(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】画像読み取り装置、画像読み取りプログラム、画像処理装置および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/195 20060101AFI20240806BHJP
G06T 5/50 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H04N1/195
G06T5/50
(21)【出願番号】P 2021066439
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 竹寿
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-209412(JP,A)
【文献】特開2003-189169(JP,A)
【文献】特開2001-169301(JP,A)
【文献】特開平05-145757(JP,A)
【文献】特開平11-184966(JP,A)
【文献】特開2017-222063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/195
G06T 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーと、
前記エリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて原稿を読み取る第1読み取り手段と、
前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、前記第1グループの受光素子による読み取り領域から副走査方向に1/2画素ずれた領域で原稿を読み取る第2読み取り手段と、
前記第1および第2読み取り手段によるG色の読み取りデータを用いて、R色およびB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成手段と、を備える
ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーと、
原稿の読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、原稿を読み取る第1読み取り手段と、
前記読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、原稿を読み取る第2読み取り手段と、
前記第1及び第2読み取り手段によるG色の読み取りデータを用いて、R色及びB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成手段と、を備え、
前記第1グループは、画素ごとのカラーフィルターの配置が、第2グループとは、副走査方向について1/2画素ずれている
ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
前記第1グループの受光素子のうち正方配列された4つの受光素子が読み取る原稿上の読み取り位置と、前記第2グループの受光素子のうち正方配列された4つの受光素子が読み取る原稿上の読み取り位置と、が同じ場合に、
当該第1グループの4つ受光素子に対応するカラーフィルターの配置と、当該第2グループの4つ受光素子に対応するカラーフィルターの配置とは、
前記第2グループの正方配列において、
前記第1グループにおける正方配列における2つ
のG色のカラーフィルターのうちの一方に対応する位置に、R色のカラーフィルターが配置され、
当該
2つのG色のカラーフィルターのうちの他方に対応する位置に、B色のカラーフィルターが配置され、
前記第1グループにおける正方配列におけるR色およびB色のカラーフィルターに対応する位置に、G色のカラーフィルターが配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
R色およびB色の読み取りデータを補間する場合には、当該読み取りデータの周辺のG色の読み取りデータを用いる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記周辺のG色の読み取りデータどうしの差が所定の閾値以下である場合には、当該周辺のG色の読み取りデータに代えて、当該周辺のR色またはB色の読み取りデータを用いて、前記補間を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記G色の読み取りデータを用いて領域判定を行う領域判定手段と、
当該
領域判定
の結果に応じて画像処理を実施する画像処理手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
前記領域判定手段は、前記領域判定に用いるG色の読み取りデータどうしの差が所定の閾値以下である場合には、G色に代えて、R色またはB色の読み取りデータを用いて領域判定を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
前記領域判定手段は、網点、文字、写真、エッジおよび細線の少なくとも1つについて、当該領域に該当するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の画像読み取り装置。
【請求項9】
前記画像処理手段は、スムージング処理、エッジ強調処理および細線処理の少なくとも1つの画像処理を実施する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の画像読み取り装置。
【請求項10】
RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され
ているエリアセンサーを用いて、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出する受光量検出ステップと、
前記エリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて原稿を読み取る第1読み取りステップと、
前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、前記第1グループの受光素子による読み取り領域から副走査方向に1/2画素ずれた領域で原稿を読み取る第2読み取りステップと、
前記第1および第2読み取り
ステップによるG色の読み取りデータを用いて、R色およびB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成ステップと、をコンピューターに実行させる
ことを特徴とする画像読み取りプログラム。
【請求項11】
RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され
ているエリアセンサーを用いて、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出する受光量検出ステップと、
原稿の読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、原稿を読み取る第1読み取りステップと、
前記読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、原稿を読み取る第2読み取りステップと、
前記第1及び第2読み取り
ステップによるG色の読み取りデータを用いて、R色及びB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成ステップと、をコンピューターに実行させ、
前記第1グループは、画素ごとのカラーフィルターの配置が、第2グループとは、副走査方向について1/2画素ずれている
ことを特徴とする画像読み取りプログラム。
【請求項12】
RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、原稿を読み取った第1読み取りデータと、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、前記第1グループの受光素子による読み取り領域から副走査方向に1/2画素ずれた領域で原稿を読み取った第2読み取りデータと、を取得する取得手段と、
前記第1および第2読み取り
