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特許7532330基板保持盤、デバイスの製造方法、露光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】基板保持盤、デバイスの製造方法、露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240805BHJP
   C23C 16/27 20060101ALI20240805BHJP
   C23C 14/06 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
C23C16/27
C23C14/06 F
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2021175764
(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公開番号】P2023065133
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】龍野 俊直
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎次
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-205997(JP,A)
【文献】特開平08-139168(JP,A)
【文献】特開2010-239088(JP,A)
【文献】特開2015-094002(JP,A)
【文献】特開2019-215418(JP,A)
【文献】特表2021-507302(JP,A)
【文献】特開2021-060573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0104428(US,A1)
【文献】国際公開第2019/120921(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/216571(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
C23C 16/27
C23C 14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層、および前記第1層と界面をなす第2層を有した基板保持盤であって、
前記第1層および前記第2層は、ダイヤモンドライクカーボンを含み、
前記第1層のある波長における屈折率は、前記波長における前記第2層の屈折率よりも高く、
前記第2層は、前記第1層の上に形成されていることを特徴とする基板保持盤。
【請求項2】
前記第2層は水素含有量が10at%以上50at%未満であることを特徴とする請求項1に記載の基板保持盤。
【請求項3】
前記第2層はa―C:Hであることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項4】
第1層、および前記第1層と界面をなす第2層を有した基板保持盤であって、
前記第1層はダイヤモンドライクカーボンを含み、前記第2層はシリコンカーバイドを含み、
前記第1層のある波長における屈折率は、前記波長における前記第2層の屈折率よりも高く、
前記第2層は、前記第1層の上に形成されていることを特徴とする基板保持盤。
【請求項5】
前記第1層のケイ素含有量は、前記第2層のケイ素含有量よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の基板保持盤。
【請求項6】
前記第1層は水素含有量が10at%未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項7】
前記第1層はta―Cであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項8】
前記第1層は水素含有量が10at%以上50at%未満であることを特徴とする請求項4に記載の基板保持盤。
【請求項9】
前記第1層はa―C:Hであることを特徴とする請求項4または8に記載の基板保持盤。
【請求項10】
第1層、および前記第1層と界面をなす第2層を有した基板保持盤であって、
前記第1層は、水素含有量が10at%未満のダイヤモンドライクカーボンを含み、
前記第2層は、水素含有量が10at%以上50at%未満のダイヤモンドライクカーボンを含み、
前記第2層は、前記第1層の上に形成されていることを特徴とする基板保持盤。
【請求項11】
前記基板保持盤の最上面は、前記第2層によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項12】
前記第2層は、反射率が10%以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項13】
