(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】光電変換装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/633 20230101AFI20240805BHJP
H04N 25/773 20230101ALI20240805BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04N25/633
H04N25/773
H01L27/146 A
(21)【出願番号】P 2022115906
(22)【出願日】2022-07-20
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2021171691
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】大田 康晴
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌弘
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-132095(JP,A)
【文献】特開2021-013144(JP,A)
【文献】特開2013-069958(JP,A)
【文献】特開2020-088520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードとカソードとを含むアバランシェフォトダイオードをそれぞれが有する複数の画素を含む画素領域を有し、
前記複数の画素は、光子の検出に応じた光子検出信号を出力する有効画素と、前記光子検出信号を出力しないダミー画素と、遮光部を有するオプティカルブラック画素を含み、
前記有効画素は前記光子検出信号をカウントとするカウンタ回路に接続され、
前記ダミー画素は前記カウンタ回路に接続されず、
前記画素領域は、前記有効画素を有する第1領域と、前記ダミー画素を有する第2領域と、前記オプティカルブラック画素を有する第3領域とを有し、
前記第2領域は、前記画素領域の端部に接する第1の部分と、第2の部分とを有し、
前記第1の部分と、前記第1領域と、前記第2の部分と、前記第3領域とが第1の方向にこの順で並んで配されており、
前記第1の方向において、前記第2の部分の幅は、前記第1の部分の幅よりも広いことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記第2領域は、前記画素領域の端部に接する第3の部分を有し、
前記第1領域と、前記第3の部分とが前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って並び、
前記第2の部分の前記第1の方向の幅は、前記第3の部分の前記第2の方向の幅よりも広いことを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第2の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数が、前記第1の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第2領域は、前記アノード及び前記カソードとは異なるノードが前記カウンタ回路の入力ノードと接続されたテスト画素を含むことを特徴とする請求項
1に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記複数の画素のそれぞれは隣り合う画素との間に画素分離部を有することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記有効画素が配された前記第1領域と、前記ダミー画素が配された前記第2領域との間を分離する前記画素分離部を有することを特徴とする請求項
5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記有効画素が配された前記第3領域と、前記ダミー画素が配された前記第2領域との間を分離する前記画素分離部を有することを特徴とする請求項
5に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記オプティカルブラック画素を有する第4領域を有し、
前記第2領域は第4の部分を有し、
前記第4領域と前記第4の部分とが前記第1の方向に交差する第3の方向に並び、
前記第4の部分の前記第3の方向の幅は、前記第1の部分の前記第1の方向の幅よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記第4の部分の前記第3の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数は、前記第1の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数よりも多いことを特徴とする請求項
8に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記第2の部分の前記第1の方向の幅は、前記第3の部分の前記第2の方向の幅の十倍よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記第2の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数が、前記第1の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数の十倍よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記アノードおよび前記カソードのうちの一方のノードと駆動電圧が印加される電源とに接続され、
前記一方のノードと前記電源との間の抵抗値を切り替えるスイッチを有することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記スイッチはトランジスタであることを特徴とする請求項12に記載の光電変換装置。
【請求項14】
アノードとカソードとを含むアバランシェフォトダイオードをそれぞれが有する複数の画素を含む画素領域を有し、
前記複数の画素は、光子の検出に応じた光子検出信号を出力する有効画素と、前記光子検出信号を出力しないダミー画素と、遮光部を有するオプティカルブラック画素を含み、
前記アノードおよび前記カソードのうちの一方のノードと駆動電圧が印加される電源とに接続され、前記一方のノードと前記電源との間の抵抗値を切り替えるスイッチを有し、
前記画素領域は、前記有効画素を有する第1領域と、前記ダミー画素を有する第2領域と、前記オプティカルブラック画素を有する第3領域とを有し、
前記第2領域は、前記画素領域の端部に接する第1の部分と、第2の部分とを有し、
前記第1の部分と、前記第1領域と、前記第2の部分と、前記第3領域とが第1の方向にこの順で並んで配されており、
前記第1の方向において、前記第2の部分の幅は、前記第1の部分の幅よりも広く、
前記ダミー画素のそれぞれは1つの前記スイッチに対して複数のアバランシェフォトダイオードを有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項15】
前記ダミー画素のうち、第1のダミー画素が有するアバランシェフォトダイオードの数は、第2のダミー画素が有するアバランシェフォトダイオードの数よりも多いことを特徴とする請求項14に記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記第1領域と前記第2領域との境界から前記第1のダミー画素までの距離は、前記境界から前記第2のダミー画素までの距離よりも長いことを特徴とする請求項15に記載の光電変換装置。
【請求項17】
前記スイッチはトランジスタであることを特徴とする請求項
14に記載の光電変換装置。
【請求項18】
前記有効画素の前記アバランシェフォトダイオードは、第1の周期でリチャージされることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項19】
アノードとカソードとを含むアバランシェフォトダイオードをそれぞれが有する複数の画素を含む画素領域を有し、
前記複数の画素は、光子の検出に応じた光子検出信号を出力する有効画素と、前記光子検出信号を出力しないダミー画素と、遮光部を有するオプティカルブラック画素を含み、
前記画素領域は、前記有効画素を有する第1領域と、前記ダミー画素を有する第2領域と、前記オプティカルブラック画素を有する第3領域とを有し、
前記第2領域は、前記画素領域の端部に接する第1の部分と、第2の部分とを有し、
前記第1の部分と、前記第1領域と、前記第2の部分と、前記第3領域とが第1の方向にこの順で並んで配されており、
前記第1の方向において、前記第2の部分の幅は、前記第1の部分の幅よりも広く、
前記有効画素の前記アバランシェフォトダイオードは、第1の周期でリチャージされ、
前記ダミー画素の前記アバランシェフォトダイオードは、前記第1の周期と異なる第2の周期でリチャージされることを特徴とする光電変換装置。
【請求項20】
前記第2の周期は前記第1の周期よりも長いことを特徴とする請求項19に記載の光電変換装置。
【請求項21】
請求項1に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置から出力される信号を処理する信号処理部と、を有することを特徴とするシステム。
【請求項22】
移動体であって、
請求項1に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する情報取得手段と、前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と、を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のアバランシェフォトダイオード(以下、APD)を含む画素が配置された光電変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような光電変換装置では外光に拠らない信号の検出のためにオプティカルブラック画素(以下、OB画素)が設けられることがある。具体的には、OB画素は、APDの上部に遮光部が設けられ、外光に拠らない信号を検出する画素である。
