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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240805BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240805BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G03G15/00 680
B41J29/00 D
H05K9/00 L
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020184300
(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公開番号】P2022074341
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】矢野 譲
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086332(JP,A)
【文献】特開2006-039025(JP,A)
【文献】特開2016-122765(JP,A)
【文献】特開平07-311221(JP,A)
【文献】特開2001-168549(JP,A)
【文献】特開2005-012713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
15/04-15/043
15/047
15/056
15/36
21/00-21/02
21/14-21/20
B41J 29/00
H04N 1/00
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を制御するコントローラと、
それぞれが前記コントローラと前記画像形成部との間で信号を伝送する、第1のフラットケーブルおよび第2のフラットケーブルと、
前記第1のフラットケーブルを被覆するシールド部と、
を備える画像形成装置であって、
前記第1のフラットケーブルは、第1部分と第2部分とを含み、
前記第1のフラットケーブルの前記第1部分は、前記第1のフラットケーブルの平面に交差する方向でみたときに、前記第2のフラットケーブルと重なり、
前記第1のフラットケーブルの前記第1部分の少なくとも一部は、前記シールド部によって被覆され、
前記第1のフラットケーブルの前記第2部分は、前記方向でみたときに、前記第2のフラットケーブルとは異なる位置に設置されるか、あるいは、前記第1部分と比して前記方向において前記第2のフラットケーブルから離間した位置に設置され、
前記第1のフラットケーブルの前記第2部分の少なくとも一部は、前記シールド部に対して露出しており、
前記第1のフラットケーブルの前記第1部分と前記第2部分とは連続しており、
前記第1部分との境界部から所定の距離内において、前記第2部分が前記シールド部に被覆されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1のフラットケーブルの前記第1部分の一部が、前記シールド部に対して露出している、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1のフラットケーブル、及び前記第2のフラットケーブルを固定するための複数の固定部材をさらに備え、
前記複数の固定部材は、
前記第1のフラットケーブル、及び前記第2のフラットケーブルのうち、前記第1のフラットケーブルだけを固定する第1の固定部材と、
前記第1のフラットケーブル、及び前記第2のフラットケーブルのうち、前記第2のフラットケーブルだけを固定する第2の固定部材と、
前記第1のフラットケーブル、及び前記第2のフラットケーブルの両方を固定する第3の固定部材と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、第1の色の画像を形成する第1の画像形成部と、前記第1の色とは異なる第2の色の画像を形成する第2の画像形成部と、を含み、
前記第1のフラットケーブルは前記第1の画像形成部に接続され、