データに含まれるG色の読み取りデータを用いて、R色およびB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成手段と、を備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、読み取り領域ごとに原稿を読み取った第1読み取りデータと、前記読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、原稿を読み取った第2読み取りデータと、を取得する取得手段と、
前記第1及び第2読み取り
データに含まれるG色の読み取りデータを用いて、R色及びB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成手段と、を備え、
前記第1グループは、画素ごとのカラーフィルターの配置が、第2グループとは、副走査方向について1/2画素ずれている
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項14】
RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて原稿を読み取った第1読み取りデータと、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、前記第1グループの受光素子による読み取り領域から副走査方向に1/2画素ずれた領域で原稿を読み取った第2読み取りデータと、を取得する取得ステップと、
前記第1および第2読み取り
データに含まれるG色の読み取りデータを用いて、R色およびB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成ステップと、をコンピューターに実行させる
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項15】
RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、読み取り領域ごとに原稿を読み取った第1読み取りデータと、前記読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、原稿を読み取った第2読み取りデータと、を取得する取得ステップと、
前記第1及び第2読み取り
データに含まれるG色の読み取りデータを用いて、R色及びB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成ステップと、をコンピューターに実行させ、
前記第1グループは、画素ごとのカラーフィルターの配置が、第2グループとは、副走査方向について1/2画素ずれている
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像読み取り装置、画像読み取りプログラム、画像処理装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像読み取り装置は、ラインセンサーやエリアセンサーを用いて原稿を読み取り、画像データを生成する。読み取りセンサーの解像度は、A3サイズの原稿を読み取る場合、一般的に600dpi(dots per inch)が上限である。この600dpiの読み取りセンサーで網点印刷した原稿を読み取ると、ハイライト領域における黒孤立点や、シャドウ領域における白孤立点の読み取り性能が安定しないので、階調特性が歪んで、表現すべき階調と、網点を用いて表現される階調との関係が非線形になってしまう。
【0003】
ハイライト領域における黒孤立点や、シャドウ領域における白孤立点は面積が小さいので、上限の解像度600dpiで読み取っても、孤立点の面積が1画素の面積よりも小さい場合や、1つの孤立点が複数の画素にまたがっており、個々の画素に対応する孤立点の面積が1画素の面積よりも小さい場合には、当該画素の階調値が孤立点よりも下地の階調値に近くなる。このようにして、孤立点が縮小したり、消滅したりすると網点を用いて表現される階調が歪んでしまう。
【0004】
このような問題に対して、例えば、階調特性が歪んでいる画像データにスムージング処理やエッジ強調処理などの画像処理を施す技術が知られている。このようにすれば、階調特性の歪みをある程度、目立ち難くすることはできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-171560号公報
【文献】特開2009-171561号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】田中徹、「デジタル画像における色再現技術と官能・定量評価」、技術情報会(2005.2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術はハイライト領域における黒孤立点や、シャドウ領域における白孤立点が精度よく検出されていない画像データを用いているため、スムージング処理やエッジ強調処理などの画像処理を施したところで、階調特性の歪みを十分に改善することが難しく、優れた品質の画像データを生成することができない。
【0008】
本開示は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、網点を用いて表現される階調の高低に関係なく孤立点を精度よく検出することができる画像読み取り装置、画像読み取りプログラム、画像処理装置および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係る画像読み取り装置は、RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーと、前記エリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて原稿を読み取る第1読み取り手段と、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、前記第1グループの受光素子による読み取り領域から副走査方向に1/2画素ずれた領域で原稿を読み取る第2読み取り手段と、前記第1および第2読み取り手段によるG色の読み取りデータを用いて、R色およびB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本開示の別の一形態に係る画像読み取り装置は、RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーと、原稿の読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、原稿を読み取る第1読み取り手段と、前記読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、原稿を読み取る第2読み取り手段と、前記第1及び第2読み取り手段によるG色の読み取りデータを用いて、R色及びB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成手段と、を備え、前記第1グループは、画素ごとのカラーフィルターの配置が、第2グループとは、副走査方向について1/2画素ずれていることを特徴とする。
【0011】
この場合において、前記第1グループの受光素子のうち正方配列された4つの受光素子が読み取る原稿上の読み取り位置と、前記第2グループの受光素子のうち正方配列された4つの受光素子が読み取る原稿上の読み取り位置と、が同じ場合に、当該第1グループの4つ受光素子に対応するカラーフィルターの配置と、当該第2グループの4つ受光素子に対応するカラーフィルターの配置とは、前記第2グループの正方配列において、前記第1グループにおける正方配列における2つのG色のカラーフィルターのうちの一方に対応する位置に、R色のカラーフィルターが配置され、当該2つのG色のカラーフィルターのうちの他方に対応する位置に、B色のカラーフィルターが配置され、前記第1グループにおける正方配列におけるR色およびB色のカラーフィルターに対応する位置に、G色のカラーフィルターが配置されているのが望ましい。
【0012】
また、R色およびB色の読み取りデータを補間する場合には、当該読み取りデータの周辺のG色の読み取りデータを用いてもよい。このばあいにおいて、前記周辺のG色の読み取りデータどうしの差が所定の閾値以下である場合には、当該周辺のG色の読み取りデータに代えて、当該周辺のR色またはB色の読み取りデータを用いて、前記補間を行うのが好適である。
【0013】
また、前記G色の読み取りデータを用いて領域判定を行う領域判定手段と、当該領域判定の結果に応じて画像処理を実施する画像処理手段と、を備えてもよい。この場合において、前記領域判定手段は、前記領域判定に用いるG色の読み取りデータどうしの差が所定の閾値以下である場合には、G色に代えて、R色またはB色の読み取りデータを用いて領域判定を行うのが好適である。
