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  • 特許-レーザガス分析計 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】レーザガス分析計
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/39 20060101AFI20240806BHJP
   G01N 21/61 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G01N21/39
G01N21/61
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022062873
(22)【出願日】2022-04-05
(65)【公開番号】P2023153537
(43)【公開日】2023-10-18
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第202994654(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0119851(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0007449(US,A1)
【文献】実開昭61-033192(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象のガスにレーザ光を照射する第1の照射手段と、
前記測定対象のガスを通過した前記レーザ光を受光する受光手段と、
前記受光手段によって受光された前記レーザ光の光量に基づいて前記測定対象のガスに含まれる成分の濃度を算出する算出手段と、
前記測定対象のガスを通過することなく前記受光手段によって受光されるよう光を照射する第2の照射手段と、を備え
前記第1の照射手段は、所定区間を空けてレーザ光を間欠的に照射し、前記第2の照射手段は、前記所定区間の所定のタイミングで光を照射し、
前記所定区間は、前記受光手段の出力が静定するのを待つ静定待ち区間と、暗電流を計測するための暗電流計測区間とを含み、
前記第2の照射手段は、前記静定待ち区間に光を照射する
ことを特徴とするレーザガス分析計。
【請求項2】
測定対象のガスにレーザ光を照射する第1の照射手段と、
前記測定対象のガスを通過した前記レーザ光を受光する受光手段と、
前記受光手段によって受光された前記レーザ光の光量に基づいて前記測定対象のガスに含まれる成分の濃度を算出する算出手段と、
前記測定対象のガスを通過することなく前記受光手段によって受光されるよう光を照射する第2の照射手段と、
前記第1の照射手段によって照射されるレーザ光、及び前記第2の照射手段によって照射される光の両方を受光する前記受光手段の出力に基づいて、前記受光手段の故障の有無を判定する演算手段と、
を備えることを特徴とするレーザガス分析計。
【請求項3】
測定対象のガスにレーザ光を照射する第1の照射手段と、
前記測定対象のガスを通過した前記レーザ光を受光する受光手段と、
前記受光手段によって受光された前記レーザ光の光量に基づいて前記測定対象のガスに含まれる成分の濃度を算出する算出手段と、
前記測定対象のガスを通過することなく前記受光手段によって受光されるよう光を照射する第2の照射手段と、を備え
前記第1の照射手段は、所定区間を空けてレーザ光を間欠的に照射し、前記第2の照射手段は、前記所定区間の所定のタイミングで光の照射を停止し、その他の区間では光を常時照射する
ことを特徴とするレーザガス分析計。
【請求項4】
前記第2の照射手段は、光量及び波長の少なくとも一つを変化させて光を照射することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のレーザガス分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザガス分析計に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザガス分析計は、測定対象のガスに特定の波長帯のレーザ光を照射し、測定対象のガスを通過したレーザ光の光量を測定し、特定の波長帯のレーザ光の減衰量を算出することによって、測定対象のガスに含まれる成分の濃度を算出する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-134076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーザガス分析計には、レーザ光を照射しているにも関わらずレーザ光の受光部がレーザ光に対して出力しない場合に、受光部の故障と判定するものがある。