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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0358 20190101AFI20240814BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
F24F1/0358
B01D53/26 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021116143
(22)【出願日】2021-07-14
(65)【公開番号】P2023012619
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕香
(72)【発明者】
【氏名】大田 清佳
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503075(JP,A)
【文献】特開2001-041685(JP,A)
【文献】特開2020-008199(JP,A)
【文献】特開2003-021495(JP,A)
【文献】特開2013-053789(JP,A)
【文献】特開平11-211184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0097547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0358
B01D 53/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
当該筐体内に収容され、圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器の順に冷媒が通流するよう冷媒配管で接続した冷凍サイクルと、
前記蒸発器、及び前記凝縮器で構成された熱交換器と、
前記筐体内へ吸い込んだ空気を前記熱交換器へ送る送風ファンと、
前記熱交換器で熱交換した空気が吹き出す吹出口と、
前記熱交換器を洗浄する洗浄水の注水口と、
前記熱交換器の鉛直上方に配置され、前記洗浄水を前記熱交換器に排出する排水孔を有する洗浄水受けと、
前記注水口を介し前記洗浄水受けへの前記洗浄水の注水有無を判断する注水判断手段と、
当該注水判断手段により前記注水口への注水がされた後、前記送風ファンを駆動させ前記熱交換器を乾燥させる乾燥運転と、
当該乾燥運転時における前記送風ファンの回転数と前記送風ファンの駆動時間とを制御する制御部と、を備え、
前記乾燥運転開始前における前記熱交換器の温度が所定温度以上かを判断する熱交温度判断手段と、を有し、
前記制御部は、前記熱交温度判断手段により前記乾燥運転開始前における前記熱交換器の温度が前記所定温度以上だと判断されたら、前記所定温度未満と判断されたときと比較して前記乾燥運転時における前記送風ファンの回転数を低くする及び/又は前記送風ファンの駆動時間を短くすることを特徴とした空気調和機。
【請求項2】
前記熱交温度判断手段は、前記乾燥運転を開始する所定時間前までの間に前記圧縮機が駆動していなければ、前記熱交換器の温度が前記所定温度以上だと判断することを特徴とした請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記注水口には、前記注水口の開放、及び閉止が切替可能な開閉切替手段が配置され、
前記注水判断手段は、前記開閉切替手段による前記注水口の開放又は閉止を検知して前記洗浄水受けへの前記洗浄水の注水有無を判断することを特徴とした請求項1又は2記載の空気調和機。
【請求項4】
前記開閉切替手段は、前記筐体に対して引き出し可能に支持されて前記注水口を塞ぎ前記筐体から引き出されることで前記洗浄水を受ける注水部と、前記筐体から引き出されたときに前記洗浄水受けの少なくとも鉛直上方に位置し前記注水部が受ける前記洗浄水を前記洗浄水受けに排水する排水部と、を有する注水口蓋であり、
前記注水判断手段は、前記注水口蓋が前記注水口から引き出されたことを検知する検知器で構成したことを特徴とした請求項3記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、低温の冷媒を蒸発器としての熱交換器へ通流させることで冷却し、送風ファンが駆動して熱交換器へ送風することで、熱交換器に結露水が付着し室内の除湿を行う除湿運転を実施するものにおいて、除湿運転が終了し低温の冷媒が熱交換器へ通流しない状態で送風ファンを所定時間だけ駆動させ、熱交換器を乾燥させる乾燥運転を実施するものがあり、熱交換器に水分が残ることでのカビや雑菌が発生することを未然に阻止していた。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-334795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、熱交換器に付着した埃を除去することができない。
これに対し、ユーザが洗浄水を熱交換器へ注水して埃を除去する方法が考えられるが、熱交換器への注水後に送風ファンを駆動させ熱交換器を乾燥させる乾燥運転において、乾燥運転開始前の熱交換器の状態に関わらず一律の乾燥運転を実施するだけでは熱交換器の乾燥不足、あるいは無駄な乾燥運転の継続が発生するため、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、筐体と、
当該筐体内に収容され、圧縮機、凝縮器、減圧装置、及び蒸発器の順に冷媒が通流するよう冷媒配管で接続した冷凍サイクルと、
前記蒸発器、及び前記凝縮器で構成された熱交換器と、
前記筐体内へ吸い込んだ空気を前記熱交換器へ送る送風ファンと、
前記熱交換器で熱交換した空気が吹き出す吹出口と、
前記熱交換器を洗浄する洗浄水の注水口と、
前記熱交換器の鉛直上方に配置され、前記洗浄水を前記熱交換器に排出する排水孔を有する洗浄水受けと、
前記注水口を介し前記洗浄水受けへの前記洗浄水の注水有無を判断する注水判断手段と、
当該注水判断手段により前記注水口への注水がされた後、前記送風ファンを駆動させ前記熱交換器を乾燥させる乾燥運転と、
当該乾燥運転時における前記送風ファンの回転数と前記送風ファンの駆動時間とを制御する制御部と、を備え、