前記第2のフラットケーブルは前記第2の画像形成部に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1のフラットケーブルに出力される信号、および前記第2のフラットケーブルに出力される信号の両方に対してなされる処理に付加して、前記第1のフラットケーブルに出力される信号に対して付加処理を行う画像処理部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記付加処理は、装置の固体番号をビデオ信号に埋め込む処理を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1のフラットケーブルの伝送する信号の周波数が、前記第2のフラットケーブルの伝送する信号の周波数よりも高い、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1のフラットケーブルの伝送する信号の振幅が、前記第2のフラットケーブルの伝送する信号の振幅よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記シールド部は、前記第1のフラットケーブルの前記第1部分のうち、前記第2のフラットケーブルに対向する第1面を被覆し、前記第1面とは反対側の第2面は被覆しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記シールド部は、前記第1のフラットケーブルの前記第1部分のうち、前記第2のフラットケーブルに対向する第1面、及び、前記第1面とは反対側の第2面の両方を被覆する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記シールド部は、金属薄膜によって形成され、かつ、グランドに接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットケーブルが設けられている画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置では、画像データ生成部と、画像データに基づいてデバイスを駆動するための駆動部とを接続するためにフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCと呼ぶ)が用いられている。FFCは、信号を伝送するための金属製の胴体が直線的に構成されているため、アンテナとして機能し、不要な輻射ノイズの放射源となりやすい。そのため、FFCに信号をドライブした時に周囲に磁界が発生し、近傍に配置された他のFFCと磁界が互いに作用し合い、信号線間にクロス結合が生じる。この現象は、クロストークと呼ばれる。特許文献1では、FFCから放射される輻射ノイズやクロストークを抑制するために、FFCに金属薄膜を接着し信号線をシールドすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-139946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カラー画像を形成する画像形成装置には、駆動部が色ごとに設けられる。複数設けられた駆動部は、比較的近傍に配置されるが、配置の制約上離れてしまう場合がある。そのため、すべての駆動部を1本のFFCで接続することが困難である。そこで複数のFFCを使用して、画像データ生成部とそれぞれの駆動部が接続される。近年、画像形成装置の小型化や多機能化に伴い、複数のFFCを並走させて配線経路の一部を共通化したいという設計上の要望がある。この場合、FFCの近傍に他のFFCが配置されるため、上記のようにクロストークが生じ、その意図しない電気信号が要因で誤動作が生じるおそれがある。これに対して特許文献1に記載のように全長がシールド処理されたFFCを用いると、信号線のインピーダンスが低下し、信号波形が劣化してしまうという課題がある。
【0005】
本発明によれば、複数のフラットケーブルを並走させて用いる場合に、信号の品質を保ちつつ、フラットケーブル間のクロストークを抑制し、デバイスを安定的に動作させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部を制御するコントローラと、それぞれが前記コントローラと前記画像形成部との間で信号を伝送する、第1のフラットケーブルおよび第2のフラットケーブルと、前記第1のフラットケーブルを被覆するシールド部と、を備える画像形成装置であって、前記第1のフラットケーブルは、第1部分と第2部分とを含み、前記第1のフラットケーブルの前記第1部分は、前記第1のフラットケーブルの平面に交差する方向でみたときに、前記第2のフラットケーブルと重なり、前記第1のフラットケーブルの前記第1部分の少なくとも一部は、前記シールド部によって被覆され、前記第1のフラットケーブルの前記第2部分は、前記方向でみたときに、前記第2のフラットケーブルとは異なる位置に設置されるか、あるいは、前記第1部分と比して前記方向において前記第2のフラットケーブルから離間した位置に設置され、前記第1のフラットケーブルの前記第2部分の少なくとも一部は、前記シールド部に対して露出しており、前記第1のフラットケーブルの前記第1部分と前記第2部分とは連続しており、前記第1部分との境界部から所定の距離内において、前記第2部分が前記シールド部に被覆されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のフラットケーブルを並走させて用いる場合に、信号の品質を保ちつつ、フラットケーブル間のクロストークを抑制し、デバイスを安定的に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の全体構成例を示す図である。
