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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/28 20060101AFI20240815BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240815BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240815BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20240815BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20240815BHJP
   B65H 1/30 20060101ALI20240815BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B65H1/28 310
B41J29/46 Z
G03G21/00 386
G03G21/14
B65H1/00 501E
B65H1/30 320
G03G15/00 405
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020108751
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006503
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 裕之
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-276884(JP,A)
【文献】特開平09-202463(JP,A)
【文献】特開2017-173496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/28
B41J 29/46
G03G 21/00
G03G 21/14
B65H 1/00
B65H 1/30
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に対して引き出し可能に取り付けられ、複数の第1シートを含む第1シート束を収容する第1収容部と、
前記筐体に対して引き出し可能に取り付けられ、複数の第2シートを含む第2シート束を収容する第2収容部と、
前記第2シート束を前記第1収容部に移送する移送部材を有する移送機構と、
前記第1収容部に収容される前記第1シート束又は前記第2シート束からシートを1枚ずつプリンタ部に搬送する搬送部と、
前記第1収容部に収容される前記第1シートを検出する第1シート検出部と、
前記第2収容部に収容される前記第2シートを検出する第2シート検出部と、
ホームポジションで待機する前記移送部材を検出する第1移送部材検出部と、
前記第2シート束を前記第1収容部に移送した際の前記移送部材を検出する第2移送部材検出部と、
前記第1収容部及び前記第2収容部に収容するシートの種類設定に関する情報に基づいて、前記移送機構及び前記搬送部の駆動を制御する制御部と、を備え、
前記第1収容部は、前記第1シート束を収容する収容カセットの底部に設けられ、前記第1シートの消費に応じて前記収容カセットを上昇させることで前記第1シート束の上部を一定の高さに維持するリフターを含み、
前記制御部は、
前記第2シート検出部及び前記第2移送部材検出部の検出結果から、前記第2収容部内に前記第2シート束が無く、かつ、前記移送部材が前記ホームポジションに位置していると判定したとき、前記第2収容部を前記筐体に対して引き出し可能な状態とし、
前記第1シート検出部の検出結果から、前記収容カセットの前記第1シートが無くなったと判定した際、前記リフターを駆動して前記収容カセットを下降させ、
前記移送部材は、前記リフターにより前記収容カセットを下降させた状態で、前記第2収容部に収容された前記第2シート束を前記収容カセットに移送する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記第1シート及び前記第2シートの種類が異なると設定された場合、前記制御部は、前記第1収容部から前記第1シートが無くなった際、前記第2シートによる給紙を行うか否かを選択する旨をユーザに通知する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2シートによる給紙を行うことが選択された場合、前記移送機構を駆動して前記第2シート束を前記第1収容部に移送する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2シートによる給紙を行わないことが選択された場合、前記移送機構を駆動させない
