(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240805BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G03G15/08 390A
G03G15/08 366
G03G21/00 510
G03G15/08 348A
(21)【出願番号】P 2022068642
(22)【出願日】2022-04-19
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】喜旦 智則
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-087882(JP,A)
【文献】特開2018-031868(JP,A)
【文献】特開2016-065930(JP,A)
【文献】特開2003-195615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/08-13/095
15/00
15/08-15/095
21/00
21/04
21/10-21/12
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に静電潜像を形成するために前記像担持体を露光する露光装置と、
前記像担持体に形成された静電潜像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像回転体と、前記現像回転体が配置され且つ前記現像回転体に現像剤を供給する第一室と、前記第一室と隔壁によって区画され且つ前記第一室との間で現像剤が循環する第二室と、現像剤が前記第一室から前記第二室に連通することを許容する第一連通部と、現像剤が前記第二室から前記第一室に連通することを許容する第二連通部と、前記第一室に配置され且つ現像剤を搬送する第一搬送スクリューと、前記第二室に配置され且つ現像剤を搬送する第二搬送スクリューと、前記第二室に初期現像剤を収容するために前記第一連通部及び前記第二連通部のそれぞれを封止する一対の封止部材と、前記一対の封止部材による前記第一連通部及び前記第二連通部のそれぞれの封止を解除する封止解除機構と、を有する現像装置と、
第一回転方向及び前記第一回転方向とは反対の第二回転方向のそれぞれに回転駆動することが可能なモータと、
前記モータを制御する制御手段と、
前記モータが回転駆動している時の前記モータの駆動負荷を検知する検知手段と、
表示部と、
を備え、
前記モータが前記第一回転方向に回転駆動した際に前記モータから供給される駆動力によって、前記第一搬送スクリューは、現像剤を前記第二連通部から前記第一連通部に向かう第一搬送方向に搬送し、且つ、前記第二搬送スクリューは、現像剤を前記第一連通部から前記第二連通部に向かう第二搬送方向に搬送し、
前記モータが前記第二回転方向に回転駆動した際に前記モータから供給される駆動力によって、前記第一搬送スクリューは、現像剤を前記第二搬送方向に搬送し、且つ、前記第二搬送スクリューは、現像剤を前記第一搬送方向に搬送し、
前記封止解除機構は、前記一対の封止部材を巻き取るための回転可能な巻取り軸を有し、
前記モータが前記第一回転方向に回転駆動した際に前記モータから供給される駆動力によって、前記巻取り軸は巻取り方向に回転駆動され、且つ、前記巻取り方向に回転駆動された前記巻取り軸に前記一対の封止部材が巻き取られることによって、前記一対の封止部材による前記第一連通部及び前記第二連通部のそれぞれの封止を解除し、
前記制御手段は、
前記一対の封止部材によって前記第一連通部及び前記第二連通部のそれぞれが封止されて且つ前記第二室に前記初期現像剤が収容されている状態で前記現像装置の動作が開始される前記現像装置の初期化動作において、
前記モータが前記第一回転方向に回転駆動している間に前記検知手段によって検知された前記駆動負荷が所定値以上である場合に、前記モータ
が前記第二回転方向に
所定時間に亘って回転駆
動するよう前記モータを制御し、その後、前記モータ
が前記第一回転方向に
回転駆動するよう前記モータを制御する
とともに、前記モータが前記第一回転方向に回転駆動している間に前記検知手段によって検知された前記駆動負荷が所定値以上である場合には、前記モータが前記第二回転方向に回転駆動するよう前記モータを再び制御することなく、前記表示部にエラーを表示する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記初期化動作において、前記モータが前記第一回転方向に回転駆動している間に前記検知手段によって検知された前記駆動負荷が所定値以上でない場合に、前記一対の封止部材による前記第一連通部及び前記第二連通部のそれぞれの封止が解除されるまでの間、前記モータが前記第一回転方向に回転駆動するよう前記モータを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記初期化動作において、前記モータが前記第二回転方向に回転駆動した際に前記モータから供給される駆動力によって、前記巻き取り軸は前記巻取り方向とは反対の方向に回転駆動しない
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記封止解除機構は、
前記巻取り軸の回転軸線と直交する方向に移動可能なウォームギアと、前記巻取り軸と一体に回転するように連結され且つ前記ウォームギアと噛み合うウォームホイールと、を更に有し、
前記初期化動作において、前記モータが前記第二回転方向に回転駆動した際に前記モータから供給される駆動力によって、
前記ウォームギアが前記巻取り軸の回転軸と直交する方向に移動することによって、前記巻取り軸
は前記巻取り方向とは反対の方向に回転駆動しな
い
