(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】画像処理装置及びその制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H04N1/00 J
H04N1/00 350
H04N1/00 127B
(21)【出願番号】P 2022202198
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2021121705の分割
【原出願日】2014-12-11
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】木暮 岳史
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-226204(JP,A)
【文献】特開2007-318485(JP,A)
【文献】特開2014-211857(JP,A)
【文献】特開2006-235186(JP,A)
【文献】特開2012-061669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの操作を受け付ける操作手段と、
原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、
前記読取手段により生成された画像データを送信する送信手段と、
前記読取手段に原稿を読み取らせると共に前記読取手段により生成された画像データを前記送信手段に送信させる読取送信処理の指示を、端末から受信する受信手段と、
前記受信手段により前記読取送信処理の指示が受信された場合に、前記操作手段の操作状態に基づいて、前記読取送信処理の受け付けの可否を判定し、その判定の結果、前記読取送信処理の受け付けを許可した場合は、選択されるとスキャン設定画面が表示される第1のボタン及び選択されるとキャンセルを示すレスポンスが前記端末に送信される第2のボタンを含む画面を表示し、前記第1のボタンが選択されることによって表示された前記スキャン設定画面で設定された項目に従って前記読取手段を制御し、前記読取手段によって生成された画像データを前記送信手段に送信させる制御手段と、を有
し、
前記制御手段は、トップ画面が前記操作手段に表示されている場合は、前記読取送信処理の受け付けを許可することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記読取送信処理の受け付けを許可しなかった場合は、前記読取送信処理を実行することなく、前記読取送信処理の受け付けを許可しなかった旨を示す情報を、前記読取送信処理の指示の送信元に対して送信することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記操作手段に対する操作が一定時間以上継続して無い場合は、前記読取送信処理の受け付けを許可することを特徴とする請求項1
又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
ユーザからの操作を受け付ける操作手段と、原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、前記読取手段により生成された画像データを送信する送信手段と、を備える画像処理装置の制御方法であって、
前記読取手段に原稿を読み取らせると共に前記読取手段により生成された画像データを前記送信手段に送信させる読取送信処理の指示を、端末から受信する受信工程と、
前記受信工程により前記読取送信処理の指示が受信された場合に、前記操作手段の操作状態に基づいて、前記読取送信処理の受け付けの可否を判定し、その判定の結果、前記読取送信処理の受け付けを許可した場合は、選択されるとスキャン設定画面が表示される第1のボタン及び選択されるとキャンセルを示すレスポンスが前記端末に送信される第2のボタンを含む画面を表示し、前記第1のボタンが選択されることによって表示された前記スキャン設定画面で設定された項目に従って前記読取手段を制御し、前記読取手段によって生成された画像データを前記送信手段に送信させる制御工程と、を有
し、
前記制御工程は、トップ画面が前記操作手段に表示されている場合は、前記読取送信処理の受け付けを許可することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等から受信した指示に従って、原稿画像を読み取って送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置としてのクライアントコンピュータで生成した画像データを、LAN(Local Area Network)を介してファックス装置に送信し、ファックス装置からファックス送信する機能が知られている。この機能を用いる場合、ファックス送信の宛先はクライアントコンピュータ側でユーザが指定することが可能である。
【0003】
一方、クライアントコンピュータ側で画像データを準備せず、ユーザが指定した宛先のみをファックス装置に通知し、ファックス装置側で原稿を読み取って生成した画像データを、指定された宛先にファックス送信する機能も知られている(特許文献1)。
【0004】