請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1収容部に対する前記第1シート束の補充が行われた後、前記制御部は、前記第1収容部に補充された前記第1シート束から前記第1シートを1枚ずつ前記搬送部によって搬送させる
請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隣り合う2つのシート収容部間においてシートを搬送するタンデム方式の給紙装置を備えた画像形成装置がある。上記給紙装置において、例えば、一方の収容部に収容するシートの種類と他方の収容部に収容するシートの種類とを異ならせた場合、給紙動作の途中でシート種類が切り替わると紙詰まり等の不具合を生じる可能性がある。上記不具合を解決するためにセンサによってシート種類を自動的に判別することも考えられるが、このようなセンサは非常に高価でありながら誤検出を生じる可能性もある。このような問題は、シート収容部が2つの場合に限った問題ではなく、シート収容部が3つ以上備えられる場合であっても共通する問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-39662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、タンデム方式の給紙装置における複数の収容部に異なる種類のシートを収容する場合でも紙詰まりの発生を安価に抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、筐体と、前記筐体に対して引き出し可能に取り付けられ、複数の第1シートを含む第1シート束を収容する第1収容部と、前記筐体に対して引き出し可能に取り付けられ、複数の第2シートを含む第2シート束を収容する第2収容部と、前記第2シート束を前記第1収容部に移送する移送部材を有する移送機構と、前記第1収容部に収容される前記第1シート束又は前記第2シート束からシートを1枚ずつプリンタ部に搬送する搬送部と、前記第1収容部に収容される前記第1シートを検出する第1シート検出部と、前記第2収容部に収容される前記第2シートを検出する第2シート検出部と、ホームポジションで待機する前記移送部材を検出する第1移送部材検出部と、前記第2シート束を前記第1収容部に移送した際の前記移送部材を検出する第2移送部材検出部と、前記第1収容部及び前記第2収容部に収容するシートの種類設定に関する情報に基づいて、前記移送機構及び前記搬送部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記第1収容部は、前記第1シート束を収容する収容カセットの底部に設けられ、前記第1シートの消費に応じて前記収容カセットを上昇させることで前記第1シート束の上部を一定の高さに維持するリフターを含み、前記制御部は、前記第2シート検出部及び前記第2移送部材検出部の検出結果から、前記第2収容部内に前記第2シート束が無く、かつ、前記移送部材が前記ホームポジションに位置していると判定したとき、前記第2収容部を前記筐体に対して引き出し可能な状態とし、前記第1シート検出部の検出結果から、前記収容カセットの前記第1シートが無くなったと判定した際、前記リフターを駆動して前記収容カセットを下降させ、前記移送部材は、前記リフターにより前記収容カセットを下降させた状態で、前記第2収容部に収容された前記第2シート束を前記収容カセットに移送する
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の画像形成装置の全体構成を示す正面図である。
図2】実施形態の画像形成装置のハードウェア構成図である。
図3】給紙装置の構成を示す模式図である。
図4】実施形態の画像形成装置1の給紙動作の一例を示すフローチャートである。
図5】シート種類設定用の操作画像の一例を示す図である。
図6A】移送機構の動作を示す図である。
図6B】移送機構の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の画像形成装置を、図面を参照して説明する。以下の各図において、特に断らない限り、同一又は相当する構成については同一の符号を付す。
【0008】
図1は、実施形態の画像形成装置の全体構成を示す正面図である。例えば、画像形成装置1は、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)である。ただし、画像形成装置1は、上記例に限らず、複写機又はプリンタなどでもよい。