しかしながら、特許文献1に記載のレーザガス分析計では、測定対象のガスに粉塵などのレーザ光の光路を遮る障害物が一定以上存在する場合にも、受光素子の出力がなくなり又は極端に小さくなり、受光素子の故障と判定してしまう可能性がある。このように、特許文献1のレーザガス分析計の構成では、受光素子の故障を正確に判定することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、受光部の故障を正確に判定することが可能なレーザガス分析計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレーザガス分析計は、測定対象のガスにレーザ光を照射する第1の照射手段と、測定対象のガスを通過したレーザ光を受光する受光手段と、受光手段によって受光されたレーザ光の光量に基づいて測定対象のガスに含まれる成分の濃度を算出する算出手段と、測定対象のガスを通過することなく受光手段によって受光されるよう光を照射する第2の照射手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、受光部の故障を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のレーザガス分析計のブロック図である。
図2】実施例1のレーザダイオード及びLEDの発光タイミングを示した図である。
図3A】実施例1の受光部によって検出された受光信号波形を示した図である。
図3B】実施例1の受光部によって検出された受光信号波形を示した図である。
図3C】実施例1の受光部によって検出された受光信号波形を示した図である。
図3D】実施例1の受光部によって検出された受光信号波形を示した図である。
図4】実施例2のレーザダイオード及びLEDの発光タイミングを示した図である。
図5】実施例3のレーザガス分析計のブロック図である。
図6】比較例のレーザガス分析計のブロック図である。
図7】比較例のレーザダイオードの発光タイミングを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態に係るレーザガス分析計について図面を用いて説明する。
【0010】
<実施例1>
図1は、実施例1のレーザガス分析計のブロック図である。図1を参照して、実施例1のレーザガス分析計について説明する。レーザガス分析計1は、TDLAS(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:波長可変ダイオードレーザ吸収分光)式レーザガス分析計である。レーザガス分析計1は、測定対象のガスに特定の波長帯のレーザ光を照射し、測定対象のガスを通過したレーザ光の光量を測定し、特定の波長の減衰量に基づいて測定対象のガスに含まれる成分の濃度を算出する。レーザガス分析計1は、特定の波長帯のレーザ光を照射する発光部10と、測定対象のガスが供給される被測定部20と、測定対象のガスを通過したレーザ光を受光する受光部30と、測定対象のガスに含まれる成分の濃度を算出する演算部40と、を備える。なお、レーザガス分析計1は、被測定部20を備えてなくてもよい。例えば、レーザガス分析計1を使用するユーザの測定対象のガスが供給される設備に対して発光部10や受光部30を取り付けて使用する場合には、レーザガス分析計1は被測定部20を備えなくても構わない。また、演算部40は、レーザガス分析計1に内蔵されるコンピュータシステムであってもよいし、レーザガス分析計1と通信可能なコンピュータシステム(例えば、クラウドサーバ)であってもよい。
【0011】
(発光部10)
発光部10は、出力コントローラ11と、DAC(Digital Analog Converter)12と、電圧電流変換回路13と、レーザダイオード14と、を有する。出力コントローラ11は、後述する受光部30の入力コントローラ34からの同期信号に従って、レーザ駆動電流のパターンを生成し、出力する。DAC12は、出力コントローラ11が出力したレーザ駆動電流のパターン(デジタル信号)をアナログ信号に変換し、出力する。電圧電流変換回路13は、DAC12が出力したアナログ信号に従って、レーザ駆動電流を出力する。レーザダイオード14は、電圧電流変換回路13から出力されたレーザ駆動電流に従って、特定の波長帯のレーザ光を照射する。レーザダイオード14は、測定対象のガスにレーザ光を照射する第1の照射手段である。レーザダイオード14から照射されたレーザ光は、被測定部20に供給される測定対象のガスを通過して、受光部30のフォトダイオード31で受光される。
【0012】
(被測定部20)
