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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20240814BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240814BHJP
   F16D 27/10 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
B65H5/06 L
G03G15/00 463
F16D27/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020088065
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021181373
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 栄三
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-274691(JP,A)
【文献】特開2007-091451(JP,A)
【文献】特開平06-227709(JP,A)
【文献】実開平02-080646(JP,U)
【文献】特開平07-081797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0221602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12- 29/24
B65H 29/32
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するローラと、
駆動源であるモータと、
前記ローラに対し前記モータの駆動の連結または切断を行うクラッチと、
前記ローラに負荷を与える負荷付与機構と
前記ローラに対する負荷を調整可能な負荷調整装置と、
搬送シート枚数に基づいて前記ローラに対する負荷を調整するよう前記負荷調整装置を制御する負荷制御装置と、を備える
シート搬送装置。
【請求項2】
前記負荷付与機構は、前記ローラの軸方向中央よりも前記ローラの軸受の近くに配置される
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記負荷付与機構は、
前記ローラに対し摺動可能な摺動部材と、
前記摺動部材を付勢する付勢部材と、を備える
請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記ローラに対しシート搬送方向に離間し前記ローラの回転に従って回転する従動ローラを更に備え、
前記摺動部材は、複数設けられ、
複数の前記摺動部材は、
前記ローラに対し摺動可能な第1摺動部材と、
前記従動ローラに対し摺動可能な第2摺動部材と、を含み、
前記付勢部材は、前記第1摺動部材と前記第2摺動部材とに架け渡される
請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記負荷付与機構は、前記負荷を調整可能である
請求項1から4のいずれか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のシート搬送装置を備える
画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シート搬送装置及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置は、Automatic Duplex Copy Unit(以下「ADU」という。)を備える。シートの表裏両面に対し画像処理を行うために、ADUはシートの表裏を反転する。ADUは、シートを搬送するシート搬送装置を備える。シート搬送装置は、ローラ、モータ及びクラッチを備える。クラッチは、ローラに対しモータの駆動の連結または切断を行う。シート搬送装置は、クラッチの連結及び切断によりシートの搬送を制御する。クラッチの空転トルクの仕様により、クラッチ切断時にローラの回転が停止するまでの時間(以下「ローラ停止時間」という。)が延び、ローラ停止時間のばらつきが大きくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-23884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、クラッチ切断時のローラ停止時間を短縮し、ローラ停止時間のばらつきを小さくすることができるシート搬送装置及び原稿読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のシート搬送装置は、ローラと、モータと、クラッチと、負荷付与機構と、負荷調整装置と、負荷制御装置と、を持つ。ローラは、シートを搬送する。モータは、駆動源である。クラッチは、前記ローラに対し前記モータの駆動の連結または切断を行う。負荷付与機構は、前記ローラに負荷を与える。負荷調整装置は、前記ローラに対する負荷を調整可能である。負荷制御装置は、搬送シート枚数に基づいて前記ローラに対する負荷を調整するよう前記負荷調整装置を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の画像処理装置の斜視図。
