(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】平坦化装置、平坦化方法及び物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240805BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01L21/30 578
H01L21/30 502D
B29C59/02 Z
(21)【出願番号】P 2020205114
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】森田 有貴
(72)【発明者】
【氏名】近藤 洋之
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-180535(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213571(WO,A1)
【文献】特開2020-047649(JP,A)
【文献】特開2007-118552(JP,A)
【文献】特開2017-170911(JP,A)
【文献】特開2010-269580(JP,A)
【文献】国際公開第2010/143303(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0332021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/00
B29C 53/00-53/84,57/00-59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型を用いて基板上の組成物を平坦化する平坦化装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
型を保持する型保持部と、
前記基板保持部および前記型保持部を駆動する駆動部と、
前記基板と組成物を介して接している前記型の一部を
、前記基板の切り欠き部を介して押圧して
、前記基板と前記型とを離型させる押圧部材と、
前記押圧部材の位置
を制御する制御部と、
を有
し、
前記組成物を介して接している前記基板と前記型を前記基板保持部が保持していない状態で前記制御部が前記押圧部材の位置を制御した後に、前記組成物を介して接している前記基板と前記型を前記基板保持部に配置し、
前記基板保持部に配置された、前記組成物を介して接している前記基板と前記型に対して、前記押圧部材が前記基板の切り欠き部を介して前記型の一部を押すことを特徴とする平坦化装置。
【請求項2】
前記押圧部材は前記基板に接触せずに前記型を押すことを特徴とする請求項1に記載の平坦化装置。
【請求項3】
前記基板保持部に配置された基板の切り欠き部と前記押圧部材の位置とが一致していない場合に前記押圧部材の位置を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の平坦化装置。
【請求項4】
前記基板の切り欠き部の位置を検出する検出部をさらに有し、
前記制御部は、前記基板上の組成物と前記型とが接触している状態で、前記検出部により前記切り欠き部の位置を検知し、当該切り欠き部の位置と前記押圧部材の位置と
を一致させるように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記基板保持部の一部として設けられており、
前記制御部は、前記駆動部に前記基板保持部を移動させることにより、前記押圧部材の位置が所定の位置となるように調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項6】
前記制御部は、組成物を介して接した基板と型を前記型保持部で保持している状態で、前記駆動部に前記基板保持部を移動させることを特徴とする請求項5に記載の平坦化装置。
【請求項7】
前記制御部は、組成物を介して接した基板と型を基板搬送部で保持している状態で、前記駆動部に前記基板保持部を移動させることを特徴とする請求項5に記載の平坦化装置。
【請求項8】
前記押圧部材を駆動する押圧部材駆動部をさらに有し、
前記制御部は、前記押圧部材駆動部を移動させることにより、前記押圧部材の位置が所定の位置となるように調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項9】
前記組成物を硬化する硬化部をさらに有し、
前記制御部は、前記基板上の組成物と前記型とが接触している状態で前記硬化部により前記組成物を硬化させた後に、前記押圧部材の位置が所定の位置となるように調整することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の平坦化装置。
【請求項10】
型を用いて基板上の組成物を平坦化する平坦化方法であって、
前記基板上の組成物に前記型を接触させる接触工程と、
前記組成物を介して接している前記基板と前記型を基板保持部が保持していない状態で押圧部材の位置が所定の位置となるように調整する調整工程と、
前記調整工程の後に、前記組成物を介して接している前記基板と前記型を前記基板保持部に配置する工程と、
前記基板保持部に配置された、前記組成物を介して接している前記基板と前記型に対して、前記押圧部材が前記基板の切り欠き部を介して前記型の一部を押
して、前記組成物から前記型を離す離型工程と、
を有することを特徴とする平坦化方法。
【請求項11】
請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の平坦化装置を用いて、基板上の組成物を平坦にする工程と、