被測定部20は、測定対象のガスを供給する。測定対象のガスは、例えば燃料排ガスやプロセスガスである。レーザガス分析計1は、測定対象のガスに含まれるO、CO、CH、CO及びNHなどの成分の濃度を算出することが可能である。
【0013】
(受光部30)
受光部30は、フォトダイオード31と、フィルタ/アンプ回路32と、ADC(Analog Digital Converter)33と、入力コントローラ34と、メモリ35と、LED36と、を有する。フォトダイオード31は、レーザダイオード14から照射され、被測定部20に供給される測定対象のガスを通過したレーザ光を受光し、受光したレーザ光の光量に対応するアナログ信号を出力する。フォトダイオード31は、測定対象のガスを通過したレーザ光を受光する受光手段である。フォトダイオード31は、被測定部20を挟んで発光部10のレーザダイオード14と対向するように配置される。フィルタ/アンプ回路32は、受信したアナログ信号に含まれる所定周波数成分をフィルタし、増幅する。ADC33は、フィルタ/アンプ回路32から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換して、出力する。入力コントローラ34は、ADC33から受信したデジタル信号に対して積算処理などの一次演算処理を施し、メモリ35に格納する。メモリ35に格納されたデジタル信号は、測定対象のガスを通過したレーザ光の受光量の波形を示す。以下適宜、メモリ35に格納されたデジタル信号を受光信号波形と呼ぶ。
【0014】
LED36は、被測定部20よりフォトダイオード31側に配置される。LED36は、測定対象のガスを通過することなくフォトダイオード31によって受光されるよう光を照射する第2の照射手段である。LED36から照射された光は、測定対象のガスを通過することなくフォトダイオード31によって受光される。したがって、LED36から照射された光は、測定対象のガスに粉塵などの障害物があったとしても、これらの障害物の影響を受けることなく、フォトダイオード31によって受光される。LED36の発光タイミングは、入力コントローラ34によって制御される。
【0015】
演算部40は、メモリ35に格納された受光信号波形を読み出し、測定対象のガスに含まれる成分の濃度を算出する。演算部40は、フォトダイオード31によって受光されたレーザ光の光量に基づいて測定対象のガスに含まれる成分の濃度を算出する算出手段である。演算部40は、コンピュータであって、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、又はDSP(Digital signal processor))、メモリ(例えばRAM(Random Access Memory))、補助記憶部(例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive))、外部機器への情報出力手段(例えば電流出力、接点出力、又はEthernet通信)及び表示部などを有する。プロセッサは、例えば、濃度を算出するためのプログラムを補助記憶部から読み出して、メモリに展開して実行する。表示部は、例えば、算出した濃度を表示し、情報出力手段は、例えば、算出した濃度を外部機器へ出力する。また、プロセッサは、例えば、受光部30の故障の有無を判定するためのプログラムを補助記憶部から読み出して、メモリに展開して実行する。
【0016】
図2は、実施例1のレーザダイオード及びLEDの発光タイミングを示した図である。図2に示すように、区間(a)はレーザ光が無発光の区間であり、区間(d)はレーザ光が発光する区間である。レーザダイオード14は、所定区間(区間(a))を空けてレーザ光を間欠的に照射する。区間(a)は、例えば約0.1msである。区間(d)は測定対象ガスにより異なり、例えば約1ms~3msの範囲である。区間(a)の前半(b)はフォトダイオード31の出力が静定するのを待つ静定待ち区間であり、後半(c)は暗電流を計測するための暗電流計測区間である。すなわち、前半(b)は演算部40による演算に使用されない区間である。後半(c)は演算部40による演算の基準値を算出するために使用される区間である。静定待ち区間は、予め決められた時間であってもよいし、フォトダイオード31の出力が閾値以下で所定時間経過したと判定するまでの時間であってもよい。暗電流計測区間は、予め決められた時間である。
【0017】
LED36は、前半(b)の受光信号の静定待ち区間で発光する。演算部40は、前半(b)における受光信号波形にLED36の発光によるスパイク信号の有無を常時観察することによって、受光部30の健全性を確認する。
【0018】
図3A図3Dは、実施例1の受光信号波形を示した図である。
受光信号波形は、以下の4パターンに分けられる。
パターンA:レーザダイオード14が照射したレーザ光に対応する信号、及びLED36から照射された光に対応するスパイク信号の両方を含むパターン(図3A参照)
