(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】画像形成装置、印刷方法、制御プログラム、および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240730BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240730BHJP
B41J 29/387 20060101ALI20240730BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240730BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240730BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240730BHJP
【FI】
B41J29/38 204
G03G21/00 388
G03G21/00 376
B41J29/38 202
B41J29/387
B41J29/46 Z
G03G15/00 480
B65H7/02
(21)【出願番号】P 2020203424
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小片 智史
(72)【発明者】
【氏名】泉宮 由美子
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和俊
(72)【発明者】
【氏名】丸山 宏之
(72)【発明者】
【氏名】菅野 雅至
(72)【発明者】
【氏名】米山 剛
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-104266(JP,A)
【文献】特開2005-062916(JP,A)
【文献】特開2020-164322(JP,A)
【文献】米国特許第10407271(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
B41J 29/387
B41J 29/46
G03G 15/00
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙設定含む印刷ジョブの設定後に、設定された前記印刷ジョブを実行し、用紙設定された記録媒体への画像形成を行う画像形成装置であって、
搬送路上を搬送される記録媒体上に画像形成を実行する画像形成部と、
記録媒体の特性を測定した測定結果に基づいて記録媒体を紙種に区分する紙種区分部と、
前記印刷ジョブの前記用紙設定に際し、前記用紙設定された記録媒体の特性に対する測定結果を、前記紙種区分部で紙種に区分される前の
、第1の用紙特性データ
として取得する第1の取得部と、
前記印刷ジョブの実行に際し、設定された前記印刷ジョブが実行される記録媒体の前記特性に対する測定結果を、前記紙種区分部で紙種に区分される前の
、第2の用紙特性データ
として取得する第2の取得部と、
前記第1の用紙特性データと前記第2の用紙特性データに基づいて
、設定された前記印刷ジョブに対応する画像形成を制御する制御部と、を備えた、画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の用紙特性データは、
前記搬送路上に配置され前記搬送路を搬送される記録媒体を測定する第1のセンサーユニットにより取得される、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の用紙特性データおよび前記第2の用紙特性データのうち前記第1の用紙特性データは、画像形成装置の外部に配置され記録媒体を測定する第2のセンサーユニットにより取得される、請求項
1、または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の用紙特性データは、前記画像形成部により画像形成する際、または、該画像形成部による画像形成をする直前に、測定される、請求項1から請求項
3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の用紙特性データと前記第2の用紙特性データに基づいて前記画像形成または前記画像形成の開始を中断するか否かを決定する、請求項1から請求項
4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像形成または前記画像形成の開始を中断するとともに、ユーザーに対して警告を行う、請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1の用紙特性データと前記第2の用紙特性データの差に基づいて前記画像形成部を制御する、請求項1から請求項
6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の用紙特性データと前記第2の用紙特性データの差が所定範囲よりも大きい場合、前記画像形成または前記画像形成の開始を中断する、請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の用紙特性データと、前記第2の用紙特性データの差が所定範囲以内の場合、前記画像形成を実行させる、請求項
7または請求項
8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記記録媒体の特性は、表面状態を示す特性を含み、
前記制御部は、前記第1の用紙特性データおよび前記第2の用紙特性データの前記表面状態を示す特性の差が所定範囲よりも大きい場合、ユーザーに対して記録媒体の表裏確認を促す通知を行う、請求項
7から請求項
9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1の用紙特性データと前記第2の用紙特性データは、坪量、紙厚、表面性の少なくとも一つの特性に対応する、請求項1から請求項
10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1の用紙特性データおよび前記第2の用紙特性データはそれぞれ複数種類の用紙特性データを含む第1の用紙特性データ群および第2の用紙特性データ群である、請求項1から請求項
11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1または第2の用紙特性データに基づいて、前記画像形成および前記記録媒体の搬送に関する制御パラメータのうち少なくとも一つの制御パラメータを決定し、決定された前記制御パラメータで画像形成を実行させる、請求項1から請求項
12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第1および第2の用紙特性データそれぞれには、測定の確度の高さを示す指標が付与されており、
前記制御部は、前記指標に基づいて、前記第1、または第2の用紙特性データのうち、前記制御パラメータの決定に用いる用紙特性データを選択する、請求項
13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
確度の高さを示す前記指標は、対応する前記記録媒体の特性に基づく、印刷実績を統計解析することで算出される、請求項
14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記第1および第2の用紙特性データそれぞれには、測定時の温度および/または湿度で構成される環境情報が対応付けられており、
前記制御部は、画像形成時の前記環境情報を、前記第1および第2の用紙特性データに対応付けられた前記環境情報と比較し、
前記第1、または第2の用紙特性データのうち、画像形成時の前記環境情報に近い方の前記環境情報が対応付けられた用紙特性データを用いて、前記制御パラメータの決定を行う、請求項
13から請求項
15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記第1および第2の用紙特性データそれぞれには、測定時の温度および/または湿度で構成される環境情報が対応付けられている、請求項
13から請求項
16のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項18】
複数の前記記録媒体の特性には、前記環境情報の値により測定値が変化する環境依存の記録媒体の特性が含まれ、
前記制御部は、画像形成時の前記環境情報を、前記第1および第2の用紙特性データに対応付けられた前記環境情報と比較し、
前記第1、または第2の用紙特性データのうち、画像形成時の前記環境情報に近い方の前記環境情報が対応付けられた用紙特性データの前記環境依存の記録媒体の特性を用いて、前記制御パラメータの決定を行う、請求項
17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
用紙特性データを記憶する外部の記憶装置と接続され、
前記取得部は、前記記憶装置から前記用紙特性データを取得する、請求項1から請求項
18のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記第1および第2の用紙特性データには、測定された時期の情報が対応づけられている、請求項1から請求項
19のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記第1の用紙特性データおよび前記第2の用紙特性データは、それぞれ前記印刷ジョブの設定および実行に際し測定されたデータである、請求項1から請求項20のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項22】
用紙設定含む印刷ジョブの設定後に、設定された前記印刷ジョブを実行し、用紙設定された記録媒体への画像形成を行う印刷方法であって、
記録媒体の特性を測定した測定結果に基づいて記録媒体を紙種に区分する紙種区分が可能であり、
前記印刷ジョブの前記用紙設定に際し、前記用紙設定された記録媒体の特性に対する測定結果を、前記紙種区分により紙種に区分される前の
、第1の用紙特性データ
として取得する第1の取得ステップと、
前記印刷ジョブの実行に際し、設定された前記印刷ジョブが実行される記録媒体の前記特性に対する測定結果を、前記紙種区分により紙種に区分される前の
、第2の用紙特性データ
として取得する第2の取得ステップと、
前記第1の用紙特性データと前記第2の用紙特性データに基づいて、搬送路上を搬送される記録媒体に対
し、設定された前記印刷ジョブに対応する画像形成の制御を行う制御ステップと、
を含む、印刷方法。
【請求項23】
用紙設定含む印刷ジョブの設定後に、設定された前記印刷ジョブを実行し、用紙設定された記録媒体への画像形成を行う画像形成装置を制御するコンピューターに実行させるための制御プログラムであって、
記録媒体の特性を測定した測定結果に基づいて記録媒体を紙種に区分する紙種区分が可能であり、
前記印刷ジョブの前記用紙設定に際し、前記用紙設定された記録媒体の特性に対する測定結果を、前記紙種区分により紙種に区分される前の
、第1の用紙特性データ
として取得する第1の取得ステップと、
前記印刷ジョブの実行に際し、設定された前記印刷ジョブが実行される記録媒体の前記特性に対する測定結果を、前記紙種区分により紙種に区分される前の
、第2の用紙特性データ
として取得する第2の取得ステップと、
前記第1の用紙特性データと前記第2の用紙特性データに基づいて、搬送路上を搬送される記録媒体に対
し、設定された前記印刷ジョブに対応する画像形成の制御を行う制御ステップと、
を含
む制御プログラム。
【請求項24】
用紙設定含む印刷ジョブの設定後に、設定された前記印刷ジョブを実行し、用紙設定された記録媒体への画像形成を行う画像形成システムであって、
搬送路上を搬送される記録媒体上に画像形成を実行する画像形成部と、
記録媒体の特性を測定するためのセンサーと、
記録媒体の特性を測定した測定結果に基づいて記録媒体を紙種に区分する紙種区分部と、
前記印刷ジョブの前記用紙設定に際し、前記用紙設定された記録媒体の特性に対する測定結果を、前記紙種区分部で紙種に区分される前の
、第1の用紙特性データ
として取得する第1の取得部と、
前記印刷ジョブの実行に際し、設定された前記印刷ジョブが実行される記録媒体の前記特性に対する測定結果を、前記紙種区分部で紙種に区分される前
の、第2の用紙特性データ
として取得する第2の取得部と、
前記第1の用紙特性データと前記第2の用紙特性データに基づいて
、設定された前記印刷ジョブに対応する画像形成を制御する制御部と、を備えた、
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、印刷方法、制御プログラム、および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー印刷業界においては、電子写真方式のプリンタ等の画像形成装置が広く活用されてきている。カラー印刷業界に対応するPP(プロダクションプリント)の分野では、オフィスで用いられる場合に比べて多様な用紙への適応が求められる。そして、これらの多様な用紙に対して高品質な印刷を行うために、給紙トレイに収容している用紙の種類を設定し、その設定に応じて決定した印刷条件で印刷する。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたプリンタでは、紙の種類を自動的に判別するメディアセンサーと呼ばれるセンサーを搭載したプリンタを用い、自動判別した紙の種類に応じた印刷条件で印刷する。また、このプリンタでは、給紙されるメディアと設定されたメディアの不整合に伴う印刷不良となる印刷を実行してしまうことを回避することを目的として、印刷データを出力する第1のタイミングで取得したメディア情報(紙種情報)と、これよりも前の印刷設定時等の第2のタイミングで取得したメディア情報とが異なる場合に、警告を発したり、適切なメディアがない場合には、普通紙に基づく印刷データを出力したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のプリンタでは、検知した測定データに基づいて紙の種類を区分し、第1、第2のタイミングで取得した区分後の紙種が一致するか否かで、正しいメディアが使用されているかを判定している。用紙をメディアセンサーで測定して得られる測定データは、区分の中央ばかりではなく、境界付近となる場合もある。このような場合、第1、第2のタイミングで取得した測定データの差が小さくても、異なる区分に分類され、結果、同じ紙であっても異なる紙種と判別されるという問題が生じる虞がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、設定間違いや、使用する用紙の給紙トレイへの装填間違い等による印刷設定と使用する用紙との不整合を高精度に判別し、不整合による印刷品質の低下を未然に防止できる画像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)記録媒体を測定して得られた複数の用紙特性で構成される用紙特性データ群を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記用紙特性データ群に基づいて装置内の画像形成、および/または記録媒体の搬送に関する制御パラメータを決定する制御部と、
前記制御部が決定した制御パラメータで、装置内の搬送路を搬送した記録媒体に対して画像形成する画像形成部と、を備え、
前記制御部は、前記取得部により取得した、第1の時期に測定した第1の用紙特性データ群、および第1の時期よりも時期が近い第2の時期に測定した第2の用紙特性データ群を比較し、比較結果に基づいて、画像形成に関する制御動作を実行する、
画像形成装置。
【0009】
(2)前記制御部は、前記制御動作として、前記第1の用紙特性データ群と、前記第2の用紙特性データ群の差が所定範囲よりも大きい場合に、画像形成を実行しない、または実行中の画像形成を中断する、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0010】
(3)前記制御部は、前記第1の用紙特性データ群と、前記第2の用紙特性データ群の差が所定範囲よりも大きい場合に、ユーザーに対して警告を行う、上記(2)に記載の画像形成装置。
