(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240805BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G03G15/00 680
G03G21/16 133
(21)【出願番号】P 2020200876
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】影山 千晴
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 智治
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-093599(JP,A)
【文献】特開2002-202698(JP,A)
【文献】特開2015-033776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
第一筐体と、前記第一筐体内に設けられ記録材にトナー像を形成する画像形成手段とを有する第一モジュール装置と、
前記第一筐体と連結自在に設けられ前記第一筐体から記録材を受け入れる第二筐体と、前記第二筐体内に設けられ前記第一筐体から受け入れた記録材に熱及び圧力を加えてトナー像を定着する定着手段とを有する第二モジュール装置と、
前記第一モジュール装置に設けられ、前記第一モジュール装置と前記第二モジュール装置とを電気的に接続するための電気接続線を着脱自在な電気接続部と、を備え、
前記電気接続部は、前記第一筐体と前記第二筐体とが連結された状態で、前記第一筐体において前記第二筐体に面する一面側に、前記第二筐体を前記第一筐体に連結する連結方向から見て、前記電気接続線とともに前記第二筐体の外装カバーよりも内側に位置するように、前記連結方向に前記第二筐体を投影した面内に設けられている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電気接続部は、前記電気接続線を接続する接続方向が前記連結方向と同じである、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一モジュール装置は、当該画像形成装置による記録材への画像形成に係る一連の動作を制御するための第一制御基板を有し、
前記第二モジュール装置は、前記定着手段を制御する第二制御基板を有し、
前記第一制御基板と前記第二制御基板とは、前記電気接続線が前記電気接続部に接続されることにより、前記第一制御基板による制御の下で前記第二制御基板による前記定着手段の動作を制御可能に電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記外装カバーは、前記第二筐体のフレームに着脱自在に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記外装カバーは、前記連結方向の下流端に前記第二筐体の内側に向けて立設されており、前記電気接続部を露出させると共に前記電気接続線を通すように形成された立設壁部を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置と、
前記第二筐体と連結自在に設けられ前記第二筐体から記録材を受け入れる第三筐体と、前記第三筐体内に設けられ前記第二筐体から受け入れた記録材に関し所定動作を実行する動作手段とを有する第三モジュール装置と、を備え、
前記第一筐体と前記第二筐体と前記第三筐体とが連結された状態で、前記第一モジュール装置と前記第三モジュール装置とを電気的に接続する別の電気接続線が、前記第二筐体の外装カバーにより覆い隠されるように前記第三モジュール装置から前記電気接続部まで配線され接続されている、
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いたプリンタ、複写機、ファクシミリあるいは複合機などの画像形成装置、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、記録材にトナー像を形成し、トナー像が形成された記録材を定着装置により加熱、加圧することによって、記録材にトナー像を定着している。最近では、商業印刷などの多量の記録材への印刷を短時間で済ますべく、印刷速度をより速くした画像形成装置が用いられている。こうした画像形成装置は、記録材に熱及び圧力を加えてトナー像を定着する定着装置が特に大型化される傾向にあり、それ故に画像形成装置も大型になる。そこで、輸送並びに設置の観点から、画像形成装置を機能に応じた複数のモジュール装置に分割して輸送し、設置時にこれらのモジュール装置が連結される(組み立てられる)ことで、設置先で画像形成装置として稼働できるようにしている(特許文献1)。また、画像形成装置には、例えば別体の給紙装置やフィニッシャ装置などのオプション装置が連結自在であり、オプション装置を追加して連結することで、使用者の要望に応じて画像形成装置の機能を拡張できるようにしている。こうしたモジュール装置(オプション装置を含む)は、例えば制御信号の送受信や電力供給を行うために電気的に接続されている。