前記乾燥運転開始前における前記熱交換器の温度が所定温度以上かを判断する熱交温度判断手段と、を有し、
前記制御部は、前記熱交温度判断手段により前記乾燥運転開始前における前記熱交換器の温度が前記所定温度以上だと判断されたら、前記所定温度未満と判断されたときと比較して前記乾燥運転時における前記送風ファンの回転数を低くする及び/又は前記送風ファンの駆動時間を短くすることを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記熱交温度判断手段は、前記乾燥運転を開始する所定時間前までの間に前記圧縮機が駆動していなければ、前記熱交換器の温度が前記所定温度以上だと判断することを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記注水口には、前記注水口の開放、及び閉止が切替可能な開閉切替手段が配置され、
前記注水判断手段は、前記開閉切替手段による前記注水口の開放又は閉止を検知して前記洗浄水受けへの前記洗浄水の注水有無を判断することを特徴とした。
【0008】
また、請求項4では、前記開閉切替手段は、前記筐体に対して引き出し可能に支持されて前記注水口を塞ぎ前記筐体から引き出されることで前記洗浄水を受ける注水部と、前記筐体から引き出されたときに前記洗浄水受けの少なくとも鉛直上方に位置し前記注水部が受ける前記洗浄水を前記洗浄水受けに排水する排水部と、を有する注水口蓋であり、
前記注水判断手段は、前記注水口蓋が前記注水口から引き出されたことを検知する検知器で構成したことを特徴とした。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、洗浄水による熱交換器の洗浄が実施された後における乾燥運転で、熱交換器の乾燥不足、あるいは無駄な乾燥運転の継続が発生することを未然に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における除湿機の外観斜視図。
図2】除湿機の前枠及び後枠を外した状態の左側面図。
図3】除湿機の分解斜視図。
図4】除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図5】洗浄水受けと、排水孔押えを示す分解斜視図。
図6】洗浄水受けを主に上方から示す斜視図。
図7図6のVII-VII線に沿う断面図。
図8】注水口蓋を主に上方から示す斜視図。
図9図8のIX-IX線に沿う断面図。
図10】洗浄レバーを前方から示す斜視図。
図11】後枠に配置された洗浄レバーを特に示す説明図。
図12】後枠を前方から示す斜視図。
図13】後枠の注水口を後方から示す斜視図。
図14】注水口と注水口蓋との関係を後方及び右方から示す断面図。
図15】注水口と注水口蓋との関係を前方及び左方から示す説明図。
図16】貯水部排水孔が閉じた状態を前方から示す断面図。
図17】貯水部排水孔が閉じた状態を左方から示す断面図。
図18】貯水部排水孔が開いた状態を前方から示す断面図。
図19】貯水部排水孔が開いた状態を左方から示す断面図。
図20】熱交換器の洗浄から乾燥運転停止までの制御内容を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る空気調和機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の空気調和機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿する除湿機1に適用して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における除湿機1の外観斜視図である。
【0013】
図2は、除湿機1の前枠11及び後枠12を外した状態の左側面図である。
【0014】
図3は、除湿機1の分解斜視図である。
【0015】
図4は、除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0016】
以下の説明においては、各図面に示される前後上下左右の定義に従って説明する。なお、鉛直方向は上下方向であり、水平方向は前後左右方向を含む面方向に含まれる方向である。
【0017】
除湿機1は、除湿機1の外観をなす筐体10を有する。筐体10は、前枠11と、後枠12と、後枠化粧板13と、上面板14と、ベース15と、を有する。
【0018】
前枠11及び後枠12は、互いに組み合わされ、除湿機1の前後方向に面する筐体10をなす。
【0019】
後枠12は、吸込口21と、タンク挿入口22と、注水口23と、レバー支持口24と、を有する。吸込口21は、複数のスリット26を有し、外表面にフィルタ27及びフィルタケース28を有する。フィルタ27は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する埃やにおい成分などを取り除く。フィルタケース28は、フィルタ27を吸込口21に固定する。タンク挿入口22は、吸込口21の下方に配置され、ここからドレンタンク51が挿入及び取り出される。注水口23及びレバー支持口24は、吸込口21の上方に配置される(詳細は後述)。後枠化粧板13は、後枠12の上方に取り付けられることで後枠12の視認させたくない部分を覆う目隠しとなる。
【0020】
上面板14は、組み合わされた前枠11及び後枠12の上方に配置され、上方に面する筐体10をなす。上面板14は、吹出口31と、操作部32と、LED表示部33と、を有する。吹出口31は、上面板14の上方を向く面に配置される。吹出口31は、乾燥空気の吹出方向を斜め上方から水平方向に制御可能なルーバユニット35を有する。ルーバユニット35は、ルーバ36と、ルーバ36を駆動するルーバモータ37と、を有する。
【0021】
操作部32及びLED表示部33は、上面から前方に斜め下方に傾斜する面に配置される。操作部32は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチなどを実現するタッチパネルである。LED表示部33は、除湿機1の運転状態などをLED(Light Emitting Diode)の点灯状態で表示する。
【0022】
