(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/93 20060101AFI20240802BHJP
H04N 5/92 20060101ALI20240802BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20240802BHJP
【FI】
H04N5/93
H04N5/92 010
G06F3/0484
(21)【出願番号】P 2020099615
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深田 昌敬
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-036585(JP,A)
【文献】特開2009-188870(JP,A)
【文献】特開2010-074861(JP,A)
【文献】特開2010-206508(JP,A)
【文献】特開2014-140112(JP,A)
【文献】特開2020-071784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0335901(US,A1)
【文献】国際公開第2019/193097(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/91 - 5/956
G06F 3/048- 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを格納する画像データ領域と、前記画像データに関する情報であるメタデータを格納するメタデータ領域とを有する
ISOBMFF(ISO Base Media File Format)標準に従った画像ファイルに基づく画像を、表示部に表示させる情報処理装置であって、前記画像ファイルには代表の画像データが含まれ、
前記画像ファイルに、
ISOBMFF標準で定められたグループ化構造を用いてグループ化された1つ以上の画像グループが格納されているかを判定する判定手段と、
前記画像ファイルに、前記1つ以上の画像グループが格納されていると判定された場合に、前記代表の画像データ、または前記1つ以上の画像グループの画像データのいずれかを選択する選択手段と、
前記表示部に、選択された画像データに基づく画像を表示させるように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記画像ファイルは、ユーザーの操作により指定された画像ファイルであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
画像データを格納する画像データ領域と、前記画像データに関する情報であるメタデータを格納するメタデータ領域とを有するISOBMFF(ISO Base Media File Format)標準に従った画像ファイルに基づく画像を、表示部に表示させる情報処理装置であって、前記画像ファイルには代表の画像データが含まれ、
ユーザーの第1の操作により前記画像ファイルが指定された場合に、前記画像ファイルに、ISOBMFF標準で定められたグループ化構造を用いてグループ化された1つ以上の画像グループが格納されているかを判定する判定手段と、
(1)ユーザーの前記第1の操作により前記画像ファイルが指定された場合は、前記画像ファイルに、前記1つ以上の画像グループが格納されていると判定された場合に、前記代表の画像データ、または前記1つ以上の画像グループの画像データのいずれかを選択し、(2)ユーザーの第2の操作により前記画像ファイルが指定された場合は、前記代表の画像データを選択する選択手段と、
前記表示部に、選択された画像データに基づく画像を表示させるように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
ユーザーの
前記第2の操作により
前記画像ファイル
が指定された場合
に、前記選択手段は、前記代表の画像データ、または前記1つ以上の画像グループの画像データのいずれかを、ユーザーの操作に基づいて選択する、
ことを特徴とする請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記
グループ化構造は、画像の切り替え表示
を行うグループ化タイプ情報を含むことを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記画像ファイルに、前記1つ以上の画像グループが格納されているかを、前記メタデータに基づいて判定することを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記画像ファイルに、前記1つ以上の画像グループが格納されているかを、前記情報処理装置における設定に基づいて判定することを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記
画像ファイルは、HEIF(High Efficiency Image File Format)
標準に従った画像ファイルであることを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記代表の画像データは、前記メタデータにおけるpitmで識別される画像であることを特徴とする請求項
1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記画像グループは、前記メタデータにおけるグルーピングタイプであるslid
、iaug、favc、albc、sterのいずれかで識別される画像グループであることを特徴とする請求項
1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記画像グループは、前記メタデータにおける
(1)スライドショーに関するグルーピングタイプ、(2)画像と音声のトラックの関連付けに関するグルーピングタイプ、(3)お気に入りの画像コレクションに関するグルーピングタイプ、(4)アルバムコレクションに関するグルーピングタイプ、(5)立体ペアに関するグルーピングタイプ
のいずれかで識別される画像グループであることを特徴とする請求項
1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
画像データを格納する画像データ領域と、前記画像データに関する情報であるメタデータを格納するメタデータ領域とを有する
ISOBMFF(ISO Base Media File Format)標準に従った画像ファイルに基づく画像を、表示部に表示させる情報処理装置の制御方法であって、前記画像ファイルには代表の画像データが含まれ、
前記画像ファイルに、
ISOBMFF標準で定められたグループ化構造を用いてグループ化された1つ以上の画像グループが格納されているかを判定する判定工程と、
前記画像ファイルに、前記1つ以上の画像グループが格納されていると判定された場合に、前記代表の画像データ、または前記1つ以上の画像グループの画像データのいずれかを選択する選択工程と、
前記表示部に、選択された画像データに基づく画像を表示させるように制御する表示制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項13】
画像データを格納する画像データ領域と、前記画像データに関する情報であるメタデータを格納するメタデータ領域とを有するISOBMFF(ISO Base Media File Format)標準に従った画像ファイルに基づく画像を、表示部に表示させる情報処理装置の制御方法であって、前記画像ファイルには代表の画像データが含まれ、
