(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240805BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 613
B41J2/14 201
B41J2/16 101
B41J2/16 501
(21)【出願番号】P 2020205129
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄介
(72)【発明者】
【氏名】井利 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】草野 裕昭
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-091264(JP,A)
【文献】特開2007-326239(JP,A)
【文献】特開2005-026679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するためのエネルギーを発生する記録素子と、前記記録素子を駆動するための回路配線と、前記回路配線を前記液体から保護する保護膜と、前記回路配線を外部回路と電気的に接続するために前記保護膜を開口させた電極部と、金属材料からなり前記電極部の上に設けられて前記電極部に電気的に接続するメッキバンプと、を備える液体吐出ヘッドであって、
前記保護膜の上に設けられた弾性を有する樹脂膜を備え、
前記メッキバンプは、前記樹脂膜の上面に張り出している部分を有し、
前記樹脂膜は、前記電極部の開口の縁から、前記メッキバンプの縁の外側の位置であって前記保護膜に形成されている段差部を覆うように延びて形成されていることを特徴とする、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記電極部と前記メッキバンプとの間に電解メッキの際の電極として用いられるメッキ下地層が設けられている、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記樹脂膜は、前記電極部に隣接して前記電極部を取り囲む前記段差部の全域を覆うように形成されている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記樹脂膜は、前記電極部に隣接して前記電極部を取り囲む前記段差部の一部を覆うように形成されている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記樹脂膜が、ポリエーテルアミド樹脂、アクリル系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂からなる群から選ばれた1以上の材料によって構成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記記録素子、前記回路配線及び前記保護膜を備える記録素子基板と、前記液体の吐出口を備える吐出口形成部材と、を備え、
前記記録素子基板と前記吐出口形成部材とが接合し、
前記樹脂膜が前記記録素子基板と前記吐出口形成部材との間の密着向上層として機能する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記記録素子は、電気信号により駆動されて前記液体に膜沸騰を生じさせる電気熱変換体である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
液体を吐出するためのエネルギーを発生する記録素子と、前記記録素子を駆動するための回路配線と、前記回路配線を前記液体から保護する保護膜と、前記回路配線を外部回路と電気的に接続するために前記保護膜を開口させた電極部と、金属材料からなり前記電極部の上に設けられて前記電極部に電気的に接続するメッキバンプと、を備える液体吐出ヘッドの製造方法であって、
記録素子基板に前記記録素子と前記回路配線と前記保護膜とを形成する工程と、
前記記録素子基板に形成された前記保護膜の一部を除去して前記回路配線を露出させ電極部とする工程と、
前記保護膜の上に樹脂膜を形成し、電極部の開口の縁から前記保護膜に形成されている段差部までの領域において前記樹脂膜をパターニングする工程と、
パターニングされた前記樹脂膜を有する前記保護膜の上にメッキ下地層を形成する工程と、
前記メッキ下地層の上にフォトレジストを積層し、前記樹脂膜の上面に張り出している部分を有する前記メッキバンプの形状に応じて前記フォトレジストをパターニングする工程と、
前記メッキ下地層を電極とする電解メッキにより前記メッキバンプを形成する工程と、
前記フォトレジストを除去し前記メッキ下地層をエッチングにより除去する工程と、
を有する液体吐出ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドとその製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
