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特許7529175エレベータのかごドア開閉装置及びエレベータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-29
(45)【発行日】2024-08-06
(54)【発明の名称】エレベータのかごドア開閉装置及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/08 20060101AFI20240730BHJP
【FI】
B66B13/08 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024037821
(22)【出願日】2024-03-12
【審査請求日】2024-03-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 寛
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201665461(CN,U)
【文献】特開2023-162534(JP,A)
【文献】特開2022-158068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごドアを左右方向にスライド可能に支持するドアレールと、
駆動モータと、
ドアレールの上方において左右方向に間隔を空けて設けられ、かごドアと作動的に連結される駆動ベルトが巻き掛けられる第1プーリ及び第2プーリと、
前面にドアレールを備えるとともに、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリを支持するサポートフレームとを備え、
サポートフレームは、後面にて左右方向に間隔を空けて1対のブラケットを備え、
1対のブラケットのそれぞれは、
サポートフレームに取り付けられる本体部と、
本体部の上部から後方に突出する後方突出部とを備え、
本体部の下端及び後方突出部の先端を接地させることにより、サポートフレームの台座として機能するとともに、
後方突出部における箇所であって、ドアレール、駆動モータ、第1プーリ、第2プーリ及びサポートフレームの一体構造体の重心よりも後方の箇所に、吊具用の被係合部を備える
エレベータのかごドア開閉装置。
【請求項2】
かごドアを左右方向にスライド可能に支持するドアレールと、
駆動モータと、
ドアレールの上方において左右方向に間隔を空けて設けられ、かごドアと作動的に連結される駆動ベルトが巻き掛けられる第1プーリ及び第2プーリと、
前面にドアレールを備えるとともに、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリを支持するサポートフレームとを備え、
サポートフレームは、後面にて左右方向に間隔を空けて1対のブラケットを備え、
1対のブラケットのそれぞれは、
サポートフレームの上下方向の長さよりも長い上下方向の長さを有してサポートフレームの上縁から上方に突出するとともにサポートフレームの下縁から下方に突出するようにサポートフレームに取り付けられる本体部と、
本体部の上部から後方に突出する後方突出部とを備え、
本体部の下端及び後方突出部の先端を床に接地させることにより、ドアレール、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリが床に当たらないようにサポートフレームを床から浮かせ、サポートフレームの台座として機能する
エレベータのかごドア開閉装置。
【請求項3】
第1プーリは、駆動モータに直結され、
駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリは、サポートフレームの上方の開放空間に配置され、前記1対のブラケットとは別のブラケットを介してサポートフレームに取り付けられる
請求項1又は請求項2に記載のエレベータのかごドア開閉装置。
【請求項4】
1対のブラケットのそれぞれは、上下方向に位置変更可能となるように、サポートフレームに取り付けられる
請求項1又は請求項2に記載のエレベータのかごドア開閉装置。
【請求項5】
1対のブラケットのそれぞれは、固定具を用いて、サポートフレームに取り付けられ、
固定具は、ボルト・ナットの締結具であり、
1対のブラケットのそれぞれは、ボルトの軸部の挿通孔として、上下方向に長いスライド長孔を有する
請求項4に記載のエレベータのかごドア開閉装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のエレベータのかごドア開閉装置を備える
エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかごドア開閉装置及びエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のかごドア開閉装置として、i)かごドアを左右方向にスライド可能に支持するドアレール、ii)駆動モータ、iii)ドアレールの上方において左右方向に間隔を空けて設けられ、かごドアと作動的に連結される駆動ベルトが巻き掛けられる第1プーリ及び第2プーリ、iv)ドアレール、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリを支持する板状のサポートフレーム、を備えるかごドア開閉装置が公知である(特許文献1)。
【0003】
この特許文献1は、2つの形態のかごドア開閉装置を開示する。1つの形態のかごドア開閉装置は、図1及び図2に示される。この形態において、第1プーリは、駆動モータから減速ベルトを介して回転が伝達される減速プーリであり、駆動モータは、サポートフレームの上方の開放空間に配置され、第1プーリ及び第2プーリは、サポートフレームの前面に配置される。
【0004】
もう1つの形態のかごドア開閉装置は、図3及び図4に示される。この形態において、第1プーリは、駆動モータに直結され、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリは、サポートフレームの前面に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2011-514298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらのかごドア開閉装置は、工場内又はエレベータの設置工事の現場において、組み立てられる。すなわち、まず、サポートフレームに、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリが取り付けられ、ドアレール、駆動モータ、第1プーリ、第2プーリ及びサポートフレームの一体構造体が構成される。次に、この一体構造体が(工場内で構成された場合は、設置工事の現場に搬入され、)クレーン等の吊り手段で吊り上げられ、固定具を用いて、かごの前面上部に取り付けられる。