【0011】
(4)複数の前記用紙特性には、用紙の表面状態を示す用紙特性が含まれ、
前記制御部は、前記第1の用紙特性データ群、および前記第2の用紙特性データ群の前記表面状態を示す用紙特性同士の差が所定範囲よりも大きい場合に、ユーザーに対して、記録媒体の表裏確認を促す通知を行う、上記(2)、または上記(3)に記載の画像形成装置。
【0012】
(5)前記制御部は、前記制御動作として、前記第1の用紙特性データ群と、前記第2の用紙特性データ群の差が所定範囲以内の場合に、前記第1、または第2の用紙特性データ群に基づいて、前記制御パラメータを決定し、
前記画像形成部は、決定された前記制御パラメータで画像形成を行う、上記(1)から上記(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0013】
(6)前記第1および第2の用紙特性データ群それぞれには、測定の確度の高さを示す指標が付与されており、
前記制御部は、前記指標に基づいて、前記第1、または第2の用紙特性データ群のうち、前記制御パラメータの決定に用いる用紙特性データ群を選択する、上記(5)に記載の画像形成装置。
【0014】
(7)確度の高さを示す前記指標は、対応する前記用紙特性に基づく、印刷実績を統計解析することで算出される、上記(6)に記載の画像形成装置。
【0015】
(8)前記第1および第2の用紙特性データ群それぞれには、測定時の温度および/または湿度で構成される環境情報が対応付けられており、
前記制御部は、画像形成時の前記環境情報を、前記第1および第2の用紙特性データ群に対応付けられた前記環境情報と比較し、
前記第1、または第2の用紙特性データ群のうち、画像形成時の前記環境情報に近い方の前記環境情報が対応付けられた用紙特性データ群を用いて、前記制御パラメータの決定を行う、上記(5)から上記(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0016】
(9)前記第1および第2の用紙特性データ群それぞれには、測定時の温度および/または湿度で構成される環境情報が対応付けられている、上記(1)から上記(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0017】
(10)複数の前記用紙特性には、前記環境情報の値により測定値が変化する環境依存の用紙特性が含まれ、
前記制御部は、画像形成時の前記環境情報を、前記第1および第2の用紙特性データ群に対応付けられた前記環境情報と比較し、
前記第1、または第2の用紙特性データ群のうち、画像形成時の前記環境情報に近い方の前記環境情報が対応付けられた用紙特性データ群の前記環境依存の用紙特性を用いて、前記制御パラメータの決定を行う、上記(9)に記載の画像形成装置。
【0018】
(11)前記取得部は、装置内に配置され、前記搬送路を搬送した記録媒体を測定することで複数の用紙特性を得る第1のセンサーユニットである、上記(1)から上記(10)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0019】
(12)前記第2の用紙特性データ群は、前記画像形成部により画像形成する際、または、該画像形成部による画像形成をする直前の第2の時期に、前記第1のセンサーユニットにより測定された用紙特性のデータ群である、上記(11)に記載の画像形成装置。
【0020】
(13)記録媒体を測定することで複数の用紙特性を得る外部の第2のセンサーユニットと接続され、
前記取得部は、接続した前記第2のセンサーユニットから前記用紙特性データ群を取得する、上記(1)から上記(12)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0021】
(14)用紙特性データ群を記憶する外部の記憶装置と接続され、
前記取得部は、前記記憶装置から前記用紙特性データ群を取得する、上記(1)から上記(13)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0022】
(15)前記第1および第2の用紙特性データ群には、前記第1および第2の時期の情報が対応づけられている、上記(1)から上記(14)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0023】
(16)記録媒体を測定して得られた複数の用紙特性で構成される用紙特性データ群を取得するステップ(a)と、
前記ステップ(a)で取得した前記用紙特性データ群に基づいて装置内の画像形成、および/または記録媒体の搬送に関する制御パラメータを決定するステップ(b)と、
前記ステップ(b)で決定した制御パラメータで、装置内の搬送路を搬送した記録媒体に対して画像形成するステップ(c)と、
前記ステップ(a)で取得した、第1の時期に測定した第1の用紙特性データ群、および第1の時期よりも時期が近い第2の時期に測定した第2の用紙特性データ群を比較し、比較結果に基づいて、制御動作を実行するステップ(d)と、を含む、印刷方法。
【0024】
(17)記録媒体を測定して得られた複数の用紙特性で構成される用紙特性データ群を取得するステップ(a)と、
前記ステップ(a)で取得した前記用紙特性データ群に基づいて装置内の画像形成、および/または記録媒体の搬送に関する制御パラメータを決定するステップ(b)と、
前記ステップ(b)で決定した制御パラメータで、装置内の搬送路を搬送した記録媒体に対して画像形成するステップ(c)と、
前記ステップ(a)で取得した、第1の時期に測定した第1の用紙特性データ群、および第1の時期よりも時期が近い第2の時期に測定した第2の用紙特性データ群を比較し、比較結果に基づいて、制御動作を実行するステップ(d)と、を含む処理を、
画像形成装置を制御するコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る画像形成装置によれば、取得部により取得した、第1の時期に測定した第1の用紙特性データ群、および第1の時期よりも時期が近い第2の時期に測定した第2の用紙特性データ群を比較し、比較結果に基づいて、画像形成に関する制御動作を実行する。これにより、設定間違いや、使用する用紙の給紙トレイへの装填間違い等による印刷設定と使用する用紙との不整合を高精度に判別し、不整合による印刷品質の低下を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である
【
図2】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】装置内に配置したセンサーユニット周辺の側面図である。
【
図4】外付けのセンサーユニットの外観を示す斜視図、および側面図である。
【
図5】外付けのセンサーユニットの断面図、および下部筐体における検知領域等を示す模式上面図である。
【
図6】第1の実施形態における印刷処理を示すフローチャートである。
【
図7】予約ジョブの設定処理(ステップS02)を示すサブルーチンフローチャートである。
【
図8】制御動作の変更処理(ステップS05)を示すサブルーチンフローチャートである。
【
図9】用紙特性データ群のデータ形式の一例である。
【
図10A】第1の例における用紙特性から制御パラメータを決定する処理を示すブロック図である。
【
図10B】第2の例における用紙特性から制御パラメータを決定する処理を示すブロック図である。
【
図11】第2の実施形態における制御動作の変更処理(ステップS05)を示すサブルーチンフローチャートである。
【
図12】用紙特性データ群のデータ形式の一例である。
【
図13】第3の実施形態における制御動作の変更処理(ステップS05)を示すサブルーチンフローチャートである。
【
図14】複数の画像形成装置、および複数のセンサーユニットがネットワーク接続された画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図15】プロダクションプリントにおける印刷工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。図面においては、上下方向をZ方向、画像形成装置の正面、背面方向をX方向、これらのX、Z方向に直交する方向をY方向とする。X方向は、幅方向ともいう。本実施形態においては、記録媒体には、印刷用紙、各種フィルムが含まれる。特に印刷用紙としては、植物由来の機械パルプ、および/または化学パルプを用いて製造されたものが含まれる。また記録媒体の種類としては、グロス紙、マット紙、普通紙、高光沢紙、等が含まれる。以下においては、記録媒体のことを、単に用紙ともいう。