図2】ビデオ信号の伝送線路を示す図である。
図3】第1の実施形態に係るFFCの配置を示す斜視図である。
図4】第1の実施形態に係るFFCの配置を示す平面図である。
図5】第1の実施形態に係るFFCを示す平面図である。
図6】第2の実施形態に係るFFCの配置を示す斜視図である。
図7】第2の実施形態に係るFFCの配置を示す平面図である。
図8】第2の実施形態に係るFFCを示す平面図である。
図9】第3の実施形態に係るFFCの配置を示す斜視図である。
図10】FFC-YM121の信号波形を示す図である。
図11】FFC-CBk122の信号波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
本実施形態では、信号(例えば、画像信号)の伝送を行うFFC(フレキシブルフラットケーブル)が複数設けられている画像形成装置について説明する。
【0011】
〔画像形成装置の全体構成〕
図1は、画像形成装置の概略断面図である。本実施形態の画像形成装置100は、複数色のトナーを用いて画像形成を行うデジタルフルカラープリンターである。本実施形態では、画像形成装置の一例として、デジタルフルカラープリンターについて説明するが、画像形成装置は、デジタルフルカラープリンターに限定されず、コピー機能、ファクシミリ機能、またはこれらの機能を複数備えた複合機であってもよい。
【0012】
画像形成装置100は、色ごとに画像を形成する4つの画像形成部101Y,101M,101C,101Bkを備える。ここでのY,M,C,Bkは、それぞれイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックを表している。画像形成部101Y,101M,101C,101Bkはそれぞれ、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナーを用いて画像形成を行う。なお、本実施形態において、画像形成部101Y,101M,101C,101Bkは、電子写真方式により画像形成を行うが、インクジェット形式等他の印刷形式により画像形成を行っても構わない。
【0013】
画像形成部101Y,101M,101C,101Bkは、感光体としての感光ドラム102Y,102M,102C,102Bkを備える。感光ドラム102Y,102M,102C,102Bkの周囲には、帯電装置103Y,103M,103C,103Bk、光走査装置104Y,104M,104C,104Bk、及び現像装置105Y,105M,105C,105Bkがそれぞれ設けられる。また、感光ドラム102Y,102M,102C,102Bkの周囲には、ドラムクリーニング装置106Y,106M,106C,106Bkが配置されている。
【0014】
感光ドラム102Y,102M,102C,102Bkの下方には無端ベルト状の中間転写ベルト107(中間転写体)が配置されている。中間転写ベルト107は、駆動ローラ108と従動ローラ109及び110とに張架され、画像形成中は図中の矢印B方向に回転する。また、中間転写ベルト107を介して、感光ドラム102Y,102M,102C,102Bkに対向する位置には一次転写装置111Y,111M,111C,111Bkが設けられている。また、本実施形態の画像形成装置100は、中間転写ベルト107上のトナー像を記録材Pに転写するための2次転写装置112、及び記録材P上のトナー像を定着するための定着装置113を備える。
【0015】
ここで係る構成を有する画像形成装置100の帯電工程から現像工程までの画像形成プロセスを説明する。各画像形成部における当該画像形成プロセスは同一であるため、画像形成部101Yを例にして説明し、画像形成部101M,101C,101Bkにおける画像形成プロセスについては説明を省略する。
【0016】
まず画像形成部101Yの帯電装置103Yにより回転駆動される感光ドラム102Yを帯電する。帯電された感光ドラム102Y(像担持体上)は、光走査装置104Yから出射されるレーザ光によって露光される。光走査装置104Yは、コントローラ120とFFC-YM121(図2)により電気的に接続されている。FFCの接続や配置の詳細については後述する。光走査装置104Yは、コントローラ120により生成されたビデオ信号VDO-YZ(図2)に基づきレーザ光の点灯制御を行う。これによって、回転する感光体上に静電潜像が形成される。その後、該静電潜像は現像装置105Yによってイエローのトナー像として現像される。