図1に示すように、画像形成装置1は、筐体11、スキャナ部12、給紙装置13、プリンタ部14、排紙部15、入力部16及び制御部17及び電源部18を備えている。
【0009】
筐体11は、画像形成装置1の外郭を形成している。筐体11は、スキャナ部12、給紙装置13、プリンタ部14、制御部17及び電源部18を収容している。画像形成装置1は、電源部18から供給される電力によって各部位が動作することで駆動される。
【0010】
スキャナ部12は、読み取り対象の画像を光の明暗として読み取る。スキャナ部12は、読み取られた画像を示す画像情報を生成し記録する。スキャナ部12は、生成された画像情報をプリンタ部14へ出力する。記録された画像情報は、ネットワークを介して外部の装置等へ送信されてもよい。
【0011】
給紙装置13は、プリンタ部14がトナー像を形成するタイミングに合わせて、用紙などのシート状記録媒体であるシートSを1枚ずつ搬送路24へ供給する。
プリンタ部14は、スキャナ部12又は外部の装置から取得した画像情報に基づいて、トナー等の記録剤により出力画像であるトナー像をシートSに形成する。
【0012】
実施形態では、説明の便宜上、中間転写方式のプリンタ部14を例に取り上げて説明する。ただし、実施形態の構成は、直接転写方式の画像形成部を有した画像形成装置にも適用可能である。プリンタ部14は、中間転写部21、二次転写部22、定着器23、及び搬送路24を有する。
【0013】
中間転写部21は、中間転写ベルト31、複数のローラ321,322,323,324、及び複数の画像形成部33Y,33M,33C,33Kを有する。
中間転写ベルト31は、無端状に形成されている。複数のローラ321,322,323,324は、中間転写ベルト31を支持する。これにより、中間転写ベルト31は、図1中の矢印mで示す方向に、無端走行可能である。
【0014】
複数の画像形成部33Y,33M,33C,33Kは、イエロー画像形成部33Y、マゼンタ画像形成部33M、シアン画像形成部33C、及びブラック画像形成部33Kを含む。画像形成部33Y,33M,33C,33Kの各々は、感光体ドラム331、帯電チャージャ332、露光ユニット333、現像器334、及び転写ローラ335を含む。各画像形成部33Y,33M,33C,33Kは、感光体ドラム331の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト31に転写する。
【0015】
二次転写部22は、転写ローラ221を有する。転写ローラ221は、中間転写ベルト31の外面に接する。中間転写ベルト31を支持する一つのベルトローラ321は、二次転写部22の構成要素に含まれる。シートSは、中間転写ベルト31とともに、転写ローラ221とベルトローラ321との間に挟まれる。これにより、中間転写ベルト31上のトナー像がシートSに転写される。
【0016】
定着器23は、ヒートローラ231と、プレスローラ232とを有する。定着器23は、ヒートローラ231とプレスローラ232との間を通るシートSを加熱及び加圧する。これにより、シートSに転写されたトナー像がシートSに定着する。
【0017】
搬送路24は、給紙装置13から二次転写部22及び定着器23を通り排紙部15に至る。シートSは、搬送路24を搬送されることで、給紙装置13から二次転写部22及び定着器23を通り排紙部15に移動する。排紙部15は、プリンタ部14によって画像が形成されたシートSが排出される。
【0018】
入力部16は、パネル161とディスプレイ162とを含む。パネル161は、各種の操作指示の入力を受け付ける。ディスプレイ162は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ162は、画像形成装置1に関する種々の情報を表示する。ディスプレイ162は、例えば、ユーザによって選択される画像形成装置1の動作モードを表示する。動作モードには、画像形成を行うシートの種類設定を行うためのシート種類設定モードが含まれる。
【0019】
画像形成装置1は、例えばパネル161が備える入力ボタン等を押下する操作入力が行われることで、動作モードを指定する。又は、ユーザは、例えばディスプレイ162及びパネル161を一体に構成したタッチパネルに表示されたアイコン等をタップする操作入力を行うことにより、画像形成装置1の動作モードを指定するようにしてもよい。
【0020】
次に、図2を参照して画像形成装置1のハードウェア構成について説明する。
図2は、実施形態の画像形成装置1のハードウェア構成図である。