【0028】
図1は、装置内にセンサーユニット18を備える画像形成装置1の概略構成を示す図である。
図2は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように画像形成装置1には、互いに機械的、および電気的に通信可能に接続された画像形成装置本体10、および給紙ユニット20が含まれる。
【0029】
(画像形成装置本体10)
図2を参照すると、画像形成装置本体10は、制御部11、記憶部12、画像形成部13、給紙搬送部14、操作パネル15、通信部16、センサーユニット18、および温湿度センサー19等を備える。これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。
【0030】
図3は、搬送路143に配置したセンサーユニット18の構成を示す側面図である。センサーユニット18は、メディアセンサーとも称され、紙厚検知部40、坪量検知部50、表面性検知部60、および用紙押圧機構70で構成され、複数の用紙特性を測定する。この坪量検知部50は、透過型の第1の光学式センサーであり、表面性検知部60は、反射型の第2の光学式センサーである。用紙押圧機構70は、表面性検知部60により用紙特性を検知する際に、用紙を押さえる。これらのセンサーユニット18の詳細については後述する。
【0031】
(制御部11)
制御部11は、CPU、ROM、RAM等により構成され、ROMや、後述の記憶部12に格納されているプログラムを実行することで、各種処理を実行し、プログラムにしたがって装置各部の制御や各種の演算処理を行う。
【0032】
(記憶部12)
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等の補助記憶部からなる。また、記憶部12は、各給紙トレイに収納されている用紙情報を記憶する。用紙情報としては、用紙の銘柄、サイズ(用紙幅、用紙長)、坪量(斤量)、用紙種類(コート紙、普通紙、上質紙、ラフ紙等)の情報が含まれ、紙種判定処理(後述の
図10A等)により設定されたものである。また、記憶部12は、用紙銘柄、または用紙種類の判定に用いる学習済みモデル、およびペーパープロファイル(何れも後述する)が記憶されていてもよい。
【0033】
(画像形成部13)
画像形成部13は、例えば電子写真方式により画像を形成する。
図1に示すように、画像形成部13は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の基本色のそれぞれに対応した書込部131、感光体ドラム132、および各色のトナー、キャリアからなる2成分現像剤を収容する現像器133、等を備える。また、画像形成部13は、さらに、中間転写ベルト134、2次転写部135、および定着部136を備える。各色の現像器133により、感光体ドラム132上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト134上で重ね合わせされ、2次転写部135において搬送された用紙300に転写される。用紙300上のトナー画像は下流側の定着部136で加熱、加圧されることで用紙300上に定着される。
【0034】
(給紙搬送部14)
給紙搬送部14は、複数の給紙トレイ141、142、搬送路143、144、等を備える。搬送路143、144は、これらの搬送路に沿って設けられた複数の搬送ローラー対、およびこれらの搬送ローラー対を駆動する駆動モーター(図示せず)を含む。給紙トレイ141、142内に積載され載置した複数枚の用紙300のうち最上位の用紙を送り出す送出しローラーを備え、給紙トレイ内の用紙300を1枚ずつ下流側の搬送路に送り出す。搬送路143上のレジストローラーの上流側には、センサーユニット18が配置される。
図2に示すようにセンサーユニット18付近においては、搬送路143は、所定間隔で対向する板金等で構成されたガイドの間に形成される。ガイド板には、ガイド板181、182(
図3参照)が含まれる。搬送路143を用紙300が通る。
【0035】
給紙搬送部14は、給紙トレイ141等から給紙された用紙300を搬送する。用紙300の裏面にも画像を形成する両面印刷を行う場合には、片面に画像形成された用紙300を装置本体の下部にある両面画像形成用の搬送路144に搬送する。この搬送路144に搬送された用紙300は、スイッチバック経路で表裏を反転された後、片面用の搬送路143に合流し、再び画像形成部13で用紙300のもう一方の面に画像形成される。画像形成された用紙300は、排紙トレイ145上に排出される。
【0036】
(操作パネル15)
操作パネル15はタッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、画像形成装置本体10、または画像形成装置1の状態を表示し、ユーザーからの給紙トレイ141等に載置した用紙の種類等の設定、指示の入力に使用される。
【0037】
(通信部16)
通信部16は、USBケーブル、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN(例えばIEEE802.11規格に準拠したLAN)、等により、外付けのセンサーユニット80、PC端末、等の外部の他の装置と通信する。
【0038】
(センサーユニット18)
センサーユニット18は、取得部として機能し、1つの記録媒体を測定して得られた複数の用紙特性で構成される用紙特性データ群を取得する。測定結果としての用紙特性には、下記に説明するように、紙厚、坪量、表面性1、2、含水率、等がある。
【0039】
上述のようにセンサーユニット18は、紙厚検知部40、坪量検知部50、表面性検知部60、および用紙押圧機構70で構成される。
図3に示すように、これらの構成要素のうち、搬送方向の上流側に紙厚検知部40が、下流側に坪量検知部50、表面性検知部60、および用紙押圧機構70が配置される。坪量検知部50、および表面性検知部60は、搬送方向の同じ位置に、幅方向(X方向)に並んで配置される。例えば坪量検知部50は、手前側に配置され、表面性検知部60は、奥側に配置される。搬送路143の上側には、表面性検知部60が配置され、下側には対向して用紙押圧機構70が配置される。搬送路143には、上流側から順に搬送ローラー対41、186、187が配置される。
【0040】
(紙厚検知部40)
紙厚検知部40は、搬送ローラー対41のニップに用紙300が搬送されることで、用紙300の厚みに応じて、従動ローラーの軸位置が変位する。この変位した軸の高さを測ることにより、用紙300の厚みを測定する。搬送ローラー対41は、2つのローラーのうち下側のローラーが固定(軸中心が固定)の駆動ローラーで、上側がその駆動ローラーに向けて離接可能に付勢された従動ローラーである。上側のローラーの高さは、変位センサーにより検出される。変位センサーは、上側のローラー軸に接触するアクチュエータ(検出レバー)とこのアクチュエターの回転量を測定するエンコーダーとで構成される。紙厚検知部40からは、例えば、用紙厚み(ミクロン)が用紙特性の測定結果として出力される(以下では、「紙厚」ともいう)。
【0041】
(坪量検知部50)
坪量検知部50は、用紙300の坪量に応じた物性値を検出する透過型の光学式センサーであり、搬送路143の下方に配置した発光部と、上方に配置した受光部を備え、用紙300を透過する光の減衰量(透過率)を測定する。坪量検知部50からは、例えば、透過率が用紙特性の測定結果として出力される(以下では、単に「坪量」ともいう)。
【0042】
(表面性検知部60)
