(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】複合機とその制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240805BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04N1/00 350
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2021041558
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2024-03-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】潤間 一博
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-125687(JP,A)
【文献】特開2019-119139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合機であって、
ジョブを実行する実行手段と、
前記実行手段によって過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブを前記設定で実行するために使われる
複数のボタンが
使用回数順に同時に表示された状態の画面を表示する表示手段と、
前記複数のボタンから1つのボタンを選択する選択手段と、
制御手段と、を有
し、
前記実行手段は、前記選択手段によって選択されたボタンに登録された設定に基づいて前記新たなジョブを実行し、
前記制御手段は、前記新たなジョブの実行が
第1の種類のエラーによって正常に完了しない場合、
前記画面での前記使用回数を変更せず、
前記新たなジョブの実行が前記第1の種類のエラーとは異なる第2の種類のエラーによって正常に完了しない場合、前記画面での前記使用回数をゼロに設定し、前記新たなジョブの実行が正常に完了した
場合、
前記画面での前記使用回数を増加させることを特徴とする複合機。
【請求項2】
前記ボタンには、前記ジョブの設定の少なくとも一部を示す情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の複合機。
【請求項3】
前記ボタンには、ジョブの種類を示す情報が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合機。
【請求項4】
前
記ボタンには、コピージョブのためのボタンが含まれることを示す情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項5】
原稿を読み取るスキャナ、及び、用紙に印刷を行うプリンタ、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項6】
前記第1の種類のエラーは、次回正常に動作可能なエラーであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項7】
前記新たなジョブは、原稿を読み取って生成された画像データをファクスで送信するジョブであり、
前記第1の種類のエラーは、前記原稿の詰まりであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項8】
前記新たなジョブは、原稿を読み取って生成された画像データをファクスで送信するジョブであり、
前記第1の種類のエラーは、前記画像データの送信先が通話中であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項9】
前記新たなジョブは、原稿を読み取って生成された画像データをファクスであって、Fコードとパスワードとを指定したジョブであり、
前記第2の種類のエラーは、前記Fコードとパスワードが前記画像データの受信側に設定されたFコードとパスワードと合致しなかったことであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項10】
前記制御手段は、前記新たなジョブの実行が正常に完了した場合、前記使用回数を1増加させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の複合機。
【請求項11】
複合機の制御方法であって、
ジョブを実行する実行手段によって過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブを前記設定で実行するために使われる
複数のボタンが
使用回数順に同時に表示された状態の画面を表示する
表示ステップと、
前記複数のボタンから1つのボタンを選択する選択ステップと、
制御ステップと、を有
し、
前記実行手段は、前記選択ステップで選択されたボタンに登録された設定に基づいて前記新たなジョブを実行し、
前記制御ステップでは、前記新たなジョブの実行が
第1の種類のエラーによって正常に完了しない場合、
前記画面での前記使用回数を変更せず、
前記新たなジョブの実行が前記第1の種類のエラーとは異なる第2の種類のエラーによって正常に完了しない場合、前記画面での前記使用回数をゼロに設定し、前記新たなジョブの実行が正常に完了した
場合、
