(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】複合機とその制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240805BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240805BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04N1/00 350
G03G21/00
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2021034436
(22)【出願日】2021-03-04
【審査請求日】2024-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】内藤 洋帥
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-146983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0321444(US,A1)
【文献】特開2015-069553(JP,A)
【文献】特開2019-119139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
B41J 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合機であって、
ジョブを実行する実行手段と、
前記実行手段によって過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブを前記設定で実行するために使われるボタンを表示する表示手段と、
ユーザによって所定の入力がされたか否かをジョブの実行指示のたびに判定する判定手段と、
前記ユーザによって所定の入力がされていないと前記判定手段によって判定された場合に
、前記ジョブの設定が登録されたボタンを
前記表示手段に表示させ
る制御を行わず、前記ユーザによって前記所定の入力がされていると前記判定手段によって判定された場合に
、前記ジョブの設定をユーザから再度受け付けることなく
前記ジョブの設定が登録されたボタンを
前記表示手段に表示
させる制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする複合機。
【請求項2】
操作部をさらに有し、
前記
所定の入力は、前記操作部を介した入力であることを特徴とする請求項1に記載の複合機。
【請求項3】
前記表示手段は、前記実行手段によって過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブを前記設定で実行するために使われるボタンが3つのみ同時に表示された状態の画面を表示可能であることを特徴とする請求項1
または2に記載の複合機。
【請求項4】
前記ボタンには、当該ボタンがコピージョブのためのボタンであることを示す情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の複合機。
【請求項5】
前記ボタンには、前記コピージョブの設定の少なくとも一部を示す情報が含まれることを特徴とする請求項4に記載の複合機。
【請求項6】
前記表示手段は、過去に実行された送信ジョブの設定が登録されたボタンであって、新たな送信ジョブを前記設定で実行するために使われる他のボタンをさらに表示可能であることを特徴とする請求項
4に記載の複合機。
【請求項7】
前記他のボタンには、当該他のボタンが送信ジョブのためのボタンであることを示す情報が含まれることを特徴とする請求項6に記載の複合機。
【請求項8】
前記ボタンには、前記他のボタンが送信ジョブのためのボタンであることを示す情報とは異なる情報であって、当該ボタンがコピージョブのためのボタンであることを示す情報が含まれることを特徴とする請求項7に記載の複合機。
【請求項9】
前記ボタンには第1のアイコンが含まれ、前記他のボタンには、前記第1のアイコンとは異なる第2のアイコンが含まれることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項10】
原稿を読み取るスキャナ及びシートに印刷を行うプリンタを有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項11】
前記所定の入力は、前記過去に実行されたジョブで用いる宛先の入力であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項12】
前記所定の入力は、前記過去に実行されたジョブで用いる部数の入力であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項13】
複合機の制御方法であって、
ジョブを実行する実行ステップと、
前記実行ステップにより過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブを前記設定で実行するために使われるボタンを表示する表示ステップと、