前記第2層から前記基板保持盤の最上面までの距離は、前記第1層の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項14】
前記第1層の水素含有量は、前記第2層の水素含有量よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項15】
基材を備えた基板保持盤であって、
少なくとも前記基材のうち、前記基板保持盤の最上面の側に設けられた、ダイヤモンドライクカーボンを含む材料からなる第1層と、
前記第1層の直上に設けられ、前記第1層よりも窒素含有量が高いダイヤモンドライクカーボンを含む材料からなる第2層と、を備え、
前記第2層の厚さが、5nm以上200nm以下であることを特徴とする基板保持盤。
【請求項16】
前記第2層の厚さは、5nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項15に記載の基板保持盤。
【請求項17】
前記第1層は、窒素含有量が1at%以下である部分を有し、前記第2層は、窒素含有量が1at%より大きい部分を有することを特徴とする請求項15または16に記載の基板保持盤。
【請求項18】
前記第2層は、窒素含有量が3at%以上である部分を有することを特徴とする請求項17に記載の基板保持盤。
【請求項19】
前記第2層の窒素含有量は、前記第2層のうち前記第1層とは反対の側から、前記第1層の側に向かって低くなることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項20】
基材を備えた基板保持盤であって、
少なくとも前記基材のうち、前記基板保持盤の最上面の側に設けられた、ダイヤモンドライクカーボンを含む材料からなる第1層と、
前記第1層の直上に設けられ、前記材料より窒素含有量が高いダイヤモンドライクカーボンを含む材料からなる第2層と、を備え、
前記第2層の窒素含有量は、前記第2層のうち前記第1層とは反対の側から、前記第1層の側に向かって低くなることを特徴とする基板保持盤。
【請求項21】
前記第2層は、窒素含有量が5at%以上30at%以下の部分と、窒素含有量が3%以下の部分を有していることを特徴とする請求項19または20に記載の基板保持盤。
【請求項22】
前記第2層の前記第1層の側とは反対の側に第3層を備え、前記第3層の屈折率は、前記第2層の屈折率より低いことを特徴とする請求項15乃至21のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項23】
前記基板保持盤の最上面は、前記第3層によって形成されていることを特徴とする請求項22に記載の基板保持盤。
【請求項24】
前記第1層と前記第2層との界面、および前記最上面の少なくとも一方は、算術平均粗さRaが0.4μm以上4.0μm以下の粗面であることを特徴とする請求項1乃至23のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項25】
前記第1層の厚さは、前記第2層の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項に記載の基板保持盤。
【請求項26】
第1層、および前記第1層の直上に形成された第2層を有した基板保持盤であって、
前記第1層および前記第2層は、水素または窒素を有するダイヤモンドライクカーボンを含み
前記第1層の水素含有量は、前記第2層の水素含有量より小さい、または
前記第1層の窒素含有量は、前記第2層の窒素含有量より小さいことを特徴とする基板保持盤。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の基板保持盤に基板を載置し、前記基板を露光することを特徴とするデバイスの製造方法。
【請求項28】
前記基板は、サファイア基板を含むことを特徴とする請求項27に記載のデバイスの製造方法。
【請求項29】
請求項15乃至26のいずれか1項に記載の基板保持盤を製造する方法であって、
ダイヤモンドライクカーボンを含む材料からなる層に、窒素イオンを注入し、前記第2層を形成することを特徴とする製造方法。
【請求項30】
前記窒素イオンは、プラズマイオン注入法で注入することを特徴とする請求項29に記載の製造方法。
【請求項31】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の基板保持盤と、
光源と、前記光源から発せられた光を基板に照射する光学系と、前記基板保持盤を移動させる移動手段と、を備えていることを特徴とする露光装置。
【請求項32】
前記光学系は、透過型レンズを含むことを特徴とする請求項31に記載の露光装置。
【請求項33】
前記光学系は、ミラーを含む反射型であることを特徴とする請求項31に記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保持盤に関する。
【背景技術】
【0002】