【0007】
この据付工事において、一体構造体は、吊り上げられる前に、一旦、サポートフレームの後面側から建物の床に置かれることがある。この場合、ドアレール、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリという各種の構成要素が傷ついたり、破損しないよう、サポートフレームと床との間に当て木等の台座を挿入、配置するといった配慮が必要となる。
【0008】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、かごドア開閉装置の据付工事において、かごドア開閉装置における各種の構成要素の破損等に対する配慮を低減することができるエレベータのかごドア開閉装置及びエレベータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエレベータのかごドア開閉装置は、
かごドアを左右方向にスライド可能に支持するドアレールと、
駆動モータと、
ドアレールの上方において左右方向に間隔を空けて設けられ、かごドアと作動的に連結される駆動ベルトが巻き掛けられる第1プーリ及び第2プーリと、
前面にドアレールを備えるとともに、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリを支持するサポートフレームとを備え、
サポートフレームは、後面にて左右方向に間隔を空けて1対のブラケットを備え、
1対のブラケットのそれぞれは、
サポートフレームに取り付けられる本体部と、
本体部の上部から後方に突出する後方突出部とを備え、
本体部の下端及び後方突出部の先端を接地させることにより、サポートフレームの台座として機能するとともに、
後方突出部における箇所であって、ドアレール、駆動モータ、第1プーリ、第2プーリ及びサポートフレームの一体構造体の重心よりも後方の箇所に、吊具用の被係合部を備える
エレベータのかごドア開閉装置である。
また、もう1つの本発明に係るエレベータのかごドア開閉装置は、
かごドアを左右方向にスライド可能に支持するドアレールと、
駆動モータと、
ドアレールの上方において左右方向に間隔を空けて設けられ、かごドアと作動的に連結される駆動ベルトが巻き掛けられる第1プーリ及び第2プーリと、
前面にドアレールを備えるとともに、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリを支持するサポートフレームとを備え、
サポートフレームは、後面にて左右方向に間隔を空けて1対のブラケットを備え、
1対のブラケットのそれぞれは、
サポートフレームの上下方向の長さよりも長い上下方向の長さを有してサポートフレームの上縁から上方に突出するとともにサポートフレームの下縁から下方に突出するようにサポートフレームに取り付けられる本体部と、
本体部の上部から後方に突出する後方突出部とを備え、
本体部の下端及び後方突出部の先端を床に接地させることにより、ドアレール、駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリが床に当たらないようにサポートフレームを床から浮かせ、サポートフレームの台座として機能する
エレベータのかごドア開閉装置である。
【0010】
また、本発明に係るエレベータのかごドア開閉装置の一態様として、
第1プーリは、駆動モータに直結され、
駆動モータ、第1プーリ及び第2プーリは、サポートフレームの上方の開放空間に配置され、前記1対のブラケットとは別のブラケットを介してサポートフレームに取り付けられる
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係るエレベータのかごの一態様として、
1対のブラケットのそれぞれは、上下方向に位置変更可能となるように、サポートフレームに取り付けられる
との構成を採用することができる。
【0013】
また、本発明に係るエレベータのかごの一態様として、
1対のブラケットのそれぞれは、固定具を用いて、サポートフレームに取り付けられ、
固定具は、ボルト・ナットの締結具であり、
1対のブラケットのそれぞれは、ボルトの軸部の挿通孔として、上下方向に長いスライド長孔を有する
との構成を採用することができる。
【0015】
また、本発明に係るエレベータは、
上記エレベータのかごドア開閉装置を備える
エレベータである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ブラケットは、本体部の下端及び後方突出部の先端を建物の床等に接地させることにより、サポートフレームの台座として機能する。このため、本発明によれば、かごドア開閉装置の据付工事において、かごドア開閉装置における各種の構成要素の破損等に対する配慮を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、エレベータの斜視図である。
図2図2(a)は、かごドアが閉じた状態のかごを乗場側から見た正面図である。図2(b)は、かごドアが開いた状態のかごの正面図である。
図3図3は、かごドアが閉じた状態のかごの上部の正面図である。
図4図4は、かごドアが開いた状態のかごの上部の正面図である。
図5図5(a)は、図3のA線における断面図である。図5(b)は、図3のB線における断面図である。
図6図6(a)は、かごドアを外した状態のかごの上部の正面図である。図6(b)は、図6(a)のC線における断面図である。図6(c)は、図6(a)のC線における断面図である。図6(d)は、図6(c)の別例に係る説明図である。
図7図7(a)は、図6(a)のD部の正面図である。図7(b)は、図7(a)の分解図である。
図8図8(a)は、図7(a)の側面図である。図8(b)は、図8(a)の分解図である。
図9図9(a)は、図6(a)のE部の正面図である。図9(b)は、図9(a)の分解図である。
図10図10(a)は、図9(a)の側面図である。図10(b)は、図10(a)の分解図である。
図11図11(a)は、図6(a)のF部の正面図である。図11(b)は、図11(a)の分解図である。
図12図12(a)は、図11(a)の一部の側面図である。図12(b)は、図12(a)の分解図である。