表面性検知部60は、筐体、発光部、コリメートレンズ、および複数の受光部を備え、以下に説明するように用紙表面からの正反射光、拡散反射光を光学的に検出する。上ガイド板182には開口部(測定領域)が設けられ、この開口部は、受光部の照射領域になる。開口部まで搬送された用紙300は、一時停止する。その状態で下側から用紙押圧機構70により押さえられ用紙300は、位置決めされる。開口部内の基準面は、上ガイド板182の下面を含む仮想面であり、測定時には、基準面に被測定物であるこの位置決めされた用紙300の表面が配置される。発光部からはコリメートレンズにより略平行にされた照射光が、基準面に対して入射角75°で照射される。照射光の波長としては例えば465nmである。複数の受光部は、正反射光、および拡散反射光を受光する。例えば、反射角30度(拡散反射光用)、60度(拡散反射光用)、75度(正反射光用)の3箇所、または60度と75度の2箇所に配置される。表面性検知部60からは、この受光部の信号が用紙特性の測定結果として出力される(以下では「表面性1」ともいう)。
【0043】
(用紙押圧機構70)
この用紙押圧機構70は、下ガイド板181の下方に配置される。用紙押圧機構70は、押圧部、駆動モーター、カム機構、等を備える。押圧部の上面は、駆動モーターの駆動により上下動する、下ガイド板181と並行な平面であり、通常の通紙時は、下ガイド板181と略同面であるが、測定時には、上昇し、用紙300を表面性検知部60側に押し付ける。押し付けた状態では、用紙300の搬送は停止する。
【0044】
(センサーユニット18の他の出力)
上述のように、紙厚検知部40、坪量検知部50、および表面性検知部60から用紙特性として、紙厚、坪量、表面性1がそれぞれ出力されるが、これ以外の他のセンサーから他の用紙特性を出力するようにしてもよい。例えば、センサーユニット18に、用紙特性として「表面性2」および「含水率」を測定結果として出力するセンサーが含まれていてもよい。「表面性2」は、用紙300の深さ量に関する指標を得る。具体的には、大きな入射角度(80度以上90度未満)で、用紙300の表面に光を照射し、この状態を撮影し、得られた画像データを画像処理することにより表面の凹凸状態に応じた深さ量に関する指標を測定結果として出力する。「含水率」は、例えば近赤外線方式のOH基の光吸収量を光学的に検出する含水率センサーにより測定できる。この含水率計は、近赤外線領域の所定の波長の光を用紙300に照射し、その用紙300の含水率に応じて光の吸収率が変化する性質を利用したものである。含水率計からは、例えば、含水率が用紙特性の測定結果として出力される。
【0045】
(温湿度センサー19)
温湿度センサー19は、温度センサー、および湿度センサーを含み、装置周辺の温湿度を測定する。
【0046】
(給紙ユニット20)
図1に示すように、給紙ユニット20は給紙搬送部24を備える。また、給紙ユニット20は、給紙搬送部24の他に、制御部、記憶部、および画像形成装置本体10と通信する通信部(何れも図示せず)を備え、これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続される。給紙搬送部24は、複数の給紙トレイ241、242、243、および搬送路244を備える。各給紙トレイから搬送された用紙300は、下流側の画像形成装置本体10に搬送され、センサーユニット18で用紙特性の測定がなされたり、画像形成部13で画像形成されたりする。
【0047】
(外付けのセンサーユニット80)
図4(a)、
図4(b)はそれぞれ、外付けのセンサーユニット80の外観を示す斜視図、および側面図である。
図5(a)は、センサーユニット80の内部構成を示す側面図であり、
図5(b)は、センサーユニット80の下部筐体82における検知領域等を示す模式上面図である。オフラインのセンサーユニット80は、装置内(インライン)の上述のセンサーユニット18と同様の機能を有し、複数の用紙特性を測定する。この外部のセンサーユニット80を用いて用紙の複数の用紙特性を測定する場合には、このセンサーユニット80から用紙特性データ群を送受信する通信部16が取得部として機能する。
【0048】
図4に示すように、センサーユニット80は、上部筐体81、および下部筐体82で構成される。センサーユニット80の上部正面には、点灯有無により装置の状態を示すためのLED表示部88が配置されている。下部筐体82の上面はユーザーにより挿入される用紙300を載置する載置面S2である。測定時には、ユーザーは、用紙300を挿入口から手動で通紙領域800内に挿入する。このとき、用紙300は、載置面S2上を滑りながら挿入方向(Y方向)に沿って移動し、奥側の壁s3に突き当たって停止する。
【0049】
図5(a)に示すように、センサーユニット80は、挿入口から奥側に向かって順に、坪量検知部500、第1メディアセットセンサー850、表面性検知部600、紙厚検知部400、および第2メディアセットセンサー860が配置される。また紙厚検知部400は、用紙押圧機構700の押圧板701上に搭載され、押圧板701の上下動にともない移動する。この押圧板701は、測定時に用紙300を抑える。また、センサーユニット80は、制御部および記憶部(図示せず)を備え、各種の動作を制御する。
【0050】
紙厚検知部400、坪量検知部500、表面性検知部600、および用紙押圧機構700は、それぞれ、上述した装置内のセンサーユニット18の紙厚検知部400、坪量検知部500、表面性検知部600、および用紙押圧機構70と同じ機能を有する。第1メディアセットセンサー850、および第2メディアセットセンサー860は、検知領域での用紙の有無を検知する。例えばこれらのセンサーは、反射型のセンサーであり、検知領域(後述の検知領域a30)に向けて光を照射する発光部、および用紙300からの反射光を受光する受光部を備え、これらは通紙領域200の上方(上部筐体81)に配置される。
【0051】
図5(b)に示すように、センサーユニット80では、挿入口から奥側に向かって順に、坪量検知部500の検知領域a50、第1メディアセットセンサー850の検知領域a85、表面性検知部600の検知領域a60、紙厚検知部400の検知領域a40、および第2メディアセットセンサー860の検知領域a86が配置される。
【0052】
坪量検知部500、および表面性検知部600、については、センサーユニット18の坪量検知部50、および表面性検知部60それぞれと同一であり、説明を省略する。用紙押圧機構700、および紙厚検知部400は、機能的には、センサーユニット18の押圧機構70、および紙厚検知部40それぞれと同じであるが、以下のようにローラー(ローラー対41)を用いずに、接触部402を用いる点で異なる。
【0053】
押圧領域a70は、用紙押圧機構700の押圧板701の押圧面に対応する。押圧板701には、検知領域a40に対応して開口が設けられており、その内側に紙厚検知部400の接触部402が配置される。接触部402は、所定範囲内で揺動し、上方に向けて(底面S1に向けて)付勢される。押圧板701を上部筐体81の底面S1に向けて持ち上げた状態において、用紙300があるときと、ないときの接触部402の高さそれぞれの高さ位置センサーで検知し、両者の差分(μm)により用紙300の厚さを検出する。
【0054】
センサーユニット80の制御部は、手前の第1メディアセットセンサー850がON(用紙有り)になることで、坪量検知部500による用紙特性の測定を開始し、続いて、奥側の第2メディアセットセンサー860がONになれば、用紙300がセットされたとして、用紙押圧機構70により、持ち上げた押圧板701により用紙300を抑えながら、紙厚検知部400、および表面性検知部600による用紙特性の測定を行う。その後、測定が終了した後、押圧板701を下降させて、用紙300をフリーにして、各種の用紙特性の測定を終了する。
【0055】
このように、オフラインのセンサーユニット80は、装置内(インライン)の上述のセンサーユニット18と同様の機能を有し、紙厚検知部400、坪量検知部500、および表面性検知部600により、用紙特性として紙厚、坪量、および表面性1をそれぞれ測定する。また、その他の用紙特性として、上述のように表面性2、および含水率を測定できるように構成れていてもよく、また、さらに、温湿度センサーを備えることで、温湿度データを測定するように構成されていてもよい。
【0056】
(第1の実施形態における印刷処理)