【0003】
上記した画像形成装置の場合、各モジュール装置(詳しくは、制御信号の送受信や電力供給を行う電装系ユニット)は設置時に電気的に接続される。従来、電気的な接続やメンテナンスの容易さから、いずれかのモジュール装置(主モジュール装置と呼ぶ)に集約して他のモジュール装置(オプション装置を含む)を接続できるようにしている。即ち、主モジュール装置には複数の接続ポートを有する電気接続部が設けられ、他のモジュール装置は接続ケーブルが電気接続部に接続されることによって主モジュール装置と電気的に接続される。画像形成装置の場合、主に記録材にトナー像を形成する工程を担う画像形成モジュール装置と、それ以降の主に記録材にトナー像を定着する工程を担う定着モジュール装置とに大きく分割され、上記の電気接続部は画像形成モジュール装置に配設されている。これは、記録材への画像形成に必要な標準の電装系ユニットの多くが搭載される画像形成モジュール装置に、電気接続部を設けることで、使用者が他のモジュール装置との電気的な接続を容易に行えるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の場合、上記の電気接続部は使用者が画像形成装置を操作する正面と反対の背面に配設されていた。そのため、作業者は画像形成モジュール装置と定着モジュール装置とを電気的に接続する場合に、接続ケーブルを筐体の内側から外側(詳しくは背面カバーの外側)を這いまわすようにして電気接続部まで配線していた。この場合、電気接続部や接続ケーブルが露出したままであると、接続ケーブルが接続ポートから外れやすくなったりあるいは断線しやすくなったりするし、また電気接続部に塵や埃が溜まって電気的な故障や障害が生じやすくなる。
【0006】
そこで、電気接続部や接続ケーブルを覆い隠すようにして保護するために、背面カバーとは別に専用の保護カバーが設けられていた。しかしながら、電気接続部や接続ケーブルを覆い隠すために専用の保護カバーを用意するのはコストがかかるし、また作業者は設置時やメンテナンス時に背面カバー以外に保護カバーをわざわざ着脱しなければならず、手間がかかり面倒であった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み、複数のモジュール装置が連結された構成の場合に、複数のモジュール装置を電気的に接続するための電気接続部や接続ケーブルを、筐体の外装カバーとは別の保護カバーを用いずに保護できる画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成装置であって、第一筐体と、前記第一筐体内に設けられ記録材にトナー像を形成する画像形成手段とを有する第一モジュール装置と、前記第一筐体と連結自在に設けられ前記第一筐体から記録材を受け入れる第二筐体と、前記第二筐体内に設けられ前記第一筐体から受け入れた記録材に熱及び圧力を加えてトナー像を定着する定着手段とを有する第二モジュール装置と、前記第一モジュール装置に設けられ、前記第一モジュール装置と前記第二モジュール装置とを電気的に接続するための電気接続線を着脱自在な電気接続部と、を備え、前記電気接続部は、前記第一筐体と前記第二筐体とが連結された状態で、前記第一筐体において前記第二筐体に面する一面側に、前記第二筐体を前記第一筐体に連結する連結方向から見て、前記電気接続線とともに前記第二筐体の外装カバーよりも内側に位置するように、前記連結方向に前記第二筐体を投影した面内に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のモジュール装置が連結された構成の場合に、これらのモジュール装置を電気的に接続するための電気接続線と、電気接続線を着脱自在な電気接続部とを、筐体の外装カバーとは別の保護カバーを用いずに保護することが容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の画像形成システムを示す概略図。
【
図4】制御系基板について説明するための制御ブロック図。
【
図6】画像形成装置の背面側の一部を拡大して示す拡大図。
【
図7】背面カバーを取り外した定着モジュール装置を示す拡大図。
【
図8】(a)背面カバーを表面側から見た斜視図、(b)背面カバーを裏面側から見た斜視図。
【
図9】画像形成システムの他の実施形態を示す概略図。
【
図10】背面カバーを取り外した定着モジュール装置を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<画像形成システム>
