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特許7533288光学装置、光書き込み装置及び画像処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】光学装置、光書き込み装置及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20240806BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240806BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240806BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
B41J2/47 101D
G03G15/04 111
G03G21/16 161
H04N1/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021034546
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134995
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
(72)【発明者】
【氏名】谷山 彰
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-191555(JP,A)
【文献】特開2008-185995(JP,A)
【文献】特開2013-242415(JP,A)
【文献】特開2004-029294(JP,A)
【文献】特開2012-080331(JP,A)
【文献】特開2009-276395(JP,A)
【文献】特開平10-013635(JP,A)
【文献】特開2018-132637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0025815(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G03G 15/04
G03G 21/16
H04N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に所定長さを有し、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定厚さを有し、且つ、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に所定幅を有し、前記所定長さが前記所定厚さ及び前記所定幅よりも長い光学素子と、
前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記第2の方向に位置する前記光学素子の表裏両面に接触し、前記表裏両面を押圧した状態で前記光学素子を保持する第1保持部と、
前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記所定幅よりも広い間隔で前記第3の方向に位置する前記光学素子の2つの側面に対向するように配置され、前記光学素子が前記第3の方向に移動することを防止する第2保持部と、
を備え、
前記光学素子は、前記第1保持部と前記第2保持部とにより、前記第3の方向に押圧力が作用していない状態に保持され
前記第1保持部は、
前記光学素子の前記表裏両面のうちの一方の面に接合する第1の着座部と、
前記第1の着座部に対向する位置に配置され、前記光学素子の前記表裏両面のうちの他方の面に接合して前記光学素子を前記第1の着座部に向けて押圧する押圧部と、
を備え、
前記第1の着座部は、鋼球によって構成され、
前記押圧部は、弾性体によって形成され、前記弾性体の弾性力によって前記光学素子を前記第1の着座部に向けて押圧することを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記第1の着座部は、前記光学素子の前記表裏両面のうちの一方の面に点接触し、
前記押圧部は、前記光学素子の前記表裏両面のうちの他方の面に点接触していることを特徴とする請求項に記載の光学装置。
【請求項3】
前記第1の着座部は、前記第3の方向において複数箇所に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学装置。
【請求項4】
第1の方向に所定長さを有し、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定厚さを有し、且つ、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に所定幅を有し、前記所定長さが前記所定厚さ及び前記所定幅よりも長い光学素子と、
前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記第2の方向に位置する前記光学素子の表裏両面に接触し、前記表裏両面を押圧した状態で前記光学素子を保持する第1保持部と、
前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記所定幅よりも広い間隔で前記第3の方向に位置する前記光学素子の2つの側面に対向するように配置され、前記光学素子が前記第3の方向に移動することを防止する第2保持部と、
を備え、
前記光学素子は、前記第1保持部と前記第2保持部とにより、前記第3の方向に押圧力が作用していない状態に保持され
前記第2保持部は、前記光学素子の前記2つの側面のそれぞれに点接触可能な一対の突起部を互いに対向させていることを特徴とする光学装置。
【請求項5】
前記一対の突起部のうち、少なくとも1つの突起部の先端位置を前記第3の方向に調整可能であることを特徴とする請求項に記載の光学装置。
【請求項6】
第1の方向に所定長さを有し、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定厚さを有し、且つ、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に所定幅を有し、前記所定長さが前記所定厚さ及び前記所定幅よりも長い光学素子と、
前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記第2の方向に位置する前記光学素子の表裏両面に接触し、前記表裏両面を押圧した状態で前記光学素子を保持する第1保持部と、
前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記所定幅よりも広い間隔で前記第3の方向に位置する前記光学素子の2つの側面に対向するように配置され、前記光学素子が前記第3の方向に移動することを防止する第2保持部と、
を備え、
前記光学素子は、前記第1保持部と前記第2保持部とにより、前記第3の方向に押圧力が作用していない状態に保持され
前記第2保持部は、
前記光学素子の前記2つの側面のうちの一方の面に接合する第2の着座部と、
前記光学素子の前記2つの側面のうちの他方の面から所定間隔離れた位置に配置される脱落防止部と、
を備えることを特徴とする光学装置。
【請求項7】
前記第2の着座部は、前記脱落防止部よりも剛性が高く、前記脱落防止部よりも下方の位置に配置されることを特徴とする請求項に記載の光学装置。
【請求項8】
前記第2保持部は、前記第2の方向において前記側面の中央近傍位置で対向するように配置されることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の光学装置。
【請求項9】
前記第1保持部と前記第2保持部とは、前記光学素子の前記第1の方向において同じ位置に設けられることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の光学装置。
【請求項10】