図6は、第1の実施形態における印刷処理を示すフローチャートであり、この印刷処理は、画像形成装置1により実行される。なお本実施形態の印刷処理は、例えばプリントショップ等で用いられる画像形成装置1で実行されるものである。以下の例では、第2の用紙特性データ群を測定する第2の時期は、本印刷の直前(例えば、数分~十数分前)のタイミングであり、第1の用紙特性データ群を測定する第1の時期は、この本印刷よりも少し前のタイミングである。
【0057】
(ステップS01)
ここでは、画像形成装置1の画像形成装置本体10は、ある印刷ジョブ(印刷ジョブ1)を実行中である。この場合、搬送路143は、印刷ジョブ1の印刷により使用されているため、実行中は、共通の搬送路143を用いるインラインのセンサーユニット18は、他の用紙の測定に使用できない。このような状況下、プリントショップのユーザー(従業員、オペレーター等)は、以下に説明するように、オフラインのセンサーユニット80を用いて、次の印刷ジョブに関する用紙設定を行う。
【0058】
(ステップS02)
ここでは、ユーザーは、次の印刷ジョブの予約設定を行う。
図7は、このステップS02の処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【0059】
(ステップS101)
図7に示すように、ここでは、制御部11は、第1の時期での第1の用紙特性データ群を取得する。例えば、ユーザーは、これから使用する用紙300の複数の用紙特性を外部のセンサーユニット80を用いて測定する。
【0060】
(ステップS102)
ユーザーは、ステップS01で前の印刷ジョブ1で使用されている給紙トレイ(例えばトレイ1)以外の給紙トレイ(用紙トレイ2)に測定済み用紙の用紙束を装填(セット)する。
【0061】
(ステップS103)
制御部11は、ユーザーによる操作パネル15等を通じた、給紙トレイ2に装填した用紙と、ステップS101で取得した第1の用紙特性データ群との関連付けを受け付ける。例えば、記憶部12に記憶されている複数の第1の用紙特性データ群の候補リストから、ステップS101で取得した第1の用紙特性データ群を、識別IDを元に特定、選択し、これを装填した用紙と関連付ける。
【0062】
(ステップS104)
制御部11は、ユーザーによる給紙トレイ2を用いた次の印刷ジョブ(印刷ジョブ2)の予約を受け付ける。この予約には、印刷データ、およびジョブチケットと称される印刷設定のデータが含まれる。以上により
図7の予約設定の処理は終了し(エンド、リターン)、
図6の処理に戻る。
【0063】
(ステップS03)
実行中の印刷ジョブ1の終了を待ち、終了したならば、処理をステップS04に進める。
【0064】
(ステップS04)
制御部11は、ステップS02で受け付けた予約の印刷ジョブ2の実行開始の準備を行う。このとき、印刷ジョブの実行開始に先立って、第2の時期での第2の用紙特性データ群を取得する。具体的には、給紙トレイ2から搬送した用紙300の用紙特性を装置内のセンサーユニット18により測定する。この用紙300は、測定用の用紙であり、本印刷としては用いらない(廃棄される)。
【0065】
(ステップS05)
制御部11は、第1の時期の用紙特性データ群と、第2の時期の用紙特性データ群との比較結果に基づいて、制御動作を実行する。すなわち、比較結果に基づいてそれまでに行おうとしていた予約ジョブの制御動作を変更する。
図8は、このステップS05の制御動作変更処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【0066】
(ステップS201)
ここでは、制御部11は、第1の用紙特性データ群と第2の用紙特性データ群の差が所定範囲内に収まっておらず、所定範囲よりも大きい場合には(YES)、処理をステップS202に進める。一方で、差が所定範囲内であれば(NO)、処理をステップS206に進める。この所定範囲内に収まっているか否かの判定は、複数の用紙特性のうち、1つでも対応する用紙特性同士の差が所定値よりも大きい場合、所定範囲内に収まっていないと判定してもよく、それぞれの対応する用紙特性毎に差に応じてポイントを付与し、このポイントの合計が所定値を超えた場合に、所定範囲内に収まっていないと判定してもよい。
【0067】
(ステップS202)
制御部11は、準備した印刷ジョブ2の実行開始を中断し、画像形成を開始しない。
【0068】
(ステップS203)
制御部11は、操作パネル15等を通じて警告文を表示する等により、ユーザーに警告を通知する。
【0069】
(ステップS206)
制御部11は、ステップS101で第1の時期に取得した第1の用紙特性データ群、およびステップS04で第1の時期よりも時期が近い(現時点に近い)第2の時期に取得した、第2の用紙特性データ群のいずれを用いるかを予め選択する。この選択は、定められたルールにより行う。例えば、制御部11は、より後に選択した第2の時期の第2の用紙特性データ群を選択するようにしてもよく、ユーザーの選択により第1の用紙特性データ群を選択するようにしてもよい。
【0070】
次に、制御部11は、選択した第1または第2の用紙特性データ群に基づいて、制御パラメータを決定する。この制御パラメータの決定方法については後述する(
図10A、
図10B)。
【0071】
(ステップS207)
制御部11は、ステップS206で決定した制御パラメータで、画像形成、および搬送を開始して終了する(
図6の処理に戻り終了する)。
【0072】
(用紙特性データ群と制御パラメータ)
次に、
図9から
図10Bを用いて、用紙特性データ群のデータ形式と、制御パラメータの決定する処理について説明する。
【0073】
図9は、用紙特性データ群のデータ形式の一例である。用紙特性データ群は、通常は、1枚の用紙に対して、複数のセンサーを含むセンサーユニット18(または80)により1回の測定をすることにより得られた複数の用紙特性で構成される。
【0074】
図9に示すように1つの用紙特性データ群には、IDと付加情報が付与される。IDには番号と登録名称が付与される。登録名称は、ユーザーにより入力されてもよく、自動で付番してもよい。また付加情報としては、測定日時(第1、第2の時期)、および測定に用いたセンサーユニットのID番号が付与されている。また用紙特性データ群には、複数の用紙特性1~nが含まれる。用紙特性の例としては、上述したように、表面性1、表面性2、紙厚、坪量、含水率、等がある。
【0075】
図10Aは、第1の例における用紙特性から制御パラメータを決定する処理を示すブロック図である。第1の例では、制御部11は、用紙特性1~nに基づいて、判別処理により区分化された複数の紙種と区分化された複数の坪量のいずれかであると判別する。そして判別した紙種と坪量により、制御パラメータの決定処理を行う。このパラメータの決定処理をする際には、予め記憶部12に記憶されている、紙種-坪量の組み合わせ毎の定着、転写、搬送の各パラメータの制御値を記述した対応テーブルを参照する。
【0076】
制御部11は、決定した定着、転写制御パラメータにより、画像形成部13の定着部136、および転写部135の定着プロセス、および転写プロセスを制御する。また、決定した搬送・給紙制御パラメータにより給紙搬送部14の搬送、給紙プロセスを制御する。
【0077】
図10Bは、第2の例における用紙特性から制御パラメータを決定する処理を示すブロック図である。第1の例では、一度、紙種と坪量に区分化してから、制御パラメータを決定したが、第2の例では、用紙特性から直接、各制御パラメータを決定する。例えば、用紙特性1、2、3から定着制御パラメータを決定し、用紙特性1、3、nから転写制御パラメータを決定し、用紙特性1、nから搬送・給紙制御パラメータを決定する。なお、この制御パラメータの決定に際しては、機械学習により学習した学習済みモデルを用いてもよい。
【0078】
(第1の実施形態の効果)
このように第1の実施形態においては、第1の時期に測定した第1の用紙特性データ群、および第1の時期よりも時期が近い第2の時期に測定した第2の用紙特性データ群を比較し、比較結果に基づいて、制御動作を実行する。これにより、使用する用紙の給紙トレイへの装填間違い等による印刷設定と使用する用紙との不整合を高精度に判別し、不整合による印刷品質の低下を未然に防止できる。特に本実施形態においては、用紙特性データ群同士を比較することで、用紙種類を区分化した後の紙種同士等を比較する場合にくらべて、より精度の向上を図ることができる。