本実施形態の画像形成装置を用いた画像形成システムの構成について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1に、正面から見た画像形成システム1Xの概略図を示した。なお、本明細書においては、画像形成システム1Xを動作させるため、使用者が後述の操作パネル400を操作する際に立つ側を「正面(正面側)」と呼び、その反対側を「背面(背面側)」と呼ぶ。
【0012】
図1に示す画像形成システム1Xは、記録材Sに画像を形成する画像形成装置100と、画像形成装置100に記録材Sを給送する大容量給送装置500とを備えている。本実施形態の場合、大容量給送装置500は、画像形成装置100の機能を拡張するために後付け可能なオプション装置の一例であり、画像形成装置100(詳しくは第一筐体200A)に連結されている。大容量給送装置500は記録材Sを収容可能な複数の記録材収容部501を有し、画像形成ジョブの開始に応じて選択されるいずれかの記録材収容部501から一枚ずつ記録材Sを画像形成装置100に給送する。記録材収容部501は、サイズや厚さの異なる記録材Sを収容可能である。これら画像形成装置100と大容量給送装置500は不図示の連結部材を用いた物理的な連結以外に、接続ケーブルによって電気的に接続されている。
【0013】
<画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。画像形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する画像形成部PY、PM、PC、PKが設けられている。画像形成装置100は、例えば重力方向の上方(矢印U方向)に設けられた原稿読取装置101からの画像信号、あるいは画像形成装置100と通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器からの画像信号に応じてトナー像を記録材Sに形成する。記録材Sとしては、普通紙、厚紙、ラフ紙、凹凸紙、コート紙等の用紙、プラスチックフィルム、布など、といった様々な種類のシート材が挙げられる。
【0014】
図1に示すように、画像形成部PY、PM、PC、PKは、中間転写ベルト8の移動方向に沿って並べて配置されている。中間転写ベルト8は、複数のローラに張架されて走行するように構成されている。そして、中間転写ベルト8は後述の感光ドラムから一次転写されるトナー像を担持して搬送する。中間転写ベルト8を張架するローラ9と中間転写ベルト8を挟んで対向する位置には、二次転写ローラ10が配置され、中間転写ベルト8上のトナー像を記録材Sに転写する二次転写部T2を形成している。
【0015】
画像形成装置100において、重力方向の下方(矢印D方向)には、記録材Sが収容された複数のカセット12が配置されている。カセット12は、サイズや厚さの異なる記録材Sを収容可能である。記録材Sは、画像形成ジョブの開始に応じて選択されるいずれかのカセット12から搬送ローラ13により一枚ずつレジストレーションローラ14に向けて搬送される。その後、レジストレーションローラ14が中間転写ベルト8上に形成されたトナー像と同期して回転開始されることにより、記録材Sは二次転写部T2に搬送される。なお、ここではカセット12や大容量給送装置500に収容された記録材Sを搬送して画像形成するものを示したが、これに限らず、例えば手差し給送部(不図示)に載置された記録材Sを搬送して画像形成できるようにしてもよい。
【0016】
画像形成装置100が備える画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、ここでは代表して画像形成部PKについて説明し、その他の画像形成部については説明を省略する。
【0017】
図2に示すように、画像形成部PKには、感光体として円筒型の感光ドラム1が配設されている。感光ドラム1は、矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には帯電装置2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラ5、クリーニング装置6が配置されている。
【0018】
画像形成動作が開始された場合、まず回転する感光ドラム1の表面が帯電装置2によって一様に帯電される。帯電装置2は、例えばコロナ放電に伴う荷電粒子を照射して感光ドラム1を一様な電位に帯電させるコロナ帯電器などである。次いで、感光ドラム1は、露光装置3から発せられる画像信号に対応したレーザ光Lにより走査露光される。これにより、感光ドラム1の表面に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム1に形成された静電潜像は、現像装置4内に収容されている現像剤(より詳しくはトナー)によって顕像化され、可視像となる。感光ドラム1に形成されたトナー像は、中間転写ベルト8を挟んで配置される一次転写ローラ5との間で構成される一次転写部T1にて、中間転写ベルト8に一次転写される。この際、一次転写ローラ5には一次転写バイアスが印加される。一次転写後に感光ドラム1の表面に残ったトナーは、クリーニング装置6によって除去される。