図2】第1実施形態の画像処理装置の内部構成を示す断面図。
図3】第1実施形態の第1ローラの駆動構成を示す斜視図。
図4】第1実施形態のシート搬送装置の斜視図。
図5】第1実施形態の負荷付与機構の周辺拡大図。
図6】第2実施形態のシート搬送装置の斜視図。
図7】第3実施形態の負荷付与機構の周辺拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のシート搬送装置及び画像処理装置を、図面を参照して説明する。
まず、図1から図5を参照して、第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の画像処理装置1の斜視図である。
例えば、画像処理装置1は複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)である。画像処理装置1は、用紙などのシート状の記録媒体(以下「シート」という。)上に形成された画像を読み取ってデジタルデータ(画像ファイル)を生成する。画像処理装置1は、デジタルデータに基づいて、トナーを用いてシート上に画像を形成する。
【0008】
画像処理装置1は、ADU2、表示部3、画像読取部4、画像形成部5及びシートトレイ6を備える。
ADU2は、自動両面コピーユニットである。ADU2は、画像処理装置1の装置本体の側部に設けられる。ADU2は、シートの表裏を反転する。例えば、シートの表裏反転は、シートの表裏両面に対し画像を形成する場合に行われる。
【0009】
表示部3は、出力インターフェースとして動作し、文字や画像の表示を行う。表示部3は、入力インターフェースとしても動作し、ユーザから指示を受け付ける。例えば、表示部3は、タッチパネル式の液晶ディスプレイである。
【0010】
例えば、画像読取部4は、カラースキャナである。カラースキャナには、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Devices)等がある。画像読取部4は、センサを用いて、シート上に形成されている画像を読み取り、デジタルデータを生成する。
【0011】
画像形成部5は、トナーを用いてシート上に画像を形成する。画像形成部5は、画像読取部4によって読み取られた画像データ又は外部機器から受信した画像データに基づいて画像を形成する。例えば、シート上に形成される画像は、ハードコピー、プリントアウト等と称される出力画像である。
シートトレイ6は、画像出力に用いられるシートを画像形成部5に対して供給する。
【0012】
図2は、第1実施形態の画像処理装置1の内部構成を示す断面図である。図2においては、断面ハッチを省略している。
図2に示すように、画像処理装置1は、中間転写体10、作像部11、一次転写ローラ12、二次転写部13及び定着装置14を備える。
【0013】
画像処理装置1における転写には、第1転写工程及び第2転写工程がある。第1転写工程では、一次転写ローラ12は、各作像部の感光体ドラム上のトナーによる画像(トナー像)を中間転写体10に転写する。第2転写工程では、二次転写部13は、中間転写体10上に積層された各色のトナーによって画像をシートに転写する。
【0014】
中間転写体10は、無端状のベルトである。中間転写体10は、図2の矢印A方向に回転している。中間転写体10の表面にはトナーの画像が形成される。
作像部11は、各色(例えば5色)のトナーを用いて画像を形成する。作像部11は、中間転写体10に沿って複数設置されている。図2においては、複数の作像部11のうちの一部を示す。
【0015】
一次転写ローラ12は、作像部11が形成したトナー像を中間転写体10に転写する。
二次転写部13は、二次転写ローラ13a及び二次転写対向ローラ13bを備える。二次転写部13は、中間転写体10上に形成されたトナー像をシートに転写する。
【0016】
定着装置14は、シート上に転写されたトナー像を、加熱及び加圧によってシートに定着させる。定着装置14によって画像が形成されたシートは、排紙部7(図1参照)から装置外部に排出される。
【0017】
次に、ADU2について説明する。
図2に示すように、ADU2は、定着装置14の側方に配置される。ADU2は、シートを表裏反転して次工程へ搬送するための反転路20を有する。ADU2は、反転路20を形成する複数(例えば4つ)の反転ローラ21~24を備える。複数の反転ローラ21~24は、第1ローラ21、第2ローラ22、第3ローラ23及び第4ローラ24である。