前記工程で平坦にされた組成物を有する前記基板を加工する工程と、を含み、
前記加工された前記基板から物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦化装置、平坦化方法及び物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の要求が進み、従来のフォトリソグラフィー技術に加えて、基板上の未硬化の組成物を型で成形して硬化させ、基板上に組成物のパターンを形成する微細加工技術が注目されている。かかる技術は、インプリント技術と呼ばれ、基板上に数ナノメートルオーダーの微細なパターンを形成することができる。
【0003】
また、近年、インプリント技術を用いて基板を平坦化処理する技術が提案されている(特許文献1)。このようなインプリント技術を用いた平坦化処理装置の構成の一つとして、二つの処理部で構成されているものがある(特許文献2)。まず一方の処理部(以下、「処理部1」と表記する)にて、基板(ウエハ)上の全面に紫外線により硬化する光インプリント材(以下、「硬化性組成物」と表記する)を塗布する。次にもう一方の処理部(以下、「処理部2」と表記する)へ基板を搬送後、処理部2にて、基板上に塗布された硬化性組成物を、平坦面を有するテンプレートに接触させる(押印する)ことにより成形する。そして、硬化性組成物を、平坦面を有するテンプレートに接触させた状態で紫外線を照射し(露光し)、硬化させる。硬化後にテンプレートを硬化膜から離す(離型する)。上記の処理過程を経ることで、テンプレートの有する平坦面が基板に転写された状態で、基板上に硬化膜が形成され、基板の平坦化処理を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような平坦化装置では、インプリント装置に比べて大きな面積で基板上の組成物と型を接触させてから離すために離型力が大きくなることが分かっている。離型力が大きくなると離型動作自体を正常に行うことができなかったり、無理やり離型を行うことで基板上の組成物が正常に平坦化されなかったりすることが懸念される。そのため、安定的に離型を行うために、基板上の硬化物と接している型をプッシュピン(押圧部材)などで基板側から押し上げることで離型開始点を設け、離型を安定的にすることが検討されている。しかし位置ずれなどによりプッシュピンが確実に型を押し上げることができない可能性がある。
【0006】
そのため、本実施形態においては、押圧部材を用いて、基板上の組成物からの型を安定的に離型できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての平坦化装置は、型を用いて基板上の組成物を平坦化する平坦化装置であって、基板を保持する基板保持部と、型を保持する型保持部と、前記基板保持部および前記型保持部を駆動する駆動部と、前記基板と組成物を介して接している前記型の一部を、前記基板の切り欠き部を介して押圧して、前記基板と前記型とを離型させる押圧部材と、前記押圧部材の位置を制御する制御部と、を有し、 前記組成物を介して接している前記基板と前記型を前記基板保持部が保持していない状態で前記制御部が前記押圧部材の位置を制御した後に、前記組成物を介して接している前記基板と前記型を前記基板保持部に配置し、前記基板保持部に配置された、前記組成物を介して接している前記基板と前記型に対して、前記押圧部材が前記基板の切り欠き部を介して前記型の一部を押すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、押圧部材を用いて、基板上の組成物から型を安定的に離型させることができる構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】平坦化装置における平坦化処理を説明するための図である。
【
図3】本発明に係る基板保持部の構成を示す概略図である。
【
図4】本発明に係るテンプレート保持部の構成を示す概略図である。
【
図5】プッシュピンを用いた離型処理を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態における平坦化処理のフローチャートである。
【
図7】第1実施形態における離型処理を説明するための図である。
【
図8】第2実施形態における平坦化処理のフローチャートである。
【
図9】第2実施形態における離型処理を説明するための図である。
【
図10】第3実施形態における平坦化処理のフローチャートである。
【
図11】第3実施形態における離型処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、平坦化装置100の構成を示す概略図である。
図1(a)はY軸側から平坦化装置100を見た図であり、
図1(b)はX軸側から平坦化装置100を見た図である。平坦化装置100は、基板1の上に硬化性組成物を成形する成形処理を行うように構成される。具体的には、第1処理部101と第2処理部102と、基板搬送処理部220とテンプレート搬送処理部320から構成される。
【0012】
第1処理部101では、基板1の上に硬化性組成物を塗布する塗布工程を実施する。第2処理部102では、基板1の上の硬化性組成物とテンプレート11を接触させる接触工程と、テンプレート11を接触させた状態で硬化組成物を硬化させる硬化工程、硬化後の硬化性組成物とテンプレート11を離型する離型工程を実施する。平坦化層成形処理では、上記の工程を順次行う。なお、本発明においては、第1処理部101と第2処理部102とを用いた例で説明を行うが、1つの処理部で行うように設けてもよい。
【0013】