前記画面での前記使用回数を増加させることを特徴とする複合機の制御方法。
【請求項12】
請求項
11に記載された複合機の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機、その制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル式の操作画面を有する表示装置を備え、操作画面に表示するホーム画面に所定のジョブを実行するためのアプリケーションボタンが表示される画像処理装置が知られている。また、ジョブの設定値を保持したアプリケーションボタンを操作画面に表示し、そのアプリケーションボタンが押下されると、設定値を反映しつつジョブを実行する画像処理装置が知られている。
【0003】
このような画像処理装置の例として、所謂、複合機(MFP)があり、アプリケーションボタンの表示制御に関して、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1は、ユーザに許可された送信プロトコルのボタンのみを表示し、ユーザに許可されていない送信プロトコルのボタンを表示しないことにより、送信エラーを防止する技術を提案している。また、特許文献2は、使用頻度の高い順序でアプリケーションボタンを表示することにより、ユーザの操作負担の軽減を図る技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-234170号公報
【文献】特開2013-145946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ファクシミリ(以下「FAX」と記す)での送信先(宛先)が含まれたアプリケーションボタンを選択して画像データの送信を実行した際に、回線状態や受信側の機器の状態及び設定によってはエラーが発生する(送信が正常に終了しない)場合がある。一例として、親展送信を行うためにFコードとパスワード付きの送信を行う際に、Fコードとパスワードが一致しない場合には、通信エラーとなってジョブが終了しまう。このとき、受信側でFコードとパスワードの設定が削除又は変更されていた場合、その後に再送信を行っても、同様に通信エラーとなってジョブが終了してしまう。こうして、送信側のユーザが通信エラーに気付かないまま親展送信のジョブが繰り返された場合には、そのジョブの使用頻度の高いものとして認識されて、そのジョブを実行するためのアプリケーションボタンが上位に表示されてしまう。
【0006】
また、FAX送信を行った際に、受信側の機器の使用状態や回線状態が原因でエラー終了する場合がある。例えば、受信側の機器が通話中又は別の相手とFAX通信中で回線が使用されていた場合には、受信側の機器に通信接続することができないため、送信側の機器は、回線ビジー状態と判断してエラー終了させてしまう。しかし、この場合には、一定の時間が経過すれば、受信側の機器での回線ビジー状態が終了している場合が多い。よって、エラー終了時から一定の時間を空けて再送信を行えば、正常に送信することができることが多い。このような場合には、実行されたジョブの使用頻度が高いと認識されて、そのジョブを実行するためのアプリケーションボタンが上位に表示されても、何ら課題は生じない。
【0007】
このような事情に鑑み、本発明は、過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブをその設定で実行するために使われる複数のボタンが使用回数順に同時に表示された状態の画面を表示することができるとともに、新たなジョブの実行が第1の種類のエラーによって正常に完了しない場合、画面での使用回数を変更せず、新たなジョブの実行が第1の種類のエラーとは異なる第2の種類のエラーによって正常に完了しない場合、画面での使用回数をゼロに設定し、新たなジョブの実行が正常に完了した場合、画面での使用回数を増加させる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る複合機は、ジョブを実行する実行手段と、前記実行手段によって過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブを前記設定で実行するために使われる複数のボタンが使用回数順に同時に表示された状態の画面を表示する表示手段と、前記複数のボタンから1つのボタンを選択する選択手段と、制御手段と、を有し、前記実行手段は、前記選択手段によって選択されたボタンに登録された設定に基づいて前記新たなジョブを実行し、前記制御手段は、前記新たなジョブの実行が第1の種類のエラーによって正常に完了しない場合、前記画面での前記使用回数を変更せず、前記新たなジョブの実行が前記第1の種類のエラーとは異なる第2の種類のエラーによって正常に完了しない場合、前記画面での前記使用回数をゼロに設定し、前記新たなジョブの実行が正常に完了した場合、前記画面での前記使用回数を増加させることを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、過去に実行されたジョブの設定が登録されたボタンであって、新たなジョブをその設定で実行するために使われる複数のボタンが使用回数順に同時に表示された状態の画面を表示することができるとともに、新たなジョブの実行が第1の種類のエラーによって正常に完了しない場合、画面での使用回数を変更せず、新たなジョブの実行が第1の種類のエラーとは異なる第2の種類のエラーによって正常に完了しない場合、画面での使用回数をゼロに設定し、新たなジョブの実行が正常に完了した場合、画面での使用回数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】操作部のディスプレイに表示されるホーム画面の例を示す図である。