前記光学素子は、前記第2の方向の厚さが前記第3の方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の光学装置。
【請求項11】
前記光学素子の前記第1の方向の長さよりも広い間隔で前記第1の方向に位置する2つの端面に対向するように配置され、前記光学素子が前記第1の方向に移動することを防止する第3保持部、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の光学装置。
【請求項12】
前記光学素子の形状が直方体であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の光学装置。
【請求項13】
前記光学素子の前記表裏両面のうちの少なくとも一方の面が光学機能面であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の光学装置。
【請求項14】
前記光学素子は、前記光学機能面が反射面であることを特徴とする請求項13に記載の光学装置。
【請求項15】
光源と、
前記光源からの光を偏向走査させる偏光器と、
前記偏光器によって偏向走査される光の進行方向に配置される、請求項1乃至14のいずれかに記載の光学装置と、
を備え、
前記光学装置から投影される光によって画像の書き込みを行うことを特徴とする光書き込み装置。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれかに記載の光学装置を備え、
前記光学装置から投影される光によって画像の読み取り又は画像の書き込みを行うことを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、光書き込み装置及び画像処理装置に関し、特にそれらの装置においてミラーなどの光学素子の振動を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやMFP(Multifunction Peripheral)などのように電子写真方式で画像を形成する画像処理装置は、光書き込み装置を備えている。光書き込み装置は、光源と、光源から射出される光を主走査方向に偏向走査する偏向器と、偏向器で偏向走査される光を所定の像面上に結像させる走査光学系とを備えている。例えば、偏光器は、ポリゴンミラーやガルバノミラーなどで構成される。走査光学系は、fθレンズやミラーなどの光学素子を備えており、偏光器から導かれる光を像担持体などの表面に結像させるように構成される。画像処理装置において画像を形成する際には、モーターなどの駆動手段が偏光器などを特定の周波数で駆動する。そのため、偏光器などが駆動されることによって生じる振動が光学素子に伝達されてしまうことがある。振動が光学素子に伝達されると、光学素子が振動し、像担持体などの表面に対する結像位置を変位させてしまうことから画質劣化の要因となる。
【0003】
従来、上記のような画質劣化を抑制するため、光学素子を保持する形態に様々な工夫がなされている。例えば、従来、平板長尺状のミラーをハウジングに固定する方法として、互いに直交する複数方向において多点でミラーを押圧保持することによってミラーの振動を抑制する方法が提案されている(例えば特許文献1)。この従来技術では、長尺であるミラーの厚み方向に関してミラーの表裏両面に接合して一方から他方にミラーを押圧すると共に、ミラーの幅方向に関してもミラーの両側面に接合して一方から他方にミラーを押圧することでミラーを固定している。
【0004】
ところで、光学素子に対する入振周波数(外部から光学素子に伝達される振動の周波数)と、光学素子の共振周波数とが重なってしまうと、光学素子の振幅が極端に大きくなってしまい、光学素子の振動を抑えることが困難になる。そのため、一般的には、偏光器などを駆動する際の周波数と、光学素子の共振周波数とが重ならないように予め設計されている。
【0005】
しかし、上述した従来技術のように、長尺である光学素子を互いに直交する複数方向において多点で押圧保持する態様の場合、ミラーを押圧保持する部材の加工バラツキや押圧力のバラツキ、組み付け誤差、入振強度の変化などによって、光学素子を含む振動系の伝達関数(外部からの振動に対する光学素子の応答振幅)及び光学素子の共振周波数にバラツキが生じる。例えば、長尺の光学素子の両端を複数方向で押圧保持する構成において、設計開発の際に光学素子の共振周波数を所定周波数に設定したとしても、光学素子を押圧保持する部材の加工バラツキや押圧力のバラツキ、組み付け誤差、入振強度の変化などによって、振動系の伝達関数が変化すると、光学素子の共振周波数が設計開発時に設定した周波数からシフトしてしまうことになる。そして、光学素子に対する入振周波数がシフトした光学素子の共振周波数に重なってしまうと、光学素子の振動が想定した振動よりも大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
上記のようなバラツキは再現性の低い現象であるため、開発初期段階での把握が難しく、開発後期段階になって発覚することが多い。そのため、開発工数の増加や振動対策部品の追加を余儀なくされることがあり、効率的且つ安価な製品開発の障害となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-276395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、伝達関数及び共振周波数を安定させることで、光学素子の予期しない振動を抑制すると共に、開発工数の増加や振動対策備品の追加を低減できるようにした光学装置、光書き込み装置及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、光学装置であって、第1の方向に所定長さを有し、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定厚さを有し、且つ、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に所定幅を有し、前記所定長さが前記所定厚さ及び前記所定幅よりも長い光学素子と、前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記第2の方向に位置する前記光学素子の表裏両面に接触し、前記表裏両面を押圧した状態で前記光学素子を保持する第1保持部と、前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記所定幅よりも広い間隔で前記第3の方向に位置する前記光学素子の2つの側面に対向するように配置され、前記光学素子が前記第3の方向に移動することを防止する第2保持部と、を備え、前記光学素子は、前記第1保持部と前記第2保持部とにより、前記第3の方向に押圧力が作用していない状態に保持され、前記第1保持部は、前記光学素子の前記表裏両面のうちの一方の面に接合する第1の着座部と、前記第1の着座部に対向する位置に配置され、前記光学素子の前記表裏両面のうちの他方の面に接合して前記光学素子を前記第1の着座部に向けて押圧する押圧部と、を備え、前記第1の着座部は、鋼球によって構成され、前記押圧部は、弾性体によって形成され、前記弾性体の弾性力によって前記光学素子を前記第1の着座部に向けて押圧することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項に係る発明は、請求項の光学装置において、前記第1の着座部は、前記光学素子の前記表裏両面のうちの一方の面に点接触し、前記押圧部は、前記光学素子の前記表裏両面のうちの他方の面に点接触していることを特徴とする構成である。
【0013】
請求項に係る発明は、請求項1又は2の光学装置において、前記第1の着座部は、前記第3の方向において複数箇所に配置されることを特徴とする構成である。