【0019】
図1に戻って、上記した動作をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部PY~PKで順次行い、中間転写ベルト8上でトナー像を重ね合わせる。その後、トナー像の形成タイミングにあわせて記録材Sが二次転写部T2に搬送される。そして、二次転写ローラ10に二次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト8上に形成されたトナー像が記録材Sに一括して二次転写される。なお、本実施形態の場合、上記した画像形成部PY~PK、一次転写ローラ5、中間転写ベルト8、ローラ9、二次転写ローラ10等により、記録材Sにトナー像を形成する画像形成ユニット105(画像形成手段)が構成されている。
【0020】
二次転写部T2の記録材搬送方向下流側には定着装置11が配置され、二次転写部T2を通過した記録材Sは搬送ユニット20により定着ユニット301へ向け搬送される。定着手段としての定着ユニット301は、回転自在に配設された定着ローラ301aと、定着ローラ301aに圧接しながら回転する加圧ローラ301bとを有する。定着ローラ301aは加圧ローラ301bに圧接された状態で、不図示の駆動モータにより回転される。定着ローラ301a内にはハロゲンヒータ(不図示)が配置されており、ハロゲンヒータにより定着ローラ301aの表面温度が上げられることで、定着ユニット301は記録材Sに熱及び圧力を加え得る。このように、定着ユニット301は、定着ローラ301aと加圧ローラ301bとによって形成された定着ニップにおいてトナー像が形成された記録材Sを挟持搬送することにより、搬送される記録材Sを加熱、加圧してトナー像を記録材Sに定着させる。その後、記録材Sは冷却ユニット302へ搬送される。
【0021】
冷却ユニット302は、第一ベルト302aと、第一ベルト302aと記録材Sを挟持して搬送する第二ベルト302bとを有している。また、冷却ユニット302は、第一ベルト302aを冷却するヒートシンク303を有している。ヒートシンク303は例えばアルミなどの金属で形成された放熱板であり、第一ベルト302aの内周面に当接するように配置されている。定着ユニット301によりトナー像が定着された記録材Sは、第一ベルト302aと第二ベルト302bとにより挟持搬送される。その際に、記録材Sは、第一ベルト302aと第二ベルト302bとが当接することにより形成される冷却ニップを通過する。記録材Sは冷却ニップを通過する際に第一ベルト302aを介して冷却されることで、例え第一ベルト302aに接触する前において記録材S上のトナーが溶融状態であったとしても、トナーは冷やされることにより記録材S上に固着される。
【0022】
本実施形態の画像形成装置100は、両面印刷可能である。片面印刷の場合、冷却ユニット302に冷却された記録材Sは、排紙ローラ304を含む複数の搬送ローラを有する搬送ユニット320によって装置本体外(詳しくは第二筐体300A外)へ排出される。他方、両面印刷の場合、冷却ユニット302に冷却された記録材Sは、搬送ユニット320によって両面反転搬送路390へ搬送される。両面反転搬送路390では、記録材Sが反転されることで記録材Sの表面と裏面とが入れ替えられる。反転された記録材Sは、レジストレーションローラ14に向けて搬送され、印刷されていない裏面側を中間転写ベルト8側に向けた状態で二次転写部T2に搬送される。二次転写部T2では、中間転写ベルト8上に形成されたトナー像が記録材S(裏面側)に二次転写される。その後、記録材Sは定着ユニット301によるトナー像の定着、冷却ユニット302による冷却が行われ、冷却後の記録材Sが装置本体外へ排出される。
【0023】
既に述べている通り、最近では商業印刷などの多量の記録材Sへの印刷を短時間で済ますべく、印刷速度をより速くした画像形成装置100が提案されている。ただし、そうした画像形成装置100は大型であるが故に、複数のモジュール装置に分割して輸送し、設置時にこれらのモジュール装置が連結されることで、設置先で画像形成装置として稼働し得るようにしている。本実施形態の画像形成装置100の場合、記録材Sにトナー像を形成するまでの第一工程を担う画像形成モジュール装置200と、第一工程に引き続き記録材Sにトナー像を定着する第二工程を担う定着モジュール装置300に大きく分割できるようにしている。
【0024】
これら画像形成モジュール装置200(第一モジュール装置)と定着モジュール装置300(第二モジュール装置)は、各々独立した筐体(第一筐体200A、第二筐体300A)を有し、それぞれに設けられた複数のキャスターによって移動可能である。第二筐体300Aは画像形成モジュール装置200から排出された記録材Sを受け入れ可能に、不図示の連結部材を用いて第一筐体200Aに連結自在である。そして、画像形成モジュール装置200と定着モジュール装置300とは、第一筐体200Aと第二筐体300Aとの物理的な連結以外に、電気接続線としての接続ケーブルを用いて電気的に接続される。こうすることにより、大型の画像形成装置100であっても、筐体毎に分離した状態で梱包や輸送を行うことが可能となり、作業者による設置作業の効率を向上させることができる。なお、画像形成モジュール装置200(第一筐体200A)に対する定着モジュール装置300(第二筐体300A)の物理的な連結方向は、