【0005】
有効画素に光が入射し、光電変換がなされた場合、隣接する画素への電荷の移動や電子・正孔の再結合によるアバランシェ発光が生じる。この場合、有効画素が配されている領域とOB画素が配されている領域とが隣り合う場合、有効画素からのアバランシェ発光により、OB画素におけるアバランシェ増倍が誘発され、画質が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
光電変換装置であって、アノードとカソードとを含むアバランシェフォトダイオードをそれぞれが有する複数の画素を含む画素領域を有し、前記複数の画素は、光子の検出に応じた光子検出信号を出力する有効画素と、前記光子検出信号を出力しないダミー画素と、遮光部を有するオプティカルブラック画素を含み、前記有効画素は前記光子検出信号をカウントとするカウンタ回路に接続され、前記ダミー画素は前記カウンタ回路に接続されず、前記画素領域は、前記有効画素を有する第1領域と、前記ダミー画素を有する第2領域と、前記オプティカルブラック画素を有する第3領域とを有し、前記第2領域は、前記画素領域の端部に接する第1の部分と、第2の部分とを有し、前記第1の部分と、前記第1領域と、前記第2の部分と、前記第3領域とが第1の方向にこの順で並んで配されており、前記第1の方向において、前記第2の部分の幅は、前記第1の部分の幅よりも広いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画質の低下を低減した光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態にかかる光電変換装置の概略図である。
【
図2】実施形態にかかる光電変換装置のPD基板の概略図である。
【
図3】実施形態にかかる光電変換装置の回路基板の概略図である。
【
図4】第1の実施形態にかかる光電変換装置の概略図である。
【
図5】第1の実施形態にかかる光電変換装置の断面図である。
【
図6】第1の実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。
【
図7】第1の実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の駆動を示す模式図である。
【
図8】第1の実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。
【
図9】第1の実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の駆動を示す模式図である。
【
図10】第2の実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。
【
図11】第2の実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の駆動を示す模式図である。
【
図12】第3の実施形態にかかる光電変換装置の概略図である。
【
図13】第3の実施形態にかかる光電変換装置の画素回路の構成例である。
【
図14】第4の実施形態にかかるにかかる光電変換装置の画素回路の構成例である
【
図15】第5の実施形態にかかる光電変換システムの機能ブロック図である。
【
図16】第6の実施形態にかかる光電変換システムの機能ブロック図である。
【
図17】第7の実施形態にかかる光電変換システムの機能ブロック図である。
【
図18】第8の実施形態にかかる光電変換システムの機能ブロック図である。
【
図19】第9の実施形態にかかる光電変換システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。以下の説明において、同一の構成については同一の番号を付して説明を省略することがある。
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及び、それらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語の使用は図面を参照した実施形態の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0011】
本明細書において、平面視とは、半導体層の光入射面に対して垂直な方向から視ることである。また、断面視とは、半導体層の光入射面と垂直な方向における面をいう。なお、微視的に見て半導体層の光入射面が粗面である場合は、巨視的に見たときの半導体層の光入射面を基準として平面視を定義する。
【0012】
以下の説明において、アバランシェフォトダイオード(APD)のアノードを固定電位とし、カソード側から信号を取り出している。したがって、信号電荷と同じ極性の電荷を多数キャリアとする第1導電型の半導体領域とはN型半導体領域であり、信号電荷と異なる極性の電荷を多数キャリアとする第2導電型の半導体領域とはP型半導体領域である。なお、APDのカソードを固定電位とし、アノード側から信号を取り出す場合でも本発明は成立する。この場合は、信号電荷と同じ極性の電荷を多数キャリアとする第1導電型の半導体領域はP型半導体領域であり、信号電荷と異なる極性の電荷を多数キャリアとする第2導電型の半導体領域とはN型半導体領域である。以下では、APDの一方のノードを固定電位とする場合について説明するが、両方のノードの電位が変動してもよい。
【0013】
本明細書において、単に「不純物濃度」という用語が使われた場合、逆導電型の不純物によって補償された分を差し引いた正味の不純物濃度を意味している。つまり、「不純物濃度」とは、NETドーピング濃度を指す。P型の添加不純物濃度がN型の添加不純物濃度より高い領域はP型半導体領域である。反対に、N型の添加不純物濃度がP型の添加不純物濃度より高い領域はN型半導体領域である。
【0014】
(第1の実施形態)
本発明に係る光電変換装置及びその駆動方法について、
図1から
図9を用いて説明する。
【0015】
図1は、積層型の光電変換装置100の構成を示す図である。光電変換装置100は、センサ基板11と、回路基板21の2つの基板が積層され、電気的に接続されることにより構成される。センサ基板11は、後述する光電変換素子102を有する第1半導体層と、第1配線構造と、を有する。回路基板21は、後述する信号処理部103等の回路を有する第2半導体層と、第2配線構造と、を有する。光電変換装置100は、第2半導体層、第2配線構造、第1配線構造、第1半導体層の順に積層して構成される。各実施形態に記載の光電変換装置は、第2面から光が入射し、第1面に回路基板が配される、裏面照射型の光電変換装置である。
【0016】
以下では、センサ基板11と回路基板21とは、ダイシングされたチップで説明するが、チップに限定されない。例えば、各基板はウエハであってもよい。また、各基板はウエハ状態で積層した後にダイシングされていてもよいし、ウエハ状態からチップ化した後に各チップを積層して接合してもよい。
【0017】
センサ基板11には、画素領域12が配され、回路基板21には、画素領域12で検出された信号を処理する回路領域22が配される。
【0018】
図2は、センサ基板11の配置例を示す図である。APDを含む光電変換素子102を有する画素101が平面視で二次元アレイ状に配列され、画素領域12を形成する。
【0019】
画素101は、典型的には、画像を形成するための画素であるが、TOF(Time of Flight)に用いる場合には、必ずしも画像を形成しなくてもよい。すなわち、画素101は、光が到達した時刻と光量を測定するためのものであってもよい。
【0020】
図3は、回路基板21の構成図である。
図2の光電変換素子102で光電変換された電荷を処理する信号処理部103、読み出し回路112、制御パルス生成部115、水平走査回路部111、信号線113、垂直走査回路部110を有している。
【0021】
図2の光電変換素子102と、
図3の信号処理部103は、画素毎に設けられた接続配線を介して電気的に接続される。
【0022】
垂直走査回路部110は、制御パルス生成部115から供給された制御パルスを受け、各画素に制御パルスを供給する。垂直走査回路部110にはシフトレジスタやアドレスデコーダといった論理回路が用いられる。
【0023】
画素の光電変換素子102から出力された信号は、信号処理部103で処理される。信号処理部103は、カウンタやメモリなどが設けられており、メモリにはデジタル値が保持される。
【0024】
水平走査回路部111は、デジタル信号が保持された各画素のメモリから信号を読み出すために、各列を順次選択する制御パルスを信号処理部103に入力する。
【0025】
信号線113には、選択されている列について、垂直走査回路部110により選択された画素の信号処理部103から信号が出力される。
【0026】
信号線113に出力された信号は、出力回路114を介して、光電変換装置100の外部の記録部または信号処理部に出力する。
【0027】
図2において、画素領域における光電変換素子の配列は1次元状に配されていてもよい。信号処理部の機能は、必ずしも全ての光電変換素子に1つずつ設けられる必要はなく、例えば、複数の光電変換素子によって1つの信号処理部が共有され、順次信号処理が行われてもよい。
【0028】
図2および
図3に示すように、平面視で画素領域12に重なる領域に、複数の信号処理部103が配される。そして、平面視で、センサ基板11の端と画素領域12の端との間に重なるように、垂直走査回路部110、水平走査回路部111、読み出し回路112、出力回路114、制御パルス生成部115が配される。言い換えると、センサ基板11は、画素領域12と画素領域12の周りに配された非画素領域とを有する。そして、平面視で非画素領域に重なる領域に、垂直走査回路部110、水平走査回路部111、読み出し回路112、出力回路114、制御パルス生成部115が配される。