露光装置では、シリコンやガラス、SiCなどからなる基板を対象として露光処理を行なう。これらの装置において、基板保持盤の経年的な使用によって基板の設置面が摩耗し、基板保持盤の表面での反射率が増大した結果、基板保持盤からの反射光によって、露光をしたくない領域まで照射される不具合が生じていた。そこで特許文献1では、基板保持盤にDLC(Diamond Like Carbon)膜、およびDLC膜の表面に無機系コート剤を順に被覆した形態が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-94002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基板保持盤では、DLC膜と無機系コート剤との密着性が十分ではなく、無機透明の薄膜が剥離しやすいという問題があった。
【0005】
そこで本発明では、基板保持盤の表面における反射率を抑制しつつ、耐剥離性の高い基板保持盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、第1層、および前記第1層と界面をなす第2層を有した基板保持盤であって、前記第1層および前記第2層は、ダイヤモンドライクカーボンを含み、前記第1層のある波長における屈折率は、前記波長における前記第2層の屈折率よりも高く、前記第2層は、前記第1層の上に形成されていることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するための第2の手段は、第1層、および前記第1層と界面をなす第2層を有した基板保持盤であって、前記第1層はダイヤモンドライクカーボンを含み、前記第2層はシリコンカーバイドを含み、前記第1層のある波長における屈折率は、前記波長における前記第2層の屈折率よりも高く、前記第2層は、前記第1層の上に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板保持盤の表面における反射率を抑制しつつ、基板保持盤の耐剥離性を向上させる上で有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】基板保持盤の斜視図。
図2】(a)は、第1実施形態に係る基板保持盤を説明する模式図であり、(b)は円11で囲んだ部分を拡大した図であり、(c)は(b)の円12で囲んだ部分を拡大した図である。
図3】(a)は、第2実施形態に係る基板保持盤を説明する模式図であり、(b)は円11で囲んだ部分を拡大した図であり、(c)は(b)の円12で囲んだ部分を拡大した図である。
図4】(a)は、第3実施形態に係る基板保持盤を説明する模式図であり、(b)は円13で囲んだ部分を拡大した図である。
図5】反射率の理論値を説明する式。
図6】本実施形態に係る露光装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、以下に説明する形態は、発明の1つの実施形態であって、これに限定されるものではない。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に亘って共通の構成については共通の符号を付している。そして、共通する構成を複数の図面を相互に参照して説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0011】
図1(a)に、本実施形態に係る第1例の基板保持盤の斜視図を示す。本実施形態における基板保持盤1は、基部2と、基部2の上に、突部3を有している。基板保持盤1の2つの主面(表面と裏面)のうちの一方の面(便宜的に表面とする)が、最上面32であり、基部2に対して最上面32側に突部3が設けられているが、突部3は省略可能である。最上面32は、基板7を載置する側の面のうち、基板保持盤1の周囲の雰囲気と接触する面であり、必ずしも基板7と接触する面ではない。最上面32は、たとえば基板7を保持する基板保持面としても機能し得る。
【0012】
図1(b)に、図1(a)の基板保持盤1に基板7を載置する際の斜視図を示す。基部2と、基部2の上に設けられた突部3が、基板7の保持を行う。突部3で基板7を支持することで、基板保持盤1と基板7との接触面積が小さくなり、突部3が設けられていない場合に比べて、基板7の損傷を抑制することができる。第1例の基板保持盤1に載置する基板7は、電子デバイスの製造に用いられる基板7である。この基板7は、電子デバイスの一部を構成しうるが、電子デバイスの製造の途中で除去されて、電子デバイスを構成しない場合もある。基板7は、例えば有機ELディスプレイや液晶ディスプレイ、太陽電池パネルなどの製造に用いられるガラス基板や樹脂基板、サファイア基板でありうる。
【0013】
本例の基板保持盤1には吸引孔部4が設けられており、吸引孔部4を介して基板7の真空吸着を行うが、吸引孔部4は、省略しても良い。
【0014】
図1(c)に、本実施形態に係る第2例の基板保持盤の斜視図を示す。図1(d)に、図1(c)の基板保持盤1に基板7を載置する際の斜視図を示す。第2例の基板保持盤1は、その外形が円形である点で、図1(a)と異なるが、その他の構成は同じである。第2例の基板保持盤1に載置する基板7は、例えばSiウェーハやSiCウェーハなどの半導体基板、ガラスウェーハやプラスチックウェーハやサファイアなどの絶縁体基板でありうる。