ユーザーの第1の操作により前記画像ファイルが指定された場合に、前記画像ファイルに、ISOBMFF標準で定められたグループ化構造を用いてグループ化された1つ以上の画像グループが格納されているかを判定する判定工程と、
(1)ユーザーの前記第1の操作により前記画像ファイルが指定された場合は、前記画像ファイルに、前記1つ以上の画像グループが格納されていると判定された場合に、前記代表の画像データ、または前記1つ以上の画像グループの画像データのいずれかを選択し、(2)ユーザーの第2の操作により前記画像ファイルが指定された場合は、前記代表の画像データを選択する選択工程と、
前記表示部に、選択された画像データに基づく画像を表示させるように制御する表示制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1から
11のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の画像のデータが格納された画像ファイルを再生するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MPEG(Moving Pictures Experts Group)では、単一の静止画、複数の静止画、又は、画像シーケンス(静止画のバースト等)を1つのファイルに格納するための標準化を行っている。本標準は、HEIF(High Efficiency Image File Format)と呼ばれ、画像と画像シーケンスの交換、編集、及び表示を可能とする。また、HEIFは、ISOベースメディアファイルフォーマット(ISOBMFF:ISO Base Media File Format)で定められるツールを基に拡張された格納フォーマットである。HEIFは、ISO/IEC23008―12(Part12)において「Image File Format」という名称で標準化が進行している。また、HEIFは、メタデータを含む規範的な構造を定めており、メタデータと画像を関連付けする方法、特定の形式のメタデータの構成について定めている。
【0003】
一方、カメラやスマートフォン等、画像生成機能を備えた画像生成装置は近年様々な機能を有しており、撮影日時や、画像サイズ、画像品質だけでなく、撮影時の情報や、撮影した画像データのメタデータなど様々な情報を生成可能となっている。例えば、撮影時の被写体やシーンを識別する情報、各種の撮影設定情報などが画像データとともに生成される。また、撮影した画像を整理したり、画像のグループを作成したりするためのモードも用意されている。ユーザーは、自分の好みの画像、または、ある特定の興味に対応する画像の集合を識別するために、画像のグループを作成することができる。画像のグループとしては、例えば、任意の種類の画像のグループ、画像のシーケンス、またはその両方等が考えられる。カメラで撮影された画像は、例えばメモリカード等の記憶装置に記憶される。画像は通常、記憶装置上のデータのサイズを縮小するために符号化される。JPEGやHEVC標準など、多くの符号化標準を使用できる。このような画像データに関する情報は、メタデータとして画像データと一緒にHEIFファイルに格納することができる。また、HEIFファイルに格納された複数の画像等をグループとして格納し、ファイル生成、編集時の意図等をファイル読み出し時に識別可能とする識別子を格納することが可能となっている。特許文献1では、ブラケット撮影した複数の画像(画像データ)を1つのHEIFファイルに格納する方法が記載されている。
【0004】
HEIFでは、複数の画像を格納してスライドショーでの表示を意図する画像ファイルを作成することも可能とされている。Technology under Consideration on ISO/IEC 23008-12(w18819)では、HEIFファイルに格納された複数の画像のスライドショー表示を目的としたメタデータを画像グループとして格納することが検討されている。また、複数の画像を1つのHEIFファイルに格納し、それら画像をアルバムコレクションやお気に入りコレクションといったグループとして格納することも可能とされている。Text of ISO/IEC 23008-12:2017/DAM2(w18845)では、HEIFファイルに格納された複数の画像のアルバムやお気に入りコレクション格納を目的としたメタデータを、画像グループとして格納することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ISO/IEC23008-12では、HEIFファイル内にメタデータとして第一優先画像(主画像)を示す識別子(識別情報)を格納し、当該識別子はファイル再生時に表示等する画像を識別する目的で利用される。この第一優先画像を示す識別子は、HEIF標準を満たすファイルには必ず1つだけ格納される。また、当該識別子は、単一の画像を指定することができるが、前述した画像のグループを指定することができない規定となっている。そのため、スライドショー表示を目的としたグループや画像のコレクションとしてのグループが格納されていたとしても、表示する画像は第一優先画像として指定された画像となる。
【0007】
このように、従来では、HEIFファイルに、格納された複数の画像に対するグループ識別子が格納されていた際に、第一優先画像を表示するのか、画像グループを表示するのかについては明確な規定がない。このため、HEIFファイル内に特有の表示が必要なグループが格納されていたとして、効果的に表示することができないという課題があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、HEIFファイルに画像グループが格納されていた場合の表示の仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための一手段として、本発明の情報処理装置は、以下の構成を有する。すなわち、画像データを格納する画像データ領域と、前記画像データに関する情報であるメタデータを格納するメタデータ領域とを有するISOBMFF(ISO Base Media File Format)標準に従った画像ファイルに基づく画像を、表示部に表示させる情報処理装置であって、前記画像ファイルには代表の画像データが含まれ、
前記画像ファイルに、ISOBMFF標準で定められたグループ化構造を用いてグループ化された1つ以上の画像グループが格納されているかを判定する判定手段と、
前記画像ファイルに、前記1つ以上の画像グループが格納されていると判定された場合に、前記代表の画像データ、または前記1つ以上の画像グループの画像データのいずれかを選択する選択手段と、
前記表示部に、選択された画像データに基づく画像を表示させるように制御する表示制御手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
HEIFファイルに画像グループが格納されていた場合の表示の仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】画像ファイル再生処理のフローチャートの一例である。
【
図3】HEIFファイルのスライドショー再生処理のフローチャートである。
【
図4】画像ファイル再生処理のフローチャートの別の例である。
【
図5】EntityToGroupBoxの構文構造を示す。
【