【0029】
図4に示す画素領域12の構成について説明する。画素領域12とは、光電変換可能な画素が配された領域である。
図4において、画素領域12は、第1領域10a、第2領域10b、第3領域10cを含み、画素101は、有効画素13、ダミー画素14、オプティカルブラック画素(OB画素)15を含む。
【0030】
第1領域10aは、APDを含む光電変換素子10を有する有効画素13が平面視で二次元アレイ状に配列されて構成される。有効画素13は、光子の検出に応じた光子検出信号を出力する画素であり、典型的には、画像を形成するための画素である。第1領域10aに含まれる画素の行数及び列数は、特に限定されるものではない。
【0031】
第2領域10bは平面視で二次元アレイ状に配された複数のダミー画素14によって構成される。
図1に示す平面構成では、画素領域12のうち、第1領域10a及び第3領域10c以外の範囲にダミー画素14が配され、第2領域10bを形成する。また、画素領域12の最外周にはダミー画素14が配されるため、第2領域10bの外周部とはすなわち画素領域12の端部である。ダミー画素14は、APDを含む光電変換素子であるが、ダミー画素14から外部信号POUTへ光子検出信号の出力は行われない。
【0032】
第3領域10cは平面視で二次元アレイ状に配された複数のOB画素15によって構成される。第3領域10cに含まれるOB画素15の行数及び列数は、特に限定されるものではない。第3領域10cの外周部の少なくとも一部は第2領域10bに接している。OB画素15は、外光に拠らない信号を出力するための遮光された画素である。第3領域10cは1つの画素領域12内に複数あってもよい。
図4に示す画素領域12では、第1領域10aに対して垂直な方向と、第1領域10aに対して水平な方向の2か所に島状に独立した第3領域10cが設けられている。
【0033】
図5に示す光電変換装置の断面の範囲A-Fを用いて光電変換素子の構成について説明する。
図5に示す断面のAからFまでの符号は、
図1のAからFまでの符号に対応している。
【0034】
図5に示す光電変換装置は、センサ基板11と、回路基板21の2つの基板が積層され、且つ電気的に接続された積層型の光電変換装置である。センサ基板11は、後述する光電変換素子102を有する第1半導体層302と、第1配線構造303と、を有する。回路基板21は、後述する信号処理部103等の回路を有する第2半導体層402と、第2配線構造403と、を有する。光電変換装置100は、第2半導体層402、第2配線構造403、第1配線構造303、第1半導体層302の順に積層して構成される。
【0035】
図5の範囲A-Bは、光電変換装置の光電変換素子102の1画素に対応する。なお、範囲A-Bは後述する画素分離部324の一つから、隣接する画素の画素分離部324までの範囲である。あるいは、後述するマイクロレンズ1つによって覆われた画素1つの範囲であるともいえる。
【0036】
光電変換素子102の構造と機能について説明する。光電変換素子102はN型の第1半導体領域311、第4半導体領域314、第6半導体領域316、第7半導体領域317を有する。光電変換素子102は更にP型の第2半導体領域312、第3半導体領域313、第5半導体領域315を含む。
【0037】
本実施形態では、
図5に示す断面において、光入射面に対向する面の近傍にN型の第1半導体領域311が形成され、その周辺にN型の第7半導体領域317が形成される。第1半導体領域および第2半導体領域に平面視で重なる位置にP型の第2半導体領域312が形成される。第2半導体領域312に平面視で重なる位置には更にN型の第4半導体領域314が配置され、その周辺にN型の第6半導体領域316が形成される。
【0038】
第1半導体領域311は、第4半導体領域314及び第7半導体領域317よりもN型の不純物濃度が高い。P型の第2半導体領域312とN型の第1半導体領域311との間にはPN接合が形成されるが、第2半導体領域312の不純物濃度を第1半導体領域311の不純物濃度よりも低くすることで、第2半導体領域312のすべての領域が空乏層領域となる。さらに、この空乏層領域が第1半導体領域311の一部の領域まで延在し、延在した空乏層領域に強電界が誘起される。この強電界により、第1半導体領域311の一部の領域まで延びた空乏層領域においてアバランシェ増倍が生じ、増幅された電荷に基づく電流が信号電荷として出力される。光電変換装置102に入射した光が光電変換され、この空乏層領域(アバランシェ増倍領域)でアバランシェ増倍が起こると、生成された第1導電型の電荷は第1半導体領域311に収集される。
【0039】
半導体層の光入射面側の表面にはトレンチによる凹凸構造325が形成される。凹凸構造325はP型の第3半導体領域313によって囲まれ、光電変換素子102に入射した光を散乱させる。入射光は光電変換素子内を斜めに進むため、半導体層の厚み以上の光路長を確保することができ、凹凸構造325を有さない場合と比べて、より長波長の光を光電変換することが可能である。また、凹凸構造325によって、基板内での入射光の反射が防止されるため、入射光の光電変換効率を向上させる効果が得られる。
【0040】
第4半導体領域314と凹凸構造325とは平面視において重複するように形成される。第4半導体領域314と凹凸構造325とが平面視で重なる面積は、第4半導体領域314のうち凹凸構造325と重ならない部分の面積よりも大きい。第1半導体領域311と第4半導体領域314との間に形成されるアバランシェ増倍領域から遠い位置で発生した電荷は、前記アバランシェ増倍領域から近い位置で発生した電荷と比較してアバランシェ増倍領域に到達するまでの移動時間が長くなる。そのため、タイミングジッターが増加する可能性がある。第4半導体領域314と凹凸構造325とを平面視で重なる位置に配することで、フォトダイオード深部の電界を高めることができ、アバランシェ増倍領域から遠い位置で発生した電荷の収集時間を短縮できるため、タイミングジッターの低減が可能である。
【0041】
また、第3半導体領域313が凹凸構造を3次元的に覆うことで、凹凸構造の界面部における熱励起電荷の発生が抑制できる。これにより、光電変換素子のDCR(Dark Count Rate)が抑制される。
【0042】
画素と画素との間はトレンチ構造の画素分離部324によって分離され、その周辺に形成されたP型の第5半導体領域315が、隣り合う光電変換素子同士をポテンシャル障壁によって分離する。光電変換素子間は第5半導体領域315のポテンシャルによっても分離されているため、画素分離部として画素分離部324のようなトレンチ構造は必須ではない。また、画素分離部324を設ける際もその深さや位置は
図5の構成に限定されない。画素分離部324は半導体層を貫通するDTI(deep trench isolation)であってもよいし、半導体層を貫通しないDTIでもよい。DTI内に金属を埋め込み、遮光性能の向上を図ってもよい。画素分離部324が平面視で光電変換素子の全周囲を囲うように構成してもよいし、例えば光電変換素子の対辺部のみに構成してもよい。
【0043】
画素分離部から、隣接する画素あるいは最近接位置に設けられた画素の画素分離部までの距離を1つの光電変換素子102の大きさとみなすこともできる。1つの光電変換素子102の大きさをLとしたとき、光入射面からアバランシェ増倍領域までの距離dは、L√2/4<d<L×√2を満たす。光電変換素子の大きさと深さがこの関係式を満たす場合、第1の半導体領域311近傍における深さ方向の電界の強さと平面方向の電界の強さが同程度になる。電荷収集にかかる時間のばらつきを抑えられるため、タイミングジッターの発生を低減できる。
【0044】
半導体層の光入射面側には、さらにピニング膜321、平坦化膜322、マイクロレンズ323が形成される。光入射面側にはさらに不図示のフィルタ層などが配置されていてもよい。フィルタ層には、カラーフィルタ、赤外光カットフィルタ、モノクロフィルタ等種々の光学フィルタを用いることができる。カラーフィルタには、RGBカラーフィルタ、RGBWカラーフィルタ等を用いることができる。
【0045】
範囲B-Eに配された光電変換素子に関しても、基本的な構成は同一である。なお、第2領域10b及び第3領域10cに対応する範囲A-C、範囲D-Fでは光入射面側に遮光部326が設けられている。
【0046】
図4に示す画素領域12の平面図と、
図5に示す画素領域12の断面図との対応について説明する。
【0047】
図4及び
図5の断面における範囲A-Bは第3領域10cに対応している。半導体層の光入射面側に遮光部326が形成され、遮光されている。
【0048】
図4及び
図5の断面における範囲B-Cは第2領域10bに対応している。OB画素と同じく半導体層の光入射面側に遮光部326が形成され、遮光されているが、第2領域10bに配されたダミー画素14の遮光は必須ではない。また、第2領域10bに配されたダミー画素14のそれぞれは光検出に基づく信号の出力が行われない構成である。第3領域10cとの境界にあたる第2領域10b端部から、第1領域10aとの境界にあたる第2領域10b端部までの最短距離を601とする。
【0049】
図4及び
図5の断面における範囲C―Dが第1領域10aに対応している。
【0050】
図4及び
図5の断面における範囲D-Eが第2領域10bに対応している。画素領域12の最外周にダミー画素14を配することで、画素領域の形状を安定させることができる。第1領域10aとの境界にあたる第2領域10b端部から、画素領域12の外周端である第2領域10b端部までの最短距離を602とする。
【0051】
図4及び
図5の断面における範囲E-Fはセンサ基板11上の非画素領域である。
【0052】