記録素子によって液体にエネルギーを加えて吐出口からその液体を吐出する液体吐出ヘッドが知られている。液体吐出ヘッドは、記録素子、記録素子の駆動に用いられる回路配線及び回路配線に電気的に接続する電極端子などが形成された記録素子基板を備えている。電極端子は例えばバンプとして形成されており、外部回路と液体吐出ヘッドとの電気的接続は、電極端子と外部回路から延びる電気配線テープの電極リードとを電気的に接続することによって行われる。近年、電極端子であるバンプには、金を電解メッキによって成長させたメッキバンプが使用されるようになってきている。特許文献1は、記録素子基板に複数のメッキバンプを設けた上で、これらのメッキバンプに対して電極配線テープのフライングリードを一括して熱圧着により接続するギャングボンディングの手法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メッキバンプに対して熱圧着により電極リードを接続するときには、メッキバンプに対して荷重を加えるが、この荷重の影響が保護膜にも及び、保護膜が破損することがある。保護膜が破損すると、記録素子基板に設けられている回路や配線が吐出用の液体により腐食するおそれが生じる。
【0005】
本発明の目的は、メッキバンプにより電気的接続がなされる液体吐出ヘッドであって、メッキバンプへの電極リードの圧着時に保護膜の破損を抑制することができる液体吐出ヘッドと、その製造方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐出するためのエネルギーを発生する記録素子と、記録素子を駆動するための回路配線と、回路配線を液体から保護する保護膜と、回路配線を外部回路と電気的に接続するために保護膜を開口させた電極部と、金属材料からなり電極部の上に設けられて電極部に電気的に接続するメッキバンプと、を備える液体吐出ヘッドであって、保護膜上に設けられた弾性を有する樹脂膜を備え、メッキバンプは、樹脂膜の上面に張り出している部分を有し、樹脂膜は、電極部の開口の縁から、メッキバンプの縁の外側の位置であって保護膜に形成されている段差部を覆うように延びて形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メッキバンプにより電気的接続がなされる液体吐出ヘッドであって、メッキバンプへの電極リードの圧着時に保護膜の破損を抑制することができる液体吐出ヘッドと、その製造方法とを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】液体吐出ヘッドの構成例を示す斜視図である。
【
図5】電気接続部の封止状態を示す一部断面図である。
【
図7】本発明の実施の一形態の液体吐出ヘッドを説明する図である。
【
図8】液体吐出ヘッドの製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明は液体吐出ヘッドとその製造方法に関するものであるが、最初に、本発明の理解を援けるために、液体吐出ヘッドが搭載される液体吐出装置について説明する。
図1は液体吐出装置の構成の一例を模式平面図である。
【0010】
図1に示す液体吐出装置は、紙やプラスチック薄板などの記録媒体108に対してインクなどの液体を吐出することにより記録を行うものである。液体吐出装置は、液体吐出ヘッド500,501を位置決めして交換可能に搭載するキャリッジ102を有する。キャリッジ102には、液体吐出ヘッド500,501に設けられている外部信号用の接続端子532を介して駆動用の電気信号などを液体吐出ヘッド500,501の各吐出部に伝達するための電気接続部が設けられている。キャリッジ102は、主走査方向(図示左右方向)に延在して装置本体に設置されたガイドシャフト103に沿って往復移動可能に支持されている。そして、キャリッジ102は、主走査モータ(キャリッジモータ)104によりモータプーリ105、従動プーリ106及びタイミングベルト107などの伝動機構を介して駆動されるとともに、その位置および移動が制御される。また、キャリッジ102にはホームポジションセンサ130が設けられている。キャリッジ102上のホームポジションセンサ130が装置本体に設けられている遮蔽板136の位置を通過した際に、ホームポジションとなる位置が検出される。
【0011】
記録媒体108は、オートシートフィーダ(ASF)の給紙トレイ132上に載置されており、給紙モータ135がギアを介してピックアップローラ131を回転させることにより、給紙トレイ132から一枚ずつ分離給紙される。さらに記録媒体108は、搬送モータ134によりギアを介して駆動される搬送ローラ109の回転により、液体吐出ヘッド500,501の吐出口が形成された面(吐出口面)と対向する位置(記録領域)を通って搬送(副走査)される。記録媒体108が給紙されたか否かの判定と、給紙時における記録媒体の前縁位置の確定とは、記録媒体108がペーパエンドセンサ133を通過した時点で行われる。ペーパエンドセンサ133は、記録媒体108の後端が実際にどこにあり、実際の後端から現在の記録位置を最終的に割り出すためにも使用される。なお、記録媒体108は、記録領域において平坦な被記録面を形成するように、その裏面がプラテン(不図示)により支持される。この場合、キャリッジ102に搭載された液体吐出ヘッド500,501は、それらの吐出口面がキャリッジ102から下方へ突出して記録媒体108と平行になるように保持され、記録領域を主走査される。