請求項4に係る発明は、光学装置であって、第1の方向に所定長さを有し、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定厚さを有し、且つ、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に所定幅を有し、前記所定長さが前記所定厚さ及び前記所定幅よりも長い光学素子と、前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記第2の方向に位置する前記光学素子の表裏両面に接触し、前記表裏両面を押圧した状態で前記光学素子を保持する第1保持部と、前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記所定幅よりも広い間隔で前記第3の方向に位置する前記光学素子の2つの側面に対向するように配置され、前記光学素子が前記第3の方向に移動することを防止する第2保持部と、を備え、前記光学素子は、前記第1保持部と前記第2保持部とにより、前記第3の方向に押圧力が作用していない状態に保持され、前記第2保持部は、前記光学素子の前記2つの側面のそれぞれに点接触可能な一対の突起部を互いに対向させていることを特徴とする構成である。
請求項5に係る発明は、請求項4の光学装置において、前記一対の突起部のうち、少なくとも1つの突起部の先端位置を前記第3の方向に調整可能であることを特徴とする構成である。
請求項6に係る発明は、光学装置であって、第1の方向に所定長さを有し、前記第1の方向に直交する第2の方向に所定厚さを有し、且つ、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する第3の方向に所定幅を有し、前記所定長さが前記所定厚さ及び前記所定幅よりも長い光学素子と、前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記第2の方向に位置する前記光学素子の表裏両面に接触し、前記表裏両面を押圧した状態で前記光学素子を保持する第1保持部と、前記光学素子の前記第1の方向の両端部において前記所定幅よりも広い間隔で前記第3の方向に位置する前記光学素子の2つの側面に対向するように配置され、前記光学素子が前記第3の方向に移動することを防止する第2保持部と、を備え、前記光学素子は、前記第1保持部と前記第2保持部とにより、前記第3の方向に押圧力が作用していない状態に保持され、前記第2保持部は、前記光学素子の前記2つの側面のうちの一方の面に接合する第2の着座部と、前記光学素子の前記2つの側面のうちの他方の面から所定間隔離れた位置に配置される脱落防止部と、を備えることを特徴とする構成である。
請求項7に係る発明は、請求項6の光学装置において、前記第2の着座部は、前記脱落防止部よりも剛性が高く、前記脱落防止部よりも下方の位置に配置されることを特徴とする構成である。
【0014】
請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれかの光学装置において、前記第2保持部は、前記第2の方向において前記側面の中央近傍位置で対向するように配置されることを特徴とする構成である。
【0015】
請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれかの光学装置において、前記第1保持部と前記第2保持部とは、前記光学素子の前記第1の方向において同じ位置に設けられることを特徴とする構成である。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至のいずれかの光学装置において、前記光学素子は、前記第2の方向の厚さ寸法が前記第1の方向の長さ及び前記第3の方向の幅よりも小さいことを特徴とする構成である。
【0021】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至10のいずれかの光学装置において、前記光学素子の前記第1の方向の長さよりも広い間隔で前記第1の方向に位置する2つの端面に対向するように配置され、前記光学素子が前記第1の方向に移動することを防止する第3保持部、を更に備えることを特徴とする構成である。
【0022】
請求項12に係る発明は、請求項1乃至11のいずれかの光学装置において、前記光学素子の形状が直方体であることを特徴とする構成である。
【0023】
請求項13に係る発明は、請求項1乃至12のいずれかの光学装置において、前記光学素子の前記表裏両面のうちの少なくとも一方の面が光学機能面であることを特徴とする構成である。
【0024】
請求項14に係る発明は、請求項13の光学装置において、前記光学素子は、前記光学機能面が反射面であることを特徴とする構成である。
【0025】
請求項15に係る発明は、光書き込み装置であって、光源と、前記光源からの光を偏向走査させる偏光器と、前記偏光器によって偏向走査される光の進行方向に配置される、請求項1乃至14のいずれかに記載の光学装置と、を備え、前記光学装置から投影される光によって画像の書き込みを行うことを特徴とする構成である。
【0026】
請求項16に係る発明は、画像処理装置であって、請求項1乃至14のいずれかに記載の光学装置を備え、前記光学装置から投影される光によって画像の読み取り又は画像の書き込みを行うことを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、光学素子を含む振動系の伝達関数及び共振周波数のバラツキを小さく抑えて安定させることが可能であり、光学素子が予期しない周波数で振動してしまう現象を抑制することができる。そのため、開発後期段階になって光学素子の振動対策を行う必要がなくなることがから、開発工数の増加や振動対策部品の追加を低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】光学装置の基本構成を概念的に示す図である。
図2】光学素子の両端近傍位置を保持する保持態様の例を示す図である。
図3】光学装置の比較例を概念的に示す図である。
図4】比較例を採用した場合の伝達関数の変化の例を示す図である。
図5】光学装置の基本構成を採用した場合の伝達関数の変化の例を示す図である。
図6】画像処理装置の内部構造の一例を示す図である。
図7】光書き込み装置の構成例を示す図である。
図8】光学装置においてミラーを保持する態様を示す斜視図である。
図9】光学装置を偏光器側からみた正面図である。
図10】保持部を拡大して示す斜視図である。
図11】保持部の一形態を示す断面図である。
図12】ミラーの端部近傍を正面側からみた拡大図である。
図13】第2の着座部の好ましい設置位置を示す図である。
図14】光学装置の組み立て図である。
図15】保持部の別の形態を示す断面図である。
図16】保持部の更に別の形態を示す断面図である。
図17】保持部の更に別の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0030】
(光学装置の基本構成)
まず、本発明の実施形態における光学装置の基本構成について説明する。図1は、光学装置の基本構成を概念的に示す図である。この光学装置は、平板長尺状(直方体状)のミラーなどで構成される光学素子5の両端部を保持する保持部51を備えている。光学素子5は、第1の方向(X方向)に所定長さを有し、第1の方向に直交する第2の方向(Y方向)に所定厚さを有し、更に第1の方向及び第2の方向のそれぞれに直交する第3の方向(Z方向)に所定幅を有している。光学素子5は、第1の方向の長さが第2の方向の厚さ及び第3の方向の幅よりも長くなっている。保持部51は、その光学素子5の長手方向である第1の方向(X方向)の両端部を保持するように構成される。この保持部51は、光学素子5の第2の方向に沿って配置される第1保持部52と、光学素子5の第3の方向に沿って配置される第2保持部53とを備えている。
【0031】