第1領域10aに入射する光のうち、斜め入射する光が第3領域10cへ漏れ込むことがある。第3領域10cは外光によらない信号を出力するための遮光された画素であるため、光が漏れこむことによって正しい信号を得られなくなってしまう。また、第1領域10aにおけるアバランシェ増倍に伴いアバランシェ発光が発生する場合がある。アバランシェ発光とは、アバランシェ増倍によって発生した多量の電子ないしホールが、極性の異なる電荷と再結合することでフォトンが生じる現象である。アバランシェ発光によって生じたフォトンが隣り合う画素に漏れこむことで偽信号が生じ、画質の低下につながる。
【0053】
そこで本実施形態では、有効画素が配された第3領域10aとOB画素が配された第3領域10cとの間にダミー画素14が配された第3領域10bを設け、第3領域10aと第3領域10cとの間を十分に離間させる。これにより、OB画素への光の侵入やフォトンの漏れこみを低減し、画質の低下を防ぐことができる。
【0054】
また、第1領域10aと第3領域10cとの間や画素領域12の外周部にダミー画素14を配することで、画素領域12の画素配列を安定させることができる。
【0055】
画素領域12の端部に沿って配されるダミー画素14は少なくとも数画素あればよいが、第1領域10aと第3領域10cとの間に配されるダミー画素14の数は第1領域と画素領域12端部の間に配されるダミー画素の数よりも多い。第1領域10aと第3領域10cとの間には、画素領域12端部に配されるダミー画素14の十倍以上のダミー画素14が配されていてもよい。具体的には第1領域10aと第3領域10cとの間に20画素以上の画素を配することが好ましいが、ダミー画素14の数はこれに限られない。そのため、第1領域10aの外周部と第3領域10cの外周部との間の最短距離601は、第1領域10aの外周部と第2領域10bの外周部との間の最短距離602よりも長い。言い換えれば、最短距離601を定めたとき、平面視で該最短距離上に配されている画素の数は、平面視で最短距離602上に配されている画素の数よりも多い。本実施形態では、第1領域10aの外周部と第2領域10bの外周部の最短距離602に対して、第1領域10aの外周部と第3領域10cの外周部の間の最短距離601は十倍以上離れている。画素領域12内に複数の第3領域10cが構成される場合においても、第1領域10aと各第3領域10cについてこの関係は成り立つ。
【0056】
別の言い方をすれば、第2領域10bは画素領域12の端部に接する第1の部分と、第2の部分とを有する。画素領域12の端部から、例えば縦方向に第2領域10bの第1の部分と、第1領域10aと、第2領域10bの第2の部分と、第3領域10cとが並ぶ。このとき、第2領域10bの第2の部分の縦方向の幅は、第2領域10bの第1の部分の縦方向の幅よりも広い。さらに、第2領域10bが画素領域12の端部に接する第3の部分を有する場合、例えば第2領域10bの第1の部分と第2の部分とが並ぶ縦方向に交差する横方向に第1領域10aと第2領域10bの第3の部分とが並ぶ。このとき、第2領域10bの第2の部分の縦方向の幅は、第2領域10bの第3の部分の横方向の幅よりも広い。
【0057】
図1において第1領域10a、第2領域10b、第3領域10cのそれぞれは矩形で表されているが、各領域の形状はこれに限定されず、例えば円形や多角形に配してもよい。
【0058】
図6は、有効画素13の等価回路を含むブロック図の一例である。
【0059】
APD201は、光電変換により入射光に応じた電荷対を生成する。APD201のアノードには、電圧VL(第1電圧)が供給される。また、APD201のカソードには、アノードに供給される電圧VLよりも高い電圧VH(第2電圧)が供給される。アノードとカソードには、APD201がアバランシェ増倍動作をするような逆バイアス電圧が供給される。このような電圧を供給した状態とすることで、入射光によって生じた電荷がアバランシェ増倍を起こし、アバランシェ電流が発生する。
【0060】
尚、逆バイアスの電圧が供給される場合において、アノードおよびカソードの電位差が降伏電圧より大きい電位差で動作させるガイガーモードと、アノードおよびカソードの電位差が降伏電圧近傍、もしくはそれ以下の電圧差で動作させるリニアモードがある。
【0061】
ガイガーモードで動作させるAPDをSPADと呼ぶ。例えば、電圧VL(第1電圧)は、-30V、電圧VH(第2電圧)は、1Vである。APD201は、リニアモードで動作させてもよいし、ガイガーモードで動作させてもよい。SPADの場合はリニアモードのAPDに比べて電位差が大きくなり耐圧の効果が顕著となるため、SPADであることが好ましい。
【0062】
クエンチ素子202は、駆動電圧である電圧VHを供給する電源とAPD201に接続される。クエンチ素子202は、アバランシェ増倍による信号増倍時に負荷回路(クエンチ回路)として機能し、APD201に供給する電圧を抑制して、アバランシェ増倍を抑制する働きを持つ(クエンチ動作)。また、クエンチ素子202は、クエンチ動作で電圧降下した分の電流を流すことにより、APD201に供給する電圧を電圧VHへと戻す働きを持つ(リチャージ動作)。
【0063】
信号処理部103は、波形整形部210、カウンタ回路211、選択回路212を有する。本明細書において、信号処理部103は、波形整形部210、カウンタ回路211、選択回路212のいずれかを有していればよい。
【0064】
波形整形部210は、光子検出時に得られるAPD201のカソードの電位変化を整形して、パルス信号を出力する。波形整形部210としては、例えば、インバータ回路が用いられる。
図7では、波形整形部210としてインバータを一つ用いた例を示したが、複数のインバータを直列接続した回路を用いてもよいし、波形整形効果があるその他の回路を用いてもよい。
【0065】
カウンタ回路211は、波形整形部210から出力されたパルス信号をカウントし、カウント値を保持する。また、駆動線213を介して制御パルスpRESが供給されたとき、カウンタ回路211に保持された信号がリセットされる。
【0066】
選択回路212には、
図6の垂直走査回路部110から、
図7の駆動線214(
図6では不図示)を介して制御パルスpSELが供給され、カウンタ回路211と信号線113との電気的な接続、非接続を切り替える。選択回路212には、例えば、信号を出力するためのバッファ回路などを含む。
【0067】
クエンチ素子202とAPD201との間や、光電変換素子102と信号処理部103との間にトランジスタ等のスイッチを配して、電気的な接続を切り替えてもよい。同様に、光電変換素子102に供給される電圧VHまたは電圧VLの供給をトランジスタ等のスイッチを用いて電気的に切り替えてもよい。
【0068】
本実施形態では、カウンタ回路211を用いる構成を示した。しかし、カウンタ回路211の代わりに、時間・デジタル変換回路(Time to Digital Converter:以下、TDC)、メモリを用いて、パルス検出タイミングを取得する光電変換装置100としてもよい。このとき、波形整形部210から出力されたパルス信号の発生タイミングは、TDCによってデジタル信号に変換される。TDCには、パルス信号のタイミングの測定に、
図1の垂直走査回路部110から駆動線を介して、制御パルスpREF(参照信号)が供給される。TDCは、制御パルスpREFを基準として、波形整形部210を介して各画素から出力された信号の入力タイミングを相対的な時間としたときの信号をデジタル信号として取得する。
【0069】
図7は、APD201の動作と出力信号との関係を模式的に示した図である。
【0070】
図7(a)は、
図7のAPD201、クエンチ素子202、波形整形部210を抜粋した図である。ここで、波形整形部210の入力側をnodeA、出力側をnodeBとする。
図7(b)は、
図7(a)のnodeAの波形変化を、
図7(c)は、
図7(a)のnodeBの波形変化をそれぞれ示す。
【0071】
時刻t0から時刻t1の間において、
図7(a)のAPD201には、VH-VLの電位差が印加されている。時刻t1において光子がAPD201に入射すると、APD201でアバランシェ増倍が生じ、クエンチ素子202にアバランシェ増倍電流が流れ、nodeAの電圧は降下する。電圧降下量がさらに大きくなり、APD201に印加される電位差が小さくなると、時刻t2のようにAPD201のアバランシェ増倍が停止し、nodeAの電圧レベルはある一定値以上降下しなくなる。その後、時刻t2から時刻t3の間において、nodeAには電圧VLから電圧降下分を補う電流が流れ、時刻t3においてnodeAは元の電位レベルに静定する。このとき、nodeAにおいて出力波形がある閾値を越えた部分は、波形整形部210で波形整形され、nodeBで信号として出力される。
【0072】
図8(a)~(c)は本実施形態による光電変換装置の回路構成イメージを示す図である。
図8(a)は有効画素13あるいはOB画素15と信号処理部103、信号線113の接続関係を示す。
図8(b)、(c)はダミー画素14と信号処理部103、信号線113の接続関係の一例を示す。有効画素13は光子検出信号を信号線113に出力する画素である。すなわち、光検出の目的で使用される画素である。また、ダミー画素14は、光子検出信号を信号線113に出力しない画素である。すなわち、光検出以外の目的で使用される画素である。
【0073】
図8(a)及び
図9を用いて有効画素13の動作について説明する。
【0074】
有効画素13は、APD201、リチャージ回路301、処理回路302で構成される。クロック信号pCLKは、Lowになることでリチャージ回路301を駆動して、APD201をガイガーモードでアバランシェ増倍可能なバイアス電圧にリチャージすることができる。リチャージ回路301はAPD201と電源との間の抵抗値を切り替えうる回路であればよく、例えばP型のMOSトランジスタなどである。また、アバランシェ増倍可能なバイアス電圧にリチャージされた後に、クロック信号pCLKがHighとなる場合、カソード端子と電源電圧VHは切り離されて、カソード端子はフローティング状態となる。APD201に光子が入射して発生した光電荷によってアバランシェ増倍が起こると、カソード電圧VCが低下しアノード電圧とカソード電圧との差がAPD201のブレイクダウン電圧以下に下がる。カソード電圧VCの変化が処理回路302で検出されることで、光子が信号として検出される。有効画素13は、露光期間内に光子検出した結果を処理回路302から信号線113に出力することで、画素の光子検出結果を読み出すことができる。