ベース15は、組み合わされた前枠11及び後枠12の下方に配置され、除湿機1の土台となる。
【0023】
除湿機1は、筐体10に収容される主な内部部品として、ファンケース41と、シロッコファン42と、送風モータ43と、圧縮機45と、熱交換器46と、ドレンパン49と、ドレンタンク51と、制御部55と、を有する。
【0024】
ファンケース41は、ベース15上に配置され、主に送風ファンとしてのシロッコファン42、送風モータ43、及びドレンタンク51を支持したり位置決めしたりする。
【0025】
シロッコファン42は、送風モータ43の回転により回転し、吸込口21から空気を吸い込み、吹出口31から吹き出す空気の流れを形成する。シロッコファン42及び送風モータ43は、回転軸が前後方向に沿うようにファンケース41に取り付けられている。
【0026】
圧縮機45は、ベース15上に固定されており、配管45a及び減圧装置45bを介して熱交換器46に接続される。
【0027】
熱交換器46は、吸込口21から吸い込まれた空気と熱交換を行う。熱交換器46は、吸込口21に近い位置に配置される蒸発器46aと、蒸発器46aよりも前方に配置される凝縮器46bと、を有する。蒸発器46a及び凝縮器46bは、U字状の冷媒管47にフィン48が取り付けられた、フィンチューブ型の熱交換器である。冷媒管47は、図2に示すように、水平方向(左右方向)に延びる複数の直線部47aと、上下方向に曲り2本の直線部47aをつなげる曲げ部47bと、を有し、この直線部47aと曲げ部47bとが冷媒管47の長さ方向に渡って連続して現われる。
【0028】
圧縮機45、配管45a、減圧装置45b及び熱交換器46は、冷媒配管で接続されることで冷媒が通流する冷凍サイクルを形成する。冷凍サイクルは、冷媒が流れる順に、圧縮機45、凝縮器46b、減圧装置45b、蒸発器46aを有する。冷媒は、蒸発器46aを流れる際に、蒸発器46aを通過する空気から熱を奪い蒸発する。また、冷媒は、凝縮器46bを流れる際に、凝縮器46bを通過する空気を再加熱し凝縮する。これにより、吸込口21から吸い込まれた空気は、フィルタ27で埃やにおい成分などが取り除かれた後、蒸発器46aで冷却、除湿され、次いで凝縮器46bで加熱されて、低湿度の空気として吹出口31から排出される。
【0029】
ドレンパン49は、ファンケース41のシロッコファン42が配置される側と前後方向における反対側で、熱交換器46を下方で支持し、固定する。ドレンパン49は、熱交換器46の下方に位置する冷媒管47及びフィン48と掛かり合うことで、熱交換器46を前後及び左右方向に支持する。ドレンパン49は、排水口を有し、蒸発器46aで発生し落下するドレン水及び蒸発器46aを洗浄した洗浄水を受け、この排水口から排出する。
【0030】
ドレンタンク51は、ドレンパン49の排水口から排出されるドレン水を貯留する。ドレンタンク51は、タンク挿入口22から前後方向にスライドされることにより、筐体10に対して着脱される。筐体10内に挿入されたドレンタンク51は、ファンケース41により形成されたタンク室41bに配置される。
【0031】
ドレンタンク51は、タンク蓋54と、浮き収容部52と、を有する。タンク蓋54は、ドレンパン49の排水口からのドレン水などをドレンタンク51内に落下させる。浮き収容部52は、ドレンタンク51内の水位を検出するための、例えばマグネットを有する浮き53を収容する。水位に応じたマグネットの磁界は、制御部55などに実装されたAMRセンサ(Anisotropic-Magneto-Resistance、異方性磁気抵抗センサ)62により検出され、ドレンタンク51の満水をユーザに通知する。
【0032】
制御部55は、ケース56に支持されてファンケース41の左方に配置される。制御部55は、操作部32からの指示や予め記憶されたプログラムに基づいてルーバモータ37、送風モータ43や圧縮機45、LED表示部33などの各部を電気的に制御することにより、除湿機1の動作を統括的に制御する。図4に示すように、制御部55は、記憶部57、タイマ58、及び判断部63を有する。記憶部57は、各部の動作プログラムなどを記憶する。タイマ58は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。熱交温度判断手段としての判断部63は、後述する熱交温度センサ64での検知温度と所定温度とを比較して大小を判断する。また、図示しないが、制御部55には後述する検知器としてのマイクロスイッチ120のON/OFF状態により洗浄水受け70への洗浄水の注水有無を判断する注水判断手段を有する。
【0033】
制御部55は、温度センサ59及び湿度センサ60を有する。温度センサ59及び湿度センサ60は、除湿機1本体の所定位置に設けられ、除湿機1の周囲温度及び湿度を計測する。制御部55は、温度や湿度を必要に応じて使用し各部を制御する。報知部61は、制御部55の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラーム音を出力する。また、制御部55は、熱交温度センサ64を有する。熱交温度センサ64は、蒸発器46aの所定位置に設けられ、蒸発器46aの温度を計測する。
【0034】
除湿機1は、筐体10に収容される内部部品として、洗浄水受け70と、排水孔押え80と、注水口蓋90と、洗浄レバー100と、をさらに有する。
【0035】
図5は、洗浄水受け70と、排水孔押え80を示す分解斜視図である。
【0036】
図6は、洗浄水受け70を主に上方から示す斜視図である。
【0037】
図7は、図6のVII-VII線に沿う断面図である。
【0038】
図2に示すように、洗浄水受け70は、熱交換器46の鉛直上方であって、ファンケース41の後方に配置される。洗浄水受け70は、熱交換器46を洗浄する洗浄水を溜め、溜められた洗浄水を排水する機能、及び熱交換器46を支持する機能を有する。洗浄水受け70は、貯水部71と、オーバーフロー部74と、支持片76と、熱交押え79と、を有する。
【0039】