【0014】
また、前記領域判定手段は、網点、文字、写真、エッジおよび細線の少なくとも1つについて、当該領域に該当するか否かを判定してもよい。
【0015】
また、前記画像処理手段は、スムージング処理、エッジ強調処理および細線処理の少なくとも1つの画像処理を実施してもよい。
【0016】
また、本開示の一形態に係る画像読み取りプログラムは、RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列されているエリアセンサーを用いて、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出する受光量検出ステップと、前記エリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて原稿を読み取る第1読み取りステップと、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、前記第1グループの受光素子による読み取り領域から副走査方向に1/2画素ずれた領域で原稿を読み取る第2読み取りステップと、前記第1および第2読み取りステップによるG色の読み取りデータを用いて、R色およびB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成ステップと、をコンピューターに実行させることを特徴とする。
【0017】
また、本開示の別の一形態に係る画像読み取りプログラムは、RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列されているエリアセンサーを用いて、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出する受光量検出ステップと、原稿の読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、原稿を読み取る第1読み取りステップと、前記読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、原稿を読み取る第2読み取りステップと、前記第1及び第2読み取りステップによるG色の読み取りデータを用いて、R色及びB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成ステップと、をコンピューターに実行させ、前記第1グループは、画素ごとのカラーフィルターの配置が、第2グループとは、副走査方向について1/2画素ずれていることを特徴とする。
【0018】
また、本開示の一形態に係る画像処理装置は、RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、原稿を読み取った第1読み取りデータと、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、前記第1グループの受光素子による読み取り領域から副走査方向に1/2画素ずれた領域で原稿を読み取った第2読み取りデータと、を取得する取得手段と、前記第1および第2読み取りデータに含まれるG色の読み取りデータを用いて、R色およびB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本開示の別の一形態に係る画像処理装置は、RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、読み取り領域ごとに原稿を読み取った第1読み取りデータと、前記読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、原稿を読み取った第2読み取りデータと、を取得する取得手段と、前記第1及び第2読み取りデータに含まれるG色の読み取りデータを用いて、R色及びB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成手段と、を備え、前記第1グループは、画素ごとのカラーフィルターの配置が、第2グループとは、副走査方向について1/2画素ずれていることを特徴とする。
【0020】
また、本開示の一形態に係る画像処理プログラムは、RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて原稿を読み取った第1読み取りデータと、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、前記第1グループの受光素子による読み取り領域から副走査方向に1/2画素ずれた領域で原稿を読み取った第2読み取りデータと、を取得する取得ステップと、前記第1および第2読み取りデータに含まれるG色の読み取りデータを用いて、R色およびB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成ステップと、をコンピューターに実行させることを特徴とする。
【0021】
また、本開示の別の一形態に係る画像処理プログラムは、RGB三色のカラーフィルターがベイヤー配列され、カラーフィルター毎に受光素子で受光量を検出するエリアセンサーの第1グループの受光素子を用いて、読み取り領域ごとに原稿を読み取った第1読み取りデータと、前記読み取り領域ごとに、前記エリアセンサーの第2グループの受光素子を用いて、原稿を読み取った第2読み取りデータと、を取得する取得ステップと、前記第1及び第2読み取りデータに含まれるG色の読み取りデータを用いて、R色及びB色の読み取りデータを補間し、前記エリアセンサーの解像度の2倍の解像度の画像データを合成する合成ステップと、をコンピューターに実行させ、前記第1グループは、画素ごとのカラーフィルターの配置が、第2グループとは、副走査方向について1/2画素ずれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
このようにすれば、RGB三色のカラーフィルターをベイヤー配列したエリアセンサーは、カラーフィルターごとに受光量を検出する受光素子に関しては、ベイヤー配列された4つのカラーフィルターを1画素とした場合と比較して、主走査方向と副走査方向とのどちらについても2倍の解像度を有している。このようなエリアセンサーを用いて、原稿D上で副走査方向に1/2画素だけずれた2つの画像データを生成すれば、G色については画素単位の2倍の解像度が得られる。
【0023】
また、R色およびB色に関しては、副走査方向では画素単位の2倍の解像度が得られ、主走査方向については、補間によって当該2倍の解像度を得ることができる。特に、この補間にG色の画像データを利用すれば、特に精度を向上させることができる。このように、高い解像度の画像データを得ることができるので、当該高い解像度の画像データを用いて小サイズの孤立点を検出し、階調特性の歪みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の実施の形態に係る複合機の主要な構成を示す外観斜視図である。
【
図2】シートスルー方式およびプラテンセット方式で原稿Dを読み取るための画像読み取り部100および自動原稿搬送部102の主要な構成を示す断面斜視図である。
【
図3】プラテンセット方式で原稿Dを読み取る際に、原稿D上の読み取り領域からの反射光がエリアセンサー201の受光領域に入射するまでの光路を模式的に表した斜視図である。
【
図4】エリアセンサー201の主要な構成を表した分解斜視図である。
【
図5】(a)はエリアセンサー201の第1エリア501および第2エリア502のカラーフィルター構成を表す平面図であり、(b)は第1エリア501および第2エリア502の読み取りタイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図6】(a)は原稿D上の1回目の読み取り位置を表す図であり、(b)は原稿D上の2回目の読み取り位置を表す図であり、(c)は原稿D上の3回目の読み取り位置を表す図である。
【
図7】(a)は第1エリア501による読み取り位置と読み取り色を表し、(b)は(a)との関係において、第2エリア502による読み取り位置と読み取り色を表し、(c)は合成した画像データを読み取り色ごとに例示する図である。
【
図8】R色およびB色について補間後の画像データをそれぞれ表す平面図である。
【
図9】注目画素の3×3近傍について、RGB各色の画像データ上の位置ごとに、画像データの色をアルファベットで表し、位置を添え字で表した平面図である。