ことを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現像剤を撹拌するための撹拌室と、現像スリーブに現像剤を供給するための現像室を備えた現像装置がある。この現像装置は、現像室に設けられ、現像室の現像剤を第一搬送方向に搬送する現像スクリューと、撹拌室に設けられ、撹拌室の現像剤を第一搬送方向とは逆方向の第二搬送方向に搬送する撹拌スクリューとを現像容器内に備える。また、この現像装置は、現像室の現像剤を現像室から撹拌室に連通可能な第一開口部と、撹拌室の現像剤を撹拌室から現像室に連通可能な第二開口部とが設けられ、現像室と撹拌室とを隔てる隔壁を現像容器内に備える。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、現像装置に設けられた同一系列のギア列を介して、シール部(一対の封止部材)を巻き取るための回転可能な巻き取り部(巻取り軸)と、撹拌スクリューが連結されている。この画像形成装置に設けられたモータを用いて、巻き取り部と撹拌スクリューに駆動力を伝達可能な構成にしている。そして、現像装置の初期立ち上げ時(使用開始時)において、画像形成装置に設けられたモータを駆動させることにより、巻き取り部と撹拌スクリューを同時に回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出荷時の現像装置において、現像装置の保管状態によっては、撹拌室内に密封状態で充填された初期現像剤が、撹拌スクリューの現像剤搬送方向の下流側に圧縮された状態(タッピング状態)になることがある。また、現像装置の初期立ち上げ時において、第一開口部や第二開口部がシール部でシールされている状態で、撹拌スクリューの回転を開始したとする。この場合、撹拌スクリューの現像剤搬送方向の上流側から下流側に向かって初期現像剤が撹拌スクリューによって搬送され、第一開口部や第二開口部がシールされているために撹拌スクリューの現像剤搬送方向の下流側で初期現像剤が滞留する。このとき、撹拌スクリューの現像剤搬送方向の下流側における現像剤の圧力が上昇し、この状態で撹拌スクリューを回転させると、撹拌スクリューを回転させるためのモータの負荷トルクが上昇する。
【0006】
モータの負荷トルクが上昇するこの現象は、初期現像剤がタッピング状態になっている場合に特に顕著になる。また、撹拌スクリューを回転させるためのモータが高出力のモータでない場合に、モータの負荷トルクが上昇する現象によって、当該モータの負荷トルクが所定値以上になると、撹拌スクリューを回転させることができなくなるスクリューロックが生じる虞がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、モータを用いて巻き取り部と撹拌スクリューに駆動力を伝達する構成において、当該モータが高出力のモータでなくても、現像装置の初期化動作においてスクリューロックが生じることを抑制することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る画像形成装置は以下のような構成を備える。即ち、像担持体と、前記像担持体に静電潜像を形成するために前記像担持体を露光する露光装置と、前記像担持体に形成された静電潜像を現像するためにトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像回転体と、前記現像回転体が配置され且つ前記現像回転体に現像剤を供給する第一室と、前記第一室と隔壁によって区画され且つ前記第一室との間で現像剤が循環する第二室と、現像剤が前記第一室から前記第二室に連通することを許容する第一連通部と、現像剤が前記第二室から前記第一室に連通することを許容する第二連通部と、前記第一室に配置され且つ現像剤を搬送する第一搬送スクリューと、前記第二室に配置され且つ現像剤を搬送する第二搬送スクリューと、前記第二室に初期現像剤を収容するために前記第一連通部及び前記第二連通部のそれぞれを封止する一対の封止部材と、前記一対の封止部材による前記第一連通部及び前記第二連通部のそれぞれの封止を解除する封止解除機構と、を有する現像装置と、第一回転方向及び前記第一回転方向とは反対の第二回転方向のそれぞれに回転駆動することが可能なモータと、前記モータを制御する制御手段と、前記モータが回転駆動している時の前記モータの駆動負荷を検知する検知手段と、表示部と、を備え、前記モータが前記第一回転方向に回転駆動した際に前記モータから供給される駆動力によって、前記第一搬送スクリューは、現像剤を前記第二連通部から前記第一連通部に向かう第一搬送方向に搬送し、且つ、前記第二搬送スクリューは、現像剤を前記第一連通部から前記第二連通部に向かう第二搬送方向に搬送し、前記モータが前記第二回転方向に回転駆動した際に前記モータから供給される駆動力によって、前記第一搬送スクリューは、現像剤を前記第二搬送方向に搬送し、且つ、前記第二搬送スクリューは、現像剤を前記第一搬送方向に搬送し、前記封止解除機構は、前記一対の封止部材を巻き取るための回転可能な巻取り軸を有し、前記モータが前記第一回転方向に回転駆動した際に前記モータから供給される駆動力によって、前記巻取り軸は巻取り方向に回転駆動され、且つ、前記巻取り方向に回転駆動された前記巻取り軸に前記一対の封止部材が巻き取られることによって、前記一対の封止部材による前記第一連通部及び前記第二連通部のそれぞれの封止を解除し、前記制御手段は、前記一対の封止部材によって前記第一連通部及び前記第二連通部のそれぞれが封止されて且つ前記第二室に前記初期現像剤が収容されている状態で前記現像装置の動作が開始される前記現像装置の初期化動作において、前記モータが前記第一回転方向に回転駆動している間に前記検知手段によって検知された前記駆動負荷が所定値以上である場合に、前記モータが前記第二回転方向に所定時間に亘って回転駆動するよう前記モータを制御し、その後、前記モータが前記第一回転方向に回転駆動するよう前記モータを制御するとともに、前記モータが前記第一回転方向に回転駆動している間に前記検知手段によって検知された前記駆動負荷が所定値以上である場合には、前記モータが前記第二回転方向に回転駆動するよう前記モータを再び制御することなく、前記表示部にエラーを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モータを用いて巻き取り部と撹拌スクリューに駆動力を伝達する構成において、当該モータが高出力のモータでなくても、現像装置の初期化動作においてスクリューロックが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を説明するための図である。