【0012】
液体吐出ヘッド500,501は、各吐出部における吐出口の配列方向がキャリッジ102の主走査方向に対して交差する方向(例えば副走査方向)になるようにキャリッジ102に搭載されている。主走査の過程でこれらの吐出口列からインクを吐出することにより、吐出口の配列範囲に対応した幅の記録を行う。
図1に示した例では液体吐出ヘッド500,501は、それぞれ、インクタンクと一体構成となったものである。液体吐出ヘッド500は、ブラックインクが充填されたインク収納部と、インク収納部から供給されるブラックインクを吐出する吐出部とを備えている。液体吐出ヘッド501は、3色(シアン、マゼンタ及びイエローの各色)のカラーインクがそれぞれ充填されたインク収納部と、各インク収納部から供給されるカラーインクを吐出する色ごとの吐出部とを備える。液体吐出ヘッド500,501は、キャリッジ102上に、位置決め手段及び電気的接点によって固定支持されるとともに、キャリッジ102に対して着脱可能なカートリッジの形態となっている。液体吐出ヘッド500,501は、その充填されているインクが消費されてなくなった場合には、取り外して交換することができるように構成されている。
【0013】
次に、
図2~
図4を参照して、液体吐出ヘッド500,501のうち、カラー用の液体吐出ヘッド501の基本的構成に関して説明する。ブラック用の液体吐出ヘッド500については、ブラックインク1色のための構成であること以外は、液体吐出ヘッド501と同様の構成を採ることができるものであるので、その説明を省略する。
図2は、
図1に示した液体吐出装置に搭載可能な液体吐出ヘッド501の構成例を示す斜視図であり、
図3は、液体吐出ヘッド501の分解斜視図である。
図2(a)及び
図3(a)は、液体吐出ヘッド501をその吐出口面側から見たものとして描かれ、
図2(b)及び
図3(b)は、それぞれ、
図2(a)及び
図2(b)とは反対側から見たものとして描かれている。液体吐出ヘッド501は、
図2に示すように、キャリッジ102での装着位置に液体吐出ヘッド501を案内するための装着ガイド556を、キャリッジ側に設けた固定レバー(不図示)に係合させることによって、キャリッジ102に装着固定される。液体吐出ヘッド501は、キャリッジ102への固定のため係合部593と、所定の装着位置に位置決めするためのX方向(主走査方向)、Y方向(副走査方向)及びZ方向(鉛直方向)のそれぞれの突き当て部557,558,559を備えている。突き当て部557,558,559によりキャリッジ102上に位置決めされることで、電気配線テープ531上の接続端子532とキャリッジ102内に設けられた電気接続部のコンタクトピンとの電気的接触が可能となっている
【0014】
図3に示すように液体吐出ヘッド501は、支持部材である本体部材551に対して記録素子基板601と電気配線テープ531を取り付けた構成を有する。インクタンク一体型であるので、本体部材551の内部にはインク収納部となる3つの空洞が設けられ、これらの空洞にはインク吸収体561,562,563が収納されている。空洞からのインクの出口となる位置には、フィルタ材571,572,573が設けられている。本体部材551は、係合部593が設けられている蓋部材591により閉じられれており、蓋部材591に設けられている大気連通口からの液漏れを防ぐために、蓋部材591の表面にはシール部材581が設けられている。本体部材551の下面には記録素子基板601を受け入れる凹部が形成されており、この凹部には各インク収納部に連通するインク供給口521が形成されている。後述するように電気配線テープ531には開口部533と電極リード534が設けられている。
【0015】
図4は、カラー用の液体吐出ヘッド501に用いられる記録素子基板601の構成を説明する一部破断斜視図である。ここで示す記録素子基板601は、インクを吐出口から吐出させるためのエネルギーを発生する記録素子として、電気信号に応じて熱エネルギーを生成する電気熱変換体を用いたものである。また液体吐出ヘッド501は、電気熱変換体と吐出口とが対向するように配置され、記録素子基板の主平面に対して垂直な方向にインクを吐出させる形態のもの(サイドシュータと称される)である。
【0016】
