(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-30
(45)【発行日】2024-08-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/387 20060101AFI20240731BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240731BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B41J29/387
G03G21/14
G03G21/00 384
(21)【出願番号】P 2020119447
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平島 希彦
(72)【発明者】
【氏名】藤中 宏美
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-162197(JP,A)
【文献】特開2016-218429(JP,A)
【文献】特開2007-286579(JP,A)
【文献】特開2017-111241(JP,A)
【文献】特開2019-090972(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0091363(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/387
G03G 21/14
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源を有し、シートに画像を形成する画像形成手段と、
画像形成装置の内部温度に相関した評価値を取得する取得手段と、
前記画像形成手段を
制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記画像形成手段が複数枚のシートに連続して画像を形成するとき、前記評価値が
第一閾値以上になったタイミングから
の昇温抑制期間において、前記画像形成手段の
前記駆動源の停止と
起動とを繰り返すことで前記画像形成手段が断続的に
複数枚のシートに対して画像を形成するよう前記画像形成手段を制御する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記昇温抑制期間
では、
前記制御手段は、
前記画像形成手段が連続的に
複数枚のシートに対して画像を形成する第一期間と、
前記画像形成手段がシートに画像を形成しない第二期間と、
が設定される昇温抑制動作を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一期間は、所定枚数のシートに画像が形成される一定の長さの期間であり、
前記第二期間は、
前記昇温抑制動作でシートに画像を形成しても前記評価値が前記第一閾値以上であれば、徐々に長くなる可変長の期間である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第二期間が予め定められた最大値に達すると、前記第二期間を前記最大値に固定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記昇温抑制期間で実行され、断続的に複数枚のシートに画像を形成する、前記昇温抑制動作である第一モードと、
前記第一モードよりも単位時間当たりの画像形成枚数が
少ない
前記昇温抑制動作である第二モードと、を
切り替えるように制御し、
前記制御手段は、前記第二期間が前記最大値に達すると、前記画像形成手段の動作モードを前記第一モードから前記第二モードに切り替えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記評価値が前記第一閾値未満では、前記昇温抑制動作を行わずに複数枚のシートへの画像形成を連続して行うことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記第二期間を設けることにより、前記内部温度が前記第一閾値に対応する温度よりも低いことを示す第二閾値以下に
前記評価値がなり、
その後、前記昇温抑制動作を実行せずに複数枚のシートに画像形成を繰り返し、前記評価値が前記第一閾値以上になった場合、前記昇温抑制期間で実行される前記動作モードを前記第一モードに設定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記評価値が前記第二閾値以下になると、前記第二期間の長さを初期値に戻すことを特徴とする請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置の外気温度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記外気温度に応じて前記最大値を設定する設定手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項4
、5、7および8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第一期間は、
前記昇温抑制動作でシートに画像を形成しても前記評価値が前記第一閾値以上であれば、徐々に画像形成枚数が削減される期間であり、
前記第二期間は、一定の長さの期間である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第一期間における画像形成枚数が予め定められた最小値に達すると、前記第一期間における画像形成枚数を前記最小値に固定することを特徴とする請求項
10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記昇温抑制期間で実行され、断続的に複数枚のシートに画像を形成する、前記昇温抑制動作である第一モードと、