図6】情報処理装置における表示画面の一例を示す図である。
【
図7】情報処理装置における表示画面の一例を示す図である。
【
図9】画像ファイル再生処理のフローチャートの別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
<実施形態1>
[情報処理装置の構成]
図1は、本実施形態における情報処理装置100の構成の一例を示す。情報処理装置100では、システムバス101にCPU(Central Processing Unit)102、システムプログラム実行時の一時記憶装置であるRAM(Random Access Memory)103、システムプログラムが格納される不揮発性記憶装置であるROM(Read Only Memory)104が接続されている。システムプログラムやアプリケーションプログラムが、ROM104からRAM103に読み込まれ、CPU102によって実行される。また、システムバス101には、符号化/復号化部105、メタデータ処理部106、表示部107、ユーザーインターフェース部108、通信制御部109が接続されている。システムバス101は、これらの各ブロック間でデータを伝達する。またRAM103は、出力バッファを有し、スライドショー表示処理のデータバッファや、画像ファイルのメタデータ解析時に一時保存するデータの出力先としても使用される。なお、CPU102、RAM103、ROM104はそれぞれ複数であってもよい。
【0014】
符号化/復号化部105は、H.265(HEVC)、H.264(AVC)、AV1、JPEGなどに従う動画や静止画のビデオコーデックであり、静止画や動画のデータの符号化および復号化の処理を実行する。メタデータ処理部106は、ファイルに格納されたメタデータ(メタデータ領域におけるデータ/情報)を解析し、静止画や動画の再生時のメタデータ処理を行う。具体的には、メタデータ処理部106は、所定のファイルフォーマット(例えばHEIF)に準拠して格納された画像ファイルであることを解析し、メタデータの取得(静止画や動画に関する情報の取得や、符号化データに関するパラメータ情報の取得)を行う。メタデータ処理部106によって取得されたメタデータと、符号化データ(画像データ)を用いて、符号化/復号化部105においてデータの復号化が行われる。メタデータ処理部106は、データ(復号データ)を取得し、バッファに格納し表示のための前処理を実行する。また、メタデータ処理部106は、所定のイメージファイルフォーマットに格納されたメタデータの解析処理を行う。
【0015】
表示部107は、情報処理装置100で実行されるアプリケーション/機能に関する表示処理を行う。表示部107は例えば液晶ディスプレイ装置といった画面で、または当該画面を含んで構成される。また、表示部107は、ユーザーによるGUI(Graphic User Interface)によるアプリケーションの操作を可能にするように、画面タッチセンサを備えてもよい。また、表示部107は、再生を行う際の候補の表示や設定情報を指定するための表示を行うように構成されてもよい。ユーザーインターフェース部108は、ユーザーによる情報処理装置100への操作(入力)を受け付けるためのインターフェースである。ユーザーインターフェース部108は例えば、ボタンやスイッチ、マウス、キーボード、タッチパネル等の物理的な操作インターフェースで構成される。
【0016】
通信制御部109は、ネットワークに接続して伝送フレームの送受信を行うネットワークインタフェースである。通信制御部109は、例えば、有線LANのイーサネット(登録商標)のPHYおよびMAC(伝送メディア制御処理)である。あるいは、情報処理装置100が無線LANに接続可能な場合、通信制御部109にはIEEE802.11a/b/g/n/ac/ax等の無線LAN制御を実行するコントローラ、RF回路、アンテナが含まれる。
【0017】
[画像ファイルの再生処理の流れ]
次に、情報処理装置100の画像ファイルの再生処理の流れについて、
図2~
図9を参照しながら説明する。まず、
図8を参照して、HEIFファイルの構造について説明する。
図8は、本実施形態において情報処理装置100が再生表示するファイルの内、HEIFファイルフォーマットに準拠した画像ファイルの一例であるHEIFファイル800の構造を示している。HEIFファイル800は、メタデータ格納領域(MetaBox802(meta))(メタデータ領域)と符号化データ格納領域(MediaDataBox811(mdat))(画像データ領域)を有する。また、ファイルのタイプを識別するメタデータ構造であるFileTypeBox801(ftyp)を有する。メタデータ領域には、いくつかのトラックを記述するメタデータ構造 MovieBox(moov)を含んでもよい。これらトラックは、一連の画像サンプルを記述する。画像サンプルは、例えばビデオシーケンスのフレームなど、同時に取り込まれたピクセルのセットである。これらのサンプルに対応するデータは、MediaDataBox811(mdat)に格納される。
【0018】
HEIFファイル800では、いくつかの単一の画像を、MetaBox802(meta)に異なるアイテムとして記述される。MediaDataBox811(mdat)は、これらのアイテムに対応する符号化画像データを格納する(例えば符号化データ812~815)。アイテムは、ItemInformationBox806(iinf)内のエントリとして定義される。具体的には、各エントリにアイテムの識別子となるアイテムID、アイテムの種別を示すアイテムタイプ等の情報が記述される。また、アイテムに対応する符号化データの格納位置を示すItemLocationBox805(iloc)、アイテム間の参照関係を示すItemReferenceBox807(iref)が記述される。また、HEIFでは、第一優先画像(主画像/代表画像)を示すための識別子としてPrimaryItemBox804(pitm)が格納される。PrimaryItemBox804(pitm)に指定されたitem_idが指し示す画像データが第一優先画像であることを示す。
【0019】
HEIFファイルでは、画像に関連付けられたプロパティを指定するためのデータ構造が定義されている。より一般的には、アイテム (あらゆる種類のメディアの) のプロパティを指定するためのいくつかのメカニズムが用意されている。例えば、HEIFファイル800において、ItemPropertiesBox808(iprp) 内にItemPropertyContainerBox809(ipco)が用意されており、イメージアイテムなどのアイテムのプロパティを格納または記述する。ItemPropertyAssociationBox810(ipma)では、1つまたは複数のプロパティを特定のアイテムに関連付ける。なお、同じプロパティを複数のアイテムに関連付けることもできる。この場合、複数のアイテムとそのプロパティ間の関連づけを記述するため、各アイテム識別子(Item_ID)にItemPropertyContainerBox809(ipco)内のプロパティインデックスのリストを記述する。
【0020】
ISOBMFFおよびHEIF標準では、アイテムまたはトラックをグループ化として意味のある単位で扱うことを可能とするため、メタデータ構造が存在する。アイテムまたはトラックを参照するため、「エンティティ」という用語で記述される。エンティティのグループ化を指定するためのメタデータ構造として。GroupListBox内にEntityToGroupBox構造が定義される。
【0021】