第1保持部52は、光学素子5の第2の方向において、光学素子5を挟んで互いに対向するように配置される2つの部材52a,52bを有している。これら2つの部材52a,52bは、光学素子5の第2の方向に関し、第2の方向に位置する2つの面(表裏両面)のそれぞれに接触している。尚、光学素子5の表裏両面は、第2の方向に直交している。例えば、2つの部材52a,52bはXZ平面において同じ位置にあり、一方の部材52aが光学素子5の表面に点接触し、他方の部材52bが光学素子5の裏面に点接触している。そして2つの部材52a,52bのうちの少なくとも一方の部材52aに対して押圧力Fが付与される。この押圧力Fは、一方の部材52aから他方の部材52bに向かう方向に作用する。そのため、第1保持部52は、その押圧力Fによって、光学素子5の表裏両面を2つの部材52a,52bで挟み込んだ状態に保持する。
【0032】
第2保持部53は、光学素子5の第3の方向において、光学素子5を挟んで互いに対向するように配置される2つの部材53a,53bを有している。これら2つの部材53a,53bは、光学素子5の第3の方向における幅寸法よりも広い間隔に配置される。また、2つの部材53a,53bは、光学素子5の第3の方向に関し、第3の方向に位置する2つの側面(両側面)に対向するように配置されている。尚、光学素子5の2つの側面は、第3の方向に直交している。例えば、2つの部材53a,53bのうちの一方の部材53aは、光学素子5の一方の側面に点接触している。これに対し、他方の部材53bは、光学素子5の他方の側面から所定間隔離れた位置にある。また、2つの部材53a,53bには、第1保持部52のような押圧力は作用しない。そのため、第2保持部53は、第3の方向に関し、光学素子5を挟み込んだ状態に保持するものではない。言い換えると、第2保持部53は、第3の方向に対する光学素子5の移動を規制するものである。すなわち、第2保持部53は、光学素子5に対して外部からの振動が伝わった場合に、光学素子5が第3の方向に移動してしまい、第1保持部52によって挟持された状態から光学素子5が離脱してしまうことを防止するための脱落防止部材として設けられる。
【0033】
上記のように本実施形態の光学装置は、基本的に、第1の方向に長尺である光学素子5の両端部を保持するように構成され、光学素子5の第2の方向(厚さ方向)に関して第1保持部52が押圧力Fで光学素子5を挟み込んだ状態に保持し、光学素子5の第3の方向(幅方向)に関して第2保持部53が光学素子5に押圧力を作用させない状態で光学素子5が離脱しないように保持する。このような保持態様により、光学装置は、光学素子5を含む振動系の伝達関数及び光学素子5の共振周波数を安定させることができる。
【0034】
次に、光学素子5を含む振動系の伝達関数及び光学素子5の共振周波数の安定化について説明する。図2は、光学素子5の両端部を保持する保持態様の例を示す図である。図2(a)は、光学素子5の両端部を単純支持した場合を例示している。ここで、単純支持とは、例えば光学素子5の両端部の裏面側に支持部材6,6を配置し、それら支持部材6,6に光学素子5を載置しただけの支持態様である。この場合、光学素子5の両端は固定されていない。また、光学素子5は、第2の方向(Y方向)の厚み寸法が他の方向の寸法に比べて小さいため、外部から振動が伝わると、第2の方向に対する振動が顕著に現れる。そのため、光学素子5に外部からの振動が伝わると、光学素子5は、図2(b)に示すように振動する。つまり、光学素子5は、その長手方向(第1の方向)の全体に亘って振動する。このとき、支持部材6,6によって支持されている位置において、光学素子5は第2の方向には変位しない。しかし、光学素子5の中央部が大きく撓むことにより、支持部材6,6によって支持されている位置において、光学素子5が第1の方向に変位する。
【0035】
図2(c)は、光学素子5の両端を完全固定した場合を例示している。ここで、完全固定とは、光学素子5の両端を剛体7に固定することで光学素子5の両端において表裏両面が全く動かないように固定した支持態様である。この場合、光学素子5の両端が完全に固定されるため、光学素子5に外部からの振動が伝わると、光学素子5は、図2(d)に示すように振動する。つまり、光学素子5は、両端部を除く中央部分だけが振動するようになる。このとき、光学素子5の両端部は、完全固定されているので、第1の方向及び第2の方向のいずれにも変位しない。
【0036】
一方、図1に示したように、光学素子5の第2の方向(厚さ方向)に関して第1保持部52が押圧力Fで光学素子5を挟み込んだ状態に保持し、光学素子5の第3の方向(幅方向)に関して第2保持部53が光学素子5に押圧力を作用させない状態で光学素子5が離脱しないように保持する態様である場合、光学素子5に外部からの入振が加わると、光学素子5の中央部は第2の方向に振動する。光学素子5に対する入振強度が比較的弱い場合、第1保持部52は、光学素子5の両端近傍を振動しないように保持するため、上述した完全固定に近い状態となる。しかし、光学素子5に対する入振強度が比較的強い場合、第1保持部52の押圧力Fに抗して光学素子5が振動しようとするため、上述した単純支持に近い状態となる。
【0037】
ここで、上述した基本構成とは異なる比較例として、光学素子5の第2の方向に加え、第3の方向についても、第2保持部53が押圧力Fを作用させて光学素子5を挟み込んだ状態に保持する例を説明する。図3は、光学装置の比較例を概念的に示す図である。この光学装置は、上述した基本構成とは異なり、第2保持部53として設けられた2つの部材53a,53bが、光学素子5の第3の方向に関し、第3の方向に直交する2つの面(両側面)のそれぞれに接触している。そして2つの部材53a,53bのうちの少なくとも一方の部材53bに対して押圧力Fが付与されている。そのため、第2保持部53は、その押圧力Fによって、光学素子5の両側面を2つの部材53a,53bで挟持した状態で保持している。
【0038】
比較例のような保持態様において、光学素子5に外部から比較的入振強度の弱い振動が作用すると、光学素子5の両端近傍が完全固定に近い状態であるため、第2保持部53と光学素子5との接触位置は変わらず、第2保持部53と光学素子5との間には静摩擦が生じている。これに対し、光学素子5に外部から比較的入振強度の強い振動が作用すると、光学素子5の両端近傍が単純支持に近い状態に変わるため、第2保持部53と光学素子5との接触位置に滑りが発生し、第2保持部53と光学素子5との間には動摩擦が生じることになる。
【0039】
第2保持部53と光学素子5との間に動摩擦が生じると、光学素子5の振動に影響を与える。特に、比較例のような保持態様の場合、第2保持部53と光学素子5との間に作用する摩擦力が第2保持部53によって付与される押圧力Fに比例して大きくなるため、光学素子5の振動に与える影響が大きくなる。その結果、光学素子5に入振する入振強度に応じて、光学素子5を含む振動系の伝達関数及び光学素子5の共振周波数が大きく変化することになる。
【0040】
図4は、比較例のような保持態様において入振強度を変化させた場合の伝達関数の変化の例を示す図である。図4に示すように、比較例では、入振強度をI1,I2,I3,I4,I5という順に強くしていくと、光学素子5の共振周波数が次第に低周波域に変化していく。特に比較例のように、光学素子5の第2の方向だけでなく、第3の方向も押圧保持してしまうと、動摩擦が生じる影響によって入振強度の変化に対する共振周波数の変化量が大きくなってしまう。
【0041】
これに対し、上述した基本構成のように、光学素子5の第2の方向(厚さ方向)に関して第1保持部52が押圧力Fで光学素子5を挟み込んだ状態に保持し、光学素子5の第3の方向(幅方向)に関して第2保持部53が光学素子5に押圧力を作用させない状態で光学素子5が離脱しないように保持する態様とした場合には、光学素子5に入振する入振強度を変化させたとしても、伝達関数及び共振周波数の変化量を小さく抑えることができる。
【0042】
図5は、上述した光学装置の基本構成において入振強度を変化させた場合の伝達関数の変化の例を示す図である。図5に示すように、基本構成では、入振強度をI1,I2,I3,I4,I5という順に強くしていくと、光学素子5の共振周波数が次第に低周波域に変化していくものの、比較例と対比すると、その変化量は小さくなっていることがわかる。つまり、基本構成では、光学素子5の共振周波数が変化する領域を狭い領域に抑えることが可能であり、伝達関数及び共振周波数を安定させることができる。