図4に示すように記録素子基板601において、シリコン基板201には、シアン、マゼンタおよびイエローの各色のインク用の合計3個の長穴状のインク供給口602が貫通孔として並列に形成されている。それぞれのインク供給口602を挟んでその両側には、副走査方向に配列する電気熱変換体603の列が一列ずつ配置されている。電気熱変換体603は、膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギーを電気信号に応じて発生する。電気熱変換体603の配列における電気熱変換体603の各位置は、インク供給口602を挟んで配列ピッチの1/2だけずれている。さらに記録素子基板601上には、フォトリソグラフィ技術によって流路壁606や吐出口607が形成された吐出口形成部材609が、各電気熱変換体603と吐出口607とを位置合わせして接合されている。記録素子基板601と吐出口形成部材609とによって各色の吐出部608が構成される。
【0017】
シリコン基板201には、電気熱変換体603のほかに、電気熱変換体603に電力を供給する電気配線、ヒューズ、電気熱変換体603を駆動する駆動回路が形成され、さらにこれらを外部回路に電気的に接続するための電極部604が形成されている。ここでいう外部回路は、液体吐出ヘッド501から分離して設けられる任意の回路のことであり、例えば、液体吐出装置の本体に設けられる制御回路や電源回路である。電極部604には、金(Au)などからなるメッキバンプ形態の電極端子605が形成されている。本発明は、メッキバンプとして形成される電極端子605に係るものである。電気熱変換体603やそれに対する電気配線、駆動回路などは、半導体装置製造技術に基づく既存の成膜技術を利用して形成することができる。
【0018】
電気配線部材である電気配線テープ531は、インクを吐出するための電気信号を記録素子基板601に対して印加する電気信号経路を形成する。電気配線テープ531には、記録素子基板601を組み込むための開口部533が形成されており、この開口部533の縁からは、記録素子基板601の電極部604に接続される電極リード534が突出して形成されている。また、電気配線テープ531には、液体吐出装置の本体部分からの電気信号を受け取るために、上述した接続端子532が形成されており、電極リード534と接続端子532は、連続した銅箔等を含む導電性の配線パターンで電気的に接続している。ここに示す例において電気配線テープ531はTAB(tape automated bonding)テープを用いて形成されており、電極リード534は露出してフライングリードとして形成されている。記録素子基板601の電極部604上のメッキバンプすなわち電極端子605と、この電極端子605に対応する電極リード534とをギャングボンディング方式により接合することで、電気配線テープ531と記録素子基板601とが電気的に接続される。
【0019】
図5は、記録素子基板601と電気配線テープ531との電気接続部を拡大して示す図である。記録素子基板601及び電気配線テープ531は、いずれも本体部材551に取り付けられている。記録素子基板601と電気配線テープ531との電気接続部は、第1の封止剤537及び第2の封止剤538により封止されており、これにより電気接続部をインクなどの水分による腐食や外的衝撃から保護している。第1の封止剤537は、主に電気配線テープ531の電極リード534と記録素子基板601の電極端子605との接続部の裏面側すなわち本体部材551の側と、記録素子基板601の外周部分とを封止する。第2の封止剤538は、第1の封止材537を塗布した後に塗布されるものであって、電極リード534と電極端子605との接続部の表面側すなわち電極リード534を挟んで本体部材551とは反対側になる部分を主として封止している。
【0020】
上述した構成の液体吐出装置に用いられる液体吐出ヘッドの記録素子基板601において、電極端子605として用いられる一般的なメッキバンプを
図6を用いて説明する。
図6(a)は液体吐出ヘッドにおいてメッキバンプが形成される部分の記録素子基板601の平面図であり、
図6(b)は断面図である。
図6に示すように記録素子基板601では、シリコン基板201の一方の表面の全面にSiO
2からなる蓄熱層202が形成され、蓄熱層202の上にはアルミニウムからなってパターニングされた第1の電気配線膜203が設けられている。SiOからなる層間絶縁膜204が、第1の電気配線膜203の縁部全周をカバーするように形成されている。層間絶縁膜204は、第1の電気配線膜203も含めて蓄熱層202の上に全面的に設けられていてもよい。層間絶縁膜204の上には、電気伝導性の材料からなるパターニングされたヒーター膜205が設けられている。ヒーター膜205を覆うように、アルミニウムからなるパターニングされた第2の電気配線膜206が設けられている。ヒーター膜205と第2の電気配線膜206とは直接接しているが、
図6には示されていない位置においてヒーター膜205に対して第2の電気配線膜206が接していない場所があり、そこが電気熱変換体として機能する。そして、ヒーター膜205や各電気配線膜203,206は液体吐出ヘッド501における回路配線の少なくとも一部を構成するが、回路配線を保護するために、記録素子基板601の一方の表面の最上面には保護膜207が形成されている。保護膜207は、例えばSiCやSiNなどの材料からなるが、これらは硬いが脆いという特徴を有する。また、ヒーター膜205や各電気配線膜203,206がパターニングされて設けられているので記録素子基板の一方の表面において段差が形成されることになり、保護膜207にも段差部が形成されている。段差部では、保護膜207が膜としてその厚さ方向に折れ曲がっている。保護膜207には各所に段差部が形成されるが、図において符号212で示される段差部は、電極部604(すなわちスルーホール200)に隣接してその電極部604を取り囲む段差部である。