本明細書および添付図面では、基板1の表面に平行な方向をXY平面とするXYZ座標系において方向を示す。XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸にそれぞれ平行な方向をX方向、Y方向、Z方向とし、X軸回りの回転、Y軸回りの回転、Z軸回りの回転をそれぞれθX、θY、θZとする。X軸、Y軸、Z軸に関する制御または駆動は、それぞれX軸方向に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向に関する制御または駆動を意味する。また、θX軸、θY軸、θZ軸に関する制御または駆動は、それぞれX軸に平行な軸の周りの回転、Y軸に平行な軸の周りの回転、Z軸に平行な軸の周りの回転に関する制御または駆動を意味する。また、位置は、X軸、Y軸、Z軸の座標に基づいて特定されうる情報であり、姿勢は、θX軸、θY軸、θZ軸の値で特定されうる情報である。アライメントは位置および/または姿勢を制御することを意味する。アライメントは、基板1およびテンプレート11の少なくとも一方の位置および/または姿勢の制御を含みうる。また、アライメントは、基板1およびテンプレート11の少なくとも一方の形状を補正あるいは変更するための制御を含みうる。
【0014】
硬化性組成物には、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱などが用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光である。
【0015】
硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物である。このうち、光により硬化する光硬化性組成物は、重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有し、必要に応じて非重合性化合物または溶剤を含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。硬化性組成物は、スピンコーターやスリットコーターにより基板上に膜状に付与される。あるいは、硬化性組成物は、液体噴射ヘッドにより、液滴状、あるいは複数の液滴が繋がってできた島状または膜状となって基板上に付与されてもよい。硬化性組成物の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
【0016】
平坦化装置100は、平坦面11aを有するテンプレート(型、スーパーストレートとも称する)を使用し、基板1の上に硬化性組成物によって平坦化膜(平坦化層)を形成することができる。この場合、平坦面11aが硬化性組成物に接触した状態で硬化性組成物が硬化される。このような平坦化装置では、他のインプリント装置などで設けられる基板上の複数のショット領域に対して平坦化膜が一括して形成され、テンプレートと基板とは略同一の大きさで設けられていることが好ましい。なお、部分的にパターンを有するテンプレート11を使用することもでき、本発明においては、平坦化装置を例に説明を行うが、もちろんインプリント装置に適用することもできる。
【0017】
基板1は、例えば、シリコンウエハが代表的な基材であるが、これに限定されるものではない。基板1は、アルミニウム、チタン―タングステン合金、アルミニウム―ケイ素合金、アルミニウム―銅―ケイ素合金、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの半導体デバイス用基板として知られているものの中からも任意に選択することができる。なお、基板1には、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜などの表面処理により密着層を形成し、硬化性組成物との密着性を向上させた基板を用いてもよい。なお、基板1は、典型的には、直径300mmの円形であるが、これに限定されるものではない。
【0018】
テンプレート11は、硬化エネルギーとして光を用いる場合には当該硬化光を透過する材料で構成する必要がある。テンプレート11は、例えば、ガラス、石英、PMMA(Polymethyl methacrylate)、ポリカーボネート樹脂などの光透過性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、および、金属膜の少なくとも1つで構成される。
【0019】
テンプレート11は、基板の大きさと略同一な300mmの直径の円形とすることが好ましいが、基板よりも多少大きくてもよいし、これに限られない。また、テンプレート11の厚さは、一例では、0.25mm以上2mm未満でありうるが、基板上に載置した際に表面形状に倣う剛性を有していればこれに限られない。
【0020】
次に、
図1を用いて第1処理部101、第2処理部102の構造について説明する。以下、硬化用のエネルギーとしてUV光が使用される例を用いて説明を行う。その際硬化性組成物は、例えば、アクリレートまたはメタクリレートのようなモノマーを採用することができる。
【0021】
第1処理部101、第2処理部102は、
図1に示すようにそれぞれ、基板保持部2(基板チャック2)と、基ステージ駆動部31と、ベース定盤5と、支柱6と、天板7と、を有している。
【0022】
第1処理部101ではさらに、基板ステージ3と、ディスペンサ20(液滴供給部)を有する。第2処理部102ではさらに、基板ステージ4と、ガイドバープレート8と、ガイドバー9と、ヘッド駆動部10と、テンプレート保持部12と、ヘッド13を有する。また、第2処理部102は、オフアクシスアライメント(OA)スコープ21と、アライメントスコープ22と、露光部23(硬化部)と、光源24と、洗浄部33と、検出部300を有する。また、第2処理部102では、基板ステージ4に、プッシュピン14(押圧部材)が備えられている。さらに平坦化装置100は、基板搬送処理部220と、基板搬送部25と、テンプレート搬送処理部320と、入力部34と、制御部200を有している。