【0043】
それ故、上述した基本構成を採用することにより、開発初期段階から偏光器などを駆動する際の周波数を光学素子5の共振周波数と重ならない周波数帯に設定することが可能であり、開発工数の増加や振動対策備品の追加を低減することができる。以下、上述した基本構成を採用した具体的な実施形態について説明する。
【0044】
(第1実施形態)
図6は、本発明の一実施形態における画像処理装置1の内部構造を示す図である。画像処理装置1は、MFP(Multifunction Peripheral)などによって構成され、電子写真方式で画像を形成することができる装置である。この画像処理装置1は、装置本体の下部にプリンタ部2を備え、装置本体の上部にスキャナ部3を備えている。また、画像処理装置1は、装置本体の上部正面側に、ユーザーが操作可能な操作パネル4を備えている。
【0045】
プリンタ部2は、給紙トレイ10と、搬送路11と、定着部16と、画像形成部20と、光書き込み装置30とを備えている。プリンタ部2は、給紙トレイ10に収容されているシート束9からピックアップローラー12及び給紙ローラー13で1枚のシートを取り出し、そのシートを搬送路11に向けて送り出す。送り出されたシートは、搬送路11を矢印F1方向に搬送される。その搬送路11には、タイミングローラー14、二次転写ローラー15及び定着部16が配置される。搬送路11に沿って搬送されるシートは、その先端がタイミングローラー14に到達すると、スキュー補正がなされる。その後、画像形成部20において形成されるトナー像が二次転写ローラー15の位置へ到達するタイミングに合わせてタイミングローラー14が駆動され、シートが二次転写ローラー15に向けて送り出される。そしてシートが二次転写ローラー15の位置を通過する際にトナー像が転写される。その後、シートは、定着部16に導かれ、定着ローラー16aと加圧ローラー16bとのニップ部を通過する際に加熱処理及び加圧処理が施されることにより、トナー像を定着させる。トナー像が定着したシートは、排紙口17からプリンタ部2の上部に設けられた排紙トレイ18に排出される。
【0046】
画像形成部20は、一対のローラー21,22と、それらローラー21,22に掛け渡される無端帯状の中間転写ベルト23と、中間転写ベルト23の下部に設けられる複数の現像ユニット24と、中間転写ベルト23を挟んで各現像ユニット24に対向するように配置される複数の一次転写ローラー26とを備えている。一対のローラー21,22のうち、一方のローラー22は、駆動ローラーであり、中間転写ベルト23を介して二次転写ローラー15に当接している。他方のローラー21は、従動ローラーである。それらローラー21,22に掛け渡された中間転写ベルト23は、ローラー21,22が駆動されることにより、矢印F2方向へ循環移動する。
【0047】
複数の現像ユニット24はそれぞれ、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の各色に対応するトナー像を形成して中間転写ベルト23に一次転写するユニットである。例えば、中間転写ベルト23の移動方向F2の上流側から順に、Yのトナー像を形成する現像ユニット24Y、Mのトナー像を形成する現像ユニット24M、Cのトナー像を形成する現像ユニット24C、Kのトナー像を形成する現像ユニット24Kが配置されている。これらの現像器ユニット24Y,24M,24C,24Kには、トナーボトル28Y,28M,28C,28Kが接続されており、トナーボトル28Y,28M,28C,28Kから各色のトナーがそれぞれ供給される。
【0048】
現像ユニット24には、感光体ドラムなどで構成される像担持体25が設けられている。像担持体25は、光書き込み装置30によって露光され、表面に静電潜像を形成する。現像ユニット24は、その静電潜像にトナーを付着させることにより、静電潜像を顕像化してトナー像を形成する。像担持体25に形成されたトナー像は、一次転写ローラー26に対向する位置を通過する際に、中間転写ベルト23の表面に一次転写される。その後、トナー像は、中間転写ベルト23の循環移動に伴い、二次転写ローラー15の位置に向かって移動し、二次転写ローラー15の位置を通過する際に搬送路11を搬送されるシートの表面に二次転写される。
【0049】
光書き込み装置30は、プリント対象となる画像データに基づき、現像ユニット24の下方位置から像担持体25の表面に向けて光27を照射して結像させることにより、像担持体25の表面を露光する。これにより、像担持体25の表面に、画像データに応じた静電潜像が形成される。尚、光書き込み装置30の構成例については後述する。
【0050】
スキャナ部3は、上面に設けられたプラテンガラス41上に載置される原稿の画像を光学的に読み取る画像読取装置40を備えている。また、スキャナ部3は、プラテンガラス41の更に上側に開閉カバー42を備えている。
【0051】
画像読取装置40は、2つの走査部材43a,43bと、光学系48と、受光素子49とを備えている。走査部材43aは、プラテンガラス41の下面側に配置され、図示を省略するモーターなどの駆動手段によって駆動され、矢印F3方向(副走査方向)に往復移動可能である。走査部材43aは、プラテンガラス41上に載置される原稿の表面(読取面)を照明する光源44と、原稿表面で反射した光を反射させるミラー45とを備えており、原稿表面を照明しつつ副走査方向に移動することが可能である。走査部材43bは、走査部材43aと同様、図示を省略するモーターなどの駆動手段によって駆動され、矢印F3方向(副走査方向)へ往復移動可能である。走査部材43bは、走査部材43aのミラー45で反射した光を光学系48及び受光素子49に向けて反射させる2つのミラー46,47を備えている。また、走査部材43bは、原稿表面で反射した光が受光素子49に入射するまでの光路長が常に一定となるように、走査部材43aの移動に伴って矢印F3方向へ移動する。光学系48は、原稿表面で反射した光を受光素子49に結像させる光学系である。受光素子49は、副走査方向に直交する主走査方向に配置された複数の画素を有し、光学系48によって各画素に結像される光の光量に応じた電気信号を生成する。画像読取装置40は、2つの走査部材43a,43bを副走査方向に移動させつつ、受光素子49で生成される主走査方向1ライン分ずつの電気信号を副走査方向に蓄積していくことにより、原稿の画像に対応した画像データを生成する。
【0052】
上記のような構成の画像処理装置1において、上述した基本構成を有する光学装置は、例えば光書き込み装置30に実装される。図7は、光書き込み装置30の構成例を示す図である。光書き込み装置30は、光源31と、偏光器32と、光学装置33とを備えている。尚、光書き込み装置30は、Y,M,C,Kの各色に対応する画像を個別に書き込むために、光源31と偏光器32と光学装置33とを備えるユニットを4組搭載したものであっても構わない。
【0053】
光源31は、像担持体25を露光するための光(例えばレーザー光)を出射する光源である。偏光器32は、光源31からの光を偏向走査させるためのものであり、ポリゴンミラー36と、モーター37と、光学系35とを備えている。ポリゴンミラー36は、回転する多面体ミラーである。モーター37は、ポリゴンミラー36を所定の回転方向(R方向)に回転させる駆動手段である。光学系35は、例えばfθレンズによって構成される。
【0054】
光源31から出射される光L1は、回転するポリゴンミラー36の所定位置に照射され、ポリゴンミラー36の回転によって偏向走査される光L2に変換される。その光L2は、光学系35によって主走査方向(X方向)に等速走査する光L3に変換される。
【0055】