EntityToGroupBoxの構文構造を
図5に示す。グルーピングタイプを示すgrouping_type501は、グループ化の種類を指定するために使用される。HEIFでは、grouping_typeの値がいくつか定義されている。grouping_type‘altr’は、異なるエンティティがアプリケーションで代替的に使用できる代替エンティティであることを示す。grouping_type‘ster’ は、立体視アプリケーションにおいて、2つのエンティティが立体ペア (通常は左右のビュー) であることを指定する。また、Technology under Consideration on ISO/IEC 23008-12(w18819)およびText of ISO/IEC 23008-12:2017/DAM2(w18845)では、その他のgrouping_typeの検討が行われている。grouping_type‘brst’は、バースト撮影した画像を撮影した順にエンティティをリスト化して格納されていることを示す。grouping_type‘tsyn’は、時刻を同期して撮影された画像エンティティであることを示す。grouping_type‘iaug’は、画像と音声トラックを関連づけ、画像再生と同時に音声トラックを再生することを示す。grouping_type‘pano’は、リスト化されたエンティティがパノラマ撮影された画像であることを示す。また、いくつかのブラケット撮影の種別に応じたgrouping_typeが定義されており、例えばgrouping_type‘aebr’は、自動露出ブラケット撮影されたエンティティであることを示す。その他、ホワイトバランスブラケット撮影やフォーカスブラケット撮影、フラッシュブラケット撮影、深度ブラケット撮影の各grouping_typeの定義が検討されている。また、grouping_type‘slid’は、スライドショーを形成する一連のエンティティを示す。スライドショー表示を行う順にエンティティをリスト化して格納する。また、grouping_type‘favc’は、お気に入りの画像コレクションとして、grouping_type‘albc’は、アルバムコレクションとしてファイル生成・編集時に作成者(ユーザー)が定義した画像のグループを示す。
【0022】
group_id502は、エンティティグループの一意の識別子である。entity_id503のリストは、グループに関連するすべてのエンティティを示す。
【0023】
図2は、情報処理装置100により実行される、画像ファイル再生表示処理のフローチャートである。具体的には、選択されたHEIFファイルから再生表示を行う画像をファイルフォーマットに従って再生表示する処理の流れを示している。
図2のフローチャートの各ステップは、CPU102によるソフトウェア、符号化/復号化部105、メタデータ処理部106の何れかによって実行される処理を示す。なお、以下の説明において、CPU102という記述はCPU102で実行するソフトウェア処理であるものとする。なお、本説明において、再生表示、再生、表示という語は、画像ファイルに格納された画像/画像グループを再生するために表示することを意味し、同義に用いられる。
【0024】
画像ファイルの再生処理は、まずステップS201において、CPU102が、ユーザーインターフェース部108等を介したユーザー指示に基づいて、再生を行う画像ファイルの指定(選択)を受け付ける。これは例えば、RAM103もしくはROM104に記憶されている画像ファイルの直接的な指定でありうる。また、RAM103もしくはROM104に記憶されているフォルダ等に格納されたすべてのファイルといった指定や、特定の期間のファイル生成日時の画像ファイルすべてといった指定、または再生を行うためのリスト等による指定であってもよい。または、特定のネットワークフォルダやクラウド等に格納された画像ファイルが指定されてもよい。本実施形態では、指定する画像ファイルはHEIFであることを想定する。当該指定の受付処理は、予め所定の格納場所に格納された画像ファイルをCPU102が自動的に取得することにより行われてよい。
【0025】
次にステップS202において、メタデータ処理部106は、ステップS201で指定(選択)された画像ファイル(HEIFファイル)を取得し、当該ファイルに格納されたメタデータを解析する。そして、メタデータ処理部106は、当該ファイルに、所定の用途に応じてグループ化された(画像グループ特有の再生処理を行う必要のある)画像グループが格納されているかを判定する。当該判定はCPU102により行われてもよい。なお、ステップS201で複数ファイルが指定された場合は、ファイル毎に順次本処理が行われる。解析するメタデータ構造は、
図8に一例を示した構造のファイルフォーマットである。まずメタデータ処理部106は、
図8のFileTypeBox801(ftyp)と、HandlerBox803(hdlr)に格納されているメタデータを読み出し解析を行う。解析を行うHEIFファイルのhdlrに指定するMetaDataBox(meta)のハンドラタイプは‘pict’であることが想定される。続いてメタデータ処理部106は、MetaBox802(meta)に格納されたメタデータを読み出して解析を行う。なおここで解析したメタデータは、RAM103上に展開して保持され、MediaDataBox811(mdat)に格納された符号化データとともにステップS205、S207、S208のいずれかにおける画像再生表示時の画像データの復号処理や表示処理において利用される。メタデータ処理部106は、
図8のGroupListBox816(grpl)がHEIFファイルに格納されているかを解析する。GroupListBox816(grpl)が格納されていた場合は、メタデータ処理部106は、さらにそのgrplの中に、所定の用途に応じてグループ化された画像グループが格納されているかを確認する。
図2の例では、S202では、メタデータ処理部106は、grplの中に、再生表示の切り替えが必要となる画像グループ(スライドショー表示のような切り替え表示が必要な(意図される)画像グループ)が格納されているかを確認する。例えば、grplにSlideshowEntityToGroupBox817(slid)が格納されていた(画像グループがグルーピングタイプ‘slid’で識別される)場合は、メタデータ処理部106は再生表示の切り替えが必要な画像グループが格納されていると判断し(S202でYes)、当該画像グループを再生する候補として決定し、処理はステップS203へ進む。また、前述したグルーピングタイプ‘iaug’、グルーピングタイプ‘favc’、グルーピングタイプ‘albc’で識別される画像グループが格納されていると判断される場合も、処理はステップS203へ進んでもよい。画像グループが格納されていないか、または再生表示の切り替えが必要ではない画像グループが格納されていると判断した場合は(S202でNo)、処理はステップS205へ進む。
【0026】
再生表示の切り替えが必要ではない画像グループとは、例えばパノラマ撮影グループのような画像グループを示す。パノラマ撮影グループは、パノラマ画像を構成するためのもととなる画像の集合を示す。なお、本実施形態では、パノラマ撮影グループを再生表示の切り替えが必要ではない画像グループの一例として示したが、情報処理装置100のアプリケーション処理や、予め行われた設定や入力された設定等に応じて再生表示の切り替えが必要な画像グループか否かを切り替えるようにしてもよい。具体的には、パノラマ合成等、パノラマ撮影画像処理に特化した処理を行うためのアプリケーションであった場合は、CPU102は、パノラマ画像グループを再生表示の切り替えが必要な画像グループとして扱うようにしてもよい。また、CPU102は、ステレオ画像グループの場合ステレオ表示ができるアプリケーションか否かで、ステレオ画像グループの表示を切り替える必要があるか否かを判断してもよい。