ユーザによって所定の入力がされたか否かをジョブの実行指示のたびに判定する判定ステップと、
前記ユーザによって所定の入力がされていないと前記判定ステップで判定された場合に
、前記ジョブの設定が登録されたボタンを
前記表示ステップで表示させ
る制御を行わず、前記ユーザによって前記所定の入力がされていると前記判定ステップで判定された場合に
、前記ジョブの設定をユーザから再度受け付けることなく
前記ジョブの設定が登録されたボタンを
前記表示ステップで表示
させる制御を行う制御ステップと、を有することを特徴とする複合機の制御方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の複合機の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機とその制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複合機(以下「MFP」と記す)は、タッチパネル式の表示装置を備えており、各種のアプリケーションを起動するためのアプリケーションボタンが表示されたホーム画面が表示装置の画面に表示されるようになっている。また、実行するジョブの設定値を保持したアプリケーションボタンが表示され、そのボタンが押下されると、保持されている設定値を反映しつつアプリケーションを起動させるMFPが知られている。更に、設定値を保持するだけでなく、ショートカットボタンを押下するだけでジョブの実行まで行う即実行ボタンが表示されるMFPがある。
【0003】
このような複合機において、例えばスキャナに原稿がセットされると、ホーム画面上でのスキャン機能に関連するアプリケーションボタンの表示優先度を上げて、ホーム画面上でのボタンの並び順を自動で更新する技術が知られている(特許文献1参照)。また、ホーム画面での表示ではないが、原稿幅を読み取った結果に基づいて、選択候補となる用紙サイズのボタンを、用紙サイズの使用回数が多い順に並べて表示する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-117158号公報
【文献】特開2013-145946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ファクシミリや電子メールの送信を行うためのアプリケーションボタンに送信先(宛先)が含まれる場合には、誤送信とならないように留意する必要がある。しかし、操作するボタンが送信先を含むボタンであることに気付かずに押下してしまうおそれがある。その場合、押下したボタンに含まれている送信先へのデータ送信が意図せずして始まってしまう。
【0006】
また、別の課題として、ホーム画面でのアプリケーションボタンの表示に、使用回数に基づいて優先順位を設けた場合には、次のような課題が生じる。即ち、デフォルト設定から一部の条件のみを変更してジョブを実行することが多い使用環境下では、変更された一部の条件のみが異なるアプリケーションボタンばかりが優先的に表示されてしまう。例えば、コピージョブで部数のみを入力し、他の設定をデフォルト設定で実行することが多い使用環境下では、部数のみが異なるアプリケーションボタンが優先的に表示されてしまう。その結果、部数以外の設定をデフォルト設定から変更したジョブを行う際の操作性が低下してしまう。また、ファクシミリジョブで送信先のみを設定して他の設定をデフォルト設定で実行することが多い使用環境下では、送信先のみが異なるアプリケーションボタンばかりが優先的に表示されてしまう。その結果、前述のコピージョブの場合と同様に、送信先以外の設定をデフォルト設定から変更したジョブを行う際の操作性が低下してしまう。このように、デフォルト設定とは異なる設定を含むボタンをホーム画面に表示させ、表示されたボタンを選択(押下)することで設定ステップを減らすという本来の目的が果たせなくなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブを当該設定で実行するために使われるボタンを表示し、ユーザによって所定の入力がされたか否かをジョブの実行指示のたびに判定する仕組みを有し、ユーザによって所定の入力がされていないと判定された場合に、ジョブの設定が登録されたボタンを表示させる制御を行わず、ユーザによって所定の入力がされていると判定された場合に、ジョブの設定をユーザから再度受け付けることなくジョブの設定が登録されたボタンを表示させる制御を行う仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る複合機は、ジョブを実行する実行手段と、前記実行手段によって過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブを前記設定で実行するために使われるボタンを表示する表示手段と、ユーザによって所定の入力がされたか否かをジョブの実行指示のたびに判定する判定手段と、前記ユーザによって所定の入力がされていないと前記判定手段によって判定された