図13図13(a)は、図11(a)の別の一部の側面図である。図13(b)は、図13(a)の分解図である。
図14図14(a)は、図6(a)のG部の正面図である。図14(b)は、図14(a)の分解図である。
図15図15は、図6(a)のH部の正面図である。
図16図16は、図15の側面図である。
図17図17は、各種の構成要素をサポートフレームに取り付けた一体構造体の正面図である。
図18図18(a)は、図17のI部の正面図である。図18(b)は、図18(a)の分解図である。
図19図19(a)は、図18(a)の側面図である。図19(b)は、図19(a)の分解図である。
図20図20(a)~(d)は、ブラケットを台座として使用するときの説明図である。
図21図21は、据付工事の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るエレベータの一実施形態について説明する。
【0019】
なお、以下において、階床に立つ人がかごを見て(図2の状態)、左側を「左」といい、右側を「右」といい、左右の水平方向を「左右方向」といい、適宜の図において左右方向をXと表記している。また、階床に立つ人がかごを見て(図2の状態)、自身に近い側を「前」といい、自身に遠い側を「奥」又は「後」といい、前後の水平方向を「前後方向」といい、適宜の図において前後方向をYと表記している。左右方向と前後方向は、水平面において直交する2方向である。
【0020】
また、上下方向は、鉛直方向と同義であり、左右方向、前後方向のそれぞれと直交する方向である。
【0021】
図1に示すように、エレベータ1は、昇降路2と、かご3とを備える。昇降路2は、階層を有する建物内において上下方向に延びる。かご3は、駆動機構の駆動により、昇降路2内を昇降し、駆動機構の駆動停止により、指定された階床に停止する。
【0022】
かご3は、かごドア装置30を備える。かごドア装置30は、かごドア31と、ドア支持構造32と、ドア開閉装置35とを備える。かごドア31は、左右方向に移動し、かご3の前面の開口(かご出入口)を開閉し、人の乗り降りを可能とする。ドア支持構造32は、かごドア31の開閉動作を可能としつつ、かごドア31を支持する構造体である。ドア開閉装置35は、かごドア31を開閉動作させるための装置である。
【0023】
これに対し、各階床の乗場20は、三方枠21と、乗場ドア装置22とを備える。三方枠21は、壁面に形成され、枠内がかご3の開口に対応した大きさの開口となる。乗場ドア装置22は、乗場ドア23と、ドア支持構造24とを備える。乗場ドア23は、左右方向に移動し、三方枠21内の開口(乗場出入口)を開閉し、人の乗り降りを可能とする。乗場ドア23は、通常は弾性力が付勢されて閉じられ、階床に停止したかご3のかごドア31の開動作に従動して開かれ、かごドア31の閉動作に伴って閉じられる。ドア支持構造24は、乗場ドア23の開閉動作を可能としつつ、乗場ドア23を支持する構造体である。
【0024】
図2に示すように、かごドア31は、ドアパネル310と、ドアハンガ311とを備える。ドアパネル310は、鉛直面に沿って配置され、かご3の開口3aを開閉するかごドア31のドアとしての主体である。ドアハンガ311は、ドアパネル310の上端部にドアパネル310と一体的に取り付けられる。ドアハンガ311は、1対のローラ312,312を備える。1対のローラ312,312は、ドアハンガ311の上端部において左右方向に間隔を空けて設けられる。
【0025】
ドア支持構造32は、ドアレール33と、敷居34とを備える。ドアレール33は、真っ直ぐで、左右方向に長く、平らで、長方形状を有し、板状の部材である。ドアレール33は、かご3の開口3aの上縁に沿って、かつ、両端が開口3aの上縁よりも左右に広がるように、かご3の前面上部に左右方向に設けられる。ドアハンガ311のローラ312,312がドアレール33の上縁に上方から係合して回転することにより、かごドア31は、ドアレール33に沿って左右方向にスライド可能な状態で、ドアレール33に吊り下げられる。ドアレール33は、かごドア31の開閉動作を可能としつつ、かごドア31の上部を支持する構造体である。他方、敷居34は、かご3の開口3aの下縁に沿って、かつ、両端が開口3aの下縁よりも左右に広がるように、かご3の前面下部に左右方向に設けられる。敷居34は、かごドア31の開閉動作を可能としつつ、かごドア31の下部を支持する構造体である。
【0026】
図3及び図4に示すように、ドア開閉装置35は、駆動モータ350と、駆動プーリ351と、従動プーリ352と、駆動ベルト353とを備える。駆動モータ350は、かご3の前面上部の左右いずれか一端側に設けられる。駆動プーリ351は、駆動モータ350の駆動軸と同軸かつ一体に設けられ、駆動モータ350に直結される。従動プーリ352は、かご3の前面上部の左右いずれか他端側に設けられる。駆動ベルト353は、駆動プーリ351及び従動プーリ352に巻き掛けられる無端ベルトである。駆動ベルト353は、左右方向に設けられ、ドアレール33と平行に設けられる。
【0027】
駆動モータ350が駆動すると、駆動プーリ351が回転し、これに伴い、駆動ベルト353が循環移動する。これにより、左右2枚のかごドア31,31(ハッチングを付した部分)は、ドアレール33(ハッチングを付した部分)に沿って往復動し、開閉動作する。一方のかごドア31は、駆動ベルト353の一辺に連結される。もう一方のかごドア31は、駆動ベルト353の他辺に連結される。これにより、1対のかごドア31,31は、互いに相反する方向に移動する。すなわち、かごドア装置30及び乗場ドア装置22は、かご3の開口3aが中央から開くセンターオープンタイプである。
【0028】
ここで、かごドア31と駆動ベルト353との連結構造を詳細に説明する。かごドア31のドアハンガ311は、1対の第1部材及び第2部材で構成される。1対の第1部材及び第2部材は、板状の部材である。1対の第1部材は、左右方向に間隔を空けて設けられ、それぞれがドアパネル310の上端部にドアパネル310と一体的に取り付けられる。第2部材は、1対の第1部材を連結する。一方のかごドア31において、ドアハンガ311は、上方に延びる延伸部311aを備える。他方のかごドア31において、ドアハンガ311は、上方に延びる延伸部311bを備える。延伸部311a,311bは、第1部材のうち左右方向の中心線で分けた左半分部分又は右半分部分に形成される。第1部材は、1枚の板材から全体の型を裁断して作製される。このため、延伸部311a,311bは、第1部材の本体部の一部が上方に突出して延びるものであり、本体部と一体的に設けられる。
【0029】