【0023】
基板保持部2は、真空チャックまたは静電チャックなどのチャックを含み、チャックによって基板1を保持する。基板ステージ3および基板ステージ4は、ベース定盤5に支持され、基板保持部2を保持する。また、基板ステージ3および基板ステージ4は、基板保持部2に保持された基板1を所定の位置に位置決めするために、X軸方向およびY軸方向に駆動される。ステージ駆動部31は、例として、リニアモータやエアシリンダなどを含み、基板ステージ3および基板ステージ4を少なくともX軸方向およびY軸方向に駆動させる。また、ステージ駆動部31は、基板ステージ3および基板ステージ4を2軸以上の方向(例えば、6軸方向)に駆動する機能を有していてもよい。また、ステージ駆動部31は、回転機構を含み、基板保持部2または基板ステージ3および基板ステージ4をθZ軸に関して駆動させる。
【0024】
テンプレート保持部12は、真空チャックまたは静電チャックなどのチャックを含み、チャックによってテンプレート11を保持する。ヘッド13は、テンプレート保持部12(型保持部)を保持する。ヘッド駆動部10は、ヘッド13を駆動することによってテンプレート保持部12を駆動し、テンプレート11を駆動する。ヘッド駆動部10は、テンプレート11を複数の軸について駆動するように構成されてもよい。
【0025】
ベース定盤5には、天板7を支持する支柱6が配置される。また、第2処理部102に構成されるガイドバー9は、天板7を貫通するように配置され、ガイドバー9の一端は、ガイドバープレート8に固定され、他端はヘッド13に固定される。ヘッド駆動部10は、ガイドバー9を駆動することによってヘッド13をZ軸方向に駆動する。これにより、テンプレート保持部12によって保持されたテンプレート11を基板1上の硬化性組成物に接触させたり、基板1上の硬化性組成物からテンプレート11を離型させたりすることができる。ヘッド駆動部10は、ヘッド13をZ軸以外の軸に関して駆動する機構を含んでいてもよい。あるいはヘッド駆動部10は、ヘッド13を複数の軸(例えば、θX軸、θY軸、Z軸の3軸、あるいは、X軸、Y軸、Z軸、θX軸、θY軸、θZ軸の6軸)に関して駆動する機構を含みうる。
【0026】
基板搬送処理部220は、搬送ハンドなどを含む基板搬送部25や、平坦化装置100の外部から搬入された基板や、処理部で処理された基板を一時的に収容可能な不図示の基板収容棚を有している。基板搬送部25は、基板収容棚と第1処理部101と第2処理部102との間で基板を搬送できるように設けられている。テンプレート搬送処理部320は、搬送ハンドなどを含むテンプレート搬送部32によって、平坦化装置100の外部から搬入されたテンプレートを一時的に収容可能な不図示のテンプレート収容棚を有している。なお、このような収納棚に代えて、搬送可能な収納部が構成されていてもよい。
【0027】
第1処理部101に設けられるディスペンサ20(供給部)は、基板1上に未硬化(液状)の硬化性組成物を配置あるいは供給する。ディスペンサ20は、例えば、硬化性組成物を吐出する吐出口(ノズル)を含みうる。ディスペンサ20は、例えば、ピエゾジェット方式またはマイクロソレロイド方式などの方式によって基板1の上に微小体積(例えば、1ピコリットル)の硬化性組成物の液滴を供給する。ディスペンサ20に設けられる吐出口の数は、特定数に限定されるものではなく、1つであってもよいし、複数あってもよい。一例において、ディスペンサ20は、100以上の吐出口を有する。そのような複数の吐出口の配置は、例えば、1又は複数のライン状に配置される。
【0028】
基板ステージ4に設けられたプッシュピン14は、基板1上の硬化性組成物からテンプレート11を離型させる際の、補助機能としての役割を持つ。具体的には、テンプレート11を離型する際に、基板1の有するノッチやオリエンテーションフラットなどの切り欠き部の隙間領域から、テンプレート11に向けて、プッシュピン14を突出させる。基板保持部で基板を保持している状態でプッシュピン14を突出させてテンプレートを押圧することにより、テンプレート11が基板1から離れる方向に力が加わり、テンプレート11の離型工程の補助を行うことができる。
【0029】
アライメントスコープ22は、基板ステージ4に設けられた基準マークと、テンプレート11に設けられたアライメントマークを観察するための光学系および撮像系を含む。アライメントスコープ22は、基板ステージ4に設けられた基準マークと、テンプレート11に設けられたアライメントマークとの相対的な位置を計測し、その位置ずれを補正するアライメントに用いられうる。
【0030】
検出部300は、基板保持部2で保持された基板1のノッチまたはオリエンテーションフラットなどの切り欠き部の位置を検知することができる。具体的には、検出部300は、基板1の外形プロファイルを検出できる光センサや基板1の形状を直接観察できる小型カメラなどで構成されうる。また、検出部300は、基板ステージ4上のプッシュピン14の位置を検知するための手段としても用いることもできる。検出部300により得られたプッシュピン14と基板1の切り欠き部分の位置情報を用いることで、後述の位置合わせを実施することができる。
【0031】
露光部23には、光源24から提供される硬化用エネルギー(例えば、UV光などの光)を通過させる窓部が設けられており。硬化性組成物を介してテンプレート11と接触している基板を保持する基板ステージ4が露光部23と対向している状態(硬化位置)で、光を照射することにより、硬化性組成物を硬化させることができる。