【0021】
メッキバンプの形成位置において保護膜207に開口が設けられてその位置において第2の電気配線膜206が露出している。すなわち保護膜207にスルーホール200が形成されている。スルーホール200は、フォトリソグラフィ技術により保護膜207をパターニングすることよって形成される。スルーホール200により露出した第2の電気配線膜206の部分が、
図4及び
図5に用いて説明した電極部604となる。スルーホール200において、第2の電気配線膜206の上に、例えばTiWなどの高融点金属材料からなる密着向上層208が薄く形成され、密着向上層208の上に、電解メッキの際に電極として用いられるメッキ下地層となる金層209が設けられている。金層209の上にはメッキバンプ層210が金の電解メッキにより厚く形成されており、電極端子605であるメッキバンプを構成している。密着向上層208はスルーホール200において第2の電気配線膜206の露出部分の全体に密着するとともに、スルーホール200の縁を乗り越えて周囲の保護膜207にも密着している。そのため、メッキバンプ層210は、スルーホール200よりもやや大きく形成されており、メッキバンプ層210の外周部分は密着向上層208及び金層209を介して、スルーホール200の縁となる部分の保護膜207の上にも延びて設けられている。このようなメッキバンプの製造過程では、スルーホール200の形成後に記録素子基板の表面の全面に密着向上層208及び金層209を形成し、さらにネガタイプのフォトレジストを塗布する。そしてメッキバンプ層210の形成位置が開口となるようにフォトレジストをパターニングし、次に、メッキ下地層である金層209をカソード電極とする金の電解メッキによって、フォトレジストの開口位置においてメッキバンプ層210を厚く成長させる。その後、フォトレジストを除去し、エッチングによって不要な金層209と密着向上層208を除去することによって、メッキバンプが完成する。記録素子基板601には複数のメッキバンプが等間隔に一列に形成されており、ギャングボンディングの手法により、これらのメッキバンプに対して電極配線テープの電極リード534(フライングリード)が一括して熱圧着により接続される。
【0022】
メッキバンプと電極リード534との間の電気的接続における不良を避けるためには、熱圧着時のボンディングツールの温度を管理するとともに、ボンディングツールの衝撃荷重、押圧荷重を大きくすることが考えられる。衝撃荷重とは、ボンディングツールが電極リード534を介してメッキバンプに当接する瞬間に衝撃として加わる荷重のことであり、押圧荷重とは、当接後にボンディングツールが電極リード534を介してメッキバンプを押圧し続けるときの荷重のことである。しかしながら、ボンディングツールが電極リードを介してメッキバンプに加圧力(衝撃荷重及び押圧荷重)を及ぼすことにより、メッキバンプの縁の外側にある位置において保護膜207の段差部が破損してクラックが生じることがある。特に、保護膜207の段差部のうち、スルーホール200に隣接してスルーホール200を取り囲む段差部212においてクラックが発生しやすい。以下、保護膜207が破損してクラックが発生する過程について説明する。
【0023】
ボンディングツールが電極リード534を介してメッキバンプに加圧力を及ぼすと、加圧力により、電極リード534とメッキバンプが潰される。また、電極リード534の直下の位置にメッキバンプの下に形成されている回路配線である第1及び第2の電気配線膜203,206も、アルミニウムで形成されていることにより潰される。これに対し第1の電気配線膜203よりも下側に形成されている蓄熱層202やシリコン基板201は、アルミニウムよりも硬い材料からなるので、ボンディングツールからの加圧力によって潰れることはない。ボンディングツールからの加圧力によって潰されたメッキバンプ及び各電気配線膜203,206は、潰された領域よりも外側に、スルーホール200の位置から遠ざかるように動く。メッキバンプの下側に位置する部分の保護膜207も、メッキバンプや第2の電気配線膜206と密着しているので、これらの動きと追従して動くことになる。その結果、メッキバンプの縁の外側に位置し、スルーホール200に隣接してスルーホール200を取り囲む位置の保護膜207の段差部212に応力が集中し、この位置において保護膜207にクラックが発生することとなる。電極リード534の剥がれや破断といった電気接続における不良の発生を抑制するために加圧力を大きくした場合、保護膜207に発生するクラックの大きさや発生数は増加する傾向にある。保護膜207の段差部212にクラックが発生すると、そのクラックから吐出用の液体(例えばインク)などの水分が記録素子基板の内部に入り込んでしまい、アルミニウムなどからなる電気配線膜203,206を腐食させてしまうおそれがある。液体吐出ヘッドの製造過程では、メッキバンプと電極リード534との電気接続部の保護を目的として電気接続部に封止剤を塗布するが、封止剤に吸収された水分がクラックから内部に入り込み、電気配線膜203,206の腐食を引き起こすおそれもある。