図1において「矢印L方向」である。
【0025】
そして、画像形成モジュール装置200には、画像形成ジョブ中に記録材Sが搬送途中で詰まったような場合に(所謂ジャム)、使用者が第一筐体200A内に詰まった記録材Sを取り除きやすいように、正面側に着脱自在な正面カバーが設けられている。他方、定着モジュール装置300にも、画像形成ジョブ中に記録材Sが搬送途中で詰まった場合に、使用者が第二筐体300A内に詰まった記録材Sを取り除きやすいように、正面側に着脱自在な正面カバーが設けられている。さらに、画像形成モジュール装置200、定着モジュール装置300にはそれぞれ、背面側に着脱自在な背面カバー(250、350)が設けられている(後述の
図5参照)。
【0026】
<電装系ユニット>
ところで、一般的に、画像形成装置100において制御信号の送受信や電力供給などが占める割合は、記録材Sにトナー像を形成するまで(つまり二次転写まで)の第一工程に係る割合が大きい。そのため、第一工程を担う画像形成モジュール装置200の第一筐体200A内(第一筐体内)には、できる限り多くの電装系ユニットが搭載される。
図3に、画像形成モジュール装置200を定着モジュール装置300の連結方向(
図1の矢印L方向)から見た模式図を示す。ただし、ここでは画像形成モジュール装置200において、第一筐体200Aのフレーム200Bから側面カバー210(
図6参照)を取り外した状態を示している。なお、
図3では、矢印Fで示す右側が「正面側」であり、矢印Bで示す左側が「背面側」である。
【0027】
図3に示すように、画像形成モジュール装置200には、使用者が操作しやすいように、操作パネル400が正面側に配設されている。他方、制御信号の送受信や電力供給などに関わる電装系ユニットは背面側にまとめて配設されている。画像形成モジュール装置200の電装系ユニットとして、例えば外部電源から電力供給を受けて電圧変換などを行う電源系基板230、モータ等を駆動する駆動系基板231、画像形成ジョブなどの制御信号(電気信号)を送受する主制御系基板232などがある。
【0028】
電源系基板230にはトランス等の重い物が実装され、それらはノイズ発信源となる虞があるため、金属板で囲まれて遮蔽シールドされている。それ故、電源系基板230は他の基板に比較すると重い。また、この電源系基板230には外部コンセントから給電するための電源コード240が接続されており、電源コード240は安全皮膜が厳重に施されて重くなるが故に、自重によって外部コンセントから外れやすい。そこで、電源系基板230の重さに起因する画像形成モジュール装置200の不安定さを改善するために、また電源コード240を外部コンセントから外れ難くするために、電源系基板230は重力方向下方(点線で囲む第一領域A)に配置されている。駆動系基板231は、其々の負荷に近い場所に配置して互いを繋ぐケーブル260の長さを短くするのが望ましいことから、第一筐体200A内において画像形成部PY~PK(
図1参照)の近くに配置されている(点線で囲む第二領域B)。
【0029】
主制御系基板232は、上記の電源系基板230や駆動系基板231を制御可能なものであるが、電装系ユニットの中でも特に放射ノイズの影響を受けやすい。そのために、主制御系基板232は、金属で形成されたコントローラボックスに収容され遮蔽シールドされた状態で、重力方向上方(点線で囲む第三領域C)に配置されている。コントローラボックスが略四隅にてフレーム200Bにビス固定されることで、主制御系基板232はフレーム200Bを介して電気的に接地されて、耐ノイズ性が向上される。また、本実施形態の場合、主制御系基板232は、定着モジュール装置300や大容量給送装置500(
図1参照)を制御し得る。
【0030】
<主制御系基板>
次に、主制御系基板232について、
図1及び
図3を参照しながら
図4を用いて説明する。第一制御基板としての主制御系基板232は、記録材Sへの画像形成に係る一連の動作を制御するために画像形成システム1X全体を制御する。主制御系基板232は、CPU71(Central Processing Unit)や、ROMやRAMなどのメモリ72などを有している。メモリ72には、例えば画像形成ジョブなどの各種プログラムや各種データ等が記憶される。CPU71はメモリ72に記憶されている各種プログラムを実行可能であり、各種プログラムを実行して画像形成モジュール装置200や定着モジュール装置300の動作を制御する制御信号、また大容量給送装置500の動作を制御する制御信号を送受し得る。なお、メモリ72は、各種プログラムの実行に伴う演算処理結果などを一時的に記憶することもできる。