前記第一モードよりも単位時間当たりの画像形成枚数が
少ない
前記昇温抑制動作である第二モードと、を
切り替えるように制御し、
前記制御手段は、前記第一期間における画像形成枚数が前記最小値に達すると、前記画像形成手段の動作モードを前記第一モードから前記第二モードに切り替えることを特徴とする請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記評価値が第二閾値以下になると、前記動作モードを前記第一モードに設定することを特徴とする請求項
12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記評価値が前記第二閾値以下になると、前記第一期間において形成される画像形成枚数を初期値に戻すことを特徴とする請求項
13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成装置の外気温度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記外気温度に応じて前記初期値を設定する設定手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項
14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記設定手段は、前記測定手段により測定された前記外気温度に応じて前記第二期間の長さを設定する設定手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項
15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記制御手段は、
前記評価値が第一閾値以上になったタイミングから、前記評価値が前記第一閾値未満に戻るタイミングまでの前記昇温抑制期間において、前記画像形成手段の動作モードを前記第一モードから前記第二モードに切り替えられると、前記第一期間における画像形成枚数を所定値に固定することを特徴とする請求項
12ないし
16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記第二閾値は前記第一閾値よりも小さいことを特徴とする請求項
7、
8、
13および
14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記制御手段は、前記評価値が前記第一閾値未満であれば、連続的にシートに対して画像を形成するよう前記画像形成手段を制御することを特徴とする請求項1ないし
18のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項20】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
画像形成装置の内部温度に相関した評価値を取得する取得手段と、
前記画像形成手段を制御する制御手段と、を有し、
前記画像形成手段が複数枚のシートに連続して画像を形成するとき、前記評価値が
第一閾値以上になったタイミングから
の昇温抑制期間は、前記画像形成手段が画像形成を一時的に再開する複数の一時的再開期間を含み、前記制御手段は、前記
一時的再開期間
を繰り返すほど、前記画像形成手段の生産性が徐々に低下するように前記画像形成手段を制御する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項21】
前記昇温抑制期間
では、
前記制御手段は、
前記一時的再開期間として
の前記画像形成手段が連続的に
複数枚のシートに対して画像を形成する第一期間と、
前記画像形成手段がシートに画像を形成しない第二期間と、
が設定される昇温抑制動作を実行し、
前記制御手段は、
前記昇温抑制動作でシートに画像を形成しても前記評価値が前記第一閾値以上であれば、前記第二期間を徐々に長くする一方で前記第一期間における画像形成枚数を固定することで、前記昇温抑制期間における前記画像形成手段の生産性を徐々に低下させることを特徴とする請求項
20に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記昇温抑制期間
では、
前記制御手段は、
前記一時的再開期間として
の前記画像形成手段が連続的に
複数枚のシートに対して画像を形成する第一期間と、
前記画像形成手段がシートに画像を形成しない第二期間と、
が設定される昇温抑制動作を実行し、
前記制御手段は、
前記昇温抑制動作でシートに画像を形成しても前記評価値が前記第一閾値以上であれば、前記第一期間における画像形成枚数を徐々に削減する一方で前記第二期間の長さを固定することで、前記昇温抑制期間における前記画像形成手段の生産性を徐々に低下させることを特徴とする請求項
20に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置が連続的に多数の画像を形成すると、画像形成装置の内部温度が上昇する。内部温度が高いまま画像形成が継続されると、画像形成装置の部品の消耗が促進されてしまうことがある。特許文献1によれば、定着装置の端部温度が所定値以上になると、給送間隔を徐々に長くしつつ、画像形成を継続することで、端部温度を低下させることが記載されている。特許文献2によれば、内部温度が所定値以上になると、画像形成装置が画像形成を停止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-190976号公報