【0032】
OAスコープ21は、天板7によって支持される。OAスコープ21は、基板1の複数ショット領域に設けられたアライメントマークを検出し、複数のショット領域のそれぞれの位置を決定するグローバルアライメント処理に用いられうる。アライメントスコープ22によりテンプレート11と基板ステージ4との位置関係を求め、OAスコープ21によって基板ステージ4と基板1との位置関係を求めることでテンプレート11と基板1との相対的なアライメントを行うことができる。
【0033】
洗浄部33は、テンプレート保持部12によってテンプレート11が保持された状態で、テンプレート11を洗浄しうる。洗浄部33は、例えば、基板1上の硬化した硬化性組成物からテンプレート11を離型することによって、テンプレート11、特にその平坦面11aに残留する硬化性組成物を除去する。洗浄部33は、例えば、テンプレート11に付着した硬化性組成物を拭き取ってもよいし、UV照射、ウェット洗浄、プラズマ洗浄などを用いてテンプレート11に付着した硬化性組成物を除去してもよい。
【0034】
制御部200は、処理部や、メモリなどの記憶部を含み、平坦化装置100の全体を制御する。例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrayの略)などのPLD(Programmable Logic Deviceの略)。または、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略)、または、プログラムが組み込まれた汎用または専用のコンピュータ。または、これらの全部または一部の組み合わせによって構成される。制御部200は、平坦化装置100の各部を統括的に制御して平坦化処理を行う処理部として機能する。
【0035】
平坦化処理は、基板1の上の硬化性組成物を成形する成形処理の一例であり、硬化性組成物の硬化物によって、平坦化された表面を有する膜を形成する処理である。より具体的には、平坦化処理では、基板1の上の硬化性組成物にテンプレート11の平坦面11aを接触させて基板1の表面形状に倣わせることで硬化性組成物を平坦化処理する処理である。平坦化処理は、一般的には、ロット単位で、即ち、同一のロットに含まれる複数の基板のそれぞれに対して行われる。
【0036】
次に、
図2(a)乃至
図2(c)を参照して、本発明における平坦化処理の全体の流れについて概要を説明する。ここでは、基板全面上に組成物を滴下して、その組成物と型を接触させて、組成物を平坦化させる処理について説明するが、基板の一部の領域上の組成物と型を接触させて、組成物を平坦化させてもよい。
【0037】
まず、
図2(a)に示すように、下地パターン1a有する基板1に対して、第1処理部101に構成されるディスペンサ20によって硬化性組成物IMが供給あるいは配置される。
図2(a)は、基板1の上に硬化性組成物IMを供給し、硬化性組成物IMにテンプレート11(の平坦面11a)を接触させる前の状態を示している。次いで、基板1が第1処理部101から第2処理部102へと、基板搬送部25によって搬送される。
【0038】
次いで、
図2(b)に示されるように、基板1の上の硬化性組成物IMとテンプレート11(の平坦面11a)とが接触するように基板1とテンプレート11との距離がヘッド駆動部10によって、調整される(接触工程)。
図2(b)は、テンプレート11がテンプレート保持部から解放され、テンプレート11の平坦面11aが基板1の上の硬化性組成物IMに完全に接触し、テンプレート11の平坦面11aが基板1の表面形状に倣った状態を示している。
【0039】
そして、
図2(b)に示す状態で、基板ステージ4を露光部23の位置へ駆動する。そこで、光源24から、テンプレート11を介して、基板上の硬化性組成物IMに硬化用のエネルギーが照射され、これによって硬化性組成物IMが硬化する(硬化工程)。
【0040】
次に、基板ステージ4をヘッド駆動部10の位置まで駆動させ、基板1の上の硬化した硬化性組成物IMからテンプレート11が分離されるように基板1とテンプレート11との距離がヘッド駆動部10によって調整される。その後テンプレート保持部12でテンプレート11を保持し、その状態でZ軸方向に基板1とテンプレート11とを離間させることで、基板上の硬化組成物IMからテンプレート11が引き離される(離型工程)。このときプッシュピンによる補助が行われる。
【0041】
これにより基板1の全域において、均一な厚さの有する硬化性組成物IMの層(平坦化層)を形成することができる。
図2(c)は、基板1の上に硬化性組成物IMの硬化物からなる平坦化層が形成された状態を示している。
【0042】
次に、上述した平坦化処理において、プッシュピンを用いて基板1の上の硬化した硬化性組成物IMからテンプレート11を引き離す離型工程について
図3乃至5を用いて詳細に説明する。
【0043】
図3は基板1が基板保持部2に保持された状態の図である。
図3に示すように、基板1を真空吸着する真空ライン2aから2eを含む。各真空ラインには、基板1を真空吸着したときの真空ライン2aから2eのそれぞれの真空状態、即ち、真空ライン2aから2eのそれぞれの内部の圧力の値を検出する圧力検出器2gが配置されている。また、各真空ラインには、真空ライン2aから2eのそれぞれの真空圧を調整する圧力調整部2hが設けられている。この時の圧力調整は、制御部200により実施される。
【0044】
図4は、テンプレート11がテンプレート保持部12に保持された状態の図である。テンプレート保持部12は、