【
図10】画像読み取り制御部103の収容な構成を説明するブロック図である。
【
図11】高解像度の画像データを生成し画像処理する場合における、画像読み取り制御部103の動作を説明するフローチャートである。
【
図12】画像読み取り制御部103が実行する画像読み取り処理(S1101)を説明するフローチャートである。
【
図13】画像読み取り制御部103が実行する画像データの合成および補間処理(S1102)を説明するフローチャートである。
【
図14】画像読み取り制御部103が実行する画像処理(S1103)を説明するフローチャートである。
【
図15】画像読み取り制御部103が実行する領域判別結果に応じた画像処理(S1407)を説明するフローチャートである。
【
図16】(a)は本開示の変形例に係る第1エリア1601および第2エリア1602のフィルター構成を説明する平面図であり、(b)は第1エリア1601および第2エリア1602の読み取りタイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図17】(a)は原稿D上の第1エリア1601による1回目の読み取り位置を表す図であり、(b)は原稿D上の第1エリア1601による2回目の読み取り位置と第2エリア1602による1回目の読み取り位置とを表す図であり、(c)は原稿D上の第1エリア1601による3回目の読み取り位置と第2エリア1602による2回目の読み取り位置とを表す図である。
【
図18】(a)は本開示の変形例に係る第1エリア1801および第2エリア1802のフィルター構成を説明する平面図であり、(b)は第1エリア1801および第2エリア1802の読み取りタイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図19】(a)は原稿D上の第1エリア1801による1回目の読み取り位置を表す図であり、(b)は原稿D上の第2エリア1802による1回目の読み取り位置を表す図であり、(c)は原稿D上の第1エリア1801による2回目の読み取り位置を表す図である。
【
図20】(a)はエリアセンサーの同じエリア内の画素どうしでカラーフィルターの配列が異なる場合を例示する図であり、(b)は第1エリア2003と第2エリア2004とが主走査方向に並ぶ場合を例示する図である。
【
図21】(a)は第1エリア2101と第2エリア2102とでカラーフィルターの配置が異なる場合を例示する図であり、(b)は読み取り色ごとに合成した画像データを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示に係る画像読み取り装置、画像読み取りプログラム、画像処理装置および画像処理プログラムの実施の形態について、画像読み取り機能を備えた複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)を例にとり、図面を参照しながら説明する。
[1]複合機1の構成
本実施の形態に係る複合機1は、画像読み取り機能、コピー機能、ファクシミリ機能、ネットワーク機能、BOX機能といった複数の機能を兼ね備えており、
図1に示すように、画像読み取り部100、操作パネル101、自動原稿搬送部(ADF: Automatic Document Feeder)102、画像形成部111および給紙部112を備えている。
【0026】
操作パネル101は、タッチパネルやハードキー、スピーカー、LED(Light Emitting Diode)等を備えている。操作パネル101は、複合機1のユーザーに対してタッチパネルの画面等に情報を提示する。また、操作パネル101は、ユーザーにタッチパネルやハードキー等を操作させることによって指示入力を受け付けたりする。ユーザーの指示入力とは、例えば、原稿の読み取りを指示する入力である。
【0027】
画像読み取り部100は、シートスルー方式またはプラテンセット方式で原稿を光学的に読み取って画像データを生成する。自動原稿搬送部102は、シートスルー方式で原稿を読み取る場合に、画像読み取り部100へ原稿束から1枚ずつ原稿を搬送しながら、読み取らせる。プラテンセット方式の場合には、画像読み取り部100は、プラテンガラス上に載置された原稿を読み取る。画像読み取り部100は、画像読み取り制御部103を備えている。画像読み取り制御部103は、画像読み取り部100の動作を監視したり、制御したりする他、画像データを生成するために画像処理などの処理を実行する。
【0028】
画像形成部111は、画像読み取り部100が生成した画像データや、ユーザーが指定した画像データを用いて記録シート上に画像を形成する。給紙部112は、複数の給紙トレイを備えており、給紙トレイ毎に種類の異なる記録シートを収容することができる。給紙部112は、ユーザーが指定した記録シートを画像形成部111に供給する。画像形成部111は、画像を形成すると記録シートを排紙トレイ113上に排出する。
【0029】
複合機1は、本体制御部114を備えている。本体制御部114は、いわゆるコンピューターであって、複合機1の動作を監視し、制御する。特に、画像読み取り部100の動作を制御するとともに、解像度の高い画像データを生成し、当該画像データに画像処理を施すことによって、画像データを生成する。
[2]画像読み取り部100の構成
シートスルー方式で原稿を読み取る場合には、自動原稿搬送部102は、
図2に示すように、原稿トレイ211上に載置されている原稿束の最上位から1枚ずつ原稿を送り出して、原稿搬送路212に沿って原稿を搬送しながら、画像読み取り部100に原稿を読み取らせる。画像読み取り部100は、エリアセンサー201を用いて原稿の表面を読み取る。原稿の裏面も読み取る場合には、画像読み取り部100はエリアセンサー202を用いる。
【0030】
エリアセンサー201、202はどちらもカラーイメージセンサーである。本実施の形態においては、エリアセンサー202が密着イメージセンサー(CIS: Contact Image Sensor)を構成している場合を例にとって説明するが、本開示が密着イメージセンサーに限定されないことは言うまでもない。読み取り終わった原稿は、排紙トレイ213上に順次、排出される。
【0031】
プラテンセット方式で原稿を読み取る場合には、プラテンガラス221上に原稿Dを載置する。自動原稿搬送部102は、原稿カバーを兼ねており、白色板222を用いて原稿Dをプラテンガラス221に押し付ける。画像読み取り部100は、第1ミラーユニット230および第2ミラーユニット240を備えている。原稿スキャナーモーター252に駆動されることによって、第1ミラーユニット230はホームポジションから原稿Dの読み取り面に沿って副走査方向に速度Vで移動することができる。
【0032】
同様に原稿スキャナーモーター252に駆動されることによって、第2ミラーユニット240はホームポジションから当該読み取り面に沿って副走査方向に速度V/2で移動することができる。第1ミラーユニット230および第2ミラーユニット240は、原稿Dを読み取る際には、ホームポジションから移動を開始する。
【0033】
第1ミラーユニット230は、原稿照明ランプ231および第1ミラー232を備えている。原稿照明ランプ231は、原稿Dの読み取り面上の読み取り領域を照明する。第1ミラー232は、当該読み取り領域からの反射光を反射して、第2ミラーユニット240へ案内する。第2ミラーユニット240は、第2ミラー241および第3ミラー242を備えている。第2ミラー241は、第1ミラー232に案内された反射光を反射して、第3ミラー242へ案内する。第3ミラー242は、第2ミラー241からの光を反射して、レンズ251へ案内する。
【0034】
レンズ251は、第3ミラー242からの光を集束して、エリアセンサー201上に入射させる。画像読み取り部100は、第1ミラーユニット230および第2ミラーユニット240を移動させながら、読み取り領域からの反射光をエリアセンサー201上に入射させることによって、プラテンセット方式で原稿Dを読み取る。
【0035】
なお、シートスルー方式で原稿Dを読み取る場合には、第1ミラーユニット230の第1ミラー231が原稿Dの読み取り位置の直下になるように、第1ミラーユニット230を移動させる。これに合わせて位置に第2ミラーユニット240が移動される。
【0036】
図3に示すように、第1ミラーユニット230および第2ミラーユニット240からなる反射光学系301が副走査方向へ移動することによって、原稿Dの読み取り面上の読み取り領域302もまた副走査方向へ移動する。読み取り領域302からの反射光は、反射光学系301および読み取り領域302の副走査方向における位置に関係なく、レンズ251を経由して、エリアセンサー201の所定領域303に入射する。後述のように所定領域303は第1エリアと第2エリアとに分かれている。