【文献】米国特許第8224197号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、給送間隔を徐々に長くすることで画像形成が継続されるため、ユーザは画像形成装置が正常に動作していることを確認できる。しかし、画像形成が継続されるため、昇温抑制効果は小さいだろう。一方、特許文献2のように、画像形成装置が完全に停止してしまうと、昇温抑制効果は高くなる。しかし、内部温度が十分に低下するまで画像形成が再開されないため、画像形成装置が故障したとユーザが誤認してしまう恐れがある。このように、従来技術には二律背反する課題があった。そこで、本発明は、ユーザに画像形成装置が故障したと誤解させにくくし、かつ、画像形成装置の内部温度の上昇を適切に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、たとえば、
駆動源を有し、シートに画像を形成する画像形成手段と、
画像形成装置の内部温度に相関した評価値を取得する取得手段と、
前記画像形成手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記画像形成手段が複数枚のシートに連続して画像を形成するとき、前記評価値が第一閾値以上になったタイミングからの昇温抑制期間において、前記画像形成手段の前記駆動源の停止と起動とを繰り返すことで前記画像形成手段が断続的に複数枚のシートに対して画像を形成するよう前記画像形成手段を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザに画像形成装置が故障したと誤解させにくくし、かつ、画像形成装置の内部温度の上昇を適切に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】実施例1の画像形成処理を示すフローチャート。
【
図6】停止時間の最大値を決定するために使用されるテーブルを説明する図。
【
図7】実施例2の画像形成処理を示すフローチャート。
【
図8】プリント数の最大値を決定するために使用されるテーブルを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態が詳しく説明される。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一または同様の構成に同一の参照番号が付され、重複した説明は省略される。
【0009】
画像形成装置が、連続して多数の画像を形成すると、画像形成装置の内部温度が上昇する。画像形成装置の内部温度(評価値)が閾値以上になると、画像形成装置は内部温度の上昇を抑制する抑制動作を開始する。従来技術では、抑制動作中は、完全に画像形成が停止されていたため、ユーザが画像形成装置の故障を疑うことがあった。そこで、実施例では、抑制動作が実行される昇温抑制期間において、完全に画像形成が停止されることはなく、間欠的に(断続的に)画像形成が実行される。よって、ユーザは、抑制期間中においても画像形成が実行されていることを確認できる。そのため、画像形成装置が故障したかもしれないといった誤解は生じにくくなろう。また、画像形成が断続的に実行されるため、内部温度の上昇も適切に抑制される。
【0010】
<実施例1>
実施例1では、抑制期間では、画像形成の実行と画像形成の中断とが交互に実行される。これにより、画像形成装置の故障の誤認が生じにくくなろう。
【0011】
[画像形成装置]
画像形成装置100は電子写真方式のプリンタである。シートカセット101は、多数のシートPを収容可能な収容庫である。給紙ローラ102は、シートPをシートカセット101からピックアップして搬送路へ送り出す。搬送ローラ103、104は、シートPを画像形成部120へ搬送する。
【0012】
画像形成部120は、静電潜像とトナー画像を担持する像担持体である感光体122を有している。帯電ローラ123は感光体122の表面を一様に帯電させる。露光装置108は、画像信号にしたがって光を感光体122の表面に照射することで静電潜像を形成する。現像ローラ121は、トナー容器に収容されているトナーを静電潜像に付着させることで静電潜像を現像してトナー画像を形成する。転写ローラ106はトナー画像を感光体122からシートPへ転写する。定着装置130は定着フィルム133と加圧ローラ134とを有している。ヒーター132は、定着フィルム133の内周面に当接しており、定着フィルム133を加熱する。加圧ローラ134は、定着フィルム133に対して付勢されている。これにより、定着フィルム133と加圧ローラ134との間に定着ニップが形成される。シートPが定着ニップを通過する際に、定着装置130は、熱と圧力をシートPおよびトナー画像に加える。これにより、トナー画像がシートP上に定着する。シートPは、搬送ローラ110および排紙ローラ111によって搬送され、排紙トレイ112上に排出される。
【0013】
このように、画像形成装置100の内部にはヒーター132および各ローラなどを駆動するモータなどの熱源が存在する。そのため、画像形成装置100が多数の画像を連続的に形成すると、画像形成装置100の内部温度が上昇する。内部温度とは、画像形成装置100の筐体により囲まれた内部空間の温度である。画像形成装置100の外気温度(環境温度)とは、画像形成装置100の筐体よりも外側の温度である。内部温度の上昇を放っておけば、画像形成装置100を構成する部品の消耗が激しくなる。たとえば、画像形成部120のトナー収容器内のトナーが固着する恐れがある。そのため、内部温度の上昇(昇温)は適切に抑制される必要がある。
【0014】
[画像形成装置のシステム構成]
図2が示すように、画像形成装置100はコントローラ200を有している。コントローラ200は、画像データを処理する画像処理部(プリントコントローラ)と、画像形成部120などの画像形成エンジンを制御するエンジンコントローラとに分割されていてもよい。コントローラ200は、ホストコンピュータ220からプリントジョブを受信したり、操作部240の表示装置に情報を表示したりする。コントローラ200は、操作部240の入力装置からユーザ指示の入力を受け付けてもよい。