【0027】
その他、CPU102は、前述したグルーピングタイプ‘iaug’の画像グループに対して、音楽再生をできる設定ないし環境であるかを判断してもよい。音楽再生できない設定ないし環境であった場合は、‘iaug’の画像グループは格納されていない場合と同等に処理を行うこととしてもよい。音楽再生できない設定ないし環境とは、例えばスマートフォン等においてマナーモードに設定されている場合である。同様に、CPU102は、各画像グループ特有の再生処理を行うか否かを、再生処理を行うアプリケーションに応じて決定するようにしてもよい。例えば、同一の情報処理装置100であっても異なるアプリケーションによる再生処理であった場合、それぞれ再生表示の切り替えが必要かを判断する画像グループが異なることとなる。これはアプリケーション処理に限らず、異なる情報処理装置(再生処理装置)で行った場合も同様で、情報処理装置毎に、再生する候補となる画像グループを決定するようにしてもよい。
【0028】
また、本処理では画像グループのみを対象としたが、第一優先画像以外の画像が格納されている場合においても、当該画像を再生する候補として決定するように構成してもよい。例えば、メタデータ処理部106は、HEIFファイルに、hidden imageではない画像が複数格納されている場合に、当該複数の画像を再生する候補として決定してもよい。また、メタデータ処理部106は、HEIFファイルに派生画像が複数含まれている場合に、当該画像を再生する候補として決定してもよい。このように、画像グループに限らず、第一優先画像として指定されていない画像を、再生する候補として決定してもよい。
【0029】
次に、ステップS203において、CPU102は、表示部107に再生する候補を表示させて、ユーザーインターフェース部108等を介したユーザーによる選択(指定)を受け付ける。ここで
図6、
図7を参照して、再生する候補の表示形態について説明する。
図6と
図7は、情報処理装置100の表示部107上の表示画面の一例を示す図である。
図6では、情報処理装置100の一例としてのスマートフォンやタブレット端末601における、表示部107の一例としての液晶ディスプレイ等の表示デバイス602を表している。表示デバイス602は、タッチパネルとして動作する。表示デバイス602は、アプリケーションを表示する画面および、ユーザーによるアプリケーションの操作を可能にするように、画面タッチセンサを備えており、ユーザーインターフェース部108を兼ねている。ボタン603は物理的なボタンを示しており、表示デバイス602とは異なるユーザーインターフェースである。
【0030】
表示デバイス602上では、現在表示されているフォルダの名称の表示612として「画像フォルダ」が示される。また、仮想ボタン610は、表示アプリケーションの設定等を行うための仮想ボタンを示しており、タップすることで設定画面が表示される。また仮想ボタン613は、画面を戻るための操作を行うための仮想ボタンを示している。HEIFファイル名604から611は、画像フォルダ内に格納されているHEIFファイル名(IMG_001.heic~IMG_008.heic)を示している。
【0031】
図7は、
図2のステップS201において、ユーザーにより1つのHEIFファイルが指定(選択)された場合の、
図6からの画面遷移を示す。具体的には、
図6のHEIFファイル名604のファイル(IMG_001.heic)が、タップ動作等により指定(選択)された際の画面遷移を示している。
図7の候補情報701は、
図2のステップS203において表示される、再生する候補を示している。候補情報701において、HEIFファイル名702は、選択したHEIFファイル名であるIMG_001.heicを示している。候補703から706は、IMG_001.heicファイル内に格納されている、再生する候補である画像または画像グループを示している。候補703(「プライマリ画像」)は第一優先画像を示しており、HEIFファイルに格納されているPrimaryItemBox(pitm)に指定されたitem_idが指し示す画像を示す。候補704(「スライドショーグループ[101]」)は、IMG_001.heicファイル内のGroupListBox内に格納されたSlideshowEntityToGroupBoxのグループIDが101のグループを示している。候補705(「お気に入りグループ[102]」)は、IMG_001.heicファイル内にFavorite Collection entity group‘favc’のグループID102の画像グループを示している。候補706(「スライドショーグループ[103]」)は、SlideshowEntityToGroupBoxのグループIDが103のグループを示している。なお、moovボックスを利用してイメージシーケンスが格納されていた場合に、イメージシーケンスを再生する候補として表示してもよい。
【0032】
図7を参照して、ステップS204以降の処理について説明する。ステップS204において、CPU102は、
図7の候補703~706のうち、ユーザーにより選択(指定)された候補を確認する。選択された候補が、代表画像(第一優先画像)を示す候補703(「プライマリ画像」)である場合(S204でYes)、処理はステップS205へ進む。選択された候補が、画像グループを示す候補704~706(「スライドショーグループ[101]」、「お気に入りグループ[102]」、「スライドショーグループ[103]」のいずれか)である場合(S204でNo)、処理はステップS206へ進む。
【0033】
ステップS205において、情報処理装置100は、HEIFファイルに格納されているPrimaryItemBox804(pitm)に指定されたitem_idが指し示す画像データを表示部107に表示する。具体的には、まずメタデータ処理部106がPrimaryItemBox804(pitm)に指定されたitem_idで識別される画像アイテムがどのような種類の画像アイテムであるかを、ItemInformationBox806(iinf)に示された情報をもとに解析する。例えば‘hvc1’が指定されていた場合、画像データはHEVC符号化画像であることを示す。そして、メタデータ処理部106は、ItemReferenceBox807(iref)を解析し、他のitem_idを参照しているかを解析し、参照している場合は参照先の画像アイテムについても同様に解析を行う。例えばreference_typeが‘dimg’である場合、画像データは派生画像であることを示し、派生元となる画像の情報を解析して取得する。なお参照関係がない場合は、本情報は利用しない。次に、メタデータ処理部106は、ItemLocationBox805(iloc)を解析し、各画像データビットストリームのファイル内の格納位置を取得する。そして、メタデータ処理部106は、MediaDataBox811(mdat)内のどの位置にデータが存在するかを特定し、対応する符号化データ812~815を取得する。また、ItemPropertiesBox808(iprp)内のItemPropertyContainerBox809(ipco)には、画像の属性情報を示すItemPropertyが格納されている。また、各画像アイテムと属性情報との関連を示したItemPropertyAssociationBox810(ipma)を示す。各画像アイテムが順にipco内の属性情報と関連づけが行われる。メタデータ処理部106は、これらメタデータを解析することで、画像アイテムの属性情報を取得する。これは例えばItemPropertyContainerBox809(ipco)にhvcCが格納されていた場合、HEVC符号化パラメータを示す。また、ispeは画像のサイズを示す属性情報である。これら解析したメタデータに基づいて、および画像データに基づき、復号処理を符号化/復号化部105が実行する。生成された復号化データはRAM103上の出力バッファに転送されて保存される。CPU102は、画像を表示する指示を表示部107に行う。本指示に基づき表示部107は画像を表示する。
