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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】液体収容ユニット
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B41J2/175 115
B41J2/175 119
B41J2/175 143
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020209977
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2021138132
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2020033478
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】片野 優
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-209947(JP,A)
【文献】国際公開第2017/204072(WO,A1)
【文献】特開2018-065374(JP,A)
【文献】中国実用新案第202782184(CN,U)
【文献】特開2014-065279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状の最大面積面の一方が開口するケースと、前記開口を介して前記ケース内に着脱自在に装着される液体収容パックと、を有し、前記液体収容パックが、液体を収容する扁平な袋体と、前記袋体の一端部に取り付けられ、液体の供給口を備えた直方体状のアダプタと、を有する、液体収容ユニットであって、
前記ケースの前記開口と該開口に対面する底面とを結ぶ方向を第1の方向とすると、
前記アダプタは、前記供給口が設けられた面に連続する両外側面であって、前記ケースの前記底面とは対面しない両外側面のそれぞれに、前記第1の方向に延在して設けられた凹部を備え、
前記ケースは、前記凹部が設けられた前記アダプタの前記両外側面に対面する両内側面のそれぞれに、前記液体収容パックが装着された状態で前記凹部に対して相補的に嵌り合う凸部を備え、
前記アダプタの前記凹部を含む前記外側面の領域と前記ケースの前記凸部を含む前記内側面の領域はそれぞれ、前記第1の方向に垂直な面に対して一方の側と他方の側とで非対称な構造であり、
前記凹部は、前記第1の方向に関して前記アダプタの前記外側面の全体に延在して設けられ、前記凸部は、前記第1の方向に関して前記ケースの前記内側面の全体に延在して設けられ、
前記凹部は、前記ケースの前記底面と対面する前記アダプタの一面から前記ケースの前記開口に面する前記アダプタの他面に向けて、前記凸部は、前記ケースの前記底面から前記開口に向けて、前記第1の方向に垂直な断面積がそれぞれ小さくなる、液体収容ユニット。
【請求項2】
前記第1の方向に垂直で前記ケースの前記内側面に平行な方向を第2の方向として、前記アダプタの前記一面における前記凹部の前記第2の方向の最大長さをL、前記他面における前記凹部の前記第2の方向の最大長さをl、前記ケースの前記底面における前記凸部の前記第2の方向の最大長さをM、前記開口における前記凸部の前記第2の方向の最大長さをmとし、L>l、M>m、l>m、L>Mとしたとき、M>lを満足する、請求項に記載の液体収容ユニット。
【請求項3】
前記lは前記Lの50%以下であり、前記mは前記Mの50%以下である、請求項に記載の液体収容ユニット。
【請求項4】
前記凹部と前記凸部は、前記第1の方向に垂直な断面が半円形である、請求項1からのいずれか1項に記載の液体収容ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置などの液体吐出装置には、可撓性を有する扁平な袋体の内部にインクなどの液体を収容した液体収容パックを備えたものがある。このような液体収容パックは、時間が経過しても液体吐出装置に均一な濃度で液体を供給するために、装置本体に装着されるケースに載置した際に袋体内部の液体取込口が上下非対称に配置される構成を採用することが多い。このような構成では、液体収容パックを上下正しい向きでケースに載置することが必要になるが、特許文献1には、袋体の一方の表面側にハンドルを設けることで、上下どちらの向きでケースに収容すべきかを容易に認識可能な液体収容パックが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-65374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の液体収容パックでは、ハンドルを追加することで、部品点数が増加するだけなく、製品の大型化も招いてしまう。