【0015】
CPU201は、コントローラ200の中核をなす中央演算処理装置である。なお、CPU201は複数のプロセッサ回路を有していてもよい。記憶装置202のROM領域に記憶されている制御プログラムにしたがって画像形成装置100を制御する。記憶装置202はRAM領域を有していてもよい。CPU201はプリントジョブ(印刷条件)に基づきシートPごとの印刷予約情報を作成する。印刷予約情報は、たとえば、シートPの供給元(給紙カセット)、シートPのサイズ、および印刷モードなどを含む。印刷モードは普通紙モードおよび厚紙モードなどを含む。CPU201は、ホストコンピュータ220またはイメージリーダから受信された画像データを露光データへ変換し、露光データを露光制御回路203に出力する。露光制御回路203は、露光データにしたがって露光装置108を制御する。CPU201は、印刷モードを定着制御回路204に設定する。定着制御回路204は、印刷モードにしたがって定着装置130のヒーター132の温度を制御する。CPU201は、駆動回路205を介してモータ210を制御する。モータ210は、感光体122、搬送ローラ103、104、110などの回転体を駆動する。環境センサ230は、画像形成装置100の外気温度を測定するセンサである。入力回路206は、環境センサ230の検知信号を受け取ってCPU201に渡す。
【0016】
[CPUの機能]
図3はCPU201が制御プログラムにしたがって実現する機能を示している。これらの機能の一部またはすべてがFPGAまたはASICなどのハードウエア回路により実現されてもよい。FPGAはフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。AISCは特定用途集積回路の略称である。
【0017】
タイマー301は画像形成装置100の停止時間および定着装置130の連続稼働時間を計時する。内部温度評価部302は、連続稼働時間に応じて評価値(カウンタと呼ばれてもよい)を増加させ、停止時間に応じて評価値を減少させる。評価値は内部温度に相関したデータであるため、内部温度に換算されてもよい。評価値は、内部温度の推定値と呼ばれてもよい。
【0018】
判定部303は、様々な判定を実行するブロックである。閾値判定部310は、評価値が閾値TA以下であるかどうかを判定する。閾値判定部311は、評価値が閾値TB以上であるかどうかを判定する。モード判定部312は、画像形成装置100の動作モードがどの生産性モードに設定されているかを判定する。停止時間判定部313は、停止時間が所定の最大値tmax以上かどうかを判定する。プリント数判定部314は、実施例2で使用され、プリント数Mに関連した判定を実行する。
【0019】
設定部304は、動作モード、閾値および制御値などを設定するブロックである。生産性設定部320は、内部温度の上昇を抑制することが必要な場合に、評価値および停止時間の少なくとも一方に基づき画像形成装置100の動作モードを決定する。動作モードとしては、単位時間当たりのプリント数が相対的に多い第一モードと、単位時間当たりのプリント数が相対的に少ない第二モードとがある。プリント数は画像形成枚数と呼ばれてもよい。なお、初期(デフォルト)の動作モードは、より生産性が高い第一モードである。停止時間設定部321は、停止時間tの初期値(例:最小値tmin)を設定したり、停止時間tを徐々に増加させたり、停止時間tの最大値tmaxを設定したりする。内部温度の上昇を抑制する動作期間(昇温抑制期間)は、複数の制御周期を含む。各制御周期は、画像形成期間(一時的再開期間)と停止期間(停止時間)とを含む。画像形成期間と停止期間とは交互に繰り返される。画像形成期間と停止期間とのうち少なくとも一方が可変長であるため、制御周期も可変長となる。プリント数設定部322は、画像形成期間におけるプリント数を固定値に設定したり、プリント数を徐々に削減したりする。
【0020】
[昇温抑制期間]
図4(A)は実施例1における内部温度の上昇を抑制する昇温抑制期間(以下、抑制期間と称す。)の一例を示している。抑制期間は、複数の制御周期を含む。なお、抑制期間の終了タイミングは一定ではない。抑制期間の終了タイミングは、内部温度(評価値)が十分に低下したタイミングまたはプリントジョブが終了したタイミングである。
【0021】
一つの制御周期は、N枚のプリントを実行する画像形成期間と、画像を形成しないことで内部温度を低下させる停止期間とを含む。制御周期が進むにつれて、停止期間の長さ(停止時間t)は1分ずつ増加される。ただし、画像形成期間におけるプリント数は、制御周期が進んでも、一定値に固定されている。実施例1では、停止時間tが徐々に増加するため、制御周期も徐々に長くなる。
【0022】
[フローチャート]
図5は実施例1の画像形成制御を示すフローチャートである。CPU201は、商用交流電源から電力を供給された画像形成装置100が起動すると、以下の処理を実行する。
【0023】
S501でCPU201は内部温度の評価値Eを取得する。内部温度評価部302は、タイマー301により計測された連続画像形成時間と連続停止時間とに基づき評価値Eを決定する。たとえば、記憶装置202は、連続画像形成時間xと連続停止時間yを入力し、評価値Eを出力する評価関数f(x,y)を記憶していてもよい。この場合、内部温度評価部302は、連続画像形成時間xと連続停止時間yを評価関数f(x,y)に入力することで、評価値Eを取得する。なお、評価関数f(x,y)は予め実験またはシミュレーションによって決定されて、記憶装置202のROM領域に格納される。
【0024】