【
図2】第1の実施形態に係る現像装置の断面構成を説明するための図である。
【
図3】第1の実施形態に係る現像装置の平面構成を説明するための図である。
【
図4】第1の実施形態に係る現像装置の構成及び動作を説明するための図である。
【
図5】第1の実施形態に係る現像装置の初期現像剤の封止構造を説明するための図である。
【
図6】第1の実施形態に係る現像装置の駆動ギア列の構成を説明するための図である。
【
図7】第1の実施形態に係る現像装置の駆動機構の動作を説明するための図である。
【
図8】第1の実施形態に係る現像装置の駆動機構の動作を説明するための図である。
【
図9】第1の実施形態に係る現像装置の初期化動作の制御例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】第2の実施形態に係る現像装置の駆動機構の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。本発明は、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0012】
[第1の実施形態]
(画像形成装置の構成)
図1は画像形成装置の全体構成を説明するための図である。
図1に示すように、画像形成装置200は、中間転写ベルト7に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdを交換可能に搭載して配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0013】
画像形成部Saでは、感光ドラム1aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト7に転写される。画像形成部Sbでは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト7に転写される。画像形成部Sc、Sdでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト7に転写される。
【0014】
中間転写ベルト7は、一次転写ローラー5a、5b、5c、5d、対向ローラー8、テンションローラ17、及び張架ローラー18に掛け渡され、駆動ローラーを兼ねる対向ローラー8に駆動されて矢印R7方向に回転する。中間転写ベルト7に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送され、記録材カセット10から取り出して二次転写部T2へ搬送された記録材Pへ二次転写される。記録材Pは、給紙ローラー、搬送ローラー、レジストローラ等を有する給搬送装置によって、二次転写部T2に供給される。
【0015】
二次転写部T2でトナー像を転写された記録材Pは、定着ローラー14に加圧ローラー15を圧接させた定着装置13で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に機体外部へ排出される。
【0016】
画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdは、現像装置100a、100b、100c、100dで用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Saについて説明し、画像形成部Sb、Sc、Sdについては、画像形成部Saの構成部材に付した符号末尾のaをb、c、dに読み替えて説明されるものとする。
【0017】
画像形成部Saは、感光ドラム1a(像担持体)の周囲に、帯電ローラー2a、露光装置3a、現像装置100a、一次転写ローラー5a、補助帯電ローラー6aを配置している。
【0018】
感光ドラム1aは、アルミニウムシリンダの外周面に負極性の帯電極性を持たせた感光層が形成され、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。帯電ローラー2aは、感光ドラム1aの表面を一様な負極性の電位に帯電させる。
【0019】
露光装置3aは、レーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の静電像を書き込む。現像装置100aは、トナー及びキャリアにより構成される二成分現像剤を用いて、感光ドラム1aに形成された静電像を現像して、感光ドラム1aにトナー像を形成する。
【0020】
一次転写ローラー5aは、中間転写ベルト7の内側面を押圧して、感光ドラム1aと中間転写ベルト7との間に一次転写部T1を形成する。一次転写ローラー5aに正極性の直流電圧を印加することによって、感光ドラム1aに担持された負極性のトナー像が中間転写ベルト7へ一次転写される。補助帯電ローラー6aは、記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム1aに残った転写残トナーを負極性に帯電させて、現像装置100aによる次回の現像に関与させる。
【0021】