例えば、クライアントコンピュータで生成したカバーページと、ファックス装置で本文原稿を読み取って得られる画像データの両方を、ファックス送信したい場合が考えられる。このとき、クライアントコンピュータから送信された、ファックスの宛先情報とカバーページ情報とに基づきファックス装置でジョブを生成し、そのジョブの実行の際に、スキャンした本文原稿の読み取り画像を付加して送信することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザからの操作を受け付ける操作手段と、原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、前記読取手段により生成された画像データを送信する送信手段と、前記読取手段に原稿を読み取らせると共に前記読取手段により生成された画像データを前記送信手段に送信させる読取送信処理の指示を、端末から受信する受信手段と、前記受信手段により前記読取送信処理の指示が受信された場合に、前記操作手段の操作状態に基づいて、前記読取送信処理の受け付けの可否を判定し、その判定の結果、前記読取送信処理の受け付けを許可した場合は、選択されるとスキャン設定画面が表示される第1のボタン及び選択されるとキャンセルを示すレスポンスが前記端末に送信される第2のボタンを含む画面を表示し、前記第1のボタンが選択されることによって表示された前記スキャン設定画面で設定された項目に従って前記読取手段を制御し、前記読取手段によって生成された画像データを前記送信手段に送信させる制御手段と、を有し、前記制御手段は、トップ画面が前記操作手段に表示されている場合は、前記読取送信処理の受け付けを許可することを特徴とする画像処理装置を提供したい。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザからの操作を受け付ける操作手段と、原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、前記読取手段により生成された画像データを送信する送信手段と、前記読取手段に原稿を読み取らせると共に前記読取手段により生成された画像データを前記送信手段に送信させる読取送信処理の指示を、端末から受信する受信手段と、前記受信手段により前記読取送信処理の指示が受信された場合に、前記操作手段の操作状態に基づいて、前記読取送信処理の受け付けの可否を判定し、その判定の結果、前記読取送信処理の受け付けを許可した場合は、選択されるとスキャン設定画面が表示される第1のボタン及び選択されるとキャンセルを示すレスポンスが前記端末に送信される第2のボタンを含む画面を表示し、前記第1のボタンが選択されることによって表示された前記スキャン設定画面で設定された項目に従って前記読取手段を制御し、前記読取手段によって生成された画像データを前記送信手段に送信させる制御手段と、を有し、前記制御手段は、トップ画面が前記操作手段に表示されている場合は、前記読取送信処理の受け付けを許可することを特徴とする画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る画像処理装置は、ユーザからの操作を受け付ける操作手段と、原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、前記読取手段により生成された画像データを送信する送信手段と、前記読取手段に原稿を読み取らせると共に前記読取手段により生成された画像データを前記送信手段に送信させる読取送信処理の指示を、端末から受信する受信手段と、前記受信手段により前記読取送信処理の指示が受信された場合に、前記操作手段の操作状態に基づいて、前記読取送信処理の受け付けの可否を判定し、その判定の結果、前記読取送信処理の受け付けを許可した場合は、選択されるとスキャン設定画面が表示される第1のボタン及び選択されるとキャンセルを示すレスポンスが前記端末に送信される第2のボタンを含む画面を表示し、前記第1のボタンが選択されることによって表示された前記スキャン設定画面で設定された項目に従って前記読取手段を制御し、前記読取手段によって生成された画像データを前記送信手段に送信させる制御手段と、を有し、前記制御手段は、トップ画面が前記操作手段に表示されている場合は、前記読取送信処理の受け付けを許可することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザ認証の利用の有無にかかわらず、原稿画像の読取送信処理に関し、処理を指示したユーザとは別のユーザによる誤操作を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】画像形成システムを含むネットワークの全体構成を示す図である。
【
図4】タブレット型端末のハードウェア構成図である。
【
図5】第1の送信処理の指示を送信しようとする際に表示されるファックス送信アプリケーションの操作画面の一例を示す図である。
【
図6】第1の送信処理を指示する場合の処理のシーケンスを示す図である。
【
図8】データ管理アプリケーションの操作画面の一例を示す図である。
【
図9】第2の送信処理の指示を送信しようとする際に表示されるファックス送信アプリケーションの操作画面の一例を示す図である。