【0017】
以下、転写工程以降の画像形成プロセスについて説明する。一次転写装置111Y,111M,111C,111Bkが転写ベルトに転写バイアスを印加する。これにより各画像形成部の感光ドラム102Y,102M,102C,102Bk上に形成されたイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像はそれぞれ中間転写ベルト107に転写される。これによって中間転写ベルト107上で各色のトナー像が重ね合わされる。
【0018】
中間転写ベルト107に4色のトナー像が転写されると、中間転写ベルト107上に転写された4色のトナー像は2次転写装置112にて、手差し給送カセット114または給紙カセット115から搬送されてきた記録材P上に再び転写(2次転写)される。そして、記録材P上のトナー像は定着装置113で加熱定着され、排紙部116に排紙され、記録体P上にフルカラー画像が得られる。
なお、転写が終了したそれぞれの感光ドラム102Y,102M,102C,102Bkは、ドラムクリーニング装置106Y,106M,106C,106Bkによって残留トナーを除去される。その後、上記の画像形成プロセスが引き続き行われる。
【0019】
〔ビデオ信号の伝送線路〕
次に、光走査装置104Y,104M,104C,104Bkがレーザ光の点灯制御を行う際に使用するビデオ信号について説明する。ビデオ信号は、画像信号の一例である。図2は、コントローラ120で生成された各色のビデオ信号が光走査装置104Y,104M,104C,104Bkに入力されるまでの伝送線路を示す図である。コントローラ120は、IC150及びIC-Y151で構成される。IC150は、画像データ生成部の一例であり、記録材P上に形成する画像情報に基づき、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックに分離された画像データ(以下、ビデオ信号VDO-Y,VDO-M,VDO-C,VDO-Bkと記す)を生成し、出力する。
【0020】
IC-Y151は、画像処理部の一例であり、IC150から出力される各色の画像データのうち、一部の色の画像データに対して特殊な画像処理を行う。特殊な画像処理としては、画像形成装置100の固体番号をビデオ信号に埋め込む処理等が挙げられる、本実施形態において、IC-Y151は、VDO-Yに対して特殊な画像処理を行う。従って、IC-Y151から出力されるビデオ信号VDO-YZは、IC150から出力されるビデオ信号と比較して周波数が高い。また、IC-Y151は、IC150よりもドライブ能力が高い。従って、VDO-YZは、IC150から出力されるビデオ信号と比較して振幅が大きい。そのため、VDO-YZは、VDO-M、VDO-C、及びVDO-Bkと比較して、ノイズ発生要因となりやすい。
【0021】
FFC-YM121は、コントローラ120とレーザドライバ基板-YM131に接続される。レーザドライバ基板-YM131、及び次に説明するレーザドライバ基板-CBk132は、駆動部の一例であり、レーザドライバICが実装されている。コントローラ120から出力されるVDO-YZ、及びVDO-Mは、FFC-YM121を経由し、レーザドライバ基板-YM131に入力される。レーザドライバ基板-YM131は、VDO-YZ、及びVDO-Mを、光走査装置104Y、及び光走査装置104Mに出力する。
【0022】
同様に、FFC-CBk122は、コントローラ120とレーザドライバ基板-CBk132に接続される。コントローラ120から出力されるVDO-C、及びVDO-Bkは、FFC-CBk122を経由し、レーザドライバ基板-CBk132に入力される。レーザドライバ基板-CBk132は、VDO-C、及びVDO-Bkを、光走査装置104C、及び光走査装置104Bkに出力する。
【0023】
以上のように、画像形成装置100には、画像形成部101Y、101Mを駆動する駆動部と、画像形成部101C、101Bkを駆動する駆動部とが別々に設けられ、コントローラ120からの画像データが対応する駆動部にそれぞれ伝送される。本実施形態では、各駆動部が離れて配置されているため、複数のFFC(FFC-YM121、及びFFC-CBk122)を用いて、コントローラ120と各駆動部とが接続されている。
【0024】
FFC-YM121、及びFFC-CBk122は、フラットケーブルの一例であり、長手方向に沿って平面状に所定間隔で並列配置した複数本の導線を絶縁膜で一体に被覆してなる。導線の本数は、例えば20~50本である。本実施形態において、FFC-YM121、及びFFC-CBk122は、薄いシート状であり、長手方向に折り曲げる方向に可撓性を有している。
【0025】
〔FFCの配置位置〕