【
図3】FAX送信の際に発生するエラーコードの一覧を示す図である。
【
図4】実行されたジョブの履歴データを示す図である。
【
図5】アプリケーションボタン表示データを示す図である。
【
図6】アプリケーションボタンの優先表示順位決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置100の概略のハードウェア構成を示すブロック図である。画像処理装置100は、CPU101、ROM102、RAM103、HDD104、スキャナ部105、プリンタ部106、操作部107、符号化/復号化部、モデム部109を有し、これらはシステムバス110を介して通信可能に接続されている。
【0012】
CPU101は、ROM102又はHDD104に記憶された制御プログラムをRAM103に展開して実行することにより、画像処理装置100の全体的な動作を制御する。ROM102は、CPU101が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM103は、主に、CPU101の主メモリ及びワークエリア等として機能する。HDD104は、記憶装置の1つであり、ブートプログラムや各種のアプリケーションプログラム、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。なお、HDD104に代えて又はこれに加えて、フラッシュメモリやSDD等を用いてもよい。
【0013】
スキャナ部105は、原稿台にセットされた原稿を指定されたモード(例えば、用紙サイズ、色、解像度、濃度等)で光学的に読み取って画像データを生成する。プリンタ部106は、所定の画像データに基づいて用紙に画像を印刷し、印刷された用紙を排紙トレー等に送出する。スキャナ部105及びプリンタ部106の制御は、CPU101によって行われる。
【0014】
操作部107は、ハードキーとタッチパネル操作部を含む。タッチパネル操作部は、液晶パネル等のディスプレイにタッチパネルが重畳されて構成された表示装置であり、ディスプレイの画面に対するタッチ操作によって所定の処理を実行可能にする。ユーザは、ハードキーとタッチパネル操作部を操作することによって、画像処理装置100の各種の設定を行うことができる。なお、タッチパネル操作部を構成するディスプレイには、各種の設定や画像処理装置100の動作状態を表示することが可能となっている。
【0015】
符号化/復号化部108は、モデム部109を通じて外部へ送信する画像データを符号化して圧縮する一方、外部から受信した圧縮データを復号化し、元の画像データに復元する。モデム部109は、電話回線(PSTN回線)に接続されており、スキャナ部105で生成した画像データを電話回線を通じて外部の送信先(宛先)にFAX送信し、逆に、外部から画像データをFAX受信する。なお、上記構成を備える画像処理装置100の具体例としては、複合機(MFP)を挙げることができる。
【0016】
図2は、操作部107のディスプレイに表示されるホーム画面200の例を示す図である。ホーム画面200には、ジョブ実行時の設定値を含むアプリケーションボタン201が複数表示される。それぞれのアプリケーションボタン201には、1つ又は複数の設定値が付与されており、アプリケーションボタン201が押下されると、押下されたアプリケーションボタン201に紐付けられた設定値でジョブが実行される。
図2には、アプリケーションボタン201として、1部のカラーコピーを行うボタン、1部モノクロコピーを行うボタン、及び、解像度200×100で所定の宛先(電話番号;0441112345)にFAX送信を行うボタン、が示されている。
【0017】
ホーム画面200には、アプリケーションボタン表示画面を切り替えるための切替ボタン202が表示されている。切替ボタン202が押下され又はホーム画面200がフリック操作され或いは切替ボタン202の左右の<ボタンや>ボタンが押下されると、アプリケーションボタン表示画面の2画面目や3画面目(共に不図示)を表示させることができる。ここでは、3画面分のアプリケーションボタン表示画面が存在しており、
図2にはアプリケーション表示画面の1画面目(最も優先表示順位の高いアプリケーション表示画面)が表示されている。
【0018】
ホーム画面200には、画像処理装置100で実行可能な各種機能を選択して実行するための操作画面に遷移するための機能選択ボタン203が表示されている。例えば、‘FAX’が押下されると、ホーム画面200は、原稿の読み取り解像度及び色(白黒/グレー/カラー)や宛先の設定を行う画面(不図示)に遷移する。
【0019】
ホーム画面200には、ユーザがログインする際に押下するログインボタン204が表示されている。ユーザは、ログインボタン204を押下することによって表示されるログイン画面(不図示)にて、ID及びパスワードを入力することで、ユーザ認証を行うことができる。ホーム画面200には、状況確認ボタン205が表示されており、ユーザは状況確認ボタン205を押下することで、状況確認画面(不図示)を表示させて、ジョブの状況や実行履歴を確認することができる。