場合に、前記ジョブの設定が登録されたボタンを前記表示手段に表示させる制御を行わず、前記ユーザによって前記所定の入力がされていると前記判定手段によって判定された場合に、前記ジョブの設定をユーザから再度受け付けることなく前記ジョブの設定が登録されたボタンを前記表示手段に表示させる制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブを当該設定で実行するために使われるボタンを表示し、ユーザによって所定の入力がされたか否かをジョブの実行指示のたびに判定する仕組みを有し、ユーザによって所定の入力がされていないと判定された場合に、ジョブの設定が登録されたボタンを表示させる制御を行わず、ユーザによって所定の入力がされていると判定された場合に、ジョブの設定をユーザから再度受け付けることなくジョブの設定が登録されたボタンを表示させる制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るMFPの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】MFPのディスプレイに表示されるホーム画面の一例を示す図である。
【
図3】ジョブ種に対するデフォルト設定値の定義テーブルを示す図である。
【
図4】ジョブ実行時に用いられた設定値の履歴データを示す模式図である。
【
図5】ホーム画面に表示するアプリケーションボタンの表示優先順位を求めるために生成される一時データを模式的に示す図である。
【
図6】一時データの各ジョブを発生回数の多い順に並べた表である。
【
図7】送信先を含むアプリケーションボタンをホーム画面に自動表示するか否かを設定するための自動表示選択メニューの一例を示す図である。
【
図8】アプリケーションボタンの自動表示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の一例であるMFP100(複合機)の概略構成を示すブロック図である。MFP100は、CPU101、ROM102、RAM103、操作部コントローラ108、操作パネル109、ディスプレイ111、ディスクコントローラ112、HDD113、プリンタ114、スキャナ115、モデム116及びNCU117を備える。MFP100が備えるこれら各部は、システムバス121によって相互に通信可能に接続されている。
【0014】
CPU101は、ROM102又はHDD113に格納(記憶)された各種プログラムをRAM103に展開することによって、MFP100の各部の動作を統括的に制御する。ROM102は、MFP100の動作を制御するOSやドライバ等の各種プログラムやデータ等を格納する。RAM103は、CPU101の主メモリ及びワークエリア等として機能する。操作部コントローラ108は、MFP100に装備された各種の操作ボタン(不図示)、操作パネル109及びディスプレイ111を制御する。操作パネル109は、具体的には、ディスプレイ111に重畳して配置されるタッチパネルである。操作パネル109とディスプレイ111とが組み合わされて表示装置が構成される。
【0015】
ディスクコントローラ112は、HDD113の動作を制御する。HDD113は、CPU101が実行する各種のアプリケーションソフトウェアを格納し、また、スキャナ115により生成される画像データ等を一時的な記憶手段として用いられる。なお、HDD113は記憶媒体の一例であり、HDD113に代えてフラッシュメモリやSSD等を用いてもよく、その場合には装備された記憶媒体に対応するものにディスクコントローラ112は取り替えられる。
【0016】
プリンタ114は、シート状の記録材(一般的に用紙)に対して電子写真方式により画像を形成する。但し、画像形成は、電子写真方式に限らず、インク噴射式等の他の方式であってもよい。スキャナ115は、原稿の紙面を光学的に読み取って画像データを生成する。スキャナ115には、オプションとして自動原稿読取装置(ADF)の装着が可能となっている。
【0017】
モデム116は、交換機131を介して外部から受信した変調信号を復調し、逆にMFP100から外部へ送信するための信号を変調して交換機131へ送出する。NCU117は、CPU101とモデム116とのインタフェース部であり、交換機131からの信号を検知してモデム116に伝え、また、交換機131と電話132に対する通信回線の接続切り替えを行う。
【0018】
図2は、ディスプレイ111に表示されるホーム画面200の一例を示す図である。ホーム画面200には、アプリケーションボタン201、スクロールボタン202、メニューボタン203及び状況確認ボタン204が表示されている。
【0019】
前述したように、ディスプレイ111には操作パネル109としてのタッチパネルが重畳されている。ホーム画面200には、アプリケーションボタン201が複数表示されるようになっている。それぞれのアプリケーションボタン201には、1つ又は複数の設定値が付与されており、アプリケーションボタン201が押下されると、押下されたアプリケーションボタン201に紐付けられた設定値でジョブが実行される。
【0020】