次に、FFC-YM121、及びFFC-CBk122と周辺ユニットとの位置関係について説明する。図3は、FFC-YM121、及びFFC-CBk122の配置を示す斜視図である。また図4は、図3の構成を、図3に示すz軸の正方向から見たxy平面図である。
コントローラ120には、FFC-YM121を接続するためのコネクタ123、及びFFC-CBk122を接続するためのコネクタ124がそれぞれ設けられている。またレーザドライバ基板-YM131には、FFC-YM121を接続するためのコネクタ125が設けられている。またレーザドライバ基板-CBk132には、FFC-CBk122を接続するためのコネクタ126が設けられている。
【0026】
FFC-YM121の各端部を、コネクタ123、125にそれぞれ接続することにより、コントローラ120とレーザドライバ基板-YM131とが接続される。同様に、FFC-CBk122の各端部を、コネクタ124、126にそれぞれ接続することにより、コントローラ120とレーザドライバ基板-CBk132とが接続される。レーザドライバ基板-YM131は、光走査装置104Y、104Mに接続され、レーザドライバ基板-CBk132は、光走査装置104C、104Bkに接続される。
【0027】
図3に示すように、コネクタ124は、コネクタ123の近傍に設けられる。また、コネクタ126は、コネクタ125の近傍に設けられる。従って、複数のFFC(FFC-YM121、及びFFC-CBk122)の配線経路の途中で、経路が共通する部分が存在する。本実施形態では、この共通部分において、複数のFFCを互いに重ね合わせるように併設させる。これにより、FFCの位置を固定するための部材点数の減少や、個別経路の確保が不要となることから、低コスト化や省スペース化が実現できる。
なお、本実施形態の画像形成装置100では、2本のFFCが重ね合わせて用いられているが、重ね合わせて用いられるFFCの本数は2本に限られず、3本以上であってもよい。
【0028】
画像形成装置100の筐体を構成する板金の一部である板金170には、FFC-YM121、及びFFC-CBk122の配置を固定するための固定部材として、6個のFFCガイド140~145が取り付けられている。FFCガイド140~145は、非導電性の樹脂素材で構成された板状部材である。
FFCガイド140~143は、FFCの幅と同等の横幅を有しており、縦方向の一端部が板金170に取り付けられている。また、縦方向の他端部の近傍には、FFCの厚みよりやや幅広のスリットが形成されている。FFCガイド140~143の各スリットには、FFC-YM121が挿入される。これにより、FFC-YM121が、配線経路の途中で折り曲げられて、図3のd1及びb4を含む区間において、板金170から所定の距離を隔てて固定される。
【0029】
また、FFCガイド144、145は、それぞれ略L字形状を有しており、一端部が板金170に取り付けられ、その取り付け位置からx軸の負方向に延出し、板金170から所定距離隔てた位置で屈曲する。FFCガイド144は、その屈曲位置からz軸の正方向にFFCの幅と同等の長さで延出する。また、FFCガイド145は、その屈曲位置からy軸の正方向にFFCの幅と同等の長さで延出する。取り付け位置から屈曲位置までの距離は、FFCの厚みよりやや長い。これにより、FFCガイド144、145と板金170との間に、隙間が形成されて、これらの隙間に対して、FFC-CBk122が挿入される。これにより、FFC-CBk122が、図3のb1、b2、及びb3の区間において、板金170に接触又は近接した状態で固定される。
【0030】
FFCガイド142、143は、FFC-YM121のみを挿入して固定する。FFCガイド144、145は、FFC-CBk122のみを挿入して固定する。一方で、FFCガイド140、141は、FFC-YM121、及びFFC-CBk122を重ね合わせて挿入して固定する。そのため、図3のd1、d2、及びd3の区間では、FFC-YM121、及びFFC-CBk122が、重ね合わさるように併設されている。d1、d2及びd3の区間が、複数のフラットケーブルが併設されている区間に相当する。なお本実施形態において、重ね合わさるとは、フラットケーブルの平面が長手方向に沿って接触又は近接している状態を意味する。
【0031】
d1、d2、及びd3の区間では、FFC-YM121及びFFC-CBk122が並走しているため、磁界が互いに作用し合い、信号線間にクロストークが発生する。特に、VDO-YZが、上述の通りノイズ源となりやすいため、FFC-CBk122の信号線に干渉し、意図しない電気信号が発生する。
更に、b1、b2、及びb3の区間において、FFC-CBk122が板金170と接触しているため、干渉して発生した電気信号が板金170(金属部材)へ伝播し、板金170がアンテナとなり、不要な輻射ノイズが発生する。