そこで、本発明の目的は、追加の部品を必要とすることなく、液体収容パックを正しい向きでケースに容易に収容することができる液体収容ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明の液体収容ユニットは、直方体状の最大面積面の一方が開口するケースと、開口を介してケース内に着脱自在に装着される液体収容パックと、を有し、液体収容パックが、液体を収容する扁平な袋体と、袋体の一端部に取り付けられ、液体の供給口を備えた直方体状のアダプタと、を有する、液体収容ユニットであって、ケースの開口と開口に対面する底面とを結ぶ方向を第1の方向とすると、アダプタは、供給口が設けられた面に連続する両外側面であって、ケースの底面とは対面しない両外側面のそれぞれに、第1の方向に延在して設けられた凹部を備え、ケースは、凹部が設けられたアダプタの両外側面に対面する両内側面のそれぞれに、液体収容パックが装着された状態で凹部に対して相補的に嵌り合う凸部を備え、アダプタの凹部を含む外側面の領域とケースの凸部を含む内側面の領域はそれぞれ、第1の方向に垂直な面に対して一方の側と他方の側とで非対称な構造であり、凹部は、第1の方向に関してアダプタの外側面の全体に延在して設けられ、凸部は、第1の方向に関してケースの内側面の全体に延在して設けられ、凹部は、ケースの底面と対面するアダプタの一面からケースの開口に面するアダプタの他面に向けて、凸部は、ケースの底面から開口に向けて、第1の方向に垂直な断面積がそれぞれ小さくなる
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、追加の部品を必要とすることなく、液体収容パックを正しい向きでケースに容易に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の液体収容ユニットが使用される液体吐出装置の斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る液体収容ユニットの斜視図である。
図3】第1の実施形態に係る液体収容ユニットの装着状態の透視平面図である。
図4】第2の実施形態に係る液体収容ユニットの斜視図である。
図5】第3の実施形態に係る液体収容ユニットの斜視図である。
図6】第4の実施形態に係る液体収容ユニットの斜視図である。
図7】比較例における液体収容ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。本明細書では、本発明の液体収容ユニットとして、インクジェット記録装置(液体吐出装置)に供給されるインク(液体)を収容する場合を例に挙げて説明するが、液体収容ユニットの用途はこれに限定されるものではない。本発明の液体収容ユニットは、例えば、インク以外の他の液体を吐出する各種の液体吐出装置にも使用可能である。なお、ここでいう「液体」とは、液相の状態にある材料だけでなく、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども含み、その代表例としては、インクの他、液晶などが挙げられる。また、ここでいう「インク」とは、沈降成分としての顔料が溶媒中に分散されたものであり、一般的な水性インクおよび油性インクの他、ジェルインク、ホットメルトインクなどの各種の液状組成物を包含するものである。
【0009】
図1は、本発明の液体収容パックが使用される液体吐出装置の斜視図である。
液体吐出装置1は、直方体状の筐体2と、筐体2内に設けられた液体吐出ヘッド(図示せず)とを有し、液体吐出ヘッドから液体としてのインクを吐出して記録媒体(図示せず)に画像を記録するインクジェット記録装置である。液体吐出ヘッドは、記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復移動するシリアルヘッドであってもよく、往復移動することなく装置本体に固定されたラインヘッドであってもよい。
また、液体吐出装置1は、液体吐出ヘッドに供給される液体を収容する液体収容パック20と、液体収容パック20が着脱自在に装着されるケース30とを有している。液体収容パック20は、ケース30と共に液体収容ユニット10(図2参照)を構成し、ケース30に収容された状態で、筐体2の前面に開口する装着部3内に挿入されて着脱可能に装着される。なお、ケース30は、液体収容パック20を収容しない単体の状態でも装着部3に装着可能である。装着部3は、筐体2の幅方向に複数(図示した例では4つ)並んで設けられ、装着部3の開口には、装着部3を開閉可能に覆うカバー4が設けられている。
【0010】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る液体収容ユニットの斜視図であり、液体収容パックがケースから取り出された様子を示している。