光学装置33は、偏光器32によって偏向走査される光L3の進行方向に配置され、その光L3を像担持体25に向かう光L4に変換する。光学装置33は、光L3を光L4に変換する光学素子5として、平板長尺状のミラー38を有している。すなわち、本実施形態における光学素子5は、平板長尺状部材の表裏両面のうちの一方の面(本実施形態では表面)を光学機能面としており、その光学機能面を反射面として形成した素子(ミラー38)である。ミラー38は、光L3の進行方向に対して所定角度傾斜しており、光書き込み装置30の上方に位置する像担持体25の表面に光L4を投影して静電潜像の書き込みを行うことができる。
【0056】
図8は、光学装置33においてミラー38を保持する態様を示す斜視図である。ミラー38は、第1の方向(X方向)に所定長さを有する長尺の光学素子5であり、例えば立方体形状を有している。また、ミラー38は、第1の方向に直交する第2の方向(Y方向)に所定厚さを有し、更に第1の方向及び第2の方向のそれぞれに直交する第3の方向(Z方向)に所定幅を有している。このミラー38は、第2の方向(Y方向)に位置する表裏両面のうちの表面が光学機能面(反射面)として形成される。光学装置33は、そのミラー38を所定の姿勢で保持するハウジング50を有している。ハウジング50は、ミラー38の長手方向(第1の方向)の両端部38a,38bを保持する保持部51を備えている。この保持部51は、ミラー38の一端側に設けられる保持部51aと、他端側に設けられる保持部51bとを備えている。
【0057】
図9は、光学装置33を偏光器32側からみた正面図である。保持部51は、第1保持部52と、第2保持部53と、第3保持部54とを備えている。つまり、この保持部51は、基本構成として説明した第1保持部52及び第2保持部53に加え、更に第3保持部54を備えている。第1保持部52は、ミラー38の第2の方向に関し、ミラー38の表裏両面を挟み込んで押圧することにより、ミラー38の両端部を保持する。つまり、保持部51は、この第1保持部52によってミラー38の両端部をハウジング50に固定している。第2保持部53は、ミラー38が第3の方向に移動することによって第1保持部52による保持状態から離脱してしまうことを防止する脱落防止部材として設けられる。すなわち、第2保持部53は、ミラー38の第2の方向に対する移動を規制するためのものである。第3保持部54は、ミラー38が第1の方向に移動して第1保持部52による保持状態から離脱してしまうことを防止する脱落防止部材として設けられる。すなわち、第3保持部54は、ミラー38の第1の方向に対する移動を規制するためのものである。
【0058】
図10は、保持部51(51a)を拡大して示す斜視図である。図11は、保持部51(51a)の断面図であり、図9におけるA-A断面を示している。尚、図10及び図11では、一方の保持部51aを例示しているが、他方の保持部51bについても同様の構成である。
【0059】
図11に示すように、ハウジング50は、その両端部に、ミラー38の配設角度に応じた傾斜面61,65を備えている。傾斜面61は、ミラー38の第2の方向(Y方向)に位置する表面381及び裏面382と平行であり、傾斜面65は、ミラー38の第3の方向(Z方向)に位置する2つの側面383,384と平行である。傾斜面61には、ミラー38の第3の方向において裏面382の略中央に設けられる第1の着座部62が設けられる。また、傾斜面65には、ミラー38の第2の方向において一方の側面383の略中央に設けられる第2の着座部66が設けられる。
【0060】
第1の着座部62は、ミラー38の裏面382に当接した状態でミラー38を支持する。例えば、第1の着座部62は、傾斜面61に凹部63を設け、その凹部63に高い剛性であるステンレス製の鋼球64を嵌め込むことによって形成される。凹部63の深さは鋼球64の直径よりも小さくなっているため、凹部63に鋼球64が嵌め込まれると、鋼球64の一部は、傾斜面61の表面から突出した突起部を形成する。ミラー38の裏面382は、その鋼球64による突起部と一点で接触した状態に支持される。このような第1の着座部62は、第1保持部52の一部(図1に示した部材52b)を形成する。
【0061】
第2の着座部66は、ミラー38の一方の側面383に当接した状態でミラー38を支持する。例えば、第2の着座部66は、第1の着座部62と同様に、傾斜面65に凹部67を設け、その凹部67に高い剛性の鋼球68を嵌め込むことによって形成される。凹部67の深さは鋼球68の直径よりも小さくなっているため、凹部67に鋼球68が嵌め込まれると、鋼球68の一部は、傾斜面65の表面から突出した突起部を形成する。ミラー38の一方の側面383は、その鋼球68による突起部と一点で接触した状態に支持される。このような第2の着座部66は、第2保持部53の一部(図1に示した部材53a)を形成する。
【0062】
また、ハウジング50には、ミラー38の両端部に対応して保持部材70が取り付けられる。保持部材70は、例えば樹脂によって形成される板バネ状の部材である。この保持部材70は、ハウジング50に取り付けられる平板状の取付部71と、その取付部71から延設され、ミラー38の表面381に接触してミラー38を傾斜面61に向けて押圧する押圧部73と、取付部71から延設され、ミラー38の他方の側面384から所定間隔離れた位置で他方の側面384と平行な状態に配置される第1の脱落防止部75と、その第1の脱落防止部75の側面からミラー38の長手方向(X方向)の端面385に回り込むように延設され、ミラー38の端面385から所定間隔離れた位置で端面385と平行な状態に配置される第2の脱落防止部81とを備えている。
【0063】
例えば、保持部材70の取付部71は、ハウジング50に設けられたピン58,59によってハウジング50の所定位置に位置決めされ、ビス57によってその位置決めされた位置に固定される。
【0064】
押圧部73は、概略L字状の板バネ構造を有する弾性体によって形成され、一端が取付部71に接続され、他端にミラー38の表面381と平行な平板部を有している。この押圧部73は、ミラー38の表面381と平行な平板部の所定位置にミラー38の表面381に向かって半球状に突出させた突起部74を有している。この突起部74は、XZ平面において、ハウジング50の傾斜面61に設けられた第1の着座部62と同じ位置にある。そして押圧部73は、突起部74の先端をミラー38の表面381に一点で接触させた状態で、板バネ構造の弾性体による弾性力(付勢力)でミラー38を第1の着座部62に向けて押圧した状態に取り付けられる。つまり、保持部材70の押圧部73と、ハウジング50に設けられた第1の着座部62との2つの部材によって、ミラー38の第2の方向(Y方向)に関してミラー38を押圧した状態に保持する第1保持部52が形成されている。
【0065】
第1の脱落防止部75は、上記のような押圧部73と一体的に取付部71から延びるように形成されるものであっても良いし、押圧部73とは別に独立した形態で取付部71から延びるように形成されるものであっても良い。
【0066】
第1の脱落防止部75は、ミラー38の一方の側面384と平行な平板部を有し、更にその平板部の所定位置にミラー38の側面384に向かって半球状に突出させた突起部76を有している。図11に示すように、突起部76は、その先端をミラー38の側面384には当接させず、ミラー38の側面384との間に一定の隙間を有する状態に配置される。この突起部76は、XY平面において、ハウジング50の傾斜面65に設けられた第2の着座部66と同じ位置にある。このような第1の脱落防止部75は、外部からの振動が伝わった場合に、ミラー38が第3の方向(Z方向)に移動してミラー38が脱落することを防止するためのものである。つまり、第1の脱落防止部75と、ハウジング50に設けられた第2の着座部66との2つの部材によって、ミラー38が第3の方向(Z方向)に移動して第1保持部52による保持状態から離脱してしまうことを防止する第2保持部53が形成されている。
【0067】