中間転写ベルト7のテンションローラ17に対応する位置には、中間転写ベルト7に付着した転写残トナーを除去するために、ベルトクリーナ11が当接されている。
【0022】
(現像装置の構成)
図2は現像装置の断面構成を説明するための図である。
図3は現像装置の平面構成を説明するための図である。以下では、画像形成部に交換可能に搭載された現像装置を、画像形成部の区別を表す記号末尾のa、b、c、dを省略して説明する。
【0023】
図2に示すように、現像装置100は、回転可能な現像剤担持体(現像回転体)の一例である現像スリーブ102にトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送させて感光ドラム1の静電像(静電潜像)を現像する。現像スリーブ102は、現像容器101の感光ドラム1に対向する開口部に回転可能に配置されている。現像スリーブ102と感光ドラム1とが対向する現像領域の回転方向上流に層厚規制ブレード121が配置されて、現像スリーブ102に担持される現像剤の厚さを規制している。
【0024】
現像容器101内は、垂直に設けた隔壁103によって現像室101aと撹拌室101bとに区画されている。現像室101a及び撹拌室101b内(循環路)には非磁性のトナーと磁性キャリアと少量の外添剤が混合された二成分現像剤が収容される。
【0025】
現像スリーブ102の内側には、表面に複数の磁極を配置して非回転に支持されたマグネット102mが配置される。現像剤は、磁性体のキャリアがマグネット102mの磁極間に形成された磁束に拘束されて現像スリーブ102の表面に担持され、正極性に帯電したキャリアの表面に負極性に帯電したトナーが静電気的に拘束されて磁気ブラシを形成している。電源52は、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加して、負極性に帯電して磁気ブラシに担持されたトナーを感光ドラム1の静電像へ移転させる。
【0026】
図3に示すように、現像容器101は、隔壁103によって平行な2つの空間に仕切られる。撹拌室101b及び現像室101aは、二成分現像剤を収容可能及び搬送可能に構成されている。現像装置100は、撹拌スクリュー104b(第二搬送部材)を内部に有する撹拌室101b、現像スクリュー104a(第一搬送部材)を内部に有する現像室101a、及び、現像室101aの上方部近傍に配置される現像スリーブ102を備える。
【0027】
隔壁103の両端部に形成された開口部107a、開口部107bによって、撹拌室101bと現像室101aが連通して、現像剤の循環経路を形成する。撹拌室101bから現像室101aへの現像剤の受け渡しは、開口部107aを通じて行われ、現像室101aから撹拌室101bへの現像剤の受け渡しは、開口部107bを通じて行われる。即ち、開口部107a(第二連通部)は、現像剤が撹拌室101b(第二室)から現像室101a(第一室)に連通することを許容する。また、開口部107b(第一連通部)は、現像剤が現像室101a(第一室)から撹拌室101b(第二室)に連通することを許容する。
【0028】
このように構成された循環経路を、現像剤が撹拌を受けつつ循環する過程で、トナー粒子とキャリア粒子が摩擦して、トナーが負極性、キャリアが正極性に帯電する。現像剤は、撹拌室101bの内部で撹拌スクリュー104bにより撹拌しつつ下流側へ搬送された後に、仕切り壁103の無い開口部107aを通過して現像室101aに流入する。そして、現像剤は、現像室101aの内部で、現像スクリュー104aによって下流側へ搬送される過程で現像スリーブ102に担持される。
【0029】
第一室の一例である現像室101aの内部には、第一搬送スクリューの一例である現像スクリュー104aが回転自在に取り付けられる。現像スクリュー104aが回転すると、二成分現像剤は、矢印Bに示すように、現像室101aの上流側から下流側に向かって搬送される。
【0030】
第二室の一例である撹拌室101bの内部には、第二搬送スクリューの一例である撹拌スクリュー104bが回転自在に取り付けられる。撹拌スクリュー104bが回転すると、二成分現像剤は、矢印Aに示すように、撹拌室101bの上流側から下流側に向かって搬送される。
【0031】
撹拌室101bの上流側上方には、トナー補給機構105が配置されている。トナーボトルに収容されたトナーは、トナー搬送経路を通じて、トナー補給機構105まで搬送され、トナー補給口106を通過して撹拌室101b内に落下補給される。現像装置100では、初期現像剤と同一種のトナーを補給用トナーとして用いている。
【0032】
ここで、二成分現像剤のトナー帯電量Q/Mは、現像された画像濃度を決定する重要なパラメータである。そして、二成分現像剤中に含まれるトナーの重量比(トナー濃度T/D)とトナー帯電量Q/Mには相関関係がある。
【0033】
トナーは、キャリアとの接触摩擦により帯電することから、トナーは、キャリアとの接触機会が多くなるほど、トナー帯電量Q/Mが大きくなる。このため、二成分現像剤は、トナー濃度T/Dが小さいほど、トナー帯電量Q/Mが大きくなって、等しい静電像を現像した際の画像濃度が低下する。このため、現像室101aと撹拌室101bを循環する現像剤のトナー濃度T/Dは、透磁率センサーTを用いて常時検知される。そして、トナー濃度T/Dがほぼ一定になるように、トナー補給機構105からのトナー補給量を調整される。
【0034】
(初期現像剤の封止構造)
図4は現像装置を上からみた平面構成を説明するための図である。また、
図4は現像装置の構成及び動作を説明するための図である。
図5は現像装置の初期現像剤の封止構造を説明するための図である。
図5は
図4のE-E方向からみた垂直断面である。
【0035】