図5に示すように、延伸部311a,311bの上端部は、屈曲される。屈曲部は、後方(又は前方)に突出する部分であり、水平面に沿って配置される部分である。駆動ベルト353の一辺は、延伸部311aの屈曲部の下面(又は上面)に接した状態で固定具を用いて固定される。駆動ベルト353の他辺は、延伸部311bの屈曲部の上面(又は下面)に接した状態で固定具を用いて固定される。
【0030】
なお、ローラ312は、ドアハンガ311(の第1部材)の内面に回転可能に取り付けられる。ドアハンガ311(の第2部材)の内面には、ローラ313が回転可能に取り付けられる。ローラ312は、ドアレール33の上縁に接する。ローラ313は、ドアレール33の下縁に接する。ドアレール33は、脚33aを介してサポートフレーム4の前面に取り付けられる。ドアレール33は、サポートフレーム4の前面においてサポートフレーム4と平行に設けられる。脚33aは、円柱状の部材であり、左右方向に適宜間隔を空けて複数設けられ、サポートフレーム4の前面に取り付けられる。
【0031】
一方のかごドア31において、ドアハンガ311(の第1部材)の内面には、スイッチ操作体314が取り付けられる。スイッチ操作体314は、ローラを備え、かごドア31が閉じた状態になるときにスイッチ354をON操作する。他方のかごドア31において、ドアハンガ311の延伸部311b(の屈曲部)は、検出片311cを備える。検出片311cは、リミットスイッチ355,356用の検出片である。
【0032】
図6に示すように、サポートフレーム4は、真っ直ぐで、左右方向に長く、平らで、長方形状を有し、板状の部材である。サポートフレーム4は、かご3の開口3aの上縁に沿って、かつ、両端が開口3aの上縁よりも左右に広がるように、かご3の前面上部に左右方向に設けられる。サポートフレーム4は、後述する各種の構成要素を取り付け、支持する部材である。サポートフレーム4は、容易に変形しない剛性を有し、たとえば、鉄、鋼、ステンレス又はアルミニウムを素材とする金属製の部材である。
【0033】
サポートフレーム4は、本体部40と、前方突出部41とを備える。本体部40は、サポートフレーム4の全体の大半を占める部分であり、真っ直ぐで、左右方向に長く、平らで、長方形状を有し、板状で、鉛直面に沿って配置される部分である。前方突出部41は、本体部40の上縁から前方に突出する部分であり、真っ直ぐで、左右方向に長く、平らで、長方形状を有し、板状で、水平面に沿って配置される部分である。前方突出部41は、上面41aを有する。上面41aは、水平面である。本体部40及び前方突出部41は、一体的に設けられる。一例として、本体部40及び前方突出部41は、1枚の板材の上端部を前方に屈曲することにより形成される。
【0034】
サポートフレーム4は、従来のサポートフレームに比べ、高さ寸法が小さくなっている。これにより、サポートフレーム4の上縁(本体部40の上縁及び前方突出部41の上面41aに係る縁、以下、「サポートフレームの上縁」というときは同様)は、高低差Hをもって、ローラ312の最上部よりも低い位置に位置する。
【0035】
サポートフレーム4は、かご3の前面上部に取り付けられる。一例として、サポートフレーム4は、ブラケット50及び適宜のブラケット50Aを介してかご3の前面上部に取り付けられる(図6(c))。かご3の前面上部は、奥行方向に凹む凹部3bを備え、サポートフレーム4は、凹部3bの前方に配置される。これにより、サポートフレーム4は、凹部3bの奥面と間隔を空けて対向し、サポートフレーム4の上方には、開放空間Sが形成される。開放空間Sは、サポートフレーム4(の本体部40)の鉛直面を基準とする前オフセット面と後オフセット面との間の空間である。開放空間Sは、後述する各種の構成要素の配置空間となる。ブラケット50は、サポートフレーム4の両端部に取り付けられる。ブラケット50Aは、ブラケット50と結合されるとともに、かご3の外面に取り付けられる。これにより、サポートフレーム4は、かご3の前面上部に固定される。ブラケット50,50Aは、容易に変形しない剛性を有し、たとえば、鉄、鋼、ステンレス又はアルミニウムを素材とする金属製の部材である。
【0036】
別の例として、サポートフレーム4は、かご3の前フレーム3Aを介してかご3の前面上部に取り付けられる(図6(d))。前フレーム3Aは、かご3の両側に1対設けられ、サポートフレーム4は、1対の前フレーム3A,3Aに跨って配置される。これにより、サポートフレーム4は、かご3の前面と間隔を空けて対向し、サポートフレーム4の上方には、同様の開放空間Sが形成される。サポートフレーム4は、両端部にて1対の前フレーム3A,3Aに取り付けられる。これにより、サポートフレーム4は、かご3の前面上部に固定される。
【0037】
ドア開閉装置35の駆動モータ350(及び駆動プーリ351)、従動プーリ352、スイッチ354及びリミットスイッチ355,356という各種の構成要素は、サポートフレーム4の適宜の箇所に取り付けられる。また、サポートフレーム4の適宜の箇所には、別の構成要素として、制御ボックス37が取り付けられる。これらの各種の構成要素は、ブラケットを介してサポートフレーム4に取り付けられる。ブラケットは、サポートフレーム4の上縁の複数の箇所に設けられ、サポートフレーム4の上縁から上方又は後方又は前方に突出して延びる。これにより、各種の構成要素は、開放空間Sに配置される。なお、スイッチ354及びリミットスイッチ355,356を支持するブラケットは、駆動モータ350(及び駆動プーリ351)を支持するブラケットと、従動プーリ352を支持するブラケットとの間に配置されるが、当然、駆動ベルト353と干渉しないように設けられる。ブラケットは、容易に変形しない剛性を有し、たとえば、鉄、鋼、ステンレス又はアルミニウムを素材とする金属製の部材である。
【0038】
図7及び図8に示すように、駆動モータ350及び駆動プーリ351を支持するブラケット51は、サポートフレーム4(の本体部40)の後面(背面)に取り付けられる。ブラケット51は、固定具61を用いてサポートフレーム4(の本体部40)に着脱可能に取り付けられる。固定具61は、ボルト・ナットの締結具である。固定具61は、2本のボルト610,610と、1つのプレートナット(プレートに2つのナットを溶接したもの)611との組み合わせである(必要に応じて、適宜のワッシャ、スプリングワッシャ等も含む)。サポートフレーム4(の本体部40)(の上端部)は、ボルト610の軸部の挿通孔として、丸孔を有する。ブラケット51(の下端部)は、ボルト610の軸部の挿通孔として、下縁にて開放される切欠き孔51aを有する。ボルト610は、サポートフレーム4の前方からサポートフレーム4及びブラケット51の挿通孔に挿入され、プレートナット611と螺合する。これにより、固定具61は、サポートフレーム4の前方からの回転操作で固定及び固定解除が可能である。そして、ブラケット51の挿通孔は、切欠き孔51aである。これにより、ブラケット51は、固定具61を緩めた状態で、上方に引き上げて取り外される。