貯水部71は、上方に開口した洗浄水の貯水空間である。貯水部71は、少なくとも蒸発器46aの上方に配置される。貯水部71は、熱交換器46の左右方向長さ部分の略全域にわたって配置されているのが好ましい。貯水部71は、例えば熱交換器46の洗浄に必要な所定量の水(例えば200ml)の洗浄水を少なくとも貯水可能な容量を有する。貯水部71は、左右外表面に、一対のばね止め部72を有する。貯水部71は、後壁71aと、前壁71bと、左右壁71dと、を有する。前壁71bは、後壁71a及び左右壁71dよりも低くなっている。これにより、貯水部71の容量を超えた洗浄水が注水された場合には、前壁71bから溢れるようになっている。
【0040】
貯水部71は、底面71cに貯水部排水孔73(排水孔)を有する。貯水部排水孔73は、貯水部71の左右方向長さの略全域、すなわち熱交換器46の左右方向の長さの略全域にわたって配置されるのが好ましい、スリット状の孔である。また、貯水部排水孔73は、冷媒管47の直線部47aの延びる方向に沿って配置されている。図6の例においては、貯水部排水孔73は、左右方向に二分割されている。貯水部排水孔73は、洗浄水を下方の熱交換器46側に排水する。具体的には、貯水部排水孔73は、吸込口21に近く埃が溜まりやすく、制御部55や送風モータ43などの電気部品に遠い、蒸発器46aの上方に配置され、排水された洗浄水を蒸発器46aの冷媒管47及びフィン48上に到達させる位置に形成される。
【0041】
オーバーフロー部74は、貯水部71の前方であって、凝縮器46bの上方に配置される。オーバーフロー部74は、貯水部71の前壁71bの上方で貯水部71と空間的につながっている。オーバーフロー部74は、貯水部71の貯水容量を超えて注がれ、前壁71bから溢れた洗浄水を受け止める。オーバーフロー部74は、下方にオーバーフロー部排水孔75を有する。オーバーフロー部74は、洗浄水が蒸発器46a側に導かれるように、洗浄水の流路及びオーバーフロー部排水孔75を有している。すなわち、オーバーフロー部74は、凝縮器46bの上方に位置しつつも、洗浄水は後方の蒸発器46a側に排出する。
【0042】
支持片76は、オーバーフロー部74の前方右端から前方に延びる片状部分である。支持片76は、支持孔77を有し、支持孔77を介してファンケース41の対応する位置に配置される爪41a(図2)に掛かり合う。これにより、洗浄水受け70は、ファンケース41に支持される。
【0043】
熱交押え79は、洗浄水受け70の左右端部から下方に向って形成される、上下方向に沿う面方向を有する板状部材である。熱交押え79は、図2に示すように、熱交換器46の上方に位置する冷媒管47及びフィン48と掛かり合うことで、熱交換器46を前後及び左右方向に支持する。また、熱交押え79は、同様に熱交換器46を支持するドレンパン49と対になることで、熱交換器46を上下方向にも支持する。
【0044】
排水孔押え80は、貯水部71の貯水部排水孔73を閉じたり開いたりするために、洗浄水受け70に対して支持される、左右方向に延びる略枠状部材である。排水孔押え80は、シール部81と、腕部83と、レバー接続部87と、を有する。
【0045】
シール部81は、排水孔押え80の左右方向に延びる下端部分であり、貯水部排水孔73の左右方向長さに対応する左右方向長さを有する。シール部81は、シール部材82を有し、貯水部排水孔73が閉じた状態の時には、貯水部71に貯水された洗浄水が漏れないように貯水部排水孔73を確実に塞ぐ。
【0046】
腕部83は、排水孔押え80の左右端部に配置され、上下方向に面する一対の水平面を有する。腕部83は、一対のばね孔84を有する。一対のばね孔84は、一対の排水孔押えばね85の一端を支持する。一対の排水孔押えばね85の他端は、洗浄水受け70の一対のばね止め部72に支持される。これにより、一対の排水孔押えばね85は、上下方向に復元力を有することで、排水孔押え80を洗浄水受け70に支持する。排水孔押え80は、無負荷時においては下方に引っ張られて、シール部81が貯水部排水孔73を閉じ、復元力に抗して上方に引っ張られると、シール部81が貯水部排水孔73を開く。
【0047】
レバー接続部87は、洗浄レバー100と掛かり合い、洗浄レバー100の左右方向の作動を排水孔押え80を作動させるための力に変換する部分である。レバー接続部87は、レバー開口88を有し、レバー開口88に挿入される洗浄レバー100と掛かり合う。
レバー接続部87は、洗浄レバー100の左右方向の移動を、排水孔押え80の上下方向の移動に変換可能な形状を有する。具体的には、レバー開口88の上辺88aが右から左に向って下方に傾斜しており、洗浄レバー100が左方に移動すると、排水孔押え80は上方に移動し、洗浄レバー100が右方に移動すると、排水孔押え80は下方に移動する。
【0048】
図8は、注水口蓋90を主に上方から示す斜視図である。
【0049】
図9は、図8のIX-IX線に沿う断面図である。
【0050】
開閉切替手段としての注水口蓋90は、通常時は注水口23を塞ぎ、洗浄時には筐体10の外部から洗浄水受け70に洗浄水を注ぐための機能を有する。注水口蓋90は、引き出し形状を有し、後枠12の注水口23に対して前後方向にスライドされる。注水口蓋90は、注水部91と、排水部96と、を有する。
【0051】
注水部91は、それぞれ上下方向に延びる後壁91a、左右壁91b、前壁91c及び底面91dで形成され、上方が開口した空間を形成する。後壁91aの後方を向く面は、後枠12と面一となり除湿機1の外部に露出する。後壁91aは、後方に延びる取っ手92を有する。取っ手92は、注水口蓋90が筐体10から引き出される際にユーザに使用される。前壁91cは、格子状に形成されて開口部分を有し、注水部91に注がれた洗浄水をこの開口部分から排水する。前壁91cは、後壁91a及び左右壁91bよりも高さが低い。左右壁91bは、前壁91cよりも前方まで延びる。左右壁91bは、外側を向く面に、上下方向に延びる抜け止めリブ93をそれぞれ有する。
【0052】
排水部96は、前壁91cの前方に配置され、水はね防止壁97と、下方開口98と、を有する。水はね防止壁97は、前壁91cの上端から注水部91の底面91dと略同一面上まで、前方に向って下方に傾斜した壁状部分である。下方開口98は、水はね防止壁97の下端97aと、底面91dの前端99と、下端97a及び前端99の左右端をつなぐ左右壁91bと、で形成される。下方開口98は、注水口蓋90が後枠12に対して引き出され、注水可能状態にある場合に、洗浄水受け70の貯水部71の略上方に位置している。