【0018】
第1ローラ21は、モータ31(図3参照)の駆動により回転する駆動ローラである。第1ローラ21は、正回転(時計回りの回転)及び逆回転(反時計回りの回転)が可能である。
第2ローラ22は、第1ローラ21よりも上方に配置される。第2ローラ22は、タイミングベルト34(図4参照)等を介して、第1ローラ21の回転に従って回転する従動ローラである。
第3ローラ23は、第1ローラ21と対向する。第3ローラ23は、第1ローラ21の回転に従って回転する従動ローラである。
第4ローラ24は、第2ローラ22と対向する。第4ローラ24は、第2ローラ22の回転に従って回転する従動ローラである。
【0019】
次に、シート搬送装置30について説明する。
図4は、第1実施形態のシート搬送装置30の斜視図である。
ADU2は、シート搬送装置30を備える。図4に示すように、シート搬送装置30は、第1ローラ21、第2ローラ22、モータ31(図3参照)、クラッチ32(図3参照)及び負荷付与機構40を備える。シート搬送装置30の各要素は、装置本体を構成するベース50の側方に配置される。
【0020】
第1ローラ21は、シートを搬送するローラ(駆動ローラ)である。第1ローラ21は、第1シャフト21a、第1回転体21b及び第1プーリ21cを備える。
第1シャフト21aは、シート幅方向に延びる円柱状を有する。ここで、シート幅方向は、シート搬送方向と直交する方向(図2の紙面奥行き方向)を意味する。例えば、第1シャフト21aは、金属で形成される。
【0021】
第1回転体21bは、第1シャフト21aと同軸の円筒状を有する。第1回転体21bは、第1シャフト21aよりも大きい外径を有する。第1回転体21bは、第1シャフト21aの軸方向中央に間隔をあけて一対設けられる。
第1プーリ21cは、第1シャフト21aと同軸の円盤状を有する。第1プーリ21cは、第1シャフト21aの一端部に取り付けられる。
【0022】
第2ローラ22は、第1ローラ21に対しシート搬送方向に離間する。第2ローラ22は、第1ローラ21の回転に従って回転する従動ローラである。第2ローラ22は、第2シャフト22a、第2回転体22b及び第2プーリ22cを備える。
第2シャフト22aは、第1シャフト21aに対し平行に延びる円柱状を有する。例えば、第2シャフト22aは、金属で形成される。
【0023】
第2回転体22bは、第2シャフト22aと同軸の円筒状を有する。第2回転体22bは、第2シャフト22aよりも大きい外径を有する。第2回転体22bは、第2シャフト22aの軸方向中央に間隔をあけて一対設けられる。
第2プーリ22cは、第2シャフト22aと同軸の円盤状を有する。第2プーリ22cは、第2シャフト22aの一端部に取り付けられる。
【0024】
第1プーリ21c及び第2プーリ22cには、タイミングベルト34が架け渡される。タイミングベルト34は、無端状のベルトである。第1ローラ21の回転は、第1プーリ21c、タイミングベルト34、第2プーリ22cを通じて、第2ローラ22に伝達される。
【0025】
モータ31は、第1ローラ21の駆動源である(図3参照)。例えば、モータ31は、現像装置(不図示)のモータと共用である。図3に示すように、モータ31は、支持部材37等を介して装置本体に取り付けられる。
【0026】
クラッチ32は、第1ローラ21に対しモータ31の駆動の連結または切断を行う。例えば、クラッチ32は、電磁クラッチである。クラッチ32の連結状態(電磁クラッチの励磁状態)では、モータ31の駆動は第1ローラ21に伝達される。一方、クラッチ32の切断状態(電磁クラッチの無励磁状態)では、モータ31の駆動は第1ローラ21に伝達されない。シート搬送装置30は、クラッチ32の連結及び切断により第1ローラ21の回転を制御する。
【0027】
図3に示すように、モータ31とクラッチ32との間には、ギア列35が設けられる。ギア列35は、複数(例えば8つ)のギア35a~35hを備える。複数のギア35a~35hは、第1ギア35a、第2ギア35b、第3ギア35c、第4ギア35d、第5ギア35e、第6ギア35f、第7ギア35g及び第8ギア35hである。第1ギア35aは、複数のギア35a~35hのうち最も大きい外径を有する。第1ギア35aから第8ギア35hは、モータ31からクラッチ32に向けてこの順に噛み合っている。クラッチ32の連結状態において、モータ31の駆動は、ギア列35及びクラッチ32を介して第1ローラ21に伝達される。
【0028】
なお、モータ31の駆動は、ベルト及びプーリ等のギア列以外の動力伝達機構を介して第1ローラ21に伝達されてもよい。例えば、動力伝達機構の態様は、要求仕様に応じて種々の構成を採用することができる。
【0029】
次に、負荷付与機構40について説明する。
図5は、第1実施形態の負荷付与機構40の周辺拡大図である。