【0024】
図7は、本発明の実施の一形態の液体吐出ヘッドにおけるメッキバンプの構成を示している。
図7(a)は液体吐出ヘッドにおいてメッキバンプが形成される部分の記録素子基板601の平面図であり、
図7(b)は断面図である。
図6に示したものと同様に、シリコン基板201の一方の表面の全面に蓄熱層202、第1の電気配線膜203、層間絶縁膜204、ヒーター層205、第2の電気配線膜206及び保護膜207が順次形成されている。本実施形態の液体吐出ヘッドにおいても、パターニングによって保護膜207の開口部が設けられ、外部回路と記録素子基板601の回路配線とを電気的に接続するためのスルーホール200が形成されている。スルーホール200では、第2の電気配線膜206の上に密着向上層208が設けられ、密着向上層208の上に、メッキ下地層である金層209が形成されている。密着向上層208は、高融点金属材料である例えばTiWで構成されている。密着向上層208は、第2の電気配線膜206と金層209との密着性を向上させるとともに、金とアルミニウムの相互拡散を抑制するバリアメタルとしても機能する。
図6に示したものと異なり本実施形態では、密着向上層208及び金層209は、スルーホール210のほぼ中央部分のみに設けられ、スルーホール210の縁に沿ってはこれらの層が設けられていない。金層209の上には、メッキバンプ層210が電解メッキによって形成されているが、メッキバンプ層210の断面形状はT字形状となっており、メッキバンプ層210の一部は、保護膜207の上方に向かうように、張り出して形成されている。メッキバンプ層210と保護膜207とは密着しておらず、両者の間には空間が形成されている。そしてこの空間を充填するように、弾性を有する樹脂からなる樹脂膜211が設けられている。したがってメッキバンプは、樹脂膜211の上面に張り出している部分を有する。樹脂膜211は、T字形状のメッキバンプ層210の中心の柱状部分を包囲するとともに、メッキバンプの縁の外側に位置する保護膜207の段差部212を覆うように形成されている。樹脂膜211で覆われる段差部212は、保護膜207の段差部のうち、スルーホール200に隣接してスルーホール200を取り囲む段差部である。
【0025】
図6に示した従来のメッキバンプのように、メッキバンプの縁の外側にある保護膜207の段差部212が露出していると、電極リードをメッキバンプに熱圧着した際に段差部212にクラックが発生することがある。これに対して本実施形態によるメッキバンプでは、弾性を有する樹脂膜211によって段差部212が覆われている。さらに、メッキバンプは、樹脂膜211の上面に張り出している部分を有する。メッキバンプが樹脂膜211の上面に張り出している部分を有することにより、ボンディングツールからの加圧力は、メッキバンプの樹脂膜211の上面に張り出している部分を介して弾性の樹脂膜211に吸収される。これらの構成により、ボンディングツールからの加圧力がメッキバンプに加わったときに各電気配線膜203,206に加わる圧力を緩和することが可能になる。その結果、第1及び第2の電気配線膜203,206の変形が抑制され、保護膜の段差部212に応力が集中することもなくなり、保護膜207にクラックが発生することを抑制できるようになる。保護膜207の段差部212にクラックが発生したとしても、段差部212は樹脂膜211によって保護されているので、クラックを介して電気配線膜203,206の側に水分が浸入して配線が腐食することを抑制することができる。
【0026】
本実施形態においてメッキバンプは、以下に説明する工程S1~S8を順次実施することによって形成される。
図8は、メッキバンプの形成過程を順を追って示す断面図である。工程S1では、まず、シリコン基板201の一方の表面に、記録素子である電気熱変換体を駆動するための半導体素子(不図示)などをドライバ集積回路(IC)として半導体装置製造技術を用いて形成する。ドライバICは、例えば6層程度の製造プロセスによって形成される。次に、SiO
2からなる蓄熱層202をシリコン基板201の一方の表面に形成し、蓄熱層202の上に、アルミニウムからなる第1の電気配線膜203を形成する。第1の電気配線膜203は、ドライバICが駆動信号に応じて電気熱変換体を駆動するときに、電源電力の供給または接地のための共通電極となる配線膜であり、公知の方法でパターニングされて形成されている。そして、第1の電気配線膜203の上面及びその縁部の全周を少なくとも覆うように、SiOからなる層間絶縁膜204を形成する。層間絶縁膜204の上に、電気熱変換体を構成するためのヒーター層205を形成し、ヒーター層205に直接積層して電力を供給するためのアルミニウムからなる第2の電気配線膜206を形成する。ヒーター層205及び第2の電気配線膜206は、いずれもパターニングされて形成されている。そして、電気配線膜203,206やヒーター膜205を保護するために、SiNやSiCなどの比較的脆い材料からなる保護膜207を形成する。フォトリソグラフィ技術により保護膜207をパターニングし、外部回路と第2の電気配線膜206とを電気的に接続するためのスルーホール200を形成する。スルーホール200の形成までが工程S1であり、これにより、