液体収容パック20は、液体を収容する扁平な袋体21と、アダプタ22とを有し、上述したように、最大面積面である上面が開口する直方体状のケース30と共に液体収容ユニット10を構成する。なお、以下の説明では、便宜上、液体収容パック20およびケース30について、ケース30の長辺に沿った液体吐出装置1に対する装着方向(図中の白抜き矢印参照)の下流側を「前」とし、上流側を「後」とする。また、装着方向を向いたときの左右方向(ケース30の短辺方向)の左側を「左」、右側を「右」とし、ケース30を水平面に載置した状態での上下方向(袋体60の厚み方向)の上側を「上」、下側を「下」とする。
アダプタ22は、液体収容パック20を液体吐出装置1に接続するためのものであり、直方体状に形成され、袋体21の前端部(一端部)に取り付けられている。アダプタ22は、下面(以下、「アダプタ下面」ともいう)22aと、これに垂直に連続する両外側面(以下、「アダプタ外側面」ともいう)22bと、アダプタ下面22aと反対側の上面(以下、「アダプタ上面」ともいう)22cとを有している。液体収容パック20は、アダプタ下面22aがケース30の底面(以下、「ケース底面」ともいう)30aに対面し、両方のアダプタ外側面22bがケース30の両内側面(以下、「ケース内側面」ともいう)30bに対面するように、ケース30に収容される。そして、液体収容パック20がケース30に収容されると、アダプタ上面22cは、ケース底面30aと反対側の上面(以下、「ケース開口面」ともいう)30cとほぼ同一平面になる。袋体21に収容された液体は、アダプタ22の前面に露出する液体供給部(供給口)23を通じて、液体吐出装置1に導入される。
【0011】
ところで、袋体21の内部には、液体吐出装置1に導入される液体を取り込むための複数の液体取込口(図示せず)が設けられている。これらの液体取込口は、時間が経過しても液体吐出装置1に均一な濃度で液体を供給するために、袋体21の内部で上下非対称に配置されており、したがって、液体収容パック20は、上下正しい向きでケース30に載置される必要がある。そのため、本実施形態では、液体収容パック20を上下正しい向きでケース30に収容するための位置決め機構として、液体収容パック20のアダプタ22には凹部24が形成され、ケース30には凸部31が形成されている。これらは、液体収容パック20がケース30に装着された状態で互いに相補的に嵌り合うようになっている。
凹部24は、上下方向(第1の方向)に延在してアダプタ外側面22bに形成され、アダプタ下面(一面)22aとアダプタ上面(他面)22cにそれぞれ開口している。凸部31は、ケース内側面30bから突出し、上下方向に沿ってケース内側面30bの全体に延在して形成されている。加えて、凹部24は、アダプタ22の高さ方向(上下方向)の中心を通りアダプタ22の高さ方向に垂直な面(アダプタ上面22cとアダプタ下面22aに平行な面)に対して一方の側と他方の側とで非対称な構造を有している。具体的には、凹部24は、アダプタ22の高さ方向に垂直な断面積(横断面積)がアダプタ下面22aから離れるにつれて小さくなるように形成された半円錐台状となっている。これに対し、凸部31も、ケース30の高さ方向(上下方向)に垂直な断面積(横断面積)がケース底面30aから離れるにつれて小さくなるように形成された半円錐台状となっている。
【0012】
図3は、図2の破線で囲まれた領域について、ケース30にアダプタ22が装着された状態を左側から見た透視平面図である。
ここで、凹部24のアダプタ下面22aにおける前後方向の最大長さをL、アダプタ上面22cにおける前後方向の最大長さをlとし、凸部31のケース底面30aにおける前後方向の最大長さをM、ケース開口面30cにおける前後方向の最大長さをmとする。このとき、それぞれの寸法は、L>l、M>m、l>m、L>Mの関係を満足するが、特に、凸部31のケース底面30aにおける前後方向の最大長さMと凹部24のアダプタ上面22cにおける前後方向の最大長さlが、M>lの関係を満足している。
このような関係により、仮に液体収容パック20を上下逆向きにケース30に収容しようとしても、凹部24と凸部31が適切に係合しないため、液体収容パック20をケース30に十分に収容することすらできなくなる。その結果、例えばハンドルなどの追加の部品を必要とすることなく、液体収容パック20を上下正しい向きでケース30に容易に収容することが可能になる。
【0013】