負荷付与機構40は、第1ローラ21に負荷を与える。図5に示すように、負荷付与機構40は、第1ローラ21の軸受25近傍に配置される。第1ローラ21の軸受25は、第1シャフト21aと同軸の円環状を有する。例えば、軸受25は、ポリアセタール(POM)等の樹脂で形成される。軸受25は、ベース50から側方に突出する支持壁部51に取り付けられる。第1シャフト21aは、軸受25を介して支持壁部51に回転自在に支持される。
【0030】
負荷付与機構40は、摺動部材41及び付勢部材42を備える。
摺動部材41は、第1ローラ21に対し摺動可能である。例えば、摺動部材41は、ポリアセタール(POM)等の樹脂で形成される。例えば、摺動部材41は、第1シャフト21aに対しスムーズに摺動可能な材料で形成されることが好ましい。摺動部材41は、第1シャフト21aの軸方向において第1回転体21bと軸受25との間に配置される。摺動部材41は、第1回転体21bよりも軸受25の近くに配置される。
【0031】
摺動部材41は、環状部41a及び膨出部41bを備える。
環状部41aは、第1シャフト21aと同軸の円環状を有する。
膨出部41bは、環状部41aの一部から径方向外側に膨出する。膨出部41bは、付勢部材42の一端(第1フック42b)を取り付け可能な形状を有する。
環状部41a及び膨出部41bは、同一の部材で一体に形成される。
【0032】
例えば、付勢部材42は、引張コイルばねである。付勢部材42は、摺動部材41を矢印B1方向に付勢する。付勢部材42は、摺動部材41を引っ張る方向に常時付勢する。付勢部材42は、スプリング42a、第1フック42b及び第2フック42cを備える。
【0033】
スプリング42aは、第1シャフト21aと直交する方向(矢印B1方向)に伸長可能に配置される。
第1フック42bは、スプリング42aの第1端に設けられる。第1フック42bは、摺動部材41の膨出部41bに取り付けられる。
第2フック42cは、スプリング42aの第2端に設けられる。第2フック42cは、ベース50から側方に突出する爪部52に取り付けられる。
図中符号53は、スプリング42aの位置(第1シャフト21aと平行な方向の移動)を規制するためにベース50に設けられた規制壁部を示す。規制壁部53は、スプリング42aを挟んで一対設けられる。
【0034】
付勢部材42の第1フック42bは、摺動部材41の膨出部41bに着脱可能に取り付けられる。付勢部材42の第2フック42cは、ベース50の爪部52に着脱可能に取り付けられる。負荷付与機構40は、付勢部材42の交換により、第1ローラ21に対する負荷を調整(変更)可能である。
【0035】
例えば、第1ローラ21に対する負荷を付勢部材42の交換前後で維持する場合は、交換前と同じ付勢力を持つ付勢部材に交換する。
例えば、第1ローラ21に対する負荷を付勢部材42の交換前よりも大きくする場合は、交換前より付勢力が大きい付勢部材に交換する。
例えば、第1ローラ21に対する負荷を付勢部材42の交換前よりも小さくする場合は、交換前より付勢力が小さい付勢部材に交換する。
【0036】
以上に説明されたように、実施形態のシート搬送装置30は、第1ローラ21と、モータ31と、クラッチ32と、負荷付与機構40と、を備える。第1ローラ21は、シートを搬送する。モータ31は、駆動源である。クラッチ32は、第1ローラ21に対しモータ31の駆動の連結または切断を行う。負荷付与機構40は、第1ローラ21に負荷を与える。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
負荷付与機構40により第1ローラ21に負荷が与えられるため、クラッチ32切断時に第1ローラ21が回転を停止するよう作用させることができる。すなわち、クラッチ32の空転トルクの仕様により第1ローラ21の負荷トルクが軽い場合であっても、負荷付与機構40の作用により第1ローラ21の回転を止めようとする負荷(制動力)がかかる。そのため、クラッチ32切断時に第1ローラ21の回転が停止するまでの時間(ローラ停止時間)が延びることを抑制することができる。したがって、クラッチ32切断時のローラ停止時間を短縮し、ローラ停止時間のばらつきを小さくすることができる。
【0037】
負荷付与機構40は、第1ローラ21の軸受25近傍に配置されることで、以下の効果を奏する。
負荷付与機構40が第1ローラ21の軸受25から遠く離れた位置に配置される場合と比較して、第1ローラ21に対して一定の負荷を与えやすい。したがって、クラッチ32切断時のローラ停止時間のばらつきをより小さくすることができる。
【0038】
負荷付与機構40は、第1ローラ21に対し摺動可能な摺動部材41と、摺動部材41を付勢する付勢部材42と、を備える。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