【
図10】第2の送信処理を指示する場合の処理のシーケンスを示す図である。
【
図11】スキャンコマンド受け付け判定処理を示すフローチャートである。
【
図12】操作部に表示される画面の遷移を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成システムを含むネットワークの全体構成を示す図である。本実施の形態では、画像形成装置としてMFP(Multi-Function-Peripheral)103を例示する。情報処理装置の一例であるタブレット型端末101は、無線ネットワークルータ(無線アクセスポイント)102を介してMFP103と通信する端末装置である。MFP103は、画像処理装置の一例であるが、MFP103単体を画像処理システムと称しても良いし、MFP103とタブレット型端末101を含む全体を画像処理システムと称しても良い。タブレット型端末101と無線ネットワークルータ102とは無線LAN(Local Area Network)で接続されている。MFP103と無線ネットワークルータ102とは有線LANで接続されている。また、MFP103は、公衆回線網(PSTN)にも接続されている。
【0014】
なお、タブレット型端末101とMFP103との通信経路は上述したものに限らない。例えば、タブレット型端末101と無線ネットワークルータ102とが有線LANで接続されていても良い。また、MFP103と無線ネットワークルータ102とが無線LANで接続されていても良い。更に、タブレット型端末101とMFP103とが同一ネットワークに接続されていても良い。なお、タブレット型端末101、MFP103はそれぞれ、複数が存在していてもよい。以降、タブレット型端末101を「端末101」と略記することもある。なお、端末101の形態はタブレット型であることは必須でなく、据え置き型であってもよい。
【0015】
図2は、MFP103のハードウェア構成図である。制御部210は、制御手段としてのCPU211を有し、MFP103全体の動作を制御する。CPU211は、ROM212に記憶された制御プログラムを読み出して、読取/印刷/通信などの各種制御を行う。RAM213は、CPU211の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。なお、MFP103は1つのCPU211が1つのメモリ(RAM213またはHDD214)を用いて後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の態様であっても構わない。例えば、複数のCPUや複数のRAMまたはHDDが協働してフローチャートに示す各処理を実行するようにすることもできる。
【0016】
HDD214は、画像データや各種プログラムを記憶する。操作部I/F215は、操作手段としての操作部220と、制御部210とを接続する。操作部220には、タッチパネル機能を有する液晶表示部やキーボードなどが備えられており、ユーザによる操作/入力/指示を受け付ける受付手段としての役割を担う。
【0017】
プリンタI/F216は、プリンタ221と制御部210とを接続する。プリンタ221で印刷すべき画像データはプリンタI/F216を介して制御部210から転送され、プリンタ221により記録媒体上に印刷される。スキャナI/F217は、読取手段としてのスキャナ222と、制御部210とを接続する。スキャナ222は、原稿上の画像を読み取って画像データを生成し、スキャナI/F217を介して画像データを制御部210に入力する。
【0018】
モデムI/F218は、モデム223と制御部210とを接続する。モデム223は、PSTNに接続され、図示しないファックス装置との間における画像データのファックス通信を実行する。受信手段としてのネットワークI/F219は、制御部210(MFP103)を有線LANに接続する。MFP103は、ネットワークI/F219を用いて外部装置との間で画像データや各種情報を送受信することができる。
【0019】
図3は、MFP103のソフトウェア構成図である。
図3において実線で示した各部は、CPU211がROM212またはHDD214に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現されるソフトウェアモジュールである。UI(User Interface)部301は、操作部220(
図2)を介して各種情報をユーザに提供するとともに、ユーザからの各種指示を受け付ける。Job Controller部(ジョブコントローラ部)302は、コピーやプリント、ファックスなどのジョブを受け付け、受け付けたジョブの実行を制御する。Protocol Stack部(プロトコルスタック部)304は、TCP/IPやHTTP(Hypertext Transfer Protocol)などの各種ネットワークプロトコルを保持する。
【0020】
本実施の形態において、端末101から送信される画像データは、Protocol Stack部304に保持されたネットワークプロトコルに従い、ネットワークI/F219を介して受信される。受信された画像データは、Image File部(イメージファイル部)303によって格納される。Image File部303は、RAM213やHDD214に格納された画像データを管理するソフトウェアモジュールである。