パターンB:レーザダイオード14が照射したレーザ光に対応する信号がなく、LED36から照射された光に対応するスパイク信号を含むパターン(図3B参照)
パターンC:レーザダイオード14が照射したレーザ光に対応する信号を含むが、LED36から照射された光に対応するスパイク信号がないパターン(図3C参照)
パターンD:レーザダイオード14が照射したレーザ光に対応する信号、及びLED36から照射された光に対応するスパイク信号の両方がないパターン(図3D参照)
【0019】
演算部40は、レーザダイオード14によって照射されるレーザ光、及びLED36によって照射される光の両方を受光するフォトダイオード31の出力に基づいて、フォトダイオード31の故障の有無を判定する演算手段である。演算部40は、図3Aに示したパターンAの受光信号波形を確認した場合、発光部10及び受光部30の両方が正常であると判定する。また、演算部40は、図3Bに示したパターンBの受光信号波形を確認した場合、発光部10及び受光部30の両方が正常であると判定する。この場合、レーザダイオード14が照射したレーザ光に対応する信号を確認できないが、測定対象のガスにレーザ光の光路を遮る障害物が一定以上存在することが考えられる。また、演算部40は、図3Cに示したパターンCの受光信号波形を確認した場合、発光部10は正常だが、受光部30のLED36が異常であると判定する。また、演算部40は、図3Dに示したパターンDの受光信号波形を確認した場合、発光部10は正常だが、受光部30のフォトダイオード31、フィルタ/アンプ回路32及びADC33の少なくとも一つが異常であると判定する。なお、各判定結果は、演算部40の表示部に表示可能である。また、各判定結果は、情報出力手段を介して外部機器へ伝達可能である。
【0020】
(実施例1の効果)
LED36から照射された光は、測定対象のガスを通過することなくフォトダイオード31によって受光される。これにより、測定対象のガスの影響を受けることなく、フォトダイオード31は、LED36から照射された光を受光することができる。その結果、測定対象のガス中に一定以上の障害物があったとしても、受光部30の健全性が確認可能となる。その結果、故障検出の信頼性が高まり、故障検出率の向上につながる。さらには、故障検出率は、機能安全的に重要な指標であるから機能安全規格上も有益である。
【0021】
入力コントローラ34は、LED36を静定待ち区間(図2の前半(b))の所定のタイミングで発光させる。これにより、レーザガス分析計1における通常の動作中の演算に使用されない区間を利用して、受光部30の故障を判定することができる。つまり、実施例1では、レーザガス分析計1の通常の動作を停止することなく、受光部30の故障を判定することができる。
【0022】
<実施例2>
図4は、実施例2のレーザダイオード及びLEDの発光タイミングを示した図である。実施例1と実施例2とでは、LED36の発光タイミングが反転している。実施例1では、受光信号の静定待ち区間(b)の所定のタイミングでLED36は光を照射する。実施例2では、受光信号の静定待ち区間(b)の所定のタイミングでLED36が消灯する。実施例2では、所定のタイミング以外の区間ではLED36は光を常時照射する。演算部40は、前半(b)において、受光信号波形にLED36の消灯による負のスパイク信号があるか否かを常時観察し、受光部30の健全性を確認する。
【0023】
(実施例2の効果)
LED36を所定のタイミング以外の区間で常時発光させることによってフォトダイオード31の受光量にLED36の発光によるオフセット光量が加わる。LED36から照射される光の光量を調整することによって、フォトダイオード31は、フォトダイオード31の入力に対する出力の精度が高いレンジでレーザ光を受光し、出力することが可能となる。その結果、フォトダイオード31は、受光したレーザ光に対して精度の高い値を出力することができる。その他の効果は、実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0024】
<実施例3>
図5は、実施例3のレーザガス分析計のブロック図である。図5を参照して、実施例3のレーザガス分析計5について説明する。実施例3のレーザガス分析計5は、実施例1のレーザガス分析計1と同様に、発光部10と、被測定部20と、受光部30と、演算部40と、を備える。レーザガス分析計5の被測定部20は、測定対象のガスを取り込むプローブである。また、レーザガス分析計5は、レーザ光を反射する反射部50を備える。レーザダイオード14から照射されたレーザ光は、被測定部20に供給されるガスを通過して、反射部50で反射する。反射したレーザ光は、フォトダイオード31によって受光される。実施例3の発光部10及び受光部は、被測定部20に対して同じ側に配置される。