スクロールボタン202は、ホーム画面200に表示されるアプリケーションボタン201をスクロール表示させるための操作手段である。アプリケーションボタン201のスクロール表示は、スクロールボタン202に対するタッチ操作に限定されず、例えば、ホーム画面200に対する左右方向のフリック操作やスクロールボタン202の左右(<,>)を押下することで行われるようにしてもよい。なお、
図2には1画面に3つのスクロールボタン202が配置されており、ホーム画面200には3ページが存在していることを示している。
【0021】
メニューボタン203は、メニュー画面(不図示)を表示するための操作手段であり、メニュー画面を通じてMFP100の各種設定を行うことが可能となっている。状況確認ボタン204は、ジョブの状況及び実行履歴を確認するための画面(不図示)を開くための操作手段である。
【0022】
図3は、ジョブ種301に対するデフォルト設定値302の定義テーブル300を示す図である。ジョブ種301は、MFP100で実行可能なジョブの種類を表しており、一例としてコピー、ファクシミリ(以下「FAX」と記す)、Email(電子メール)が示されているが、これらに限定されるものではない。ジョブ種301のそれぞれに対して、デフォルト設定値302が定められている。
図3に示されているデフォルト設定値302の内容は、一例に過ぎない。
【0023】
デフォルト設定値は、ジョブ種ごとに複数の項目で構成されている。ジョブ種ごとに設定可能な項目は多数あるが、例えば、ジョブ種がコピーの場合の代表的な項目として、印刷部数、印刷色、片面/両面印刷、自動/手動用紙選択、仕上げ指定、コピー倍率がある。本実施形態では、各項目に対するデフォルト設定値として、印刷部数には0部、印刷色には白黒、片面/両面印刷には片面、自動/手動用紙選択には自動、仕上げ指定には無し、コピー倍率には100%(等倍)、が設定されている。
【0024】
図4は、過去に実行されジョブと、ジョブの実行時に用いられた設定値の履歴データを管理するデータベースに保存された内容を模式的に示す図である。データベースは、HDD113に構築(保存)される。ジョブが実行されると項番401(No.)が付され、項番401ごとにジョブの発生日402、ジョブ種403及び設定値404が履歴データとして記憶される。
【0025】
本実施形態では、過去に実行されたジョブに関して、最大で1000件の履歴データを登録することができ、登録された履歴データの数が1000件を超えると、古い履歴データから順に上書きされて登録されるようになっている。例えば、1001件目の履歴データは、1件目の履歴データを上書きする形で登録される。これにより、常に最新の1000件の履歴データを登録することが可能となっている。
【0026】
発生日402は、ジョブの発生日(そのジョブが実行された年月日)を表しており、不図示であるが、同日に複数のジョブが実行された場合には時系列順に登録が行われる。ジョブ種403は、MFP100で実行可能なコピーやFAX、Email等の各種ジョブを表している。設定値404は、ジョブに対してメニュー画面等から設定が可能な各種項目について、実際にジョブが実行された際に用いられた全ての設定値を表している。
【0027】
なお、
図4では便宜的に、各ジョブについて設定可能な項目を、
図3に示した項目に合わせている。また、
図4では、デフォルト設定値からの値の変更が行われた項目については、その値に‘*’マークを付与している。例えば、項番401が‘000’のコピージョブでは、印刷部数、印刷色及び仕上げ指定の3つの項目の設定値がデフォルト設定値から変更されている。
【0028】
図5は、データベース400に保存されている履歴データからホーム画面200に表示するアプリケーションボタン201の優先順位(順序)を求めるために生成される一時的なデータ(以下「一時データ500」という)を模式的に示す図である。一時データ500は、
図8を参照して後述するフローチャートに従ってデータベース400に保存されている履歴データから抜き出された一部のデータによって構成される。よって、ジョブ種501及び設定値502はそれぞれ、
図4のジョブ種403及び設定値404に準じたものとなる。
【0029】
図6は、一時データとして
図5に抜き出された各ジョブの発生回数(使用回数)をカウントし、カウント数の多い順に並べた頻度順位表600を示す図である。頻度順位表600には、ホーム画面200上に表示されるアプリケーションボタン201の最大数(本実施形態では9個)分のジョブが、後述する
図8のフローチャートに従って求められ、登録される。表示順601は、ホーム画面200でのアプリケーションボタン201の表示優先順位を表している。ジョブ種602及び設定値603はそれぞれ、
図5のジョブ種501及び設定値502と同じものとなる。使用回数604は、ジョブ種602にある各ジョブの使用回数を表している。
【0030】