【0053】
図10は、洗浄レバー100を前方から示す斜視図である。
【0054】
図11は、後枠12に配置された洗浄レバー100を特に示す説明図である。
【0055】
洗浄レバー100(指示入力部)は、ユーザより排水孔押え80を開く指示を受け付ける機能を有する。洗浄レバー100は、後枠12のレバー支持口24に対して左右方向にスライドする。洗浄レバー100は、薄板部101と、指掛凹部102と、伝達部103と、ばね支持部105と、を有する。
【0056】
薄板部101は、後枠12の背面12a(前方を向く面)に略平行に面して配置される板状部材である。指掛凹部102は、薄板部101の左右方向略中央部に形成され、前方に略四角形状に凹んだ部分である。指掛凹部102は、ユーザより洗浄レバー100を左方に移動する際にユーザの指がかけられる。伝達部103は、薄板部101に対して略垂直に前方に向って突出した、断面略台形の筒状部分である。伝達部103は、前後方向視において指掛凹部102と重なる位置に配置される。伝達部103は、略上方を向く上面103aが右から左に向って下方に傾斜している。伝達部103はこの上面103aに、複数(図10においては3本)の接触リブ104を有する。接触リブ104は、伝達部103が貫通する排水孔押え80のレバー開口88の上辺88aとの接触面積を減らす目的で形成される。
【0057】
ばね支持部105は、薄板部101の右端側から前方に立ち上がった小片であり、ばね孔106を有する。ばね孔106は、レバーばね107の一端を支持する。レバーばね107の他端は、後枠12のばね止め部123に支持される。これにより、レバーばね107は、左右方向に復元力を有することで、洗浄レバー100を後枠12に支持する。洗浄レバー100は、無負荷時においては右方に引っ張られ、指掛凹部102から左方に力を受けることにより復元力に抗して左方にスライドする。
【0058】
次に、後枠12の注水口23及びレバー支持口24について説明する。
【0059】
図12は、後枠12を前方から示す斜視図である。
【0060】
図13は、後枠12の注水口23を後方から示す斜視図である。
【0061】
図14は、注水口23と注水口蓋90との関係を後方及び右方から示す断面図である。
【0062】
図15は、注水口23と注水口蓋90との関係を前方及び左方から示す説明図である。
【0063】
注水口23は、注水開口111と、一対の案内レール113と、一対の蓋押え片115と、弾性爪部116と、保護壁118と、を有する。
【0064】
注水開口111は、後枠12に形成された開口であり、注水口蓋90の後壁91aの寸法に対応する。一対の案内レール113は、注水開口111の左右縁111aから前方に延びた断面略コ字状部材である。案内レール113は、注水口蓋90の底面91dの左右辺94と溝部分で嵌り合うことで、注水口蓋90の位置決めをし、また前後方向のスライドを案内する。
【0065】
一対の蓋押え片115は、一対の案内レール113の上方であって、注水開口111の左右縁111aから前方に延びた弾性小片である。一対の蓋押え片115は、注水口蓋90の左右壁91bの抜け止めリブ93に対応する位置に前端が配置され、抜け止めリブ93と前後方向において掛かり合うことにより注水口蓋90が意図せず後方にスライドされないように支持する。また、一対の蓋押え片115は、注水口蓋90がユーザにより後方に引き出された場合には、左右方向にたわんで逃げ、抜け止めリブ93との掛かり合いを解除する。
【0066】
弾性爪部116は、注水開口111の上縁111bから前方に延び、曲げ部116aを経て後方に延びる、断面略U字状の弾性薄板部材である。弾性爪部116は、このU字の内部空間により、注水開口111から注がれた水が筐体10内部に浸入しないように防ぐ機能を有する。弾性爪部116は、先端に抜け止め爪117を有する。抜け止め爪117は、図14に示すように、注水口蓋90が所要量後方に引き出された際に、前壁91cの上端に引っ掛かることにより、注水口蓋90が所要量以上引き出されないように抜け止めとして機能する。
【0067】
保護壁118は、注水開口111の上縁111bから前方に延びた、断面略L字状部材である。保護壁118は、注水開口111の空間を左右方向に仕切る。図15に示すように、この保護壁118の左方には検知器であるマイクロスイッチ120が配置され、保護壁118は注水口23から注水される洗浄水からマイクロスイッチ120を保護する。マイクロスイッチ120は、注水口蓋90の挿入時には左壁91bと接触してON状態に切り替わり、注水口蓋90の引き出し時には左壁91bと非接触となりOFF状態に切り替わることで、注水口蓋90の開閉を検知する。マイクロスイッチ120のON/OFF状態は、制御部55に送信される。なお、マイクロスイッチ120は、注水口蓋90の挿入時にOFF状態、注水口蓋90の引き出し時にON状態に切り替わるよう配置されてもよい。
【0068】
図11及び図12に示すように、レバー支持口24は、洗浄レバー100を後枠12に対して左右方向にスライド可能に保持する。レバー支持口24は、支持開口121と、一対の案内レール122と、ばね止め部123(図11)と、を有する。
【0069】
支持開口121は、洗浄レバー100の指掛凹部102及び薄板部101の一部を後枠12から露出し、ユーザによる指掛凹部102を介したスライド操作を可能にする。
【0070】
一対の案内レール122は、後枠12の背面12aであって、支持開口121の上下縁121aの上方及び下方に、上下縁121aと平行に配置される。一対の案内レール122は、洗浄レバー100の薄板部101の上下辺101a(図10図11)と溝部分で嵌り合うことで、洗浄レバー100の位置決めをし、また左右方向のスライドを案内する。
【0071】
ばね止め部123は、後枠12の背面12aであって、支持開口121の右縁121bの右方に配置される。ばね止め部123は、上記したとおり、レバーばね107の他端を支持する。
【0072】
次に、除湿機1における熱交換器46の洗浄処理について、具体的に説明する。
【0073】
図16は、貯水部排水孔73が閉じた状態を前方から示す断面図である。
【0074】