【0021】
画像形成装置1は、スキャナ部12と、給紙装置13と、プリンタ部14と、パネル161及びディスプレイ162を含む入力部16と、制御部17と、通信部90とを備える。各機能部は、互いにバスで接続されている。
【0022】
実施形態の制御部17は、画像形成装置1の全体を制御する。例えば、制御部17は、スキャナ部12、給紙装置13、プリンタ部14、及び入力部16の動作を制御する。
【0023】
制御部17は、CPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、及び補助記憶装置93を備える。CPU91の代わりに他のプロセッサが用いられてもよい。CPU91は、例えば補助記憶装置93に記憶されたプログラムを読み出し、メモリ92にロードする。CPU91は、メモリ92にロードされたプログラムを実行することによって、画像形成装置1の動作を制御する。
【0024】
メモリ92及び補助記憶装置93は、各種の記憶媒体を含んで構成される。メモリ92及び補助記憶装置93は、一体の記憶媒体によって構成されてもよい。
メモリ92は、画像形成装置1が備える各機能部によって用いられるデータ及びプログラムを一時的に記憶する。メモリ92は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を含んで構成される。
補助記憶装置93は、画像形成装置1が備える各機能部によって用いられるデータ及びプログラムを記憶する。補助記憶装置93は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)、又はこれらの記憶媒体の組み合わせ等を含んで構成される。
【0025】
通信部90は、画像形成装置1を外部の装置と通信接続させるための通信インタフェースである。
【0026】
実施形態の給紙装置13はタンデム型給紙装置である。タンデム型給紙装置は、2つのシート収容部を有しており、一方のシート収容部に収容されたシートを使い切ると、他方のシート収容部に収容されているシート束を一方のシート収容部へと移し、給紙を再開可能とする給紙装置である。
【0027】
以下、実施形態の給紙装置13の構成について詳細に説明する。
図3は給紙装置13の構成を示す模式図である。
図3に示すように、実施形態の給紙装置13は、給紙部50と、搬送部60とを備える。給紙部50及び搬送部60の駆動は制御部17により制御される。
【0028】
給紙部50は、第1収容部51と、第2収容部52と、移送機構53と、搬送部60と、第1シート検出部55と、第2シート検出部57と、を有する。
【0029】
第1収容部51は、図1に示される筐体11に対して引き出し可能に取り付けられる。
第1収容部51は、収容カセット511とリフター512とを有する。収容カセット511は、複数の第1シートSaを含む第1シート束SSaを収容する。リフター512は、収容カセット511の底部に設けられており、収容された第1シート束SSaの消費に応じて収容カセット511を上昇させることで第1シート束SSaの上部をほぼ一定の高さに維持する。
【0030】
第1シート検出部55は、収容カセット511の上部に設けられている。第1シート検出部55は第1シート束SSaを検出し、検出信号を制御部17に出力する。制御部17は、第1シート検出部55からの検出信号に基づいてリフター512の駆動を制御する。制御部17は、第1シート検出部55からの検出信号によって第1シートSaが無くなったと判定した際、リフター512を駆動して収容カセット511を下降させる。制御部17は、第1シートSaが無くなったと判定した場合、第1収容部51を筐体11に対して固定するロック機構を解除し、第1収容部51を筐体11から引き出し可能な状態とする。
【0031】
第2収容部52は、図1に示される筐体11に対して引き出し可能に取り付けられる。
第2収容部52は、第1収容部51の隣に並んで設けられる。第2収容部52は、第1収容部51におけるシート搬送方向と反対側に配置されている。
第2収容部52は、収容カセット521を有する。収容カセット521は、複数の第2シートSbを含む第2シート束SSbを収容する。第2収容部52に収容される第2シートSbは、第1収容部51に収容される第1シートSaと同じ種類やサイズでもよいし、異なる種類やサイズでもよい。
【0032】
第2シート検出部57は、収容カセット521の上部に設けられている。第2シート検出部57は第2シート束SSbを検出し、検出信号を制御部17に出力する。制御部17は、第2シート検出部57からの検出信号に基づいて第2シート検出部57の有無を判定する。
【0033】