[3]エリアセンサー201、202
エリアセンサー201、202は概ね同様の構成を備えている。このため、以下においては、符号を省いて単に「エリアセンサー」と総称して、エリアセンサー201、202を指し示す。
【0037】
エリアセンサーは、カラー画像を読み取るカラーイメージセンサーである。エリアセンサーは、
図4に示すように、それぞれカラーフィルター部410とセンサー部420とを備えている。原稿Dからの反射光はカラーフィルター部410を経由してセンサー部420に入射する。
【0038】
原稿Dからカラーフィルター部410に至る入射光の光路上には液晶シャッター等のシャッター装置430が配設されており、エリアセンサーの読み取りタイミング(読み取り位置の移動状況)に合わせて開閉する。読み取りタイミング毎に、シャッター装置430が開放されると、原稿Dからの反射光がセンサー部420に入射して、センサー部420の受光素子421毎に入射光量が検出される。
【0039】
センサー部420は、受光素子421が格子状に2次元配置されている。本実施の形態においては、解像度が主走査方向と副走査方向とのどちらについても1200dpiになるように受光素子421が配列されている。受光素子421がそれぞれ検出した入射光の受光量は画像読み取り制御部103によって読み出される。
【0040】
カラーフィルター部410は、センサー部420の各受光素子421に入射する入射光の光色をR(レッド)、G(グリーン)およびB(ブルー)の何れかに帯域制限する。カラーフィルター部410は、いわゆるベイヤー配列(Bayer arrangement)に従って配列されている。すなわち、2つのG色のカラーフィルターとR色のフィルターおよびB色のカラーフィルター各1つを1組として、正方配列したものを1画素としており、G色のカラーフィルターが当該正方配列における対角位置になるように配置されている。
【0041】
正方配列の中での各色のカラーフィルターの配置は、G色の2つのカラーフィルターが対角位置に配置されていればよく、それ以外の制限はない。このため、画素ごとの正方配列における各色のカラーフィルターの配置には、
図4に例示した配置と、当該配置におけるR色とB色の位置を交換した配置とが含まれる。また、G色の対角位置を
図4の例と異ならせた配置であって、R色とB色との位置が異なる2種類の配置も考えられる。
【0042】
したがって、全部で4種類の正方配列をとることができる。また、カラーフィルター部410のすべての画素について、正方配列における各色のカラーフィルターの配置が互いに同じになっている。
【0043】
RGB各色のカラーフィルターは各受光素子421と1対1に対応している。このため、RGB各色のカラーフィルター単位では1200dpiになっており、4つのカラーフィルターを正方配列した画素単位では600dpiになっている。このため、R色のカラーフィルターとB色のカラーフィルターとは主走査方向と副走査方向とのどちらにも1/2画素ずつずれている。
【0044】
図5(a)に示すように、原稿Dからの反射光が入射する方向からの平面視において、エリアセンサーは、第1エリア501と第2エリア502とを有している。第1エリア501と第2エリア502とは、主走査方向の画素数が互いに一致しており、副走査方向の画素数もまた互いに画素数が同じである。
【0045】
第1エリア501と第2エリア502とは、上述のように、画素ごとのRGB各色のカラーフィルターの配置もまた互いに一致している。第1エリア501と第2エリア502とは、主走査方向において互いに同じ位置にあり、副走査方向においては1/2画素だけ離隔するように配置されている。
【0046】
エリアセンサーは、第1エリア501で原稿D全体を読み取るとともに、第2エリア502でも原稿D全体を読み取る。第1エリア501は、
図6(a)~(c)に示すように、副走査方向に順に領域601、領域603および領域605のように順に原稿Dを読み取る。領域601、603および605は副走査方向において互いに接している。
【0047】
第2エリア502は、副走査方向に順に領域602および604のように原稿Dを読み取る。領域602、604もまた副走査方向において互いに接する。第1エリア501と第2エリア502とは副走査方向に1/2画素だけ離隔しているので、領域601、602は副走査方向に1/2画素だけずれており、同様に、領域603、604もまた副走査方向に1/2画素だけずれている。
【0048】
なお、副走査方向における領域601~605のサイズは、副走査方向における第1エリア501および第2エリア502のサイズに一致している。また、
図6(a)では、領域601の副走査方向における一端が、原稿Dの端辺に一致している場合を例にとって説明しているが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、領域601の副走査方向における一端は、原稿Dの端辺に一致していなくてもよい。
【0049】
原稿Dを読み取る際には、
図5(b)に示すように、第1エリア501は、まず、シャッター装置430の「開」時に領域601からの反射光を受光し、引き続くシャッター装置430の「閉」時に、受光量を読み出される。
【0050】
シャッター装置430の2回目の「開」時には、第1エリア501による原稿Dの読み取り領域が領域603になる。第1エリア501は、シャッター装置430の「開」時に、領域603からの反射光を受光し、引き続くシャッター装置430の「閉」時に、受光量を読み出される。
【0051】
シャッター装置430の2回目の「開」時には、第2エリア502は、領域601と1/2画素だけずれた領域602からの反射光を受光して、引き続くシャッター装置430の「閉」時に、受光量を読み出される。
【0052】
シャッター装置430の3回目の「開」時も同様に、第1エリア501による原稿Dの読み取り領域が領域605になっており、第1エリア501は、シャッター装置430の「開」時に、領域605からの反射光を受光する。また、第2エリア502は、領域603と1/2画素だけずれた領域604からの反射光を受光する。そして、引き続くシャッター装置430の「閉」時には、第1エリア501と第2エリア502との双方から受光量を読み出される。
【0053】
このようにして、第1エリア501と第2エリア502とがそれぞれ原稿D全体を読み取る。
[4]画像データの合成
次に、第1エリア501の読み取りデータと第2エリア502の読み取りデータとを用いて、1200dpiのカラー画像データを合成する。
【0054】
図7(a)は第1エリア501による読み取り位置と読み取り色とを説明し、
図7(b)は第2エリア502による読み取り位置と読み取り色とを説明する。第1エリア501による読み取り位置と第2エリア502による読み取り位置とは1/2画素ずれているので、原稿D上の第1エリア501を用いてR色またはB色を読み取った位置について、第2エリア502はG色を読み取る。
【0055】
このため、第1エリア501の読み取りデータと第2エリア502の読み取りデータとからそれぞれG色を抽出して合成すると、
図7(c)に示すように、主走査方向と副走査方向とのどちらも1200dpiの解像度をもつG色の画像データを合成することができる。
【0056】
また、第1エリア501を用いてG色を読み取った位置について、第2エリア502はR色またはB色を読み取る。第1エリア501と第2エリア502とは、主走査方向について、R色を読み取る位置が一致している。このため、第1エリア501の読み取りデータと第2エリア502の読み取りデータとからそれぞれR色を抽出して合成すると、
図7(c)に示すように、主走査方向に500dpiで副走査方向に1200dpiのR色の画像データを合成することができる。
【0057】
同様に、B色を読み取る位置についても、第1エリア501と第2エリア502とで一致するので、R色と同様に、第1エリア501と第2エリア502とでB色の読み取りデータを合成することによって、
図7(c)に示すように、主走査方向に600dpiで副走査方向に1200dpiのR色の画像データを合成することができる。
【0058】
次に、R色およびB色の画像データが主走査方向についても1200dpiになるように、それぞれ演算によって画像データを補間する。
図8は、R色およびB色の補間画像データを示す。R色の補間画像データでは、