なお、図示した例では、凹部24と凸部31は共に半円錐台状に形成されているが、凹部24と凸部31の形状はこれに限定されない。すなわち、図示した例では、凹部24と凸部31の上下方向に垂直な断面は共に半円形であるが、例えば、矩形であってもよい。あるいは、凹部24の形状が、左右のアダプタ外側面22bで異なっていてもよく、凸部31の形状も、左右のケース内側面30bで異なっていてもよい。また、凸部31は、凹部24と前後方向(第2の方向)で位置規制可能に係合するようになっていれば、ケース内側面30bの全体に形成されていなくてもよい。すなわち、凸部31は、ケース内側面30bの一部、例えば、ケース内側面30bの上端(ケース開口面30cに接続する端部)にのみ形成されていてもよく、ケース底面30aとケース開口面30cとの間の領域にのみ形成されていてもよい。また、例えば、凸部31がケース内側面30bの下側領域にのみ形成されている場合、凹部24もアダプタ外側面22bの下側領域にのみ形成されていてよく、すなわち、アダプタ上面22cには開口せず、アダプタ下面22aにのみ開口していてもよい。
【0014】
また、凹部24と凸部31は、ケース30に対する液体収容パック20の上下方向の挿入を案内する案内機構としても機能する。そのため、挿入しやすさの観点から、凹部24は、上端面(アダプタ上面22c)における半円の直径(前後方向の最大長さ)が下端面(アダプタ下面22a)における半円の直径の50%以下であることが好ましい。同様に、凸部31は、上端面(ケース底面30aと反対側の端面)における半円の直径(前後方向の最大長さ)が下端面(ケース底面30a)における半円の直径の50%以下であることが好ましい。あるいは、液体収容パック20をケース30に収容するときに凹部24と凸部31との隙間が1mm以上であることが好ましく、すなわち、凹部24の下端面における半円の直径と凸部31の上端面における半円の直径との差が1mm以上であることが好ましい。
【0015】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る液体収容ユニットの斜視図であり、液体収容パックがケースから取り出された様子を示している。以下、第1の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成のみ説明する。また、特に言及しないが、第1の実施形態に対して適用可能な変更は、本実施形態においても同様に可能である。
本実施形態では、凹部24は、アダプタ外側面22bのうち下側領域にのみ形成されている。すなわち、凹部24は、アダプタ上面22cには開口せず、アダプタ下面22aに対向する内面24aを有している。加えて、アダプタ外側面22bは、凹部24が形成されていない上側領域が、凹部24が形成された下側領域よりも左右方向外側に突出している。これに対し、凸部31も、ケース内側面30bのうち下側領域にのみ形成されている。すなわち、凸部31は、ケース30の高さ方向に沿って、ケース底面30aから、液体収容パック20がケース30に収容されたときに凹部24の内面24aに対向する位置まで延びている。加えて、ケース30には、液体収容パック20がケース30に収容されたときにアダプタ外側面22bの上側領域を外部に露出させる切り欠き32が形成されている。これにより、本実施形態では、第1の実施形態で得られる効果に加え、液体収容パック20のケース30に対する挿入時または取り外し時に、アダプタ外側面30bの上側領域で液体収容パック20を把持しやすくなり、その操作性を向上させることができる。
【0016】
液体収容パック20の把持しやすさの観点から、アダプタ外側面22bのうち上側領域の高さ(上下方向の長さ)は、アダプタ外側面22b全体の高さの50%以上80%以下であることが好ましい。また、本実施形態においても、液体収容パック20のケース30への挿入しやすさの観点から、凹部24は、上端面(内面24a)における半円の直径が下端面(アダプタ下面22a)における半円の直径の50%以下であることが好ましい。同様に、凸部31は、上端面(液体収容パック20がケース30に収容されたときに凹部24の内面24aに対向する位置)における半円の直径が下端面(ケース底面30a)における半円の直径の50%以下であることが好ましい。あるいは、液体収容パック20をケース30に収容するときに凹部24と凸部31との隙間が1mm以上であることが好ましく、すなわち、凹部24の下端面における半円の直径と凸部31の上端面における半円の直径との差が1mm以上であることが好ましい。
なお、ケース30に形成された切り欠き32により、液体収容パック20の把持しやすさが十分に確保されれば、アダプタ外側面22bは、上側領域が下側領域よりも左右方向外側に突出していなくてもよく、すなわち、平坦であってもよい。また、ケース30に切り欠き32が形成され、アダプタ外側面22bの上側領域が下側領域よりも左右方向外側に突出していれば、凹部24と凸部31は省略されていてもよい。