【0021】
Image File部303には、ネットワークI/F219を介して受信した画像データだけでなく、スキャナ222によって生成された画像データも格納される。スキャナ222による画像データの生成は、Scan部(スキャン部)306によって制御される。Fax部(ファックス部)305は、モデム223を介したファックス通信を制御する。MFP103からのファックス送信を行う場合は、Fax部305が、Image File部303に格納されている画像データを読み出して送信する。
【0022】
OS部(Operating System部)308は、各モジュールやタスクを調整し、MFP103のソフトウェア全体を管理する。OS部308には、Device Driver部(デバイスドライバ部)307が組み合わされている。Device Driver部307は、スキャナ222やモデム223などのハードウェアデバイスを制御する。
【0023】
Authentication部(認証部)309は、ユーザ認証を制御するモジュールである。ユーザ認証機能は、有効と無効とに切り替えることが可能となっている。MFP103においてユーザ認証機能が有効にされている場合、ユーザは、操作部220を介して、ユーザ名及びパスワードから成る認証情報を入力するログイン操作を行う必要がある。Authentication部309は、入力された認証情報を予め登録された認証情報と照合して認証の成否を判断し、認証可(成功)となった場合にのみ、そのユーザはMFP103を使用することができる。なお、MFP103において、ユーザ認証機能が無効になっている場合、ログイン操作及び、Authentication部309による認証無しに、ユーザはMFP103を使用することができる。
【0024】
図4は、端末101のハードウェア構成図である。CPU411を含む制御部410は、端末101全体の動作を制御する。CPU411は、メモリ412に記憶された制御プログラムを読み出して各種制御を行う。また、メモリ412は、CPU411の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域としても用いられる。なお、端末101は1つのCPU411が1つのメモリ412を用いて各処理を実行するものとするが、他の態様であっても構わない。例えば、複数のCPUや複数のメモリが協働して各処理を実行するようにすることもできる。
【0025】
操作部I/F413は、操作部420と制御部410とを接続する。操作部420には、タッチパネル機能を有する液晶表示部が備えられており、ユーザによる操作、入力、指示等を受け付ける受付部としての役割を担う。ネットワークI/F414は、制御部410(端末101)を無線LANに接続する。端末101は、ネットワークI/F414を用いて外部装置に画像データや情報を送信したり、各種情報を受信したりすることができる。
【0026】
本実施の形態において、端末101からMFP103に対して送信され、ネットワークI/F219によって受信される指示には、少なくとも、第1の送信処理(読取送信処理)の指示と第2の送信処理の指示とがある。第1の送信処理の指示は、MFP103において、スキャナ222に原稿を読み取らせ、それにより生成された画像データを、Fax部305及びモデム223によってファックス送信させる指示である。一方、第2の送信処理の指示は、端末101側で用意した画像データを、MFP103において、送信手段(Fax部305及びモデム223)によってファックス送信させる指示である。
【0027】
図5は、端末101に表示されるファックス送信アプリケーションの操作画面の一例を示す図である。ファックス送信アプリケーションは、インターネット上のサーバからダウンロードして端末101に追加インストールすることが可能なアプリケーションであり、OS部308上で操作するソフトウェアである。ファックス送信アプリケーションを用いることにより、MFP103にファックス送信を行わせるための設定を端末101側で行うことができる。後述する端末101の動作はファックス送信アプリケーションからの指示に基づいて実行される。
【0028】
特に、
図5に示す操作画面は、端末101のユーザが第1の送信処理の指示を送信しようとする際に操作部420に表示される。端末101において、所定の操作によってファックス送信アプリケーションが起動されると、
図5に示す操作画面が表示される。この操作画面において、設定欄501は、ファックス送信を実行させるMFPを設定する欄である。MFPが複数存在する場合に、設定欄501によって1つのMFPが選択される。すなわち、ユーザが設定欄501にタッチすると、端末101が周囲にあるMFPを検索し、見つかったMFPが一覧表示される。ユーザは、表示されたMFPからファックス送信を実行させるMFPを選択することができる。
【0029】
設定欄502は、ファックス送信の宛先となる電話番号(ファックス番号)を設定する欄である。ユーザは、端末101に表示されるソフトキーボードを用いて電話番号を入力しても良いし、端末101に記憶されているアドレス帳を参照して電話番号を選択しても良い。