第2の脱落防止部81は、上記のような第1の脱落防止部75の平板部に接続され、ミラー38の端面385と平行な平板部を有している。図12は、ミラー38の端部近傍を正面側からみた拡大図である。第2の脱落防止部81の平板部は、ミラー38の端面385から所定間隔離れた位置にある。また、第2の脱落防止部81は、その平板部の所定位置にミラー38の端面385に向かって半球状に突出させた突起部82を有している。この突起部82は、その先端をミラー38の端面385には当接させず、ミラー38の端面385との間に一定の隙間を有する状態に配置される。このような第2の脱落防止部81は、外部からの振動が伝わった場合に、ミラー38が第1の方向(X方向)に移動してミラー38が脱落することを防止するためのものである。このような第2の脱落防止部81がミラー38の長手方向の両端面に近接して配置されることにより、第3保持部54が形成されている。
【0068】
上記のように、光学装置33の保持部51は、第1保持部52によってミラー38の厚み方向である第2の方向(Y方向)にのみ押圧力を付与することによりミラー38の表裏両面を挟み込んだ状態で保持し、ハウジング50に固定している。言い換えると、保持部51の第2保持部53及び第3保持部54は、ミラー38の長手方向である第1の方向(X方向)及び幅方向である第3の方向(Z方向)に関し、ミラー38に押圧力を付与することなく、ミラー38が保持部51から脱落しないように保持している。そのため、ミラー38は、第1保持部52と接触する位置が固定点となり、仮に外部からの振動がミラー38に伝わると、ミラー38はその固定点を支点として振動する。
【0069】
ここで、本実施形態における第2保持部53は、傾斜した状態に配置されるミラー38を支持するため、第2の着座部66が第1の脱落防止部75よりも重力方向下方位置に配置され、第2の着座部66がミラー38の一方の側面383に接合した状態となっている。そのため、外部からの振動がミラー38に伝わってミラー38が振動すると、第2の着座部66とミラー38の側面383との間に滑りが生じ、第2の着座部66とミラー38の側面383との摩擦が静摩擦から動摩擦に変わる可能性がある。これを防ぐため、第2の着座部66は、ミラー38の厚み方向(第2の方向)においてミラー38の側面383の中央で接するように配置されることが好ましい。
【0070】
図13は、第2の着座部66の好ましい設置位置を示す図である。図13(a)は、第1保持部52によって挟持された位置を固定点としてミラー38が上に凸となるように振動した状態を示している。図13(a)に示す状態のとき、ミラー38の上側(第2の方向(Y方向)において突起部74に近い側)には引張変形が生じ、ミラー38の下側(第2の方向(Y方向)において第1の着座部62に近い側)には圧縮変形が生じる。次に図13(b)は、第1保持部52によって挟持された位置を固定点としてミラー38が下に凸となるように振動した状態を示している。図13(b)に示す状態のとき、ミラー38の上側には圧縮変形が生じ、ミラー38の下側には引張変形が生じる。このようにミラー38が第1保持部52によって挟持された位置を支点として振動するとき、ミラー38の中央のライン387上の点は、引張変形又は圧縮変形による変位量が小さくなる。特に、第1保持部52によって挟持される2点を結ぶラインと、中央のライン387との交点となる中央位置P1は、引張変形及び圧縮変形に伴う変形が最も少なく、その変位量は無視できる程に小さい。そこで、第2の着座部66をミラー38の中央位置P1に接触させることにより、第2の着座部66は、ミラー38が振動する場合であっても変位しない位置を支持することが可能であり、ミラー38との摩擦が静摩擦から動摩擦に変化してしまうことを抑制することができる。それ故、ミラー38に対する入振強度が変化する場合であっても、ミラー38を含む振動系の伝達関数及びミラー38の共振周波数を安定化させることが可能である。
【0071】
また、第2の着座部66に対向する第1の脱落防止部75の突起部76についても、ミラー38が第3の方向(Z方向)に移動してミラー38の側面384に接触する際にミラー38の中央位置P1に接触する構成とすることが好ましい。そのため、第1の脱落防止部75の突起部76も、第2の着座部66と同様、第2の方向(Y方向)に関し、ミラー38の中央位置P1に配置されることが好ましい。
【0072】
図14は、光学装置33の組み立て図である。ハウジング50の両端に設けられた傾斜面61,65には予め第1の着座部62と第2の着座部66とが設置される。すなわち、傾斜面61,65に設けられた凹部63,67に鋼球64,68を嵌め込むことにより、第1の着座部62及び第2の着座部66が設置される。ミラー38は、それら第1の着座部62及び第2の着座部66に載置される。このとき、ミラー38は、一方の側面383の中央近傍位置が鋼球68の一点によって支持されると共に、裏面382の中央近傍位置が鋼球64の一点によって支持される。鋼球64,68は、剛性の高い部材であるため、ミラー38の保持位置を安定させることができる。ミラー38が第1の着座部62及び第2の着座部66に載置されると、次にハウジング50の両端部に保持部材70が取り付けられる。
【0073】
ハウジング50は、保持部材70が取り付けられる部分に、2つのピン58,59と螺子孔57aとを有している。一方、保持部材70の取付部71には、2つのピン58,59を嵌め込む孔71a,71bと、ビス57を挿通する孔71cとが設けられている。尚、2つの孔71a,71bのうち、一方の孔71aは、X方向に所定長さを有する長孔として形成されている。それら2つの孔71a,71bのそれぞれにピン58,59を嵌め込むことにより、保持部材70は、ハウジング50の端部所定位置に位置決めされる。この状態で、ミラー38を第1の方向(X方向)に位置調整することにより、第2の脱落防止部81に対するミラー38の長手方向の両端面385,386の位置を調整できる。そして取付部71の孔71cに対してビス57を挿入して螺子孔57aに螺子込むことにより、保持部材70は、ハウジング50の所定位置に固定される。これにより、保持部材70の押圧部73は、突起部74をミラー38の表面381に当接し、且つ、ミラー38を第1の着座部62に向けて押圧した状態となる。また、保持部材70の第1の脱落防止部75は、突起部76をミラー38の側面384から所定間隔離れた位置に保持し、ミラー38に対して第3の方向(Z方向)の押圧力を作用させない状態となる。
【0074】
押圧部73による押圧力は、螺子孔57aに対するビス57の締め付け度合いによって調整することができる。ただし、仮に押圧部73による押圧力が比較的強くなったとしても、ミラー38の裏面382が、剛性の高い鋼球64によって支持されているため、ミラー38を歪ませることなく、ミラー38を所定位置に保持することができる。そのため、上記のようにして保持部材70がハウジング50に取り付けられることにより、ミラー38に対する第1の脱落防止部75及び第2の脱落防止部81の位置を簡単且つ高精度に調整することが可能である。それ故、ハウジング50に対するミラー38の組み付け作業を効率的に行うことができるようになる。
【0075】
したがって、本実施形態の光学装置33は、ミラー38を含む振動系の伝達関数及びミラー38の共振周波数を安定化させることができると共に、ハウジング50に対してミラー38を組み付ける際の作業効率を向上させることができるという利点もある。
【0076】
(第2実施形態)
次に、図15は、保持部51の別の形態を示す断面図である。図15に示す保持部51は、ハウジング50の傾斜面61に形成された突起部83によって第1の着座部62が構成されると共に、ハウジング50の傾斜面65に形成された突起部84によって第2の着座部66が構成されている。例えば、突起部83,84は、円錐状又は角錐状に形成され、その先端をミラー38の裏面382又は側面383に接触させた状態でミラー38を支持する。これらの突起部83,84は、ハウジング50の形成時に傾斜面61,65に対して一体形成されるため、第1実施形態のように鋼球64,68を嵌め込む必要がない。そのため、光学装置33の組み付け作業を更に効率的に行うことができるという利点がある。
【0077】