図4に示すように、現像装置100、駆動モーター53、電源52、CPU50(制御手段)、操作パネル56、駆動モーター53の負荷検知手段58の関係がブロック図を用いて示される。また、現像装置100は、現像容器101を仕切る隔壁103の開口部107aに封止部材の一例である封止シート51aが貼付され、開口部107bに封止部材の一例である封止シート51bが貼付されている。封止シート51aと封止シート51bによって構成される一対の封止部材は、撹拌室101bに初期現像剤を収容するために開口部107a、107bのそれぞれを封止する。こうした構成により、出荷時の現像装置100は、初期現像剤が撹拌室101b内のみに密封状態で充填され、このとき、現像室101aの内部には、現像剤はキャリア、トナーともに存在しない。
【0036】
図5に示すように、封止部材の一例である封止シート51aは、開口部107aに引き剥がし可能(開封可能)に貼付されたシート部材である。封止シート51aは、第二搬送スクリュー搬送方向下流側の開口部107aに貼付されている。
【0037】
封止シート51aは、開口部107aを封止しつつ下端側から上方へ折り返して先端を巻取り軸600に固定してある。反対側の開口部107bも同様に開口部107bを封止しつつ下端側から上方へ折り返して先端を共通の巻取り軸600に固定してある。
【0038】
封止シート開封機構(封止解除機構)である巻取り軸600は、ギア列により回転伝達可能に現像スリーブ102と連結されている。このため、巻取り軸600は、現像スリーブ102の回転に伴って、封止シート51a、51bを巻取り軸600に巻き取っていき、開口部107a、107bを開放させる。これにより、封止シート開封機構は、封止シート51a、51b(一対の封止部材)による開口部107b(第一連通部)及び開口部107a(第二連通部)のそれぞれの封止を解除する。
【0039】
巻取り軸600は、ユーザーの作業に頼ることなく、現像装置100の封止シート51a、51bを開口部107a、107bから自動的に引き剥がして、現像剤を現像室101a及び撹拌室101b内を循環させて行き渡らせる。これにより、現像装置100を使用可能な状態に立ち上げる。
【0040】
(巻取り軸の駆動機構)
図6は現像装置の駆動ギア列の構成を説明するための図である。
図6(a)と
図6(b)は異なる方向から同一部分を示した斜視図である。
【0041】
図6に示すように、現像装置100は、現像スクリュー104aが回転軸線方向へ着脱自在なカップリング54(
図5参照)を介して画像形成装置200の本体側に設置された駆動モーター53に接続される。駆動モーター53は、CPU50の指示により制御されて現像スクリュー104aを回転駆動する。
【0042】
現像スクリュー104aの軸上に設けられたギア170(
図4参照)と現像スリーブ102の回転軸上に設けられたスリーブギア171(
図4参照)および中間ギアとによって現像スリーブ102に回転が伝達されている。
【0043】
現像スクリュー104aの回転は、カップリング54が接続された反対側のギア列160によって回転伝達され、撹拌スクリュー104b、現像スクリュー104a、巻取り軸600、を一体に回転させる。現像スリーブ102、現像スクリュー104a、撹拌スクリュー104b、巻取り軸600は、ギア列160によって1系統のギア列を形成している。現像スクリュー104aが回転すると、現像スクリュー104aの回転軸の端部に取り付けられた出力ギア151が回転する。出力ギア151に噛み合うアイドラギア150は、ギア153、巻取り軸600と連結しているギア154の噛合いを経て巻取り軸600が回転する。巻取り軸600が封止シート51aを引き剥がす際に必要なトルクを確保できるように、ギア153、154は、ウォームギアとウォームホイールを用いて大きく減速する構成となっている。
【0044】
一方、撹拌スクリュー104bを回転させる撹拌スクリューギア155は、出力ギア151と噛合っている。
【0045】
これらの駆動ギア列は全て同一系列の連結でありカップリング54が回転するときは全てのギアも回転駆動するように構成されている。また、ここでいう同一系列のギア列とは、カップリング54と撹拌スクリュー104b、及びカップリング54と巻取り軸600、およびスリーブギア171とがそれぞれギアの噛合いを直結している駆動伝達経路である。また、この直列上のギアから分岐したギア列は系列上、分岐ギアと同一と考えているものであり、分岐後のギア列の長さや分岐数は問わず、直結しているギア列を同一系列としている。
【0046】
(現像装置の初期化動作)
図7および
図8は現像装置の駆動機構の動作を説明するための図である。
図8は、
図4に示すF‐F断面図であり、
図8(a)は現像装置の初期化動作時の封止シートの巻取り部の動作を示しており、
図8(b)は、現像装置の駆動ギア列が逆回転している時の状態を示している。尚、
図6~
図8の現像容器101は、現像容器101の内部の構造が分かるように省略している。
【0047】
現像装置100を画像形成装置200に装着するか、あらかじめ出荷時に画像形成装置200内に装着された状態である画像形成装置200の電源によって、画像形成装置200に設けられた駆動源M1のモーター53に電力を供給する。そして、モーター53に電力を供給し、現像装置100の現像スクリュー104aの回転軸の端部に設けられたカップリング54を介して回転駆動力が現像スクリュー104aに伝達される。現像スクリュー104aの正転時の回転方向は
図6に示す矢印104Rの方向に回転される。カップリング54とは反対側の現像スクリュー104aの回転軸の端部に取り付けられた出力ギア151が回転し噛み合っているアイドラギア150に回転が伝達される。また、出力ギア151は、撹拌スクリューギア155とも噛み合っており、回転力が撹拌スクリュー104bへと伝達される
また、もう一つの出力ギア151と噛み合っているアイドラギア150には、一端側にかさ歯歯車150aが一体的に設けられている。また、ウォームギア153の一端側にもかさ歯ギア152が一体的に設けられており、それぞれのかさ歯ギアはお互いに回転軸が90°を成して配置され噛み合っている。