【0034】
ステップS206、ステップS207、ステップS208では、選択された再生候補の画像グループに応じた処理が行われる。ステップS206およびステップS207はその一例であり、選択された画像グループがスライドショーグループであった場合の処理を示している。ステップS206において、ステップS203でユーザーにより選択(指定)された再生候補が候補704(「スライドショーグループ[101]」)または候補706(「スライドショーグループ[103]」)であった場合(S206でYes)、処理はステップS207へ進む。一方、ユーザーにより選択(指定)された再生候補が候補705(「お気に入りグループ[102]」)であった場合(S206でNo)、処理はステップS208へ進む。
【0035】
ステップS207において、情報処理装置100は、選択されたスライドショーグループのスライドショー表示処理を行う。具体的には、メタデータ処理部106は、選択されたスライドショーグループが示すGroupListBox816(grpl)内のSlideshowEntityToGroupBox817(slid)から、スライドショー再生する対象となる画像のアイテムIDを順次取得する。続いて、メタデータ処理部106は、取得した画像アイテムに対応する画像データおよび関連メタデータを順次取得する。なお本処理は、PrimaryItemBoxから取得したitem_idの代わりにSlideshowEntityToGroupBoxからリストされたitem_idを順次取得する以外は、ステップ205と同様の処理となる。そして、表示部107は、CPU102により実行されるアプリケーション処理により決定された再生条件でスライドショーグループ内の画像を順次表示して処理を終了する。
【0036】
なお、情報処理装置100は、スライドショーグループ内の画像のスライドショー再生が終了した後は、再度選択されたスライドショーグループのスライドショー再生を実行してもよいし、そのまま再生を終了してもよい。またその他、再度ステップS204からの処理が実行されてもよい。また、複数の画像グループ候補が選択された場合においても、アプリケーションで決定して再生するようにすればよい。また、複数のファイルが選択された場合は、次のファイルの処理に移行するようにしてもよい。またその他、アプリケーションや情報処理装置100における設定等に応じて決定した処理を実行するようにしてもよい。例えば、スライドショー再生が終了した後に代表画像であるプライマリ画像を表示するといったことや、選択した画像グループから再生を開始し、すべての候補を順次、所定の画像や画像グループに従った再生を行うことが考えられる。
【0037】
ステップS208において、情報処理装置100は、選択された画像グループに応じた再生表示を行う。
図7に示した例では、ユーザーにより候補705(「お気に入りグループ[102]」)が選択された場合の処理となる。メタデータ処理部106は、選択されたお気に入りグループが示すGroupListBox816(grpl)内のFavorite Collection entity group‘favc’に格納された画像のアイテムIDを順次取得する。続いて、メタデータ処理部106は、取得した画像アイテムに対応する画像データおよび関連メタデータを順次取得する。なお本処理は、PrimaryItemBoxから取得したitem_idの代わりにFavoriteCollectionEntityToGroupBoxから対応するitem_idを取得する以外は、ステップS205と同様の処理となる。そして、表示部107は、画像を一覧表示する。またその他、表示部107は、CPU102により実行されるアプリケーション処理により決定されたお気に入りグループの画像の表示方法に応じた画像の表示を行ってもよい。例えば、表示部107は、お気に入りグループに格納されたすべての画像のサムネイル画像を一覧表示したり、すべての画像をグリッドとして構成して表示したりしてもよい。またその他、表示部107は、すべての画像をスクロール再生可能なように表示することや、任意のサイズの画像アイコンとして一覧表示することなど複数の画像を一覧表示可能とするように様々なアプリケーションで決定した表示を行ってもよい。また、表示部107は、一覧表示に限らず、所定のユーザー操作によって例えばグループにリストされた順に画像を切り替えて表示してもよい。
【0038】
なお、本実施形態では、スライドショーグループの再生以外の画像グループの表示処理をまとめてステップS208の処理として説明した。S208は、画像グループとして格納され、個別の用途に応じた表示処理が必要な画像グループの表示処理を行うことを示す。よって、S208において、スライドショーグループのように個別にステップを設けて処理するように構成してももちろんよい。またその他、表示するアプリケーションの設定に応じて処理ステップを変更するようにしてもよい。例えば、ステップS202で判定される、表示を切り替える必要がある画像グループの対象を、アプリケーションの設定で切り替えるようにしてもよい。
【0039】
(HEIFファイルスライドショー再生表示処理)
次に、スライドショー再生表示処理について、
図3を参照して説明する。
図3は、HEIFファイルのスライドショー再生表示処理のフローチャートを示す。本処理は、情報処理装置100で1つのアプリケーション処理として実行されてもよいし、専用のスライドショー再生装置で実行されてもよい。本処理フローは、スライドショーグループのみを、表示の切り替えが必要な画像グループとして扱い、その他の画像グループについては特別識別した処理を行わない、すなわち、スライドショー表示アプリケーションに特化した処理フローとなる。
【0040】
ステップS301において、メタデータ処理部106は、選択したHEIFファイルに格納されているメタデータを解析する。解析するメタデータの構造は、
図8に一例を示した構造のファイルフォーマットである。メタデータ処理部106は、
図8におけるFileTypeBox801(ftyp)と、HandlerBox803(hdlr)に格納されているメタデータを読み出し解析を行う。解析を行うHEIFファイルのhdlrに指定するMetaDataBox(meta)のハンドラタイプは‘pict’であることが想定される。続いてメタデータ処理部106は、メタデータ格納((MetaBox802(meta))に格納されたメタデータを読み出して解析を行う。なお、ここで解析したメタデータは、RAM103上に展開して保持され、符号化データ格納領域(MediaDataBox811(mdat))に格納された符号化データとともにステップS306における画像データの復号処理において利用される。