図17は、貯水部排水孔73が閉じた状態を左方から示す断面図である。
【0075】
図18は、貯水部排水孔73が開いた状態を前方から示す断面図である。
【0076】
図19は、貯水部排水孔73が開いた状態を左方から示す断面図である。
【0077】
除湿機1が一定時間運転され、熱交換器46が洗浄を要するタイミングを迎えると、ユーザにより洗浄処理が開始される。
【0078】
洗浄処理は、まず注水口蓋90がユーザにより引き出され、所定量の水が洗浄水として注水部91に注水される。このとき、水が勢いよく注がれると、底面91dや左右壁91bで水が跳ねてしまうおそれがある。しかし、U字状の注水口23の弾性爪部116が、筐体10内部から注水部91を隔離し、筐体10内部への水の浸入を防ぐ。また、保護壁118がマイクロスイッチ120を注水部91から隔離することにより、マイクロスイッチ120に水が付着することを防ぐ。
【0079】
洗浄水は、前壁91cの格子で形成される開口部分から排水される。このとき、格子状の前壁91cは、異物が流れ落ちることや、ユーザの指が内部に侵入することを防止する。洗浄水は、排水部96の下方開口98から下方に落下する。落下した洗浄水は、洗浄水受け70の貯水部71に貯留される。このとき、注水口23から貯水部71の容量以上の水が注水されるおそれもある。これに対しては、オーバーフロー部74が前壁71bから溢れた水を受け止め、オーバーフロー部排水孔75から洗浄対象である蒸発器46a側に導くことができ、水が意図しない筐体10内部に侵入することが防止される。
【0080】
所定量の水が注水され、注水口蓋90が閉じられると、ユーザより排水孔抑え80を開く指示を受け付ける。具体的には、ユーザにより、指掛凹部102を介して洗浄レバー100が左方にスライドされることにより、伝達部103が左方に移動し、レバー開口88を介して接続されているレバー接続部87に力を伝達する。レバー接続部87は、上記の通り洗浄レバー100の左右方向の移動を上下方向の移動に変換する。これにより、排水孔押え80は上昇する。
【0081】
排水孔押え80が上昇すると、貯水部排水孔73が開放され、貯水部71に貯水された洗浄水が排水される。洗浄水は、蒸発器46aの上方から下方に流れ落ちることにより、蒸発器46aに付着した埃を取り除く。流れ落ちた洗浄水と埃は、ドレンパン49に到達し、蒸発器46aから落下するドレン水同様、ドレンタンク51に排出される。
【0082】
このとき、貯水部71に所定量の洗浄水が溜められた後に排水されるため、例えば注水口23から注水されるままに溜められることなく熱交換器46に導かれる場合に比べて、洗浄水は勢いよく排水される。これにより、蒸発器46aの埃は除去されやすくなっている。
【0083】
貯水部71の水が全て排水されると、洗浄レバー100はユーザの操作から解放され、レバーばね107の復元力により自動的に右方にスライドし自動的に通常位置に戻る。同時に、排水孔押え80も排水孔押えばね85の復元力により自動的に下方に移動し通常位置に戻り、貯水部排水孔73が閉じられる。
【0084】
このような除湿機1は、熱交換器46に蓄積した埃を、洗浄水により洗い流すことにより取り除くことができるため、例えば、単に送風して乾燥させることにより埃の湿気を取り除く場合に比べて、除湿機1は埃そのものを取り除くことができるため、衛生面に優れている。
【0085】
次に、除湿機1における洗浄処理及びその後の乾燥運転について、図20のフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートでマイクロスイッチはMSと表記する。
【0086】
まず、ユーザにより操作部32にある運転モードのスイッチが押され、圧縮機45、及び送風モータ43が所定の回転数で駆動しているとき、制御部55は、注水口蓋90が注水口23から引き出されたことでマイクロスイッチ120がOFF状態か判断し(ステップS101)、マイクロスイッチ120がOFF状態だと判断したら、圧縮機45、及び送風モータ43の駆動を停止させ、運転停止状態にする(ステップS102)。なお、ステップS101の判断時に運転停止状態であり、圧縮機45、及び送風モータ43が駆動していなければ、運転停止状態を維持する。制御部55は、ステップS101で注水口蓋90が注水口23から引き出されておらずマイクロスイッチ120がOFF状態に切り替わっていないと判断したら、ステップS101の判断を繰り返す。
【0087】
制御部55は、前記ステップS102の処理を完了したら、判断部63で熱交温度センサ64での検知温度が所定温度である10℃以上か判断し(ステップS103)、検知温度が10℃以上であれば、以後のステップS109で実施する乾燥運転でのシロッコファン42の駆動時間がT1、シロッコファン42の回転数がF1となるよう、送風モータ43の動作を設定する(ステップS104)。また、制御部55は、前記ステップS103で熱交温度センサ64での検知温度が10℃未満だと判断したら、以後のステップS109で実施する乾燥運転でのシロッコファン42の駆動時間がT2、シロッコファン42の回転数がF2となるよう、送風モータ43の動作を設定する(ステップS104)。なお、T1とT2の関係はT1<T2であり、F1とF2の関係はF1<F2である。
【0088】
前記ステップS104、又はS105の処理を実施したら、制御部55は、注水口蓋90が注水口23へ挿し込まれマイクロスイッチ120がON状態に切り替わったか判断し(ステップS106)、マイクロスイッチ120がON状態に切り替わったと判断したら、タイマ58で経過時間のタイマカウントを開始する(ステップS107)。制御部55は、前記ステップS106でマイクロスイッチ120がON状態に切り替わっていないと判断したら、前記ステップS106の判断を繰り返す。
【0089】
前記ステップS107の処理を実施したら、制御部55は、タイマ58でのタイマカウントによりマイクロスイッチ120がON状態に切り替わってから所定時間である3分が経過したか判断し(ステップS108)、3分経過したと判断したら、送風モータ43を前記ステップS104、又は前記ステップS105で設定した回転数で駆動開始し、シロッコファン42で送風して熱交換器46(蒸発器46a)を乾燥させる乾燥運転を開始する(ステップS109)。乾燥運転開始と同時に、タイマ58で乾燥運転時間のタイマカウントを開始する。制御部55は、前記ステップS108で3分経過していないと判断したら、前記ステップS108の判断を繰り返す。