【0017】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る液体収容ユニットの斜視図であり、液体収容パックがケースから取り出された様子を示している。以下、上述の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、上述の実施形態と異なる構成のみ説明する。また、特に言及しないが、上述の実施形態に対して適用可能な変更は、本実施形態においても同様に可能である。
本実施形態では、凹部24が半円柱状に形成され、すなわち、横断面積が一定であり、かつアダプタ外側面22bのうち下側領域にのみ形成されている。また、凸部31も半円柱状に形成され、すなわち、横断面積が一定であり、かつケース内側面30bのうち下側領域にのみ形成されている。すなわち、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、凹部24と凸部31が上下非対称に形成されており、これにより、液体収容パック20を上下正しい向きでケース30に容易に収容することが可能になる。なお、液体収容パック20とケース30を確実に位置決めするという観点から、凹部24の高さ(上下方向の長さ)は、アダプタ外側面22b全体の高さの50%以上80%以下であることが好ましい。同様に、凸部31の高さも、ケース内側面30b全体の高さの50%以上80%以下であることが好ましい。また、凸部31は、半円柱の両端面が前後を向くように横向きになっていてもよい。
【0018】
(第4の実施形態)
図6は、本発明の第4の実施形態に係る液体収容ユニットの斜視図であり、液体収容パックがケースから取り出された様子を示している。以下、上述の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、上述の実施形態と異なる構成のみ説明する。また、特に言及しないが、上述の実施形態に対して適用可能な変更は、本実施形態においても同様に可能である。
本実施形態は、アダプタ外側面22bのうち凹部24が形成されていない上側領域が下側領域よりも左右方向外側に突出し、それに対応して、ケース30に切り欠き32が形成されている点で第3の実施形態と異なっている。これにより、本実施形態では、第3の実施形態で得られる効果に加え、第2の実施形態と同様に、液体収容パック20のケース30に対する挿入時または取り外し時に液体収容パック20を把持しやすくなり、その操作性を向上させることができる。
【0019】
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0020】
(実施例1)
本実施例では、図2に示す液体収容ユニット10を作製し、液体収容パック20のケース30に対する挿入および取り外しを繰り返し行い、その操作性を評価した。
液体収容パック20の袋体21としては、幅(左右方向の長さ)が60mm、奥行き(前後方向の長さ)が200mmのものを用意し、アダプタ22としては、幅が76mm、奥行きが40mm、高さ(上下方向の長さ)が20mmのものを用意した。また、アダプタ22の前面からの距離が28mmとなる位置に、凹部24として、上端面における半円の直径が5.5mm、下端面における半円の直径が15.5mm、下端面から上端面までの高さが20mmの半円錐台を形成した。なお、アダプタ22の前面からの距離とは、奥行方向(前後方向)において凹部24の断面の中心(本実施例では半円の中心)までの距離を意味し、このことは、凹部24の断面が半円形でない場合にも当てはまる(以下の実施例においても同様)。ケース30としては、幅が80mm、奥行きが250mm、高さが22mm、肉厚が2mmのものを用意した。また、ケース30の前面からの距離が30mmとなる位置に、凸部31として、上端面における半円の直径が5mm、下端面における半円の直径が15mm、下端面から上端面までの高さが20mmの半円錐台を形成した。なお、ケース30の前面からの距離とは、奥行方向(前後方向)において凸部31の断面の中心(本実施例では半円の中心)までの距離を意味し、このことは、凸部31の断面が半円形でない場合にも当てはまる(以下の実施例においても同様)。
このような液体収容ユニット10では、凹部24の下端面における半円の直径(15.5mm)と凸部31の上端面における半円の直径(5mm)との差が十分に確保されていたため、液体収容パック20のケース30に対する挿入を容易に行うことができた。また、液体収容パック20を上下どちらの向きでケース30に収容すべきかを容易に認識できただけでなく、液体収容パック20を上下正しい向きと逆向きにケース30に収容しようとしてもできなかった。
【0021】
(実施例2)
本実施例では、図4に示す液体収容ユニット10を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