図15では、押圧部73に設けられる突起部74を、第1実施形態と同様、半球状に突出させた例を示しているが、これに限られるものではない。すなわち、突起部74は、円錐状又は角錐状に突出させた形状であっても構わない。また、第1の脱落防止部75に設けられる突起部76についても同様であり、突起部76は円錐状又は角錐状に突出させた形状であっても構わない。
【0078】
尚、本実施形態におけるその他の点は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0079】
(第3実施形態)
次に、図16は、保持部51の更に別の形態を示す断面図である。この保持部51は、図16(a)に示すように、ハウジング50の傾斜面61,65に形成される凹部63,67が円形の螺子孔63a,67aとして形成される。その螺子孔63a,37aには、突起部材85,86が装着される。突起部材85,86は、先端側が半球状に形成されており、基端側に螺子孔63a,67aに螺合する雄螺子87が形成されている。突起部材85,86は、雄螺子87を螺子孔63a,67aに螺子込むことによって、半球状の先端部を傾斜面61,65の表面から突出させた状態に取り付けられる。
【0080】
図16(b)は、突起部材85,86をハウジング50の傾斜面61,65のそれぞれに取り付けた状態を示している。本実施形態における第1の着座部62は、傾斜面61に設けられた螺子孔63aに突起部材85が装着されることによって構成される。また、第2の着座部66も同様に、傾斜面65に設けられた螺子孔67aに突起部材86が装着されることによって構成される。このような構成を有する第1の着座部62及び第2の着座部66は、螺子孔63a,57aに対する雄螺子87の埋め込み量を調整することにより、傾斜面61,65から突出する半球状先端部の高さ位置を調整することが可能である。すなわち、第1の着座部62を構成する突起部材85は、その先端位置を第2の方向(Y方向)に調整可能であり、第2の着座部66を構成する突起部材86は、その先端位置を第3の方向(Z方向)に調整可能である。
【0081】
突起部材85の先端位置を第2の方向に調整可能とすることにより、第1保持部52がミラー38を押圧する押圧力を調整することが可能である。すなわち、突起部材85の先端位置を調整することによって第1保持部52による押圧力が常に一定の状態となるように調整することができる。その結果、ミラー38を含む振動系の伝達関数及びミラー38の共振周波数をより一層安定させることができる。
【0082】
また、突起部材86の先端位置を第3の方向に調整することにより、突起部材86に対向する突起部76とミラー38の側面384との間隔を調整することが可能である。そのため、ミラー38の側面384と突起部76との間隔を一定の状態に調整できるという利点がある。また、ハウジング50に保持部材70を取り付けた際に突起部76がミラー38の側面384に当たっている場合には、螺子孔67aに対する突起部材86の埋め込み量を大きくすることによって突起部76がミラー38の側面384に当たらない状態に調整できるため、保持部材70の加工バラツキなどによる影響を取り除くことができるという利点もある。
【0083】
図16では、傾斜面61,65に対して螺子孔63a,67aを設け、突起部材85,86をそれらの螺子孔63a,67aに装着する場合を例示したが、これに限られるものでない。例えば、押圧部73や第1の脱落防止部75を構成する平板部に螺子孔を設け、その螺子孔に上述した突起部材を装着するようにしても良い。
【0084】
尚、本実施形態におけるその他の点は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0085】
(第4実施形態)
次に、図17は、保持部51の更に別の形態を示す断面図である。この保持部51は、第1保持部52がミラー38の表裏両面381,382の複数箇所に接触してミラー38を押圧した状態に保持する。例えば、ハウジング50の傾斜面61には、第1実施形態と同様の第1の着座部62が2箇所の位置に設けられる。2箇所の位置に設けられた第1の着座部62は、それぞれミラー38の裏面382に接触する。また、押圧部73には、第1の着座部62に対向する2箇所の位置に突起部74,74が形成される。押圧部73は、それら2箇所の突起部74,74をミラー38の表面381に接触させ、ミラー38を第1の着座部62に向けて押圧する。このようにして第1保持部52は、ミラー38の表裏両面を押圧した状態に挟持する。このように第1保持部52がミラー38の表裏両面381,382の複数箇所に接触してミラー38を保持することにより、ミラー38の保持状態を安定させることができる。
【0086】
上記のように第1保持部52がミラー38の表裏両面381,382の複数箇所に接触してミラー38を押圧した状態に保持する構成は、ミラー38の長手方向(第1の方向)の両端部に設けても良いし、一方の端部のみに設けても構わない。
【0087】
尚、本実施形態におけるその他の点は、第1乃至第3実施形態のそれぞれで説明したものと同様である。
【0088】
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例を適用することができる。
【0089】
例えば、上記実施形態では、光学素子5であるミラー38が直方体である場合を例示した。しかし、本発明を適用可能な光学素子5は、必ずしも直方体であるものに限られない。例えば、光学素子5の形状は、台形状であっても構わないし、弓状に湾曲した形状であっても構わない。また、光学素子5の表裏両面のうちの一方の面だけが弓状に湾曲した形状であっても構わない。
【0090】
また、上記実施形態では、光学素子5の一例としてミラー38を例示した。しかし、光学素子5は、ミラー38に限られるものではなく、長尺状のレンズであっても構わないし、また長尺状の受光素子であっても構わない。
【0091】
また、上記実施形態では、光学素子5の第2の方向(Y方向)に位置する表裏両面のうちの表面を光学機能面とした例を説明した。しかし、光学素子5の光学機能面は、表面に限られず、裏面に設けられても良いし、表裏両面に設けられるものであっても構わない。また、上記実施形態では、光学機能面が反射面である場合を例示したが、光学機能面は必ずしも反射面に限られず、集光作用・散乱作用・屈折作用など、何らかの光学的作用を示すものであれば良い。
【0092】
また、上記実施形態では、第2の着座部66がミラー38の一方の側面383に接触した状態に配置される例を説明した。しかし、第2の着座部66は、ミラー38の一方の側面383に接触させないように配置しても構わない。この場合、仮にミラー38が振動したとしても、第2の着座部66とミラー38との間に摩擦が生じないため、ミラー38を含む振動系の伝達関数及びミラー38の共振周波数をより一層安定させることができるという利点がある。
【0093】
また、上記実施形態では、押圧部73を板バネ構造の弾性体によって構成し、ミラー38に対して押圧力を付与する態様を例示した。しかし、押圧部73が押圧力を付与する態様は、板バネ構造に限られず、コイルバネなどの弾性体構造を採用しても構わない。
【0094】
また、上記実施形態では、本発明の特徴的な構成を備える光学装置33が光書き込み装置30に実装される場合を例示した。しかし、それに限られるものではなく、本発明の特徴的な構成を備える光学装置は、スキャナ部3の画像読取装置40に実装することも可能である。例えば、画像読取装置40は、上述のようにミラー45,46,47を備えている。そのため、それらミラー45,46,47を保持する構造として、上述した光学装置33の保持部51の構造を採用しても良い。
【符号の説明】
【0095】
1 画像処理装置
5 光学素子
30 光書き込み装置
33 光学装置
38 ミラー(光学素子)
40 画像読取装置
51(51a,51b) 保持部
52 第1保持部
53 第2保持部
54 第3保持部
62 第1の着座部
64 鋼球
66 第2の着座部
68 鋼球
73 押圧部
図1
図2
図3
図4
図5
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図17