【0075】
図9は露光期間内の有効画素13の駆動例を示すタイミング図である。
図9を用いてクロック信号pCLKの制御によるカソード電圧VCの変化、および基本的な光子カウント動作に関して説明する。また、露光期間内に周期的にクロック信号pCLKをLowにすることで、露光期間内の光子検出数を制御するクロックリチャージ駆動に関しても説明する。
【0076】
時刻T1において、クロック信号pCLKがLowになると、カソード電圧VCは電位V1から電位VHにリチャージされる。このときAPD201に印加される電圧は電位VH-電位VLである。APD201のブレイクダウン電圧を電位V1-電位VLとすると、電位VH-電位V1の電位差だけブレイクダウン電圧に対して過剰に電圧がかかった状態であり、ガイガーモードでアバランシェ増倍可能な状態となる。
【0077】
時刻T2でAPD201に光子が入射すると、APD201においてアバランシェ増倍が起こり、カソード電圧VCは電位VHから電位V1まで低下する。このときのAPD201のバイアス電圧は電位V1-電位VLであり、ブレイクダウン電圧以下の電圧に下がる。処理回路302はカソード電圧VCが閾値電圧Vth以下に変化したことを検知して、カウンタのカウント値をnからn+1にカウントアップする。
【0078】
続いて、時刻T3で光子が入射すると、APD201にはブレイクダウン電圧未満のバイアス電圧が印加されているため、ガイガーモードによるアバランシェ増倍は発生しない。ただし、電位VLと電位V1の電位差はブレイクダウン電圧未満の逆バイアス電圧となっており、光電荷をきっかけとした逆方向電流は発生する為、電位V1より低い電位V2までカソード電圧VCは低下する。この逆方向電流によるブレイクダウン電圧以下のカソード電圧VCの電圧降下は、カウンタのカウントアップには寄与せず、後述するように非アクティブ画素320においてケアすべき電圧降下である。
【0079】
時刻T4において、クロック信号pCLKがLowになるため、再びカソード電圧VCは電位VHまでリチャージされる。時刻T5でクロック信号pCLKがLowとなるが、カソード電圧VCは電位VHまでリチャージされた状態であるため変化しない。
【0080】
時刻T6で光子が入射すると、アバランシェ増倍が発生してカソード電圧VCが低下し、カウンタのカウント値はn+2にカウントアップされる。このように、周期的なリチャージ動作をクロックリチャージ駆動と呼び、リチャージの回数を上限として露光期間内に光子検出する回数を制御している。
【0081】
他方、ダミー画素14が有効画素13と異なるところは、
図8(b)、(c)に示すようにAPD201と処理回路302、信号線113が接続されていない部分である。その為、クロック信号pCLKによりAPD201がアバランシェ増倍可能な状態において、光子が入射してカソード電圧VCの変化があったとしても、その光子検出の結果を信号線113に出力することはできない。
【0082】
図8(b)、(c)に示すように、ダミー画素14のAPD201は信号線113に接続されておらず、光子検出の為のリチャージを行う必要も無い。しかし、カソード端子を長期間フローティング状態に留めておいた場合、
図9の時刻T3のような電圧降下現象が複数回発生して、カソード電圧VCが降下し続ける可能性がある。そこで、本実施形態では、ダミー画素14でもリチャージ動作を行い、カソード電圧VCの低下を抑制する。仮にダミー画素14の入力をHighの状態にし続けると、APD201のカソード端子はフローティング状態が維持される。
図9の説明でも述べたように、一度アバランシェ増倍が発生したあとにカソード端子がフローティング状態のままにしておくと、ガイガーモードでのアバランシェ増倍は発生しないものの、光電荷など種電荷に起因した逆方向電流は流れうる。
図9の説明の例では電位V1から電位V2へカソード端子の電位が低下したが、仮にその後もリチャージしない状態を続けると、さらにその後も種電荷発生のたびにカソード端子は下がり続ける。やがて、処理回路302などカソード電圧VCの電位が供給される先の回路素子の耐圧を超えた電位がかかることで、回路素子にダメージを与えてしまう懸念がある。
【0083】
このように、本発明の第一実施形態においては、有効画素13が配された第3領域10aと、OB画素15が配された第3領域10cとの間をダミー画素14が配された第3領域10bによって十分に離間させる。これにより、OB画素への光の侵入及びフォトンの漏れこみを低減し、画質の低下を防ぐことができる。さらに、ダミー画素14も周期的にリチャージを行うことで、ダミー画素14におけるAPDの端子の電位変化を防ぐ効果がある。
【0084】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る光電変換装置について、
図10及び
図11を用いて説明する。
図1から
図9までと共通する部分には共通の番号を付し、主に第1の実施形態と異なる点を説明する。本実施形態に係る光電変換装置は、ダミー画素14の駆動が第1実施形態と異なっている。
【0085】
図10(a)は有効画素13の構成であり、
図8(a)と共通の構成である。
【0086】
図10(b)に本実施形態に係る光電変換装置のダミー画素14の回路構成を示す。第1の実施形態では、APDのリチャージを行うタイミングは有効画素13とダミー画素14で共通の制御信号pCLKによって制御されていた。第2の実施形態では、ダミー画素14は有効画素13のリチャージのタイミングに拠らず任意のタイミングでリチャージされる。例えば、ダミー画素14は有効画素13の制御信号pCLKとは異なる位相の第2の制御信号pCLK2によって制御される。
【0087】
図11に示すように、有効画素13はクロック信号pCLKにより、露光期間Texの期間中にパルス幅τで周期的にリチャージしており、リチャージの周期はTp1である。ダミー画素14のクロック信号pCLK2のリチャージの周期はTp2であり、露光期間Texの期間内外を区別せず一定のパルス幅τ´でリチャージしている。
【0088】
ここで、露光期間Tex>パルス幅τ´である。パルス幅τ´を不必要に長くしないことで、有効画素13に比べてダミー画素14のAPD201に電流が流れる頻度を減らして、ダミー画素14の消費電力を減らすことができる。
【0089】
また、パルス幅τとパルス幅τ´とは、等幅でも、異なるパルス幅でもよい。有効画素13ではリチャージ時間を短縮するためにパルス幅τがなるべく狭いことが望ましいが、ダミー画素14においてはパルス幅τ´はパルス幅τよりも広くてもよい。一方、有効画素13のパルス幅τは、カソード電圧VCが所定の電圧にリチャージされるのに十分な期間に対応したパルス幅τを要するが、ダミー画素14はリチャージ後のカソード電圧VCのばらつきを考慮する必要がない。そのため、リチャージの効果が得られる範囲であればτ´を短くすることができ、消費電力を低減することができる。パルス幅τとパルス幅τ´とを等幅にすることで、クロック信号pCLK、クロック信号pCLK2それぞれのパルスの生成や伝送に用いる配線の一部を共通化することができる。
【0090】
また、有効画素13のリチャージ周期Tp1≦ダミー画素14のリチャージ周期Tp2である。この関係によりカソード電圧VCの電圧降下によって回路素子に与えるダメージを防ぎながら、ダミー画素14のリチャージ信号の単位時間当たりのパルス数を減らし、ダミー画素14の消費電力を抑制することができる。
【0091】
(第3の実施形態)
画素領域内の各領域の配置は
図1に示すものに限られない。
【0092】
図12に示すのは、画素領域12の平面レイアウトの一例である。
図12に示す配置では、第2領域10bはさらに第2領域10b‐1、第2領域10b‐2、第2領域10b‐3の3種類に分けられる。第2領域10b‐1に配されるのは、第1の実施形態及び第2の実施形態において説明した信号出力ができないように構成されたダミー画素14である。第2領域10b‐2に配されるのは、第1の実施形態及び第2の実施形態とは異なる構成のダミー画素16である。すなわち、信号出力がされないように制御されたダミー画素である。第2領域10b‐3に配されるのは、回路の正常性の確認のために用いられるテスト画素17である。つまり、第2領域10bに配される画素は、光検出以外の目的のために使用される画素であればよい。
【0093】
ダミー画素16は、信号線113へ電気的に接続されていても、光子検出に基づく信号の出力を行なわないよう制御できる構成であればよい。このようなダミー画素16は、制御状況によっては光子検出に基づく信号を出力することが可能であり、例えば有効画素13からOB画素15への光の漏れこみ方やアバランシェ発光の影響を確認するために使用可能である。
【0094】
図13(a)~(c)にテスト画素17の構成を模式的に示す。テスト画素17は外部信号POUTに接続されている点でダミー画素14と異なる。テスト画素17はダミー画素14の処理回路302に代わり、テスト用処理回路303を含む。テスト用処理回路303はAPD201のカソード電圧VCの出力を受けることがあっても、信号線113にカソード電圧VCの変化に関する情報、つまり光子検出情報を出力することは無い。すなわち、光検出以外の目的で使用される画素である。
【0095】
テスト用処理回路303はテスト回路304を含み、回路の正常性確認の為の信号を出力する。テスト用処理回路303にはテスト信号TESTが入力される。言い換えれば、テスト用処理回路303はアバランシェフォトダイオードの出力ノードとは異なる入力ノードからの入力に基づく信号を出力する回路である。ここでTESTは時間変化する信号でも良いし、固定値でも良い。また、テスト画素17の内外どちらで生成されていても良い。例えばテスト回路304に固定値を出力させることで、
