の結果がNOである場合、S719に進む。
【0125】
S719において、端末装置101は、応答要求を送信してから、所定の時間が経過したか(タイムアウトしたか)否かを判定する。端末装置101は、本判定の結果がYESである場合、S720に進み、本判定の結果がNOである場合、再びS718に進む。
【0126】
S720において、端末装置101は、AP131とのWi-Fi接続を切断した後、S707で受信したP2P接続情報を用いて、通信装置151とP2P接続する。本処理は、S609、S610の処理に対応する。なおこのとき、端末装置101は、通信装置151とAP131を介して通信できないことや、AP131のプライバシーセパレータ機能がONになっていることをユーザに通知しても良い。また、例えば、端末装置101は、まず、ユーザからの入力を受け付けて、端末装置101と通信装置151とをP2P接続させるか否かをユーザに選択させても良い。そして、端末装置101は、P2P接続させることが選択された場合に、S720の処理を実行し、P2P接続させることが選択されなかった場合に、S720の処理を実行せず、処理を終了しても良い。
【0127】
S721において、端末装置101は、通信装置151とのWi-Fi接続(インフラ接続かP2P接続)を介して、通信装置151に関する情報を取得する。これにより、CLS用アプリにおいて、通信装置151が登録される。その後、端末装置101は、処理を終了する。
【0128】
図8は、通信装置151によって実行されるCLSを示すフローチャートである。なお、本フローチャートが示す処理は、例えば、ROM152等のメモリに格納されたプログラムをCPU154がRAM153に読み出して実行することにより実現される。
【0129】
まず、S801にて、通信装置151は、CLSモードでの動作を開始する。本処理は、S302の処理に対応する。
【0130】
次に、S802にて、通信装置151は、Wi-FiによるCLSを実行するか否かを判定する。具体的には例えば、通信装置151は、端末装置101からWi-Fiによる接続要求を受け付けたか、端末装置101からBLEによる接続要求を受け付けたかを判定する。通信装置151は、端末装置101からWi-Fiによる接続要求を受け付け、本判定の結果がYESである場合、S803に進んでWi-FiによるCLSを実行する。一方、通信装置151は、端末装置101からBLEによる接続要求を受け付け、本判定の結果がNOである場合、S813に進んでBLEによるCLSを実行する。
【0131】
Wi-FiによるCLSを実行するとS802にて判定された後の処理について以下に説明する。S803にて、通信装置151は、端末装置101からWi-Fiによる接続要求を受け付けたことに基づいて、端末装置101とWi-FiでP2P接続する。本処理は、S306の処理に対応する。
【0132】
次に、S804にて、通信装置151は、インフラストラクチャモード設定指示を、端末装置101から、Wi-Fiによって受信する。本処理は、S307の処理に対応する。
【0133】
次に、S805にて、通信装置151は、P2P接続情報を、端末装置101に、Wi-Fiによって送信する。本処理は、S308の処理に対応する。
【0134】
次に、S806にて、通信装置151は、同時動作を開始する。具体的には、通信装置151は、まず、インフラストラクチャモードでの動作を開始し、インフラストラクチャモード設定指示に基づいて、AP131とWi-Fiによって接続する。その後、通信装置151は、インフラストラクチャモードでの動作を維持したまま、P2Pモードでの動作を開始する。なお、このとき起動されるP2Pモードは、AP131との接続に利用される通信チャネル(周波数帯)を用いてP2P接続を実行するモードであるものとする。本処理は、S311の処理に対応する。
【0135】
次に、S807にて、通信装置151は、通信装置151から応答要求を受信したか否かを判定する。通信装置151は、本判定の結果がYESである場合、S810に進み、本判定の結果がNOである場合、S808に進む。
【0136】
S808にて、通信装置151は、通信装置151とP2P接続したか否かを判定する。通信装置151は、本判定の結果がYESである場合、S809に進み、本判定の結果がNOである場合、再びS807に進む。
【0137】
S809にて、通信装置151は、端末装置101とのWi-Fi接続(P2P接続)を介して、端末装置101に、通信装置151に関する情報を送信する。その後、通信装置151は、処理を終了する。
【0138】
S810にて、通信装置151は、応答要求を受信したことに応じて、端末装置101に、応答をWi-Fiによって送信する。本処理は、S313の処理に対応する。
【0139】
次に、S811において、通信装置151は、端末装置101とのWi-Fi接続(インフラ接続)を介して、端末装置101に、通信装置151に関する情報を送信する。
【0140】
次に、S812において、通信装置151は、同時動作を解除し、P2Pモードでの動作を停止する。その後、通信装置151は、処理を終了する。
【0141】
Wi-FiによるCLSを実行しない(BLEによるCLSを実行する)とS802にて判定された後の処理について以下に説明する。S813において、通信装置151は、端末装置101からBLEによる接続要求を受け付けたことに基づいて、端末装置101とBLEでP2P接続する。本処理は、S504の処理に対応する。