【0090】
前記ステップS109の処理を実施したら、制御部55は、タイマ58でのタイマカウントで乾燥運転開始から前記ステップS104、又は前記ステップS105で設定したシロッコファン42の駆動時間が経過したか判断し(ステップS110)、設定した駆動時間が経過したと判断したら、送風モータ43の駆動を停止させ乾燥運転を停止する(ステップS111)。制御部55は、前記ステップS110で設定した駆動時間が経過していないと判断したら、前記ステップS110の判断を繰り返す。
【0091】
次に、図20のフローチャートでの各ステップにおけるユーザの動作内容、及び作用効果ついて説明する。
【0092】
前記ステップS101でユーザにより注水口蓋90が注水口23から引き出され、マイクロスイッチ120がOFF状態になったら、送風モータ43、及び圧縮機45を停止させ除湿機1の運転を停止する。注水口蓋90が引き出された直後、ユーザにより注水口蓋90の注水部91へ洗浄水が注水され、排水部96を介して洗浄水受け70に洗浄水が溜まる。前記ステップS106でユーザにより注水口蓋90は注水口23に挿し込まれ、マイクロスイッチ120がON状態になった後、ユーザが洗浄レバー100を操作し排水孔押え80が上昇することで、貯水部排水孔73から洗浄水が落下し、蒸発器46aが洗浄水によって洗浄される。この時、送風モータ43が駆動していれば貯水部排水孔73から落下した洗浄水がシロッコファン42により吹出口31側へ案内され、吹出口31から水が吹き出す虞がある。マイクロスイッチ120がOFF状態になったときに運転停止することで、吹出口31から水が吹き出すことを阻止することができる。
【0093】
また、前記ステップS103で熱交温度センサ64により蒸発器46aの温度を検知し、検知した熱交温度と所定温度とを比較した結果に応じて前記ステップS109での乾燥運転における送風モータ43の駆動時間、及び回転数を前記ステップS104、又は前記ステップS105での設定値となるようにする。蒸発器46aが所定温度である10℃未満の場合、10℃以上の場合と比較して蒸発器46aが乾き難い。乾燥運転開始前において蒸発器46aが所定温度である10℃未満であれば、10℃以上である場合と比較して乾燥運転時におけるシロッコファン42の回転数を高くすると共に、シロッコファン42の駆動時間が長くなるよう送風モータ43を設定する。乾燥運転開始前において蒸発器46aの温度が低く乾燥し難い状態であっても、乾燥運転により確実に蒸発器46aを乾燥させることができ、乾燥不足を未然に阻止することができる。
【0094】
また、乾燥運転開始前において蒸発器46aが所定温度である10℃以上の場合、10℃未満の場合と比較して蒸発器46aは乾きやすい。よって、乾燥運転時において10℃未満である場合と比較してシロッコファン42の回転数を低くすると共に、シロッコファン42の駆動時間が短くなるよう送風モータ43を設定する。乾燥運転開始前において蒸発器46aの温度が高く乾燥しやすい状態であれば、無駄な乾燥運転の継続の発生を未然に阻止することができる。
【0095】
また、本実施形態では前記ステップS104、及び前記ステップS105で乾燥運転時におけるシロッコファン42の駆動時間、及び回転数の2つを共に設定しているが、これに限られない。例えば、前記ステップS104、及び前記ステップS105でシロッコファン42の駆動時間か回転数のいずれか一方のみを設定する内容であってもよい。前記ステップS103での判断に基づき、シロッコファン42の駆動時間の長短、又は回転数の高低を設定するだけでも、蒸発器46aの乾燥不足、あるいは無駄な乾燥運転の継続の発生を未然に阻止可能である。
【0096】
また、本実施形態では所定温度を10℃としているが、これに限られない。乾燥運転開始前において蒸発器46aが乾きやすいかを判断可能であればよいことから、除湿機1が配置された部屋内の温度、及び湿度に応じて蒸発器46aの乾きやすさを判断し、設定するものであってもよい。
【0097】
また、注水判断手段は、マイクロスイッチ120のON/OFF状態により注水口23の開放、又は閉止を検知して洗浄水受け70への注水有無を判断する。具体的には、注水判断手段は、マイクロスイッチ120がOFF状態からON状態に切り替わり、注水口23が注水口蓋90により開放から閉止へ変化したと検知したら洗浄水受け70への注水があったとみなし、注水有りと判断する。ユーザが注水口蓋90の注水部91へ洗浄水を注水した後、注水口蓋90を注水口23へ挿入して元の位置へ戻す。その後、ユーザは洗浄レバー100を操作して洗浄水受け70から洗浄水を落下させ、蒸発器46aを洗浄する。注水口蓋90が注水口23へ挿入され、洗浄水が蒸発器46aから滴下し終えるであろうタイミングである所定時間経過後(ここでは3分経過後)に乾燥運転を開始し、送風モータ43が駆動してシロッコファン42により送風されるので、蒸発器46aに洗浄水が残った状態で送風が開始されて吹出口31側へ洗浄水が案内され、吹出口31から水が吹き出すことを阻止できる。
【0098】
なお、本実施形態では、マイクロスイッチ120がOFF状態になった後、ON状態に切り替わってから所定時間である3分経過後に乾燥運転を開始しているが、これに限られない。制御部55は、ユーザにより注水口蓋90が注水口23から引き出される前でマイクロスイッチ120がON状態から、ユーザにより注水口蓋90が注水口23から引き出されて開放され、マイクロスイッチ120がOFF状態になったと判断したら、タイマ58によりタイマカウントを開始し、所定時間経過後に乾燥運転を開始する、という制御であってもよい。注水判断手段は、ユーザにより注水口蓋90が注水口23から引き出されマイクロスイッチ120がON状態からOFF状態に切り替わったことで注水があったとみなし、注水有りと判断する。
【0099】
次に、他の実施形態について説明する。
【0100】