図13(a)の出力経路であるテスト用処理回路303から外部信号POUTまでの正常性を確認することができる。
【0096】
また、
図13(b)、(c)に示すように、テスト用処理回路303に制御信号pCLKを入力し、テスト回路304で制御信号pCLKのパルス数をカウントして、制御信号pCLKの信号の正常性を確認する機能を持たせても良い。このとき、テスト画素17のリチャージ回路301に入力される信号は
図13(b)に示すようにpCLKでもよく、
図13(c)に示すようにpCLK以外の信号でもよい。
図13(c)ではpCLK以外の固定値の例として接地電圧を示しているが、例えばpCLKとは位相の異なるクロック信号であってもよい。
【0097】
(第4の実施形態)
本実施形態に係る光電変換装置は、第1の実施形態に係る光電変換装置に対して、ダミー画素14の構成が異なる。第1の実施形態に係る光電変換装置のダミー画素の構成例は
図8(b)、(c)に示す通りである。本実施形態におけるダミー画素13の構成を
図14(a)~(c)に示す。
【0098】
図14(a)、(b)に示すダミー画素14はいずれも、一つのリチャージ回路301に対して、複数のAPD201を並列に接続する特徴を持つ。
図14(a)、(b)では例として3つのAPD201を接続しているが、並列に接続されるAPD201の個数はこれに限られない。また、
図14(a)に示すダミー画素14はAPD201と波形生成部210とが接続されているが、
図14(b)に示すように、APD201と波形生成部210とを接続しない構成でもよい。ダミー画素14とはAPD201で生成される電荷に基づく信号を信号線113に出力しない画素である。すなわち、光検出以外の目的で使用される画素である。
【0099】
ダミー画素14のリチャージ回路301のリチャージのタイミングは、第1の実施形態で示したように有効画素13とダミー画素14で共通の制御信号pCLKで制御されてもよい。第2の実施形態で示したように、ダミー画素14のリチャージ回路301は、有効画素13のリチャージ回路301のリチャージのタイミングに拠らず任意のタイミングでリチャージされる形態としてもよい。
【0100】
本実施形態では一つのリチャージ回路301と複数のダミー画素14を接続することにより、画素領域全体におけるリチャージ回路301の総数を削減することができ、消費電力の低減につながる。
【0101】
また、受光量が少ないダミー画素14では必要なリチャージの頻度が少なくなる。例えば、第1領域と第2領域の境界においては、第2領域が遮光されていても第1領域側から第2領域へ光が漏れこみやすい。そのため、漏れこんだ光によってダミー画素14で光電変換が行われる頻度も比較的高く、リチャージ回路301のリチャージが必要になる頻度も高い。例えば
図5においてCまたはDに位置するダミー画素14は遮光領域と有効画素領域との境界に位置する。そのためこれらのダミー画素14において1つのリチャージ回路301に並列に接続されるAPD201の数は、2、3個程度が望ましい。反対に、遮光されていない第1領域から離れた位置に配されたダミー画素14ほど、受光量は減衰することから、一つのリチャージ回路301に対して並列に接続可能なAPD201の個数を境界付近のダミー画素14よりも増やしてもよい。例えば
図4のBに位置するダミー画素14の、一つのリチャージ回路301に対して並列に接続可能なAPD201の個数はCまたはDに位置するダミー画素14よりも多い。ダミー画素14の配置に応じて並列に接続されるAPD201の数を異ならせることで、画素領域全体におけるリチャージ回路301の個数をより削減することが可能となり、一層の消費電力減につながる。つまり、ダミー画素のうち第1領域と第2領域との境界からの距離が長い第1のダミー画素が有するアバランシェフォトダイオードの数は、第1領域と第2領域との境界からの距離が短い第2のダミー画素が有するアバランシェフォトダイオードの数よりも多い。
【0102】
カソード電圧VCの経時的な低下を抑制するためには、ダミー画素14でアバランシェ増倍が発生しなければよい。つまり、ダミー画素14に逆バイアス電圧が印加されなければよい。そのため、ダミー画素14にはリチャージ回路301を設けず、固定電圧が入力される形式とすることでさらなる消費電力減を実現することも可能である。例えば
図14(c)に示すようにAPD201のカソード端子とアノード端子の双方に電圧VLが供給されるように配線を設けてもよい。
【0103】
(第5の実施形態)
本実施形態による光電変換システムについて、
図15を用いて説明する。
図15は、本実施形態による光電変換システムの概略構成を示すブロック図である。
【0104】
上記第1~第3実施形態で述べた光電変換装置は、種々の光電変換システムに適用可能である。適用可能な光電変換システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、光電変換システムに含まれる。
図15には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0105】
図15に例示した光電変換システムは、光電変換装置の一例である撮像装置1004、被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ1002を備える。さらに、レンズ1002を通過する光量を可変にするための絞り1003、レンズ1002の保護のためのバリア1001を有する。レンズ1002及び絞り1003は、撮像装置1004に光を集光する光学系である。撮像装置1004は、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置であって、レンズ1002により結像された光学像を電気信号に変換する。
【0106】
光電変換システムは、また、撮像装置1004より出力される出力信号の処理を行うことで画像を生成する画像生成部である信号処理部1007を有する。信号処理部1007は、必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。信号処理部1007は、撮像装置1004が設けられた半導体基板に形成されていてもよいし、撮像装置1004とは別の半導体基板に形成されていてもよい。
【0107】
光電変換システムは、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部1010、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1013を有する。更に光電変換システムは、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1012、記録媒体1012に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1011を有する。なお、記録媒体1012は、光電変換システムに内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0108】
更に光電変換システムは、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1009、撮像装置1004と信号処理部1007に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1008を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光電変換システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された出力信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
【0109】
撮像装置1004は、撮像信号を信号処理部1007に出力する。信号処理部1007は、撮像装置1004から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部1007は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
【0110】
このように、本実施形態によれば、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)を適用した光電変換システムを実現することができる。
【0111】
(第6の実施形態)
本実施形態の光電変換システム及び移動体について、
図16を用いて説明する。
図16は、本実施形態の光電変換システム及び移動体の構成を示す図である。
【0112】
図16(a)は、車載カメラに関する光電変換システムの一例を示したものである。光電変換システム2300は、撮像装置2310を有する。撮像装置2310は、上記のいずれかの実施形態に記載の光電変換装置である。光電変換システム2300は撮像装置2310により取得された複数の画像データに対し画像処理を行う画像処理部2312と、光電変換システム2300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部2314を有する。また、光電変換システム2300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部2316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部2318と、を有する。ここで、視差取得部2314や距離取得部2316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部1318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0113】