【0041】
次に、ステップS302において、メタデータ処理部106は、HEIFファイルにスライドショーグループ(スライドショー表示を意図した識別情報)が格納されているかどうかを判定する。具体的な処理例として、まず、メタデータ処理部106は、
図8のGroupListBox816(grpl)がHEIFファイルに格納されているかを解析する。格納されていた場合は、メタデータ処理部106は、さらにgrplの中に、SlideshowEntityToGroupBox817(slid)が格納されているかを解析する。メタデータ処理部106は、SlideshowEntityToGroupBoxが格納されている場合に、HEIFファイルにスライドショーグループが格納されていると判定する。HEIFファイルにスライドショーグループが格納されていない場合は、処理はステップS303へ進み、格納されている場合は、処理はステップS304へ進む。なお、本実施形態ではSlideshowEntityToGroupBoxが格納されているか否かでスライドショーグループが格納されているか否かが判定されるとしたが、MovieBox(moov)としてスライドショーデータが格納されているか否かが判定されてもよい。これは、ISO/IEC23001-16として規格化が検討中のDerived visual tracks in the ISO base Media file format構造を利用して格納されている場合や、イメージシーケンスとして格納されている場合も含む。
【0042】
HEIFファイルにスライドショーグループが格納されていない場合(ステップS302でNo)、ステップS303において、表示部107は、
図8のPrimaryItemBox804(pitm)に指定されたitem_idが指し示す画像データ(代表画像)を表示する。ここで、ステップS303の具体的な処理例を説明する。
【0043】
まず、メタデータ処理部106は、PrimaryItemBoxに指定されたitem_idで識別される画像アイテムがどのような種類の画像アイテムであるかを、ItemInformationBox806(iinf)に示された情報をもとに解析する。例えば‘hvc1’が指定されていた場合、画像アイテムの種類はHEVC符号化画像であることを示す。続いて、メタデータ処理部106は、ItemReferenceBox807(iref)を解析し、他のitem_idを参照しているかを解析し、参照している場合は参照先の画像アイテムについても同様に解析を行う。例えばreference_typeが‘dimg‘である場合、画像アイテムの種類は派生画像であることを示し、メタデータ処理部106は、派生元となる画像の情報を解析して取得する。なお参照関係がない場合は、本情報は利用しない。次に、メタデータ処理部106は、ItemLocationBox805(iloc)を解析し、各画像データビットストリームのファイル内の格納位置を取得する。そしてMediaDataBox811内のどの位置に画像データが存在するかを特定し、対応する符号化データ812~815を取得する。
【0044】
次に、メタデータ処理部106は、メタデータを解析することで画像アイテムの属性情報を取得する。ItemPropertiesBox808(iprp)内のItemPropertyContainerBox809(ipco)には、画像の属性情報を示すItemPropertyが格納されている。また、各画像アイテムと属性情報との関連を示した情報は、ItemPropertyAssociationBox810(ipma)に格納されている。ここでは、各画像アイテムが順にipco内の属性情報と関連づけが行われる。メタデータ処理部106は、これらメタデータを解析することで画像アイテムの属性情報を取得する。例えばItemPropertyContainerBox(ipco)に格納されているhvcCは、HEVC符号化パラメータを示す属性情報であり、ispeは画像のサイズを示す属性情報である。メタデータ処理部106が解析したメタデータに基づいて画像データが取得され、続いて符号化/復号化部105が取得された画像データに対する復号処理を実行し、復号データを生成する。符号化/復号化部105は、生成された復号化データをRAM103上の出力バッファに転送して保存しておく。CPU102は、あらかじめ情報処理装置100において決定されている表示時間の間、画像を表示部107に表示する指示を行う。本指示に基づき表示部107は画像を表示する。なお、1つ以上前に表示している画像の表示時間中である場合は、表示部107は、1つ前までの表示が終了してから画像を表示する。
【0045】
HEIFファイルにスライドショーグループが格納されている場合(ステップS302でYes)、ステップS304において、情報処理装置100は、HEIFファイルに格納されたスライドショーグループ(スライドショー表示を意図した識別情報で指定された画像群)の再生条件決定処理を行う。本処理におけるスライドショーグループの再生条件決定処理とは、複数のスライドショーグループが格納されていた場合の再生順序や、画像1枚あたりの表示時間、その他再生終了時における繰り返し再生の有無、再生する画像の順序といった条件を決定することである。
【0046】
ステップS305において、メタデータ処理部106は、ステップS304で決定された再生条件の順序で、HEIFファイルから、スライドショーグループにおける画像アイテムに対応する画像データ(スライドショー表示を意図した識別情報で指定された画像群)、および関連メタデータを取得する。本処理は、ステップ303においてPrimaryItemBoxから取得したitem_idの代わりにSlideshowEntityToGroupBoxから対応するitem_idを取得する以外は、ステップS303と同様の処理となる。
【0047】
ステップS306において、符号化/復号化部105は、ステップS305で取得されたメタデータおよび画像データに基づき、復号処理を実行して復号化データを生成する。続いて、ステップS307において、符号化/復号化部105は、生成した復号化データをRAM103における出力バッファに転送して保存しておく。ステップS308において、CPU102は、ステップS304で決定された再生条件に基づいて表示部107に画像を表示する指示を、表示部107に対して実施する。すなわち、CPU102は、ステップS304で決定された再生条件に従って、画像群を表示部107へ表示するための表示制御を行う。CPU102からの指示に基づき、表示部107は画像を表示する。なお、1つ前に表示している画像の表示時間中である場合は、表示部107は、1つ前の表示が終了してから画像を表示する。
【0048】
ステップS309において、CPU102は、ステップS304で決定した再生条件の順で再生するスライドショーグループの画像のうち、未再生の画像がまだあるかを確認する。また未再生の画像がある場合は、処理はステップS305へ進み、ステップS305からの処理を繰り返す。未再生の画像が無い場合は、処理はステップS310へ進み、CPU102は、同一ファイルのスライドショー再生を継続するかを判定する。本処理によって、未再生のスライドショーグループがあるかが判定される。またその他、情報処理装置100における設定等に基づいて判定が行われてもよい。同一ファイルのスライドショー再生を継続する場合は、処理はステップS305へ進み、継続しない場合は処理を終了する。
【0049】