【0015】
図1(a)~(d)に示した基板保持盤1は、様々な電子デバイスの製造装置に用いることができる。例えば、基板7の上に塗布されたフォトレジストを露光する露光装置において、基板7を保持する際に用いることができる。露光装置用だけではなく、成膜装置用やエッチング装置用などにも用いることができる。
【0016】
図1(e)に示すように複数個の基板保持盤1を並べて、基板保持具111として使用することができる。
【0017】
<第1実施形態>
次に、図2を用いて、第1実施形態の説明を行う。
【0018】
図2(a)は、図1(a)あるいは図1(c)の円10で囲んだ範囲を拡大した断面図であり、図2(b)は、図2(a)の円11で囲んだ範囲を拡大した図であり、図2(c)は、図2(b)の円12で囲んだ範囲を拡大した図である。
【0019】
本実施形態の基板保持盤1は、図1(a)あるいは図1(c)で説明したように、基部2と、突部3とを有している。突部3の上面には、突部3と界面をなす被覆層51と、被覆層51よりも屈折率が低く水素含有量の大きい被覆層52を有しており、被覆層51と被覆層52はどちらもDLC(ダイヤモンドライクカーボン)で構成される。DLCとは、炭素を主成分としたダイヤモンドとグラファイトに対して、それぞれの特徴の中間的な特性を示す材料である。ここで最上面32は、突部3の上面および基部2の上面に設けられた光被覆層52によって形成されている。突部3は省略可能であり、突部3を省略した場合、基部2の上面に被覆層51が設けられ、被覆層51の上面に被覆層52が設けられる。すなわち本実施形態においては、基部2と被覆層51、被覆層51と被覆層52はそれぞれ界面をなす。本実施形態においては、被覆層51と被覆層52の2層が積層されているが、被覆層51と被覆層52が密着していればよく、被覆層51、52の上下に別の層を設け、3層以上としてもよい。
【0020】
基部2について説明する。基部2は、構成部21、構成部22、構成部23から構成されている。構成部21、構成部22、構成部23のそれぞれは、互いに同じ材料からなる。少なくとも共通の材料で構成されている構成部21、22、23を基材と呼び、前記材料と共通の材料で構成されている部分も基材と呼ぶ。構成部21、22、23はそれぞれ、同一平面上に位置している。また、構成部21、22,23の下面もそれぞれ、同一平面上に位置しており、最上面32の反対側である裏面24を構成している。構成部22は、構成部21と構成部23の間に位置している。構成部21、構成部23の上には被覆層51と被覆層52があってもよく、反射率低減の観点からあるほうが好ましい。
【0021】
突部3について説明する。突部3は、基部2のうち構成部22の上に存在しており、構成部21、構成部23の上には、突部3は存在しておらず、空間が設けられている。突部3は、構成部21の上の空間と、構成部23の上の空間との間に存在しており、空間は2つの突部3の間に存在している。
【0022】
突部3は、基部2と同じ材料からなる構成部31を有しており、突部3の上面に突部3と界面をなす被覆層51と、被覆層51と界面をなす被覆層52が設けられている。構成部31も基材である。
【0023】
次に、被覆層51と被覆層52について説明する。本実施形態においては、被覆層51と被覆層52はDLCであり、被覆層52を被覆層51よりも屈折率を低くすることで、被覆層52は反射防止膜の役割をはたし、反射率を低減することができる。また、被覆層51より水素含有量の大きい被覆層52を積層することで被覆層51と被覆層52の材料相性がよくなり、耐剥離性を向上させることができる。耐剥離性向上の観点から被覆層52の直上は空気であることが好ましい。すなわち、被覆層52は、基板保持盤1の周囲の雰囲気(例えば空気や不活性ガス)と接触し、被覆層51と雰囲気との間に存在する。基板7が載置された場合は、突部3に設けられた被覆層52が基板7に接触し、保持する。
【0024】
被覆層52は最上面32から距離H以内に存在しており、距離Hは被覆層51の厚さDよりも小さい(D>H)。すなわち被覆層52は、被覆層51よりも最上面32側に存在している。本実施形態においては、被覆層52が最上面32を形成しているため、距離Hは0である。
【0025】
被覆層51は、被覆層52よりも高屈折率かつ低水素含有量の観点からDLCの中でもta―C(tetrahedral amorphous- Carbon)や低水素含有量のa―C:H(Hydrogenated amorphous- Carbon)が好ましい。被覆層52は、被覆層51よりも低屈折率かつ高水素含有量の観点からDLCの中でもa―C:Hが好ましい。ta―Cの水素濃度は10at%未満が好ましく、より好ましくは5at%未満である。a―C:Hの水素濃度は10at%以上50at%未満が好ましい。より好ましくは21~26at%である。水素含有量が21~26at%であれば、被覆層52を成す上で、良好な膜質(高い硬度と高い靭性)を得ることができる。DLCは、水素濃度が高いほど、硬度が低くなる。そのため本実施形態においては、被覆層51は被覆層52より高硬度である。被覆層51と被覆層52のケイ素含有量は等しく、好ましくは0at%である。