移送機構53は、移送部材153と、第1移送部材検出部56と、第2移送部材検出部58と、を有する。移送機構53は、第1収容部51に収容された第1シートSaが無くなった後に、リフター512により収容カセット511を下降させた状態で、移送部材153を第1収容部51に向かって移動させる。移送部材153は、第2収容部52に収容される第2シート束SSbを第1収容部51の収容カセット511に移送する。
【0034】
第1移送部材検出部56及び第2移送部材検出部58は、第1収容部51と第2収容部52との間を往復移動する移送部材153の位置を検出する。第1移送部材検出部56は、第2収容部52の搬送方向後方に設けられたホームポジションで待機する移送部材153を検出する。第1移送部材検出部56は、検出信号を制御部17に出力する。制御部17は、第1移送部材検出部56からの検出信号に基づいて、移送部材153がホームポジションにあるか否かを判定する。
【0035】
第2移送部材検出部58は、第2シート束SSbが第1収容部51の収容カセット511の所定位置に到達した際の移送部材153を検出する。第2移送部材検出部58は、検出信号を制御部17に出力する。制御部17は、第2移送部材検出部58からの検出信号に基づいて、第2シート束SSbが収容カセット511の適切な位置に載置されたか否かを判定する。
【0036】
制御部17は、第2シート検出部57及び第2移送部材検出部58の検出結果から、収容カセット521内に第2シート束SSbが無く、かつ、移送部材153がホームポジションに位置していると判定する。このとき、制御部17は、第2収容部52を筐体11に対して固定するロック機構を解除し、第2収容部52を筐体11から引き出し可能な状態とする。
【0037】
搬送部60は、第1収容部51に収容される第1シート束SSaから第1シートSaを1枚ずつ搬送する。搬送部60は、ピックアップローラ61と、給紙ローラ62と、分離ローラ63と、ピックアップローラ駆動部64と、を有する。
【0038】
ピックアップローラ61は、第1収容部51の上方に設けられる。
ピックアップローラ61は、第1収容部51に収容された第1シート束SSaのうちの最上部の第1シートSaを給紙ローラ62に向けて送る。ピックアップローラ61は、図1に示される筐体11から第1収容部51が引き出される際、ピックアップローラ駆動部64により上方に退避される。ピックアップローラ61は、第1収容部51が筐体11内に収容された場合、ピックアップローラ駆動部64により第1シート束SSaの上面に接触する位置に移動される。
【0039】
給紙ローラ62及び分離ローラ63は、第1収容部51よりもシート搬送方向の下流に設けられる。給紙ローラ62及び分離ローラ63の各々は、例えばモータなどの駆動源によって駆動される。給紙ローラ62は、第1収容部51から供給される第1シートSaを搬送路24に送る。分離ローラ63は、第1収容部51から2枚の第1シートSaが搬送されようとした場合、2枚の第1シートSaのうち下方の第1シートSaを第1収容部51に戻す。
【0040】
以下、実施形態の画像形成装置1の動作の一例について説明する。
図4は実施形態の画像形成装置1の給紙動作の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、制御部17に対してシートの種類設定指示が出力された際に実行される。
【0041】
シートの種類設定指示は、第1収容部51及び第2収容部52が筐体11から引き出された際、あるいは、第2収容部52のみが筐体11から引き出された際、制御部17に出力される。
【0042】
制御部17はシートの種類設定指示を受け付けると、入力部16のパネル161にシート種類を設定するための操作画像を表示する(ACT001)。図5はパネル161に表示されるシート種類設定用の操作画像の一例を示す図である。
【0043】
図5に示す操作画像では、第1収容部51に収容される第1シートSaを普通紙として設定し、第2収容部52に収容される第2シートSbを厚紙として設定する入力操作が行われる。普通紙とは、例えば35~90g/m程度の坪量を有する紙を意味し、厚紙とは、90g/mを超える坪量を有する紙を意味する。
【0044】
入力部16からシートの種類設定に関する情報が入力されると、制御部17は、入力情報に基づいて、移送機構53及び搬送部60の駆動を制御する。
【0045】
シートの種類設定指示において、第1収容部51及び第2収容部52のシート種類が異なる場合(ACT002:YES)、制御部17は、第1収容部51から第1シート束SSaが無くなるまで給紙動作を継続する。
【0046】