図4に示すように、テンプレート11を真空吸着する真空ライン12aを含む。真空ライン12aには、テンプレート11を真空吸着したときの真空ライン12aの真空状態、即ち、真空ライン12aの内部の圧力の値を検出する圧力検出器12gが配置されている。また、真空ラインには、真空ライン12aの真空圧を調整する圧力調整部12hが設けられている。この時の圧力調整は、制御部200により実施される。
【0045】
図5は、プッシュピンを用いた離型処理の流れを説明するための図である。
図5(a)は、離型開始前のテンプレート11の平坦面11aが基板1の表面形状に倣って接触し、基板1上の硬化性組成物が硬化した状態の図である。このとき制御部200は、離型のために必要な所定の真空圧となるように、圧力調整部2hおよび圧力調整部12hを制御する。
【0046】
次いで、
図5(b)は離型中の動作を示した図である。ヘッド駆動部10によってテンプレート11を上昇させて、基板1上の硬化した硬化性組成物からテンプレート11を引き離す。この時、基板ステージ4に備えられたプッシュピン14を、基板1の切り欠き部の隙間から突出させ、テンプレート11の一部に押し当てることにより、離型の補助を実施する。具体的には、プッシュピン14が押し当てられることで離型起点が生じ離型が促進される。
【0047】
図5(c)は離型後の状態である。基板1上の硬化した硬化性組成物からテンプレート11が完全に引き離された状態となる。
【0048】
基板1とテンプレート11とは略同じ大きさである場合には、基板側からテンプレート11を押し上げようとすると、プッシュピン14の位置を、基板保持部に保持されている基板の切り欠き部の位置と一致させることが好ましい。また、多少テンプレート11の形状を基板1よりも大きくすれば基板の切り欠き部の位置とプッシュピン14の位置とを一致させる必要はない。しかし、基板1の側からテンプレート11を押し上げる際に、基板1にプッシュピン14があたらない、かつ、テンプレート11を押し上げることができる所定の位置にプッシュピン14が位置している必要がある。だが、位置ずれなどによりこのような所望の位置に保持できていない場合もあり、そのような状態ではプッシュピン14による離型補助が受けられない可能性がある。
【0049】
そこで、以下の実施形態で詳細に説明するようにプッシュピン14の位置を調整することで、プッシュピンにより基板上の硬化性組成物からテンプレート11を安定的に離型させることができる。
【0050】
(第1の実施形態)
本実施形態においては、基板ステージにプッシュピン14が一体に構成されている場合のプッシュピン14の調整を、テンプレート保持部12でテンプレートと基板とを保持している状態で行う場合について説明する。なお、本実施形態においては、プッシュピン14の位置が基板の切り欠き部と一致する位置の場合を例に説明を行う。
【0051】
図6は、本実施形態における平坦化処理の際のフローチャートである。
図6のフローチャートに示す処理は、制御部200が平坦化装置100の各部を統括的に制御することで実現される。ここでは、基板1が第1処理部101から第2処理部102へ搬送された後の処理工程について述べる。
【0052】
S601では、制御部200は、硬化性組成物が塗布された基板1にテンプレート11を接触させる(接触工程)。次に、S602では、硬化性組成物を介してテンプレート11と接触している基板を保持する基板ステージ4が露光部23と対向する位置(硬化位置)へと移動させる。そしてS603において、露光部23から光を照射し、硬化性組成物を硬化させる(硬化工程)し、S604において、基板ステージ4は、基板を離型位置へと移動させる。
【0053】
S605では、制御部200は、プッシュピン14の位置が基板1の切り欠き部の位置と一致しているかを判断する。具体的には、アライメントスコープ22で検知することでプッシュピン14の位置が切り欠き部の位置と一致しているかを判断することができる。また、別の光学系や撮像系を構成して実施してもよい。なお、S601乃至S604の工程においては、プッシュピン14の位置が一致していなくともよいため、これらの工程の後にS605移行の工程を行っているが、その前に行ってもよい。
【0054】
S605において一致していると判断された場合には、S611に進み、離型動作を行い、一致していないと判断された場合には、S606に進む。S606では基板ステージ4で基板1を検出部300の検出位置に移動させ、検出部300で基板1の切り欠き部の位置を計測し、その後基板ステージをテンプレート保持部12と対向する位置に移動させる。
【0055】
S607では、テンプレート保持部12によりテンプレート11を保持し、基板保持部による基板1の保持を解除する。このとき、硬化工程により硬化された硬化性組成物により基板1とテンプレート11とが接触している状態が維持しているため、基板1とテンプレート11とが同時に真空吸着される。
【0056】
S608では、検出部300の検出位置に基板ステージ4を移動させ、検出部300でプッシュピン14の位置計測を実施し、その後基板ステージ4をテンプレート保持部12と対向する位置に移動させる。
【0057】
S609では、制御部200は、検出部300により得られた基板1の切り欠き部の位置情報とプッシュピン14の位置情報とに基づいて、切り欠き部の位置とプッシュピンの位置とが重なる位置となるように基板ステージ4を駆動制御する。
【0058】
S610では、ヘッド駆動部10によってテンプレート保持部12で保持していた基板1とテンプレート11を下降させ、基板保持部2でも基板を吸着保持する。
【0059】