図7は、送信先(宛先)を含むジョブのアプリケーションボタン201をホーム画面200に自動表示するか否かをジョブごとに設定するための自動表示選択メニュー700の一例を示す図である。送信先種別701は、送信先のあるジョブの種別を表しており、ここでは、FAX、I-FAX、Email、ファイル、メモリボックス(BOX)が例示されている。自動表示設定値702は、送信先を含むアプリケーションボタン201をホーム画面200に自動表示するか否かを選択する設定値である。自動表示させる場合には‘ON’が設定され、自動表示させない場合は‘OFF’が設定される。自動表示選択メニュー700での‘ON/OFF’の設定は、ユーザが操作パネル109を操作することにより変更することができるようになっている。
【0031】
図8は、ホーム画面200でのアプリケーションボタン201の自動表示処理のフローチャートである。
図8のフローチャートにS番号で示される各処理(ステップ)は、CPU101がROM102又はHDD113から読み出した所定のプログラムをRAM103に展開して、操作部コントローラ108及びディスプレイ111を制御することにより実現される。
【0032】
S801でCPU101は、操作パネル109からの入力に従って所定のジョブを実行する。S802でCPU101は、S801で実行したジョブを終了させる。S803でCPU101は、S801のジョブの発生日、ジョブ種及び各種の設定値を履歴データ(
図4)に追加(登録)する。S804でCPU101は、ホーム画面200に表示するアプリケーションボタンの表示優先順位を求めるための一時データ(
図5)をクリアする。S805でCPU101は、データベース400に登録されている履歴データに対してその順番を定める変数‘i’を設定すると共に‘i=1’に設定する。
【0033】
S806でCPU101は、データベース400のi番目に登録されている履歴データを定義テーブル300と比較して、処理を分岐させる。具体的には、i番目の履歴データの設定値404に、そのジョブ種403と一致するジョブ種301について定義されているデフォルト設定値302から変更されている項目数が幾つあるかをカウントする。変更された項目のカウント数が規定数以下(本実施形態では‘1以下’とする)であれば、デフォルト設定値302に近いと判定する。CPU101は、履歴データの設定値404がデフォルト設定値302に近いと判定した場合(S806でYES)、処理をS813へ進める。一方、CPU101は、履歴データの設定値404がデフォルト設定値302に近くないと判定した場合(S806でNO)、処理をS807へ進める。
【0034】
なお、デフォルト設定値302に近いと判定された履歴データは、後述するS812の処理(一時データ500としての保存処理)をスルーすることになるため、アプリケーションボタンの表示優先順位の決定に利用されない。また、後述するS807~S811の各処理において‘YES’と判定された場合も、S812の処理(一時データ500としての保存処理)をスルーすることになるため、アプリケーションボタンの表示優先順位の決定に利用されない。
【0035】
S807でCPU101は、i番目の履歴データがFAX送信先を含み、且つ、自動表示選択メニュー700の自動表示設定値が‘OFF’であるという条件(以下「条件1」という)が満たされているか否かを判定する。CPU101は、条件1が満たされていると判定した場合(S807でYES)、処理をS813へ進め、条件1が満たされていないと判定した場合(S807でNO)、処理をS809へ進める。なお、i番目の履歴データのジョブ種403がFAX送信ではない場合には、S807の判定結果は必然的に‘NO’となるが、本処理をスキップするようにしてもよい。
【0036】
S808でCPU101は、i番目の履歴データがI-FAX送信先を含み、且つ、自動表示選択メニュー700の自動表示設定値が‘OFF’であるという条件(以下「条件2」という)が満たされているか否かを判定する。CPU101は、条件2が満たされていると判定した場合(S808でYES)、処理をS813へ進め、条件2が満たされていないと判定した場合(S808でNO)、処理をS809へ進める。なお、i番目の履歴データのジョブ種403がI-FAX送信ではない場合には、S808の判定結果は必然的に‘NO’となるが、本処理をスキップするようにしてもよい。
【0037】
S809でCPU101は、i番目の履歴データがEmail送信先を含み、且つ、自動表示選択メニュー700の自動表示設定値が‘OFF’であるという条件(以下「条件3」という)が満たされているか否かを判定する。CPU101は、条件3が満たされていると判定した場合(S809でYES)、処理をS813へ進め、条件3が満たされていないと判定した場合(S809でNO)、処理をS810へ進める。なお、i番目の履歴データのジョブ種403がEmail送信ではない場合には、S809の判定結果は必然的に‘NO’となるが、本処理をスキップするようにしてもよい。
【0038】
S810でCPU101は、i番目の履歴データがファイル送信先を含み、且つ、自動表示選択メニュー700の自動表示設定値が‘OFF’であるという条件(以下「条件4」という)が満たされているか否かを判定する。CPU101は、条件4が満たされていると判定した場合(S810でYES)、処理をS813へ進め、条件4が満たされていないと判定した場合(S810でNO)、処理をS811へ進める。なお、i番目の履歴データのジョブ種403がファイル送信ではない場合には、S810の判定結果は必然的に‘NO’となるが、本処理をスキップするようにしてもよい。