【0030】
設定欄503は、MFP103のスキャナ222を用いて実行するスキャン処理(読取処理)の詳細設定を行う欄である。ユーザが設定欄503をタッチすると、解像度や原稿サイズ、カラー/モノクロなどの読取パラメータを指定するための画面が表示され、端末101はこの画面を介してユーザからスキャン設定を受け付ける。
【0031】
ファックス送信キー504は、MFP103に対してファックス送信の実行を指示するためのキーである。設定欄501、502、503での設定が済んだ後にファックス送信キー504が押下されると、端末101とMFP103との通信が開始される。
【0032】
図6は、端末101が第1の送信処理を指示する場合の、端末101とMFP103との間における処理のシーケンスを示す図である。
【0033】
ステップS601では、端末101は、
図5に示した操作画面を介してユーザからの設定を受け付ける。ステップS602では、端末101は、ジョブ生成のためのコマンドをMFP103に送信する。このコマンドには、端末101を操作しているユーザの認証情報が付加されているものとする。このコマンドを受けたMFP103は、ステップS603で、レスポンスOKを端末101に応答する。
【0034】
ステップS604では、端末101は、スキャンの実行を指示するスキャンコマンドをMFP103に送信する。このスキャンコマンドを受信したMFP103は、ステップS605で、スキャンコマンドを受け付け可能かどうか判定する。このスキャンコマンド受け付け判定処理については
図11で後述する。スキャンコマンドを受け付け可能か否かの判定は、第1の送信処理の受け付けの可否の判定と同じ意味である。これから説明するように、判定の結果、受け付けを許可した場合は第1の送信処理が実行され、許可されない場合は第1の送信処理は実行されない。スキャンコマンドを受け付け可能な場合、処理はステップS606に進み、受け付け不能な場合、処理はステップS615に進む。
【0035】
ステップS606では、MFP103は、レスポンスOKを端末101に応答する。次にステップS607では、端末101は、ジョブ終了のためのコマンドをMFP103に送信する。このコマンドを受けたMFP103は、ステップS608で、レスポンスOKを端末101に応答する。MFP103は、端末101からのジョブ通信を受信し終わると、ステップS609で、原稿スキャンを受け付けたことを示す原稿スキャン受け付け画面(
図7)を操作部220に表示する。
【0036】
図7に示すように、原稿スキャン受け付け画面には、読み取りを行うボタン701とキャンセルボタン702とが表示される。次に、ステップS610では、ユーザが、読み取りを行うボタン701を押下選択すると、MFP103は、ステップS611で操作部220にスキャン設定画面を表示する。従って、第1の送信処理におけるスキャンの開始のための設定へと処理が移行することになる。一方、キャンセルボタン702が押下選択されると、MFP103は、その旨を示すレスポンスを端末101に送信する。
【0037】
このスキャン設定画面は図示しないが、
図5の操作画面で設定欄503が選択された場合に表示されるのと同様の内容を表示する画面である。ステップ612で、ユーザがスキャン設定画面の項目を設定し、スキャン実行開始を指示すると、ステップS613で、MFP103は、スキャン設定画面で設定された項目に従いスキャンを行う。具体的には、CPU211がスキャナ222を制御して、原稿を読み取らせ画像データを生成させる。スキャン処理は、
図5の設定欄503に設定された内容に従うが、ステップS611で表示したスキャン設定画面で設定内容が変更された場合は、変更後の設定に従うものとする。そして、ステップS614で、MFP103は、スキャンして生成された画像データのファックス送信を行う。具体的には、CPU211がFax部305及びモデム223を制御して、画像データをファックス送信させる。このファックス送信の宛先は、
図5の設定欄502で設定された電話番号である。
【0038】
一方、ステップS605の判定の結果、スキャンコマンドの受け付けが不可能だった場合は、MFP103は、ステップS615で、受け付け不可能であることを示すBusyをレスポンスとして端末101に返す。端末101はBusyを受けると、ステップS616で一定時間を待ってから再度、スキャンコマンドを送信する。MFP103は、ステップS617で再度、スキャンコマンドの受け付け可否の判定を行い、その判定結果をステップS615またはステップS618で返す。
【0039】
端末101は、スキャンコマンドの受け付けが許可されるまで、スキャンコマンド送信を繰り返す。受け付けが許可されると、処理はステップS606に移行する。ただし、繰り返しの送信回数が所定の回数を超えた場合や、送信を繰り返している総時間が所定の時間を超えた場合は、エラーが通知されるようにしてもよい。
【0040】
以上のように、MFP103は、端末101からスキャンコマンドを含むファックス送信ジョブが指示されると、スキャンコマンドの受け付け可否を判定する。そして、受け付け可能な場合に、MFP103は操作部220に原稿スキャン受け付け画面(