S611では、制御部200は、プッシュピン14によるテンプレート11の基板1からの離型補助を実施しながら、離型処理を行う。具体的には、ヘッド駆動部10によってテンプレート11を上昇させて、基板1上の硬化した硬化性組成物からテンプレート11を引き離す。この時、基板ステージ4に備えられたプッシュピン14を、基板1の切り欠き部の隙間から突出させ、テンプレート11に押し当てることにより、離型の補助を実施する。
【0060】
検出部300による位置合わせの手法としては、基板1および基板ステージ4上の基板保持部2の中心位置と、基板1の切り欠き部の位置、プッシュピン14の位置を計測することによりに求められる。具体的には、基板1および基板保持部2の中心位置をそれぞれ、検出部300によって、基板1および基板保持部2の外形を計測することにより求める。続いて、基板1の切り欠き部位置を検出部300によって計測する。予め計測した基板1の中心位置と基板1の切り欠き部位置の2点を結ぶ線と、X軸もしくはY軸となす角を計算し、θZ方向の角度成分を算出する。次いで、プッシュピン14の位置を検出部300によって計測する。予め計測した基板保持部2の中心位置とプッシュピン14の位置の2点を結ぶ線と、X軸もしくはY軸となす角を計算し、θZ方向の角度成分を算出する。以上により得られた、中心位置と角度成分の情報を用いて、基板ステージ4を駆動させることによって位置合わせを実施することができる。
【0061】
図7に、第1実施形態の離型処理を説明するための図である。
図7(a)は、接触工程、硬化工程後の概略図であり、基板ステージ4上に硬化性組成物を介してテンプレート11と接触した基板1が載置されている状態である。
【0062】
図7(b)は、S607のテンプレート保持部12により基板1とテンプレート11とが一体として保持された状態で、基板ステージ4が基板を保持していない状態で駆動可能となっている状態を示す。この状態で、S608およびS609の位置合わせ制御を行うことができる。
【0063】
図7(c)は、S611の離型処理時の概略図であり、基板1が基板保持部2で、テンプレート11がテンプレート保持部12でそれぞれ保持された状態で、プッシュピン14による離型の補助を行いながら離型処理が行われている状態を示す。
【0064】
以上説明した本実施形態によれば、プッシュピン14を用いた離型時の補助を確実に行うことができ、基板上の硬化性組成物からテンプレート11を安定的に離型させることができる。
【0065】
(第2の実施形態)
本実施形態においては、基板ステージにプッシュピン14が一体に構成されている場合のプッシュピン14の調整を、基板搬送部25でテンプレート11と基板1とを保持している状態で行う場合について説明する。以下、第1の実施形態と同じ部分については説明を省略し、異なる部分を中心に説明を行う。
【0066】
図8は、本実施形態における平坦化処理の際のフローチャートである。
図8のフローチャートに示す処理は、制御部200が平坦化装置100の各部を統括的に制御することで実現される。ここでは、基板1が第1処理部101から第2処理部102へ搬送された後の処理工程について述べる。
【0067】
S801からS805については第1の実施形態のS601からS605と同様であるため説明を省略する。
【0068】
S805において一致していると判断された場合には、S812に進み、離型動作を行い、一致していないと判断された場合には、S806に進む。S806では、基板ステージ4で基板1を検出部300の検出位置に移動させ、検出部300で基板1の切り欠き部の位置を計測し、その後基板ステージをテンプレート保持部12と対向する位置に移動させる。
【0069】
S807では、基板搬送部25により基板を保持する。このとき、硬化工程により硬化された硬化性組成物により基板1とテンプレート11とが接触している状態が維持しているため、基板1とテンプレート11とが同時に保持される。
【0070】
S808では、検出部300の検出位置に基板ステージ4を移動させ、検出部300でプッシュピン14の位置計測を実施し、その後基板ステージ4をテンプレート保持部12と対向する位置に移動させる。
【0071】
S809では、制御部200は、検出部300により得られた基板1の切り欠き部の位置情報とプッシュピン14の位置情報とに基づいて、切り欠き部の位置とプッシュピンの位置とが重なる位置となるように基板ステージ4を駆動制御する。
【0072】
S810では、制御部200は、基板搬送部25で保持していた基板を基板保持部2で吸着保持する。そしてS811で、ヘッド駆動部10を下降させ、テンプレート保持部12によりテンプレートを保持する。
【0073】
S812では、制御部200は、プッシュピン14によるテンプレート11の基板1からの離型補助を実施しながら、離型処理を行う。具体的には、ヘッド駆動部10によってテンプレート11を上昇させて、基板1上の硬化した硬化性組成物からテンプレート11を引き離す。この時、基板ステージ4に備えられたプッシュピン14を、基板1の切り欠き部の隙間から突出させ、テンプレート11に押し当てることにより、離型の補助を実施する。
【0074】
図9に、第2実施形態の離型処理を説明するための図である。
図9(a)は、接触工程、硬化工程後の概略図であり、基板ステージ4上に硬化性組成物を介してテンプレート11と接触した基板1が載置されている状態である。
【0075】
図9(b)は、S807の基板1とテンプレート11とが一体として基板搬送部25により保持されている状態を示し、基板ステージ4が基板を保持していない状態で駆動可能となっている状態を示す。この状態で、S808およびS809の位置合わせ制御を行うことができる。
【0076】
図9(c)は、S812の離型処理時の概略図であり、基板1が基板保持部2で、テンプレート11がテンプレート保持部12でそれぞれ保持された状態で、プッシュピン14による離型の補助を行いながら離型処理が行われている状態を示す。