図8(a)に示すように、スルーホール200までが形成された記録素子基板601が完成する。
【0027】
次に工程S2において、
図8(b)に示すように、スルーホール200も含めて保護膜207の表面に、スピンコート法によって樹脂膜211を形成し、樹脂膜211を加熱硬化させる。樹脂膜211は、加熱硬化の後も弾性を有する膜であり、例えば、ポリエーテルアミド樹脂、アクリル系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂などからなる群から選ばれた1以上の材料を用いて構成することが可能である。工程S3では
図8(c)に示すように、加熱硬化後の樹脂膜211の表面に、例えばネガタイプのフォトレジスト220をスピンコート法により塗布し、フォトリソグラフィ法にて露光・現像を行う。露光・現像では、スルーホール200の端部からややスルーホールの内側となる位置から保護膜207の段差部212が覆われる位置までの領域でフォトレジスト220が残存するようにする。工程S4では、フォトレジスト220をマスクとして樹脂膜211のエッチングを行う。これにより、
図8(d)に示すように、スルーホール200の端部からややスルーホールの内側となる位置から保護膜207の段差部212までを覆うように樹脂膜211がパターニングされる。このときスルーホール200の内部では、T字形状のメッキバンプ層210における柱状部となる部分には樹脂膜211が形成されず、その位置において第2の電気配線膜206が露出している。
【0028】
次に工程S5において、
図8(e)に示すように、真空成膜装置などによってTiWなどからなる密着向上層208を所定の厚さで全面に成膜し、同じく真空成膜装置などによって金層209を所定の厚さで全面に成膜する。密着向上層208及び金層209は、樹脂膜211が形成されているところでは樹脂膜211の表面に形成される。それ以外の場所においては、密着向上層208及び金層209は、スルーホール200の内部であれば第2の金属配線膜206の上に、スルーホール200の外部であれば保護膜207の上に形成される。金層209の成膜後、工程S6において、金層209の上に例えばネガタイプのフォトレジスト221をスピンコート法により塗布して積層し、フォトリソグラフィ法にて露光・現像を行い、メッキバンプ層211の形状でフォトレジスト221を除去する。すなわち、樹脂膜211の上面に張り出している部分を有するメッキバンプの形状に応じてフォトレジスト221をパターニングする。そして金層209を電極として用いて所定の電流を流す金の電解メッキを実施することにより、フォトレジスト221が除去されて形成された断面がT字形状の領域に金が析出する。その結果、バンプとなる厚膜のメッキバンプ層210がフォトレジスト211の内側に形成される。その状態が
図8(f)に示している。
【0029】
電解メッキの実施後、工程S7において、所定の時間にわたって剥離液に記録素子基板を浸漬することによってフォトレジスト211を除去し、
図8(g)に示すように金層209を露出させる。その後、工程S8において、窒素系有機化合物を含むヨウ素+ヨウ化カリウムのエッチング液に所定の時間にわたって記録素子基板を浸漬することによって金層209を除去する。続いて、過酸化水素を含むエッチング液に所定の時間にわたって記録素子基板を浸漬することによって、密着向上層208を除去する。以上の工程を経て、電極端子605として金からなるメッキバンプが形成されることになる。
図8(h)は完成したメッキバンプを示しており、
図7と同じ内容を示している。工程S8では、メッキバンプ自体がエッチングマスクとして機能するので、樹脂膜211の上面であってメッキバンプ層210の張り出している部分によって覆われている位置の金層209と密着向上層208とは除去されない。したがって、完成したメッキバンプにおいても、この位置の密着向上層208及び金層209が残存している。工程S1~S8により、弾性を有する樹脂からなる樹脂膜211は、メッキバンプ層210と保護膜207の間に形成されており、かつ保護膜207の開口端部からからメッキバンプの縁の外側にある保護膜207の段差部211を覆うように形成される。
【0030】
図5を用いて説明したように、記録素子基板601と電気配線テープ531との電気接続部は、第1の封止剤537及び第2の封止剤538により封止されている。第1の封止剤537は、主に電極リード534と記録素子基板601の電極端子605との接続部の裏面側と、記録素子基板601の外周部分とを封止する。第2の封止剤538は、その接続部の表側を封止する。電極端子605の構成として