図7(c)では画像データが無かった位置の画像データRiが演算によって補間される。同様に、B色の補間画像データでは、
図7(c)では画像データが無かった位置の画像データBiが演算によって補間される。
【0059】
画像データを補間する際には、ニアレストネイバー法やバイリニア法、バイキュービック法を用いることができる。本実施の形態においては、非特許文献1に記載されている勾配に基づく補間法を用いる。ただし、G色の画像データについては、すべての画素について実測値が得られているため、補間する必要は無い。また、R色およびB色の画素値を補間する場合に、G色の実測値を用いることができる。この意味において、単に、ベイヤー配列の画像データを用いて補間処理を行う場合よりも、精度よく高解像度の画像データを得ることができる。
【0060】
例えば、R色の画像データを補間する場合には、
図9に示すような、R色の画像データを補間すべき注目画素の3×3近傍の画像データのうち、注目画素に対して主走査方向に隣り合うR21、R23、G21およびG23を用いて、次式(1)のように画像データR22を算出する。
【0061】
【0062】
なお、上式(1)から明らかなように、B色の画像データは使用しない。R色の画像データと同様に、B色の画像データは、主走査方向における解像度が低いため(600dpi)、主走査方向における解像度が高い(1200dpi)G色の画像データのみを用いた方が、R色の画像データを精度よく補間することができる、考えられるからである。
【0063】
上式(1)を変形すると、
【0064】
【0065】
となり、注目画素と周辺画素とでのG色の画像データの差(階調差)が小さい場合には、主に周辺のR色の画像データを用いて補間し、G色の階調差が大きい場合には、R色に加えてG色の画像データを用いて補間するものである。
【0066】
この場合において、次式(3)のように、R色の階調差の絶対値Drを算出し、
【0067】
【0068】
次式(4)のように、G色の階調差の絶対値Dgを算出して、
【0069】
【0070】
R色の階調差の絶対値Drを用いて算出される閾値よりも、G色の階調差の絶対値Dgが小さい場合には、例えば、下式(5)のように、
【0071】
【0072】
R色の階調差の絶対値Drに定数k(例えば、1/10)を乗算した値と、G色の階調差の絶対値Dgとを比較して、当該絶対値Dgの方が小さい場合には、上式(2)の右辺第2項を無視して、R色の画像データのみを含む右辺第1項だけで注目画素のR色の画像データを補間してもよい。逆に、絶対値Dgが乗算値k×Dr以上である場合には、上式(1)をそのまま用いて補間する。
【0073】
注目画素のB色の画像データを補間する場合も上記と同様である。
[5]画像読み取り制御部103の構成
画像読み取り制御部103は、上述のようにして画像データを合成する。
【0074】
図10に示すように、画像読み取り制御部103は、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003を内部バス1004にて相互に通信可能に接続したものである。
【0075】
複合機1に電源が投入され、画像読み取り部100に通電される等することによって、CPU1001がリセットされると、CPU1001はROM1002からブートプログラムを読み出して起動し、RAM1003を作業用記憶領域として、更にROM1002から読み出した制御プログラムや画像処理プログラム等を実行する。
【0076】
これによって、画像読み取り制御部103は、原稿照明ランプ311を点消灯したり、駆動モーター330を回転駆動したりする。また、画像読み取り制御部103は、エリアセンサーから画像データを読み出したり、エリアセンサーをリセットしたりする。
【0077】
また、画像読み取り制御部103は、本体制御部114に接続されており、操作パネル101を用いたユーザーの指示入力に応じたコマンドを受け付けたり、自動原稿搬送部102と連携動作したりする。
【0078】
さらに、上述のような画像データの合成処理を実行したり、画像データに対して画像処理を施したりもする。
[6]画像読み取り制御部103の動作
画像読み取り制御部103の動作について、高解像度の画像データを合成して、画像処理を施す場合に注目して説明する。
【0079】
図11に示すように、画像読み取り制御部103は、まず、画像読み取り処理を実行し(S1101)、読み取った画像データから高解像度の画像データを合成し、補間によって高解像度化する合成および補間処理(S1102)を実行する。その後、高解像度の画像データを用いて画像処理を実行する(S1103)。
(6-1)画像読み取り処理(S1101)
画像読み取り処理においては、
図12に示すように、まず、エリアセンサーの第1エリア501で原稿Dを読み取る(S1201)。次に、エリアセンサーの読み取り位置を移動する(S1202)。この移動後、ステップS1201における第1エリア501の読み取り位置から副走査方向に1/2画素だけずれた読み取り位置を、エリアセンサーの第2エリア502で読み取る(S1203)。
【0080】
その後、原稿Dの読み取りを継続する場合には(S1204:YES)、ステップS1201へ進んで上記の処理を繰り返す。原稿Dの読み取りを完了した場合には(S1204:NO)、上位のルーチンに復帰する。
(6-2)合成および補間処理(S1102)
図13に示すように、RGB各色についてそれぞれ、第1エリア501および第2エリア502で読み取った画像データを合成する(S1301)。第1エリア501で読み取った画像データと、第2エリア502で読み取った画像データとは、第1エリア501および第2エリア502のどちらもカラーフィルターがベイヤー配列になっており、かつ互いに1/2画像ずれているので、同じ色の画像データどうしは1200dpi×1200dpiの画像上で共通の画素上に重複することなく合成することができる(
図7(c)を参照)。
【0081】
次に、1200dpi×1200dpiの画像データについて、画素ごとにステップS1302からステップS1306までの処理を実行する。すなわち、注目画素について、上式(3)から(5)について説明したように、当該注目画素と当該注目画素の近傍の画素とでG色の画像データの階調差が閾値よりも小さい場合には(S1303:YES)、上式(2)の第一項のように、R色の画像データを補間する場合には注目画素の近傍の画素のR色の画像データだけ、B色の画像データを補間する場合には注目画素の近傍の画素のB色の画像データだけを用いて当該色の階調値を補間する(S1304)。
【0082】
一方、当該注目画素と当該注目画素の近傍の画素とでG色の画像データの階調差が閾値以上である場合には(S1303:NO)、上式(2)のように、注目画素の近傍の画素の当該色の画像データだけでなく、G色の画像データも用いて当該色の階調値を補間する(S1305)。
【0083】
このようにすれば、R色およびB色についても1200dpiという高い解像度のカラー画像データを得ることができるので、ハイライト領域の黒網点やシャドウ領域の白網点のように面積が小さい網点を精度よく読み取ることができる。このような高い解像度のカラー画像データを用いれば、階調特性を歪ませることなく、画像処理を施して、優れた品質の画像を得ることができる。
(6-3)画像処理(S1103)
図14に示すように、画像処理においては、まず、画素ごとにステップS1401からステップS1406までのようにして領域判別処理を実行する。すなわち、画像処理に関するユーザー設定を参照して、「G色の階調差が閾値未満である場合は、G色の画像データに基づいた画像処理を行わない」と設定されているかどうか確認する。
【0084】
G色の画像データは、すべての画素について実測されたデータであるという意味で、補完したR、B色の画像データよりも精度が高いと言えるので、G色の画像データに基づけば画像処理を精度よく実行することができる。一方、G色の画像データどうしで階調差が小さく、かつ、R色どうしやB色どうしで階調差が大きい場合には、R色やB色の画像データを用いて画像処理を実行した方が好適である。
【0085】
これらうちどちらを優先するかが、上のユーザー設定によって示される。ユーザーは、例えば、元の原稿がどのようなものかに応じて設定を行うことができる。例えば、R色やB色のモノクロ画像が含まれている場合には、R色やB色の画像データを用いて画像処理を実行するようにユーザー設定すれば、画像の特性に適した画像処理が実行されるので、高画質を得ることができる。
【0086】