【0020】
図3は、FAX送信の際に発生するエラーコードの一覧を示す図である。
図3のエラーコード一覧は、HDD104に保存されている。FAX送信の際に発生するエラーには、その内容に応じたエラーコード301が付されている。
【0021】
FAX送信に失敗した場合、その原因を表すエラーコード301が操作部107のディスプレイに表示され、また、
図4を参照して後述するようにジョブの履歴データとして保存される。画像処理装置100のユーザは、操作部107のディスプレイに表示されたエラーコード301を確認することにより、発生したエラーの詳細を知ることができる。
【0022】
エラーコード一覧は、エラーコード301ごとに発生したエラーの概要302及び詳細303についての説明を含む。また、エラーコード一覧は、再送予想結果304を含む。再送予想結果304は、再送信を試行した際に、正常に送信することが可能か否かを予想した情報である。再送予想結果304の‘○’は、再送信を実行した際に正常に送信が終了する可能性が高いことを示している。再送予想結果304の‘△’は、再送信を実行した際に正常に送信が終了する可能性のあることを示している。再送予想結果304の‘×’は、再送信を実行しても、再度、エラーが生じる可能性が高いことを示している。
【0023】
例えば、エラーコード301が#001のエラーは、FAX送信時に原稿のスキャンで紙詰まりが発生したために送信することができなかったことを示している。この場合は回線や送信先の機器がエラーの原因でなく、ユーザは原稿をセットし直すことが一般的であるため、再送時にユーザが原稿を詰まらせることなく読み取らせることで正常にFAX送信を行うことができる。よって、エラーコード301が#001の再送予想結果304には‘○’が設定されている。
【0024】
エラーコード301が#018のエラーは、FAX送信時に送信先の受信機器が別の相手と通信又は通話が行われており、回線使用中であったために送信することができなかったことを示している。この場合は、所定の時間を空けて再送を試行することにより、正常にFAX送信を行うことができる可能性がある。よって、エラーコード301が#018の再送予想結果304には‘△’が設定されている。
【0025】
エラーコード301が#102のエラーは、Fコードとパスワードを指定したFAX送信を行った際に、指定したFコードとパスワードが受信側に設定されたFコードとパスワードと合致しなかったために送信することができなかったことを示している。この場合には、同じFコードとパスワードを指定して再送を行ってもエラーとなって終了するため、エラーコード301が#102の再送予想結果304には‘×’が設定されている。
【0026】
このように、FAX送信時のエラーコード301に応じて、再送時に正常に送信が終了するものと再びエラーとなって終了してしまうものがある。実際に所定のアプリケーションボタン201が押下される等してジョブが実行され、その結果としてエラーが発生した場合、エラーコード301とその再送予想結果304が実行されたジョブの情報に関連付けられてRAM103又はHDD104に保存される。
【0027】
例えば、Email送信を行った際に発生する可能性のあるエラーについても、
図3と同様のエラーコード一覧があり、ジョブが再度実行された際の予想結果(再実行予想結果;○,△,×)がエラーコードの内容に応じて定義されている。コピーについても同様にエラーコード一覧が準備されている。但し、コピーの場合に生じるエラーは、画像処理装置100の内部で生じる不具合であり、例えば、トナー等の消耗品の不足や給紙トレイでの用紙切れ、機械的又は電気的な故障であることが殆どである。これらのエラーは、ユーザ又は専門の技術者による対処によって解消されるエラーであるため、多くのエラーについて、再実行予想結果は‘○’とされる。
【0028】
図4は、実行されたジョブの履歴データを示す図である。本実施形態では、最大で1000件の履歴データを登録することができ、登録された履歴データの数が1000件を超えると、古い履歴データから順に上書きされて登録されるようになっている。例えば、1001件目の履歴データは、1件目の履歴データを上書きする形で登録される。これにより、常に最新の1000件の履歴データを登録することが可能となっている。
【0029】
履歴データは、HDD104に保存される。そして、履歴データは、
図6を参照して説明するように、実行されたジョブの終了をもって更新される(S602~S603)。但し、これに限られず、ユーザがホーム画面200に表示されたアプリケーションボタン201を押下したタイミング又は操作部107を通じてジョブの条件(設定値)が決定された後にスタートキー(不図示)を押下したタイミングで更新してもよい。その場合、ジョブがエラー終了した場合には、発生したエラーに対応するエラーコードが追加して記憶される。
【0030】
ジョブが実行されると項番401(No.)が付され、項番401ごとにジョブの発生日402、ジョブ種403及び設定値404が記憶される。また、ジョブがエラー終了した場合には、エラーコード405が記憶される。なお、ジョブが正常に終了した場合には、エラーコード405の欄は空欄となる。
【0031】