制御部17は、第1シート検出部55からの検出信号に基づいて、第1シート束SSaの有無を検出する。制御部17は、第1シート検出部55からの検出信号から第1シートSaが無くなったことを検出した際、搬送部60の駆動を停止する(ACT003、ACT004)。制御部17は、第1シート検出部55からの検出信号から第1シートSaが無くなったと判定した際、リフター512を駆動して収容カセット511を下降させる。
【0047】
制御部17は、搬送部60の駆動を停止した後、厚紙である第2シートSbの給紙を行うか否かを選択する旨をユーザに通知する(ACT005)。例えば、制御部17は、第2シートSbによる給紙を行うか否かを選択する旨の情報を入力部16のディスプレイ162に表示させることによってユーザに通知を行う。
【0048】
ユーザはディスプレイ162に表示された情報に基づき、厚紙である第2シートSbを選択するか否かを決定する。ユーザによる選択結果は入力部16を介して制御部17へ送信される。
【0049】
制御部17は、入力部16から入力された選択結果に基づき、第2シートSbによる給紙を行うか否かを判定する。制御部17は、第2シートSbによる給紙を行うことが選択された場合(ACT006:YES)、移送機構53を駆動して第2シート束SSbを第1収容部51に移送する(ACT007)。
【0050】
図6A及び図6Bは移送機構53の動作を示す図である。
図6Aに示すように、移送機構53は、移送部材153を第1収容部51側に移動させることで、第2シート束SSbを収容カセット511に受け渡す。制御部17は、第2移送部材検出部58の検出信号に基づいて、移送部材153に移送される第2シート束SSbが第1収容部51の収容カセット511の所定位置に到達したか否かを判定する。
【0051】
制御部17は、第2シート束SSbが収容カセット511の適切な位置に載置されたと判定した場合、図6Bに示すように移送部材153をホームポジションへと戻すように移送機構53を駆動させる。制御部17は、第2移送部材検出部58の検出信号に基づいて、移送部材153がホームポジションに戻ったことを検知する。
【0052】
制御部17は、搬送部60を駆動し、第1収容部51に移送した第2シート束SSbから厚紙である第2シートSbを1枚ずつ搬送部60によって搬送させる。制御部17は、ユーザにより選択された厚紙である第2シートSbに適した駆動条件で搬送部60及びプリンタ部14を駆動させる。第2シートSbは、搬送部60により厚紙に適した搬送条件でプリンタ部14に供給される。プリンタ部14は厚紙に適した厚紙モードで第2シートSbに対する印刷を開始する(ACT008)。
【0053】
制御部17は、収容カセット521内に第2シート束SSbが無く、かつ、移送部材153がホームポジションに位置していると判定した際、第2収容部52を筐体11に対して固定するロック機構を解除する。第2収容部52は筐体11から引き出し可能な状態となる。実施形態の画像形成装置1は、第1収容部51に収容されたシートに対して印刷処理を行っている間に、筐体11から引き出すことで第2収容部52に対するシートの補給が可能とされる。
【0054】
一方、制御部17は、第2シートSbによる給紙を行わないことが選択された場合(ACT006:NO)、移送機構53の駆動を停止する(ACT009)。制御部17は、第1収容部51に普通紙である第1シートSaを補充する旨をユーザに通知する(ACT010)。制御部17は、第1シートSaを補充する旨の通知を入力部16のディスプレイ162に表示させることによってユーザに通知を行う。制御部17は、筐体11に対して第1収容部51を固定するロック機構を解除し、第1収容部51を筐体11から引き出し可能な状態とする。
ユーザはディスプレイ162に表示された通知に基づき、第1収容部51を筐体11から引き出して第1シート束SSaを補充する。
【0055】
制御部17は、第1シート検出部55からの検出信号に基づいて、第1シート束SSaが収容カセット511に補充されたことを検知する(ACT011)。制御部17は、搬送部60を駆動し、第1収容部51に補充した第1シート束SSaから普通紙である第1シートSaを1枚ずつ搬送部60によって搬送させる。制御部17は、ユーザにより選択された普通紙である第1シートSaに適した駆動条件で搬送部60及びプリンタ部14を駆動させる。第1シートSaは、搬送部60により普通紙に適した搬送条件でプリンタ部14に供給される。プリンタ部14は普通紙に適した普通紙モードで第1シートSaに対する印刷を再開する(ACT012)。
【0056】