S502でCPU201(閾値判定部310)は評価値Eが閾値TA以下であるかどうかを判定する。評価値Eが閾値TA以下であれば、内部温度は十分に低い。一方、評価値Eが閾値TAを超えていれば、内部温度の上昇の抑制が必要なほど、内部温度が高い。評価値Eが閾値TA以下であれば、CPU201は、S503に進む。評価値Eが閾値TA以下でなければ、CPU201は、S505に進む。なお、閾値TAは画像形成装置100が十分冷えている状態を示す評価値に相当し、実験またはシミュレーションにより決定され、記憶装置202のROM領域に記憶される。
【0025】
S503でCPU201(生産性設定部320)は、画像形成装置100に高い生産性を設定する。たとえば、生産性設定部320は、画像形成装置100の動作モードを第一モードに設定する。
【0026】
S504でCPU201(停止時間設定部321)は、内部温度の上昇を抑制する抑制期間における停止時間tを最小値tmin(例:1分)に設定する。なお、最小値tminは一例であり、停止時間tとして設定可能な値のうち、最大値tmaxよりも低い値が設定されればよい。
【0027】
S505でCPU201(判定部303)はプリントジョブがあるかどうかを判定する。ホストコンピュータ220などからプリントジョブが投入されている場合、CPU201は、S506に進む。すでに投入されたプリントジョブが完了していない場合も、CPU201は、S506に進む。プリントジョブが無ければ、CPU201は、S501に戻る。
【0028】
S506でCPU201(閾値判定部311)は評価値Eが閾値TB未満であるかどうかを判定する。つまり、CPU201は、評価値Eに基づき内部温度の上昇の抑制を開始すべきかどうかを判定する。評価値Eが閾値TB未満であれば、内部温度の上昇の抑制は不要である。この場合、CPU201はS507に進む。S507でCPU201は、画像形成装置100を制御し、プリントジョブにしたがってシートPに画像を形成する。一方、評価値Eが閾値TB以上であれば、内部温度の上昇の抑制が必要である。この場合、CPU201はS511に進む。
【0029】
S511でCPU201(モード判定部312)は画像形成装置100に設定されている現在の生産性が高いかどうかを判定する。たとえば、モード判定部312は、画像形成装置100に設定されている動作モードが第一モードであるかどうかを判定する。動作モードが第一モードであれば、CPU201はS512に進む。動作モードが第二モード(または設定可能な最も生産性が低い動作モード)であれば、CPU201はS531に進む。第二モードの生産性は第一モードの生産性よりも低い。つまり、第二モードは、内部温度の抑制効果が高い。なお、第一モードと第二モードとの間で、シートPの搬送速度は一定であるが、先行するシートPと後続のシートPとの間の距離が異なってもよい。第一モードと第二モードとの間で、シートPの搬送速度は異なるが、先行するシートPと後続のシートPとの間の距離は同じであってもよい。このように、第一モードの生産性と第二モードの生産性とを変える手法は様々である。
【0030】
S512でCPU201は画像形成装置100を制御してN枚の画像をプリントする。Nは、たとえば、10枚であってもよい。なお、1枚のシートの両面に画像を形成する場合、プリント数は2枚である。1枚のシートの片面に画像を形成する場合、プリント数は1枚である。
【0031】
S513でCPU201は、画像形成装置100をt分にわたり停止させる。つまり、t分間は画像形成装置100が画像を形成しない。定着装置130のヒーター132はOFFとなり、モータ210も停止される。ただし、モータ210が停止されるタイミングは、最後に形成されたシートPが排紙トレイ112へ排出された後である。画像を形成されたシートPを排出するためのモータ210の回転処理は後回転と呼ばれることがある。
【0032】
S514でCPU201(停止時間判定部313)は、停止時間tが所定値(最大値tmax)以上になったかどうかを判定する。最大値tmaxは、たとえば、5分である。停止時間tが所定値(最大値tmax)に達した場合、動作モードを切り替えることで生産性を低下させる必要がある。この場合、CPU201は、S515に進む。S515でCPU201(生産性設定部320)は画像形成装置100の生産性を低下させる。たとえば、生産性設定部320は、動作モードを第一モードから第二モードに切り替える。動作モードが二種類しか存在せず、かつ、現在の動作モードがすでに第二モードである場合、動作モードは第二モードに維持される。第二モードよりも生産性が低い第三モードがある場合、生産性設定部320は、動作モードを第二モードから第三モードに切り替える。その後、CPU201は、S501に戻る。一方で、停止時間tが所定値(最大値tmax)に達していない場合、CPU201はS521に進む。
【0033】
S515でCPU201(停止時間設定部321)は停止時間tを増加させる。たとえば、停止時間設定部321は現在の停止時間tに対して所定値(例:1分)を加算する。その後、CPU201はS501に戻る。このように、停止時間tは徐々に増加する。
【0034】
S531でCPU201は画像形成装置100を制御してN枚の画像をプリントする。S532でCPU201は、画像形成装置100をtmax分にわたり停止させる。つまり、tmax分間は画像形成装置100が画像を形成しない。その後、CPU201は、S501に戻る。
【0035】
なお、一度、内部温度の上昇抑制が開始されると、評価値Eが閾値TA以下になるまで停止時間tが維持される。たとえば、停止時間tが4分まで増加したタイミングでプリントジョブが完了した場合、停止時間tは4分に維持される。その後、S501ないしS505が繰り返される。次のプリントジョブが投入される前に、評価値Eが閾値TA以下に下がれば、停止時間tは初期化される。一方で、次のプリントジョブが投入されたときに、依然として、評価値Eが閾値TAを超えていることがある。この場合、停止時間tは4分に維持されたまま、S506以降の処理が実行される。