【0039】
S811でCPU101は、i番目の履歴データがメモリボックス送信先を含み、且つ、自動表示選択メニュー700の自動表示設定値が‘OFF’であるという条件(以下「条件5」という)が満たされているか否かを判定する。CPU101は、条件5が満たされていると判定した場合(S811でYES)、処理をS813へ進め、条件5が満たされていないと判定した場合(S811でNO)、処理をS812へ進める。なお、i番目の履歴データのジョブ種403がメモリボックス送信ではない場合には、S811の判定結果は必然的に‘NO’となるが、本処理をスキップするようにしてもよい。
【0040】
S812でCPU101は、S806~S811の全ての判定が‘NO’となったi番目の履歴のデータを一時データ500に追加する。S813でCPU101は、データベース400に保存されている全ての履歴データについて、S806~S812の処理を行ったか否かを判定する。CPU101は、全ての履歴データについてS806~S812の処理が終わっていないと判定した場合(S813でNO)、処理をS814へ進める。S814でCPU101は、iの値を1だけインクリメントし、その後、処理をS806へ戻す。これにより、データベース400に保存されている全ての履歴データについて、S806~S812の処理を行うことができる。そして、CPU101は、S813で全ての履歴データについてS806~S812の処理が終了したと判定した場合(S813でYES)、処理をS815へ進める。こうして、一時データ500が生成される。
【0041】
S815でCPU101は、S812で作成された一時データ500の設定値502に同じものが幾つかあるかをカウントし、カウント数の多い上位の所定数のジョブを検出する。ここでの所定数は、ホーム画面200に表示するアプリケーションボタン201の数であり、本実施形態では前述した9つである。前出の
図6は、S815の結果の一例を表している。S816でCPU101は、検出した上位の所定数のアプリケーションボタン201をホーム画面200上に表示し、これにより本処理を終了させる。
【0042】
このように本実施形態によれば、誤送信を誘発してしまうおそれのある送信先を含むアプリケーションボタンの送信先ごとのホーム画面への自動表示の禁止と許可を、ユーザが任意に切り替えることができる。例えば、FAX等の主に外部に送信されることの多いジョブのアプリケーションボタンのホーム画面への自動表示を禁止することで、誤送信の発生リスクを低減させることができる。一方、ユーザ自身のPCや社内の共有フォルダに送信することが多いファイル送信ではアプリケーションボタンのホーム画面への自動表示を許可することで、ユーザの利便性を高めることが可能になる。
【0043】
また、デフォルト設定値に対して部数のみが異なるコピージョブのアプリケーションボタンや、デフォルト設定値に対して送信先のみが異なるFAXジョブのアプリケーションボタン等で、ホーム画面が埋め尽くされてしまうことをなくすことができる。つまり、単純なアプリケーションのショートカットボタンと同等なアプリケーションボタンをホーム画面に表示しないようにすることで、デフォルト設定値からある程度変更された設定値を保持したアプリケーションボタンを表示することができるようになる。これにより、ユーザはこれから実行するジョブの設定値を更に変更する場合でも、手短に設定変更を行うことが可能になる。つまり、MFPの使用環境によらずに高い操作性を提供することが可能になる。
【0044】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、データベース400が更新される度に一時データ500を更新して使用回数604を検出し、アプリケーションボタンの表示を自動更新する構成とした。但し、これに限らず、データベース400に保存された履歴データの差分を用いて使用回数604を検出する方法を採用してもよく、これによりCPU101の処理負荷を軽減することが可能になる。
【0046】
また、上記実施形態では、ホーム画面でのアプリケーションボタンの表示を、S806~S811の判定結果に基づいて、所定の設定値のジョブの実行回数に応じて自動で更新するようにした。S806~S811の判定手法は、これに限らず、実行されたジョブから順に一定数のアプリケーションボタンをホーム画面に表示するタイムライン表示等の機能にも適用することができる。
【0047】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0048】
101 CPU
109 操作パネル
111 ディスプレイ
114 プリンタ
115 スキャナ
200 ホーム画面
201 アプリケーションボタン
301 ジョブ種
302 デフォルト設定値
601 表示順
602 ジョブ種
603 設定値
604 使用回数