シートの種類設定指示において、第1収容部51及び第2収容部52のシート種類を同じに設定した場合(ACT002:NO)、制御部17は、第1収容部51から第1シートSaが無くなるまで印刷を継続する。制御部17は、第1シート検出部55からの検出信号に基づいて、第1シートSaの有無を検出する。
【0057】
制御部17は、第1シート検出部55からの検出信号から第1シートSaが無くなったことを検出した際、搬送部60の駆動を停止する(ACT013、ACT014)。制御部17は、第1シート検出部55からの検出信号によって第1シートSaが無くなったと判定した際、リフター512を駆動して収容カセット511を下降させる。
【0058】
制御部17は、搬送部60の駆動を停止した後、移送機構53を駆動して第2シート束SSbを第1収容部51に移送する(ACT015)。移送機構53は、図6Aに示したように、移送部材153を第1収容部51側に移動させることで、第2シート束SSbを収容カセット511に受け渡す。制御部17は、第2移送部材検出部58の検出信号に基づいて、移送部材153に移送される第2シート束SSbが第1収容部51の収容カセット511の所定位置に到達したか否かを判定する。
【0059】
制御部17は、第2シート束SSbが収容カセット511の適切な位置に載置されたと判定した場合、図6Bに示したように移送部材153をホームポジションへと戻すように移送機構53を駆動させる。制御部17は、第2移送部材検出部58の検出信号に基づいて、移送部材153がホームポジションに戻ったことを検知する。
【0060】
制御部17は、搬送部60を駆動し、第1収容部51に移送した第2シート束SSbから第2シートSbを1枚ずつ搬送部60によって搬送させる。第2シートSbは第1シートSaと同じ普通紙であるため、制御部17は、第1シートSaに適した駆動条件で搬送部60及びプリンタ部14を駆動させる。第2シートSbは、搬送部60により第1シートSaと同じ搬送条件でプリンタ部14に供給される。プリンタ部14は普通紙に適した普通紙モードで第2シートSbに対する印刷を続行する(ACT016)。
以上のようにして、実施形態の画像形成装置1は、シートの種類設定指示を受けた場合に、図4のフローチャートに示す処理を実行する。
【0061】
実施形態の画像形成装置1は、タンデム方式の給紙装置13における第1収容部51及び第2収容部52に異なる種類のシートが収容された場合でも、入力部16から入力されたシートの種類設定に応じた条件で制御部17によって移送機構53及び搬送部60を駆動させることができる。実施形態の画像形成装置1では、第1収容部51及び第2収容部52のシート種類設定を独立して設定することが可能である。
【0062】
画像形成装置1は、第1収容部51に収容された普通紙が無くなった際、第2収容部52に収容された厚紙を続けて給紙するか否かをユーザに通知することができる。画像形成装置1は、入力部16に入力されたユーザからの用紙種類設定指示に応じて、厚紙による給紙を継続する場合に移送機構53を駆動させ、第1収容部51に厚紙である第2シート束SSbを補充することができる。画像形成装置1は、第1収容部51に厚紙が補充された場合、厚紙に適した条件で搬送部60を駆動させることでプリンタ部14に厚紙を供給することができる。搬送部60は厚紙に適した条件で駆動されるため、第1収容部51に収容されたシートが普通紙から厚紙に変化したことによる紙詰まりの発生を抑制できる。画像形成装置1は、厚紙に適した条件でプリンタ部14を駆動させるため、第1収容部51に収容されたシートが普通紙から厚紙に変化したことで生じる定着不良による画像形成不良の発生を抑制できる。画像形成装置1では、第1収容部51及び第2収容部52に収容するシートの種類設定に関する情報を入力部16に入力された情報から取得する。画像形成装置1は、センサの誤検出による問題並びにコストの問題を解決することができる。
【0063】
以上のように、実施形態の画像形成装置1によれば、タンデム方式の給紙装置13における2つの収容部に異なる種類のシートを収容する場合でも画像形成不良の発生や紙詰まりの発生を安価に抑制することができる。
上述した実施形態において、給紙装置13のタンデム型給紙装置は、3つ以上のシート収容部を有してもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
1…画像形成装置、13…給紙装置、14…プリンタ部、17…制御部、51…第1収容部、52…第2収容部、53…移送機構、60…搬送部、153…移送部材、S…シート、Sa…第1シート、Sb…第2シート、SSa…第1シート束、SSb…第2シート束。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B