【0032】
そこで、FFC-YM121は、d1、d2、及びd3の区間(図3の斜線部)において、シールド材で被覆されている。これにより、クロストークの発生や不要な輻射ノイズの放射が抑制される。一方で、シールド材で被覆される区間が長くなると、信号線のインピーダンスが低下し、FFC-YM121内部の信号波形が劣化する傾向にある。そこで、d1、d2、及びd3以外の区間では、FFC-YM121はシールド材で被覆されていない。即ち、FFC-YM121は、シールド材で被覆されたシールド部と、シールド材で被覆されていない非シールド部とを有する。これにより、伝送される信号の品質が保たれる。FFC-YM121は、第1のフラットケーブルの一例である。一方で、FFC-CBk122は、全区間において、シールド材で被覆されていない。FFC-CBk122は、第2のフラットケーブルの一例である。
【0033】
図5は、FFC-YM121を折らずに平面上に置いたときの状態を示す図である。図5(a)は、FFC-YM121の表面を示し、図5(b)はFFC-YM121の裏面を示す。図5(a)及び図5(b)では、実線が折り目を示し、斜線部がシールド材で被覆されている部分を示す。本実施形態では、シールド材として金属薄膜が用いられるが、電磁波遮蔽効果のある部材であれば、これに限られず他の部材によりシールドされていてもよい。表面と裏面の金属薄膜は、電気的に導通している。
【0034】
以上のような第1の実施形態では、FFC間が並走している箇所で、シールド処理がされている。これにより、他のFFCへ信号が干渉するのが抑制される。また、FFC間が並走してない箇所では、シールド処理がされていない。即ち、信号が干渉しやすい箇所に限りシールド処理がされている。従って、信号の品質を保ちつつ、FFC間のクロストークを抑制して、画像形成装置100の安定的な動作が実現できる。
【0035】
上述の第1の実施形態では、FFC-YM121がシールドされている例を説明したが、FFC-CBk122側や、FFC-YM121とFFC-CBk122の両方が、シールドされていてもよい。
【0036】
また、上述の第1の実施形態では、FFC-YM121の両面がシールド材で被覆されているが、抑えるべきクロストークの信号レベルが小さい場合、他のFFCと近い側の面のみがシールド材で被覆されていてもよい。
【0037】
更に、上述の第1の実施形態における、FFC-YM121に被覆されたシールド材を、画像形成装置100のグランドと接続するように構成してもよい。シールドとグランドを接続する方法としては、FFC-YM121の信号線の少なくとも1本をグランド線として使用し、絶縁膜を部分的に削りグランド線の金属部の一部を露出させ、その上からシールド材を接着する方法がある。また、FFCの信号線の少なくとも1本をグランド線として使用し、金属部が元々露出している端子部と接続する方法もある。ただし、後者の方法を用いる場合は、端子部がFFC-YM121に被覆されたシールド材の端部の近傍に設けられている必要がある。
【0038】
また、上述の第1の実施形態では、ビデオ信号VDO-YZの周波数や振幅が、他のビデオ信号(VDO-M、VDO-C、VDO-Bk)よりも大きくなるように構成されているが、この構成に限られず、他のビデオ信号と同等であってもよい。なお、この構成では、IC-Y151が不要となる。
更に、上述の第1の実施形態では、FFCを用いてビデオ信号が伝送されるように構成されているが、伝送される信号はビデオ信号に限られず、制御信号であってもよい。
【0039】
また、上述の第1の実施形態では、FFC-CBk122が板金170に接触するように構成されているが、これに限られず、FFC-YM121側やFFC-YM121とFFC-CBk122の両方が、板金170に接触するように構成されていてもよい。
【0040】
<第2の実施形態>
次に、図6図8を用いて、第2の実施形態の画像形成装置100について説明する。以下、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と同様の構成については、説明を割愛する。
【0041】
図6は、FFC-YM121、及びFFC-CBk122の配置を示す斜視図である。また図7は、図6の構成を、図6に示すz軸の正の方向から見たxy平面図である。図8は、FFC-YM121を折らずに平面上に置いたときの状態を示す図である。図8(a)は、FFC-YM121の表面を示し、図8(b)はFFC-YM121の裏面を示す。
【0042】