【0048】
これによりアイドラギア150に伝わった回転力は、かさ歯ギア152、150aの噛み合いを介してウォームギア153に回転力が伝達される。ウォームギア153と、ウォームホイール154とによって、大きく減速させられたウォームホイール154は、矢印の方向に回転する。この時、ウォームギア153は、ウォームホイール154からの反力を受けてウォームギア153自体は、
図8(a)に示す、矢印Pの方向へと付勢される。このため、かさ歯ギア152とアイドラギア150に設けられたかさ歯ギア150aとの歯車噛み合いは維持される構成となっている。
【0049】
また、ウォームホイール154は、封止シート51аの巻取り軸600と一体に回転するように連結されており、ウォームホイール154と一体になって
図7の矢印T方向へ回転する。一方、アイドラギア150から伝達された回転駆動力により撹拌スクリューギア155も矢印の方向に回転を始める。このように、巻取り軸600と、撹拌スクリュー104bとが同時に動作する機構となっている。
【0050】
次に、モーター53が逆回転する時の各ギアの動きを説明する。なお、モーター53の逆回転時は、
図7に示す符号の無い矢印と全て逆方向の回転となる。モーター53が逆回転することにより、現像スクリュー104aおよび出力ギア151は
図7の出力ギア151上に記載の矢印とは逆方向へと回転する。出力ギア151と噛み合うアイドラギア150も同様にアイドラギア150上に記載の矢印とは逆方向へと回転する。
【0051】
この時の各ギアの動作を
図8(b)に示す。
図8(b)に示すように、アイドラギア150と一体に設けられているかさ歯ギア150aと噛み合う、ウォームギア153と一体に設けられるかさ歯ギア152は、ウォームギア153と共にウォームギア153上に記載の矢印方向へと回転する。
【0052】
ウォームギア153自体は、
図8に示す矢印Qの方向へと付勢される。ウォームギア153は矢印Q方向への付勢力に対し、移動可能に構成されているため、ウォームギア153は、モーター53の逆転時には、矢印Q方向へと移動していく。このため、かさ歯ギア152と、かさ歯ギア150aとの噛み合いは
図8のように離れていき、かさ歯ギア同士の歯先が接触する限界まで離れると、回転力が伝達されない状態となる。
【0053】
これにより、ウォームギア153と噛み合うウォームホイール154も回転しないため、巻取り軸600も同様に回転しない状態となる。よって、モーター53の逆回転時には、封止シート51aが巻き取られずそのままの状態となっている。
【0054】
一方で、出力ギア151と噛み合っているもう一つの撹拌スクリューギア155は、
図7の撹拌スクリューギア155上に記載の矢印と逆方向へと回転する。撹拌スクリューギア155は、撹拌スクリュー104bと一体的に回転するように連結されているため、同じ方向へと回転する。撹拌スクリュー104bは正回転時には、
図7の矢印T方向へと現像剤を搬送するようにらせん状の羽が形成されているので、逆回転時には、現像剤を矢印Tと逆方向へと搬送するようになっている。
【0055】
したがって、モーター53の逆回転時には、現像スクリュー104aは
図7の矢印Tと反対方向へと現像剤を搬送する構成となっているが、前述の通り、封止シート51aは回収されない。このため、現像室101a側には、現像剤が存在せず、実質現像剤が逆方向へと搬送されることは無い。撹拌室101b側の現像剤は、矢印Tとは逆方向へと搬送されるようになっている。
【0056】
(通常時の現像装置の初期化動作)
通常の現像装置の初期化時の動作について
図7及び
図8を用いて説明する。また、現像装置の初期化動作の制御例について
図9のフローチャートを用いて説明する。
図9の制御は、CPU50が、画像形成装置200のメモリに記憶された制御プログラムを読み出して、各種機器を制御することにより実行される。また、
図9の制御は、画像形成装置200が現像装置100の交換指示を受け付けた後にフローが開始される。
【0057】
現像装置100の交換後、または、画像形成装置200の出荷時にあらかじめ装着されている現像装置100を初めて動作させる場合に初期化が必要な現像装置であるかどうかの判定を行う(S1)。判定は、現像装置100のメモリを用いても、オペレータによる操作パネル56を介した画像形成装置200への入力によるものなど、どちらでも実現可能である。現像装置100の交換判定(S1)による結果がNOの場合には、特に初期化動作を行う必要ないので初期化動作は終了となる。
【0058】
現像装置100の交換判定(S1)がYESの場合、次ステップの現像装置100の初期化動作が開始となる(S2)。現像装置100の初期化動作が開始され(S2)、所定時間t1が経過されるまでの間に、現像装置100の駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であるか否かの判定が行われる(S3)。尚、所定時間t1は、封止シート51aの開封が始まるまでのあらかじめ決められた時間を用いている。
【0059】
通常時においては、極端な撹拌室101b内の現像剤の偏りが発生することは無く、所定時間t1が経過するまでの時間で撹拌スクリュー104bの回転負荷が過大(所定値以上)にならない。よって、所定時間t1内に現像装置100の駆動負荷トルクが過大(所定値以上)とならず、現像装置100の駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であるか否かの判定はNOとなる(S3:NO)。この間、撹拌室101b内の現像剤は次第に撹拌スクリュー104bの搬送方向下流側に搬送されていき、巻取り軸600も回転しているため次第に封止シート51aは巻き取られていく。そのため、継続して現像装置100の初期化動作の継続(S4)へと進む。モーター53の回転トルク負荷の検知としては、ここでは、モーター53の電流量を検出し、モーター53のトルクを推定しているが、別の方法でも良い。例えば、回転検知するセンサーを用いる方法や、脱調による停止状態の検知であってもよい。その後、所定時間t2が経過したことにより現像装置100の初期化動作が完了したことを確定して終了となる。