【0039】
ブラケット51は、板材を屈曲することにより形成される。屈曲部は、後方に突出する部分であり、水平面に沿って配置される部分である。屈曲部は、上面51bを有する。上面51bは、サポートフレーム4の前方から視認可能な面であり、水平面である。ブラケット51は、上面51bがサポートフレーム4(の前方突出部41)の上面41aに近接しかつ上面41aと同じ高さ位置(面一)となるように、サポートフレーム4に取り付けられる。
【0040】
駆動モータ350は、ベース面(下面)350aを有し、ベース面350aがサポートフレーム4の上縁に接するように、ブラケット51に取り付けられる。そして、駆動モータ350は、ベース面350aがサポートフレーム4の上面41a及びブラケット51の上面51bに跨って接するように、ブラケット51に取り付けられる。
【0041】
駆動モータ350は、(ボルトの軸部と挿入孔との間のギャップの分だけ)前後方向に位置調整可能となるように、ブラケット51に取り付けられる。そして、駆動モータ350は、ベース面350aの先端がサポートフレーム4の上面41aの先端と一致するように、ブラケット51に取り付けられる。
【0042】
図9及び図10に示すように、従動プーリ352を支持するブラケット52は、サポートフレーム4(の本体部40)の後面に取り付けられる。ブラケット52は、固定具62を用いてサポートフレーム4(の本体部40)に着脱可能に取り付けられる。固定具62は、ボルト・ナットの締結具である。固定具62は、2本の角根ボルト620,620と、2つのナット621,621との組み合わせである(必要に応じて、適宜のワッシャ、スプリングワッシャ等も含む)。サポートフレーム4(の本体部40)(の上端部)は、角根ボルト620の軸部の挿通孔として、角孔42aを有する。ブラケット52(の下端部)は、角根ボルト620の軸部の挿通孔として、角孔52aを有する。角根ボルト620は、サポートフレーム4の後方からブラケット52及びサポートフレーム4の挿通孔に挿入され、サポートフレーム4の前方からナット621が螺合される。これにより、固定具62は、サポートフレーム4の前方からの回転操作で固定及び固定解除が可能である。そして、角根ボルト620の断面正方形状の角根部は、角孔42a,52aと嵌合する。これにより、サポートフレーム4に対するブラケット52の鉛直面での移動及び回転が規制される。
【0043】
ブラケット52は、板材を用いて形成される。従動プーリ352は、ブラケット52に回転可能に取り付けられる。図示しないが、従動プーリ352は、左右方向に位置調整可能となるように、ブラケット52に取り付けられる。従動プーリ352の左右方向の位置を調整することにより、駆動ベルト353のテンションが調整される。
【0044】
図11及び図12に示すように、スイッチ354を支持するブラケット54は、サポートフレーム4(の本体部40)の後面に取り付けられる。ブラケット54は、固定具64を用いてサポートフレーム4(の本体部40)に着脱可能に取り付けられる。固定具64は、ボルト・ナットの締結具である。固定具64は、2本のボルト640,640と、1つのプレートナット641との組み合わせである(必要に応じて、適宜のワッシャ、スプリングワッシャ等も含む)。サポートフレーム4(の本体部40)(の上端部)は、ボルト640の軸部の挿通孔として、長孔44aを有する。ブラケット54(の下端部)は、ボルト640の軸部の挿通孔として、長孔54aを有する。長孔44aは、左右方向又は上下方向のいずれか一方の方向(図例では、上下方向)に長い長孔である。長孔54aは、左右方向又は上下方向のいずれか他方の方向(図例では、左右方向)に長い長孔である。ボルト640は、サポートフレーム4の前方からサポートフレーム4及びブラケット54の挿通孔に挿入され、プレートナット641と螺合する。これにより、固定具64は、サポートフレーム4の前方からの回転操作で固定及び固定解除が可能である。そして、サポートフレーム4及びブラケット54の挿通孔は、互いに直交する方向(左右方向及び上下方向)に長い長孔44a,54aである。これにより、ブラケット54は、サポートフレーム4に対し、左右方向及び上下方向の位置が調整される。
【0045】
ブラケット54は、板材を複数箇所で屈曲することにより形成される。ブラケット54は、スイッチ354が駆動ベルト353の後方に配置されるように、形成される。ブラケット54の中途部に形成される屈曲部は、後方に突出する部分であり、水平面に沿って配置される部分である。屈曲部は、上面54bを有する。上面54bは、サポートフレーム4の前方から視認可能な面であり、水平面である。ブラケット54は、上面54bがサポートフレーム4(の前方突出部41)の上面41aに近接しかつ上面41aと同じ高さ位置(面一)となるように、サポートフレーム4に取り付けられる。
【0046】
スイッチ354は、(ボルトの軸部と挿入孔との間のギャップの分だけ)前後方向及び左右方向に位置調整可能となるように、ブラケット54に取り付けられる。スイッチ354の上下方向の位置調整は、ブラケット54の上面54bがサポートフレーム4の上面41aと同じ高さ位置となるように、ブラケット54の上下方向の位置を調整することにより行われる。
【0047】
スイッチ354は、かごドア31が閉じた位置にあることを検出するスイッチである。スイッチ354は、スイッチ片354aを備える。スイッチ片354aは、スイッチ354の本体部の下面において揺動可能に設けられ、かごドア31が閉じた状態になるときにかごドア31のスイッチ操作体314が当接することにより、押し上げられ、スイッチ354をONにする。スイッチ354は、エレベータ1の駆動装置の安全回路の一部を構成するインターロックスイッチの形態である。
【0048】