第2の実施形態では、第1の実施形態と比較すると、シールド材で被覆されている部分の長さ(シールド長)が異なる。具体的には、第1の実施形態に対して、シールド長は、レーザドライバ基板-YM131の方向に対して距離a延長され、コントローラ120の方向に対して距離b延長されている。即ち、第1の実施形態では、並走している箇所に限りシールドされていたが、第2の実施形態では、並走している箇所と並走していない箇所の境界部からの距離が所定距離内の並走していない箇所についても、シールド処理がされている。
【0043】
この理由としては、FFC間の空間距離が短い場合には、FFC同士が接触していない場合であっても、信号線間のクロストークが発生するためである。第2の実施形態では、FFC-YM121が、d1、d2、及びd3の区間に加えて、a及びbの区間でもシールドされている。これにより、クロストークが更に抑制できる。なお、第2の実施形態では、上記境界部からの距離が2mm以内の区間において、シールド処理されているが、信号を受信する受信回路の仕様等に応じて、適宜増減してもよい。
【0044】
<第3の実施形態>
次に、図9図11を用いて、第3の実施形態の画像形成装置100について説明する。以下、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と同様の構成については、説明を割愛する。
図9は、FFC-YM121、及びFFC-CBk122の配置を示す斜視図である。
第3の実施形態において、FFC-YM121は、d4、d2、及びd5の区間において、シールド材で被覆されている。d4はd1よりも短く、d5はd3よりも短い。即ち、第1の実施形態では、並走している箇所の全部がシールド処理されていたが、第3の実施形態では、並走している箇所の一部がシールド処理されている。
【0045】
図10は、FFC-YM121の信号波形を示している。図10(a)は、所定の信号の波形を示す図である。図10(b)は、第1の実施形態のFFC-YM121に、図10(a)の信号を入力したときの波形を示す図である。図10(c)は、第3の実施形態のFFC-YM121に、図10(a)の信号を入力したときの波形を示す図である。
【0046】
図10(b)と図10(c)を比較すると、図10(b)の立ち上がり時間Tbは、図10(c)の立ち上がり時間Tcより長い。これにより、シールドされる面積が大きい程、信号の立ち上がりが遅くなることがわかる。第3の実施形態において、FFC-YM121のシールド長d4、d5の長さは、光走査装置104Y、104Mの受信デバイスの要求仕様に応じて調整可能である。例えば、立ち上がり時間の要求仕様がTc以下である場合には、図10(c)の状態よりもシールド長d4、d5を更に短くする必要がある。
【0047】
図11は、FFC-CBk122の信号波形を示している。図11(a)は、所定の信号の波形を示す図である。図11(b)は、従来の構成、つまりFFC-YM121にシールド処理がされていない構成において、図11(a)の信号をFFC-CBk122に入力したときの波形を示す図である。図11(c)は、第3の実施形態のFFC-CBk122に、図11(a)の信号を入力したときの波形を示す図である。図11(b)及び図11(c)では、FFC-CBk122に図11(a)に示す信号が入力されている状態で、FFC-YM121には所定の信号が入力されている。
【0048】
図11(b)の波形は、FFC-YM121からのクロストークの影響が大きく、高周波且つ振幅の大きいノイズが重畳されている。重畳されたノイズが原因で、板金170等がアンテナとなり不要な輻射ノイズが高いレベルで放射されている。そのため、FFC-YM121にはシールド処理が必要となる。シールド長は長いほどクロストークの抑制効果が高くなる。しかし、シールド長が長すぎる場合、上述したように、光走査装置104Y、104Mの受信デバイスの要求仕様が満たされない場合がある。そこで、シールド長d4、d6を調整することにより、光走査装置104Y、104Mの受信デバイスの要求仕様を確保しつつ、クロストークが原因で発生する輻射ノイズのレベルをできる限り低下させることが可能になる。
【0049】
以上のような第3の実施形態では、FFC間が並走している箇所の一部において、シールド処理がされている。これにより、信号を受信するデバイスの要求仕様を確保しつつ、FFC間のクロストークが原因で発生する不要な輻射ノイズのレベルを低下させることができる。即ち、画像形成装置100の安定的な動作が可能になる。
【0050】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
100:画像形成装置、101Y,101M,101C,101Bk:画像形成部、120:コントローラ、121:FFC-YM、122:FFC-CBk、131:レーザドライバ基板-YM、132:レーザドライバ基板-CBk
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11