【0026】
DLCは、C-C結合のsp2混成軌道とsp3混成軌道の比、および水素含有量で定義することができ、sp2混成軌道とsp3混成軌道の比は、ta-Cが0.1~1.9、a-C:Hが0.14~3.0である。
【0027】
本実施形態においては、被覆層51はたとえば第1層であり、被覆層52はたとえば第2層である。被覆層51の硬度は、20GPa以上27GPa以下が好ましく、被覆層52の硬度は、10GPa以上20GPa以下である。
【0028】
ta―CはアークイオンプレーティングなどのPVD(Physical Vapor Deposition)によって成膜される。ドロップレット(膜の平坦度を悪化させる原因になる直径数十nm~数μmの粒子)低減の観点から、アークイオンプレーティングの中でもFCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)がより好ましい。
【0029】
a―C:HはプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などのCVD法によって成膜される。DLCの水素含有量と屈折率は、成膜条件、例えば原料ガスの流量や基板バイアスで制御することができる。DLC中の水素含有量は、弾性反跳検出分析(ERDA)によって分析することができる。DLCはアルゴンを含有していてもよい。DLCのアルゴン含有量が高いほどDLCの屈折率が低くなりうるため、反射抑制に有効である。DLCのアルゴン含有量は10at%未満であってよく1at%以上が好ましい。なお、元素の含有量を示すat%とは、atom%あるいはat%のことである。元素の含有量(濃度)は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)で分析が可能である。
【0030】
被覆層51の屈折率は、1.8以上3.0以下が好ましく、2.0以上2.7以下がより好ましい。被覆層52の屈折率は、1.3以上2.5以下が好ましく、1.6以上2.2以下がより好ましいが、被覆層51より屈折率は低く設定される。
【0031】
被覆層51の厚さDは、摩耗抑制のための厚さが必要となり、500nm以上が好ましい。ただし、10μm以上となるとクラックが生じる可能性が高くなるため10μm未満が好ましい。
【0032】
被覆層52の厚さは、被覆層51の厚さより小さいことが好ましく、10nm以上が好ましく、20nm以上であればより好ましい。また被覆層52の厚さは、500nm未満であればよく、250nm以下であればより好ましい。
【0033】
ここで基板保持盤の表面における反射率について説明する。微細パタ-ンを形成する露光装置では、波長365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)等の光線が使用される。基板保持盤の表面での反射率Rの理論値は、図5の4つの式から求められる。各式のパラメータは下記のとおりである。
R:反射率
:空気の屈折率
:露光波長λに対する被覆層52の複素屈折率
:露光波長λに対する被覆層51の複素屈折率
:被覆層51と被覆層52を一つの層とみなしたときの複素屈折率
δ:位相差
π:円周率
d:被覆層52の厚さ(nm)
λ:露光波長(nm)
i:虚数単位
【0034】
~Nの複素屈折率とは、光の吸収を考慮した屈折率である。光の吸収は消衰係数で表現され、例えば屈折率1.7で消衰係数0.3の複素屈折率は1.7-0.3iとなる。この屈折率と消衰係数はエリプソメトリー法などによって測定できる。図3の4つの式より、被覆層52と被覆層51の消衰係数が等しければ、被覆層52の屈折率より被覆層51の屈折率が大きい方が低反射化に有利であることが分かる。低反射化の観点から、被覆層51の屈折率は、被覆層52の屈折率よりも1.2倍以上であることが好ましく、上限はなくてもよいが2.4倍以下であることが好ましく、2.0倍以下がより好ましい。被覆層51よりも屈折率の低い被覆層52を形成することで被覆層52は反射防止膜の役割をはたし、反射率を十分に低減することができる。
【0035】
本実施形態における基材(基部2および構成部31)を構成する材料は、ブラックアルミナである。基材(基部2および構成部31)の厚さは、基板保持盤1としての機械的強度を確保するための厚さが必要となり、例えば10~100mmであり、60mm以下であることが好ましい。基材(基部2及び構成部31)の厚さは、30mm以下であってもよい。
【0036】
基材を構成する材料は、ブラックアルミナに限定されるものではなく、アルミナやセラミックス、ジルコニア、ガラス、プラスチック、金属などでもよい。
【0037】