液体収容パック20の袋体21としては、実施例1と同様のものを用意し、アダプタ22としては、幅が76mm、奥行きが40mm、高さが20mmで、アダプタ上面22cから10mmの範囲を左右方向外側にそれぞれ2mm突出させたものを用意した。すなわち、アダプタ22の最大幅は80mmである。また、アダプタ22の前面からの距離が28mmとなる位置に、凹部24として、上端面における半円の直径が7.5mm、下端面における半円の直径が15.5mm、下端面から上端面までの高さが10mmの半円錐台を形成した。ケース30としては、凸部31の形状と切り欠き32が形成されている点を除いて、実施例1と同様のものを用意した。すなわち、ケース30の前面からの距離が30mmとなる位置に、凸部31として、上端面における半円の直径が7mm、下端面における半円の直径が15mm、下端面から上端面までの高さが10mmの半円錐台を形成した。切り欠き32は、ケース30の前面から42mm、開口面30cから10mmの範囲に形成した。
このような液体収容ユニット10では、凹部24の下端面における半円の直径(15.5mm)と凸部31の上端面における半円の直径(7mm)との差が十分に確保されていたため、液体収容パック20のケース30に対する挿入を容易に行うことができた。さらに、液体収容パック20のケース30への収容時にアダプタ外側面22cの上側領域(10mm×40mm)がケース30から露出するため、液体収容パック20の挿入時または取り外し時の把持しやすさも良好であった。また、液体収容パック20を上下どちらの向きでケース30に収容すべきかを容易に認識できただけなく、液体収容パック20を上下正しい向きと逆向きにケース30に収容しようとしてもできなかった。
【0022】
(実施例3)
本実施例では、図5に示す液体収容ユニット10を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
液体収容パック20の袋体21およびアダプタ22としては、凹部24の形状を除いて、実施例1と同様のものを用意した。すなわち、アダプタ22の前面からの距離が28mmとなる位置に、凹部24として、直径が15.5mm、高さが10mmの半円柱を形成した。ケース30としては、凸部31の形状を除いて、実施例1と同様のものを用意した。すなわち、ケース30の前面からの距離が30mmとなる位置に、凸部31として、直径が15mm、高さが10mmの半円柱を形成した。
このような液体収容ユニット10では、液体収容パック20を上下どちらの向きでケース30に収容すべきかを容易に認識できただけでなく、液体収容パック20を上下正しい向きと逆向きにケース30に収容しようとしてもできなかった。
【0023】
(実施例4)
本実施例では、図6に示す液体収容ユニット10を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
液体収容パック20の袋体21およびアダプタ22としては、凹部24の形状を除いて、実施例2と同様のものを用意した。すなわち、アダプタ22の前面からの距離が28mmとなる位置に、凹部24として、直径が15.5mm、高さが10mmの半円柱を形成した。ケース30としては、凸部31の形状を除いて、実施例2と同様のものを用意した。すなわち、ケース30の前面からの距離が30mmとなる位置に、凸部31として、直径が15mm、高さが10mmの半円柱を形成した。
このような液体収容ユニット10では、液体収容パック20のケース30への収容時にアダプタ外側面22cの上側領域(10mm×40mm)がケース30から露出するため、液体収容パック20の挿入時または取り外し時の把持しやすさが良好であった。また、液体収容パック20を上下どちらの向きでケース30に収容すべきかを容易に認識できただけでなく、液体収容パック20を上下正しい向きと逆向きにケース30に収容しようとしてもできなかった。
【0024】
(比較例)
本比較例では、図7に示す液体収容ユニット10を作製し、実施例1と同様の評価を行った。
液体収容パック20の袋体21およびアダプタ22としては、凹部24の形状を除いて、実施例1と同様のものを用意した。すなわち、アダプタ22の前面からの距離が28mmとなる位置に、凹部24として、直径が15.5mm、高さが20mmの半円柱を形成した。ケース30としては、凸部31の形状を除いて、実施例1と同様のものを用意した。すなわち、ケース30の前面からの距離が30mmとなる位置に、凸部31として、直径が15mm、高さが20mmの半円柱を形成した。
このような液体収容ユニット10では、液体収容パック20を上下どちらの向きでケース30に収容すべきかを容易に認識できず、液体収容パック20を上下正しい向きとは逆向きにケース30に収容することもできた。
【符号の説明】
【0025】
10 液体収容ユニット
20 液体収容パック
24 凹部
30 ケース
31 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7