【0036】
図6は環境温度から停止時間tの最大値tmaxを決定するために使用されるテーブルを示している。このテーブルは記憶装置202のROM領域に記憶されており、CPU201によって参照可能である。
【0037】
CPU201(停止時間設定部321)は環境センサ230によって検知された環境温度に基づきテーブルを参照することで最大値tmaxを決定する。停止時間設定部321は環境温度を複数の温度レベルに分類してもよい。検知結果が高温である場合、停止時間設定部321は、最大値tmaxに5分を設定する。検知結果が常温である場合、停止時間設定部321は、最大値tmaxを3分に設定する。環境温度が常温で、かつ、画像形成装置100が十分冷えている状態(E=<TA)で連続プリントが実行されると、内部温度が上昇する。内部温度が所定温度を超えると、抑制処理が開始される。抑制処理における1番目の制御周期ではN枚(例:10枚)のプリントと最小値tmin分間の停止とが実行される。2番目の制御周期ではN枚(例:10枚)のプリントとt(=最小値tmin+1)分の停止とが実行される。3番目の以降の制御周期ではN枚(例:10枚)のプリントとt(=最小値tmin+2)分の停止とが実行される。検知結果が低温である場合、停止時間設定部321は、最大値tmaxに1分を設定する。
【0038】
実施例1によれば、内部温度が所定温度以上になると、内部温度の上昇を抑制するための抑制処理(抑制動作)が開始される。抑制処理では、画像形成装置100の生産性が徐々に低下される。具体的には、画像形成期間におけるプリント数が一定に維持される一方で、停止期間の長さ(停止時間t)が徐々に増加される。よって、抑制処理において画像を一切形成しない従来技術と比較して、画像形成装置100が故障したものとユーザが誤解してしまう事態が減少するであろう。また、抑制期間においても画像が断続的に形成されるため、画像形成装置100の生産性が維持されよう。たとえば、100枚のプリントジョブにおいて99枚のプリントが完了したときに抑制処理が開始されたと仮定する。また、抑制処理の解除には少なくとも5分が必要であったと仮定する。従来技術では抑制処理の開始から5分が経過しなければ、最後の1枚のプリントが実行されない。一方で、実施例1では、抑制処理中に最後の1枚のプリントが完了する。よって、ユーザの待ち時間が従来よりも削減される。このように、実施例1によれば、良好な生産性が維持され、かつ、内部温度の上昇が適切に抑制される。
【0039】
<実施例2>
実施例1では、プリント数が固定される一方で停止時間tが徐々に増加されることで徐々に生産性が低下されている。実施例2では、停止時間tが固定される一方でプリント数が徐々に削減されることで生産性が低下される。実施例2において実施例1と同一または類似する構成および工程の説明は省略される。
【0040】
図4(B)は実施例2における内部温度の上昇を抑制する抑制期間の一例を示している。抑制期間は、複数の制御周期を含む。
【0041】
一つの制御周期は、プリントを実行する画像形成期間と、画像を形成しないことで内部温度を低下させる停止期間とを含む。制御周期が進むにつれて、画像形成期間におけるプリント数が1枚ずつ削減される。ただし、停止時間tは、制御周期が進んでも、一定値に固定されている。実施例2では、プリント数が徐々に削減されるため、制御周期も徐々に短くなる。
【0042】
図7は実施例2にかかる画像形成処理を示すフローチャートである。
図7において
図5と共通する工程には同一の参照符号が付与されている。
図5と比較して、
図7ではS700~S706が採用されている。
【0043】
S504はS700に置換されている。S700でCPU201(プリント数設定部322)はプリント数Mに最大値Mmax(例:10枚)を設定し、プリント数Lに最小値Mmin(例:1枚)を設定する。プリント数Mとは、動作モードが第一モードに設定された抑制処理中のプリント数である。プリント数Lとは、動作モードが第二モードに設定された抑制処理中のプリント数である。
【0044】
S511で生産性が高い(動作モードが第一モードに設定されている)と判定された場合、CPU201はS701に進む。S701でCPU201は、画像形成装置100を制御してM枚の画像をシートPに対してプリントする。S702でCPU201はt分間にわたり画像形成装置100を停止する。たとえば、停止時間tには1分が設定されてもよい。これにより、内部温度が低下する。S703でCPU201(プリント数判定部314)は現在のプリント数Mが最小値Mminに一致するかどうかを判定する。現在のプリント数Mが最小値Mminに一致している場合、CPU201は、プリント数Mをもはや削減することができない。そのため、CPU201は、S515に進む。S515でCPU201は、単位時間当たりのプリント数を削減するために、動作モードをより生産性の低い動作モード(例:第二モード)に設定することで、生産性を低下させる。これにより、内部温度の削減効果が増加する。その後、CPU201はS501に戻る。
【0045】
S703でプリント数Mが最小値Mminに一致していないと判定された場合、CPU201はS704に進む。S704でCPU201(プリント数設定部322)はプリント数Mを削減する。たとえば、プリント数Mから1が削減される。ここで、削減値が1であるが、2以上の削減値が設定されてもよい。画像形成期間におけるプリント数Mが削減されるため、内部温度の削減効果が増加する。その後、CPU201はS501に戻る。
【0046】
S511で生産性が低い(動作モードが第二モードに設定されている)と判定された場合、CPU201はS705に進む。S705でCPU201は、画像形成装置100を制御してL枚の画像をプリントする。プリント数Lは最小値Mmin(例:1枚)に設定されている。S706でCPU201はt分間にわたり画像形成装置100を停止する。その後、CPU201はS501に戻る。