【0031】
主制御系基板232には、上記した電源系基板230、駆動系基板231が接続されている他に、操作パネル400が接続されている。操作パネル400は、使用者による各種プログラムの開始指示や各種データ入力などを受け付け可能であり、各種画面を適宜に表示可能なタッチパネル式の液晶画面を有している。例えば、操作パネル400には、カセット12内の記録材Sの残量や、現像装置4内(
図2参照)の現像剤の残量、これらの残量が少ないことを警告するメッセージやこれらを補給する手順、画像形成に関する各種画面等が表示される。そして、主制御系基板232は使用者による操作パネル400へのタッチ操作に応じて、画像形成に関する情報として、例えば記録材Sのサイズや坪量、画像の濃度調整、出力枚数の設定入力や、画像形成ジョブの開始指示などを受け付ける。
【0032】
画像形成モジュール装置200と定着モジュール装置300とは、第一筐体200Aと第二筐体300Aとの物理的な連結以外に、接続ケーブル900が第一筐体200Aに設けられた電気接続部600に接続されることにより電気的に接続される。具体的に、定着モジュール装置300には、定着ユニット301、冷却ユニット302、搬送ユニット320を動作する定着制御基板310が搭載されている。これら定着ユニット301、冷却ユニット302、搬送ユニット320、定着制御基板310は、第二筐体300A内(第二筐体内)に配置される電装系ユニットである。
【0033】
第二制御基板としての定着制御基板310には、第一筐体200Aと第二筐体300Aの物理的な接続前に、使用者によって接続ケーブル900が繋げられる。この場合、使用者は場合によって劣化した接続ケーブル900を容易に交換することができるので好ましい。なお、定着制御基板310には予め接続ケーブル900が繋げられていてもよい。
【0034】
そして、画像形成モジュール装置200での画像形成動作にあわせて定着モジュール装置300を動作させるために、定着制御基板310は主制御系基板232に電気的に接続される必要がある。そのために、電気接続部600が第一筐体200A(
図1参照)に設けられている。接続ケーブル900が電気接続部600に接続されると、主制御系基板232は画像形成モジュール装置200の動作に加えて、定着制御基板310を制御して定着モジュール装置300の動作を制御できるようになる。
【0035】
ここで、従来の画像形成装置100Aにおける電気接続部600の配設位置について、
図11を用いて説明する。
図11は、画像形成装置100Aの従来例を示す上面図である。従来においても、画像形成モジュール装置200には電気接続部600が設けられ、定着モジュール装置300が接続ケーブル900により電気接続部600に接続されている。ただし、従来の場合、
図11に示すように、電気接続部600は画像形成モジュール装置200の背面に配設されていた。そこで、電気接続部600や接続ケーブル900を保護するために、電気接続部600や接続ケーブル900を覆い隠す専用の保護カバー700が設けられていた。作業者は画像形成装置100Aの設置時、接続ケーブル900を背面カバー350の外側に這いまわして電気接続部600まで配線する。その後、作業者は電気接続部600や接続ケーブル900を覆い隠すために、背面カバー350の外側に保護カバー700を取り付けていた。
【0036】
しかしながら、従来例のように、電気接続部600や接続ケーブル900を覆い隠すために、専用の保護カバー700を用意するのはコストがかかる。また、作業者は画像形成装置100Aの設置時やメンテナンス時あるいはジャムした記録材Sの取り除き時などに、画像形成モジュール装置200の背面カバー250、保護カバー700、背面カバー350を着脱しなければならず、手間がかかり面倒であった。
【0037】
そこで、本実施形態では、画像形成モジュール装置200と定着モジュール装置300とを電気的に接続する電気接続部600や接続ケーブル900を、第二筐体300Aの背面カバー350とは別の保護カバー700を用いずに保護できるようにした。以下、それを実現するための本実施形態の構成について、
図1及び
図3を参照しながら
図5乃至
図8(b)を用いて説明する。
【0038】
図5は画像形成システム1Xの背面側を示す概略図であり、
図6は画像形成装置100の背面側の一部を拡大して示す拡大図である。
図5及び
図6に示すように、画像形成モジュール装置200は背面側に背面カバー250が設けられ、定着モジュール装置300は背面側に背面カバー350が設けられている。背面カバー250は、画像形成モジュール装置200の背面側を定着モジュール装置300との連結部Jまで覆うことが可能な幅に形成されている。背面カバー350は、定着モジュール装置300の背面側を画像形成モジュール装置200との連結部Jを含めて覆うことが可能な幅に形成されている。