【0025】
(実施例3の効果)
プローブタイプの被測定部20を有するレーザガス分析計5において、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0026】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0027】
例えば、実施例1~3のLED36は、1つであったが、2つ以上であってもよい。
【0028】
また、実施例1~3のLED36は、レーザダイオードなど他の発光体であってもよいし、発光体から照射される光の光量や波長を変化可能であってもよい。発光体から照射される光の光量や波長を変化させて、フォトダイオード31によって検出される光量の変化を評価することによって、フォトダイオード31の健全性や性能を評価することが可能となる。上記した波長の変化は、複数の発光体の点灯及び消灯の組み合わせで実現してもよい。
【0029】
また、実施例1~3のレーザガス分析計がAuto Gain機能を有する場合、LED36によるパルス信号にAuto Gain機能が働かないようにするのが好ましい。
【0030】
また、実施例2のようにLED36を常時点灯とした場合、ACカプリングを利用するのが好ましい。
【0031】
また、実施例1~3では、静定待ち区間を利用して受光部30の故障を判定したが、例えば、レーザガス分析計に故障診断モードを用意し、当該故障診断モードにおいてフォトダイオード31及びLED36を発光させればよい。
【0032】
<比較例>
図6は、比較例のレーザガス分析計を示したブロック図である。図6を参照して、比較例のレーザガス分析計100の回路構成と動作とを説明する。
【0033】
発光部110において、出力コントローラ111は、受光部130の入力コントローラ134からの同期信号を受けてレーザ駆動電流のパターンを生成する。このパターンは、DAC(Digital Analog Converter)112及び電圧電流変換回路113を介して、レーザダイオード114に駆動電流として供給される。これにより、レーザダイオード114がレーザ光を照射する。レーザ光は、測定対象のガスを通過した後、受光部130のフォトダイオード131により検出される。フォトダイオード131の出力は、フィルタ/アンプ回路132及びADC(Analog Digital Converter)133を介して、入力コントローラ134に入力される。入力コントローラ134は、フォトダイオード131の出力をメモリ135に逐次格納する。演算部140は、メモリ135に格納されたフォトダイオード131の出力を読み出し、濃度値を算出する。
【0034】
図7は、比較例のレーザガス分析計によって検出された受光信号波形を示した図である。図7を参照して、レーザ光の発光タイミングを説明する。図7の区間(a)はレーザ光が無発光の区間であり、区間(d)はレーザ光が発光する区間である。レーザ光の発光及び無発光が交互に繰り返される。
【0035】
次に、レーザガス分析計100における受光部130のフォトダイオード131、フィルタ/アンプ回路132及びADC133の比較例の故障診断の方法について説明する。フォトダイオード131、フィルタ/アンプ回路132及びADC133のいずれかが故障した場合、ADC133の出力値がある一定値に張り付く可能性が高い。そのため、比較例のレーザガス分析計100において、ADC133の出力の変動が一定範囲の場合は、受光部130(フォトダイオード131、フィルタ/アンプ回路132及びADC133のいずれか)の故障と判定する。
【0036】
しかしながら、フォトダイオード131、フィルタ/アンプ回路132及びADC133のいずれかが故障した場合だけでなく、測定対象のガスに粉塵などのレーザ光の光路を遮る障害物が一定以上存在する場合にも、ADC133の出力の変動が一定範囲となり得る。したがって、比較例の故障診断の方法では、測定対象のガスに粉塵などのレーザ光の光路を遮る障害物が一定以上存在する場合にも受光部130の故障と判定してしまうため、受光部130の故障を正確に判定することができなかった。
【符号の説明】
【0037】
1:レーザガス分析計、 10:発光部、 11:出力コントローラ、 12:DAC、 13:電圧電流変換回路、 14:レーザダイオード、 20:被測定部、 30:受光部、 31:フォトダイオード、 32:フィルタ/アンプ回路、 33:ADC、 34:入力コントローラ、 35:メモリ、 36:LED、 40:演算部、 50:反射部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7