【0047】
実施例2によれば、内部温度が所定温度以上になると、内部温度の上昇を抑制するための抑制処理が開始される。抑制処理では、画像形成装置100の生産性が徐々に低下される。具体的には、画像形成期間におけるプリント数が徐々に削減される一方で、停止期間の長さ(停止時間t)が固定される。よって、抑制処理において画像を一切形成しない従来技術と比較して、画像形成装置100が故障したものとユーザが誤解してしまう事態が減少するであろう。また、抑制期間においても画像が断続的に形成されるため、画像形成装置100の生産性が維持されよう。
【0048】
たとえば、1番目の制御周期で画像形成装置100は10枚の画像を形成し、かつ、1分間にわたり停止する。2番目の制御周期で画像形成装置100は9枚の画像を形成し、かつ、1分間にわたり停止する。3番目の制御周期で画像形成装置100は8枚の画像を形成し、かつ、1分間にわたり停止する。10番目以降の制御周期では、画像形成装置100は1枚の画像を形成し、かつ、1分間にわたり停止する。CPU201は、プリントジョブが完了したときのプリント数Mを初期化せずにRAM領域に保持する。
図7が示すように、内部温度が所定温度よりも高い状態で新しいプリントジョブが投入されると、RAM領域に保持されているプリント数Mが使用される。たとえば、プリント数Mが5枚であった場合、1番目の制御周期で画像形成装置100は5枚の画像を形成し、かつ、1分間にわたり停止する。2番目の制御周期で画像形成装置100は4枚の画像を形成し、かつ、1分間にわたり停止する。
【0049】
図8(A)は環境温度からプリント数の最大値Mmaxを決定するために使用されるテーブルを示している。このテーブルは記憶装置202のROM領域に記憶されており、CPU201によって参照可能である。
【0050】
CPU201(プリント数設定部322)は環境センサ230によって検知された環境温度に基づきテーブルを参照することで最大値Mmaxを決定する。プリント数設定部322は環境温度を複数の温度レベルに分類してもよい。たとえば、検知結果が高温である場合、プリント数設定部322は、最大値Mmaxに10枚を設定する。検知結果が常温である場合、プリント数設定部322は、最大値Mmaxに20枚を設定する。検知結果が低温である場合、プリント数設定部322は、最大値Mmaxに30枚を設定する。最大値Mmaxの具体的な数値は、実験またはシミュレーションによって決定され、ROM領域に記憶される。
【0051】
図8(B)は環境温度からプリント数の最大値Mmaxと停止時間tを決定するために使用されるテーブルを示している。このテーブルは記憶装置202のROM領域に記憶されており、CPU201によって参照可能である。
図8(B)が示すように、停止時間設定部321は、最大値M
maxと停止時間tを環境温度に基づいて決定してもよい。検知結果が高温である場合、最大値Mmaxに10枚が設定され、停止時間tに5分が設定される。検知結果が常温である場合、最大値Mmaxに20枚が設定され、停止時間tに3分が設定される。検知結果が低温である場合、最大値Mmaxに30枚が設定され、停止時間tに1分が設定される。いずれにしても、環境温度が高ければ高いほど、抑制期間中の生産性が低下される。環境温度が低ければ低いほど、抑制期間中の生産性が増加される。
【0052】
<実施例から導き出される技術思想>
[観点1]
図1が示すように、画像形成部120は、シートに画像を形成する画像形成手段の一例である。CPU201(内部温度評価部302)は画像形成装置100の内部温度に相関した評価値Eを取得する取得手段の一例である。コントローラ200およびCPU201は、画像形成手段を制御する制御手段として機能する。評価値Eが第一閾値(例:TA)以上になると、コントローラ200およびCPU201は、モータ210を停止させることで、画像形成部120を一旦停止させる。これにより、内部温度の低下が促進される。評価値Eが第一閾値未満に戻ると、コントローラ200およびCPU201は、モータ210を起動して、画像形成部120を連続的に動作させる。ここで、評価値Eが第一閾値(例:TA)以上になったタイミングから、評価値Eが第一閾値未満に戻るタイミングまでの動作期間は昇温抑制期間と呼ばれてもよい。昇温抑制期間では、画像形成部120が起動と停止とを繰り返すことで断続的にシートに対して画像を形成する。つまり、昇温抑制期間においては、基本的に画像形成部120は停止しているが、ときどき画像形成部120は画像形成を再開する。これにより、ユーザに画像形成装置が故障したと誤解させにくくし、かつ、画像形成装置100の内部温度の上昇を適切に抑制することが可能となる。内部温度の上昇が適切に抑制されることで、トナーの固着および部品の消耗などが抑制される。
【0053】
[観点2~4]
図4(A)などが示すように、動作期間(抑制期間)は、複数の制御周期を有してもよい。複数の制御周期のそれぞれは、第一期間と第二期間とを有する。第一期間は、画像形成手段が連続的にシートに対して画像を形成する画像形
成期間である。第二期間は、画像形成手段がシートに画像を形成しない停止期間(中断期間)である。
図4(A)が示すように、第一期間は、所定枚数(例:N枚)のシートに画像が形成される一定の長さの期間であってもよい。第二期間は、制御周期ごとに、徐々に長くなる可変長の期間であってもよい。これにより、徐々に生産性が低下する。プリント数はプリントジョブごとに異なる。抑制期間中にプリントジョブが完了することもある。したがって、徐々に生産性を低下させることは、ユーザがプリントジョブの完了を待たねばならない待ち時間の削減をもたらす。S514などが示すように、CPU201は、第二期間が予め定められた最大値(例:tmax)に達すると、第二期間を最大値に固定してもよい。