発生日402は、ジョブの発生日(ジョブが実行された年月日)を表しており、ジョブが実行されると、そのジョブは項番401を‘1’として記憶される。よって、それ以前のジョブの履歴データについては項番401が繰り下がり、例えば、項番401が‘2’であったジョブの項番401は‘3’に変わり、項番401が‘1000’であったジョブの履歴データは消去される。
【0032】
ジョブ種403は、画像処理装置100で実行可能なコピーやFAX、Email等の各種ジョブを表している。設定値404には、設定可能な各種の項目についてジョブ実行時に設定された全ての設定値が保存されるが、便宜的に
図4には代表的な項目のみを示している。なお、設定値404には、ユーザがデフォルト設定値から変更した設定値のみを保存するようにしてもよく、この場合にはデフォルト設定値を参照することで全ての設定値を知ることができる。
【0033】
図5は、ホーム画面200にアプリケーションボタン201を表示する優先表示順位を決定するために作成されたアプリケーションボタン表示データを示す図である。アプリケーションボタン表示データは、
図4の履歴データに基づき、後述する
図6のフローチャートに従って作成、更新され、HDD104に保存される。ホーム画面200には、アプリケーションボタン表示データの表示順501に従ってアプリケーションボタン201が表示される。なお、アプリケーションボタン表示データは、作成される。
【0034】
アプリケーションボタン表示データは、表示順501、ジョブ種502、設定値503及び使用回数504から構成される。表示順501は使用回数504の多い順となっており、ホーム画面200においてアプリケーションボタン201は、表示順501の番号順に表示される。具体的には、
図2のホーム画面200には、表示順501が1~3のジョブをその設定値503で実行するためのアプリケーションボタン201が表示されている。同様に、不図示であるが、アプリケーション表示画面の2画面目には、表示順501が4~6のジョブをその設定値503で実行するためのアプリケーションボタンが表示される。また、アプリケーション表示画面の3画面目には、表示順501が7~9のジョブをその設定値503で実行するためのアプリケーションボタンが表示される。
【0035】
図6は、ホーム画面200に表示するアプリケーションボタン201の優先表示順位を決定する処理のフローチャートである。
図6のフローチャートにS番号で示す各処理(ステップ)は、CPU101がROM102又はHDD104に記憶されている所定のプログラムをRAM103に展開して、画像処理装置100の各部の動作を制御することにより実現される。
【0036】
図6のフローチャートにS番号で示す各処理は画像処理装置100で実行可能な全てのジョブについて行われるが、ここでは、ジョブの具体例として、適宜、FAX送信を取り上げて各処理について説明を補足する。全てのジョブについて得られた結果を使用回数の多い順に並べることによって、
図5のアプリケーションボタン表示データが得られる。
【0037】
S601でCPU101は、ユーザにより設定された設定値でジョブを実行する。ジョブは、アプリケーションボタン201の押下(選択)によって実行されてもよいし、アプリケーションボタン201にない設定値が作成されて実行されてもよい。S602でCPU101は、S601で実行したジョブが終了したか否かを判定する。CPU101は、ジョブが終了するまでS602の判定を繰り返し(S602でNO)、ジョブが終了したと判定した場合(S602YES)、処理をS603へ進める。
【0038】
S603でCPU101は、終了したジョブに関する情報を履歴データ(
図4)に格納し、これにより履歴データが更新される。S604でCPU101は、ジョブの実行結果が正常終了かエラー終了かを判定する。CPU101は、ジョブが正常終了したと判定した場合には処理をS605へ進め、ジョブがエラー終了したと判定した場合には処理をS606へ進める。なお、CPU101は、エラー終了したと判定した場合には、履歴データからエラーコードを取得する。
【0039】
S605でCPU101は、S603で保存した履歴データの設定値と一致する設定値が
図5のアプリケーションボタン表示データ内に存在するかを確認する。その結果、CPU101は、一致するデータ存在する場合には、アプリケーションボタン表示データでの一致したジョブでの使用回数504に‘1’を加算する。一方、CPU101は、一致するデータ存在しない場合には、S603で保存した履歴データをアプリケーションボタン表示データの最後に追加して、使用回数504に‘1’を設定する。こうして、過去に行ったジョブと同じ設定値でジョブが実行され、且つ、ジョブが正常に終了した場合には、そのジョブをその設定値で実行するためのアプリケーションボタン201をホーム画面200に表示する優先表示順位が上がる方向に処理が進められる。
【0040】
S606でCPU101は、S604で取得したエラーコードと一致するエラーコードをエラーコード一覧から検索し、一致したエラーコードの再実行予想結果の情報を取得する。例えば、FAX送信がエラー終了した場合には、
図3のFAX送信のエラーコード一覧から、発生したエラーに対応するエラーコードに対して設定された再送予想結果304が読み出される。前述したように、再実行予想結果は、同一の設定で再送を行った場合に正常に終了するか否かの情報を含む。そこで、CPU101はS606では更に再実行予想結果に基づいて処理を分岐させる。