図7)を表示させ、ユーザのスキャン実行指示を待って、MFP103で原稿をスキャンし、それにより得られた画像データをファックス送信する。前述のように、第1の送信処理では、MFP103によるスキャンで得られた画像データがファックス送信される。これに対し、端末101側で用意した画像データをMFP103からファックス送信する第2の送信処理を、
図8~
図10で説明する。
【0041】
図8は、端末101に表示されるデータ管理アプリケーションの操作画面の一例を示す図である。端末101には、ネットワーク上からダウンロードした画像データや端末101に備えられたカメラ機能を用いて撮影した画像データが記憶されている。これらの画像データは、端末101にインストールされたデータ管理アプリケーションを用いて順次切り替えて表示することが可能である。
図8の操作画面は、記憶されている画像データの一つが表示された様子を示している。
【0042】
図8の操作画面において、ユーザが操作キー801を押下すると、現在表示されている画像データに対して実行する機能を選択する画面が表示される。この画面には、メール送信アプリケーションや印刷アプリケーションなどの他に、上述したファックス送信アプリケーションが選択候補として表示される。これらの選択候補のうち、ユーザがファックス送信アプリケーションを選択すると、
図9に示す操作画面に切り替わる。なお、上記の各アプリケーションは、インターネット上のサーバからダウンロードして端末101に追加インストールすることが可能である。
【0043】
図9は、端末101のユーザが第2の送信処理の指示を送信しようとする際に操作部420に表示される、ファックス送信アプリケーションの操作画面の一例を示す図である。この操作画面において、設定欄901、902、903は、それぞれ
図5で説明した設定欄501、502、504と同様である。
【0044】
図10は、端末101が第2の送信処理を指示する場合の、端末101とMFP103との間における処理のシーケンスを示す図である。
【0045】
端末101は、ステップS1001で、
図8の操作画面を介してユーザからの画像選択を受け付け、ステップS1002で、
図9の操作画面を介してユーザからの設定を受け付ける。端末101は、ステップS1003で、ジョブ生成のためのコマンドをMFP103へ送信する。このコマンドを受けたMFP103は、ステップS1004でレスポンスOKを端末101に応答する。
【0046】
ステップS1005では、端末101は、画像コマンドをMFP103へ送信する。この画像コマンドには、MFP103からファックス送信すべき画像データが含まれる。この画像データは、端末101で取得されたものであり、
図8の操作画面に表示されていたものである。画像コマンドを受けたMFP103は、ステップS1006でレスポンスOKを端末101に応答する。
【0047】
ステップS1007では、端末101は、ジョブ終了のためのコマンドをMFP103に送信する。このコマンドを受けたMFP103は、ステップS1008でレスポンスOKを端末101に応答する。MFP103は、ステップS1009では、端末101から受信した画像データをファックス送信する。このファックス送信の宛先は、設定欄902に設定された電話番号である。
【0048】
このようにして、端末101で設定された内容に従って、端末101からMFP103に送信した画像データを、MFP103からファックス送信する処理(第2の送信処理)が行われる。第2の送信処理では、MFP103側でのスキャン処理が実行されない。このため、第1の送信処理とは異なり、ユーザによるMFP103の操作を待つ必要はなく、ファックス送信処理が速やかに実行される。
【0049】
図11は、スキャンコマンド受け付け判定処理を示すフローチャートである。
図11のフローチャートに示す各動作(ステップ)は、MFP103において、制御部210のCPU211がROM212に記憶された制御プログラムを実行することにより実現される。この処理は、端末101が第1の送信処理を指示したことで、MFP103が端末101からスキャンコマンドを受信した場合に、
図6のステップS605で実行される。
【0050】
まず、ステップS1101では、CPU211は、MFP103のユーザ認証機能が有効であるか否かを判別する。その判別の結果、CPU211は、認証機能が有効である場合は処理をステップS1105に進める一方、無効である場合処理をステップS1102に進める。
【0051】
ステップS1105では、CPU211は、端末101から(
図6のステップS602で)送られた、ジョブ生成のためのコマンドに付加された認証情報と、現在ログイン中のユーザの認証情報とが一致するか否かを判別する。その判別の結果、両認証情報が一致する場合は、認証が成功したので、CPU211は、ステップS1104に進み、スキャンコマンドの受け付けを可能とする。従って、第1の送信処理の受け付けは許可される。一方、両認証情報が一致しなかった場合は、認証が成功しなかったので、CPU211は、ステップS1103に進み、スキャンコマンドの受け付けを不可能とする。従って、第1の送信処理の受け付けは許可されない。ステップS1103、S1104の処理後は、
図11の処理は終了する。
【0052】