光電変換システム2300は車両情報取得装置2320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、光電変換システム2300は、衝突判定部2318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御部である制御ECU2330が接続されている。また、光電変換システム2300は、衝突判定部2318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置2340とも接続されている。例えば、衝突判定部2318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU2330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置2340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザーに警告を行う。
【0114】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光電変換システム2300で撮像する。
図16(b)に、車両前方(撮像範囲2350)を撮像する場合の光電変換システムを示した。車両情報取得装置2320が、光電変換システム2300ないしは撮像装置2310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0115】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、光電変換システムは、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0116】
(第7の実施形態)
本実施形態の光電変換システムについて、
図17を用いて説明する。
図17は、本実施形態の光電変換システムである距離画像センサの構成例を示すブロック図である。
【0117】
図17に示すように、距離画像センサ401は、光学系407、光電変換装置408、画像処理回路404、モニタ405、およびメモリ406を備えて構成される。そして、距離画像センサ401は、光源装置409から被写体に向かって投光され、被写体の表面で反射された光(変調光やパルス光)を受光することにより、被写体までの距離に応じた距離画像を取得することができる。
【0118】
光学系407は、1枚または複数枚のレンズを有して構成され、被写体からの像光(入射光)を光電変換装置408に導き、光電変換装置408の受光面(センサ部)に結像させる。
【0119】
光電変換装置408としては、上述した各実施形態の光電変換装置が適用され、光電変換装置408から出力される受光信号から求められる距離を示す距離信号が画像処理回路404に供給される。
【0120】
画像処理回路404は、光電変換装置408から供給された距離信号に基づいて距離画像を構築する画像処理を行う。そして、その画像処理により得られた距離画像(画像データ)は、モニタ405に供給されて表示されたり、メモリ406に供給されて記憶(記録)されたりする。
【0121】
このように構成されている距離画像センサ401では、上述した光電変換装置を適用することで、画素の特性向上に伴って、例えば、より正確な距離画像を取得することができる。
【0122】
(第8の実施形態)
本実施形態の光電変換システムについて、
図18を用いて説明する。
図18は、本実施形態の光電変換システムである内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0123】
図18では、術者(医師)1131が、内視鏡手術システム1150を用いて、患者ベッド1133上の患者1132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム1150は、内視鏡1100と、術具1110と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート1134と、から構成される。
【0124】
内視鏡1100は、先端から所定の長さの領域が患者1132の体腔内に挿入される鏡筒1101と、鏡筒1101の基端に接続されるカメラヘッド1102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒1101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡1100を図示しているが、内視鏡1100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0125】
鏡筒1101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡1100には光源装置1203が接続されており、光源装置1203によって生成された光が、鏡筒1101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者1132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡1100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0126】
カメラヘッド1102の内部には光学系及び光電変換装置が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該光電変換装置に集光される。当該光電変換装置によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該光電変換装置としては、前述の各実施形態に記載の光電変換装置を用いることができる。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)1135に送信される。
【0127】
CCU1135は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡1100及び表示装置1136の動作を統括的に制御する。さらに、CCU1135は、カメラヘッド1102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0128】
表示装置1136は、CCU1135からの制御により、当該CCU1135によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0129】
光源装置1203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡1100に供給する。
【0130】
入力装置1137は、内視鏡手術システム1150に対する入力インターフェースである。ユーザーは、入力装置1137を介して、内視鏡手術システム1150に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。
【0131】
処置具制御装置1138は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具1112の駆動を制御する。
【0132】
内視鏡1100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置1203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置1203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド1102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0133】
また、光源装置1203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド1102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0134】
また、光源装置1203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用する。具体的には、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置1203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0135】
(第9の実施形態)
本実施形態の光電変換システムについて、
図19(a)、(b)を用いて説明する。
図19(a)は、本実施形態の光電変換システムである眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600には、光電変換装置1602を有する。光電変換装置1602は、上記の各実施形態に記載の光電変換装置である。また、レンズ1601の裏面側には、OLEDやLED等の発光装置を含む表示装置が設けられていてもよい。光電変換装置1602は1つでもよいし、複数でもよい。また、複数種類の光電変換装置を組み合わせて用いてもよい。光電変換装置1602の配置位置は
図19(a)に限定されない。
【0136】
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、光電変換装置1602と上記の表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、光電変換装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、光電変換装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
【0137】