図11及び図13に示すように、リミットスイッチ355を支持するブラケット55は、サポートフレーム4(の本体部40)の後面に取り付けられる。ブラケット55は、固定具65を用いてサポートフレーム4(の本体部40)に着脱可能に取り付けられる。固定具65は、ボルト・ナットの締結具である。固定具65は、2本のボルト650,650と、1つのプレートナット651との組み合わせである(必要に応じて、適宜のワッシャ、スプリングワッシャ等も含む)。サポートフレーム4(の本体部40)(の上端部)は、ボルト650の軸部の挿通孔として、長孔45aを有する。ブラケット55(の下端部)は、ボルト650の軸部の挿通孔として、長孔55aを有する。長孔45aは、左右方向又は上下方向のいずれか一方の方向(図例では、上下方向)に長い長孔である。長孔55aは、左右方向又は上下方向のいずれか他方の方向(図例では、左右方向)に長い長孔である。ボルト650は、サポートフレーム4の前方からサポートフレーム4及びブラケット55の挿通孔に挿入され、プレートナット651と螺合する。これにより、固定具65は、サポートフレーム4の前方からの回転操作で固定及び固定解除が可能である。そして、サポートフレーム4及びブラケット55の挿通孔は、互いに直交する方向(左右方向及び上下方向)に長い長孔45a,55aである。これにより、ブラケット55は、サポートフレーム4に対し、左右方向及び上下方向の位置が調整される。
【0049】
ブラケット55は、板材を複数箇所で屈曲することにより形成される。ブラケット55の中途部に形成される屈曲部は、後方に突出する部分であり、水平面に沿って配置される部分である。屈曲部は、上面55bを有する。上面55bは、サポートフレーム4の前方から視認可能な面であり、水平面である。ブラケット55は、上面55bがサポートフレーム4(の前方突出部41)の上面41aに近接しかつ上面41aと同じ高さ位置(面一)となるように、サポートフレーム4に取り付けられる。
【0050】
リミットスイッチ355は、(図示しないボルトの軸部と挿入孔との間のギャップの分だけ)前後方向及び左右方向に位置調整可能となるように、ブラケット55に取り付けられる。リミットスイッチ355の上下方向の位置調整は、ブラケット55の上面55bがサポートフレーム4の上面41aと同じ高さ位置となるように、ブラケット55の上下方向の位置を調整することにより行われる。
【0051】
リミットスイッチ355は、かごドア31が閉じた位置にあることを検出するスイッチである。一例として、リミットスイッチ355は、近接センサである。なお、リミットスイッチ355の役割は、スイッチ354でも担えるため、リミットスイッチ355を無くすことは可能である。
【0052】
図14に示すように、リミットスイッチ356は、かごドア31が開いた位置にあることを検出するスイッチである。リミットスイッチ356、リミットスイッチ356を支持するブラケット56、固定具66及び固定構造は、図11及び図13に示す、リミットスイッチ355、ブラケット55、固定具65及び固定構造と、線対称の配置関係にあるものの、実質的に同じである。このため、構成の説明は同じであるとして省略する。
【0053】
図15及び図16に示すように、制御ボックス37を支持するブラケット57は、サポートフレーム4(の本体部40)の後面に取り付けられる。ブラケット57は、固定具67を用いてサポートフレーム4(の本体部40)に着脱可能に取り付けられる。固定具67は、2本のボルト670,670である(必要に応じて、適宜のワッシャ、スプリングワッシャ等も含む)。サポートフレーム4(の本体部40)(の上端部)は、ボルト670の軸部の挿通孔として、丸孔を有する。ブラケット57(の下端部)は、ボルト670のネジ孔57aを有する。ボルト670は、サポートフレーム4の前方からサポートフレーム4の挿通孔に挿入され、ネジ孔57aと螺合する。これにより、固定具67は、サポートフレーム4の前方からの回転操作で固定及び固定解除が可能である。
【0054】
制御ボックス37は、エレベータ1全体の制御部(主制御部)に対する副制御部を収容する。あるいは、制御ボックス37は、エレベータ1全体の制御部に対する中継部を収容する。制御ボックス37は、サポートフレーム4に設けられないこともある。
【0055】
図17は、制御ボックス37以外が取り付けられた、ドアレール33、駆動モータ350、駆動プーリ351、従動プーリ352、スイッチ354~356及びサポートフレーム4の一体構造体(以下、単に「一体構造体」という)を示す。この一体構造体は、[発明が解決しようとする課題]欄で説明した、据付工事における中間品である。
【0056】
一体構造体(のサポートフレーム4)は、後面にて左右方向に間隔を空けて1対のブラケット50,50を備える。一例として、ブラケット50は、サポートフレーム4の各端部に配置される。このブラケット50は、図6を用いた説明においても説明したものである。
【0057】
図18及び図19に示すように、ブラケット50は、本体部500と、後方突出部501とを備える。本体部500は、真っ直ぐで、平らで、長方形状を有し、板状で、鉛直面に沿って配置される部分である。後方突出部501は、本体部500の上縁から後方に突出する部分であり、真っ直ぐで、平らで、長方形状を有し、板状で、水平面に沿って配置される部分である。本体部500及び後方突出部501は、一体的に形成される。一例として、本体部500及び後方突出部501は、1枚の板材の上部を後方に屈曲することにより、逆L字状に形成される。
【0058】
ブラケット50(の本体部500)は、サポートフレーム4(の本体部40)の上下方向の長さH4よりも長い上下方向の長さH50を有する。これにより、ブラケット50は、サポートフレーム4の下縁から下方に突出して延び、ブラケット50(の本体部500)の下端50aは、サポートフレーム4の下縁よりも下方の高さ位置に位置する。また、ブラケット50は、サポートフレーム4の上縁から上方に突出して延び、ブラケット50(の後方突出部501)の先端50bは、サポートフレーム4の上縁よりも上方の高さ位置に位置する。
【0059】
ブラケット50は、サポートフレーム4(の本体部40)の後面に取り付けられる。ブラケット50は、固定具60を用いてサポートフレーム4(の本体部40)に着脱可能に取り付けられる。固定具60は、ボルト・ナットの締結具である。固定具60は、2本のボルト600,600と、2つのナット601,601との組み合わせである(必要に応じて、適宜のワッシャ、スプリングワッシャ等も含む)。サポートフレーム4(の本体部40)(の上端部)は、ボルト600の軸部の挿通孔として、通孔40aを有する。通孔40aは、左右方向に並んで複数設けられ、適宜の2つの通孔40a,40aが選択される。ブラケット50(の本体部500)は、ボルト600の軸部の挿通孔として、上下方向に長いスライド長孔500aを有する。スライド長孔500aは、左右方向に並んで2つ設けられる。2つのスライド長孔500a,500aは、ブラケット50(の本体部500)の左右方向における幅の中心線を中心として左右線対称の配置関係にある。2つのスライド長孔500a,500aのそれぞれは、サポートフレーム4の上下方向の長さH4よりも長くなるように形成される。ボルト600は、サポートフレーム4の前方からサポートフレーム4及びブラケット50の挿通孔に挿入され、ナット601と螺合する。これにより、固定具60は、サポートフレーム4の前方からの回転操作で固定及び固定解除が可能である。そして、ブラケット50の挿通孔は、スライド長孔500aである。これにより、ブラケット50は、固定具60を緩めた状態で、上下方向に位置変更可能となり、スライド可能となる。