図6に示したような従来のメッキバンプ構成を使用したときは、第2の封止材538は保護膜207の表面に塗布される。これに対し本実施形態の構成では、第2の封止材538は、保護膜207と樹脂膜211の表面に塗布される。液体状態での第2の封止材538は、保護膜207の表面よりも樹脂膜211の表面で流れにくい。その結果、第2の封止剤538による電気接続部の保護が不足することによる電気信頼性の低下を招く恐れがある。また、記録素子基板601からの封止材の高さが高くなることより、液体吐出ヘッド501を液体吐出装置に取り付けて記録媒体への記録を行うときに、記録媒体のジャムなどが発生しやすくなるおそれもある。このような不具合の発生を抑制するため、記録素子基板601の表面における樹脂膜211の形成領域は限定的であることが好ましい。
【0031】
図7に示した例では、樹脂膜211は、保護膜207の開口端部から保護膜207の段差部212の全域を覆うように設けられている。しかしながら樹脂膜211の配置はこれに限られるものではない。保護膜207の段差部212の一部が樹脂膜211に覆われていなくてもよい。
図9(a)~
図9(c)は、それぞれ、記録素子基板601における樹脂膜211の形成領域の別の例を平面図と断面図とを組み合わせて示している。これらの図は、メッキバンプに対して電極リード534が既に圧着されているものとして描かれている。ただし平面図では、電極リード534はその輪郭だけが描かれている。また図中の領域213は、ギャングボンティングにより電極リード534をメタルバンプに熱圧着するときに、電極リード534においてボンディングツールによって押圧される領域を示している。樹脂膜211は、
図9(a)あるいは
図9(b)に示すように、コの字型に形成してもよい。あるいは、
図9(c)に示すように、ボンディング時にボンディングツールによって押圧される領域213に近い位置の段差部212が樹脂膜211によって覆われるようにしてもよい。
【0032】
図4に示したように液体吐出ヘッドでは、流路壁606や吐出口607が形成されている吐出口形成部材609が、記録素子基板601の上に位置合わせして接合される。この接合時の密着性を高めるために、記録素子基板601の表面に、メッキバンプの形成に用いる密着向上層208とは別の密着向上層が設けられることがあるが、樹脂膜211をこの密着向上層と兼用させ、密着向上層として機能させることができる。すなわち、吐出口形成部材609のための密着向上層を、保護膜207の開口端部から保護膜207の段差部212の上までの領域にも設けることができる。これによると、保護膜207の段差部212でのクラックの発生を抑制する樹脂膜211を別途配置することでもたらされる工程数の増大を来すことがない。
【0033】
以上説明したように本実施形態によれば、ボンディング時にメッキバンプに圧力が加えられても、メッキバンプ層210と保護膜207の間に配置された弾性を有する樹脂膜211によって、下地側に加わる圧力を緩和することが可能である。これにより、第1及び第2の電気配線膜203.206の変形が抑制され、保護膜207の段差部212に応力が集中することが抑制され、保護膜207におけるクラックなどの欠陥の発生などを抑制するようことができる。本実施形態では、電極リード534のボンディング形態がギャングボンディングであるとして説明を行っているが、本発明がシングルポイントボンディングを行う場合にも有効であることは明らかである。金を用いてメッキバンプを形成したが、金以外の金属材料を用いてメッキバンプを構成することもできる。
【0034】
本発明は、液体吐出ヘッドの製造工程において記録素子基板601と電気配線テープ531とを電気的に接続する工程が先行する場合においても有効に適用することができる。また、記録素子基板601と電気配線テープ531とをそれぞれ単体で先行して液体吐出ヘッドのベース部材(不図示)に固定してから両者の電気的接続を行うときであっても本発明を適用することができる。
【0035】
上記では、シアン、マゼンタ及びイエローの各色のインクを吐出させるカラー用の液体吐出ヘッドの501に対して本発明を適用した例について説明した。しかし、ブラックインク用の液体吐出ヘッド500に対しても本発明を適用できることは当然である。液体吐出ヘッドにおいて用いるインクの色調(色および濃度)の種類や数についても、適宜定め得ることは言うまでもない。加えて上記の実施形態では、インク収納部分を分離不能に一体化してなる液体吐出ヘッドに本発明を適用した場合を例示した。しかしながら、電極端子605や保護膜207などに及ぶ負荷を緩和するという観点からは、インクタンクを分離可能に一体化してなる、もしくはインクタンクとは別体であるような液体吐出ヘッドの形態にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
200 コンタクトホール
203,206 電気配線膜
205 ヒーター膜
207 保護膜
210 メッキバンプ層
211 樹脂膜
212 段差部