図19(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、光電変換装置1602に相当する光電変換装置と、表示装置が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の光電変換装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、光電変換装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、光電変換装置および表示装置の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0138】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
【0139】
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
【0140】
本実施形態の表示装置は、受光素子を有する光電変換装置を有し、光電変換装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
【0141】
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第1の視界領域と、第1の視界領域以外の第2の視界領域とを決定される。第1の視界領域、第2の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第1の視界領域の表示解像度を第2の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第2の視界領域の解像度を第1の視界領域よりも低くしてよい。
【0142】
また、表示領域は、第1の表示領域、第1の表示領域とは異なる第2の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第1の表示領域および第2の表示領域から優先度が高い領域を決定されてよい。第1の視界領域、第2の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0143】
なお、第1の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、光電変換装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
【0144】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する光電変換装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0145】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0146】
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態に含まれる。
【0147】
また、上記第4の実施形態、第5の実施形態に示した光電変換システムは、光電変換装置を適用しうる光電変換システム例を示したものであって、本発明の光電変換装置を適用可能な光電変換システムは
図15乃至
図16に示した構成に限定されるものではない。第6の実施形態に示したToFシステム、第7の実施形態に示した内視鏡、第8の実施形態に示したスマートグラスについても同様である。
【0148】
上述した各実施形態の光電変換装置は、自動車内のセンサにも適用できる。例えば、運転者の顔の検知、表情の検知、視線の検知に使用するセンサに適用できる。このセンサの出力を用いて、運転者の注意力欠如、居眠り、失神などを検知することができる。また、運転者の人物識別を行うようにすることもできる。
【0149】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0150】
また、本開示は以下の構成を含む。
【0151】
(構成1) アノードとカソードとを含むアバランシェフォトダイオードをそれぞれが有する複数の画素を含む画素領域を有し、前記複数の画素は、光子の検出に応じた光子検出信号を出力する有効画素と、前記光子検出信号を出力しないダミー画素と、遮光部を有するオプティカルブラック画素を含み、前記画素領域は、前記有効画素を有する第1領域と、前記ダミー画素を有する第2領域と、前記オプティカルブラック画素を有する第3領域とを有し、前記第2領域は、前記画素領域の端部に接する第1の部分と、第2の部分とを有し、前記第1の部分と、前記第1領域と、前記第2の部分と、前記第3領域とが第1の方向にこの順で並んで配されており、前記第1の方向において、前記第2の部分の幅は、前記第1の部分の幅よりも広いことを特徴とする光電変換装置。
【0152】
(構成2) 前記第2領域は、前記画素領域の端部に接する第3の部分を有し、前記第1領域と、前記第3の部分とが前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って並び、前記第2の部分の前記第1の方向の幅は、前記第3の部分の前記第2の方向の幅よりも広いことを特徴とする構成1記載の光電変換装置。
【0153】
(構成3) 前記第2の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数が、前記第1の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数よりも多いことを特徴とする構成1又は構成2に記載の光電変換装置。
【0154】
(構成4) 前記有効画素は前記光子検出信号をカウントとするカウンタ回路に接続され、前記ダミー画素は前記カウンタ回路に接続されないことを特徴とする構成1から構成3までのいずれかに記載の光電変換装置。
【0155】
(構成5) 前記第2領域は、前記アノード及び前記カソードとは異なるノードが前記カウンタ回路の入力ノードと接続されたテスト画素を含むことを特徴とする構成4に記載の光電変換装置。
【0156】
(構成6) 前記複数の画素のそれぞれは隣り合う画素との間に画素分離部を有することを特徴とする構成1から構成5までのいずれかに記載の光電変換装置。
【0157】
(構成7) 前記有効画素が配された前記第1領域と、前記ダミー画素が配された前記第2領域との間を分離する前記画素分離部を有することを特徴とする構成6に記載の光電変換装置。
【0158】
(構成8) 前記有効画素が配された前記第3領域と、前記ダミー画素が配された前記第2領域との間を分離する前記画素分離部を有することを特徴とする構成6又は構成7に記載の光電変換装置。
【0159】
(構成9) 前記オプティカルブラック画素を有する第4領域を有し、前記第2領域は第4の部分を有し、前記第4領域と前記第4の部分とが前記第1の方向に交差する第3の方向に並び、前記第4の部分の前記第3の方向の幅は、前記第1の部分の前記第1の方向の幅よりも広いことを特徴とする構成1から構成8までのいずれかに記載の光電変換装置。
【0160】
(構成10) 前記第4の部分の前記第3の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数は、前記第1の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数よりも多いことを特徴とする構成9に記載の光電変換装置。
【0161】
(構成11) 前記第2の部分の前記第1の方向の幅は、前記第3の部分の前記第2の方向の幅の十倍よりも大きいことを特徴とする構成2に記載の光電変換装置。
【0162】
(構成12) 前記第2の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数が、前記第1の部分の前記第1の方向の幅に沿って配されたダミー画素の数の十倍よりも多いことを特徴とする構成1から構成11までのいずれかに記載の光電変換装置。
【0163】
(構成13) 前記アノードおよび前記カソードのうちの一方のノードと駆動電圧が印加される電源とに接続され、前記一方のノードと前記電源との間の抵抗値を切り替えるスイッチを有することを特徴とする構成1から構成12までのいずれかに記載の光電変換装置。
【0164】
(構成14) 前記ダミー画素のそれぞれは1つの前記スイッチに対して複数のアバランシェフォトダイオードを有することを特徴とする構成13に記載の光電変換装置。
【0165】
(構成15) 前記ダミー画素のうち、第1のダミー画素が有するアバランシェフォトダイオードの数は、第2のダミー画素が有するアバランシェフォトダイオードの数よりも多いことを特徴とする構成1から構成14までのいずれかに記載の光電変換装置。
【0166】
(構成16) 前記第1領域と前記第2領域との境界から前記第1のダミー画素までの距離は、前記境界から前記第2のダミー画素までの距離よりも長いことを特徴とする構成15に記載の光電変換装置。
【0167】
(構成17) 前記スイッチはトランジスタであることを特徴とする構成13から構成16までのいずれかに記載の光電変換装置。
【0168】
(構成18) 前記有効画素の前記アバランシェフォトダイオードは、第1の周期でリチャージされることを特徴とする構成1から構成17までのいずれかに記載の光電変換装置。
【0169】
(構成19) 前記ダミー画素の前記アバランシェフォトダイオードは、前記第1の周期と異なる第2の周期でリチャージされることを特徴とする構成18に記載の光電変換装置。
【0170】
(構成20) 前記第2の周期は前記第1の周期よりも長いことを特徴とする構成19に記載の光電変換装置。
【0171】
(構成21) 構成1から構成20までのいずれかに記載の光電変換装置と、前記光電変換装置から出力される信号を処理する信号処理部と、を有することを特徴とするシステム。
【0172】
(構成22) 移動体であって、構成1から構成20までのいずれかに記載の光電変換装置と、前記光電変換装置からの信号に基づく視差画像から、対象物までの距離情報を取得する情報取得手段と、前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段と、を有することを特徴とする移動体。
【符号の説明】
【0173】
100 光電変換装置
12 画素領域
10 第1領域
10b 第2領域
10c 第3領域