ステップS1102では、CPU211はまず、スキャンコマンドを受信した際の操作部220の操作状態を判別する。具体的にはCPU211は、MFP103の操作部220にトップ画面が表示されていることまたは、最後に操作部220が操作されてから一定時間が経過していることの、少なくともいずれかが成立するという条件を満たすか否かを判別する。なお、一定時間の長さに限定はない。ここで、トップ画面は、操作部220に表示されている画面であって、コピー、スキャン、ファックスなどの各ファンクションを利用するための画面である。これについて
図12で説明する。
【0053】
図12は、操作部220に表示される画面の遷移を示した図である。ホーム画面1201は、MFP103で実行するファンクションを選択するための機能選択画面である。ホーム画面1201において、コピーボタン1207が選択されるとコピー画面1202に切り替わる。スキャンボタン1208が選択されるとスキャン画面1203に切り替わる。ファックスボタン1209が選択されるとファックス画面1204に切り替わる。前述したトップ画面には、ホーム画面1201のような各ファンクションを選択する画面と、各ファンクションの画面1202~1204が該当する。
【0054】
なお、コピー画面1202のカラーモード表示領域1210が選択されると、カラーモード選択画面1205に切り替わる。このカラーモード選択画面1205のように、選択された機能に関するパラメータを設定するための画面は、トップ画面には含まれない。なお、ファンクションのパラメータを設定する際に、画面を切り替えずに表示されるポップアップ表示もトップ画面には含まれない。
【0055】
ステップS1102の判別の結果、上記条件を満たす場合は、操作部220の操作状態としては、ジョブ生成のためのコマンドを送信した送信元のユーザとは異なる別のユーザによる操作中ではないと判断できる。そこでCPU211は、スキャンコマンドの受け付けを可能とし、第1の送信処理の受け付けを許可する(ステップS1104)。一方、ステップS1102の判別の結果、操作部220にトップ画面が表示されておらず且つ、操作部220の操作が一定時間以上継続して無い場合は、上記条件を満たさない。この場合、ジョブ生成のためのコマンドを送信した送信元のユーザとは異なる別のユーザによる操作中の可能性があると判断できる。そこでCPU211は、スキャンコマンドの受け付けを不可能とし、第1の送信処理の受け付けを許可しない(ステップS1103)。
【0056】
このように、MFP103においてユーザ認証が有効になっていない場合であっても、CPU211は、他のユーザによるMFP103の操作状態に応じて、第1の送信処理の受け付け可否を判定する。そして、他のユーザ操作中には第1の送信処理を受け付けないことで、他のユーザによる誤操作が防止される。なお、何を操作状態と定義するか、あるいは、操作状態の判定手法については、例示したものに限定されるものではない。
【0057】
本実施の形態によれば、MFP103は、タブレット型端末101から第1の送信処理の指示を受信した場合に、操作部220の操作状態に基づいて、第1の送信処理の受け付けの可否を判定する。そしてその判定の結果、受け付けを許可した場合は、CPU211は、スキャナ222を制御して原稿を読み取らせ画像データを生成させると共に、Fax部305及びモデム223を制御して、画像データをファックス送信させる。しかし、受け付けを許可しなかった場合は、CPU211は、第1の送信処理を実行しない。
【0058】
これにより、ユーザ認証の利用の有無にかかわらず、原稿画像の第1の送信処理(読取送信処理)に関し、処理を指示したユーザとは別のユーザによる誤操作を抑止することができる。特に、第1の送信処理の指示元のユーザを認証する認証機能を有しない場合や、認証機能を有していても無効である場合においても、操作部220の操作状態に基づく第1の送信処理の受け付けの可否の判定は行われる。従って、認証機能が利用できない状況であっても、別のユーザによる誤操作を抑止することができる。従って、複数のユーザがMFP103を共有して使用する場合であっても、ユーザ認証機能を必須とすることなく、他のユーザによるMFP103の操作よる原稿読み取り送信ジョブの誤操作防止のしくみが提供される。
【0059】
一方、認証機能が有効である場合は、操作部220の操作状態にかかわらず、認証機能による認証の結果に基づいて第1の送信処理の受け付けの可否が判定されるので、認証の成功により第1の送信処理に速やかに移行できる。
【0060】
また、CPU211は、受け付けを許可しなかった場合には、受け付けを許可しなかった旨を示す情報を、指示の送信元に対して、Busyをレスポンスとして返送する(
図6のステップS615)。これにより、第1の送信処理が実行されないことを通知することができる。
【0061】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0062】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
103 MFP
211 CPU
210 制御部
219 ネットワークI/F
220 操作部
222 スキャナ
223 モデム
305 Fax部