【0054】
[観点5~7]
CPU201は、単位時間当たりの画像形成枚数が相対的に多い第一モードと、単位時間当たりの画像形成枚数が相対的に少ない第二モードとを有してもよい。つまり、第一モードの生産性は第二モードの生産性よりも高い。S515が示すように、CPU201は、第二期間が最大値に達すると、画像形成手段の動作モードを第一モードから第二モードに切り替えてもよい。このように、停止時間tが限界まで増加された後は、単位時間当たりのプリント数が削減されることで、さらなる生産性の低下が達成されてもよい。
【0055】
CPU201は、評価値Eが第二閾値(例:TA)以下になると、動作モードを第一モードに設定してもよい。たとえば、内部温度が十分に低下すると、生産性の高い第一モードが設定されてもよい。
【0056】
CPU201は、評価値Eが第二閾値以下になると、第二期間の長さを初期値(例:最小値tmin)に戻してもよい。たとえば、内部温度が十分に低下すると、停止時間tが初期化されるため、生産性が高くなろう。
【0057】
[観点8]
環境センサ230は、画像形成装置100の外気温度を測定する測定手段の一例である。停止時間設定部321は、測定手段により測定された外気温度に応じて最大値を設定する設定手段として機能する。
図6を用いて説明したように、環境温度に応じて、閾値温度に対する内部温度の余裕度が異なる。したがって、環境温度が高くなればなるほど、停止時間tの最大値tmaxが長くされてもよい。
【0058】
[観点9]
実施例2および
図4(B)が示すように、第一期間は、制御周期ごとに、徐々に画像形成枚数(例:プリント数M)が削減される期間であってもよい。第二期間は、一定の長さの期間であってもよい。これにより、生産性が徐々に低下されてもよい。
【0059】
[観点10~13]
S703およびS515が示唆するように、CPU201は、第一期間における画像形成枚数が予め定められた最小値Mminに達すると、第一期間における画像形成枚数を最小値に固定してもよい。第一期間における画像形成枚数が最小値に達すると、CPU201は、画像形成手段の動作モードを第一モードから第二モードに切り替えてもよい。
【0060】
S503が示すように、CPU201は、評価値Eが第二閾値(例:TA)以下になると、動作モードを第一モードに設定してもよい。これにより、生産性が向上する。S700が示すように、CPU201は、評価値Eが第二閾値以下になると、第一期間において形成される画像形成枚数を初期値(例:最大値Mmax)に戻してもよい。これにより、生産性が向上する。
【0061】
[観点14]
図8(A)が示すように、プリント数設定部322は、測定手段(例:環境センサ230)により測定された外気温度に応じて初期値(例:最大値Mmax)を設定してもよい。環境温度に応じて、閾値温度に対する内部温度の余裕度が異なる。したがって、環境温度が高くなればなるほど、プリント数Mの最大値Mmaxが削減されてもよい。これにより、内部温度の低下が促進されよう。
図8(B)が示すように、停止時間設定部321は、測定手段により測定された外気温度に応じて第二期間の長さ(例:停止時間t)を設定してもよい。たとえば、環境温度が高くなればなるほど、停止時間tの最大値tmaxが長くされてもよい。これにより、内部温度の低下が促進されよう。
【0062】
[観点16]
実施例2でも、評価値が第一閾値以上になったタイミングから、評価値が第一閾値未満に戻るタイミングまでの動作期間(抑制期間)が設けられる。抑制期間中に、画像形成手段の動作モードが第一モードから第二モードに切り替えられることがある。この場合、CPU201は、第一期間における画像形成枚数を所定値(例:最小値Mmin)に固定してもよい。
【0063】
[観点17]
第二閾値(例:TA)は第一閾値(例:TB)よりも小さい。これは、第二閾値(例:TA)は、内部温度が十分に低いことを判定するために使用される閾値であり、第一閾値(例:TB)は内部温度の上昇を抑制することが必要かどうかを判定するために使用される閾値だからである。
【0064】
[観点18]
S506およびS507が示すように、CPU201は、評価値Eが第一閾値(例:TB)未満であれば、連続的にシートに対して画像を形成するよう画像形成手段を制御する。これにより、画像形成装置100の生産性が高く維持され、ユーザの待ち時間が削減される。
【0065】
[観点19]
昇温抑制期間は、画像形成手段が画像形成を一時的に再開する複数の一時的再開期間を含む。CPU201は、複数の一時的再開期間のそれぞれにおける画像形成手段の生産性が徐々に低下するように、画像形成部120などを制御する。たとえば、先行する一時的再開期間における生産性よりも、後続の一時的再開期間における生産性が低くなる。つまり、昇温抑制期間において、画像形成手段の生産性を徐々に低下する。これにより、ユーザに画像形成装置が故障したと誤解させにくくし、かつ、画像形成装置100の内部温度の上昇を適切に抑制することが可能となる。内部温度の上昇が適切に抑制されることで、トナーの固着および部品の消耗などが抑制される。
【0066】
[観点20、21]
CPU201は、制御周期が繰り返されるたびに、第二期間を徐々に長くする一方で第一期間(一時的再開期間)における画像形成枚数を固定することで、動作期間における画像形成手段の生産性を徐々に低下させてもよい。CPU201は、制御周期が繰り返されるたびに、第一期間における画像形成枚数を徐々に削減する一方で第二期間の長さを固定することで、動作期間における画像形成手段の生産性を徐々に低下させてもよい。
【0067】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項が添付される。
【符号の説明】
【0068】
120:画像形成部、200:コントローラ、201:CPU