【0142】
次に、S814にて、通信装置151は、インフラストラクチャモード設定指示を、端末装置101から、BLEによって受信する。本処理は、S505の処理に対応する。
【0143】
次に、S815にて、通信装置151は、P2P接続情報を、端末装置101に、BLEによって送信する。本処理は、S506の処理に対応する。
【0144】
次に、S816にて、通信装置151は、同時動作を開始する。
【0145】
次に、S817にて、通信装置151は、通信装置151から応答要求を受信したか否かを判定する。通信装置151は、本判定の結果がYESである場合、S820に進み、本判定の結果がNOである場合、S818に進む。なお、通信装置151は、応答要求を例えば、BLEで受信しても良い。
【0146】
S818にて、通信装置151は、通信装置151とP2P接続したか否かを判定する。通信装置151は、本判定の結果がYESである場合、S819に進み、本判定の結果がNOである場合、再びS817に進む。
【0147】
S819にて、通信装置151は、端末装置101とのWi-Fi接続(P2P接続)を介して、端末装置101に、通信装置151に関する情報を送信する。その後、通信装置151は、処理を終了する。
【0148】
S820にて、通信装置151は、応答要求を受信したことに応じて、端末装置101に、応答をWi-Fiによって送信する。本処理は、S509の処理に対応する。
【0149】
次に、S821にて、通信装置151は、端末装置101とのWi-Fi接続(インフラ接続)を介して、端末装置101に、通信装置151に関する情報を送信する。なお、通信装置151は、通信装置151に関する情報を例えば、BLEで送信しても良い。
【0150】
次に、S822にて、通信装置151は、同時動作を解除し、P2Pモードでの動作を停止する。その後、通信装置151は、処理を終了する。
【0151】
このような形態とすることにより、CLSによりプライバシーセパレータ機能がONになっているAPを介したインフラ接続が設定されてしまった場合にも、端末装置101と通信装置151とがP2P接続で通信可能となるように設定することができる。
【0152】
また、本実施形態では、通信装置151は、同時動作する形態とし、プライバシーセパレータ機能がONになっているAPを介したインフラ接続が設定されてしまった場合にも、AP131との接続を維持する。これにより、通信装置151は、AP131との接続を介してインターネットを利用する(外部サーバ161と通信する)ことも、端末装置101とのP2P接続を介して端末装置101と通信することも可能となる。
【0153】
また、本実施形態では、通信装置151は、Wi-Fiを用いたCLSと、BLEを用いたCLSの両方を実効可能である。これにより、通信装置151は、Wi-Fiのみ対応している装置とCLSを実行することも、Wi-FiとBLEの両方に対応している装置とCLSを実行することも可能となる。さらに、Wi-FiとBLEの両方に対応している装置とCLSにおいては、迅速にセットアップを完了することが可能となる。
【0154】
(その他の実施形態)
上述では、プライバシーセパレータ機能によって、端末装置101と通信装置151との間の通信がAP131によって中継されない課題を解決する形態について説明した。なお例えば、SSIDセパレータ機能と呼ばれる、異なるSSIDを有する装置間での通信をAPが中継しないための機能によって、装置間の通信がAPによって中継されないことがある。他にも、「アイソレート」、「APアイソレーション」、「ネットワーク分離機能」、「SSID内分離」、「隔離機能」等の機能によって、装置間の通信がAPによって中継されないことがある。このように、プライバシーセパレータ機能以外の機能によって、端末装置101と通信装置151との間の通信がAP131によって中継されないことがある。これらの機能によって、端末装置と通信装置とが外部装置を介して通信できないという課題も、上述した実施形態に記載した制御によって解決することが可能である。
【0155】
なお、SSIDセパレータ機能によって端末装置101と通信装置151との間の通信がAP131によって中継されなくとも、端末装置101以外の装置と通信装置151との間の通信がAP131によって中継されないとは限らない。例えば、SSIDセパレータ機能によって装置間の通信がAP131によって中継されなくとも、通信装置151と同じLAN内に属し、通信装置151と同じSSIDを有する装置と、通信装置151が通信することが可能な場合がある。そのため、SSIDセパレータ機能によって端末装置101と通信装置151との間の通信がAP131によって中継されないケースにおいても、通信装置151は、APとの接続を維持したまま、端末装置101と新たに接続するものとする。
【0156】
すなわち、上述した実施形態に記載した制御は、端末装置101が、AP131と通信装置151とを接続させるための処理を実行したにも拘らず、通信装置151とのインフラ接続を介した通信を実行できないという課題を解決するためのものである。通信装置151とのインフラ接続を介した通信を実行できない原因は、プライバシーセパレータ機能であっても良いし、その他の原因であっても良い。
【0157】