摺動部材41を介して第1ローラ21に負荷が与えられるため、クラッチ32連結状態では第1ローラ21の回転を維持しつつ、クラッチ32切断時には第1ローラ21が回転を停止するよう作用させることができる。したがって、クラッチ32の連結及び切断によるシートの搬送制御を高精度で行うことができる。加えて、負荷付与機構40としてアクチュエータ等の駆動装置を設ける場合と比較して、構成を簡素化することができる。
【0039】
負荷付与機構40は、付勢部材42の交換により、第1ローラ21に対する負荷を調整可能であることで、以下の効果を奏する。
付勢部材42の交換により、第1ローラ21に対して所望の負荷を与えることができる。例えば、より付勢力が大きい付勢部材に交換した場合、より効果的にクラッチ32切断時のローラ停止時間を短縮し、ローラ停止時間のばらつきを小さくすることができる。
【0040】
画像処理装置1は、前述されたシート搬送装置30を備える。
シート搬送装置30は、クラッチ32切断時のローラ停止時間を短縮し、ローラ停止時間のばらつきを小さくすることができる。したがって、画像処理装置1は、シートの表裏両面に対する画像処理をスムーズに行うことができる。
【0041】
次に、図6を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
付勢部材42は、第1ローラ21を摺動する摺動部材41に対してのみ付勢することに限らない。第2実施形態は、付勢部材42が第1ローラ21及び第2ローラ22を摺動する各摺動部材41,241に対して付勢する点で第1実施形態と異なる。
図6は、第2実施形態のシート搬送装置230の斜視図である。
図6に示すように、シート搬送装置230は、第1ローラ21及び第2ローラ22のそれぞれに対して負荷を与える負荷付与機構240を備える。
【0042】
負荷付与機構240は、複数の摺動部材41,241と、付勢部材42と、を備える。
複数の摺動部材41,241は、第1ローラ21に対し摺動可能な摺動部材41(以下「第1摺動部材41」という。)と、第2ローラ22に対し摺動可能な第2摺動部材241と、である。例えば、各摺動部材41,241は、ポリアセタール(POM)等の樹脂で形成される。
【0043】
第2摺動部材241は、第2シャフト22aの軸方向において第2回転体22bと軸受225(以下「第2軸受225」という。)との間に配置される。第2摺動部材241は、第2回転体22bよりも第2軸受225の近くに配置される。
【0044】
第2摺動部材241は、第2環状部241a及び第2膨出部241bを備える。
第2環状部241aは、第2シャフト22aと同軸の円環状を有する。
第2膨出部241bは、第2環状部241aの一部から径方向外側に膨出する。第2膨出部241bは、付勢部材42の他端(第2フック42c)を取り付け可能な形状を有する。
第2環状部241a及び第2膨出部241bは、同一の部材で一体に形成される。
【0045】
付勢部材42は、第1摺動部材41と第2摺動部材241とに架け渡される。
付勢部材42は、第1摺動部材41を矢印B21方向に付勢する。付勢部材42は、第2摺動部材241を矢印B22方向に付勢する。
付勢部材42の第1フック42bは、第1摺動部材41の膨出部41bに取り付けられる。第2フック42cは、第2膨出部241bに取り付けられる。
【0046】
第2実施形態によれば、摺動部材41,241は、複数設けられる。複数の摺動部材41,241は、第1ローラ21に対し摺動可能な第1摺動部材41と、第2ローラ22に対し摺動可能な第2摺動部材241と、である。付勢部材42は、第1摺動部材41と第2摺動部材241とに架け渡される。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
負荷付与機構240により第1ローラ21及び第2ローラ22のそれぞれに負荷が与えられるため、クラッチ32切断時に第1ローラ21及び第2ローラ22のそれぞれが回転を停止するよう作用させることができる。したがって、より効果的にクラッチ32切断時のローラ停止時間を短縮し、ローラ停止時間のばらつきを小さくすることができる。
【0047】
次に、図7を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
付勢部材42の第2フック42cは、ベース50の爪部52に取り付けられることに限らない。第3実施形態は、第2フック42cが負荷調整装置341に取り付けられる点で第1実施形態と異なる。
図7は、第3実施形態の負荷付与機構340の周辺拡大図である。
図7に示すように、負荷付与機構340は、摺動部材41及び付勢部材42に加え、負荷調整装置341及び負荷制御装置342を備える。
【0048】
負荷調整装置341は、第1ローラ21に対する負荷を調整可能である。例えば、負荷調整装置341は、ソレノイド等のアクチュエータである。負荷調整装置341は、第2フック42cを支持するフック支持部341aを備える。負荷調整装置341は、フック支持部341aを第1シャフト21aと直交する方向(矢印C1方向又は矢印C2方向)に移動可能である。