図6に示すように、背面カバー250は画像形成モジュール装置200のフレーム200Bに着脱自在にねじ等により固定され、背面カバー350は定着モジュール装置300のフレーム300Bに着脱自在にねじ等により固定されている。
【0039】
図7に、
図6に示した定着モジュール装置300から背面カバー350を取り外した場合を示す。
図7に示すように、電気接続部600には、定着モジュール装置300(詳しくは定着制御基板310)に繋げられた接続ケーブル900を着脱可能に、接続ポート610が複数設けられている。電気接続部600は、接続ポート610が定着モジュール装置300側に向くようにして、定着モジュール装置300に面する側面カバー210側(一面側、連結面側)に配設されている。つまり、電気接続部600は、定着モジュール装置300の接続ケーブル900の接続方向が、第一筐体200Aに対する第二筐体300Aの物理的な連結方向(矢印L方向)と同じになるように配設されている。こうすることにより、使用者が接続ケーブル900を電気接続部600の接続ポート610に容易に接続できるようにしている。なお、側面カバー210には、接続ポート610を露出させる開口が形成されている。
【0040】
本実施形態の場合、電気接続部600は耐ノイズ性を確保するために、画像形成モジュール装置200の第三領域C(
図3参照)に配設されている。そして、電気接続部600は画像形成装置100に対する定着モジュール装置300の連結方向(矢印L方向)から見て、第三領域C(
図3参照)且つ定着モジュール装置300(詳しくは第二筐体300A)を投影した投影面G内に設けられる。言い換えれば、画像形成モジュール装置200と定着モジュール装置300とが連結された状態で、電気接続部600は定着モジュール装置300の背面カバー350(
図6参照)の裏面を通る仮想面よりも、第一筐体200Aの内側に位置するように配設される。
【0041】
なお、電気接続部600は第三領域C(
図3参照)に配設されなくてもよく、場合によっては第一領域Aや第二領域B(
図3参照)に配設されてもよい。ただし、そうした場合でも、電気接続部600は上記したように第一筐体200Aの内側に配設される必要がある。
【0042】
図8(a)及び
図8(b)に、外装カバーとしての背面カバー350を示す。
図8(a)は背面カバー350を表面側から見た斜視図であり、
図8(b)は背面カバー350を裏面側から見た斜視図である。背面カバー350は、例えば樹脂や金属などによって形成されている。
図8(a)及び
図8(b)に示すように、背面カバー350は、連結方向(矢印L方向)の下流端側に裏面側に向け概ね直角に曲げられたように形成された第一曲げ部350aを有している。また、上端側には、立設壁部としての第一曲げ部350aと同様に裏面側に向け概ね直角に曲げられたように形成された第二曲げ部350bを有している。これら第一曲げ部350aと第二曲げ部350bとは、背面カバー350の曲げ強度を向上させるために形成される。第一曲げ部350aは、電気接続部600を避けるように切り欠いた形状に形成されることで、接続ケーブル900を電気接続部600に接続するために、第二筐体300Aの内から外へ接続ケーブル900を引き出し可能な接続用開口350cを有している。
【0043】
本実施形態において、画像形成モジュール装置200と定着モジュール装置300との電気的な接続は、
図7に示すように、背面カバー350(
図6参照)を取り外した状態で行える。第二筐体300A内では、接続ケーブル900がワイヤーサドル等の固定部材106により固定されている。そして、接続ケーブル900の一方の先端が電気接続部600に接続される。その後、背面カバー350は、接続用開口350c(
図8(a)参照)によって接続ケーブル900を避けるようにして取り付けられる。これにより、
図6に示すように、電気接続部600と接続ケーブル900とは背面カバー350に覆い隠されて、背面カバー350によって保護される。
【0044】
以上のように、画像形成モジュール装置200には、定着モジュール装置300を接続ケーブル900により電気的に接続するための電気接続部600が、定着モジュール装置300に隣接する側面カバー210側に配設されている。そして、本実施形態の場合、電気接続部600は、画像形成モジュール装置200に対する定着モジュール装置300の連結方向から見て第二筐体300Aを投影した面内(投影面G内、
図3参照)に設けられている。こうすると、定着モジュール装置300の背面カバー350は、第二筐体300A内に配置される電装系ユニット(定着ユニット301、定着制御基板310、搬送ユニット320)等を覆うと共に、電気接続部600及び接続ケーブル900を覆うこととなる。つまり、電気接続部600と接続ケーブル900とは背面カバー350に覆い隠されて、背面カバー350によって保護される。
【0045】