【0060】
(現像装置の駆動負荷トルクが過大である時の現像装置の初期化動作)
続いて、撹拌室101b側に封入されている現像剤の状態が撹拌スクリュー104bの搬送方向下流側に偏った状態となった状態で、現像装置100の初期化動作を行う場合について説明する。前述した通常時の動作説明と同様に、現像装置100を初めて動作させる場合(使用開始時)に、初期化動作が必要な現像装置100であるかどうかの判定を行う(S1)。
【0061】
次に、現像装置100の交換判定(S1)による結果がNOの場合には、特に初期化動作を行う必要ないので初期化動作は終了となる。現像装置100の交換判定(S1)がYESの場合、次ステップの現像装置100の初期化動作の開始(S2)となる。
【0062】
現像装置100の初期化動作(S2)が開始され、所定時間t1が経過されるまでの間に、現像装置100の駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であるか否かの判定(S3)が行われる。撹拌室101b内の現像剤が撹拌スクリュー104bの搬送方向下流側に偏った状態であって、さらに現像剤が圧縮された状態(タッピング状態)となってしまっていた場合には、撹拌スクリュー104bがほとんど回転できないまま停止してしまう場合もある。
【0063】
モーター53の負荷トルクが上昇するこの現象は、初期現像剤がタッピング状態になっている場合に特に顕著になる。また、モーター53が高出力のモータでない場合に、モーター53の負荷トルクが上昇する現象によって、モーター53の負荷トルクが所定値以上になると、撹拌スクリュー104bを回転させることができなくなるスクリューロックが生じる。
【0064】
そして、S3において、所定時間t1内に現像装置100の駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であるか否かの判定がYESと判定される。現像装置100の駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であるか否かの検知方法は、前述した通常時の現像装置100の初期化動作で説明した内容と同じであるため、説明を省略する。
【0065】
次に、所定回転回数nの現像装置駆動(逆回転)(S6)に進む。尚、所定回転回数nは、撹拌スクリュー104bが逆回転させる回数を元にモーター53の逆転時間を決定している。撹拌室101b内の現像剤が撹拌スクリュー104bの搬送方向下流側に偏って存在していた状態から、逆回転により、搬送方向上流側へと移動して逆方向に詰まってしまう事の無い範囲を設定している。
【0066】
この時、前述した「現像装置100の初期化時の動作の説明」で記載した通り、封止シート51aは、巻取り軸600が回転しない構成となっている。このため、隔壁103の開口部107aは封止シート51aによって塞がったままとなり、現像剤が、撹拌室101bから現像室101aへと排出されることは無い。このため、撹拌室101b内で撹拌スクリュー104bの搬送方向(正転時)下流側に集積していた現像剤は撹拌スクリュー104bの搬送方向(正転時)上流側へと分散しながら搬送されていく。
【0067】
また、この所定回転数nの逆回転動作時における負荷トルクを、現像装置100の逆回転動作時の駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であるか否かの判定を行う(S7)。駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であると判定された(YES)場合には、正転時も逆転時も駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であるため、異常判断(S12)を判定し、操作パネル56にエラー表示を発出する。
【0068】
一方、現像装置100の逆回転動作時の駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であるか否かの判定(S7)がNOと判定された場合には、そのまま所定回転回数nが完了(S8)と進み、現像装置100の駆動が停止される(S9)。
【0069】
次に、現像装置100の初期化動作の開始(正回転)が行われる(S10)。この時、所定時間t1内に再び駆動負荷トルクが過大(所定値以上)であるか否かの判定が行われる(S11)。S11の判定結果がYESであった場合には、再び現像装置100の逆回転をすることは無く、異常判断(S12)により、操作パネル56にエラー表示を発出するようにしている。
【0070】
現像装置100の初期化動作の開始(正回転)(S11)の判定がNOである場合には、継続して現像装置100の初期化動作の継続(S4)へと進み、所定時間t2が経過したことにより現像装置100の初期化動作が完了したことを確定して終了となる。
【0071】
このように、撹拌室101b内の現像剤偏りにより、現像装置100の初期化動作ができない状況であっても、封止シート51aを巻き取らずに撹拌室101b内の現像剤を攪拌スクリュー104bの逆回転により詰まりを緩和する。その後すぐに巻取り軸600を正回転動作させることができる為、撹拌室101b内の現像剤が正転時に再び撹拌スクリュー104bの搬送方向下流側(正転時)に集積、圧縮してしまう前に、封止シート51aを巻取り軸600によって巻取ることが可能である。