このユーザー設定は、例えば、ユーザーに操作パネル101を操作させることによって受け付けてもよい。また、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを経由して他の装置から画像読み取りジョブを受け付ける場合には、当該画像読み取りジョブの中で指定させてもよい。いずれの場合も、本体制御部114で一旦ジョブを受け付けてから、画像読み取り制御部103にユーザー指示が伝達される。
【0087】
当該ユーザー設定がなされている場合には(S1402:行わない)、注目画素の近傍(注目画素を含む注目領域であってもよい)におけるG色の画像データの階調差が閾値未満であるかどうかを確認する。当該階調差が閾値未満である場合には(S1403:YES)、R、B各色の画像データを用いて領域判別を実行する(S1404)。
【0088】
一方、上記のユーザー設定がなされていない場合(S1402:行う)、および上記のユーザー設定がなされているものの(S1402:行わない)、G色の画像データの階調差が閾値以上である場合には(S1403:NO)には、G各色の画像データを用いて領域判別を実行する(S1406)。
【0089】
本実施の形態においては、注目画素が写真領域に属しているか文字領域に属しているかを判別し、注目画素が文字領域に属している場合には、更に、網点領域に属しているか否か、エッジ領域に属しているか否か、細線領域に属しているか否かを判別する。なお、判別すべき領域の種類は上よりも多くても少なくてもよく、後で行う画像処理に応じて適切な種類の領域を判別すればよい。
【0090】
すべての画素について領域判別処理を実行し終わったら、当該領域判別の結果に応じた画像処理を実行する(S1407)。領域判別結果に応じた画像処理においては、
図15に示すように、画素ごとにステップS1501からステップS1507までの処理を実行する。注目画素が写真領域に属している場合には(S1502:YES)、スムージング処理を実行する(S1508)。
【0091】
また、注目画素が文字領域に属しており(S1502:NO)、注目画素が網点領域に属しているか確認する。注目画素が網点領域に属している場合にも(S1503:YES)、スムージング処理を実行する(S1508)。注目画素が網点領域ではなく(S1503:NO)、エッジ領域に属している場合には(S1504:YES)、当該注目画素が細線領域に属しているか確認する。
【0092】
当該注目画素が細線領域に属している場合には(S1505:YES)、細線処理を実行する(S1506)。当該注目画素がエッジ領域に属しているものの(S1504:YES)、細線領域には属していない場合には(S1505:NO)、エッジ強調処理を実行する(S1509)。ステップS1506、S1508、S1509の処理の完了後、および注目画素がエッジ領域に属していない場合には(S1504:NO)、領域判別結果に応じた画像処理を完了して、上位宇ルーチンである画像処理(S1103)に復帰する。
【0093】
画像処理(S1103)においては、領域判別結果に応じた画像処理(S1407)から処理が復帰したら、メインルーチンに復帰する。
【0094】
エリアセンサーの解像度よりも高い解像度の画像データを得る技術としては、例えば、エリアセンサーを傾斜配置することによって、原稿画像から1画素未満のずれを有する複数のフレーム分の画像データを読み取り、傾斜を補正した画像データを用いて補間処理を行うことで、読み取り時の解像度よりも高い解像度の画像データを合成する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0095】
しかしながら、上述の従来技術では、エリアセンサーを傾斜配置するため、エリアセンサーの解像度と同程度以下の解像度の画像データを生成する場合であっても、画像データの傾斜を補正したり、補間処理を行ったりしなければならず、不必要に処理負荷が高くなる場合がある。
【0096】
これに対して、本実施の形態によれば、エリアセンサーを傾斜配置する必要が無いので、画像データの傾斜を補正することなく解像度の高い画像データを得ることができる。したがって、画像データを高解像度化するために要する処理負荷が不必要に高くなるのを回避することができる。
[7]変形例
以上、本開示を実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(7-1)上記実施の形態においては、エリアセンサー上で第1エリア501と第2エリア502とが1/2画素だけ離隔している場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0097】
例えば、
図16(a)に示すように、第1エリア1601と第2エリア1602との間を離隔させることなく、ベイヤー配列されたカラーフィルターのパターンを1/2画素だけずらしてもよい。例えば、第1エリア1601の左上の画素1611では、カラーフィルターが左上ではR色になっており、右下ではB色になっている。
【0098】
一方、第1エリア1601の左上の画素1611に対応する第2エリア1602の左上の画素1612では、カラーフィルターが左下でR色になり、右上でB色になっている。このように、第1エリア1601と第2エリア1602とではカラーフィルターのパターンが1/2画素だけずれている。
【0099】
原稿Dを読み取る際には、
図16(b)に示すように、まず、第1エリア1601で原稿Dの読み取り領域1701を読み取った後(
図17(a))、副走査方向における第1エリア1601および第2エリア1602のサイズであるエリアサイズ分だけ副走査方向に読み取り位置を移動して、移動前に第1エリア1601で読み取った領域1701を第2エリア1602で読み取ると共に、当該読み取り領域1701に副走査方向に隣り合う領域1702を第1エリア1601で読み取る(
図17(b))。
【0100】
その後、更に読み取り位置を移動して、原稿Dを読み取ることを繰り返して、原稿D全体を読み取る(
図17(c))。
【0101】
なお、本変形例においても、また上記実施の形態においても、第1エリア501、1601で原稿Dを読み取る際には、必ず第2エリア502、1602で原稿Dを読み取るものとしてもよい。また、第2エリア502、1602で原稿Dを読み取る際には、必ず第1エリア501、1601で原稿Dを読み取ってもよい。また、原稿Dの読み取りを開始する際に、副走査方向における原稿Dの端部と第1エリア501、1601の端部とが一致していなくてもよい。
【0102】
このようにすれば、副走査方向における原稿Dの位置に応じてエリアセンサーによる原稿Dの読み取り位置(タイミング)を調整しなくてもよいので、画像読み取り部100の制御が容易になる。読み取って合成した画像データにおいて原稿Dが占める範囲については、画像データを合成し、補完した後に特定すればよく、その際に併せて当該画像データにおける原稿Dのスキューを補正してもよい。
【0103】
このようにしても、階調特性の歪みが少ない高い解像度の画像データを得ることができる。
(7-2)上記変形例においては、エリアセンサー上で第1エリア1601と第2エリア1602とを離隔させずに、カラーフィルターの配置を異ならせる場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0104】
すなわち、
図18(a)に示すように、第1エリア1801と第2エリア1802とは、副走査方向に隣り合って接しており、互いに同じようにカラーフィルターが配列されている。
【0105】
原稿Dを読み取る際には、
図18(b)に示すように、まず、第1エリア1801で原稿Dの読み取り領域1901(
図19(a))を読み取った後、原稿Dの読み取り位置をエリアサイズから1/2画素だけ短い距離((エリアサイズ)-(1/2画素))だけ副走査方向に移動して、今度は第2エリア1802で原稿Dの読み取り領域1902(
図19(b))を読み取る。その後、更に1/2画素だけ読み取り位置を副走査方向に移動して、第1エリア1801で原稿Dの読み取り領域1903(
図20(c))を読み取る。
【0106】
このように、第1エリア1801で原稿Dを読み取り、(エリアサイズ)-(1/2画素)だけ読み取り位置を副走査方向に移動し、第2エリアで原稿Dを読み取り、1/2画素だけ読み取り位置を副走査方向に移動して、再び第1エリア1801で原稿Dを読み取る、といった処理を繰り返して、原稿D全体を読み取る。
【0107】
このようにしても、上記実施の形態と同様に、互いに1/2画素ずれた2つの画像データを生成することができる。
【0108】