図20を参照する。前記ステップS103で蒸発器46aの熱交温度が所定温度以上かを判断するにあたり、制御部55は、現時点から所定時間前である1時間前の時点の間で除湿運転等により圧縮機45を駆動させていたかを判断し、圧縮機45を駆動させていないと判断したら、前記ステップS104へ遷移して乾燥運転時におけるシロッコファン42の駆動時間をT1、シロッコファン42の回転数をF1とし、圧縮機45を駆動させていたと判断したら、前記ステップS105へ遷移して乾燥運転時におけるシロッコファン42の駆動時間をT2、シロッコファン42の回転数をF2とする。
【0101】
乾燥運転を開始する時点から所定時間前までの時点の間で除湿運転等により圧縮機45を駆動させていれば、冷凍サイクル内を冷媒が通流していたことで蒸発器46aは冷えており、蒸発器46aの熱交温度が所定温度以下であると推定される。よって、乾燥運転を開始する所定時間前に圧縮機45を駆動させる運転を実施していたかを判断し、乾燥運転時におけるシロッコファン42の駆動時間と回転数とをそれぞれ設定することで、蒸発器46aの乾きやすさに応じた乾燥運転を実施することができ、蒸発器46aの乾燥不足、あるいは無駄な乾燥運転の継続の発生を未然に阻止することができる。
【0102】
次に、本発明の効果を説明する。
【0103】
乾燥運転開始前における蒸発器46aの温度が所定温度以上だと判断されたら、所定温度未満と判断されたときと比較して蒸発器46aは乾きやすいとし、乾燥運転時におけるシロッコファン42の回転数を低くする及び/又はシロッコファン42の駆動時間を短くするよう設定し、また、乾燥運転前における蒸発器46aの温度が所定温度未満の場合、所定温度以上である場合と比較して蒸発器46aは乾きにくいとし、乾燥運転時におけるシロッコファン42の回転数を高くする及び/又はシロッコファン42の駆動時間を長くするよう設定するので、蒸発器46aの乾燥不足、あるいは無駄な乾燥運転の継続の発生を未然に阻止することができる。
【0104】
また、乾燥運転を開始する所定時間前までの間に圧縮機45が駆動していなければ、蒸発器46aの温度が所定温度以上だと判断するので、乾燥運転の開始前に圧縮機45が駆動しているかにより蒸発器46aの乾きやすさを推定し、乾燥運転時におけるシロッコファン42の回転数と駆動時間とを設定することができ、蒸発器46aの乾燥不足、あるいは無駄な乾燥運転の継続の発生を未然に阻止することができる。
【0105】
なお、本実施形態では筐体10の後枠12に有した注水口23を塞ぐように配置される注水口蓋90を引き出し、注水口蓋90の注水部91へユーザが注水する開閉切替手段として説明したが、これに限られない。例えば他の開閉切替手段として、注水部91に注水口蓋90ではなく開閉可能なシャッターであってもよく、熱交換器46の洗浄を実施する時、ユーザがシャッターを開放して洗浄水受け70へノズル付ボトル等を使って注水する方法でもよい。この場合、シャッターの開閉をマイクロスイッチ等で検知し、制御部55により当該マイクロスイッチでシャッターの開放を検知してから所定時間経過したと判断したら、送風モータ43を駆動させて乾燥運転を開始することで、蒸発器46aを洗浄して埃を洗い流すことができると共に、蒸発器46aに水分が残ることでカビや細菌が発生することを未然に阻止できる。
【0106】
また、本実施形態では検知器として注水口蓋90の引き出し有無、あるいは洗浄レバー100の操作有無を検知するマイクロスイッチ120を備え、当該マイクロスイッチ120により洗浄水の注水有無を注水判断手段で判断する内容で説明したが、これに限られない。例えば他の検知器として、筐体10内に洗浄水受け70における水の存在有無が検知可能な光学式のセンサであってもよい。当該センサにより洗浄水受け70に存在した水が無くなったことを検知したら、所定時間経過後に送風モータ43を駆動させて乾燥運転を開始することで、蒸発器46aを洗浄して埃を洗い流すことができると共に、蒸発器46aに水分が残ることでカビや細菌が発生することを未然に阻止できる。
【0107】
つまり、洗浄水受け70への注水有無が判断可能な手段であれば本発明の注水判断手段の範疇であり、検知器の種類は限定されないものである。
【0108】
また、本実施形態では、乾燥運転開始前における蒸発器46aの検知温度が所定温度以上かを判断し、シロッコファン42の回転数と駆動時間とを設定しているが、蒸発器46aではなく凝縮器46bの検知温度に基づいたものであってもよい。例えば、乾燥運転の開始前における凝縮器46bの検知温度が50℃以上の場合、乾燥運転の開始前に除湿運転等で圧縮機45を駆動させ凝縮器46b内に高温の冷媒が通流し、蒸発器46a内に低温の冷媒が通流していたことで、蒸発器46aは乾きにくいと推測されることから、凝縮器46bの検知温度が50℃未満である場合と比較してシロッコファン42aの回転数を高くする及び/又はシロッコファン42aの駆動時間を長くするので、蒸発器46aの乾燥不足、あるいは無駄な乾燥運転の継続の発生を未然に阻止できる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0110】
例えば、本発明に係る空気調和機は、除湿機1以外にも空調機、加湿機、乾燥機などの、吸い込んだ空気に含まれる埃の洗浄が必要な熱交換器を有する他の機器にも適用することができる。
【0111】
貯水部排水孔73は、左右方向に延びるスリット状である例を説明したが、洗浄水を熱交換器46の上方から排水できれば、二以上に分割されたスリットや、複数の円や楕円、多角形の小穴でもよい。
【0112】
洗浄レバー100を介したユーザの手動操作によりで排水孔押え80が上昇し、貯水部排水孔73が開放される例を説明したが、排水孔押え80がユーザの操作又は自動的に、電気的な機構により開閉されてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 除湿機
10 筐体
23 注水口
42 シロッコファン(送風ファン)
43 送風モータ
46 熱交換器
46a 蒸発器
46b 凝縮器
55 制御部
63 判断部(熱交温度判断手段)
64 熱交温度センサ
70 洗浄水受け
73 貯水部排水孔
90 注水口蓋(開閉切替手段)
91 注水部
96 排水部
120 マイクロスイッチ(検知器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20