【0072】
以上説明した第1の実施形態では、モーター53を用いて巻取り軸600と撹拌スクリュー104bに駆動力を伝達する構成において、モータ53が高出力のモータでなくても、現像装置100の使用開始時にスクリューロックが生じる事を抑制することができる。
【0073】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の基本的な構成については第1の実施形態と同じである。そのため、第1の実施形態と実質的に同一若しくは相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳細な説明は省略し、第2の実施形態に特有の構成部分のみ詳細に説明する。
【0074】
第2の実施形態に係る現像装置の駆動機構の動作について
図10を用いて説明する。封止シート51aと巻取り軸600の構成については、前述した第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、現像装置100の初期化動作と、CPU50が実行する
図9の制御のフローに関しても、前述した第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
図10(a)は、モーター35が正回転している時の駆動ギア列の動作を示しており、
図10(b)は、逆回転時の動作状態を示している。モーター53からの回転力(正転時)を現像スクリュー104aの回転軸の一端側に設けたカップリング54で受け取る。そして、カップリング54で受け取った回転力により、現像スクリュー104aと、現像スクリュー104aの回転軸の他端側に設けた出力ギア151とともに、出力ギア151上に記載の矢印方向へ回転する。
【0076】
主力ギア151の回転力は、噛み合っている撹拌スクリューギア155と、アイドラギア150とに伝達される。アイドラギア150の一端側には、前述した第1の実施形態と同様にかさ歯ギア150aが一体的に設けられている。
【0077】
また、かさ歯ギア150aと噛み合うかさ歯ギア152は、ウォームギア153と一体的に構成されており一緒に回転する構成となっている。ウォームギア153とは、ウォームホイール154と噛み合っており、ウォームホイール154は、前述した第1の実施形態で説明した、巻取り軸600と一体的に回転するように連結されている。アイドラギア150と、ウォームギア153と、ウォームホイール154とは、ウォームホイール154の回転中心154aを中心と揺動可能な揺動ホルダ180によって一体的に保持されている。
【0078】
揺動ホルダ180内では、各ギアはそれぞれ回転可能に支持されており、出力ギア151とアイドラギア150との噛み合い部における反力によって、揺動ホルダ180は
図10(a)の矢印Sa方向に付勢力が働いている。そのため、出力ギア151とアイドラギア150との噛み合いは維持されているのでウォームホイール154まで回転が伝達されている。
【0079】
一方、モーター35の逆回転時には、
図10(b)に示す通り、撹拌スクリュー155と連結されている撹拌スクリュー104bは撹拌スクリューギア155上に記載の矢印方向へと回転する。このため、第1の実施形態と同様に、撹拌室101b内の現像剤を撹拌スクリュー104bの搬送方向(正転時)とは反対側に搬送する構成となっている。
【0080】
また、出力ギア151と噛み合っているアイドラギア150は、正回転時とは異なり、
図10(b)に示す矢印Sbの方向に揺動ホルダ180へ付勢力を与える状態となる。このため揺動ホルダ180は回転中心154aを中心に回動するので、出力ギア151とアイドラギア150との噛み合い部Uが離間して回転力が伝わらないようになる。
【0081】
よって、モーター53の逆転時には、アイドラギア150より回転伝達下流側への回転力が伝わらず、巻取り軸600も回転しないため、封止シート51aの巻取り回収が行われない。このように、揺動ホルダ180の回動によって正転時のみギアの回転が伝達され、逆転時には、回転力が伝達されない、いわゆるワンウェイクラッチ機構(揺動ギアを含む)となっている。
【0082】
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0083】
上記実施形態では、巻き取り軸600による封止シート51a、51bの巻き上げが、略同時に開始されて、且つ略同時に完了する例について説明したが、これに限られない。巻き取り軸600によって封止シート51aの巻き上げが開始されるタイミングと、巻き取り軸600によって封止シート51bの巻き上げが開始されるタイミングとの間に時間差を設けてもよい。例えば、巻き取り軸600によって封止シート51aの巻き上げが開始されるタイミングの方が、巻き取り軸600によって封止シート51bの巻き上げが開始されるタイミングよりも早くなるように、駆動伝達機構を構成してもよい。これにより、封止シート51a、51bの開封動作中におけるモータ53の負荷トルクの上昇を更に抑制することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、
図1に示したように、中間転写ベルト7を用いる構成の画像形成装置100を例に説明したが、これに限られない。感光ドラム1に順に記録材Pを直接接触させて転写を行う構成の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 感光ドラム
3 露光装置
50 CPU
51а 封止シート
51b 封止シート
53 モーター
58 負荷検知手段
100 現像装置
101a 現像室
101b 撹拌室
102 現像スリーブ
104a 現像スクリュー
104b 撹拌スクリュー
107a 開口部
107b 開口部
200 画像形成装置
600 巻取り軸