【0079】
(第2の実施形態における印刷処理)
図11は、第2の実施形態における印刷処理での制御動作の変更処理(ステップS05)を示すサブルーチンフローチャートである。第2の実施形態においては、同図に示す処理以外は、第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。
【0080】
図12は、この第2の実施形態、および後述の第3の実施形態で用いられる、用紙特性データ群のデータ形式の一例である。
図12の例では、
図9と異なり、付加情報として、さらに、確度指標、および測定時の環境情報が追加されている。以下に説明する第2の実施形態における印刷処理においては、この確度指標を用いて、利用する用紙特性データの選択を行う。また、第2の実施形態では、表裏で、用紙の状態が大きく異なる用紙を使う場合において、用紙の表面状態を示す用紙特性を用いて表裏の判定を行う。
【0081】
(ステップS211、S212)
このステップS211、S212では、第1、第2の用紙特性データ群の差が所定範囲よりも大きいか否かを判定し、是(YES)であれば、画像形成の実行開始を中断する。このステップS211、S212の処理はそれぞれ、
図8で示したステップS201、S202と同じである。
【0082】
(ステップS213)
ここでは、制御部11は、ステップS211で是と判定が、第1、第2の用紙特性データ群に含まれる用紙特性のうち、用紙の表面状態を示す表面性の用紙特性同士の差のみが、所定範囲よりも大きいことで行われた場合(YES)、処理をステップS214に進め、他の用紙特性同士でも所定範囲よりも大きい場合、または、総合的に判断して所定範囲よりも大きい場合(NO)、処理をステップS215に進める。ここで表面性の用紙特性とは、上述の表面性1、および/または表面性2の用紙特性である。例えば、第1、第2の用紙特性データ群の表面性1、および表面性2の用紙特性同士の比較において、両方が、所定範囲よりも大きい場合に是(YES)と判定する。
【0083】
(ステップS214)
給紙トレイ(給紙トレイ2)に表裏を間違えて用紙300を装填した可能性があるので、制御部11は、操作パネル15等を通じて、ユーザーに表裏確認を促す通知を行う。
【0084】
(ステップS215)
ここでは制御部11は、
図8のステップS203と同様に、ユーザーに警告を通知する。
【0085】
(ステップS216)
制御部11は、確度情報を用いて、第1、第2の用紙特性データ群のうち、どちらの用紙特性データ群を用いるか否かを決定する。具体的には、制御部11は、
図12に示すような確度情報を参照し、第1、第2の用紙特性データ群のうち、確度が高い方の用紙特性データを選択する。
【0086】
(確度指標の例)
図12の例では、レベル1からレベル3(低、中、高)までの3段階の確度指標が付与されている。レベル3が最も確度(信頼度)が高い。この確度指標のレベルは、例えば、1回測定しただけで、この用紙特性データ群を用いた印刷を行った実績がなければレベル1(低)に分類する。また、1枚の用紙、または複数前の用紙を用いて、複数回測定したデータを用い、これを平均化処理することで得られた用紙特性データ群であれば、レベル3(高)に分類する。
【0087】
また、レベルは付与時のまま、固定でなく、その後の状況に応じて更新するようにしてもよい。例えば、測定日時から、現時刻(印刷開始時)までの期間に応じて、レベルを更新してもよい。この場合、所定期間以上経過していれば、1ランクダウンする。また、ある用紙特定データ群を用いて、制御パラメータを決定し、この制御パラメータにより印刷をした場合に、この印刷実績によりランクを更新する。例えば、印刷枚数あたりのジャム発生率(またはジャム未発生連続枚数)の値により変化させる。ジャム発生率が閾値以上であればランクをダウンし、ジャム未発生連続枚数が閾値枚数以上であればランクをアップする。この判定に用いるジャム発生率は、統計解析(統計処理)することにより算出できる。また、画像形成装置の搬送経路にスキャナーを配置して、印刷画像を読み取る構成であれば、用紙の搬送精度(斜行や画像位置ずれ)や、画像濃度バラツキを測定し、これを統計解析することにより、搬送精度や画像安定性を評価できる。この評価結果によりレベルを更新するようにしてもよい。なお、ランクは、3段階に限らず、2段階や4段階以上で分類してもよい。
【0088】
制御部11は、以上のようにして付与された確度指標を比較し、第1の用紙特性データ群の確度指標が、第2の用紙特定データ群の確度指標を超えていれば、第1の用紙特性データ群を用い、そうでなければ、第2の用紙特性データ群を用いる。
【0089】
(ステップS217、S218)
ここでは、制御部11は、前の処理で選択した用紙特性データ群を用いて制御パラメータを決定し、決定した制御パラメータで、画像形成、および搬送を開始する。ここでの処理は、
図8で示したステップS206、S207と同じである。
【0090】
このように、第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、さらに、用紙特性データ群に付与された確度指標を用いることで、正確に測定している可能性が高い測定結果(用紙特性)を用いるので、より高精度に適切な制御パラメータに設定でき、高品質な出力を得ることができる。
【0091】
また、第2の実施形態では、用紙の表面状態を示す用紙特性同士の比較した結果、所定範囲よりも大きい場合には、表裏の間違いの可能性を示唆するため、表裏確認を促す通知を行う。これにより、給紙トレイへ用紙を装填する際に表裏を間違えた場合であっても、その間違った状態で印刷が実行されることを防止できる。
【0092】
(第3の実施形態における印刷処理)
図13は、第3の実施形態における印刷処理での制御動作の変更処理(ステップS05)を示すサブルーチンフローチャートである。第3の実施形態においても、同図に示す処理以外は、第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。以下に説明する第3の実施形態における印刷処理においては、用紙特性データ群に含まれる複数の用紙特性のうち、環境状態により用紙の状態が変化する用紙特性については、その用紙特性を選択的に用いる。環境状態により用紙の状態が変化する「環境依存の用紙特性」の例としては、用紙の含水率がある。この含水率は、用紙が置かれた環境の湿度によって影響を受ける。
【0093】
(ステップS221~S223)
ここでは、用紙特性データ群の差に応じて、画像形成の開始を中断し、ユーザーに警告を通知する。このステップS221~S223の処理は、
図8のステップS201~S203と同一である。
【0094】
(ステップS226)
ここでは、ステップS206の前段と同様の処理により、第1、第2の用紙特性データ群のいずれかを用いるかを選択する。この選択は、ステップS206と同様に定められたルールにより行う。ここでは、例として、第1の用紙特性データ群を選択したものとして説明する。
【0095】
(ステップS227)
制御部11は、画像形成時の環境情報、すなわち現在の画像形成装置1の環境情報、第1、第2の用紙特性データ群の付加情報の測定時の環境情報を取得する。現在の環境情報は、画像形成装置1にある温湿度センサー19から取得する。環境情報としては、湿度データ、または、温度および湿度データである。第1、第2の用紙特性データ群の付加情報の測定時の環境情報は、装置内のセンサーユニット18を用いる場合には、装置の温湿度センサー19の測定値を用い、これを記録しておく。外付けのセンサーユニット80を用いる場合には、例えば、センサーユニット80に配置された温湿度センサーの測定値を用いてもよい。または、センサーユニット80に接続された装置(画像形成装置1、またはPC端末(パーソナルコンピュータ))から温湿度データを取得し、これを用紙特性データ群の付加情報をして記録するようにしてもよい。
【0096】