以上の処理フローで、スライドショー再生表示処理が実行される。なお、本処理フローでは、単一のHEIFファイルを処理する際のフローを示したが、HEIFファイルに限らず、複数の画像ファイルをスライドショー再生する処理の中のHEIFファイル再生処理に本処理フローを適用してもよい。つまり、本処理フローは、複数の画像ファイルをスライドショー再生する際において対象となる画像ファイルにHEIFファイルが含まれていた場合の再生処理フローとなりうる。また、本処理フローは、HEIFファイルにスライドショーを意図した画像グループが含まれていた場合の処理フローとなりうる。
【0050】
図4に、画像ファイル再生表示処理のフローチャートの別の例を示す。
図2に示したフローと比較して、HEIFファイルの選択方法が異なる。具体的には、ユーザーにより所定の選択操作が行われた場合は代表画像を再生表示し、当該所定の選択操作とは異なる方法で選択操作が行われた場合は再生する候補を表示するといった処理フローである。ここで、所定の選択操作とは、例えばマウスを用いてクリック操作した場合を想定し、所定の選択操作と異なる方法の選択操作とは、例えばマウスを用いて右クリック操作した場合を想定するが、その限りではない。例えば、タッチパネル操作であった場合、クリック操作をタップ操作、右クリック操作をダブルタップ操作やホールド操作等に置き換えてもよい。その他、ユーザーインターフェースに応じた割り当てを、ステップS402の分岐に対して行うことができる。つまり、
図4に示した処理フローでは、HEIFファイルの選択方法の種類に応じて、HEIFファイルの再生処理ステップを変更する。
【0051】
ステップS401において、CPU102が、ユーザーインターフェース部108等を介したユーザー指示に基づいて、再生を行う画像ファイル(HEIFファイル)の指定を受け付ける。本処理は、
図2のステップ201の処理と同様である。次にステップS402において、CPU102は、ユーザーインターフェース部108等を介した、HEIFファイルの選択のためのユーザー操作(選択操作)を確認する。選択操作がクリック操作の場合、処理はステップS405へ進み、選択操作が右クリック操作の場合、処理はステップS403へ進む。ステップS403からステップS408の処理は、
図2におけるステップS203からステップS208の処理と同様である。なお、S403の前に
図2のS202と同様の処理を行い、Yesの場合にS403へ進み、Noの場合にS405に進むように構成されてもよい。なお、S402では、ユーザーの操作の種別以外の条件で判定が行われてもよい。例えば、S401でHEIFファイルが選択された場合に、CPU102が表示部107にポップアップメニューを出して、代表画像またはスライドショーで再生するかを選択させる方法を用いてもよい。また、メニュー画面などでHEIFファイルが選択された場合の表示方法として代表画像またはスライドショー再生を行うかを、あらかじめ、例えばユーザーに、選択させておく方法を用いてもよい。
【0052】
図9に、画像ファイル再生表示処理のフローチャートのさらに別の例を示す。本処理フローは、一度、代表画像であるプライマリ画像を表示した後のユーザー操作によって、再生表示の切り替えが必要な画像グループの表示を行う処理フローである。
【0053】
ステップS901において、CPU102が、ユーザーインターフェース部108等を介したユーザー指示に基づいて、再生を行う画像ファイル(HEIFファイル)の指定を受け付ける。本処理は、
図2のステップ201の処理と同様である。ステップS902において、情報処理装置100は、選択されたHEIFファイルに格納された代表画像となるプライマリ画像を表示する。本処理は、
図2のステップS205に示した処理と同様である。その後ステップS903において、CPU102がユーザーインターフェース部108を介したユーザーによる再生(表示)中の画像に対するクリック等の操作を検出すると、処理はステップS904へ進む。ステップS904において、
図2におけるステップS202同様に、メタデータ処理部106はHEIFファイルを解析し、再生表示の切り替えが必要な画像グループが格納されているかを判定する。再生表示の切り替えが必要な画像グループが格納されている場合(S904でYes)、処理はステップS905へ進み、格納されていない場合は(S904でNo)、処理を終了する。この際、情報処理装置100は、表示しているプライマリ画像の表示を継続してもよいし、プライマリ画像の表示自体、つまり選択したHEIFファイルの再生処理自体を終了してもよい。
【0054】
ステップS905において、CPU102は、表示部107に、再生する候補となる画像グループを表示させる。なお、本処理は
図2におけるステップS203の処理と同様の処理であるが、プライマリ画像は候補として表示しない。しなしながら、アプリケーションや再生処理装置によっては、本処理においてもプライマリ画像を表示候補として表示しても何ら問題ない。
【0055】
ステップS906において、情報処理装置100は、選択された画像グループに応じた再生表示を行い、処理を終了する。なお、表示の終了は、画像表示を終了する処理によって行われうる。ステップS905で表示した、再生する候補となる画像グループ以外が選択された場合は、情報処理装置100は、代表画像の表示のみを行ってもよい。すなわち、情報処理装置100は、画像グループに応じた表示処理をキャンセルしたこととして動作しうる。
【0056】
なお、本実施形態では、アプリケーション処理によって再生する画像または画像グループを決定する構成としたが、あらかじめファイル内に関連するメタデータを記述しておき画像グループを優先的に表示するか、第一優先画像を優先的に表示するかを決定できるようにしてもよい。その場合、専用のメタデータ構造を定義して行う方法や、UUID等を用いて専用のアプリケーション処理によって判別可能なメタデータを格納する方法が考えられる。またその他、現在のHEIF標準の規定を改め、第一優先画像に画像グループを指定可能とし、このようなアプリケーション等の判断を不要とする標準規定として定義することも考えられる。
【0057】
以上、本実施形態によればHEIFファイルに第一優先画像を示す識別子と、1つ以上の画像の所定の用途に応じたグループ識別情報がメタデータ格納領域に格納されているかを判定し、格納されていた場合に再生表示を切り替える必要があるグループであるかをさらに判定する。再生表示を切り替える必要があるグループであると判定した場合に、第一優先画像を表示するか、画像グループの用途に応じたグループの表示を行うかを決定し、決定した画像または画像グループを再生表示するように構成した。これにより、HEIFファイルを再生表示するにあたって画像グループがHEIFファイルに格納されていた場合にどの画像ないし画像グループを表示するかを決定可能となる。また再生する装置やアプリケーションの種別に応じて再生表示を切り替える必要があるか否かの判断を変更することで装置やアプリケーションに特化した判定処理を行うことが可能となる。
【0058】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0059】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0060】
100 画像ファイル作成装置、101 システムバス、102 CPU、103 RAM、104 ROM、105 符号化/復号化部、106 メタデータ処理部、107 表示部、108 通信制御部、109 ユーザーインターフェース部