【0041】
CPU101は、再実行予想結果が‘〇’又は‘△’であると判定した場合には処理をS607へ進め、‘×’と判定した場合には処理をS608へ進める。なお、ここでは、ジョブを再実行した際に正常に終了する可能性がある場合(○、△)と可能性がないに等しい場合(×)とで処理を分岐させたが‘△’の場合にはS608へ進むようにしてよい。
【0042】
S607は、例えばジョブがFAX送信である場合には、再送信を行った場合に正常に終了する可能性が高いか又は可能性のあるエラーコードでエラー終了した場合の処理となる。この場合、S607でCPU101は、エラー終了したジョブについてのアプリケーションボタン表示データでの使用回数504を変更しない。つまり、S607へ処理が進んだ場合には、
図5のアプリケーションボタン表示データの中にエラー終了したジョブの設定値と同じ設定値があっても、その使用回数504の値は変更されない。また、
図5のアプリケーションボタン表示データの中にエラー終了したジョブの設定値と同じ設定値がない場合には、エラー終了したジョブの設定値はアプリケーションボタン表示データに追加されない。
【0043】
S608は、例えばジョブがFAX送信である場合には、再送信を行った場合もエラー終了する可能性が極めて高いエラーコードで、ジョブがエラー終了した場合の処理となる。S608でCPU101は、エラー終了したジョブの設定値(S603で履歴データに追加されたジョブの設定値)と同じ設定値を有するジョブがアプリケーションボタン表示データに存在するか否かを確認する。その結果として同じ設定値を有するアプリケーションボタン表示データが存在した場合には、CPU101はそのデータの使用回数504をゼロ(0)に変更する。換言すれば、再実行予想結果が‘×’となるエラーコードでエラー終了したジョブについては、アプリケーションボタン201の優先表示順位を決定するための処理から除外されることになる。つまり、再度実行しても正常に終了する可能性の低い設定値を有するジョブを実行するためのアプリケーションボタン201は、優先表示対象から除外されて、ホーム画面200に非表示とされる。
【0044】
なお、ここでは、エラー終了したジョブの再実行予想結果が‘×’となるエラーコードでエラー終了したジョブの使用回数504をゼロにすることで、そのジョブのアプリケーションボタン201を優先表示の対象から除外した。但し、これに限らず、例えば、使用回数504を所定値(例えば、1であってもよいし2以上の任意の自然数としてもよい)だけ減じて、優先表示順位を下げる方向に処理が進むようにしてもよい。
【0045】
S605,S607,S608の処理が終了とすると、S609の処理が実行される。S609でCPU101は、アプリケーションボタン表示データを使用回数504の多い順に並び替え(ソート)を行い、使用回数504が上位のものから順に、ホーム画面200にアプリケーションボタン201を表示し、その後、本処理を終了させる。
【0046】
上述したS601~S608の処理は、FAX送信以外のジョブについても同様に行われる。よって、S609では、画像処理装置100で実行された全てのジョブについて、使用回数504が上位のものから順に並べ替えられたアプリケーションボタン表示データが作成される。なお、使用回数504が同じで、設定値の異なるジョブが存在する場合には、実行時間が直近のジョブのアプリケーションボタンの優先表示順位を上位とするようにしてもよい。
【0047】
以上の説明の通り、上記実施形態によれば、正常に終了したジョブを実行するためのアプリケーションボタン201の優先表示順位を上げることができる。また、エラー終了したジョブに関して、再度実行した場合に正常に終了する可能性のあるエラーコードであった場合には、アプリケーションボタン201を優先表示の対象として残すことが可能となる。更に、再度実行した際にもエラー終了となる可能性が高いエラーコードであった場合には、そのジョブを実行するためのアプリケーションボタン201を優先表示の対象から除外することが可能となる。こうして、使用頻度が高く、また、正常に終了する可能性の高いジョブを実行するためのアプリケーションボタン201をホーム画面200に表示させて、操作性を高めることが可能になる。
【0048】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態では、アプリケーションボタン201の優先表示順位を使用回数504の大きい順に、且つ、エラーコードの内容(再実行予想結果)を考慮して、決定した。但し、これに限られず、ジョブの実行時間の新しい順に(実行時間が直近のものを優先させて)、且つ、エラーコードの内容に応じて、アプリケーションボタン201の優先表示順を決定するようにしてもよい。この場合、エラー終了したジョブを実行するためのアプリケーションボタンはホーム画面に表示されないことになる。
【0050】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0051】
100 画像処理装置
101 CPU
104 HDD
107 操作部
200 ホーム画面
201 アプリケーションボタン
301 エラーコード
304 再送予想結果
404 設定値
504 使用回数