突部3の形状および配列ピッチは、基板7の支持が可能であればよく、ここでは、円錐台形状又は円柱形状の突部である。突部3のピッチは、例えば1mm以上100mm以下であり、10mm以上30mm以下が好ましい。突部3のピッチは、1mm以上10mm以下であってもよい。また突部3の高さは、例えば10μm以上1mm以下であり、0.2mm以上0.8mm以下が好ましい。突部3の高さは、例えば50μm以上0.5mm以下であってもよく、0.3mm以下であってもよい。
【0038】
次に本実施形態に係る吸引孔部4の説明を行う。吸引孔部4は、突部3上に載置した基板7を吸着保持するため、吸引孔部4の下側開口部を真空ポンプ(図示略)に接続し、突部3の周辺の空気を吸引減圧できるようにした。突部3を設けることで、設けない場合に比べて、より多くの空気を吸引することができる。吸引孔部4の側面は、本例では被覆層51によってコーティングされているが、基板7と対向する面ではないため、被覆層51でコーティングされていなくても良い。同様にして、被覆層51は、基部2の裏面24、基部2の側面240にコーティングされている必要はない。
【0039】
<第2実施形態>
図3を用いて第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に比べて最上面32が被覆層53で形成されている点で異なる。
【0040】
図3(a)は、図1(a)あるいは図1(c)の円10で囲んだ範囲を拡大した断面図であり、図3(b)は、図3(a)の円11で囲んだ範囲を拡大した図であり、図3(c)は、図3(b)の円12で囲んだ範囲を拡大した図である。
【0041】
被覆層52は、被覆層53が形成する最上面32から距離H以内に存在し、距離Hは、被覆層51の厚さDよりも小さい。本実施形態は、被覆層53と被覆層52が界面をなし、被覆層52から見て被覆層53とは反対側に被覆層52と被覆層51が界面をなす形態である。本実施形態にあるように、D>Hを満たしていれば、被覆層52の上部に被覆層53のような被覆層を一または複数設けても良い。
【0042】
本実施形態においては、突部3の上面には被覆層53があり、基部2の上面には被覆層51,52のみがある形態を示しているが、基部2の上面に被覆層53が設けられていても良い。また、突部3の上面における最上面32は被覆層53であるが、基部2の上面における最上面32は、被覆層52である。
【0043】
被覆層53としては、被覆層52よりも屈折率が低いことが好ましい。そうすることで、第1実施形態に比べて、基板保持盤1の表面での反射率を低減することができる。
【0044】
<第3実施形態>
図4を用いて第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に比べて突部3を有しておらず、最上面32が粗面である点で第1実施形態と異なる。
【0045】
図4(a)は、本実施形態に係る基板保持盤1の模式図であり、図4(b)は、図4(a)の円13で囲んだ部分を拡大した図である。
【0046】
最上面32を粗面にすることで、露光処理を行う際に、基板保持盤1の表面における反射率を低減することが可能となる。それにより、照射強度の変動が減少し、露光ムラを抑制することができる。
【0047】
基部2の表面を粗面にすることで、基部2の表面に製膜する被覆層51と被覆層52との界面も同様に粗面にすることができる。また、被覆層53を設けた場合には、被覆層52と被覆層53との界面も粗面にすることができ、最上面32が粗面であることが最も好ましいが、どれか一つの面が粗面であればよい。突部3を設ける場合には、突部3の最上面だけでなく、基部2の上面も粗面であることが好ましい。それにより、基部2と被覆層51、および被覆層51と被覆層52の密着力を向上させることができる。
【0048】
ほかにも基板7との接触面積が、最上面32が粗面でない場合に比べて、小さくなることで、基板7へのダメージも少なくなるといった効果もある。
【0049】
最上面32が粗面である場合においても、被覆層52は最上面32から距離H以内に存在し、被覆層51の厚さDより小さい。D>Hは、必ずしも最上面32全体が満たす必要はなく、少なくとも一部がD>Hを満たしていればよい。本実施形態においては、被覆層52が最上面32を形成しているため、距離Hは0である。
【0050】
粗面の算術平均粗さRaはたとえば0.4μm以上4.0μm以下である。
【0051】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、被覆層53を最上面32として設けることも可能である。
【0052】
<第4実施形態>
第4実施形態を説明する。本実施形態は第1実施形態と比較して、被覆層52がシリコンカーバイドである点で異なる。本実施形態の被覆層52はシリコンカーバイドからなり、被覆層51よりも屈折率が小さく、被覆層51に比べてケイ素含有量が大きい。被覆層52は層内にSiC結合を含むため、層自体の強度が高くなり、ダイヤモンドライクカーボンからなる被覆層51と材料相性がよく、耐剥離性を向上させることができる。被覆層52は、他にも水素や酸素も含み得る。また、被覆層52は、1at%以上10at%以下のアルゴンを含んでいるため、反射率の抑制にも効果がある。被覆層52はスパッタなどのPVDやプラズマCVDなどのCVD法によって成膜される。屈折率を小さくする観点から、CVD法が好ましい。