【0049】
負荷調整装置341は、第1ローラ21に対する負荷を基準負荷よりも小さくする場合、フック支持部341aを矢印C1方向へ移動する。すなわち、フック支持部341aを第1シャフト21aに近づける。
負荷調整装置341は、第1ローラ21に対する負荷を基準負荷よりも大きくする場合、フック支持部341aを矢印C2方向へ移動する。すなわち、フック支持部341aを第1シャフト21aから遠ざける。
【0050】
負荷制御装置342は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などを備える。また、負荷制御装置342の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
【0051】
負荷制御装置342は、シート搬送装置330において搬送されるシートの総枚数(以下「搬送シート枚数」という。)に基づいて第1ローラ21に対する負荷を調整するよう負荷調整装置341を制御する。負荷制御装置342は、予め実施された付勢部材42の耐久試験などによって取得された寿命データを記憶している。例えば、寿命データは、所定の搬送シート枚数によって取得された付勢力(スプリング42aのばね力)分布マップのデータである。
【0052】
付勢部材42の付勢力は、搬送シート枚数が増えるに従って小さくなる傾向にある。そのため、第1ローラ21に対する負荷を一定に保つためには、搬送シート枚数が増えるに従って付勢力が大きくなるよう負荷調整装置341を制御する必要がある。本実施形態では、負荷制御装置342は、所定の搬送シート枚数毎にフック支持部341aを第1シャフト21aから遠ざけるよう負荷調整装置341を制御する。例えば、負荷制御装置342は、搬送シート枚数300K毎にフック支持部341aを第1シャフト21aから遠ざけるよう負荷調整装置341を制御する。
【0053】
第3実施形態によれば、シート搬送装置330は、第1ローラ21に対する負荷を調整可能な負荷調整装置341を備えることで、以下の効果を奏する。
第1ローラ21に対して所望の負荷を与えることができる。例えば、第1ローラ21に対する負荷を基準負荷よりも小さくした場合、付勢部材42の寿命を長くすることができる。一方、第1ローラ21に対する負荷を基準負荷よりも大きくした場合、より効果的にクラッチ32切断時のローラ停止時間を短縮し、ローラ停止時間のばらつきを小さくすることができる。
【0054】
シート搬送装置330は、搬送シート枚数に基づいて第1ローラ21に対する負荷を調整するよう負荷調整装置341を制御する負荷制御装置342を備えることで、以下の効果を奏する。
負荷制御装置342の制御により、第1ローラ21に対して最適な負荷を自動的に与えることができる。
【0055】
次に、実施形態の変形例について説明する。
実施形態の負荷付与機構40は、第1ローラ21の軸受25近傍に配置される。これに対して、負荷付与機構40は、第1ローラ21の軸受25から遠く離れた位置に配置されてもよい。例えば、負荷付与機構40は、第1シャフト21aの軸方向において第1ローラ21の軸受25とは反対側の端部寄りに配置されてもよい。例えば、負荷付与機構40は、一対の第1回転体21bの間に配置されてもよい。
【0056】
実施形態の付勢部材42は、引張コイルばねである。これに対して、付勢部材42は、圧縮コイルばねであってもよい。例えば、付勢部材42は、第1フック42b及び第2フック42cを有しなくてもよい。例えば、付勢部材42は、摺動部材41を矢印B1方向とは反対方向に付勢してもよい。すなわち、付勢部材42は、摺動部材41を押す方向に常時付勢してもよい。
【0057】
実施形態の画像処理装置1は画像形成装置である。これに対して、画像処理装置は消色装置であってもよい。この場合、定着装置は消色装置であってもよい。消色装置は、消色トナーによりシートに形成された画像を消色(消去)する処理を行う。
【0058】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、負荷付与機構によりローラに負荷が与えられるため、クラッチ切断時にローラが回転を停止するよう作用させることができる。したがって、クラッチ切断時のローラ停止時間を短縮し、ローラ停止時間のばらつきを小さくすることができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
1…画像処理装置、21…第1ローラ(ローラ)、22…第2ローラ(従動ローラ)、25…第1ローラの軸受(ローラの軸受)、30,230,330…シート搬送装置、31…モータ、32…クラッチ、40,240,340…負荷付与機構、41…摺動部材、42…付勢部材、241…第2摺動部材
図1
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図7