そして、制御部11は、第1、第2の用紙特性データ群の付加情報の湿度が、現在の湿度と近い方の環境依存の用紙特性を選択的に使用する。例えば、ステップS226で、第1の用紙特性データ群を選択していた場合に、現在の湿度に第2の用紙特性データ群の付加情報の湿度の方が近い場合には、環境依存性の用紙特性、すなわち含水率の測定値のみ、第2の用紙特性データ群のものを用い、これに置き換える。その他の用紙特性は、第1の用紙特性のものをそのまま用いる。
【0097】
(ステップS228)
制御部11は、ステップS226およびS227で選択した複数の用紙特性に基づいて、制御パラメータを決定する。例えば、第1の用紙特性データ群、または、これから、含水率の用紙特性のみ第2の用紙特性データ群の用紙特性の測定結果に置き換えたデータ群である。
【0098】
(ステップS229)
制御部11は、ステップS228で決定した制御パラメータで、画像形成、および搬送を開始して、サブルーチンのフローを終了する(
図6の処理に戻り終了する)。
【0099】
このように第3の実施形態では、第1、または第2の用紙特性データ群のうち、画像形成時の環境情報に近い方の環境情報が対応付けられた用紙特性データ群の環境依存の用紙特性を用いて、制御パラメータの決定を行う。これにより、環境依存の用紙特性に関しては、画像形成時の環境情報に近い方の環境で測定された用紙特性を用いるので、画像形成時の用紙の状態にあった、より正確な用紙特性を用いることができるので、印刷品質の低下を未然に防止できる。
【0100】
なお、第3の実施形態では、最初に選択した用紙特性データ群の複数の用紙特性のうち、環境依存の用紙特性のみ、すなわち含水率の測定値のみ、他の用紙特性データ群の用紙特性に置き換える例を示したが、用紙特性データ群の全体を置き換えるようにしてもよい。例えば、上述のステップS227では、含水率の用紙特性だけでなく、他の用紙特性もまとめて、第2の用紙特性データ群の測定値に置き換える。
【0101】
(ファイルサーバーを用いた用紙特性データ群の管理)
複数の画像形成装置、および複数のセンサーユニットがネットワーク接続された画像形成システム100の概略構成を示す図である。
図14に示すように、ネットワーク95には、記憶装置としてのファイルサーバー91、PC92、画像形成装置1a、1bが接続されている。なお記憶装置としては、ファイルサーバー91に代えて、USBメモリ、およびポータブルHDD等の可搬型記録媒体であってもよい。この場合、いずれかの画像形成装置が、サーバーとしての機能を担い、ネットワークを介したデータの仲介を行う。
【0102】
図14を参照すると、画像形成装置1aは、装置内(インライン)にセンサーユニット18が配置(内蔵)されている。画像形成装置1bは、外付け(オフライン)のセンサーユニット80bがUSB等によりケーブル接続されている。PC92には、センサーユニット80aがケーブル接続されている。ファイルサーバー91には、PC92、画像形成装置1a、1bから、それぞれのセンサーユニットで測定された用紙特性データ群が送られ、記憶される。記憶された用紙特性データ群は、それぞれの画像形成装置1a、1bで相互に使用される。なお、
図14に示す画像形成システム100の構成は、あくまでも例示であり、図示の例よりも多くの画像形成装置、およびセンサーユニットが接続されていてもよい。また、
図2に示したように、1台の画像形成装置1にインラインのセンサーユニット18と、オフラインのセンサーユニット80の両方が接続されていてもよい。
【0103】
(プロダクションプリントにおける印刷工程)
図15は、プロダクションプリントにおける印刷工程を示すフローチャートである。以下、
図14、および
図15を参照し、どのようなタイミングで第1の時期の第1の用紙特性データ群が取得されるかについて説明する。
【0104】
(ステップS31:営業工程)
図15に示すように、ステップS31では、印刷物の企画を行い、仕様策定/見積もりを作成する。一般にクライアントから印刷処理を受注した時点で、印刷物に用いる用紙を決定する。この際に、クライアントからの持ち込み用紙を用いる場合には、受け取った用紙を、PC92に接続したユニット1(センサーユニット80a)により測定し、測定により得られた用紙特性データ群は、第1の用紙特性データ群としてID、付加情報が付与され(
図9等参照)て、ファイルサーバー91に記憶される。
【0105】
(ステップS32:工務工程)
このステップS32では、設備(印刷装置、加工機)の手配、確保を行う。ステップS31で策定された、クライアントからの指定用紙の在庫がなければ発注を行い、手配する。手配した用紙が納入されれば、用紙の検収、保管をする際に、ユニット1(センサーユニット80a)を用いて測定し、測定により得られた用紙特性データ群は、第1の用紙特性データ群としてID、付加情報が付与されファイルサーバー91に記憶される。
【0106】
(ステップS33:デザイン工程)
ここでは、データ生成端末(PC92等)にデータ入稿を行い、ラフデザイン作成、および編集デザイン、パーツ作成等を行う。
【0107】
(ステップS34:制作工程)
ラフデザインに基づいて、最終的なページレイアウト制作し、画像データ処理を行う。クライアントと目合わせのためにサンプル印刷を行う。このサンプル印刷時の装置設定を調整(装置内のスキャナーによる自動調整等)する際に、ユニット2(センサーユニット80b)を用いて測定し、測定により得られた用紙特性データ群は、第1の用紙特性データ群としてID、付加情報が付与されファイルサーバー91に記憶される。
【0108】
(ステップS35:プリプレス)
ここでは、RIPデータ(ラスターデータ)を作成する。この際に本印刷を行う画像形成装置(例えば画像形成装置1a)の設定、色調整、印刷のページデータの面付けを行う。また、用紙設定、印刷機能の設定も行う。この本印刷に用いる画像形成装置1aでのこれらの条件設定時にユニット3(センサーユニット18)を用いて、用紙を測定し、測定により得られた用紙特性データ群は、第1の用紙特性データ群としてID、付加情報が付与されファイルサーバー91に記憶される。
【0109】
(ステップS36:印刷(プレス)工程)
ここでは、本印刷を行う。この本印刷の処理は、
図6から
図8等に示した印刷処理(ステップS01~S06)に対応する。本印刷で、良好に印刷ジョブが実行できた場合には、次回(将来)の同じ用紙を用いた印刷ジョブを実行する際に、用紙特性データ群を再利用できるように、情報をファイルサーバー91に記憶する。この際、制御部11は、確度指標を更新してもよい。
【0110】
(ステップS37:加工工程)
本印刷で生成された印刷物に対して、各種の後処理工程を実行する。
【0111】
このように、第1の用紙特性データ群を測定する第1の時期はプロダクションプリントの業務においては、様々な場面に多くある。ユーザーは、予約ジョブの実行開始の準備段階で、給紙トレイに使用する用紙を装填するとともに、この給紙トレイの用紙設定に、上述のいずれかのタイミングで取得した第1の用紙特性データ群を関連付ける。第2の時期は、この第1の時期よりも後の印刷ジョブの実行開始時、または実行開始の直前である。
【0112】
以上に説明し画像形成装置、およびセンサーユニットの構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な画像形成装置、およびセンサーユニットが備える構成を排除するものではない。
【0113】
また、上述した実施形態に係る画像形成装置1における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 制御部
12 記憶部
13 画像形成部
14 用紙搬送部
15 操作パネル
16 通信部
18 センサーユニット(装置内の第1のセンサーユニット)
40 紙厚検知部
50 坪量検知部
60 表面性検知部
70 用紙押圧機構
80、80a、80b センサーユニット(外付けの第2のセンサーユニット)
400 紙厚検知部
402 接触部
500 坪量検知部
600 表面性検知部
700 用紙押圧機構
701 押圧板
850 第1メディアセンサー
860 第2メディアセンサー
90 ファイルサーバー
92 PC
95 ネットワーク