【0077】
以上説明した本実施形態によれば、プッシュピン14を用いた離型時の補助を確実に行うことができ、基板上の硬化性組成物からテンプレート11を安定的に離型させることができる。
【0078】
(第3の実施形態)
本実施形態においては、基板ステージとは別にプッシュピン14が駆動できるように構成されている場合のプッシュピン14の調整を行う場合について説明する。以下、第1の実施形態および第2の実施形態と同じ部分については説明を省略し、異なる部分を中心に説明を行う。
【0079】
図10は、本実施形態における平坦化処理の際のフローチャートである。
図10のフローチャートに示す処理は、制御部200が平坦化装置100の各部を統括的に制御することで実現される。ここでは、基板1が第1処理部101から第2処理部102へ搬送された後の処理工程について述べる。
【0080】
本実施形態では、プッシュピン14と基板保持部2(基板ステージ)とを相対的に駆動させることのできる、基板ステージ4のステージ駆動部31と独立した不図示の第二の駆動部(押圧部材駆動部)を有する。第二の駆動部は、制御部200によって制御される。
【0081】
S1001からS1005については第1の実施形態のS601からS605と同様であるため説明を省略する。
【0082】
S1005において一致していると判断された場合には、S1008に進み、離型動作を行い、一致していないと判断された場合には、S1006に進む。S1006では、基板ステージ4で基板1を検出部300の検出位置に移動させ、検出部300で基板1の切り欠き部の位置を計測し、その後基板ステージをテンプレート保持部12と対向する位置に移動させる。
【0083】
S1007では、制御部200は、検出部300により計測した基板1の切り欠き部の位置情報を基に、第二の駆動部を用いてプッシュピン14が基板1の切り欠き部の位置と重なるように駆動制御する。
【0084】
S1008では、制御部200は、ヘッド駆動部10を下降させ、テンプレート保持部12によりテンプレートを保持する。
【0085】
S1009では、制御部200は、プッシュピン14によるテンプレート11の基板1からの離型補助を実施しながら、離型処理を行う。具体的には、ヘッド駆動部10によってテンプレート11を上昇させて、基板1上の硬化した硬化性組成物からテンプレート11を引き離す。この時、基板ステージ4に備えられたプッシュピン14を、基板1の切り欠き部の隙間から突出させ、テンプレート11に押し当てることにより、離型の補助を実施する。
【0086】
検出部300による位置合わせの手法としては、基板1の中心位置と、基板1の切り欠き部の位置を計測することによりに求められる。具体的には、基板1の中心位置をそれぞれ、検出部300によって、基板1の外形を計測することにより求める。続いて、基板1の切り欠き部位置を検出部300によって計測する。予め計測した基板1の中心位置と基板1の切り欠き部位置の2点を結ぶ線と、X軸もしくはY軸となす角を計算し、θZ方向の角度成分を算出する。以上により得られた、中心位置と角度成分の情報を用いて、基板1の切り欠き部の位置座標を求め、制御部200を用いて第二の駆動部35を駆動させ、プッシュピン14が基板1の切り欠き部の座標にくるように制御を実施する。
【0087】
図11に、第3実施形態の離型処理を説明するための図である。
図11(a)は、接触工程、硬化工程後の概略図であり、基板ステージ4上に硬化性組成物を介してテンプレート11と接触した基板1が載置されている状態である。
【0088】
図11(b)は、S1007の基板1とテンプレート11とが一体として基板保持部に保持されている状態で、位置合わせが行われている様子を示す。
【0089】
図11(c)は、S1009の離型処理時の概略図であり、基板1が基板保持部2で、テンプレート11がテンプレート保持部12でそれぞれ保持された状態で、プッシュピン14による離型の補助を行いながら離型処理が行われている状態を示す。
【0090】
以上説明した本実施形態によれば、プッシュピン14を用いた離型時の補助を確実に行うことができ、基板上の硬化性組成物からテンプレート11を安定的に離型させることができる。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。例えば、離型工程における補助手段として、プッシュピン14としているが、離型方向に作用する力を供給する手段であればよい。具体的には、代替手段としてプレッシャエアによる空気圧などがあげられる。また、離型工程の補助手段を基板ステージ4上に構成した例を挙げているが、基板保持部2に構成されていてもよい。
【0092】
(物品製造方法)
次に、前述の平坦化装置又は平坦化方法を利用した物品(半導体IC素子、液晶表示素子、カラーフィルタ、MEMS等)の製造方法を説明する。当該製造方法は、前述の平坦化装置を使用して、基板(ウェハ、ガラス基板等)に配置された組成物と型を接触させて平坦化させ、組成物を硬化させて組成物と型を離す工程とを含む。そして、平坦化された組成物を有する基板に対して、リソグラフィ装置を用いてパターンを形成するなどの処理を行う工程と、処理された基板を他の周知の加工工程で処理することにより、物品が製造される。他の周知の工程には、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等が含まれる。本製造方法によれば、従来よりも高品位の物品を製造することができる。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。