上述では、AP131のプライバシーセパレータ機能がOFFである場合に、CLSによって、インフラストラクチャモードで通信装置151を動作させる形態について説明したが、この形態に限定されない。AP131のプライバシーセパレータ機能がOFFであるか否かに拘らず、CLSによって、P2Pモードで通信装置151を動作させることが可能であっても良い。例えば、端末装置101は、表示部に、
図9に示す設定画面900を表示するものとする。ユーザによってインフラ接続開始ボタン902が選択された場合、端末装置101は、上述の実施形態で説明したように、
図7の処理を実行し、通信装置151にインフラストラクチャモードを優先的に設定する。一方、ユーザによってP2P接続開始ボタン903が選択された場合、端末装置101は、通信装置151に、インフラストラクチャモード設定指示を送信せず、P2Pモード設定指示を送信する。すなわち、端末装置101は、通信装置151にP2Pモードを優先的に設定する。P2Pモード設定指示を受信した通信装置151は、AP131と接続することなく、P2Pモードとして動作する。また、ユーザによって自動接続開始ボタン809が選択された場合、端末装置101は、CLSによって、インフラストラクチャモードで通信装置151を動作させるかP2Pモードで通信装置151を動作させるかを自動で選択する。具体的には、端末装置101は、いずれかのAPにWi-Fiによって接続している場合は、インフラストラクチャモードで通信装置151を動作させることを選択し、
図7の処理を実行する。一方、端末装置101は、いずれのAPにもWi-Fiによって接続していない場合は、P2Pモードで通信装置151を動作させることを選択し、通信装置151にP2Pモード設定指示を送信する。なお、設定画面900において、例えば、通信装置151をCLSモードに移行させることを、ユーザに通知する領域901が含まれていても良い。
【0158】
上述では、端末装置101が接続しているAPを用いたインフラストラクチャモードで通信装置151を動作させる形態について説明したが、この形態に限定されない。例えば、端末装置101が接続していないAPを用いたインフラストラクチャモードで通信装置151を動作させる形態であっても良い。例えば、端末装置101は、通信装置151と接続させるAPのリストを表示部108に表示する。なお、このリストは、端末装置101自身がWi-Fiによって検索したAPのリストであっても良いし、通信装置151がWi-Fiによって検索したAPのリストであっても良い。後者である場合、端末装置101は、通信装置151とのBLE接続を介して、通信装置151がWi-Fiによって検索したAPのリストに関する情報を取得する。そして、端末装置101は、リストの中からのAPの選択及びユーザによって選択されたAPと接続するための接続情報(パスワード等)の入力をユーザから受け付け、当該接続情報を含むインフラストラクチャモード設定指示を、通信装置151に送信する。これにより、端末装置101は、端末装置101が接続していないAPを用いたインフラストラクチャモードで通信装置151を動作させることができる。また、例えば、端末装置101は、いずれかのAPと接続している場合は、端末装置101が接続しているAPを優先的に通信装置151と接続させても良い。そして端末装置101は、いずれかのAPと接続していない場合は、上述のようにしてリストから選択されたAPを優先的に通信装置151に接続させても良い。
【0159】
上述では、端末装置101が、応答要求を通信装置151に送信して、端末装置101と通信装置151との間でAP131を介して通信可能か否かを判定する処理を実行していたが、この形態に限定されない。例えば、通信装置151が、当該判定を実行するために、応答要求を端末装置101に送信しても良い。この形態において、通信装置151は、タイムアウトするまでに応答を端末装置101から受信したならば、端末装置101と通信装置151との間でAP131を介して通信可能と判定する。また、通信装置151は、タイムアウトするまでに応答を端末装置101から受信しなかったならば、端末装置101と通信装置151との間でAP131を介して通信できないと判定する。そして、通信装置151は、当該判定の判定結果を、端末装置101に、BLE通信等を介して送信し、端末装置101は、受信した判定結果に基づいて、インフラ接続を維持するか、新たにP2P接続を確立するかを切り替える。
【0160】
上述では、通信装置151は、インフラストラクチャモード設定指示を受信した場合、必ず同時動作していたが、この形態に限定されない。例えば、通信装置151は、端末装置101と通信装置151との間でAP131を介して通信可能か否かの判定(S710やS718)の結果をBLE通信等で受信しても良い。そして、通信装置151は、判定の結果がNOであった場合にP2Pモードでの動作を開始し、判定の結果がYESであった場合にP2Pモードでの動作を開始しなくても良い。なお、通信装置151自身が判定を行う形態であれば、自身が行った判定の結果に基づいて、P2Pモードでの動作を開始するか否かを切り替えても良い。
【0161】
上述の実施形態は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを実行する処理でも実現可能である。また、上述の実施形態は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0162】
101 端末装置
151 通信装置