【0053】
また本実施形態において、被覆層51がta-Cの場合、水素含有量は被覆層51に比べ被覆層52のほうが大きい。
【0054】
本実施形態では、被覆層51は被覆層52よりも屈折率が大きければよく、ダイヤモンドライクカーボンのうち、ta―Cでもa―C:Hでもよい。被覆層51のケイ素含有量は5パーセント以下であり、0%でもよい。
【0055】
本実施形態において、被覆層51の硬度は、10GPa以上27GPa以下であり、被覆層52の硬度は、被覆層51よりも低い硬度であることが好ましい。
【0056】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
【0057】
図6には、露光装置の模式図を示している。露光装置である光学機器EQPは、光源14と、照明光学系を構成するミラー16、17を備える。また、光学機器EQPは、パターン形成手段であるレチクル18を支持するレチクルステージ19と、レチクル18に形成されたパターンを投影する投影光学系25と、基板7を支持する基板保持盤1とを備える。光源14からの露光光15は照明光学系のミラー16,17で反射されてレチクル18へ導かれ、レチクル18に形成されたパターンを伴った露光光15は投影光学系25で集光されて、基板7へ投影される。基板7、基板保持盤1は、基板移動手段26によって移動し、光源14によってレチクル18に形成されたパターンを基板7に投影する。基板7にはフォトレジストが塗布されており、露光光15によってフォトレジストが露光される。基板7は半導体ウェーハであってもよいし、FPD(フラットパネルディスプレイ)用のガラス基板であってもよい。露光装置の露光光は典型的には紫外光である。露光光の波長は、g線光源であれば436nmであり、i線光源であれば約365nmである。KrFエキシマレーザー光源であれば約248nmであり、ArFエキシマレーザー光源であれば約193nmであり、EUV(極端紫外線)光源であれば10~20nmである。投影光学系は縮小投影型であってもよいし、等倍投影型であってもよいし、拡大投影型であってもよい。ここでは透過型のレチクル18を例示したが、反射型のレチクル18を用いてもよい。投影光学系は透過型レンズを用いた屈折型であってもよいし、ミラーを用いた反射型であってもよい。
【0058】
<実施例>
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。評価方法としては以下の(1)~(4)を用いた。
【0059】
(1)屈折率の測定
作製した基板保持盤1を分光エリプソメトリー(商品名:EC-400、ジェー・エー・ウーラム社製)によって測定し、365nm(i線波長)に対する被覆層51と被覆層52の屈折率を求め、被覆層51の屈折率を被覆層52の屈折率で除した屈折率比を算出した。
【0060】
(2)反射率の評価
作製した基板保持盤1の波長365nmに対する反射率を分光測色計(コニカミノルタ製CM-26d)により測定した。
【0061】
なお、分光測色計で波長365nmの反射率を測定できないため、波長360nmと波長370nmの反射率の平均を波長365nmの反射率とした。
【0062】
(3)被覆層51に対する被覆層52の耐剥離性の評価
被覆層52が形成された基板保持盤1に対して、シルボン紙で払拭後、分光測色計(コニカミノルタ製CM-26d)により測定し、下記の基準で評価した。シルボン紙の払拭は、エタノールを含ませたシルボン紙を500g/cmの荷重で10往復させて行った。払拭前と払拭後の反射率の差を評価した。
【0063】
(実施例1)
図2を用いて、実施例1で作製した基板保持盤1を説明する。基板保持盤1の基部2は厚さを60mmのブラックアルミナを用いた。突部3の形状は、直径0.8mm、高さ0.5mmの円錐台形状または円柱形状とした。また、隣接する突部3のピッチは20mmとした。被覆層51は、FCVAにより成膜され、ta―Cを少なくとも突部3の表面に厚さが500nmになるようにコーティングした。FCVAによるta―Cの成膜条件は圧力0.03Pa、アーク電流35Aであり、ターゲットとして炭素ターゲットを用いた。被覆層52はプラズマCVDにより成膜され、a―C:Hを少なくとも突部3の表面に厚さが35nmになるようにコーティングした。プラズマCVDによる被覆層52の成膜条件は、アルゴンガス流量50sccm、トルエンガス流量2.5sccm、圧力5Pa、RFパワー300Wとした。
【0064】
実施例1の結果は以下のようになった。
屈折率比:1.24
払拭前反射率と払拭後反射率の差:0%
【0065】
(実施例2)
被覆層52の厚さが40nmになるようにコーティングし、プラズマCVDによるa―C:Hの成膜条件の圧力を1Paとすること以外は実施例1と同様にして作製した。
【0066】
実施例2の結果は以下のようになった。