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態では、側面カバー210に接続ポート610を露出させるための開口が形成されている例を示したが(
図7参照)、これに限らない。側面カバー210には、上記の開口が形成されていなくてもよい。その場合、作業者が設置時に側面カバー210を取り外して電気接続部600を露出させればよい(取り外した側面カバー210は再装着しない)。また、そうする場合には、画像形成モジュール装置200に隣接する側の定着モジュール装置300の側面カバー(不図示)を取り外して、第一筐体200Aと第二筐体300Aとを物理的に連結するとよい。こうすると、画像形成時に生じる熱による第一筐体200A内の温度や第二筐体300A内の温度の上昇を防止すべく、第一筐体200Aと第二筐体300Aとの間で空気の流れを生じさせることが一台の送風器などで容易に実現できるので好ましい。
【0046】
ところで、画像形成装置100に後付け可能なオプション装置には、後述のセンシング装置、記録材Sを針閉じするステイプル装置、記録材Sにパンチ孔をあける穿孔装置、記録材Sを製本するバインダ装置、多量の記録材Sを積載するスタッカ装置などもある。これらオプション装置は画像形成装置100の記録材搬送方向下流側に連結自在なものが数多くラインアップされており、使用者はこれらのオプション装置を適宜に組み合わせて用いることができる。使用者はオプション装置を増やすことによって、画像形成装置100の機能を拡張することができる。
【0047】
図9に、オプション装置の一例として、画像形成装置100の記録材搬送方向下流側にセンシング装置800(第三モジュール装置)を連結した画像形成システム1XAを示す。また、
図10に、
図9に示した定着モジュール装置300から背面カバー350(
図6参照)を取り外した場合を示す。なお、画像形成システム1XAにおける画像形成装置100と大容量給送装置500は、上述した画像形成システム1X(
図1参照)における画像形成装置100と大容量給送装置500と同じ構成であることから、ここでは説明を省略する。
【0048】
図9に示すように、センシング装置800は画像形成装置100の記録材搬送方向下流側に、画像形成装置100100から排出される記録材Sを受け入れ可能に配置されている。センシング装置800は所定動作として、記録材Sを搬送し、記録材Sの片面もしくは両面に形成されたトナー像を読み取る動作を行うことができるオプション装置である。センシング装置800は第三筐体800A内(第三筐体内)に、記録材Sに形成されたトナー像を読み取る読取ユニット801と、記録材Sを搬送する搬送ユニット802と、それらを動作させるセンシング制御基板810(第三制御基板)とを有している。
【0049】
画像形成装置100は、動作手段としての読取ユニット801が読み取ったトナー像の信号に基づいて、記録材Sに形成された実際のトナー像の濃度や位置と、画像形成のために用いられる元の画像信号とのずれを検出して、以降の画像信号を補正し得る。なお、上記のステイプル装置、穿孔装置、バインダ装置、スタッカ装置などが、センシング装置800の記録材搬送方向下流側にさらに連結されていてもよい。
【0050】
センシング装置800は画像形成装置100から記録材Sを受け取るために、第三筐体800Aが第二筐体300Aに物理的に連結され、また読み取ったトナー像の信号を画像形成装置100に送信するため、画像形成装置100と電気的に接続される。本実施形態の場合、センシング制御基板810が電気接続部600を介して主制御系基板232(
図4参照)と電気的に接続される。そうするため、
図10に示すように、センシング制御基板810に繋がれている接続ケーブル910が、電気接続部600の接続ポート620に接続される。なお、電気接続部600は、センシング装置800の接続ケーブル910の接続方向が、第二筐体300Aに対する第三筐体800Aの物理的な連結方向(矢印L方向)と同じになるように配設されている。
【0051】
第二筐体300A内では、接続ケーブル910がワイヤーサドル等の固定部材106により固定される。接続ケーブル910は、接続ケーブル900と同様に電気接続部600とともに背面カバー350に覆い隠されて、背面カバー350によって保護される。
【符号の説明】
【0052】
100…画像形成装置、105…画像形成手段(画像形成ユニット)、200…第一モジュール装置(画像形成モジュール装置)、200A…第一筐体、232…第一制御基板(主制御系基板)、300…第二モジュール装置(定着モジュール装置)、300A…第二筐体、300B…フレーム、301…定着手段(定着ユニット)、310…第二制御基板(定着制御基板)、350…外装カバー(背面カバー)、350a…立設壁部(第一曲げ部)、600…電気接続部、800…第三モジュール装置(センシング装置)、800A…第三筐体、801…動作手段(読取ユニット)、900(910)…電気接続線(接続ケーブル)、S…記録材