【0060】
ブラケット50は、吊具用の被係合部として、アイボルト502を備える。アイボルト502は、後方突出部501における箇所であって、一体構造体の重心よりも後方の箇所に設けられる。アイボルト502は、後方突出部501の上面から上方に突出するように設けられる。
【0061】
ブラケット50は、後方突出部501の端部に、固定具60Aを備える。固定具60Aは、ボルト・ナットの締結具であり、1本のボルト600Aと、1つのナット601Aとの組み合わせである。固定具60Aは、ブラケット50とブラケット50Aとを固定するためのものである(図6(c))。
【0062】
サポートフレーム4(の本体部40)(の下端部)は、下縁にて開放される切欠き孔40bを有する。切欠き孔40bは、サポートフレーム4の全長に亘って、左右方向に適宜間隔を空けて複数設けられる。切欠き孔40bは、サポートフレーム4と別のブラケット50A(図6(c))とを固定するための、固定具60Aのボルト600Aの軸部の挿通孔として用いられる。
【0063】
本実施形態に係るエレベータ1の構成は、以上のとおりである。本実施形態に係るエレベータ1によれば、図20に示すように、ブラケット50は、本体部500の下端50a及び後方突出部501の先端50bを建物の床等に接地させることにより、サポートフレーム4を床から浮かせ、サポートフレーム4の台座として機能する。このため、ドア開閉装置35の据付工事において、ドア開閉装置35における、ドアレール33、駆動モータ350、駆動プーリ351、従動プーリ352及びスイッチ354~356という各種の構成要素の破損等に対する配慮を低減することができる。
【0064】
しかも、本実施形態に係るエレベータ1によれば、ブラケット50において、後方突出部501は、本体部500の上部から後方に突出するように設けられる。これにより、サポートフレーム4は、上側ほど床から離間するように傾斜する格好となる。このため、サポートフレーム4の上方の開放空間に配置される各種の構成要素は、床から十分に離間し、床に当たる等の好ましくない事態を確実に回避することができる。
【0065】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、ブラケット50は、サポートフレーム4の上下方向の長さH4よりも長い上下方向の長さH50を有する。これにより、ブラケット50の下端50a及び先端50bは、確実に建物の床等に接地する。このため、一体構造体を安定した状態で床等に載置することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、ブラケット50は、上下方向に位置変更可能となるように、サポートフレーム4に取り付けられる。このため、台座としての使用、及び、一体構造体をかご3に固定するためのブラケットとしての使用、のそれぞれに適切な位置に変更することができる。
【0067】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、ブラケット50は、固定具60を用いて、サポートフレーム4に取り付けられ、固定具60は、ボルト・ナットの締結具であり、ブラケット50は、ボルト600の軸部の挿通孔として、上下方向に長いスライド長孔500aを有する。このため、固定具60を外さなくとも、ブラケット50をスライドさせて、位置変更することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、スライド長孔500aは、サポートフレーム4の上下方向の長さH4よりも長くなるように形成される。このため、ブラケット50のスライド量を大きくすることができる。
【0069】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、ブラケット50は、後方突出部501における箇所であって、一体構造体の重心よりも後方の箇所に、被係合部502を備える。これにより、図21に示すように、一体構造体が被係合部502にて吊具7で吊り下げられると、サポートフレーム4は、下側ほど後方に位置するように傾斜する格好となる。そして、この状態となることで、一体構造体を下ろしていくときに、下のブラケット50Aに取り付けられている固定具60Aのボルト600Aの軸部は、サポートフレーム4の切欠き孔40bに挿入されやすくなる。このため、ドア開閉装置35の据付工事において、一体構造体をかご3に組み付ける作業を円滑に行うことができる。
【0070】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、サポートフレーム4は、上縁の複数の箇所にブラケット51~57を備え、ブラケット51~57を介して駆動モータ350(及び駆動プーリ351)、従動プーリ352、スイッチ354、リミットスイッチ355,356及び制御ボックス37という各種の構成要素を支持する。これにより、サポートフレーム4の前面に、これらの各種の構成要素を配置する領域を確保する必要が無くなる。このため、サポートフレーム4の高さ寸法を小さくして、サポートフレーム4の軽量化を図ることができ、ひいては、かご3の製造コストの低減、据付工事の作業効率の改善、運転コストの低減を図ることができる。
【0071】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、駆動プーリ351は、駆動モータ350に直結され、駆動モータ350は、ブラケット51を介してサポートフレーム4に支持される。また、駆動モータ350は、ベース面350aを有し、ベース面350aがサポートフレーム4の上縁に接するように、ブラケット51に取り付けられる。これらにより、駆動ベルト353を直接、駆動モータ350で駆動する方式(直接駆動方式)において、駆動ベルト353の高さ位置をかごドア31のローラ312に近づけることができ、かごドア31に駆動に伴う偏荷重(偏トルク)が作用するのを抑えることができる。このため、かごドア31の左右方向の移動安定性を向上し、かごドア31を円滑かつ静粛に開閉することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、サポートフレーム4の上縁は、ローラ312の最上部よりも低い位置に位置する。これにより、駆動ベルト353の高さ位置をよりローラ312に近づけることができ、かごドア31に駆動に伴う偏荷重(偏トルク)が作用するのをより抑えることができる。このため、かごドア31の左右方向の移動安定性をより向上し、かごドア31をより円滑かつより静粛に開閉することができる。しかも、サポートフレーム4の高さ寸法をより小さくして、サポートフレーム4をより軽量化することができる。