これらのような変形例の他にも、エリアセンサーを第1エリアと第2エリアとに分割することなく、単一のエリア構成とし、副走査方向に2回スキャンして、1/2画素ずれた2つの画像データを生成することもできる。1/2画素ずれた画像データを原稿Dから読み取る方法および装置構成の如何に関わらず、本開示のように画像データを合成し、補間すれば、同様の効果を得ることができる。
(7-3)上記実施の形態においては、画像読み取り制御部103を用いて、画像データの合成、補間および画像処理を実行する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0109】
例えば、複合機1の本体制御部114で画像データの合成、補間および画像処理を実行してもよい。この場合においては、
図11におけるステップS1101の処理のみを画像読み取り制御部103で実行し、ステップS1102およびS1103の処理を本体制御部114で実行する。この場合において、複合機1は、画像読み取り部100が読み取った画像データに画像処理を施す画像処理装置になっていることになる。
(7-4)上記実施の形態においては、第1エリア501に属する画素どうしではカラーフィルターの配列が一致しており、かつ第2エリア502に属する画素どうしでもカラーフィルターの配列が一致している場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、同じエリアに属する画素どうしでカラーフィルターの配列が異なっていてもよい。
【0110】
例えば、
図16に示した変形例においては、
図20(a)に例示するように、エリアセンサーの第1エリア2001における画素2011と画素2012とでカラーフィルターの配列が異なっている。このような場合であっても、エリアセンサーの第2エリア2002において、第1エリア2001の画素2011に対応する位置にある画素2013において、当該画素2011の2つのG色のカラーフィルターのうちの一方に対応する位置にR色のカラーフィルターが配置され、当該2つのG色のカラーフィルターのうちの他方に対応する位置にB色のカラーフィルターが配置され、当該画素2011のR色およびB色のカラーフィルターに対応する位置にG色のカラーフィルターを配置すればよい。
【0111】
ここで、第1エリア2001の画素2011と、第2エリアにおいて当該画素2011に対応する位置にある画素2013は、原稿D上の同じ位置を読み取る。
【0112】
また、第1エリア2001の画素2012に対応する位置にある画素2014についても、当該画素2012とで、R色のカラーフィルターどうしが主走査方向において同じ位置にある一方、副走査方向においては異なる位置にあり、B色のカラーフィルターどうしが主走査方向において同じ位置にある一方、副走査方向においては異なる位置にあり、一方のG色の2つのカラーフィルターは、他方のG色の2つのカラーフィルターのどちらとも異なる位置にあればよい。
【0113】
また、
図20(b)に例示するように、エリアセンサーの第1エリア2003と第2エリア2004とが主走査方向に隣り合ってもよい。
図20(b)の例では、第1エリア2003に属する画素どうしはカラーフィルターの配列が一致しており、第2エリア2004に属する画素どうしもまたカラーフィルターの配列が一致している。
【0114】
しかしながら、上述のように第1エリアと第2エリアとで対応する画素どうしでカラーフィルターの配列が上述のような関係になっていればよく、
図20(b)のような場合であっても、同一エリア内の画素どうしでカラーフィルターの配列が一致していなくてもよい。
【0115】
このようにすれば、RGB各色について、
図7(c)に例示するように画像データを合成し、RB各色について
図8に例示するように画像データを補間することができるので、解像度の低いカラー画像データから解像度の高いカラー画像データを生成することができる。
(7-5)上記実施の形態においては、合成後のR色の画像データにおいて、主走査方向に1つおきにR色の読み取りデータが副走査方向に連続して並び、同じように、合成語のB色の画像データにおいても、主走査方向に1つおきにB色の読み取りデータが副走査方向に連続して並び、かつR色とB色とで副走査方向に連続する読み取りデータの位置が互いに異なっている場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて以下のようにしてもよい。
【0116】
例えば、
図21(a)においては、第1エリア2101における画素2111等のカラーフィルターの配置が、
図16(a)における第1エリア1601の画素1611等のカラーフィルターの配置と一致する一方、第2エリア2102における画素2112等のカラーフィルターの配置が、
図16(a)における第2エリア1602の画素1612等のようなカラーフィルターの配置とは、R色およびB色のカラーフィルターの配置が逆になっている。
【0117】
このようなエリアセンサーを用いて原稿を読み取り、第1エリア2101の読み取りデータと第2エリア2102の読み取りデータとを合成すると、
図21(b)のように、R色およびB色の画像データについては、副走査方向に1つおきに読み取りデータが主走査方向に連続して並ぶ。この場合においても、上記実施の形態と同じようにして、R色およびB色の画像データを補間して、高い解像度の画像データを得ることができる。
(7-6)上記実施の形態においては、エリアセンサー201、202の第1エリア501による読み取り領域601、603および605が互いに重複することなく副走査方向に隣接し、第2エリア502による読み取り領域602、604もまた互いに重複することなく副走査方向に隣接する場合を例にとって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、これらの読み取り領域どうしは副走査方向に互いに重複してもよい。
【0118】
原稿Dの搬送速度や、第1ミラーユニット230および第2ミラーユニット240の移動速度にはバラツキが生じ得る。このバラつきによって、読み取り領域どうしが離隔すると、原稿D上で読み取られない部分が生じ得る。これに対して、第1エリア501の読み取り領域どうしを一部重複させたり、第2エリア502の読み取り領域どうしを一部重複させたりして、読み取りデータから画像データを合成する際に重複部分が整合するように読み取りデータを編集すれば、原稿Dの読み取り漏れを無くしながら、本開示の効果を得ることができる。
(7-7)上記においては、本開示に係る画像読み取り装置および画像処理装置について説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、例えば、画像読み取り装置が実行する画像読み取り方法や、画像処理装置が実行する画像処理方法であってもよい。また、当該画像読み取り方法をコンピューターに実行させる画像読み取りプログラムや、当該画像処理方法をコンピューターに実行させる画像処理プログラムであってもよい。
また、本開示に係る画像読み取りプログラムや画像処理プログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD-ROM、DVD-RAM、CD-ROM、CD-R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピューター読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
(7-8)上記実施の形態においては、複合機を例とって説明したが、本開示がこれに限定されないのは言うまでもなく、スキャナー装置や、これに印刷機能を追加したコピー装置、更にファクシミリ通信機能を追加したファクシミリ装置に本開示を適用することによっても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示に係る画像読み取り装置、画像読み取りプログラム、画像処理装置および画像処理プログラムは、画像データを高解像度化して、網点表現された階調の歪みを防止する技術として有用である。
【符号の説明】
【0120】
1…………………………………複合機
100……………………………画像読み取り部
101……………………………操作パネル
102……………………………自動原稿搬送部
103……………………………画像読み取り制御部
111……………………………画像形成部
112……………………………給紙部
114……………………………本体制御部
201、202…………………エリアセンサー
501、1601、1801…第1エリア
502、1602、1802…第2エリア