屈折率比:1.21
払拭前反射率と払拭後反射率の差:0%
【0067】
(実施例3)
被覆層52がシリコンカーバイドを主成分としており、厚さが25nmになるようにコーティングすること以外は実施例1と同様にして作製した。シリコンカーバイドを主成分とする層はプラズマCVDによって作製された。プラズマCVDによる被覆層52の成膜条件は、実施例1と同様の方法である。
【0068】
実施例3の結果は以下のようになった。
屈折率比:1.48
払拭前反射率と払拭後反射率の差:0%
【0069】
(実施例4)
被覆層52の厚さが65nmになるようにコーティングすること以外は実施例3と同様にして作製した。
【0070】
実施例4の結果は以下のようになった。
屈折率比:1.48
払拭前反射率と払拭後反射率の差:0%
【0071】
(実施例5)
被覆層51をa―C:Hにするため、プラズマCVDでコーティングした。被覆層52の厚さが20nmになるようにコーティングした。それ以外は実施例3と同様にして作製した。プラズマCVDによる被覆層51の成膜条件は、アルゴンガス流量50sccm、トルエンガス流量2.5sccm、圧力5Pa、RFパワー300Wとした。
【0072】
実施例5の結果は以下のようになった。
屈折率比:1.20
払拭前反射率と払拭後反射率の差:0%
【0073】
(実施例6)
被覆層52の厚さが70nmになるようにコーティングすること以外は実施例5と同様にして作製した。
【0074】
実施例6の結果は以下のようになった。
屈折率比:1.20
払拭前反射率と払拭後反射率の差:0%
【0075】
(比較例1)
被覆層52を無機粒子膜で置き換え、無機粒子膜を60nmになるようにコーティングすること以外は実施例5と同様にして作製した。無機粒子膜は無機粒子分散液を用いたスプレイコートにより形成した。スプレイコートの成膜条件は液供給量7g/min、スプレイガン移動速度20m/min、霧化圧力0.1MPaとした。また、塗工液の無機粒子濃度は0.4wt%とした。
【0076】
実施例6の結果は以下のようになった。
屈折率比:2.08
払拭前反射率と払拭後反射率の差:10%
【0077】
各実施例、比較例で得られた基板保持盤1について、結果は表1に示した。
【0078】
(実施例および比較例の評価)
実施例1~6では、被覆層52の払拭前の反射率と払拭後の反射率との差が0%であり、良好な耐剥離性を有した被覆層52を備えた基板保持盤1を得ることができた。
【0079】
それに対して比較例1では、被覆層52の材質が無機シリカであり、被覆層51との材料相性が好ましくなく、払拭することで膜剥がれを起こし、反射率が10%上昇してしまった。
【0080】
被覆層52を、被覆層51より水素含有量の大きいa―C:H、または被覆層51よりSi含有量の大きいシリコンカーバイドを主成分とする層にしたことで、被覆層52の耐剥離性を向上できた。
【0081】
実施例の基板保持盤1は比較例の基板保持盤に対して、被覆層52の耐剥離性に優れることが示された。
【0082】
以上、説明した実施形態は、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。
【0083】
なお、例示した具体的な数値範囲について、e~fという記載(e、fは数字)は、e以上および/またはf以下という意味である。また、例示した具体的な数値範囲について、i~jという範囲およびm~nという範囲が併記(i、j、m、nは数字))してある場合には、下限と上限の組は、iとjの組またはmとnの組に限定されるものではない。例えば、複数の組の下限と上限を組み合わせて検討もよい。すなわち、i~jという範囲およびm~nという範囲が併記してある場合には、矛盾が生じない範囲において、i~nという範囲で検討を行ってもよいし、m~jという範囲で検討を行ってもよいものである。また、e以上であることは、eであるかeよりも大きい(eを超える)ことを意味し、eを採用せずにeよりも大きい値を採用してもよい。また、f以下であることは、fであるかfよりも小さい(f未満)ことを意味し、fを採用せずにfよりも小さい値を採用してもよい。
【0084】
また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した個別の概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBよりも大きい」旨の記載があれば、たとえ「BはAよりも大きくない」旨の記載を省略していたとしても、本明細書は「BはAよりも大きくない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBよりも大きい」旨を記載している場合には、「BはAよりも大きくない」場合を考慮していることが前提だからである。
【符号の説明】
【0085】
1 基板保持盤
51 第1層
52 第2層
H 第2層から最上面までの距離
D 第1層の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6