【0073】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、サポートフレーム4は、左右方向に長く、鉛直面に沿って配置される部材であり、各種の構成要素は、サポートフレーム4の上方であって、サポートフレーム4の鉛直面を基準とする前オフセット面と後オフセット面との間の開放空間Sに配置される。このため、サポートフレーム4の上方を整然と構成することができる。
【0074】
また、本実施形態に係るエレベータ1によれば、ブラケット50~58は、前方からの回転操作で固定及び固定解除が可能な固定具60~68を用いて、サポートフレーム4に取り付けられる。このため、エレベータ1を構築した後、各種の構成要素を修理、交換する必要が生じたときの修理、交換、メンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0076】
上記実施形態においては、ドア装置30,22は、左右各1枚のドアによるセンターオープンタイプ(2CO)である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、2枚のドアによるサイドオープンタイプ(2S)のドア装置、左右各2枚のドアによるセンターオープンタイプ(4CO)のドア装置、1枚のドアによるサイドオープンタイプ(1S)のドア装置にも適用できることはいうまでもない。
【0077】
また、上記実施形態においては、ドアレール33は、サポートフレーム4と別体に設けられ、脚33aを介してサポートフレーム4の前面に取り付けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ドアレールは、サポートフレームの板材を適宜屈曲することにより形成され、サポートフレームと一体的に設けられるものであってもよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、第1プーリは駆動プーリ351であり、第2プーリ352は従動プーリである。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第1プーリは、駆動モータから減速ベルトを介して回転が伝達される減速プーリであってもよい。
【0079】
また、上記実施形態においては、ブラケット50において、後方突出部501は、1枚の板材の上部を後方に屈曲することにより形成される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。後方突出部は、本体部とは別部材であり、本体部に溶接等により接合されるものであってもよい。また、後方突出部の位置は、本体部の上縁に限定されるものではない。
【0080】
また、物理的に干渉するものでない限り、以上に記載した技術要素を他の構成に適用すること、以上に記載した技術要素を他の構成と置換すること、以上に記載した技術要素同士を組み合わせること等は、当然に可能であり、これは、本発明が当然に意図するところである。
【符号の説明】
【0081】
1…エレベータ、2…昇降路、20…乗場、21…三方枠、22…乗場ドア装置、23…乗場ドア、24…ドア支持構造、
3…かご、3a…開口、3b…凹部、3A…前フレーム、
30…かごドア装置、31…かごドア、310…ドアパネル、311…ドアハンガ、311a,311b…延伸部、311c…検出片、312…ローラ、313…ローラ、314…スイッチ操作体、32…ドア支持構造、33…ドアレール、33a…脚、34…敷居、
35…ドア開閉装置(かごドア開閉装置)、
350…駆動モータ、350a…ベース面、351…駆動プーリ、
352…従動プーリ、
353…駆動ベルト、
354…スイッチ、354a…スイッチ片、
355…リミットスイッチ、
356…リミットスイッチ、
37…制御ボックス、
4…サポートフレーム、40…本体部、40a…通孔、40b…切欠き孔、41…前方突出部、41a…上面、42a…角孔、44a…長孔、45a…長孔、46a…長孔、
50…ブラケット、50a…下端(第1端)、50b…先端(第2端)、500…本体部、500a…スライド長孔、501…後方突出部、502…吊具用の被係合部(アイボルト)、50A…ブラケット、
51…ブラケット、51a…切欠き孔、51b…上面、
52…ブラケット、52a…角孔、
54…ブラケット、54a…長孔、54b…上面、
55…ブラケット、55a…長孔、55b…上面、
56…ブラケット、56a…長孔、56b…上面、
57…ブラケット、57a…ネジ孔、
60…固定具、600…ボルト、601…プレートナット、
60A…固定具、600A…ボルト、601A…ナット、
61…固定具、610…ボルト、611…プレートナット、
62…固定具、620…角根ボルト、621…ナット、
64…固定具、640…ボルト、641…プレートナット、
65…固定具、650…ボルト、651…プレートナット、
66…固定具、660…ボルト、661…プレートナット、
67…固定具、670…ボルト、
7…吊具、
H…高低差、H4…サポートフレーム4の上下方向の長さ(高さ寸法)、H50…ブラケット50の上下方向の長さ(高さ寸法)、S…開放空間、X…左右方向、Y…前後方向
【要約】
【課題】かごドア開閉装置の据付工事において、かごドア開閉装置における各種の構成要素の破損等に対する配慮を低減することができるエレベータのかごドア開閉装置及びエレベータを提供する。
【解決手段】サポートフレーム4は、後面にて左右方向に間隔を空けて1対のブラケット50,50を備え、1対のブラケット50,50のそれぞれは、サポートフレーム4に取り付けられる本体部500と、本体部500の上部から後方に突出する後方突出部501とを備え、本体部500の下端50a及び後方突出部501の先端50bを接地させることにより、サポートフレーム4の台座として機能する。これにより、サポートフレーム4上の各種の構成要素の破損等が防止される。
【選択図】図20
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21